以下、本発明の一実施の形態に係るロープホイスト10について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いて説明することとする。XYZ直交座標系においてX方向とはレールが延伸する方向を指し、X1側とはロープホイスト10の長手方向のうちドラム用モータ32および横行用モータ42が位置する側を指し、X2側とはそれとは逆側を指す。Z方向とは鉛直方向を指し、Z1側とは上方側(すなわちフックブロック70から見てレールRが位置する側)を指し、Z2側とはそれとは逆の下側を指す。また、Y方向とはX方向およびZ方向に直交する方向(レールRの幅方向)を指し、Y1側とはロープドラム機構30から見てトロリ機構40が位置する側を指し、Y2側とはそれとは逆側を指す。
<1.ロープホイスト10の全体構成について>
図1は、正面側から見たときのロープホイスト10の全体構成を示す斜視図である。図2は、背面側から見たときのロープホイスト10の全体構成を示す斜視図である。図3は、上側から見たときのロープホイスト10の構成を示す平面図である。図4は、下側から見たときのロープホイスト10の構成を示す底面図である。図5は、前側から見たときのロープホイスト10の構成を示す正面図である。図6は、後側から見たときのロープホイスト10の構成を示す背面図である。
図1〜図6に示すように、ロープホイスト10は、フレーム構造20と、ロープドラム機構30と、トロリ機構40と、中間シーブ体50と、ロープ固定部材60と、フックブロック70と、カウンタウェイト80と、制御部90と、制動抵抗器100とを備えている。
<2.フレーム構造20について>
まず、フレーム構造20について説明する。図7は、フレーム構造20とトロリ機構40の構成を示す平面図である。図7に示すように、フレーム構造20は、一対の前後フレーム21と、連結バー24と、ドラム支持フレーム29と、取付フレーム271とを有していて、これらによってロープホイスト10の全体が支持される。
前後フレーム21は、レールRの延伸方向(X方向)を長手として延伸するフレームであり、レールRを挟んで左右(Y1側とY2側)にそれぞれ設けられている。一対の前後フレーム21は、それぞれ2つの支持フレーム22と、これらの支持フレーム22を接続する連結フレーム23とを有している。支持フレーム22は、車輪41を始めとして、各種の部材が取り付けられている。また、支持フレーム22には、差込孔22aが設けられていて、その差込孔22aには後述するマウント部材25が差し込まれている。
支持フレーム22には、連結フレーム23がたとえばボルト等によって連結されている。図1から図6に示す構成では、連結フレーム23は、レールRの延伸方向(X方向)に沿う2つの支持フレーム22の間に位置している。なお、連結フレーム23は、レールR側に位置しており、それによってY方向で対向する前後フレーム21間に位置するスペースの有効活用が図られている。
なお、支持フレーム22および連結フレーム23は、車輪41を始めとする各種部材を支持可能とすべく、薄板ではない厚板状に設けられている。
また、フレーム構造20は、連結バー24を有している。連結バー24は、幅方向(Y方向)に沿って延伸する部分である。連結バー24は、上述した差込孔22aに、図1等に示すようなマウント部材25を介して差し込まれることで、支持フレーム22に取り付けられる。ここで、連結バー24の他端側(Y2側)には、一対の前後フレーム21のうち他方の前後フレーム21(ドラム側フレームに対応)が固定されている。また、連結バー24の中途部分には、一方側の前後フレーム21(ウェイト側フレームに対応)が固定されていて、さらに連結バー24の一端側(Y1側)には、カウンタウェイト80が固定されている。
また、マウント部材25は、差込孔22aに対して固定的に取り付けられている。このマウント部材25には、ネジ等の固定手段を捻じ込み可能としていて、その捻じ込みによって、連結バー24に対する支持フレーム22の位置が定まる。ただし、本実施の形態では、幅方向の他端側(Y2側)に位置するマウント部材25の他端側(Y2側)の開口には、ドラム支持フレーム29が差し掛かり、それによって連結バー24がドラム支持フレーム29に度当たりすることで、連結バー24に対する他方側(Y2側)の前後フレーム21の位置が定まる。しかしながら、ボルト等の締結手段を緩めることで、一方側(Y1側)の前後フレーム21は、連結バー24に対して自在に変更可能となっている。それにより、ロープホイスト10の乗架の際には、一方側(Y1側)の前後フレーム21を他方側(Y2側)の前後フレーム21に対して離すことができる。
なお、図7に示す構成では、フレーム構造20には、中間シーブ支持部27および端末支持部28が取り付けられている。中間シーブ支持部27は、後述する中間シーブ体50を支持する吊り手軸S1を支持する部分であり、図7等に示す構成では、フレーム構造20のうち幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に配置されている。上述の吊り手軸S1を支持するために、中間シーブ支持部27は、一対の取付フレーム271を有していて、それぞれの取付フレーム271は、長手方向(X方向)において離間している一対の支持フレーム22にそれぞれ取り付けられている。
上記のように、中間シーブ支持部27がフレーム構造20の幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に配置されている関係上、取付フレーム271は、幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に向かうように突出している。このため、後述するカウンタウェイト80との間のスペースSPは、かかる取付フレーム271および中間シーブ体50が存在する分だけ狭められている。
また、端末支持部28は、後述するロープ固定部材60を支持する端末支持軸S2を支持する部分であり、図7等に示す構成では、フレーム構造20のうち幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)に配置されている。端末支持部28は、一対の軸保持部281を有していて、それぞれの軸保持部281は、長手方向(X方向)において離間している一対の支持フレーム22にそれぞれ取り付けられている。
また、フレーム構造20には、ドラム支持フレーム29が幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)に向かって突出するように設けられている。ドラム支持フレーム29は一対設けられていて、それぞれのドラム支持フレーム29は、長手方向(X方向)において離間している支持フレーム22にそれぞれ取り付けられている。一対のドラム支持フレーム29には、次に述べるロープドラム機構30の一端側および他端側がそれぞれ固定される。
<3.ロープドラム機構30の全体構成について>
次に、ロープドラム機構30について説明する。図1〜図6等に示すように、ロープドラム機構30は、ロープドラム31と、ドラム用モータ32と、減速機構33と、ロープガイド機構34とを主要な構成要素としている。
図8は、ロープドラム31の構成を示す側面図であり、ロープドラム31付近およびドラム用モータ32付近を断面で示している。図8に示すように、ロープドラム31は、ワイヤロープWを巻回するドラム状の部材であり、その外周側には、ワイヤロープWが嵌まる凹溝状のロープ溝311が形成されている。ロープ溝311は、ロープドラム31の外周に螺旋状に形成されていて、ワイヤロープWの半径に対応して形成されている。また、ロープ溝311は、ワイヤロープWが重ならない状態で(一重の状態で)整列するように形成されている。
なお、ロープドラム31の他端側(後側;X2側)には、ワイヤロープWの一端側を固定するためのロープ押さえ金具312が取り付けられる。ロープ押さえ金具312は、ワイヤロープWを位置させる凹部312aを備え、その凹部312aにワイヤロープWを位置させた状態で、締結手段であるネジ312bをロープドラム31に強固に捻じ込む。それにより、ワイヤロープWの一端側がロープドラム31に固定される。
また、ロープドラム31の一端側(前側;X1側)および他端側(後側;X2側)には、それぞれ軸支部313,314が取り付けられている。図8に示すように、一端側(前側;X1側)の軸支部313には、たとえばスプライン結合によってドラム回転軸315が連結されている。このドラム回転軸315は、一対のギヤハウジング316a,316bに対し軸受としてのベアリング317a,317bを介して取り付けられている。なお、本実施の形態では、それぞれのギヤハウジング316a,316bは異なる形状に形成されていて、ベアリング317a,317bも異なるタイプとなっているが、ギヤハウジング316a,316bやベアリング317a,317bを共通化するようにしても良い。
また、ロープドラム31の他端側(後側;X2側)の軸支部314のうち、径方向中央側の環状凸部314aには、ベアリング314bが取り付けられ、そのベアリング314bの外周側は、取付フレーム318に取り付けられる。それにより、ロープドラム31の他端側も、回転自在に支持される。なお、図1等に示すように、ロープドラム31は、カバーフレーム319によって上方側が覆われている。
また、図8に示すように、ギヤハウジング316a,316bには、ドラム用モータ32が取り付けられている。ドラム用モータ32は、ロープドラム31を回転させる駆動力を与えるものである。このドラム用モータ32の出力軸321には、減速機構33を構成するピニオンギヤ331が取り付けられていて、そのピニオンギヤ331の駆動力は、ギヤ輪列332を介してドラム回転軸315に伝達される。なお、出力軸321もギヤハウジング316a,316bに対し軸受としてのベアリング322a,322bを介して取り付けられている。以下では、ギヤハウジング316a,316bを纏めて述べる場合には、単にギヤハウジング316と称呼する。
<4.ロープガイド機構34について>
図9は、ロープガイド機構34付近を示すためのロープドラム31の部分的な側面図である。図10は、ロープドラム31の断面を示すと共に、ロープガイド機構34の構成を示す背面図である。図11は、ロープガイド機構34の構成を示す斜視図である。図12は、ロープガイド機構34の構成を示す分解斜視図である。
図9および図10に示すように、ロープガイド機構34は、ロープドラム31の回転に伴い、案内軸Gによりガイドされつつ、前後方向(X方向)に移動する部材である。なお、案内軸Gは、たとえば上述したギヤハウジング316aおよび取付フレーム318によって支持されていて、ロープガイド機構34の摺動を良好にガイド可能としている。なお、案内軸Gは、たとえば3つ等、複数設けられている。また、複数の案内軸Gがギヤハウジング316aおよび取付フレーム318に取り付けられることにより、これらがロープドラム31を支持するドラム支持構造を構成する。
図9から図11に示すように、ロープガイド機構34は、リング部材35と、ガイド部材38と、押圧ローラ体39とを主要な構成要素としている。
図11および図12に示すように、リング部材35は、2つの半周状の摺動部材36を接続することにより、リング状に形成されている。そして、2つの摺動部材36を接続したリング部材35に、ガイド部材38を取り付け、さらに押圧ローラ体39を取り付けることにより、ロープドラム機構30が形成されている。なお、摺動部材36およびガイド部材38は、たとえば樹脂を材質とした射出形成によって形成されている。また、いずれか一方の摺動部材36は第1摺動部材に対応し、残りの他方の摺動部材36は第2摺動部材に対応する。しかし、いずれか他方の摺動部材36が第1摺動部材に対応し、残りの一方の摺動部材36は第2摺動部材に対応するものとしても良い。
ここで、本実施の形態では、2つの摺動部材36は同一形状に形成されている。すなわち、2つの摺動部材36は、たとえば同一の金型を用いて形成されている。
それぞれの摺動部材36の内周側には、ロープドラム31のロープ溝311に嵌まる突条361が設けられている。突条361は、螺旋をなす周状に設けられている。ただし、ロープドラム31との干渉を防ぐべく、突条361は、リング部材35(摺動部材36)の内周側のうち、ワイヤロープWの非巻回側と対向するように設けられている。
図14は、ロープドラム31のロープ溝311と摺動部材36の突条361の噛合状態を拡大して示す部分的な側断面図である。図14に示すように、本実施の形態では、突条361のピッチ(隣り合うネジ山同士の距離)は、ロープ溝311のピッチの半分に設けられている。しかしながら、突条361のリード(1回転したときの軸方向の移動量)は、ロープ溝311のリードと同じとなるように設けられている。すなわち、ロープ溝311は、通常の1条ネジに設けられているが、突条361は、2条ネジに設けられていて、これらのリードは等しく設けられている。このため、突条361には、常にロープ溝311のネジ山が嵌まり込む部分(ネジ溝)が存在する。一方、そのロープ溝311のネジ山が嵌まり込むネジ溝の隣には、ネジ山が嵌まり込まない部分(ネジ溝)が存在している。
また、摺動部材36の周方向における一端側から他端側に進行すると、ロープ溝311のピッチの半ピッチ分だけ、進行する。しかし、本実施の形態では、突条361のピッチは、ロープ溝311のピッチの半分に設けられている。そのため、摺動部材36の周方向における一端側から他端側に進行した場合には、突条361の1ピッチ分だけ移動し、突条361のリードの半分だけ移動することになる。
なお、突条361には、端部側に進行するにつれて外径側に向かうように傾斜しているテーパ部361aが設けられている。かかるテーパ部361aの存在により、2つの突条361の間で多少段差が存在しても、その段差を吸収して、ロープ溝311への良好な嵌め合い状態を実現可能となる。
図13は、リング部材35を構成する2つの摺動部材36を示す斜視図である。図11から図13に示すように、摺動部材36の周方向の両端側は、X方向の他方側(X2側)に突出する幅広の幅広部362が設けられている。しかし、周方向のうち両端の幅広部362の間に位置する部位は幅狭の幅狭部363となっている。そして、一方の摺動部材36の幅狭部363にはガイド部材38が固定されている。それにより、一方の摺動部材36とガイド部材38の間には、ワイヤロープWをガイドするガイド開口部34aが設けられている。なお、ガイド開口部34aは、ロープドラム31に巻取るワイヤロープWをロープ溝311にガイドしつつ案内するための開口部分であり、長孔の開口形状に設けられている。
それぞれの幅広部362のうち、軸方向(X方向)において突条361と隣接する部位には、対向案内部362aが設けられている。対向案内部362aは、ロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWと対向する。そして、ワイヤロープWが乱巻きされるのを防止する。ここで、乱巻きとは、ワイヤロープWが螺旋溝311に対して整列して巻回されていない状態をいう。また、対向案内部362aには、延長案内部362bが連続して設けられている。延長案内部362bは、後述するガイド部材38の連結部382よりも内周側に位置する薄肉状の壁部分である。すなわち、薄肉の延長案内部362bは、その外径側にガイド部材38を位置させるために、対向案内部362aよりも外径側から凹んだ形状に設けられている。この延長案内部362bは、対向案内部362aと同様にロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWと対向し、そのワイヤロープWが乱巻きされるのを防止している。
ここで、それぞれの幅広部362からは、その周方向の端部側に向かい、接続部364が延出している。以下では、摺動部材36のうち周方向の一端側に存在する幅広部362から延出する接続部364を一端接続部364aとし、その周方向の他端側に存在する幅広部362から延出する接続部364を他端接続部364bとする。ただし、一端接続部364aと他端接続部364bとを区別する必要がない場合には、単に接続部364と称呼する。
図15は、2つの摺動部材36が接続される部位付近の構成を示す断面図である。図11から図15に示すように、一端接続部364aには、幅広部362よりも軸方向(X方向)における寸法が小さな凸状部364a1が設けられている。しかも、凸状部364a1は、幅広部362よりも幅方向(X方向)の中央寄りに位置している。このため、凸状部364a1の幅方向(X方向)の両端側と幅広部362との間には、段差部364a2が形成される。
また、摺動部材36のうち、一端接続部364aに対して周方向の反対側には、他端接続部364bが設けられている。他端接続部364bは、幅方向(X方向)の両端側から周方向に突出する一対の腕部364b1を有していて、その一対の腕部364b1の間には、周方向において腕部364b1よりも相対的に凹む凹嵌部364b2が設けられている。この凹嵌部364b2には、上述した一端接続部364aが位置する。すなわち、二股状に設けられている一対の腕部364b1の間の凹嵌部364b2に、凸状部364a1が位置する。
なお、図15等に示すように、一端接続部364aおよび他端接続部364bのそれぞれには、幅方向(X方向)においてこれらを貫く貫通孔364a3,364b3が設けられていて、ボルトBT等のような結合手段が挿通される。そのため、凹嵌部364b2に凸状部364a1を位置させて、貫通孔364a3と貫通孔364b3とが連通する状態とした後に、ボルトBTをこれら貫通孔364a3,364b3に差し込む。その後に、ナットNTをボルトBTに捻じ込む等により、一方の摺動部材36と他方の摺動部材36とが連結される。なお、2つの摺動部材36の両端側で、このような連結がなされることで、円環状のリング部材35が構成される。
また、図15に示すように、2つの摺動部材36が連結された場合、2つのX方向における位置は、同じ位置に設けられていて、いずれか一方の摺動部材36が、他方の摺動部材36に対して突出しない状態となっている。
また、図11に示すように、ガイド部材38は、一方側の摺動部材36の幅狭部363に対してボルトBTやナットNT等を介して取り付けられている。ガイド部材38には、円弧状部381と、連結部382と、係合部383とが設けられている。円弧状部381は、ロープドラム31の外周に倣うように円弧状に設けられている。また、連結部382は、円弧状部381の両端側に位置すると共に、幅狭部363に当接する部分である。かかる幅狭部363への当接を可能とするため、連結部382は、円弧状部381よりも幅方向(X方向)の寸法が大きく設けられている。
また、係合部383は、湾曲したフック形状に設けられていて、その湾曲の内側である凹部383aにおいて案内軸Gに接触している。かかる凹部383aに案内軸Gが嵌まることにより、ロープガイド機構34が前後方向(X方向)に良好に移動可能となる。
以上のように、それぞれの摺動部材36における突条361は2条ネジに設けられている。そのため、2つの摺動部材36を接続する場合、その突条361のネジ山同士およびネジ谷同士が、同じネジ溝の周上に位置する状態となる。それにより、突条361がロープ溝311に良好に嵌合する状態となる。
また、図10および図11に示すように、他方の摺動部材36の幅狭部363には、押圧ローラ体39が取り付けられている。押圧ローラ体39は、一対のローラ支持具391と、ローラ392と、付勢バネ393と、取付軸394を有している。そして、ガイド開口部34aを通ってロープ溝311に入り込んだワイヤロープWをローラ392で押さえることで、そのワイヤロープWが乱巻きされるのを防止している。
押圧ローラ体39のうち、ローラ支持具391は、それぞれ基底部391aと、一対の対向壁部391bとを有していて、これらが略U字形状をなしている。ただし、一対のローラ支持具391のうちの一方は、ローラ支持具391の他方よりも幅広に設けられていて、一方のローラ支持具391の内側に、他方のローラ支持具391を位置させることを可能としている。そして、これら2つのローラ支持具391は、取付軸394を介して連結されている。
それぞれの基底部391aには、付勢バネ393の端部側がそれぞれ支持される。そのため、2つの基底部391aの間に付勢バネ393が位置可能なように、基底部391aの長さは、対向壁部391bの長さよりも短く設けられ、それによって2つの基底部391aの間に開口部391cが形成されている。
また、基底部391aからは、開口部391cに向かい、ロッド部391a1が突出し、そのロッド部391a1が付勢バネ393の空芯部に差し込まれている。それにより、付勢バネ393が2つの基底部391aの間で支持されている。なお、付勢バネ393は圧縮バネであり、それぞれのローラ392に対してワイヤロープWをロープ溝311に押し付ける向きの付勢力を与えている。
また、対向壁部391bには、軸孔391b1が設けられていて、この軸孔391b1によってローラ392の支持軸が回転自在に支持されている。また、対向壁部391bには、2つのローラ支持具391を連結するための連結孔391b2も設けられている。そして、外側に位置するローラ支持具391の連結孔391b2と、内側に位置するローラ支持具391との連結孔391b2を位置合わせし、これらの連結孔391b2に取付軸394を挿通させる。また、取付軸394は、他方の摺動部材36の幅狭部363において、その摺動部材36と連結される。それにより、ローラ支持具391が、取付軸394を介して他方の摺動部材36に取り付けられる。
以上のようなロープガイド機構34の構成により、ワイヤロープWは、ガイド開口部34aを介してロープドラム31のロープ溝311に入り込むのを可能としている。また、ワイヤロープWは、ロープ溝311からガイド開口部34aを介して外部に導出したりするのを可能としている。このとき、ガイド開口部34aに対して周方向の反対側に押圧ローラ体39が設けられているので、ワイヤロープWが乱巻きされるのを防止している。
<5.トロリ機構40について>
次に、トロリ機構40について説明する。図1〜図6等に示すように、ロープホイスト10は、トロリ機構40を有している。トロリ機構40は、フレーム構造20の支持フレーム22に取り付けられている車輪41と、横行用モータ42と、ギヤ機構部43,44と、ドライブシャフト45と、ガイドローラ46を有している。なお、フレーム構造20もトロリ機構40を構成するものとしても良い。車輪41はレールRの一方側と他方側とにそれぞれ2つずつ(合計4つ)設けられている。この車輪41は、レールRのフランジ部R1に乗架される。
図7に示すように、幅方向の一方側(Y1側)に位置する支持フレーム22には、駆動力を発生させる横行用モータ42が取り付けられている。横行用モータ42は、長手方向(X方向)の一方側(X1側)に位置する2つの車輪41に駆動力を与えている。詳述すると、横行用モータ42の出力軸からの駆動力は、ギヤ機構部43の内部に位置するギヤ輪列(図示省略)を介して、ドライブシャフト45に伝達される。
ドライブシャフト45は、幅方向(Y方向)に沿うように設けられていて、幅方向(Y方向)の他端側(Y2側)がギヤ機構部44に接続されている。ギヤ機構部44の内部にもギヤ輪列(図示省略)が設けられていて、そのギヤ輪列を介して他端側(Y2側)の車輪41に駆動力が与えられる。それにより、2つの車輪41が同時に回転し、ロープホイスト10の安定的な走行が可能となる。
なお、それぞれの支持フレーム22には、ガイドローラ46が取り付けられている。横行用モータ42を駆動させて、レールRに沿ってロープホイスト10が移動する際に、ロープホイスト10が蛇行する場合がある。そのような蛇行を防ぐために、それぞれの車輪41の近傍には、ガイドローラ46が設けられていて、かかるガイドローラ46はレールRのフランジ部R1に接触している。それにより、ロープホイスト10の走行が安定的となる。ガイドローラ46は、フランジ部R1に接触するために、車輪41よりも若干下方側に位置していて、しかも車輪41よりも長手方向(X方向)の外側にそれぞれ設けられている。
<6.中間シーブ体50について>
次に、中間シーブ体50について説明する。図3および図6に示すように、横行用モータ42よりも後方側(X2側)には、中間シーブ体50が設けられている。図16は、中間シーブ体50を側面から見た状態を示す部分的な断面図である。また、図17は、中間シーブ体50の構成を示す正面断面図である。
図16に示すように、中間シーブ体50は、ワイヤロープWが掛けられる中間シーブ51(滑車)を備えていて、その中間シーブ51はフランジ51aで囲まれた凹溝51bを有している。また、中間シーブ51は、レールRに平行となる向きに配置されている。中間シーブ体50は、後述するフックブロック70の隣り合うフックシーブ71(図20、図21参照)の間でワイヤロープWを中継することを可能としている。この中間シーブ体50は、吊り手軸S1に対して取り付けられている。また、中間シーブ体50は、吊り金具52を備え、この吊り金具52が吊り手軸S1に支持されている。
図16および図17に示すように、吊り金具52は、互いに対向する一対のプレート部分521を有しているが、プレート部分521の両端側かつ上方側には、一対のプレート部分521をつなぐ連結部分522が設けられている。図16に示すように、連結部分522は、吊り手軸S1を囲むように湾曲した形状に設けられていて、この連結部分522が吊り手軸S1に接触しつつ揺動(回動)することにより、中間シーブ体50は揺動する(向きを変える)ことを可能としている。なお、一対の連結部分522の間の部分は、打ち抜き部分Pとなっている。
一対のプレート部分521の間には、中間シーブ51が回転自在に支持されている。すなわち、一対のプレート部分521には、それぞれ軸支孔521aが設けられていて、その軸支孔521aには、支軸523が取り付けられている。支軸523の外周側かつ一対のプレート部分521の間には、軸受としてのベアリング524が取り付けられていて、このベアリング524の外周側に中間シーブ51が取り付けられている。それにより、中間シーブ51はプレート部分521に対して回転自在に設けられている。
<7.ロープ固定部材60について>
また、図1〜図4等に示すように、ワイヤロープWの一端側を留めるために、ロープ固定部材60が設けられている。このロープ固定部材60は、上述した端末支持軸S2に取り付けられている。図18は、ロープ固定部材60の構成を示す側面図である。図19は、ロープ固定部材60の構成を示す分解斜視図である。図18および図19に示すように、ロープ固定部材60は、横回動金具61と、接続部材62と、縦回動金具63と、楔部材64とを主要な構成要素としている。横回動金具61は、その正面形状が略U字形状に設けられていて、その略U字形状の湾曲部分61aが端末支持軸S2に接触し、湾曲部分61aに連続するプレート部分61bが互いに対向している。かかる湾曲部分61aと端末支持軸S2との間の摺動により、横回動金具61がYZ平面内で揺動可能としている。
横回動金具61の一対のプレート部分61bには、軸孔61cが設けられている。また、一対のプレート部分61bの間には、接続部材62が配置されている。また、接続部材62の上方側には、固定軸65aを差し込むための貫通孔62aが設けられている。そのため、軸孔61cと貫通孔62aとを位置合わせして、固定軸65aを差し込むことで、接続部材62は、固定軸65aを介してレールRの延伸方向を含む面内で揺動可能に設けられている。
また、縦回動金具63の上方側にも、一対のプレート部分63aが設けられていて、その一対のプレート部分63aの間に接続部材62の下方側が配置される。ここで、一対のプレート部分63aには、それぞれ軸孔63bが設けられている。また、接続部材62の下方側にも、貫通孔62bが設けられている。そのため、軸孔63bと貫通孔62bとを位置合わせして、固定軸65bを差し込むことで、縦回動金具63が、接続部材62を介してレールRの延伸方向を含む面内で揺動可能に設けられている。
また、縦回動金具63の下方側には、ロープ留め部63cが設けられている。ロープ留め部63cは、四角錐状の筒形状のうち上方側と下方側とが開口して、ワイヤロープWや後述する楔部材64が上方側および下方側から挿入可能に設けられている。また、ロープ留め部63cは、下方に向かうにつれて、断面積が小さくなるように設けられている。
図18および図19に示すように、ロープ留め部63cの内部には、楔部材64が配置される。楔部材64は、図19に示す構成では、所定の直径の条鋼(線材)等のような棒状部材を曲げることにより形成されている。かかる楔部材64は、上方側では湾曲部位の直径が大きく設けられているが、下方に向かうにつれて棒状部材同士が互いに近接するように設けられている。また、楔部材64の外周側には、ワイヤロープWが周回するように設けられている。そのため、ワイヤロープWは、楔部材64とロープ留め部63cの内壁とに挟まれて、楔留めにてワイヤロープWの他端側が固定される。特に、ワイヤロープWに大きな荷重が作用すると、楔部材64が下方に移動しようとするが、その場合、ワイヤロープWは、楔部材64とロープ留め部63cの内壁との間で、大きな挟持力にて挟まれる。それにより、ワイヤロープWの下方への移動が規制される。
なお、ワイヤロープWの最も端末側は、ロープ留め部63cよりも下方において、不図示の固定金具により、ワイヤロープWの中途部分に固定されている。
<8.フックブロック70について>
次に、フックブロック70について説明する。図1〜図6に示すように、ロープホイスト10は、フックブロック70を備えている。フックブロック70は、ワイヤロープWの一端側と他端側の間の中途部分に吊り下げられている。
図20は、フックブロック70の構成を示す側面図である。また、図21は、フックブロック70の構成を示す側面断面図である。図20および図21に示すように、フックブロック70は、一対のフックシーブ71を備えていて、そのフックシーブ71は、連結軸72に取り付けられているシーブ軸部73に対し、軸受B1を介して取り付けられている。
シーブ軸部73の外周には、ブラケット支持部73aと、フランジ部73bと、軸受支持部73cとを有している。ブラケット支持部73aは、後述するブラケット75が取り付けられる部分であり、そのブラケット75の支持孔75a1に挿通されるが、フランジ部73bよりは小径に設けられている。そのため、フランジ部73bは支持孔75a1を挿通できずにその外周側で係止される。また、軸受支持部73cは、ブラケット支持部73aよりも小径に設けられていて、その外周側に軸受B1が配置される。この軸受B1の外周側には、フックシーブ71が取り付けられ、それによってフックシーブ71が連結軸72に対し回転自在に支持される。
フックシーブ71は、ワイヤロープWが掛けられる滑車であり、そのフックシーブ71の外周側の大部分は、異物を巻き込むのを防止するためのカバー74によって覆われている。なお、図20に示すように、カバー74には、ワイヤロープWを導出させるための開口部74aが設けられている。なお、連結軸72は、カバー74を挿通してその外側に突出するが、その突出部分には、ネジ部72aが設けられていて、そのネジ部72aにナットNが捻じ込まれることにより、シーブ軸部73やカバー74、フックシーブ71の軸方向における位置が定まる。
上述のシーブ軸部73を支持するために、一対のブラケット75が設けられている。ブラケット75は、図20および図21に示す構成では、その外観が略L字形状に設けられている。そのL字形状のうち長片部75aには、上述したシーブ軸部73を挿通させるための支持孔75a1が設けられている。また、長片部75aに直交する短片部75bは、他方のブラケット75の短片部75bと対向する状態で配置されている。それにより、長片部75aおよび短片部75bで囲まれた収納空間部P1が形成される。
また、短片部75bのうち互いに対向する先端側には、半割状の開口部75b1が設けられていて、2つの開口部75b1が対向することで、フック76の軸支部76aを挿通させる挿通孔75b2を形成する。
上述した収納空間部P1には、フック受部77が配置されている。フック受部77は、その外観が厚肉の矩形状に設けられていて、その中央側には、フック76の軸支部76aを下方側(Z2側)から挿通させるための貫通孔77aが設けられている。る。また、フック受部77は、一対の短片部75bのそれぞれに、その下面側に面的に接触するように設けられていて、ネジ等でそれぞれの短片部75bに固定されている。かかるフック受部77への短片部75bの固定により、ブラケット75の位置が固定的となる。
フック受部77の上面側には、凹部77bが設けられていて、その凹部77bには、軸受B2が収納されている。軸受B2は、たとえばスラストベアリングであり、この軸受B2の上部に配置される支持ナット78を回転自在に支持する。なお、支持ナット78の下面側には、軸受B2の上方側を収納するための凹部78aが設けられている。
支持ナット78は、その内周側にネジ孔78bが設けられていて、そのネジ孔78bには、フック76の軸支部76aの外周側の雄ネジ部76bが捻じ込まれる。さらに、支持ナット78および軸支部76aには、係止ピン79が差し込まれ、ネジ孔78bと雄ネジ部76bの捻じ込み状態が緩まないように構成されている。
フック76は、軸支部76aと、フック本体部76cとを有している。軸支部76aは、フック本体部76cよりも上方に向かい突出している部分であり、その断面が円形状に設けられている。軸支部76aの上方側の外周側には、雄ネジ部76bが設けられていて、その雄ネジ部76bがネジ孔78bに捻じ込まれる。また、フック本体部76cは、荷を掛ける部分であり、その外観が鉤形状に設けられている。
フック本体部76cには、掛けられている荷が外れるのを防止するためのレバー76dが取り付けられている。レバー76dは、その一端側が上側(Z1側)に位置し、その一端側の回動軸76eを支点として回動可能に設けられている。また、レバー76dの他端側は下側(Z2側)に位置し、フック本体部76cの先端側の内周に当接するように設けられている。レバー76dは、不図示のバネによる付勢力が作用して、常に他端側がレバー76dの先端側の内周に当接するように設けられている。それにより、レバー76dに外力が作用しない状態では、レバー76dの閉じ状態を維持することができ、レバー76dが開いて荷が落下するのを防止可能となる。
<9.カウンタウェイト80について>
続いて、カウンタウェイト80について説明する。図1から図7に示すように、ロープホイスト10には、カウンタウェイト80が設けられている。カウンタウェイト80は、ロープホイスト10の幅方向(Y方向)におけるバランスを取るために設けられている。すなわち、ロープホイスト10の幅方向(Y方向)の他端側(Y2側)には、多数の構成要素からなるロープドラム機構30が設けられていて、その重量は比較的大きなものとなっている。かかるロープドラム機構30との重量バランスを取るために、連結バー24の幅方向(Y方向)の一端側(Y1側)には、カウンタウェイト80が連結されている。
カウンタウェイト80は、厚肉の鋼板等から構成される板状の部材であり、一対の連結バー24の間に亘るように設けられている。しかも、本実施の形態では、制御部90や制動抵抗器100よりもXZ平面における面積が大きく設けられている。そのため、カウンタウェイト80の重量は比較的大きいが、ロープドラム機構30の全重量よりは十分に小さく設けられている。そのため、幅方向(Y方向)におけるモーメントのバランスを取るために、カウンタウェイト80と一方側(Y1側)の前後フレーム21の間の距離は、ロープドラム機構30と他方側(Y2側)の前後フレーム21の間の距離よりも大きく設けられている。
かかるカウンタウェイト80の配置により、図3、図4および図7等に示すように、中間シーブ体50とカウンタウェイト80の間には、比較的大きなスペースSPが設けられている。
<10.制御部90について>
続いて、制御部90について説明する。制御部90は、ドラム用モータ32や横行用モータ42等を始めとして、ロープホイスト10の駆動を制御する部分である。そのため、制御部90には、これらの制御を実行するための制御機器が内部に配置されている。なお、制御機器としては、たとえば全体の制御を司る主制御部、モータドライバ、電源等が挙げられ、それらがカバー部材91で覆われている。また、制御部90には、制動抵抗器100に電流を流す際の制御を行うための制動回路も設けられている。この制御部90は、カウンタウェイト80の一方側(Y1側)の面に対してネジ等を介して固定されている。
<11.制動抵抗器100について>
続いて、制動抵抗器100について説明する。制動抵抗器100は、制動抵抗部に対応し、ドラム用モータ32をインバータ制御するために設けられており、ドラム用モータ32に対して運転時よりも駆動周波数を低くすることにより、回生制動能力を発揮させることを可能としている。この制動抵抗器100は抵抗体(図示省略)を備え、その抵抗体にドラム用モータ32から還流される電気エネルギを流すことで、電気エネルギを熱に変換する。そして、かかる熱への変換によってドラム用モータ32の回転速力を抑えている。
なお、制動抵抗器100の抵抗体としては、ホーロー抵抗器、セメント抵抗器等、大電流に対応可能なものであれば、どのようなものであっても良い。
図22は、制動抵抗器100の内部構成を示す斜視図である。この図22に示すように、制動抵抗器100は、不図示の抵抗体を囲むように放熱フィン部材102が配置された抵抗ユニット101を備えていて、その抵抗ユニット101が取付ステー103を介してカウンタウェイト80にネジ等を介して固定される。このように、制動抵抗器100の抵抗カバー103が、開放した状態でカウンタウェイト80に取り付けられることにより、カウンタウェイト80にも熱が伝達され、カウンタウェイト80が放熱板としての機能を果たすことが可能となっている。
また、抵抗ユニット101は、その全体が抵抗カバー103によって覆われているが、その抵抗カバー103には、多数の放熱用の開口部分である放熱スリット103aが設けられている。本実施の形態では、放熱スリット103aは、長孔形状に設けられていて、多数段の放熱スリット103aが複数列配置された構成となっている。
ここで、制動抵抗器100は、カウンタウェイト80のうち、幅方向(Y方向)の他方側(Y2側)の面に取り付けられている。そのため、制動抵抗器100は、スペースSP側に突出するように設けられている。図23は、制動抵抗器100がスペースSPに突出している様子を示す平面図である。
図23に示すように、制動抵抗器100は、その鉛直方向(Z方向)においても、横行用モータ42や一対の連結バー24等のような他の部材と重ならない配置となっている。そのため、制動抵抗器100における鉛直方向(Z方向)における寸法を大きく取ることが可能となっている。また、ロープホイスト10における鉛直方向(Z方向)における寸法を小さくすることも可能となる。また、鉛直方向(Z方向)における寸法を小さくすることができるので、その寸法の低減分だけ、フック76に吊り下げられた荷を上昇させることが可能となる。
ところで、ロープホイスト10は、想定されているレールRが最大幅となる場合(2本のレールRを並べた場合を初め複数のレールRが並べられている場合も含む)においても、レールRに良好に乗架される必要がある。そのため、レールRが想定されている最大幅となる場合でも、連結バー24に対して一方側の前後フレーム21を幅方向(Y方向)の一方側(Y1側)に移動させて、車輪41がフランジ部R1を避けつつ上方に移動可能な状態とする必要がある。すなわち、車輪41が想定されている最大幅のレールRに乗架される場合、乗架のためには幅方向(Y方向)の両方側の車輪41がフランジ部R1を避けて、上方に移動可能とする必要がある。
ここで、想定されている最大幅のレールRに乗架された場合の一方側(Y1側)の前後フレーム21の位置を基準位置とし、その基準位置における中間シーブ体50のうち幅方向(Y方向)の最も一方側(Y1側)の部分と、制動抵抗器100のうち幅方向(Y方向)の最も他方側(Y2側)の部分の間の寸法をL1とする。この寸法L1に対し、乗架の際には、両方側の車輪41の幅の合計分と、さらに余裕分だけ、一方側の前後フレーム21を制動抵抗器100側に移動させることになる。
かかる一方側の前後フレーム21の移動によっても、中間シーブ体50と制動抵抗器100とが干渉しないようにする必要がある。そのため、スペースSPは、2つの車輪41の幅の合計分と、さらに余裕分を加えた以上の寸法に設定されている必要がある。なお、かかる余裕分の寸法としては、適宜の寸法が設定可能であり、また余裕分はゼロとしても良い。
また、次のように寸法を設定しても良い。すなわち、上述の寸法L1は、車輪41が搭載される2つのレールRのフランジ部R1の幅の合計分と、さらに余裕分を加えた以上の寸法としても良い。図5および図6から明らかなように、レールRのフランジ部R1の幅は、車輪41の幅よりも大きい。そのため、このような寸法設定としても良好な乗架が可能となる。
ここで、図5および図6に示すように、カウンタウェイト80の下端側(Z2側)は、ロープドラム機構30の下端側(Z2側)と同等の高さとなるように設けられている(図5および図6では、いずれの下端側も一点鎖線Mに位置している)。しかも、制動抵抗器100の下端側(Z2側)の高さは、カウンタウェイト80の下端側(Z2側)の高さよりも上方側(Z1側)に位置している。そのため、いずれか一方の下端側(Z2側)が下方に突出する場合のような、ロープホイスト10の高さ方向における寸法が小さくなるのを防止可能となっている。
<12.作用効果>
以上のような構成のロープドラム機構30におけるロープガイド機構34、およびロープホイスト10においては、リング部材35を構成する2つの摺動部材36を共通化することが可能となる。このため、2つの摺動部材36を製作する際に、別々の金型を用いずに済み、製作コストを低減することができる。
ここで、ロープ溝311に沿って半周すると、ロープ溝311の半分のピッチだけ、軸方向(X方向)に進行する。そのため、摺動部材に形成されている雄ネジ部が、従来のような通常のネジ部分である場合には、その半ピッチのずれを考慮して、2つの摺動部材を別々の形状に形成する必要があり、2つの摺動部材の金型を別々に製作する必要がある。
しかしながら、2つの摺動部材36の突条361のピッチは、ロープドラム31のロープ溝311のピッチの半分に設けられていると共に、これらの突条361のリードは、ロープ溝311のリードと同じとなるように設けられている。そのため、ロープ溝311に沿って半周し、そのロープ溝311の半分のピッチだけ、軸方向(X方向)に進行しても、突条361にて、その半ピッチ分のずれを良好に解消することができる。しかも、そのような半ピッチ分のずれの解消を、同一形状の摺動部材36で実現することができるので、2つの摺動部材36を形成する場合に、同一の金型を用いて製作することができ、製作コストを低減することができる。
また、本実施の形態では、2つの摺動部材36は、互いに直接接触する状態で、ボルトBTやナットNT等の結合手段によって固定されている。このため、2つの摺動部材36の間に別個の部材を必要としない。したがって、リング部材35は部品点数が低減された簡易な構成とすることができ、製作コストを低減することができる。
さらに、本実施の形態では、2つの摺動部材36のうちの1つの摺動部材36には、一対の幅広部362の間に位置するようにガイド部材38が取り付けられ、そのガイド部材38は、摺動部材36に連結される連結部382と、ワイヤロープWの直径以上の隙間を幅狭部363と有する状態で位置する円弧状部381とを有している。このため、ガイド開口部34aを良好に形成することができる。
さらに、ガイド部材38には、案内軸Gに対して摺動する鉤形状の係合部383が設けられている。そのため、1つのガイド部材38で、ガイド開口部34aの形成と案内軸Gへの摺動とを兼ね備えることが可能となり、部品点数を低減可能となる。また、係合部383が鉤形状に設けられていることにより、ロープドラム機構30が案内軸Gから外れ難くなる。そのため、ロープホイスト10に振動等が加わっても、ロープドラム31に巻回されているワイヤロープWを良好に抑えつつ、巻回および巻解きをガイドすることが可能となる。
また、本実施の形態では、幅広部362のうち、軸方向(X方向)において突条361と隣接する部位には、ロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWと対向する対向案内部362aが設けられている。しかも、連結部382よりも内周側(内径側)の部位には、ロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWと対向する延長案内部362bが設けられている。このため、摺動部材36側では、ロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWと対向する面積を増やすことができる。それにより、何らかの拍子にロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWが外れる等のような、ワイヤロープWが乱巻きされるのを一層良好に防止可能となる。
さらに、本実施の形態では、摺動部材36のうちガイド部材38が取り付けられていない方の幅狭部363には、ロープ溝311に入り込んでいるワイヤロープWに対して接触するローラ392を有する押圧ローラ体39が取付軸394を介して取り付けられている。しかも、押圧ローラ体39は、ワイヤロープWがロープ溝311から外れない付勢力を与える付勢バネ393を有している。そのため、ワイヤロープWが乱巻きされるのを良好に防止可能となる。
ここで、従来構成においては、2つの摺動部材36における突条361が同一形状でないため、ピッチ数の同じ突条は、軸方向(X方向)で同じ位置に位置している。しかしながら、本実施の形態では、図15に示すように、同一形状の2つの摺動部材36の位置関係は、一方の突条361が他方の突条361に対して、半ピッチだけ軸方向(X方向)でずれた位置に位置している。しかも、ガイド部材38が取り付けられている摺動部材36は、ワイヤロープWが巻回されている側にずれている。このため、押圧ローラ体39の取付軸394の軸長が短くなり、それによって取付軸394およびこの取付軸394の固定部分(幅狭部363側およびローラ支持具391側)での応力を小さくすることができる。
<13.変形例>
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、一端接続部364aは、幅広部362よりも軸方向(X方向)における寸法が小さな凸状部364a1を有している。しかも、凸状部364a1は、幅広部362よりも幅方向(X方向)の中央寄りに位置している。また、他端接続部364bは、一対の腕部364b1を有している。しかしながら、一端接続部および他端接続部としては、他の構成を採用しても良い。たとえば、一端接続部は、幅方向(X方向)の一方側に突出部が存在する構成とし、他端接続部は、幅方向(X方向)の他方側に突出部が存在する構成とする。そして、これらが直接接触した状態で、結合手段で固定される構成としても良い。
また、上述の実施の形態では、突条361のピッチは、ロープ溝311のピッチの半分に設けられている。また、突条361のリードは、ロープ溝311のリードと同じとなるように設けられている。しかしながら、ロープ溝311に沿って半周した場合に、半ピッチ分のずれが生じないものであれば、突条361のピッチは、どのようにしても良い。たとえば、1/4ピッチにしても良く、その他のピッチにしても良い。
また、上述の実施の形態では、突条361のピッチが、ロープ溝311のピッチの半分となるのに伴い、突条361のネジ溝の深さも、ロープ溝311よりも浅くなっている。また、突条361は2条ネジとなっているため、常にロープ溝311のネジ山が入り込む部分と、ロープ溝311のネジ山が全く入り込まない部分とが存在している。しかしながら、突条361のうち、ロープ溝311のネジ山が全く入り込まない部分に、別途の部材(嵌合部材)を嵌め込む構成としても良い。そして、その嵌合部材の突出高さが、突条361のネジ山の突出高さよりも高くなるようにしても良い。このようにすれば、嵌合部材の突出端部と、突条361のネジ谷の距離が大きくなる。それにより、突条361のネジ溝の深さが浅い場合に生じがちな、突条361がロープ溝311から外れる場合がある、という問題を解消可能となる。なお、嵌合部材としては、ワイヤ状のもの等、どのようなものであっても良い。
また、上述の実施の形態では、寸法L1は、想定されている最大幅のレールRに乗架された場合の一方側(Y1側)の前後フレーム21の位置を基準位置とした場合、両方側の車輪41の幅の合計分と、さらに余裕分を加えた以上の寸法に設定されている。しかしながら、かかる寸法L1は、幅方向(Y方向)におけるガイドローラ46の内側(フランジ部R1に接触する側)間の寸法に、そのガイドローラ46の内側と車輪41の内側(レールRの中心側)の間の距離の2倍を加え、さらに余裕分を加えた寸法としても良い。
また、上述の実施の形態では、ドラム用モータ32についてインバータ制御されるものとして説明している。しかしながら、横行用モータ42についても、インバータ制御するものとしても良い。
また、上述の実施の形態では、横行用モータ42を有するトロリ機構40を備えるロープホイスト10について説明している。しかしながら、横行用モータ42を備えない、手動式のトロリ機構を備えるロープホイストであっても、ドラム用モータ32をインバータ制御するための制動抵抗器100を備えるものであれば、本発明を適用しても良い。
また、上述の実施の形態におけるロープホイスト10は、ワイヤロープWの一端はロープドラム31に固定され、ワイヤロープWの他端はロープ固定部材60に固定され、その間に中間シーブ体50が配置された、いわゆる4/1掛けタイプのものとなっている。しかしながら、本発明は、4/1掛けタイプのみに適用されるものではない。たとえば、ワイヤロープWの一端はロープドラム31に固定され、ワイヤロープWの他端はロープ固定部材60に固定されるものの、中間シーブ体を用いない、いわゆる2/1掛けタイプのものに本発明を適用しても良い。また、ワイヤロープWの一端は一方のロープドラム31に固定され、ワイヤロープWの他端は他方のロープドラム(このロープドラムのロープ溝は、ロープドラム31とは逆向きとなっている)に固定され、その間に中間シーブ体50が配置された、いわゆる4/2掛けタイプのものに本発明を適用しても良い。