以下、ウエハ情報処理装置の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるウエハ情報処理装置の構成を示すブロック図である。
ウエハ情報処理装置1は、第一回転距離情報格納部101、合成部102、合成処理部103、補正情報取得部104、補正情報出力部105、第二距離情報取得部106、算出部107、切り欠き検出部108、欠陥検出部109、出力部110を備える。
図2は、本実施の形態の第一回転距離情報の取得対象となる半導体ウエハ(以下、単にウエハと称す)の一例を説明するための模式図(図2(a))、及びウエハの補正情報を取得する処理を説明するための模式図(図2(b))である。
本実施の形態におけるウエハ10は、例えば円形のウエハである。ただし、エッジ11の一部にオリフラ(オリエンテーションフラット)部17や、ノッチ部(図示せず)等の切り欠き部を有していても良い。ウエハ10のエッジ11とは、例えば、ウエハ10の周縁部である。ウエハ10の材質や組成等は問わない。
第一回転距離情報格納部101には、複数の第一回転距離情報が格納される。第一回転距離情報は、例えば、ウエハ10をウエハ10上の一点を回転中心Oとして回転させた場合の、回転角度とこの回転角度に対応した第一距離情報とを対応づけて有する情報である。ウエハ10の回転中心Oは、必ずしもウエハ10の中心Qとは一致していなくてもよい。
第一距離情報は、ウエハ10の回転中心Oからウエハ10のエッジ11までの距離に関する情報である。第一距離情報は、例えば、ウエハ10の回転中心Oを一端とした予め指定された線分が、ウエハ10のエッジ11と重なる位置までの距離に関する情報である。第一距離情報は、例えば、ウエハ10の回転中心Oからエッジ11までの距離である。第一距離情報は、例えば、図2に示すように、ウエハ10の回転中心Oを一端とした予め指定された線分14上に、この線分に沿って配置されたラインセンサ等のセンサ15を用いて取得されたエッジ11の位置に関する測定値や、その測定値を用いて取得された値である。以下、本実施の形態においては、第一距離情報が、センサ15により取得されたウエハ10のエッジ11の位置を示す情報から取得されたウエハ10の回転中心Oからエッジ11までの距離rである場合を例に挙げて説明する。
なお、第一距離情報は、センサ15の基準となる位置(例えば、0点)等から、エッジ11までの位置を示す情報としても良い。また、センサ15の、エッジ11を検出した部分、例えば、エッジ11を検出した素子やその配列位置等を示す情報であってもよい。
第一距離情報は、例えば、ラインセンサ等のセンサ15と、載置されたウエハ10を回転させるターンテーブル(図示せず)等を備えたエッジ位置検出器等を用いて測定された測定値を用いて取得される。エッジ位置検出器の一例については、後述する。
回転角度とは、例えば、回転前や、第一距離情報の取得を開始した状態等の予め指定された状態の値を0度とした場合の、ウエハ10を回転させた角度の値である。第一回転距離情報格納部101に格納されている複数の第一回転距離情報は、例えば、ウエハ10を予め指定された角度ずつ順次回転させた場合に得られる第一距離情報と、その回転角度とを有する情報である。複数の第一回転距離情報は、例えば、予め指定された角度間隔で連続している回転角度を有している。予め指定された角度とは、一定の角度であり、例えば、ウエハ10を回転させて第一距離情報を取得する際の、回転角度の最小単位である。予め指定された角度は、例えば、360度を4の倍数で分割した値であることが好ましい。予め指定された角度は、例えば、360度を、1000や、10000等で分割した値、例えば、0.36度や、0.036度等である。なお、回転角度の単位等は問わない。
第一回転距離情報格納部101には、例えば、1または2以上のウエハ10の複数の第一回転距離情報が格納される。例えば、各ウエハ10に対応する複数の第一回転距離情報は、このウエハ10の識別子であるウエハ識別子と対応づけて格納される。
第一回転距離情報格納部101には、例えば、1回転分の複数の回転角度、具体的には0から360度までの範囲の複数の回転角度に対応した複数の第一回転距離情報が格納される。ただし、1回転に満たない複数の回転角度に対応した複数の第一回転距離情報が格納されていてもよい。また、1回転よりも多い回転数分の複数の回転角度、例えば、1.5回転分や、2回転分の複数の回転角度に対応した複数の第1回転距離情報が格納されていてもよい。
なお、ここでの格納は一時記憶も含む概念である。例えば、エッジ位置検出部(図示せず)等がウエハについて取得した複数の第一回転距離情報が一時記憶されることも、ここでは、格納と考えてよい。
第一回転距離情報格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。かかることは、以下の図示しない格納部等においても同様である。
合成部102は、複数の第一回転距離情報に含まれる第一距離情報のうちの、対応する回転角度が90度ずつ異なる複数の第一距離情報を合成する。ここでの複数の第一回転距離情報は、第一回転距離情報格納部101に格納されている一のウエハ10についての複数の第一回転距離情報である。
回転角度が90度ずつ異なる複数の第一距離情報を合成するということは、例えば、対応する回転角度の差が90度の整数倍である複数の第一距離情報の組をそれぞれ合成することと考えてもよい。90度の整数倍とは、例えば90度、180度、270度等である。
合成部102は、例えば、複数の第一回転距離情報に含まれる第一距離情報のうちの、対応する回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報をそれぞれ合成して複数の合成距離情報を取得するこのことは、例えば、対応する回転角度の差が90度のn(nは1から3までの整数)倍である複数の第一距離情報の組をそれぞれ合成することと考えてもよい。
複数の第一距離情報を合成した第一距離情報を、ここでは、合成距離情報と称す。合成部102は、通常、複数の合成距離情報を取得する。ここでの合成とは、例えば、一の組の複数の第一距離情報をあわせて一つにすることである。ここでの合成は、例えば、複数の第一距離情報の平均値を取得することであっても良いし、複数の第一距離情報を加算することであってもよい。また、複数の第一距離情報の差の平均を算出することであってもよい。例えば、合成部102は、複数の第一回転距離情報に含まれる第一距離情報のうちの、対応する回転角度がθ0、θ0+90度、θ0+180度、及びθ0+270度である複数の第一距離情報の組を合成して、合成距離情報を取得する。
合成部102は、どのようにして、対応する回転角度が90度ずつ異なる複数の第一距離情報同士をそれぞれ合成するようにしてもよい。例えば、合成部102は、対応する回転角度の値が連続している複数の第一回転距離情報を、回転角度の値の範囲が90度となるよう複数の組に分割していき、分割した各組の、配列順が同じである第一回転距離情報が有する第一距離情報同士を合成することにより、上記のような合成を行っても良い。
回転角度の値が連続しているということは、例えば、第一距離情報を取得する毎にウエハ10を回転させる際の回転角度の単位毎に、回転角度の値が連続していることを意味する。回転角度の値が連続していることを、以下、回転角度が連続していると称す場合がある。
ここでの配列順とは、例えば、分割した各組の第一回転距離情報を、第一回転距離情報のそれぞれが有する回転角度の昇順または降順に沿って配列した場合の配列順である。
例えば、ウエハを1回転させること等により取得された、0度以上360度未満の回転角度を有する複数の第一回転距離情報が第一回転距離情報格納部101に格納されているものとすると、合成部102は、まず、対応する回転角度の範囲が、0度以上90未満、90度以上180度未満、180度以上、270度未満、270度以上360度未満となるように、第一回転距離情報を4分割する。そして、合成部102は、分割した各範囲の第一回転距離情報が有する第一距離情報の値を、回転角度の配列順ごと、例えば、回転角度の昇順や降順で、合成して、連続した複数の合成距離情報を取得する。これにより、対応する回転角度が90度ずつことなる4つの第一距離情報同士をそれぞれ合成することができる。なお、分割する際の回転角度の範囲は、0度から始まる必要はなく、例えば、15度等から90度毎に、回転角度の範囲を設定しても良い。
また、回転角度の範囲が90度の範囲内である連続した複数の第一回転距離情報から、1つずつ第一回転距離情報を順次取得し、取得した第一回転距離情報ごとに、その回転角度に対して、90度、180度、及び270度をそれぞれ加算した回転角度を有する第一回転距離情報を検出し、取得した第一回転距離情報と検出した第一回転距離情報とがそれぞれ有する第一距離情報を合成していくようにしてもよい。これにより、上記のような対応する回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報同士を順次合成することができる。
このように回転角度が90度ずつ異なる複数、好ましくは4つの第一距離情報の組を順次合成することにより、例えば、ウエハ10の回転中心Oが、ウエハ10の中心Qからずれていることにより発生する第一距離情報の増減を打ち消すことができる。
なお、合成して得られた各合成距離情報には、例えば、合成前の複数の第一距離情報に対応する複数の回転角度の組を対応づけて格納する。または、その回転角度の組のうちの一部、例えば、対応する複数の回転角度の最も値の小さい回転角度を対応づけて格納するようにしてもよい。
合成部102は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。合成部102の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
合成処理部103は、合成部102が第一距離情報を合成して取得した情報である複数の合成距離情報において、対応する回転角度が連続している複数の合成距離情報であって、値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報を検出する。そして、合成処理部103は、検出した複数の合成距離情報のうちの1以上に対応する合成前の複数の第一距離情報と、合成前の複数の第一距離情報のうちの1以上の第一距離情報に対応する回転角度とを取得する。
合成距離情報の値の大きさとは、例えば、合成距離情報の絶対値である。値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報とは、例えば、値の大きさの変化量の最大値等が他の連続している複数の合成距離情報よりも小さい連続した複数の合成距離情報である。連続した複数の合成距離情報とは、予め指定された二以上の数以上連続している合成距離情報である。ここでの連続とは、合成距離情報に対応する一以上の回転角度の一以上が連続していることを意味する。上述したように、合成距離情報においては、ウエハ10の回転中心Oが、ウエハ10の中心Qからずれていることにより発生する第一距離情報の増減は打ち消されているため、大きさの変化が大きい部分の合成距離情報は、例えば、ウエハ10のエッジ11の凹凸のある部分である。エッジ11の凹凸とは、オリフラ部17やノッチ部等の切り欠き部や、ウエハ10のバリやチッピング、ゴミ等である。チッピングとは、例えば、ウエハのエッジの割れや欠け等の欠損部である。大きさの変化が小さい部分の合成距離情報は、例えば、凹凸のない、もしくは小さい部分であり、この部分における大きさの変化は、例えば、測定時の誤差等によるものである。
合成処理部103は、値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報として、例えば、値の大きさの変化量が大きい合成距離情報を除外して残った合成距離情報のうちの、対応する回転角度が連続した複数の合成距離情報を取得する。
合成処理部103は、例えば、合成部102が合成した複数の合成距離情報において、値の大きいものから順に一以上の合成距離情報を検出する第一処理と、値の小さいものから順に一以上の合成距離情報を検出する第二処理と、の少なくとも一方を1回以上実行する。なお、第一処理及び第二処理で検出されずに残った合成距離情報が、合成処理部103が検出した値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報に相当する。なお、ここでの合成処理情報の検出は、除外対象の合成処理情報の検出と考えてもよい。
第一の処理は、例えば、合成部102が合成した複数の合成距離情報について、最大値の合成距離情報を検出する処理である。具体的には、未検出の合成距離情報の中から、最大値の合成距離情報を検出する処理である。また、第二の処理は、例えば、合成部102が合成した複数の合成距離情報について、最小値の合成距離情報を検出する処理である。具体的には、未検出の合成距離情報の中から、最小値の合成距離情報を検出する処理である。
合成処理部103は、第一の処理と第二の処理とをそれぞれ複数回実行することが好ましい。複数回の第一の処理と複数回の第二の処理とを、どのような順番で複数回実行するようにしても良い。例えば、第一の処理と第二の処理とを交互に一回ずつ実行しても良い。また、複数回の第一の処理が終了した後に、複数回の第二の処理を実行するようにしてもよい。また、第一の処理と第二の処理とのいずれを最初に実行してもよい。
なお、第一の処理を繰り返す場合、直前までの処理で既に検出されている合成距離情報は、検出対象から除外する。例えば、検出した合成距離情報に対しては、検出済みであることを示すフラグ等の情報を対応づけるようにし、このフラグ等の情報が対応づけられている合成距離情報は、その後の検出処理では検出しないようにする。かかることは、第二の処理を繰り返す場合においても同様である。
また、合成処理部103は、第一処理や第二処理等において検出した合成距離情報を順次削除したり、検出したものに対して、削除されたことを示すフラグ等の情報を付与したりしても良い。この場合、例えば、合成処理部103は、第一の処理において、削除されていない合成距離情報から、最大値の合成距離情報を検出するようにしてもよい。また、例えば、合成処理部103は、第二の処理において、削除されていない合成距離情報から、最小値の合成距離情報を検出するようにしてもよい。
また、第一の処理を繰り返し実行する場合においては、合成処理部103は、例えば、予め指定された条件を満たすまで、第一の処理を繰り返し実行する。予め指定された条件とは、例えば、予め指定された数である。例えば、予め指定された条件を満たすまで合成距離情報を検出するということは、予め指定された数に達するまで合成距離情報を検出することである。また、予め指定された条件は、検出されずに残った合成距離情報の最大値と最小値との差が、予め指定された閾値以下となること等であってもよい。かかることは、第二の処理においても同様である。
第一の処理の繰り返し、及び第二の処理の繰り返しについての上述した予め指定された条件が回数である場合、第一の処理の条件である回数と、第二の処理の条件である回数とは、異なる回数としても良い。例えば、合成距離情報が、ウエハの回転中心からエッジまでの距離を示す第一距離情報を合成したものである場合、通常、オリフラ部やノッチ部等の切り欠き部で取得された第一距離情報を含む複数の第一距離情報を合成した合成距離情報は、他の部分で取得された合成距離情報よりも値が小さく、なおかつ、このような切り欠き部が存在する回転角度の範囲は広いことから、このような切り欠き部に対応した合成距離情報を変化の大きい箇所として検出するためには、合成距離情報の値の小さいものを検出する数は、値の大きいものを検出する数よりも多い数となるよう設定することが好ましい。このため、このような状況においては、第二の処理についての予め指定された条件である繰り返しの回数の値を、第一の処理についての予め指定された条件である繰り返しの回数の値よりも小さい値に設定することが好ましい。
合成処理部103は、例えば、第一処理及び第二処理で検出されずに残った合成距離情報のうちの、予め指定された数以上連続している複数の合成距離情報のうちの一以上に対応する合成前の複数の第一距離情報と、この複数の第一距離情報のうちの1以上に対応する回転角度とを取得する。予め指定された数は、2以上の数である。
あるいは、合成処理部103は、例えば、第一処理及び第二処理で検出されずに残った合成距離情報のうちの、連続している数が最も多い複数の合成距離情報のうちの一以上に対応する合成前の複数の第一距離情報と、この複数の第一距離情報のうちの1以上に対応する回転角度とを取得する。
合成処理部103は、例えば、対応する回転角度が連続している複数の合成距離情報であって、値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報を検出し、検出した複数の合成距離情報のうちの一つに対応する合成前の4つの第一距離情報と、合成前の複数の第一距離情報のうちの一の第一距離情報に対応する回転角度とを取得する。合成前の4つの第一距離情報は、対応する回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報である。この4つの第一合成距離は、回転中心を通る直交する2つの直線がウエハ10のエッジと交わる4点と、ウエハの回転中心との距離を示している。
合成前の複数の第一距離情報のうちの一以上の第一距離情報に対応する回転角度として、一または二以上のどの第一距離情報に対応する回転角度を取得するかは、例えば、後述する補正情報取得部104が補正情報を取得する際に、どのような回転角度を用いるかに応じて決定される。例えば、一の合成距離情報が、回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報を合成したものである場合、合成処理部103は、値の大きさの変化が小さい複数の合成距離情報を検出し、検出した複数の合成距離情報のうちの一つに対応する合成前の4つの第一距離情報に対応する回転角度であって、実質的に値の最も小さい回転角度を取得する。あるいは、検出した複数の合成距離情報のうちの一つに対応する合成前の4つの第一距離情報に対応する回転角度であって、0から90度までの範囲内の一の回転角度を取得するようにしても良い。なお、例えば、360度+D度(Dは正の値)の回転角度は、実質的にD度と考えてもよい。また、−D度は、実質的に360度−D度と考えてもよい。
なお、合成処理部103は、上述したようなオリフラ部17に対応した合成距離情報を検出するために、合成距離情報の平均値よりも小さい複数の合成距離情報をまとめて検出するようにしても良い。
また、上記においては、合成処理部103は、例えば、値の大きい合成距離情報や値の小さい合成距離情報を検出してこれらを除外することで、値の大きさの変化が小さい連続した複数の合成距離情報を検出するようにしたが、本発明においては、合成処理部103が、どのように値の大きさの変化が小さい連続した複数の合成距離情報を検出するようにしてもよい。
例えば、合成処理部103は、連続した合成距離情報に対して微分や、2階微分等を行うことで得られた値を用いて、値の大きさの変化が大きい連続した合成距離情報を検出してこれらを除外することで、値の大きさの変化が小さい連続した複数の合成距離情報を検出するようにしてもよい。例えば、合成処理部103は、連続した合成距離情報に対して2階微分等を行うことで得られた値において、予め指定された閾値以上の値を検出し、閾値以上の値が検出された回転角度から、次に閾値以上の値が検出された回転角度までの間の合成距離情報を、値の大きさの変化が大きい合成距離情報として検出して、検出された合成距離情報を除いた合成距離情報のうちの連続している合成距離情報を、値の大きさの変化が小さい連続した複数の合成距離情報として検出するようにしてもよい。
合成処理部103は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。合成処理部103の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
補正情報取得部104は、合成処理部103が取得した複数の第一距離情報と回転角度とを用いて、ウエハ10の回転中心を、ウエハ10の中心に合わせるための補正情報を取得する。補正情報は、ウエハ10の回転中心を、ウエハ10の中心に移動させるため情報と考えてもよい。補正情報は、例えば、回転中心の移動方向を示す情報、例えば、予め指定された方向に対する角度と、移動距離との組み合わせである。また、補正情報は、ウエハ10の中心の移動方向と移動距離とを示すベクトル等であっても良い。また、補正情報は、ウエハ10の中心と、ウエハ10の回転中心とを直交座標系に配置した場合の、ウエハ10の回転中心をウエハ10の中心上に移動させるための、各座標軸に沿った移動量を示す情報であっても良い。
補正情報取得部104は、例えば、合成処理部103が取得した対応する回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報と、その一つに対応する回転角度とを用いて、ウエハ10の回転中心を、ウエハ10の中心に移動させるための補正情報を取得する。
以下、補正情報の取得処理の一例について、図2(b)を用いて説明する。なお、図2(b)において、第一距離情報ra、rb、rc、rdは、合成処理部103が一の合成距離情報について取得した、対応する回転角度が90度ずつ異なる4つの第一距離情報であり、それぞれに対応する回転角度は、θ、θ+90、θ+180、θ+270であるとする。ただし、θは任意の値であるとする。ここでは、例えば、θは、0から90度までの範囲の角度であるとする。点Pa、Pb、Pc、及びPdは、第一距離情報ra、rb、rc、及びrdに対応したウエハ10のエッジ11上の点であり、回転中心Oと点Pa,Pb、Pc、及びPdをそれぞれ結んだ線分の距離が、第一距離情報ra、rb、rc、及びrdである。点Paと点Pcとを結ぶ線分と、点Pbと点Pdとを結ぶ線分とは回転中心Oにおいて直交している。ここでは、説明の便宜上、ウエハ10の回転中心Oをxy座標の原点に配置している。ここでは、ウエハ10の回転方向が時計回りであるとする。第一距離情報raに対応する線分とx軸とがなす角度が回転角度θであり、反時計回り方向が正の値であるとする。ウエハの回転中心Oとウエハの中心Qとを結ぶ線分がx軸となす角度αが、補正情報のうちの移動方向を示す情報であり、反時計回り方向が、ここでは正の値であるとする。また、ウエハの回転中心Oとウエハの中心Qとを結ぶ線分の長さhが、補正情報のうちの移動量(移動距離)を示す情報である。第一距離情報を取得するためのセンサ(図示せず)は、例えば、y軸上に、y軸に沿って配置される。
図2(b)において、ウエハ中心Qに対して点Paと点Pcとを結ぶ線分、及び点Pbと点Pdとを結ぶ線分に対称な線分を引くと、補正情報である移動方向を示す情報αと、移動量を示す長さhは、以下の式から求まる。
なお、上記の式において、ra−rc、及び、rb−rdは、距離の差であるため、上記の式は、第一距離情報がセンサ等の読み取り値や、センサの基準点等からの距離である場合にも成立することがわかる。
なお、上記において示した補正情報の取得処理は一例であり、本発明は、どのように合成処理部103が取得した第一距離情報と、回転角度との組から、どのようにして補正情報を取得するかは問わない。
また、上記においては、補正情報取得部104が、合成処理部103が取得した一の合成距離情報について取得した4つの第一距離情報と一の回転角度とを用いて補正情報を取得するようにしたが、合成処理部103が複数の合成距離情報についてそれぞれ取得した複数の第一距離情報と回転角度との組について、それぞれ上記と同様に補正情報を取得し、各組について取得した補正情報の平均値を、最終的な補正情報として取得するようにしてもよい。
補正情報取得部104は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。補正情報取得部104の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
補正情報出力部105は、補正情報取得部104が取得した補正情報を出力する。補正情報を出力することで、例えば、この補正情報を受け付けた他の装置(図示せず)が、ウエハ10を利用する際にウエハ10の回転中心がウエハ10の中心となるようにウエハ10の位置を適宜補正することが可能となる。例えば、補正情報を、ウエハ10を搬送する搬送装置(図示せず)等に出力することで、搬送装置が、ウエハ10の回転中心をウエハの中心に補正してウエハ10を搬送するようにしても良い。また、ウエハ10の位置を修正する装置等に、補正情報を出力することで、この位置を修正する装置が、回転テーブル上のウエハ10の位置を、回転中心がウエハの中心となるように移動させるようにしても良い。
補正情報出力部105は、例えば、補正情報を、第二距離情報取得部106に出力する。
ここでの出力とは、ディスプレイへの表示、外部の装置への送信、内部の処理部への引き渡し、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。補正情報出力部105は、例えば、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る
第二距離情報取得部106は、補正情報出力部105が出力する補正情報を用いて、ウエハ10がエッジ11に凹凸を有さない円形である場合の、回転角度と、回転角度に応じた第二距離情報との関係を示す関係式を取得する。第二距離情報は、エッジ11に凹凸を有さないウエハ10の回転中心からエッジ11までの距離に関する情報である。そして、取得した関係式に、第一回転距離情報格納部101に格納されている複数の第一回転距離情報に対応する複数の回転角度をそれぞれ代入して第二距離情報を取得する。
第二距離情報は、例えば、第一距離情報と同様の情報である。第二距離情報は、例えば、エッジ11に凹凸を有さない円形であるウエハを、ウエハ10の代わりにおいた場合に取得される第一距離情報に相当する距離の情報である。
エッジ11に凹凸を有さない円形のウエハとは、例えば、オリフラ部やノッチ部や、バリや、チッピングやゴミをエッジに有さない円形のウエハであり、理想的な形状のウエハと考えてもよい。
関係式は、例えば、エッジ11に凹凸を有さない円形であるウエハ10を回転させた場合の、回転角度と、回転角度に応じた第二距離情報との関係を示す式である。ここでの関係式は、ウエハの回転角度と回転角度に応じた回転中心からエッジまでの距離との関係を示す理想曲線を表す式と考えてもよい。また、第二距離情報も理想的なウエハの回転中心からエッジまでの距離と考えてもよい。なお、関係式は、エッジ11に凹凸を有さない円形であるウエハ10を回転させた場合の、回転角度と、回転角度に応じた第二距離情報との関係を近似した近似式であっても良い。
ここでの関係式の取得とは、図示しない記憶媒体等に予め格納されている関係式を読み出すことや、読み出した関係式の係数の値等を決定したり、係数の値を代入したりすることも含む概念である。
第二距離情報取得部106は、例えば、補正情報である移動方向を示す角度及び移動量を示す長さに加えて、更に、ウエハ10の半径を用いて関係式を取得してもよい。ウエハ10の半径は、予め図示しない格納部等に格納しておくようにして、適宜読み出すようにすればよい。
以下、関係式の一例について説明する。
図3は、第二距離情報を取得する際に利用する関係式を説明するための模式図である。図において、図2(b)と同一符号は、同一または相当する部分を示している。ただし、図3においては、図2(b)とは異なり、ウエハ10は、エッジに凹凸のない半径aのウエハであるとする。また、図3においては、説明の便宜上、ウエハ10の回転中心がウエハ上以外の場所に位置している例を示している。ただし、ウエハ上に回転中心が位置していても良い。
図3に示すような、回転中心Oが中心Qからずれている円形のウエハ10のエッジを極座標で表すと、次式のようになる。
この式を、riについて展開すると、次式のようになる。
この式(3)が、エッジ11に凹凸を有さない円形であるウエハ10を回転させた場合の、回転角度と、回転角度に応じた第二距離情報との関係を示す式である。例えば、図示しない格納部に式(3)を予め格納しておくようにし、第二距離情報取得部106が、この式を読み出して、この式(3)に、上記の式(1)及び式(2)を用いて取得された補正情報出力部105が出力する補正情報、具体的には移動方向を示す情報である角度αの値と、移動量を示す情報である長さhの値と、ウエハ10の半径aとを代入することで、ウエハ10がエッジ11に凹凸を有さない円形である場合の、回転角度θと、回転角度に応じた第二距離情報riとの関係を示す関係式を取得する。以下、このαと長さhの値とを代入した関係式を、理想曲線式と称す。
なお、ここで示した理想曲線式を取得することが最も好ましいが、関係式としては、他の近似式、例えば、正弦曲線等を用いて作成した近似式等を取得するようにしても良い。
なお、上記においては、補正情報取得部104が、式(1)、及び式(2)から、合成処理部103が取得した複数の第一距離情報と回転角度との1以上の組を用いて補正情報を取得するようにした。しかしながら、本発明においては、補正情報取得部104が、上記の式(3)に、合成処理部103が一以上の合成距離情報について取得した複数の第一距離情報と、この複数の第一距離情報のそれぞれに対応する回転角度との複数の組をそれぞれ代入して連立方程式を作成し、この連立方程式を解くことにより、補正情報を取得するようにしても良い。また、この連立方程式に対して、適宜、ウエハ10の半径を適宜代入するようにしても良い。かかることは、他の近似式を用いた場合においても同様である。
第二距離情報取得部106は、取得した関係式、例えば理想曲線式に、第一回転距離情報格納部101に格納されている複数の第一回転距離情報に対応する複数の回転角度をそれぞれ代入して第二距離情報を取得する。なお、複数の第一回転距離情報に対応する複数の回転角度は、必ずしも、第一回転距離情報格納部101から読み出したものである必要はなく、複数の第一回転距離情報が有する複数の回転角度と実質的に同じ複数の回転角度であればよい。例えば、実質的に同じ複数の回転角度を取得して用いても良い。例えばウエハ10から一の第一距離情報を取得するごとにウエハ10を回転させる角度の値等を用いて、例えば、この角度の値を順次加算すること等により、複数の第一回転距離情報が有する複数の回転角度と実質的に同じ複数の回転角度を取得しても良い。
第二距離情報取得部106は、関係式に複数の回転角度を順次代入して取得した第二距離情報、例えば、第二距離情報riを、回転角度と対応づけて、図示しない格納部等に蓄積する。ここでの蓄積は一時記憶であってもよい。第二距離情報取得部106が取得して蓄積した第二距離情報と回転角度との組のそれぞれを、ここでは、第二回転距離情報と呼ぶ。なお、第二距離情報取得部106が、第二回転距離情報を取得すると考えてもよい。
第二距離情報取得部106は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。第二距離情報取得部106の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
算出部107は、第一回転距離情報格納部101に格納されている複数の第一回転距離情報と、第二距離情報取得部106が取得した複数の第二距離情報とを用いて、同じ回転角度と対応づけられた第一距離情報と第二距離情報との差を取得する。例えば、算出部107は、同じ回転角度と対応づけられた第一距離情報と、第二距離情報とをそれぞれ、第一回転距離情報及び第二距離情報取得部106が図示しない格納部に蓄積した第二回転距離情報から順次呼出し、その差を取得する。ここでの差は、第一距離情報の値から第二距離情報の値を減算した値であっても良いし、その逆の値であっても良い。また、単にエッジの欠陥のある箇所を検出するだけであれば、ここでの差は、差の大きさ、例えば、差の絶対値であっても良い。なお、第一距離情報と第二距離情報との差を、ここでは、距離差情報と呼ぶ。
算出部107は、例えば、取得した距離差情報と、回転角度とを対応づけて、図示しない格納部等に蓄積する。ここでの蓄積は一時記憶であってもよい。
算出部107は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。算出部107の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
切り欠き検出部108は、算出部107が算出した第一距離情報と第二距離情報との差、即ち距離差情報において、値の大きさが予め指定された第一の閾値よりも大きい部分を検出する。そして、検出した部分に対応する回転角度を示す情報を、ウエハの切り欠き部を示す情報として取得する。
切り欠き部とは、上述したようにウエハ10のエッジ11に設けられたウエハの向きを特定するためのオリフラ部やノッチ部である。切り欠き部の、ウエハ10が凹凸のない円形であるとした場合のエッジからの距離は、通常、ウエハ10のエッジに存在しうるチッピング等の距離よりも深い。また、切り欠き部の深さ(距離)は、既知の値である。このため、第一の閾値を、チッピング等の深さ(距離)よりも大きく、かつ、既知の切り欠き部の深さ(距離)よりも小さい値に設定することで、切り欠き部に対応する一以上の距離差情報を検出することができる。
第一の閾値は、例えば、値の大きさの閾値である。値の大きさが第一の閾値よりも大きい距離差情報を検出するということは、例えば、距離差情報の絶対値と、値の大きさを示す閾値(あるいは値の閾値の絶対値)とを比較して、絶対値の値が大きい距離差情報を検出することである。かかることは、後述する第二の閾値についても同様である。
また、値の大きさが第一の閾値よりも大きい距離差情報を検出するということは、例えば、絶対値が第一の閾値と同じ値となる負の値を閾値として、この閾値よりも小さい値である距離差情報(即ち、負の値であって、絶対値が、第一の閾値の絶対値よりも大きい距離差情報)を検出することであっても良い。かかることは、後述する第二の閾値についても同様である。
また、値の大きさが第一の閾値よりも値の大きさが大きい距離差情報を検出するということは、例えば、絶対値が第一の閾値と同じ値となる正の値を閾値として、この閾値よりも小さい値である距離差情報(即ち、正の値であって、絶対値が、第一の閾値の絶対値よりも大きい距離差情報)を検出することであっても良い。かかることは、後述する第二の閾値についても同様である。
なお、切り欠き部に対応する距離差情報の値が、正の値になるか負の値になるか否かは、第一距離情報から、第二距離情報を減算して距離差情報を取得するか、第二距離情報から、第一距離情報を減算して距離差情報を取得するかによって異なる。
切り欠き検出部108は、第一の閾値よりも値の大きさが大きい複数の距離差情報であって、対応する回転角度が連続している複数の距離差情報を検出した場合、この複数の回転角度をグループ化してもよい。そして、切り欠き検出部108は、このグループを示す情報を更に有する切り欠き部を示す情報を取得するようにしてもよい。グループを示す情報は、例えば、対応する回転角度の範囲を示す情報や、対応する回転角度の集合や、対応する回転角度に付与されたグループ識別子等である。かかることは、後述する、欠陥部分のグループを示す情報についても同様である。なお、この場合の回転角度の一のグループは、例えば、一の切り欠き部上の複数の位置に対応する複数の回転角度や、切り欠き部の範囲を示す情報と考えてもよい。
なお、切り欠き検出部108は、第一の閾値よりも値の大きさが大きい複数の距離差情報であって、対応する回転角度が予め指定された二以上の数以上連続している複数の距離差情報を検出するようにしてもよい。通常、切り欠き部は、ウエハのエッジ上に広い範囲に設定されるため、このようにして検出することで、より確実に切り欠き部を検出することができる。
切り欠き検出部108は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。切り欠き検出部108の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
欠陥検出部109は、算出部107が算出した第一距離情報と第二距離情報との差、即ち距離差情報において、値の大きさが予め指定された第二の閾値よりも大きい部分を検出する。そして、検出した部分に関する情報を、ウエハ10のエッジ11の欠陥部分に関する情報として取得する。
欠陥部分とは、例えば、ウエハ10のエッジ11のバリや、チッピング、ゴミ等である。
検出した部分に関する情報、即ち、検出した距離差情報に関する情報とは、例えば、検出した距離差情報に対応する回転角度を示す情報や、検出した距離差情報と、対応する回転角度を示す情報との組である。欠陥部分に関する情報とは、欠陥部分が存在する位置、具体的には回転角度を示す情報や、欠陥部分の深さや高さを示す情報である。例えば、検出された距離差情報は、欠陥部分の深さや高さを示す情報と考えることができる。
第二の閾値は、ウエハ10のエッジ11における欠陥が存在しない部分と、ウエハ10のエッジ11の欠陥部分とを判別するための閾値である。例えば、ウエハ10のエッジ11の欠陥が存在しない部分においては第一距離情報と第二距離情報との値の差は、第一距離情報を取得する際の測定誤差程度の差となる。一方で、欠陥が存在する部分においては、この差は、測定誤差よりも十分に大きい差となる。このため、第二の閾値を、例えば、測定誤差よりも大きい値に設定することで、ウエハ10のエッジ11の欠陥部分を検出することができる。
なお、欠陥部分が、バリのようにウエハ10の外側に凸であるものであるか、チッピングのようにウエハ10の内側に向かってへこんでいる部分であるかは、例えば、第一距離情報の基準点等と、距離差情報の符号により判断可能であるため、欠陥検出部109は、距離差情報の符号により、欠陥部分が、外側に凸の形状であるか否かを判断するようにしてもよい。そして、欠陥検出部109は、この検出結果を更に有する欠陥部分に関する情報を取得するようにしても良い。
また、欠陥検出部109は、値の大きさが第二の閾値よりも大きい複数の距離差情報であって、対応する回転角度が連続している複数の距離差情報を検出した場合、この複数の距離差情報、あるいは複数の回転角度をグループ化してもよい。そして、欠陥検出部109は、このグループを示す情報を更に有する欠陥部分に関する情報を取得しても良い。この場合の距離差情報の一のグループは、例えば、一の欠陥部分上の複数の位置についての距離差情報と考えてもよい。また、この場合の回転角度の一のグループは、例えば、一の欠陥部分上の複数の位置を示す複数の回転角度や、欠陥部分の範囲を示す情報と考えてもよい。
なお、上記のような処理の場合、ウエハ10のオリフラ部等の切り欠き部も、欠陥部分として検出されることとなる。切り欠き部が欠陥部分として検出されても問題がない場合においては、上記の処理でよいが、切り欠き部を欠陥部分として検出しないようにする場合、切り欠き部を、欠陥部分として検出しない、あるいは、欠陥部分から除外する必要がある。
このため、例えば、欠陥検出部109は、第二の閾値を用いて検出した距離差情報において、対応する回転角度が、二以上の所定数以上連続している複数の距離差情報を検出する。この所定数は、例えば、ウエハ10に設けられた切り欠き部の長さ、即ち回転角度に応じた数に設定する。そして、このように検出した複数の距離差情報を欠陥部分から除外することで、切り欠き部を除いて精度良く欠陥部分を検出することができる。
または、切り欠き検出部108が取得した切り欠き部を示す回転角度を除外した回転角度に対応する距離差情報のみについて、上記と同様の第二の閾値を用いた欠陥部分の検出処理を行うようにしても良い。
あるいは、欠陥検出部109は、算出部107が算出した第一距離情報と第二距離情報との差、即ち距離差情報において、値の大きさが予め指定された第一の閾値よりも小さく、かつ、この第一の閾値よりも値の大きさが小さい第二の閾値よりも大きい部分を検出するようにしてもよい。そして、検出した部分に関する情報を、ウエハ10のエッジ11の欠陥部分に関する情報として取得する。なお、欠陥検出部109は、値の大きさが第一の閾値と同じである距離差情報も検出するようにしても良い。第一の閾値は、例えば、上述したようなウエハ10の切り欠き部を検出するための閾値である。第二の閾値は、上記と同様である。このようにすることで、第一の閾値よりも大きい距離差情報を検出しないようにして、切り欠き部を含まないように精度良く欠陥部分を検出することができる。
欠陥検出部109は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。欠陥検出部109の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
出力部110は、算出部107が算出した第一距離情報と第二距離情報との差に関する情報、即ち距離差情報に関する情報を出力する。差に関する情報は、例えば、1または2以上の距離差情報自身を有する情報であっても良いし、1または2以上の距離差情報に対応する回転角度であっても良い。出力部110は、例えば、算出部107が算出した距離差情報と、距離差情報に対応する回転角度とを出力する。例えば、出力部110は、距離差情報と、回転角度とを対応づけて有する情報を図示しない格納部に蓄積しても良いし、距離差情報と回転角度との関係を示すグラフを出力、例えば表示しても良い。
また、差に関する情報とは、差を用いて取得される情報も含む概念である。例えば、出力部110は、切り欠き検出部108が距離差情報を用いて取得した切り欠き部を示す情報を、算出部107が算出した差に関する情報として出力するようにしてもよい。例えば、切り欠き部を示す情報は、切り欠き部の位置(回転角度)を示す情報であるため、このような切り欠き情報を出力することで、ウエハ10のどの部分に切り欠き部が存在するかをユーザや他の装置等が認識することが可能となる。出力部110は、切り欠き部を示す情報の出力として、例えば、距離差情報と回転角度との関係を示すグラフ上において、切り欠き部を示す回転角度に対応する部分を、他と異なる態様、例えば、グラフの切り欠き部を示す回転角度に対応する所定の幅の範囲の背景を、他と異なる色やパターンで表示しても良い。
また、出力部110は、欠陥検出部109が取得した欠陥部分に関する情報を、算出部107が算出した差に関する情報として出力するようにしてもよい。欠陥部分を示す情報は、欠陥部分の位置(回転角度)と、その位置における距離差情報とを有する情報であるため、この情報を出力することで、ウエハ10のどの部分にどのような大きさの欠陥部分があるかをユーザや他の装置等が認識することができる。欠陥部分を示す情報が、さらに、欠陥部分がウエハ10の外側に向かって凸であるか否かを示す情報を有している場合、欠陥部分が、バリであるかチッピングであるかを認識することも可能となる。出力部110は、欠陥部分を示す情報の出力として、例えば、距離差情報と回転角度との関係を示すグラフ上において、欠陥部分を示す回転角度に対応する部分を、他と異なる態様、例えば、グラフの欠陥部分を示す回転角度に対応する所定の幅の範囲の背景を、他と異なる色やパターンで表示しても良い。
ここでの出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印刷、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
出力部110は、ディスプレイ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。出力部110は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、ウエハ情報処理装置1の動作の一例について図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)合成部102は、一のウエハ10に対応する複数の第一回転距離情報に含まれる複数の第一距離情報のうちの、対応する回転角度の差が90度ずつ異なる4つの第一距離情報をそれぞれ合成して、複数の合成距離情報を取得する。例えば、合成部102は、回転角度の値が連続している複数の第一回転距離情報を、回転角度の値の範囲が90度となるよう複数の組に分割していき、分割した各組の、配列順が同じである第一回転距離情報が有する第一距離情報同士を合成する。ここでの合成は、例えば平均値の算出である。合成部102は、取得した合成距離情報と、合成した4つの第一距離情報にそれぞれ対応する4つの回転角度を対応づけて図示しない格納部に蓄積する。
(ステップS102)合成処理部103は、カウンターpの値として1を代入する。
(ステップS103)合成処理部103は、ステップ102で合成された合成距離情報において、値の小さいものから数えてp番目の合成距離情報を検出する。合成処理部103は、例えば、検出した合成距離情報に対して、検出したことを示すフラグや削除することを示すフラグ等の情報を付与する。なお、p番目の合成距離情報を検出する代わりに、最小値を示す合成距離情報を検出し、削除するようにしてもよい。削除する場合、次回は削除されずに残った合成距離情報から、再度最小値を示す合成距離情報を検出し削除を行うようにする。
(ステップS104)合成処理部103は、カウンターpの値を1インクリメントする。
(ステップS105)合成処理部103は、カウンターpの値が予め指定された所定数以上であるか否かを判断する。所定数以上であれば、ステップS106に進み、所定数以上でなければ、ステップS103に戻る。
(ステップS106)合成処理部103は、カウンターqの値として1を代入する。
(ステップS107)合成処理部103は、ステップ102で合成された合成距離情報において、値の大きいものから数えてq番目の合成距離情報を検出する。合成処理部103は、例えば、検出した合成距離情報に対して、検出したことを示すフラグや削除することを示すフラグ等の情報を付与する。なお、q番目の合成距離情報を検出する代わりに、最大値を示す合成距離情報を検出し、削除するようにしてもよい。削除する場合、次回は削除されずに残った合成距離情報から、再度最大値を示す合成距離情報を検出し削除を行うようにする。
(ステップS108)合成処理部103は、カウンターqの値を1インクリメントする。
(ステップS109)合成処理部103は、カウンターqの値が所定数以上であるか否かを判断する。所定数以上であれば、ステップS107に戻り、所定数以上でなければ、ステップS110に進む。
(ステップS110)合成処理部103は、ステップS103及びステップS107で検出されていない(あるいは削除されていない)合成距離情報であって、予め指定された数以上連続している合成距離情報を検出する。
(ステップS111)合成処理部103は、ステップS110で検出した連続している合成距離情報から、一の合成距離情報、例えば、中央の順番の合成距離情報を検出し、検出した合成距離情報の合成元となる4つの第一距離情報と、この第一距離情報のうちの1つに対応する回転角度とを取得する。例えば、一の回転角度として、4つの第一距離情報に対応する回転角度のうちの値の最も小さいものを取得する。
(ステップS112)補正情報取得部104は、ステップS111で取得した4つの第一距離情報と、一の回転角度とを用いて、ウエハ10の回転中心を、ウエハ10の中心に移動させるための補正情報を取得する。例えば、上述した式(1)及び式(2)を用いて補正情報を取得する。
(ステップS113)補正情報出力部105は、ステップS112で算出した補正情報を出力する。
(ステップS114)第二距離情報取得部106は、ステップS113で出力された補正情報を用いて、ウエハ10がエッジ11に凹凸を有さない円形である場合の、回転角度と、回転角度に応じた第二距離情報との関係を示す関係式を取得する。例えば、上述した式(3)の係数に補正情報を代入して理想曲線式を取得する。
(ステップS115)第二距離情報取得部106は、ステップS114で取得した関係式に、上述した一のウエハ10に対応する複数の第一回転距離情報に対応する複数の回転角度をそれぞれ代入して、回転角度毎に、第二距離情報を取得する。そして、回転角度と第二距離情報とを有する複数の第二回転距離情報を、図示しない格納部に蓄積する。
(ステップS116)算出部115は、同じ回転角度と対応づけられた第一距離情報と第二距離情報との差を示す複数の距離差情報を取得する。
(ステップS117)切り欠き検出部108は、複数の距離差情報と、第一の閾値とを用いて、切り欠き部を示す情報を取得する。
(ステップS118)欠陥検出部108は、複数の距離差情報と、第二の閾値とを用いて、欠陥部分に関する情報を取得する。
(ステップS119)出力部110は、算出部107が算出した第一距離情報と第二距離情報との差に関する情報、即ち距離差情報に関する情報を出力する。例えば、出力部110は、切り欠き部に関する情報を出力する。また、出力部110は、例えば、欠陥部分に関する情報を出力する。そして、処理を終了する。
以下、本実施の形態におけるウエハ情報処理装置1の具体的な動作について例を挙げて説明する。なお、この具体例のおいて用いられている値等は、あくまでも説明のためのものであり、実際のウエハ等から取得した値等を必ずしも正確に示すものではない。
図5は、ウエハのエッジの位置を検出するためのエッジ位置検出器5の一例を示す図である。
エッジ位置検出器5は、ウエハ10が載置されるターンテーブル52を回転させるためのターンテーブル回転機構53を備えており、ターンテーブル回転機構53は、電動機54により駆動される。ウエハ10のエッジ位置を検出する検出部55は、投光器55a及びセンサ55bを有する。センサ55bは、例えば光センサである。センサ55bは受光量に応じて出力が特定の関係を保ちながら連続的に変化するものであり、CCD(電荷結合素子)やPSD(Position Sensitive Detector:商品名)とよばれる入射光量に対して出力が直線的に変化するものが用いられる。センサ55bは、例えば、図2(a)のセンサ15に相当する。検出部55のセンサ55bは、投光器55aから出射され、直下のウエハ10によって減量されて到達する光の量に応じた出力を発生する。この出力が、ウエハ10のエッジ位置を示すものとなる。エンコーダ56は、ターンテーブル52の回転角度に相当する電動機54の回転量を検出しデジタル信号を出力する。蓄積部57はセンサ55bの出力とエンコーダ56の出力とを1対のデータとしてターンテーブル52の一定回転角度毎に蓄積する。なお、蓄積部57はセンサ55bの出力を、ウエハ10の回転中心からエッジ11までの距離に換算して出力しても良い。この具体例においては、この蓄積部57が、回転角度とセンサ55bの出力を、ウエハ10の回転中心からエッジ11までの距離に換算した第一距離情報との対を第一回転距離情報として、第一回転距離情報格納部101に蓄積するものとする。なお、センサ55bの出力がアナログ信号である場合には蓄積部57とセンサ55bとの間にA/D変換器等を設けておけばよい。
図6は、第一回転距離情報格納部101に格納されている第一回転距離情報を管理する第一回転距離情報管理表を示す図である。この第一回転距離情報は、例えば、図5に示すようなエッジ位置検出器5を用いて取得されたものであるとする。ここでは、説明の便宜上、ウエハを、一回転させた場合において、0.036度毎に順次取得された第一回転距離情報が格納されている場合を例に挙げて説明する。即ち、一のウエハについて、10000レコードの第一回転距離情報が格納されているものとする。
第一回転距離情報管理表は、「ウエハID」と、「回転角度」と、「第一距離情報」という属性を有している。「ウエハID」は、ウエハの識別情報である。「回転角度」は、ウエハの回転角度である。「第一距離情報」は、ウエハの回転中心から、ウエハのエッジまでの距離である。なお、「第一距離情報」のrm(mは1から10000までの整数)は、対応する回転角度が0.036×m(度)である第一距離情報であるとする。rmの値は、任意の値であるとする。第一回転距離情報管理表において、各行(レコード)が、それぞれ第一回転距離情報を示している。
図7は、第一回転距離情報の、回転角度と第一距離情報との関係を説明するためのグラフである。このグラフは、「ウエハID」が「W001」であるウエハ(以下、ウエハW001と称す)についての第一回転距離情報の、回転角度と第一距離情報との関係を示すグラフである。ウエハ回転中心がウエハの中心からずれているとすると、図7に示しているように、グラフ全体は、例えば、360度を一周期とした曲線状の波形を描いたものとなる。図において、凹部20は、ウエハ10のオリフラ部に対応する部分である。また、凹部21及び22は、ウエハ10のチッピングに対応する部分である。また、凸部23は、ウエハ10のバリに対応する部分である。
まず、ユーザ等が、例えば、ウエハW001を補正情報等の取得対象として指定する操作を行ったとする。
図8は、合成部102が第一回転距離情報について行う処理を説明するための、第一回転距離情報の回転角度と第一距離情報との関係を示すグラフであり、図8(a)は、回転角度が0度以上90度未満の範囲のグラフ、図8(b)は、回転角度が90度以上180度未満の範囲のグラフ、図8(c)は、回転角度が180度以上270度未満の範囲のグラフ、図8(d)は、回転角度が270度以上360度未満の範囲のグラフ、図8(e)は、図8(a)から、図8(d)までのグラフを、回転角度の配列順に応じて合成したグラフである。図8(f)は、図8(e)のグラフから、値の変化の大きい部分を削除した状態を示すグラフである。
合成部102は、図6に示した第一回転情報管理表から、「ウエハID」が「W001」
であるレコードを取得し、取得したレコードを「回転角度」を90度毎に4つに分割する。具体的には、「回転角度」が0度以上90度未満のレコードの組と、「回転角度」が90度以上180度未満のレコードの組と、「回転角度」が180度以上270度未満のレコードの組と、「回転角度」が270度以上360度未満のレコードの組とに分割する。それぞれの組のレコードをグラフで示したものが、図8(a)から図8(d)に示したグラフである。
そして、合成部102は、分割した各組の、配列順が同じである第一回転距離情報が有する第一距離情報同士を合成する。ここでの合成は、平均値の算出である。例えば、合成部102は、それぞれの組のレコードを、回転角度の値の小さいものから順番に配列した場合における一番目のレコード、即ち「回転角度」が「0」、「90」、「180」、及び「270」であるレコードの「第一距離情報」の値「r1」、「r2501」、「r5001」、及び「r7501」の平均値R1を、1番目の合成距離情報として取得し、これらの回転角度と対応づけて、図示しない格納部に蓄積する。なお、R1=(r1+r2501+r5001+r7501)/4である。
また、同様に、それぞれの組の二番目のレコード、即ち「回転角度」が「0.036」、「90.036」、「180.036」、及び「270.036」であるレコードの「第一距離情報」の値「r2」、「r2502」、「r5002」、及び「r7502」の平均値R2を、2番目の合成距離情報として取得し、これらの回転角度と対応づけて、図示しない格納部に蓄積する。三番目以降のレコードについても同様の処理を行う。
図9は、合成部102が取得した合成距離情報を管理する合成距離情報管理表である。合成距離情報管理表は、「回転角度」と、「合成距離」という属性を有している。「回転角度」は、合成した4つの第一距離情報にそれぞれ対応していた回転角度である。「合成距離」は合成距離情報である。なお、Rm=(rm+rm+2500+rm+5000+rm+7500)/4であるとする。
図8(e)は、合成部102が取得した合成距離情報をグラフで示したものである。なお、ここでは、横軸として、各「回転角度」のうちの、値の最も小さい角度を示している。図8(e)に示すように、回転角度が90度ずつ異なる第一距離情報を合成することにより、図7に示したような回転中心が、ウエハの中心からずれていることにより起こる波形は打ち消されてグラフ全体が直線状になっている。ただし、合成前の連続した複数の第一距離情報に存在していたチッピングやバリ等の欠陥部分や、オリフラ部等の切り欠け部に対応した凹部20,21,及び22や凸部23は、合成によって値は変化するが、打ち消されることはないため、残っている。
次に、合成処理部103は、図9に示した合成部102が合成した複数の合成距離情報において、最小値の合成距離情報を検出して削除する処理を、予め指定された回数に達するまで繰り返す。この削除は、削除したことを示すフラグの情報を、合成距離情報に付与することであっても良い。これにより、例えば、図8(e)において、他の部分に対して値の大きさの変化が大きいオリフラ部に対応する凹部20の複数の合成距離情報から順番に削除され、更に、オリフラ部に次いで他の部分に対する値の大きさの変化が大きいチッピングに対応する凹部21,22の合成距離情報が順番に削除されることとなる。
次に、合成処理部103は、予め指定された回数だけ最小値を削除したことにより残った複数の合成距離情報において、最大値の合成距離情報を検出して削除する処理を、予め指定された回数に達するまで上記と同様に繰り返す。これにより、例えば、図8(e)において、他の部分に対して値の大きさの変化が大きいバリに対応する凹部21,22の合成距離情報が順番に削除されることとなる。なお、上記のそれぞれの削除の回数は、実験等を繰り返すことによって決定することが好ましい。また、例えば、オリフラ部等の切り欠き部が存在する側の検出及び削除回数(ここでは最小値の検出及び削除回数)は、オリフラ部等の切り欠き部が存在しない側の検出及び削除回数(ここでは最大値の検出及び削除回数)よりも多い回数とすることが好ましい。
これにより、図9に示した合成距離情報から、値の大きさの変化の大きい部分を検出して削除することができ、検出されずに残った合成距離情報、即ち削除されずに残った合成距離情報は、図8(f)のようになる。この検出されずに残った合成距離情報のうちの二以上の連続している合成距離情報が、変化の小さい複数の合成距離情報である。
つぎに、合成処理部103は、検出されずに(ここでは、削除されずに)残った連続している合成距離情報から一の合成距離情報を検出する。ここでは、連続している合成距離情報の数を、連続している複数の合成距離情報毎に検出し、連続している数が最も多い部分の、配列順番が中央となる一の合成距離情報を検出する。ここでは、例えば、回転角度θがθ600から、θ1200の範囲の合成距離情報、具体的には図8(f)の領域25の合成距離情報が連続しているとともに、その連続数が他の連続している部分よりも多かったとすると、合成処理部103は、この範囲の中央に位置する合成距離情報、具体的には、対応する回転角度がθ900である合成距離情報を検出する。なお、θm(mは1から10000までの整数)は、例えば、ウエハW001を、0.036度ずつ600回回転移動させた場合の回転角度、即ち回転角度0.036×m(度)を示す。θ600は、例えば、ウエハW001を、0.036×600(度)回転させた際の回転角度である。
更に、合成処理部103は、検出した合成距離情報の合成前の4つの第一距離情報に対応する4つの回転角度を、図9に示した合成距離情報管理表から取得する。例えば、図9に示した合成距離情報管理表において、「回転角度」の値として、上記で検出した合成距離情報に対応する回転角度θ度を含むレコードを検出し、このレコードに含まれる全ての「回転角度」の値を取得する。あるいは、回転角度θ900に、90度と、180度と、270度とを順次加算して、4つの合成前の回転角度を取得する。ここでは、回転角度として、θ900と、θ900+90度と、θ900+180度と、θ900+270度とが取得されたとする。そして、合成処理部103は、取得した4つの回転角度にそれぞれ対応する4つの第一距離情報r900,r3400,r5900,及びr8400を、図6に示した第一回転距離情報管理表から取得する。
このようにして取得された4つの第一距離情報は、ウエハの切り欠き部や、バリや、チッピング等の存在しないエッジについて取得した第一距離情報であるため、切り欠き部や欠陥部分の影響の少ないウエハの回転中心からエッジまでの距離となる。
補正情報取得部104は、上述した式(1)及び式(2)を、例えば、図示しない格納部等から読み出して、合成処理部103が取得した4つの第一距離情報と、この第一距離情報に対応する回転角度の一つ、ここでは、上記で取得した最も値の小さい回転角度θ900とを、式(1)及び式(2)に代入して、ウエハW001の回転中心を、ウエハW001の中心に移動させるための補正情報、即ち、移動方向を示す情報である角度と、移動量である長さとを算出する。ここでは、角度α1と長さh1とを補正情報として取得したとする。
補正情報出力部105は、補正情報取得部104が取得した補正情報を、例えば、他の装置や記憶媒体等に出力する。例えば、上述したエッジ位置検出器5が、ターンテーブル上のウエハ10の位置を移動させる手段(図示せず)や、ウエハ搬送機(図示せず)にウエハを渡す際の位置あわせの手段としてターンテーブルの位置を移動させる手段等を有している場合、エッジ位置検出器5に対して、補正情報を出力するようにしても良い。これにより、例えば、他の装置において、補正情報を用いてウエハの回転中心がウエハの中心となるように、ウエハの位置等を補正することが可能となる。
また、補正情報出力部105は、補正情報を第二距離情報取得部106に出力する。
なお、補正情報出力部105は、第二距離情報取得部106への補正情報の出力と、第二距離情報取得部106以外への補正情報の出力とのいずれか一方だけを行うようにしても良い。
補正情報を受け取った第二距離情報取得部106は、図示しない格納部から上述した式(3)を読出し、この式(3)に補正情報である角度α1と長さh1とを代入して理想曲線式を取得する。
第二距離情報取得部106は、取得した理想曲線式に、複数の第一回転距離情報に対応した複数の回転角度を順次代入して、第二距離情報を順次取得する。具体的には、0度から、0.036度ずつ、360度の直前まで値を順次増加させた場合のそれぞれの回転角度を、理想曲線式に代入して第二距離情報を順次算出する。そして、代入した回転角度と、取得した第二距離情報とを有する第二回転距離情報を図示しない格納部に蓄積していく。
図10は、第二距離情報取得部106が取得して蓄積した第二回転距離情報を管理する第二回転距離情報管理表を示す図である。第二回転距離情報管理表は、「回転角度」と、「第二距離情報」とを有する。「第二距離情報」は、第二距離情報であり、例えば、ウエハW001がエッジに凹凸を有さない理想的な円形のウエハである場合の、回転角度に応じたウエハW001の回転中心からエッジまでの距離である。なお、「第二距離情報」のrim(mは1から10000までの整数)は、対応する回転角度が0.036×m(度)である第二距離情報であるとする。
図11は、第二距離情報取得部106が取得した複数の第二回転距離情報の、回転角度と、第二距離情報との関係を示すグラフである。横軸は回転角度θを示し、縦軸は第二距離情報riを示す。
算出部107は、第一回転距離情報に格納されている複数の第一距離情報と、第二距離情報取得部106が取得した複数の第二距離情報とにおいて、同じ回転角度と対応づけられた第一距離情報と第二距離情報との差を順次取得する。ここでは、一例として、算出部107は、第二距離情報から、第一距離情報を減算した値を取得する。例えば、回転角度「0度」に対応した第二距離情報「ri1」から、回転角度「0」に対応した第一距離情報「r1」を減算して、回転角度「0度」に対応した距離差情報「ri1−r1」を取得する。また、例えば、回転角度「0.036度」に対応した第二距離情報「ri2」から、回転角度「0」に対応した第一距離情報「r2」を減算して、回転角度「0度」に対応した距離差情報「ri1−r1」を取得する。同様の処理を他の回転角度についても行う。算出部107は、取得した値を、距離差情報として、回転角度と対応づけて、図示しない格納部に蓄積する。
図12は、算出部107が取得した距離差情報を管理する距離差情報管理表である。距離差情報管理表は、「回転角度」と「距離差」という属性を有している。「距離差」は距離差情報である。
図13は、算出部107が取得した距離差情報と回転角度との関係を示すグラフ(図13(a))、切り欠き検出部108が実行する処理を説明するためのグラフ(図13(b))、及び、欠陥検出部109が実行する処理を説明するためのグラフ(図13(c))である。図において、横軸は回転角度を示し、縦軸は距離差情報の値を示す。なお、ここでは、説明のため、例えば、図13のグラフの縦軸のスケールとして、図7や図11等の縦軸のスケールよりも拡大したスケールを用いている。
算出部107が取得した距離差情報をグラフで示すと、図13(a)のようなグラフになる。このグラフは、例えば、図11に示したオリフラ部やバリやチッピング等を有する実測値等である第一距離情報のグラフの縦軸方向の値から、図7に示したエッジに凹凸を有さないウエハを回転させた場合の理想的なグラフの縦軸方向の値を減算したグラフとなる。このため、ウエハW001のエッジの凹凸のない部分において取得された第一距離情報については、値はほぼ0に近い一定の値となり、凹凸の部分だけが、他の部分とは異なる大きさの正または負の値としてグラフに現れる。例えば、図13に示したグラフにおいては、オリフラ部に対応した凸部20a、チッピングに対応した凸部21a、22a、バリに対応した凹部23aが値の大きさに変化がある部分として現れ、他の部分は、ほぼx軸に平行な直線に近い形状となる。
切り欠き検出部108は、算出部107が取得した距離差情報において、予め指定された第一の閾値TH1よりも大きさの大きい距離差情報を検出する。第一の閾値TH1は、ウエハのエッジに通常発生するチッピングの深さよりも長い長さであって、オリフラ部の深さよりも十分に短い長さを示す正の値に予め設定されているものとする。この第一の閾値TH1は、例えば、大きさについての閾値である。ここでは、第一の閾値TH1よりも値が大きい正または負の距離差情報を、検出するために、TH1よりも大きい距離差情報、あるいは、−TH1よりも値が小さい距離差情報を検出する。
第一の閾値TH1を距離差情報と回転角度との関係を示すグラフに示すと、図13(b)のようになる。
なお、距離差情報が、第二距離情報から第一距離情報を減算した値であることがわかっている場合、オリフラ部に対応する距離差情報の値は正の値となることから、−TH1よりも値が小さい距離差情報を検出する処理は省略しても良い。
切り欠き検出部108は、第一の閾値TH1以上の距離差情報を検出し、検出した距離差情報に対応する回転角度を取得する。例えば、切り欠き検出部108は、図13(b)のオリフラ部に対応する凸部20aの、TH1より値の大きい距離差情報を検出する。そして、切り欠き検出部108は、検出した距離差情報に対応する回転角度の最小値と最大値とを、ウエハW001の切り欠き部であるオリフラ部の位置を示す情報として取得する。例えば、切り欠き検出部108が取得した最小値がθ3800,最大値がθ4400であったとする。切り欠き検出部108は、取得した最小値θ3800と最大値θ4400とを、図示しない格納部に蓄積する。
欠陥検出部109は、算出部107が取得した距離差情報において、予め指定された第二の閾値TH2よりも大きさの大きい距離差情報を検出する。ただし、ここでは、上述した第一の閾値TH1よりも大きさの大きい距離差情報は検出しないものとする。第二の閾値TH2は、第一の閾値TH1よりも大きさの小さい値であって、0よりも大きい値に設定される。なお、距離差情報は、第一距離情報の測定誤差等によって、0以外の値も取り得るため、第二の閾値TH2この測定誤差の分の値を考慮した値に設定する。この第二の閾値TH2は、例えば、エッジの欠陥部分を検出するための大きさについての閾値である。ここでは、第二の閾値TH2よりも値が大きい正または負の距離差情報を、検出するために、TH2よりも大きい距離差情報、あるいは、−TH2よりも値が小さい距離差情報を検出する。
第二の閾値TH2を距離差情報と回転角度との関係を示すグラフに示すと、図13(c)のようになる。
また、ここでは、上記と同様に、−TH1よりも値が小さい距離差情報を検出する処理は省略しても良い。
欠陥検出部109は、第二の閾値TH2以上の距離差情報を検出し、検出した距離差情報に対応する回転角度を取得する。例えば、欠陥検出部109は、図13(c)の欠陥部分に対応する凸部21a、22aの、TH2より値の大きい部分と、欠陥部分に対応する凹部23aの、TH2よりも値の小さい部分とを検出する。そして、切り欠き検出部108は、検出した距離差情報において、対応する回転角度が連続している距離差情報を検出し、連続している距離差情報に対応する回転角度の最小値と最大値とを、それぞれ、ウエハW001の欠陥部分の位置を示す情報として取得する。例えば、凸部21aについては、回転角度の最小値θ550と最大値θ558とを取得したとする。また、例えば、凸部22aについては、回転角度の最小値θ7446と最大値θ7450とを取得したとする。また、例えば、凹部23aについては、回転角度の最小値θ8738と最大値θ8743とを取得したとする。
また、TH2よりも大きい部分として検出された距離差情報、即ち凸部21a、22aにそれぞれ対応する回転角度の最小値と最大値については、更にチッピングであることを示す情報を欠陥部分の種類を示す情報として取得する。また、−TH2よりも小さい部分として検出された距離差情報に対応する回転角度、即ち凹部23aに対応する最小値と最大値については、更にバリであることを示す情報を欠陥部分の種類を示す情報として取得する。
また、欠陥検出部109は、回転角度が連続している距離差情報の絶対値の最大値を、欠陥部分の大きさ、例えば、バリの高さや、チッピングの深さを示す情報として取得する。例えば、回転角度がθ8738からθ8743の範囲内の距離差情報の絶対値の最大値がri8741−r8741であったとすると、欠陥検出部109は、この最大値を欠陥部分の大きさを示す情報として取得する。
そして、欠陥検出部109は、取得した欠陥部分に関する情報、即ち欠陥部分の範囲を示す回転角度と、欠陥部分の種類を示す情報と、欠陥部分の大きさを示す情報とを図示しない格納部に蓄積する。
出力部110は、切り欠き検出部108が検出した切り欠き部を示す情報を出力する。例えば、出力部110は、切り欠き検出部108が検出した回転角度の範囲θ3800からθ4400までを、オリフラ部が設けられた場所を示す情報として出力する。例えば、回転角度がθ3800からθ4400までの範囲にオリフラ部があることを示す情報を出力する。なお、ここでは省略しているが、図7に示した第一距離情報と回転角度とのグラフ等の、この回転角度に対応する範囲の背景を他と異なる背景色としたグラフをモニタ等に表示するようにしてもよい。
また、出力部110は、欠陥検出部109が検出した欠陥部分に関する情報を出力する。例えば、出力部110は、欠陥検出部109が検出した欠陥部分に関する情報のうちの、回転角度の範囲を示す情報を、欠陥がある箇所を示す情報として出力する。また、出力部110は、欠陥部分の種類を示す情報をこの欠陥部分の種類を示す情報として出力する。また、出力部110は、欠陥部分の大きさを示す情報を出力する。例えば、回転角度がθ8738からθ8743の範囲に、高さがri8740−r8740であるバリが存在することを示す情報を出力する。なお、ここでは説明を省略しているが、図7に示した第一距離情報と回転角度とのグラフ等の、欠陥部分に関する情報が示す回転角度の範囲に対応する範囲の背景を、他と異なる背景色としたグラフをモニタ等に表示するようにしてもよい。なお、このとき、チッピングとバリについても異なる背景色とすることが好ましい。また、各回転角度の範囲に、欠陥部分の大きさを示す値等を表示してもよい。
図14は、出力部110による切り欠き部を示す情報と、欠陥部分に関する情報の出力例を示す図である。ここでは、出力部110による出力が、図示しないモニタへの表示である場合を例に挙げて示している。
このような出力部110の出力により、例えば、ユーザは、ウエハW001のエッジのどこにオリフラ部があるか、あるいはどこにどのような欠陥があるかを、容易に知ることが可能となる。また、このようなオリフラ部の位置や、欠陥部の位置や種類を示す情報を他の装置(図示せず)に出力した場合、他の装置においては、例えば、オリフラ部や欠陥部の位置に考慮した処理を行うことが可能となる。
以上、本実施の形態によれば、回転角度が90度ずつ異なる複数の第一距離情報を合成した合成距離情報において、変化の小さい連続した複数の合成距離情報を検出して、検出した複数の合成距離情報のうちの一の合成距離情報に対応する合成元の複数の第一距離情報を用いて、ウエハの回転中心をウエハの中心に移動させるための補正情報を取得することにより、ウエハのエッジの凹凸が少ない部分から取得した第一距離情報を用いて精度の高い補正情報を適切に取得することができる。
また、本実施の形態によれば、上記の補正情報を用いてウエハが凹凸のない円形である場合の、回転角度と、エッジまでの距離との関係を示す関係式を取得し、取得した関係式から取得した第二距離情報と第一距離情報との差を用いてウエハの切り欠き部を示す情報や、ウエハの欠陥部分に関する情報を取得することにより、ウエハのエッジの凹凸を適切に示すことができる。例えば、ウエハの切り欠き部の位置を適切に示すことができる。また、ウエハのエッジの欠陥部分の位置やその種類を適切に示すことができる。
なお、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、格納部(例えば、ハードディスクやメモリ等の記録媒体)にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、上記実施の形態におけるウエハ情報処理装置をソフトウェアにより実現するようにしてもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。