JP6307835B2 - ロボット、ロボット制御装置およびロボットシステム - Google Patents
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Description
本発明の目的は、一方の多関節ロボットアームが精密さを必要とする所定作業を行っている場合には、他方の多関節ロボットアームをなるべく振動を発生させないように駆動し、前記所定作業を十分な精度で実行することのできるロボット、ロボット制御装置およびロボットシステムを提供することにある。
本発明のロボットは、第1ロボットアームおよび第2ロボットアームを有し、
前記第1ロボットアームの先端が所定作業を行っていない非作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を所定距離動かすのにかかる第1の時間よりも、前記第1ロボットアームの先端が前記所定作業を行っている作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を前記所定距離動かすのにかかる第2の時間の方が長く、
前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームを静止状態から目標状態とする駆動信号を出力した時刻をt1とし、前記第2ロボットアームが最初に前記目標状態に到達した時刻をt2としたとき、t2−t1で規定されることを特徴とする。
これにより、一方の多関節ロボットアームが精密さを必要とする所定作業を行っている場合には、他方の多関節ロボットアームをなるべく振動を発生させないように駆動させるため、前記所定作業を十分な精度で実行することのできるロボットを提供することができる。
前記設定受付部で受け付けられた前記設定値が、前記非作業状態と前記作業状態とで同じであることが好ましい。
これにより、設定値によらずに、非作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間よりも、作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間の方を長くすることができる。
前記モーターについて、前記モーターの位置と指令位置の差である位置偏差に乗じる位置比例ゲインが、前記非作業状態のときよりも前記作業状態のときの方が小さいことが好ましい。
これにより、比較的簡単な制御で、非作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間よりも、作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間の方を長くすることができる。
前記モーターについて、加速度および減速度の少なくとも一方が、前記非作業状態のときよりも前記作業状態のときの方が小さいことが好ましい。
これにより、比較的簡単な制御で、非作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間よりも、作業状態のときに第1ロボットアームの先端を所定距離動かしたときにかかる時間の方を長くすることができる。
これにより、作業状態のときの振動の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明のロボットでは、前記作業状態では、前記第2ロボットアームが第1質量の物体を保持するときの加速度よりも、前記第2ロボットアームが前記第1質量よりも重い第2質量の物体を保持するときの加速度の方が低いことが好ましい。
これにより、作業状態のときの振動の発生をより効果的に抑制することができる。
本発明のロボットでは、前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームの先端を静止状態から前記所定距離動かすのにかかる時間であることが好ましい。
これにより、作業状態のときの振動の発生をより効果的に抑制することができる。
前記第1ロボットアームの先端が所定作業を行っていない非作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を所定距離動かすのにかかる第1の時間よりも、前記第1ロボットアームの先端が前記所定作業を行っている作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を前記所定距離動かすのにかかる第2の時間の方が長くなるように制御し、
前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームを静止状態から目標状態とする駆動信号を出力した時刻をt1とし、前記第2ロボットアームが最初に前記目標状態に到達した時刻をt2としたとき、t2−t1で規定されることを特徴とする。
これにより、一方の多関節ロボットアームが精密さを必要とする所定作業を行っている場合には、他方の多関節ロボットアームをなるべく振動を発生させないように駆動させるため、前記所定作業を十分な精度で実行することのできるロボットとなる。
前記ロボットの作動を制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とする。
これにより、一方の多関節ロボットアームが精密さを必要とする所定作業を行っている場合には、他方の多関節ロボットアームをなるべく振動を発生させないように駆動させるため、前記所定作業を十分な精度で実行することのできるロボットシステムとなる。
図1は、本発明のロボットシステムの好適な実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示すロボットが有する昇降機構および検知部を示す断面図である。図3は、図1に示すロボットの関節機構、捻り機構および回動軸を表す図である。図4は、図1に示すロボットに装着されるエンドエフェクターを示す図である。図5は、図1に示すロボットシステムの制御系を示すブロック図である。図6〜図13は、それぞれ、図1に示すロボットの駆動制御を示すブロック図である。図14は、多関節ロボットアームの静止状態と目標状態とを示す平面図である。図15は、駆動信号と多関節ロボットアームの駆動とを示す図である。図16は、発生する慣性モーメントが異なる2つの姿勢を示す図である。図17は、多関節ロボットアームが行う作業の一例を示す図である。
図1に示すように、ロボット200は、ベース(基台)210と、ベース210に連結されている胴体220と、胴体220の左右に連結されている一対の多関節ロボットアーム230、240と、胴体220に設けられているステレオカメラ250および信号灯260と、多関節ロボットアーム230、240に設けられているハンドカメラ280、290とを有している。
ベース210には、ロボット200の移動を容易とする複数の車輪(図示せず)と、各車輪をロックするロック機構(図示せず)と、ロボット200を移動する際に把持するハンドル211とが設けられている。ロック機構を解除し、ハンドル211を把持して押したり引いたりすることにより、ロボット200を自在に移動させることができ、ロック機構によって車輪をロックすることにより、ロボット200を所定の位置で固定することができる。このように、ロボット200を移動容易とすることで、ロボット200の利便性が向上する。なお、車輪、ロック機構およびハンドル211は、それぞれ、省略してもよい。
また、ベース210には、入力装置270が設けられている。入力装置270は、キーボードや外部機器との接続インターフェイス等のデータを入力する装置である。他にも入力装置270にはロボット200の動作を入力するティーチング用の装置が含まれている。また、入力装置270は、モニターを有しており、このモニターにロボット200の状態や各種データを表示することができるようになっている。
図1に示すように、胴体220は、昇降機構800を介して、ベース210に対して鉛直方向(回動軸O1方向)に昇降可能に連結されている。昇降機構800の構成としては、胴体220をベース210に対して昇降させることができれば、特に限定されない。図2に示すように、昇降機構800は、内部にラック811が設けられている筒状の昇降部810と、ラック811に噛合しているピニオン820と、ピニオン820を回転させるウォームホイール830と、ウォームホイール830を回転させるウォーム840と、ウォーム840を回転させる駆動源としてのモーター850と、モーター850の回転角度を検知する位置センサー860とを有している。これら構成のうち、昇降部810は、胴体220に連結されており、ピニオン820、ウォームホイール830、ウォーム840およびモーター850は、それぞれ、ベース210に固定されている。モーター850を駆動すると、その動力がウォーム840およびウォームホイール830を介してピニオン820に伝わり、ピニオン820の回転に伴ってラック811が移動する。これにより、昇降部810と共に胴体220がベース210に対して上昇または下降する。また、ウォームホイール830およびウォーム840を用いることによって、モーター850を停止させても、昇降部810の位置(高さ)を維持することができる。なお、モーター850としては、例えば、ACサーボモーター、DCサーボモーター等のサーボモーターを用いることができ、位置センサー860としては、例えば、エンコーダー、ロータリーエンコーダー、レゾルバー、ポテンショメーター等を用いることができる。また、モーター850とウォーム840との間に、モーター850の回転速度を減じる減速機を設けてもよい。
図3に示すように、多関節ロボットアーム(第1ロボットアーム)230は、関節機構410を介して胴体220に連結されている第1肩部(第1アーム部)231と、関節機構420を介して第1肩部231に連結されている第2肩部232(第2アーム部)と、捻り機構(関節機構)430を介して第2肩部232の先端に連結されている上腕部(第3アーム部)233と、関節機構440を介して上腕部233の先端に連結されている第1前腕部(第4アーム部)234と、捻り機構(関節機構)450を介して第1前腕部234の先端に連結されている第2前腕部(第5アーム部)235と、関節機構460を介して第2前腕部235の先端に連結されている手首部(第6アーム部)236と、捻り機構(関節機構)470を介して手首部236の先端に連結されている連結部(第7アーム部)237と、を有している。また、連結部237にはハンド部238が設けられており、ハンド部238には、図4に示すように、ロボット200に実行させる作業に応じたエンドエフェクター610が力覚センサー740を介して装着される。
すなわち、図3に示すように、多関節ロボットアーム240は、関節機構510を介して胴体220に連結されている第1肩部241と、関節機構520を介して第1肩部241に連結されている第2肩部242と、捻り機構(関節機構)530を介して第2肩部242の先端に連結されている上腕部243と、関節機構540を介して上腕部243の先端に連結されている第1前腕部244と、捻り機構(関節機構)550を介して第1前腕部244の先端に連結されている第2前腕部245と、関節機構560を介して第2前腕部245の先端に連結されている手首部246と、捻り機構(関節機構)570を介して手首部246の先端に連結されている連結部247と、を有している。また、連結部247にはハンド部248が設けられており、ハンド部248には、ロボット200に実行させる作業に応じたエンドエフェクター620が力覚センサー750を介して装着される。
多関節ロボットアーム230、240の先端(ハンド部238、248)に取り付けられるエンドエフェクター610、620は、目的によって構成が異なるが、例えば、対象物を把持する機能を有している。このようなエンドエフェクター610、620は、例えば、図4に示すように、第1の指611、621と第2の指612、622を有する構成とすることができる。このような構成のエンドエフェクター610、620では、第1の指611、621と第2の指612、622の離間距離を調整することにより、対象物を把持することができる。
図1に示すように、ロボット200には3つの角速度センサー710、720、730が設けられている。角速度センサー710は、胴体220に配置され、角速度センサー720は、多関節ロボットアーム230に配置され、角速度センサー730は、多関節ロボットアーム240に配置されている。これら角速度センサー710、720、730は、それぞれ、互いに直交する3軸(x軸、y軸およびz軸)の各軸まわりの角速度ωx、ωy、ωzを独立して検知することのできる3軸角速度センサーである。なお、本実施形態では、角速度センサー720、730は、多関節ロボットアーム230、240の肘あたりに配置されているが、これらの配置は特に限定されない。
角速度センサー710、720、730で検出された角速度(アナログ信号)は、増幅器で増幅され、次いで、A/D変換回路によってデジタル信号に変換された後にロボット制御装置900へ送信される。
ロボット制御装置900は、ロボット200が行う処理の内容に基づいて多関節ロボットアーム230、240の目標位置を演算し、その目標位置に多関節ロボットアーム230、240を移動させるための軌道を生成する。そして、ロボット制御装置900は、その生成した軌道に沿って、胴体220、多関節ロボットアーム230、240が移動するように、各モーター311、411〜471、511〜571をそれぞれ独立して制御する。
また、ロボット制御装置900は、入力装置270で入力された設定値を受け付ける設定受付部920を有している。そして、第1〜第15駆動源制御部901〜915は、原則として、設定受付部920が受け付けた設定値に基づいて、モーター311、411〜471、511〜571を制御する。
図6に示すように、第1駆動源制御部901は、減算器901aと、回動角度算出部901bと、位置制御部901cと、減算器901dと、角速度制御部901eと、角速度算出部901fと、加算器901gと、減算器901hと、角速度変換部901iと、変換部901jと、補正値算出部901kとを有している。
減算器901dには、角速度指令ωcが入力され、また、後述する角速度フィードバック値ωfbが入力される。減算器901dは、これら角速度指令ωcと角速度フィードバック値ωfbとの偏差(モーター311の角速度の目標値から角速度フィードバック値ωfbを減算した値)を角速度制御部901eに出力する。
このようにして、位置フィードバック値Pfbが位置指令Pcと可及的に等しくなり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcと可及的に等しくなるように、フィードバック制御がなされ、モーター311の駆動電流が制御される。
角速度算出部901fでは、位置センサー312から入力されるパルス信号の周波数に基づいて、モーター311の角速度ωm1が算出され、その角速度ωm1は、加算器901gに出力される。
また、角速度算出部901fでは、位置センサー312から入力されるパルス信号の周波数に基づいて、胴体220の回動軸O1回りの角速度ωB1mが算出され、その角速度ωB1mは、減算器901hに出力される。なお、角速度ωB1mは、角速度ωm1を関節機構310における減速比で除算した値である。
減算器901hには、角速度ωB1および角速度ωB1mが入力され、減算器901hは、この角速度ωB1から角速度ωB1mを減算した値ωB1s(=ωB1−ωB1m)を変換部901jに出力する。この値ωB1sは、胴体220の回動軸O1回りの角速度の振動成分(振動角速度)に相当する。以下、ωB1sを振動角速度と言う。本実施形態では、この振動角速度ωB1sが後述するゲインKa倍されてモーター311の入力側に戻るフィードバック制御を行う。具体的には、振動角速度ωB1sが可及的に0になるように、モーター311に対してフィードバック制御がなされる。これにより、ロボット200の振動を抑制することができる。なお、このフィードバック制御では、モーター311の角速度が制御される。
補正値算出部901kは、角速度ωm1sに予め定められた係数であるゲイン(フィードバックゲイン)Kaを乗算し、補正値Ka・ωm1sを求め、その補正値Ka・ωm1sを加算器901gに出力する。
加算器901gには、角速度ωm1が入力され、また、補正値Ka・ωm1sが入力される。加算器901gは、角速度ωm1と補正値Ka・ωm1sとの加算値を角速度フィードバック値ωfbとして減算器901dに出力する。なお、以降の動作は、前述した通りである。
図7に示すように、第2駆動源制御部902は、減算器902aと、回動角度算出部902bと、位置制御部902cと、減算器902dと、角速度制御部902eと、角速度算出部902fと、加算器902gと、減算器902hと、角速度変換部902iと、変換部902jと、補正値算出部902kとを有している。
減算器902dには、角速度指令ωcが入力され、また、後述する角速度フィードバック値ωfbが入力される。減算器902dは、これら角速度指令ωcと角速度フィードバック値ωfbとの偏差(モーター411の角速度の目標値から角速度フィードバック値ωfbを減算した値)を角速度制御部902eに出力する。
このようにして、位置フィードバック値Pfbが位置指令Pcと可及的に等しくなり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcと可及的に等しくなるように、フィードバック制御がなされ、モーター411の駆動電流が制御される。
角速度算出部902fでは、位置センサー412から入力されるパルス信号の周波数に基づいて、モーター411の角速度ωm1が算出され、その角速度ωm1は、加算器902gに出力される。
また、角速度算出部902fでは、位置センサー412から入力されるパルス信号の周波数に基づいて、第1肩部241の回動軸O2回りの角速度ωA1mが算出され、その角速度ωA1mは、減算器902hに出力される。なお、角速度ωA1mは、角速度ωm1を関節機構410における減速比で除算した値である。
補正値算出部902kは、角速度ωm1sに予め定められた係数であるゲイン(フィードバックゲイン)Kaを乗算し、補正値Ka・ωm1sを求め、その補正値Ka・ωm1sを加算器902gに出力する。
加算器902gには、角速度ωm1が入力され、また、補正値Ka・ωm1sが入力される。加算器902gは、角速度ωm1と補正値Ka・ωm1sとの加算値を角速度フィードバック値ωfbとして減算器902dに出力する。なお、以降の動作は、前述した通りである。
図8に示すように、第3駆動源制御部903は、減算器903aと、回動角度算出部903bと、位置制御部903cと、減算器903dと、角速度制御部903eと、角速度算出部903fとを有している。そして、第3駆動源制御部903には、モーター421の位置指令Pcの他、位置センサー422から検出信号が入力される。第3駆動源制御部903は、位置センサー422の検出信号から算出されるモーター421の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、後述する角速度フィードバック値ωfbが後述する角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター421を駆動する。
また、角速度算出部903fでは、位置センサー422から入力されるパルス信号の周波数に基づいて、モーター421の角速度が算出され、その角速度が角速度フィードバック値ωfbとして減算器903dに出力される。
減算器903dには、角速度指令ωcと角速度フィードバック値ωfbとが入力される。減算器903dは、これら角速度指令ωcと角速度フィードバック値ωfbとの偏差(モーター421の角速度の目標値から角速度フィードバック値ωfbを減算した値)を角速度制御部903eに出力する。
これにより、位置フィードバック値Pfbが位置指令Pcと可及的に等しくなり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcと可及的に等しくなるようにフィードバック制御がなされ、モーター421の駆動が制御される。
図9に示すように、第4駆動源制御部904は、減算器904aと、回動角度算出部904bと、位置制御部904cと、減算器904dと、角速度制御部904eと、角速度算出部904fとを有している。そして、第4駆動源制御部904には、モーター431の位置指令Pcの他、位置センサー432から検出信号が入力される。第4駆動源制御部904は、位置センサー432の検出信号から算出されるモーター431の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター431を駆動する。このような第4駆動源制御部904は、第3駆動源制御部903と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図10に示すように、第5駆動源制御部905は、減算器905aと、回動角度算出部905bと、位置制御部905cと、減算器905dと、角速度制御部905eと、角速度算出部905fとを有している。そして、第5駆動源制御部905には、モーター441の位置指令Pcの他、位置センサー442から検出信号が入力される。第5駆動源制御部905は、位置センサー442の検出信号から算出されるモーター441の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター441を駆動する。このような第5駆動源制御部905は、第3駆動源制御部903と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図11に示すように、第6駆動源制御部906は、減算器906aと、回動角度算出部906bと、位置制御部906cと、減算器906dと、角速度制御部906eと、角速度算出部906fとを有している。そして、第6駆動源制御部906には、モーター451の位置指令Pcの他、位置センサー452から検出信号が入力される。第6駆動源制御部906は、位置センサー452の検出信号から算出されるモーター451の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター451を駆動する。このような第6駆動源制御部906は、第3駆動源制御部903と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図12に示すように、第7駆動源制御部907は、減算器907aと、回動角度算出部907bと、位置制御部907cと、減算器907dと、角速度制御部907eと、角速度算出部907fとを有している。そして、第7駆動源制御部907には、モーター461の位置指令Pcの他、位置センサー462から検出信号が入力される。第7駆動源制御部907は、位置センサー462の検出信号から算出されるモーター461の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、角速度フィードバック値ωfbが角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター461を駆動する。このような第7駆動源制御部907は、第3駆動源制御部903と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図13に示すように、第8駆動源制御部908は、減算器908aと、回動角度算出部908bと、位置制御部908cと、減算器908dと、角速度制御部908eと、角速度算出部908fとを有している。そして、第8駆動源制御部908には、モーター471の位置指令Pcの他、位置センサー472から検出信号が入力される。第8駆動源制御部908は、位置センサー472の検出信号から算出されるモーター471の回動角度(位置フィードバック値Pfb)が位置指令Pcになり、かつ、後述する角速度フィードバック値ωfbが後述する角速度指令ωcになるように、各検出信号を用いたフィードバック制御によってモーター471を駆動する。このような第8駆動源制御部908は、第3駆動源制御部903と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
以上、ロボットシステム100の基本構成について説明した。
ロボットシステム100では、多関節ロボットアーム230が精密さを要求される所定の作業Eを行っているかいないかに応じて、多関節ロボットアーム240の駆動スピードが異なっている。多関節ロボットアーム230が作業Eを行っている作業状態では、その作業Eを確実に遂行するために、作業Eを行っていない非作業状態と比較して、多関節ロボットアーム230に振動を発生させたくない。
また、多関節ロボットアーム240の先端とは、ハンド部238の先端としてもよいし、ハンド部238にエンドエフェクター610が取り付けられている場合は、そのエンドエフェクター610の先端としてもよい。
また、前述した例では、多関節ロボットアーム240を水平方向にまっすぐ伸ばした姿勢(所定姿勢)で静止させた静止状態Psから、まっすぐ伸びた姿勢を保ちながら水平方向に所定距離動かして目標状態Peとする例について説明したが、上記のような制御を水平方向(回動軸O1に直交する方向)成分を有する方向(すなわち水平方向と、水平方向と鉛直方向の合成方向)に多関節ロボットアーム240を動かすときに行うようなっている。
この場合、モーター521を駆動して、第2肩部242を第1肩部241に対して回転させて、第1姿勢の多関節ロボットアーム240をその姿勢を保ったまま水平方向に回動させたときに発生する慣性モーメントM1よりも、第1姿勢の時と同じ条件(モーター521の加速度、減速度等)で第2肩部242を第1肩部241に対して回転させて、第2姿勢の多関節ロボットアーム240をその姿勢を保ったまま、水平方向に回動させたときに発生する慣性モーメントM2の方が大きくなる。慣性モーメントが大きい程振動が発生し易いため、多関節ロボットアーム230の振動を抑えるためには、第2姿勢の多関節ロボットアーム240を動かすときに発生する慣性モーメントを小さくすることが好ましい。
以上、ロボット制御装置900による制御を詳細に説明した。ここで、多関節ロボットアーム230が行う所定の作業Eとしては、精密さを必要とする作業であれば特に限定されず、ロボット200の用途によっても異なるが、例えば、次に挙げる作業を挙げることができる。
例えば、搬送工程において、部品(搬送対象物)を部品ケースに搬送し、当該部品を所定位置に整置する作業。また、組立工程において、部品を搬送し、他の部品(筐体等の取付対象物)の所定位置に配置する作業。また、組立工程において、ネジを保持して、当該ネジを締めるネジ穴位置に移動して、ネジをネジ穴に挿入可能な状態で保持する作業。このような位置決め作業には精密さが要求される。
(B)把持・保持作業
例えば、搬送工程や組立工程において、所定の部品の位置まで移動して、当該部品を把持し、そのまま保持したり、別の場所まで移動したりする作業。このような作業には精密さが要求される。
例えば、組立工程において、把持した部品を他の部品の孔に挿入する作業や、把持したネジの先端部を他の部品のネジ穴に挿入する作業。また、例えば、把持した各種ケーブル(電気配線、配管等)を、筐体等の取付対象物に配置するとともに取付対象物に設けられている爪に引っ掛ける作業や、把持したフレキシブル配線等の配線を、取付対象物が有するコネクターに接続する作業。このような作業には高い位置精度が要求されるため、精密さが要求される。
例えば、部品に形成された孔や凸部等の目的部位の位置を探る作業や、探った孔に別の部品を挿入したり、凸部に別の部品を嵌め込んだりする作業。便宜上、第1部品の孔に第2部品を挿入する例を挙げて説明すると、多関節ロボットアーム230は、第2部品を把持し、把持した第2部品を第1部品の表面に摺動させることで第1部品の表面を探り、その際に出力される力覚センサー740からの信号に基づいて孔の位置を検知し(孔の位置では、力覚センサー740が受ける力が弱くなる)、その検知結果に基づいて、把持している第2部品を第1部品の孔に挿入する。さらに、把持した第2部品を第1部品の孔に挿入する際も、力覚センサー740からの出力信号に基づいて、第2部品の位置、姿勢、挿入方向などを微調整する。
例えば、ガラス製、木製、石製等の比較的強度の低い材料で構成された部品(ワーク)を一時的に押えて動かないようにする作業。この場合、力覚センサー740からの出力に基づいて部品に所定値以上の力が加わらないようにする。このような作業には精密さが要求される。
ダイキャスト部品、切削部品、成型部品等の表面研磨やバリ取りをする作業。この場合、多関節ロボットアーム230は、ヤスリ等の研磨器具を把持し、力覚センサー740からの出力に基づいて部品に所定値以上の力が加わらないように表面研磨やバリ取りをする。このような作業は、ヤスリ等の研磨器具を押し付ける力が微妙であるため、精密さが要求される。
例えば、プリンターの製造に用いられる場合、図17(a)に示すように、筐体1000に給紙ローラー1100を取り付ける作業がある。筐体1000の給紙ローラー1100を嵌め込む部分の幅よりも給紙ローラーの幅の方が長いため、図17(b)に示すように、給紙ローラー1100を撓ませて筐体1000に取り付ける必要がある。この場合において、給紙ローラー1100を把持するとともに、微妙な力を加えて給紙ローラー1100を曲げ変形させる作業。このような作業は、給紙ローラー1100に加える力が微妙であるため、精密さが要求される。
多関節ロボットアーム230に配置されたハンドカメラ280から取得した画像に基づいて対象部品の位置や姿勢を検出する作業。さらには、検出結果に基づいて対象部品を把持したり、搬送したり、組み合わせたりする作業。例えば、第1部品に第2部品を挿入する作業の場合、ハンドカメラ280の画像を用いて第1、第2部品の位置および姿勢を検出するが、この位置検出の許容誤差は、1画素程度であり、ハンドカメラ280の画素数や離間距離等によっても異なるが0.5mm以内である。そのため、このような作業は、精密さが要求される。
多関節ロボットアーム230に配置されたハンドカメラ280から取得した画像から対象部品やその周囲を監視し、その結果に基づいて多関節ロボットアーム230自身や作業エリアの状態を把握する。検出できる状態として、例えば、多関節ロボットアーム230の姿勢、位置(定められた作業エリア内に収まっているか否か)、対象部品(例えば、機械、筐体、部品等)の位置および姿勢、多関節ロボットアーム230が異常な動きをしていないか否か等が挙げられる。
また、前述した実施形態では、移動可能なロボットについて説明したが、ロボットは、ボルト等によって作業部屋の床、天井、壁等に固定されていてもよい。また、前記実施形態では、ロボットが床面に配置され、胴体が鉛直方向に移動するが、ロボットの配置は、これに限定されず、例えば、ベースが天井に固定され、胴体が鉛直方向に移動するように構成されていてもよいし、ベースが壁面に固定され、胴体が水平方向に移動するように構成されていてもよい。
また、前記実施形態では、各多関節ロボットアームの回動軸の数が7であるが、本発明では、これに限定されず、各多関節ロボットアームの回動軸の数は、1〜6であってもよいし、8以上であってもよい。
Claims (9)
- 第1ロボットアームおよび第2ロボットアームを有し、
前記第1ロボットアームの先端が所定作業を行っていない非作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を所定距離動かすのにかかる第1の時間よりも、前記第1ロボットアームの先端が前記所定作業を行っている作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を前記所定距離動かすのにかかる第2の時間の方が長く、
前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームを静止状態から目標状態とする駆動信号を出力した時刻をt1とし、前記第2ロボットアームが最初に前記目標状態に到達した時刻をt2としたとき、t2−t1で規定されることを特徴とするロボット。 - 前記第1ロボットアームおよび前記第2ロボットアームの駆動条件を定める設定値を受け付ける設定受付部を有し、
前記設定受付部で受け付けられた前記設定値が、前記非作業状態と前記作業状態とで同じである請求項1に記載のロボット。 - 前記第2ロボットアームを駆動するモーターを有し、
前記モーターについて、前記モーターの位置と指令位置の差である位置偏差に乗じる位置比例ゲインが、前記非作業状態のときよりも前記作業状態のときの方が小さい請求項1または2に記載のロボット。 - 前記第2ロボットアームを駆動するモーターを有し、
前記モーターについて、加速度および減速度の少なくとも一方が、前記非作業状態のときよりも前記作業状態のときの方が小さい請求項1ないし3のいずれか1項に記載のロボット。 - 前記作業状態では、前記第2ロボットアームが第1姿勢のときの加速度よりも、前記第2ロボットアームの慣性モーメントが前記第1姿勢よりも大きくなる第2姿勢のときの加速度の方が低い請求項1ないし4のいずれか1項に記載のロボット。
- 前記作業状態では、前記第2ロボットアームが第1質量の物体を保持するときの加速度よりも、前記第2ロボットアームが前記第1質量よりも重い第2質量の物体を保持するときの加速度の方が低い請求項1ないし5のいずれか1項に記載のロボット。
- 前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームの先端を静止状態から前記所定距離動かすのにかかる時間である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロボット。
- 第1ロボットアームおよび第2ロボットアームを有するロボットを、
前記第1ロボットアームの先端が所定作業を行っていない非作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を所定距離動かすのにかかる第1の時間よりも、前記第1ロボットアームの先端が前記所定作業を行っている作業状態の場合に前記第2ロボットアームの先端を前記所定距離動かすのにかかる第2の時間の方が長くなるように制御し、
前記第1の時間および前記第2の時間は、それぞれ、前記第2ロボットアームを静止状態から目標状態とする駆動信号を出力した時刻をt1とし、前記第2ロボットアームが最初に前記目標状態に到達した時刻をt2としたとき、t2−t1で規定されることを特徴とするロボット制御装置。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のロボットと、
前記ロボットの作動を制御するロボット制御装置と、を備えることを特徴とするロボットシステム。
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