本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。本発明の実施の形態においては、製造装置の典型例として、半導体製品の製造装置について説明する。典型例として、本実施の形態に従う製造装置は、シンギュレーション工程(個片化工程)に向けられた切断装置に関する。
[A.製造装置の全体構成]
まず、本実施の形態に従う製造装置1の全体構成についてその概略を説明する。図1は、本実施の形態に従う製造装置1の全体構成を示す模式図である。図1を参照して、製造装置1は、複数の電子部品を基板上に一括して装着した後に封止成形された基板(以下、「被切断物5」とも称す。)を、指定された切断パターンに従って切断することで複数のパッケージ(以下、パッケージ全体または個別のパッケージを「ワーク」とも称す。)を生成する。そして、製造装置1は、生成した複数のパッケージを指定されたトレイ27上に再配置した上で、次工程へ送出する。
図1に示す製造装置1は、受入モジュール2と、切断モジュール3と、払出モジュール4とを含む。各モジュールの名前は、その機能に応じたものになっている。受入モジュール2は、前工程から被切断物5を受入れる部分であり、適切なタイミングで被切断物5を切断モジュール3へ渡す。切断モジュール3は、指定された切断パターンに従って被切断物5を切断する。払出モジュール4は、被切断物5が切断されることで生成される複数のパッケージ(ワーク7)を、指定されたトレイ27に、指定された規則に従って再配置した上で、次工程へ送出する。
典型的には、図1に示すそれぞれのモジュールを個別に組み立てた上で、互いに連結することで、製造装置1が構成される。このようなモジュール単位の構成を採用することで、モジュール同士を容易に装着できるとともに、互いに分離することもできる。そのため、事後的なモジュールの交換やモジュールの追加が容易になる。さらに、特定のモジュールの多重化といった変形も容易である。モジュールの区切りをより小さく、あるいは、より大きくしてもよい。モジュール構造に限定されることなく、装置全体を一体的に構成してもよい。
以下、各モジュールについてより詳細に説明する。なお、説明の便宜上、紙面左右方向を「X方向」と称し、紙面上下方向を「Y方向」と称し、紙面鉛直方向を「Z方向」と称する。また、XY平面での回転を「θ」で表す。
受入モジュール2は、プレステージ21を有しており、受入れられた被切断物5は、まずプレステージ21上に配置される。図1には、説明の便宜上、切断パターン51を被切断物5の表面上に破線で示すが、現実には、被切断物5の表面に切断パターン51が明示されているわけではない。
切断モジュール3は、切断用ステージ22と、切断用ステージ22を移動させる切断用移動機構23と、スピンドル24と、スピンドル24と機械的に結合された回転刃25と、位置決め用カメラ28とを含む。プレステージ21上の被切断物5は、図示しない移送機構によって、切断用ステージ22上に配置される。続いて、切断用移動機構23は、スピンドル24および回転刃25に近接するように、切断用ステージ22をY方向へ移動させて、切断処理が開始される。切断処理においては、指定された切断パターンに従って、切断用移動機構23が切断用ステージ22(すなわち、被切断物5)をY方向およびθ回転させるとともに、スピンドル24がX方向に移動する。このような連係動作によって、回転刃25が指定された切断パターンに従って被切断物5上を通過することになる。切断処理が完了すると、切断用移動機構23は、切断用ステージ22を当初の位置に戻す。
払出モジュール4は、インデックステーブル26と、トレイ27と、移載機構8とを含む。切断用ステージ22上の切断後の被切断物5(すなわち、パッケージの集合体6)は、図示しない移送機構によって、インデックステーブル26上に配置される。続いて、移載機構8が、インデックステーブル26上のパッケージの集合体6に含まれる各パッケージ(ワーク7)を係着した状態で移動させて、指定された配置パターンに従ってトレイ27上に置載する。図1には、一例として、複数の移載装置80A,80B(以下、「移載装置80」とも総称する。)を含む移載機構8を示す。移載装置80は、X方向およびZ方向に移動可能に構成されており、後述するような処理によって決定された搬送モードに従って、インデックステーブル26からトレイ27へワーク7を搬送する。本実施の形態においては、係着する一形態として、真空発生器(エジェクタ)を利用して吸引力を発生させることでワーク7を吸着する。払出モジュール4は、吸引源として、1つ以上の真空ポンプ9が設けられている。
上述した製造装置1における処理は、制御部100によって制御される。制御部100のハードウェア構成およびソフトウエア構成については、後述する。
[B.移載機構の構成]
次に、図1に示す移載機構8の構成についてより詳細に説明する。移載機構8(移載装置80)は、規則的に配置された複数のワーク7を係着して搬送する機能を実現する。図1には、2つの移載装置80が並列に配置される構成を示すが、単独の移載装置80からなる構成を採用してもよいし、より多くの移載装置80が並列配置された構成を採用してもよい。以下では、説明の便宜上、1つの移載装置80について着目して説明する。
図2は、本実施の形態に従う製造装置1に採用される移載機構8を示す模式図である。図2を参照して、移載機構8において、移載装置80は、その回転面がXY平面と平行に張られたベルト85に結合されている。より具体的には、移載装置80は、複数の吸着ヘッド84_1〜84_7(以下、「吸着ヘッド84」とも総称する。)が配置された本体部82と、ベルト85を回転駆動するサーボモータ83とを含む。サーボモータ83が回転駆動することで、本体部82は、X方向に所定距離だけ離れて配置されたインデックステーブル26とトレイ27との間を自在に移動できる。
複数の吸着ヘッド84は、ワーク7を係着するための一つの構成例であり、真空ポンプ9(図1)が発生する負圧を用いて、ワーク7を吸引することで、ワーク7を係着する。本明細書において、「ワークを係着する」とは、ワーク7との間で何らかの結合力を発揮させることで、ワーク7を自由に搬送できる状態にすることを意味する。係着の手段としては、吸引に限定されることなく、ワーク7を側面で把持する方法、ワーク7を底面から支持する方法、磁気により生じる吸引力を利用する方法、および、静電気により生じる吸引力を利用する方法などを採用してもよい。
本体部82において、複数の吸着ヘッド84は、X方向に沿って配置されるとともに、吸着ヘッド84の間隔は、ワーク7の幅に応じて、X方向に拡大および縮小できるようになっている。
図2に示すように、移載装置80(移載機構8)は、X方向(第1の方向)に沿って等間隔に順次配置された複数の吸着ヘッド84(係着部材)を含む本体部82と、本体部82をインデックステーブル26が配置されている位置(第1の位置)からトレイ27が配置されている位置(第2の位置)へ移動させる移動機構(ベルト85およびサーボモータ83)を含む。そして、本体部82および移動機構は、制御部100によって制御される。
インデックステーブル26は、被切断物5を切断することで生成される複数のパッケージが配置される部材であり、各ワーク7が配置される凹部261が行列状に形成されている。搬送時などに、凹部261のそれぞれに配置されるワーク7を固着するために、凹部261の底面には、吸引口262が設けられている。吸引口262を通じて負圧を生じさせることで、凹部261に配置されたワーク7が周辺の影響を受けて吹き飛ぶといった事態を防止できる。
トレイ27についても、ワーク7が配置される凹部271が行列状に形成されている。但し、トレイ27における凹部271の配置構成は、インデックステーブル26における凹部261の配置構成とは必ずしも一致していない。そのため、移載装置80(移載機構8)が両者の配置構成の不一致を整合化する。
図1および図2には、吸着ヘッド84の間隔は、X方向に拡大および縮小するように構成されており、かつ、移載機構8(移載装置80)自体もX方向に移動する構成を例示する。すなわち、移動機構(ベルト85およびサーボモータ83)は、本体部82をX方向(第1の方向)に移動させる。一方で、インデックステーブル26およびトレイ27は、Y方向に移動するように構成されている。このような構成を採用することで、移載機構8(移載装置80)、インデックステーブル26、およびトレイ27をそれぞれの方向に独立して制御できるので、制御性および効率性を高めることができる。
但し、移載機構8(移載装置80)の移動方向は、図1および図2に示す構成に限られず、Y方向に移動させてもよい。すなわち、吸着ヘッド84の間隔を調整する方向と、本体部82が移動する方向とを一致させてもよいし、異ならせてもよい。また、移動機構としては、図2に示すベルト85およびサーボモータ83の構成に限られず、例えば、ボールネジを用いた構成やリニアモータを用いた構成を採用してもよい。
図3は、図2に示す移載装置80における吸着ヘッド84の可動機構を説明するための模式図である。図3を参照して、本体部82において、7つの吸着ヘッド84_1〜84_7が配置されており、これらの吸着ヘッド84は、ガイド862を貫通するように構成されるとともに、ベルトによってそれぞれの間隔が調整される。
移載装置80は、駆動プーリー871,881,891およびそれぞれ対応する従動プーリー872,882,892を含む。駆動プーリー871,881,891は、互いに異なる直径を有するとともに、共通の回転軸を有している。駆動プーリー871,881,891は、その回転軸の長軸方向(図3に示す例では紙面上下方向)に、所定間隔だけ離れた状態で配置されている。一方、従動プーリー872,882,892は、同一の直径を有するとともに、共通の回転軸を有している。従動プーリー872,882,892についても、その回転軸の長軸方向(図3に示す例では紙面上下方向)に、所定間隔だけ離れた状態で配置されている。
駆動プーリー871,881,891の中心にある回転軸は、連結部861を介して回転駆動機構であるサーボモータ86と機械的に結合されている。制御部100(図1)からのピッチ変更指令に応答して、サーボモータ86が回転すると、連結部861を介して連結された回転軸が回転し、それに伴って、駆動プーリー871,881,891が同一の角速度で回転する。なお、本明細書において、「ピッチ」とは、同種類の部材が整列配置されている状態において、隣接する部材の中心間同士の距離を意味する。
駆動プーリー871,881,891と対応する従動プーリー872,882,892との間には、ベルト873,883,893がそれぞれ懸架されており、駆動プーリー871,881,891の回転に伴って、それぞれベルト873,883,893が周回することになる。
駆動プーリー871,881,891の直径および従動プーリー872,882,892の直径は、吸着ヘッド84の間隔が変化しても、複数の吸着ヘッド84の配置が等間隔に維持されるように決定される。より具体的には、駆動プーリー871,881,891の直径は、それぞれφ2L,φL,φ3L(一設計例としては、φ30mm,φ15mm,φ45mm)のように、φLの整数倍になるように設計されている。一方、従動プーリー872,882,892の直径は、いずれもφLとなるように設計されている。
図3に示す7つの吸着ヘッド84_1〜84_7のうち、最も外端側にある吸着ヘッド84_1および84_7は、固着具894によって、最も直径の大きな駆動プーリー891に懸架されているベルト893に固着されている。吸着ヘッド84_1および84_7とそれぞれ内側に隣接する吸着ヘッド84_2および84_6は、固着具874によって、2番目に直径の大きな駆動プーリー871に懸架されているベルト873に固着されている。吸着ヘッド84_2および84_6とそれぞれ内側に隣接する吸着ヘッド84_3および84_5は、固着具884によって、最も直径の小さな駆動プーリー881に懸架されているベルト883に固着されている。なお、図3に示す移載装置80において、吸着ヘッド84_4は、本体部82と一体化されている。
駆動プーリー871,881,891のそれぞれの直径を図3に示すように設計することで、サーボモータ86がある回転角だけ回転した場合に、吸着ヘッド84_1および84_7は、吸着ヘッド84_3および84_5が元の位置から移動する距離(ΔD)を基準にすると、その3倍(ΔD×φ3L/φL=3ΔD)だけ移動することになる。同様に、吸着ヘッド84_2および84_6は、基準の距離の2倍(ΔD×φ2L/φL=2ΔD)だけ移動することになる。
このように、サーボモータ86の回転角に応じて、それぞれの吸着ヘッド84は、所定比率の関係をもつ移動量だけそれぞれ移動するので、複数の吸着ヘッド84の等間隔配置は維持される。すなわち、移載装置80の本体部82は、制御部100からの指令に従って、等間隔を維持したまま、吸着ヘッド84(係着部材)の間隔をX方向(第1の方向)に沿って調整可能に構成されている。
図3には、ベルトおよび駆動プーリーによって吸着ヘッド84のピッチを調整する構成について例示した。これに限られることなく、任意の構成を採用できる。第1の例として、複数の溝を有する溝付プレートと、エアシリンダ等の駆動機構とを有する構成を採用できる。各吸着ヘッド84(図3)の中央部は、本体部82に固定されたレールに沿って移動可能にそのレールに拘束される。レールに沿う方向がピッチを調整する方向(調整方向)である。各吸着ヘッド84の上部には、その吸着ヘッド84の本体に直交して一端が固定された棒状部材が設けられる。各棒状部材の他端は、それぞれ溝付プレートが有する複数の溝にはめ込まれ、それぞれの溝に沿って動くことができる。溝付プレートが有する複数の溝は、それぞれ調整方向に対して斜めに交わるようにして、複数個設けられる。複数の溝は、溝付プレートの中心線を挟んで対称に配置される。複数の溝のうち上述した中心線に最も近い位置にある一対の溝は、調整方向に対して直交する方向から少しだけ傾いて設けられる。この傾きは、溝において上側(駆動機構に近い側)が上述した中心線に近づくような傾きである。溝が中心線から離れるにしたがって傾きは順次大きくなる。この構成によれば、溝付プレートが下降すれば吸着ヘッド84のピッチが小さくなり、溝付プレートが上昇すれば吸着ヘッド84のピッチが大きくなる。
第2の例として、円柱状部材の周面に設けられた傾いた複数の溝と、円柱状部材の軸の回りにその円柱状部材を回転させるモータ等の駆動機構とを有する構成を採用できる。傾いた複数の溝は、円柱状部材の長さ方向における中心線(軸に直交する中心線)を挟んで対称に配置される。各吸着ヘッド84(図3)の本体に直交して一端が固定された棒状部材の他端がそれらの溝にはめ込まれ、それぞれの溝に沿って動くことができる。この構成によれば、円柱状部材が一方向に回転すれば吸着ヘッド84のピッチが小さくなり、他方向に回転すれば吸着ヘッド84のピッチが大きくなる。
図4は、図2に示す移載装置80における吸着ヘッド84の吸着機構を説明するための模式図である。図4には、N個の吸着ヘッド84_1,84_2,…,84_Nを有する移載装置80の例を示す。移載装置80には、真空ポンプ9に接続された吸気側配管816、および、フィルタ819を介して大気に開放された排気側配管818が設けられている。各吸着ヘッド84_1,84_2,…,84_Nは、電磁弁810_1,810_2,…,810_Nを介して、吸気側配管816および排気側配管818のうち一方と選択的に接続される。制御部100(図1)からの吸着指令に従って、ソレノイド812_1,812_2,…,812_N(以下、「ソレノイド812」とも総称する。)が駆動される。ソレノイド812の駆動に応じて、電磁弁810_1,810_2,…,810_Nは、個別配管814_1,814_2,…,814_Nを吸気側配管816または排気側配管818にそれぞれ選択的に接続する。すなわち、電磁弁810_1,810_2,…,810_Nは、本体部82を構成する吸着ヘッド84の数だけ設けられ、真空ポンプ9(吸引源)との間の接続を開通/遮断させることで、指定された吸着ヘッド84のみを選択的に有効化する。個別配管814_1,814_2,…,814_Nの経路中には、フィルタ813_1,813_2,…,813_Nがそれぞれ設けられている。
典型的には、ソレノイド812_1,812_2,…,812_Nは、通常状態(ソレノイドが駆動されていない状態)において、各個別配管814を排気側配管818に接続するように構成される。後述するように、複数の吸着ヘッド84のうち、一部分の吸着ヘッド84のみがワーク7の搬送に使用される場合には、当該ワーク7の搬送に使用される吸着ヘッド84に対応するソレノイド812のみが駆動される。
このような構成を採用することで、複数の吸着ヘッド84のうち、ワーク7の搬送に使用される吸着ヘッド84を自在に選択することができる。
[C.制御部の構成]
次に、制御部100の構成について説明する。図5は、本実施の形態に従う制御部100のハードウェア構成および関連する移載装置80のコンポーネントを示す模式図である。図5には、典型例として、汎用的なアーキテクチャに従うコンピュータを採用した制御部100の構成例を示す。制御部100では、汎用OS(Operating System)およびリアルタイムOSがそれぞれ実行されることで、HMI(Human-Machine Interface)機能および通信機能と、リアルタイム性が要求される制御機能とを両立する。
より具体的には、制御部100は、主たるコンポーネントとして、入力部102と、出力部104と、メインメモリ106と、光学ドライブ108と、演算部110と、ハードディスクドライブ(HDD)120と、ネットワークインターフェイス112と、サーボモータインターフェイス114と、アクチュエータインターフェイス116とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス119を介して互いにデータを遣り取りできるように接続されている。
入力部102は、ユーザからの操作を受付けるコンポーネントであり、典型的には、キーボード、タッチパネル、マウス、トラックボールなどを含む。出力部104は、制御部100での処理結果などを外部へ出力するコンポーネントであり、典型的には、ディスプレイ、プリンタ、各種インジケータなどを含む。メインメモリ106は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などで構成され、演算部110で実行されるプログラムのコードやプログラムの実行に必要な各種ワークデータを保持する。
演算部110は、HDD120に格納されたプログラムを読出して、入力されたデータに対して処理を実行する処理主体である。本実施の形態に従う制御部100の演算部110は、汎用OSおよび当該汎用OS上で動作する各種アプリケーション、ならびに、リアルタイムOSおよび当該リアルタイムOS上で動作する各種アプリケーションをそれぞれ並列的に実行できるように構成される。一例として、演算部110は、複数のプロセッサからなる構成(いわゆる「マルチプロセッサ」)、単一のプロセッサ内に複数のコアを含む構成(いわゆる「マルチコア」)、および、マルチプロセッサとマルチコアとの両方の特徴を有する構成、のいずれかで実現される。
HDD120には、典型的には、汎用OS122と、リアルタイムOS124と、HMIプログラム126と、制御プログラム128とが格納される。汎用OS122およびリアルタイムOS124は、それぞれメインメモリ106に展開された上で、演算部110によってそれぞれ実行される。HMIプログラム126は、汎用OS122の実行環境下で動作し、主として、ユーザとの遣り取りに係る処理を実現する。制御プログラム128は、リアルタイムOS124の実行環境下で動作し、製造装置1を構成するそれぞれのコンポーネントを制御する。
本実施の形態に従う制御部100において実行される各種プログラムは、DVD−ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)などの記録媒体108Aに格納されて流通する。記録媒体108Aは、光学ドライブ108でその内容が読取られてHDD120にインストールされる。すなわち、本発明のある局面は、制御部100を実現するためのプログラムおよび当該プログラムを格納する何らかの記録媒体を含む。これらの記録媒体としては、光学記録媒体の他、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、半導体記録媒体などを用いてもよい。なお、本実施の形態に従う搬送プログラムは、主として、制御プログラム128内に含まれる。
なお、図5には、HDD120に複数種類のプログラムがインストールされている形態を例示するが、これらのプログラムを一つのプログラムとして一体化してもよいし、さらに別のプログラムの一部として組み入れてもよい。
ネットワークインターフェイス112は、外部装置との間でネットワークを介してデータを遣り取りする。典型的には、ネットワークインターフェイス112は、上位ネットワークにある製造管理コンピュータなどから品種情報(被切断物5の切断パターンやパッケージの配置パターンなど)を受信するとともに、製造装置1の製造状態などの情報を製造管理コンピュータへ送信する。ネットワークインターフェイス112と外部装置との間の接続は、イーサネット(登録商標)などに従う有線接続でもよいし、無線LANなどの無線接続でもよい。
HDD120にインストールされるプログラムは、ネットワークインターフェイス112を介してサーバから取得するようにしてもよい。つまり、本実施の形態に従う制御部100を実現するプログラムは、任意の方法でダウンロードしてHDD120にインストールするようにしてもよい。
サーボモータインターフェイス114およびアクチュエータインターフェイス116は、移載装置80を構成するコンポーネントに対する制御を仲介する。
サーボモータインターフェイス114は、移載機構8に設けられているサーボモータを駆動するサーボドライバに対して指令を与える。より具体的には、サーボモータインターフェイス114は、フィールドバス115を介してサーボドライバ131,132,133に接続される。サーボドライバ131は、移載装置80をX方向に移動させるためのサーボモータ134を駆動する。サーボドライバ132は、吸着ヘッド84の間隔を変更するためのサーボモータ86(図3)を駆動する。サーボドライバ133は、移載装置80をZ方向に移動させるためのサーボモータ136(図21,図22)を駆動する。
アクチュエータインターフェイス116は、フィールドバス117を介して、リレー140_1,リレー140_2,…,リレー140_Nに接続されるとともに、フィールドバス118を介して、リレー150_1,リレー150_2,…,リレー150_Nに接続される。
リレー140_1,リレー140_2,…,リレー140_Nは、制御部100からの指令に応答して、ソレノイド812_1,812_2,…,812_Nをそれぞれ活性化する。図4に示すように、ソレノイド812_1,812_2,…,812_Nは、電磁弁810_1,810_2,…,810_Nをそれぞれ駆動することで、対応する吸着ヘッド84_1,84_2,…,84_Nを有効化する。
リレー150_1,リレー150_2,…,リレー150_Nは、制御部100からの指令に応答して、シリンダー152_1,152_2,…,152_Nをそれぞれ駆動する。シリンダー152_1,152_2,…,152_Nは、ワーク7の搬送に使用されない吸着ヘッド84をワーク7から離した状態に維持する。シリンダー152_1,152_2,…,152_Nを用いた構成については、図21および図22を参照して後述する。
図5には、演算部110がプログラムを実行することで、本実施の形態に従う制御部100を実現する構成例について説明したが、これに限られることなく、本発明に係る製造装置または搬送方法が現実に実装される時代の技術水準に応じた構成を適宜採用することができる。例えば、制御部100が提供する機能の全部または一部をLSI(Large Scale Integration)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路を用いて実装してもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの再プログラム可能な回路素子を用いて実装してもよい。さらにあるいは、図5に示す制御部100が提供する機能を複数の処理主体が互いに協働することで実現してもよい。例えば、制御部100が提供する機能を複数のコンピュータを連係させて実現してもよい。
[D.概要]
次に、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理について、関連技術と比較して概略する。図6は、本実施の形態に従う製造装置1による搬送処理のうちピックアップ処理の概略を説明するための模式図である。図7は、本実施の形態に従う製造装置1による搬送処理のうちプレース処理の概略を説明するための模式図である。
関連技術において、複数の吸着ヘッド84を使用して複数のワーク7を一括搬送する場合には、複数の吸着ヘッド84と複数のワーク7とをそれぞれの順序に従って関連付けている。搬送元のインデックステーブル26においては、規則的に形成された凹部261に関連付けて、ワーク7が所定の配置規則に従って配置されており、搬送先のトレイ27においては、規則的に形成された凹部271に関連付けて、ワーク7が所定の配置規則に従って再配置(置載)される。なお、搬送元および搬送先におけるそれぞれのワーク7の配置規則は、インデックステーブル26およびトレイ27自体の構造(すなわち、凹部の数および大きさなど)に依存するだけではなく、切断パターンなどに応じたワーク7の配置制約(例えば、千鳥配置など)などにも依存して定められる。
ワーク7を係着する処理(ピックアップ処理)についてみれば、吸着ヘッド84の間隔は、インデックステーブル26上に配置されるワーク7の間隔に整合するように調整される。例えば、最も左端に位置する第1の吸着ヘッド84が搬送元(図1に示す例では、インデックステーブル26)のある位置に配置された第1のワーク7を係着するように設定されると、第1の吸着ヘッド84の右隣にある第2の吸着ヘッド84は、インデックステーブル26上において第1のワーク7の右隣にある第2のワーク7に関連付けられる。すなわち、複数の吸着ヘッド84の配置順序と搬送対象の複数のワーク7の配置順序とは、一対一で対応付けられる。
ワーク7を置載する処理(プレース処理)についてみれば、吸着ヘッド84の間隔は、トレイ27上においてワーク7の配置対象となる配置位置(すなわち、トレイ27に形成された複数の凹部271のうちあるサイクルにおいてワーク7が置載される凹部271)の間隔に整合するように調整される。例えば、最も左端に位置する吸着ヘッド84_1が搬送先(図1に示す例では、トレイ27)の凹部271_1にワーク7を置載するように設定されると、吸着ヘッド84_1の右隣にある吸着ヘッド84_2は、トレイ27上において凹部271_1の右隣にある凹部271_2に関連付けられる。すなわち、複数の吸着ヘッド84の配置順序と搬送先の凹部271の配置順序とは、一対一で対応付けられる。
本願発明者は、このような吸着ヘッド84とワーク7との関連付けの規則、および、吸着ヘッド84とトレイ27上の凹部271との関連付けの規則を採用した場合には、ワーク7の配置規則が吸着ヘッド84の調整範囲に整合するときにはうまく機能するが、整合しないときには、複数のワーク7を一括して搬送できないという新たな課題を見出した。
以下、このような新たな課題に対して、図6を参照して、ピックアップ処理における解決手段を説明し、図7を参照して、プレース処理における解決手段を説明する。
(d1:ピックアップ処理)
図6(A)(関連技術)には、吸着ヘッド84の間隔を最大にした状態の一例を示す。図6(A)(関連技術)を参照して、ワーク7の間隔が吸着ヘッド84の間隔の調整可能な最大値より大きい場合には、吸着ヘッド84_1がワーク7_1を係着することはできるが、吸着ヘッド84_1に隣接する吸着ヘッド84_2がワーク7_1に隣接するワーク7_2を係着することはできない。このような場合には、複数の吸着ヘッド84のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84を間引く、すなわち所定数(この例では、1つ)ずつ飛ばして選択することで、吸着ヘッド84の見かけ上の間隔を拡大する。図6(A)(本実施の形態)に示す例では、吸着ヘッド84_1および84_3がワーク7_1および7_2をそれぞれ係着することになる。吸着ヘッド84_2は、ワーク7の吸着には使用されない。なお、ワーク7の吸着に使用される吸着ヘッド84_1および84_3の間隔は、適宜調整される。
このように、制御部100は、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84(係着部材)を複数の吸着ヘッド84(係着部材)から所定数おきに選択する。特に、ワーク7の間隔が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の最大値より大きい場合(図6(A)に示す場合)には、制御部100は、吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84がワーク7の間隔と一致できるように、吸着ヘッド84の選択に係る所定数(飛ばし数)を決定する。
一方、図6(B)(関連技術)には、吸着ヘッド84の間隔を最小にした状態の一例を示す。図6(B)(関連技術)を参照して、ワーク7の間隔が吸着ヘッド84の間隔の調整可能な最小値より小さい場合には、吸着ヘッド84_1がワーク7_1を係着することはできるが、吸着ヘッド84_1に隣接する吸着ヘッド84_2がワーク7_1に隣接するワーク7_2を係着することはできない。このような場合には、複数のワーク7のうち係着の対象となるワーク7を間引く、すなわち所定数(この例では、1つ)ずつ飛ばして選択することで、ワーク7の見かけ上の間隔を拡大する。図6(B)(本実施の形態)に示す例では、吸着ヘッド84_1,84_2,84_3がワーク7_1,7_3,7_5をそれぞれ係着することになる。このとき、ワーク7_2,7_4は、次サイクル以降の搬送処理において搬送されることになる。なお、ワーク7の吸着に使用される吸着ヘッド84_1,84_2,84_3の間隔は、適宜調整される。
このように、制御部100は、係着の対象となるワーク7を複数のワーク7から所定数おきに選択する。特に、ワーク7の間隔が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の最小値より小さい場合(図6(B)に示す場合)には、制御部100は、吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔が係着の対象となるワーク7の間隔と一致できるように、ワーク7の選択に係る所定数(飛ばし数)を決定する。
説明の便宜上、図6(A)には、使用される吸着ヘッド84を複数の吸着ヘッド84から所定数おきに選択する例を示し、および図6(B)には、係着の対象となるワーク7を複数のワーク7から所定数おきに選択する例を示すが、両者を併せてもよい。すなわち、吸着ヘッド84を複数の吸着ヘッド84から所定数おきに選択するとともに、係着の対象となるワーク7を複数のワーク7から所定数おきに選択してもよい。それぞれの飛ばし数を調整することで、ワーク7の配置規則が複雑な場合であっても、吸着ヘッド84の選択規則とワーク7の選択規則とのより効率的な組合せを決定できる。
以上のとおり、本実施の形態に従う製造装置1の制御部100は、インデックステーブル26(第1の位置)における複数のワーク7の配置規則に基づいて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84、および、複数のワーク7のうち係着の対象となるワーク7、の少なくとも一方を規則的に選択する。併せて、制御部100は、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する。このような処理を採用することで、様々な配置規則に従って配置され得る複数のワーク7について、より効率的な搬送を実現できる。
(d2:プレース処理)
図7(A)(関連技術)には、吸着ヘッド84の間隔を最大にした状態の一例を示す。図7(A)(関連技術)を参照して、トレイ27上の凹部271の間隔が吸着ヘッド84の間隔の調整可能な最大値より大きい場合には、吸着ヘッド84_1が凹部271_1にワーク7を置載することはできるが、吸着ヘッド84_1に隣接する吸着ヘッド84_2が凹部271_1に隣接する凹部271_2にワーク7を置載することはできない。このような場合には、複数の吸着ヘッド84のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84を間引く、すなわち所定数(この例では、1つ)ずつ飛ばして選択することで、吸着ヘッド84の見かけ上の間隔を拡大する。図7(A)(本実施の形態)に示す例では、吸着ヘッド84_1および84_3が凹部271_1および272_2にそれぞれワーク7を置載することになる。吸着ヘッド84_2は、ワーク7の係着には使用されない。なお、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84_1および84_3の間隔は、適宜調整される。
このように、制御部100は、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84(係着部材)を複数の吸着ヘッド84(係着部材)から所定数おきに選択する。特に、トレイ27上の凹部271(配置位置)の間隔が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の最大値より大きい場合(図7(A)に示す場合)には、制御部100は、吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84が対象となる凹部271の間隔と一致できるように、吸着ヘッド84の選択に係る所定数(飛ばし数)を決定する。
一方、図7(B)(関連技術)には、吸着ヘッド84の間隔を最小にした状態の一例を示す。図7(B)(関連技術)を参照して、トレイ27上の凹部271の間隔が吸着ヘッド84の間隔の調整可能な最小値より小さい場合には、吸着ヘッド84_1が凹部271_1にワーク7を置載することはできるが、吸着ヘッド84_1に隣接する吸着ヘッド84_2が凹部271_1に隣接する凹部271_2にワーク7を置載することはできない。このような場合には、複数の凹部271のうちワーク7の配置対象となる凹部271(配置位置)を間引く、すなわち所定数(この例では、1つ)ずつ飛ばして選択することで、凹部271の見かけ上の間隔を拡大する。図7(B)(本実施の形態)に示す例では、吸着ヘッド84_1,84_2,84_3が凹部271_1,271_3,271_5にそれぞれワーク7を置載することになる。このとき、凹部271_2,271_4には、次サイクル以降の搬送処理においてワーク7が置載されることになる。なお、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84_1,84_2,84_3の間隔は、適宜調整される。
このように、制御部100は、ワーク7の配置対象となるトレイ27上の凹部271(配置位置)を複数の凹部271から所定数おきに選択する。特に、凹部271(配置位置)の間隔が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の最小値より小さい場合(図7(B)に示す場合)には、制御部100は、吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔がワーク7の配置対象となる凹部271の間隔と一致できるように、凹部271の選択に係る所定数(飛ばし数)を決定する。
説明の便宜上、図7(A)には、使用される吸着ヘッド84を複数の吸着ヘッド84から所定数おきに選択する例を示し、および図7(B)には、ワーク7の配置対象となる凹部271を複数の凹部271から所定数おきに選択する例を示すが、両者を併せてもよい。すなわち、吸着ヘッド84を複数の吸着ヘッド84から所定数おきに選択するとともに、ワーク7の配置対象となる凹部271を複数の凹部271から所定数おきに選択してもよい。それぞれの飛ばし数を調整することで、トレイ27上にワーク7を置載する際の配置規則が複雑な場合であっても、吸着ヘッド84の選択規則と凹部271の選択規則とのより効率的な組合せを決定できる。
以上のとおり、本実施の形態に従う製造装置1の制御部100は、搬送先の配置規則(すなわち、トレイ27上のワーク7が配置されるべきレイアウト)に応じて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84、および、搬送先の配置規則(すなわち、トレイ27上に形成された凹部271のレイアウト)に含まれる複数の凹部271(配置位置)のうちワーク7の配置対象となる凹部271、の少なくとも一方を規則的に選択する。併せて、制御部100は、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する。このような処理を採用することで、ある配置規則に従って配置された複数のワーク7を搬送し、搬送元の配置規則とは異なる様々な配置規則に従って再配置しなければならないような場合であっても、より効率的なワーク搬送を実現できる。
(d3:整合処理)
本実施の形態に従う製造装置1の制御部100は、ピックアップ処理については、インデックステーブル26上に配置されるワーク7のうち係着対象となるワーク7を示すパターン(以下、「ピックパターン」とも称す。)を算出し、プレース処理については、トレイ27上のいずれの位置にワーク7を置載するのかを示すパターン(以下、「プレースパターン」とも称す。)を算出する。
図8は、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理を示す模式図である。図8を参照して、移載装置80は、ピックパターンに従って、インデックステーブル26上にある対象のワーク7を係着した後に、トレイ27の位置まで移動し、プレースパターンに従って、トレイ27上の指定された位置にワーク7を置載する。移載装置80の吸着ヘッド84の間隔は、インデックステーブル26からトレイ27までの移動中にも適宜調整される。
図8には、吸着ヘッド84_2,84_4,84_6がワーク7_1,7_2,7_3をそれぞれ係着し、移動後に、凹部271_1,271_3,271_5にそれぞれ置載する例を示す。
一方で、ピックパターンおよびプレースパターンは、それぞれ独立に算出することができる。そのため、ピックパターンとプレースパターンとの間で、整合がとれない場合も生じ得る。図9は、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理での不整合な状態の一例を示す模式図である。図9(A)には、あるピックパターンに従うワーク7の係着状態を示し、図9(B)には、あるプレースパターンに従うワーク7の置載直前の状態を示す。
図9(A)に示すピックパターンに従えば、吸着ヘッド84_1,84_4,84_7がワーク7_1,7_2,7_3をそれぞれ係着することになる。一方、図9(B)に示すプレースパターンに従えば、吸着ヘッド84_1,84_3,84_5,84_7がワーク7_1,7_2,7_3,7_4をそれぞれ凹部271_1,271_2,271_3,271_4に置載することになる。
図9に示す例では、ピックアップ処理とプレース処理との間で、少なくともワーク7の係着および置載に使用される吸着ヘッド84が一致しない。このような場合には、後述するような整合処理が実行され、ワーク7の係着および置載に使用される吸着ヘッド84が決定される。
整合処理においては、典型的には、先に算出されたピックパターンおよびプレースパターンの一方を基準として、他方を再度算出する処理が実行される。例えば、ピックパターンを定義する、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の選択および当該選択された吸着ヘッド84間の間隔の条件下で、新たなプレースパターンが算出される。あるいは、プレースパターンを定義する、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の選択および当該選択された吸着ヘッド84間の間隔の条件下で、新たなピックパターンが算出される。なお、両者を整合できない場合には、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別ピック」モードが実行される。
[E.処理手順]
次に、整合処理を含めた、搬送処理に係る全体の処理手順について説明する。以下では、本実施の形態に従うピックパターンの算出処理に関して、吸着ヘッド84およびワーク7の規則的な選択、ならびに、吸着ヘッド84の設定の具体的な処理手順の一例について詳述する。また、本実施の形態に従うプレースパターンの算出処理に関して、吸着ヘッド84およびトレイ27上の凹部271の規則的な選択、ならびに、吸着ヘッド84の設定の具体的な処理手順の一例について詳述する。
以下の説明においては、「規則的な選択」として、一列に配置された複数の吸着ヘッド84またはワーク7から、所定数おきに対象を選択する例、ならびに、一列に配置された複数の吸着ヘッド84または凹部271から、所定数おきに対象を選択する例を説明する。しかしながら、これらの例に限定されず、吸着ヘッド84とワーク7との間の幾何学的な関係が保たれる選択方法、および/または、吸着ヘッド84と凹部271との間の幾何学的な関係が保たれる選択方法であれば、どのような方法を採用してもよい。
(e1:前提知識)
まず、以下の処理手順の前提となる考え方や変数などについて、先に説明する。図10は、本実施の形態に従う製造装置1におけるワーク7の配置規則の一例を示す図である。図11は、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理のピックアップ処理において使用するピッチおよびピッチ数について説明する模式図である。
図10(A)には、ワーク7が全面にわたって規則的に配置されたワーク7の集合体6A(通常配置)の例を示す。図10(B)には、各ワーク7に隣接するワーク7が存在しないように規則的に配置されたワーク7の集合体6B(千鳥配置(チェッカーフラグパターン))の例を示す。本実施の形態に従う制御部100は、図10(B)に示す千鳥配置に限定されることなく、ワーク7が規則的に配置されていれば、どのような配置であっても効率的な搬送が可能である。
図11(A)には、図10(A)に示す通常配置のワーク7の集合体6Aを搬送する場合の状態例を示す。図11(A)を参照して、吸着ヘッド84の間隔を「ヘッド有効ピッチP1」として定義する。ヘッド有効ピッチP1は、隣接する2つの吸着ヘッド84について、それぞれの中心軸の間の距離を意味する。また、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔を「見かけ上のヘッド有効ピッチP2」として定義する。すべての吸着ヘッド84を使用して複数のワーク7を搬送する場合には、見かけ上のヘッド有効ピッチP2は、ヘッド有効ピッチP1と一致する。一方、使用される吸着ヘッド84を間引く場合には、見かけ上のヘッド有効ピッチP2は、ヘッド有効ピッチP1の整数倍(N倍)になる。この整数Nを「ヘッドピッチ数N」として定義する。ヘッドピッチ数Nは、吸着ヘッド84の飛ばし数+1に相当する。図11(A)に示す例では、吸着ヘッド84を1つずつ飛ばすので、ヘッドピッチ数N=1+1=2となる。
また、ワーク7の間隔を「ワークピッチP3」として定義する。ワークピッチP3は、隣接する2つのワーク7について、それぞれの中心軸の間の距離を意味する。
図11(B)には、図10(B)に示す千鳥配置のワーク7の集合体6Bを搬送する場合の状態例を示す。図11(B)に示す例では、吸着ヘッド84を2つずつ飛ばしているので、ヘッドピッチ数N=2+1=3となる。
また、ワークピッチP3については、ワーク7の集合体が通常配置されていると考えた場合の距離を用いる。図11(B)に示す例において、ワーク7が通常配置されたと考えた場合のワークピッチがP3となる。その上で、実際のワーク7の間隔を「見かけ上のワークピッチP4」として定義する。ワーク7の集合体が通常配置されている場合には、見かけ上のワークピッチP4は、ワークピッチP3と一致する。一方、ワーク7の集合体が千鳥配置されている場合には、見かけ上のワークピッチP4は、ワークピッチP3の整数倍(M倍)になる。この整数Mを「ワークピッチ数M」として定義する。ワークピッチ数Mは、ワーク7の飛ばし数+1に相当する。図11(B)に示す例では、ワーク7を1つずつ飛ばして配置されているので、ワークピッチ数M=1+1=2となる。
図11(B)に示す例において、ヘッド有効ピッチP1、ヘッドピッチ数N、ワークピッチP3(固定値)、および、ワークピッチ数Mの間には、「N×P1=M×P3」の関係が成立する。この式を変形すると、ヘッド有効ピッチP1は、以下の数式で表すことができる。
ヘッド有効ピッチP1=ワークピッチP3×M/N
すなわち、ヘッドピッチ数N(あるいは、吸着ヘッド84の飛ばし数)およびワークピッチ数M(あるいは、ワーク7の飛ばし数)を調整するにあたって、上述の数式に従って算出されるヘッド有効ピッチP1が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の範囲内にあるか否かを評価することで、何らかのヘッドピッチ数Nとワークピッチ数Mとの組合せが妥当であるか否かを決定できる。
次に、図12は、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理のプレース処理において使用するピッチおよびピッチ数について説明する模式図である。
図12(A)を参照して、凹部271の間隔を「トレイ列ピッチP5」として定義する。トレイ列ピッチP5は、隣接する2つの凹部271について、それぞれの中心軸の間の距離を意味する。
図12(B)に示す例では、吸着ヘッド84を2つずつ飛ばしているので、ヘッドピッチ数N=2+1=3となる。また、図12(B)に示す例において、トレイ27上に存在する凹部271についてのトレイ列ピッチがP5となる。その上で、搬送の各サイクルにおいて、ワーク7の配置対象となる凹部271の間隔を「見かけ上のトレイ列ピッチP6」として定義する。トレイ列ピッチ数Lは、凹部271を飛ばす数+1に相当する。図12(B)に示す例では、凹部271を1つずつ飛ばして配置されているので、トレイ列ピッチ数L=1+1=2となる。
図12(B)に示す例において、ヘッド有効ピッチP1、ヘッドピッチ数N、トレイ列ピッチP5(固定値)、および、トレイ列ピッチ数Lの間には、「N×P1=L×P5」の関係が成立する。この式を変形すると、ヘッド有効ピッチP1は、以下の数式で表すことができる。
ヘッド有効ピッチP1=トレイ列ピッチP5×L/N
すなわち、ヘッドピッチ数N(あるいは、吸着ヘッド84を飛ばす数)およびトレイ列ピッチ数L(あるいは、凹部271を飛ばす数)を調整するにあたって、上述の数式に従って算出されるヘッド有効ピッチP1が吸着ヘッド84の調整可能な間隔の範囲内にあるか否かを評価することで、何らかのヘッドピッチ数Nとトレイ列ピッチ数Lとの組合せが妥当であるか否かを決定できる。
以上のような前提知識の下、インデックステーブル26からトレイ27へのワーク7の搬送に係る処理手順について説明する。
(e2:全体処理手順)
本実施の形態によれば、X方向(第1の方向)に沿って等間隔に順次配置された複数の吸着ヘッド84(係着部材)を有する移載装置80を用いて、規則的に配置された複数のワーク7を係着してトレイ27へ搬送する搬送方法が提供される。
図13は、本実施の形態に従う製造装置1における搬送処理の全体処理手順を示すフローチャートである。図13に示す各ステップは、典型的には、制御部100の演算部110が制御プログラム128(図5)を実行することで実現される。すなわち、制御プログラム128は、搬送方法を実現するためのプログラムを含む。
図13を参照して、まず、制御部100は、品種情報を取得する(ステップS2)。品種情報は、インデックステーブル26上に配置されるワーク7の集合体6の配置情報、および、トレイ27の配置情報を含む。品種情報は、ユーザが入力部102を操作して入力することもできるし、ネットワークインターフェイス112を介して上位ネットワークにある製造管理コンピュータなどから品種情報を取得することもできる。なお、ユーザが品種情報を入力する際には、HMIプログラム126が実行されることで提供されるHMI機能が利用されてもよい。
制御部100は、取得した品種情報に基づいて、品種情報ファイルを必要に応じて作成し、HDD120などに格納する。HDD120に格納された品種情報ファイルを適宜読出して使用することで、ユーザが同一の品種情報を再度入力する手間を省略する。
続いて、制御部100は、ピックパターンの算出処理を実行する(ステップS4)。ピックパターンは、典型的には、搬送モード、ヘッドピッチ数N、ワークピッチ数M、ヘッド有効ピッチP1の情報を含む。すなわち、制御部100は、ピックアップ位置に関して、吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔が係着の対象となるワーク7の間隔と一致できるように、係着の対象となるワーク7、係着に使用される吸着ヘッド84、吸着ヘッド84の間隔を決定する。なお、ステップS4における処理の詳細については、後述する。
続いて、制御部100は、プレースパターンの算出処理を実行する(ステップS6)。プレースパターンは、典型的には、搬送モード、ヘッドピッチ数N、トレイ列ピッチ数L、ヘッド有効ピッチP1の情報を含む。すなわち、制御部100は、プレース位置に関して、ワーク7の置載に使用される吸着ヘッド84がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の置載に使用される吸着ヘッド84の間隔が係着の対象となるワーク7の間隔と一致できるように、係着の対象となるワーク7、係着に使用される吸着ヘッド84、吸着ヘッド84の間隔を決定する。なお、ステップS6における処理の詳細については、後述する。
続いて、制御部100は、ステップS4において算出したピックパターンと、ステップS6において算出したプレースパターンとの間で整合処理を実行する(ステップS8)。この整合処理において、ピックパターンおよびプレースパターンの少なくとも一方が再算出(更新)されることもある。
その後、制御部100は、インデックステーブル26上に配置されるワーク7およびトレイ27上に配置されるワーク7の配置マップをそれぞれ生成する(ステップS10)。これらの配置マップは、ワーク7の搬送状態を管理するテーブルであり、典型的には、インデックステーブル26およびトレイ27のそれぞれの位置に関連付けて、各ワーク7の状態値(搬送前、搬送中、搬送完了)が格納されるとともに、搬送処理の進行に伴って、対象のワーク7の状態値が順次更新される。
続いて、制御部100は、所定のトリガータイミングで、ステップS4〜S8において算出したピックパターンおよびプレースパターン、ならびに、ステップS10において生成した配置マップの情報に基づいて、移載機構8(移載装置80)を構成するそれぞれのサーボモータの軌道(各時刻における座標値)、および、各吸着ヘッド84の状態値(電磁弁810およびシリンダー152の状態)を決定する(ステップS12)。トリガータイミングは、典型的には、インデックステーブル26からのワーク7の係着開始タイミング、または、トレイ27へのワーク7の配置完了タイミングである。
続いて、制御部100は、ステップS12において決定した情報に従って、サーボモータインターフェイス114およびアクチュエータインターフェイス116を介して、対象のコンポーネントに指令を与える。より具体的には、制御部100は、ステップS4〜S8において決定したピックパターンおよびプレースパターンに含まれるヘッド有効ピッチP1の情報に基づいて、吸着ヘッド84の間隔を調整する(ステップS14)。すなわち、制御部100は、吸着ヘッド84(係着部材)の間隔をX方向(第1の方向)に沿って決定された間隔(ヘッド有効ピッチP1)に変更する。
続いて、制御部100は、搬送対象のワーク7を吸着ヘッド84で係着する(ステップS16)とともに、吸着ヘッド84の間隔を再調整する(ステップS18)。そして、制御部100は、ワーク7を係着した状態で、搬送先のトレイ27の位置まで吸着ヘッド84を移動し(ステップS20)、ワーク7をトレイ27に載置する(ステップS22)。すなわち、制御部100は、変更後の間隔で吸着ヘッド84(係着部材)を用いてワーク7を係着した状態で、移載装置80をインデックステーブル26が配置されている位置(第1の位置)からトレイ27が配置されている位置(第2の位置)へ移動させる。なお、吸着ヘッド84の間隔を再調整(ステップS18)と、搬送先のトレイ27の位置までの吸着ヘッド84の移動(ステップS20)とを並行して実施してもよい。
これらの処理によって、移載機構8(移載装置80)による、当該サイクルにおけるワーク7のインデックステーブル26からトレイ27への搬送が実行される。
ワーク7のインデックステーブル26からトレイ27への搬送が完了すると、制御部100は、ステップS10において生成した配置マップの情報を更新する(ステップS24)。すなわち、制御部100は、インデックステーブル26上に配置されたワーク7のうち、トレイ27への搬送が完了したワーク7についての状態値を更新する。
制御部100は、インデックステーブル26上に配置されたすべてのワーク7のトレイ27への搬送が完了したか否かを判断する(ステップS26)。搬送されていないワーク7が残っている場合(ステップS26においてNOの場合)、ステップS12以下の処理が繰返される。
一方、すべてのワーク7のトレイ27への搬送が完了している場合(ステップS26においてYESの場合)、制御部100は、現在の品種情報を更新する必要があるか否かを判断する(ステップS28)。現在の品種情報を更新する必要がない場合(S28においてNOの場合)、ステップS10以下の処理が繰返される。
これに対して、現在の品種情報を更新する必要がある場合(ステップS28においてYESの場合)、品種情報の取得待ちの状態になる(ステップS2)。
(e3:ピックパターンの算出処理)
次に、図13に示すフローチャートにおける、ピックパターンの算出処理(ステップS4)について詳述する。ピックパターンの算出処理において、制御部100は、インデックステーブル26上のワーク7の配置規則(第1の配置規則)に応じて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちピックアップ位置でのワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84を規則的に選択するとともに、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する機能を提供する。
図14〜図16は、図13に示すピックパターンの算出処理の処理手順を示すフローチャートである。図14〜図16に示す処理手順において、制御部100は、インデックステーブル26が配置されている位置(第1の位置)における複数のワーク7の配置規則に基づいて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84、および、複数のワーク7のうち係着の対象となるワーク7、の少なくとも一方を規則的に選択する。併せて、制御部100は、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する。
図14を参照して、制御部100は、まず、インデックステーブル26上にワーク7の集合体6が千鳥配置されているか否かを判断する(ステップS100)。
ワーク7の集合体6が千鳥配置されている場合(ステップS100においてYESの場合)には、制御部100は、千鳥配置係数STG=2にセットする(ステップS102)。これに対して、ワーク7の集合体6が千鳥配置されていない場合、すなわち通常配置の場合(ステップS100においてNOの場合)には、制御部100は、千鳥配置係数STG=1にセットする(ステップS104)。千鳥配置係数STGは、ワークピッチP3を補正した上で計算処理を進めるための係数であり、以下の算出処理においては、配置形状に応じたワーク7の間隔を算出するために、「ワークピッチP3×STG」を用いる(図10および図11参照)。
続いて、制御部100は、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きいか否かを判断する(ステップS106)。すなわち、制御部100は、図6(A)に示すように、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84を間引く必要があるか否かを判断する。ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合(ステップS106においてYESの場合)には、図15に示すステップS200以下の処理が実行される。
これに対して、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最大値MAX以下である場合(ステップS106においてNOの場合)には、制御部100は、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さいか否かを判断する(ステップS108)。すなわち、制御部100は、図6(B)に示すように、係着の対象となるワーク7を間引く必要があるか否かを判断する。ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合(ステップS108においてYESの場合)には、図16に示すステップS300以下の処理が実行される。
これに対して、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最小値MIN以上である場合(ステップS108においてNOの場合)には、調整範囲内において、ヘッド有効ピッチP1をワークピッチP3×STGと一致させることができることを意味する。すなわち、吸着ヘッド84およびワーク7のいずれについても間引く必要はない。そのため、制御部100は、ピックパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数N、およびワークピッチ数Mをいずれも「1」に設定する。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ワークピッチP3×STG」に設定する。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
次に、図15を参照して、ステップS200以下の処理について説明する。ステップS200以下の処理は、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合に実行され、主として、ワーク7の搬送に使用される吸着ヘッド84を何個ずつ飛ばすのか(あるいは、ヘッドピッチ数N)を決定する。但し、吸着ヘッド84とワーク7とを整合させるために、ワークピッチ数Mを調整することもある。ステップS200以下の処理においては、ヘッドピッチ数Nを主位的、ワークピッチ数Mを副次的に順次変更することで、最適なヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mの組を決定する。
効率的な搬送を実現するためには、より多くの吸着ヘッド84を使用する、すなわちヘッドピッチ数Nをより小さくすることが好ましい。そのため、制御部100は、まず、複数のワーク7を一括して搬送するのに必要なヘッドピッチ数の下限値LMTを決定する(ステップS200〜S210)。本明細書において、「ヘッドピッチ数の下限値LMT」は、「見かけ上のヘッド有効ピッチP2」をワークピッチP3以上(つまり、ワーク7同士が干渉しない間隔以上)にするのに必要な、ヘッドピッチ数の下限値を意味する。すなわち、複数のワークを搬送することが可能なヘッドピッチ数の下限値がLMTに相当する。ヘッドピッチ数の下限値LMTは、一括ピックおよび個別ピック(後述する)の別、ならびに、通常配置および千鳥配置の別に依存せず、ヘッド有効ピッチP1およびワークピッチP3に基づいて決定される。
より具体的には、制御部100は、ヘッドピッチ数Nの初期値を「1」に設定する(ステップS200)。続いて、制御部100は、「現在のヘッドピッチ数N×ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」が「ワークピッチP3」以上であるか否かを判断する(ステップS202)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nにおける見かけ上のヘッド有効ピッチP2がワークピッチP3以上であるか否かを判断する。
「現在のヘッドピッチ数N×ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」が「ワークピッチP3」未満である場合(ステップS202においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nでは、ワークピッチP3に整合できないことを意味するので、制御部100は、ヘッドピッチ数Nを増加させて、ワークピッチP3に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS204)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達しているか否かを判断する。
ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができる場合(ステップS204においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを1だけインクリメントし(ステップS208)、ステップS202以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達している場合は、移載装置80の両端に配置されている2つの吸着ヘッド84を使用する状態(見かけ上のヘッド有効ピッチP2を最大化した状態)を意味し、そのような状態であってもワークピッチP3に整合できないということは、複数のワーク7の搬送が不可能であることを意味する。そのため、ヘッドピッチ数Nをこれ以上増加させることができない場合(ステップS204においてNOの場合)には、制御部100は、ピックパターンとして、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nを「吸着ヘッドの総数」に設定し、ワークピッチ数Mを「1」に設定する(ステップS206)。また、制御部100は、ヘッドピッチ数の下限値LMTを「吸着ヘッドの総数」に設定し、ヘッド有効ピッチP1を「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」に設定する。ここで、ヘッドピッチ数の下限値LMTを「吸着ヘッドの総数」に設定することは、1つの吸着ヘッド84のみを使用する状態を意味する。この状態において、ヘッド有効ピッチP1は、本来の意味をなさないが、何らかの値を設定する必要があるので、便宜上、「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」を設定する。但し、ステップS206において、ヘッド有効ピッチP1には、「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」に限らず任意の値を設定してもよく、あるいは、プログラムの実装形態によっては何らの値も設定しないようにしてもよい。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
一方、「現在のヘッドピッチ数N×ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」が「ワークピッチP3」以上である場合(ステップS202においてYESの場合)には、現在のヘッドピッチ数NにおいてワークピッチP3に整合できることを意味するので、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを「ヘッドピッチ数の下限値LMT」として設定する(ステップS210)。
続いて、制御部100は、ヘッドピッチ数の下限値LMTの制約下において、ヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mを最適化する。
まず、制御部100は、ヘッドピッチ数Nの初期値を「ヘッドピッチ数の下限値LMT」に設定するとともに、ワークピッチ数Mの初期値を「1」に設定する(ステップS212)。続いて、制御部100は、現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得るか否かを判断する(ステップS214)。より具体的には、制御部100は、「現在のワークピッチ数M/千鳥配置係数STG」の余りが0であるか否か、すなわち現在のワークピッチ数Mが千鳥配置係数STGの整数倍であるか否かを判断する。上述したように、通常配置の場合には、千鳥配置係数STG=「1」であるので、現在のワークピッチ数Mがいずれの値であっても、成立し得る。これに対して、千鳥配置の場合には、千鳥配置係数STG=「2」であるので、現在のワークピッチ数Mが偶数の場合に限って成立することになる。千鳥配置のインデックステーブルには、ワーク7が初期状態で1つ飛ばしに配置されている(図10(B)および図11(B)参照)。そのため、Mを奇数にすると成立しなくなる。
現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得ない場合(ステップS214においてNOの場合)には、制御部100は、現在のワークピッチ数Mを1だけインクリメントし(ステップS216)、ステップS214以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得る場合(ステップS214においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nおよび現在のワークピッチ数Mによって算出されるヘッド有効ピッチP1(=ワークピッチP3×M/N)がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にあるか否かを判断する(ステップS218)。
ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にある場合(ステップS218においてYESの場合)には、制御部100は、ピックパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mをそれぞれの現在値に設定する(ステップS220)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ワークピッチP3×M/N」に設定する。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
これに対して、ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にない場合(ステップS218においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nでは、ワーク7の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ヘッドピッチ数Nを増加させて、ワーク7の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS222)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS204と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができる場合(ステップS222においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを1だけインクリメントし(ステップS224)、ステップS218以下の処理を再度実行する。
これに対して、ヘッドピッチ数Nをこれ以上増加させることができない場合(ステップS222においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mでは、ワーク7の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ワークピッチ数Mを増加させて、ワーク7の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ワークピッチ数Mをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS226)。すなわち、制御部100は、現在のワークピッチ数Mが「ワーク列総数−1」に到達しているか否かを判断する。ここで、「ワーク列総数」は、ワーク7の集合体6のX方向に沿って配置されたワーク7の総数を意味する。
ワークピッチ数Mをさらに増加させることができる場合(ステップS226においてYESの場合)には、制御部100は、ステップS216以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のワークピッチ数Mが「ワーク列総数−1」に到達している場合は、インデックステーブル26の両端に配置されている2つのワーク7を一括搬送しようとする状態を意味し、そのような状態であっても整合できないということは、複数のワーク7の一括搬送が不可能であることを意味する。そのため、ワークピッチ数Mをこれ以上増加させることができない場合(ステップS226においてNOの場合)には、制御部100は、ピックパターンとして、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nを予め決定されている「ヘッドピッチ数の下限値LMT」に設定し、ワークピッチ数Mを「1」に設定する(ステップS228)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」に設定する。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
図15において、ステップS218〜S224およびS214〜S226のループ処理は、整合可能なヘッドピッチ数Nとワークピッチ数Mとの組合せを探索する処理に相当する。すなわち、制御部100は、吸着ヘッド84(係着部材)がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84と、係着の対象となるワーク7の間隔とが一致できるように、吸着ヘッド84およびワーク7の飛ばし数をそれぞれ決定する。
以上のような処理によって、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合のピックパターンが設定される。
次に、図16を参照して、ステップS300以下の処理について説明する。ステップS300以下の処理は、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合に実行され、主として、係着の対象となるワーク7を何個ずつ飛ばすのか(あるいは、ワークピッチ数M)を決定する。一方で、効率的な搬送を実現するためには、より多くの吸着ヘッド84を使用する、すなわちヘッドピッチ数Nをより小さくすることが好ましい。ステップS300以下の処理においては、ワークピッチ数Mを主位的、ヘッドピッチ数Nを副次的に順次変更することで、最適なワークピッチ数Mとヘッドピッチ数Nとの組合せを決定する。
より具体的には、制御部100は、ヘッドピッチ数Nの初期値を「1」に設定する(ステップS300)とともに、ワークピッチ数Mの初期値を「1」に設定する(ステップS302)。続いて、制御部100は、現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得るか否かを判断する(ステップS304)。この判断処理は、上述のステップS214と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得ない場合(ステップS304においてNOの場合)には、制御部100は、現在のワークピッチ数Mを1だけインクリメントし(ステップS306)、ステップS304以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のワークピッチ数Mがワーク7の集合体6において成立し得る場合(ステップS304においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nおよび現在のワークピッチ数Mによって算出されるヘッド有効ピッチP1(=ワークピッチP3×M/N)がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にあるか否かを判断する(ステップS308)。
ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にある場合(ステップS308においてYESの場合)には、制御部100は、ピックパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mをそれぞれの現在値に設定する(ステップS310)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ワークピッチP3×M/N」に設定する。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
これに対して、ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にない場合(ステップS308においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mでは、ワーク7の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ワークピッチ数Mを増加させて、ワーク7の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ワークピッチ数Mをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS312)。すなわち、制御部100は、現在のワークピッチ数Mが「ワーク列総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS226と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
ワークピッチ数Mをさらに増加させることができる場合(ステップS312においてYESの場合)には、制御部100は、ステップS306以下の処理を再度実行する。
これに対して、ワークピッチ数Mをこれ以上増加させることができない場合(ステップS312においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nおよびワークピッチ数Mでは、ワーク7の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ヘッドピッチ数Nを増加させて、ワーク7の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS314)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS204と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができる場合(ステップS314においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを1だけインクリメントし(ステップS316)、ステップS302以下の処理を再度実行する。
これに対して、ヘッドピッチ数Nをこれ以上増加させることができない場合(ステップS314においてNOの場合)には、制御部100は、ピックパターンとして、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数N、およびワークピッチ数Mをいずれも「1」に設定する(ステップS318)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ヘッド有効ピッチP1の最小値MIN」に設定する。そして、処理は図13のステップS4が完了し、ステップS6へ進む。
図16において、ステップS304〜S312およびS302〜S316のループ処理は、整合可能なヘッドピッチ数Nとワークピッチ数Mとの組合せを探索する処理に相当する。すなわち、制御部100は、吸着ヘッド84(係着部材)がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84と、係着の対象となるワーク7の間隔とが一致できるように、吸着ヘッド84およびワーク7の飛ばし数をそれぞれ決定する。
以上のような処理によって、ワークピッチP3×STGの値がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合のピックパターンが設定される。
(e4:プレースパターンの算出処理)
次に、図13に示すフローチャートにおける、プレースパターンの算出処理(ステップS6)について詳述する。プレースパターンの算出処理において、制御部100は、トレイ27上に配置されるワーク7の配置規則(第2の配置規則)に応じて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちプレース位置でのワーク7の置載に使用される吸着ヘッド84を規則的に選択するとともに、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する機能を提供する。
図17〜図19は、図13に示すプレースパターンの算出処理の処理手順を示すフローチャートである。図17〜図19に示す処理手順において、制御部100は、搬送先の配置規則(すなわち、トレイ27上のワーク7が配置されるべきレイアウト)に応じて、複数の吸着ヘッド84(係着部材)のうちワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84、および、搬送先の配置規則に含まれる複数の配置位置(トレイ27上の凹部271)のうちワーク7の配置対象となる配置位置、の少なくとも一方を規則的に選択する。併せて、制御部100は、当該規則的な選択に応じて吸着ヘッド84の間隔を決定する。
図17を参照して、制御部100は、まず、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きいか否かを判断する(ステップS400)。すなわち、制御部100は、図7(A)に示すように、ワーク7の置載に使用される吸着ヘッド84を間引く必要があるか否かを判断する。トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合(ステップS400においてYESの場合)には、図18に示すステップS500以下の処理が実行される。
これに対して、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最大値MAX以下である場合(ステップS400においてNOの場合)には、制御部100は、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さいか否かを判断する(ステップS402)。すなわち、制御部100は、図7(B)に示すように、ワーク7の配置対象となる凹部271を間引く必要があるか否かを判断する。トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合(ステップS402においてYESの場合)には、図19に示すステップS600以下の処理が実行される。
これに対して、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最小値MIN以上である場合(ステップS402においてNOの場合)には、調整範囲内において、ヘッド有効ピッチP1をトレイ列ピッチP5と一致させることができることを意味する。すなわち、吸着ヘッド84および凹部271のいずれについても間引く必要はない。そのため、制御部100は、プレースパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数N、およびトレイ列ピッチ数Lをいずれも「1」に設定する(ステップS404)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「トレイ列ピッチP5」に設定する。そして、処理は図13のステップS6が完了し、ステップS8へ進む。
次に、図18を参照して、ステップS500以下の処理について説明する。ステップS500以下の処理は、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合に実行され、主として、ワーク7の搬送に使用される吸着ヘッド84を何個ずつ飛ばすのか(あるいは、ヘッドピッチ数N)を決定する。但し、吸着ヘッド84とワーク7とを整合させるために、トレイ列ピッチ数Lを調整することもある。ステップS500以下の処理においては、ヘッドピッチ数Nを主位的、トレイ列ピッチ数Lを副次的に順次変更することで、最適なヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lの組を決定する。
効率的な搬送を実現するためには、より多くの吸着ヘッド84を使用する、すなわちヘッドピッチ数Nをより小さくすることが好ましい。
制御部100は、まず、トレイ列ピッチ数Lの初期値を「1」に設定する(ステップS500)とともに、ヘッドピッチ数Nの初期値を「1」に設定する(ステップS502)。
続いて、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nおよび現在のトレイ列ピッチ数Lによって算出されるヘッド有効ピッチP1(=トレイ列ピッチP5×L/N)がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にあるか否かを判断する(ステップS504)。
ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にある場合(ステップS504においてYESの場合)には、制御部100は、プレースパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lをそれぞれの現在値に設定する(ステップS506)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「トレイ列ピッチP5×L/N」に設定する。そして、処理は図13のステップS6が完了し、ステップS8へ進む。
これに対して、ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にない場合(ステップS504においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nでは、凹部271の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ヘッドピッチ数Nを増加させて、凹部271の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS508)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS204と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができる場合(ステップS508においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを1だけインクリメントし(ステップS510)、ステップS504以下の処理を再度実行する。
これに対して、ヘッドピッチ数Nをこれ以上増加させることができない場合(ステップS508においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lでは、凹部271の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lを増加させて、凹部271の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS512)。すなわち、制御部100は、現在のトレイ列ピッチ数Lが「トレイ列総数−1」に到達しているか否かを判断する。ここで、「トレイ列総数」は、トレイ27上においてX方向に沿って配置された凹部271の総数を意味する。
トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができる場合(ステップS512においてYESの場合)には、制御部100は、現在のトレイ列ピッチ数Lを1だけインクリメントし(ステップS514)、ステップS502以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のトレイ列ピッチ数Lが「トレイ列総数−1」に到達している場合は、トレイ27の両端に位置する2つの凹部271に対してワーク7を一括搬送しようとする状態(見かけ上のトレイ列ピッチP6を最大化した状態)を意味し、そのような状態であっても整合できないということは、複数のワーク7の一括搬送が不可能であることを意味する。そのため、トレイ列ピッチ数Lをこれ以上増加させることができない場合(ステップS512においてNOの場合)には、制御部100は、プレースパターンとして、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数N、およびトレイ列ピッチ数Lをいずれも「1」に設定する(ステップS516)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」に設定する。この場合、トレイ列ピッチP5は、ヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きいので、個別プレースモードにおけるヘッド有効ピッチP1は、「ヘッド有効ピッチP1の最大値MAX」に設定される。そして、処理は図13のステップS6が完了し、ステップS8へ進む。
図18において、ステップS504〜S510およびS502〜S514のループ処理は、整合可能なヘッドピッチ数Nとトレイ列ピッチ数Lとの組合せを探索する処理に相当する。すなわち、制御部100は、吸着ヘッド84(係着部材)がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔がワーク7の配置対象となる凹部271の間隔と一致できるように、吸着ヘッド84および凹部271の飛ばし数をそれぞれ決定する。
以上のような処理によって、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最大値MAXより大きい場合のプレースパターンが設定される。
次に、図19を参照して、ステップS600以下の処理について説明する。ステップS600以下の処理は、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合に実行され、主として、ワーク7の配置対象となる凹部271を何個ずつ飛ばすのか(あるいは、トレイ列ピッチ数L)を決定する。一方で、効率的な搬送を実現するためには、より多くのワーク7を一括して搬送する、すなわちトレイ列ピッチ数Lをより小さくすることが好ましい。そのため、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lを主位的、ヘッドピッチ数Nを副次的に順次変更することで、最適なトレイ列ピッチ数Lとヘッドピッチ数Nとの組合せを決定する。
制御部100は、まず、ヘッドピッチ数Nの初期値を「1」に設定する(ステップS600)とともに、トレイ列ピッチ数Lの初期値を「1」に設定する(ステップS602)。
続いて、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nおよび現在のトレイ列ピッチ数Lによって算出されるヘッド有効ピッチP1(=トレイ列ピッチP5×L/N)がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にあるか否かを判断する(ステップS604)。
ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にある場合(ステップS604においてYESの場合)には、制御部100は、プレースパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lをそれぞれの現在値に設定する(ステップS606)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「トレイ列ピッチP5×L/N」に設定する。そして、処理は図13のステップS6が完了し、ステップS8へ進む。
これに対して、ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にない場合(ステップS604においてNOの場合)には、現在のトレイ列ピッチ数Lでは、凹部271の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lを増加させて、凹部271の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS608)。すなわち、制御部100は、現在のトレイ列ピッチ数Lが「トレイ列総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS512と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができる場合(ステップS608においてYESの場合)には、制御部100は、現在のトレイ列ピッチ数Lを1だけインクリメントし(ステップS610)、ステップS604以下の処理を再度実行する。
これに対して、トレイ列ピッチ数Lをこれ以上増加させることができない場合(ステップS608においてNOの場合)には、現在のトレイ列ピッチ数Lおよびヘッドピッチ数Nでは、凹部271の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、ヘッドピッチ数Nを増加させて、凹部271の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS612)。すなわち、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達しているか否かを判断する。この判断処理は、上述のステップS508と同様であるので、処理の意味についての説明は繰返さない。
ヘッドピッチ数Nをさらに増加させることができる場合(ステップS612においてYESの場合)には、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nを1だけインクリメントし(ステップS614)、ステップS602以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のヘッドピッチ数Nが「吸着ヘッドの総数−1」に到達している場合は、移載装置80の両端に配置されている吸着ヘッド84が使用する状態(見かけ上のヘッド有効ピッチP2を最大化した状態)を意味し、そのような状態であっても凹部271の実際の間隔に整合できないということは、複数のワーク7の一括搬送が不可能であることを意味する。そのため、ヘッドピッチ数Nをこれ以上増加させることができない場合(ステップS612においてNOの場合)には、制御部100は、プレースパターンとして、ワーク7を1つずつ個別に搬送する「個別プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数N、およびトレイ列ピッチ数Lをいずれも「1」に設定する(ステップS616)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「ヘッド有効ピッチP1の最小値MIN」に設定する。この場合、トレイ列ピッチP5は、ヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さいので、個別プレースモードにおけるヘッド有効ピッチP1は、「ヘッド有効ピッチP1の最小値MIN」に設定される。そして、処理は図13のステップS6が完了し、ステップS8へ進む。
図19において、ステップS604〜S610およびS602〜S614のループ処理は、整合可能なトレイ列ピッチ数Lとヘッドピッチ数Nとの組合せを探索する処理に相当する。すなわち、制御部100は、吸着ヘッド84(係着部材)がX方向(第1の方向)に沿って移動できる範囲内で、ワーク7の配置対象となる凹部271の間隔がワーク7の係着に使用される吸着ヘッド84の間隔と一致できるように、凹部271および吸着ヘッド84の飛ばし数をそれぞれ決定する。
以上のような処理によって、トレイ列ピッチP5がヘッド有効ピッチP1の最小値MINより小さい場合のプレースパターンが設定される。
(e5:整合処理手順)
次に、図13に示すフローチャートにおける、整合処理(ステップS8)について詳述する。図20は、図13に示す整合処理の処理手順を示すフローチャートである。図20に示す処理手順において、制御部100は、ピックパターンの算出処理およびプレースパターンの算出処理においてそれぞれ算出されたヘッドピッチ数N(あるいは、吸着ヘッド84を飛ばす数)が互いに一致するか否かを判断し、両者が一致しない場合には、一方のヘッドピッチ数Nを基準として、他方のパターンを再算出する。図20に示す処理手順では、一例として、ヘッドピッチ数Nが一致しない場合には、ピックパターンの算出処理において算出されたヘッドピッチ数Nを基準として、プレースパターンを再算出する例を示す。但し、プレースパターンの算出処理において算出されたヘッドピッチ数Nを基準として、ピックパターンを再算出するようにしてもよい。
図20を参照して、制御部100は、まず、ピックパターンの算出処理(図13のステップS4)において算出されたヘッドピッチ数Nと、プレースパターンの算出処理(図13のステップS6)において算出されたヘッドピッチ数Nとが一致するか否かを判断する(ステップS700)。それぞれの算出処理において算出されたヘッドピッチ数Nが一致する場合(ステップS700においてYESの場合)には、ピックパターンおよびプレースパターンをさらに変更する必要がないので整合処理(図13のステップS8)は終了し、処理は図13のステップS10へ進む。
すなわち、整合処理において、制御部100は、ピックパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84(係着部材)とプレースパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84とが一致する場合に、先に決定されたそれぞれの係着部材の間隔に従って、ワーク7を搬送する機能を提供する。
これに対して、それぞれの算出処理において算出されたヘッドピッチ数Nが一致しない場合(ステップS700においてNOの場合)には、制御部100は、ピックパターンの算出処理(図13のステップS4)において算出されたヘッドピッチ数Nが吸着ヘッドの総数に設定されているか否かを判断する(ステップS702)。算出されたヘッドピッチ数Nが吸着ヘッドの総数に設定されている場合(ステップS702においてYESの場合)には、ピックパターンおよびプレースパターンをさらに変更する必要がないので整合処理(図13のステップS8)は終了し、処理は図13のステップS10へ進む。
ステップS702の処理は、ピックパターンの算出処理(図15)において、「個別ピック」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nを「吸着ヘッドの総数」に設定し、ワークピッチ数Mを「1」に設定した場合(ステップS206)には、ワークピッチP3が大きく、1つの吸着ヘッド84のみを使用して搬送せざるを得ない状態を意味するので、この場合を整合処理の対象から除外するための判断処理である。
これに対して、算出されたヘッドピッチ数Nが吸着ヘッドの総数に設定されていない場合(ステップS702においてNOの場合)には、プレースパターンが再度算出される(ステップS704〜S714)。より具体的には、制御部100は、ピックパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84(係着部材)とプレースパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84とが一致しない場合に、ピックパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84とプレースパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84との一方を基準として設定するとともに、使用される吸着ヘッド84に伴って、吸着ヘッド84の間隔を再算出する。
より具体的には、制御部100は、まずトレイ列ピッチ数Lの初期値を「1」に設定する(ステップS704)。なお、ヘッドピッチ数Nは、ピックパターンの算出処理において算出されたヘッドピッチ数Nが用いられる。続いて、制御部100は、現在のヘッドピッチ数Nおよび現在のトレイ列ピッチ数Lによって算出されるヘッド有効ピッチP1(=トレイ列ピッチP5×L/N)がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にあるか否かを判断する(ステップS706)。
ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にある場合(ステップS706においてYESの場合)には、制御部100は、プレースパターンとして、複数のワーク7を一括して搬送する「一括プレース」モードを搬送モードとして選択するとともに、ヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lをそれぞれの現在値に設定する(ステップS708)。また、制御部100は、ヘッド有効ピッチP1を「トレイ列ピッチP5×L/N」に設定する。そして、処理は図13のステップS8が完了し、ステップS10へ進む。
これに対して、ヘッド有効ピッチP1がヘッド有効ピッチP1の最小値MINから最大値MAXの範囲内にない場合(ステップS706においてNOの場合)には、現在のヘッドピッチ数Nおよびトレイ列ピッチ数Lでは、凹部271の実際の間隔に整合できないことを意味するので、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lを増加させて、凹部271の実際の間隔に整合できるか否かを判断する。それに先立って、制御部100は、トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができるか否かを判断する(ステップS710)。
トレイ列ピッチ数Lをさらに増加させることができる場合(ステップS710においてYESの場合)には、制御部100は、現在のトレイ列ピッチ数Lを1だけインクリメントし(ステップS712)、ステップS706以下の処理を再度実行する。
これに対して、現在のトレイ列ピッチ数Lが「トレイ列総数−1」に到達している場合は、複数のワーク7の一括搬送が不可能であることを意味する。すなわち、先に算出されたピックパターンとプレースパターンとの間で整合がとれないことを意味する。すなわち、複数のワーク7を一括して搬送できないことを意味する。
そのため、トレイ列ピッチ数Lをこれ以上増加させることができない場合(ステップS710においてNOの場合)には、制御部100は、ワーク7を1つずつ個別に搬送するように、ピックパターンおよびプレースパターンを算出する(ステップS714)。すなわち、制御部100は、「個別ピック」モードおよび「個別プレース」モードを搬送モードとするピックパターンおよびプレースパターンをそれぞれ決定する。そして、処理は図13のステップS8が完了し、ステップS10へ進む。
図20において、ステップS706〜S712のループ処理は、整合可能なトレイ列ピッチ数Lの探索する処理に相当する。図20に示すこのループ処理では、制御部100は、プレース位置に関して、ピックパターンの算出処理において選択された吸着ヘッド84(係着部材)を基準に設定するとともに、搬送先の配置規則に含まれるトレイ27上の複数の凹部271(配置位置)のうちワーク7の配置対象となる凹部271を順次異ならせることで、吸着ヘッド84の間隔を決定する。
以上のような整合処理によって、ピックアップ処理およびプレース処理のそれぞれにおける制約下で、最も多くのワーク7を一括搬送できるピックパターンおよびプレースパターンがそれぞれ決定される。
[F.吸着ヘッドの固定機構]
本実施の形態に従う製造装置1の移載機構8(移載装置80)では、搬送元および搬送先のそれぞれにおける配置規則に応じて、複数の吸着ヘッド84のうち一部または全部を選択的に有効化して、ワーク7の搬送を効率化する。このとき、ワーク7の搬送に使用されない吸着ヘッド84については、ワーク7に接触させないようにすることが好ましい。一方で、移載機構8(移載装置80)では、1つのサーボモータ136(図5)を用いて、複数の吸着ヘッド84を一括してZ方向に移動させるような構成を採用している。そこで、ワーク7の搬送に使用されない吸着ヘッド84については、ワーク7に接触させないようにするロック機構を採用する。
図21および図22は、本実施の形態に従う製造装置1の移載機構8(移載装置80)において採用されるロック機構の動作を説明するための図である。図21には、ロック無し状態の吸着ヘッド84を示し、図22には、ロック状態の吸着ヘッド84を示す。また、図21(A)および図22(A)には、移載装置80がスタンバイ位置にある状態を示し、図21(B)および図22(B)には、移載装置80が吸着位置にある状態を示す。
図21および図22を参照して、吸着ヘッド84は、水平方向に延びるフレーム843の一端と機械的に結合されている。フレーム843は、その他端の端面がガイド部材841と滑合するように構成されている。ガイド部材841の上端部および下端部には、それぞれ係止部が設けられており、これによって、フレーム843と滑合可能な範囲が制限される。図21に示すロック無状態において、フレーム843は、その自重によって、ガイド部材841の下端部の係止部と接触した状態に保たれる。ガイド部材841は、運動変換機構845を介してサーボモータ136と機械的に接続されており、サーボモータ136が回転することで、ガイド部材841は、Z方向に沿って変位する。ガイド部材841がZ方向に沿って変位することで、フレーム843およびフレーム843と機械的に結合された吸着ヘッド84もZ方向に沿って変位する。
フレーム843と吸着ヘッド84との中間部には、シリンダー152が設けられており、さらにシリンダー152の内部にはピストンロッド154が設けられ、ピストンロッド154の先端面153と対向する位置に固定部材842が設けられている。固定部材842には、ピストンロッド154の先端面153の形状に応じた切欠部が形成されている。固定部材842は、フレーム843がZ方向下向きに移動した場合に、フレーム843に設けられたシリンダー152と接触して、Z方向上向きの抗力を発生する。
図21に示すように、ロック無し状態においては、ピストンロッド154の先端面153が引っ込んだ状態に維持されるので、先端面153と固定部材842の内底面8421との間で接触することなく、吸着ヘッド84がワーク7を吸着することが可能な位置まで下降する。
これに対して、図22に示すように、ロック状態においては、ピストンロッド154の先端面153が飛び出した状態に維持されるので、先端面153と固定部材842との間で干渉が生じる。すなわち、ピストンロッド154の先端面153と固定部材842の内底面8421とが接触することで、フレーム843の下降が阻止される。すなわち、図22(B)に示すように、フレーム843とガイド部材841とのリンクが外れて、フレーム843はガイド部材841の下端部の係止部から浮いた状態になる。このような状態になることで、スタンバイ位置での高さが維持され、吸着ヘッド84の先端がワーク7に接触することはない。
このように、制御部100は、ワーク7の係着に使用されない吸着ヘッド84について、ワーク7との接触を制限する。このようなロック機構を採用して、ワーク7の搬送に使用される吸着ヘッド84のみをワーク7に選択的に接触させるようにすることで、搬送対象ではないワーク7に対する悪影響を低減できる。
[G.利点]
本実施の形態に従う製造装置1の制御部100によれば、搬送元であるインデックステーブル26および搬送先であるトレイ27のそれぞれにおける配置規則が多種多様であるため、吸着ヘッド84の調整範囲では、吸着ヘッド84の間隔(ヘッド有効ピッチ)とワーク7の間隔(ワークピッチ)とを整合させることができない場合であっても、あるいは、吸着ヘッド84の間隔(ヘッド有効ピッチ)とトレイ27上においてワーク7の配置対象となる配置位置(ワーク7が配置される凹部271)とを整合させることができない場合であっても、搬送元および搬送先の両方からの要求を満たすパターンを決定することができる。これによって、様々な配置規則に従って配置/再配置され得る複数のワーク7についても、より効率的な搬送を実現できる。
なお、本実施の形態に従う調整方法は、吸着ヘッド84の調整範囲内で吸着ヘッド84の間隔とワーク7の間隔とを整合させることができる場合において実行されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。