JP6319552B2 - 排煙脱硝装置及び排煙脱硝方法 - Google Patents

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本発明は、石炭などの化石燃料をボイラ(燃焼器)で燃焼させる際に排出される排ガス中に含まれるNOx(窒素酸化物)を除去するのに用いられる排煙脱硝装置及び排煙脱硝方法に関するものである。
上記したような排煙脱硝装置としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。
この排煙脱硝装置は、ボイラから排出された排ガスが流れる煙道に配置されており、排ガスにNH3を注入する複数のNH3注入ノズルと、このNH3注入ノズルのガス流れ下流側に位置してNH3が注入された排ガスからNOxを除去する脱硝触媒を備えている。
ボイラの運用に伴って、ボイラから排出された排ガス分布パターンが変化すると、脱硝触媒出口におけるNOx及びNH3の各濃度分布(脱硝装置出口におけるNOx濃度分布及びNH3濃度分布)のばらつきが次第に大きくなるので、上記した排煙脱硝装置では、複数のNH3注入ノズルの各分配調整弁を操作して、NH3注入量の分配調整(NH3注入バランス調整)を行うことで、脱硝装置出口におけるNOx濃度分布及びNH3濃度分布をそれぞれ平準化するようにしている。
特開平11-179155号公報
ところが、上記した排煙脱硝装置において、複数のNH3注入ノズルの各分配調整弁を操作して行うNH3注入バランス調整は、通常、ボイラの常用負荷条件(100%定格負荷)の状態で成されるのが一般的であり、例えば、100%定格負荷を下回る部分負荷の状態でボイラを運用する場合には、ボイラからの排ガスの濃度分布パターンがさらに変化したとしても、100%定格負荷の状態の脱硝装置出口におけるNOx濃度分布及びNH3濃度分布に対応したNH3の注入量及びバランスのまま運用しなければならない。
つまり、上記した排煙脱硝装置では、脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布の平準化が成されないまま運用せざるを得ない場合がないとは言えず、脱硝出口NH3濃度の局所的な増大によって、脱硝触媒の排ガス流れ下流側に位置するエアヒータ等の機器内部に酸性硫安の生成による目詰まりが生じる可能性があるという問題を有しており、この問題を解決することが従来の課題となっていた。
本発明は、上記した従来の課題に着目してなされたもので、ボイラ運用の経年変化あるいは負荷状態にかかわらず、平準化した脱硝出口におけるNOx濃度分布及びNH3濃度分布をいずれも確保することができ、その結果、脱硝触媒の排ガス流れ下流側に位置する機器に及ぼすNH3による影響を少なく抑えることが可能である排煙脱硝装置及び排煙脱硝方法を提供することを目的としている。
ここで、燃焼器から排出される排ガス中に含まれるNOxについては、煙道内の所定の計測点に配置される周知のNOx濃度計によって、瞬時に濃度を測定することができる。一方、NH3濃度の測定には、化学的な分析を行う必要があるため、瞬時にNH3濃度を取得することは不可能である。
本発明者は、NOx濃度が低い計測点のNH3濃度が高いことに着目し、脱硝触媒の出口においてNOx濃度を瞬時に測定して、このNOx濃度が低い部位を流れる流出排ガスを脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻すことで、脱硝出口NH3濃度が局所的に高くなる部位をなくし得ることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、燃焼器から排出される排ガスを導く煙道に配置されて、NHを注入して前記排ガス中に含まれるNOxを除去する排煙脱硝装置であって、 前記排ガスからNOxを除去する脱硝処理を行う脱硝触媒と、前記脱硝触媒の排ガス流れ下流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝出口NOx濃度を複数箇所で計測する下流側計測部と、前記排ガスに注入するNH の量のバランス調整により脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH 濃度分布がいずれも平準化された状態において、前記下流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを吸引して、前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻して流す排ガス循環機構を備えている構成としている。
なお、局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍とは、下流側計測部の複数箇所の計測点で計測した脱硝出口NOx濃度の平均値を大幅に下回る脱硝出口NOx濃度を計測した計測点とその周囲の数箇所の計測点のことを指す。
また、本発明の第2の態様は、前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝入口NOx濃度を複数箇所で計測する上流側計測部を備え、前記排ガス循環機構は、前記下流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍で吸引した流出排ガスを前記上流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に高い脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に戻す構成としている。
この場合も、局所的に高い脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍とは、上流側計測部の複数箇所の計測点で計測した脱硝入口NOx濃度の平均値を大幅に上回る脱硝入口NOx濃度を計測した計測点とその周囲の数箇所の計測点のことを指す。
一方、本発明に係る排煙脱硝方法は、燃焼器から排出される排ガスを導く煙道に配置された脱硝触媒により、NHを注入した排ガス中のNOxを除去するに際して、前記排ガスに注入するNH の量のバランス調整を行って脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH 濃度分布をいずれも平準化させて前記燃焼器の運用を開始し、前記脱硝触媒の排ガス流れ下流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝出口NOx濃度を複数箇所で計測し、計測した複数の脱硝出口NOx濃度のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを吸引して、前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻して流す構成としている。
本発明に係る排煙脱硝装置及び排煙脱硝方法において、脱硝触媒としては、ハニカム状に形成されたものを使用することができるが、他の方式の触媒を使用することができるのは言うまでもない。
本発明に係る排煙脱硝装置及び排煙脱硝方法では、まず、適宜時点(適宜負荷条件)で排ガスに注入するNH3の量のバランス調整を行って、脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布をいずれも平準化させる。
次いで、燃焼器の運用を開始した段階において、脱硝触媒の排ガス流れ下流側で且つ該排ガス流れに対する面内の複数箇所で脱硝出口NOx濃度を計測する。
そして、脱硝出口NOx濃度の低い部位が局所的に発生した場合には、この低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを吸引して、脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻して流すと、脱硝出口NH3濃度が局所的に高くなっている部位がなくなるので、脱硝触媒の排ガス流れ下流側に位置する機器に及ぼすNH3による影響を少なく抑え得ることとなる。
つまり、運用時の負荷の大小にかかわらず、平準化した脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布を確保し得ることとなる。
この際、脱硝触媒の排ガス流れ上流側に上流側計測部を配置して、局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍で吸引した流出排ガスを上流側計測部の複数箇所の計測点のうちの局所的に高い脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に戻すように成すと、脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布の平準化がより一層効率よく成されることとなる。
本発明に係る排煙脱硝装置では、燃焼器の運用時における負荷の大小にかかわらず、脱硝出口NH3濃度が局所的に高くなっている部位をなくすことができ、したがって、脱硝触媒の排ガス流れ下流側に位置する機器に及ぼすNH3による影響を少なく抑えることが可能であるという非常に優れた効果がもたらされる。
本発明の一実施例による排煙脱硝装置を含む排ガス処理システムを示す概略構成説明図である。 図1の排煙脱硝装置を拡大して示す断面説明図(a)及び図2(a)のA−A線位置に基づく断面説明図(b)である。 図1に示した排煙脱硝装置の効果を示すグラフである。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施例による排煙脱硝装置を示している。
図1に示すように、この排煙脱硝装置10は、石炭焚きボイラ(燃焼器)Bの節炭部Baに垂直煙道1を介して接続しており、排煙脱硝装置10から煙突Pに至るまでの排ガス処理煙道2の下流側には、エアヒータ3、集塵装置4、誘引ファン5、熱交換器6、脱硫部7及び押込みファン8が順次配置されている。
エアヒータ3は、押込みファン9により導入される外部空気を排煙脱硝装置10から排出される排ガスの熱で暖めて石炭焚きボイラBに送り込み、熱交換器6は、誘引ファン5により導かれる集塵装置4通過後の排ガスと押込みファン8により導入される脱硫部7通過後の排ガスとの熱交換を行うものとなっている。
この排煙脱硝装置10は、図2(a)にも示すように、垂直煙道1に配置されて、排ガスにNH3を注入することでNOxを還元して窒素と水に変換するNH3注入ノズル11と、垂直煙道1の上端連結煙道1aから導入される白抜き矢印で示す排ガスが上から下に向けて流れるダクト12を横断するようにして複数段(この実施例では3段)設置された脱硝触媒13を具備しており、この脱硝触媒13は、排ガスとの接触面積が大きくなるようにハニカム状に形成されている。
また、この排煙脱硝装置10は、脱硝触媒13の排ガス流れ下流側で脱硝出口NOx濃度を計測する下流側計測部15を備えている。
この下流側計測部15は、図2(b)に示すように、脱硝触媒13の排ガス流れに対する面内における複数箇所(この実施例では24箇所)に計測点((1,a),(1,b),…,(6,c),(6,d))を設定して成っており、これらの計測点((1,a),(1,b),…,(6,c),(6,d))において、周知のNOx濃度計によってそれぞれ瞬時にNOx濃度を測定することができるようになっている。
さらに、この排煙脱硝装置10は、脱硝触媒13を通過した流出排ガスを脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に戻す排ガス循環機構20を備えている。
この排ガス循環機構20は、脱硝触媒13を通過した流出排ガスを吸引する排ガス吸引部22と、ダクト12を横断する方向(図2(a),(b)左右方向)に排ガス吸引部22を往復移動させる吸引駆動部23と、排ガス吸引部22で吸引した流出排ガスを脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に圧送する排ガス循環ファン24と、この排ガス循環ファン24を介して圧送された流出排ガスを脱硝触媒13に向けて放出する排ガス放出部25を具備している。
この排ガス循環機構20では、下流側計測部15の複数箇所の計測点((1,a),(1,b),…,(6,c),(6,d))で計測した脱硝出口NOx濃度のうちの局所的に低い値の脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に、吸引駆動部23によって排ガス吸引部22を移動させ、この計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを排ガス吸引部22で吸引して、排ガス循環ファン24及び排ガス放出部25を介して脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に戻すようになっている。
さらに、この排煙脱硝装置10は、脱硝触媒13の排ガス流れ上流側で脱硝入口NOx濃度を計測する上流側計測部16を備えている。
この上流側計測部16も、下流側計測部15と同様に、脱硝触媒13の排ガス流れに対する面内における複数箇所に計測点(図示省略)を設定して成っており、これらの計測点において、周知のNOx濃度計によってそれぞれ瞬時にNOx濃度を測定することができるようになっている。
この場合、排ガス循環機構20には、ダクト12を横断する方向(図2(a),(b)左右方向)に排ガス放出部25を往復移動させる放出駆動部26が具備されており、この排ガス循環機構20では、局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍で吸引した流出排ガスを脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に戻す際に、上流側計測部16の複数箇所の計測点のうちの局所的に高い脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に、放出駆動部26によって排ガス放出部25を移動させるようになっている。
つまり、この排ガス循環機構20では、例えば、図3の左側に示すように、局所的に低い脱硝出口NOx濃度(高い脱硝出口NH3濃度)を計測した計測点(5,b)及びその近傍の計測点(5,a),(5,c)の流出排ガスを吸引して、脱硝触媒13の排ガス流れ上流側の局所的に高い脱硝入口NOx濃度(低い脱硝入口NH3濃度)を計測した計測点及びその近傍に戻すようになっている。
この実施例に係る排煙脱硝装置10では、まず、適宜時点(適宜負荷条件)で複数のNH3注入ノズル11の図示しない各分配調整弁を操作して、排ガスに注入するNH3の量のバランス調整を行って、脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布をいずれも平準化させる。
次いで、ボイラBの運用を開始した段階において、脱硝触媒13の排ガス流れ下流側に位置する下流側計測部15の複数箇所の計測点((1,a),(1,b),…,(6,c),(6,d))で脱硝出口NOx濃度を定期的に計測して、脱硝出口NOx濃度の平均値を算出する。
そして、この脱硝出口NOx濃度の平均値を下回る部位が局所的に発生した場合には、この平均値を下回る脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍(図3左側では計測点(5,b)及びその近傍の計測点(5,a),(5,c))を流れる流出排ガスを排ガス循環機構20の排ガス吸引部22により吸引して、脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に戻して流すと、図3右側に示すように、脱硝出口NH3濃度が局所的に高くなっている部位がなくなるので、脱硝触媒13の排ガス流れ下流側に位置するエアヒータ3等の機器に及ぼすNH3による影響を少なく抑え得ることとなる。
この際、上流側計測部16の複数箇所の計測点で脱硝入口NOx濃度を定期的に計測して、脱硝入口NOx濃度の平均値を算出しておき、この平均値を上回る部位が局所的に存在する場合には、上流側計測部16の複数箇所の計測点のうちの平均値を上回る脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に排ガス循環機構20の排ガス放出部25を移動させて、これらの部位に計測点(5,b)及びその近傍の計測点(5,a),(5,c)で吸引した脱硝出口NOx濃度の低い流出排ガスを戻すように成すと、脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布の平準化が効率よく成されることとなる。
つまり、この実施例に係る排煙脱硝装置10では、運用時の負荷の大小にかかわらず、平準化した脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH3濃度分布を確保し得ることとなって、脱硝出口NH3濃度が局所的に高くなっている部位をなくし得ることとなる。
本発明に係る排煙脱硝装置の構成は、上記した実施例に限定されるものではなく、他の構成として、例えば、脱硝出口NOx濃度の低い部位が局所的に発生した場合に、この低い脱硝出口NOx濃度を計測した下流側計測部15の計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを排ガス循環機構20の排ガス吸引部22によって自動的に吸引して、脱硝触媒13の排ガス流れ上流側に戻して流すようにしてもよい。
1 垂直煙道
10 排煙脱硝装置
13 脱硝触媒
15 下流側計測部
16 上流側計測部
20 排ガス循環機構
22 排ガス吸引部(排ガス循環機構)
23 吸引駆動部(排ガス循環機構)
24 排ガス循環ファン(排ガス循環機構)
25 排ガス放出部(排ガス循環機構)
26 放出駆動部(排ガス循環機構)
B 石炭焚きボイラ(燃焼器)

Claims (3)

  1. 燃焼器から排出される排ガスを導く煙道に配置されて、NHを注入して前記排ガス中に含まれるNOxを除去する排煙脱硝装置であって、
    前記排ガスからNOxを除去する脱硝処理を行う脱硝触媒と、
    前記脱硝触媒の排ガス流れ下流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝出口NOx濃度を複数箇所で計測する下流側計測部と、
    前記排ガスに注入するNH の量のバランス調整により脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH 濃度分布がいずれも平準化された状態において、前記下流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを吸引して、前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻して流す排ガス循環機構を備えている排煙脱硝装置。
  2. 前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝入口NOx濃度を複数箇所で計測する上流側計測部を備え、前記排ガス循環機構は、前記下流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍で吸引した流出排ガスを前記上流側計測部における複数箇所の計測点のうちの局所的に高い脱硝入口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍に戻す請求項1に記載の排煙脱硝装置。
  3. 燃焼器から排出される排ガスを導く煙道に配置された脱硝触媒により、NHを注入した排ガス中のNOxを除去するに際して、
    前記排ガスに注入するNH の量のバランス調整を行って脱硝出口NOx濃度分布及び脱硝出口NH 濃度分布をいずれも平準化させて前記燃焼器の運用を開始し、
    前記脱硝触媒の排ガス流れ下流側で且つ該排ガス流れに対する面内において脱硝出口NOx濃度を複数箇所で計測し、
    計測した複数の脱硝出口NOx濃度のうちの局所的に低い脱硝出口NOx濃度を計測した計測点及びその近傍を流れる流出排ガスを吸引して、前記脱硝触媒の排ガス流れ上流側に戻して流す排煙脱硝方法。
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