以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係るノード及びスケジューラを用いたマルチリング構成の光リングネットワークを示す図である。なお、本発明の実施形態は、光リングNWを例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されずWDM及びTDMを用いて情報が送受信されるネットワークであればよい。
図1に示す光リングNW20は、複数のコアノードNa1,Na2を介してコアNWに接続された上位リングR1と、複数のアクセスノードNc1,Nc2,Nc3,Nc4を介してアクセスNWに接続された2つの下位リングR2a,R2bとが、2つのリング交点ノード(交点ノード)Nb1,Nb2を介して2段に接続されたマルチリング(複数リング)構成となっている。このマルチリング構成は、前述の図16に示した比較例の光リングNW10の構成に対応している。また、光リングNW20は、複数のコアノードNa1,Na2の内、マスターノードとして設定される1つのコアノードNa1(マスターノードNa1)に接続されたスケジューラSCを備えている。
コアノードNa1,Na2及びアクセスノードNc1〜Nc4には、図1の枠22内に図形22aで示すイーサ−TS{イーサネット(登録商標)−タイムスロット}変換部と、図形22bで示すWDM/TDMスイッチとが備えられ、交点ノードNb1,Nb2には、図形22bで示すWDM/TDMスイッチが備えられている。但し、イーサ−TS変換部は、イーサネットのパケットと、固定長のTSとを相互に変換するものである。
また、光リングNW20は、上位リングR1のコアノードNa1,Na2を介して外部のコアNWのエッジノードEA,EJに接続されると共に、下位リングR2のアクセスノードNc1〜Nc4を介して外部のアクセスNWに接続されている。
更に、光リングNW20では、矢印Y1,Y2a,Y2b,Y3a,Y3b,Y4で示すように反時計回りの片方向通信が行われることを前提とする。
このような構成の光リングNW20では、トラヒック収容効率を向上させるため、WDMとTDMの各技術を用い、光波長毎に固定長のTSが規定されている。例えば、図2に示すように、λ1,λ2,λ3で示す光波長毎に、時間幅t0の固定長のタイムスロットがTS1〜TS5で示すように規定されている。更に、TS1〜TS5の各時間幅t0を加算したTS送信周期t(周期t)が規定され、2つのTS送信周期tでTS量更新周期T(周期T)が規定されている。この規定は、前述した光リングNW10と同じであるとする。なお、図2には光波長λ1のTS1に「A」でエッジノードEAのデータ、光波長λ2のTS2に「J」でエッジノードEJのデータを一例として示してある。
以降、本実施形態の光リングNW20の説明においては、全てのリングR1,R2a,R2bと、全てのノードNa1,Na2,Nb1,Nb2,Nc1,Nc2,Nc3,Nc4の内、上位リングR1及び下位リングR2aと、コアノードNa1(ノードNa1)、交点ノードNb1(ノードNb1)及びアクセスノードNc1(ノードNc1)を代表に挙げて説明する。なお、ノードNa1,Nb1,Nc1は、ノードNa1…Nc1と表現する。
本実施形態の光リングNW20の特徴は、まず、スケジューラSCにおいて、マルチリングR1,R2aの上り下りの各トラヒック量を検出し、この検出された各トラヒック量の比率に応じた上り下りの各波長数(各波長帯域)を決定し、各波長数の波長を、上り用波長λuと下り用波長λdとしてリングR1,R2aに割り当てることを決定することである。更に、スケジューラSCは、前記検出された各トラヒック量に基づいて上り下りの各TS量(各TS数)を決定し、この上りTS量を上り用波長λuの空きTS位置に割り当て、下りTS量を下り用波長λdの空きTS位置に割り当てる指示を行う。次に、各ノードNa1…Nc1が、スケジューラSCの指示に従って、光スイッチのインタフェース(後述の波長変換部)で動作する上り又は下りのTDMタイミングと、上記の割当TS量とを、TS量更新周期Tで周期的に変更するようにしたことにある。
具体的に説明すると、例えば、上り下りの各々のトラヒック量に応じた波長帯域として、下りトラヒック量が「1」で、上りトラヒック量が「3」の場合に、各トラヒック量に応じた波長帯域の波長λu,λdが割り当てられているとする。その後、下りトラヒック量が「3」で、上りトラヒック量が「1」に変動したとする。この場合、スケジューラSCは、現在の上りトラヒック用の「3」帯域から「2」帯域分の波長を下りトラヒック用として割り当て、下りトラヒック用の波長帯域を「3」とし、上りトラヒック用の波長帯域を「1」とする指示を、例えばノードNc1に行う。ノードNc1は、その指示に従って、現在の上りトラヒック用の「3」帯域中の「2」帯域分の波長を下りに割り当てることにより、下りトラヒック用の波長帯域を「3」とし、上りトラヒック用の波長帯域を「1」とする動作を行う。
スケジューラSCの構成を、図3を参照して説明する。スケジューラSCは、入出力部50と、トラヒック情報保持部51と、トポロジ情報保持部52と、経路決定部53と、経路情報保持部54と、TDM系統決定部55と、TDM系統管理部56と、帯域割当決定部57と、スケジュールテーブル58と、ノード制御信号生成部59とを備えて構成される。トポロジ情報保持部52には、スケジューラSCの外部の情報設定部60が接続される。
情報設定部60は、入力手段を介してネットワーク管理者等が情報設定の操作を行うようになっており、光リングNW20の全ノードNa1…Nc1の情報と、全リングR1,R2aの情報と、これらノードNa1…Nc1とリングR1,R2aの接続情報とを含む物理的なトポロジ情報r1とを、トポロジ情報保持部52に設定する。
トポロジ情報保持部52は、情報設定部60で設定されたトポロジ情報r1を保持し、この保持されたトポロジ情報r1に応じて各ノードNa1…Nc1間で経由可能性のあるノード、リンクの経由情報r2を経路決定部53へ出力する。また、トポロジ情報保持部52は、情報設定部60により同一のトポロジ情報r1が入力される都度、これを上書き更新して保持する。
入出力部50は、各ノードNa1…Nc1から、各ノードNa1…Nc1間の経路及び上り下りの各トラヒック量を含むトラヒック情報を受信し、このトラヒック情報から送信元及び宛先の識別を行い、受信トラヒック情報をフィルタリングした後のトラヒック情報r3を、トラヒック情報保持部51へ出力する。また、入出力部50は、ノード制御信号生成部59から入力される後述のノード制御信号r11を、TS量更新周期T毎に、各ノードNa1…Nc1へ送信する。
トラヒック情報保持部51は、入力されたトラヒック情報r3を送信元及び宛先毎に分類して図示せぬ記憶手段に記憶して保持し、この保持された各ノードNa1…Nc1間のトラヒック情報r4を、経路決定部53、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57へ出力する。
経路決定部53は、入力されたトラヒック情報r4と経由情報r2とから、各ノードNa1…Nc1間(トラヒックの送信端及び受信端)の通信経路(パス)を決定し、この決定された各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r5を、経路情報保持部54へ出力する。通信経路情報r5とは、経由ノードと、経由リンクと、パケットが通過するノードの台数であるhop数とを含む情報である。
経路情報保持部54は、入力された通信経路情報r5を保持し、この保持された通信経路情報r5から、演算対象となるノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6を、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57へ出力する。経路情報保持部54は、同一の通信経路情報r5が入力される都度、これを上書き更新して保持する。
TDM系統決定部55は、入力される各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6と、トラヒック情報r4とをもとに、TS量更新周期T毎に、各ノードNa1…Nc1間の上り下りの各トラヒック量を検出し、この検出される各トラヒック量の比率に応じた上り下りの各波長数を決定すると共に、各ノードNa1…Nc1内の光スイッチの上り下りの各インタフェースで動作するTDMタイミングを決定する。これを更に説明すると、リングの上り下りの合計波長数は、例えば「10」のように予め設定されており、この合計波長数「10」を、上り下りの各トラヒック量の比率「例えば7:3」に応じて、上りの波長数を「7」、下りの波長数を「3」のように決定することである。この決定はTS量更新周期T毎に行われる。また、TDM系統決定部55は、前記のように決定した波長数情報r7をTDM系統管理部56へ出力する。
上記の合計波長数(合計波長帯域)は、上り下り各々の最大トラヒック量が例えば20Gbpsで合計が40Gbpsの場合に、この40Gbpsよりも低い値のトラヒック量に対応した波長数とする。
例えば、時刻τ1において、上りのトラヒック量が20Gbps(最大トラヒック量)、下りのトラヒック量が10Gbpsであり、時刻τ2において、上りのトラヒック量が10Gbps、下りのトラヒック量が20Gbps(最大トラヒック量)と変化する場合を想定する。この場合、従来では、リングには波長数を固定的に割り当てなければならなかったので、上り下りの各々に最大トラヒック量の20Gbpsに対応する波長数を割り当てる必要があり、合計波長数は40Gbpsに対応する波長数が必要であった。
しかし、本発明では、上り下りの各波長数を、上り下りの各トラヒック量に応じて相互に遣り取りして設定するので、合計波長数を30Gbpsに対応する波長数に設定しておけば、上記の時刻τ1及びτ2の双方の上り下りの各トラヒック量を収容可能となる。従って、本実施形態では合計波長数を、従来の40Gbpsよりも低い値の30Gbpsに対応する波長数とすることが可能となっている。
TDM系統管理部56は、入力される波長数情報r7を上書き更新しながら保持し、この保持された波長数情報r8を帯域割当決定部57へ出力する。
帯域割当決定部57は、入力されるトラヒック情報r4と、各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6と、波長数情報r8とに基づき、波長数情報r8による波長数の波長を、上り用波長λuと下り用波長λdとしてリングR1,R2aに割り当てるための決定を行う。更に、帯域割当決定部57は、上り下りの各トラヒック量に基づいて上り下りの各TS数を決定し、この上りTS数をTDM系統決定部55で決定された各TDMタイミングで上り用波長λuの空きTS位置に割り当て、下りTS数を下り用波長λdの空きTS位置に割り当てるための決定を行う。更には、帯域割当決定部57は、そのTS数の割り当てが、各ノードNa1…Nc1で動作する光スイッチのTDMタイミング毎に行われるように決定する。そして、帯域割当決定部57は、以上の決定内容を帯域割当情報r9としてスケジュールテーブル58へ出力する。
スケジュールテーブル58は、入力される帯域割当情報r9を図示せぬ記憶手段に記憶して保持し、この保持された帯域割当情報r10をノード制御信号生成部59へ出力する。スケジュールテーブル58は、帯域割当決定部57から同一の帯域割当情報r9が入力される都度、これを上書き更新して保持する。
ノード制御信号生成部59は、入力される帯域割当情報r10に基づき、該当ノードのデータ送信やスイッチ切替等の処理を行うスケジュールを求め、このスケジュール内容と帯域割当情報r10とを含めてノード制御信号r11として生成し、このノード制御信号r11を入出力部50へ出力する。ノード制御信号r11は、TS量更新周期T毎に生成されるようになっている。
ここで、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57が行う処理を詳細に説明する。TDM系統決定部55は、入力されるノードの送信元及び宛先毎のトラヒック情報r4から、上位リングR1及び下位リングR2aの単位での上り下りの各トラヒック量を算出して比較する。これはTS量更新周期T毎に行われる。次に、TDM系統決定部55は、各リングR1,R2aにおいて、上り下りの各トラヒック量の比率「例えば7:3」に応じて、各リングR1,R2aにおける上り用TSで用いる波長数(上り用波長数)「例えば7」と、下り用TSで用いる波長数(下り用波長数)「例えば3」とを決定すると共に、各ノードNa1…Nc1内の光スイッチの上り下りの各インタフェースで動作するTDMタイミングを決定する。
上位リングR1の上り用波長数は、次式(1)で求められる。
上位リング上り用波長数(xu)=CEILING(E,v) …(1)
式(1)において、E=上位リング全波長数(n)×上位リング上りトラヒック総量÷(上位リング上りトラヒック総量+上位リング下りトラヒック総量)、v=1である。
但し、CEILING(E,v)は、シーリング関数であり、CEILING(数値,基準値)で表される。このCEILING(数値,基準値)関数は、指定した基準値の倍数のうち、対象の数値よりも大きい数に切り上げる関数である。つまり、シーリング関数では、指定した「基準値」の倍数のうち、最も近い値に「数値」を切り上げるようになっている。例えば、E=2.5(数値)、v=1(基準値)であるとすると、CEILING(2.5,1)=3となる。つまり、上位リングR1の上り用波長数は、正の整数で求められる。これは下位リングR2aにおいても同様である。
上位リングR1の下り用波長数は、次式(2)で求められる。
上位リングR1の下り用波長数(xd)=上位リング全波長数(n)−上位リング上り用波長数(xu) …(2)
次に、下位リングR2aの上り用波長数は、次式(3)で求められる。
下位リング上り用波長数(yu)=CEILING(F,v) …(3)
式(3)において、F=下位リング全波長数(q)×下位リング上りトラヒック総量÷(下位リング上りトラヒック総量+下位リング下りトラヒック総量)、v=1である。
下位リングR2aの下り用波長数は、次式(4)で求められる。
下位リング下り用波長数(yd)=下位リング全波長数(q)−下位リング上り用波長数(yu) …(4)
次に、帯域割当決定部57は、TDM系統決定部55にて上式(1)〜(4)のように各波長数が求められ、この波長数情報r7がTDM系統管理部56で管理されて波長数情報r8として入力された際に、波長数情報r8による各波長数の波長を、TDM系統決定部55で決定された各TDMタイミングで上り用波長λuと下り用波長λdとして割り当てる決定を行う。
ここで、帯域割当決定部57は、下位リングが複数ある場合、上記の波長数決定後に、後述の第1又は第2割当決定処理を行う。ここで前提条件として、片方向2段リングである。下位リング数はdl、上位リングはTS長の整数倍、下位リングはTS長の非整数倍、2段リングの波長数はW波、周期t内のTS数はS個とする。但し、片方向2段リングは、図1に示した上位リングR1と下位リングR2a,R2bであり、下位リング数はdl=2で、2つの下位リングR2a,R2bであるとする。
第1割当決定処理は、2つの下位リングR2a,R2b毎に、波長の異なる上り用波長(ADD用波長)λu1,λu2を割り当てる処理である。これは、2つの下位リングR2a,R2b毎に、異なるADD用波長λu1,λu2を割り当て、同一下位リング(例えばR2a)内の複数ノードでADD用波長λu1を共有する。共有したADD用波長λu1内のTSは、上位リングR1の任意のノードでDROPが可能となる。
この場合、下位リングR2a,R2bから上位リングR1への通信用のTS割当は、下位リング数がdl(=2)なので、dl(=2)個の下位リングR2a,R2bで並列にTS割当計算(後述で説明)を行う。このように、dl個の下位リングR2a,R2bで並列にTS割当の計算ができるので、シーケンシャルに計算する場合に比べ計算が速くなる。
また、上位リングR1から各下位リングR2a,R2bへの通信用のTS割当は、2段リングの全波長数のW波から下位リング数のdlを引いた波長、即ち、(W−dl)波長を用いたTS割当計算を行う。
第2割当決定処理は、各下位リングR2a,R2b全てに同じADD用波長λuを割り当てる処理である。この場合、下りトラヒック用にはW波の内の例えばA波を割り当て、上りトラヒック用にはADD用波長λuとして(W−A)波を割り当てる。なお、第1割当決定処理及び第2割当決定処理の何れを使用するかは予め設定される。
更に、下位リングR2a,R2bから上位リングR1への通信用のTS割当は、(W−A)波長を用いたTS割当計算を行う。また、上位リングR1から下位リングR2a,R2bへの通信用のTS割当は、A波長を用いたTS割当計算を行う。
次に、帯域割当決定部57は、上り下りの各トラヒック量に基づいて上り下りの各TS数を決定する。即ち、帯域割当決定部57は、上り用トラヒックと下り用トラヒックの各パス(経路)に対して、波長数×TS数(t/t0)だけ存在するTSを割り当てる決定を行う。但し、tは図2に示したTS1〜TS5の繰返し送信周期(TS送信周期)、t0は1TSの時間幅である。
また、帯域割当決定部57は、各ノードのトラヒック情報r4から、宛先単位に上り下り各々の全パスの要求TS数の総トラヒック量が算出可能であり、各々の総トラヒック量を、上り下り各々に割り当てた波長帯域の大きさと比較することで、上り下り各々の全パスの要求TS数が割当波長帯域に収容可能か、不可能かを判定する。
例えば、上り下りに割り当てた合計波長帯域が「10」の場合に、上り波長帯域として「7」、下り波長帯域として「3」が割り当てられているとする。この場合に、上りの全パスの要求TS数が「7」、下りの全パスの要求TS数が「2」であれば、下り波長帯域「3」には収容可能となる。しかし、上りの全パスの要求TS数が「7」、下りの全パスの要求TS数が「5」だとすると、下り波長帯域「3」には収容不可能となる。
帯域割当決定部57は、収容可能と判定した場合は、要求通りにTS数の割り当てを決定する。例えば、宛先の総トラヒック量が100Mbps=1TSであれば、宛先の総トラヒック量が1Gbpsの要求に対して10TSの割り当てを決定する。一方、収容不可能と判定した場合は、全てのパス(各対地間パス)に対して要求通りには割当不可能なので、各パスに割り当てるTS数を減らして(減少処理を行い)収容可能とする。このTS数を減少させる場合、次のように行う。
帯域割当決定部57は、各対地間パスの要求帯域、言い換えれば各ノードがパス毎に要求するTS数(各要求TS数)が、各リングR1,R2aの物理帯域(上り下り全割当波長帯域)よりも大きい場合は、次の(1)〜(3)の何れかの方法により各パスの要求TS数を収容可能となるように減少させ、この際、各パスの要求TS数が均一となるように決定する。
例えば、図4に示すように、1リングRにノードがN1,N2,N3,N4,N5と5つ接続されているとする。この例の場合、全ての対地間パスは、個々の1つのノードから他の4つのノードへ向かうパスの20通りがある。即ち、N1からN2に向かう間のパス{パスID(identification)=ID1)}、N1からN3に向かう間のパス(ID2)、N1からN4に向かう間のパス(ID3)、N1からN5に向かう間のパス(ID4)、N2からN3に向かう間のパス(ID5)、…(途中省略)…、N5からN3に向かう間のパス(ID19)、N5からN4に向かう間のパス(ID20)の20通りがある。
(1)はファーストフィット(First Fit)ベース方法である。この方法は、予め上記のように20通りのパスにID1〜ID20を対応付けておく。同時に、図5に示すように、公平TS数Sf(例えば、「3」とする)を定義しておく。
公平TS数Sfとは、各パスの要求TS数を減少させる際に、公平TS数Sf以下のTSは減少させないようにする閾値である。公平TS数Sfは、信号1フレーム中のTS数=「S」を、リングRを通るパスの数で割った値である。例えば、S=30を、リングRを通る10本のパスで分け合う場合、Sf=3となる。
帯域割当決定部57は、各パスのID1〜ID20と、公平TS数Sfが定義された後に、各パスのIDの昇順(又は降順)ID1,ID2,ID3,…に要求TS数を検出し、この検出TS数が公平TS数Sfよりも多ければ、公平TS数Sfとなるまで、要求TS数を減少させる。
例えば、図5に示す例では、ID1のパスは、TSを「5つ」要求しているので、公平TS数Sf「3」を越えたTSを「2つ」減少させる。次に、ID2のパスは、TSを「7つ」要求しているので、公平TS数Sf「3」を越えたTSを「4つ」減少させる。次に、ID3のパスは、TSを「4つ」要求しているので、公平TS数Sf「3」を越えたTSを「1つ」減少させる。次に、ID4のパスは、TSを「1つ」要求しており、これは公平TS数Sf「3」以下の数なので減少処理は行わない。以降、昇順にID20のパスまで同様の処理を行う。この減少処理は、要求TS数が全て収容可能となる時点まで行う。
また、上記のように要求TS数を減少させた際に、この減少させたパスのIDを履歴情報として記憶しておき、この履歴情報に応じて該当パスに対して減少処理を行うか、否かを決定する。例えば、前回の減少処理で記憶されたパスの要求TS数は、今回の減少処理では減少させないようにする。この処理により、毎回特定のパスだけがTSを減らされるといった状況を回避することが可能となる。つまり、過剰な不公平が生じる状況は回避できる。
(2)はランダムフィット(Random Fit)ベース方法である。この方法は、上記(1)と同様に、各パスにID1〜ID20を対応付けておくと共に、公平TS数Sf(例えば、「3」とする)を定義しておく。
この定義後に、公平TS数Sfを超えるTS数が割り当てられている各パスのIDを、毎回ランダムに検出し、検出パスの要求TS数を、公平TS数Sfとなるまで減少させる。このようにパスをランダムに検出して要求TS数を減少させれば、パスは、減少履歴に依存せずに検出されるので、毎回特定のパスだけがTSを減らされるといった過剰な不公平が生じる状況は回避できる。また、パスを昇順(又は降順)に検出しないので減少処理の時間が抑制される。
(3)はソーティングベース方法である。この方法は、各パスの要求TS数でソーティングを行って要求TS数の多い順にパスを配列し、その多いパス順に要求TS数を減少させるものである。なお、要求TS数の少ない順に行ってもよい。
例えば、図6(a)に示すように、ID1のパスの要求TS数が「5」、ID2のパスの要求TS数が「7」、ID3のパスの要求TS数が「4」、ID4のパスの要求TS数が「1」、…、ID20のパスの要求TS数が「3」の場合に、昇順又は降順のソーティングを行う。このソーティングにより、例えば、図6(b)に示すように、ID2,ID10,ID1,ID3,ID9,…,ID15,ID4,ID17の要求TS数の多い順に配列されるので、多いパス順に、要求TS数が全て収容可能となるまで、要求TS数を減少させる。
この減少処理を行う場合、図6(b)に線3a,3b,3cでその概念を示すように3種類の処理が考えられる。線3aで示す処理は、ID1〜ID20の全パスの要求TS数が収容可能となるように、全パスの要求TS数を均一化(略均一化でもよい)する処理である。線3bで示す処理は、線3aの処理に加えて、要求が多いパスに少しTSを上乗せするものである。線3cで示す処理は、TS数の要求が過度に大きいパス(ID2やID10のパス等)に、ペナルティを与えると共に、与えられる要求TS数を均一化するものである。
次に、光リングNW20のコアノードNa1又はアクセスノードNc1の構成を、図7にノードNのブロック構成図として示し、その説明を行う。なお、図7は交点ノードNb1の構成であってもよい。
ノードNは、光スイッチ部31と、制御情報受信部32と、カウンタ管理部33と、内部クロック部34と、遅延測定部35と、制御情報送信部36と、TS制御部37と、複数TS管理部38と、基準TS同期部39と、TDMタイミング切替部40と、バッファ部42と、ADD/DROPインタフェース部43とを備えて構成されている。なお、TDMタイミング切替部40及びTS制御部37で、請求項記載の切替手段が構成されている。
更に、ノードNにおいて、符号aはオフセット値、符号bはクロック信号、符号cは基準時刻情報、符号dは現在時刻情報、符号eは他ノードからのタイムスタンプ情報、符号fは割当TS情報、符号gは各TSにおけるTS処理シナリオ情報、符号hはTS送信タイミング情報、符号iは光スイッチ切換タイミング情報、符号pはTDM切替制御信号、符号jはバッファ蓄積量情報、符号kは周期t及び周期Tの先頭開始位置情報、符号lはTS変更情報、符号mはTDM切替タイミング情報、符号nは複数TSの先頭開始タイミング情報、符号r11は上述したスケジューラSCから送信されてきたノード制御信号である。
光スイッチ部31は、光信号によるデータのTSへのADD(挿入)/DROP(分岐)を行うものであり、複数の入力ポートi1〜i4と、複数の出力ポートo1〜o4を備える。但し、i1〜i4は入力ポート番号でもあり、o1〜o4は出力ポート番号でもある。
なお、以下では波長変換により出力ポートを変える波長スイッチを、光スイッチ(光スイッチ部31)の実装例として動作説明を行う。
入力ポートi1〜i4には、入力波長を所定の色の波長に変換する波長変換部(図示せず)が含まれる。波長変換部で変換される波長の色は個別の波長番号に対応しており、各波長番号は出力ポート番号o1〜o4に対応している。つまり、入力ポートi1〜i4から入力される波長を何色の波長に変換して出力するかは、入力ポート番号i1〜i4と、後述の各TDMタイミングと、出力ポート番号o1〜o4とを指定することにより実現可能となっている。各TDMタイミングとは、光リングNW20内の経路数(パス数)と等しい数のノードNa1…Nc1間の伝搬遅延時間D1〜D4に従って設定した複数のTDMタイミングのことである。本実施形態では、各TDMタイミングは、下りトラヒック用のTDMタイミング(下りTDMと略す)と、上りトラヒック用のTDMタイミング(上りTDMと略す)であるとする。なお、波長変換部は、請求項記載の光スイッチのインタフェースに対応している。
制御情報受信部32は、光スイッチ部31でDROPされた他ノードからの制御信号を受信し、制御信号内のタイムスタンプ情報eを遅延測定部35へ出力すると共に、基準ノード(マスターノード)からの基準時刻情報cをカウンタ管理部33へ出力する。また、制御情報受信部32は、他ノードからの制御信号内の割当TS情報fを複数TS管理部38へ出力する。
更に、制御情報受信部32は、光スイッチ部31でDROPされたスケジューラSCからTS量更新周期T毎に送られてくるノード制御信号r11を受信し、このノード制御信号r11をTS変更情報lとしてTDMタイミング切替部40へ出力する。
内部クロック部34は、カウンタ管理部33に存在する時刻カウンタ値を進めるためのクロック信号bを、カウンタ管理部33へ出力する。
カウンタ管理部33は、基準時刻情報cを初期時刻カウンタ値として時刻カウンタ値に設定し、同期フレームの受信時刻からクロック信号bに従い、時刻カウンタ値をインクリメントする。そして、カウンタ管理部33は、インクリメントされる時刻カウンタ値を現在時刻情報dとして、制御情報受信部32、遅延測定部35、TS制御部37、制御情報送信部36及び基準TS同期部39へ出力する。
遅延測定部35は、他ノードからのタイムスタンプ情報eと、現在時刻情報dとから、他ノードと自ノードNの間の伝搬遅延時間を測定し、この測定したノード間の伝搬遅延時間から各ノードのTSの開始タイミングを決定するオフセット値aを求め、このオフセット値aを複数TS管理部38へ出力する。
複数TS管理部38は、他ノードの割当TS情報fである基準TSを、オフセット値aだけ開始タイミングをずらし、このずらした複数のTSを管理する。また、複数TS管理部38は、他ノードの割当TS情報fからTS毎に割り当てられたTS位置を記憶する。そして、複数TS管理部38は、このように管理される各TSのTS位置を示すTS処理シナリオ情報gをTS制御部37へ出力し、また、複数のTSの先頭開始タイミング情報nをTDMタイミング切替部40へ出力する。
基準TS同期部39は、基準ノードからの基準時刻に基づき生成された現在時刻情報dから、一定周期のTS(基準TS)を刻み、この周期t及び周期Tの先頭開始位置情報kをTS制御部37へ出力する。
TDMタイミング切替部40は、TS変更情報lと、複数TSの先頭開始タイミング情報nとから、光スイッチ部31が上り用又は下り用のTDMタイミングで動作するための切替えを指示するTDM切替タイミング情報mを生成してTS制御部37へ出力する。
TS変更情報lは、スケジューラSCから送信されるノード制御信号r11に基づく情報である。ノード制御信号r11は、スケジューラSCで生成される帯域割当情報r10(=r9)を含む。この帯域割当情報r10は、次の3つの指示を行う情報である。1つ目は、トラヒックが存在するノード間の上り下りの各トラヒック量の比率に応じた上り下りの各波長数の波長を、上り用波長λuと下り用波長λdとしてマルチリングR1,R2aに割り当てるための指示を行う。2つ目は、上り下りの各トラヒック量に基づく上り下りの各TS数において、上りTS数を上り用波長λuの空きTS位置に割り当て、下りTS数を下り用波長λdの空きTS位置に割り当てるための指示を行う。3つ目は、そのTS数の割り当てが、各ノードで動作する光スイッチ部31の各TDMタイミング毎に行われるように指示する。
つまり、帯域割当情報r10に基づくTS変更情報lにより、光スイッチ部31の上り用(ADD用)又は下り用(DROP用)の入力ポートを指定し、この指定入力ポートの上り用又は下り用のTDMタイミングを指定する。更に、TS変更情報lは、その指定TDMタイミングの中でTSを幾つ割り当てるかを指定し、この指定TS数のTSの、どのTSで動くかのTS番号(例えばTS3)を指定するものである。本例では、TDMタイミングは、上り用又は下り用としたが、実際にはパス数分存在する。
ADD/DROPインタフェース部43は、図示せぬ外部装置とノードNとのADD/DROP用の信号の遣り取りを行う。
バッファ部42は、外部装置からADD/DROPインタフェース部43を介してノードNに入力されたデータを蓄積するバッファを備え、バッファのTX(TXは、送信機である)から光スイッチ部31へADD用のデータ送信を行い、光スイッチ部31からDROPされたデータをRX(RXは、受信機である)で受信してADD/DROPインタフェース部43を介して外部装置へ送信する。
制御情報送信部36は、バッファ部42のバッファに蓄積されたデータ量と、カウンタ管理部33からの現在時刻情報dである時刻カウンタ値とを、代表ノード(例えばマスターノード)へ光スイッチ部31を介して送信する。
TS制御部37は、複数TS管理部38からの各TSにおけるTS処理シナリオ情報gに従い、現在時刻情報dである時刻カウンタ値と、TS処理シナリオ情報gに記載のタイミング値とを比較し、光スイッチ切換タイミング情報i及びTS送信タイミング情報hを得る。更に、TS制御部37は、その光スイッチ切換タイミング情報iを光スイッチ部31へ出力し、TS送信タイミング情報hをバッファ部42へ出力して、TS送信及びTSスイッチ動作の制御を行う。
また、TS制御部37は、TDMタイミング切替部40から入力されるTDM切替タイミング情報mに基づき、光スイッチ部31へTDM切替制御信号pを出力することにより光スイッチ部31のTDMタイミングの切替制御を行う。
即ち、TS制御部37は、TDM切替制御信号pにより、光スイッチ部31の上り用又は下り用の入力ポート番号i1〜i4を指定し、この指定された入力ポートi1〜i4の上り又は下りのTDMタイミングで動作するTS番号のTSを、どの出力ポートから送信するかを、出力ポート番号(波長番号)o1〜o4を指定して、TDMタイミングの切替制御を行う。
このTDMタイミングの切替制御を具体的に、図8〜図11に示すタイミングチャートを参照して説明する。図8は下りTDMから上りTDMに切り替える場合の第1例のタイミングチャートである。図9は下りTDMから上りTDMに切り替える場合の第2例のタイミングチャートである。図10は上りTDMから下りTDMに切り替える場合の第1例のタイミングチャートである。図11は上りTDMから下りTDMに切り替える場合の第2例のタイミングチャートである。
まず、帯域変更を行わず下りTDMから上りTDMに切り替える場合の第1例を、図8を参照して説明する。アクセスノードNc1の光スイッチ部31が下りTDMで動作中に、上りTDMへ切り替えを行う場合、例えばTS送信周期tが終わった時点τ5で、矢印で示すように上りTDMへ切替えを行う。この場合、上りTDMへの切替えを行った時点(τ2〜τ6間のTS3の間)から、上り周期tの次の開始時点τ6までの間に時間があり、この時間がオフセット値os1となる。従って、下りTDMから上りTDMへ切替えを行った後、オフセット値os1ずらす必要がある。
オフセット値os1は、一例として次式(5)のように求められる。
os1=t−MOD(D,t) …(5)
但し、MOD(D,t)は、MOD関数であり、MOD(数値,除数)で表される。Dはリング1週遅延時間(下位リングR2aの1周遅延時間)、tはTS送信周期である。MOD(数値,基準値)関数は、数値を除数で割った時の余りを求める関数であり、例えば、D=11(数値)、t=3(除数)であるとすると、MOD(11,3)=2となる。
このように、オフセット値os1ずらした時刻τ6から上り周期tに切替えが行われる。言い換えれば、TS制御部37が、制御対象のTSが割り当てられた経路のTDMタイミングに合わせて、光スイッチ部31の各入力ポート(波長変換部)i1〜i4で動作するTDMタイミングを切り替える。この切り替えが下りTDMから上りTDMへの切替えである。
次に、帯域変更を行って下りTDMから上りTDMに切り替える場合の第2例を、図9を参照して説明する。上記のようにオフセット値os1の時間分ずらして上りTS量更新周期Tの開始時刻τ6とした後に、更に、時刻τ6〜τ10を1周期Tとする先頭(1回目)の上り周期Tの長さをシーリング関数分(CF分)、短くし、これによって2回目以降の上り周期Tの開始タイミングをシーリング関数分、早める。但し、シーリング関数は、CEILING(D,t)関数とも表現する。
具体的には、1回目の時刻τ6〜時刻τ10間の上り周期Tを、時刻τ10から時刻τ10−CFに向かう矢印CFで示すように、CEILING(D,t)関数分(CF分)短くする。なお、矢印CFのスケールは概念的に示してある。つまり、1回目の上り周期Tの長さは、時刻τ6〜時刻τ10−CF間のT−CFと短くなる。時刻τ10−CFが2回目の上り周期Tの開始タイミングとなり、2回目以降の上り周期Tは、1回目の短くする前と同じなので、実質的に、2回目以降の上り周期Tの開始タイミングが、CEILING(D,t)関数分(CF分)早まることになる。つまり、帯域変更タイミングを切り替えることになる。
即ち、
1回目の上り周期Tの長さ:T−CEILING(D,t)
2回目以降の上り周期Tの長さ:T
となる。
言い換えれば、TS制御部37は、光リングNW20内の経路数と等しい数の帯域変更タイミングを有しており、前述のように光スイッチ部31の各入力ポート(波長変換部)i1〜i4で動作するTDMタイミングを切り替えた(下りTDMから上りTDMへ切り替えた)際に、更に帯域変更タイミングも切り替える処理を行う。この処理は、TDM切替制御信号pによって行われる。
次に、帯域変更を行わず上りTDMから下りTDMに切り替える場合の第1例を、図10を参照して説明する。アクセスノードNc1の光スイッチ部31が上りTDMで動作中に、下りTDMへ切り替えを行う場合、例えばTS送信周期tが終わった時点τ15で、矢印で示すように下りTDMへ切替えを行う。この場合、下りTDMへの切替えを行った時点(τ12〜τ16間のTS3の間)から、下り周期Tの次の開始時点τ16までの間に時間があり、この時間がオフセット値os2となる。従って、上りTDMから下りTDMへ切替えを行った後、オフセット値os2ずらす必要がある。
オフセット値os2は、一例として次式(6)のように求められる。
os2=MOD(D,t) …(6)
このように、オフセット値os2ずらした時刻τ16から上り周期tに切替えが行われる。言い換えれば、TS制御部37が、制御対象のTSが割り当てられた経路のTDMタイミングに合わせて、光スイッチ部31の各入力ポート(波長変換部)i1〜i4で動作するTDMタイミングを切り替える。この切り替えが上りTDMから下りTDMへの切替えである。
次に、帯域変更を行って上りTDMから下りTDMに切り替える場合の第2例を、図11を参照して説明する。上記のようにオフセット値os2の時間分ずらして下りTS量更新周期Tの開始時刻τ16とした後に、更に時刻τ16〜τ20を1周期Tとする先頭(1回目)の下り周期Tの長さを、次式(7)で計算される数値分、短くする。
ABS{t−MOD(D,t)−CEILING(D,t)} …(7)
但し、ABS{t−MOD(D,t)−CEILING(D,t)}は、ABS関数であり、{t−MOD(D,t)−CEILING(D,t)}内の計算結果を絶対値とする計算を行う。
つまり、1回目の下り周期Tの長さをABS関数分(ABS分)、短くし、これによって2回目以降の下り周期Tの開始タイミングをABS関数分、早める。
具体的には、1回目の時刻τ16〜時刻τ20間の下り周期Tを、時刻τ20から時刻τ20−ABSに向かう矢印ABSで示すように、ABS関数分(ABS分)短くする。なお、矢印ABSのスケールは概念的に示してある。つまり、1回目の下り周期Tの長さは、時刻τ16〜時刻τ20−ABS間のT−ABSに短くなる。時刻τ20−ABSが2回目の下り周期Tの開始タイミングとなり、2回目以降の下り周期Tは、1回目の短くする前と同じなので、実質的に、2回目以降の下り周期Tの開始タイミングが、ABS関数分(ABS分)早まることになる。つまり、帯域変更タイミングを切り替えることになる。
即ち、
1回目の下り周期Tの長さ:ABS{t−MOD(D,t)−CEILING(D,t)}
2回目以降の下り周期Tの長さ:T
となる。
言い換えれば、TS制御部37が、光リングNW20内の経路数と等しい数の帯域変更タイミングを有しており、前述のように光スイッチ部31の各入力ポート(波長変換部)i1〜i4で動作するTDMタイミングを切り替えた(上りTDMから下りTDMへ切り替えた)後に、更に帯域変更タイミングを切り替える制御を行う。この制御は、TDM切替制御信号pによって行われる。
このように、下りTDMから上りTDMに、又は上りTDMから下りTDMに切り替えることにより、上り下りの各トラヒック用の波長帯域の波長を、上り下りの各トラヒック量に応じて、上り下りに相互に割り当てることが可能となっている。従って、ノードNは、光スイッチ部31で動作するTDMタイミングと、前述した割当TS量とを、TS量更新周期Tで周期的に変更することが可能となる。
<実施形態の動作>
次に、本実施形態の光リングNW20を構成するノードNa1…Nc1の光スイッチ部31のTDMタイミングの切替動作を、図12〜図14に示すフローチャートを参照して説明する。但し、図12及び図13は光スイッチ部31にTDMタイミング切替動作を行わせるための、スケジューラSCの帯域割当決定動作を説明するフローチャート、図14はアクセスノードNc1の光スイッチ部31のTDMタイミング切替動作を説明するフローチャートである。
まず、図12及び図13を参照してスケジューラSCの帯域割当決定動作を説明する。但し、図3に示すスケジューラSCにおいて、トポロジ情報保持部52には、情報設定部60による設定操作により、図1に示す光リングNW20の全ノードNa1…Nc1の情報と、全リングR1,R2aの情報と、これらノードNa1…Nc1とリングR1,R2aの接続情報とを含む物理的なトポロジ情報r1とが設定されて保持されている。トポロジ情報保持部52は、保持するトポロジ情報r1に応じて各ノードNa1…Nc1間で経由可能性のあるノード、リンクの経由情報r2を経路決定部53へ出力しているとする。
図12に示すステップS1において、入出力部50は、各ノードNa1…Nc1から、各ノードNa1…Nc1間の経路及び上り下りの各トラヒック量を含むトラヒック情報を受信し、このトラヒック情報から送信元及び宛先の識別を行い、受信トラヒック情報をフィルタリングした後のトラヒック情報r3を、トラヒック情報保持部51へ出力する。
ステップS2において、トラヒック情報保持部51は、入力されたトラヒック情報r3を送信元及び宛先毎に分類して保持し、この保持された各ノードNa1…Nc1間のトラヒック情報r4を、経路決定部53、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57へ出力する。
ステップS3において、経路決定部53は、入力されたトラヒック情報r4と経由情報r2とから、各ノードNa1…Nc1間の通信経路を決定し、この決定された各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r5を、経路情報保持部54へ出力する。
ステップS4において、経路情報保持部54は、入力された通信経路情報r5を保持し、この保持された通信経路情報r5から、演算対象となるノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6を、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57へ出力する。
ステップS5において、TDM系統決定部55は、入力される各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6と、トラヒック情報r4とをもとに、TS量更新周期T毎に、各ノードNa1…Nc1間の上り下りの各トラヒック量を検出し、この検出される各トラヒック量の比率に応じた上り下りの各波長数を決定する。例えば、予め上り下りの合計波長数が「10」と設定されている場合に、上り下りの各トラヒック量の比率が「7:3」である場合、上りの波長数が「7」、下りの波長数が「3」と決定する。また、TDM系統決定部55は、各ノードNa1…Nc1内の光スイッチ部31の上り下りの各インタフェースとしての入力ポートi1〜i4で動作するTDMタイミングを決定する。
この際、例えば前回のTS量更新周期Tの上り下りの各トラヒック量の比率が「4:6」の場合に、上りの波長数が「4」、下りの波長数が「6」であるとする。これが、今回のTS量更新周期Tにおいて、各トラヒック量の比率が「7:3」と変化した場合、下りの波長数「6」のうち「3」を上りに変更して、上りの波長数を「7」、下りの波長数を「3」と決定する。この場合、後述のように、ノードNc1の光スイッチ部31において、下りから上りへのTDMタイミング切り替えが必要となる。
TDM系統決定部55は、上りの波長数「7」、下りの波長数「3」と決定した波長数情報r7をTDM系統管理部56へ出力する。
ステップS6において、TDM系統管理部56は、入力される波長数情報r7を上書き更新しながら保持し、この保持された波長数情報r8を帯域割当決定部57へ出力する。
ステップS7において、帯域割当決定部57は、入力されるトラヒック情報r4と、各ノードNa1…Nc1間の通信経路情報r6と、波長数情報r8とに基づき、次の決定処理を行う。まず、波長数情報r8による波長数の波長を、上り用波長λuと下り用波長λdとしてリングR1,R2aに割り当てるための決定を行う。
図13に示すステップS8において、帯域割当決定部57は、トラヒック情報r4から、宛先単位に上り下り各々の全パスの要求TS数と、上りと下り各々に割り当てた波長帯域の大きさとを比較して、上り下り各々の全パスの要求TS数が割当波長帯域に収容可能か否かを判定する。
この判定結果、収容不可能(No)な場合、ステップS9において、帯域割当決定部57は、収容不可能な各パスに割り当てるTS数を、収容可能なように減少させる決定を行う。
一方、収容可能(Yes)な場合、又は上記ステップS9でのTS数減少決定後、ステップS10において、帯域割当決定部57は、上り下りの各トラヒック量に基づいて上り下りの各TS数を決定し、この上りTS数を上り用波長λuの空きTS位置に割り当て、下りTS数を下り用波長λdの空きTS位置に割り当てるための決定を行う。
次に、ステップS11において、帯域割当決定部57は、上記ステップS10のTS数の割り当てが、各ノードNa1…Nc1で動作する光スイッチのTDMタイミング毎に行われるように決定する。そして、帯域割当決定部57は、以上の決定内容を帯域割当情報r9としてスケジュールテーブル58へ出力する。
ステップS12において、スケジュールテーブル58は、入力される帯域割当情報r9を保持し、この保持された帯域割当情報r10をノード制御信号生成部59へ出力する。
ステップS13において、ノード制御信号生成部59は、入力される帯域割当情報r10に基づき、該当ノードのデータ送信やスイッチ切替等の処理を行うスケジュールを求め、このスケジュール内容と帯域割当情報r10とを含めてノード制御信号r11として生成し、このノード制御信号r11を入出力部50へ出力する。
ステップS14において、入出力部50は、ノード制御信号r11を、TS量更新周期T毎に該当の例えばアクセスノードNc1へ送信する。
次に、図14を参照してアクセスノードNc1の光スイッチ部31のTDMタイミング切替動作を説明する。但し、アクセスノードNc1の構成は、図7に示すノードNを参照する。
ステップS21において、ノードNc1の制御情報受信部32は、光スイッチ部31でDROPされた他ノードからの制御信号を受信し、制御信号内の割当TS情報fを複数TS管理部38へ出力する。また、制御情報受信部32は、光スイッチ部31でDROPされたスケジューラSCからTS量更新周期T毎に送られてくるノード制御信号r11を受信し、このノード制御信号r11をTS変更情報lとしてTDMタイミング切替部40へ出力する。
ステップS22において、TDMタイミング切替部40は、TS変更情報lと、複数TSの先頭開始タイミング情報nとから、光スイッチ部31が上り用又は下り用のTDMタイミングで動作するためのTDMタイミング切り替えを指示するTDM切替タイミング情報mを生成してTS制御部37へ出力する。
ここで、TDM切替タイミング情報mは、上述した帯域割当情報r10に応じたTS変更情報lに基づくものなので、上り下りの各トラヒック量の比率が前回周期Tの「4:6」から今回周期Tの「7:3」に変化した場合の下りから上りへのTDMタイミング切り替えを指示する内容を含んでいる。TDM切替タイミング情報mは、その切り替えのため、光スイッチ部31の入力ポート番号(例えばi1,i2)と、TDMのタイミングと、出力ポート番号(例えばo3,o4)とを指示する信号となる。同時に、TDM切替タイミング情報mは、その指示で切り替えられるTDMタイミングの波長に割り当てられるTS数と、このTS数のTSが割り当てられる空きTSのTS番号を指示する信号となる。
ステップS23において、TS制御部37は、各TSにおけるTS処理シナリオ情報gに従い、現在時刻情報dである時刻カウンタ値と、TS処理シナリオ情報gに記載のタイミング値とを比較し、光スイッチ切換タイミング情報i及びTS送信タイミング情報hを求める。TS制御部37は、その光スイッチ切換タイミング情報iを光スイッチ部31へ出力し、TS送信タイミング情報hをバッファ部42へ出力して、TS送信及びTSスイッチ動作の制御を行う。
また、ステップS24において、TS制御部37は、TDM切替タイミング情報mに基づき、光スイッチ部31へTDM切替制御信号pを出力し、光スイッチ部31の上り用又は下り用の入力ポート番号i1,i2と、TDMのタイミングと、出力ポート番号(波長番号)o3,o4とを指定して、TDMタイミングの切替制御を行う。
このTDMタイミングの切り替え制御は、例えば図9に示すように、下りTDMから上りTDMに切り替える場合、TS量更新周期Tが終わった時点τ5で、下りTDMから上りTDMへの切替えを行う。この際、切替えを行った時点τ5から、所定のオフセット値os1ずらして上り周期Tの開始時刻τ6とする。この後、時刻τ6〜τ10を1周期Tとする先頭(1回目)の上り周期Tの長さを、CEILING(D,t)関数分(CF分)短くし、2回目以降の上り周期Tの長さは、そのままの長さ周期Tに保持する。
ステップS25において、光スイッチ部31は、上記ステップS24のTDMタイミングの切替制御に応じて、上り下りの各波長数を上り下りの各トラヒック量に応じた波長数とし、これら波長数の波長による信号の空きTSに、上り下りの各トラヒック量に応じたTS数のTSを割り当てる。
例えば、光スイッチ部31は、TDMタイミングの切替制御における下りから上りへ切り替えの際に、下りの波長数の「6」を「3」とし、この「6−3」=「3」を上りに変更する。この変更により、上りの波長数の「4」を「7」に変更する。光スイッチ部31は、その変更後の上り波長数「7」と下り波長数「3」との各波長による信号の空きTSに、上り下りの各トラヒック量に応じたTS数のTSを割り当てる。これによって、上り下りの各トラヒック量の比率が「7:3」の場合の通信を実現する。
なお、上記ステップS24において、上りTDMから下りTDMに切り替える場合は、図11に示すように、TS量更新周期Tが終わった時点τ15で、上りTDMから下りTDMへの切替えを行う。この際、切替えを行った時点τ15から、所定のオフセット値os2ずらして下り周期Tの開始時刻τ16とする。この後、時刻τ16〜τ20を1周期Tとする先頭(1回目)の下り周期Tの長さを、ABS{t−MOD(D,t)−CEILING(D,t)}関数分(ABS分)短くし、2回目以降の下り周期Tの長さは、そのままの長さ周期Tに保持する。
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のノードNは、WDM及びTDMを用いたネットワークとしての光リングNW20を構成し、ネットワーク内の各ノード間の経路の伝搬遅延時間D1〜D4に従って設定された複数のTDMタイミングを保持することを前提とする。このノードNは、本実施形態の特徴として、切替手段としてのTDMタイミング切替部40及びTS制御部37により、制御対象のTSが割り当てられる経路のTDMタイミングに合わせて、ノードN内の光スイッチ部31のインタフェースとしての各入力ポート(波長変換部)i1〜i4で動作するTDMタイミングを切り替えるように構成されている。
本実施形態のノードNに接続されるスケジューラSCは、TDM系統決定部55及び帯域割当決定部57を有して構成されている。
TDM系統決定部55は、ネットワーク内の経路毎に異なる波長を割り当て、ノードNから経路毎の各トラヒック量を検出し、検出された各トラヒック量の比率に応じて経路毎に割り当てる各波長数を決定すると共に、各ノード内の光スイッチの各インタフェースで動作するTDMタイミングを決定する処理を行う。
帯域割当決定部57は、TDM系統決定部55で決定された各波長数の波長を経路毎に割り当て、ノードN間の経路毎のトラヒック量に応じて各ノードNに経路毎の割当TS量を決定し、決定された経路毎の割当TS量のTSを、前記決定されたTDMタイミングで各経路の波長に設定された空きTS位置に割り当てる制御を行うためのノード制御信号r11を生成する処理を行う。
これらのノードN及びスケジューラSCによれば、次のような効果が得られる。但し、各経路は、図1に示したマルチリングR1,R2aの上りと下りの経路であるとする。
本実施形態では、スケジューラSCからのノード制御信号r11を受信したノードNが、上り下りの各トラヒック量に応じて、光スイッチ部31のTDMタイミングを下りTDMタイミングから上りTDMタイミングに切り替え、又は上りTDMタイミングから下りTDMタイミングに切り替える。ここで、例えば下りTDMタイミングから上りTDMタイミングに切り替えられたとする。この切り替えによって、ノードNは、ノード制御信号r11で指示された上り経路の波長の空きTS位置に、同指示された割当TS量のTSを、切替後の上りTDMタイミングで割り当てる動作を行う。
つまり、ノードNは、上り下りの各トラヒック量の比率が変化した場合に、その変化した比率に適合するように、上り又は下りの経路に割り当てる波長数及び割当TS量を動的に変更する。このように動的に変更することにより、次のような効果が得られる。例えば、上り下りの各トラヒック量の比率が「4:6」であり、これに応じて、上り波長数が「12」、下り波長数が「18」のように割り当てられているとする。その後、上り下りの各トラヒック量の比率が「7:3」に変動したとする。この場合、下り波長数「18」のうち「9」を上りのTDMタイミングに変更して、上り波長数を「21」、下り波長数を「9」とする。このように波長数を動的に切り替え、切替後の波長数の波長に割当TS量のTSを割り当てることができる。
従来では、リングR1,R2aには上り下りの各々に波長数を固定的に割り当てなければならなかった。このため、上り下りの各々の経路に、上り下りの各最大トラヒック量に対応する波長数(例えば「20」)を割り当てる必要がある。従って、上り下り経路の合計波長数としては、「20」+「20」=「40」が必要であった。
本実施形態では、上り下り経路の合計波長数を、上り下りの各トラヒック量に応じて、上り下りの経路に相互に動的に割り当てることができる。一般的には、上り下りの双方が最大トラヒック量となることは少ないので、本実施形態では上り下り双方の合計波長数を、上り下りの各最大トラヒック量に対応する合計波長数「40」よりも少ない、例えば「30」とすることができ、上り下りの波長を効率良く使用することができる。
更に、これを図15に示すシミュレーション結果を参照して詳細に説明する。図15(a)には、時間(分)経過に応じて線Truで示す上りトラヒックが増加し、線Trdで示す下りトラヒックが下降する様子が示してある。例えば、1分の時点では、上りトラヒック量は125Gbpsであり、下りトラヒック量は5Gbpsである。13分の時点では、上り下り双方のトラヒック量が同一の65Gbpsとなり、23分の時点では、上りトラヒック量が5Gbps、下りトラヒック量が125Gbpsとなっている。
この場合、従来では、上り下りの各最大トラヒック量125Gbpsを収容可能とするために、例えば1波長を10Gbpsとすると、125Gbpsに対応する波長数「13」が必要であり、上り下りの合計波長数が「26」となっていた。この合計波長数「26」は固定的なので、図15(b)に線101で示すように、時間が経過しても一定となる。
しかし、本実施形態では、合計波長数を動的に上り下り用に割り当てるので、上り下り双方の合計トラヒック量が最も多い場合のトラヒックを収容可能な波長数を、合計波長数として割り当てればよい。図15(a)では最も多い合計トラヒック量は、1分又は23分時点の125Gbps+5Gbps=130Gbpsである。ここでは、130Gbpsよりも若干余裕を取ったトラヒック量に対応する波長数「例えば14」を合計波長数として割り当てておく。
この際に、1分の時点では、上り下りの各トラヒック量の比率は「1:25」なので、上り波長数に「1」、下り波長数に「13」を割り当てればよい。13分の時点では、各トラヒック量の比率は同じなので、上り下りの各波長数に同一の「7」を割り当てればよい。23分の時点では、上り下りの各トラヒック量の比率は「25:1」なので、上り波長数に「13」、下り波長数に「1」を割り当てればよい。
このように、上り下りに各トラヒック量の比率に応じて、動的に波長数を割り当てればよいので、図15(b)に本実施形態では線102で示すように、従来の線101で示す波長数よりも少ない波長数を合計波長数とすることができる。従って、合計波長数を上り下り相互で各トラヒック量に応じて効率良く使用できるので、波長帯域の利用効率を向上させることができる。
また、ノードNの切替手段は、ネットワーク内の経路数と等しい数のTDMタイミングを有し、TDMタイミングを切り替るように構成されている。
これによって、現在動作中の経路のTDMタイミングから、これと異なる経路のTDMタイミングに切り替えることができる。例えば、現在動作中の下り経路のTDMタイミングから、これと異なる上り経路のTDMタイミングに切り替えることができる。
また、ノードNの切替手段は、ネットワーク内の経路数と等しい数の帯域変更タイミングを有し、TDMタイミングを切り替えた後に、帯域変更タイミングを切り替えるように構成されている。
このように、例えば上りTDMタイミングに切り替えた後に、更に帯域変更タイミングを切り替えることにより、上りTDMタイミングのTSの位置を、送信先のノードNでの受信可能な位置に合わせることができる。
また、帯域割当決定部57は、各ノードNが経路毎に要求するTS数(要求帯域)が、TDM系統決定部55で決定された各波長数の波長に収容できるTS数よりも大きい場合に、決定された経路の要求TS数を該当波長数の波長に収容可能となるように減少させる処理を行うようになっている。
これによれば、経路毎の割当各波長数の波長に収容できるTS数よりも、要求TS数が大きい場合、要求TS数を減少させ、割当各波長数の波長に収まるようにして、通信を行うことが可能となる。