<第1の実施例>
以下に、本発明の第1の実施例に関して説明する。
第1実施例では、一例として第1の撮影モードは動画撮影の一形態であるパルス透視撮影、第2の撮影モードは一般撮影(静止画撮影)として説明する。オフセット補正は予め取得オフセットデータを取得している方式として説明する。
図1に、本発明を適用できるパルスX線透視、一般撮影が出来るX線撮影システムの概略ブロック図を示す。X線撮影システムは、被検者100にX線曝射を制御するX線制御部101、実際にX線を曝射するX線管球102、撮影モード切り換え部103を備える部X線発生部(X線発生装置)104を有している。X線管球102は、例えば不図示の回転陽極、透視用フィラメント、一般撮影用フィラメントを有している。撮影モード切り換え部103は、例えば不図示の透視用スイッチ、一般撮影用スイッチがX線制御部101に接続しており、操作者が透視用スイッチを押すとX線撮影装置は透視撮影を行い、一般撮影用スイッチを押すと一般撮影を行う。また、X線制御部101は透視撮影中に一般撮影用スイッチが押されると、透視撮影から一般撮影へ撮影モードの切り換え要求指示が発生したと判断する。
そして、X線撮影システムは放射線を可視光に変換する蛍光体と、前記変換された可視光を検出する光検出アレーとを有する。被検者100を透過したX線を検出するためのX線検出部(X線検出装置)105を有している。X線検出部105の内部の光検出アレーは不図示の多数の検出素子がマトリクス上に配置されたイメージセンサである。1つの検出素子が1画素を構成している。また、前記X線検出部105は前記検出素子に蓄積された電荷を逐次読み出して、X線画像を作成する不図示のX線画像作成部と、作成したX線画像を転送する不図示の転送部を有する。またX線撮影システムは、X線検出部105から読出したX線画像を表示するための表示部106、X線撮影システム全体を制御する撮影制御部107を有し、撮影制御部107は撮影した画像を保存する不図示の画像記憶部を有する。
また、撮影制御部107は第1撮影モード終了測定部108、第2撮影モード開始調整部109を有する。第1撮影モード終了測定部108は撮影モードの切り換えが発生してから透視撮影モードが終了するまでの時間を測定する。第2撮影モード開始調整部109は測定結果に応じて透視撮影モードが終了してから一般撮影モードの開始時間を調整する。
なお、撮影制御部107はX線発生部104とX線検出部105とは別の1つの装置として構成されていてもよく、本実施例においても撮影制御装置または制御装置と呼ぶ場合がある。また、第一の撮影モードを現撮影モード、第二の撮影モードを次撮影モードとして説明する場合がある。
図2に従い本実施例に係る処理の流れを説明する。以下に説明する処理は、モード切り換え部103からの切り換え指示に応じてX線発生部104及びX線検出部105が実行するモード遷移処理に関する。モード遷移処理では、撮影制御部107は、撮影システムに対して、第一の撮影モードを終了させる制御と、第二の撮影モードを実行するための準備を行わせる制御と、を含む。
ステップS101で撮影制御部107はモード切り換え部103からの指示信号を受信し、撮影モードを切り替える指示を取得する。つまり撮影制御部107は第一の撮影モードを実行中に第二の撮影モードを実行する指示がされたことを検出する。
ステップS102で撮影制御部107はX線発生部104とX線検出部105に対して、現在実行中の撮影モードの終了を指示する。この撮影モードの終了指示はモード遷移の開始を指示する制御信号としての意義を有する。具体的には、現撮影モードの終了を指示する制御信号としての意義と、次撮影モードの準備を指示する制御信号としての意義を有する。つまり撮影制御部107は前記指示に応じて前記第一の撮影モードを終了させる制御を行う、その直後、ステップS103で撮影制御部107の第1モード終了測定部108は、X線検出部105による現撮影モードの終了に要する時間を測定する。つまり、第1モード終了測定部108は指示を検出してから第一の撮影モードが終了するまでの時間を計測する。
ステップS104でX線検出部105は撮影制御部107からの指示に応じて現撮影モードの終了処理を実行する。透視撮影を実行している場合、X線検出部105は、X線検出中、電気信号の読み出し中、暗電流の蓄積中、X線画像の転送中など、異なる状態となっている可能性がある。X線検出部105は一単位の撮影及び画像転送を終了したタイミングで、透視撮影を終了させる。それゆえ、撮影制御部107で計測される時間は指示のタイミングによって変動することとなる。ステップS105でX線検出部105は現撮影モードが終了したことを撮影制御部107に対して通知する。
ステップS106で撮影制御部107はX線検出部105からの現撮影モードが終了したことを示す通知の受信待ちをする。終了の通知を受信した場合ステップS107に進む。ステップS107で撮影制御部107の第1モード終了測定部108は計時を終了する。ステップS108で撮影制御部107は第1モード終了測定部108により測定された時間Tfを取得する。この時間Tfは、撮影モードの切り換え指示があってから現撮影モードが終了するまでの時間に対応することとなる。
ステップS109で撮影制御部107はこの時間Tfに応じた待機時間Twを決定する。つまり、撮影制御部107は、前記指示を受けた際の撮影システムの状態に応じた待機時間を決定し、計測された時間に応じて待機時間を決定する。この待機時間は、測定されたTfの時間の変動を補償し、撮影モード切り換え指示から撮影モードが切り替わり次撮影モードの撮影が開始されるまでの時間を一定の値にするための時間である。もちろん、発生装置側のモード遷移等の影響もあるため、必ずしも一定の時間となることまでは要求されず、モード遷移に要する時間の変動を小さくするために待機時間Twが設定される。
また、X線発生部104側のモード遷移時間に変動がある場合、待機時間Twにこの変動を補償する意義を持たせることもできる。X線発生部のモード遷移時間の変動を予め適当な精度で把握しメモリに格納しておき、モード遷移時間の最大値や平均値等を考慮してX線検出部105を待機させるようにTwを設定する。例えば、X線発生部104のモード遷移時間の平均値と等しい時間で、X線検出部105のモード遷移が終了するように、待機時間Twを設定する。つまり撮影制御部107は、指示を受けた際の撮影システムの駆動状態に応じて、指示から撮影モードを遷移が完了するまでに要する時間が指示のあったタイミングによらず固定の値に近づけるように、待機時間を決定する。
決定の方法は、予め定義された計算式を用いることとしても、Tfの値に対応するTwを決定するためのルックアップテーブルに基づくこととしてもよい。撮影制御部107は、状況によって異なる時間を待機時間として決定する。ここでいう状況の例は、撮影システムのセンサが光または放射線の検出に応じた電気信号の蓄積期間中に指示があった場合、センサが電気信号を読み出し中に指示があった場合、読み出された電気信号に基づくデータの転送中に指示があった場合がある。
ステップS110で撮影制御部107は待機時間Twを検出装置に通知する。この通知は、X線検出部105に待機を開始させる制御信号としての意義と、待機の後X線検出部105に後述するモード遷移処理を開始させる制御信号としての意義を有する。つまり、撮影制御部107は、第二の撮影モードへの遷移を少なくとも決定された待機時間待機させる制御と、前記第一の撮影モードから第二の撮影モードへのモード遷移処理を実行させる制御と、を実行する。なお、状況によっては待機時間を0とする場合もあるが、その場合には撮影制御部107はTw=0であることを通知する信号をX線検出器105に対して送信する。
ステップS111でX線検出部105は待機時間Twの通知の受信待ちをする。待機時間Twの通知があった場合、ステップS112に進み、一定期間の間に通知がない場合には、ステップS113に進む。これは、通信エラーなどにより信号のやり取りに障害が出ている場合に、モード遷移が行えなくなることを防ぐための処理である。ステップS112でX線検出部105は待機時間Twだけ待機する。待機の間、X線検出部105は電荷の吐き出し駆動等の駆動を一切行わないこととする。
ステップS113でX線検出部105はモード切り換え部103からの指示に係る撮影モードを実行するための準備処理を実行する。ここでいう準備処理は、X線検出部105に蓄積した残像信号や暗電流信号等を吐き出す処理を含む。また、MIS型の光電変換素子を用いる場合には、素子内に蓄積した正孔または電子を除去し、光電荷の蓄積が可能な状態とする処理を含む。また、撮影モードの変更に伴うアンプ等のゲインを変更する処理を含む。
ステップS114でX線検出部105による準備処理が終了後、撮影制御部107に対して次撮影モードの準備が完了したことを通知する。通知後、ステップS115でX線検出部105はX線照射待ち状態に移行する。なお、時間とともに蓄積する暗電流信号を吐き出す処理を準備処理として実行する場合、当該準備処理が終了後も一定時間ごとに繰り返し実行する。
一方、ステップS116でX線発生部104は撮影モードの終了指示に応じて、現撮影モードの終了処理を実行する。先述の通り、本実施例では一単位の撮影の途中でモード切り換え指示があった場合でも、当該一単位の撮影を終了させた後に次撮影モードに遷移する。続いてステップS117でX線発生部104は次撮影モードのために管電圧や管電流、照射時間などの設定に応じてX線照射の準備処理を実行する。準備処理の完了後、ステップS118でX線発生部104は撮影制御部107に準備完了を通知する。
ステップS119で撮影制御部107はX線発生部104とX線検出部105の両方からの準備完了通知の受信待ちをする。両装置から通知があった場合には、ステップS120に進む。ステップS120で撮影制御部107はX線発生部104に対して切り換え後の撮影モードに係る設定に応じてX線発生を指示する。ステップS121でX線発生部104は発生指示に応じてX線を発生させる。ステップS122でX線検出部105はX線発生部104で発生し被写体を透過したX線を検出し、X線検出部105の各画素はX線の強度に応じた電気信号を生成する。ステップS123でX線検出部105は各画素で生成された電気信号を順次信号線を通じて読み出す。ステップS124でX線検出部105は読み出された電気信号を増幅器で増幅し、AD変換器でアナログ信号からデジタル信号に変換し、X線画像データを生成する。以下では、第1撮影モード終了測定部108と、第2撮影モード開始調整部109に関して詳細に説明する。図3はパルス透視撮影から一般撮影へモード切り換え要求指示が発生した場合のタイミングチャートの一例を示す。
図3において、パルス透視撮影から一般撮影へモード切り換え要求は、X線発生部104がX線を曝射中にモード切り換え要求が発生した場合を示す。
図3の撮影モードは、Lowの時が透視撮影から一般撮影に切り換わる時の待ち処理、Middleの時が透視撮影モード、Highの時が一般撮影モードを示す。透視撮影から一般撮影に切り換わる時の待ち処理を実行するよう撮影制御部107に制御される。
次に、図3のタイミングチャートについて説明する。
撮影制御部107はX線発生部104から撮影モードの切り換え要求が発生したことが通知されると、撮影制御部107の内部にある第1モード終了測定部108を用いて透視撮影が終了するまでの時間を測定する。第1モード終了測定部108は、例えばタイマを有しており、撮影モードの切り換えが発生した時刻T1にタイマをスタートさせる。その後X線検出部105から転送された最後の透視画像を受信した時刻T2にタイマをストップして、透視撮影が終了するまでの時間Tf2を測定する。
そして、第2撮影モード開始調整部109は、測定した時間Tf2に応じて、透視撮影から一般撮影へ切り換わる時に待ち処理を行った後に、一般撮影を開始する。撮影制御部はX線発生部に対して、例えば一般撮影のためのX線曝射許可信号を出力し、X線発生部はその信号を受け取ると一般撮影のためのX線曝射を開始する。
X線発生部は一般撮影のX線曝射を終了すると、X線検素子の電荷を読出してオフセット補正を行った後に、撮影制御部に対して読み出した画像の転送を行う。撮影制御部は一般撮影で撮影した画像を受信すると、表示部にその画像を表示する。また、一般撮影のオフセット補正は透視撮影のオフセット補正と同じく、X線画像はX線曝射直後に読み出したデータから、予め取得しておいたX線を曝射しないで取得した一般撮影のデータを減算することにより得られる。
第2撮影モード開始調整部109が待つ時間Tw2は時刻T2から時刻T8までの時間であり、第2撮影モード開始調整部109は下記の(1)式で計算する。
Tw2=Tx−Tf2−a*Ts (a≦1.0) ・・・(1)
ここで、時間TxはX線発生部104がモード切り換え要求指示が発生した時刻T1から一般撮影を行うための準備が完了した時刻T4までの時間を示す。時間Tsは第2撮影モード開始調整部109が時間Tw2の間待った後に一般撮影に切り換わった時刻T8からX線発生部が一般撮影のためのX線曝射を開始した時刻T7までの時間を示す。aは(1)式に記載条件を満たす小数を示す。次に、(1)式の小数aに関して説明する。
第1モード終了測定部108が測定した時間Tf2の最大値は透視撮影のフレームレートFrに依存し、透視フレームレートFrの逆数になる。例えば透視撮影のフレームレートFr=10の場合は時間Tf2の最大時間が100msであり、透視撮影のフレームレートFr=5の場合は時間Tf2の最大時間が200msとなる。
また、特許文献4以外のX線発生部104の場合、透視撮影から一般撮影への切り換え要求が発生すると、透視撮影を終了して一般撮影ができるようになるまでの時間Txがかかる。そして、この時間Txは変動するので、時間Txが長くなった場合、図18で説明したように、透視中に発生した残像を消すためのリセット動作の回数が増えてしまう。その結果、透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなってしまう。
従って、少数aは前記リセット動作の回数が増えないように調整する係数である。例えば、透視撮影のフレームレートFr=10、リセット動作の時間Tp=300ms、前記リセット動作の回数が1回、X線発生部104が特許文献3に記載されている方式(Tx=400±30ms)ならばa=0.8程度が望ましい。X線発生部が一般的な方式(Tx=1000m±100ms)ならばa=0.5程度が望ましい。
そうすれば、時間Txが変動しても、1回の前記リセット動作を行っている最中にX線発生部104は一般撮影の曝射準備ができる。ただし、1回の前記リセット動作で透視中に発生した残像が消えなければ、前記リセット動作を複数回行う必要がある。その場合は、前記リセット動作の回数に合わせて、少数aを決定すればよい。そして、X線撮影装置で用いられるX線発生部が決まれば時間Txが決まり、またX線検出部が決まれば時間Tsも決まるので、第2撮影モード開始調整部109は時間Tx、時間Ts、少数aを予め記憶しておく。また、時間Txは外部から設定部を持ち、X線発生部に合わせて外部から時間Txを設定できるようにしてもよい。
ところが、透視撮影のフレームレートFr=5の場合は、X線発生部104が特許文献3に記載されている方式のX線発生部、少数aをフレームレートFr=10と同じくa=0.8にすると、(1)式で計算した時間Tw2の値がマイナスになってしまう。それを避けるために、例えばa=0.5にする必要がある。そのため、少数aは透視撮影のフレームレートFr毎に異なる値を持つとよい。
また、例えば、透視撮影のフレームレートFr≧10以上の場合はa=0.8固定にして、透視撮影のフレームレートFr<10の場合は、フレームレートFr毎に小さな値にしてもよい。
X線発生部 (Tx=400±30ms)の場合、フレームレートFrと少数aとの関係の一例を図4に示す。この場合、透視撮影のフレームレートFr≧10以上の場合、透視撮影から一般撮影への切り換え時間は一定であるが、Fr<10の場合はフレームレートFrに依存して透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなる。しかし、例えば、透視撮影のフレームレートFr=5ならば、透視撮影から一般撮影への切り換え時間は一定になる。
以上より、第1モード終了測定部108は撮影モードの切り換え要求が発生すると、透視撮が終了するまでの時間Tf2を測定する。第2撮影モード開始調整部109はそれに応じて一般撮影を開始するまでの時間Tw2を調整する。よって例えば測定した前記時間Tf2が短ければ、(1)式で計算される前記時間Tw2は長くなる。逆に前記測定時間Tf2が長ければ、(1)式で計算される前記時間Tw2は短くなる。つまり、透視撮影から一般撮影への撮影モードの切り換え要求が発生してから一般撮影を行うまでの時間は、透視撮影時のフレームレートFrが早ければ一定となる。
第1実施例では、撮影モード切り換え部103は、X線制御部101に接続し、また透視用スイッチと一般撮影用スイッチからなると説明した。実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば撮影制御部107にタッチパネルがあり、そのタッチパネルを操作することにより行ってもよい。
また、第1実施例では、撮影制御部107は第1撮影モード終了測定部108と第2撮影モード開始調整部109を有すると説明したが、それに限定されるものではなく、例えばX線検出部105の内部にあってもよい。
また、第1実施例では、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードは一般撮影として説明した。実施形態はこれに限定されるものではなく、第1撮影モードはパルスシリアル撮影、第2撮影モードは一般撮影でもよく、また第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードはパルスシリアル撮影でもよい。
また、第1実施例では、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードは一般撮影として説明したが、これに限定されるものではなく、動画の撮影は連続透視撮影、または連続シリアル撮影でもよい。
<第2の実施例>
以下に、本発明の第2の実施例について説明する。
第2実施例は、第1実施例で説明したX線撮影装置と同じ構成であり、第1実施例と同じく、第1の撮影モードはパルス透視撮影、第2の撮影モードは一般撮影として説明する。ただし、X線発生部は透視撮影から一般撮影の切り換え時間Txが長く変動も大きい、一例として(Tx=1000m±200ms)の場合について説明する。また、透視撮影時のフレームレートFr=10として説明する。
第1実施例では、透視撮影時のフレームレートFr=10 の場合、少数aはa=0.8として説明した。しかし、第2実施例では時間Txが長くなった場合、図5において時刻T2から時刻T8までの待ち時間Tw4が長くなる。また、時間Txの変動が大きいので、透視撮影モードで発生した残像を消すためのリセット動作が終わった時に、X線発生部はまだ一般撮影を行うための準備が出来ていない場合がある。この場合、2回目のリセット動作を行う。その結果として透視撮影から一般撮影への切り換え時間Tsが長くなる。
また、例えば、少数aをa=0.1と小さな値にすれば、リセット動作は1回で済む。しかし、この場合、第2撮影モード開始調整部109が待つ時間Tw4が常に長くなり、その結果として透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなってしまう。
それを避けるには、残像を消すためのリセット動作を短くすればよい。図5は、リセット動作を短くした場合のタイミングチャートである。
図5において、前記リセット動作が短いために、リセット動作の回数は増やす必要がある。しかし、時間Txが長くなり、リセット動作の回数が増えても、それが原因で透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなる時間は短くできる。
前記リセット動作を短くする方法として、X線検出部105のリセットを1行単位で行うのに代えて、複数行、例えば2行単位でリセットすれば残像を消す動作時間は半分の約150msになる。また、3行単位でリセットすればリセット動作時間は半分の約100msになる。
また、残像を消すための1行の当たりの時間は一般撮影時の1行を読み出す時間と同じ時間で行うのに代えて、透視撮影時の1行を読み出す時間と同じ時間で行えば残像を消すリセット動作時間は透視撮影の読出し時間と同じ約20msになる。
第2実施例として、透視撮影時のフレームレートFr=10として説明したが、それに限定されず、例えばフレームレートFr=20でもよい。その他は、第1実施例と同じである。
<第3の実施例>
以下に、本発明の第3の実施例について説明する。
第3実施例は、第1実施例で説明したX線撮影装置と同じ構成であるが、撮影モード切り換え部103が異なる。また、X線発生部は特許文献4に記載されている方式のX線発生部として説明する。この場合、X線発生部の透視撮影から一般撮影への切り換え時間Txは無視できるほど短くなる。そして、第1実施例と同じく、第1の撮影モードはパルス透視撮影、第2の撮影モードは一般撮影として説明する。
図6は、第3実施例のタイミングチャートである。
第3実施例の撮影モード切り換え部103は、第1実施例と同じく、透視用スイッチ、一般撮影用スイッチがX線制御部101に接続しており、例えば操作者が透視用スイッチを押すとX線撮影装置は透視撮影を行い、一般撮影用スイッチを押すと一般撮影を行う。しかし、X線発生部104は透視撮影中に一般撮影用スイッチが押されると、時刻T9において、X線発生部は透視撮影を行いながら、一般撮影を行うための準備動作を開始する。一般撮影の準備動作は透視撮影モードで発生した残像を消すための動作であり、例えば特許文献1に開示されているように、検出素子のリセット動作を行単位で行う。この動作はデータ読み出し動作とほぼ同じ動作のためにデータ読出しをHighとしている。そして、X線発生部104は、時刻T1において、透視撮影中に一般撮影の準備ができた時に、透視撮影から一般撮影へ撮影モードの切り換え要求が発生したと判断する。
図6において、モード切り換えの意味は第1実施例と意味が異なるので説明する。図6のモード切り換えは、Lowの時が透視撮影を行っている状態を示す。Middleの時が透視撮影中に一般撮影用スイッチが押さて透視撮影中に一般撮影の準備動作を行っている状態を示す。Highの時が一般撮影の準備ができて透視撮影から一般撮影への切り換え要求が発生した状態を示す。
また、第2撮影モード開始調整部109が第1実施例と異なるので説明する。第1実施例においては、X線発生部104がモード切り換え要求指示が発生した時刻T1から一般撮影の準備が完了した時刻T4までの時間Txであった。第3実施例では一般撮影の準備が完了した時刻をモード切り換え要求が発生した時刻としているので時間Tx=0となる。そのため、時間Txの代わりに時間Tcを導入する。時間Tcは、モード切り換え要求が発生して透視撮影を終了するまでの最大時間Tf5max、一般撮影に切り換わった時刻T8からX線発生部が一般撮影のためのX線曝射を開始した時刻T7までの時間Tsとした場合、下記(2)式で計算した時間である。
Tc= Tf5max+Ts ・・・(2)
ここで、透視撮影のフレームレートFr=10の場合はTf5max=100ms、リセット動作時間Tp=300msの場合は時間Ts=300msなので、Tc=400msとなる。
そして、(2)式で計算される時間Tcを用いて、第2撮影モード開始調整部109が透視撮影から一般撮影へ切り換わる時に待つ時間Tw5は下記の(3)式で計算する。
Tw5=Tc−Tf5− Ts ・・・(3)
ここで、時間Tf5は第1モード終了測定部108が測定した時間であり、撮影モードの切り換えが発生した時刻T1から透視撮影を終了した時刻T2までの時間である。
以上の説明は、時間Tf5maxは透視撮影のフレームレートFr=10の場合について説明した。例えば、透視撮影のフレームレートFr≧10以上の場合はTf5max=100ms固定にして、透視撮影のフレームレートFr<10の場合は、フレームレートFr毎に小さな値にしてもよい。一例として、フレームレートFr、時間Tf5max、時間Tcの関係を図7に示す。
そして、第2撮影モード開始調整部109は図7に示したTf5maxのテーブルを持っており、時間Tcは透視撮影のフレームレートFrから(2)式の計算で求める。また、第2撮影モード開始調整部109は既に(2)式で計算した時間Tcを透視撮影のフレームレート毎にテーブルとして持っていてもよい。その他は、第1実施例と同じである。
<第4の実施例>
以下に、本発明の第4の実施例に関して説明する。第1実施例と同じく、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2の撮影モードは一般撮影として説明する。
図8に、本発明を適用できるパルスX線透視、一般撮影が出来るX線撮影装置の概略ブロック図を示す。
第4実施例は、第1実施例で説明したX線撮影装置と異なり、第1撮影モード終了測定部108、第2撮影モード開始調整部109の代わりに切り換え発生検出部110、撮影モード終了処理部111を有する。切り換え発生検出部110は撮影モードの切り換え要求が発生した時の処理を検出する。撮影モード終了処理部111は撮影モードの切り換え発生検出部110の検出結果に応じて第1撮影モードの終了の仕方を切り換える。その他は、第1実施例と同じ構成である。
図9に従い本実施例に係る処理の流れを説明する。なお、実施例1にて図2に従い説明した処理と重複する処理については説明を省略する。
ステップS202でX線検出部105は、モード切り換え指示があったタイミングでX線検出部105の状態を撮影制御部107に通知する。このように本実施例では、撮影制御部107はモード切り換え指示から現撮影モード終了までの時間を計測せず、代わりにモード切り換え指示があった際のX線撮影システムの状態を検出する。つまり、指示を検出した時点での撮影システムの駆動状態を検出する。
なおX線撮影システムの状態とは、X線照射中であるか、X線検出器が電気信号を読み出し中であるか、暗電流信号の蓄積中であるか、X線画像データの転送中であるかといった状態をいう。
ステップS203で撮影制御部107の切り換え発生検出部は通知された情報からX線検出部105の状態を検出し当該情報をメモリに格納する。ステップS204で撮影制御部107は検出された情報に応じて現撮影モードを終了させるための遅延時間(待機時間)Tfを決定する。ここでTfは、実施例1乃至3における待機時間Tw同様、モード切り換え指示を受けたタイミングの違いによるモード遷移時間の変動や、X線発生部104側のモード遷移時間の変動を補償する。
ステップS205で撮影制御部107は遅延時間TfをX線検出部105に通知する。かかる通知は、X線検出部105にTfだけ現撮影モードを継続させた後に現撮影モードを終了させる制御信号としての意義を有する。
このように本実施例では、現撮影モードについて一単位の撮影の途中で指示があった場合でも、一単位の撮影の終了を待たず、所定の待機時間だけ待った後に撮影を中断する場合がある。つまり、撮影制御部107は、第一の撮影モードによる撮影を途中で中断させる制御を行う。このようにすることで、撮影モードの遷移に要する時間を実施例1乃至3に比べ短縮することができる。
ステップS206で撮影制御部107は待機時間を設定するか否かを判定する。本実施例では、状況に応じて現撮影モード終了後の待機時間を設けないこととする。実施例1乃至3のように待機時間を設ける処理がなくなることで、モード遷移に要する時間を抑えることができる。この場合モード遷移に要する時間の変動が大きくなることが予想されるが、現撮影モード終了前に遅延時間Tfを設けることで、この変動を吸収している。もちろん、モード遷移に要する時間の変動を抑えることを重視する場合には、現撮影モード終了後の待機時間を設けることもできる。ステップS206の判定は、予めユーザやサービスマンにより設定された設定情報に基づく判定することとする。なお別の例として、モード遷移に要する時間が大きくなりやすい所定の閾値よりも小さいフレームレートでの撮影の場合には現撮影モード終了後の待機時間を設けないこととする。これにより遷移に要する時間が小さい場合には待機時間を設けて変動を抑え、大きくなる場合には現撮影モード終了後の待機時間を設けずにモード遷移時間の増大を抑えることができる。
ステップS207で撮影制御部107は検出されたX線検出部105の駆動状態に応じて、現撮影モード終了後の待機時間Twを決定する。そして、撮影制御部107はこの待機時間Twを検出部105に通知する。つまり撮影制御部107は、第一の撮影モードの終了させる制御を開始する前か、第二の撮影モードを実行するための準備を行わせる制御を開始する前か、少なくともいずれかで少なくとも待機時間だけ待機させる。
一方、ステップS208でX線検出部105は撮影制御部107からの通知に応じて、遅延時間Tfだけ現撮影モードを継続させる。またステップS209でX線検出部105は現撮影モードを終了させる。ここでは、待機時間経過後直ちに撮影モードを終了させる処理を行う。図10、図11、図12のタイミングチャートを用いて、撮影モードの切り換え発生検出部110、撮影モード終了処理部111について説明する。なお、図10、図11、図12のタイミングチャートは、オフセット補正が特許文献2に記載された方式で行う場合について説明する。
図10において、Taは透視撮影時の画像の読出し時間を示す。Ttは透視撮影時の画像の転送時間を示す。T10はデータの読出しが終了した時刻を示す。Tp8はデータの読出しが終了してから透視撮影を終了するまでの時間を示す。Tf8は撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間を示す。Tw8は透視撮影を終了してから一般撮影を開始するまでの待ち時間を示す。
撮影モードの切り換え発生検出部110はX線制御部とX線検出部105をモニタしている。撮影モードの切り換え発生検出部110は、透視撮影処理を、X線を曝射している時のX線検出部105の検出素子の蓄積処理P2、X線を曝射していない時のX線検出部105の検出素子の蓄積処理P4、データの読出し処理P3、画像の転送処理P1に分割する。どの処理中に透視撮影中に撮影モードの切り換え要求が発生したかを判断する。ただし、X線曝射処理と画像の転送処理が同時に起きている時は画像の転送処理P1、データの読出し処理と画像の転送処理が同時に起きている時は画像の転送処理P1とする。
撮影モード終了処理部111は、撮影モードの切り換え発生検出部110が検知した処理に応じて、透視撮影処理の終了の仕方を変える。
図10は、撮影モードの切り換え発生検出部110が透視撮影中のデータ(Ix)の読出し処理P3中に撮影モードの切り換え要求を検知した場合を示す。この場合、撮影モードの切り換え発生検出部110が撮影モード終了処理部111にその事を伝える。そして、撮影モード終了処理部111は、データの読出しと前記時間Tp8の待ち処理を行った後に透視撮影を終了し、その後再度時間Tw8の待ち処理を行った後に一般撮影を開始する。
上述の実施例1乃至3では、画像(Ix)の読出し処理中に撮影モードの切り換え要求が発生した場合、データ(Ix)の読出し後にX線を曝射しない蓄積動作、データ(Id)の読出しと画像の転送を行って透視撮影を終了していた。それに対して、第4実施例はデータ(Ix)の読出し処理後に前記時間Tp8を待った後に透視撮影を終了するので、透視撮影を終了するまでの時間Tf8を大幅に短くできる。
前記待ち時間Tp8は下記の(4)式で計算する。
Tp8=b*(Tt−Ta) (0.0≦b) ・・・(4)
ここで、Taは透視撮影時の画像の読出し時間、Ttは透視撮影時の画像の転送時間、bは(4)式に記載された条件を満たす少数を示す。少数bは後で詳細に説明する。
また、透視撮影終了後に一般撮影を開始するまでの待ち時間Tw8は下記の(5)式で計算する。
Tw8=Tx−c*Ts (0.0≦c) ・・・(5)
ここで、時間Txは撮影モード切り換え要求指示が発生した時刻T1から一般撮影を行うための準備が完了した時刻T4までの時間を示す。時間Tsは一般撮影に切り換わった時刻T8からX線発生部が一般撮影のX線曝射を開始した時刻T7までの時間を示す。cは(5)式に記載条件を満たす小数を示す。小数cは後で詳細に説明する。
図11は、撮影モードの切り換え発生検出部110がX線を曝射していない時の蓄積処理P4中に撮影モードの切り換え要求を検知した場合を示す。この場合、撮影モードの切り換え発生検出部110が撮影モードの切り換え処理部111にその事を伝える。そして、撮影モード終了処理部111は、データの読出しと前記時間Tp9の待ち処理を行った後に透視撮影を終了し、その後再度時間Tw9の待ち処理を行った後に一般撮影を開始する。
上述の実施例1乃至3では、データ(Ix)の読出し処理後の蓄積中撮影モードの切り換え要求が発生した場合、データ(Id)の読出しと画像の転送を行って透視撮影を終了していた。それに対して、撮影モードの切り換え要求が前記蓄積処理P4中に発生した場合はデータ(Ix)の読出し処理後に前記時間Tp9の待ち処理を行った後に透視撮影を終了するので、透視撮影を終了するまでの時間Tf9を大幅に短くできる。そして、例えば前記待ち時間Tw9は図10の時間Tw8と同じ時間である。
前記待ち時間Tp9は下記の(6)式で計算する。
Tp9=b*Tt (0.0≦b) ・・・(6)
ここで、Ttは透視撮影時の画像の転送時間、bは(6)式に記載された条件を満たす少数であり、例えば(4)式と同じ値である。
また、撮影モードの切り換え発生検出部110がX線を曝射している時の検出素子の蓄積処理P2中に撮影モードの切り換え要求を検知した場合、撮影モード終了処理部111は図11に示した前記蓄積処理P4中に発生した場合とほぼ同じ処理を行う。即ち、撮影モードの切り換え要求が前記蓄積処理P2中に発生した場合は、X線の曝射を終了し、また待ち処理で前記時間Tp9だけ待った後に透視撮影を終了する。その後の処理は既に説明した処理と同じである。そのため、この場合も同様の理由で透視撮影を終了するまでの時間Tf9が短くなる。
図12は、撮影モードの切り換え発生検出部110が画像の転送処理P1中に撮影モードの切り換え要求を検知した場合を示す。この場合、撮影モードの切り換え発生検出部110が撮影モード終了処理部111にその事を伝える。そして、撮影モード終了処理部111は、画像の転送が終了すると透視撮影を終了し、その後時間Tw10の待ち処理を行った後に一般撮影を開始する。そして、例えば前記待ち時間Tw10は図10の時間Tw8と同じ時間である。また、撮影モードの切り換え要求が画像の転送処理P1中に発生した場合、透視撮影を終了するまでの時間は実施例1乃至3と同じ時間であるが、短い時間である。
以上説明したように、撮影モードの切り換え発生検出部110は撮影モードの切り換え要求が発生した時の処理を検知して、その検知結果に応じて撮影モード終了処理部111は透視撮影処理の終了の仕方を変える。撮影モード終了処理部111は、撮影モードの切り換え要求が前記処理P1の時に発生した場合は画像の転送が終了すると透視撮影を終了する。撮影モードの切り換え要求が前記処理P2又は前記処理P4の時に発生した場合は前記時間Tp9の待ち処理後に透視撮影を終了する。撮影モードの切り換え要求が前記処理P3の時に発生した場合はデータの読出し処理後に前記時間Tp8の待ち処理を行って透視撮影を終了する。
そのため、撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間が短くなる。また、透視撮影時のフレームレートが変化しても、撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間は変わらない。
次に、(4)式と(5)式の少数bについて説明する。撮影モードの切り換え要求が前記処理P3の時に発生した場合、時間Tp8は時間Tp8から時間Ta+Tp8の間で変化するので、一例として(4)式での少数b=0.5とすれば、下記の(9)式が成り立つ。
0.5*(Tt−Ta)≦Tp8≦= 0.5*(Tt+Ta) ・・・(7)
また、撮影モードの切り換え要求が前記処理P2又は前記処理P4の時に発生した場合、時間Tp9は(6)式で計算した時間となり、一例として(6)式での少数b=0.5とすれば、下記の(8)式が成り立つ。
Tp9=0.5*Tt ・・・(8)
また、撮影モードの切り換え要求が前記処理P1の時に発生した場合、時間Tf10は0から時間Ttの間で変化するので、下記の(9)式が成り立つ。
0.0≦Tp10≦= Tt ・・・(9)
従って、(4)式と(6)式での少数b=0.5、一例としてTt=30ms、Ta=20msとすれば、撮影モード切り換え処理で透視撮影要求が発生して透視撮影を終了するまでの平均時間は15ms、最大時間は30msとなる。
次に、(5)式の少数cについて説明する。少数cは一般撮影行う前に行うリセット動作の回数を増やさないように調整する係数であり、第1実施例で説明した(1)式の少数aと似ている。しかし、第1実施例で説明した(1)式の少数aは透視撮影時のフレームレート毎に持った方が良いと説明したが、(5)式の少数cは透視撮影時のフレームレートによらず固定値でよい。第1実施例では透視撮影時のフレームレートが変化すると透視撮影を終了するまでの時間が大きく変化するが、第4実施例では透視撮影を終了するまでの時間は透視撮影時のフレームレートに依存しない。
例えば、前記時間TxをTx=400±30ms、前記時間TpをTp=300msとした場合、C=1.0程度が望ましい。そのため、予め前記時間Txの時間が分かっていれば、それに合わせて少数cを決めて、撮影モード終了処理部111はその決まった少数cを記憶しておく。
また、第4実施例では撮影モードの切り換え要求が発生したタイミングに依存して透視撮影を終了するまでの時間が変化するが、少数cを適切な値にすれば、透視撮影の残像を消すリセット処理がその変化を吸収することができる。
第4実施例では、特許文献2のオフセット補正を用いた場合について説明したので、1回のX線曝射に対して2回の電荷の読出しを行い、X線曝射後に読み出したデータからX線曝射しない時に読出したデータを減算することによりX線画像を作成すると説明した。しかし、それに限定されるものではなく、例えば予めオフセット画像を取得しておき、X線曝射後に電荷の読出しを行い、予め取得しておいたオフセットデータを減算することによりX線画像を作成する方式でも構わない。ただし、その場合、X線を曝射していない時の蓄積処理P4が無くなる。従って、撮影モードの切り換え発生検出部110は、透視撮影処理を、X線を曝射している時の平面検出部105内部の検出素子の蓄積処理P2、画像の読出し処理P3、画像の転送処理P1に分割する。そしてどの処理中に透視撮影中に撮影モードの切り換え要求が発生したかを判断する。そして、その後の処理は、既に説明した処理と同じになる。
第4実施例では、撮影モード切り換え部103は、X線制御部101に接続しており、また透視用スイッチと一般撮影用スイッチからなると説明した。実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば撮影制御部107にタッチパネルがあり、そのタッチパネルを操作することにより行ってもよい。
また、第4実施例では、撮影制御部107は撮影モードの切り換え発生検出部110と撮影モード終了処理部111を有すると説明したが、それに限定されるものではなく、例えばX線検出部105の内部にあってもよい。
また、第1実施例では、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードは一般撮影として説明した。実施形態はこれに限定されるものではなく、第1撮影モードはパルスシリアル撮影、第2撮影モードは一般撮影でもよく、また第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードはパルスシリアル撮影でもよい。
また、第1実施例では、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードは一般撮影として説明したが、これに限定されるものではなく、動画の撮影は連続透視撮影、または連続シリアル撮影でもよい。
<第5の実施例>
以下に、本発明の第5の実施例について説明する。
第5実施例は、第4実施例で説明したX線撮影装置と同じ構成であり、第1撮影モードはパルス透視撮影、第2撮影モードは一般撮影として説明する。ただし、X線発生部は透視撮影から一般撮影の切り換え時間Txが長く変動も大きい、一例として(Tx=1000m±200ms)の場合について説明する。また、撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間は透視撮影時のフレームレートには依存しないので、第4実施例と同じとして説明する。
第5実施例では、前記時間Txの変動が大きいので時間Txが長くなった場合、透視撮影で発生した残像を消すためのリセット動作が終わった時に、X線発生部はまだ一般撮影を行うための準備が出来ていない。この場合、X線発生部が一般撮影の準備ができるまで複数回のリセット動作を行う。そして、第4実施例と同じくリセット動作時間Tp=300msとすれば、リセット動作の回数が1回増えると、一般撮影の準備を開始してから一般撮影を行うまでの時間Tsが300ms長くなる。この時間Tsが長くなる時間を小さくするには、リセット動作を短くすればよい。
図13は、リセット動作を短くした場合のタイミングチャートである。
図13において、リセット動作が短いために、リセット動作の回数は増やす必要がある。しかし、時間Txが長くなり、リセット動作の回数が増えても、それが原因で透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなるのはわずかである。
また、透視撮影から一般撮影に切り換わる時に、時間Tw11の待ち処理が入っているが、リセット動作の処理時間が短い場合はこの待ち時間Tw11は無くすことができる。待ち処理時間Tw11を無くした場合、リセット動作回数は増えるが、リセット動作回数が増えることにより透視撮影から一般撮影への切り換え時間が長くなるのはわずかである。その他は、第4実施例と同じである。
<第6の実施例>
以下に、本発明の第6の実施例について説明する。
第6実施例は、第4実施例で説明したX線撮影装置と同じ構成であるが、撮影モード切り換え部103が異なり、撮影モード切り換え部103は第3実施例と同じ構成として説明する。また、X線発生部は特許文献4に記載されている方式のX線発生部として説明する。この場合、X線発生部の透視撮影から一般撮影への切り換え時間Txは無視できるほど短くなる。そして、第4実施例と同じく、第1の撮影モードはパルス透視撮影、第2の撮影モードは一般撮影として説明する。
図14は、第6実施例のタイミングチャートである。
図14において、モード切り換えは、第3実施例と同じく、Lowの時が透視撮影を行っている状態を示す。Middleの時が透視撮影中に一般撮影用スイッチが押されて透視撮影中に一般撮影の準備動作を行っている状態を示す。Highの時が一般撮影の準備ができて透視撮影から一般撮影への切り換え要求が発生した状態を示す。時間Tdは、透視撮影中に一般撮影の準備ができた時刻T1から一般撮影のX線曝射を開始するまでの時刻T7までの時間である。
また、図14は、撮影モードの切り換え発生検出部110が画像の転送処理P1中に撮影モードの切り換え要求を検知した場合を示す。この場合、既に実施例4で説明したように、撮影モード終了処理部111は、画像の転送が終了すると透視撮影を終了する。そして、その後時間Tw12の待ち処理を行った後に一般撮影を開始する。また、前記待ち時間Tw12は下記の(10)式で計算した時間である。
Tw12=Td−d*Ts (0.0≦d) ・・・(10)
ここで、時間Tdは時刻T1から時刻T7までの時間、時間Tsは一般撮影に切り換わった時刻T8からX線発生部が一般撮影のX線曝射を開始した時刻T7までの時間、dは(10)式に記載条件を満たす少数を示す。
小数dは一般撮影行う前に行うリセット動作の回数を増やさないように調整する係数であり、第4実施例で説明した(5)式の小数cと同じである。例えば、前記時間Td=400ms、前記時間Ts=300msとした場合、小数C=1.0程度が望ましい。そして、撮影モード終了処理部111は小数cを記憶しておく。
第6実施例は撮影モードの切り換え要求が画像の転送処理P1中に発生した場合であるが、他の処理中に発生した場合は第4実施例と同じなので説明は省略する。
<第7の実施例>
第7の実施例では、待機時間を必ずしも設けず、図5または図13に示すようにリセット動作を短くしている。撮影制御部107は、センサの電気信号の読み出しを繰り返す初期化駆動(リセット動作)を実行させる。撮影制御部107は、モード切り換え部103部からの撮影モードの開始の指示を検出する検出部と、指示に係る撮影モードと指示があった際のセンサの状態とを取得する取得部と、を有している。そして、非撮影状態から静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動よりも、所定の撮影モードから静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動で、読み出しの繰返し周期が短くなるよう制御する制御部と、を有している。当該制御は取得された撮影モードとセンサの状態とに基づいて行われる。
本実施例では、モード切り換え指示を受けてから現撮影モードが終了するまでの時間の計測や、モード切り換え指示を受けた時点でのX線撮影システムの状態検出などを行わず、また待機時間や遅延時間の付与を必ずしも行う必要もない。その他、装置の構成は先述の実施例と同様であるため説明を省略する。
図15に従い本実施例に係る処理の流れを説明する。なお、図2、図9と重複する処理については説明を省略する。
ステップS301でX線検出部105は現撮影モードの終了処理を行う。ここで終了処理は、指示を受けた時点で直ちに終了させる。つまり、撮影制御部107は、前記所定のタイミングで指示があった場合に、待機時間を0に決定するステップS302でX線検出部105は現撮影モード終了処理後、次撮影モードの準備処理を行う。本実施例における次撮影モードの準備処理は、短い間隔で電気信号の除去を繰り返す初期化駆動(リセット駆動)であるため、仮に電荷の除去中に発生装置側の準備が完了したとしても、1単位の初期化駆動を実行するのにかかる時間はわずかである。よって、特に待機時間等を設けずとも、発生装置側のモード遷移時間の変動を考慮しなければ、システム全体としてモード遷移に要する時間の変動は小さく抑えられる。これは、仮に1フレームの電荷除去に長い時間がかかると、その途中で発生装置が準備完了になったとしても電荷除去が最後まで終了させるのに相当の時間がかかることとなり、その分だけモード遷移に要する時間が変動してしまうことからも明らかである。
なお、ステップS301では、発生装置側のモード遷移時間の変動がある場合には、その変動を考慮してX線検出部105の現撮影モード終了前または現撮影モード終了後、あるいは準備駆動の終了後に所定の遅延時間または待機時間を設ける。これにより、発生装置側のモード遷移時間の変動を吸収することができる。
図16はパルス透視撮影から一般撮影へモード切り換えが発生した場合のタイミングチャートの一例を示す。透視撮影時と一般撮影のオフセット補正は、1回のX線曝射に対して1回の電荷の読出しを行う例を示している。
図16において、「モード切り換え」はLowからHighになった時に透視撮影から一般撮影への切り換え要求が発生したことを示す。「撮影モード」はLowの時が透視撮影を示す。Highの時が一般撮影を示す。「曝射可能」はX線発生部104がLowの時に一般撮影ができない状態を示す。Highの時に一般撮影ができる状態を示す。「X線曝射」はHighの時にX線発生部104がX線を曝射していることを示す。「データ読出し」はHighの時にX線検出素子から電荷を読出していることを示す。「画像転送」はHighの時にX線検出部105から撮影制御部107にX線画像を転送していることを示す。一般的に、透視撮影時のデータ読出し時間Taは約20ms程度、画像転送時間Ttは約30ms程度である。また、既に述べたように、X線画像はX線曝射直後に読み出したデータ(Ix)から、予め取得しておいたX線を曝射しないで取得したデータを減算することにより得られる。
また、時刻T1において、例えば操作者が透視撮影用スイッチを押してパルス透視撮影を行っている最中に、一般撮影用スイッチを押して一般撮影への撮影モードの切り換え要求が発生したことを示す。撮影モードの切り換え要求が発生すると、X線発生部104は一般撮影の曝射準備を開始すると同時に、撮影制御部107に対して一般撮影への切り換え要求が発生したことを伝える。撮影制御部107は透視撮影中に一般撮影への切り換え要求が発生したことが通知されると、X線検出部105に対しては透視撮影を終了するように指示する。
時刻T2は時刻T1において透視撮影から一般撮影への切り換え要求が発生したために、X線検出部105が透視撮影を終了し、一般撮影に切り換わった時刻を示す。透視撮影の終了は、X線検出部105が透視撮影の最後に撮影したX線画像を読出して、撮影制御部107へ読み出した画像を転送することにより終了する。また、時間Tf13はモード切り換え要求が発生した時刻T1から時刻T2までの時間を示し、撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間を示す。
時刻T3は、一般撮影に切り換わったので、一般撮影を行うための準備動作を開始した時刻を示す。図16において、前記リセット動作を1回行い、その処理時間Tpは約300ms程度であることを示す。また、時刻T2から時刻T3までの時間は、例えばX線検出部105の感度の切り換え等の処理を行うが、モード切り換えの時間と比較して、非常に短い時間である。
時刻T4はX線発生部104が一般撮影を行うための準備が完了した時刻を示し、時間Txは撮影モード切りえ要求が発生した時刻T1から時刻T4までの時間を示す。X線発生部104は一般撮影の準備が出来ると、一般撮影の準備が出来たことを撮影制御部107に伝える。また、図16において、X線発生部104は特許文献3で開示されているように、透視撮影から一般撮影に切り換える時に一般撮影用フィラメントの加熱立ち上がりの時間を短くした例を示している。
時刻T5はX線検出部105が透視撮影モードで発生した残像を消すための動作を終了して、一般撮影の準備が完了した時刻を示す。X線検出部105は一般撮影の準備が出来ると、一般撮影の準備が出来たことを撮影制御部107に伝える。
時刻T7はX線発生部104とX線検出部105が一般撮影の準備が出来たので、一般撮影のためのX線曝射を開始した時刻を示す。撮影制御部107はX線発生部104に対して、例えば一般撮影のためのX線曝射許可信号を出力し、X線発生部104はその信号を受け取ると一般撮影のためのX線曝射を開始する。そして、X線検出部105が一般撮影を行うための準備が完了した時刻T5からX線発生部104がX線を曝射した時刻T7まので時間は、モード切り換えの時間と比較して、非常に短い時間である。
時間Tsは一般撮影に切り換わった時刻T2からX線発生部104が一般撮影のためのX線曝射を開始した時刻T7までの時間を示し、前記リセット動作が1回の場合、前記時間Tsは前記時間Tpとほぼ同じ時間である。
時間Tm13は撮影モード切り換え要求指示が発生した時刻T1からX線発生部104が一般撮影のためのX線曝射をした時刻T7までの時間である。その後の一般撮影の処理は、上述の実施例で説明したとおりである。
図17は、図16と異なるタイミングでパルス透視撮影から一般撮影へ撮影モード切り換えが発した場合を示す。図17で用いている記号は図16で用いている記号と同じであるので説明を省略するが、新たに追加した時間Tf14、時間Tm14について説明する。図17の時間Tf14は撮影モード切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間を示し、時間Tm14は撮影モード切り換え要求が発生してから一般撮影のX線曝射を開始するまでの時間を示す。時間Tf14は時間Tf13と比較すると長い時間であり、一般撮影に切り換わってから一般撮影のX線曝射を開始するまでの時間Tsは図16と図17でほぼ同じである。そのため、時間Tm14は時間Tm13と比較すると長い時間であり、透視撮影から一般撮影へモード切り換え要求が発生するタイミングが異なると、透視撮影から一般撮影へ撮影モード切り換え時間が変化する。しかしながら、撮影制御部107は、透視撮影モードから静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動で、非撮影状態から静止画撮影モードに遷移する際の前記初期化駆動よりも、読み出しの繰返し周期が短く、かつ繰り返し回数を多くするよう制御する。これによりモード切り換え時間の変化が抑えられる。
図18は、図16又は図17と異なるタイミングでパルス透視撮影から一般撮影へモード切り換えが発した場合を示す。そして、図18は図16や図17と比べてフレームレートが高い場合を示し、フレームレートはパルスX線の曝射間隔で決まる。また、図18で用いている記号は図16で用いている記号と同じであるので説明を省略するが、新たに追加した時間Tf15、時刻T6、時間Ts15時間Tm15について説明する。
図18の時間Tf15はモード切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間を示し、図16の時間Tf13の時間と比較すると、時間Tf15の方が短い。すなわち、モード切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間が図16の場合と比較すると早い。また、図18において、時刻T5は前記リセット動作が終了した時刻を示すが、この時X線発生部はまだ一般撮影を行うための準備が出来ていない。この場合、撮影制御部107はX線曝射ができないために、X線検出部105に対して再度リセット動作を行うように指示する。時刻T6は2度目の前記リセット動作が終了した時刻を示し、この時X線発生部104は一般撮影の準備が終了しているので、時刻T7において一般撮影のためのX線曝射を開始する。
時間Ts15は時刻T2から時刻T7までの時間であり、2度目の前記リセット動作は1度目のリセット動作が終了すると直ぐに行うので、前記時間Ts15は前記時間Tpの約2倍の約600ms程度である。
時間Tm15は撮影モード切り換え要求が発生してから一般撮影のX線曝射を開始するまでの時間を示す。
そして、撮影モード切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間Tf15は時間Tf13と比較して短くなるが、一般撮影に切り換わってから一般撮影のためのX線曝射を開始するまでの時間Ts15は図16の時間Tsと比較して長くなる。その結果として、透視撮影から一般撮影へモード切り換え要求が発生するタイミングが異なると、透視撮影から一般撮影へのモード切り換え時間Tm15は時間Tm13と比較して変化する。また、同様の理由で、パルス透視撮影時のフレームレートが変化しても、パルス透視撮影から一般撮影へモード切り換え時間が変化する。
図19、図20、図21はパルス透視撮影から一般撮影へモード切り換えが発生した場合のタイミングチャートの一例であるが、透視撮影時のオフセット補正は特許文献2に記載された方式であり、1回のX線曝射に対して2回の電荷の読出しを行う場合を示している。また、一般撮影のオフセット補正は、X線曝射直後に読み出したデータから、予め取得しておいたX線を曝射しないで取得した一般撮影のデータを減算することにより得られる。
図19、図20、図21で用いている記号は図16で用いている記号と同じであるので説明を省略するが、新たに追加した記号を説明する。
IdはX線を曝射しない時の透視データの読出し、撮影モードの切り換え要求が発生してから透視撮影を終了するまでの時間は図19においては時間Tf16である。図20においては時間Tf17である。図21においては時間Tf18である。撮影モード切り換え要求が発生してから一般撮影のX線曝射を開始するまでの時間は図19においては時間Tm16である。図20においては時間Tm17、図21においては時間Tm18である。
また、撮影モードの切り換え要求(時刻T1)は、図19においてX線曝射後のデータの読出し(Ix)中に発生している。図20においてX線曝射後のデータの読出し(Ix)後のX線を曝射しない時の蓄積中に発生している。図21においてX線を曝射しない時のデータの読出し(Id)とX線検出部105から撮影制御部への画像の転送の両方を行っている最中に発生している。
そして、例えば透視撮影時のフレームレートFr=10の場合、図19、図20、図21から明らかなように、Tf16> Tf17> Tf18であり、Tm18> Tm16> Tm17である。また、特許文献2に記載されている場合のオフセット補正を行った場合でも、透視撮影から一般撮影へモード切り換え要求が発生するタイミングが異なると、透視撮影から一般撮影へのモード切り換え時間が変化する。
また、撮影制御部107が、特定のモード遷移処理時の初期化駆動で、非撮影状態から静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動よりも、読み出しの繰返し周期が短くなるように取得された撮影モードに基づき制御することができる。特定のモード遷移処理の初期化駆動とは、所定の撮影モードから静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動と、所定の撮影モードから動画撮影モードに遷移する際の初期化駆動である。
なお、上述の実施例1乃至6のとの組み合わせを考えると、種々の形態で実施することができる。第2実施例として図5に開示されるように、撮影制御部107は、所定の撮影モードが終了後、静止画撮影モードに遷移する際の初期化駆動前に、少なくとも特定の待機時間だけ待機し、その後に初期化駆動を実行する制御を行うことができる。また、撮影制御部107は、モード切り換え指示から所定の撮影モードが終了するまでの時間に応じて、特定の待機時間を決定する。
第5実施例として図13に開示されるように、現撮影モード終了前の遅延時間Tfや、実施例1乃至6に開示される現撮影モード終了後の待機時間Twを設定することとしてもよい。その場合、撮影制御部107は、所定の撮影モードから静止画撮影モードに遷移する際に、モード切り換え指示の後少なくとも特定の待機時間待機し、その後に初期化駆動を実行する制御を行う。また、撮影制御部107は、モード切り換え指示があった際の所定の撮影モードでの1単位の撮影を前記指示に応じて中断させる。
その他、実施例4乃至6と同様に待機をするか否かを設定情報に基づき選択する選択部を有することで、ユーザの望むようにモード遷移時間の変動抑制を優先させるか、モード遷移時間の短縮化を優先させるかを選択することができる。
その他、撮影制御部107は、実施例1乃至6と同様に待機時間を前記動画撮影モードでのフレームレートに応じて変更することとすれば、設定の手間を低減することができる。撮影制御部107は、モード切り換え指示があった際の所定の撮影モードでの1単位の撮影を前記指示に応じて中断させた後に初期化駆動を実行するか、該1単位の撮影を完了させた後に初期化駆動を実行するかを設定情報に応じて選択する。
<第8の実施例>
第8の実施例では、複数のモード遷移処理の少なくとも1つを選択する選択部を有している。ここでモード遷移処理の1つは、実施例1乃至6にて説明した透視撮影終了後の待機処理を実行する第一のモード遷移処理である。別の1つは、実施例4乃至6で説明した透視撮影終了前の待機処理を実行する第二のモード遷移処理である。また別の1つは、実施例7で説明した短いリセット駆動を実行する第三のモード遷移処理である。選択部は撮影制御部107の一機能として実装されている事とするが、撮影制御部107とは別のユニットとして実装されていても良い。本実施例に係るX線撮影システムは先述の実施例と同様であるため説明を省略する。
図22に従い本実施例に係る処理の流れを説明する。この処理は、例えば第一の撮影モードである動画撮影を行うことがX線撮影システムに設定されたタイミングで実行される処理である。なお、撮影中にフレームレートを変更する場合には、撮影制御部107はステップS401以下の処理をフレームレートが変更されるたびに実行する。
ステップS401で撮影制御部107は動画撮影に係るフレームレートの設定値を取得する。ステップS402で撮影制御部107はX線発生部104のモード遷移処理に要する時間(準備時間)を取得する。ここではモード遷移時間の平均値や公称値をメモリから取得する。ステップS403で撮影制御部107はユーザがモード遷移処理について予め設定した設定情報をメモリから取得する。
ステップS404で撮影制御部107の選択部は、X線発生部104の準備時間の変動が閾値より小さいか否かを判定する。変動が大きいと判定した場合には、変動を補償する遅延時間や待機時間が必要と判断し、ステップS405に進む。ステップS405で選択部は更に、フレームレートが閾値より小さいか、または設定情報を判定する。いずれかの条件に当てはまると判定した場合には、システム全体としてモード遷移の変動が大きいと判定し、ステップS406に進む。ステップS406で選択部はモード遷移処理を第一のモード遷移処理に設定する。ここで、第一のモード遷移処理は、実施例1乃至6に示す現撮影モード終了後の待機時間Twを設ける処理である。待機時間Twの設定は、実施例1乃至3のように計時によっても、実施例4乃至6のように状態検知によってもよい。これにより、撮影モード遷移の変動を補償することができる。
また、実施例1乃至3のように計時によるか、実施例4乃至6のように状態検知によるかをユーザの設定に応じて選択部が選択することができる。この場合、実施例1乃至3では現撮影モードの最終フレームのX線照射に対応するX線画像を撮影制御部107が取得し、表示部106に表示させることができる。実施例4ないし6の状態検知によれば、現撮影モードにおける1単位の撮影を中断してモード遷移させることができるため、モード遷移時間を短縮することができる。
一方でステップS405でフレームレートが比較的高く、または所定の設定情報があった場合には、ステップS407で第二のモード遷移処理を設定する。第二のモード遷移処理では、実施例4乃至6に開示される現撮影モード終了前の遅延時間Tfを設け、撮影モードを中断させる。これにより、撮影モード遷移の時間を抑えつつ、変動を抑えることができる。
一方S404でX線発生部104の準備時間の変動が小さい場合には、モード遷移に要する時間が短いと判定し、ステップS408に進む。ステップS408で選択部は、モード遷移処理を第三のモード遷移処理に設定する。第三のモード遷移処理では、実施例7に開示される短周期のリセット駆動(初期化駆動)を行う。これにより、初期化時間を短縮させることができるとともに、X線検出部105の初期化駆動の繰り返しに起因するモード遷移時間の変動を抑えることができる。なお本実施例では、3つのモード遷移処理からモード遷移処理を1つ選ぶこととしていたが、各モード遷移処理は排他的なものではないので、設定情報等に応じて複数選択することとしてもよい。また、実施例に示した3つの処理のうち2つのモードから1つを選択することとしてもよい。つまり、選択部は、第一の遷移モードと第二の遷移モードのすくなくともいずれを実行するかを選択する。ここで第一の遷移モードとは指示に応じて第一の撮影モードを終了させるとともに該指示から該終了までの時間に応じた待機時間を設ける遷移モードである。第二の遷移モードとは、指示があった時点での前記撮影システムの駆動状態に応じた待機時間の後に第一の撮影モードを終了させる遷移モードである。
以上の通り、パルス透視撮影から一般撮影への撮影モード切り換えが発生するタイミングや、パルス透視撮影時のフレームレート、X線発生部の撮影モード切り換えに要する時間が変化すると、パルス透視撮影から一般撮影へのモード切り換え時間が変化する。そして、撮影モードの切り換え時間が大きく変化すると、操作者が望んだタイミングで一般撮影できないという問題があった。操作者が望んだタイミングで一般撮影出来ないと、再度同じ撮影を繰り返す必要があり、その場合は被検者が浴びるX線線量が増えてしまう。
例えば、パルス透視撮影、連続透視撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つを第1撮影モードとする。一般撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つを第2撮影モードとしたとする。この場合、第1撮影モードから第2撮影モードへの切り換えが発生した場合、撮影モード切り換えのタイミングやフレームレートが変化すると、第1撮影モードから第2撮影モードへの切り換え時間が大きく変動する。そのため、操作者が望んだタイミングで第2の撮影モードで撮影できないという問題があった。上述の実施例では、第1撮影モードから第2撮影モードへの切り換えが発生した場合、撮影モードの切り換えが発生してから第1撮影モードを終了するまでの時間を測定する。そしてその測定した時間に応じて第2撮影モードに切り換わるまでの時間を調整する。これにより撮影モードの切り換えに要する時間変動を短くすることができ、操作者が望んだタイミングで第2撮影モードを撮影できる。
(その他の実施形態)
上述の実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば、被写体にX線を曝射するX線発生部と、被写体を透過したX線を検知して電荷を蓄積する複数の検出素子を有するX線検出部と、検出素子に蓄積された電荷を逐次読み出してX線画像を作成するX線画像作成部と、X線画像作成部で作成されたX線画像を装置制御部に転送する転送部と、装置制御部は受信したX線画像を表示する表示部を有するX線撮影装置を前提とする。このX線撮影装置において、X線撮影装置は第1撮影モードと第2撮影モードの撮影手段と、第1撮影モードから第2撮影モードへの撮影モード切り換え手段とを有する。さらに撮影モード切り換えが発生した時に、第1撮影モードが終了するまでの時間Tfを測定する第1撮影モード終了測定手段を有する。さらに、測定した時間Tfに応じて第2撮影モードに切り換わるまでの時間Twを調整する第2撮影モード開始調整手段を有する。
ここで第1撮影モードは、パルス透視撮影、連続透視撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つの撮影モードである。第2撮影モードは、一般撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つの撮影モードである。撮影モード切り換え部は、第1撮影モード中に撮影モード切り換え要求が発生した時に、第1撮影モードから第2撮影モードへのモード切り換えが発生したと判断する。第2撮影モード開始調整部は、X線発生部が第1撮影モードから第2撮影モードの曝射可能となるまでの時間Txを記憶する。第2撮影モード開始調整部は、時間Txの値を設定する部を有する。第2撮影モード開始調整部は、Tw=Tx−Tf−a*Ts (a≦1.0) が成り立つように待ち処理を入れる。ここで、測定時間Tf、X線が曝射可能となる時間Tx、第2撮影モードを行うための準備処理時間Ts、第1撮影モードから第2撮影モードに切り換わる時間を調整する待ち時間Twである。
第2撮影モード開始調整部は、少数aを第1撮影モードのフレームレート毎に持つ。撮影モード切り換え部は、第1撮影モード中にモード切り換え要求が発生した時に、X線発生部が第1撮影モード中に第2撮影モードの準備を行い、第2撮影モードの撮影準備が出来た時にモード切り換えが発生したと判断する。第2撮影モード開始調整部は、Tw=Tc−Tf− Tsが成り立つように待ち処理を入れる。ここでX線発生部が第1撮影モードから第2撮影モードへ切り換わる時間Tc、第2撮影モードを行うための準備処理時間Ts、第1撮影モードから第2撮影モードに切り換わる時間を調整する待ち時間Twである。第2撮影モード開始調整部は、時間Tcを第1撮影モードのフレームレート毎に持つ。撮影モード切り換え部は、第1撮影モードから第2撮影モードへ切り換えの準備処理中に、第1撮影モード時に生じた平面検出部内の残像を消す処理を少なくとも1回以上行う。残像を消す処理は、第2撮影モードの電荷を読み出す時間と等しいか、又は第2モードの電荷を読み出す時間より早い時間で行う。
また例えば、被写体にX線を曝射するX線発生部と、被写体を透過したX線を検知して電荷を蓄積する複数の検出素子を有するX線検出部と、検出素子に蓄積された電荷を逐次読み出してX線画像を作成するX線画像作成部と、X線画像作成部で作成されたX線画像を装置制御部に転送する転送部と、装置制御部は受信したX線画像を表示する表示部を有するX線撮影装置を前提とする。このX線撮影装置は第1撮影モードと第2撮影モードの撮影部と、第1撮影モードから第2撮影モードへの撮影モード切り換え部と、撮影モード切り換えが発生した時に、第1撮影モードのどの処理で発生したかを検知する撮影モードの切り換え発生検知部を有する。また発生部が検知した処理に応じて第1撮影モードが終了する処理を切り換える撮影モード終了処理部を有する。第1撮影モードは、パルス透視撮影、連続透視撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つの撮影モードである。第2撮影モードは、一般撮影、パルスシリアル撮影、連続シリアル撮影の中のどれか1つの撮影モードである。撮影モード切り換え部は、第1撮影モード中に撮影モード切り換え要求が発生した時に、第1撮影モードから第2撮影モードへのモード切り換えが発生したと判断する。
撮影モード切り換え発生検知部は、第1撮影モードの処理を、データの読出し処理、電荷の蓄積処理、画像の転送処理に分類し、撮影モード切り換えが発生した時に、第1撮影モードのどの処理で発生したかを検知する。撮影モード切り換え発生検知部は、撮影モード切り換えが発生した時に、電荷の蓄積処理とX線曝射処理の両方が起きている場合は、第1撮影モードの電荷の蓄積処理で発生したと判断する。撮影モード切り換え発生検知部は、撮影モード切り換えが発生した時に、電荷の蓄積処理と画像の転送処理の両方が起きている場合は、第1撮影モードの画像の転送処理で発生したと判断する。撮影モード切り換え発生検知部は、撮影モード切り換えが発生した時に、電荷の読出し処理と画像の転送処理の両方が起きている場合は、第1撮影モードの画像の転送処理で発生したと判断する。撮影モード終了処理部は、検知部がデータの読出し処理中に撮影モード切り換えを検知した場合、データ読出し処理後にTp=b*(Tt−Ta) (0.0≦b) で計算した時間Tpだけ待ち処理を行った後に第1撮影モードを終了する。ここで、Taは透視撮影時の画像の読出し時間、Ttは透視撮影時の画像の転送時間である。
撮影モード終了処理部は、検知部が電荷の蓄積処理中に撮影モード切り換えを検知した場合は、Ttは透視撮影時の画像の転送時間とした時、Tp=b*Tt (0.0≦b) で計算した時間Tpだけ待ち処理を行った後に第1撮影モードを終了する。撮影モード終了処理部は、検知部が画像の転送処理中に撮影モード切り換えを検知した場合は、画像の転送処理終了後に第1撮影モードを終了する。撮影モード切り換え部は、第1撮影モードから第2撮影モードへ切り換えの準備処理中に、第1撮影モード時に生じた平面検出部内の残像を消す処理を少なくとも1回以上行う。残像を消す処理は、第2撮影モードの電荷を読み出す時間と等しいか、又は第2モードの電荷を読み出す時間より早い時間で行う。撮影モード切り換え部は、第1撮影モードから第2撮影モードへ切り換わる時に、所定時間Twの待ち処理を行う。
上述の実施例ではX線撮影装置を例に説明したが、可視光やX線以外の放射線撮影システムであって、光または放射線を検出して画像を得る複数の撮影モードを実行可能な撮影システムの制御に本発明を適用してもよい。その場合、X線発生部104は放射線発生部に、X線検出部105は放射線検出部に置き換わる。X線や放射線など人体に影響を与える電磁波を用いた撮影システムでは、撮影のタイミングを把握することができることにより、誤撮影、再撮影を減らし、被写体の不要な被曝を低減することができる。
上述の実施例1乃至3において撮影制御部107の第一モード終了測定部108が時間を計測することとしていた。実施形態はこれに限らず、X線検出部105に第一モード終了測定部108の機能を実装し、X線検出部105内で計時することとすれば、通信遅延による影響を低減することができる。また、実施例4乃至6の遅延時間Tfや実施例1乃至6の待機時間TwをX線検出部105内で決定することすれば、通信遅延による影響を低減することができる。
上述の実施例4乃至6においてシステムの状態をX線検出部105から検出することとしていたが、X線発生部104の状態を取得し検出することとしてもよい。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、図2、図9、図15、図22に示す上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。