JP6312483B2 - シート状部材の望む部分をマーキングする方法および装置 - Google Patents
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しかし、インクが乾燥していない状態でシート状部材を、例えばシート状部材を巻き取る工程などの次の工程へ供した場合、インクを付与した部分と接触したシート状部材の他の部分にインクが付着することがあった。そして、前記他の部分にはインクという異物が存在するものとなり、シート状部材に新たな欠点が生じるという問題があった。
本発明者らは上述の問題を解決するため、シート状部材の望む部分にインクを付与したシート状部材を乾燥機へ導きシート状部材へ熱や熱風を作用させることでインクを乾燥させた後、シート状部材を次の工程へ供することを検討した。しかし、乾燥機によりシート状部材全体が加熱されて、例えば厚さや幅長などのシート状部材全体にかかる諸物性が変化する恐れがあった。
[1]「熱可塑性樹脂を含んだ不織布や繊維ウェブ、あるいは、これらの積層体からなるシート状部材の望む部分にインクを付与する工程と、
前記シート状部材における前記インクが付与された部分へ選択的に超音波を作用させて、
前記インクを乾燥し、かつ前記超音波を作用させた部分にフィルム状および/または凹みからなるマーキングを形成する工程、
を備える、シート状部材の望む部分をマーキングする方法。」
[2]「熱可塑性樹脂を含んだ不織布や繊維ウェブ、あるいは、これらの積層体からなるシート状部材の望む部分にインクを付与できる、インク付与手段、
前記シート状部材における前記インクが付与された部分へ選択的に超音波を作用させて、
前記インクを乾燥し、かつ前記超音波を作用させた部分にフィルム状および/または凹みからなるマーキングを形成できる超音波発生装置、
を備える、シート状部材の望む部分をマーキングする装置。」
である。
本発明のシート状部材の望む部分をマーキングする方法は、シート状部材のインクが付与された部分へ選択的に超音波を作用させてインクを乾燥する工程を有している。そのため、シート状部材におけるインクの付与により明確化することを望む部分以外が加熱されるのを抑制して付与されたインクを選択的に乾燥できることから、シート状部材の全体にかかる諸物性を変化させ難い。
そして、不織布や繊維ウェブを構成する繊維同士を絡合および/または一体化するため、例えば、ニードルパンチ処理や水流絡合処理へ供し絡合する方法、繊維同士をバインダで接着によって一体化する方法、あるいは、加熱処理することで不織布や繊維ウェブに含まれている熱可塑性樹脂を融解して繊維同士を一体化する方法などを挙げることができる。なお、加熱処理する方法として、例えば、カレンダーロールにより加熱加圧する方法、ドライヤー装置などの熱風乾燥機により加熱する方法、無圧下で赤外線を照射して熱可塑性樹脂繊維を融解させる方法などを用いることができる。
なお、本発明では、目付とは広い面積を有する面(主面)の面積1m2あたりの質量をいい、厚さとは厚さ測定器(デジマチック標準外側マイクロメータ(MCC−MJ/PJ)1/1000mm(株)ミツトヨ)により計測した、500g荷重時測定値の5点の厚さの算術平均値をいう。
中抜きの模様であると、インクの付与により明確化することを望む部分を囲む形状の模様を付与することができるため、前記部分全体にインクを付与することなく明確化できる。そのため、例えば欠点が存在する部分にインクを付与した後であっても、欠点の種類や形状あるいは大きさを判別し易くでき、欠点の発生原因や発生条件などを分析し易くなり好ましい。
(i.シート状部材の準備)
ナイロン繊維(熱可塑性樹脂繊維、繊度:3.3dtex、繊維長:51mm)50質量%とナイロン繊維(熱可塑性樹脂繊維、繊度:1.1dtex、繊維長:38mm)50質量%を混繊し絡合してなる、乾式不織布(目付:73g/m2、厚さ:0.18mm)を用意した。
(ii.シート状部材の望む部分をマーキングする装置の準備)
シート状部材の搬送方向の上流側から下流側に向かい番号の順に以下の構成を備えた、シート状部材の望む部分をマーキングする装置を用意した。
1.搬送ロール
2.欠点検出機、
3.インク付与手段の移動手段:欠点検出機から送られてきたシート状部材に存在する欠点の位置データを受けて、シート状部材の欠点が存在する部分にインク付与手段を移動できる、単軸ロボット、
インク付与手段:インク付与手段の移動手段により移動可能に設けられた、欠点部分に水性インク(色:赤色)を付与できるスタンプ装置
4.超音波発生装置の移動手段:欠点検出機から送られてきたシート状部材に存在する欠点の位置データを受けて、シート状部材の欠点が存在する部分に超音波発生装置を移動できる、単軸ロボット、
超音波発生装置:超音波発生装置の移動手段により移動可能に設けられた、超音波発振機(振動数:21kHz)、
5.搬送ロール、
6.欠点が存在する部分をマーキングした後のシート状部材を巻取る、巻取りロール。
なお、欠点検出機によってシート状部材に欠点の存在が検出された場合には、欠点が存在する部分を囲む円形状の模様が付与されるように、スタンプ装置を用いて水性インク(色:赤色)を付与した。
また、超音波発生装置によってインクの外周に囲まれた範囲内へ、超音波が選択的に作用するように調整した。
(iii.シート状部材の望む部分のマーキング方法)
シート状部材の望む部分をマーキングする装置へ不織布を供し、不織布の主面における欠点が存在する部分にインクを付与した後に超音波によって付与したインクを乾燥することでマーキングを施した後、マーキングを施した不織布を巻取りロールに巻き取った。
実施例1で使用したシート状部材の望む部分をマーキングする装置から、超音波発生装置の移動手段ならびに超音波発生装置を取り除いた。
このようにして準備した装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、不織布の主面における欠点が存在する部分にインクを付与することでマーキングを施した後、マーキングを施した不織布を巻取りロールに巻き取った。
一方、比較例1で調製した巻取りロールに巻き取られたマーキングを施した不織布の状態を確認したところ、マーキングを施した不織布における欠点が存在する部分以外にも、マーキングを施した不織布におけるインクが付与された一方の主面と反対側の主面上にインクが付着していた。この理由として、インクが乾燥する前にマーキングを施した不織布の巻き取りが行われたためであると考えられた。
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂を含んだ不織布や繊維ウェブ、あるいは、これらの積層体からなるシート状部材の望む部分にインクを付与する工程と、
前記シート状部材における前記インクが付与された部分へ選択的に超音波を作用させて、
前記インクを乾燥し、かつ前記超音波を作用させた部分にフィルム状および/または凹みからなるマーキングを形成する工程、
を備える、シート状部材の望む部分をマーキングする方法。 - 熱可塑性樹脂を含んだ不織布や繊維ウェブ、あるいは、これらの積層体からなるシート状部材の望む部分にインクを付与できる、インク付与手段、
前記シート状部材における前記インクが付与された部分へ選択的に超音波を作用させて、
前記インクを乾燥し、かつ前記超音波を作用させた部分にフィルム状および/または凹みからなるマーキングを形成できる超音波発生装置、
を備える、シート状部材の望む部分をマーキングする装置。
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