本発明の一実施形態について、自動重量選別機10を例に挙げて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る自動重量選別機10は、互いに直列に並べられた計量装置20,搬送装置30および選別装置40を備えている。後述するように、これら計量装置20,搬送装置30および選別装置40は、選別対象である物品100を直線的かつ連続的に搬送する搬送ラインM0を形成している。この搬送ラインM0による物品100の搬送過程において、当該物品100の重量測定が行われ、さらにその結果に基づいて当該物品100の選別が行われる。なお、図1において、物品100は、左側から右側に向かって搬送される。即ち、図1の左側が搬送ラインM0の上流側に相当し、当該図1の右側が搬送ラインM0の下流側に相当する。また、ここで言う物品100は、例えば外形寸法が一定の概略直方体状のものである。
計量装置20は、いわゆる計量コンベアである。具体的には、計量装置20は、上述の搬送ラインM0の一部を形成する言わば第1の搬送手段としての例えば平ベルト式のコンベア22と、この平ベルト式コンベア22を支持すると共に当該平ベルト式コンベア22を介して自身に印加される荷重を検出する荷重検出手段としての例えばロードセル24と、を有している。なお、平ベルト式コンベア22のベルト駆動用モータ26は、例えば直流モータである。
搬送装置30は、搬送ラインM0における計量装置20の設置位置よりも下流側、言わば当該計量装置20の後段、に設置されている。具体的には、搬送装置30は、第2の搬送手段としての例えば平ベルト式コンベア32を有している。この平ベルト式コンベア32は、計量装置20によって形成される搬送ラインM0の一部に続く別の一部を形成するように当該計量装置20の平ベルト式コンベア22の後段に直列に並べられている。なお、この搬送装置30の平ベルト式コンベア32のベルト駆動用モータ34もまた、計量装置20のものと同様の直流モータである。
選別装置40は、搬送ラインM0における搬送装置30の設置位置よりも下流側、つまり当該搬送装置30の後段、に配置されている。この選別装置40は、第3の搬送手段としての例えば平ベルト式のコンベア50と、この平ベルト式コンベア50の上方に設けられた選別手段としての回転選別機60と、を備えている。
このうちの平ベルト式コンベア50は、搬送装置30によって形成される搬送ラインM0の一部に続くさらに別の一部を形成するように当該搬送装置30の平ベルト式コンベア32の後段に直列に並べられている。なお、この平ベルト式コンベア50のベルト駆動用モータ52もまた、計量装置20および搬送装置30それぞれのものと同様の直流モータである。
ここで図2を参照して、上述の搬送ラインM0は、自身の中心が選別装置40の平ベルト式コンベア50による物品100の搬送方向を水平に横切る方向(図2の左右方向)における当該平ベルト式コンベア50(のキャリア側ベルト)の略中央に位置するように形成されている。このことは、計量装置20の平ベルト式コンベア22および搬送装置30の平ベルト式コンベア32においても、同様である。即ち、当該搬送ラインM0は、自身の中心が計量装置20の平ベルト式コンベア22および搬送装置30の平ベルト式コンベア32それぞれによる物品100の搬送方向を水平に横切る方向における当該各平ベルト式コンベア22および32(の各キャリア側ベルト)それぞれの略中央に位置するように形成されている。また、図2から分かるように、搬送ラインM0を水平に横切る方向における平ベルト式コンベア50(のベルト)の寸法、言わば幅寸法は、搬送装置30の平ベルト式コンベア32(のベルト)の幅寸法よりも大きく、詳しくは後述する3つの選別先ラインM1,M2およびM3が形成されるのに十分な大きさとされている。なお、図示は省略するが、計量装置20の平ベルト式コンベア22(のベルト)の幅寸法は、搬送装置30の平ベルト式コンベア32(のベルト)の幅寸法と略同じである。
回転選別機60は、上述の如く平ベルト式コンベア50の上方に設けられており、詳しくは搬送ラインM0の上流側寄りの位置に設けられている。この回転選別機60は、図3にも示すように、回転駆動手段としての例えばパルス(ステッピング)モータ62と、このパルスモータ62の回転軸62aに取り付けられた1以上の、例えば4つの、選別アーム64,64,…と、を有している。
パルスモータ62は、自身の回転軸62aを搬送ラインM0に沿う方向に延伸させた状態にあり、詳しくは当該回転軸62aの中心を搬送ラインM0の中心の真上に位置させた状態にある。なお、ここでは、パルスモータ62の回転軸62aは、搬送ラインM0の下流側に向けられた状態にあるが、これとは反対に、搬送ラインM0の上流側に向けられてもよい。このパルスモータ62は、図示しない適当な支持部材によって頑丈に支持されている。
各選別アーム64,64,…は、互いに同一仕様のものであり、それぞれ、パルスモータ62の回転軸62aの半径方向に沿って延伸するように当該回転軸62に取り付けられた棒状のアーム本体64aと、このアーム本体64aの先端に取り付けられた概略矩形厚板状の当接板64bと、を有している。より詳しくは、各アーム本体64a,64a,…は、パルスモータ62の回転軸62aの円周方向に沿って一定の間隔で、つまり90°間隔で、当該回転軸62aに取り付けられており、厳密には適当な取付部材64cを介して当該回転軸62aに取り付けられている。そして、それぞれの当接板64bは、自身の両主面を搬送ラインM0と平行な方向に沿わせ、かつ、当該両主面を自身が固定されたアーム本体64aの延伸方向に沿わせ、さらに、当該両主面それぞれの先端側(アーム本体64aに取り付けられている側とは反対側)の側縁を搬送ラインM0と平行な方向に沿わせた状態にある。
なお後述するように、各選別アーム64,64,…は、パルスモータ62の回転軸62aに伴って回転する。そして、これら各選別アーム64,64,…が回転する過程で、いずれか(不特定)の選別アーム64の当接板64bが、厳密には当該当接板64bの両主面のいずれか一方が、物品100に当接する。この当接の際の衝撃を緩和させるべく、当該当接板64bは、例えば図4に示すように、概略矩形板状の衝撃吸収部材64dを2枚の概略矩形薄板状の表面板64eおよび64eによって挟んだ構造、言わばサンドイッチ構造、とされている。また、当接板64bの両主面である各表面板64eおよび64eの外側面は、その摩擦係数が比較的に小さい低摩擦面とされており、当該摩擦係数は、平ベルト式コンベア50の物品載置面(ベルト表面)の摩擦係数よりも遥かに小さい。このため、各表面板64eおよび64eは、例えばそれ自身がテフロン(登録商標)等の低摩擦性素材によって形成されており、或いは、その表面がDLC(Diamond-Like Carbon)膜等の低摩擦性被膜によって覆われている。これら各表面板64eおよび64eを含むサンドイッチ構造は、その一側縁に結合された適当な結合部材64fによって一体化されており、さらに、当該結合部材64fを介してアーム本体64aに取り付けられている。
改めて図1〜図3を参照して、パルスモータ62の回転軸62aには、さらに、円板状のスリット板66が当該回転軸62aと同心状に取り付けられている。そして、このスリット板66には、自身の半径方向に沿って放射状に延伸する4つの細長いスリット66a,66a,…が設けられている。より詳しくは、各スリット66a,66a…は、スリット板66の円周方向に沿って一定の間隔で、つまり90°間隔で、設けられており、とりわけ図3に示すように、当該スリット板66をパルスモータ62の回転軸62aの延伸方向(搬送ラインM0の下流側)から見たときに、各選別アーム64,64,…(各アーム本体64a,64a,…)と重なる位置にある。このスリット板66は、各選別アーム64,64,…の回転位置を検出するための言わばアーム位置検出手段を構成し、厳密には次に説明する光電センサ68と協同で当該アーム位置検出手段を構成する。
即ち、各選別アーム64,64,…は、上述の如くパルスモータ62の回転軸62aに伴って回転するが、さらにこれに伴ってスリット板66も回転する。光電センサ68は、このスリット板66が回転することによって描かれる各スリット66a,66a,…の回転軌跡上の或る1点に向けられており、この状態で図示しない適当な支持手段によって支持されている。併せて、光電センサ68は、図3に示すように、各選別アーム64,64,…(各アーム本体64a,64a,…)のそれぞれが水平方向に対して45°の角度を成した方向に延伸している状態にあるときに、いずれかのスリット66aを、例えば当該図3において右上方に位置するスリット66aを、検出するように設けられている。なお、この光電センサ68としては、例えば一対の投光器68aおよび受光器68bから成る透過型のものが採用される。これら投光器68aおよび受光器68bは、とりわけ図1および図2に示すように、スリット板66を挟んで、厳密には各スリット66a,66a,…の回転軌跡上の上述した或る1点を挟んで、互いに対向するように設けられている。
加えて、平ベルト式コンベア50の上流側端部近傍の少し上方には、搬送装置30の平ベルト式コンベア32から当該平ベルト式コンベア50に搬送される物品100を検知するための物品検知手段としての物品センサ70が設けられている。この物品センサ70もまた、例えば一対の投光器70aおよび受光器70bから成る透過型の光電センサである。これら一対の投光器70aおよび受光器70bは、とりわけ図2および図3に示すように、平ベルト式コンベア50の幅方向において当該平ベルト式コンベア50の少し上方の空間を挟んで互いに対向するように設けられている。
さらに、本実施形態に係る自動重量選別機10は、図5に示すような制御手段としての制御装置80を備えている。そして、この制御装置80に、計量装置20のベルト駆動用直流モータ26,搬送装置30のベルト駆動用直流モータ34,選別装置40のベルト駆動用直流モータ52およびパルスモータ62が接続されている。また、当該制御装置10には、計量装置20のロードセル24,選別装置40の光電センサ68および物品センサ70も接続されている。
具体的には、制御装置80は、ロードセル24の出力信号であるアナログ荷重信号の入力を受け付けるアナログ処理回路82を有している。このアナログ処理回路82は、ロードセル24から入力されたアナログ荷重信号に増幅処理やアナログフィルタ処理等の適宜のアナログ処理を施す。そして、このアナログ処理後のアナログ処理後荷重信号は、A/D変換回路84に入力される。A/D変換回路84は、アナログ処理回路82から入力されたアナログ処理後荷重信号をデジタル荷重信号に変換する。この変換後のデジタル荷重信号は、制御手段としての演算制御回路86に入力される。
演算制御回路86は、A/D変換回路84から入力されたデジタル荷重信号に移動平均処理等の適宜のデジタルフィルタ処理を施す。そして、このデジタルフィルタ処理後のデジタル処理後荷重信号に基づいて、厳密には計量装置20の平ベルト式コンベア22(のキャリア側ベルト)上に物品が載置されているときの当該デジタル処理後荷重信号に基づいて、その物品100の重量Wxを求める。さらに、演算制御回路86は、求められた物品100の重量Wxに基づいて、当該物品100を例えばR1,R2およびR3という3つの重量ランクRxに分類し、いわゆるランク付けをする。そして、このランク付けされた物品100の重量ランクRxに基づいて、選別装置40の回転選別機60のパルスモータ62を制御し、厳密にはそのための制御信号を当該パルスモータ62用の駆動回路88に入力する。このパルスモータ62用の駆動回路88に入力される制御信号に基づいて、当該駆動回路88からパルスモータ62へ駆動信号としてのパルス信号が供給される。このパルスモータ62の制御に際して、演算制御回路86は、光電センサ68の出力信号である言わばアーム位置信号の入力を受けて、当該パルスモータ62の回転軸62aに取り付けられている各選別アーム64,64,…の回転位置を認識する。併せて、物品センサ70の出力信号である物品検知信号の入力を受けて、搬送装置30の平ベルト式コンベア32から選別装置40の平ベルト式コンベア50に物品100が搬送されてきたことを認識する。
併せて、演算制御回路86は、計量装置20のベルト駆動用直流モータ26,搬送装置30のベルト駆動用直流モータ34および選別装置40のベルト駆動用直流モータ52を制御し、厳密にはそのための制御信号を当該各直流モータ28,36および54用の個別の駆動回路90,92および94に入力する。これら各直流モータ28,36および54は、互いに同じ回転速度(回転数)で回転するように、厳密には計量装置20の平ベルト式コンベア22,搬送装置30の平ベルト式コンベア32および選別装置40の平ベルト式コンベア50の各ベルトが互いに同じ走行速度Vbで走行するように、制御される。
なお、詳しい図示は省略するが、演算制御回路86は、演算手段としての例えばCPU(Central Processing Unit)と、このCPUの動作を制御するための制御プログラムが記憶された記憶手段としてのメモリ回路と、を有している。そして、CPUがメモリ回路に記憶された制御プログラムに従って動作することで、上述のデジタルフィルタ処理をはじめとする当該演算制御回路86の各処理が実行される。また、この演算制御回路86には、外部からの操作に応じて当該演算制御回路86に各種命令を入力する命令入力手段としての例えば操作キー96と、当該演算制御回路86による制御に従って各種情報を出力する情報出力手段としての例えばディスプレイ98と、が接続されている。これら操作キー96およびディスプレイ98は、互いに一体化されたものであってもよく、例えばタッチスクリーンであってもよい。
さて、本実施形態に係る自動重量選別機10によれば、次のようにして自動重量選別が行われる。
即ち上述したように、選別対象である物品100は、搬送ラインM0によって直線的かつ連続的に搬送され、つまり計量装置20,搬送装置30および選別装置40という順番で搬送される。この過程でまず、計量装置20によって、物品100の重量Wxが測定される。厳密には、上述の如く計量装置20の平ベルト式コンベア22上に物品100が載置されているときのデジタル処理後荷重信号に基づいて、当該物品100の重量Wxが求められる。この計量装置20による重量測定後の物品100は、搬送装置30に搬送され、さらに選別装置40に搬送される。
この重量測定後の物品100が選別装置40に搬送される直前までの間に、これと並行して、当該物品100の重量Wxのランク付けが行われる。このランク付けのために、互いに大きさが異なる2つの境界重量値W1およびW2(W1<W2)が予め設定される。そして例えば、物品100の重量Wxがこれら2つの境界重量値W1およびW2の間の範囲内(W1≦Wx≦W2)にある場合に、当該物品100は、第1ランクR1にランク付けされる。そして、物品100の重量Wxが下側の境界重量値W1よりも小さい場合には、当該物品100は、第2ランクR2にランク付けされる。一方、物品100の重量Wxが上側の境界重量値W1よりも大きい場合には、当該物品100は、第3ランクR3にランク付けされる。このようにしてランク付けが行われた上で、このランク付けされた物品100は、選別装置40に搬送される。
選別装置40に搬送された物品100は、物品センサ70によって検知される。そして、当該物品100は、自身の重量ランクRx(R1,R2またはR3)に基づいて、選別装置40の平ベルト式コンベア50(のキャリア側ベルト)上に設けられた3つの選別先ラインM1,M2およびM3のいずれかに選択的に選別される。
これら3つの選別先ラインM1,M2およびM3は、図2および図3に示すように、搬送ラインM0に沿って、かつ、当該搬送ラインM0を水平に横切る方向において互いに距離を置いて平行に、設けられている。このうちの1つ、例えば中央の言わば第1選別先ラインM1は、搬送ラインM0上にある。言い換えれば、搬送ラインM0は、第1選別先ラインM1を兼ねている。そして、他の2つの選別先ラインM2およびM3は、第1選別先ラインM1(搬送ラインM0)を挟んで当該第1選別先ラインM1に関して線対称的に設けられている。なお、搬送ラインM0を水平に横切る方向における第1選別先ラインM1と他の2つの選別先ラインM2およびM3のそれぞれとの相互間距離Laは、少なくとも同方向における物品100の寸法、言わば幅寸法Dw(図9参照)、よりも大きい(La>Dw)。また、選別装置40を搬送ラインM0の下流側から見て第1選別先ラインM1の右側に第2選別先ラインM2が設けられており、当該第1選別先ラインM1の左側に第3選別先ラインM3が設けられている。
ここで例えば、第1ランクR1にランク付けされた物品100については、図2および図3のそれぞれにおいて100aという符号が付されているように、第1選別先ラインM1に選別され、言い換えれば搬送ラインM0上をそのまま搬送され、ひいては回転選別機60の下方をそのまま通過する。そして、第2ランクR2にランク付けされた物品100については、100bという符号が付されているように、第2選別先ラインR2に選別され、詳しくは回転選別機60の下方を通過しつつ当該第2選別先ラインR2に選別される。一方、第3ランクR3にランク付けされた物品100については、100cという符号が付されているように、第3選別先ラインR3に選別され、詳しくは回転選別機60の下方を通過しつつ当該第3選別先ラインR3に選別される。
具体的には例えば、物品100が第1ランクR1のものである場合には、回転選別機60は作動せず、つまりパルスモータ62の回転軸62aは回転しない。このとき、回転選別機60は、図3に示したように、各選別アーム64,64,…のそれぞれを水平方向に対して45°の角度を成した方向に延伸させた状態にあり、言わば待機状態にある。物品100は、この待機状態にある回転選別機60の下方をそのまま通過し、この結果、第1搬送先ラインM1に選別される。
そして例えば、物品100が第2ランクR2にランク付けされたものである場合には、回転選別機60が作動し、詳しくはパルスモータ62の回転軸62bがこれを搬送ラインM0の下流側から見て反時計回りに回転する。これに伴って、各選別アーム64,64,…が回転する。この過程で、図3において左下にある選別アーム64が、詳しくはその当接板64bの一方主面が、図6に示す如く物品100に当接する。このとき、物品100は、図7においてAという符号が付された位置にある。そして、選別アーム64(厳密には当接板64bの一方主面)は、物品100の搬送ラインM0に沿う側縁(角部)の少なくとも半分以上の部分に当接した状態にある。そして、このように選別アーム64が物品100に当接した状態で当該選別アーム64が回転し続けることによって、物品100が平ベルト式コンベア50のベルト上をスライドすると共に、選別アーム64(の当接板64bの一方主面)との間で互いに擦り合いながら、第2選別先ラインM2に向かって移動する。これと併せて、物品100は、平ベルト式コンベア50によって搬送され、つまり搬送ラインM0に沿う方向に移動する。さらに、選別アーム64が物品100に当接した状態で回転し続けることによって、図8に示す如く当該選別アーム64(の先端)が物品100に届かなくなり、つまり当該選別アーム64が物品100から離れる。この選別アーム64が物品100から離れる瞬間の当該物品100は、図7においてBという符号が付された位置にある。そして、同瞬間の選別アーム64は、物品100が上述のAという符号が付された位置にあるときと同様、当該物品100の搬送ラインM0に沿う側縁の少なくとも半分以上の部分に当接した状態にある。また、この選別アーム64が物品100から離れる瞬間の当該物品100の位置によって、第2選別先ラインM2の位置が決まり、つまり搬送ラインM0を横切る方向における第1選別先ラインM1と当該第2選別先ラインM2との相互間距離Laが決まる。この結果、物品100は、第2選別先ラインM2に選別される。なお、選別アーム64は、物品100から離れた後も回転し続ける。そして、この選別アーム64を含む全ての選別アーム64,64,…のそれぞれが水平方向に対して45°の角度を成した方向に延伸する状態になった時点で、厳密には上述の光電センサ68によってスリット板66の各スリット66a,66a,…のいずれかが検出された時点で、当該各選別アーム64,64,…の回転が停止され、つまりパルスモータ62の回転軸62aの回転が停止される。これにより、回転選別機60は、図3に示した待機状態となり、言わば当該待機状態に戻る。
一方、物品100が第3ランクR3にランク付けされたものである場合には、パルスモータ62の回転軸62bがこれを搬送ラインM0の下流側から見て時計回りに回転する。これ以降は、物品100が第2ランクR2にランク付けされたものである場合と同様の要領で、当該物品100が第3選別先ラインM3に選別される。この選別後、回転選別機60は、待機状態に戻る。
ところで、上述の第1選別先ラインM1と当該第2選別先ラインM2との相互間距離Laは、例えば選別アーム64の長さ寸法(パルスモータ62の回転軸62aの中心から当該選別アーム64の先端までの寸法)Lbによって決まるが、この選別アーム64の長さ寸法Lbは、次のようにして定められる。
即ち、図8の状態を幾何的に表した図9において、パルスモータ62の回転軸62aの中心を原点Oとし、この原点Oを通る2つの軸UおよびVを仮想する。これら2つの軸UおよびVのうちのU軸は、原点Oを通り、かつ、水平方向に対して45°の角度を成す方向に延伸し、さらに、光電センサ68の設置位置を通る、直線である。一方、V軸は、原点Oを通り、かつ、U軸と直交する、直線である。加えて、選別アーム64が物品100から離れる瞬間の当該選別アーム64と物品100との当接点をPとし、パルスモータ62の回転軸62aに伴って回転する当該選別アーム64の先端の最下点をQとし、これら2つの点を端点とする線分PQの中点をRとする。そして、点Pを通る鉛直線と点Qを通る水平線との交点をSとする。なお、図9において、Eという符号が付された破線の円は、選別アーム64が回転することによって描かれる当該選別アーム64の先端の軌跡である。
ここで、線分OQと線分PSとは互いに平行(OQ‖PS)であるので、∠OQPと∠QPSとは互いに等価(∠OQP=∠QPS)であり、ゆえに、△OQRと△QPSとは互いに相似(△OQR∽△QPS)である。このことから、次の式1の関係が成立する。
《式1》
OQ/QR=QP/PS
そして、この式1から、次の式2が導き出される。
《式2》
OQ=QR・QP/PS=QP2/(2・PS)
∵ QR=QP/2
ここで、線分OQの長さは、選別アーム64の長さ寸法Lbに相当し、つまりOQ=Lbである。そして、平ベルト式コンベア50(キャリア側ベルト)の上面から点Qまでの高さをLcとし、物品100の高さ寸法をDhとすると、線分PSの長さは、PS=Dh−Lcとなる。さらに、線分QSがQS=La−(Dw/2)であることから、線分QPの長さは、QP=[(Dh−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]1/2となる。この結果、式2は、次の式3のように表される。
《式3》
Lb=[(Dh−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]/{2・(Dh−Lc)}
この式3に基づいて、選別アーム64の長さ寸法Lbが定められる。この選別アーム64の長さ寸法Lbは、第1選別先ラインM1と第3選別先ラインM3との相互間距離Laとの関係においても、同様である。
また、本実施形態によれば、物品100は、各選別先ラインM1,M2およびM3のいずれに選別される場合でも、自身の姿勢を変えずに、つまり当該姿勢を維持したまま、選別される。特に、物品100が第2選別先ラインM2および第3選別先ラインM3のいずれかに選別される場合には、図7を参照しながら説明したように、当該物品100を移動させるための選別アーム64(当接板64b)が常に当該物品100の側縁の少なくとも半分以上の部分に当接した状態にあるので、このような物品100の姿勢を維持したままの選別が可能となる。このような物品100の姿勢を維持したままの選別の実現には、選別アーム60の回転速度Vaが関係するが、当該選別アーム60の回転速度Vaは、次のように制御される。なお厳密に言えば、物品100の重心が当該物品100の略中央に位置することも必要とされるが、本実施形態においては、この物品100の重心についての条件も満足されているものとする。
例えば、物品100が第2選別先ラインM2に選別される場合を考える。この場合、上述の如く図3の左下にある選別アーム64によって当該物品100が選別され、つまり図9に示したU軸の左下部分に位置する選別アーム64が当該物品100の選別を担当する。この選別アーム64は、上述の物品センサ70によって物品100が検知されたときに、厳密にはそのことを表す物品検知信号が得られたときに、回転し始め、厳密にはパルスモータ62の回転軸62aに伴って回転し始める。そして、当該選別アーム64は、物品100が図7に示した位置Aにまで搬送されてきたときにはじめて、図6に示した如く当該物品100に当接する。この図6を幾何的に表した図10において、選別アーム64の回転位置をKとすると、当該選別アーム64は、物品センサ70によって物品100が検知されてから当該物品100が図7に示した位置Aに搬送されるまでの間に、U軸の左下部分から位置Kにまで回転することになる。
ここで改めて図7を参照して、搬送ラインM0に沿う方向における物品100の寸法、言わば長さ寸法、をDdとする。そして、同方向における物品センサ70による検知位置から選別アーム64の物品100への当接面である当接板64bの一方主面の中心までの距離をLeとし、同方向における当該当接板64bの一方主面の寸法をLfとする。すると、物品センサ70によって物品100が検知されてから当該物品100が位置Aに搬送されるまでに掛かる時間T1は、次の式4によって表される。なお、この式4において、Vbは、上述したように平ベルト式コンベア50のベルトの走行速度であり、言い換えれば当該平ベルト式コンベア50による物品100の搬送速度である。
《式4》
T1={Le+(Dd−Lf)/2}/Vb
従って、物品100が物品センサ70によって検知されてから当該物品100が位置Aに搬送されるまでの間、つまり選別アーム64がその起動位置であるU軸の左下部分から位置Kに回転するまでの間、の当該選別アーム64の回転速度Vaは、次の式5によって表される。なお、この式5におけるθ1は、図10の状態にあるときのU軸の左下部分と位置Kとの相対角度である。そして、この式5によって表される回転速度Vaの単位は、[rad/s]である。
《式5》
Va=θ1・π/(180・T1)
この式5における角度θ1は、次のようにして求められる。即ち、図10において、原点Oを通る鉛直線と物品100の上面との交点をFとすると、線分OFの長さは、OF=Lb−(Dh−Lc)となる。そして、選別アーム64と物品100との当接点をGとすると、線分FGの長さは、FG=Dw/2となる。その上で、原点Oを通る鉛直線に対する位置Kの相対角度をθ2とすると、当該角度θ2は、θ2=tan−1[(Dw/2)/{Lb−(Dh−Lc)}]となる。ゆえに、式5における角度θ1は、次の式6によって求められる。
《式6》
θ1=45°−θ2
where θ2=tan−1[(Dw/2)/{Lb−(Dh−Lc)}]
ただし、選別アーム64が図10における位置Kに到達する際の、つまり当該選別アーム64が物品100に当接する際の、当該選別アーム64の回転速度Vaが大きすぎると、その衝撃によって物品100が跳ね飛ばされてしまい、当該物品100の姿勢が崩れたり、或いは、当該物品100がその選別先である第2選別先ラインM2上の所期の位置に移動されなかったりする等、種々の不都合が生じる。この不都合を回避するべく、選別アーム64が物品100に当接する直前で、つまり当該選別アーム64が位置Kに到達する直前で、当該選別アーム64の回転速度Vaが適当に減速される。
即ち、上述の式5によって表される回転速度Vaは、選別アーム64が図10におけるU軸の左下部分から位置Kに移動するまでの間の平均速度V1である。従って、この間においては、選別アーム64は、当該平均速度V1を遵守することを条件として、適宜の回転速度Vaで回転駆動される。
続いて、選別アーム64が図6に示した如く物品100に当接してから図8に示した如く当該物品100から離れるまでの間、つまり当該選別アーム64が図10における位置Kから図9における位置Zに回転するまでの間、に注目する。この間においては、物品100は、図7に示した如く位置Aから位置Bにまで移動し、つまり搬送ラインM0に沿う方向に距離Lfだけ移動する。そして、この物品100が位置Aから位置Bにまで移動するのに掛かる時間T2は、次の式7によって表される。
《式7》
T2=Lf/Vb
従って、選別アーム64が図10における位置Kから図9における位置Zに回転するまでの間の当該選別アーム64の回転速度Vaは、次の式8によって表される。なお、この式8におけるθ3は、図9の状態にあるときの原点Oを通る鉛直線に対する位置Zの相対角度である。そして、この式7によって表される回転速度Vaの単位もまた、[rad/s]である。
《式8》
Va=(θ2+θ3)・π/(180・T2)
この式5における角度θ3は、次のようにして求められる。即ち、図9において、次の式9が成立する。
《式9》
θ3/2=sin−1(QR/OQ)
∴ θ3=2・sin−1(QR/OQ)
ここで、線分OQの長さは、上述の如く選別アーム64の長さ寸法Lbに相当し、つまりOQ=Lbである。そして、線分QRの長さは、線分QPの長さの半分(QR=QP/2)であり、当該線分QPの長さは、QP=[(Dh−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]1/2である。従って、線分QRの長さは、QR=[(Dh−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]1/2/2となる。そうすると、角度θ3は、次の10によって求められる。
《式10》
θ3=2・sin−1[[(Dh−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]1/2/(2・Lb)]
ただし、選別アーム64が図9における位置Zに到達する際の、つまり当該選別アーム64が物品100から離れる際の、当該選別アーム64の回転角度Vaが大きすぎると、その勢いによって物品100が跳ね飛ばされてしまい、上述と同様、物品100の姿勢が崩れたり、当該物品100が第2選別先ラインM2上から外れてしまったりする等の種々の不都合が生じる。この不都合を回避するべく、選別アーム64が物品100に当接する直前で、つまり当該選別アーム64が位置Zに到達する直前で、当該選別アーム64の回転速度Vaが適当に減速される。
即ち、上述の式8によって表される回転速度Vaは、選別アーム64が図10における位置Kから図9における位置Zに移動するまでの間の平均速度V2である。従って、この間においても、選別アーム64は、当該平均速度V2を遵守することを条件として、適宜の回転速度Vaで回転駆動される。
続いて、選別アーム64が図8に示した如く物品100から離れた後、当該選別アーム64の延伸方向が水平方向に対して45°を成すようになるまでの間、つまり当該選別アーム64が図9におけるに位置ZからV軸の右下部分に回転するまでの間、に注目する。この間においては、選別アーム64は、可能な限り大きな回転速度Vaで回転駆動される。そして、上述の光電センサ68によってスリット板66の各スリット66a,66a,…のいずれかが検出されたときに、厳密にはそのことを表すアーム位置信号が得られたときに、選別アーム64の回転が停止され、つまりパルスモータ62の回転軸62aの回転が停止される。
なおより厳密に言うと、選別アーム64の回転速度Vaは、当該選別アーム64がV軸の右下部分に到達する直前でゼロに近い速度(Va≒0)にまで減速される。そして、上述の如く光電センサ68によってスリット板66の各スリット66a,66a,…のいずれかが検出されたときに、選別アーム64の回転が完全に停止される。この結果、選別アーム64を含む回転選別機60は、図3に示した待機状態に戻る。
このようにして物品100が第2選別先ラインM2に選別される際の選別アーム64の回転速度Vaの推移をグラフで表現すると、図11のようになる。この図11に示すように、物品センサ70によって物品100が検知された時点t0においては、選別アーム64は停止しており、つまり当該選別アーム64の回転速度VaはVa=0である。そして、この停止状態にある選別アーム64の回転速度Vaは、上述の式5によって表される言わば第1の平均速度V1よりも大きい所定の速度V11(>V1)にまで一気に加速される。選別アーム64の回転速度Vaが速度V11にまで加速されると、この速度V11という選別アーム64の回転速度Vaは、当該選別アーム64が位置Kに到達する直前の時点t1まで維持される。そして、この時点t1から選別アーム64が位置Kに到達する時点t2に掛けて、当該選別アーム64の回転速度Vaは第1平均速度V1よりも小さい所定の速度V12(<V1)にまで減速される。このように選別アーム64が位置Kに到達する直前で、つまり当該選別アーム64が物品100に当接する直前で、当該選別アーム64の回転速度Vaが減速されることによって、上述の如く当該選別アーム64が物品100に到達する際の当該選別アーム64による物品100への衝撃が緩和され、この衝撃に起因する種々の不都合が回避される。そして、この選別アーム64が回転し始める時点t1から当該選別アーム64が物品100に当接する時点t2までの言わば第1の期間T1における当該選別アーム64の回転速度Vaが第1平均速度V1に遵守されることによって、当該物品100が図7に示した位置Aにまで搬送されたタイミングで当該選別アーム64が物品100に当接し、つまり当該選別アーム64が物品100の側縁の少なくとも半分以上の部分に当接する。
このように時点t2で選別アーム64が物品100に当接すると、当該選別アーム64の回転速度Vaは、当該時点t2から時点t3に掛けて、上述の式8によって表される言わば第2の平均速度V2よりも大きい所定の速度V21(>V2)にまで加速される。選別アーム64の回転速度Vaが速度V21にまで加速されると、この速度V21という選別アーム64の回転速度Vaは、当該選別アーム64が位置Zに到達する直前の時点t4まで維持される。そして、この時点t4から選別アーム64が位置Zに到達する時点t5に掛けて、当該選別アーム64の回転速度Vaは第2平均速度V2よりも小さい所定の速度V22(<V2)にまで減速される。このように選別アーム64が位置Zに到達する直前で、つまり当該選別アーム64が物品100から離れる直前で、当該選別アーム64の回転速度Vaが減速されることによって、上述の如く当該選別アーム64が物品100から離れる際の勢いが低減され、この勢いによる種々の不都合が回避される。そして、この選別アーム64が物品100に当接した時点t2から当該選別アーム64が物品100から離れる時点t5までの言わば第2の期間T2における当該選別アーム64の回転速度Vaが第2平均速度V2に遵守されることによって、当該物品100が図7に示した位置Bに搬送されたタイミングで当該選別アーム64が物品100から離れ、つまり当該選別アーム64が物品100の側縁の少なくとも半分以上の部分に当接した状態で当該物品100から離れる。
なお、図11においては、第1平均速度V1よりも第2平均速度V2の方が大きい(V1<V2)が、この第1平均速度V1と第2平均速度V2との相互関係は、第1期間T1と第2期間T2との相互関係による。言い換えれば、当該第1平均速度V1と第2平均速度V2との相互関係は、図7に示した物品センサ70による物品100の検出位置と選別アーム64が当該物品100に当接する際の当該物品100の位置Aとの搬送ラインM0に沿う方向における相互間距離Le+(Dd−Lf)/2と、当該位置Aと選別アーム64が物品100から離れる際の当該物品100の位置Bとの搬送ラインM0に沿う方向における相互間距離Lfと、の相互関係による。また、当該第1平均速度V1と第2平均速度V2との相互関係は、図10に示したU軸の左下部分から位置Kまでの選別アーム64の回転角度θ1と、当該位置Kから図9に示した位置Zまでの選別アーム64の回転角度θ2+θ3と、の相互関係にもよる。
上述の如く時点t5で選別アーム64が物品100から離れると、当該選別アーム64の回転速度Vaは、当該時点t5から時点t6に掛けて、出来る限り大きな回転速度V31にまで加速される。選別アーム64の回転速度Vaが速度V31にまで加速されると、この速度V31という選別アーム64の回転速度Vaは、当該選別アーム64がV軸の右下部分に到達する直前の時点t7まで維持される。そして、この時点t7から選別アーム64が位置Zに到達する時点t8に掛けて、当該選別アーム64の回転速度VaはVa=0にまで減速される。なお図11からは分からないが、厳密に言えば、選別アーム64の回転速度Vaは、時点t8に到達するほんの少し前、つまり当該選別アーム64がV軸の右下部分に到達するほんの少し前に、ゼロよりもほんの少し大きい速度(Va≒0)にまで減速される。そして、上述の光電センサ68によってスリット板66のいずれかのスリット66aが検出されたときに、選別アーム64の回転速度Vaが完全にVa=0とされ、つまり当該選別アーム64が完全に停止される。なお、この選別アーム64が物品100から離れた時点t2から当該選別アーム64が停止されるまで、厳密には当該選別アーム64の回転速度Vaが略ゼロ(Va≒0)になるまで、の言わば第3の期間T3における当該選別アーム64の回転速度Vaの平均、言わば第3の平均速度V3は、第1平均速度V1および第2平均速度V2のいずれよりも大きい(V3>V1,V3>V2)。
この選別アーム64の回転速度Vaの推移は、物品100が第3ラインM3に選別される場合も、当該選別アーム64の回転方向が反対であること以外は、同様である。
選別アーム64が回転駆動される際の当該選別アーム64の回転速度Vaは、図12に示す制御テーブルに従って制御される。この制御テーブルには、各時点tn(=t0〜t8)でパルスモータ62に供給されるべきパルス信号の累積パルス数P[n]と、当該各時点tnにおける選別アーム64の回転速度Vaの目標となる目標速度V[n]と、この目標速度V[n]で選別アーム64を回転駆動させるのに必要なパルス信号の周期である目標パルス周期T[n]と、がパラメータとして記憶されている。これらのパラメータP[n],V[n]およびT[n]は、操作キー96の操作によって適宜に設定される。また、物品センサ70によって物品100が検知された最初の時点t0の累積パルス数P[0]は、P[0]=0であり、この最初の時点t0の累積パルス数P[0](=0)を基準として、他の各時点t1〜t8における累積パルス数P[1]〜P[8]が設定される。ただし、最後の時点t8における累積パルス数P[8]については、選別アーム64がV軸の右下部分に到達するほんの少し前の位置に対応する数値が設定される。そして、この最後の時点t8における目標速度V[8]については、ゼロよりも少し大きい速度(≒0)が設定される。さらに、制御テーブルには、それぞれの時点tnから次の時点tn+1までの期間におけるパルス信号のパルス周期の増減率ΔT[n]が記憶されている。このパルス周期増減率ΔT[n]もまた、パラメータの1つであり、次の式11によって表される。
《式11》
ΔT[n]=(T[n+1]−T[n])/(P[n+1]−P[n])
なお、最初の時点t0から次の時点t1までの期間t0〜t1におけるパルス周期増減率ΔT[0]は、ΔT[0]=0である。これは、図11に示したように、同期間t0〜t1においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V11であること、つまり一定であること、を意味する。そして、時点t1から次の時点t2までの期間t1〜t2におけるパルス周期増減率ΔT[1]は、ΔT[1]>0である。これは、同期間t1〜t2においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V11からVa=V12に減速されることを意味する。さらに、時点t2から次の時点t3までの期間t2〜t3におけるパルス周期増減率ΔT[2]は、ΔT[2]<0である。これは、同期間t1〜t2においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V12からVa=V21に加速されることを意味する。また、時点t3から次の時点t4までの期間t3〜t4におけるパルス周期増減率ΔT[3]は、ΔT[3]=0である。これは、同期間t3〜t4においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V21であること、つまり一定であること、を意味する。時点t4から次の時点t5までの期間t4〜t5におけるパルス周期増減率ΔT[4]は、ΔT[4]>0である。これは、同期間t4〜t5においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V21からVa=V22に減速されることを意味する。時点t5から次の時点t6までの期間t5〜t6におけるパルス周期増減率ΔT[5]は、ΔT[5]<0である。これは、同期間t5〜t6においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V22からVa=V31に加速されることを意味する。時点t6から次の時点t7までの期間t6〜t7におけるパルス周期増減率ΔT[6]は、ΔT[6]=0である。これは、同期間t6〜t7においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V31であること、つまり一定であること、を意味する。そして、時点t7から最後の時点t8までの期間t7〜t8におけるパルス周期増減率ΔT[7]は、ΔT[7]>0である。これは、同期間t7〜t8においては、選別アーム64の回転速度VaがVa=V31からVa≒0に減速されることを意味する。
加えて、制御テーブルには、それぞれの時点tnから次の時点tn+1までの期間中にパルスモータ62に供給されるパルス信号のパルス周期Tx[n]が記憶されており、厳密には次の式12が記憶されている。
《式12》
Tx[n]=T[n]+ΔT[n]・Ci
なお、この式12において、Ciは、パルス信号のパルス数(カウント値)である。即ち、この式12に基づいて、パルス信号のパルス周期Tx[n]が求められ、このパルス周期Tx[n]を持つ当該パルス信号が駆動信号としてパルスモータ62に供給される。
この制御テーブルを参照しつつ、制御装置80の演算制御回路86は、厳密には当該演算制御回路86内のCPUは、図13に示す選別タスクを実行する。なお、制御テーブルは、演算制御回路86内のメモリ回路に記憶されている。また、この選別タスクの実行に先立って、計量装置20,搬送装置30および選別装置40の各ベルト駆動用直流モータ26,34および52が駆動される。
即ち、操作キー96の操作によって自動重量選別を開始する旨の指令が入力されると、演算制御回路86は、ステップS1に進む。そして、このステップS1において、操作キー96の操作によって当該自動重量選別を終了する旨の指令が入力されたかどうかを判定する。ここで例えば、当該終了指令が入力されると、この選別タスクを終了する。一方、当該終了指令が入力されない場合には、ステップS3に進む。
ステップS3において、演算制御回路86は、物品センサ70によって物品100が検知されたかどうか、つまりその旨を表す物品検知信号が当該物品センサ70から入力されたかどうか、を判定する。ここで例えば、当該物品検知信号が入力されない場合には、ステップS1に戻る。一方、当該物品検知信号が入力されると、ステップS5に進む。
ステップS5において、演算制御回路86は、選別対象となる物品100の重量ランクRxを確認する。その上で、ステップS7に進み、当該重量ランクRxが第1ランクR1であるかどうかを判定する。ここで例えば、当該重量ランクRxが第1ランクR1である場合には、ステップS1に戻る。一方、当該重量ランクRxが第1ランクR1でない場合、つまり第2ランクR2または第3ランクR3である場合には、ステップS9に進む。
ステップS9において、演算制御回路86は、重量ランクRxが第2ランクR2であるかどうかを判定する。ここで例えば、当該重量ランクRxが第2ランクR2である場合には、ステップS11に進む。そして、このステップS11において、パルスモータ62の回転方向を反時計回りに設定した後、ステップS13に進む。一方、ステップS9において、重量ランクRxが第2ランクR2でない場合、つまり当該重量ランクRxが第3ランクR3である場合には、ステップS15に進む。そして、このステップS15において、パルスモータ62の回転方向を時計回りに設定した後、ステップS13に進む。
ステップS13において、演算制御回路86は、上述した時点tnの番号nを表すインデックスをリセットし、つまり当該番号インデックスnにゼロ(0)を設定する。そして、ステップS17に進み、パルスモータ62に供給するパルス信号のパルス数をカウントするためのカウント値Ciをリセットし、つまり当該カウント値Ciにゼロを設定する。さらに、ステップS19に進み、上述した式12に基づいて、当該パルス信号のパルス周期Tx[n]を算出する。そして、ステップS21に進み、当該ステップS19で算出されたパルス周期Tx[n]を持つパルス信号が1パルス分だけパルスモータ62に供給されるように、当該パルスモータ62用の駆動回路88に制御信号を入力する。これにより、パルスモータ62が1パルス分だけ回転駆動される。
さらに、演算制御回路86は、ステップS23に進み、パルス信号のパルス数のカウント値Ciを1だけインクリメントする。そして、ステップS25に進み、図12に示した制御テーブルを参照して、現在の(厳密には直近に経過した)時点tnの累積パルス数P[n]と次の時点tn+1の累積パルス数P[n+1]との相互差ΔP[n](=P[n+1]−P[n])を求める。さらに、この相互差ΔP[n]とステップS23におけるインクリメント後のカウント値Ciとを比較する。ここで例えば、当該相互差ΔP[n]とカウント値Ciとが互いに等価でない(Ci≠ΔP[n])場合、つまり次の時点tn+1が到来していない場合には、ステップS19に戻る。一方、当該カウント値Ciと相互差ΔP[n]とが互いに等価(Ci=ΔP[n])である場合、つまり次の時点tn+1が到来した場合には、ステップS27に進む。
ステップS27において、演算制御回路86は、時点tnの番号インデックスnの値を1だけインクリメントする。そして、ステップS29に進み、当該インクリメント後の番号インデックスnの値がその最大値である8に到達した(n=8)かどうか、つまり最後の時点t8が到来したかどうか、を判定する。ここで例えば、当該番号インデックスnの値が未だ8に到達していない(n<8)場合、つまり最後の時点t8が未だ到来していない場合には、ステップS17に戻る。一方、当該番号インデックスnの値が8に到達した(n=8)場合、つまり最後の時点t8が到来した場合には、ステップS31に進む。
ステップS31において、演算制御回路86は、回転選別機60が待機状態の位置まで到達したかどうかを判定する。具体的には例えば、物品100の重量ランクRxが第2ランクR2である場合には、当該物品100の選別を担当する選別アーム64が図9に示した如くV軸の右下部分に到達したかどうかを判定する。また例えば、物品100の重量ランクRxが第3ランクR3である場合には、当該物品100の選別を担当する選別アーム64がU軸の左下部分に到達したかどうかを判定する。より厳密に言えば、上述した光電センサ68によってスリット板66のいずれかのスリット66aが検出されたかどうかを判定する。ここで例えば、当該光電センサ68によってスリット板66のいずれかのスリット66aが未だ検出されていない場合には、回転選別機60が未だ待機状態の位置まで到達していないものと判断して、ステップS33に進む。そして、ステップS33において、パルスモータ62用の駆動回路88に1パルス分だけ制御信号を入力する。これにより、パルスモータ62がさらに1パルス分だけ回転駆動される。その上で、演算制御回路86は、ステップS31に戻る。一方、ステップS31において、光電センサ68によってスリット板66のいずれかのスリット66aが検出された場合には、回転選別機60が待機状態の位置まで到達したものと判断して、ステップS1に戻る。これにより、回転選別機60は待機状態となる。
以上のように、本実施形態によれば、物品100は、自身の重量Wx(厳密には重量ランクRx)に応じて3つの選別先ラインM1〜M3のいずれかに選択的に選別される。そして、この選別の前後で物品100の姿勢は変わらず、維持される。従って、選別後の物品100を上述した印字処理や包装処理等の適宜の処理を自動的に行うための次工程ランクに搬送するのに極めて有効である。
なお、本実施形態において説明した内容は、本発明を実現するための1つの具体例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
例えば、本実施形態においては、図9を参照しながら説明したように、選別アーム64が物品100に当接した状態で回転し続けることによって当該選別アーム64が物品100から離れたときの当該物品100の位置により、第2選別先ラインM2の位置が決まり、つまり当該第2選別先ラインM2と第1選別先ラインM1(搬送ラインM0)との相互間距離Laが決まることとしたが、これに限らない。例えば、図14に示すように、選別アーム64(の先端)が物品100(の側面)の所定位置P’に当接した状態で、当該選別アーム64の回転が一時的に停止される。そしてこの状態で、物品100が平ベルト式コンベア50により搬送され続けることによって、当該物品100から選別アーム64が離れるように構成されてもよい。この構成によれば、上述の式3に準拠する次の式13が成立する。そして、この式13から、第1選別先ラインM1と第2選別先ラインM2との相互間距離La’が決まる。
《式13》
Lb=[(Dh’−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]/{2・(Dh’−Lc)}
また、選別アーム64が一時的に停止される際の、言い換えれば当該選別アーム64が物品100から離れる際の、当該選別アーム64の回転位置をZ’とし、このときの線分QP’の中点をR’とすると、図14における原点Oを通る鉛直線に対する当該位置Z’の相対角度θ3’は、上述の式9に準拠する次の式14のように表される。
《式14》
θ3’/2=sin−1(QR’/OQ)
∴ θ3’=2・sin−1(QR’/OQ)
そして、この角度θ3’は、上述の式10に準拠する次の式15のように表される。
《式15》
θ3’=2・sin−1[[(Dh’−Lc)2+{La−(Dw/2)}2]1/2/(2・Lb)]
即ち、この角度θ3’が適宜に設定されることで、第1選別先ラインM1と第2選別先ラインM2との相互間距離La’が決まる。
なお、選別アーム64が一時的に停止された状態で当該選別アーム64が物品100から離れると、その後は、当該選別アーム64はV軸の右下部分まで回転する。そして、当該選別アーム64がV軸の右下部分まで回転した時点で、厳密には上述の光電センサ68によってスリット板66のいずれかのスリット66aが検出された時点で、当該選別アーム64は停止される。これにより、当該選別アーム64を含む回転選別機60は待機状態に戻る。
このことは、第1選別先ラインM1と第3選別先ラインM2との相互間距離Laについても、選別アーム64の回転方向が反対であること以外は、同様である。
さらに、本実施形態においては、選別装置40の1つの平ベルト式コンベア50上に3つの選別先ラインM1〜M3が形成されたが、これに限らない。例えば図15および図16に示すように、互いに独立した3つの平ベルト式コンベア50a,50bおよび50c上に当該3つの選別先ラインM1〜M3が個別に形成されてもよい。この場合、とりわけ図16に示すように、第2選別先ラインM2を形成する言わば第2平ベルト式コンベア50b(のキャリア側ベルトの上面)と、第3選別先ラインM3を形成する第3平ベルト式コンベア50c(のキャリア側ベルトの上面)とは、第1選別先ラインM1(搬送ラインM0)を形成する第1平ベルト式コンベア50a(のキャリア側ベルトの上面)よりも若干低めの位置に設けられるようにすることが、肝要である。また、物品センサ70を構成する一対の投光器70aおよび受光器70bは、各平ベルト式コンベア50a,50bおよび50c全体としての両側ではなく、第1平ベルト式コンベア50aの両側に設けられれば、足りる。
加えて、図17に示すように、複数台の、例えば3台の、回転選別機60,60および60が設けられてもよい。具体的には、搬送ラインM0上に設けられた言わば第1の回転選別機60よりも下流側であって、第2選別先ラインM2上および第3選別先ラインM3上のそれぞれに、別の回転選別機60および60が設けられる。なお、これら第2選別先ラインM2上および第3選別先ラインM3上に設けられた言わば第2回転選別機60および第3回転選別機60もまた、それぞれのパルスモータ62および62の回転軸62aおよび62aをそれぞれが設けられた当該第2選別先ラインM2および第3選別先ラインM3の下流側に向けた状態にあり、詳しくは当該回転軸62aおよび62aの中心を当該第2選別先ラインM2および第3選別先ラインM3の中心の真上に位置させた状態にある。そして、物品センサ70による物品100の検知位置よりも搬送ラインM0の下流側にLgという距離を置いた位置に、別の物品センサ72が設けられている。この言わば第2の物品センサ72は、言わば第1の物品センサ70と同様、一対の投光器72aおよび受光器72bから成る透過型の光電センサである。これら各物品センサ70および70aの搬送ラインM0に沿う方向における相互間距離Lgは、同方向における選別アーム64(当接板64b)の寸法Lfと、同方向における物品100の寸法Ddの半分と、の総和以上(Lg≧Lf+(Dd/2))とされる。そして、第1回転選別機60と第2回転選別機60および第3回転選別機60のそれぞれとの当該搬送ラインM0に沿う方向における相互間距離Lhは、各物品センサ70および70aの同方向における相互間距離Lg以上(Lh≧Lg)とされる。
この図17に示す構成によれば、第2選別先ラインM2の外側(右側)に、詳しくは当該第2選別先ラインM2から搬送ラインM0を水平に横切る方向に距離Laを置いた位置に、言わば第4の選別先ラインM4が形成される。そして、第3選別先ラインM3の外側(左側)に、詳しくは当該第3選別先ラインM3から搬送ラインM0を水平に横切る方向に距離Laを置いた位置に、言わば第5の選別先ラインM5が形成される。即ち、全部で5つの選別先ラインM1〜M5が形成される。そして例えば、第4選別先ラインM4には、上述した各重量ランクR1〜R3とは異なる第4ランクR4にランク付けされた物品100が選別される。詳しくは、当該第4ランクR4にランク付けされた物品100は、まず、第1回転選別機60によって搬送ラインM0から第2選別先ラインM2に選別され、さらに、第2回転選別機60によって図17に100dという符号で示す如く当該第2選別先ラインM2から第4選別先ラインM4に選別される。これと同様に、第5選別先ラインM5には、第5ランクR5にランク付けされた物品100が選別される。詳しくは、当該第5ランクR5にランク付けされた物品100は、まず、第1回転選別機60によって搬送ラインM0から第3選別先ラインM3に選別され、さらに、第3回転選別機60によって図17に100eという符号で示す如く当該第3選別先ラインM3から第5選別先ラインM5に選別される。
このように、図17に示す構成によれば、物品100の選別先のさらなる細分化が図られる。なお、回転選別機60の台数は、3台に限らず、これ以外の台数であってもよい。
そして、本実施形態においては、計量装置20,搬送装置30および選別装置40が互いに共通の制御装置80に接続された構成とされているが、これに限らない。即ち、当該計量装置20,搬送装置30および選別装置40が互いに別個の制御装置に接続された構成とされてもよい。
また、パルスモータ62の回転軸62aに取り付けられる選別アーム64の数は4つに限らず、例えば1つであってもよい。この場合は、当該1つの選別アーム64を360°にわたって回転(回動)させるのではなく、或る限られた角度範囲内において言わば振り子状に揺動させてもよい。特に図17に示した構成においては、例えば第2選別先ラインM2上に設けられた第2回転選別機60について、これによる当該第2選別先ラインM2以外の選別先が第4選別先ラインM4のみであるので、当該第2回転選別機60として、ここで言うような1つの選別アーム64を揺動させる方式が採用されてもよい。このことは、第3選別先ラインM3上に設けられた第3回転選別機60についても、同様である。勿論、選別アーム64の数は、これ以外の数であってもよい。要するに、選別アーム64の数は、選別対象である物品100のサイズや搬送速度Vb,当該物品100の搬送間隔等のその時々の選別状況に応じて適宜に定められればよい。
さらに、物品100としては、概略直方体状のものに限らず、円柱形(円筒形)や円錐形等の他の形状のものであってもよい。この場合も、当該物品100の形状やサイズ,搬送速度Vb,搬送間隔等の選別状況に応じて上述したパラメータP[n],V[n]およびT[n]が適宜に設定されることで、当該物品100の姿勢を維持しながらの選別が実現される。また、必要に応じて選別アーム64のサイズや形状等が適宜に変更されてもよい。
加えて、パルスモータ62に代えて、直流モータ等の他の種類のモータが採用されてもよい。各平ベルト式コンベア22,32および50のベルト駆動用モータ26,34および52についても、直流モータに限らず、他の種類のモータが採用されてもよい。
そして、各平ベルト式コンベア22,32および50に代えて、ローラ式コンベア等の他の種類のコンベアが採用されてもよい。
また、本実施形態においては、物品100の重量Wx(重量ランクRx)に応じて当該物品100が選別される自動重量選別機10を例に挙げたが、これに限らない。例えば、物品100の色や素材等のような重量Wx以外の性状に応じて当該物品100が選別される装置にも本発明を適用することができる。