JP6318586B2 - 車両用制動制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転者の制動操作によりマスタシリンダ圧を発生させる液圧制動装置と、駆動輪の回転により回生制動トルクを発生させる回生制動装置と、を協調作動させる回生協調制御を行なう車両用制動制御装置に関する。
従来、回生制動装置と摩擦(液圧)制動装置とを協調作動させて運転者の要求減速度を発生する車両用制動制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この従来技術では、ブレーキペダル反力の変動量の大きさを表す踏力変化度合いを算出し、踏力変化度合いが大きいほど、低車速域で回生制動トルクから摩擦制動トルクへのすり替えを開始する車速を高車速側に変更している。
特開2010−179742号公報
しかしながら、上記従来技術では、低車速域での回生制動トルクと摩擦制動トルクとのすり替え時に、運転者がブレーキペダルの踏込量を増加させる踏み増し操作を行なった場合に、車両減速度変動や踏力変動が生じるおそれがあった。
すなわち、ブレーキペダルの踏み増し操作を行なうと、すり替えを開始する車速が、踏み増し操作前よりも高車速側に変更され、さらにこの変更により、回生制動トルクが急減少されるとともに、摩擦制動トルクが急上昇される。このとき、回生制動トルクの応答性が摩擦制動トルクの応答性よりも高いことから、協調のずれによる車両減速度変動が生じるとともに、摩擦制動トルクの急増によるマスタシリンダ圧上昇によりペダル踏力変動が生じる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ブレーキペダル踏み増し操作時の車両減速度変動あるいは踏力変動を抑制できる車両用制動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の車両用制動制御装置は、摩擦制動トルクと回生制動トルクとを含む総制動トルクが運転者の要求制動トルクとなるように摩擦制動トルクと回生制動トルクとを制御する回生協調制御を実行する回生協調コントローラは、制動操作に応じて回生制動トルク制限値を設定する回生制動トルク制限値設定部を備え、前記回生協調制御時に、前記回生制動トルク制限値により前記回生制動トルクを制限するようにし、
前記回生制動トルク制限値設定部は、ブレーキペダル操作量変化に伴い前記回生制動トルク制限値を変更する際に、前記回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量が許容範囲内となるか否か判定し、前記許容範囲を超える場合には、前記回生制動トルク制限値として、前記変化量を前記許容範囲内とするように補正した補正回生制動トルク制限値を算出することを特徴とする車両用制動制御装置とした。
本発明の車両用制動制御装置では、運転者のブレーキペダルの踏み増し操作時には、回生制動トルクの制限値を変更する際に、回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量と車両減速度変化量との少なくとも一方が許容範囲以内となるか否か判定する。そして、許容範囲を超える場合には、その変化量が許容範囲内となる補正回生制動トルク制限値を回生制動トルク制限値として算出する。
したがって、回生協調コントローラは、すり替え制御時の回生制動トルクを、踏み増し操作前後で、踏力変化量と車両減速度変化量との少なくとも一方の変化量を、補正回生制動トルク制限値により許容範囲内に抑制することができる。
実施の形態1の車両用制動制御装置を適用したハイブリッド車両の構成を示す全体システム図である。 実施の形態1の車両用制動制御装置に用いたブレーキ装置の全体構成図である。 実施の形態1の車両用制動制御装置の回生制動トルク制限値設定部における回生制動トルク制限値の設定処理の流れを示すフローチャートである。 図3のステップS2の処理に用いる回生制動トルク制限値マップである。 実施の形態1の車両用制動制御装置との比較例の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1の車両用制動制御装置の動作例を示すタイムチャートである。 実施の形態1の車両用制動制御装置のインプットロッドストロークに対する踏力目標値の静特性の一例を示すマップである。 実施の形態1の車両用制動制御装置のインプットロッドストロークに対する減速度目標値の一例を示すマップである。
以下、本発明の車両用制動制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施の形態1に基づいて説明する。
まず、実施の形態1の車両用制動制御装置の構成を説明する。
実施の形態1の車両用制動制御装置を備えたハイブリッド車両の構成を、「全体構成」「制御系」「ブレーキ装置の構成」[ブレーキ倍力装置の構成および動作]に分けて説明する。
[全体構成]
図1は、前記ハイブリッド車両を示す全体システム図である。
このハイブリッド車両の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータ(回生制動装置)MGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RLと、右後輪RRと、を有する。また、従動輪として、左前輪FL、右前輪FRを備えている。
エンジンEは、例えばガソリンエンジンであり、後述するエンジンコントローラ101からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されたクラッチである。この第1クラッチCL1は、後述する第1クラッチコントローラ105からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット106により作り出された制御油圧により作動し、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。具体的には、第1クラッチCL1は、非制御時において、板ばねの付勢力によって完全締結しているノーマルクローズ型の乾式クラッチである。そして、第1クラッチCL1に開放指令が出力されると、伝達トルク容量指令に応じた油圧がピストンに供給されてストロークし、ストローク量に応じた伝達トルク容量に設定される。所定以上のストロークが行われると、クラッチプレート間の接触が絶たれて開放する。また、ピストンにはクラッチ開放時のフリクションロスを軽減するために、クラッチプレートの接触が絶たれた後もさらにピストンに付与する油圧を高めて余分に所定量ストロークさせる。
一方、第1クラッチCL1が開放された状態から締結するときは、ピストンに付与する油圧を徐々に低くする。すると、ピストンがストロークを開始し、所定量ストロークしたときにクラッチプレートが当接し始める(ガタ詰めに相当)。ちなみに、クラッチプレートが当接したか否かはエンジン回転数Neが上昇を開始したか否かで判断できる。それ以後は、ピストンに作用する油圧を低くするほど高い伝達トルク容量となる。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータである。このモータジェネレータMGは、後述するモータコントローラ102からの制御指令に基づいて、インバータ103により形成された三相交流を印加することにより制御される。
また、モータジェネレータMGは、バッテリ104からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機(回生制動装置)として動作できる(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)。さらに、モータジェネレータMGは、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ104を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチである。この第2クラッチCL2は、後述するATコントローラ107からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット108により作り出された制御油圧により、スリップ締結を含み締結・開放が制御される。
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速Vwやアクセル開度APO等に応じて自動的に切り換える変速機である。本実施の形態1では、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用している。また、第2クラッチCL2を、モータジェネレータMGと自動変速機ATとの間に独立して設けてもよい。
自動変速機ATの出力軸は、車両駆動軸としてのプロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。なお、第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いている。
このハイブリッド車両の駆動系は、第1クラッチCL1の締結・開放状態に応じて3つの走行モードを有する。
第1の走行モードは、第1クラッチCL1の開放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」と略称する。)である。
第2の走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」と略称する。)である。
また、第3の走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で第2クラッチCL2をスリップ制御させ、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC走行モード」と略称する。)である。このWSCモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成可能なモードである。なお、EV走行モードからHEV走行モードに遷移するときは、第1クラッチCL1を締結し、モータジェネレータMGのトルクを用いてエンジン始動を行う。
さらに、上記「HEV走行モード」には、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを設定する。
「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪としての左右後輪RL,RRを動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪としての左右後輪RL,RRを動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪としての左右後輪RL,RRを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる。また、減速運転時は、制動エネルギを回生してモータジェネレータMGにより発電し、バッテリ104の充電のために使用する。
また、さらなるモードとして、車両停止時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させる発電モードを有する。
[制御系]
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ101と、モータコントローラ102と、インバータ103と、バッテリ104と、第1クラッチコントローラ105と、第1クラッチ油圧ユニット106と、ATコントローラ107と、第2クラッチ油圧ユニット108と、ブレーキ装置1と、統合コントローラ(回生協調コントローラ)110と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ101と、モータコントローラ102と、第1クラッチコントローラ105と、ATコントローラ107と、ブレーキ装置1と、統合コントローラ110とは、互いの情報交換が可能なCAN通信線111を介して接続されている。
エンジンコントローラ101は、エンジン回転数センサ112からのエンジン回転数情報を入力し、統合コントローラ110からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne:エンジン回転数,Te:エンジントルク)を制御する指令を出力する。この指令出力は、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力される。なお、エンジン回転数Ne等の情報は、CAN通信線111を介して統合コントローラ110へ供給される。
モータコントローラ102は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ113からの情報を入力する。そして、統合コントローラ110からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm:モータジェネレータ回転数,Tm:モータジェネレータトルク)を制御する指令をインバータ103へ出力する。なお、このモータコントローラ102では、バッテリ104の充電状態を表すバッテリSOCを監視していて、バッテリSOC情報は、モータジェネレータMGの制御情報に用いると共に、CAN通信線111を介して統合コントローラ110へ供給される。
第1クラッチコントローラ105は、第1クラッチ油圧センサ114と第1クラッチストロークセンサ115からのセンサ情報を入力する。そして、統合コントローラ110からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・開放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット106に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線111を介して統合コントローラ110へ供給する。
ATコントローラ107は、アクセル開度センサ116と車速センサ117と第2クラッチ油圧センサ118と運転者の操作するシフトレバーの位置に応じた信号を出力するインヒビタスイッチからの各センサ情報を入力する。そして、統合コントローラ110からの第2クラッチ制御指令に応じ、第2クラッチCL2の締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット108に出力する。なお、アクセル開度APOと車速Vwとインヒビタスイッチの情報は、CAN通信線111を介して統合コントローラ110へ供給する。
ブレーキ装置1は、運転者の制動操作に応じて各車輪に摩擦制動トルクを付与する。また、統合コントローラ110からの回生協調制御指令に基づいて摩擦制動トルクを調整する。回生協調制御については後述する。
統合コントローラ110は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ121と、第2クラッチ出力回転数N2outを検出する第2クラッチ出力回転数センサ122と、第2クラッチ伝達トルク容量TCL2(第2クラッチトルク)を検出する第2クラッチトルクセンサ123と、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ124と、前後加速度を検出するGセンサ125とからの各センサ情報と、CAN通信線111を介して得られた情報とを入力する。
統合コントローラ110は、エンジンコントローラ101への制御指令によるエンジンEの動作制御と、モータコントローラ102への制御指令によるモータジェネレータMGの動作制御と、第1クラッチコントローラ105への制御指令による第1クラッチCL1の締結・開放制御と、ATコントローラ107への制御指令による第2クラッチCL2の締結・開放制御と、ブレーキコントローラ109への制御指令によるブレーキ装置1の動作制御と、を行う。
統合コントローラ110は、運転者のブレーキペダル踏込量に対して目標減速度を算出し、算出した目標減速度に対し回生制動トルクを優先することにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
一方、回生制動トルクには車速によって決まる回転数に応じて上限があるため、目標減速度に対し回生制動トルクによる減速のみでは不足する場合、その不足分を摩擦制動トルクで補うような回生協調制御指令をブレーキ装置1に出力する。
[ブレーキ装置の構成]
図2は、実施の形態1の車両用制動制御装置に用いたブレーキ装置1の全体構成図である。このブレーキ装置1は、マスタシリンダ2と、リザーバタンクRESと、各車輪に設けたホイルシリンダ4a〜4dと、マスタシリンダ2に接続して設けたブレーキ倍力装置5およびインプットロッド(入力部材)6と、ブレーキ操作量検出装置7と、ブレーキ倍力装置5を制御するマスタシリンダ圧制御装置8と、を有する。
インプットロッド6は、ブレーキペダルBPと共にストローク(進退)し、マスタシリンダ2内の液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmc)を増減する。ブレーキ倍力装置5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、マスタシリンダ2のプライマリピストン(アシスト部材)2bをストロークさせ、マスタシリンダ圧Pmcを増減する。
以下、説明のため、マスタシリンダ2の軸方向にx軸を設定し、ブレーキペダルBPの側を負方向とし、踏込ストローク方向を正方向とする。
マスタシリンダ2は、いわゆるタンデム型であり、シリンダ2a内にプライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cを有している。シリンダ2aの内周面と、プライマリピストン2bのx軸正方向側の面およびセカンダリピストン2cのx軸負方向側の面との間で、第1液圧室としてのプライマリ液圧室2dが形成されている。シリンダ2aの内周面とセカンダリピストン2cのx軸正方向側の面との間で、第2液圧室としてのセカンダリ液室2eが形成されている。
プライマリ液圧室2dは、プライマリ回路10と連通可能に接続され、セカンダリ液室2eは、セカンダリ回路20と連通可能に接続されている。プライマリ液圧室2dの容積は、プライマリピストン2bおよびセカンダリピストン2cがシリンダ2a内をストロークすることで変化する。プライマリ液圧室2dには、プライマリピストン2bをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2fが設置されている。セカンダリ液室2eの容積は、セカンダリピストン2cがシリンダ2a内をストロークすることで変化する。セカンダリ液室2eには、セカンダリピストン2cをx軸負方向側に付勢する戻しバネ2gが設置されている。
なお、プライマリ回路10およびセカンダリ回路20には、ABS制御等を実施するために各ホイルシリンダ圧を独立して制御可能な各種バルブやモータポンプ、リザーバ等を備えた液圧制御ユニット100が設けられている。
プライマリ回路10には、プライマリ液圧センサ13が設けられ、セカンダリ回路20には、セカンダリ液圧センサ14が設けられている。プライマリ液圧センサ13は、プライマリ液圧室2dの液圧を検出し、セカンダリ液圧センサ14は、セカンダリ液室2eの液圧を検出し、これらの液圧情報はマスタシリンダ圧制御装置8に送信される。
インプットロッド6のx軸正方向側の一端6aは、プライマリピストン2bの隔壁2hを貫通し、プライマリ液圧室2d内に設置されている。インプットロッド6の一端6aとプライマリピストン2bの隔壁2hとの間はシールされており、液密性を確保すると共に、一端6aは隔壁2hに対してx軸方向に摺動可能に設けられている。一方、インプットロッド6のx軸負方向側の他端6bは、ブレーキペダルBPに連結されている。
したがって、運転者がブレーキペダルBPを踏むと、インプットロッド6はx軸正方向側に移動し、運転者がブレーキペダルBPを戻すとインプットロッド6はx軸負方向側に移動する。
またインプットロッド6には、プライマリピストン2bの隔壁2hの内周よりも大径、かつ、フランジ部6cの外径よりも小径の大径部6fが形成されている。この大径部6fのx軸正方向側端面と隔壁2hのx軸負方向側端面との間には、ブレーキ非作動時においてギャップL1が設けられている。このギャップL1により、統合コントローラ110から回生協調制御指令を受けた場合には、プライマリピストン2bをインプットロッド6に対してx軸負方向に相対移動することで、回生制動トルク分だけ摩擦制動トルクを減じることが可能である。また、インプットロッド6が、プライマリピストン2bに対してx軸正方向にギャップL1の分だけ相対変位すると、大径部6fのx軸正方向の面と隔壁2hとが当接し、インプットロッド6とプライマリピストン2bとが一体的に移動可能である。
インプットロッド6またはプライマリピストン2bがx軸正方向側へ移動することによって、プライマリ液圧室2dの作動液が加圧され、加圧された作動液がプライマリ回路10に供給される。また、加圧された作動液によるプライマリ液圧室2dの圧力により、セカンダリピストン2cがx軸正方向側へ移動される。セカンダリピストン2cがx軸正方向側へ移動することによってセカンダリ液室2eの作動液が加圧され、加圧された作動液がセカンダリ回路20に供給される。
上記のように、インプットロッド6がブレーキペダルBPと連動して移動し、プライマリ液圧室2dを加圧する構成となっている。これにより、万が一、故障によりブレーキ倍力装置5の駆動モータ(アクチュエータ)50が停止した場合にも、運転者のブレーキ操作によってマスタシリンダ圧Pmcを上昇させ、所定の制動トルクを確保できる。また、マスタシリンダ圧Pmcに応じた力がインプットロッド6を介してブレーキペダルBPに作用し、ブレーキペダル反力として運転者に伝達されるため、上記構成を採らない場合に必要な、ブレーキペダル反力を生成するバネ等の装置が不要となる。よって、ブレーキ倍力装置の小型化・軽量化を図ることができ、車両への搭載性が向上する。
ブレーキ操作量検出装置7は、運転者の要求減速度を検出するためのもので、インプットロッド6の他端6b側に設けられている。ブレーキ操作量検出装置7は、インプットロッド6のx軸方向変位量(ストローク)を検出するストロークセンサ、すなわち、ブレーキペダルBPのストロークセンサである。
リザーバタンクRESは、隔壁(図示省略)によって互いに仕切られた少なくとも2つの液室(図示省略)を有している。各液室は、それぞれブレーキ回路11,12を介して、マスタシリンダ2のプライマリ液圧室2dおよびセカンダリ液室2eと連通可能に接続されている。
ホイルシリンダ(摩擦制動装置)4a〜4dは、シリンダ、ピストン、パッド等を有しており、シリンダ2aが供給した作動液によって上記ピストンが移動し、このピストンに連結されたパッドをディスクロータ40a〜40dに押圧するものである。なお、ディスクロータ40a〜40dは各車輪と一体回転し、ディスクロータ40a〜40dに作用するブレーキトルクは、各車輪と路面との間に作用するブレーキ力となる。
ブレーキ倍力装置5は、プライマリピストン2bの変位量すなわちマスタシリンダ圧Pmcを、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に従って制御するものであり、駆動モータ50と、減速装置51と、回転−並進変換装置55と、を有している。マスタシリンダ圧制御装置8は演算処理回路であり、ブレーキ操作量検出装置7や駆動モータ50からのセンサ信号等に基づいて、駆動モータ50の作動を制御する。
[ブレーキ倍力装置の構成および動作]
次に、ブレーキ倍力装置5の構成および動作について説明する。
駆動モータ50は三相DCブラシレスモータであり、マスタシリンダ圧制御装置8の制御指令に基づき供給する電力によって動作し、所望の回転トルクを発生する。
減速装置51は、駆動モータ50の出力回転をプーリ減速方式により減速する。減速装置51は、駆動モータ50の出力軸に設けた小径の駆動側プーリ52と、回転−並進変換装置55のボールネジナット56に設けた大径の従動側プーリ53と、駆動側プーリ52および従動側プーリ53に巻き掛けたベルト54とを有している。減速装置51は、駆動モータ50の回転トルクを、減速比(駆動側プーリ52および従動側プーリ53の半径比)分だけ増幅し、回転−並進変換装置55に伝達する。
回転−並進変換装置55は、駆動モータ50の回転動力を並進動力に変換し、この並進動力によりプライマリピストン2bを押圧する。本実施の形態1では、動力変換機構としてボールネジ方式を採用しており、回転−並進変換装置55は、ボールネジナット56と、ボールネジ軸57と、可動部材58と、戻しバネ59とを有している。
マスタシリンダ2のx軸負方向側には、第1ハウジング部材HSG1が接続され、第1ハウジング部材HSG1のx軸負方向側には、第2ハウジング部材HSG2が接続されている。ボールネジナット56は、第2ハウジング部材HSG2内に設けられたベアリングBRGの内周に、軸回転可能に設置されている。ボールネジナット56のx軸負方向側の外周には、従動側プーリ53が嵌合されている。ボールネジナット56の内周には、中空のボールネジ軸57が螺子を噛み合わせて結合されている。ボールネジナット56とボールネジ軸57との間の隙間には、複数のボールが回転移動可能に設置されている。
ボールネジ軸57のx軸正方向側の端には、可動部材58が一体に設けられ、この可動部材58のx軸正方向側の面に、プライマリピストン2bが接合されている。プライマリピストン2bは、第1ハウジング部材HSG1内に収容され、プライマリピストン2bのx軸正方向側の端は、第1ハウジング部材HSG1から突出されてマスタシリンダ2の内周に嵌合されている。
第1ハウジング部材HSG1内であって、プライマリピストン2bの外周に、戻しバネ59が設置されている。戻しバネ59は、x軸正方向側の端部が第1ハウジング部材HSG1内部のx軸正方向側の面Aに固定される一方、x軸負方向側の端部が可動部材58に係合されている。戻しバネ59は、面Aと可動部材58との間でx軸方向に押し縮めて設置されており、可動部材58およびボールネジ軸57をx軸負方向側に付勢している。
従動側プーリ53が回転すると、ボールネジナット56が一体に回転し、このボールネジナット56の回転運動により、ボールネジ軸57が、x軸方向に並進運動する。x軸正方向側へのボールネジ軸57の並進運動の推力により、可動部材58を介してプライマリピストン2bがx軸正方向側に押圧される。なお、図2では、ブレーキ非操作時にボールネジ軸57が、x軸負方向側に最大変位した初期位置にある状態を示している。
一方、ボールネジ軸57には、上記x軸正方向側への推力と反対方向(x軸負方向側)に、戻しバネ59の弾性力が作用する。これにより制動中(プライマリピストン2bをx軸正方向側に押圧してマスタシリンダ圧Pmcを加圧している状態で)、万が一、故障により駆動モータ50が停止し、ボールネジ軸57の戻し制御が不能となった場合でも、戻しバネ59の反力によりボールネジ軸57が初期位置に戻る。これによりマスタシリンダ圧Pmcがゼロ付近まで低下するため、ブレーキ力の引きずりの発生を防止し、この引きずりに起因して車両挙動が不安定になる事態を回避することができる。
また、インプットロッド6とプライマリピストン2bとの間に画成された環状空間Bには、一対のバネ(付勢部材)6d,6eが配設されている。一対のバネ6d,6eは、その各一端がインプットロッド6に設けたフランジ部6cに係止され、バネ6dの他端がプライマリピストン2bの隔壁2hに係止され、バネ6eの他端が可動部材58に係止されている。これら一対のバネ6d,6eは、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢し、ブレーキ非作動時にインプットロッド6とプライマリピストン2bとを相対移動の中立位置に保持する機能を有している。これら一対のバネ6d,6eにより、インプットロッド6とプライマリピストン2bとが中立位置からいずれかの方向に相対変位したとき、プライマリピストン2bに対してインプットロッド6を中立位置に戻す付勢力が作用する。
なお、駆動モータ50には、例えば、レゾルバ113等の回転角検出センサ50aが設けられており、これにより検出されたモータ出力軸の位置信号がマスタシリンダ圧制御装置8に入力される。マスタシリンダ圧制御装置8は、入力した位置信号に基づき駆動モータ50の回転角を算出し、この回転角に基づき回転−並進変換装置55の推進量、すなわちプライマリピストン2bのx軸方向変位量を算出する。
次に、ブレーキ倍力装置5とマスタシリンダ圧制御装置8による、インプットロッド6の推力の増幅作用について説明する。実施の形態1では、マスタシリンダ圧制御装置8は駆動モータ50によりインプットロッド6の変位に応じたプライマリピストン2bの変位、すなわちインプットロッド6とプライマリピストン2bの相対変位を制御している。
ブレーキ倍力装置5およびマスタシリンダ圧制御装置8は、運転者のブレーキ操作によるインプットロッド6の変位量で決まる目標減速度に応じて、プライマリピストン2bを変位させる。これにより、プライマリ液圧室2dを、インプットロッド6の推力に加えてプライマリピストン2bの推力によって加圧し、マスタシリンダ圧Pmcを調整する。すなわち、インプットロッド6の推力を増幅する。増幅比(以下、倍力比α)は、プライマリ液圧室2dにおけるインプットロッド6とプライマリピストン2bの軸直方向断面積(以下、それぞれ受圧面積AIRおよびAPP)の比等により、以下のように決定される。
マスタシリンダ圧Pmcの液圧調整を、下記の式(1)で示される圧力平衡関係をもって行う。
Pmc=(FIR+K×△x)/AIR=(FPP−K×△x)/APP …(1)
ここで、圧力平衡関係を示す式(1)における各要素は、以下のとおりである。
Pmc:プライマリ液圧室2dの液圧(マスタシリンダ圧)
FIR:インプットロッド6の推力
FPP:プライマリピストン2bの推力
AIR:インプットロッド6の受圧面積
APP:プライマリピストン2bの受圧面積
K:バネ6d,6eのバネ定数
Δx:インプットロッド6とプライマリピストン2bとの相対変位量
なお、実施の形態1では、インプットロッド6の受圧面積AIRを、プライマリピストン2bの受圧面積APPよりも小さく設定している。
ここで相対変位量Δxは、インプットロッド6の変位(インプットロッドストローク)をXi、プライマリピストン2bの変位(ピストンストローク)をXbとして、Δx=Xb−Xiと定義する。よって、相対変位量Δxは、相対移動の中立位置では0、インプットロッド6に対してプライマリピストン2bが前進(x軸正方向側へストローク)する方向では正符号、その逆方向では負符号となる。なお、圧力平衡関係を示す式(1)ではシールの摺動抵抗を無視している。また、プライマリピストン2bの推力FPPは、駆動モータ50の電流値から推定できる。
一方、倍力比αを、下記の式(2)のように表すことができる。
α=Pmc×(APP+AIR)/FIR …(2)
よって、式(2)に上記式(1)のPmcを代入すると、倍力比αは下記の式(3)のようになる。
α=(1+K×Δx/FIR)×(AIR+APP)/AIR …(3)
倍力制御では、目標のマスタシリンダ圧特性が得られるように、駆動モータ50(ピストンストロークXb)を制御する。ここで、マスタシリンダ圧特性とは、インプットロッドストロークXiに対するマスタシリンダ圧Pmcの変化特性を指す。インプットロッドストロークXiに対するピストンストロークXbを示すストローク特性と、上記目標マスタシリンダ圧特性とに対応して、インプットロッドストロークXiに対する相対変位量Δxの変化を示す目標変位量算出特性を得ることができる。検証により得られた目標変位量算出特性データに基づき、相対変位量Δxの目標値(以下、目標変位量Δx*)を算出する。
すなわち、目標変位量算出特性は、インプットロッドストロークXiに対する目標変位量Δx*の変化の特性を示し、インプットロッドストロークXiに対応して1つの目標変位量Δx*が定まる。検出したインプットロッドストロークXiに対応して決定される目標変位量Δx*を実現するように駆動モータ50の回転(ピストンストロークXb)を制御すると、目標変位量Δx*に対応する大きさのマスタシリンダ圧Pmcがマスタシリンダ2で発生する。
ここで、上記のようにインプットロッドストロークXiをブレーキ操作量検出装置7により検出し、ピストンストロークXbを回転角検出センサ50aの信号に基づき算出し、相対変位量Δxを上記検出(算出)した変位量の差により求めることができる。倍力制御では、具体的には、インプットロッドストロークXiと目標変位量算出特性とに基づいて目標変位量Δx*を設定し、上記検出(算出)された相対変位量Δxが目標変位量Δx*と一致するように駆動モータ50を制御(フィードバック制御)する。なお、ピストンストロークXbを検出するストロークセンサを別途設けることとしてもよい。
実施の形態1では、踏力センサを用いることなく倍力制御を行うため、その分だけコストを低減できる。また、相対変位量Δxが任意の所定値となるように駆動モータ50を制御することにより、受圧面積比(AIR+APP)/AIRで定まる倍力比よりも大きな倍力比や小さな倍力比を得ることができ、所望の倍力比に基づく制動力を得ることができる。
一定倍力制御は、インプットロッド6およびプライマリピストン2bを一体的に変位させる、すなわち、インプットロッド6に対してプライマリピストン2bが常に上記中立位置となり、相対変位量Δx=0で変位するように、駆動モータ50を制御する。
このようにΔx=0となるようにプライマリピストン2bをストロークさせた場合、上記式(3)により、倍力比αは、α=(AIR+APP)/AIRとして一意に定まる。よって、必要な倍力比に基づいてAIRおよびAPPを設定し、ピストンストロークXbがインプットロッドストロークXiに等しくなるようにプライマリピストン2bを制御することで、常に一定の(上記必要な)倍力比を得ることができる。
一定倍力制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcが2次曲線、3次曲線、あるいはこれらにそれ以上の高次曲線等が複合した多次曲線(以下、これらを総称して多次曲線という)状に大きくなる。また、一定倍力制御は、インプットロッドストロークXiと同じ量だけプライマリピストン2bがストロークする(Xb=Xi)ストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、あらゆるインプットロッドストロークXiに対して目標変位量Δx*が0となる。
これに対し、倍力可変制御は、目標変位量Δx*を正の所定値に設定し、相対変位量Δxがこの所定値となるように駆動モータ50を制御する。これにより、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が前進移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてプライマリピストン2bのピストンストロークXbが大きくなるようにするものである。
上記式(3)により、倍力比αは、(1+K×Δx/FIR)倍の大きさとなる。すなわち、インプットロッドストロークXiに比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)を乗じた量だけプライマリピストン2bをストロークさせることと同義となる。このように相対変位量Δxに応じて倍力比αが可変となり、ブレーキ倍力装置5が倍力源として働いて、運転者の要求通りの制動トルクを発生させつつペダル踏力の大きな低減を図ることができる。
制御性の観点からは上記比例ゲイン(1+K×Δx/FIR)は1であることが望ましいが、例えば緊急ブレーキ等により運転者のブレーキ操作量を上回る制動トルクが必要な場合には、一時的に、1を上回る値に上記比例ゲインを変更することができる。
これにより、同量のブレーキ操作量でも、マスタシリンダ圧Pmcを通常時(上記比例ゲインが1の場合)に比べて引き上げることができるため、より大きな制動トルクを発生させることができる。ここで、緊急ブレーキの判定は、例えば、ブレーキ操作量検出装置7の信号の時間変化率が所定値を上回るか否かで判定できる。
このように、倍力可変制御では、インプットロッド6の前進に対してプライマリピストン2bの前進をより進める。これにより、インプットロッド6に対するプライマリピストン2bの相対変位量Δxがインプットロッド6の前進に伴い大きくなり、これに対応してインプットロッド6の前進に伴うマスタシリンダ圧Pmcの増加が一定倍力制御よりも大きくなるように駆動モータ50を制御する。
倍力可変制御における目標マスタシリンダ圧特性は、インプットロッド6の前進(x軸正方向側への変位)に伴い発生するマスタシリンダ圧Pmcの増加が、一定倍力制御よりも大きくなる(多次曲線状に増加するマスタシリンダ圧特性がより急峻になる)。また、倍力可変制御は、インプットロッドストロークXiの増加に対するピストンストロークXbの増加分が1よりも大きいストローク特性を有している。このストローク特性と上記目標マスタシリンダ圧特性とに基づき得られる目標変位量算出特性では、インプットロッドストロークXiが増加するに応じて目標変位量Δx*が所定の割合で増加する。
また、倍力可変制御として、上記制御(マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが大きくなるように制御すること)と逆の制御も行なう。すなわち、マスタシリンダ圧Pmcを増加する方向へインプットロッド6が移動するに従い、インプットロッドストロークXiに比べてピストンストロークXbが小さくなるように駆動モータ50を制御する。これにより、回生協調制御時、回生制動トルクの増減に応じて摩擦制動トルクを減増することができる。
[回生制動トルク制限値設定部の処理]
図3は、統合コントローラ110にて実行する回生制動トルク制限値設定部における回生制動トルク制限値の設定処理の流れを示すフローチャートである。
すなわち、回生制動トルク制限値設定部では、低車速域でのブレーキペダルBPの踏み増し操作に対し、踏力変化量および車両減速度変動量が許容値範囲内となるよう回生制動トルク制限値を設定しており、図3はその処理の流れを示すフローチャートである。
この回生制動トルク制限値設定処理は、制動操作時に、ブレーキぺダルBPの踏み増しが実行されるのに対応して開始されるものであり、最初のステップS1では、前回の回生制動トルク制限値の読み込みを行った後、ステップS2に進む。
次のステップS2では、今回の回生制動トルク制限値(補正なし)の算出を行った後、ステップS3に進む。この今回の回生制動トルク制限値(補正なし)とは、後述する踏力変動および車両減速度変動を抑えるための補正を行わない、あるいは、行なう前の回生制動トルク制限値である。また、この回生制動トルク制限値(補正なし)は、予めすり替え制御を行う低車速域における車速に対する回生制動トルク制限値をマップにより設定しておき、車速を読み込み、車速に応じた回生制動トルク制限値(補正なし)を算出する。
図4は、ステップS2に用いる回生制動トルク制限値のマップの一例を示している。この回生制動トルク制限値マップは、車両減速度(G)ごとに、車速に応じた回生制動トルク制限値が設定されており、高車両減速度ほど、回生制動トルク制限値を低く抑えるように、すなわち、すり替え開始車速が高車速となるように設定されている。
ステップS3では、踏力目標値を算出し、ステップS4に進む。この踏力目標値は、予めインプットロッドストロークXiに対する踏力の特性を設定しておき、踏み増しによるインプットロッドストロークXiを読み込むことで、踏力目標値を算出する。また、インプットロッドストロークXiに対する踏力目標値の特性は、インプットロッドストロークXiに対する踏力の静特性を取得しておき、例えば、図7に示すようなマップとして設定しておく。
ステップS4では、回生制動トルク制限値(補正なし)に対応する補正なし時の踏力値F1を算出した後、ステップS5に進む。この踏力値F1は、今回の回生制動トルク制限値(補正なし)から、相対位置ΔX、マスタシリンダ圧Pmcを算出し、下記の式(4)から算出する。
補正なし時の踏力値F1=Pmc×AIR+K×Δx ・・・(4)
なお、上記式(4)において、Pmcはマスタシリンダ圧、AIRはインプットロッド面積、Kはバネ定数、ΔXはインプットロッド6に対するプライマリピストン2bの相対位置である。
ステップS5では、踏力変動予測値を下記の式(5)により算出した後、ステップS6に進む。
踏力変動予測値=補正なし時の踏力値(F1)−踏力目標値・・・(5)
ステップS6では、踏力変動許容値を算出した後、ステップS7に進む。なお、踏力変動許容値は、予め、実施した評価から運転者に違和感を与えない踏力変動許容値を設定している。また、このようにして設定した踏力変動許容値は、インプットロッドストロークXiや、その踏み増しストローク量などに応じて決定することができる。
ステップS7では、踏力変動予測値と踏力変動許容値とを比較し、踏力変動予測値が踏力変動許容値より大きい場合は、踏力変動を制限すべくステップS8へ移行し、踏力変動予測値が踏力変動許容値以下の場合はステップS9へ移行する。
ステップS8では、補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を算出した後、ステップS9に進む。
このステップS8では、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を算出するのにあたり、まず、踏力変動予測値と踏力変動許容値とが等しくなるように摩擦制動トルクの変化度合を算出する。さらに、この摩擦制動トルクの変化度合から回生制動トルクを減少させる度合を算出する。そして、この回生制動トルクの減少度合に基づいて、この制御サイクルにおける回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を決定する。
ステップS9では、車両減速度目標値を算出した後、ステップS10に進む。この車両減速度目標値は、予めインプットロッドストロークXiに対する車両減速度の特性を設定しておき、読み込んだインプットロッドストロークXiに応じて算出する。インプットロッドストロークXiに対する車両減速度の特性は、例えばゆっくり踏み増し時のインプットロッドストロークXiに対する減速度目標値特性(S−G特性)マップ(図8参照)を取得しておき設定する。
ステップS10では、補正なし時の車両減速度、すなわち、制動操作に対して、回生制動トルク制限値の補正を行わない場合の車両減速度を算出した後、ステップS11に進む。なお、補正なし時の車両減速度は、回生制動トルク制限値(補正なし)とマスタシリンダ圧Pmcと車両諸元、ブレーキ諸元等から算出する。
ステップS11では、G変動予測値を算出した後、ステップS12に進む。なお、G変動予測値とは、今回のブレーキペダルBPの踏み増し操作による踏力変動により、回生制動トルク制限値(補正値)を用いた場合の車両減速度変動の予測値であり、下記式(6)により算出する。
G変動予測値=補正なし時の車両減速度−車両減速度目標・・・(6)
ステップS12では、G変動許容値を算出した後、ステップS13に進む。このG変動許容値は、予め、実施した評価から運転者に違和感を与えない値を設定しておく。また、このようにして設定したG変動許容値も、インプットロッドストロークXiや、その踏み増しストローク量などに基づいて決定することができる。
ステップS13では、ステップS11で得られたG変動予測値と、ステップS12で得られたG変動許容値と、を比較し、G変動予測値がG変動許容値より大きい場合は、G変動の発生を抑えるべくステップS14へ移行する。一方、G変動予測値がG変動許容値以下の場合はステップS15へ移行する。
ステップS14では、G変動を抑える制限を加えた補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(G変動補正後)を算出して次のステップS15に進む。このステップS14における回生制動トルク制限値(G変動補正後)の算出は、まず、G変動予測値とG変動許容値が等しくなるように、摩擦制動トルクの応答速度を考慮して摩擦制動トルクの変化度合を算出する。さらに、この摩擦制動トルクの変化度合に対応した回生制動トルクの減少度合を算出する。そして、この回生制動トルクの減少度合に基づいて、今回の制御サイクルにおける回生制動トルク制限値(G変動補正後)を決定する。
ステップS15では、最終回生制動トルク制限値を算出した後、今回の処理を終える。この最終回生制動トルク制限値は、回生制動トルク制限値(補正なし)、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)、回生制動トルク制限値(G変動補正後)を比較し、各々の値で最も大きな値を、最終回生制動トルク制限値として算出する。
(実施の形態1の作用)
次に、実施の形態1の車両用制動制御装置の動作例について説明するが、まず、特許文献1に記載の技術相当の比較例の動作例およびその問題点について説明する。
(比較例)
図5は、比較例の動作の一例を示している。
この図5の比較例では、制動操作を行って車速Vwがすり替え制御を開始するすり替え閾値V0まで低下して、t01の時点から回生制動トルクと摩擦制動トルクとのすり替え制御を開始している。
そして、運転者は、このようなすり替え制御を実施する低速域において、t02の時点で、ブレーキペダルの踏み込み量(ペダルストローク)を、SpaからSpbに踏み増ししている。
この場合、回生制動トルクの制限値は、図4のマップに基づいて、ペダルストローク量Spaでは、その際の減速度0.aGでの車速に応じた回生制動トルク制限値Trlimaが算出される。また、ペダルストローク量Spbに操作されると、その際の減速度0.eGでの車速に応じた回生制動トルク制限値Trlimbが算出される。
この回生制動トルクの制限により、図5に示すように、t02の時点で回生制動トルクが急減少するとともに、その回生制動トルクの急減少に対応するすり替えによる上昇分とブレーキペダルBPが踏み込まれた分とを加算した分だけ、摩擦制動トルクが増加する。
したがって、回生制動トルクの減少分が即座に車両減速度に表れ、図5に示すように、車両減速度が急減少する車両減速度変動(G変動)が発生する。
そして、このG変動に若干遅れてマスタシリンダ圧Pmcが急増する。このため、マスタシリンダ圧Pmcの変動が、インプットロッド6を介してブレーキペダルBPに伝達されて、踏力変動が発生する。
したがって、運転者には、ブレーキペダルBPの踏み増しを行なっているのに、車両減速度が減少するG変動による違和感を与えるとともに、踏力変動による違和感も与えるという問題があった。
(実施の形態1の動作)
実施の形態1の車両用制動制御装置は、上記のG変動および踏力変動を抑制するものであり、図5と同様の踏み増し操作が行なわれた場合の動作を図6により説明する。
この図6の動作例にあっても、制動操作を行って車速Vwがすり替え制御を開始するすり替え閾値V0まで低下して、t1の時点から回生制動トルクと摩擦制動トルクとのすり替え制御を開始している。
そして、運転者は、このようなすり替え制御を実施する低速域において、t2の時点で、ブレーキペダルBPの踏み込み量(ペダルストロークSp)を、SpaからSpbに増加させる踏み増し操作を行っている。
この場合も、回生制動トルク制限値(補正なし)は、図4のマップに基づいて、ペダルストローク量Spa、車両減速度0.aG、車速に応じたTrlimaから、ペダルストローク量Spb、車両減速度0.eG、車速に応じたTrlimbに変更される。
この回生制動トルクの制限値の変更により、比較例では、図5に示すように、回生制動トルクがt02の時点で急減少していたが、実施の形態1では、図3のステップ8の処理により、回生制動トルク制限値に、踏力変動許容値に基づく減少制限を与える。
すなわち、ブレーキペダルBPの踏み増しによる踏力変動予測値が踏力変動許容値を上回る場合、踏力変動予測値と踏力変動許容値とが等しくなる摩擦制動トルクの変化度合を算出する。さらに、この摩擦制動トルクの変化度合から回生制動トルクの減少度合を算出する。そして、この回生制動トルクの減少度合に基づいて、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を算出する。ここで、踏力変動予測値は、例えば、図5に示した踏力変動相当の値となる。また、踏力変動許容値は図6のLpに示す踏力変動幅相当の値である。
さらに、本実施の形態1では、図3のステップS14の処理に基づいて、回生制動トルク制限値に、G変動許容値に基づく制限を与える。
すなわち、ブレーキペダルBPの踏み増しによるG変動予測値がG変動許容値を上回る場合、G変動予測値とG変動許容値とが等しくなる摩擦制動トルクの変化度合を算出する。さらに、この摩擦制動トルクの変化度合から回生制動トルクの減少度合を算出する。そして、この回生制動トルクの減少度合に基づいて、回生制動トルク制限値(G変動補正後)を算出する。ここで、G変動予測値は、例えば、図5に示したG変動相当の値となる。また、G変動許容値は図6のLgに示すG変動幅相当の値である。
そして、この動作例では、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)と回生制動トルク制限値(G変動補正後)との大きい方の値を、最終回生制動トルクとする。
その結果、回生制動トルクは、t2の時点からt3の時点にかけて、回生制動トルクは、踏力変動許容値とG変動許容値とのいずれかに基づいて、図6に示すように変化度合が軽減されて徐々に低下する。
また、摩擦制動トルクも、回生制動トルクの減少に応じて、同図の点線により示す比較例の場合よりも変化度合が軽減されて緩やかに上昇する。
したがって、本実施の形態1では、t2の時点直後に、比較例の場合のような回生制動トルクの急減がなくなることにより、同図の点線により示す前後加速度(G)変動が抑制(改善)される。また、この回生制動トルクに遅れた摩擦制動トルクの急増がなくなり、しかも、この変動は、踏力変動許容値に制限する変動となっているため、同図の点線により示す比較例の場合の変動と比較して抑制(改善)される。
(実施の形態1の効果)
実施の形態1の車両用制動制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
1)実施の形態1の車両用制動制御装置は、
ブレーキペダルBPの操作により進退移動する入力部材としてのインプットロッド6と、このインプットロッド6の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材としてのプライマリピストン2bと、このプライマリピストン2bに対してインプットロッド6を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢部材としてのバネ6d,6eと、インプットロッド6の移動量に応じてプライマリピストン2bを進退移動させるアクチュエータとしての駆動モータ50と、を備え、プライマリピストン2bの推力によりマスタシリンダ2内に倍力されたマスタシリンダ圧Pmcを発生させるブレーキ倍力装置5と、
前記マスタシリンダ圧Pmcに応じて車輪に摩擦制動トルクを付与する摩擦制動装置としてのホイルシリンダ4a〜4dと、
前記車輪に回生制動トルクを付与する回生制動装置としてのモータジェネレータMGと、
前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを含む総制動トルクが運転者の要求制動トルクとなるように前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを制御する回生協調制御を実行する回生協調コントローラとしての統合コントローラ110、モータコントローラ102、ブレーキコントローラ109と、
を備え、
前記回生協調コントローラは、制動操作に応じて回生制動トルク制限値を設定する回生制動トルク制限値設定部(図3のフローチャートの処理を実行する部分)を備え、前記回生協調制御時に、前記回生制動トルク制限値により前記回生制動トルクを制限するようにした車両用制動制御装置であって、
前記回生制動トルク制限値設定部は、ブレーキペダル操作量変化に伴い前記回生制動トルク制限値を変更する際に、前記回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量と車両減速度変化量との少なくとも一方が許容範囲内となるか否か判定し、前記許容範囲を超える場合には、前記回生制動トルク制限値として、前記変化量を前記許容範囲内とするように補正した補正回生制動トルク制限値を算出することを特徴とする。
したがって、運転者のブレーキペダル踏み増し操作に応じて回生制動トルク制限値を変更する際に、回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量と回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量との少なくとも一方が設定した許容範囲以内となるか否か判定する。そして、許容範囲を超える場合には、その変化量が許容範囲内となる補正回生制動トルク制限値を回生制動トルク制限値として算出する。
よって、回生協調コントローラは、すり替え制御時の回生制動トルクを、踏み増し操作前後で、踏力変化量と車両減速度変化量との少なくとも一方の変化量を、補正回生制動トルク制限値により許容範囲内に抑制することができる。
2)実施の形態1の車両用制動制御装置は、
前記回生制動トルク制限値設定部(図3のフローチャートの処理を実行する部分)は、回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量を前記許容範囲以内とする第1の前記補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)と、回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量を前記許容範囲以内とする第2の前記補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(G変動補正後)と、の両方を算出し、両補正回生制動トルク制限値に基づいて最終回生制動トルク制限値を設定することを特徴とする。
したがって、踏力変化量と車両減速度変化量との両方を抑制することができる。
特に、本実施の形態1では、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)と回生制動トルク制限値(G変動補正後)との大きい方の値を最終回生制動トルク制限値とするようにしたため、踏力変化量と車両減速度変化量との両方を確実に抑制することができる。
3)実施の形態1の車両用制動制御装置は、
前記回生制動トルク制限値設定部(図3のフローチャートの処理を実行する部分)は、前記制動操作に基づく踏力変動予測値を、前記制動操作および前記補正前の前記回生制動トルク制限値に基づいて算出し(S5の処理)、前記踏力変動予測値が予め設定された踏力変動許容値を上回る場合、両者が等しくなるように前記摩擦制動トルクの変化度合を算出し、算出した前記摩擦制動トルクの変化度合に基づいて前記回生制動トルクの減少度合を算出し、この回生制動トルクの減少度合を基に、前記補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を決定するステップS7→S8の処理を実行することを特徴とする。
このように、補正を行わない場合の回生制動トルク制限値による踏力変動を予測し、予測値が踏力変動許容値を上回る場合に、回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)を算出する。そして、この回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)は、踏力変動が踏力変動許容値に収まるように、摩擦制動トルクの変化度合を算出し、さらに、この摩擦制動トルク変化度合に基づいて回生制動トルクの変化度合を算出する。したがって、この回生制動トルクの変化度合に基づいて決定した回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)は、踏力変動を確実に踏力変動許容値内に抑えることができる。
4)実施の形態1の車両用制動制御装置は、
前記回生制動トルク制限値設定部(図3のフローチャートの処理を実行する部分)は、前記制動操作に基づく減速度変動予測値を、前記制動操作および前記補正前の前記回生制動トルク制限値に基づいて算出し(S11の処理)、前記減速度変動予測値が予め設定した減速度許容値を上回る場合、両者が等しくなるように応答速度を考慮した前記摩擦制動トルクの変化度合を算出し、前記摩擦制動トルクの変化度合を基に前記回生制動トルクの減少度合を算出し、この回生制動トルク減少度合に基づいて前記補正回生制動トルクを算出するステップS13→S14の処理を実行することを特徴とする。
このように、補正を行わない場合の回生制動トルク制限値による車両減速度変動を予測し、その予測値が減速度許容値を上回る場合に、回生制動トルク制限値(G変動補正後)を算出する。そして、この回生制動トルク制限値(G変動補正後)は、減速度変動が減速度許容値内に収まるように、応答速度を考慮した前記摩擦制動トルクの変化度合を算出し、この摩擦制動トルクの変化度合を基に回生制動トルクの減少度合を算出する。したがって、この回生制動トルクの変化度合に基づいて決定した回生制動トルク制限値(G変動補正後)は、車両減速度変動を確実に減速度許容値内に抑えることができる。
以上、本発明の車両用制動制御装置を実施の形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施の形態では、本発明の車両用制動制御装置を、後輪駆動のハイブリッド車両へ適用した例を示した。しかし、本発明の車両用制動制御装置は、回生制動トルクと摩擦制動トルクとのすり替えを行う車両であれば、前輪駆動、全輪駆動の電動車両あるいはハイブリット車両や燃料電池車に適用することもできる。
また、実施の形態では、回生制動トルク制限値設定部は、回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量を前記許容範囲内とする第1の補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(踏力変動補正後)と、回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量を前記許容範囲内とする第2の補正回生制動トルク制限値としての回生制動トルク制限値(G変動補正後)と、の両方を算出する例を示したが、これに限定されず、第1の補正回生制動トルク制限値と第2の補正回生制動トルク制限値とのいずれか一方のみを算出するようにしてもよい。また、このように踏力変動と車両減速度変動とのいずれか一方の変動を抑えた場合であっても、回生制動トルク制限値の減少が抑えられることにより、他方の変動も抑えられる。
2 マスタシリンダ
2b プライマリピストン(アシスト部材)
4a〜4d ホイルシリンダ(摩擦制動装置)
6 インプットロッド(入力部材)
6d バネ(付勢部材)
6e バネ(付勢部材)
50 駆動モータ(アクチュエータ)
102 モータコントローラ(回生協調コントローラ)
109 ブレーキコントローラ(回生協調コントローラ)
110 統合コントローラ(回生協調コントローラ)
BP ブレーキペダル
MG モータジェネレータ(回生制動装置)

Claims (4)

  1. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、この入力部材の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材と、このアシスト部材に対して前記入力部材を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢部材と、前記入力部材の移動量に応じて前記アシスト部材を進退移動させるアクチュエータと、を備え、前記アシスト部材の推力によりマスタシリンダ内に倍力されたマスタシリンダ圧を発生させるブレーキ倍力装置と、
    前記マスタシリンダ圧に応じて車輪に摩擦制動トルクを付与する摩擦制動装置と、
    前記車輪に回生制動トルクを付与する回生制動装置と、
    前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを含む総制動トルクが運転者の要求制動トルクとなるように前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを制御する回生協調制御を実行する回生協調コントローラと、
    を備え、
    前記回生協調コントローラは、制動操作に応じて回生制動トルク制限値を設定する回生制動トルク制限値設定部を備え、前記回生協調制御時に、前記回生制動トルク制限値により前記回生制動トルクを制限するようにした車両用制動制御装置であって、
    前記回生制動トルク制限値設定部は、ブレーキペダル操作量変化に伴い前記回生制動トルク制限値を変更する際に、前記回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量が許容範囲内となるか否か判定し、前記許容範囲を超える場合には、前記回生制動トルク制限値として、前記変化量を前記許容範囲内とするように補正した補正回生制動トルク制限値を算出することを特徴とする車両用制動制御装置。
  2. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、この入力部材の移動方向に対して相対移動可能に設けたアシスト部材と、このアシスト部材に対して前記入力部材を両者の相対変位の中立位置に向けて付勢する付勢部材と、前記入力部材の移動量に応じて前記アシスト部材を進退移動させるアクチュエータと、を備え、前記アシスト部材の推力によりマスタシリンダ内に倍力されたマスタシリンダ圧を発生させるブレーキ倍力装置と、
    前記マスタシリンダ圧に応じて車輪に摩擦制動トルクを付与する摩擦制動装置と、
    前記車輪に回生制動トルクを付与する回生制動装置と、
    前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを含む総制動トルクが運転者の要求制動トルクとなるように前記摩擦制動トルクと前記回生制動トルクとを制御する回生協調制御を実行する回生協調コントローラと、
    を備え、
    前記回生協調コントローラは、制動操作に応じて回生制動トルク制限値を設定する回生制動トルク制限値設定部を備え、前記回生協調制御時に、前記回生制動トルク制限値により前記回生制動トルクを制限するようにした車両用制動制御装置であって、
    前記回生制動トルク制限値設定部は、ブレーキペダル操作量変化に伴い前記回生制動トルク制限値を変更する際に、前記回生制動トルク制限値変更後の踏力変化量と車両減速度変化量との少なくとも一方が許容範囲内となるか否か判定し、前記許容範囲を超える場合には、前記回生制動トルク制限値として、前記変化量を前記許容範囲内とするように補正した補正回生制動トルク制限値を算出し、
    生制動トルク制限値変更後の踏力変化量を前記許容範囲内とする第1の前記補正回生制動トルク制限値と、回生制動トルク制限値変更後の車両減速度変化量を前記許容範囲内とする第2の前記補正回生制動トルク制限値と、の両方を算出し、両補正回生制動トルク制限値に基づいて最終回生制動トルク制限値を設定することを特徴とする車両用制動制御装置。
  3. 求項2に記載の車両用制動制御装置において、
    前記回生制動トルク制限値設定部は、前記制動操作に基づく踏力変動予測値を、前記制動操作および前記補正前の前記回生制動トルク制限値に基づいて算出し、前記踏力変動予測値が予め設定された踏力変動許容値を上回る場合、両者が等しくなるように前記摩擦制動トルクの変化度合を算出し、算出した前記摩擦制動トルクの変化度合に基づいて前記回生制動トルクの減少度合を算出し、この回生制動トルクの減少度合を基に、前記補正回生制動トルク制限値を決定することを特徴とする車両用制動制御装置。
  4. 請求項1または請求項2に記載の車両用制動制御装置において、
    前記回生制動トルク制限値設定部は、前記制動操作に基づく減速度変動予測値を、前記制動操作および前記補正前の前記回生制動トルク制限値に基づいて算出し、前記減速度変動予測値が予め設定した減速度許容値を上回る場合、両者が等しくなるように応答速度を考慮した前記摩擦制動トルクの変化度合を算出し、前記摩擦制動トルクの変化度合を基に前記回生制動トルクの減少度合を算出し、この回生制動トルク減少度合に基づいて前記補正回生制動トルク制限値を決定することを特徴とする車両用制動制御装置。
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