JP6312531B2 - 現像装置、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 - Google Patents

現像装置、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、現像装置、プロセスカートリッジ、および電子写真装置に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリの受信装置等の電子写真装置においては、回転する像担持体を帯電部材により一様に帯電させ、像担持体にレーザー光を照射して静電潜像を形成する。そして、現像装置により静電潜像にトナーを供給し、トナー像として現像を行う。その後、トナー像を像担持体上から転写材(記録材)上へ転写し、加熱等により転写材上のトナー像を定着することにより、画像が形成された転写材を得る。一方、トナー像を転写した後の像担持体はその表面が除電され、残留するトナーのクリーニングが行われ、新たな画像形成の待機状態となる。
上記現像装置には、現像室と、トナーが収容されているトナー容器が設けられる。現像室には、現像ローラと、現像ローラの表面にトナーを塗布するトナー供給部材等が設けられる。さらに、トナー供給部材により塗布された現像ローラの表面のトナーを、より均一な薄層に整えるトナー規制部材が設けられ、現像ローラの回転に伴い、薄層のトナーが現像装置外に搬送される。薄層のトナーは、現像ローラの露出部に対向配置されて回転する像担持体の静電潜像に付着して、静電潜像を可視化して像担持体上にトナー像を形成する。
上記現像装置の使用開始前の状態においては、トナーはトナー容器内に収容されたままであり、使用開始時に初めてトナーが現像室内に送られるようになっている。このため、現像装置の使用開始前は現像ローラとトナー規制部材及び現像ローラとトナー供給部材が直接当接した状態になっている。
そして特許文献1は、使用開始前の現像装置において、現像スリーブとトナー供給部材が直接接していることに起因するトナー供給部材の破損等の課題を挙げている。そして、このような課題を、最表面にセルを有するトナー供給部材を用いると共に、該トナー供給部材の少なくとも表面に特定の帯電能力を持つ粉体を有するようにすることで、解決することができることを開示している。
また、特許文献2は、上記の課題を、少なくとも該トナー供給部材の表面にガラス転移温度が80℃以上の粉体を塗布することで解決することができることを開示している。
特開平8−227212号公報 特開2007−33538号公報
しかしながら、本発明者らが特許文献2に係る現像装置を検討したところ、使用前の、当該現像装置が、輸送中に振動を受けたような場合に、現像ローラ表面の、トナー規制部材との接触部分に対応して、電子写真画像にスジ状のムラが現われることがある。以降、電子写真画像に現れるスジ状のムラを、「バンディング」と呼ぶことがある。そして、バンディングは、特に、ハーフトーン画像において顕著に認められる傾向にある。これは、現像ローラの表面の、トナー規制部材との接触部分において、何らかの変化が生じていることによるものと推測される。
ここで、現像ローラの表面に生じた、電子写真画像の品位に影響を与えるような変化を「静電メモリ」と称することがある。また、「静電メモリ」が生じる現象を、「静電メモリが残る」と称することがある。
そこで、本発明の目的は、使用開始前に、長期の輸送によって振動が加わった場合においても、現像ローラに、電子写真画像にバンディングを生じさせるような静電メモリが残りにくい現像装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、高品位な電子写真画像を安定して出力することのできる電子写真装置を提供することにある。
本発明によれば、トナーを現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置されたトナー規制部材とを備えた現像室と、
トナーを収容しているトナー容器とを備え、
該現像室と該トナー容器とを連通する開口部は、該トナー容器の中のトナーが該現像室に流入しないようにシール部材で仕切られ、該シール部材は該開口部から除去可能に構成されている現像装置であって、
少なくとも該現像ローラと該トナー規制部材との接触部に、球状樹脂粒子が転動できる状態で介在しており、
該球状樹脂粒子のマルテンス硬度が0.5N/mm以上45N/mm以下であり、かつ、該球状樹脂粒子の回復弾性仕事率が70%以上である現像装置が提供される。
また、本発明によれば、静電潜像を担持するための像担持体と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成するための現像装置とを備え、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該現像装置が前記の現像装置であるプロセスカートリッジが提供される。
さらに、本発明によれば、静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を一次帯電するための帯電装置と、一次帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成するための現像装置と、該トナー画像を転写材に転写するための転写装置とを備える電子写真装置であって、該現像装置が、前記の現像装置である電子写真装置が提供される。
さらに、本発明によれば、トナーを現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置されたトナー規制部材とを備えた現像室と、
トナーを収容しているトナー容器とを備える現像装置であって、
少なくとも該現像ローラと該トナー規制部材との接触部に、球状樹脂粒子が転動できる状態で介在しており、
該球状樹脂粒子のマルテンス硬度が0.5N/mm以上45N/mm以下であり、かつ、該球状樹脂粒子の回復弾性仕事率が70%以上である現像装置が提供される。
本発明によれば、長期の物流振動状況下で保管されても、現像ローラに静電メモリが残りにくく、ハーフトーン画像にバンディングを生じさせにくい現像装置を得ることができる。また、本発明によれば、高品位な電子写真画像を与えるプロセスカートリッジおよび電子写真装置を得ることができる。
本発明に係る現像装置の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る電子写真装置の一例を示す概略断面図である。 本発明に係る電子写真装置に装着される電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略断面図である。 本発明に係る現像装置の一例を示す概略断面図である。
本発明者らは、特許文献2に係る現像装置について、長時間にわたる振動に起因する静電メモリに関して詳細に検討した。その結果、静電メモリの主たる原因が、以下の3つであると推定した。
即ち、現像ローラとトナー規制部材の当接部にある粒子が圧接により大きく永久変形し、部材同士が直接接触し、その状態で現像ローラとトナー規制部材とがスラスト方向に振動することによって静電メモリが生じる。なお、トナー規制部材とのスラスト方向での摺動によって生じた静電メモリを「スラストメモリ」と称することがある。
また、現像ローラまたはトナー規制部材の表面の粉体の偏りによってもスラストメモリが生じる場合があることを明らかにした。具体的には、初期状態では粉体が現像ローラとトナー規制部材の当接部に均一に存在する。しかし、現像装置に繰り返し振動が加わることにより粉体同士が寄り集まり、粉体の存在位置に偏りが生じる。このために、局所的に部材同士が直接当接する部分が発生し、スラストメモリが生じる。
さらに、現像ローラとトナー規制部材の当接部にある粒子が、各部材へ物理的ストレスを与えることが寄与する場合が考えられた。詳細なメカニズムは明らかではないが、長期にわたる物理的ストレスにより、現像ローラの表面に微小な電気抵抗のムラ等が生じているものと本発明者らは推察している。
ここで、永久変形しないような粒子を現像ローラとトナー規制部材との間に介在させた場合、スラストメモリの発生の軽減には一定の効果が得られるものの、粒子の硬度が高い場合には、現像ローラに対する物理的ストレスによって静電メモリが残る場合があった。
そこで、本発明者らは、現像ローラとトナー規制部材との間に介在させる粒子としては以下の挙動を示す粒子が上記の課題を解決できるものと考えた。
・振動が生じた場合には、変形することによって振動による衝撃を吸収し、振動がなくなった後には速やかに変形が回復して元の形状に戻り、再び振動が加わった場合には再び変形して振動による衝撃を吸収するような挙動を示す粒子。
そこで、形状が球状である粒子について、その硬度および回復弾性仕事率に着目して検討を行った。
その結果、ある特定の範囲の柔軟な硬度を有し、かつ回復弾性仕事率が一定以上高い球状粒子の場合に、スラストメモリによる弊害が起こらないことを見出した。このような粒子は、部材間に挟まれた状態で楕円形状に変形しつつも転がる(転動する)ことにより、部材の特定の場所に物理的ストレスを与えず、スラストメモリの発生を防止できる。また、短時間で元の球状形状に回復することにより、繰り返しの振動による粒子の存在の偏りが生じにくく、部材同士が直接当接することを抑制し、スラストメモリの発生を防止できたものと考える。
(球状樹脂粒子)
本発明の現像装置には、少なくとも現像ローラとトナー規制部材の接触部に、球状樹脂粒子が介在する。
さらに、該球状樹脂粒子のマルテンス硬度が0.5N/mm以上45N/mm以下であり、該球状樹脂粒子の回復弾性仕事率が70%以上である。
球状樹脂粒子のマルテンス硬度は、0.5N/mm以上45N/mm以下の範囲である。その理由は、現像ローラに対して、出来る限り物理的なストレスを与えないようにするためである。
マルテンス硬度が45N/mmより大きい場合は、現像ローラへの物理的なストレスが大きくなるためと思われるスラストメモリが発生する場合がある。また、マルテンス硬度が0.5N/mmより小さい場合、スラストメモリの抑制効果は得られるものの、球状樹脂粒子の材料のべたつきが大きくなり、部材への固着などが生じる場合がある。
また、球状樹脂粒子が永久変形した場合、繰り返しの振動によって、現像ローラとトナー規制部材との間での球状樹脂粒子の存在位置が偏り、スラストメモリの抑制が困難になることがある。そのため、球状樹脂粒子の回復弾性仕事率は70%以上である。
球状樹脂粒子の基材は、上記特性を好適に満たせるという観点から、ウレタン樹脂、またはシリコーン樹脂であることが好ましい。
また、本発明において、球状樹脂粒子としては、平均円形度で0.96以上のものを用いることが好ましい。平均円形度が0.96以上のものは、球状樹脂粒子の転動を阻害する可能性が小さいため、スラストメモリの抑制に特に効果的であると考えられるためである。
また、球状樹脂粒子の重量平均粒子径としては1μm以上50μm以下のものが好適に用いられる。
<球状樹脂粒子のマルテンス硬度及び回復弾性仕事率の測定方法>
球状樹脂粒子のマルテンス硬度及び回復弾性仕事率は、微小硬度測定機(商品名:ピコデンター(PICODENTOR(R)) HM500、株式会社フィッシャーインストルメンツ社製)によって測定する。圧子としては、対面角が136°の正四角錐型のダイヤモンド圧子(ビッカース圧子)を用いた。
測定は上記圧子を所定の荷重分押し込む工程(以下、押し込み工程と称する)と所定の荷重を取り除く工程(以下、除荷工程と称する)からなる。
ここから得られる荷重変位曲線を測定用専用ソフト「商品名:WIN−HCU(登録商標)」にて評価することにより、マルテンス硬度(N/mm)及び回復弾性仕事率[We(押し込み弾性変形回復仕事量)/Wt(機械的押し込み全仕事量)×100]を求める。
具体的な手順を述べると、スライドガラス(アズワン製)上に、球状樹脂粒子を綿棒で塗り付け、余剰な球状樹脂粒子をエアーで飛ばし、残留した球状樹脂粒子を測定する。測定する球状樹脂粒子のサイズは、その球状樹脂粒子の後述する重量平均粒子径(D4)に近いものをなるべく選択して測定する。
なお、測定ステージの分解能が1μmであるため、10μm程度の小さな球状樹脂粒子について圧子先端で粒子の中心を押すことが難しく、球状樹脂粒子の斜面部分を押してしまい、測定が正しくできていないことがある。また、重心がずれることにより測定中に球状樹脂粒子がずれてしまい、測定が正しくできていないことがある。そこで球状樹脂粒子に圧子で押し込んだ後、顕微鏡側にステージを戻し、球状樹脂粒子が圧子を押し込む前の位置からずれていないかどうかを確認する。
圧子を押し込んだ後の球状樹脂粒子の位置が、圧子を押し込む前の位置から1μm以上ずれていない場合は球状樹脂粒子の中心に圧子の先端が当たっていると判断する。この場合、得られた測定データは、正確に測定されたものであると判断し、有効データとしてマルテンス硬度及び回復弾性仕事率の算出に使用する。
一方、圧子を押し込んだ後の球状樹脂粒子の位置が、圧子を押し込む前の位置から1μm以上ずれている、もしくは、スライドガラス上から消失している場合(例えば、球状樹脂粒子が圧子に付着してしまっている)は、得られた測定データは、正確に測定されたものでないと判断し、無効データとしてマルテンス硬度及び回復弾性仕事率の算出には使用しない。
また、圧子の位置のズレを補正するために、1測定毎に圧子の調整を行い、圧子の位置のズレを補正することが好ましい。また、圧子に関して1測定毎にエタノールを用いて、洗浄作業を行うことが好ましい。
押し込み工程及び除荷工程の測定条件を以下のように設定した。
押し込み工程:単位時間当たりの荷重の増加量を一定になるように、押し込み荷重が0mNから0.1mNになるまで、20秒間の押し込み時間で、球状樹脂粒子に荷重を加える。
除荷工程:単位時間当たりの荷重の減少量を一定になるように、押し込み荷重が0.1mNから0mNになるまで、20秒間の除荷時間で、球状樹脂粒子に加えた荷重を減らす。
このようにして得た20個の有効データのうち、、最大値と最小値を除外した18個のデータの平均値を計算し、本発明に係る球状樹脂粒子のマルテンス硬度、回復弾性仕事率とした。
<球状樹脂粒子の平均円形度の測定方法>
球状樹脂粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的には、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤(商品名:コンタミノン(登録商標)N、和光純薬工業社製;非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、及び有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤を10質量%含む水溶液)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。
更に測定試料として球状樹脂粒子を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、この超音波分散器の水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。該手順に従い調整した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、high power field(HPF)測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の球状樹脂粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を指定することにより、その範囲の球状樹脂粒子の個数割合(%)、平均円形度を算出することができる。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(商品名: Thermo Scientific(登録商標)Latex Microsphere Suspension 5200A、Thermo Fisher Scientific社製)のイオン交換水希釈物を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.98μm以上、39.69μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<球状樹脂粒子の重量平均粒子径(D4)の測定方法>
粒径測定装置 コールターマルチサイザー3(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。電解液としては、1級塩化ナトリウムを約1%含む水溶液を使用した。電解液約100ml中に、分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩約0.5mlを加え、さらに測定対象の球状樹脂粒子(試料)約5mgを加え試料を懸濁させた。試料を懸濁させた電解液は、超音波分散機で約1分間分散処理を行い、前記測定装置により、100μmアパーチャーを用いて、測定試料の体積及び個数を測定し、体積分布及び個数分布を算出した。この結果より、重量平均粒子径(D4)を算出した。
(現像装置)
以下に図面を参照して、この発明の現像装置の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。本発明に係る現像装置の断面図の一例を図1に示す。
図1に示すように、この現像装置は像担持体101に対向する部分に開口部を有する現像室102を備えており、この現像室102の背面には、連通する形で内部にトナー103を収容しているトナー容器104が配される。現像室102と前記トナー容器104とを連通する開口部は、トナー容器104のトナー103が現像室102に流入しないようにシール部材105で仕切られ、このシール部材105は該開口部から除去可能に構成されている。そして、このシール部材は、現像装置の使用開始時に該開口部から除去される。
このシール部材は、使用開始前の現像装置の搬送時等の振動によりトナー103が予期せず現像装置から流出し、ユーザーや現像装置、ひいては電子写真装置本体がトナーで汚れることを防止することができるため、好ましい。
なお、本発明に係る現像装置は、図4に示すように、現像室102とトナー容器104とを連結する開口部が、シール部材で仕切られていないものであってもよい。
また、現像室102には一部が露出するようにして現像ローラ106が回転可能に配されており、現像ローラ106は像担持体101に所定の侵入量となるように押圧、接触するように対向している。
さらに、現像室102にはトナー容器104から搬送部材107によって搬送されたトナーを現像ローラ106に供給するためのトナー供給部材108が収容されている。現像ローラ106の回転方向において、像担持体101と現像ローラ106との接触部の上流側には、現像ローラ106に担持されているトナー103の層厚を規制するトナー規制部材109が現像ローラ106の表面に当接配置されている。このトナー規制部材109は現像室102に取り付けられている。本発明ではスラストメモリを抑制するため、少なくともこの現像ローラ106とトナー規制部材109との接触部に所定の球状樹脂粒子120が塗布される。
また、現像ローラ106の回転方向において、像担持体101と現像ローラ106との接触部の下流側には、現像室102の下部から外部へのトナー吹き出しを防止するための吹き出し防止シート110が設けられている。
現像動作時、シール部材105を現像装置から取り除くことで、トナー容器104と現像室102を一つの空間とし、この時初めてトナー容器104内のトナー103が現像室102におくられることが可能となる。搬送部材107は、現像室102とトナー容器104の間の仕切り壁を越えて、トナー103をトナー供給部材108に向けて搬送し、トナー103はトナー供給部材108によって現像ローラ106に塗布される。現像ローラ106は図中矢印で示す方向に回転され、この現像ローラ106に担持されているトナー103はトナー規制部材109で所定の層厚に規制された後、像担持体101と対向する現像領域に送られる。
現像ローラ106とトナー規制部材109の接触部に球状樹脂粒子120を介在させる方法としては、例えば、下記1〜3に挙げたように球状樹脂粒子を塗布する方法が挙げられる。なお、現像ローラの表面及びトナー規制部材の表面に球状樹脂粒子を均一に塗布することができれば、塗布方法は特に限定されない。
1.あらかじめ現像ローラ106表面の全域に球状樹脂粒子を塗布し、この現像ローラ106をトナー規制部材109が取りつけられている現像装置に装着する方法。
2.あらかじめ、トナー規制部材109の現像ローラ106との当接部に球状樹脂粒子を塗布し、このトナー規制部材109と現像ローラ106を現像装置に装着する方法。
3.トナー供給部材108表面の全域に球状樹脂粒子を塗布し、現像装置に装着した後、現像ローラ106とトナー規制部材109を組み込んだ後に現像装置を駆動回転させ、トナー供給部材108によって球状樹脂粒子を現像ローラ106とトナー規制部材109の接触部に塗布する方法。
(電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真装置)
本発明に係る電子写真装置は、以下の構成を有する。
・静電潜像を担持するための像担持体
・該像担持体を一次帯電するための帯電装置
・一次帯電された像担持体に静電潜像を形成するための露光装置
・該静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成するための現像装置
・該トナー画像を転写材に転写するための転写装置
・該転写材に転写されたトナー像を定着するための定着装置
そして、該現像装置が、上記のような本発明に係る現像装置であることを必要とする。
また、本発明は、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている電子写真プロセスカートリッジ(単に、プロセスカートリッジとも称する)である。そして、上記のような本発明に係る現像装置を具備することを特徴とする。
図2は、本発明の電子写真装置の概略を示す断面図である。図3は、図2の電子写真装置に装着されるプロセスカートリッジの拡大断面図である。このプロセスカートリッジは、像担持体101と、帯電部材111を具備する帯電装置と、現像ローラ106を具備する現像装置と、クリーニング部材112を具備するクリーニング装置とを内蔵している。そして、プロセスカートリッジは、図2の電子写真装置の本体に着脱可能に構成されている。
像担持体101は、不図示のバイアス電源に接続された帯電部材111によって一様に帯電(一次帯電)される。このときの像担持体101の帯電電位は−800V以上−400V以下程度であることが好ましい。次に、像担持体101は、静電潜像を書き込むための露光光113により、その表面に静電潜像が形成される。露光光113としては、LED光、レーザー光のいずれも使用することができる。露光された部分の像担持体101の表面電位は−200V以上−100V以下程度であることが好ましい。
次に、電子写真装置本体に対し着脱可能に構成されているプロセスカートリッジに内蔵された現像ローラ106によって負極性に帯電したトナーが静電潜像に付与(現像)され、像担持体101上にトナー像が形成され、静電潜像が可視像に変換される。このとき、現像ローラ106には不図示のバイアス電源によって−500V以上−300V以下程度の電圧が印加されることが好ましい。なお、現像ローラ106は、像担持体101と0.5mm以上3mm以下程度のニップ幅をもって接触させることが好ましい。
像担持体101上で現像されたトナー像は、中間転写ベルト114に1次転写される。中間転写ベルト114の裏面には1次転写部材115が当接しており、1次転写部材115に+100V以上+1500V以下程度の電圧を印加することが好ましい。このような電圧を印加することで、負極性のトナー像を像担持体101から中間転写ベルト114に1次転写する。1次転写部材115はローラ形状であってもブレード形状であっても良い。
電子写真装置がフルカラー画像形成装置である場合、上記の帯電、露光、現像、1次転写の各工程を、イエロー色、シアン色、マゼンタ色、ブラック色の各色に対して行う。そのために、図2に示す電子写真装置では、前記各色のトナーを内蔵したプロセスカートリッジが各1個、合計4個、電子写真装置本体に対し着脱可能な状態で装着されている。そして、上記の帯電、露光、現像、1次転写の各工程は、所定の時間差をもって順次実行され、中間転写ベルト114上に、フルカラー画像を表現するための4色のトナー像が重ね合わせた状態が作り出される。
中間転写ベルト114上のトナー像は、中間転写ベルト114の回転に伴って、2次転写部材116と対向する位置に搬送される。このとき、中間転写ベルト114と2次転写部材116との間には、所定のタイミングで記録用紙の搬送ルート117に沿って転写材である記録用紙が搬送されてきている。そして、2次転写部材116に2次転写バイアスを印加することにより、中間転写ベルト114上のトナー像を記録用紙に転写する。
このとき、2次転写部材116に印加されるバイアス電圧は、+1000V以上+4000V以下程度であることが好ましい。2次転写部材116によってトナー像が転写された記録用紙は、定着装置118に搬送され、記録用紙上のトナー像を溶融させて記録用紙上に定着させた後、記録用紙を電子写真装置の外に排出することで、プリント動作が終了する。
なお、像担持体101から中間転写ベルト114に転写されることなく像担持体101上に残存したトナー像は像担持体101表面をクリーニングするためのクリーニング部材112により掻き取られ、像担持体101の表面はクリーニングされる。
(実施例)
以下に、具体的な実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
<球状樹脂粒子>
実施例、比較例に用いた球状樹脂粒子を表1に記載する。球状樹脂粒子1〜4を実施例1〜4に、球状樹脂粒子5〜9を比較例1〜5に使用した。なお、重量平均粒子径と平均円形度は前記の方法により測定した。
Figure 0006312531
(球状樹脂粒子2)
商品名:「UCN5150Dクリヤー」大日精化社製 100質量部を4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(Sigma−Aldrich Co.LLC.製)のメチルエチルケトン50質量%溶液1000質量部に10分間浸漬させた。その後、球状樹脂粒子をエタノールで洗浄した後、常温で48時間乾燥させた。その後80℃のオーブンにて4時間焼成して、球状樹脂粒子2を得た。
(球状樹脂粒子3)
商品名:「UCN5150Dクリヤー」大日精化社製 100質量部を4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(Sigma−Aldrich Co.LLC.製)のメチルエチルケトン50質量%溶液1000質量部に60分間浸漬させた。その後、球状樹脂粒子をエタノールで洗浄した後、常温で48時間乾燥させた。その後80℃のオーブンにて4時間焼成して、球状樹脂粒子3を得た。
<現像ローラの作製>
(導電性弾性層1の作製)
表2の物質を常温で攪拌機を用いて混合し、半導電性組成物1を作製した。
Figure 0006312531
次に、日本工業規格(JIS)に基づくステンレス鋼であるSUS304製の直径6mm、長さ264mmの芯金にプライマー(商品名:「DY35−051」東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布し、温度150℃にて30分間焼付けたものを金型に配置した。そして、半導電性組成物1を金型内のキャビティに注入した。続いて、金型を150℃で15分間加熱し、金型から脱型した後、200℃で2時間加熱して硬化反応を完結させた。このようにして直径11.5mmの導電性弾性層1を作製した。
(導電性表面層用の塗料1の作製)
撹拌機、冷却器、温度計および窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコに、表3の物質を仕込み、撹拌しながら、窒素雰囲気下で80℃、5時間反応させた。その後溶媒を除去し、カルボキシル基を分子内に有するウレタンプレポリマー1を得た。
Figure 0006312531
次に表4の物質をボールミルで攪拌分散して導電性表面層用の塗料1を作製した。
Figure 0006312531
上記作製した導電性表面層用の塗料1にメチルエチルケトンを添加し、固形分28%に調整した。そして上記成型した導電性弾性層1の上にディッピングにより塗布した。その後、温度80℃のオーブンで15分間乾燥後、温度140℃のオーブンで4時間硬化することにより、現像ローラを得た。表面層の厚さは10.2μmであった。
作製した現像ロ―ラに前記の球状樹脂粒子100mgを長手方向全域に渡って均一に塗布した。次に、カラーレーザープリンタ(商品名:HP LaserJet Pro 400 M451dn、HP社製)のシアン用のプロセスカートリッジに装着されている現像ローラを取り外し、トナー規制部材をエアブローで清掃した。その後、前記作製した球状樹脂粒子を塗布した現像ローラをこのカートリッジに装着し、現像ローラとトナー規制部材の接触部に球状樹脂粒子が介在している現像装置を有するカートリッジを作製した。
このカートリッジにて後述する振動試験を行った。振動試験を行った後、温度23℃湿度55%の環境に24時間プロセスカートリッジを放置した。そして、プロセスカートリッジの現像装置内にある現像室とトナー容器を仕切っているシール部材を除去した。その後、当該プロセスカートリッジを上記のカラーレーザープリンタに装着した。そして、温度23℃湿度55%の環境下で、A4サイズの記録用紙(商品名:CLC(カラーレーザーコピア)用紙、キヤノン社製;坪量=81.4g/m)上に、シアンのハーフトーン画像が形成されたプリント物を連続して100枚出力した。
得られた100枚のハーフトーン画像を目視で観察し、スラストメモリに由来するバンディングの有無を以下の表5の基準で評価した。
Figure 0006312531
<カートリッジの振動試験方法>
JIS−Z0232に基づく振動試験に基づき、カートリッジの振動試験を行った。振動条件としては振動数50Hz、スイープ時間5分間(1往復)、加速度正弦波1G、加振方向X,Y,Z方向各10回、加振時間各方向1時間(12往復)で実施した。
Figure 0006312531
表6に各球状樹脂粒子のマルテンス硬度、回復弾性仕事率、及び、バンディング評価の結果を示す。
実施例1乃至4では、本発明に係るマルテンス硬度、回復弾性仕事率を満たす球状樹脂粒子を現像ローラとトナー規制部材との当接部に介在させたため、現像装置は非常に効果的にスラストメモリに起因するバンディング画像を抑制できた。
これは、下記(1)〜(3)の作用が相俟って達成できたものと推測される。
(1)特定の範囲のマルテンス硬度を有する柔軟な球状樹脂粒子が楕円形に変形しつつも振動に対して転動できたこと;
(2)現像ローラに対する物理的ストレスが抑制できたこと;及び
(3)繰り返しの振動に対して高い回復弾性仕事率により球状を保つことができ、転動が不足することによる粒子の偏りを防止できたこと。
実施例1乃至4では、現像ローラとトナー規制部材の接触部に本発明に係る球状樹脂粒子が存在し、その特性により本発明の効果を技術的に発現できたものである。
一方、比較例1、2に係る現像装置は、現像ローラ及びトナー規制部材の間に介在させた球状樹脂粒子の回復仕事弾性率が小さかった。そのために、繰り返しの振動により球状樹脂粒子の形状が歪み、また、球状樹脂粒子が偏在したことにより、現像ローラにスラストメモリが発生し、当該スラストメモリに起因するバンディングがハーフトーン画像に発生した。
また、比較例3に係る現像装置は、現像ローラ及びトナー規制部材の間に介在させた球状樹脂粒子は、高いマルテンス硬度を有する。そのため、現像ローラへの物理的ストレスに由来すると思われるスラストメモリが発生し、当該スラストメモリに起因するバンディングがハーフトーン画像に発生した。そして、当該スラストメモリは、画像形成を継続することにより徐々に消失したため、20枚目以降のハーフトーン画像には、バンディングは殆んど認められなかった。
比較例4、5は、マルテンス硬度が高く、回復弾性仕事率が小さいために、球状樹脂粒子の偏り、現像ローラに対する物理的ストレスの付加により現像ローラにスラストメモリが発生し、これに起因するバンディングが認められた。そして、当該スラストメモリは、画像形成を継続しても消失し難く、100枚目のハーフトーン画像にもバンディングが認められた。
また、比較例6においては、球状樹脂粒子を用いなかったため、現像ローラにスラストメモリが発生し、これに起因するバンディングが認められた。そして、当該スラストメモリは、画像形成を継続しても消失し難く、100枚目のハーフトーン画像にもバンディングが認められた。
101:像担持体
102:現像室
103:トナー
104:トナー容器
105:シール部材
106:現像ローラ
107:搬送部材
108:トナー供給部材
109:トナー規制部材
110:吹き出し防止シート
111:帯電部材
112:クリーニング部材
113:露光光
114:中間転写ベルト
115:1次転写部材
116:2次転写部材
117:記録用紙の搬送ルート
118:定着装置
120:球状樹脂粒子

Claims (7)

  1. トナーを現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置されたトナー規制部材とを備えた現像室と、
    トナーを収容しているトナー容器とを備え、
    該現像室と該トナー容器とを連通する開口部は、該トナー容器の中のトナーが該現像室に流入しないようにシール部材で仕切られ、該シール部材は該開口部から除去可能に構成されている現像装置であって、
    少なくとも該現像ローラと該トナー規制部材との接触部に、球状樹脂粒子が転動できる状態で介在しており、
    該球状樹脂粒子のマルテンス硬度が0.5N/mm以上45N/mm以下であり、かつ、該球状樹脂粒子の回復弾性仕事率が70%以上であることを特徴とする現像装置。
  2. 前記球状樹脂粒子の基材がウレタン樹脂である請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記球状樹脂粒子の平均円形度が0.96以上である請求項1又は2に記載の現像装置。
  4. 前記球状樹脂粒子の重量平均粒子径が1μm以上50μm以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。
  5. 静電潜像を担持するための像担持体と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成するための現像装置とを備え、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、
    該現像装置が請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 静電潜像を担持するための像担持体と、該像担持体を一次帯電するための帯電装置と、一次帯電された該像担持体に静電潜像を形成するための露光装置と、該静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成するための現像装置と、該トナー画像を転写材に転写するための転写装置とを備える電子写真装置であって、
    該現像装置が請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置であることを特徴とする電子写真装置。
  7. トナーを現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラの表面に当接配置されたトナー規制部材とを備えた現像室と、
    トナーを収容しているトナー容器とを備える現像装置であって、 少なくとも該現像ローラと該トナー規制部材との接触部に、球状樹脂粒子が転動できる状態で介在しており、
    該球状樹脂粒子のマルテンス硬度が0.5N/mm以上45N/mm以下であり、かつ、該球状樹脂粒子の回復弾性仕事率が70%以上であることを特徴とする現像装置。
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