JP6306404B2 - クレーンのコラムポスト用旋回装置およびそのバックラッシ調整方法 - Google Patents
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Description
各シリンダチューブ114の端部には、ハウジング側面120aのフランジ装着部121に形成されたチューブ取付け孔125と隙間なく嵌合させるためのインロー部130を有する円環状のフランジ115が固着されている。
左右一対のシリンダチューブ114,114内には、両端にピストン18を有する円筒状のスライドロッド117が摺嵌されている。左右のシリンダチューブ114、114中心軸と、シリンダチューブ内のピストン18中心軸は同軸を形成する。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、クレーンのコラムポストをラック・アンド・ピニオン方式により水平方向に旋回させる旋回装置において、ピニオンギヤとラックギヤとのバックラッシを容易に調整し得るクレーンのコラムポスト用旋回装置およびそのバックラッシ調整方法を提供することを目的とする。
図1に示すように、この折り曲げ式クレーン1は、林業用等に用いられるクレーンであり、同図の例は、クローラ7により走行する車両8に架装された例である。同図に示すように、この折り曲げ式クレーン1は、架装する車両8に対し、車両8の基台9上に旋回装置10を介することによりコラムポスト2が旋回自在に立設されている。旋回装置10は、略箱型をなすハウジング20を有し、コラムポスト基端部2aは、このハウジング20を台にして上記車両8の基台9上に装着されている。コラムポスト2の上端には折り曲げ式のブーム3が起伏自在に枢支されている。なお、コラムポスト2の後方側の上部には、作業状態を俯瞰できるようにクレーン操作部4が設けられている。クレーン操作部4には、オペレータのシート5やコントロールレバー6が設けられている。
図2および図3に示すように、上記旋回装置10のハウジング20内には、上端および下端が軸受13によりそれぞれ支持されたピニオンギヤ12が上下方向を向く軸線まわりに回転自在に設けられている。このピニオンギヤ12が、上記コラムポスト基端部2aの下方に延設された旋回軸部2bに、コラムポスト基端部2aと一体回転するようにキー43により連結されている。
ハウジング20の両側面20aの構造は、シリンダチューブ14を取付けるフランジ装着部21と、フランジ装着部21に形成されて、シリンダチューブ14のインロー部30と隙間なく嵌合するチューブ取付け孔25とが、左右一組に2列、同軸を成すように形成されている。
各シリンダチューブ14をハウジング20へ取付ける際は、フランジ装着部21のチューブ取付け孔25にシリンダチューブ14のインロー部30を嵌合い、複数のフランジ取付けボルト11を用いて装着する。
一方、ハウジング20側のフランジ装着部21の外側には、シリンダチューブ14の目印Mに相対する目盛りN(調整用の目安として丸囲いの数字1〜4が付してある)が付けられている。目印Mと目盛りNは、シリンダチューブ14取付け時において、ハウジング20に対する左右のシリンダチューブ14,14の中心軸同士が、正確な左右一対の同軸に形成されるための基準位置になる。
上述した旋回装置10による旋回動作は、一対をなすシリンダチューブ14,14に対し、一方のシリンダチューブ14の端部から圧油を流入するとともに他方から圧油を流出するように圧油を給排するとともに、並設する二組のシリンダチューブ14,14への圧油給排方向を互いに逆方向に制御する。これにより、圧油給排方向に応じて並設された二本のスライドロッド17,17が互いに逆方向に摺動され、各スライドロッド17のラックギヤ19がピニオンギヤ12を同時に回すことによりコラムポスト基端部2a(つまり、コラムポスト2)が水平方向に所定範囲(例えば400°の範囲)で旋回する。なお、ラックギヤ19を駆動するシリンダチューブ14が本実施形態のような油圧式であると、電動モータ駆動に比べて、ラック・アンド・ピニオン機構部に無理な力が作用したときに、その力によって圧縮されて高圧となった圧油の一部を逃がすことにより、構造自体に余分な負荷が掛からないという利点がある。
ところで、上述の折り曲げ式クレーン1は、オペレータのシート5やコントロールレバー6を有するクレーン操作部4がコラムポスト2の後方側の上部に設けられているので、作業状態を容易に俯瞰でき、作業性が良い一方、コラムポスト2の水平旋回とともにクレーン操作部4も旋回する。そのため、旋回装置10のラック・アンド・ピニオンのバックラッシが大きい場合には、旋回時のガタが大きくなることから、オペレータが不安を感じ、また、転落のおそれもある。
つまり、本実施形態の旋回装置10によれば、バックラッシ量の調整に際し、シリンダチューブ14の取付け用の複数のフランジ取付けボルト11を外し、目印Mを所望する目盛りNに合せてシリンダチューブ14を周方向に回動させ、所望の位置で、複数のフランジ取付けボルト11にてシリンダチューブ14を改めて固定する。なお、シリンダチューブ14を回動させる際は、シリンダチューブ14を保持可能とされるとともに、フランジ取付けボルト11の雌ねじ22を利用する治具を用意すれば調整を一層容易に行うことができる。
なお、本発明に係るクレーンのコラムポスト用旋回装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能であることは勿論である。
また、上記実施形態の旋回装置10では、平滑面31とこれに摺接する摺動板23、および押圧手段として押しねじ24を備える例を説明したが、これらを有しない構成とすることもできる。しかし、スライドロッド17のたわみを抑え、バックラッシ量の変動をより確実に抑える上ではこれら平滑面31摺動板23および押圧手段を備えることが好ましい。
また、例えば上記実施形態では、シリンダチューブ14とハウジング20との嵌合面にOリングを介装して潤滑油の漏出を防止している例で説明したが、これに限らず、ハウジング内のピニオンギヤ周囲がドライ構造であれば、当然に潤滑油が漏出することもないので、この種の潤滑油漏出防止手段を省略することができる。
2 コラムポスト
2a コラムポスト基端部(コラムポストの基端部)
2b (基端部の)旋回軸部
3 ブーム
4 クレーン操作部
5 シート
6 コントロールレバー
7 クローラ
8 車両
9 基台
10 旋回装置
11 (シリンダチューブを固定する)フランジ取付けボルト
12 ピニオンギヤ
13 軸受
14 シリンダチューブ
15 フランジ部
16 フランジボルト装着孔
17 スライドロッド
18 ピストン
19 ラックギヤ
20 ハウジング
21 フランジ装着部
22 (フランジ装着部の)雌ねじ
23 摺動板
24 押しねじ(摺動板押圧手段)
25 チューブ取付け孔
30 インロー部
31 (スライドロッドの)平滑面
32 Oリング
40 カバー装着部
41 カバー
42 カバー固定ボルト
43 キー
Claims (5)
- クレーンのコラムポストを前記クレーンが架装される車両の基台に対して水平方向に旋回させる旋回装置において、
前記コラムポストの基端部と前記基台との間に装着されるハウジングと、上下方向を向く軸線まわりに回転自在に前記ハウジング内に収容されるとともに前記コラムポストの基端部と一体で回転するピニオンギヤと、前記ハウジングの両側面に対向配置されたフランジ装着部に自身端面の円環状のフランジ面が装着される中空円筒状の一対のシリンダチューブと、前記一対のシリンダチューブ相互に摺嵌されて前記ピニオンギヤに中心軸が直交して歯合されるラックギヤを有するとともに前記一対のシリンダチューブに給排される圧油によりスライド移動するように両端にピストンを有するスライドロッドとを備えるラック・アンド・ピニオン方式の旋回装置であって、
前記シリンダチューブは、自身端部にインロー部を有する円環状のフランジ部と、該フランジ部の内孔の内側に溶着された円筒部とから構成され、前記フランジ部は、前記円環状のフランジ面に周方向に沿って同一円周上に等配された複数のボルト装着孔を有し、
前記フランジ部の内孔の中心軸と前記円筒部の中心軸とが同軸を形成する第一の同軸配置とされるとともに、前記インロー部の中心軸と、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸とが同軸を形成する第二の同軸配置とされ、
前記第一の同軸配置と前記第二の同軸配置とは、相互の中心線同士が偏心して形成されていることを特徴とするクレーンのコラムポスト用旋回装置。 - 前記一対のシリンダチューブは、前記複数のボルト装着孔の並びによる同一円周の中心軸が前記円筒部の中心軸に対して相互に同じだけ偏心して形成されており、前記ハウジングのフランジ装着部は、前記複数のボルト装着孔に対向する位置に、周方向に沿って同一円周上に等配された複数の雌ねじを有し、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を円周方向に回転させて相互に同じだけ変えることで、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の周方向での装着位置に対応して段階的に変えられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。
- 前記一対のシリンダチューブが二組並設されるとともに、該並設された一対のシリンダチューブそれぞれに摺嵌された前記スライドロッドのラックギヤにより前記ピニオンギヤを径方向両側から挟持するように構成されており、
前記スライドロッドは、前記ラックギヤが形成された側とは反対側の面に、前記スライド移動する方向に沿って形成された平滑面を有し、前記ハウジングは、前記スライドロッドの平滑面に対向する位置に、前記平滑面に摺接する摺動板と、該摺動板を前記平滑面に向けて押圧する押圧手段とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。 - 前記インロー部の外周面と前記ハウジングのチューブ取付け孔の嵌合面との間にはOリングが介装され、前記ラックギヤと前記ピニオンギヤとの噛み合い部分は、前記ハウジング内部に潤滑油が充填されることによって常に潤滑状態とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のクレーンのコラムポスト用旋回装置におけるラック・アンド・ピニオン機構のバックラッシを調整する方法であって、
前記一対のシリンダチューブそれぞれの、前記ハウジングのフランジ装着部に対する前記フランジの装着位置を周方向にて相互に同じだけ変えることにより、前記ピニオンギヤと前記ラックギヤ間のバックラッシを前記複数のボルト装着孔の周方向での装着位置に対応して変えることを特徴とするクレーンのコラムポスト用旋回装置のバックラッシ調整方法。
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