放射線の2次元画像検出器として、X線を感知して電荷を発生する光電変換層を行列状のTFT(薄膜トランジスタ)アレイの上に配置し、光電変換層で発生した電荷を複数の画素電極の各々に蓄積した後、各行ごとにTFTを順次オンにして画像データを読み出す平面型X線画像センサが知られている(例えば特許文献1参照)。
図20は、特許文献1に記載されている従来の2次元行列構造の画像センサの概略図である。この画像センサ48は、ガラス基板50の上に光電変換層54およびバイアス電極52が形成されて構成されている。ガラス基板50の光電変換層54側の面には、行列状に配置された画素61と、走査線(行線)G(j)(j=1,…,n,n+1,n+2,…,J;nは任意の整数、Jは2以上の整数)およびデータ線(読み出し線;列線)62が形成されている。各画素61は、画素電極56、蓄積容量Cpixel、およびTFT69から構成されている。そして、走査線G(j)およびデータ線62は、それぞれ走査駆動器64および読み出し回路66に接続されている。
画素電極56はTFT69を介してデータ線62に接続されており、TFT69のスイッチング動作は走査線G(j)から供給される信号により行われる。したがって、TFT69のソースは画素電極56に、TFT69のドレインはデータ線62に、TFT69のゲートは走査線G(j)にそれぞれ接続されている。
図21は、図20におけるA−A線矢視断面図である。絶縁膜58を介して画素電極56と対向する位置に対向電極(補助電極)60が形成されており、画素電極56との間で蓄積容量(画素容量)Cpixelを構成している。この対向電極60は、全画素61において共通の基準電位(Vref)となるように、図示しない蓄積容量(Cs)線に接続されている。
上記のような画像センサ48に、光子68(X線)がバイアス電極52側から入射すると、バイアス電極52を透過した光子68は、光電変換層54において電子と正孔の対を発生させる。ここで、バイアス電極52に正の電圧が印加されているときは正孔が、負の電圧が印加されているときは電子が、画素電極56側に移動し、光子68の入射位置に対応する位置にある画素電極56に達する。画素電極56に達した正孔または電子は、蓄積容量Cpixelにて保持される。
蓄積容量Cpixelにて保持された正または負の電荷(以下、信号電荷と称す)は、TFT18がオンとなることでデータ線62に流出し、データ線62に接続された読み出し回路66によってその電荷量が読み出される。
走査駆動器64が所定の一本の走査線G(j)にハイの信号を出力すると、その走査線G(j)に接続された全てのTFT69がオン状態となり、各蓄積容量Cpixelに保持されている信号電荷が対応するそれぞれのデータ線62に流出する。走査駆動器64が各走査線G(j)に順次ハイの信号を出力することで全ての画素電極56のデータが読み出され、一枚の画像データの読み出しが行われる。
上記従来のような画像センサ(2次元画像検出器)を用いた実際の撮像システムでは、画像センサのX線検出領域(画素61が存在する領域)の全体を画像取得に使わず、画像センサのX線検出領域の一部の領域のみを画像取得に用いる様態(以下、「部分読み出しモード」と称する)で動作可能なものも存在する(特許文献2参照)。この部分読み出しモードでは、例えば、図10に示すように、画像センサのX線検出領域の一部の領域である視野101のみを画像データの取得に使用し、視野外の領域102は画像データの取得に使用しない。
このような様態のときには、一枚の画像の取得時間が短くなるので、単位秒当たりの撮像速度を速くすることができる(単位秒当たりの画像の取得枚数を増やすことができる)。こうすることで、動きの速い被検部を画像センサで観測する場合(例えば、赤ちゃんの心臓の動きを観測する場合等)であっても、より正確に被検部を観測することが可能になる。
このような様態で上記従来の画像センサ48を使用した場合、視野外の領域102に存在する画素にも電荷が注入されるため、画素61の初期化(電荷の放出)を行う必要がある。画素の初期化(電荷の放出)を行わなければ、視野外の領域102に存在する画素61に電荷が蓄積されて漏れ電流が大きくなり、視野101内の画素61の画像データの読み出し値に誤差を与えてしまうことがあるからである。また、これが甚だしくなると、画素61に蓄積される電荷が大きくなりすぎて、TFT69を含めた画素61に不可逆的な損傷をもたらすことさえあるからである。
画素61の初期化をするには、TFT69をオンとして画素61に蓄積された電荷をデータ線62に逃がしてやる必要がある。
視野外の領域102に存在する画素61のTFT69を、視野101と同様に1行ずつ順次オンしてやれば、初期化は行える。しかしながら、そうした場合、初期化に要する時間が長くなり、読み出しを高速化する(単位秒当たりの画像の取得枚数を増やす)という目的は達成できなくなる。
そこで、従来の画像センサでは、読み出しを高速化するために、視野外の領域102に存在する画素61を一括して同時に初期化することが行われている。即ち、従来の画像センサでは、視野外の領域102に存在する画素61の行に対応する走査駆動器64(ゲートドライバ)の出力信号を全て同時にハイとして、当該行の画素61のTFT69を全て同時にオンにし、かくして視野外の領域102に存在する画素61の全てを同時に初期化すること(以下、「一括リセット」と称する)が行われている。
部分読み出しの様態を変更しない場合、すなわち、ある様態での画像取得をずっと続ける場合には、従来の画像センサでも不具合は生じない。しかし、従来の画像センサでは、画像を連続的に取得しつつ(被検部を観測しつつ)、視野101の領域(画像取得領域)を広くするように様態を変更した場合、視野101が広がった分に対応する領域の画素データが、様態の切り替え直後に正しい値とならず、取得される画像が本来の画像と異なる画像となってしまうという不具合が生じることがある。
本発明は、このような不具合を解消するためになされたものである。
従来の技術で不具合が生じる理由について、以下に詳細に説明する。
図14(a)に、視野101内のTFT69に対して走査駆動器64がオン信号を出力するタイミングを、図14(b)に、従来の一括リセット時に視野外の領域102に存在するTFT69に対して走査駆動器64がオン信号を出力するタイミングを、それぞれ示す。図14(a)は、視野101に存在する走査線G(n)〜G(n+4)の電位の変化を示し、図14(b)は、視野外の領域102に存在する走査線G(m)〜G(m+4)の電位の変化を示す。
図15(a)に、隣接する2つの走査線G(n+1)およびG(n+2)に挟まれた1つの画素61の周辺の模式図を示す。また、図15(b)に、駆動回路(読み出し回路)という観点から見た画素61の等価回路を示す。
図15(b)において、Cpixelは画素電極56と対向電極(Cs電極)60との間に形成された蓄積容量(画素容量)を、CgdはTFT69のゲート・ドレイン間容量を、Cgpは画素電極56と走査線(ゲート線)G(j)との間に形成された結合容量(寄生容量)をそれぞれ示す。これら3種類の容量Cpixel、Cgd、およびCgpのキャパシタンスを、それぞれCpixel、Cgd、およびCgpと表す。
結合容量Cgpは、1つの画素61につき、当該画素61の画素電極56と走査線G(n+1)との間に形成される結合容量Cgpと、当該画素61の画素電極56と次の行の走査線G(n+2)との間に形成される結合容量Cgpとの2つある。この2つの結合容量Cgpの大きさ(キャパシタンス)は、厳密には僅かに異なるが、一般にはその違いは僅かである。そのため、図15(b)および以下の説明では、上記の2つの結合容量Cgpの大きさ(キャパシタンス)が等しいものとみなしている。走査線G(j)は、画素電極56と画素電極56との間を通過するため、両側の画素電極56に対して寄生容量Cgpを持つ。
なお、厳密には、画素電極56とデータ線62との間に形成される寄生容量も存在するが、一般的な読み出し回路66を用いた場合には、データ線62が常に定電位にあるため、その寄生容量は、単に蓄積容量(画素容量)67の大きさ(キャパシタンス)Cpixelを大きくする要素として機能する。そのため、その寄生容量は、蓄積容量Cpixelに包含されているものとみなす。
図16(a)および(b)に、TFT69をオンした後でオフにしたときの、該等価回路における、TFT69がオフになる時点の前後での電荷の遷移関係を示す。図16(a)および(b)は、視野(画像読み取り領域)内に存在する画素61の状態を示している。
図16(a)は、走査線G(n+1)にゲートが接続されたTFT69をオンとして(このとき走査線G(n+2)にゲートが接続されたTFT69をオフとする)十分に時間が経過した後(TFT69をオフする直前)の等価回路の状態を示す。視野内では、画素61が1行ずつオン状態とされるので、オン状態の画素61に対して走査線G(j)を挟んで隣接する画素61は必ずオフ状態となる。すなわち、このとき、図示しない走査駆動器64(ゲートドライバ)が、走査線G(n+1)に対してTFT69をオンとする出力電圧VGHを出力する一方、走査線G(n+1)に隣接する走査線G(n+2)に対してTFT69をオフとする出力電圧VGLを出力している。したがって、図示されているように、TFT69が導通状態となっている。また、データ線62の電位は、基準電位Vrefに保たれている。
図16(a)に示すように、蓄積容量Cpixelに充電されている電荷を+Qpixel、ゲート・ドレイン間容量Cgdに充電されている電荷を+Qgd、画素電極56と走査線G(n+1)との間の結合容量Cgpに充電されている電荷を+Q1gp、画素電極56と走査線G(n+2)との間の結合容量Cgpに充電されている電荷を+Q2gpと定める。すると、これら4つの電荷について、下記式が成立する。
ここで、VGHは、TFT69のゲートをオンとする(TFT69をオンとする)ときの走査駆動器64(ゲートドライバ)の出力電圧、VGLは、TFT69のゲートをオフとする(TFT69をオフとする)ときの走査駆動器64(ゲートドライバ)の出力電圧を示す。また、この式では、Vrefは、0ボルト(GND電位)であるものとしている。
図16(b)は、その後、TFT69をオフとして十分に時間が経過した後(過渡状態を経過し終えて安定状態となった後)の等価回路の状態を示す。このとき、蓄積容量Cpixelに充電されている電荷を+Qpixel’、ゲート・ドレイン間容量Cgdに充電されている電荷を+Qgd’、画素電極56と走査線G(n+1)との間の結合容量Cgpに充電されている電荷を+Q1gp’、画素電極56と走査線G(n+2)との間の結合容量Cgpに充電されている電荷を+Q2gp’と定める。すると、これら4つの電荷について、下記式が成立する。
但し、Vpixelは、TFT69がオフとなった後の画素電極56の電位である。
TFT69のオン・オフの前後では、近似的に電荷保存側が成立するとみなせるので、次式が成立する。
これらの式から、次式が成立する。
すなわち、画素電極56の電位Vpixelは、TFT69のゲートがオン中にデータ線と同じ電位である0ボルトになるが、TFT69のゲートがオフすることにより(1)式であらわされる電位に遷移することになる。
なお、このとき、画素電極56に存在する電荷量は、次式で表される電荷量となる。
ところで、TFT69がオンするときには、TFT69がオフのときに画素電極56に存在する電荷量と等量で逆極性の電荷が画素電極56に注入される。そのため、結局、画素電極56の電位は、図18の実線のように変化する。なお、図18には、走査駆動器64(ゲートドライバ)の出力電圧の変化も併せて示している。光子68が光電変換層54に入射することによって電荷が発生するとき(画像データが存在するとき)には、この電位変化に、光電変換層54で発生する電荷による電位変化が加わることになる。
図17(a)(b)に、従来の方法(一括初期化)により視野外にある複数の画素61のTFT69をオンした後でオフしたときの、TFT69がオフになる時点の前後での電荷の遷移関係を示す。図16(a)および(b)に対する図16(a)および(b)の相違点は、走査線G(n+1)の次段の走査線G(n+2)の電位がVGLでなくVGHになっている点である。
図17(a)は、視野外にある複数の画素のTFT69を一括してオンとして十分に時間が経過した後(TFT69をオフする直前)の等価回路の状態を示す。図17(a)の状態では、下記式が成立する。
図17(b)は、その後、TFT69をオフとして十分に時間が経過した後(過渡状態を経過し終えて安定状態となった後)の等価回路の状態を示す。図17(b)の状態では、下記式が成立する。
先と同様に、TFT69のオン・オフの前後で電荷保存則が成立するとすれば、下記式が成立する。
これらの式から、下記式が成立する。
すなわち、下記式が成立する。
(3)式の第2項が、隣接行の画素61を同時に初期化することによって画素電極56に生じる引き込み電圧である。この引き込み電圧の分だけ、視野外の画素61の画素電極56の電位は、視野内の画素61の画素電極56の電位よりも低い(深い)。図18の破線に、このときの画素電位(画素電極56の電位)Vpixelを示す。
図18に示すように、視野外の画素61であっても視野内の画素61であっても、TFT69をオンしたときに画素電極56に生じる引き込み電荷と、TFT69がオフしたときに画素電極56に生じる引き込み電荷とは、逆極性で等量である。そのため、画素61が常に視野外あるいは視野内にあれば、TFT69がオフのときに画素電極56に注入された引き込み電荷は、TFT69がオンになったときにうち消される。
しかしながら、画像の読み取り途中で、部分読み出しモードから、全面読み出しモードあるいはより広い視野の部分読み出しモードに切り替えを行った場合には、TFT69がオフのときに注入された引き込み電荷が、TFT69がオンになったときにうち消されない。
図19に、画像の読み取り途中で視野領域が広げられた場合の視野領域の切り替え前後での画素電極56の電位の変動を示す。
視野外だった画素61の、視野領域切り替え前における画素電極56の電位は、式(3)で表される。
しかし、視野領域が切り替わって視野外だった画素61が視野内となった後、最初にTFT69がオンになったときに画素電極56に注入される電荷は、(2)式で表される電荷量と大きさは等しく逆極性(即ち正電荷)となるので、TFT69がオフのときに画素電極56に注入された電荷より小さくなる。言い換えると、TFT69がオンの時に、画素電極56の電位は、式(3)で表される電位から、式(1)の負号を取った電圧だけ上昇するので、その電圧上昇量は、TFT69がオフのときの電圧降下量より小さくなる。従って、画素電極56の電位は、図19の破線で示すように、基準電位Vrefまで戻らない(図中のAで示す部分)。すなわち、画素電極56の電位は、式(3)の第2項で表される電位までしか戻らない。したがって、この時の画素電極56の電位は、オフセット誤差Voffを含む電位であり、オフセット誤差Voffの分だけ本来の電位(基準電位Vref)より低い。
そのため、TFT69がオンの間に、画素電極56から負の電荷がデータ線62に流出し、読み取り回路66は、この流出した電荷も検出する。
すなわち、視野領域の切り替え直後に、直前まで視野外であった領域で検出される画像は、実際の画像にオフセットがかかった画像(オフセット誤差を含む画像)となってしまう。すなわち、上記従来の画像センサは、視野領域を広い視野領域に切り替えた直後に、得られる画像が一部(直前まで視野外であった領域に対応する部分)でオフセットがかかった不正確な画像となるという問題を有している。このオフセットは、画像に悪影響を与え、画像の視認性を劣化させる場合がある。
これが、従来技術で生じる解決すべき課題である。
また、検出器、特にX線検出器のような大面積の検出器には、遅滞またはラグと呼ばれる現象が存在する。これは、表示装置(ディスプレイ)における残像、または焼き付きに対応する現象であり、ある時点での画像が、以後の画像に残像として紛れ込む現象の総括的な呼称である。遅滞としては、例えば、光電変換層を原因とする遅滞、光電変換層とTFTアレイとの界面での何らかの物理現象を原因とする遅滞、読み出し回路に起因する遅滞、あるいはTFTアレイに起因する遅滞等がある。
上記従来の画像センサにおいて、部分読み出しモードから、全面読み出しモードあるいはより広い視野の部分読み出しモードに切り替えを行った際にも、先のオフセットは、切り替えた直後の一枚の画像に加わるだけではなく、上述した遅滞に起因して、それに続く複数の画像に対してもその大きさは小さくなりつつも加わる。そのため、オフセットが画像に悪影響を与え、画像の視認性を劣化させる場合がある。
また、特許文献1には、図20および図21に示す画像センサにおいて、読み取り中の画素から流出する信号電荷量にオフセットとして加わる漏れ電荷の総量を補正することにより、正確な信号電荷量を読み出すことを可能にすることが開示されている。しかしながら、このようなオフセット補正を行う構成は、回路構成が複雑である。また、オフセット補正を行ったとしても、上述したような、読み出し領域(視野)を広い読み出し領域に切り替えた後に発生するオフセットを完全にキャンセルすることはできない。
本発明は、上述したような、読み出し領域(視野)を広い読み出し領域に切り替えた後の画像にオフセットが発生することを抑制して、より正確な画像を取得することができ、かつ、画像の読み出しを高速化できる画像センサおよびその駆動方法、並びに走査駆動器を提供することを目的としている。
本発明の画像センサは、上記の課題を解決するために、入射する電磁波に対応した信号電荷を出力するための行列状に配された複数の画素と、特定の画素をオン状態にさせてその特定の画素から信号電荷を出力させるための選択手段とを備え、画像の読み取り範囲が変更可能である画像センサにおいて、上記選択手段が、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の画素をオン状態とすることでそれらの画素を初期化するものであり、上記選択手段が、上記初期化を、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の一部である複数行の画素を同時にオン状態とする第1の初期化と、画像の読み取り範囲外に存在する残りの行の画素をオン状態とする他の初期化とに分けて行うようになっていることを特徴としている。
上記構成によれば、画素の初期化を複数回に分けて行うことで、画像の読み取り範囲外における隣接する2つの行の画素の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせについては、隣接行の画素が同時にオンしない(一方の行の画素がオン状態であるときに隣接する行の画素がオフ状態となる)。これにより、同時にオンしない隣接行の画素については、画像の読み取り範囲外で初期化される時にも、画像の読み取り範囲内で画像取得に使用される時にも、オフ時に同じ引き込み電荷が注入される。そのため、画像の読み取り範囲が広がる方向に変更されて、それらの画素が、画像の読み取り範囲外から画像の読み取り範囲内に移ったとしても、それらの画素ではオフセット誤差が生じない。その結果、より正確な画像を取得することができる。
また、上記構成によれば、複数行の画素を同時に初期化することができるので、画像の読み取り範囲外に存在する画素を、画像の読み取り範囲と同様に1行ずつ順次オンする場合と比較して、初期化に要する時間を短縮することができる。したがって、画像の読み取りを高速化することができる。
なお、本発明では、視野外画素の初期化に要する時間は増加するものの、その増加する分の時間は、一枚の画像を読み取る期間に対して僅かであるため、全体の読み出し時間に与える影響は無視できるレベルである。
本願明細書において、画素のオン状態とは、画素がその内部に発生した信号電荷をその外部に出力する状態を指し、画素のオン状態とは、信号電荷の出力を停止する状態を指すものとする。
本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、上記第1の初期化によって同時にオン状態とされる複数行の画素が、互いに隣接しない複数行に含まれる画素であることが好ましい。
上記構成によれば、画像の読み取り範囲外の画素は、隣接行の画素が同時にオン状態とならない。これにより、画像の読み取り範囲外の画素にも画像の読み取り範囲内の画素にもオフ時に同じ引き込み電荷が注入される。そのため、画像の読み取り範囲が広がる方向に変更されて、画像の読み取り範囲外の画素が画像の読み取り範囲内に移ったとしても、オフセット誤差が生じない。その結果、正確な画像を取得することができる。
本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、上記選択手段が、上記初期化を、画像の読み取り範囲外に存在する複数の奇数行目の画素を同時にオン状態とする第1の初期化と、画像の読み取り範囲外に存在する複数の偶数行目の画素を同時にオン状態とする第2の初期化とに分けて行うようになっている構成であってもよい。
上記構成によれば、2回の初期化によって画像の読み取り範囲外に存在する全ての画素を初期化することができるので、画像の読み取り範囲外に存在する画素を、画像の読み取り範囲内に存在する画素と同様に1行ずつ(あるいは所定数行ずつ)順次オンする場合と比較して、初期化に要する時間を短縮することができる。したがって、画像の読み出しを高速化することができる。
本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、上記選択手段が、上記初期化を、画像の読み取り範囲外に存在する複数の(3n−2)行目(nは自然数)の画素を同時にオン状態とする第1の初期化と、画像の読み取り範囲外に存在する複数の(3n−1)行目の画素を同時にオン状態とする第2の初期化と、画像の読み取り範囲外に存在する複数の3n行目の画素を同時にオン状態とする第3の初期化とに分けて行うようになっている構成であってもよい。
上記構成によれば、3回の初期化によって画像の読み取り範囲外に存在する全ての画素を初期化することができるので、画像の読み取り範囲外に存在する画素を、画像の読み取り範囲内に存在する画素と同様に1行ずつ(あるいは所定数行ずつ)順次オンする場合と比較して、初期化に要する時間を短縮することができる。したがって、画像の読み出しを高速化することができる。
本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の画素が、所定行数ずつで組をなしており、上記第1の初期化によって同時にオン状態とされる複数行の画素が、互いに隣接しない複数の組に含まれる画素である構成であってもよい。
本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、上記電磁波がX線である構成であってもよい。
また、本発明の画像センサは、上記構成の画像センサにおいて、上記画素は、そのオン/オフを制御するためのスイッチング素子を含み、上記選択手段が、上記複数のスイッチング素子の制御端子に接続された複数の走査線と、特定の画素に設けられたスイッチング素子の制御端子に対して走査線を介して、そのスイッチング素子をオン状態にさせるオン信号を出力する走査駆動器とを含み、上記複数の走査線は、画素と画素との間を通過するように配設されている構成であってもよい。
本発明の走査駆動器は、上記の課題を解決するために、入射する電磁波に対応した信号電荷を出力するための行列状に配された複数の画素と、各画素のオン/オフを制御するために各画素に設けられた複数のスイッチング素子と、上記複数のスイッチング素子の制御端子に接続された複数の走査線とを備え、画像の読み取り範囲が変更可能である画像センサに使用され、特定の画素から信号電荷を出力させるために、その特定の画素に設けられたスイッチング素子の制御端子に対して走査線を介してそのスイッチング素子をオン状態にさせるオン信号を出力する走査駆動器において、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の画素に設けられたスイッチング素子の制御端子に対してオン信号を出力することでそれらの画素を初期化するようになっており、かつ、上記オン信号の出力を、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の一部である複数行の画素に設けられたスイッチング素子の制御端子に対して同時にオン信号を出力する第1の信号出力と、画像の読み取り範囲外に存在する残りの行の画素に設けられたスイッチング素子の制御端子に対して同時にオン信号を出力する第2の信号出力とに分けて行うようになっていることを特徴としている。
上記構成によれば、画像の読み取り範囲外に存在する画素の初期化のためのオン信号の出力を複数回に分けて行うことで、画像の読み取り範囲外における隣接する2つの行の画素の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせについては、隣接行の画素が同時にオンしない。これにより、同時にオンしない隣接行の画素については、画像の読み取り範囲が広がる方向に変更されて、それらの画素が画像の読み取り範囲外から画像の読み取り範囲内に移ったとしても、それらの画素ではオフセット誤差が生じない。その結果、より正確な画像を取得することができる。
また、上記構成によれば、複数行の画素を同時に初期化することができるので、画像の読み出しを高速化することができる。
本発明の画像センサの駆動方法は、上記の課題を解決するために、入射する電磁波に対応した信号電荷を出力するための行列状に配された複数の画素を備え、画像の読み取り範囲が変更可能である画像センサに対し、特定の画素をオン状態にさせてその特定の画素から信号電荷を出力させる、画像センサの駆動方法であって、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の一部である複数行の画素を同時にオン状態とすることでそれらの画素を初期化する第1ステップと、画像の読み取り範囲外に存在する残りの行の画素をオン状態とすることでそれらの画素を初期化する第2ステップとを含むことを特徴としている。
上記方法によれば、画素の初期化を複数回に分けて行うことで、画像の読み取り範囲外における隣接する2つの行の画素の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせについては、隣接行の画素が同時にオンしない。これにより、同時にオンしない隣接行の画素については、画像の読み取り範囲が広がる方向に変更されて、それらの画素が画像の読み取り範囲外から画像の読み取り範囲内に移ったとしても、それらの画素ではオフセット誤差が生じない。その結果、より正確な画像を取得することができる。
また、上記方法によれば、複数行の画素を同時に初期化することができるので、画像の読み出しを高速化することができる。
なお、上記駆動方法において、上記第1ステップでは、画像の読み取り範囲外に存在する互いに隣接しない複数の行に含まれる画素を同時にオン状態とするようになっていてもよい。
上記駆動方法において、第1ステップでは、画像の読み取り範囲外に存在する複数の奇数行目の画素を同時にオン状態とし、第2ステップでは、画像の読み取り範囲外に存在する複数の偶数行目の画素を同時にオン状態としてもよい。
上記駆動方法において、第1ステップでは、画像の読み取り範囲外に存在する複数の(3n−2)行目(nは自然数)の画素を同時にオン状態とし、第2ステップは、画像の読み取り範囲外に存在する複数の(3n−1)行目の画素を同時にオン状態とするステップと、画像の読み取り範囲外に存在する複数の3n行目の画素を同時にオン状態とするステップとを含んでいてもよい。
上記駆動方法において、画像の読み取り範囲外に存在する複数行の画素が、所定行数ずつで組をなしており、上記第1ステップでは、互いに隣接しない複数の組に含まれる画素を同時にオン状態とするようになっていてもよい。
以上のように、本発明によれば、画素の初期化を複数回に分けて行うことで、画像の読み取り範囲外における隣接する2つの行の画素の組み合わせのうち、少なくとも1つの組み合わせについては、画像の読み取り範囲外で初期化される時にも、画像の読み取り範囲内で画像取得に使用される時にも、オフ時に同じ引き込み電荷が注入される。そのため、それらの画素では、画像の読み取り範囲が広がる方向に変更されて、それらの画素が画像の読み取り範囲外から画像の読み取り範囲内に移ったとしても、オフセット誤差の発生を防止できる。その結果、より正確な画像を取得することができるという効果が得られる。
また、以上のように、本発明によれば、複数行の画素を同時に初期化することができるので、画像の読み取りを高速化することができるという効果が得られる。
〔画像センサの基本の説明〕
まず、以下に示す本発明の複数の実施の形態に係る画像センサに共通する基本構成について説明する。
各実施の形態に係る画像センサは、放射線の2次元画像検出器である。上記画像センサは、X線を感知して電荷を発生する光電変換層を行列状のTFTアレイの上に配置し、発生した電荷を各画素電極に蓄積した後、各行ごとにTFTを順次オンにして画像データを読み出す平面型X線画像センサである。
上記画像センサの構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、画像センサ1は、2次元行列構造の画像検出器であり、ガラス基板21の上に、光電変換層22及びバイアス電極23が形成されている構成である。
光電変換層22は、入射するX線に対応した信号電荷を発生させて蓄積容量C(後述する)に保持させるものであり、例えば非晶質セレン(以下a−Seとする)などで形成されている。さらに、バイアス電極23は、X線(電磁波)を透過する金属膜、例えば金の薄膜で形成されている。ガラス基板21の光電変換層22側の面には、行列状に配置された画素PIX(i,j)・・・、行方向と平行に延びる走査線(行)GL(j)・・・、および列方向と平行に延びるデータ線(列)DL(i)・・・が形成されている。各走査線GL(j)は1つの行に含まれる画素PIX(i,j)の全てに共通に接続されており、各データ線DL(i)は1つの列に含まれる画素PIX(i,j)の全てに共通に接続されている。各走査線GL(j)は、画素PIX(i,j)と画素PIX(i,j)との間を通過するように配設されている。各画素PIX(i,j)は、画素電極33、蓄積容量C(i,j)、およびスイッチ素子(スイッチング素子)SW(i,j)から構成されている。そして、各走査線GL(j)は走査駆動器(ゲートドライバ)3に接続されており、データ線DL(i)は読み出し回路4に接続されている。
画素電極33は、スイッチ素子SW(i,j)を介してデータ線DL(i)に接続されている。スイッチ素子SW(i,j)は、画素電極33とデータ線DL(i)との導通を制御するスイッチング動作を行い、それによって画素PIX(i,j)のオン/オフ(信号電荷を出力するか否か)を制御する。さらに、スイッチ素子SW(i,j)のスイッチング動作は、走査駆動器3から走査線GL(j)を介して、電圧が供給されることにより行われる。従って、スイッチ素子SW(i,j)が、一般的に用いられる薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)である場合、TFTのソースは画素電極33に、ドレインはデータ線DL(i)に、ゲートは走査線GL(j)にそれぞれ接続されることになる。
走査駆動器(ゲートドライバ)3は、特定の画素PIX(i,j)をオン状態にさせてその特定の画素PIX(i,j)から信号電荷を出力させるために、その特定の画素PIX(i,j)に設けられたスイッチ素子SW(i,j)の制御端子(スイッチ素子SW(i,j)がTFTである場合には、ゲート)に対して走査線GL(j)を介してそのスイッチ素子SW(i,j)をオン状態にさせるオン信号を出力するものである。本実施形態では、走査駆動器3およびGL(j)によって選択手段が構成されている。
次に、画像センサ1の断面構造を図2に基づいて説明する。なお、以下の説明では、スイッチ素子SW(i,j)としてTFTを用いたられているものとして説明する。
図2は、図1の画像センサにおけるA−A線矢視断面図である。画像センサ1には、ガラス基板21の上に、補助電極31および走査線GL(j)、絶縁膜32、画素電極33およびデータ線DL、光電変換層22、バイアス電極23が積層されている。これらのうち、補助電極31は、絶縁膜32を介して画素電極33と対向する位置に設けられており、画素電極33との間で蓄積容量Cを構成している。この補助電極31は、全画素PIX・・・・において共通の基準電位(Vref)となるように配線されている。また、バイアス電極23は、画素電極33に対して高電圧(例えば数千ボルト)を印加できるようになっている。
このような画像センサ1において、X線光子Pがバイアス電極23側から光電変換層22に入射すると、光電変換層22は、バイアス電極23を透過したX線光子Pから電子と正孔との対を発生させる。ここで、バイアス電極23に正の電圧が印加されているときは、上記正孔が画素電極33側に移動する。一方、バイアス電極23に負の電圧が印加されているときは、上記電子が画素電極33側に移動する。これにより、上記正孔又は電子は、X線光子Pの入射位置に対応する位置にある画素電極33に達する。さらに、画素電極33に達した上記正孔又は電子は、正又は負の電荷(以下、信号電荷とする)として蓄積容量Cに保持される。以上のようにして、X線光子Pの量に対応する信号電荷が蓄積容量Cに蓄積される。なお、以下の説明では、特に断らない限りバイアス電極23には負の電圧が印加されているものとして説明する。
上記画像センサは、X線検出領域(画素PIXが存在する領域)の全体を画像取得に用いる様態(全面読み出しモード)と、X線検出領域の全体を使わずに、X線検出領域の一部の領域である視野(画像の読み取り領域)101(図10参照)のみを画像取得(画像の読み取り)に用いる様態(部分読み出しモード)との両方で動作可能である。部分読み出しモードで動作するときには、一枚の画像の取得時間が短くなるので、単位秒当たりの撮像速度を速くすることができる(単位秒当たりの画像の取得枚数を増やすことができる)。こうすることで、こうすることで、動きの速い被検部を画像センサで観測する場合(例えば、赤ちゃんの心臓の動きを観測する場合等)であっても、全面読み出しモードより正確に被検部を観測することが可能になる。
視野101(図10参照)内の画素61(全面読み出しモードでは画素61の全て)に接続された複数本の走査線GLには、1本ずつあるいは隣接する所定本数ずつ順次、走査駆動器3から画素PIXのTFTをオン状態とするオン信号(この場合にはハイレベルの電圧)が出力される。ここで、走査駆動器3が所定の一本の走査線GLにハイレベルの電圧を出力するとすると、その走査線GLに接続されている全ての画素PIX・・・の各蓄積容量C・・・に保持されている信号電荷が、各画素PIX・・・に対応するそれぞれのデータ線DLに流出する。さらに、データ線DLに流出した信号電荷は、データ線DLに接続された読み出し回路4によってその電荷量が読み出される。このように、走査駆動器3が各走査線GL・・・に順次ハイレベルの電圧を出力し、読み出し回路4が全ての画素電極33に対応する信号電荷、即ちデジタル信号を読み出す。このようにして、1枚のデジタル画像データの読み出しが行われる。
また、画像センサ1が部分読み出しモードで動作しているときには、視野外の領域102にある画素PIXに接続された複数本の走査線GLには、1枚のデジタル画像データの読み出しが行われる前あるいは後の期間に、走査駆動器3から、画素PIXのTFTをオン状態とする信号(この場合にはハイレベルの電圧)が出力される。したがって、走査駆動器3から視野外の領域102に存在する複数行の画素PIXに設けられたTFTのゲートに対してオン信号が出力される。これにより、上記複数本の走査線GLに接続されている全ての画素PIX・・・の各蓄積容量C・・・に保持されている信号電荷が、各画素PIX・・・に対応するそれぞれのデータ線DLに流出する。このとき、読み出し回路4は、電荷量の読み出しを行わず、各蓄積容量C・・・に保持されている信号電荷を放電させる動作を行う。その結果、視野外の領域102にある画素PIX・・・が初期化される。
次に、画像センサ1に用いられる読み出し回路4について、図3に基づいて説明する。図3は、信号電荷がデジタルデータとして出力されるまでの1入力対応の読み出し回路4のブロック図である。読み出し回路4は、電荷感応増幅器(Charge Sensitive Amplifier;以下、「CSA」と略記する)41、主増幅器(Main Amplifier;以下、「MA」と略記する)42、サンプルホールド回路(Sample-and-Hold Circuit;以下、「S/H」と記す)43、マルチプレクサ44、アナログデジタル変換器(Analog-to-Digital Converter;以下、「ADC」と記す)45、およびラッチ回路(Latch Circuit;以下、「LC」と略記する)46がこの順で直列に接続された構成である。ここで、図3に示す読み出し回路4は、多数集積されていて、LSI(Large Scale Integrated circuit;大規模集積回路)を構成している。
また、画像センサ1には、制御回路5が設けられている。制御回路5は、CSA41、MA42、およびS/H43を制御するものであり、制御信号C_CSAをCSA41に、制御信号C_MAをMA42に、制御信号C_SHをS/H43にそれぞれ供給する。これら制御信号については後述する。
ここで、読み出し回路4の読み出し動作について説明する。まず、CSA41が、データ線DLから入力した信号電荷を読み出し、電圧を出力する。そして、CSA41から出力された電圧は、必要に応じてMA42で増幅され、S/H43にて標本化(サンプリング)されると共にデータ電圧として保持される。保持されたデータ電圧は、マルチプレクサ44を介してADC45に入力され、デジタル信号に変換される。変換されたデジタル信号は、LC46にて保持された後、出力端子OUTから外部に出力される。
なお、マルチプレクサ44は、1つのADC45に対して複数の入力端子INを割り当てる(すなわち、複数のデータラインDL、複数のCSA41、複数のMA42、および複数のS/H43を割り当てる)ことでADC45の数を削減するために用いるものであり、読み出し回路4に必須の要素ではない。したがって、例えば各入力端子INに1対1で対応する数のADC45を設ける場合、マルチプレクサ44は不要である。
次に、CSA41の基本的な構造について、図4の回路図に基づいて説明する。CSA41は、信号電荷の電荷量を電圧として読み出すための回路であり、演算増幅器41a、帰還容量Cf、および初期化スイッチ(リセットスイッチ)CSA_SWから構成される。演算増幅器41aの反転入力端子と出力端子とは、帰還容量Cfを介して接続されており、負帰還回路を構成している。また、帰還容量Cfと並列に初期化スイッチCSA_SWが接続されており、帰還容量Cfに蓄積された電荷を放電してリセット(初期化)することができる。さらに、演算増幅器41aの非反転入力は、基準電位Vref(GND=0)である基準電源Vref(この場合にはグラウンドGND)に接続されている。演算増幅器41aの反転入力には、データ線DLが接続されている。なお、ここでは基準電位VrefをGNDとしているが、特にGNDに限定されるものではない。
さらに、CSA41の読み出し動作を図5および図6に基づいて説明する。図5は、1画素あたりのPIX(TFT含む)、蓄積容量C、およびCSA41の等価回路図である。図6は、読み出し動作のタイミングチャート(C_GLおよびC_CSAの電位)およびCSA41の出力電位を表している。なお、図5で、CDLおよびRDLは、それぞれデータ線DLの容量および抵抗を表す。また、図5および6で、C_GLは、走査駆動器3から走査線GLに出力される信号であり、当該走査線GLの電位がハイとなるタイミングを表す。信号C_GLの電位がハイとなる期間に、TFTはオンとなる。信号C_GLは、その電位がハイである期間に、TFTをオンとするオン信号として機能する。C_CSAは、CSA41の初期化スイッチCSA_SWの制御信号である。該制御信号C_CSAがハイのときに、該初期化スイッチCSA_SWがオンとなり、CSA41は初期化される。
読み出し動作は、まず、制御信号C_CSAがハイとなり、初期化スイッチCSA_SWがオンになることで、開始される。初期化スイッチCSA_SWは、所定期間、オン状態に保持される。これにより、それ以前の動作で帰還容量Cfに蓄積されていた電荷が放電され、CSA41の出力電位は、基準電位Vref、すなわちGNDとなる。したがって、CSA41は初期化された状態となる。その後、制御信号C_CSAがローとなり、初期化スイッチCSA_SWがオフになる。
この後、図6のC_GLに示すように、走査駆動器3から走査線DLに対して、信号C_GLとしてハイレベルの電圧(オン信号)が出力され、これにより、TFTがオンになる。TFTがオンになると、蓄積容量Cに蓄積されていた信号電荷(−Q)がデータ線DLに流出する。そして、演算増幅器41aは、データ線DLに流出した信号電荷(−Q)が帰還容量Cfの入力側の電極(演算増幅器41aの反転入力と接続されている電極)に集まるよう動作する。その結果、帰還容量Cfの出力側の電極(演算増幅器41aの出力と接続されている電極)には、信号電荷と等量で逆極性の電荷(+Q)が発生する。したがって、その後にTFTがオフした後の期間(図6のB期間;信号C_GLがローとなった後、制御信号C_CSAがハイとなるまでの期間)において、CSA41の出力には、信号電荷と等量で逆極性である電荷(+Q)を帰還容量Cfのキャパシタンス値で割った電位が現れる。CSA41は、このようにして信号電荷を読み出し、電圧として出力することができる。
次に、MA42の詳細について説明する。MA42は、CSA41の出力電圧が小さい場合に、それ以降の回路が動作するのに十分な大きさの電圧範囲にまで、信号電圧を増幅するために設けられている。なお、一般的なX線撮影装置では静止画像撮影(撮影モード)が行われるが、この場合、照射X線の線量が十分に多い。したがって、画像センサ1を上記X線撮影装置に用いた場合、検出される電荷量も多く、CSA41から十分大きな信号電圧が出力されるため、MA42は必ずしも必要でない。しかし、動画像を得るための透視モードでは、長期間X線を照射し続ける必要がある。したがって、透視モードでは、X線の総照射量を抑えるために、撮影モードより2桁〜3桁ほど弱いX線が用いられている。具体的には、撮影モードでは、放射線強度が例えば30μR〜3mR程度のX線が照射されるが、透視モードでは、例えば0.1μR〜10uR程度のX線が照射される。これにより、透視モードでは、撮影モードと比べて、検出される信号電荷量が極めて少なく、CSA41は、十分量の信号電圧を出力することができない。そこで、上記透視モードのX線撮影装置に用いられる画像センサには、MA42が必要となる。なお、図3では、MA42を1つのブロックで表しているが、必要な増幅率を得るために2段以上の構成を用いても構わない。
ここで、読み出し回路4における、MA42の典型的な回路構成例を図7に示す。この例において、MA42は、1つの演算増幅器42aと容量(キャパシタ)C1およびC2とから構成される一段の反転増幅器となっている。MA42は、初期化スイッチ(リセットスイッチ)MA_SWをさらに備えている。演算増幅器42aの反転入力端子と出力端子とは、帰還容量C2を介して接続されており、負帰還回路を構成している。また、帰還容量C2と並列に初期化スイッチMA_SWが接続されており、帰還容量C2に蓄積された電荷を放電してリセット(初期化)することができる。さらに、演算増幅器42aの非反転入力は、基準電位Vref(GND=0)である基準電源Vref(この場合にはグラウンドGND)に接続されている。演算増幅器41aの反転入力には、容量C1を介してCSA41が接続されている。容量C1およびC2のキャパシタンスをそれぞれC1およびC2とすれば、MA42の増幅率Gは、G=−C1/C2となる。
次に、信号読み出し手順におけるサンプル・ホールドについて、図8および図9に基づいて説明する。図8は、読み出し回路4におけるCSA41およびMA42の回路構成と、S/H43とを示した回路図である。図9は、図8におけるCSA41およびMA42の出力電圧の変化、走査駆動器3の出力信号C_GL、並びに、CSA41、MA42、およびS/H43のそれぞれに入力される制御信号C_CSA、C_MA、およびC_SHを示すタイミングチャートである。ここで、S/H43は、その制御信号C_SHがハイレベルの期間に、MA42の出力電圧を標本化する。そして、S/H43は、制御信号C_SHがローレベルになってから次にハイレベルになるまで、その標本化した電圧を保持して出力し続ける回路である。なお、S/H43の回路構成そのものは、本発明とは直接には関係しないため、図ではブロックで表している。
まず、制御信号C_CSAおよびC_MAが同時にハイにされ、CSA41の初期化スイッチ(リセットスイッチ)CSA_SWとMA42の初期化スイッチ(リセットスイッチ)MA_SWとが同時にオンされる。その後、制御信号C_CSAをローにすることによりCSA41の初期化スイッチCSA_SWを先にオフとして、次に、制御信号C_MAをローにすることによりMAの初期化スイッチMA_SWをオフとする(期間P1)。これで、CSA41とMA42とが共に初期化される。
その後、走査駆動器3の出力信号C_GLがハイになる、すなわちTFTがオン状態になると、CSA41は、データ線DLから入力する信号電荷を電位として読み出し(期間P2)、信号電圧を出力する(期間P3)。さらに、この信号電圧は、MA42により増幅される。そして、期間P3内における、S/H43の制御信号C_SHがハイである期間(期間P4)に、MA42の出力した信号電圧が、S/H回路43により標本化される。標本化された信号電圧は、次に制御信号C_SHがハイレベルの出力になるまで、S/H回路43に保持され、S/H回路43から出力され続ける。その後、S/H回路43に保持されS/H回路43から出力された信号電圧は、S/H43の後段にあるADC45(図3参照)によりデジタル信号(デジタル画像データ)へと変換される。なお、図9のTsの期間(制御信号C_CSAおよびC_MAの電位がローからハイに遷移してから、次に制御信号C_CSAおよびC_MAの電位がローからハイに遷移するまでの期間)が、読み出し動作の1周期である。
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態に係る画像センサについて図11および図14(a)に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施形態に係る画像センサは、前項で説明した構成を備え、前項で説明した動作を行うものとする。
前述したように、上記のオフセット画像を生ずる現象は、視野外の領域102に存在する画素PIXの初期化を一括して行うことに起因している。より正確に言えば、隣接行の画素PIXを同時にオンすることに起因している。したがって、オフセット誤差を発生させないためには、「オンの画素に隣接する画素は常にオフ」の条件を常に保ち続けることが重要となる。
そこで、本実施形態および後述する実施の形態2の画像センサでは、隣接行の画素が同時にオンしないような組み合わせで複数行の画素を同時に初期化(リセット)する。
本実施形態の画像センサでは、図14(a)に示すのと同様に、視野101(図10参照)内の画素61(全面読み出しモードでは画素61の全て)に接続された複数本の走査線GLに対して、1本ずつ順次、走査駆動器3から画素PIXのTFTをオン状態とするオン信号(この場合にはハイレベルの電圧)が出力される。したがって、視野101にある画素PIXは、1行ずつ順次オン状態となる。
そして、本実施形態の画像センサでは、部分読み出しを行うときに、視野外の領域102に存在する画素PIXを1行おきに同時にオンする。すなわち、本実施形態の画像センサでは、部分読み出しを行うときに、視野外の領域102に存在する画素PIXの初期化(リセット)を偶数行と奇数行とに分割して2回で一括して行う。
より詳細には、視野外の領域102に存在する1行目、3行目、5行目、7行目、・・・の画素PIXを同時にオンすることで、これらの画素PIXを初期化する(このとき、2行目、4行目、6行目、8行目、・・・の画素PIXはオフにする)。視野外の領域102に存在する1行目、3行目、5行目、7行目、・・・の画素PIXをオフにしてから所定時間経過後に、視野外の領域102に存在する2行目、4行目、6行目、8行目、・・・の画素PIXを同時にオンすることで、これらの画素PIXを初期化する(このとき、1行目,3行目、5行目、7行目、・・・の画素PIXはオフにする)。言い換えると、本実施形態の画像センサでは、視野外の領域102に存在する複数行の画素PIXの初期化(走査駆動器3が画素PIXをオン状態とすることで画素PIXを初期化する処理)を、視野外の領域102に存在する複数の奇数行目の画素PIXを同時にオン状態とする第1の初期化と、視野外の領域102に存在する複数の偶数行目の画素PIXを同時にオン状態とする第2の初期化とに分けて行うようになっている。
この初期化方法は、走査駆動器3が、TFTをオン状態とするオン信号の出力を、視野外の領域102に存在する複数の奇数行目の画素PIXに設けられたTFTに対して同時にオン信号を出力する第1の信号出力と、視野外の領域102に存在する複数の偶数行目の画素PIXに設けられたTFTに対して同時にオン信号を出力する第2の信号出力とに分けて行うことによって実現できる。すなわち、走査駆動器3が、視野外の領域102に存在する画素PIXの初期化を行う期間に、例えば図11に示すタイミングでGL(j)の電位(走査駆動器3の出力電圧)を変化させることによって、上記初期化方法を実現できる。図11の例では、ハイレベルの期間における走査線GL(j)の電位が、オン信号に対応する。なお、ローレベルの期間における走査線GL(j)の電位が、オン信号に対応していてもよい。
以上のようにして、本実施形態の画像センサでは、視野外の領域102に存在する画素PIXの初期化を複数回(2回以上)に分けて行い、各回の初期化において、隣接行の画素PIXが同時にオンしないような組み合わせで複数行の画素PIXを同時にオンする(複数行の画素PIXに設けられたTFTのゲートに対して同時に走査駆動器3からオン信号を供給する)。
このように画像センサを駆動することにより、視野外の領域102においてオン状態となっている画素PIXの行に隣接する行の画素PIXは、必ずオフ状態となる。それゆえ、視野外の領域102での引き込み電圧、すなわち画素PIXがオンのときに画素電極56に電荷が注入されることによって起こる電圧の変化量は、式(1)で表される電位となり、視野101での引き込み電圧と等しくなる。すなわち、視野外の領域102にあるオフ状態の画素PIXに注入される引き込み電荷は、視野101にあるオフ状態の画素に注入される電荷と等しくなる。したがって、画素PIXがオフの状態で、視野101の領域が広がる方向に変更されて、視野外の領域102にある画素PIXが視野101内に移ったとしても、その画素PIXに注入された引き込み電荷は、オンになったときにうち消される。それゆえ、画素電極56の電位が基準電位Vrefに戻り、オフセット誤差が生じない。その結果、読み出し回路4で検出される電荷量がオフセット誤差を含まない正確な値となる。したがって、本実施形態の画像センサは、視野外の領域102から新たに視野101内に移った部分においても、正確な画像を取得することができる。
また、本実施形態の構成では、2回の初期化によって視野外の領域102に存在する画素PIXの全てを初期化することができるので、視野外の領域102に存在する画素PIXを、視野101と同様に1行ずつ順次オンする場合と比較して、初期化に要する時間を短縮することができる。したがって、画像の読み取りを高速化することができる。
なお、上記の説明では、奇数行目の画素PIXをオン状態とした後、偶数行目の画素PIXをオン状態としていたが、偶数行目の画素PIXをオン状態とした後、奇数行目の画素PIXをオン状態としてもよい。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態に係る画像センサについて図12および図14(a)に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施形態に係る画像センサは、〔画像センサの基本の説明〕の項で説明した構成を備え、〔画像センサの基本の説明〕の項で説明した動作を行うものとする。
本実施形態の画像センサでは、実施の形態1と同様に、視野101(図10参照)内の画素61(全面読み出しモードでは画素61の全て)に接続された複数本の走査線GLに対して、1本ずつ順次、走査駆動器3から画素PIXのTFTをオン状態とするオン信号(この場合にはハイレベルの電圧)が出力される。したがって、視野101にある画素PIXは、1行ずつ順次オン状態となる。
そして、本実施形態の画像センサでは、部分読み出しを行うときに、視野外の領域102に存在する画素PIXを2行おきに同時にオンする。
より詳細には、視野外の領域102に存在する1行目、4行目、7行目、・・・の画素PIXを同時にオンすることで、これらの画素PIXを初期化する(このとき、他の画素PIXはオフにする)。視野外の領域102に存在する1行目、4行目、7行目、・・・の画素PIXをオフにしてから所定時間経過後に、視野外の領域102に存在する2行目、5行目、8行目、・・・の画素PIXを同時にオンすることで、これらの画素PIXを初期化する(このとき、他の画素PIXはオフにする)。視野外の領域102に存在する2行目、5行目、8行目、・・・の画素PIXをオフにしてから所定時間経過後に、視野外の領域102に存在する3行目、6行目、9行目、・・・の画素PIXを同時にオンすることで、これらの画素PIXを初期化する(このとき、他の画素PIXはオフにする)。言い換えると、本実施形態の画像センサでは、視野外の領域102に存在する複数行の画素PIXの初期化を、視野外の領域102に存在する複数の(3n−2)行目(nは自然数)の画素PIXを同時にオン状態とする第1の初期化と、視野外の領域102に存在する複数の(3n−1)行目の画素PIXを同時にオン状態とする第2の初期化と、視野外の領域102に存在する複数の3n行目の画素PIXを同時にオン状態とする第3の初期化とに分けて行うようになっている。
この初期化方法は、例えば、走査駆動器3が、視野外の領域102に存在する画素PIXの初期化を行う期間に、例えば図12に示すタイミングでGL(j)の電位を変化させることによって、上記初期化方法を実現できる。図12の例では、ハイレベルの期間における走査線GL(j)の電位が、オン信号に対応する。なお、ローレベルの期間における走査線GL(j)の電位が、オン信号に対応していてもよい。
以上のようにして、本実施形態の画像センサでは、実施の形態1と同様に、視野外の領域102に存在する隣接行の画素PIXが同時にオンしないような組み合わせで複数行の画素PIXを同時にオンすることができる。
その結果、本実施形態の画像センサは、視野外の領域102から新たに視野101内に移った部分においても、正確な画像を取得することができる。
また、本実施形態の構成では、3回の初期化によって視野外の領域102に存在する画素PIXの全てを初期化することができるので、視野外の領域102に存在する画素PIXを、視野101と同様に1行ずつ順次オンする場合と比較して、初期化に要する時間を短縮することができる。したがって、画像の読み取りを高速化することができる。ただし、実施の形態1の方が、画像の読み取りをより高速化することができる。
なお、上記3回の初期化の順序は、図12に示す順序に限られるものではなく、任意に入れ替え可能である。
また、実施の形態1および2と同様に、視野外の画素の初期化を隣接行が同時にオンしないような組み合わせで、複数回(2回以上)に分けて行うものであれば、種々の変形が可能であり、実施の形態1および2と同様に正確な画像を取得することができる。例えば、1行目、5行目、9行目、・・・の画素の組、2行目、6行目、10行目、・・・の画素の組、3行目、7行目、11行目、・・・の画素の組、4行目、8行目、12行目、・・・の画素の組をそれぞれ同時にオンすることで初期化を行う構成が考えられる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態に係る画像センサについて図13に基づいて説明すると以下の通りである。なお、本実施形態に係る画像センサは、〔画像センサの基本の説明〕の項で説明した構成を備え、〔画像センサの基本の説明〕の項で説明した動作を行うものとする。
実施の形態1および2の画像センサでは、視野101では画素PIXが1行ずつ順次オン状態とされる構成(1×1モード)であり、視野外の領域102では、隣接する行の画素PIXが同時にオンしないように初期化を行う構成となっている。
しかしながら、本発明の画像センサは、画素PIXの行が隣接する所定数の行(例えば2行)ずつで組をなしており、視野101では各組の画素PIXが順次オン状態とされる構成である場合には、走査線GLが隣接するもの同士で所定本数(例えば2本)ずつで組をなしており、隣接する組が同時にオンしない構成であってもよい。すなわち、本発明の画像センサは、視野外の領域102に存在する画素PIXが所定行数ずつで組を形成し、視野外の領域102に存在する複数行の画素PIXの初期化を、互いに隣接しない複数の組に含まれる画素PIXを同時にオン状態とする第1の初期化と、他の組に含まれる画素PIXを同時にオン状態とする第2の初期化とに分けて行うものであってもよい。
このような構成の画像センサの一例を図13に基づいて説明する。
本実施形態の画像センサは、画素PIXの行が隣接する2行ずつで組をなしており、視野101では各組の画素PIXが順次オン状態とされる構成(2×2モード)である。すなわち、視野101(図10参照)内の画素61(全面読み出しモードでは画素61の全て)に接続された複数本の走査線GLに対して、2本ずつ順次、走査駆動器3から画素PIXのTFTをオン状態とするオン信号(この場合にはハイレベルの電圧)が出力される。したがって、視野101にある画素PIXは、2行ずつ順次オン状態となる。
そして、視野外の領域102では、画素PIXを2行飛ばしで初期化した後、飛ばした行の画素PIXを初期化するようになっている。画像センサは、視野外の領域102に存在する画素PIXが2行ずつで組を形成し、視野外の領域102に存在する複数行の画素PIXの初期化を、奇数番目の組に含まれる画素PIXを同時にオン状態とする第1の初期化と、偶数番目の組に含まれる画素PIXを同時にオン状態とする第2の初期化とに分けて行う。より詳細には、まず、1行目、2行目、5行目、6行目、9行目、10行目、・・・の画素PIXを一括してオンとして初期化し、次に、3行目、4行目、7行目、8行目、11行目、12行目、・・・を一括してオンとして初期化する。こうすることで、視野外の領域102においてオン状態となっている1組の画素PIXの行に隣接する1組の画素PIXは、必ずオフ状態となる。それゆえ、視野外の領域102での引き込み電圧、すなわち画素PIXがオンのときに画素電極56に電荷が注入されることによって起こる電圧の変化量は、視野101での引き込み電圧と等しくなる。したがって、画素PIXがオフの状態で、視野101の領域が広がる方向に変更されて、視野外の領域102にある画素PIXが視野101内に移ったとしても、その画素PIXに注入された引き込み電荷は、オンになったときにうち消され、オフセット誤差が生じない。その結果、本実施形態の画像センサは、視野外の領域102から新たに視野101内に移った部分においても、正確な画像を取得することができる。
また、上記構成では、視野101で画素PIXが2行ずつ順次オン状態とされる構成(2×2モード)であったが、視野101で画素PIXが1行ずつ順次オン状態とされる構成(1×1モード)であってもよい。この場合、1つの組を形成する複数の行(この場合には2行)の間ではオフセット誤差が発生するが、隣接する組の間ではオフセット誤差が発生しない。そのため、オフセット誤差を低減することができる。ただし、1×1モードの場合、実施の形態1または2の方が、オフセット誤差の発生を防止できるので、より好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、上述の説明では、画像センサがX線センサの場合について説明したが、本発明に係る画像センサは、電磁波の画像を検出できるものであれば、これに限るものではなく、CCD型撮像デバイスやMOS型撮像デバイス等の可視光画像センサ、赤外線センサ等であってもよい。
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
(1)2次元画像検出器を用いた撮像における該2次元画像検出器の制御方法であって、2次元画像検出器の一部の領域の画像を取得する態様において、該画像取得領域外の画素に充電された画素を放電させる際には、複数の行を同時に放電させると共に、該同時に放電させる行は互いに隣接しないように制御することを特徴とする、制御方法。
(2)視野外の画素の初期化を隣接行が同時にオンしないような組み合わせで、複数回(2回以上)に分けて行うことを特徴とする、X線センサにおける視野外画素の初期化方法。
(3)上記(2)の方法において、組み合わせが(1,3,5・・・)と(2,4,6・・・)である方法。
(4)上記(2)の方法において、組み合わせが(1,4,7・・・)、(2,5,8・・・)、(3,6,9・・・)である方法。