以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図12は、本発明による機器の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1及び図2は、それぞれ、機器を示す斜視図または縦断面図である。図3及び図4は、表示装置に組み込まれ得る第1ヘイズ切替シートの一例を示す縦断面図であり、図5及び図6は、表示装置に組み込まれ得る第1ヘイズ切替シートの他の例を示す縦断面図である。図7及び図8は、第1ヘイズ切替シートを示す平面図または縦断面図である。図9〜図11は、機器の作用を説明するための図である。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」、「パネル」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「シート」はフィルム、板、パネルと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、「ヘイズ切替シート」は、「ヘイズ切替フィルム」、「ヘイズ切替板」、「ヘイズ切替パネル」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1に示すように、機器10は、機器本体60と、機器本体60に取り付けられた表示装置20と、を有している。表示装置20は、画像形成面25aを有した画像形成装置25と、画像形成装置25と積層され且つ高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能なヘイズ切替シートと、を有している。ここで説明する機器10では、表示装置20がヘイズ切替シートを含むことによって、不使用状態にある表示装置20が機器本体60との調和を崩してしまうこと効果的に防止するようになっている。
機器10は、何らかの物品の製造装置や、自動販売機、券売機等の種々の装置から構成され得る。とりわけここで説明する機器10は、意匠性を要求される機器、例えば、家庭内で使用される電気機器としての家電機器に対して好適である。ここで家電機器としては、エアコン、洗濯機、掃除機、照明、電子レンズ、ビデオ、冷蔵庫等を例示することができる。
図示された一実施の形態においては、機器10が冷蔵庫11を構成し、機器本体60が冷蔵庫本体61を構成している。図1に示すように、冷蔵庫本体61は、複数の扉62を有している。このうち一つの扉62に、表示装置20が組み込まれている。図2に示すように、表示装置20は、その表示面20aが機器本体60の表面62aと面一となるように、機器本体60に取り付けられている。すなわち、表示装置20の表示面20aは、扉62の表面62aと、同一面上に位置している。このような配置によれば、より自然な形で、すなわちより調和の取れた態様にて、表示装置20が機器本体60に取り付けられることになる。
次に、表示装置20について説明する。図2に示された例において、表示装置20は、ヘイズ切替シート及び画像形成装置25に加えて、タッチパネルセンサ51及び前面板55を、さらに有している。また図示された例において、表示装置20は、二つのヘイズ切替シート31,32を含んでいる。
図2に示された例において、第2ヘイズ切替シート32、第1ヘイズ切替シート31、タッチパネルセンサ51及び前面板55が、この順番で、画像形成装置25の画像形成面25a上に積層されている。表示装置20は、画像形成装置25内に設けられた制御器22を有している。制御器22は、画像形成装置25を制御するとともに、ヘイズ切替シート31,32に接続されて当該ヘイズ切替シート31,32の制御も担っている。また、制御器22は、タッチパネルセンサ51にも接続され、タッチパネルセンサ51及び前面板55とともにタッチパネル装置50を構成している。
なお、図示された例では省略されているが、各構成要素55,51,31,32,25間に、粘着剤や接着剤からなる接合層や、ガラスや樹脂フィルムからなる透明基材が設けられていても良い。以下、各構成要素について、説明していく。
画像形成装置(表示装置本体)20は、観察者によって観察されるようになる静止画または動画を形成する手段である。画像形成装置25は、形成した画像を、その画像形成面25aに表示する。画像形成装置25は、特に制限されることなく、表示装置等の名称で公知となっている種々の機器を用いることができる。一例として、液晶表示装置、陰極線管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)等を、画像形成装置25として用いることができる。
前面板55は、表示装置20のうちの最も観察者側に配置された部材であり、表示装置20の表示面20aを構成している。したがって、前面板55に対しては、表示装置20の表示面20aをなす層としての適切な機能、例えば、反射防止機能、防眩機能、耐擦傷性機能、防汚機能等の一以上が既知の手法を用いて適宜付与され得る。
また、前面板55は、タッチパネルセンサ51及び制御器22とともに、タッチパネル装置50を構成する。タッチパネル装置50は、被検知体の接触位置を検知する装置である。前面板55は、タッチパネル装置50における被検知体が接触する接触面を画成する。すなわち、タッチパネル装置50は、前面板55上で被検知体が接触している位置を検知する。ここで接触位置は、タッチパネル装置50の検知感度によっては、接近位置も含む概念である。
タッチパネルセンサ51は、制御器22に接続される検知電極を有した層である。タッチパネルセンサ51は、既知である種々の形式、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、光センサ方式等を採用することができる。
前面板55及びタッチパネルセンサ51は、画像形成装置25の画像形成面25a上に積層されることから、可視光透過性を有するように作製される。一例として、前面板55は、透明ガラスや透明樹脂フィルムを用いて形成され得る。一方、タッチパネルセンサ51は、透明材料からなる検知電極または高開口率の金属メッシュからなる検知電極を、透明なガラス又は樹脂フィルム上に形成することにより、作製され得る。
次に、ヘイズ切替シート31,32について説明する。ヘイズ切替シート31,32は、ヘイズ値〔%〕が変化するシート状の部材である。ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
ヘイズ切替シート31,32は、ヘイズ値が変化する種々のシート状の部材を用いて形成され得る。ただし、ここで説明する表示装置20において、ヘイズ切替シート31,32は、高ヘイズ状態において、画像形成装置25を隠蔽すること、すなわち、画像形成装置25の存在をわかり難くすることを意図されている。したがって、高ヘイズ状態におけるヘイズ切替シート31,32のヘイズ値は、90%以上となっていることが好ましい。その一方で、ヘイズ切替シート31,32は、低ヘイズ状態において、画像形成装置25によって形成される画像の視認性を害さないことを意図されている。したがって、低ヘイズ状態におけるヘイズ切替シート31,32のヘイズ値は、10%以下となっていることが好ましい。
ヘイズ値の切り換えを可能とするヘイズ切替シート31,32として、電圧を印加しているか否かに応じてヘイズ値が変化するシート状の部材を例示することができる。図3〜図6には、電圧印加の有無に応じて高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能なヘイズ切替シート31,32として、ポリマーネットワーク型液晶(PNLC)が例示されている。このうち、図3及び図4に示されたヘイズ切替シート31,32は、ノーマルモード型と呼ばれるタイプであり、図5及び図6に示されたヘイズ切替シート31,32は、リバースモード型と呼ばれるタイプである。
図3及び図4に示されたノーマルモード型のヘイズ切替シート31,32は、互いに対向して配置された第1基材41及び第2基材42と、一対の基材41,42間に配置され且つ対応する側の基材41,42にそれぞれ積層されている第1電極43及び第2電極44と、一対の電極43,44間に配置されたポリマーネットワーク47及び液晶材料48と、を有している。一対の基材41,42は、可視光透過性を有しており、画像形成装置25によって形成される画像の視認を可能にする。同様の理由から、一対の電極43,44も可視光透過性を有している。一対の基材41,42は、例えば、透明なガラスや樹脂フィルムを用いて形成され得る。また、一対の電極43,44は、酸化インジウム錫等の透明導電性材料を用いて形成され得る。
一方、図5及び図6に示されたリバースモード型のヘイズ切替シート31,32は、一対の電極43,44間に配置された一対の配向膜45,46を更に有している。第1配向膜45は、第1電極43に積層され、第2配向膜46は、第2電極44に積層されている。ポリマーネットワーク47及び液晶材料48は、一対の配向膜45,46の間に配置されている。配向膜45,46は、いわゆる垂直配向膜であり、液晶分子の長手方向が配向膜45,46の法線方向に沿うように、当該液晶分子を配向する。
ポリマーネットワーク47は、三次元の網目状に、言い換えると、スポンジ状に形成されている。ポリマーネットワーク47は、その内部に多数の空隙を形成している。この空隙内に液晶材料48が設けられている。ポリマーネットワーク47は、樹脂材料の硬化物から形成される。一方、液晶材料48は、長手方向を有する液晶分子49を含んだ液状の材料である。液晶分子49は、その形状に対応した屈折率異方性を有している。すなわち、液晶分子49の長手方向に直交する方向での屈折率と、液晶分子49の長手方向に平行な方向での屈折率とは異なる。
一例として、図3〜図6に示されたヘイズ切替シート31,32では、液晶分子49が配向されている状態(図4及び図5)において、液晶分子49の屈折率とポリマーネットワーク47の屈折率とが揃う。この状態において、ヘイズ切替シート31,32へ入射した光は、進行方向を大きく曲げることなく、ヘイズ切替シート31,32を透過することができる。すなわち、液晶分子49が配向されている状態において、ヘイズ切替シート31,32は低ヘイズ状態となる。この状態において、ヘイズ切替シート31,32は透明な状態となり、ヘイズ切替シート31,32越しに画像形成装置25を観察することができる。
一方、図3〜図6に示されたヘイズ切替シート31,32において、液晶材料48の液晶分子49が配向されていない状態(図3及び図6)では、液晶分子49の長手方向の向きが、当該液晶分子49の近傍に位置するポリマーネットワーク47にも依存して、不規則的となる。この状態において、ヘイズ切替シート31,32へ入射した光は、進行方向を大きく曲げられて拡散する。すなわち、液晶分子49が配向されていない状態において、ヘイズ切替シート31,32は高ヘイズ状態となる。このとき、ヘイズ切替シート31,32は白濁した状態となり、ヘイズ切替シート31,32によって画像形成装置25が隠蔽される。
図3及び図4に示されたノーマルモード型のヘイズ切替シート31,32では、ポジ型の液晶分子49が使用される。図3に示されたスイッチ38が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子49の向きは不規則となっている。したがって、ノーマルモード型のヘイズ切替シート31,32は、電界が印加されていない状態において、白濁して画像形成装置25を隠蔽することができる。一方、図4に示すように、スイッチ38が閉じた状態(入った状態)において、液晶分子49は配向されるようになる。したがって、ノーマルモード型のヘイズ切替シート31,32は、電圧を印加された状態で、透明となり、観察者は、透明なヘイズ切替シート31,32を介して画像形成装置25の画像形成面25a上に形成された画像を観察することができる。
図5及び図6に示されたリバースモード型のヘイズ切替シート31,32では、ネガ型の液晶分子49が使用される。図5に示されたスイッチ38が開いた状態(切れた状態)において、液晶分子49は、一対の配向膜45,46の配向作用により垂直配向される。したがって、リバースモード型のヘイズ切替シート31,32は、電圧を印加されていない状態で、透明となり、観察者は、透明なヘイズ切替シート31,32を介して画像形成装置25の画像形成面25a上に形成された画像を観察することができる。一方、図6に示すように、スイッチ38が閉じた状態(入った状態)において、ネガ型の液晶分子49の向きは不規則となる。したがって、リバースモード型のヘイズ切替シート31,32は、電界が印加されている状態において、白濁して画像形成装置25を隠蔽することができる。
また、液晶材料48が二色性色素を有するようにしてもよい。二色性色素は、液晶分子49と同様に、長手方向を有するとともに、電圧印加の有無に応じてその向きを変化させる。そして、二色性色素は、その向きに応じて色味を呈するようになる。このため、ヘイズ切替シート31,32は、低ヘイズ状態において無色透明に維持され、その一方で、高ヘイズ状態において、単なる白濁ではなく、所定の色味を有しながら、画像形成装置25を隠蔽することが可能となる。ここで所定の色味を、機器本体60の表面62aの色と同様にすることができる。この場合、表示装置20の画像形成装置25を隠蔽しながら、同時に、表示装置20と機器本体60との調和を図ることができる。このような二色性色素として、例えば特開2007−009120や特開2011−246411に開示されているような種々の公知なものを用いることができる。
以上のようなヘイズ切替シート31,32は、一例として次のようにして作製することができる。まず、一対の基材41,42、電極43,44及び配向膜45,46の間に、ポリマーネットワーク47をなすようになる未硬化状態の樹脂組成物を液体状態の液晶材料48とともに配置する。この状態から、未硬化状態の樹脂組成物を硬化させる。この際の硬化速度を調整することにより、樹脂組成物及び液晶材料48が、それぞれ、或る程度凝集する。これにより、液晶材料48が或る程度分散して配置される一方で、三次元網目状(スポンジ状)のポリマーネットワーク47が形成されるようになる。なお、ポリマーネットワーク47をなすようになる樹脂組成物は、一例として、光を照射されることによって硬化する光硬化型樹脂とすることができる。光硬化型樹脂を用いた場合、樹脂組成物の照射する光量を調整することにより、液晶材料48の分散を調整することができる。
ところで、図示された一実施の形態では、図7に示すように、第1ヘイズ切替シート31は、第1領域Z1及び第2領域Z2を含んでいる。第1ヘイズ切替シート31は、第1領域Z1において、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替えることができる。同様に、第1ヘイズ切替シート31は、第2領域Z2においても、高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替えることができる。とりわけ、本実施の形態における第1ヘイズ切替シート31では、第1領域Z1及び第2領域Z2のヘイズ状態の切り替えを、互いから独立して行うことができる。したがって、第1ヘイズ切替シート31を、第1領域Z1及び第2領域Z2の一方を無色透明とし、第1領域Z1及び第2領域Z2の他方を白濁状態または二色性色素に起因した有色状態とすることができる。
具体的な構成として、図8に示すように、第1ヘイズ切替シート31の第1電極43は、第1領域Z1及び第2領域Z2のパターンに対応したパターンにて、分割されている。すなわち、第1ヘイズ切替シート31の第1電極43は、第1領域Z1を画成する第1部分43aと、第1部分43aから絶縁され第2領域Z2を画成する第2部分43bと、を含んでいる。一方、第1ヘイズ切替シート31の第2電極44は、共通電極として利用され、単一の層とすることができる。そして、第1電極43の第1部分43aと第2電極44との間の電圧印加は、第1スイッチ38aによって制御される。一方、第1電極43の第2部分43bと第2電極44との間の電圧印加は、第1スイッチ38aとは別個の第2スイッチ38bによって、第1電極43の第1部分43aと第2電極44との間の電圧印加から独立して、制御される。
図8に示された状態において、第1スイッチ38aが入となり、第1領域Z1に電圧が印加され、第2スイッチ38bが切となり、第2領域Z2には電圧が印加されてない。図8に示された第1ヘイズ切替シート31は、ノーマルモード型として形成されている。したがって、第1ヘイズ切替シート31は、第1領域Z1において低ヘイズ状態となり、第2領域Z2において高ヘイズ状態となっている。
また、第1領域Z1および第2領域は、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1および第2領域Z2の一方を低ヘイズ状態とし且つ他方を高ヘイズ状態とした場合に表示対象を表示するよう、パターニングされている。例えば、第1領域Z1及び第2領域Z2のパターニングにより、ハウスマーク、商標、図形、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクターなどの絵柄(イメージ)や、文字、ロゴマーク、数字などの情報を、表示対象として表示することができる。図7に示された一例では、第1領域Z1は、例えばロゴマークを表示するため、アルファベットの「D」の輪郭をなす領域となっている。すなわち、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1および第2領域Z2の一方を低ヘイズ状態とし且つ他方を高ヘイズ状態とした場合、アルファベットの「D」を認識することができる。
ただし、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1および第2領域Z2の一方を低ヘイズ状態とし且つ他方を高ヘイズ状態とした場合に、第1領域Z1および第2領域Z2のパターンにて表示対象を明瞭に表示するには、低ヘイズ状態にある第1領域Z1および第2領域Z2の一方を介して観察される部位と、高ヘイズ状態にある第1領域Z1および第2領域Z2の他方とが異なる色調となっていることが好ましい。
図2の構成を有した表示装置20では、一例として、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1および第2領域Z2の一方を低ヘイズ状態とし且つ他方を高ヘイズ状態とするとともに、第2ヘイズ切替シート32を低ヘイズ状態としてもよい。この例によれば、第1ヘイズ切替シート31の低ヘイズ状態となっている領域において画像形成装置25の画像形成面25aが観察される。非表示状態にある画像形成装置25の画像形成面25aの黒色と、第1ヘイズ切替シート31の高ヘイズ状態にある領域の色との相違により、第1領域Z1および第2領域Z2のパターンを認識することができる。或いは、画像形成装置25によって表示される画像形成面25aの表示色と、第1ヘイズ切替シート31の高ヘイズ状態にある領域の色との相違により、第1領域Z1および第2領域Z2のパターンを認識することができる。
別の例として、後述する動作方法を実現し得る一実施の形態では、高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32が、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31と目視にて識別可能となっている。言い換えると、高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32は、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31と目視にて区別可能となっている。このような形態では、ヘイズ切替シート31,32をノーマルモード型とした場合、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1のみに電圧を印加するだけで、表示対象を表示することができるので、全体の消費電力を抑えることができる。
例えば、第1ヘイズ切替シート31の低ヘイズ状態となっている領域を介して観察される高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32の色味が、第1ヘイズ切替シート31の高ヘイズ状態となっている領域の色味と異なることにより、第1領域Z1および第2領域Z2のパターンを認識することができる。一具体例として、第1ヘイズ切替シート31及び第2ヘイズ切替シート32の一方のみが、ポリマーネットワーク47の内部に形成された空隙内に二色性色素を含有するようにすれば、高ヘイズ状態にあるヘイズ切替シート31,32間で色調を異なるようにすることができる。この場合、高ヘイズ状態にあるヘイズ切替シート31,32の一方が白濁色となり、他方が二色性色素に起因した色を呈する。また、他の具体例として、第1ヘイズ切替シート31及び第2ヘイズ切替シート32が、ポリマーネットワーク47の内部に形成された空隙内に互いに異なる二色性色素を有するようにすれば、高ヘイズ状態にあるヘイズ切替シート31,32間で色調を異なるようにすることができる。
その他の例として、高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32のヘイズ値が、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31のヘイズ値とは異なるようにして、第1領域Z1および第2領域Z2のパターンを認識し得るようにしてもよい。例えば、第2ヘイズ切替シート32のポリマーネットワーク47及び液晶材料48が設けられている層の厚みが、第1ヘイズ切替シート31のポリマーネットワーク47及び液晶材料48が設けられている層の厚みと異なる場合、高ヘイズ状態にあるヘイズ切替シート31,32間でヘイズ値を異なるようにすることができる。
次に、主として図9〜図11を参照しながら、以上のような機器10の作用を説明する。なお、図9〜図11において、(a)は、第1ヘイズ切替シート31の状態を示しており、(b)は、第2ヘイズ切替シート32の状態を示しており、(c)は、画像形成装置25の画像形成面25aの状態を示している。(d)は、表示装置20の表示面20a上に観察される状態を、表示装置20の周囲に位置する機器本体60の一部分とともに、示している。
まず、図9(c)に示すように表示装置20の画像形成装置25が画像を形成していない場合、すなわち、機器10の使用者が表示装置20を観察していない場合、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1及び第2ヘイズ切替シート31,32は、共に、高ヘイズ状態に維持されている。とりわけ、第1ヘイズ切替シート31については、第1領域Z1及び第2領域Z2の両領域において、高ヘイズ状態に維持される。ヘイズ切替シート31,32が、上述したノーマルモード型のヘイズ切替えパネルを用いている場合には、一対の電極間に電圧が印加されていない状態、リバースモード型のヘイズ切替えパネルを用いている場合には、一対の電極間に電圧が印加されている状態に維持する。
なお、ヘイズ切替シート31,32がノーマルモード型のヘイズ切り換え方式を採用している場合、電力を使用することなく、画像形成装置25を隠蔽することができる。したがって、表示装置20の使用時間よりも不使用時間の方が長時間となる機器10に対しては、電力消費を抑える観点から、ノーマルモード型のヘイズ切り換え方式を採用することが好ましい。
第1及び第2ヘイズ切替シート31,32が、高ヘイズ状態に維持されることにより、不使用状態にある画像形成装置25を隠蔽することができる。画像形成装置25の黒色状態にある画像形成面25aの露出を防止することにより、表示装置20が機器本体60との不調和となることを防止することができる。不使用状態にある画像形成装置25の隠蔽は、意匠性を要求される家電機器をなす機器10に対して、とりわけ有用である。
また、本実施の形態では、画像形成装置25の画像形成面25a上に二枚のヘイズ切替シート31,32が積層されている。このような本実施の形態によれば、画像形成装置25をより確実に隠蔽することができる。
さらに、図9(d)に示すように、表示装置20が不使用状態にある場合、表示装置20の表示面20aには、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31が観察されるようになる。例えば二色性色素を用いることにより、第1ヘイズ切替シート31が、高ヘイズ状態において、単に白濁状態となるのではなく、色味を呈することも可能となる。したがって、図9に示された表示装置20の不使用状態において、単に画像形成装置25を隠蔽するのではなく、白濁した又は色味を付与された表示装置20と、機器本体60との調和を積極的に図ることができる。すなわち、機器本体60との調和を積極的に図りながら、表示装置20を機器10に組み込むことが可能となる。
次に、図9に示された状態において、表示装置20の表示面20aに接触すると、当該接触がタッチパネル装置50によって検知され、表示装置20は図10に示された状態に移行する。図10に示された状態では、第1ヘイズ切替シート31が、第1領域Z1において、高ヘイズ状態から低ヘイズ状態へと変化し、その一方で、第2領域Z2において、高ヘイズ状態に維持される。すなわち、第1ヘイズ切替シート31は、図8に示された状態となる。また、図10(b)に示すように、第2ヘイズ切替シート32は、高ヘイズ状態に維持され、画像形成装置25は、非表示状態に維持される。図10(d)に示すように、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1において、第2ヘイズ切替シート32が観察されるようになる。
ただし、第2ヘイズ切替シート32は高ヘイズ状態にあるので、非表示状態にある画像形成装置25の黒色の画像形成面25aは、第2ヘイズ切替シート32によって隠蔽されている。したがって、図10に示された状態においても、画像形成装置25の黒色状態にある画像形成面25aの露出を防止することにより、表示装置20が機器本体60との不調和となることを効果的に防止することができる。
その一方で、高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32は、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31と目視で識別可能となっている。したがって、図10(d)に示すように、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1の輪郭が浮かび上がり、第1領域Z1のパターンに対応した特定の表示対象、例えば、機器本体60の製造者のロゴマークが表示される。このような表示対象の表示は、画像形成装置25を用いることなく実施される。したがって、表示対象を低電力にて表示することが可能となる。
とりわけ、ヘイズ切替シート31,32が、上述したノーマルモード型のヘイズ切替えパネルを用いている場合には、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1のみに電圧を印加することにより、より低電力にて表示対象を表示することが可能となる。また、図10に示すように、第1領域Z1が第2領域Z2よりも小面積である場合には、第1ヘイズ切替シート31の第1領域Z1に電圧を印加することによって、表示対象を表示するようになっていることが、電力消費を抑制することができる点において好ましい。
次に、図10に示された状態において、表示装置20の表示面20aに接触すると、当該接触がタッチパネル装置50によって検知され、表示装置20は図11に示された状態に移行する。図11に示された状態において、ヘイズ切替シート31,32は、その全領域において、低ヘイズ状態に維持される。したがって、表示装置20の表示面20aに、画像形成装置25の画像形成面25aが視認される状態となる。この状態において、画像形成面25aが、例えば機器本体60に関連した画像を画像形成面25aに形成する。観察者は、表示面20a上に画像を観察することができる。
一具体例として、機器10が冷蔵庫11を構成する場合、予め制御器22に入力しておいた機器本体60内に収容された収容物の種類や賞味期限が、表示されるようになる。この例では、冷蔵庫本体61の扉62を開くことなく、冷蔵庫本体61内の収容物を確認することができることから、冷蔵庫本体61の消費電力を抑制することができる。また、他の例として、冷蔵庫本体61に取り付けられた表示装置20の画像形成装置25が、インターネット経由で取得される冷蔵庫本体61内の収容物の調理方法を表示するようにしてもよい。
以上のように本実施の形態において、機器10は、機器本体60と、機器本体60に取り付けられた表示装置20と、を含んでいる。このうち表示装置20は、画像形成装置25と、画像形成装置25と積層され且つ高ヘイズ状態と低ヘイズ状態とを切り替え可能なヘイズ切替シート31と、を有している。したがって、画像形成装置25の不使用状態においては、第1ヘイズ切替シート31を高ヘイズ状態とすることで、画像形成装置25を隠蔽することができる。これにより、非表示状態にある画像形成装置25の黒色の画像形成面25aが露出することを防止することができ、表示装置20が機器本体60と不調和となることを回避することが可能となる。すなわち、有用な情報を表示し得る表示装置20を、機器本体60との調和を崩すことなく、機器10に組み入れることができる。
また本実施の形態においては、第1ヘイズ切替シート31は、複数の領域Z1,Z2を含み、各領域のヘイズ状態を他の領域のヘイズ状態から独立して変更することができる。したがって、画像形成装置25を用いることなく、第1ヘイズ切替シート31を用いて、領域Z1,Z2のパターンに対応した表示対象を表示することが可能となる。
さらに本実施の形態においては、表示装置20は、第1ヘイズ切替シート31と画像形成装置25との間に配置された第2ヘイズ切替シート32を、さらに有している。このような表示装置20によれば、二つのヘイズ切替シート31,32を用いて、より確実に、画像形成装置25を隠蔽することが可能となる。
さらに本実施の形態においては、高ヘイズ状態にある第2ヘイズ切替シート32が、高ヘイズ状態にある第1ヘイズ切替シート31と、色味や質感等の相違を有し、目視で識別可能となっている。このような表示装置20によれば、画像形成装置25を用いることなく、意匠性に富んだ、表示対象を表示することができる。
以上、本発明を図示する一実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。
例えば、上述した実施の形態において、第1ヘイズ切替シート31が、ヘイズ状態を独立して制御可能な二つの領域Z1,Z2を有する例を示したが、この例に限られない。第1ヘイズ切替シート31が、ヘイズ状態を独立して制御可能な三つ以上の領域を有するようにしてもよい。このような変形例によれば、より複雑な表示対象や、二以上の表示対象を表示することが可能となる。
上述した第1領域Z1及び第2領域Z2のパターンは一例に過ぎない。また、図10に示された状態において、ロゴマーク等を表示することに代えて、タッチパネル装置50との組み合わせで何らかの操作スイッチを表示するようにしてもよい。一例として、図12に示された例では、「ON」及び「OFF」のスイッチを表示するように第1領域Z1及び第2領域Z2がパターニングされている。
さらに、上述した機器10の使用方法(操作方法)は、一例に過ぎない。例えば、表示装置20の表示面20aに一度接触することにより、図9に示された状態から図10に示された状態に変更し、次に、さらに表示面20aに接触すること無く、一度目の表示面20aへの接触から一定時間の経過後に、図10に示された状態から図11に示された状態に変更するようにしてもよい。
さらに、図2に示された表示装置20の積層構成は例示に過ぎない。さらなる構成要素を表示装置20に追加してもよい。また、タッチパネルセンサ51や第2ヘイズ切替シート32を表示装置20から省くことも可能である。タッチパネルセンサ51を省いた場合、画像形成装置25の操作スイッチの入切、または、画像形成装置25の電源の入切に応じて、ヘイズ切替シート31,32のヘイズ状態が制御されるようにしてもよい。
さらに、機器本体60の表面62aに対応して、画像形成装置25の画像形成面25aが曲面であるようにしてもよい。典型的な例として、画像形成装置25がエレクトロルミネッセンスディスプレイである場合、画像形成面25aだけでなく画像形成装置25自体を湾曲させることも可能である。一方、ヘイズ切替シート31,32の一対の基材41,42を樹脂フィルムによって形成している場合、ヘイズ切替シート31,32は柔軟性を有するようになる。したがって、画像形成装置25の湾曲した画像形成面25aに面接合または面接触した状態で、当該画像形成装置25の画像形成面25a上に、ヘイズ切替シート31,32を湾曲して配置することが可能となる。このような表示装置20では、表示面20aも湾曲する。したがって、湾曲した表示面20aを有する表示装置20を、湾曲した表面62aを有する機器本体60に取り付けることができる。このような機器10によれば、表示装置20を機器本体60に対してより調和させることが可能となる。