以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、上下とは重力方向における上方向と下方向とにそれぞれ対応する。また、前側は注入装置におけるシリンジが搭載される側に対応し、後側は前側とは反対側に対応する。
[第1実施形態]
図1は注入装置1の概略斜視図であり、図2は注入装置1の概略ブロック図である。図1及び図2に示すように、薬液を注入するための注入装置1は、薬液が充填されたシリンジ91が搭載される注入ヘッド2と、注入ヘッド2に設けられ、シリンジ91の後端としてピストン93の後端931(図9)を押す押圧部4と、注入ヘッド2に設けられ、後端931を非接触で検出する後端検出装置としての後端検出部7と、注入ヘッド2を制御する制御部50を有する制御装置5とを備える。
押圧部4は、シリンジ91内の薬液を送り出すために、制御部50によってピストン93の後端931を押圧して前進するように制御される。具体的に、制御部50は、注入ヘッド2に設けられた超音波モーター3を制御し、超音波モーター3が正転するときに押圧部4が前進し、超音波モーター3が逆転するときに押圧部4が後進する。また、後端検出部7は、シリンジ91の後端として、ピストン93の後端931を検出する。
さらに、注入装置1は、シリンジ91を注入ヘッド2に搭載するためのアダプタ8と、アダプタ8を検出するアダプタ検出装置としてのアダプタ検出部6とを備える。このアダプタ8は、シリンジ91を搭載するためのシリンジホルダー92に取り付けられる。
また、注入装置1は、撮像装置(不図示)に有線又は無線接続されている。そして、薬液の注入時及び画像の撮影時には、撮像装置と注入装置1との間で各種データが送受信される。例えば、注入装置1において撮像条件が設定又は表示されてもよく、撮像装置において注入条件が設定又は表示されてもよい。このような撮像装置としては、例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、CT(Computed Tomography)装置、アンギオ撮像装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置、CTアンギオ装置、MRアンギオ装置、超音波診断装置、血管撮像装置等の各種医療用撮像装置がある。
また、注入装置1は、薬液の注入状況等が表示されるディスプレイとしてのタッチパネルを有するコンソール10と、制御部50と注入ヘッド2の電源55とを有する制御装置5とを備えている。このコンソール10、制御装置5及び注入ヘッド2のそれぞれは、互いに有線接続又は無線接続することができる。例えば、それぞれがメタルケーブル12及び光ケーブル13等を介して有線接続されてもよく、また2.4GHz〜5GHzの周波数帯を使用する無線方式で無線接続されてもよい。また、ハンドスイッチ14等の遠隔操作装置が、コンソール10に有線又は無線接続されてもよい。なお、遠隔操作装置が注入ヘッド2に有線又は無線接続されて、薬液注入をスタート又はストップさせることもできる。
制御装置5と注入ヘッド2は、キャスタースタンド11と一体的に構成することができる。また、それぞれをばらばらに設け、キャスタースタンド11に搭載することもできる。なお、キャスタースタンド11に代えて天吊部材を設け、この天吊部材を介して天井から注入ヘッド2を天吊することもできる。また、電源55は、注入ヘッド2又はコンソール10に設けることもでき、独立した電源55を別途設けることもできる。さらに、電源55はバッテリーに代えることもできる。
また、コンソール10には、動作パターン(注入プロトコル)のデータ、及び薬液のデータ等が予め記憶されている。患者に薬液を注入する場合、オペレーターは、タッチパネル又は入力ボタンを操作して、注入速度、注入量、注入時間及び注入最大圧力などの注入プロトコル、体重、身長、体表面積、心拍数及び心拍出量などの患者の身体的データ、及び薬液の種類のデータ等を入力する。そして、コンソール10は、入力されたデータと予め記憶されているデータに応じて、最適な注入条件を算出する。その後、コンソール10は、算出された注入条件に基づいて、患者に注入する薬液の量及び注入プロトコルを決定する。
さらに、コンソール10は、薬液の注入量、注入速度及び注入最大圧力などの注入プロトコルを決定すると制御装置5に送信する。制御装置5は、受信した注入プロトコルを一時的に記憶する。そして、所定のデータ又はグラフなどが、コンソール10のタッチパネル又は表示部、及び注入ヘッド2のヘッドディスプレイ(不図示)の少なくとも一方に表示される。また、データ又はグラフなどは、ポータブルディスプレイ又はタブレット型コンピューター等に表示させることもできる。これらのデバイスは、注入ヘッド2又は制御装置5とBluetooth(登録商標)及びWi-Fi等の規格に従い無線接続され、注入ヘッド2のヘッドディスプレイに代えることもできる。これにより、オペレーターは、表示されたデータ又はグラフなどを確認することができる。なお、動作パターン(注入プロトコル)のデータ及び薬液のデータ等は、外部の記憶媒体から入力することもできる。また、制御装置5は、超音波モーター3に接続されており、超音波モーター3にはエンコーダー39が接続されている。そして、エンコーダー39は、超音波モーター3の回転速度に対応する周波数のパルス信号を制御装置5に送信している。
押圧部4は、不図示の駆動機構を有する。駆動機構は、超音波モーター3のシャフトに接続された伝達機構と、伝達機構に接続されたネジ軸と、ネジ軸に取り付けられた台形ネジナットと、台形ネジナットに接続されたアクチュエーターとを備える。また、伝達機構は、シャフトに接続されたピニオンギアと、ネジ軸に接続されたスクリューギアとを有している。そして、伝達機構は、超音波モーター3からの回転をネジ軸に伝達する。そのため、超音波モーター3のシャフトの回転は、ピニオンギア及びスクリューギアを介してネジ軸に伝達される。これにより、ネジ軸は、伝達された回転に従って回転する。そして、台形ネジナットは、ネジ軸の回転に伴い前進方向又は後進方向に摺動する。この台形ネジナットの摺動に伴い、押圧部4の前端部分が前進又は後進する。
シリンジ91には、シリンジ91内において摺動可能であるピストン93が取り付けられている。そして、ピストン93の後端931が押圧部4に当接した状態で超音波モーター3が正転すると、押圧部4がピストン93を前進方向に押すことになる。そして、ピストン93が前進するとシリンジ91内の薬液が押し出され、シリンジ91の先端に接続される延長チューブ900及びミキシングデバイス910等を介して患者の体内に注入される。このミキシングデバイス910は、旋回流を生成するための旋回流生成室と、混合された薬液が流出する流出口と、旋回流生成室及び流出口の間に設けられ、流出口に向かって連続的に狭窄している空間を有する狭窄室とを備える。また、超音波モーター3が逆転すると、押圧部4がピストン93を後退方向に引くことになる。
薬液が充填されたシリンジ91は、プレフィルドシリンジであってもよい。また、薬液は、手動でシリンジ91に充填されてもよく、注入装置1や充填器でシリンジ91に充填されてもよい。さらに、シリンジ91には、RFIDやバーコードといったデーターキャリアを設けることができる。このデーターキャリアには、充填された薬液の情報等が記録されている。そして、注入装置1は、注入ヘッド2を介してデーターキャリアから記録された情報を読み取り、薬液の注入圧力等を制御することができる。例えば、制御装置5は、読み取った薬液の情報(ヨード量、ガドリニウム含有量等)に基づいて、体重当たりの最適な注入量を計算してコンソール10のタッチパネルに表示させることができる。
薬液を注入する場合、オペレーターは注入装置1の電源をオンにし、シリンジ91を搭載する。その後、オペレーターは、注入ヘッド2のスタートボタン28を押す。また、注入ヘッド2に操作パネルが設けられている場合には、オペレーターはこの操作パネルの注入ボタンを押すこともできる。さらに、オペレーターは、ハンドスイッチ14のボタン又はタッチパネルに表示された注入ボタンを押して注入を開始することもできる。なお、オペレーターは、シリンジ91を搭載した後に、注入装置1の電源をオンしてもよい。
注入ボタンが押されると、制御装置5は超音波モーター3に駆動電圧として正転信号を送る。この正転信号に応じて、超音波モーター3のシャフトが正転すると、エンコーダー39は回転を検出して制御装置5にパルス信号を送る。その後、注入が終了しシリンジ91を取り外す場合、ピストン93を後進させるために、制御装置5は超音波モーター3に駆動電圧として逆転信号を送る。この逆転信号に応じて超音波モーター3のシャフトが逆転する。超音波モーター3に送信される駆動電圧は交流であり、位相が異なる2種類の駆動電圧のうち一方が他方に対して遅れている場合を正転信号としたときに、他方が一方に対して遅れている場合が逆転信号となる。
制御装置5は記憶部としてのメモリ部53を有し、メモリ部53には注入プロトコルが記憶されている。薬液の注入は、この注入プロトコルに従って自動的に行われる。この注入プロトコルには、例えば、注入時間、注入速度、注入量及び注入圧力リミット値が設定されている。そして、注入プロトコルの内容はコンソール10に表示されるので、オペレーターは注入プロトコルの内容を確認することができる。また、制御装置5は、タイマー(不図示)を利用して注入時間を制御すると共に、薬液の注入圧力等の注入状況を監視している。なお、コンソール10に注入プロトコルが記憶された記憶媒体を接続して、記憶媒体から読み込んだ注入プロトコルに従って薬液の注入行うこともできる。また、注入プロトコルを変更できないように、パスワードによりロックすることもできる。
注入ヘッド2及び制御装置5は、検査室内に配置できるように非磁性体材料を用いて構成されている。具体的には、ステンレス、アルミニウム、プラスチック、真鍮、銅、セラッミックス等を用いて構成されている。さらに、操作室に配置されるコンソール10も、非磁性体材料を用いて構成すれば検査室内に配置できる。また、超音波モーター3も非磁性体材料を用いて構成されている。具体的には、弾性体の材料はリン青銅であり、シャフト、ネジ及びスペーサの材料は真鍮であり、ケース、ベース及びローターの材料はアルミニウムであり、ブッシュの材料はフッ素樹脂である。これにより、MRI装置等の磁気を利用する機器の近傍で注入装置1を使用することができる。ただし、MRI装置から十分に離して使用する場合、磁気シールド処理を施した場合、又は他の撮像装置の近傍で使用する場合には、磁性体材料を用いて注入ヘッド2及び制御装置5を構成することもできる。
図2に示すように、制御装置5にはコンソール10が接続されており、制御装置5のメインCPU51は、コンソール10と信号の送受信を行う。制御装置5の制御部50は超音波モーター3を制御し、電源55は制御部50及び注入ヘッド2に電力を供給する。また、制御部50のメインCPU(制御ユニット)51は、ワンチップマイコンからなり、予めメモリ部53に記憶されたプログラムに応じて、超音波モーター3の制御の他、所定の演算、制御、判別などの処理動作を実行する。メモリ部53は、メインCPU(Central Processing Unit)が動作するためのシステムワークメモリであるRAM(Random Access Memory)、プログラム又はシステムソフトウェア等を格納するROM(Read Only Memory)、又はハードディスクドライブ等を備える。
メインCPU51は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)56との間で信号の送受信を行う。このFPGA56は、ドライブ回路(駆動電圧生成ユニット)52に接続され、ドライブ回路52は、超音波モーター3に接続されている。そして、超音波モーター3のローターには、超音波モーター3の回転速度に対応するパルス信号を出力するエンコーダー39が接続されている。このエンコーダー39は、FPGA56にパルス信号を出力する。
注入を開始するための指令信号を受信したメインCPU51は、FPGA56へ設定速度信号を出力する。この設定速度信号に基づいて、FPGA56は、駆動電圧を生成するための駆動信号としてのsin生成信号、-sin生成信号、cos生成信号及び-cos生成信号を生成する。そして、FPGA56は、この駆動信号をドライブ回路52へ出力する。さらに、駆動信号等を受信したドライブ回路52は、超音波モーター3を駆動する駆動電圧としてのAC(Alternating Current)電圧(sin波、cos波)を生成して、超音波モーター3へ出力する。
なお、超音波モーター3と制御部50とが一体的に設けられた駆動装置を注入装置1が備え、この駆動装置によって押圧部4を駆動することもできる。また、制御部50は、コンソール10と一体的に設けることもできる。
[アダプタ検出装置]
図1のシリンジホルダー92には、シリンジ91を注入ヘッド2に搭載すると共に、凸部83(図4)が設けられたアダプタ8が取り付けられる。そして、注入ヘッド2には、アダプタ検出装置として、アダプタ8を検出するアダプタ検出部6(図5)が設けられている。
以下、図3〜7を参照してアダプタ検出部6について説明する。図3は、アダプタ8を取り付ける前の注入ヘッド2の前端部分を示す概略上面図である。また、図4A及び図4Bは、アダプタの一例として造影剤側のシリンジホルダー92に取り付け可能なアダプタ8を示す。なお、図4Aは上方から見たアダプタ8を示す概略斜視図であり、図4Bは外方から見たアダプタ8を示す概略側面図である。また、図5は、下方から見たアダプタ検出部6を示す概略斜視図である。また、図6はアダプタ検出部6を長手方向(前後方向)に切断した概略断面図である。また、図7は、固定されたアダプタ検出部6を長手方向に切断した概略断面図である。
図3に示すように、アダプタ検出部6はシリンジホルダー92の前側上部に設けられている。そして、アダプタ検出部6は、シリンジホルダー92に取り付けられるアダプタ8を検出する。2つのシリンジホルダー92の一方には、造影剤が充填されたシリンジ91が搭載される。そして、このシリンジホルダー92には、アダプタ8が挿入される凹部を挟んで両側にアダプタ検出部6が設けられている。また、他方のシリンジホルダー92には、生理食塩水が充填されたシリンジ91が搭載される。そして、このシリンジホルダー92には、アダプタ8が挿入される凹部に対して外側であり、造影剤側のシリンジホルダー92とは反対の側に1つのアダプタ検出部6が設けられている。
各アダプタ検出部6は、アダプタ8に設けられた凸部83により押し下げられるシリコンゴム製のボタン61を有する。造影剤側のシリンジホルダー92には、2つのボタン61が設けられている。また、生理食塩水側のシリンジホルダー92には、1つのボタン61が設けられている。
シリンジ91は、外形及び材質(ガラス又は樹脂等)の少なくとも一方が製造会社毎に異なることがある。そのため、複数種類の外形のシリンジ91をシリンジホルダー92に搭載させるために、アダプタ8が用いられる。このアダプタ8は、シリンジホルダー92に取り付けられ、取り付けられたアダプタ8にシリンジ91が搭載される。これにより、シリンジ91が注入ヘッド2に搭載される。シリンジ91の外形に応じて異なるアダプタ8を用いることにより、複数種類のシリンジ91を搭載することができる。
図4Aに示すように、アダプタ8は、シリンジ91が搭載される凹部81と、凹部81から外側に向かって延在するフランジ82と、フランジ82の下側に設けられた凸部83とを有する。この凹部81は略U字状に湾曲し、シリンジホルダー92の略U字状に湾曲した溝921に挿入されると共に、シリンジ91の外形と相補的な内面形状を有する。また、図4Bに示すように、凹部81には、シリンジ91を外部から観察するための窓部811が設けられている。なお、凸部83は両フランジ82に設けられているが、両フランジ82の一方にのみ凸部83が設けられていてもよい。
アダプタ8は、フランジ82の上面に設けられて水平方向に回転自在である保持部材84としてのストッパーアームをさらに有する。この保持部材84は、凹部81の上方の開口から退避した退避位置と、この開口に突出した保持位置との間で移動することができる。また、保持部材84はレバー部842を有しており、保持部材84が保持位置に向かって回転すると、レバー部842がストッパー841に当接して回転が停止する。そして、保持位置に位置する保持部材84は、凹部81に位置するシリンジ91の外面に上方から当接する。これにより、シリンジ91は、下方の凹部81及び上方の保持部材84により確実に保持される。
アダプタ8の後部には、弾性を有する係合部85が設けられている。そして、シリンジホルダー92には、係合部85を受け入れる係合溝922が設けられており、係合溝922は溝921と連通している。また、係合部85の外面には隆起部851が設けられており、係合溝922の内面には内方に向かって突出する規制部923が設けられている。また、係合部85の上端にはつまみ部852が設けられている。
オペレーターが内方に向かう力をつまみ部852に加えると、両つまみ部852が互いに近付くように係合部85が変形する。これにより、係合部85の外寸が変化するので、隆起部851が規制部923を乗り越えるように、係合部85を係合溝922に挿入することができる。その後、オペレーターがつまみ部852を離すと、係合部85の変形が解消され、隆起部851は規制部923の下方に位置する。これにより、アダプタ8の上方への移動は、規制部923によって規制される。また、係合部85の変形が解消される際に、係合部85の外面が係合溝922と衝突し衝突音を生じさせる。この衝突音を確認することにより、オペレーターはアダプタ8が正常に取り付けられたことを確認することができる。
図4Bに示すように、フランジ82の上面と係合部85の上面とは、同一平面を構成している。そして、フランジ82の上面から凸部83の下端までの長さは、係合部85の上面から隆起部851の下端までの長さよりも短い。そのため、アダプタ8が取り付けられる前、すなわち、隆起部851が規制部923を乗り越える前は、凸部83がアダプタ検出部6のボタン61に当接しない。これにより、アダプタ8が正常に取り付けられる前に、誤ってアダプタ8が検出されてしまうことを抑制することができる。
なお、図4A及び図4Bに示すアダプタ8は一例であり、注入ヘッド2には他の形状のアダプタ8を取り付けることもできる。例えば、保持部材84及びつまみ部852の、いずれか一方のみを有するアダプタ8を注入ヘッド2に取り付けることもできる。また、保持部材84及びつまみ部852を有さないアダプタ8を注入ヘッド2に取り付けることができる。
図5及び図6に示すように、アダプタ検出部6は、アダプタ8の凸部83により押し下げられるボタン61と、ボタン61の押し下げを非接触で検出するセンサー62とを有している。このセンサー62は、複数のボタン61の下方に対向配置され、押し下げられたボタン61を非接触で検出する光学式のスリットセンサーである。
具体的に、ボタン61は、凸部83に当接する2つの当接部611を有し、当接部611は凸部83に押し下げられると下方に突出するように変形する。また、アダプタ8が取り外され、凸部83が当接部611から離れると、当接部611は自身の弾性力によって元の形状に復帰する。センサー62は、互いに対向する発光部621と受光部622とを有しており、当接部611により光が遮られるとアダプタ8(ボタン61の押し下げ)を検出する。これにより、非接触でボタン61の押し下げを検出できるため、ボタン61とセンサー62の接触に起因する経年劣化を防止できる。
また、ボタン61は長手方向に並んだ2つの穴部612を有し、センサー62は穴部612と対向するねじ穴623を有する。そして、図7に示すように、ボタン61は、注入ヘッド2のフレーム21の内側に固定されている。具体的には、フレーム21から下方に突出する固定部22を穴部612に挿入し、ボタン61をフレーム21の内側に取り付ける。そして、ボタン61とセンサー62との間に押さえ部材23を配置する。その後、ねじ穴623を介して、センサー62をねじ624により固定部22に固定する。固定されたボタン61の当接部611上面は、フレーム21に設けられた穴を介して外部に露出する。なお、図7においては、上側がフレーム21の外側に対応する。
このようにボタン61を内側から固定することにより、ボタン61がフレーム21から外れることを防止できる。また、ボタン61は防水性の材料から形成されている。そのため、薬液が漏れた場合であっても、フレーム21内への薬液の進入をボタン61により抑制できる。
[アダプタの検出]
続いて、図2を参照して、アダプタ検出部6によるアダプタ8の検出について説明する。アダプタ8は、搭載可能なシリンジ種類に応じて、凸部83の配置パターンが異なる。例えば、両側にそれぞれ2つの凸部83(合計4つの凸部83)を有するアダプタにはA社が製造したシリンジを搭載できるが、B社が製造したシリンジは搭載できない。一方、両側にそれぞれ1つの凸部83(合計2つの凸部83)を有するアダプタにはB社が製造したシリンジを搭載できるが、A社が製造したシリンジは搭載できない。そのため、アダプタ8を検出すると、凸部83の配置パターンに基づいてアダプタ8の種類を判定することができる。
具体的にアダプタ検出部6のセンサー62は、凸部83により押し下げられた当接部611を検出した場合は、検出信号(ON信号)を制御部50に送信する。例えば、センサー62は、両側にそれぞれ2つの当接部611を検出したことを示す検出信号を制御部50に送信する。そして、制御部50は、検出された当接部611の配置パターンをメモリ部53に記憶させる。また、アダプタ8が取り外され、当接部611を検出しない場合、センサー62は非検出信号を制御部50に送信する。
検出信号は、FPGA56を介してメインCPU51に送信される。そして、制御部50のFPGA56及びメモリ部53の少なくとも一方には、予め凸部83の配置パターンとアダプタ8の種類とを対応させたデータテーブルが記憶されている。制御部50は、このデータテーブルを参照し、アダプタ8の種類を判定して判定結果を一時的に記憶する。これにより、制御部50は、注入ヘッド2に取り付けられたアダプタ8の種類を取得することができる。
このアダプタ8の種類は、シリンジ種類に対応している。そして、FPGA56及びメモリ部53の少なくとも一方には、アダプタ8の種類に対応するシリンジ種類が予め記憶されている。これにより、制御部50は、シリンジ種類を判定することができる。例えば、両側にそれぞれ2つの凸部83を有するアダプタ8であると判定された場合、制御部50は、搭載されるシリンジ種類をA社が製造したシリンジであると判定し、種類を一時的に記憶する。同時に、制御部50は、シリンジ種類としてA社のシリンジであることをコンソール10に表示させる。なお、製造会社に代えて又は製造会社と共に、シリンジ種類として薬剤名をコンソール10に表示させてもよい。
アダプタ8の種類に対応させて予め記憶させる情報としては、製造会社、後端検出時の前進距離、後端までの推定距離、製品名称、薬剤名、製品ID、化学分類、含有成分、濃度、粘度、シリンジ容量、シリンジ耐圧、シリンダ内径及びピストンストローク等がある。これらの情報を予め記憶しておくことにより、制御部50は、各種判定を行うことができる。例えば、両側にそれぞれ2つの凸部83を有するアダプタ8であると判定された場合、制御部50は、後端検出時の前進距離を判定することができる。
凸部83の配置パターンは適宜設計することができるが、アダプタ8の片側にのみ凸部83を設ける場合には、1つのみの凸部83を設けることが好ましい。アダプタ8の片側に2つの凸部83を設けてボタン61を押し下げた場合、当接部611の弾性力(復帰力)でアダプタ8の片側が押し上げられる可能性がある。アダプタ8の片側が押し上げられるとアダプタ8が傾いてしまい、当接部611を正確に検出できない可能性がある。そのため、片側のみに凸部83を設ける場合には、1つの凸部83のみを設けることにより、アダプタ8が受ける力を最小限に抑え傾きを抑制することができる。特に、造影剤のシリンジ91は軽いため、このシリンジ91を搭載するためのアダプタ8の片側にのみ凸部83を設ける場合には、1つのみの凸部83を設けることが好ましい。
アダプタ8が取り外され、アダプタ検出部6から非検出信号を受信した制御部50は、一時的にメモリ部53に記憶した配置パターンをリセットさせ、次のアダプタ8の取り付けに備える。この時、制御部50は、当接部611の全ての非検出信号受信した場合に、メモリ部53に配置パターンをリセットさせる。例えば、両側にそれぞれ2つの当接部611含む配置パターンが記憶されていた場合、制御部50は、4つの当接部611の全てが検出されなくなるまでリセットを行わない。これにより、取り付けられたアダプタ8が誤って傾いてしまい、一部の当接部611が検出されなくなった場合でも、制御部50はリセットを行わない。そのため、制御部50が、アダプタ8の取り外しを誤って判断することを抑制できる。
なお、ボタン61の当接部611は2つに限定されず、1つ又は3つ以上の当接部611を設けることもできる。これに対応して、アダプタ8にも1つ又は6つ以上の凸部83を設けることができる。さらに、ボタン61の数も限定されず、1つ又は3つ以上のボタン61を設けることもできる。
[後端検出装置]
注入ヘッド2には、シリンジ91の後端931を非接触で検出する後端検出装置として、後端検出部7が設けられている。以下、図8〜10を参照して後端検出部7について説明する。図8は、注入ヘッド2の前側部分を示す概略上面図である。なお、図8の左側の押圧部4は完全に後退した位置にあり、図8の右側の押圧部4は完全に前進した位置にある。図9は、後端検出部7及びピストン93を長手方向(前後方向)に切断した概略断面図である。また、図10Aは後端931を保持していない押圧部4を示し、図10Bは後端931を保持している押圧部4を示す。また、図11Aは後端931を保持していない押圧部4を示し、図11Bは後端931を保持している押圧部4を示す。
図8及び図9に示すように、後端検出部7は、発光部721と受光部722とを有する光学式のセンサーである。また、後端検出部7を保持する保持部としても機能する押圧部4が、後端検出部7を保持している。具体的に、後端検出部7は、発光部721と受光部722とが押圧部4の前方に突出するように押圧部4の下部に保持されている。そして、発光部721から出射された可視光は、ピストン93の後端931で反射されて受光部722に入射する。なお、可視光に代えて、赤外光等の他の波長の光を用いることもできる。
発光部721と受光部722とは、図8の矢印Aで示す押圧部4の前進方向に対して直交する方向に並んで配置されている。これにより、押圧部4が前進している状態であっても、受光部722に確実に反射光を入射させることができる。そのため、後端検出部7は、後端931を確実に検出することができる。
図9に示すように、後端検出部7は、押圧部4の当接面の垂線Bに対してシリンジ91側(前方)に傾いて配置されている。この後端検出部7の上面と垂線Bとの間の傾きの角度は、0度よりも大きく10度以下であることが好ましい。このように傾けて配置することにより、押圧部4の当接面からの反射光が受光部722に入射してしまうことを抑制できる。そのため、後端検出部7が後端931を誤って検出することを抑制できる。ただし、当接面からの反射光が問題とならないならば、後端検出部7は傾けずに配置することもできる。
なお、後端検出部7は、2つのシリンジホルダー92のうち、造影剤のシリンジ91が搭載される側の押圧部4に設けられている。ただし、後端検出部7は、他方の押圧部4にも設けることができる。また、発光部721は、受光部722に対して他方の押圧部4側に配置されている。
図10A及び図10Bを参照して、爪411による後端931の保持について説明する。押圧部4は、後端931を保持する爪411を有している。この爪411は、押圧部4の当接面が後端931の後面に近接すると、押し広げられて後端931を受け入れる。その後、爪411は、バネの付勢力により自動的に元の位置に移動し、図10Bに示すように後端931をその両側の縁と係合するように保持する。そして、保持状態で押圧部4が前進すると、ピストン93が押されてシリンジ91のシリンダ内に挿入され、シリンダ内の薬液が押し出される。一方、押圧部4が後退するとピストン93も後退し、シリンジ91に薬液容器が接続されていれば、シリンダ内に薬液を吸引することができる。ここで、「近接する」とは、例えば、押圧部4の当接面と後端931の後面との間の距離が1mm未満、より好ましくは0.5mm未満になるまで接近することを意味する。
図11A及び図11Bを参照して、シリンジフック412による後端931の保持について説明する。押圧部4には、後端931を保持するシリンジフック412を取り付けることができる。そして、シリンジフック412が設けられている場合は、後端931が爪411に保持されることに代えて、シリンジフック412によりシリンジ91が保持される。これにより、爪411では保持できない小径のシリンジ91であっても、前進又は後退させることができる。
シリンジフック412は、上下に回動可能である。オペレーターは、押圧部4の当接面を後端931の後面に近接させた後に、シリンジフック412を下におろす。これにより、図11Bに示すように後端931が上方から保持されるため、後端931が押圧部4に固定される。そして、保持状態で押圧部4が前進すると、ピストン93が押されてシリンジ91のシリンダ内に挿入され、シリンダ内の薬液が押し出される。一方、押圧部4が後退するとピストン93も後退し、シリンジ91に薬液容器が接続されていれば、シリンダ内に薬液を吸引することができる。
[停止アシストモード]
続いて、図12を参照して、停止アシストモードにおける前進停止について説明する。停止アシストモードにおいて制御部50は、後端931が検出された後に押圧部4を所定の前進距離だけ前進させると共に、後端931から離れた位置で押圧部4を停止させる。
前述したように、アダプタ8が取り付けられると(S101のYES)、凸部83が当接部611を押し下げる。すると、アダプタ検出部6は、押し下げられた当接部611を検出し(S102)、検出信号を制御部50に送信する。アダプタ8が取り付けられていない場合(S101のNO)、ステップS101が繰り返される。
検出信号を受信した制御部50は、凸部83の配置パターンを判定し、この配置パターンとアダプタ8の種類とを対応させたデータテーブルを参照する。そして、制御部50は、配置パターンに基づいてアダプタ8の種類を判定する(S103)。これにより、制御部50は、注入ヘッド2に取り付けられたアダプタ8の種類を取得することができる。
後端931が検出された後に押圧部4を前進させる前進距離(後端検出時の前進距離)とアダプタ8の種類とを対応させたデータテーブルは、FPGA56及びメモリ部53の少なくとも一方に予め記憶されている。そして、アダプタ8の種類を取得した制御部50は、このデータテーブルを参照し、アダプタ8の種類に基づいて対応する前進距離を判定する(S104)。これにより、制御部50は、後端検出時の前進距離を取得することができる。
押圧部4は手動で操作されるため、オペレーターが注入ヘッド2の前進ボタン24(図1)を押し下げている間に(S105のYES)、制御部50は押圧部4を前進させる(S106)。また、オペレーターが注入ヘッド2の前進ボタン24と加速ボタン25(図1)とを同時に押すと、制御部50は押圧部4の前進速度を加速させることができる。そして、後端検出部7は、ピストン93の後端931を検出すると(S107)、検出信号を制御部50に送信する。前進ボタン24が押されない場合(S105のNO)、ステップS105が繰り返される。
ここで、後端931が検出された後の前進停止について図13A,図13Bを参照して説明する。図13Aは後端検出時の後端931及び押圧部4の概略断面を示し、図13Bは前進停止時の後端931及び押圧部4の概略断面を示す。なお、説明の便宜のため、図13Bにおいては、後端検出時の押圧部4の位置が点線で図示されている。
図13Aに示すように、後端検出部7の発光部721及び受光部722は、押圧部4の前方に突出している。そのため、発光部721から出射されて後端931の下側端面で反射された光は、押圧部4が後端931の後面に当接する前に受光部722に入射する。そして、受光部722に反射光が入射すると、後端検出部7は検出信号を制御部50に送信する。この時、押圧部4の当接面と後端931の後面は離れている。
そのため、前進ボタン24が押し下げられている間に後端検出部7が後端931を検出したときは、検出信号を受信した制御部50は、押圧部4を予め取得した前進距離(図13Bの距離C)だけ前進させて後端931から離れた位置で停止させる(S108)。すなわち、制御部50は、押圧部4の当接面が後端931の後面に当接しない位置で前進を停止する。これにより、停止アシストモードが終了する。なお、停止アシストモードにおいては、オペレーターは前進ボタン24を押したままであっても制御部50により前進が停止される。
この前進距離は、後端931の形状、厚み、材質、及び端面の反射率等に応じて異なる。例えば、図13Aで示す後端931の後面は曲面である。そのため、後面が平面である場合と比較すると、図13Aにおいて後端931が検出された時点での押圧部4の当接面と後端931の後面の間の距離は短い。そのため、後面が平面である場合と比較すると、前進距離も短く設定される。また、制御部50は、エンコーダー39から受信した信号に基づいて超音波モーター3の回転数を判断している。そして、制御部50は、この回転数に基づいて押圧部4が前進した距離を判断している。なお、制御部50は、超音波モーター3を所定の速度で正転させる時間に基づいて押圧部4が前進した距離を判断してもよい。
押圧部4が停止した後、オペレーターは再び前進ボタン24を押して押圧部4の当接面を後端931の後面に近接させる。そして、後端931が爪411に保持される。その後、注入準備が完了したら、オペレーターは、注入ヘッド2のチェックボタン27(図1)又はコンソール10のチェックボタンを押す。これにより、注入ヘッド2は、注入可能な状態で待機する。
また、制御部50は、押圧部4の前進速度を加速させている間に後端検出部7が後端931を検出したときは、前進速度を減速させる。すなわち、オペレーターが加速ボタン25を押している間に検出信号を受信した制御部50は、前進速度を加速速度から通常速度まで下げる。これにより、押圧部4の当接面が後端931の後面に当接する前に、より正確に押圧部4を所望の位置で停止させることができる。なお、制御部50は、オペレーターが加速ボタン25を押していない場合に後端検出部7が後端931を検出したときに、前進速度を通常速度からさらに減速させてもよい。
また、制御部50は、オペレーターが注入ヘッド2の後退ボタン26(図1)を押している間、押圧部4を後退させるように構成されている。なお、押圧部4が所定の位置まで自動で後退するように、注入装置1を構成してもよい。例えば、注入ヘッド2の後退ボタン26をオペレーターが押すと、予め記憶された位置まで押圧部4が自動で後退するように注入装置1を構成してもよい。
[変形例]
後端931には、押圧部4と後端931との間に位置するようにスペーサを取り付けることもできる。この場合、後端検出部7は、シリンジ91の後端931としてスペーサの後端を検出する。また、押圧部4が自動で前進するように、注入装置1を構成してもよい。例えば、注入ヘッド2の前進ボタン24をオペレーターが押すと、後端検出部7が後端931を検出するまで押圧部4が自動で前進するように注入装置1を構成してもよい。
以上説明した第1実施形態の注入装置1によれば、アダプタ検出部6は、押し下げられたボタン61を非接触で検出する。これにより、非接触でボタン61の押し下げを検出できるため、ボタン61とセンサー62の接触に起因する経年劣化を防止できる。
また、制御部50は、搭載されるシリンジ91に応じた前進距離を予め取得し、後端検出部7が後端931を検出した後に、この前進距離だけ進んだ位置で押圧部4を停止させる。これにより、押圧部4の当接面が後端931の後面に当接しないように、押圧部4を停止させることができる。そのため、押圧部4の前進を、ピストン93の後端931に当接する直前に停止することができる。また、薬液がシリンジ91から押し出されてしまうことを確実に防止することができる。
さらに、制御部50は、後端検出部7が後端931を検出してから押圧部4を停止している。そのため、エア抜きのために僅かに薬液を注入したことにより、ピストン93が未使用位置よりも前方に位置する場合であっても、押圧部4を後端931に近接させて停止させることができる。また、押圧部4と後端931との間に指等の異物が存在する場合、後端検出部7が異物を検出すると、押圧部4の前進が停止する。これにより、誤って指等を挟んでしまうことを防止することができる。
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び各変形例は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
なお、注入装置1は、注入結果(注入履歴)に関する情報を、ネットワーク経由でRIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、及びHIS(Hospital Information System)等の外部記憶装置に送信し記憶させることもできる。また、光学式センサーに代えて、非接触式センサーとして、超音波センサー、静電センサー及び磁気センサー等を用いることもできる。