JP6311320B2 - 結合構造の算出方法、及び算出装置、プログラム、並びに記録媒体 - Google Patents
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しかし、そのような構造計算の場合、対象タンパク質の大きな構造揺らぎが考慮されておらず、かつ薬剤候補化合物の構造が真空中の構造と大きく異なるため、予測される対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造が存在しないことが多くあった。そのため、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造を効率的に得ることができないという問題があった。
開示の複合体の立体構造の算出方法は、
計算機を用いた、溶媒中における対象タンパク質と薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の算出方法であって、
前記対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、前記複合体の立体構造の計算を行う。
コンピュータに、
対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、複合体の立体構造の計算を行うことを実行させる。
開示のプログラムは、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造を効率的に得ることができるプログラムを提供できる。
開示のコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造を効率的に得ることができる記録媒体を提供できる。
開示の複合体の立体構造の算出装置は、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造を効率的に得ることができる複合体の立体構造の算出装置を提供できる。
開示の複合体の立体構造の算出方法は、計算機を用いた、溶媒中における対象タンパク質と薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の算出方法である。
前記複合体の立体構造の算出方法においては、前記対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、前記複合体の立体構造の計算を行う。
ここで、前記安定構造とは、真空中での薬剤候補化合物の分子の全ての自由度を考慮した全エネルギー最小の構造のことである。
前記安定構造としては、真空中における安定構造であることが、PDB(プロテインデータバンク)掲載の薬剤候補化合物の特徴の点で好ましい。
前記原子間距離は、前記安定構造の原子間距離の−1Å〜+1Åに拘束されることが、室温の熱揺らぎを考慮している点で好ましい。
前記結合角は、前記安定構造の結合角の−30°〜+30°に拘束されることが、室温の熱揺らぎを考慮している点で好ましい。
前記安定構造(例えば、真空中の安定構造)の算出方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分子軌道計算法などにより算出することができる。
真空条件下で前記対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置する。
次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始する。
次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う。
図2Aに示すように、まず、真空条件下で対象タンパク質1の周辺に薬剤候補化合物2を配置する。
次に、対象タンパク質1と薬剤候補化合物2とが結合した複合体の立体構造の計算を開始する。そうすると、対象タンパク質1と薬剤候補化合物2との相互作用によって、薬剤候補化合物2が対象タンパク質1に近づく(図2B)。
次に、薬剤候補化合物2が対象タンパク質1との所定の距離に近づいた際に対象タンパク質1の表面に溶媒3を配置して対象タンパク質1と薬剤候補化合物2とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う。
そうすることにより、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造の計算の際の溶媒による静電遮蔽を極力少なくすることができ、対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造を形成する時間を飛躍的に短くすることができる。例えば、この算出方法によると、1ns程度で対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造が形成される。そうすると、従来の算出方法に比べて106倍程度の計算時間の短縮が可能になる。そのため、多数存在する対象タンパク質と薬剤候補化合物との結合構造について、可能な限り多くの結合構造を計算することが可能になるため、結合活性を高精度に予測することが可能になる。
真空条件下では、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用が溶媒存在下での相互作用よりも強いため、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との結合構造の計算の際に瞬時に前記結合構造を形成することがある。そうすると、前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置することが困難になり、溶媒存在下での前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との結合構造と異なる結合構造を形成し、結合活性の精度が低下する場合がある。
そこで、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記αを1にしてかつ前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行うことで、結合構造(複合体の立体構造)の精度を高くすることができる。
なお、静電相互作用のみをα倍(ただし、0<α<1)する、即ち静電相互作用のみを弱くするのは、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが離れている状態では、非結合性の相互作用である静電相互作用及びファンデルワールス相互作用のうち、ファンデルワールス相互作用についてはほとんど影響を無視でき、静電相互作用のみを考慮すればよいためである。
なお、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う際には、ファンデルワールス相互作用を考慮して複合体の立体構造の計算を行う。
前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づくまでは、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とのファンデルワールス相互作用は、静電相互作用に比べて非常に弱いため、前記ファンデルワールス相互作用を無視しても得られる結合構造(複合体の立体構造)の精度にはほとんど影響しない。そして、ファンデルワールス相互作用を無視することにより、計算の負担を軽減し、計算の速度を早くすることができる。
前記陽に水分子の効果を考慮するとは、前記溶媒としての水を、連続体近似することなく、水素原子2つと酸素原子1つとからなる分子として扱うことを意味する。
前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用による力の方向は、必ずしも前記薬剤候補化合物から前記対象タンパク質の方向を向いているとは限らない。そこで、前記対象タンパク質の周辺に配置した前記薬剤候補化合物を、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用における前記薬剤候補化合物の重心から前記対象タンパク質の重心に向かう方向の力に従って変位させることにより、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質に近づくのに要する時間を短くすることができる。
なお、前記バネによる拘束の際には、乱数生成の運動分布を基に対象タンパク質及び薬剤候補化合物の各原子の運動を開始することが好ましい。前記バネには、前記COM1と前記COM2のバネの平衡距離から遠ざかると、押し戻すように力が加わり、変位が大きすぎないように抑制する働きをさせることが好ましい。また、前記COM1と前記COM2との距離が縮むと、それに応じて平衡距離、及びバネ定数を変化させることが好ましい。前記COM1と前記COM2との距離が減少するにつれて、バネ定数を減少させることが好ましい。
開示のプログラムは、コンピュータに、対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、複合体の立体構造の計算を行うことを実行させるプログラムである。
開示のコンピュータが読み取り可能な記録媒体は、開示の前記プログラムを記録してなる。
前記コンピュータが読み取り可能な記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、内蔵ハードディスク、外付けハードディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、USBメモリなどが挙げられる。
開示の複合体の立体構造の算出装置は、開示の前記コンピュータが読み取り可能な記録媒体を備える。
まず、薬剤候補化合物の安定構造を計算し、前記安定構造に基づいて、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記安定構造を含む所定の範囲内に限定する。
次に、真空条件下で対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置する。この際、前記対象タンパク質の構造は固定しない。
次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の計算(結合構造の計算)を開始する。そうすると、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用によって、前記薬剤候補化合物が対象タンパク質に近づく。
次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に溶媒を配置し、更に前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算(結合構造の計算)を行う。
まず、薬剤候補化合物の安定構造を計算し、前記安定構造に基づいて、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記安定構造を含む所定の範囲内に限定する。
次に、真空条件下で対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置する。この際、前記対象タンパク質の構造は固定しない。
次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の計算(結合構造の計算)を開始する。この際、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始する。そうすると、前記対象タンパク質と薬剤候補化合物との相互作用によって、前記薬剤候補化合物が対象タンパク質に近づく。
次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に溶媒を配置し、更に前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算(結合構造の計算)を行う。この際、前記αを1にして、前記複合体の前記立体構造の計算を行う。
図4に示す算出方法の場合、図3に示す算出方法に比べて、対象タンパク質の表面に溶媒を配置することを確実に行うことができるため、結合構造(複合体の立体構造)の精度が高くなる。
複合体の立体構造の算出装置10は、例えば、CPU11、メモリ12、記憶部13、表示部14、入力部15、出力部16、I/Oインターフェース部17等がシステムバス18を介して接続されて構成される。
前記プログラムは、記憶部13に格納され、メモリ12のRAM(主メモリ)にロードされ、CPU11により実行される。
入力部15は、各種データの入力装置であり、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス等)などである。
出力部16は、各種データの出力装置であり、例えば、プリンタである。
I/Oインターフェース部17は、各種の外部装置を接続するためのインターフェースである。例えば、CD−ROM、DVD−ROM、MOディスク、USBメモリなどのデータの入出力を可能にする。
(付記1) 計算機を用いた、溶媒中における対象タンパク質と薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の算出方法であって、
前記対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、前記複合体の立体構造の計算を行うことを特徴とする複合体の立体構造の算出方法。
(付記2) 前記薬剤候補化合物の前記所定の範囲内への限定が、前記薬剤候補化合物の安定構造に、前記薬剤候補化合物における原子間距離及び結合角を拘束する調和振動子を付加することにより行われる付記1に記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記3) 真空条件下で前記対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置し、次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記1から2のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記4) 前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記αを1にしてかつ前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記3に記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記5) 前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づくまでは前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とのファンデルワールス相互作用を無視して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記3から4のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記6) 前記溶媒が水であり、
前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた後には、ファンデルワールス相互作用、及び陽に水分子の効果を考慮して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記3から5のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記7) 前記対象タンパク質の周辺に配置した前記薬剤候補化合物を、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用における前記薬剤候補化合物の重心から前記対象タンパク質の重心に向かう方向の力に従って変位させる付記3から6のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
(付記8) コンピュータに、
対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、複合体の立体構造の計算を行うことを実行させることを特徴とするプログラム。
(付記9) 前記薬剤候補化合物の前記所定の範囲内への限定が、前記薬剤候補化合物の安定構造に、前記薬剤候補化合物における原子間距離及び結合角を拘束する調和振動子を付加することにより行われる付記8に記載のプログラム。
(付記10) 真空条件下で前記対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置し、次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記8から9のいずれかに記載のプログラム。
(付記11) 前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記αを1にしてかつ前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記10に記載のプログラム。
(付記12) 前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づくまでは前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とのファンデルワールス相互作用を無視して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記10から11のいずれかに記載のプログラム。
(付記13) 前記溶媒が水であり、
前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた後には、ファンデルワールス相互作用、及び陽に水分子の効果を考慮して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う付記10から12のいずれかに記載のプログラム。
(付記14) 前記対象タンパク質の周辺に配置した前記薬剤候補化合物を、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用における前記薬剤候補化合物の重心から前記対象タンパク質の重心に向かう方向の力に従って変位させる付記10から13のいずれかに記載のプログラム。
(付記15) 付記8から14のいずれかに記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
(付記16) 付記15に記載のコンピュータが読み取り可能な記録媒体を備えることを特徴とする複合体の立体構造の算出装置。
2 薬剤候補化合物
3 溶媒
10 複合体の立体構造の算出装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶部
14 表示部
15 入力部
16 出力部
17 I/Oインターフェース部
18 システムバス
Claims (16)
- 溶媒中における対象タンパク質と薬剤候補化合物とが結合した複合体の立体構造の算出方法であって、
前記対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、前記薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、前記複合体の立体構造の計算を行うことを計算機が実行することを特徴とする複合体の立体構造の算出方法。 - 前記薬剤候補化合物の前記所定の範囲内への限定が、前記薬剤候補化合物の安定構造に、前記薬剤候補化合物における原子間距離及び結合角を拘束する調和振動子を付加することにより行われる請求項1に記載の複合体の立体構造の算出方法。
- 真空条件下で前記対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置し、次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行うことを計算機が実行する請求項1から2のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
- 前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記αを1にしてかつ前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行うことを計算機が実行する請求項3に記載の複合体の立体構造の算出方法。
- 前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づくまでは前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とのファンデルワールス相互作用を無視して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行うことを計算機が実行する請求項3から4のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
- 前記溶媒が水であり、
前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた後には、ファンデルワールス相互作用、及び陽に水分子の効果を考慮して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行うことを計算機が実行する請求項3から5のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。 - 前記対象タンパク質の周辺に配置した前記薬剤候補化合物を、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用における前記薬剤候補化合物の重心から前記対象タンパク質の重心に向かう方向の力に従って変位させることを計算機が実行する請求項3から6のいずれかに記載の複合体の立体構造の算出方法。
- コンピュータに、
対象タンパク質の構造を固定せず、かつ、薬剤候補化合物の構造変化の範囲を、前記薬剤候補化合物の安定構造を含む所定の範囲内に限定して、複合体の立体構造の計算を行うことを実行させることを特徴とするプログラム。 - 前記薬剤候補化合物の前記所定の範囲内への限定が、前記薬剤候補化合物の安定構造に、前記薬剤候補化合物における原子間距離及び結合角を拘束する調和振動子を付加することにより行われる請求項8に記載のプログラム。
- 真空条件下で前記対象タンパク質の周辺に前記薬剤候補化合物を配置し、次に、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う請求項8から9のいずれかに記載のプログラム。
- 前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との静電相互作用をα倍(ただし、0<α<1)して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を開始し、次に、前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた際に前記αを1にしてかつ前記対象タンパク質の表面に前記溶媒を配置して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う請求項10に記載のプログラム。
- 前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づくまでは前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とのファンデルワールス相互作用を無視して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う請求項10から11のいずれかに記載のプログラム。
- 前記溶媒が水であり、
前記薬剤候補化合物が前記対象タンパク質との所定の距離に近づいた後には、ファンデルワールス相互作用、及び陽に水分子の効果を考慮して前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物とが結合した前記複合体の前記立体構造の計算を行う請求項10から12のいずれかに記載のプログラム。 - 前記対象タンパク質の周辺に配置した前記薬剤候補化合物を、前記対象タンパク質と前記薬剤候補化合物との相互作用における前記薬剤候補化合物の重心から前記対象タンパク質の重心に向かう方向の力に従って変位させる請求項10から13のいずれかに記載のプログラム。
- 請求項8から14のいずれかに記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。
- 請求項15に記載のコンピュータが読み取り可能な記録媒体を備えることを特徴とする複合体の立体構造の算出装置。
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