JP6305126B2 - 予備充放電機能を有する電池パック - Google Patents

予備充放電機能を有する電池パック Download PDF

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Description

本発明は、異常事態の発生に応じて、内蔵した二次電池の充放電を遮断する保護回路を有する電池パックに関し、特に、予備充電あるいは予備放電の機能を加えて二次電池の保護機能を向上させた電池パックに関する。
電池パックは、一般的に複数個の二次電池を内蔵し、正負極の外部端子を介して充放電可能な状態で提供される。そして、内蔵した二次電池を過充電あるいは過放電等の異常事態から保護するために、異常事態の発生に応じて充放電を停止する制御を行うための保護回路が設けられる。すなわち、外部端子と二次電池との間に充放電スイッチ回路を介在させて、異常事態を検出したときに、保護回路が充放電スイッチ回路を遮断する制御を行う。また、過充電あるいは過放電に限らず、電池パック内の異常な温度上昇等、種々の異常に対処するように、充放電スイッチ回路による充放電制御が行われる。
特許文献1には、電池パックに設けられた保護回路等の構成例が開示されている。図5に、特許文献1に開示された電池パック100の回路図を示す。但し、本発明に関する従来技術の説明として不要な部分は、図示を省略した。
この電池パック100は、例えば、リチウムイオン電池等の素電池101aを複数個接続した二次電池101を内蔵している。電池パック100は、携帯機器102に着脱自在に装着される。携帯機器102には、交流商用電力を変換した直流電力が供給され、この電力を制御し供給する制御・電源手段103が設けられている。制御・電源手段103からの電力出力は、携帯機器102の負荷104に供給され、また電池パック100の二次電池101を充電するために供給される。商用電力からの電力供給がない場合は、電池パック100から制御・電源手段103に電力が供給される。
二次電池101は、充放電ライン105を介して接続された充放電用の外部端子T1、T2から、制御・電源手段103への放電を行い、一方、制御・電源手段103により充電電力が供給される。充放電ライン105には、充放電スイッチ回路106が挿入されている。充放電スイッチ回路106は、充電制御FET107、及び放電制御FET108を含む。充電制御FET107に並列に、予備充電回路109が接続されている。予備充電回路109は、充電電流を低減させるための抵抗110と、予備充電制御FET111を備えている。
電池パック100は、二次電池101の充放電を監視、制御するマイクロプロセッサーユニットからなる保護回路112を備えている。また、二次電池101の充放電時の電流を検出する抵抗等からなる電流検出部113と、二次電池101に密接して配置された温度検出部114が設けられている。
保護回路112にはA/D変換部115が設けられ、トータル電池電圧(測定箇所d)、電流検出部113からの出力、温度検出部114からの出力電圧をデジタル変換し、実電圧[mV]や実電流値[mA]等に換算する。A/D変換部115からの出力が制御・演算部116に入力されて、演算、比較、判定等が行われる。制御・演算部116からの信号により、充放電スイッチ回路106のオンオフが制御される。すなわち、制御・演算部116は、異常電流、異常温度、異常電圧等を検出したとき、充放電スイッチ回路106を制御して電流を遮断する。これにより、二次電池101の保護、あるいは事故発生が防止される。
例えば、制御・演算部116は、二次電池101の電圧が過充電電圧以上になると、充電制御FET107をオフ制御し、充電は停止される。充電制御FET107は、その寄生ダイオード107aが充電電流に対して逆方向となるように接続されている。また、二次電池101の電圧が過放電電圧以下になると、放電制御FET108をオフ制御し、放電は停止される。放電制御FET108は、その寄生ダイオード108aが放電電流に対して逆方向となるように接続されている。
予備充電回路109は、二次電池101が過放電電圧以下の状態に保持された場合に、上述の通常の充電に代えて、低減させた電流値で予備的に充電を行うために設けられる。予備充電回路109の予備充電制御FET111は、制御・演算部116からの指示によりオンオフを制御され、抵抗110を介して低減させた充電電流を通電する。予備充電制御FET111は、その寄生ダイオード111aが充電電流に対して逆方向となるように接続されている。
すなわち、充電の開始に際して制御・演算部116は、電池電圧が過放電電圧以下等の場合は、充電制御FET107をオフ状態とし、予備充電制御FET111をオン状態とする。この動作の下で、携帯機器102から充電電流が供給されると、充電電流は、抵抗110により低減され、オン状態の予備充電制御FET111を介して、二次電池101を充電する。そして、充電開始から所定時間以内に、電池電圧が所定値以上になれば、制御・演算部116は、予備充電制御FET111をオフ状態とし、充電制御FET107をオン状態として、通常の充電を行う。これにより、二次電池101への充電電流が過大になることが回避される。
特開2008−288046号公報
特許文献1に開示されたような電池パックでは、予備充電回路109における充電電流を低減させるための抵抗110には、大電力、高抵抗の特性が要求される。そのため、従来の電池パックでは、例えば、セメント抵抗が用いられているが、大型であるため、実装に大きなスペースを占め、保護回路基板の小型化を困難としている。
従って本発明は、予備充電回路あるいは予備放電回路を構成する電流低減用の抵抗の実装に占めるスペースを低減させて、保護回路基板の小型化を可能とした電池パックを提供することを目的とする。
一方、予備放電機能については、従来、十分には考慮されていなかった。しかし、電池パックから外部回路への放電に際して、放電制御FET108を即座にオンにすると、外部回路の状態によっては、素電池の劣化、ラッシュ電流、充放電FETの故障等を招く惧れがある。特に、高電圧化した電池パックにおいては、深刻な問題となり得る。
そこで本発明は、外部回路への放電に際して、通常の放電に先立ち、抑制された電流での予備放電を適切に機能させて、素電池の劣化の抑制、ラッシュ電流の抑制等の効果を得ることが可能な電池パックを提供することを、更なる目的とする。
本発明の電池パックは、基本構成として、二次電池と、前記二次電池からの充放電ラインに挿入された充電制御スイッチ素子及び放電制御スイッチ素子を含む充放電スイッチ回路と、前記充電制御スイッチ素子及び前記放電制御スイッチ素子のオンオフにより前記充放電ラインを通じた充放電を制御する保護回路とを備える。
上記課題を解決するために、本発明の第1構成の電池パックは、前記充電制御スイッチ素子と並列に接続された予備充電回路と、前記放電制御スイッチ素子と並列に接続された予備放電回路とを更に備え、前記予備充電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備充電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され、前記予備放電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備放電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され、前記保護回路は、前記放電制御スイッチ素子のオフ状態からオン状態への移行動作を開始したとき、先ず前記予備放電制御スイッチ素子をオンに制御して予備放電を行いながら、前記充放電ラインの出力端の電圧であるパック電圧が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく前記予備放電の動作が所定時間経過したときには、前記予備放電を停止して一定の待機時間の経過後、再び前記予備放電を行いながら前記パック電圧が前記解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく、前記所定時間の前記予備放電の動作を所定回数繰り返した後には、前記放電制御スイッチ素子をオンに移行させることなく、前記予備放電を停止して移行動作を終了するように制御することを特徴とする。
本発明の第2構成の電池パックは、前記放電制御スイッチ素子と並列に接続された予備放電回路を更に備え、前記予備放電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備放電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され、前記保護回路は、前記放電制御スイッチ素子のオフ状態からオン状態への移行動作を開始したとき、先ず前記予備放電制御スイッチ素子をオンに制御して予備放電を行いながら、前記充放電ラインの出力端の電圧であるパック電圧が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく前記予備放電の動作が所定時間経過したときには、前記予備放電を停止して一定の待機時間の経過後、再び前記予備放電を行いながら前記パック電圧が前記解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく、前記所定時間の前記予備放電の動作を所定回数繰り返した後には、前記放電制御スイッチ素子をオンに移行させることなく、前記予備放電を停止して移行動作を終了するように制御することを特徴とする。
上記構成の電池パックよれば、予備充電回路または予備充電回路における電流を低減させるための要素として、従来例のセメント抵抗に代えてPTCサーミスタを用いたので、その体積が小さいことにより、保護回路基板への実装に占めるスペースを低減して、保護回路基板の小型化を顕著に図ることができる。
また、第2構成の電池パックよれば、外部回路への放電に際して、通常の放電に先立ち、抑制された電流での予備放電を適切に機能させて、素電池の劣化の抑制、ラッシュ電流の抑制等の効果を得ることできる。
実施の形態1における電池パックを示すブロック図 実施の形態2における電池パックを示すブロック図 同電池パックにおける放電開始時における動作を示すフロー図 実施の形態3における電池パックを示すブロック図 従来例の電池パックを示すブロック図
本発明の電池パックは、上記構成を基本として、以下のような態様を採ることができる。
すなわち、第1構成において、前記放電制御スイッチ素子と並列に接続された予備放電回路を更に備え、前記予備放電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備放電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成されている。PTCサーミスタを用いることにより、予備充電回路と予備放電回路を併設しても、保護回路基板への実装に占めるスペースは抑制され、保護回路基板の小型化を確保することが容易である。
この構成において、前記予備充電回路と前記予備放電回路は直列に接続されて前記充放電スイッチ回路と並列に接続され、前記PTCサーミスタは1個に集約されて、前記予備放電回路と前記予備充電回路により共用されるように構成することができる。このように1個のPTCサーミスタを予備放電と予備充電で共用することにより、省スペース効果の向上により、予備充電回路と予備放電回路の併設が更に容易になる。
また、上記いずれかの構成において、前記保護回路は、前記放電制御スイッチ素子のオフ状態からオン状態への移行動作を開始したとき、先ず前記予備放電制御スイッチ素子をオンに制御して予備放電を行いながら、前記充放電ラインの出力端の電圧であるパック電圧が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく前記予備放電の動作が所定時間経過したときには、前記予備放電を停止して一定の待機時間の経過後、再び前記予備放電を行いながら前記パック電圧が前記解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく、前記所定時間の前記予備放電の動作を所定回数繰り返した後には、前記放電制御スイッチ素子をオンに移行させることなく、前記予備放電を停止して移行動作を終了するように制御する構成とすることができる。これにより、予備放電回路を通して低減された電流による予備放電を行い、電池パックから外部回路への放電を開始したときのパック電圧の変化に基づき、外部回路の短絡等の異常の有無を検出することができる。しかも予備放電であるため、もしも短絡していた場合であっても、大きなラッシュ電流を回避することができる。
また、前記PTCサーミスタは、回路基板に対して長手方向が交差する向きに実装されている。これにより、PTCサーミスタから回路基板への伝熱を抑制することができ、PTCサーミスタへの通電による発熱が、他の回路部品の特性に影響を与える惧れを軽減することができる。
また、前記スイッチ素子は、MOSFET、トランジスタ、IGBT、またはリレーのいずれかにより構成される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
<実施の形態1>
実施の形態1における電池パックについて、図1のブロック図を参照して説明する。この電池パック1は、例えば、リチウムイオン電池等の素電池2aを複数個接続した二次電池2を内蔵している。電池パック1は、外部回路3を含む電子装置4に着脱自在に装着される。外部回路3には、交流商用電力から変換された直流電力、または電池パック1からの直流電力が供給される。交流商用電力から変換された直流電力は、外部回路3内で消費されるとともに、電池パック1の充電のためにも供給される。
二次電池2の両電極端子は充放電ライン5を通して充放電用の外部端子T1、T2に接続され、外部端子T1、T2を介して、外部回路3に接続される。二次電池2の正極端子と外部端子T1の間の充放電ライン5には、充放電スイッチ回路6が挿入されている。充放電スイッチ回路6は、保護回路7によりオンオフが制御されて、二次電池2による充放電動作を制御する。保護回路7は、スイッチ回路制御部8、電圧検出部9、電流検出部10、及び温度検出部11を有する。
電圧検出部9は、二次電池2の充放電電圧を監視し、過放電あるいは過充電電圧を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。電流検出部10は、充放電ライン5の負極側に挿入された抵抗Rを介して、二次電池2に流れる電流を監視し、過電流を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。温度検出部11は、電池パック1内の温度を監視し、温度異常を検出した場合に、所定の検出信号を生成する。これらは、二次電池2あるいはその周辺の状態の異常を検出するための異常検出手段の一例である。
充放電スイッチ回路6は、MOSFETからなる充電制御FET12(充電制御スイッチ素子)、及び放電制御FET13(放電制御スイッチ素子)を直列に接続して構成されている。充電制御FET12は、ドレイン・ソース間に存在する寄生ダイオード12aが、放電電流に対して順方向となるように接続されている。放電制御FET13は、寄生ダイオード13aが、充電電流に対して順方向となるように接続されている。
保護回路7では、電圧検出部9、電流検出部10、及び温度検出部11が生成する検出信号が、スイッチ回路制御部8に供給される。スイッチ回路制御部8は、それらの検出信号に基づき、充電制御FET12及び放電制御FET13の導通(オン状態)または非導通(オフ状態)を切替えて、充放電ライン5を通じた充放電を制御する。すなわち、過充電あるいは過放電等の異常発生時には充放電ライン5を遮断して、二次電池2を保護し、あるいは事故発生を防止する。
充電制御FET12に並列に、予備充電回路14が接続されている。予備充電回路14は、保護回路7によりオンオフが制御される予備充電制御FET15(予備充電制御スイッチ素子)と、無機のPTCサーミスタ16の直列回路により構成されている。PTCサーミスタ16は、充電電流を低減させるための要素であり、図5に示した従来例の抵抗110に代えて用いられる。
予備充電回路14は、例えば、上述の従来例と同様の機能を意図して設けられ、二次電池2が過放電電圧以下の状態に保持された場合に、通常の充電に代わって、低減させた電流値で予備的に充電を行うように動作させられる。予備充電回路14の予備充電制御FET15は、スイッチ回路制御部8からの指示によりオンオフを制御される。
すなわち、充電の開始に際してスイッチ回路制御部8は、電池電圧が過放電電圧以下等の場合は、充電制御FET12をオフ状態とし、予備充電制御FET15をオン状態とする。この状態下で外部回路3から充電電流が供給されると、充電電流は、PTCサーミスタ19により低減されて二次電池2を充電する。そして、充電開始から所定時間以内に、電池電圧が所定値以上になれば、スイッチ回路制御部8は、予備充電制御FET15をオフ状態とし、充電制御FET12をオン状態として、通常の充電を行う。
なお、スイッチ回路制御部8はFETゲート電圧の制御回路を含む。本実施の形態では充電制御FET12、放電制御FET13、及び予備充電制御FET15に、n−chのFETを用いており、この場合、スイッチ回路制御部8には昇圧回路や絶縁回路なども含まれる。
以上の構成を有する本実施の形態の特徴は、予備充電回路14における充電電流を低減させるための要素として、従来例のセメント抵抗に代えてPTCサーミスタ16を用いたことである。PTCサーミスタ16は、高電力、高抵抗用の種々の抵抗と比べて極めて小型であり、その体積は、セメント抵抗と比べて数十分の一程度である。これにより、保護回路基板への実装に占めるスペースを十分に低減して、保護回路基板の小型化を図ることができる。
PTCサーミスタ16は、保護回路基板に対して長手方向が交差する向き、すなわち、回路基板上に立てた状態に実装される。PTCサーミスタ16は通電による発熱が大きいため、他の回路部品の特性が熱による影響を受ける惧れがある。PTCサーミスタ16を立てて実装することにより、回路基板への伝熱を抑制し、そのような惧れを回避することができる。
通常、電池パックにおいては、異常発生時の電流遮断用に有機のPTCサーミスタが用いられているのに対して、本実施の形態では無機のPTCサーミスタを用いる。これは、PTCサーミスタの用途が従来例とは相違し、本実施の形態では、サーミスタ特性の可逆性を確保する必要があるからである。
なお、充放電スイッチ回路6及び予備充電回路14を構成するスイッチ素子としては、MOSFETに限らず、トランジスタ、IGBT、リレー等、種々の素子を用いることができる。
<実施の形態2>
実施の形態2における電池パックについて、図2のブロック図を参照して説明する。本実施の形態の電池パック20では、実施の形態1の構成に対して予備放電回路17が追加されている。また、充放電ライン5の出力端の電圧であるパック電圧、すなわち外部端子T1側の点Pにおける電圧が電圧検出部9によって検出されるように接続されている。他の構成要素については実施の形態1と同様であり、同一の参照番号を付して説明の繰り返しを省略する。
予備放電回路17は、放電制御FET13に並列に接続されている。予備放電回路17は、保護回路7によりオンオフが制御される予備放電制御FET18(予備放電制御スイッチ素子)と、無機のPTCサーミスタ19の直列回路により構成されている。PTCサーミスタ19は、放電電流を低減させるための要素である。PTCサーミスタ16、19を用いることにより、抵抗を用いる場合と比べて省スペースの効果が大きく、これにより、予備充電回路14と予備放電回路17を併設することが容易になる。なお、予備充電回路14と予備放電回路17を併設せずに、予備放電回路17のみを設けてもよく、相応の効果を得ることができる。
予備放電回路17を設けて低減された電流による予備放電を行う目的は、例えば、次のとおりである。すなわち、放電制御FET13のオフ状態からオン状態への移行、すなわち、二次電池2からの放電動作の開始に際して、放電制御FET13のオン制御に先立ち、必ず予備放電制御FET18をオンにする。それにより、外部回路3への予備放電を行った後、充放電制御FET12、13をオンにする。予備放電を行うことにより、素電池2aの劣化の抑制、電池パック1を機器に組み込む際のラッシュ電流の抑制、充放電制御FET12、13の故障の抑制、あるいは、外部回路3の異常検知を可能とする、等の効果を得ることができる。
例えば、ラッシュ電流を抑制するためには、外部回路3が短絡していないことを検出した後、放電制御FET13をオンにすればよい。放電制御FET13のオン状態への移行に先立ち、予備放電制御FET18をオンにして予備放電を行うことにより、外部回路3の短絡の有無を検出することができる。すなわち、電池パック20から外部回路3への放電を開始したとき、パック電圧が所定の電圧に達すれば、短絡していないことが判る。但し、放電制御FET13をオンにして通常の放電を行うと、もしも短絡していた場合、大きなラッシュ電流が流れることになる。これを回避するためには、予備放電回路17を通して低減された電流による予備放電が有効である。
従って、スイッチ回路制御部8は、電圧検出部9が検出するパック電圧に基づいて、予備放電制御FET18及び放電制御FET13のオンオフを制御するように構成される。このような、スイッチ回路制御部8による、予備放電制御FET18及び充放電制御FET12、13を制御する動作に関し、図3のフロー図を参照して説明する。
放電制御FET13のオフ状態からオン状態への移行動作を開始すると(ステップS1)、先ず、予備放電制御FET18をオンに制御して予備放電を行う(ステップS2)。予備放電に伴い、パック電圧(出力端の点Pの電圧)が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出する(ステップS3)。パック電圧は、予備放電中、例えば0.2秒間隔で検出し、解除電圧との比較を行う。
パック電圧が解除電圧を超えたとき(ステップS3、Yes)、放電制御FET13をオンに制御し(ステップS4)、予備放電制御FET18をオフに制御して(ステップS5)、移行動作を終了する(ステップS6)。これにより、電池パック20からの通常の放電状態になる。
パック電圧が解除電圧を超えない場合(ステップS3、No)、予備放電、及びパック電圧と解除電圧の比較の動作を所定時間(例えば10秒間)継続する(ステップS7)。パック電圧が解除電圧を超えることなく予備放電の動作が10秒間を経過したときには(ステップS7、Yes)、10秒間の予備放電の動作の繰り返しが、所定繰り返し回数に達したが否かを判定する(ステップS8)。
所定繰り返し回数に達していない場合(ステップS8、No)、予備放電制御FET18をオフに制御して(ステップS9)、一定時間待機する(ステップS10)。一定の待機時間の経過後、ステップS2に戻り、再び予備放電を行いながらパック電圧が解除電圧を超えたか否かを検出する(ステップS2、S3)。パック電圧が解除電圧を超えたときにはステップS4に進み、上述と同様に、移行動作を終了して、電池パック20からの通常の放電状態になる。
パック電圧が解除電圧を超えることなく、ステップS2,S3、S7、S9、S10の動作の繰り返しが、所定繰り返し回数に達したとき(ステップS8、Yes)、放電制御FET13をオンに移行させることなく、予備放電制御FET18をオフに制御して(ステップS5)、移行動作を終了する(ステップS6)。これにより、エラー状態となり、通常の放電状態への復帰が停止される。
<実施の形態3>
実施の形態3における電池パックについて、図4のブロック図を参照して説明する。本実施の形態の電池パック21は、図2に示した実施の形態2の構成から、予備充電回路14及び予備放電回路17の構成に変更を加えたものである。他の構成要素については実施の形態2と同様であり、同一の参照番号を付して説明の繰り返しを省略する。
本実施の形態では、図2における予備充電回路14と予備放電回路17が、予備充放電回路22として統合される。すなわち、予備充電制御FET15及び予備放電制御FET18の直列回路に対して、1個の無機のPTCサーミスタ23が直列に接続された構成とする。図2における予備充電制御FET15と予備放電制御FET18間のノードと、充電制御FET12と放電制御FET13間のノードは接続されていない。これにより、予備充電及び予備放電のいずれの際も、PTCサーミスタ23を通して電流が流れ、PTCサーミスタ23は予備放電回路と予備充電回路により共用される。
なお、予備充電制御FET15、予備放電制御FET18及びPTCサーミスタ23は、図示の配置に限らず、どのような順序に配置してもよい。
本実施の形態によれば、1個のPTCサーミスタ23を予備放電と予備充電で共用することにより、省スペース効果の向上により、予備充電回路と予備放電回路の併設が更に容易になる。
本発明の電池パックは、予備充電あるいは予備放電の電流低減用の抵抗が実装に占めるスペースを低減させて、保護回路基板の小型化を可能とするものであり、高電圧の電池パック等に有用である。
1、20、100 電池パック
2a、101a 素電池
2、101 二次電池
3 外部回路
4 電子装置
5、105 充放電ライン
6、106 充放電スイッチ回路
7、112 保護回路
8 スイッチ回路制御部
9 電圧検出部
10、113 電流検出部
11、114 温度検出部
12、107 充電制御FET
12a、13a、111a 寄生ダイオード
13 放電制御FET
14、109 予備充電回路
15、111 予備充電制御FET
16、19 PTCサーミスタ
17 予備放電回路
18 予備放電制御FET
102 携帯機器
103 制御・電源手段
104 負荷
110 抵抗
115 A/D変換部
116 制御・演算部

Claims (5)

  1. 二次電池と、
    前記二次電池からの充放電ラインに挿入された充電制御スイッチ素子及び放電制御スイッチ素子を含む充放電スイッチ回路と、
    前記充電制御スイッチ素子及び前記放電制御スイッチ素子のオンオフにより前記充放電ラインを通じた充放電を制御する保護回路とを備えた電池パックにおいて、
    前記充電制御スイッチ素子と並列に接続された予備充電回路と、前記放電制御スイッチ素子と並列に接続された予備放電回路とを更に備え、
    前記予備充電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備充電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され
    前記予備放電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備放電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され、
    前記保護回路は、
    前記放電制御スイッチ素子のオフ状態からオン状態への移行動作を開始したとき、先ず前記予備放電制御スイッチ素子をオンに制御して予備放電を行いながら、前記充放電ラインの出力端の電圧であるパック電圧が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく前記予備放電の動作が所定時間経過したときには、前記予備放電を停止して一定の待機時間の経過後、再び前記予備放電を行いながら前記パック電圧が前記解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく、前記所定時間の前記予備放電の動作を所定回数繰り返した後には、前記放電制御スイッチ素子をオンに移行させることなく、前記予備放電を停止して移行動作を終了するように制御することを特徴とする電池パック。
  2. 前記予備充電回路と前記予備放電回路は直列に接続されて前記充放電スイッチ回路と並列に接続され、
    前記PTCサーミスタは1個に集約されて、前記予備放電回路と前記予備充電回路により共用されるように構成された請求項に記載の電池パック。
  3. 二次電池と、
    前記二次電池からの充放電ラインに挿入された充電制御スイッチ素子及び放電制御スイッチ素子を含む充放電スイッチ回路と、
    前記充電制御スイッチ素子及び前記放電制御スイッチ素子のオンオフにより前記充放電ラインを通じた充放電を制御する保護回路とを備えた電池パックにおいて、
    前記放電制御スイッチ素子と並列に接続された予備放電回路を更に備え、
    前記予備放電回路は、前記保護回路によりオンオフが制御される予備放電制御スイッチ素子と無機のPTCサーミスタの直列回路により構成され
    前記保護回路は、
    前記放電制御スイッチ素子のオフ状態からオン状態への移行動作を開始したとき、先ず前記予備放電制御スイッチ素子をオンに制御して予備放電を行いながら、前記充放電ラインの出力端の電圧であるパック電圧が、所定値に設定された解除電圧を超えたか否かを検出し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく前記予備放電の動作が所定時間経過したときには、前記予備放電を停止して一定の待機時間の経過後、再び前記予備放電を行いながら前記パック電圧が前記解除電圧を超えたか否かを検出し、前記パック電圧が前記解除電圧を超えたときに前記放電制御スイッチ素子をオンに制御して前記予備放電を停止し、
    前記パック電圧が前記解除電圧を超えることなく、前記所定時間の前記予備放電の動作を所定回数繰り返した後には、前記放電制御スイッチ素子をオンに移行させることなく、前記予備放電を停止して移行動作を終了するように制御することを特徴とする電池パック。
  4. 前記PTCサーミスタは、回路基板に対して長手方向が交差する向きに実装されている請求項1〜のいずれか1項に記載の電池パック。
  5. 前記スイッチ素子は、MOSFET、トランジスタ、IGBT、またはリレーのいずれかにより構成された請求項1〜のいずれか1項に記載の電池パック。
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