JP6318877B2 - 複合セラミックス材料およびその製造方法、固体酸化物形燃料電池用スラリー、固体酸化物形燃料電池用燃料極並びに固体酸化物形燃料電池 - Google Patents

複合セラミックス材料およびその製造方法、固体酸化物形燃料電池用スラリー、固体酸化物形燃料電池用燃料極並びに固体酸化物形燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、複合セラミックス材料およびその製造方法、固体酸化物形燃料電池用スラリー、固体酸化物形燃料電池用燃料極並びに固体酸化物形燃料電池に関し、さらに詳しくは、ジルコニア粒子とニッケルの分布性および組成制御性に優れた複合セラミックス材料およびその製造方法、この複合セラミックス材料を含有してなる固体酸化物形燃料電池用スラリー、この固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成された固体酸化物形燃料電池用燃料極、この固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなり、電池の出力特性の大幅な向上が可能な固体酸化物形燃料電池に関するものである。
固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)の燃料極の材料として用いられるジルコニア粒子とニッケルの複合方法としては、例えば、(1)噴霧熱分解法により、酸化ニッケル粒子の周辺に固体電解質である酸化セリウムを析出させる方法、(2)酸化ニッケル粒子を、サマリウム塩およびセリウム塩を含有する溶液に浸漬し、酸化ニッケル粒子の表面をサマリウムドープセリアで覆う方法、(3)炭酸塩化合物を用いて、ナノメートルサイズのイットリア安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子とニッケルイオンとを含有するジルコニア分散液のpHを調整し、ジルコニア微粒子からなる網目状凝集構造体の表面にニッケル成分を析出さる方法(例えば、特許文献1参照)が挙げられる。
特開2012−201516号公報
上記(1)、(2)の方法では、いずれもネットワークの骨格となる粒子およびネットワークの骨格の型となる粒子の粒子径が、数百nm〜数μmと比較的大きいため、粒子によって形成されるネットワークも粗大となる。このため、高活性な電極を得るのは困難である。また、各粒子の表面に存在するイオン伝導性を有する固体電解質を相互に結合するために、触媒である酸化ニッケルが固体電解質中に埋め込まれてしまうため、十分な三相界面が得られない。上記(3)の方法により、微細なスケールで三次元ネットワーク構造を有する複合材料の製造が可能であるものの、炭酸ニッケル化合物として析出させる際、無機アルカリによりpH調整を行うため、ニッケルイオンが無機アルカリと錯体を形成し、一部溶解物として流出してしまい、正確な組成が不明確となっていた。また、三相界面の減少や組成のズレにより、発電性能の低下が引き起こされていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ジルコニア粒子およびニッケルの分布性並びに組成制御性に優れた複合セラミックス材料およびその製造方法、固体酸化物形燃料電池用スラリー、固体酸化物形燃料電池用燃料極並びに固体酸化物形燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ナノメートルサイズの安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子を凝集させて、ジルコニア粒子の三次元の網目状骨格構造を形成し、この網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルを複合させることにより、酸化ニッケルを還元させた際に、イオン伝導性であるジルコニアと触媒である金属ニッケルとが微細なスケールで三次元の網目状構造を持つことができることを見出し、本発明を完成するに至った。これにより、三相界面が多く、電極全体に渡るジルコニアの網目状骨格構造により高い酸素イオン伝導性を持ち、ジルコニア骨格に沿った金属ニッケルの網目状構造により、高い電子伝導性を有する複合セラミックス材料を得ることができる。また、酸化ニッケルの前駆体となる炭酸ニッケル化合物を、ジルコニア粒子上に生成する際に有機アルカリを用いることにより、ニッケルイオンとの錯体を形成することなく、正確な組成で複合セラミックス材料を得ることができる。
本発明の複合セラミックス材料は、固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、前記固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能であり、安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合して三次元の網目状骨格構造を形成し、この網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合してなり、ニッケル粒子の含有量が40mol%以上かつ90mol%以下であり、前記ジルコニア粒子の表面を覆う前記ニッケル粒子の被覆率が30%以上かつ80%以下であることを特徴とする。
本発明の複合セラミックス材料の製造方法は、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液とを含むジルコニア分散液をpH4以下に調整することにより、前記ジルコニア微粒子と前記ニッケルイオンを均一に分散させるとともに、前記ジルコニア微粒子を凝集させて三次元の網目状凝集構造体とし、次いで、前記ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、前記ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整し、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、前記ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させ、次いで、このニッケル成分が析出したジルコニア微粒子の網目状凝集構造体を800℃以上かつ1400℃以下の温度にて仮焼することにより、前記ジルコニア微粒子を焼結して得られるジルコニア粒子からなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を生成することを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池用スラリーは、本発明の複合セラミックス材料を含有してなることを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極は、本発明の固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成されたことを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池は、本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなることを特徴とする。
本発明の複合セラミックス材料によれば、固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、前記固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能であるので、ジルコニア粒子およびニッケルの分布性を向上させることができ、このジルコニア粒子およびニッケルの組成制御性を向上させることができる。したがって、三相界面が多く、ジルコニア骨格由来のイオン伝導性に優れた複合セラミックス材料を提供することができる。さらに、本発明の複合セラミックス材料をSOFCの燃料極として使用する際には、酸化ニッケルが還元されることでジルコニア骨格に沿って形成された金属ニッケルのネットワークに由来する高い電子伝導性をも有することができる。また、これにより、SOFCの発電性能を向上させることが可能となる。
本発明の複合セラミックス材料の製造方法によれば、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液とを含むジルコニア分散液をpH4以下に調整することにより、前記ジルコニア微粒子と前記ニッケルイオンを均一に分散させるとともに、ジルコニア微粒子を凝集させて三次元の網目状凝集構造体とし、次いで、前記ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、前記ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整し、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、前記ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させ、次いで、このニッケル成分が析出したジルコニア微粒子の網目状凝集構造体を800℃以上かつ1400℃以下の温度にて仮焼することにより、前記ジルコニア微粒子を焼結して得られるジルコニア粒子からなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を生成するので、ジルコニア粒子が結合してなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルを複合させた複合セラミックス材料を、容易かつ安価に作製することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用スラリーによれば、本発明の複合セラミックス材料を含有してなるので、高い電子伝導性を有する固体酸化物形燃料電池用燃料極を容易かつ安価に作製することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極によれば、本発明の固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成されたので、高い電子伝導性を有し、固体酸化物形燃料電池の発電性能を向上させることが可能となる。
本発明の固体酸化物形燃料電池によれば、本発明の固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなるので、SOFCの燃料極反応である炭化水素、アルコール、水素等の酸化反応の効率を上げることができ、その結果、SOFCの出力特性を向上させることができる。
本発明の一実施形態の固体酸化物形燃料電池の燃料極を評価するための電気化学特性評価装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施例1の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 本発明の実施例1の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後の元素分布を示す図である。 比較例1の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 比較例1の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後の元素分布を示す図である。 比較例3の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像である。 比較例3の複合セラミックス材料を用いて作製した燃料極の還元(動作)後の元素分布を示す図である。
本発明の複合セラミックス材料およびその製造方法、固体酸化物形燃料電池用スラリー、固体酸化物形燃料電池用燃料極並びに固体酸化物形燃料電池の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[複合セラミックス材料]
本実施形態の複合セラミックス材料は、固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能である。
このような本実施形態の複合セラミックス材料は、具体的には、安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合して三次元の網目状骨格構造を形成し、この網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合してなり、ニッケル粒子の含有量が40mol%以上かつ90mol%以下であり、ジルコニア粒子の表面を覆うニッケル粒子の被覆率が30%以上かつ80%以下の材料である。
ここで、三次元の網目状骨格構造とは、ジルコニア粒子が複数個結合して樹枝状となったものが三次元に張りめぐらされて網目状となったものであり、この網目状骨格構造の内部に形成された空隙部は、三次元に張りめぐらされて網目状の空隙となっており、場合によっては、その一部がジルコニア粒子の網目状骨格構造の中に空孔となって残っている構造である。
この複合セラミックス材料におけるジルコニア粒子の平均粒子径は1nm以上かつ100nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上かつ50nm以下である。
ここで、ジルコニア粒子の平均粒子径を1nm以上かつ100nm以下とした理由は、平均粒子径が1nm未満のものは、後述の製造方法に示すように、複合セラミックス材料を形成するために800℃以上の温度で熱処理する必要があるために、ジルコニア粒子の粒成長を1nm未満に抑えることが難しいからであり、一方、平均粒子径が100nmを超えると、表面積が小さくなり、また三次元の網目状構造が粗大になるために、十分な三相界面を得ることができないからである。
ジルコニアを安定化させるために、ジルコニアに添加されるドーパントとしては、イットリウム(Y)、スカンジウム(Sc)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、マグネシウム(Mg)等が挙げられる。
本実施形態の複合セラミックス材料におけるニッケル粒子の含有量は、40mol%以上かつ90mol%以下であり、55mol%以上かつ85mol%以下であることが好ましい。
ここで、複合セラミックス材料におけるニッケル粒子の含有量を40mol%以上かつ90mol%以下とした理由は、ニッケル粒子の含有量が40mol%未満では、複合セラミックス材料を用いてSOFCの燃料極を形成としたとき、金属ニッケルの量が十分でないため、電子伝導性が低下するからである。一方、ニッケル粒子の含有量が90mol%を超えると、安定化ジルコニアの量が不足し、酸素イオン伝導性が低下するからである。
本実施形態の複合セラミックス材料において、ジルコニア粒子の表面を覆うニッケル粒子の被覆率は、30%以上かつ80%以下であり、40%以上かつ75%以下であることが好ましい。
ここで、複合セラミックス材料において、ジルコニア粒子の表面を覆うニッケル粒子の被覆率を、30%以上かつ80%以下とした理由は、ニッケル粒子の被覆率が30%未満では、ジルコニア粒子が過剰となり、ニッケル粒子による三次元の網目状構造の形成が困難となるからである。一方、ニッケル粒子の被覆率が80%を超えると、ジルコニア粒子が孤立して存在してしまい、ジルコニア粒子による三次元の網目状構造を形成できなくなるからである。
なお、ジルコニア粒子の表面を覆うニッケル粒子の被覆率とは、1つのジルコニア粒子の表面全面積に対して、ニッケル粒子によって覆われている面積の割合のことである。
本実施形態の複合セラミックス材料において、ニッケル損失量が10mol%以下であることが好ましい。
本実施形態の複合セラミックス材料において、ニッケル損失量が10mol%以下であることが好ましい理由は、ニッケル損失量が10mol%を超えると、ニッケル粒子が偏在しやすくなり、結果として、ジルコニア粒子の表面を覆うニッケル粒子の被覆率が低下することがあるからである。
なお、ニッケル損失量とは、ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させる際に、水溶性の錯体として濾液に流出したニッケル量の割合のことである。
[複合セラミックス材料の製造方法]
本実施形態の複合セラミックス材料の製造方法は、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液とを含むジルコニア分散液をpH4以下に調整することにより、ジルコニア微粒子とニッケルイオンを均一に分散させるとともに、ジルコニア微粒子を凝集させて三次元の網目状凝集構造体とし、次いで、ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整し、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させ、次いで、このニッケル成分が析出したジルコニア微粒子の網目状凝集構造体を800℃以上かつ1400℃以下の温度にて仮焼することにより、ジルコニア微粒子を焼結して得られるジルコニア粒子からなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を生成する方法である。
ここで、ニッケル成分とは、pHを7以上かつ10未満に調整することにより、ジルコニア分散液より析出させたニッケルの水酸化物や炭酸塩等を指す。
次に、本実施形態の複合セラミックス材料の製造方法について、詳細に説明する。
「ジルコニア分散液の作製」
安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液と、を分散媒中に分散させて、これら2つの液を混合し、ジルコニア分散液とする。
安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子は、水熱合成法や焼成法により作製することができ、例えば、次に挙げる方法が好適である(特開2006−16236号公報参照)。
この方法は、金属塩溶液を塩基性溶液にて中和させて金属酸化物前駆体を生成させ、この金属酸化物前駆体から金属酸化物ナノ粒子を製造する方法であり、この金属塩溶液中の金属イオンまたは金属酸化物イオンの価数をm、この塩基性溶液中の水酸基のモル比をnとするとき、これらmおよびnが次式
0.5<n<m ・・・(1)
を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液部分中和させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱する方法である。
この金属塩溶液としては、イットリウム(Y)塩、スカンジウム(Sc)塩、カルシウム(Ca)塩、イッテルビウム(Yb)塩、マグネシウム(Mg)塩等と、ジルコニウム(Zr)塩とを含む水溶液が好適に用いられる。
ニッケルイオンを生じさせるニッケル化合物としては、ニッケル塩が挙げられる。ニッケル塩としては、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等の無機塩、酢酸ニッケル、クエン酸ニッケル等の有機塩、ヨウ化ニッケル、臭化ニッケル、フッ化ニッケル等のハロゲン化物が挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
分散媒としては、水が好ましく、その他、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類が挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ジルコニア分散液における、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子とニッケル塩との合計の濃度は、特に限定されないが、後述するpH調整により、複合セラミックス粉体を得る場合には、生産性およびハンドリング性の観点から、ジルコニア微粒子とニッケル塩との合計が5質量%〜20質量%程度が好ましい。
ジルコニア分散液における安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子の分散平均粒子径は、1nm以上かつ100nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上かつ50nm以下である。
ここで、ジルコニア微粒子の分散平均粒子径を1nm以上かつ100nm以下とした理由は、分散平均粒子径が1nm未満では、ジルコニア微粒子が後述する分散液中でコロイドとしての性質を発現することができないからであり、一方、分散平均粒子径が100nmを超えると、ジルコニア微粒子により形成される網目状凝集構造体の比表面積が十分でなく、その後のpH調整によってニッケル成分を析出させる際、ニッケル成分がジルコニアの網目状凝集構造体の表面以外で析出してしまい、その結果、組成の分布性が悪く、組成の不均一な複合セラミックス材料が生じるおそれがあるからである。
ここで、分散平均粒子径とは、分散液中の粒子がブラウン運動により拡散する速度を動的光散乱法により光学的に測定することで、横軸に分散液中の粒子の分散粒子径を、縦軸にその分散粒子径の粒子の数をとった粒度分布図を得て、その図中において粒子の数が最大となる分散粒子径のことである。
ジルコニア分散液のpHは4以下であり、2以下であれることが好ましい。
ジルコニア分散液のpHを4以下とする理由は、pHが4を超えるとジルコニア微粒子の凝集が起こり、良好な分散状態を得ることが難しくなるからである。そのため、後述の工程でpHを調整しても、三次元の網目状骨格構造を有するジルコニア粒子の凝集体(三次元の網目状凝集構造体)を得ることが難しくなり、このために良好な特性を有する複合セラミックス材料やSOFC用の燃料極を得ることが難しくなる。
「ジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物の作製」
次いで、ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整する。
有機系アンモニウム塩水溶液を構成する有機系アンモニウム塩としては、例えば、炭酸テトラメチルアンモニウム等の4級アンモニウムの炭酸塩等が用いられる。
ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整するために、有機系アンモニウム塩水溶液に有機アルカリ(pH調整剤)を添加することが好ましい。
有機アルカリとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド(TEAH)等が用いられる。
ここで、ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整することとしたのは、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、ジルコニア分散液中のジルコニア微粒子上にニッケルイオンを炭酸塩の沈殿物として十分に析出させるためである。これにより、ジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物が生成される。
ジルコニア分散液、有機系アンモニウム塩および有機アルカリそれぞれの温度は、常温でよく、より好ましくは1℃〜50℃の範囲である。
これにより、ジルコニア分散液中には、ジルコニア微粒子のみを凝集させた三次元の網目状凝集構造体とニッケルイオンとが共存することとなる。
「複合セラミックス材料の作製」
通常の濾過洗浄装置等を用いて、上記のジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物を含む分散液から、ジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物を分離し、ジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物を純水で洗浄して、アルカリイオン等の不純物イオンを除去する。次いで、エタノールや2−プロパノール等のアルコール類を用いて置換した後、乾燥機を用いて100℃以下で乾燥する。
ここで得られる乾燥物は、ナノメートルサイズの微細な安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子が三次元の網目状に凝集した凝集構造体の表面に炭酸ニッケル化合物が複合した状態である。
次いで、得られた乾燥物を、例えば、電気炉等を用いて、大気雰囲気中、800℃以上かつ1400℃以下、好ましくは850℃以上かつ1300℃以下、より好ましくは900℃以上かつ1200℃以下の温度にて仮焼することにより、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子が焼結しイオン伝導性のパスを形成し、三次元の網目状骨格構造を有し、ジルコニア粒子の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料が得られる。
この仮焼により、ジルコニア粒子は、粒子径が1nmから100nm程度の粒子に成長し、この様な粒子径のジルコニア粒子が三次元の網目状骨格構造を形成する。また、ニッケル成分は酸化されて酸化ニッケルとなるが、ジルコニア粒子の粒成長によってもジルコニア粒子の骨格構造内部に取り込まれることなく、その表面に存在する。このようにして、安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合した三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した、本実施形態の複合セラミックス材料を作製することができる。
ここで、仮焼する温度を800℃以上かつ1400℃以下と限定した理由は、仮焼する温度が800℃より低いと、ジルコニア粒子間の結合が悪く、十分なイオン伝導性が得られないからであり、一方、仮焼する温度が1400℃を超えると、ジルコニア粒子の粒成長が進み過ぎてしまい、ジルコニア粒子の平均粒子径を100nm以下に保つことができなくなり、その結果、得られる複合セラミックス材料、特に、固体酸化物形燃料電池用燃料極における比表面積が十分でなくなるからである。
なお、ニッケル成分から酸化ニッケルを生成させるための熱処理温度は200℃以上であればよく、450℃以上とすれば速やかに生成が行われるのに対し、仮焼する温度は800℃以上であるから、ニッケル成分からの酸化ニッケル生成には問題ない。
また、この仮焼は一度に行ってもよく、複数回に分けて行ってもよい。
「複合セラミックス材料の成形」
ここで、複合セラミックス材料の成形方法について説明する。
複合セラミックス材料は、通常、粉体の状態で成形後、焼結して当該複合セラミックス材料を得る。本実施形態の複合セラミックス材料における粉体としては、前記のジルコニア・ニッケル炭酸塩複合物の乾燥物があり、これを用いることができる。ただし、ニッケル成分が水酸化物や炭酸塩等であって安定ではなく、その後の仮焼時に酸化ニッケルに変化する際に大きな体積変化やガス発生等が起こり得るため、ハンドリングの面から好ましくないことから、予め600℃程度で熱処理してニッケル成分を酸化ニッケルに転じておくことが好ましい。
そこで、複合セラミックス材料の作製工程を2段階に分け、第1段階では酸化ニッケルが生成し、かつジルコニア粒子が三次元の網目状骨格構造体を形成しない程度の温度と時間で熱処理することにより、表面に酸化ニッケルが結合した、粒子径が数1nmから100nm程度のジルコニア粒子同士が弱く結合した、ジルコニア−酸化ニッケル複合セラミックス粉体を形成することができる。この第1段階における熱処理温度としては、例えば、その上限値を800℃ないし1000℃程度とすればよい。
このようにして得られたジルコニア−酸化ニッケル複合セラミックス粉体を、必要とする形に成形し、成形物を得る。成形方法としては、通常のセラミックス成形方法であれば特に制限はなく、押し出し成形、加圧プレスのほか、複合セラミックス粉体に水や有機溶剤の他バインダー(例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラール等)を添加してスラリーやペーストとし、テープ成形、スクリーン印刷、インクジェット成形、ゲルキャスト、フィルター製膜、スリップキャスト等の方法にて成形することができる。
また、後述のSOFC用燃料極等に用いる場合には、この成形の際に、ポリマービーズや繊維状ポリマーなどを含有させて、得られる成形体に一定の空孔を形成させてもよい。
このようにして得られたジルコニア−酸化ニッケル複合セラミックス粉体の成形体に対して、複合セラミックス材料の作製工程の第2段階、すなわち、ジルコニア粒子同士が焼結して、1nmから100nm程度のジルコニア粒子が三次元の網目状骨格構造体を形成する温度と時間で熱処理することにより、複合セラミックス材料を得ることができる。この第2段階における熱処理温度としては、例えば、その下限値を800℃ないし1000℃程度とすればよい。
このようにして、特定の形状を有し、安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合した三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが結合してなる本実施形態の複合セラミックス材料を作製することができる。
[固体酸化物形燃料電池用スラリー]
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーは、本実施形態の複合セラミックス材料を含有してなる。詳細には、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーは、本実施形態の複合セラミックス材料に、溶媒やバインダーを添加してなる。
複合セラミックス材料と、溶媒やバインダーとを混合する方法としては、例えば、ボールミルを用いた混合方法が挙げられる。
溶媒としては、水、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、トルエン等の非水溶媒が挙げられる。また、必要に応じて、α−テルピネオール等の高沸点溶媒を用いてもよい。これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、分散剤として、焼成時に異種元素が残存しないアセチルアセトンやポリカルボン酸等を添加してもよい。
バインダーとしては、セルロース系バインダーやポリビニルブチラール等の公知のものが用いられる。バインダーは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、必要に応じて、フタル酸ジブチル等の可塑剤を添加してもよい。
また、造孔剤として、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、カーボンブラック、グラファイトを添加してもよい。造孔剤を添加することにより、固体酸化物形燃料電池用スラリーによって作製される固体酸化物形燃料電池用燃料極には気孔が形成される。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーを、スクリーン印刷、テープ成形、ディップコート法等の方法により、支持体上に塗工し、固体酸化物形燃料電池用スラリーからなる膜を成膜する。その後、1000℃以上かつ1400℃以下の温度にて焼成することにより、三次元の網目状骨格構造を有し、ジルコニア粒子の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を固体酸化物形燃料電池用燃料極とすることができる。
[固体酸化物形燃料電池用燃料極]
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用燃料極は、上述のようにして、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成されたものである。
[固体酸化物形燃料電池]
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなるものである。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用燃料極を構成する、本実施形態の複合セラミックス材料は、安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合してなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した構造を有していることから、この固体酸化物形燃料電池の発電時の還元雰囲気下にて酸化ニッケルの還元金属化処理を行った場合においても、金属ニッケルの融着や粒成長を抑制することができ、安定化ジルコニアからなるジルコニア骨格に金属ニッケルが絡みついた構造体が得られる。したがって、三相界面量が多く、ジルコニア骨格由来のイオン伝導性、ジルコニアの骨格に沿って形成された金属ニッケルのネットワークに由来する高い電子伝導性を有する固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えた固体酸化物形燃料電池を提供することができる。
したがって、SOFCのアノード反応である炭化水素、アルコール、水素等の酸化反応の効率を上げることができ、SOFCの出力特性を向上させることができる。
図1は、電気化学特性評価装置の一例を示す模式図であり、上記の固体酸化物形燃料電池を構成する固体酸化物形燃料電池用燃料極の電気特性を測定するための装置である。
図1において、符合1は酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア等からなる燃料極(固体酸化物形燃料電池用燃料極)、2は本実施形態の複合セラミックス材料を用いた燃料極、3は燃料極1および燃料極2の上面に形成されたイットリア安定化ジルコニア等の電解質、4はLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(LSCF)等からなる空気極、5は空気極4の上面に形成された銀ペーストと銀線等からなる集電部、6は燃料極1の上面に形成された銀ペーストと銀線等からなる集電部、7はセメントシール、8はアルミナ管、9は銀線、10は露点℃20〜25℃で加湿された20%H−80%Nの組成の加湿混合ガス、11は乾燥空気である。
ここで、上記の固体酸化物形燃料電池の燃料極2の電極反応抵抗を測定するには、燃料極1の上面に燃料極2、電解質3および空気極4を順次焼き付ける。その後、集電部5を燃料極1および空気極4に取り付け、燃料極1および燃料極2に加湿混合ガス10を供給し、空気極4に乾燥空気11を供給しながら、600℃における燃料極2と空気極4との間の交流インピーダンスおよび電流−電圧曲線を測定する。電流−電圧曲線を測定することにより、固体酸化物形燃料電池の発電効率(%LHV)を評価することができる。ここでは、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給する。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池は、このようにして評価した発電効率が50%LHVである。
以上説明したように、本実施形態の複合セラミックス材料によれば、固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能であるので、ジルコニア粒子およびニッケルの分布性を向上させることができ、このジルコニア粒子およびニッケルの組成制御性を向上させることができる。したがって、三相界面が多く、ジルコニア骨格由来のイオン伝導性に優れた複合セラミックス材料を提供することができる。さらに、本発明の複合セラミックス材料をSOFCの燃料極として使用する際には、酸化ニッケルが還元されることでジルコニア骨格に沿って形成された金属ニッケルのネットワークに由来する高い電子伝導性をも有することができる。また、これにより、SOFCの発電性能を向上させることが可能となる。
本実施形態の複合セラミックス材料の製造方法によれば、安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液とを含むジルコニア分散液をpH4以下に調整することにより、ジルコニア微粒子とニッケルイオンを均一に分散させるとともに、ジルコニア微粒子を凝集させて三次元の網目状凝集構造体とし、次いで、ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整し、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させ、次いで、このニッケル成分が析出したジルコニア微粒子の網目状凝集構造体を800℃以上かつ1400℃以下の温度にて仮焼することにより、ジルコニア微粒子を焼結して得られるジルコニア粒子からなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を生成するので、ジルコニア粒子が結合してなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルを複合させた複合セラミックス材料を、容易かつ安価に作製することができる。また、pH調整時に有機炭酸塩を用いることにより、錯体形成によるニッケル損失が生じることなく、安定化ジルコニア粒子と酸化ニッケルとを複合することが可能となる。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーによれば、本実施形態の複合セラミックス材料を含有してなるので、高い電子伝導性を有する固体酸化物形燃料電池用燃料極を容易かつ安価に作製することができる。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池用燃料極によれば、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成されたので、高い電子伝導性を有し、固体酸化物形燃料電池の発電性能を向上させることが可能となる。
本実施形態の固体酸化物形燃料電池によれば、本実施形態の固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなるので、三相界面量が多く、ジルコニア骨格由来のイオン伝導性、ジルコニアの骨格に沿って形成された金属ニッケルのネットワークに由来する高い電子伝導性を有することから、SOFCの燃料極反応である炭化水素、アルコール、水素等の酸化反応の効率を上げることができ、その結果、SOFCの出力特性を大幅に向上させることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
分散平均粒子径が5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:6.81質量%、pH:3.5)200gに純水85.7gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)54.4gを、純水467.64gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを1.7に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを9.0に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて1000℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は63.5/36.5、ニッケル損失量は1.1mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率およびニッケル損失量を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
次いで、CeGdO(GDC)粉体17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、燃料極を作製したセルの表面上にディップコート法により塗布して、スラリーからなる膜を成膜し、1200℃にて3時間焼成し、中間層を形成した。
次いで、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(LSCF)粉体21gとGDC9gとを、10質量%ポリビニルブチラール溶液30g、2−プロパノール34.0g、フタル酸ジブチル3.0gおよび分散剤0.3gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、中間層を作製したセルの表面にディップコート法により塗布して、スラリーからなる膜を成膜し、1000℃にて3時間焼成し、空気極を形成した。
次いで、この燃料極の電極反応抵抗を、図1に示す電気化学特性評価装置を用いて測定した。ここでは、空気極に乾燥空気を200mL/分の流量にて供給し、また、燃料極に20%H−80%Nの組成の加湿混合ガス(加湿条件:露点20から25℃)を、50mL/分の流量にて供給し、空気極を対極とし、交流インピーダンスを測定することにより、電極反応抵抗を評価した。測定前、燃料極D−1は、露点20から25℃で加湿された20%H−80%Nの組成の加湿混合ガスで加熱されることにより、含有される酸化ニッケルが還元されて金属ニッケルとなるが、この還元状態の燃料極をD−1Rとする。測定温度は600℃とし、測定周波数は10kHz〜0.1Hzとした。測定結果を表2および表3に示す。
次いで、空気極に乾燥空気を200mL/分の流量にて供給し、また、燃料極に20%H−80%Nの組成の加湿混合ガス(加湿条件:露点20から25℃)を、20mL/分の流量にて供給し(水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し)、電流−電圧曲線を測定することにより、固体酸化物形燃料電池の発電効率を評価した。
図2は、実施例1の燃料極D−1Rを示す透過型電子顕微鏡(TEM)像であり、図3は、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)により得られた実施例1の燃料極D−1Rの元素分布を示す図(位置は図2と同一)である。
図2および図3によれば、100nm〜500nm程度のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)粒子が結合して三次元の網目状構造となっており、この網目状構造の表面に金属ニッケルが結合することにより、ニッケルとジルコニウムが絡み合った構造となっていることが分かる。
EDXの元素分布より求めたニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
なお、TEM像における「樹脂」は、TEM測定用試料作製時に試料が分解しないようにするために、試料を埋め込んだ樹脂であって、本実施例とは直接は関係ない。
[実施例2]
分散平均粒子径が5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:6.81質量%、pH:3.5)200gに純水85.7gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)101.02gを、純水868.48gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを1.7に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを9.0に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて1000℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は76.3/23.7、ニッケル損失量は1.8mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例3]
分散平均粒子径が4nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.68質量%、pH:3.7)200gに純水122.4gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)113.99gを、純水979.98gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを1.7に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを9.0に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて900℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は76.2/23.8、ニッケル損失量は1.6mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1275℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例4]
分散平均粒子径が4nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.68質量%、pH:3.7)200gに純水122.4gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)61.38gを、純水527.68gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを1.7に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを9.0に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて900℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は63.5/36.5、ニッケル損失量は1.2mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1275℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例5]
分散平均粒子径が6.5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:7.98質量%、pH:3.5)300gに純水202.5gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)95.68gを、純水822.53gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.7に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により2回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて950℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は68.2/31.8、ニッケル損失量を計算した。その結果、体積比(VNi/V)は35/65、Niの損失量は1.3mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、エタノール21.98g、フタル酸ジオクチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1300℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例6]
分散平均粒子径が6.5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:7.98質量%、pH:3.5)300gに純水202.5gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)118.46gを、純水1018.4gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.8に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により2回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて950℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は68.2/31.8、ニッケル損失量は1.5mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、エタノール21.98g、フタル酸ジオクチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1300℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例7]
分散平均粒子径が5.5nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:6.88質量%、pH:3.4)350gに純水155.4gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)178.71gを、純水1536.4gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを9.0に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて850℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は76.3/23.7、ニッケル損失量は1.9mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジイソノニル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1275℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例8]
分散平均粒子径が5.5nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:6.88質量%、pH:3.4)350gに純水155.4gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)76.59gを、純水658.44gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.8に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて800℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は57.8/42.2、ニッケル損失量は1.2mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジイソノニル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1275℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例9]
分散平均粒子径が5.5nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.68質量%、pH:3.8)200gに純水122.4gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを2.4に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)61.38gを、純水527.68gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.9に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて925℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は63.4/36.4、ニッケル損失量は1.4mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1275℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例10]
分散平均粒子径が6.5nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.22質量%、pH:3.6)300gに純水154.2gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)107.06gを、純水920.4gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.5に調整し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.5に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により3回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて925℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は68.2/31.8、ニッケル損失量は1.5mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジオクチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1250℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[実施例11]
分散平均粒子径が3nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:7.14質量%、pH:3.8)500gに純水248.6gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.4mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを2.5に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)142.54gを、純水1225.4gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを1.7に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを1.7に調整し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.4mol/L炭酸テトラメチルアンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.8に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により2回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて975℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は63.5/36.5、ニッケル損失量は1.2mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジオクチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1325℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[比較例1]
市販の酸化ニッケル(住友金属鉱山社製、FP粉)とイットリア安定化ジルコニア(東ソー社製 、TZ−8Y)を、ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M)が63.5/36.5となるように混合した。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の混合粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
図4は、比較例1の燃料極を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像であり、図5は、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)により得られた比較例1の燃料極の元素分布を示す図(位置は図4と同一)である。
図4および図5によれば、1μm以上のイットリア安定化ジルコニア粒子の周囲に1μm以上の酸化ニッケル粒子が存在しているだけで、十分なネットワーク構造を有していないことが分かる。
[比較例2]
市販の酸化ニッケル(住友金属鉱山社製、FP粉)とスカンジア安定化ジルコニア(第一希元素社製 、10Sc1CeSZ)を、ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M)が63.5/36.5となるように混合した。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の混合粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[比較例3]
分散平均粒子径が5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:6.81質量%、pH:3.5)200gに純水332.0gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.2mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを3.3に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)54.41gを、純水935.56gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.2mol/L炭酸水素アンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.0に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により4回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて1000℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は57.8/42.2、ニッケル損失量は22.4mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
図6は、比較例3の燃料極を示す透過型電子顕微鏡(TEM)像であり、図7は、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)により得られた比較例3の燃料極の元素分布を示す図(位置は図6と同一)である。
図6および図7によれば、100nm〜500nmnm程度のイットリア安定化ジルコニア粒子が結合して三次元の網目状構造を有し、その表面に金属ニッケルが結合しているが、Niの損失により、有効なネットワーク構造を十分に形成できていないことが分かる。
[比較例4]
分散平均粒子径が5nmの8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(8.5YSZ)分散液(8.5YSZ固形分濃度:6.81質量%、pH:3.5)300gに純水332.0gを加え、イットリア安定化ジルコニアの濃度が0.2mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを3.3に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)101.05gを、純水1737.5gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記のイットリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、ニッケルイオン含有8.5mol%イットリア安定化ジルコニア(Ni−8.5YSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−8.5YSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.2mol/L炭酸水素アンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.0に調整し、8.5YSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により4回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて1000℃にて6時間仮焼し、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Y、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)とイットリア安定化ジルコニア(YSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は71.6/28.4、ニッケル損失量は24.8mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[比較例5]
分散平均粒子径が4nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.68質量%、pH:3.7)200gに純水400.0gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.2mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを3.3に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)61.36gを、純水1055.9gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.2mol/L炭酸水素アンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.0に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により2回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて900℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は57.8/42.2、ニッケル損失量は23.1mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
[比較例6]
分散平均粒子径が4nmの10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(10Sc1CeSZ)分散液(10Sc1CeSZ固形分濃度:7.68質量%、pH:3.7)200gに純水400.0gを加え、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニアの濃度が0.2mol/Lとなるように希釈し、この分散液に硝酸を添加し、この分散液のpHを3.3に調整した。
次いで、硝酸ニッケル6水和物(Ni(NO・6HO)113.96gを、純水1959.4gに溶解して水溶液を調製し、この水溶液に硝酸を添加し、この水溶液のpHを2.0に調整した。
次いで、硝酸ニッケルの水溶液に、上記の10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア分散液を加えて撹拌し、ニッケルイオン含有10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)分散液を作製した。
次いで、このNi−10Sc1CeSZ分散液に、Ni量に対して所定量の炭酸量となる0.2mol/L炭酸水素アンモニウム水溶液を添加し、この水溶液のpHを8.0に調整し、10Sc1CeSZ粒子の凝集体と、炭酸ニッケル化合物とを含む水溶液を得た。
次いで、濾過洗浄装置を用いて、上記の水溶液から固形分を分離し、この固形分を純水により2回洗浄することで不純物イオンを除去し、次いで、エタノールにて溶媒置換を行い、その後、室温にて48時間自然乾燥した。次いで、得られた乾燥物を、ボールミルを用いて粉砕し、粉砕メディアを分離した後、電気炉を用いて900℃にて6時間仮焼し、10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を得た。
この複合セラミックス材料中のNi、Sc、Ce、Zrの質量および固形分を分離した濾液のNi質量を蛍光X線分析により測定し、この測定結果に基づいて、酸化ニッケル(NiO)と10mol%スカンジア1mol%セリア安定化ジルコニア(Ni−10Sc1CeSZ)のモル比(ジルコニア粒子のモル量(M)に対する、酸化ニッケルから形成される金属ニッケルのモル量(MNi)の比(MNi/M))およびニッケル損失量を計算した。その結果、モル比(MNi/M)は73.3/26.7、ニッケル損失量は21.5mol%であった。
複合セラミックス材料のBET比表面積、結晶子径、ニッケル粒子の含有率、ニッケル損失量およびニッケル粒子の被覆率を表1に示す。
次いで、上記の複合セラミックス粉末17gを、10質量%ポリビニルブチラール溶液17g、2−プロパノール21.98g、フタル酸ジブチル1.7gおよび分散剤0.17gとともにボールミルにて混合し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを、円筒状の酸化ニッケル−イットリア安定化ジルコニア基材の表面にディップコート法により塗布して、スラリーかなる膜を成膜し、1350℃にて3時間焼成し、燃料極を作製した。
以下、実施例1と同様にして、この燃料極の電極反応抵抗および固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定した。測定結果を表2および表3に示す。
表1の結果から、実施例1〜実施例11では、ニッケル粒子の含有率が63.5mol%〜76.3mol%、ニッケル粒子の被覆率が47.5%〜72.4%、ニッケル損失量が1.9mol%以下であり、ジルコニア粒子およびニッケルの組成制御性が高いことが分かった。
一方、比較例3〜比較例6では、ニッケル粒子の含有率が57.8mol%〜73.3mol%、ニッケル粒子の被覆率が29.8%〜47.1%、ニッケル損失量が21.5mol%〜24.8mol%であり、ジルコニア粒子およびニッケルの組成制御性が低いことが分かった。
表2の結果から、実施例1〜実施例11では、燃料極の電極反応抵抗が140mΩ・cm〜210mΩ・cmであり、電子伝導性に優れることが分かった。
一方、比較例1〜比較例6では、燃料極の電極反応抵抗が310mΩ・cm〜500mΩ・cmであり、電子伝導性に劣ることが分かった。
表3の結果から、実施例1〜実施例11では、固体酸化物形燃料電池の発電効率が50.1%LHV〜52.0%LHVであり、高効率発電が可能であることが分かった。
一方、比較例1〜比較例6では、固体酸化物形燃料電池の発電効率が37.3%LHV〜45.3%であり、高効率発電が困難であることが分かった。
本発明の複合セラミックス材料は、固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、前記固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能であるから、固体酸化物形燃料電池およびそれに関するさまざまな工業分野においてもその利用可能性は大である。

Claims (6)

  1. 固体酸化物形燃料電池の燃料極として使用し、測定温度を600℃、水素ガスを4mL/分の流量にて供給するとともに、窒素ガスを16mL/分の流量にて供給し、前記固体酸化物形燃料電池の発電効率を測定したとき、50%LHV以上の発電効率を得ることが可能であり、
    安定化ジルコニアからなるジルコニア粒子が結合して三次元の網目状骨格構造を形成し、この網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合してなり、
    ニッケル粒子の含有量が40mol%以上かつ90mol%以下であり、前記ジルコニア粒子の表面を覆う前記ニッケル粒子の被覆率が30%以上かつ80%以下であることを特徴とする複合セラミックス材料。
  2. 安定化ジルコニアからなるジルコニア微粒子を含有する安定化ジルコニア分散液と、ニッケルイオンを含有する溶液とを含むジルコニア分散液をpH4以下に調整することにより、前記ジルコニア微粒子と前記ニッケルイオンを均一に分散させるとともに、前記ジルコニア微粒子を凝集させて三次元の網目状凝集構造体とし、次いで、前記ジルコニア分散液に有機系アンモニウム塩水溶液を添加することにより、前記ジルコニア分散液のpHを7以上かつ10未満に調整し、ニッケルの損失量を10mol%以下にするとともに、前記ジルコニア微粒子の表面にニッケル成分を析出させ、次いで、このニッケル成分が析出したジルコニア微粒子の網目状凝集構造体を800℃以上かつ1400℃以下の温度にて仮焼することにより、前記ジルコニア微粒子を焼結して得られるジルコニア粒子からなる三次元の網目状骨格構造の表面に酸化ニッケルが複合した複合セラミックス材料を生成することを特徴とする複合セラミックス材料の製造方法。
  3. 前記ジルコニア分散液におけるジルコニア微粒子の分散平均粒子径は1nm以上かつ100nm以下であることを特徴とする請求項に記載の複合セラミックス材料の製造方法。
  4. 請求項に記載の複合セラミックス材料を含有してなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池用スラリー。
  5. 請求項に記載の固体酸化物形燃料電池用スラリーを用いて形成されたことを特徴とする固体酸化物形燃料電池用燃料極。
  6. 請求項に記載の固体酸化物形燃料電池用燃料極を備えてなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
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