JP6322884B2 - 可変焦点距離レンズ、撮像装置、可変焦点距離レンズの調整方法 - Google Patents

可変焦点距離レンズ、撮像装置、可変焦点距離レンズの調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、部品精度および組立精度に起因するレンズの偏心による画像の片ボケを調整する手段を有する可変焦点距離レンズ、可変焦点距離レンズを有する撮像装置、及び可変焦点距離レンズの調整方法に関する。
従来、部品精度及び組立精度に起因するレンズの偏心による画像の片ボケを調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特開平6−174991号公報
しかしながら、従来の片ボケ調整方法を可変焦点距離レンズに適用した場合、片ボケを良好に補正できるのは調整に用いた焦点距離位置のみであり、それ以外の焦点距離位置では片ボケが残存するという問題があった。この問題は変倍比が大きくなると顕著になり、従来の片ボケ調整方法を適用しても、焦点距離位置によっては許容できないほどの片ボケが残存する。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、広角端から望遠端に亘る各焦点距離位置でいずれも良好に片ボケを補正し、良好な光学性能を達成する可変焦点距離レンズ、当該可変焦点距離レンズを有する撮像装置、及び可変焦点距離レンズの調整方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明では、
相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる複数のレンズ群と、
前記焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置を検出して該位置情報を出力する位置検出手段と、
前記複数のレンズ群のうち、最も像側に配置されたレンズ群内に配置され、光軸と直交方向に移動可能に保持され、像の片ボケを調整するための補正レンズ群と、
該補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動手段と、
前記位置検出手段及び前記移動手段と通信可能な記憶手段と、を有し、
該記憶手段が、前記位置検出手段の出力に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、
前記移動手段が、前記移動量を規定する情報に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることを特徴とする可変焦点距離レンズを提供する。
また、本発明は、前記可変焦点距離レンズを備えることを特徴とする撮像装置を提供する。
さらに、上記課題を解決するために本発明では、
相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる複数のレンズ群と、
前記焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置を検出して該位置情報を出力する位置検出手段と、
前記複数のレンズ群のうち、最も像側に配置されたレンズ群内に配置され、光軸と直交方向に移動可能に保持され、像の片ボケを調整するための補正レンズ群と、
該補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動手段と、
前記位置検出手段及び前記移動手段と通信可能な記憶手段と、を有する可変焦点距離レンズの調整方法であって、
前記記憶手段が、前記位置検出手段の出力に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、
前記移動手段が、前記移動量を規定する情報に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることを特徴とする可変焦点距離レンズの調整方法を提供する。
本発明によれば、広角端から望遠端に亘る各焦点距離位置でいずれも良好に片ボケを補正し、良好な光学性能を達成する可変焦点距離レンズ、当該可変焦点距離レンズを有する撮像装置、及び可変焦点距離レンズの調整方法を提供することができる。
第1実施例ないし第3実施例に係る可変焦点距離レンズのレンズ構成を示す図である。 第1実施例ないし第3実施例に係る可変焦点距離レンズに偏心誤差が発生しなかった場合の無限遠合焦状態でのd線(λ=587.6nm)に対する諸収差図である。(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態を示す。 第1実施例ないし第3実施例に係る可変焦点距離レンズに偏心誤差が発生した一例における無限遠合焦状態でのd線(λ=587.6nm)に対するコマ収差図である。(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態を示す。 第1実施例ないし第3実施例に係る可変焦点距離レンズに偏心誤差が発生した状態から、第2のレンズ群の位置を光軸と直行方向に移動させることによって結像性能を補正した可変焦点距離レンズの無限遠合焦状態でのd線(λ=587.6nm)に対するコマ収差図である。(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態を示す。 第1実施例に係る可変焦点距離レンズの断面構成図である。 第2実施例に係る可変焦点距離レンズの断面構成図である。 第3実施例に係る可変焦点距離レンズを有する撮像装置の断面構成図である。 本願の実施形態に係る可変焦点距離レンズを搭載した撮像機器の一例を示す断面図である。
以下、本願の実施形態に係る可変焦点距離レンズ、当該可変焦点距離レンズを有する撮像装置、及び可変焦点距離レンズの調整方法について説明する。なお、以下の実施の形態は、発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本願発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等を施すことを排除することは意図していない。
本実施形態に係る可変焦点距離レンズは、相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる複数のレンズ群と、前記焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置を検出して該位置情報を出力する位置検出手段と、光軸と直交方向に移動可能に保持された補正レンズ群と、該補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動手段と、前記位置検出手段及び前記移動手段と通信可能な記憶手段と、を有し、該記憶手段が、前記位置検出手段の出力に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、前記移動手段が、前記移動量を規定する情報に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる構成である。このような構成とすることで、広角端から望遠端に亘る各焦点距離位置でいずれも良好に片ボケを補正し、良好な光学性能を達成することができる。
前記位置検出手段は、焦点距離によって光軸方向の位置が異なるレンズ群の位置を検出する構成である。また、焦点距離によって光軸方向の位置が異なる前記レンズ群は、最も物体側に配置されたレンズ群である。あるいは、焦点距離の変化に応じて回転移動するレンズ鏡筒部材を有し、前記位置検出手段は、前記レンズ鏡筒部材の回転方向の位置を検出する構成である。あるいは、本実施形態に係る可変焦点距離レンズは、焦点距離の変化に応じて直進移動するレンズ鏡筒部材を有し、前記位置検出手段は、前記レンズ鏡筒部材の直進方向の位置を検出する構成である。このような構成とすることで、前記補正レンズの移動量を規定する情報の基礎となる位置情報を正確に検出することができる。
前記記憶手段は、前記可変焦点距離レンズの焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置に対応した、前記補正レンズ群の光軸と直交方向の移動量を規定する情報を記憶している。この移動量は、前記可変焦点距離レンズの片ボケを調整するための移動量であり、本実施形態に係る可変焦点距離レンズは、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に、この移動量を移動させることにより、可変焦点距離レンズの片ボケを補正する。これにより、焦点距離に応じて補正レンズ群を適量移動させることができる。
前記補正レンズ群は、相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる前記複数のレンズ群のうち、最も像側に配置されたレンズ群内に配置されている。
前記補正レンズ群の光軸と直交方向の移動量を規定する情報は、レンズ組立後に性能検査を行い、測定された片ボケ量を元に算出されたものである。したがって、本実施形態に係る可変焦点距離レンズを量産する場合には、前記記憶手段に記憶された前記第2のレンズ群の光軸と直交方向の移動量は、各レンズの組立後の性能検査によって測定された片ボケ量を元に算出し、レンズ個体毎に記憶する。これにより、レンズ固体毎にばらつきのある片ボケの調整をレンズ固体に合わせて行うことが可能となる。
本実施形態に係る可変焦点距離レンズは、マウント部材を有し、前記マウント部材を介してカメラボディに着脱可能な構成である。あるいは、本実施形態に係る可変焦点距離レンズを一体に有する撮像装置とすることもできる。
本実施形態に係る可変焦点距離レンズは、以上のような構成をしており、前記位置検出手段の出力に応じて、前記記憶手段が、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、前記移動量を規定する情報に応じて、前記移動手段が、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることによって調整を行う。これにより、各焦点距離位置に応じた調整となる。
以下に、本実施形態に係る第1実施例ないし第3実施例について図面を参照しつつ説明する。第1実施例ないし第3実施例に係る可変焦点距離レンズは、光学系の構成が共通しているため、共通する説明をここでまとめて行う。
図1は第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズのレンズ構成を示す断面図である。図1に示すように、第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズのレンズ構成は、物体側から順に、レンズ群Aと、レンズ群Bと、レンズ群Cとからなり、レンズ群Aは正の屈折力を有し、レンズ群Bは負の屈折力を有し、レンズ群Cは正の屈折力を有し、レンズ群Aは焦点距離を変化させるために光軸方向に移動可能な第1のレンズ群G1を有し、レンズ群Cは、補正レンズ群として、光軸と直交方向に移動可能な第2のレンズ群G2を有する。
広角端から望遠端への焦点距離の変更に際しては、レンズ群Aが光軸上を物体方向に移動し、レンズ群Bは光軸上を前後に移動し、レンズ群Cは光軸上を物体方向に移動する。絞りSはレンズ群Cの内部に配置され、レンズ群Cと一体で移動する。
像面Iは不図示の撮像素子上に形成され、該撮像素子はCCDやCMOS等から構成される。
以下の表1に第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズの緒元値を掲げる。表中の(面データー)において、物面は物体面、面番号は物体側からの面の番号、rは曲率半径、dは面間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数、(絞り)は虹彩絞りS、像面は像面Iをそれぞれ表している。「r=∞」は、平面を示す。nd=1.000000は、記載を省略している。
(各種データー)において、fは焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角、Yは像高、TLはレンズ全長、d5,d12は可変間隔、Bfはバックフォーカスを示している。
(レンズ群データー)は、各レンズ群の始面番号、終面番号とレンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。
なお、以下の全ての諸元値において、掲載されている焦点距離f、曲率半径r、面間隔dその他の長さ等は、特記の無い場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されることなく他の適当な単位を用いることもできる。
(表1)
(面データー)
面番号 r d nd νd
物面 ∞ ∞
1 488.9718 3.3835 1.516330 64.14
2 -488.9718 16.2797
3 76.1441 2.5000 1.761821 26.52
4 51.0262 8.4922 1.487490 70.23
5 -378.7672 (d5)

6 -520.5829 1.4000 1.772499 49.60
7 123.2032 1.6021
8 -145.0841 1.4000 1.772499 49.60
9 29.4470 4.2233 1.846660 23.78
10 169.1358 2.3999
11 -54.6401 1.4000 1.772499 49.60
12 1507.8913 (d12)

13 202.4326 3.4513 1.733997 51.47
14 -72.4862 0.2000
15 56.1920 5.8531 1.496999 81.54
16 -42.7697 1.4000 1.800999 34.97
17 193.4490 0.2000
18 29.6360 5.3163 1.603112 60.64
19 452.5490 11.1373
20(絞り) ∞ 1.0000
21 169.3327 1.3000 1.846660 23.78
22 30.1311 3.0243 1.487490 70.23
23 164.5198 3.0000
24 38.4141 2.6945 1.805181 25.42
25 -137.0277 1.2000 1.804398 39.59
26 24.7600 3.0000
27 35.3599 3.4737 1.672700 32.10
28 -38.3014 1.6527
29 -22.9795 1.2000 1.772499 49.60
30 2580.5587 (Bf)
像面 ∞

(各種データー)
f 69.90016 134.90000 294.00001
FNO 3.94752 4.31088 5.75647
2ω 23.39 11.94 5.58
Y 14.10 14.10 14.10
TL 174.998 201.537 228.951
d5 2.00000 33.75986 46.81219
d12 31.20261 19.04646 2.00000
Bf 49.61370 56.54683 87.95478

(レンズ群データー)
群 始面 終面 焦点距離
レンズ群A 1 5 127.758
第1のレンズ群G1 1 2 474.066
レンズ群B 6 12 -31.484
レンズ群C 13 30 36.386
第2のレンズ群G2 24 26 -99.481
図2は、製造時の偏心誤差が発生しなかった場合の第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズの無限遠合焦状態でのd線(λ=587.6nm)に対する諸収差図を示し、図2(a)は広角端状態、図2(b)は中間焦点距離状態、図2(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以降に示す諸収差図においては、同様の符号を用い、説明は省略する。
図3は、第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズに偏心誤差が発生した一例の無限遠合焦状態でのd線(λ=587.6nm)に対するコマ収差図を示し、図3(a)は広角端状態、図3(b)は中間焦点距離状態、図3(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。図2と図3のコマ収差図を比較すると、製造時の偏心誤差、あるいは、変倍時の各レンズ群の移動に伴う各レンズ群の偏心状態の変化により、各焦点距離状態で異なる片ボケ量が発生しているため、1箇所の焦点距離位置を基準としてレンズ群の位置を修正しただけでは、広角端から望遠端に亘る全焦点距離範囲で片ボケを修正することはできない。
図4は、第1実施例から第3実施例に係る可変焦点距離レンズにおいて、偏心誤差が発生した状態から、第2のレンズ群G2の位置を、光軸と直交方向に焦点距離毎に異なる量を移動した場合のコマ収差図を示し、図4(a)は広角端状態、図4(b)は中間焦点距離状態、図4(c)は望遠端状態をそれぞれ示す。図2、図3、図4のコマ収差図を比較すると、図4では偏心誤差による片ボケが全焦点距離に亘り良好に補正されていることがわかる。
以下の表2に、可変焦点距離レンズの焦点距離に対する第2のレンズ群G2の光軸と直交方向の移動量を示す。
(表2)
f 第2のレンズ群G2の光軸と直交方向の移動量(単位:mm)
69.90016 -0.25
134.90000 +0.15
294.00001 +0.29
以下、第1実施例ないし第3実施例の間で相違する点について、実施例毎に説明する。
(第1実施例)
第1実施例に係る可変焦点距離レンズ2の構成について図5を用いて説明する。図5は本第1実施例の構成を示す断面構成図(模式図)である。
図5に示すように、本第1実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、外筒部材3、カム筒部材4、マウント部材5、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを有し、マウント部材5は外筒部材3に固定され、外筒部材3とカム筒部材4にはカム溝が形成され、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cはカムピン9、10、11を介して、外筒部材3とカム筒部材4に係合し、光軸方向の位置決めがなされる。また、カム筒部材4を回転することでレンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを光軸方向に移動し焦点距離を変化させる。レンズ群Aには第1のレンズ群G1が固定され、レンズ群Cには第2のレンズ群G2が光軸と直交方向に移動可能に保持されている。
本第1実施例においては、焦点距離変更時における第1のレンズ群G1の光軸方向の位置を位置検出手段6で検出し、検出された第1のレンズ群G1の位置に応じて、記憶手段7は第2のレンズ群G2の光軸と直交方向の移動量を規定する情報を出力し、移動手段8は提供された移動量を規定する情報に応じて、第2のレンズ群G2を光軸と直交方向に移動させる。
本第1実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、マウント部材5を介して、不図示のカメラボディに着脱可能な構成である。
本第1実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、各レンズおよび各レンズ群に偏心誤差が生じると、偏心収差が発生し、片ボケをもたらすが、製造時に第1のレンズ群G1の位置に応じた第2のレンズ群G2の光軸に直交方向の移動量を求め、移動量を規定する情報を記憶手段7に記録しておくことで、図4に示す様に偏心誤差による片ボケを、広角端から望遠端までの焦点距離全域にわたって良好に補正することができる。
(第2実施例)
第2実施例に係る可変焦点距離レンズ2の構成について図6を用いて説明する。図6は第2実施例の構成を示す断面構成図(模式図)である。図6において第1実施例に係る可変焦点距離レンズ2と対応する部分には、第1実施例と同じ符号を用いている。図6に示すように、本第2実施例に係る可変焦点距離レンズ2は外筒部材3、カム筒部材4、マウント部材5、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを有し、マウント部材5は外筒部材3に固定され、外筒部材3とカム筒部材4にはカム溝が形成され、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cはカムピン9、10、11を介して、外筒部材3とカム筒部材4に係合し、光軸方向の位置決めがなされる。また、カム筒部材4を回転することでレンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを光軸方向に移動し焦点距離を変化させる。レンズ群Aには第1のレンズ群G1が固定され、レンズ群Cには第2のレンズ群G2が光軸と直交方向に移動可能に保持されている。
本第2実施例においては、焦点距離変更時におけるカム筒部材4の回転方向の位置を位置検出手段12で検出し、検出されたカム筒部材4の回転方向の位置に応じて、記憶手段7は第2のレンズ群G2の光軸と直交方向の移動量を規定する情報を出力し、移動手段8は提供された移動量の規定する情報に応じて、第2のレンズ群G2を光軸と直交方向に移動させる。なお、カム筒部材4が、焦点距離変更時に光軸に沿って直進移動するものにあっては、位置検出手段には、直進方向の位置を検出する構成としてもよい。
本第2実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、マウント部材5を介して、不図示のカメラボディに着脱可能な構成である。
本第2実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、各レンズおよび各レンズ群に偏心誤差が生じると、偏心収差が発生し、片ボケをもたらすが、製造時にカム筒部材4の回転方向の位置に応じた第2のレンズ群G2の光軸に直交方向の移動量を求め、移動量を規定する情報を記憶手段7に記録しておくことで、図4に示す様に偏心誤差による片ボケを、広角端から望遠端までの焦点距離全域にわたって良好に補正することができる。
(第3実施例)
第3実施例に係る可変焦点距離レンズ2の構成について図7を用いて説明する。図7は第3実施例の構成を示す断面構成図(模式図)である。図7において第1実施例及び第2実施例に係る可変焦点距離レンズ2と対応する部分には、第1実施例及び第2実施例と同じ符号を用いている。図7に示すように、第3実施例は外筒部材3、カム筒部材4、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを有し、外筒部材3とカム筒部材4にはカム溝が形成され、レンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cはカムピン9、10、11を介して、外筒部材3とカム筒部材4に係合し、光軸方向の位置決めがなされる。また、カム筒部材4を回転することでレンズ群A、レンズ群B、レンズ群Cを光軸方向に移動し焦点距離を変化させる。レンズ群Aには第1のレンズ群G1が固定され、レンズ群Cには第2のレンズ群G2が光軸と直交方向に移動可能に配置されている。
本第3実施例においては、焦点距離変更時におけるレンズ群Aの光軸方向の位置を位置検出手段13で検出し、検出されたレンズ群Aの光軸方向の位置に応じて、記憶手段7は第2のレンズ群G2の光軸と直交方向の移動量を規定する情報を出力し、移動手段8は提供された移動量に応じて、第2のレンズ群G2を光軸と直交方向に移動させる。
本第3実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、カメラボディ14に固定されており、カメラボディ14は撮像素子(像面I)と、フィルター部材15を有する構成である。
第3実施例に係る可変焦点距離レンズ2は、各レンズおよび各レンズ群に偏心誤差が生じると、偏心収差が発生し、片ボケをもたらすが、製造時にレンズ群Aの光軸方向の位置に応じた第2のレンズ群G2の光軸に直交方向の移動量を求め、移動量を規定する情報を記憶手段7に記録しておくことで、図4に示す様に偏心誤差による片ボケを、広角端から望遠端までの焦点距離全域にわたって良好に補正することができる。
なお、上記各実施例は、本願発明の一具体例を示すものであり、本願発明はこれに限定されるものではない。
以下の内容は、本願の可変焦点距離レンズの光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
本願の可変焦点距離レンズの数値実施例として3群構成のものを示したが、本願発明はこれに限られず、その他の群構成(例えば、4群等)の光学系を構成することもできる。具体的には、本願の光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、本明細書、及び特許請求の範囲において、レンズ群とは、空気間隔で分離された少なくとも1つのレンズを有する部分をいう。
また、本願の可変焦点距離レンズは、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向に移動させる構成としてもよい。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
また、本願の可変焦点距離レンズにおいて、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、手ブレ等によって生じる像ブレを補正する構成とすることもできる。
また、本願の可変焦点距離レンズを構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び加工調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。
レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成形したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
また、本願の可変焦点距離レンズにおいて開口絞りSは、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願の可変焦点距離レンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透明率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
図8は、本実施形態に係る可変焦点距離レンズ2を搭載した光学装置21(一眼レフカメラ)の概略構成図である。
図8において、不図示の被写体からの光は、本可変焦点距離レンズ2で集光され、クイックリターンミラー22で反射されて焦点板23に結像される。焦点板23に結像された被写体像は、ペンタプリズム24で複数回反射されて接眼レンズ25を介して撮影者に正立像として観察可能に構成されている。
撮影者は、不図示のレリーズ釦を半押ししながら接眼レンズ25を介して被写体像を観察して撮影構図を決めた後、レリーズ釦を全押しする。レリーズ釦を全押しした時、クイックリターンミラー22が上方に跳ね上げられ被写体からの光は撮像素子26で受光され撮像画像が取得され、不図示のメモリに記録される。
このようにして、本実施形態に係る可変焦点距離レンズ2を具備する光学装置21であるカメラが構成されている。なお、図8に記載のカメラ21は、第1実施例及び第2実施例のような可変焦点距離レンズ2を着脱可能に保持するいわゆる一眼レフカメラでも良く、第3実施例のように可変焦点距離レンズ2と一体に成形されるいわゆるミラーレスカメラでも良い。
ここで、本カメラ21に撮影レンズ2として搭載した本実施形態に係る可変焦点距離レンズ2は、上述したようにその特徴的な構成によって、広角端から望遠端に亘る各焦点距離位置でいずれも良好に片ボケを補正し、良好な光学性能を実現している。これにより本カメラ21は、片ボケが補正され、高性能なものとなっている。
以上のように、本発明によれば、広角端から望遠端に亘る各焦点距離位置でいずれも良好に片ボケを補正し、良好な光学性能を達成する可変焦点距離レンズ、可変焦点距離レンズを有する撮像装置、及び可変焦点距離レンズの調整方法を提供することができる。
A、B、C レンズ群
G1 第1のレンズ群
G2 第2のレンズ群
I 像面
S 絞り
2 可変焦点距離レンズ
3 外筒部材
4 カム筒部材
5 マウント部材
6、12、13 位置検出手段
7 記憶手段
8 移動手段
9、10、11 カムピン
14 カメラボディ
15 フィルター部材
21 光学装置
22 クイックリターンミラー
23 焦点板
24 ペンタプリズム
25 接眼レンズ
26 撮像素子

Claims (12)

  1. 相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる複数のレンズ群と、
    前記焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置を検出して該位置情報を出力する位置検出手段と、
    前記複数のレンズ群のうち、最も像側に配置されたレンズ群内に配置され、光軸と直交方向に移動可能に保持され、像の片ボケを調整するための補正レンズ群と、
    該補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動手段と、
    前記位置検出手段及び前記移動手段と通信可能な記憶手段と、を有し、
    該記憶手段が、前記位置検出手段の出力に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、
    前記移動手段が、前記移動量を規定する情報に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることを特徴とする可変焦点距離レンズ。
  2. 前記位置検出手段は、焦点距離によって光軸方向の位置が異なるレンズ群の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点距離レンズ。
  3. 焦点距離によって光軸方向の位置が異なる前記レンズ群は、最も物体側に配置されたレンズ群であることを特徴とする請求項2に記載の可変焦点距離レンズ。
  4. 焦点距離の変化に応じて回転移動するレンズ鏡筒部材を有し、
    前記位置検出手段は、前記レンズ鏡筒部材の回転方向の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点距離レンズ。
  5. 焦点距離の変化に応じて直進移動するレンズ鏡筒部材を有し、
    前記位置検出手段は、前記レンズ鏡筒部材の直進方向の位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の可変焦点距離レンズ。
  6. 前記記憶手段は、前記移動量を規定する情報を記憶していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズ。
  7. 前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量は、片ボケを調整するための移動量であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズ。
  8. 前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることにより、可変焦点距離レンズの片ボケを補正することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズ。
  9. 前記記憶手段に記憶された前記移動量を規定する情報は、組立後の性能検査によって測定された片ボケ量を元に算出されたものであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズ。
  10. カメラボディへの着脱を可能とするマウント部材を有することを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズ。
  11. 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の可変焦点距離レンズを備えることを特徴とする撮像装置。
  12. 相互の距離を変更することで焦点距離を変化させる複数のレンズ群と、
    前記焦点距離の変化に応じて移動する部材の位置を検出して該位置情報を出力する位置検出手段と、
    前記複数のレンズ群のうち、最も像側に配置されたレンズ群内に配置され、光軸と直交方向に移動可能に保持され、像の片ボケを調整するための補正レンズ群と、
    該補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動手段と、
    前記位置検出手段及び前記移動手段と通信可能な記憶手段と、を有する可変焦点距離レンズの調整方法であって、
    前記記憶手段が、前記位置検出手段の出力に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させる移動量を規定する情報を出力し、
    前記移動手段が、前記移動量を規定する情報に応じて、前記補正レンズ群を光軸と直交方向に移動させることを特徴とする可変焦点距離レンズの調整方法。
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