以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係るアルコール測定システムの構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るアルコール測定システム10の外観斜視図である。
図1に示すように、アルコール測定システム10は、被測定者の呼気中のアルコール濃度の測定であるアルコール測定を実行するアルコール測定器20と、カメラとしてのWebカメラ31と、マイクロフォン32と、アルコール測定器20、Webカメラ31およびマイクロフォン32が接続された例えばPC(Personal Computer)などのコンピューター40とを備えている。
アルコール測定システム10は、運輸・運送事業者などの点呼時に実行されるアルコール測定に使用されても良いし、点呼とは無関係に実行されるアルコール測定に使用されても良い。アルコール測定システム10は、アルコール測定の実行場所に被測定者の管理者が不在である場合であっても、そのアルコール測定において不正行為が行われたか否かが管理者によって確認されることが可能なシステムである。
図2は、アルコール測定器20のブロック図である。
図1および図2に示すように、アルコール測定器20は、キーボードなどの操作デバイスである操作部21と、表示デバイスである表示部22と、スピーカー23と、被測定者によって呼気が吹き込まれる呼気吹き込み部としてのマウスピース24aが着脱可能なセンサーユニット24と、コンピューター40と通信を行う通信デバイスである通信部25と、アルコール測定器20全体を制御する制御部26とを備えている。アルコール測定器20は、マウスピース24aに吹き込まれた呼気中のアルコール濃度の測定を実行する装置である。
表示部22は、アルコール測定器20の現在の状態を示す情報、アルコール測定器20に対する操作の指示を示す情報などの各種の情報を被測定者に通知するための複数のランプ22aと、アルコール測定器20の現在の状態を示す情報、アルコール測定器20に対する操作の指示を示す情報、測定したアルコール濃度を示す情報などの各種の情報を被測定者に通知するためのディスプレイ22bとを備えている。例えば、ディスプレイ22bは、8桁の7セグメントディスプレイである。
センサーユニット24は、マウスピース24aを介して吹き込まれた呼気中のアルコール濃度に応じたアルコール濃度信号を制御部26に出力することができる。また、センサーユニット24は、マウスピース24aを介して吹き込まれた呼気の圧力に応じた呼気圧力信号を制御部26に出力することができる。
制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMに記憶されているプログラムを実行する。
図3(a)は、被測定者90がマウスピース24aに呼気を吹き込んでいる状態のアルコール測定器20の外観斜視図である。 図3(b)は、被測定者90がマウスピース24aに呼気を吹き込んでいる状態の場合にWebカメラ31によって撮影された画像の一例を示す図である。
図1および図3に示すように、Webカメラ31は、マウスピース24aに呼気を吹き込んでいる状態の被測定者90を撮影可能な位置に配置されている。
マイクロフォン32は、アルコール測定器20の周囲の音を取得する装置である。
図4は、コンピューター40のブロック図である。
図1および図4に示すように、コンピューター40は、マウス、キーボードなどの操作デバイスである操作部41と、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部42と、スピーカー43と、アルコール測定器20、Webカメラ31およびマイクロフォン32と通信を行う通信デバイスである通信部44と、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリーなどの不揮発性の記憶デバイスである記憶部45と、コンピューター40全体を制御する制御部46とを備えている。
記憶部45は、Webカメラ31によって撮影された動画であって、アルコール測定のためにアルコール測定器20によって実行される一連の動作(以下「測定用動作」と言う。)に関連付けられた測定関連動画を保存するアルコール測定動画保存プログラム45aを記憶している。
記憶部45は、利用者の情報を利用者毎に示す利用者情報テーブル45bを記憶している。
図5は、利用者情報テーブル45bの一例を示す図である。
図5に示す利用者情報テーブル45bは、利用者のIDと、利用者の氏名とを含んでいる。例えば、図5に示す例では、ID「1」の利用者の氏名は、「東海太郎」である。
図4に示すように、記憶部45は、測定用動作毎の測定関連動画45cを記憶可能である。
図6は、測定関連動画45cの構成を示す図である。
図6に示すように、測定関連動画45cは、開始時間から終了時間までの間に測定用動作の時間を含んでいる。ここで、測定用動作は、例えば、利用者情報テーブル45bに登録されているIDが操作部21に入力されるなどして、被測定者90に対するアルコール測定がアルコール測定器20において実行可能になった時点で開始される。また、測定用動作は、被測定者90に対するアルコール測定がアルコール測定器20において正常に終了した時点、例えば、測定したアルコール濃度がディスプレイ22bに表示された時点で終了させられる。また、測定用動作は、操作部21からの指示や、タイムアウトなどによって、アルコール濃度がディスプレイ22bに表示されることなく、途中で終了させられることもある。
また、測定関連動画45cは、測定用動作の時間の前の特定の時間としての一定時間(以下「測定用動作前一定時間」と言う。)の動画を含んでいる。すなわち、測定関連動画45cの開始時間は、測定用動作の開始時間より測定用動作前一定時間だけ前である。
また、測定関連動画45cは、測定用動作の時間の後の特定の時間としての一定時間(以下「測定用動作後一定時間」と言う。)の動画を含んでいる。すなわち、測定関連動画45cの終了時間は、測定用動作の終了時間より測定用動作後一定時間だけ後である。
なお、一般的には、アルコール測定は、不正をしない場合でも、測定前準備(例えば、被測定者90を特定するための運転免許証の用意や、呼気を吹き込むためのマウスピース24aの用意など。)が必要であり、測定後よりも測定前に時間が必要である。そのため、測定前に不正が行われる場合、不正が行われる時間と、測定前準備の時間との合計の時間が測定前に存在する。一方、測定後に不正が行われる場合、不正が行われる時間が測定後に存在する。したがって、測定用動作前一定時間を測定用動作後一定時間より長めにした方が、測定用動作前一定時間を測定用動作後一定時間より短めにするよりも、不正の現場が測定関連動画45cに含まれる可能性が向上する。
図4に示すように、記憶部45は、測定用動作に関連するデータ(以下「関連データ」と言う。)を測定用動作毎に含む関連データ情報45dを記憶している。
図7は、関連データ情報45dの一例を示す図である。
図7に示す関連データ情報45dは、被測定者のIDと、被測定者の氏名と、アルコール測定の実行時刻と、アルコール測定の結果と、対応する測定関連動画45cへのリンクとを含んでいる。例えば、図7に示す例では、「2016年7月4日7時19分20秒」に実行されたアルコール測定は、ID「1」、氏名「東海太郎」の被測定者に対するアルコール測定であって、アルコール測定の結果は、アルコール濃度が0.000mg/Lである。
なお、アルコール測定の実行時刻は、測定用動作の終了時刻である。また、アルコール測定の結果は、アルコール測定が中止させられた場合、アルコール濃度ではなく、アルコール測定が中止させられた旨になる。
図4に示すように、記憶部45は、測定用動作前一定時間を示す測定用動作前一定時間情報45eと、測定用動作後一定時間を示す測定用動作後一定時間情報45fとを記憶している。例えば、測定用動作前一定時間情報45e、測定用動作後一定時間情報45fのデフォルトの値は、それぞれ10秒、5秒である。
記憶部45は、Webカメラ31によって常時撮影されるとともにマイクロフォン32によって取得された音が同期させられて含まれる動画(以下「常時撮影動画」と言う。)45gを記憶可能である。常時撮影動画45gの時間の上限は、測定関連動画45cが採り得る最大時間以上の特定の時間(以下「常時撮影動画上限時間」と言う。)である。すなわち、常時撮影動画45gは、最長でも、常時撮影動画上限時間前から現在までの動画である。
制御部46は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部45に記憶されているプログラムを実行する。
制御部46は、記憶部45に記憶されているアルコール測定動画保存プログラム45aを実行することによって、測定用動作前一定時間および測定用動作後一定時間を設定可能な時間設定手段46a、Webカメラ31によって撮影された測定関連動画45cを測定用動作毎に保存する動画保存手段46b、および、動画保存手段46bによって保存された測定関連動画45cのリストを表示するリスト表示手段46cとして機能する。
次に、測定用動作前一定時間および測定用動作後一定時間を設定する場合のコンピューター40の動作について説明する。
被測定者90の管理者などの者は、制御部46がアルコール測定動画保存プログラム45aを実行している場合に、測定用動作前一定時間の設定を操作部41から指示することができる。したがって、時間設定手段46aは、操作部41からの指示に応じた測定用動作前一定時間を示す情報を測定用動作前一定時間情報45eとして記憶させる。
同様に、管理者などの者は、制御部46がアルコール測定動画保存プログラム45aを実行している場合に、測定用動作後一定時間の設定を操作部41から指示することができる。したがって、時間設定手段46aは、操作部41からの指示に応じた測定用動作後一定時間を示す情報を測定用動作後一定時間情報45fとして記憶させる。
次に、アルコール測定を実行する場合のアルコール測定システム10の動作について説明する。
図8は、アルコール測定を実行する場合のアルコール測定システム10の動作のシーケンス図である。
図8に示すように、被測定者90は、制御部46がアルコール測定動画保存プログラム45aを実行している場合に、IDの入力待ちであることが表示部22に表示されているとき、被測定者90自身のIDを操作部21から入力する(S101)ことができる。
なお、制御部46は、アルコール測定動画保存プログラム45aを実行している場合、Webカメラ31によって撮影された映像と、マイクロフォン32によって取得された音とに基づいて、記憶部45上の常時撮影動画45gを更新し続ける。ここで、制御部46は、常時撮影動画45gの時間が常時撮影動画上限時間を超えた場合、常時撮影動画45gから常時撮影動画上限時間前の部分を削除することによって、常時撮影動画45gの時間を常時撮影動画上限時間に抑える。
制御部26は、S101において操作部21からIDが入力されると、操作部21から入力されたIDをコンピューター40に送信する(S102)。
次いで、制御部46は、S102において送信されてきたIDが利用者情報テーブル45bに含まれているか否かを確認する(S103)。
制御部46は、S102において送信されてきたIDが利用者情報テーブル45bに含まれていることをS103において確認すると、登録されているIDであることをアルコール測定器20に通知する(S104)。したがって、制御部26は、呼気の吹き込みの指示を表示部22に表示する(S105)。すなわち、アルコール測定器20においてアルコール測定が実行可能になる。
なお、制御部46は、S102において送信されてきたIDが利用者情報テーブル45bに含まれていないことをS103において確認すると、登録されていないIDであることをアルコール測定器20に通知する。したがって、制御部26は、登録されていないIDであることを表示部22に表示する。そして、制御部26は、操作部21に特定の操作が入力されることによって、IDの入力待ちであることを再び表示部22に表示する。
被測定者90は、呼気の吹き込みの指示が表示部22に表示されている場合、センサーユニット24に装着されているマウスピース24aに呼気を吹き込む(S106)ことができる。なお、被測定者90は、マウスピース24aに呼気を吹き込む前の何れかのタイミングで、被測定者90自身のマウスピース24aをセンサーユニット24に装着しておくことができる。
制御部26は、S105の処理の後、例えば30秒などの特定の時間以内にS106における吹き込みが開始されて、S106において吹き込まれた呼気が例えば5秒などの特定の時間以上継続されると、センサーユニット24から入力されるアルコール濃度信号に基づいて呼気中のアルコール濃度を取得する(S107)。ここで、制御部26は、マウスピース24aに呼気が吹き込まれているか否かを、センサーユニット24から入力される呼気圧力信号に基づいて判断する。なお、呼気中のアルコール濃度が0.00mg/Lである場合、センサーユニット24から制御部26に入力されるアルコール濃度信号がゼロであるので、制御部26は、センサーユニット24から入力されるアルコール濃度信号に基づいてアルコール濃度を計算する必要がない。したがって、制御部26は、呼気中のアルコール濃度が0.00mg/Lである場合、呼気中のアルコール濃度を一瞬で取得することが可能である。一方、呼気中のアルコール濃度が0.00mg/Lより大きい場合、制御部26は、センサーユニット24から入力されるアルコール濃度信号に基づいてアルコール濃度を計算する必要があるので、呼気中のアルコール濃度を取得するための計算時間として例えば10秒などの特定の時間が必要である。
制御部26は、S107の処理の後、S107において取得したアルコール濃度を、ディスプレイ22bに表示する(S108)とともに、コンピューター40に送信する(S109)。なお、制御部26は、S109の処理の後、センサーユニット24が再びアルコール濃度を検知することができるようにするためにセンサーユニット24に対して特定の処理を実行してから、IDの入力待ちであることを再び表示部22に表示する。
動画保存手段46bは、S109において送信されたアルコール濃度を受信すると、今回の測定用動作に関する測定関連動画45cを記憶部45に保存する(S110)。ここで、動画保存手段46bは、常時撮影動画45gの一部をコピーすることによって、今回の測定用動作に関する測定関連動画45cを生成する。
動画保存手段46bは、S110の処理の後、S103において確認したID、すなわち、被測定者のIDと、このIDに利用者情報テーブル45bにおいて対応付けられている氏名、すなわち、被測定者の氏名と、S109において送信されてきたアルコール濃度の受信時刻、すなわち、アルコール測定の実行時刻と、S109において送信されてきたアルコール濃度、すなわち、アルコール測定の結果と、S110において保存された測定関連動画45cへのリンクとを含む関連データを関連データ情報45dに追加する(S111)。なお、動画保存手段46bは、S109において送信されてきたアルコール濃度の受信時刻として、S109においてアルコール濃度が送信されてきた時点でコンピューター40内の図示していない時計が示している時刻を使用する。
制御部26は、S107において取得したアルコール濃度が特定の濃度以上である場合、S108においてアルコール濃度を表示するだけでなく、スピーカー23で警告音を出力する。同様に、制御部46は、S107において取得されたアルコール濃度が特定の濃度以上である場合、スピーカー43で警告音を出力する。
なお、S105の処理の後、例えば30秒などの特定の時間、呼気の吹き込みがなされない場合には、図8に示すS107以降の動作ではなく、図9に示すS131以降の動作が実行される。
図9に示すように、制御部26は、S105の処理の後、例えば30秒などの特定の時間、呼気の吹き込みがなされない場合、タイムアウトの旨を、表示部22に表示する(S131)とともに、コンピューター40に通知する(S132)。なお、制御部26は、S132の処理の後、センサーユニット24が再びアルコール濃度を検知することができるようにするためにセンサーユニット24に対して特定の処理を実行してから、IDの入力待ちであることを再び表示部22に表示する。
動画保存手段46bは、タイムアウトの旨がS132において通知されると、今回の測定用動作に関する測定関連動画45cを記憶部45に保存する(S133)。ここで、動画保存手段46bは、常時撮影動画45gの一部をコピーすることによって、今回の測定用動作に関する測定関連動画45cを生成する。
動画保存手段46bは、S133の処理の後、S103において確認したID、すなわち、被測定者のIDと、このIDに利用者情報テーブル45bにおいて対応付けられている氏名、すなわち、被測定者の氏名と、S132においてタイムアウトの旨が通知されてきた時刻、すなわち、アルコール測定の実行時刻と、アルコール測定の結果、すなわち、測定用動作がタイムアウトによって終了したという結果と、S133において保存された測定関連動画45cへのリンクとを含む関連データを関連データ情報45dに追加する(S134)。なお、動画保存手段46bは、S132においてタイムアウトの旨が通知されてきた時刻として、S132においてタイムアウトの旨が通知されてきた時点でコンピューター40内の図示していない時計が示している時刻を使用する。
制御部26は、測定用動作が途中で終了させられた場合、スピーカー23で警告音を出力する。同様に、制御部46は、測定用動作が途中で終了させられた場合、スピーカー43で警告音を出力する。
以上においては、測定用動作がタイムアウトによって途中で終了させられた場合について説明した。しかしながら、アルコール測定システム10は、操作部21からの指示によって測定用動作が途中で終了させられた場合など、タイムアウト以外の原因によって測定用動作が途中で終了させられた場合にも、測定用動作がタイムアウトによって途中で終了させられた場合と同様に、今回の測定用動作に関する測定関連動画45cを記憶部45に保存するとともに、今回の測定用動作の終了の原因をアルコール測定の結果として含めた関連データを関連データ情報45dに追加する。
次に、アルコール測定の結果を管理者が確認する場合のコンピューター40の動作について説明する。
管理者は、アルコール測定の結果の閲覧を操作部41を介してコンピューター40に指示することができる。
リスト表示手段46cは、アルコール測定の結果の閲覧が指示されると、関連データ情報45dに基づいたリスト50(図10参照。)を表示部42に表示する。
図10は、表示部42に表示されるリスト50の一例を示す図である。
図10に示すリスト50は、図7に示す関連データ情報45dとほぼ同様である。リスト50は、測定関連動画45cの長さから測定用動作前一定時間および測定用動作後一定時間を減じた「測定用動作の時間」を含んでいる。測定用動作の時間は、関連データ情報45dにも含まれていても良い。リスト50は、測定用動作の時間が特定の時間以上か否かを区別して表示している。図10に示すリスト50においては、測定用動作の時間が30秒以上の測定用動作の情報を白黒反転して描いている。
管理者は、表示部42に表示されたリスト50に含まれる各種の情報を確認することができる。特に、管理者は、表示部42に表示されたリスト50において、測定関連動画45cへのリンクを選択することによって、測定関連動画45cの再生をコンピューター40に指示することができる。
制御部46は、測定関連動画45cの再生が指示されると、指示された測定関連動画45cを表示部42およびスピーカー43によって再生する。
したがって、管理者は、表示部42およびスピーカー43によって再生された測定関連動画45cを確認することによって、測定関連動画45cに映っている被測定者90がリスト50の「被測定者の氏名」欄に示されている者本人であることなど、不正行為が行われていないことを確認することができる。
以上に説明したように、アルコール測定システム10は、測定用動作の時間と、測定用動作の開始時間より前の特定の時間、すなわち、測定用動作前一定時間と、測定用動作の終了時間より後の特定の時間、すなわち、測定用動作後一定時間とからなる一連の時間の測定関連動画45cを保存する。そのため、アルコール測定システム10は、「測定用動作に関連性が高い箇所が動画において特定されることが容易ではない」という従来の問題が生じない。したがって、アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為が被測定者90の管理者によって動画から特定されることを従来より容易化することができる。
ここで、測定関連動画45cから特定される不正行為としては、様々な不正行為がある。例えば、被測定者90のためのアルコール測定を、単純に、被測定者90の身代わりの者に実行させる不正行為がある。また、被測定者90がマウスピース24aを咥えている状態であっても被測定者90の身代わりの者から呼気が吹き込み可能なチューブがアルコール測定器20に不正に取り付けられるなど、アルコール測定器20に不正な改造が施されることによって、マウスピース24aを咥えている被測定者90の動画を残しつつ、Webカメラ31の撮影範囲外で被測定者90の身代わりの者から呼気が吹き込まれる不正行為がある。また、ダミーのマウスピース24aを用意することによって、ダミーのマウスピース24aを咥えている被測定者90の動画を残しつつ、Webカメラ31の撮影範囲外で被測定者90の身代わりの者から本物のマウスピース24aに呼気が吹き込まれる不正行為がある。なお、ダミーのマウスピース24aを用いた不正行為は、Webカメラ31の撮影範囲にセンサーユニット24が現れる場合には、ダミーのマウスピース24aだけでなく、ダミーのマウスピース24aが装着されるダミーのセンサーユニット24が用意される。
アルコール測定システム10は、測定関連動画45cを保存するので、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合に、ディスプレイ22bに表示されているアルコール濃度を被測定者90が確認したかなど、被測定者90が適切に行動したかが測定関連動画45cによって確認されることができる。
アルコール測定システム10は、測定関連動画45cの開始時間から測定用動作の開始時間までの時間、すなわち、測定用動作前一定時間と、測定用動作の終了時間から測定関連動画45cの終了時間までの時間、すなわち、測定用動作後一定時間とが一定時間である。この構成により、アルコール測定システム10は、測定関連動画45cの開始時間から測定用動作の開始時間までの時間と、測定用動作の終了時間から測定関連動画45cの終了時間までの時間とが測定関連動画45c毎に変化する構成と比較して、測定関連動画45cの時間の長さの均一性を向上することができるので、アルコール測定に対する不正行為を発見するために測定関連動画45cを確認する作業の効率を向上することができる。
アルコール測定システム10は、現時点が測定関連動画45cのための撮影時間中であることを通知しない。この構成により、アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画45cのための撮影の実行中であるかもしれないという精神的圧力を与えることができるので、アルコール測定に対する不正行為が実行され難い。したがって、アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為の発生を抑えることができる。
アルコール測定システム10は、測定関連動画45cのための撮影時間中であることを通知しないことに加えて、測定用動作の時間の前や後のどの程度の時間を測定関連動画45cに保存するかを被測定者90の管理者などの者に変更させることが可能であるので、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画45cのための撮影の実行中であるかもしれないという精神的圧力を効果的に与えることができる。したがって、アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為の発生を更に抑えることができる。
アルコール測定システム10は、アルコール測定の結果と関連付けて測定関連動画45cを保存するので、アルコール測定の結果に応じて測定関連動画45cが選出されることが可能である。したがって、アルコール測定システム10は、多数の測定関連動画45cの中から、アルコール測定の結果が特定のアルコール濃度以下、例えば、0.00mg/Lの測定関連動画45cが選出されることによって、「アルコール測定に対する不正行為によって、被測定者90の呼気中の実際のアルコール濃度より低いアルコール濃度が測定された事案」を測定関連動画45cによって容易に発見させることができる。
測定用動作が途中で終了した場合は、測定用動作が正常に終了した場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為が実行された可能性が高い。アルコール測定システム10は、測定用動作が途中で終了した場合の測定関連動画45cを保存するので、アルコール測定に対する不正行為を測定関連動画45cによって発見させる可能性を向上することができる。
測定用動作の時間が長い場合は、測定用動作の時間が短い場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為が実行されている可能性が高い。アルコール測定システム10は、測定用動作の時間が特定の時間以上の測定関連動画45c、すなわち、測定用動作の時間が長い測定関連動画45cを、測定用動作の時間が特定の時間未満の測定関連動画45c、すなわち、測定用動作の時間が短い測定関連動画45cと区別してリスト50において表示するので、多数の測定関連動画45cの中から、測定用動作の時間が長い測定関連動画45cが容易に選出されることができる。また、アルコール測定システム10は、測定用動作の時間をリスト50において表示するので、多数の測定関連動画45cの中から、測定用動作の時間が長い測定関連動画45cが容易に選出されることができる。したがって、アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為を測定関連動画45cによって容易に発見させることができる。なお、リスト表示手段46cは、測定用動作の時間が特定の時間以上の測定関連動画45cか否かを区別せずにリスト50を表示しても良いし、測定用動作の時間の長さをリスト50に表示しなくても良い。
アルコール測定システム10は、アルコール測定に対する不正行為が実行されたか否かを測定関連動画45cに含まれる音によっても確認可能であるので、アルコール測定に対する不正行為が測定関連動画45cから特定されることを容易化することができる。
アルコール測定システム10は、測定関連動画45cに音を含めることができるので、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合の警告音や、測定用動作が途中で終了させられた場合の警告音を測定関連動画45cに含めることができる。したがって、アルコール測定システム10は、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合に、ディスプレイ22bに表示されているアルコール濃度を被測定者90が確認したかなど、被測定者90が適切に行動したかが測定関連動画45cによって確認されることができる。例えば、アルコール測定システム10は、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合に、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合の警告音を測定関連動画45cに含めることができるので、「警告音が鳴らなかったためにアルコール濃度の確認をしなかった」という被測定者90の虚偽の主張に対抗することができる。
アルコール測定システム10は、本実施の形態において測定用動作前一定時間および測定用動作後一定時間の両方を含む測定関連動画45cを生成する。しかしながら、アルコール測定システム10は、測定用動作の時間と、測定用動作前一定時間および測定用動作後一定時間の何れか一方のみとを含む測定関連動画45cを生成しても良い。
コンピューター40は、本実施の形態において測定関連動画45cや関連データ情報45dなどの各種のデータを記憶部45に記憶している。しかしながら、コンピューター40は、測定関連動画45cや関連データ情報45dなどの各種のデータの少なくとも一部を、コンピューター40が参加しているネットワーク内の他のコンピューターなど、コンピューター40以外の装置に記憶させても良い。
アルコール測定システム10は、測定用動作毎に測定関連動画45cを保存するようになっている。しかしながら、アルコール測定システム10は、測定用動作毎に測定関連動画45cを保存するか否かを操作部41からの指示に応じて設定可能であっても良い。
アルコール測定システム10は、被測定者90によって呼気が吹き込まれる呼気吹き込み部としてマウスピース24aを備えている。しかしながら、アルコール測定システム10は、マウスピースではない呼気吹き込み部を備えていても良い。例えば、アルコール測定システム10は、被測定者90によって咥えられる呼気吹き込み部ではなく、被測定者90によって呼気が吹き掛けられることによって呼気が吹き込まれる呼気吹き込み部を備えていても良い。
Webカメラ31は、マウスピース24aに呼気を吹き込んでいる状態の被測定者90を撮影可能な位置に配置されていれば、図1に示す場所以外の場所に配置されていても良い。例えば、Webカメラ31は、アルコール測定器20およびコンピューター40の何れかと一体化されていても良い。
アルコール測定システム10は、スピーカー23およびスピーカー43で警告音を出力するが、アルコール濃度が特定の濃度以上である場合や、測定用動作が途中で終了させられた場合に、警告音を出力する警報機を、スピーカー23およびスピーカー43に加えて、または、スピーカー23およびスピーカー43の少なくとも一方に代えて備えていても良い。
マイクロフォン32は、マウスピース24aに呼気を吹き込んでいる状態の被測定者90の近傍の音を取得可能な位置に配置されていれば、図1に示す場所以外の場所に配置されていても良い。例えば、マイクロフォン32は、アルコール測定器20、Webカメラ31およびコンピューター40の何れかと一体化されていても良い。なお、アルコール測定システム10は、マイクロフォン32を備えていなくても良い。
アルコール測定システム10は、利用者のIDを操作部21から手動で入力することによって、被測定者90を特定するようになっている。しかしながら、アルコール測定システム10は、他の方法によって被測定者90を特定するようになっていても良い。例えば、アルコール測定システム10は、運転免許証などのカードの表面に描かれている画像を読み取るイメージスキャナーを備えていて、イメージスキャナーによって読み取られた画像からOCR(Optical Character Recognition)によって文字情報を抽出し、抽出した文字情報に事前に対応付けられている被測定者90を特定しても良い。また、アルコール測定システム10は、IC(Integrated Circuit)カード化された運転免許証などのICカードから情報を読み出すICカードリーダーを備えていて、ICカードリーダーによって読み出された情報に事前に対応付けられている被測定者90を特定しても良い。また、アルコール測定システム10は、指静脈などの生体情報を取得する生体情報取得装置を備えていて、生体情報取得装置によって取得された生体情報に事前に対応付けられている被測定者90を特定しても良い。
アルコール測定システム10は、コンピューター40の機能の少なくとも一部をアルコール測定器20が実行しても良い。アルコール測定システム10は、コンピューター40の機能の全部をアルコール測定器20が実行する場合、コンピューター40を備えていなくても良い。
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態に係るアルコール測定システムの構成について説明する。
本実施の形態に係るアルコール測定システムの構成は、第1の実施の形態に係るアルコール測定システム10(図1参照。)がコンピューター40(図4参照。)に代えてコンピューター240(図11参照。)を備えた構成と同様である。
図11は、本実施の形態に係るアルコール測定システムのコンピューター240のブロック図である。
図11に示すように、コンピューター240は、コンピューター40(図4参照。)がアルコール測定動画保存プログラム45a(図4参照。)に代えてアルコール測定動画保存プログラム245aを記憶部45に記憶した構成と同様である。
制御部46は、記憶部45に記憶されているアルコール測定動画保存プログラム245aを実行することによって、時間設定手段46a、動画保存手段46bおよびリスト表示手段46cに加えて、測定関連動画245cの開始時間から測定用動作の開始時間までの時間(以下「測定用動作前特定時間」と言う。)と、測定用動作の終了時間から測定関連動画245cの終了時間までの時間(以下「測定用動作後特定時間」と言う。)とを測定関連動画245c毎に決定する時間決定手段246aとして機能する。
図12は、測定関連動画245cの構成を示す図である。
図12に示すように、測定関連動画245cは、測定用動作前一定時間の動画に代えて測定用動作前特定時間の動画を含んでいることと、測定用動作後一定時間の動画に代えて測定用動作後特定時間の動画を含んでいることとを除き、測定関連動画45c(図6参照。)と同様である。
次に、本実施の形態に係るアルコール測定システムの動作について説明する。
本実施の形態に係るアルコール測定システムの動作は、以下に説明する動作を除いて、第1の実施の形態に係るアルコール測定システム10の動作と同様である。
アルコール測定システム10においては、測定用動作前特定時間が測定用動作前一定時間という一定時間である。しかしながら、本実施の形態に係るアルコール測定システムにおいては、測定用動作前特定時間を測定関連動画245c毎に決定する。
測定用動作前特定時間の決定のパターンとしては、例えば、第1の実施の形態と同様に測定用動作前一定時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンA」と言う。)と、前回の測定用動作前特定時間に対して一定時間だけ測定関連動画245c毎に加算または減算するパターン(以下「パターンB」と言う。)と、前回の測定用動作前特定時間に対して測定用動作前一定時間の一定比率分の時間だけ測定関連動画245c毎に加算または減算するパターン(以下「パターンC」と言う。)と、一定範囲内のランダムな時間だけ測定用動作前一定時間に加算または減算した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンD」と言う。)と、測定用動作前一定時間の一定比率範囲内のランダムな時間だけ測定用動作前一定時間に加算または減算した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンE」と言う。)と、前回の測定用動作前特定時間に対して一定の係数を測定関連動画245c毎に乗算または除算するパターン(以下「パターンF」と言う。)と、管理者などの者によって設定された複数種類の時間からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンG」と言う。)と、管理者などの者によって設定された特定の時間範囲内からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンH」と言う。)と、管理者などの者によっても参照されることができない固定の複数種類の時間からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンI」と言う。)と、管理者などの者によっても参照されることができない固定の特定の時間範囲内からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターン(以下「パターンJ」と言う。)とが考えられる。
以上においては、測定用動作前特定時間について説明している。しかしながら、本実施の形態に係るアルコール測定システムにおいては、測定用動作前特定時間と同様に、測定用動作後特定時間についても測定関連動画245c毎に決定することができる。
時間決定手段246aは、操作部41や通信部44を介した指示に応じて測定用動作前特定時間や測定用動作後特定時間の決定のパターンを設定する。時間決定手段246aは、動画保存手段46bがS110またはS133において測定関連動画245cを記憶部45に保存する場合に、事前に設定している測定用動作前特定時間の決定のパターンで測定用動作前特定時間を決定するとともに、事前に設定している測定用動作後特定時間の決定のパターンで測定用動作後特定時間を決定する。動画保存手段46bは、S110またはS133において、時間決定手段246aによって決定された測定用動作前特定時間および測定用動作後特定時間に応じて測定関連動画245cを記憶部45に保存する。
以下、測定用動作前特定時間の決定のパターンA〜Jについて詳細に説明する。
・パターンAについて
パターンAは、第1の実施の形態と同様に測定用動作前一定時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンAが設定されている場合、測定関連動画245cの開始時間から測定用動作の開始時間までの時間が測定関連動画245c毎に変化する構成と比較して、測定関連動画245cの時間の長さの均一性を向上することができるので、アルコール測定に対する不正行為を発見するために測定関連動画245cを確認する作業の効率を向上することができる。
・パターンBについて
パターンBは、前回の測定用動作前特定時間に対して一定時間だけ測定関連動画245c毎に加算または減算するパターンである。
例えば、測定用動作前一定時間が10秒、測定関連動画245c毎に加算する一定時間が1秒である場合、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して1秒ずつ加算し、特定の値、例えば15秒を超えると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返す。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を次のように変更する。
10秒→11秒→12秒→13秒→14秒→15秒 以降、10秒から繰り返す。
以上は加算の例である。しかしながら、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して1秒ずつ減算し、特定の値、例えば5秒を下回ると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返しても良い。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンBが設定されている場合、測定用動作前特定時間を測定関連動画245c毎に変化させるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンAが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることができる。
・パターンCについて
パターンCは、前回の測定用動作前特定時間に対して測定用動作前一定時間の一定比率分の時間だけ測定関連動画245c毎に加算または減算するパターンである。パターンCは、測定関連動画245c毎に加算または減算する時間が測定用動作前一定時間の一定比率分の時間であることを除いて、パターンBと同様である。
例えば、測定用動作前一定時間が20秒、一定比率が10%である場合、測定用動作前一定時間の一定比率分の時間が2秒(=20秒×10%)であるので、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して2秒ずつ加算し、特定の値、例えば30秒を超えると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返す。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を次のように変更する。
20秒→22秒→24秒→26秒→28秒→30秒 以降、20秒から繰り返す。
以上は加算の場合である。しかしながら、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して2秒ずつ減算し、特定の値、例えば10秒を下回ると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返しても良い。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンCが設定されている場合、測定関連動画245c毎に加算または減算する時間が測定用動作前一定時間の一定比率分の時間であるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンBが設定されている場合と比較して、測定用動作前一定時間に対して適度な測定用動作前特定時間を決定することができる。
・パターンDについて
パターンDは、一定範囲内のランダムな時間だけ測定用動作前一定時間に加算または減算した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。
例えば、測定用動作前一定時間が20秒、一定範囲が0〜5秒である場合、時間決定手段246aは、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を20〜25秒(=20秒+(0〜5秒))の間で不規則に変更する。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を例えば次のように変更する。
21秒→25秒→20秒→22秒・・・
以上は加算の場合である。しかしながら、時間決定手段246aは、減算しても良いし、加算および減算をランダムに切り替えても良い。例えば、測定用動作前一定時間が20秒、一定範囲が0〜5秒である場合、時間決定手段246aは、減算するとき、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を15〜20秒(=20秒−(0〜5秒))の間で不規則に変更し、加算および減算をランダムに切り替えるとき、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を15〜25秒(=20秒±(0〜5秒))の間で不規則に変更する。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンDが設定されている場合、測定用動作前特定時間を測定関連動画245c毎にランダムに変化させるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンBやパターンCが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることができる。
・パターンEについて
パターンEは、測定用動作前一定時間の一定比率範囲内のランダムな時間だけ測定用動作前一定時間に加算または減算した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。パターンEは、測定用動作前一定時間に加算または減算する時間が測定用動作前一定時間の一定比率範囲内のランダムな時間であることを除いて、パターンDと同様である。
例えば、測定用動作前一定時間が20秒、一定比率範囲が30%である場合、一定比率範囲の時間が0〜6秒(=20秒×30%)であるので、時間決定手段246aは、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を20〜26秒(=20秒+(0〜6秒))の間で不規則に変更する。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を例えば次のように変更する。
22秒→26秒→20秒→23秒・・・
以上は加算の場合である。しかしながら、時間決定手段246aは、減算しても良いし、加算および減算をランダムに切り替えても良い。例えば、測定用動作前一定時間が20秒、一定比率範囲が30%である場合、時間決定手段246aは、減算するとき、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を14〜20秒(=20秒−(0〜6秒))の間で不規則に変更し、加算および減算をランダムに切り替えるとき、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を14〜26秒(=20秒±(0〜6秒))の間で不規則に変更する。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンEが設定されている場合、測定用動作前一定時間に加算または減算する時間が測定用動作前一定時間の一定比率範囲内の時間であるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンDが設定されている場合と比較して、測定用動作前一定時間に対して適度な測定用動作前特定時間を決定することができる。
・パターンFについて
パターンFは、前回の測定用動作前特定時間に対して一定の係数を測定関連動画245c毎に乗算または除算するパターンである。
例えば、測定用動作前一定時間が20秒、測定関連動画245c毎に乗算する一定の係数が0.9である場合、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して0.9を乗算し、特定の値、例えば10秒を下回ると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返す。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を次のように変更する。
20秒→18秒→16.2秒→14.6秒→13.1秒→11.8秒→10.6秒 以降、20秒から繰り返す。
以上は乗算の例である。しかしながら、時間決定手段246aは、測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間から開始し、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に前回の測定用動作前特定時間に対して0.9を除算し、特定の値、例えば30秒を超えると測定用動作前特定時間を測定用動作前一定時間に戻す、という処理を繰り返しても良い。
また、以上においては、係数として1より小さい数を例に説明している。しかしながら、係数は、1以上の数であっても良い。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンFが設定されている場合、測定用動作前特定時間を測定関連動画245c毎に変化させるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンAが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることができる。また、本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンFが設定されている場合、測定関連動画245c毎に増減する時間が測定用動作前一定時間を基準として計算された時間であるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンBが設定されている場合と比較して、測定用動作前一定時間に対して適度な測定用動作前特定時間を決定することができる。
・パターンGについて
パターンGは、管理者などの者によって設定された複数種類の時間からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。
例えば、管理者などの者によって設定された複数種類の時間が10秒、15秒および20秒である場合、時間決定手段246aは、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を10秒、15秒および20秒の何れかにランダムに変更する。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を例えば次のように変更する。
10秒→20秒→15秒→20秒・・・
以上は、管理者などの者によって設定された時間の種類が3つの場合である。しかしながら、管理者などの者によって設定された時間の種類は、3つ以外の複数でも良い。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンGが設定されている場合、測定用動作前特定時間を測定関連動画245c毎にランダムに変化させるので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンBやパターンCが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を更に困難にすることができる。
・パターンHについて
パターンHは、管理者などの者によって設定された特定の時間範囲内からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。パターンHは、ランダムに選択する対象が時間範囲内の時間であることを除いて、パターンGと同様である。
例えば、管理者などの者によって設定された時間範囲が10〜20秒である場合、時間決定手段246aは、動画保存手段46bによる測定関連動画245cの保存の処理が実行される度に、測定用動作前特定時間を10〜20秒の間でランダムに変更する。すなわち、時間決定手段246aは、測定関連動画245c毎に測定用動作前特定時間を例えば次のように変更する。
10秒→19秒→20秒→13秒→15秒→11秒→18秒・・・
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンHが設定されている場合、管理者などの者によって設定された複数種類の時間からランダムに選択した時間ではなく、管理者などの者によって設定された特定の時間範囲内からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするので、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンGが設定されている場合と比較して、測定用動作前特定時間のランダム性を向上することができ、その結果、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を更に困難にすることができる。
・パターンIについて
パターンIは、管理者などの者によっても参照されることができない固定の複数種類の時間からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。例えば、ランダムに選択する対象の複数種類の時間は、本実施の形態に係るアルコール測定システムのメーカーによって実用的な時間が設定されている。パターンIは、ランダムに選択する対象の複数種類の時間が管理者などの者によっても参照されることができない固定の時間であることを除いて、パターンGと同様である。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンIが設定されている場合、ランダムに選択する対象の複数種類の時間が管理者などの者によっても参照されることができないので、ランダムに選択する対象の複数種類の時間がアルコール測定に対する不正行為を実行したい者に知られる可能性がなく、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンGが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることができる。
・パターンJについて
パターンJは、管理者などの者によっても参照されることができない固定の特定の時間範囲内からランダムに選択した時間を測定用動作前特定時間とするパターンである。例えば、ランダムに選択する対象の時間範囲は、本実施の形態に係るアルコール測定システムのメーカーによって実用的な時間が設定されている。パターンJは、ランダムに選択する対象の時間範囲が管理者などの者によっても参照されることができない固定の時間範囲であることを除いて、パターンHと同様である。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンJが設定されている場合、ランダムに選択する対象の時間範囲が管理者などの者によっても参照されることができないので、ランダムに選択する対象の時間範囲がアルコール測定に対する不正行為を実行したい者に知られる可能性がなく、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンHが設定されている場合と比較して、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることができる。
以上に説明したように、本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンとしてパターンB〜Jが設定されている場合、アルコール測定に対する不正行為を実行したい者に対して、測定関連動画245cの開始時間の把握を困難にすることで、測定関連動画245cのための撮影の実行中であるかもしれないという精神的圧力を与えることができるので、アルコール測定に対する不正行為が実行され難い。したがって、本実施の形態に係るアルコール測定システムは、アルコール測定に対する不正行為の発生を抑えることができる。
以上においては、測定用動作前特定時間について説明しているが、測定用動作後特定時間についても同様である。
なお、本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間の決定のパターンと、測定用動作後特定時間の決定のパターンとを互いに同様なパターンとしても良いし、全く異なるパターンとしても良い。
本実施の形態に係るアルコール測定システムは、測定用動作前特定時間および測定用動作後特定時間に関して、決定のパターンや時間の長さが別々に設定されることが可能であるので、測定関連動画245cのファイルサイズを抑えながら効率良く不正を記録することができる。