JP6307302B2 - 車両用灯具およびその駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車などに用いられる車両用灯具に関する。
車両用灯具は、一般にロービームとハイビームとを切りかえることが可能である。ロービームは、近方を所定の照度で照明するものであって、対向車や先行車にグレアを与えないよう配光規定が定められており、主に市街地を走行する場合に用いられる。一方、ハイビームは、前方の広範囲および遠方を比較的高い照度で照明するものであり、主に対向車や先行車が少ない道路を高速走行する場合に用いられる。したがって、ハイビームはロービームと比較してより運転者による視認性に優れているが、車両前方に存在する車両の運転者や歩行者にグレアを与えてしまうという問題がある。
近年、車両の周囲の状態にもとづいて、ハイビームの配光パターンを動的、適応的に制御するADB(Adaptive Driving Beam)技術が提案されている。ADB技術は、車両の前方の先行車両、対向車両や歩行者の有無を検出し、車両あるいは歩行者に対応する領域を減光するなどして、車両あるいは歩行者に与えるグレアを低減するものである。
ADB機能を有する車両用灯具について説明する。図1は、比較技術に係るADB機能を有する車両用灯具のブロック図である。なおこの比較技術を公知技術として認定してはならない。
車両用灯具1rは、光源10および駆動装置20rを備える。ADBにおいては、ハイビーム照射領域は、複数N個(Nは2以上の自然数)のサブ領域に分割される。光源10は、N個のサブ領域に対応づけられる複数の発光素子12_1〜12_Nを含む。各発光素子12は、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)などの半導体デバイスであり、それぞれが対応するサブ領域を照射するよう配置される。駆動装置20rは、複数の発光素子12_1〜12_Nそれぞれのオン(点灯)、オフ(消灯)を制御することで、ハイビームの配光を変化させる。あるいは駆動装置20rは、高い周波数で発光素子12をPWM(パルス幅変調)制御することで、実効的な輝度を調節する(PWM調光)。
駆動装置20rは、DC/DCコンバータ30、複数のバイパス回路40_1〜40_N、およびコントローラ50rを備える。
DC/DCコンバータ30は、バッテリ2からスイッチ4を介してバッテリ電圧VBAT(入力電圧VINともいう)を受け、光源10に駆動電圧VOUTを供給する。コントローラ50rは、電流コントローラ52rおよび調光コントローラ54rを含む。
電流コントローラ52rは、光源10に流れる駆動電流IOUTを、ある目標量に安定化する。
複数のバイパス回路40_1〜40_Nは、複数の発光素子12_1〜12_Nに対応づけられる。バイパス回路40はオン、オフが切りかえ可能に構成される。i番目のバイパス回路40_iがオン状態となると、駆動電流IOUTが、発光素子12_iではなくバイパス回路40_iに流れ、発光素子12_iが消灯し、バイパス回路40_iがオフ状態となると、駆動電流IOUTが発光素子12_iに流れて点灯する。
車両用灯具1rを制御する上流のプロセッサ(たとえば電子制御ユニットECU)6は、車両前方の状態にもとづいて、ハイビームにより照射すべきサブ領域を判定し、調光コントローラ54rに指示する。調光コントローラ54rは、プロセッサ6からの制御指令にもとづいてバイパス回路40_1〜40_Nの状態を制御する。具体的には、照射すべきサブ領域に対応する発光素子12を選択し、選択された発光素子12と並列なバイパス回路40をオフ状態とし、残りの発光素子12と並列なバイパス回路40をオン状態とする。
特開2004−140885号公報
本発明者は、図1の車両用灯具1rについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。
上述のように、電流コントローラ52rは、光源10に流れる駆動電流IOUTを検出し、電流IOUTを示す検出信号が目標値に近づくように、スイッチングトランジスタM1のオン、オフのデューティ比を調節する。電流検出の方法としては、検出対象の電流の経路上に検出抵抗Rsを挿入し、検出抵抗Rsの電圧降下にもとづいて、電流の大きさを検出する場合が多い。
ここで、検出抵抗Rsを図1に示すようにDC/DCコンバータ30の出力端子とインダクタL1の間に設けた回路について検討する。この場合、検出抵抗Rsの一端E1の電位Vspと、他端E2の電位Vsnが電流コントローラ52rに入力され、電流コントローラ52rは、それらの電位差Vsp−Vsnにもとづいて、スイッチングトランジスタM1を制御することとなる。
バイパス回路40のオン状態におけるインピーダンスが十分に小さいとすると、オン状態におけるその両端間の電圧は実質的にゼロとなる。反対にバイパス回路40がオフしているとき、その両端間の電圧は、駆動電流IOUTが流れるときの対応する発光素子12_iの電圧降下(順方向電圧)Vfと等しくなる。したがってN個のバイパス回路のうち、k個がオフ、残りがオンする状態では、出力電圧VOUTは、k×Vfとなる。つまり複数のバイパス回路40のオン、オフを動的に制御する場合には、出力電圧VOUTも動的に変動することとなる。
図1に示す位置に検出抵抗Rsを挿入した場合、以下の式が成り立つ。
Vsn=VOUT
Vsp=IOUT×Rs+Vsn=IOUT×Rs+VOUT
出力電圧VOUTがあるレベルに安定している状態では、アンプを用いてVspとVsnの差分を高精度に増幅することが可能であり、したがって駆動電流IOUTを高精度に検出することが可能である。しかしながら、バイパス回路40のオン、オフに応答して出力電圧VOUTが変動する図1の駆動装置20rでは、アンプの応答性などの問題から検出精度が著しく悪化し、輝度の精度が低下する。
また車両用灯具1rでは、出力電流IOUTの過電流状態を検出し、適切な回路保護(過電流保護)を図ることが要求される。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、高精度な出力電流制御とロバストな過電流検出を両立可能な駆動装置の提供にある。
本発明のある態様は、直列接続された複数の発光素子を含む光源とともに使用され、車両用灯具を構成する駆動装置に関する。駆動装置は、入力電圧を受ける入力端子と、光源が接続される出力端子と、を有し、入力電圧を昇圧、降圧または反転して駆動電圧を生成し、光源に供給するDC/DCコンバータと、複数の発光素子のうちN個(Nは自然数)の発光素子に対応づけられ、それぞれが対応する発光素子と並列に設けられたN個のバイパス回路と、光源とDC/DCコンバータの接地端子の間に流れる第1電流が、所定の上側目標値に達するとDC/DCコンバータのスイッチング素子をオフし、第1電流が所定の下側目標値まで低下するとDC/DCコンバータのスイッチング素子をオンするヒステリシス制御を行う電流コントローラと、N個のバイパス回路のオン、オフを切りかえる調光コントローラと、DC/DCコンバータの出力端子を経由する第2電流を所定の過電流しきい値と比較することにより、過電流状態を検出する過電流検出回路と、を備える。
この態様によると、DC/DCコンバータの出力電流は、接地電圧を基準とした検出信号にもとづいてヒステリシス制御され、目標値に安定化される。N個のバイパス回路のオン、オフにともない、DC/DCコンバータの出力電圧はダイナミックに変動するところ、接地電圧を基準とした検出信号は、出力電圧の変動の影響を受けないため、高精度な電流制御が可能となる。また、それとは別に、DC/DCコンバータの出力端子を経由する第2電流にもとづく過電流保護を行うこととしているため、出力端子の地絡(グランドショート)を原因とする過電流も検出することが可能となる。かくして、高精度な出力電流制御とロバストな過電流検出を両立できる。
駆動装置は、過電流検出回路の出力をフィルタリングするフィルタをさらに備えてもよい。
過電流検出回路は、第2電流が所定の上側過電流しきい値に達するとアサートされ、第2電流が下側過電流しきい値まで低下するとネゲートされる検出信号を生成してもよい。
本発明の別の態様は、車両用灯具に関する。車両用灯具は、直列に接続された複数の発光素子を含む光源と、光源を駆動する上述の駆動装置と、を備える。
本発明のある態様によれば、高精度な出力電流制御とロバストな過電流検出を両立できる。
比較技術に係るADB機能を有する車両用灯具のブロック図である。 実施の形態に係る駆動装置を備える車両用灯具のブロック図である。 駆動装置の通常状態の動作波形図である。 図1の比較技術に係る駆動装置の動作波形図である。 駆動装置の過電流状態の動作波形図である。 図2の車両用灯具を備えるランプユニット(ランプアッシー)の斜視図である。 第1の変形例に係る駆動装置の過電流状態の動作波形図である。 図8(a)、(b)は、第2の変形例に係る駆動装置の一部の回路図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
また本明細書において、電圧信号、電流信号などの電気信号、あるいは抵抗、キャパシタなどの回路素子に付された符号は、必要に応じてそれぞれの電圧値、電流値、あるいは抵抗値、容量値を表すものとする。
図2は、実施の形態に係る駆動装置20を備える車両用灯具1のブロック図である。駆動装置20は、図1と同様に、光源10とともに使用され、全体として車両用灯具1を構成する。
光源10は、直列接続された複数の発光素子12_1〜12_Nを含む。駆動装置20は光源10とともに使用され、車両用灯具1を構成する。発光素子12はたとえばLED(発光ダイオード)である。
駆動装置20は、DC/DCコンバータ30、複数のバイパス回路40_1〜40_N、コントローラ50、過電流検出回路60を備える。
DC/DCコンバータ30は、光源10に対して、目標輝度に応じた駆動電流IOUTを供給する。たとえばDC/DCコンバータ30は、降圧型のコンバータであり、入力端子IN、出力端子OUT、接地端子GND、入力キャパシタC1、スイッチングトランジスタM1、整流ダイオードD1、インダクタL1を有する。入力端子INには、入力電圧VINが入力される。出力端子OUTには光源10が接続される。DC/DCコンバータ30のトポロジーは一般的であるため説明を省略する。
複数のバイパス回路40_1〜40_Nは、複数の発光素子12のうちN個(Nは2以上の整数)の発光素子12に対応づけられる。本実施の形態では、すべての発光素子12に対して、バイパス回路40が設けられる場合を説明する。バイパス回路40_iは、対応する発光素子12_iと並列に設けられる。バイパス回路40_iは、オン状態とオフ状態が切りかえ可能であり、オン状態において発光素子12_iと並列なバイパス経路を形成するよう構成される。
コントローラ50は、DC/DCコンバータ30および複数のバイパス回路40_1〜40_Nを制御する。コントローラ50は、電流コントローラ52および調光コントローラ54を含む。
電流コントローラ52は、駆動電流IOUTを検出し、検出された駆動電流IOUTが目標量に近づくように、DC/DCコンバータ30のスイッチングトランジスタM1のスイッチング状態をフィードバック制御する。
より具体的には、電流コントローラ52は、光源10とDC/DCコンバータ30の接地端子GNDの間に流れる第1電流IOUT1にもとづいたヒステリシス制御を行う。電流コントローラ52は、第1電流IOUT1が所定の上側目標値IREFHに達するとスイッチングトランジスタM1をオフし、第1電流IOUT1が所定の下側目標値IREFLまで低下するとスイッチングトランジスタM1をオンする。
第1電流IOUT1は、第1電流IOUT1の経路上に、具体的にはDC/DCコンバータ30の光源10と接地端子GNDの間に設けられた第1検出抵抗Rs1によって検出される。第1検出抵抗Rs1の第1端E1は接地され、その第2端E2は光源10と接続される。第1検出抵抗Rs1には、第1電流IOUT1に比例した電圧降下(第1検出電圧という)Vs1(=IOUT1×Rs1)が発生する。電流コントローラ52は、第1検出抵抗Rs1の第2端E2の電圧、すなわち第1検出電圧Vs1を受ける。電流コントローラ52は、第1検出電圧Vs1を、上側目標値IREFH、下側目標値IREFLに対応する2つの目標電圧VREFH、VREFLと比較し、比較結果に応じて出力電流IOUTをヒステリシス制御する。
調光コントローラ54は、N個のバイパス回路40_1〜40_Nのオン、オフを個別に制御する。具体的には調光コントローラ54は、N個のバイパス回路40_1〜40_Nを、N個の発光素子12_1〜12_Nそれぞれの点灯・消灯の指示にもとづいてスイッチングする。また調光コントローラ54は、発光素子12_iの目標輝度に応じて、バイパス回路40_iをPWM制御してもよい。
過電流検出回路60は、DC/DCコンバータ30の出力端子OUTを経由する第2電流IOUT2を所定の過電流しきい値IOCPと比較することにより、過電流状態を検出する。過電流検出回路60によって過電流状態が検出されると、電流コントローラ52はスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止し、過電流保護をかける。
第2電流IOUT2は、第2電流IOUT2の経路上に、具体的にはDC/DCコンバータ30のインダクタL1と出力端子OUTの間に設けられた第2検出抵抗Rs2によって検出される。第2検出抵抗Rs2は、インダクタL1とダイオードD1のカソードの間に設けてもよい。
第2検出抵抗Rs2には、第2電流IOUT2に比例した電圧降下(第2検出電圧)Vs2(=IOUT2×Rs2)が発生する。過電流検出回路60は、第2検出抵抗Rs2の両端の電圧Vs2p、Vs2nを受け、それらの電位差に相当する第2検出電圧Vs2を、過電流しきい値IOCPに対応したしきい値電圧VOCPと比較し、Vs2>VOCPのときに、過電流検出信号SOCPをアサートする。
以上が駆動装置20の構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、駆動装置20の通常状態の動作波形図である。
あるサイクルに着目すると、スイッチングトランジスタM1がオンの間、インダクタL1に流れるコイル電流I、すなわち出力電流IOUTは増大する。出力電流IOUTの増大にともなって、第1検出電圧Vs1が増大し、上側目標電圧VREFHに達すると、スイッチングトランジスタM1がターンオフする。スイッチングトランジスタM1がオフの間、インダクタL1に流れるコイル電流I、すなわち出力電流IOUTは減少する。出力電流IOUTの減少にともなって、第1検出電圧Vs1が低下し、下側目標電圧VREFLまで低下すると、スイッチングトランジスタM1がターンオフする。電流コントローラ52は、この制御を繰り返すことにより、出力電流IOUTを目標範囲に安定化させる。
時刻t0に調光コントローラ54がバイパス回路40を切りかえると、出力電圧VOUTが急峻に変化する。第1検出電圧Vs1は、接地端子GND側に設けられた第1検出抵抗Rs1の電圧降下であり、接地電圧VGND=0Vを基準に生成される。したがって出力電圧VOUTが変動しても、第1検出電圧Vs1はその影響を受けない。
このように実施の形態に係る駆動装置20によれば、バイパス回路40の制御にともなう出力電圧VOUTの変動の影響を受けずに、出力電流IOUTを高精度で安定化できる。この利点は、図4の波形図との対比によって明確となる。図4は、図1の比較技術に係る駆動装置20rの動作波形図である。
時刻t0に出力電圧VOUTが変動すると、それにともなって検出抵抗Rsの一端の電位Vsnが変動する。電流コントローラ52rは、検出抵抗Rsの両端の電圧Vsp、Vsnの電位差を増幅して検出電圧Vsを生成し、検出電圧Vsにもとづいて、ヒステリシス制御を行う。ところが増幅器の応答遅れτによって電圧Vsnの変動に追従できないと、検出電圧Vsと、電位差(Vsp−Vsn)の線形性が失われてしまう。これにより、出力電流IOUTが目標範囲から逸脱してしまう。出力電流IOUTは、ランプの輝度に対応するため、出力電流IOUTが変動すると、ちらつきとして認識されてしまう。
実施の形態に係る駆動装置20によれば、ヒステリシス制御のための電流検出を接地電圧を基準として行うため、比較技術において生ずる問題を解決できる。
図5は、駆動装置20の過電流状態の動作波形図である。
過電流状態となると、出力電流IOUTが増大する。そして第2電流IOUT2がしきい値IOCPを超え、その状態がある時間持続すると、過電流検出回路60は過電流検出信号SOCPをアサート(ハイレベル)する。過電流検出信号SOCPがアサートされると、電流コントローラ52はスイッチングトランジスタM1のスイッチングを停止する。スイッチングトランジスタM1のスイッチングが停止すると、出力電流IOUTが減少する。やがて第2電流IOUT2がしきい値IOCPを下回ると、過電流検出信号SOCPがネゲートされて、過電流保護状態が解除され、スイッチングトランジスタM1のスイッチングが再開する。過電流の原因となる事象が持続する場合、この動作が繰り返される。
ここで駆動装置20では、過電流保護のための電流検出を、ヒステリシス制御のための第1検出抵抗Rs1とは別に、出力端子OUT側に設けられた第2検出抵抗Rs2にもとづいて行うこととしている。
本発明者らは検討段階において、第1検出抵抗Rs1を利用して、過電流保護を行う構成についても検討した。この構成は、確かに検出抵抗が1個で済むという利点を有するが、出力端子OUTから光源10に至る配線の地絡(出力ショートという)にともなう過電流状態を検出できないという問題がある。なぜなら、出力ショートの有無にかかわらず、第1検出抵抗Rs1の第2端E2の電圧レベルは接地電圧付近の電圧範囲に含まれるからである。
これに対して、実施の形態に係る駆動装置20では、出力ショートが発生すると、過電流検出回路60に入力される第2検出抵抗Rs2の一端の電圧Vs2nが接地電圧0V付近まで低下し、正常時の電圧範囲から逸脱する。第2検出抵抗Rs2の他端の電圧Vs2pも同様である。したがって駆動装置20によれば、出力ショートによる過電流状態も検出することが可能となる。
なお、第2検出抵抗Rs2の電圧降下にもとづく過電流検出では、バイパス回路40のオン、オフ制御にともなう出力電圧VOUTの変動によって、電流検出の精度は低下しうる。しかしながら、過電流検出のための電流検出精度の低下を考慮した上で、しきい値IOCPを設定しておくことにより、電流検出精度の低下は問題とはならない。
最後に、車両用灯具1の用途を説明する。図6は、図2の車両用灯具1を備えるランプユニット(ランプアッシー)500の斜視図である。ランプユニット500は、透明のカバー502、ハイビームユニット504、ロービームユニット506、筐体508を備える。上述の車両用灯具1は、たとえばハイビームユニット504に用いることができる。複数の発光素子12は、それぞれが異なる領域を照射するように、たとえば横方向に一列に配置される。そして、車両の走行状態において、車両側のコントローラ、たとえばECU(電子制御ユニット)により、照射すべき領域が適応的に選択される。車両用灯具1には、照射すべき領域を指示するデータが入力され、車両用灯具1は、指示された領域に対応する発光素子12を点灯させる。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(第1の変形例)
実施の形態に係る駆動装置20では、第2電流IOUT2と所定のしきい値IOCPとの比較結果にもとづいて過電流保護を行った。ヒステリシス制御のDC/DCコンバータでは、応答遅れが非常に小さいため、過電流状態の原因となる事象が持続したときに、図5に示す、動作、停止の繰り返しの周期が非常に短くなる場合がある。そこで、第1の変形例においては、過電流検出回路60のしきい値IOCPに、ヒステリシスが設定される。
図7は、第1の変形例に係る駆動装置20の過電流状態の動作波形図である。第2電流IOUT2と比較されるしきい値IOCPは、上側しきい値IOCPHと下側しきい値IOCPLの2値を遷移する。具体的には、過電流検出信号SOCPがアサート(ハイレベル)される期間、しきい値IOCPは下側の値IOCPLをとり、ネゲート(ローレベル)される期間、しきい値IOCPは上側の値IOCPHをとる。
この変形例によれば、過電流状態の原因となる事象が持続したときに、動作、停止の繰り返し周期が短くなるのを抑制することができる。
(第2の変形例)
図8(a)、(b)は、第2の変形例に係る駆動装置20aの一部の回路図である。駆動装置20aは、過電流検出回路60が生成する過電流検出信号SOCPをフィルタリングするフィルタ62をさらに備える。図8(a)のフィルタ62は、抵抗R21、キャパシタC21を含むRCフィルタである。
図5に示すように、過電流状態の原因となる事象が持続した状態を、車両用灯具1から、外部のプロセッサ6などに通知したい場合がある。しかしながら過電流検出信号SOCPは、この状態においてアサート、ネゲートを交互に繰り返すパルス信号となり、プロセッサ(マイコン)6が標準で備えるインタフェースでは検出できない場合がある。そこで過電流検出信号SOCPをフィルタ62により平滑化することで、過電流状態が持続するとハイレベルとなる直流の検出信号SOCP’を生成でき、プロセッサ6に正しく通知することができる。
図8(b)のフィルタ62は、RCフィルタの抵抗R21と並列に接続されたダイオードD21をさらに備える。このダイオードD21によって、過電流検出信号SOCPのポジティブエッジとネガティブエッジに対する応答を異ならせることができる。すなわち、ダイオードD21によって、過電流検出信号SOCPのアサートには高速に反応するとともに、そのネゲート(過電流状態の解除)に対する感度を鈍感にすることができる。
(第3の変形例)
実施の形態では、DC/DCコンバータ30として、降圧コンバータを用いる場合を説明したが、本発明においてDC/DCコンバータ30のトポロジーはそれには限定されない。DC/DCコンバータ30は、Cukコンバータ、SepicコンバータまたはZetaコンバータであってもよい。あるいは、フォワードコンバータ、フライバックコンバータであってもよい。
(第4の変形例)
光源10としては、LEDの他に、LD(レーザダイオード)や有機EL(エレクトロルミネッセンス)などの半導体光源を用いてもよい。
(第5の変形例)
図6のランプユニット500では、ハイビームユニット504に図3の車両用灯具1を使用する場合を説明したが、それに代えて、あるいはそれに加えて、ロービームユニット506に車両用灯具1を用いてもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
1…車両用灯具、2…電池、4…スイッチ、6…プロセッサ、10…光源、12…発光素子、20…駆動装置、30…DC/DCコンバータ、40…バイパス回路、50…コントローラ、52…電流コントローラ、54…調光コントローラ、60…過電流検出回路、62…フィルタ、M1…スイッチングトランジスタ、Rs1…第1検出抵抗、Rs2…第2検出抵抗、500…ランプユニット、502…カバー、504…ハイビームユニット、506…ロービームユニット、508…筐体。

Claims (3)

  1. 直列接続された複数の発光素子を含む光源とともに使用され、車両用灯具を構成する駆動装置であって、
    入力電圧を受ける入力端子と、前記光源が接続される出力端子と、を有し、前記入力電圧を昇圧、降圧または反転して駆動電圧を生成し、前記光源に供給するDC/DCコンバータと、
    前記複数の発光素子のうちN個(Nは自然数)の発光素子に対応づけられ、それぞれが対応する発光素子と並列に設けられたN個のバイパス回路と、
    前記光源と前記DC/DCコンバータの接地端子の間に流れる第1電流が、所定の上側目標値に達すると前記DC/DCコンバータのスイッチング素子をオフし、前記第1電流が所定の下側目標値まで低下すると前記DC/DCコンバータのスイッチング素子をオンするヒステリシス制御を行う電流コントローラと、
    前記N個のバイパス回路のオン、オフを切りかえる調光コントローラと、
    前記DC/DCコンバータの前記出力端子を経由する第2電流を所定の過電流しきい値と比較することにより過電流状態を検出する過電流検出回路であって、前記第2電流が所定の上側過電流しきい値に達するとアサートされ、前記第2電流が下側過電流しきい値まで低下するとネゲートされる検出信号を生成する過電流検出回路と、
    前記検出信号をフィルタリングするフィルタと、
    を備え、
    前記フィルタは、前記検出信号がアサートされるときに、ネゲートされるときよりも高速に、フィルタリング後の前記検出信号を変化させることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記フィルタは、
    抵抗およびキャパシタを含むRCフィルタと、
    前記抵抗と並列に、カソードが前記フィルタの出力側、アノードが前記フィルタの入力側となる向きで設けられたダイオードと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 直列に接続された複数の発光素子を含む光源と、
    前記光源を駆動する請求項1または2に記載の駆動装置と、
    を備えることを特徴とする車両用灯具。
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