以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すシステムでは、複数のユーザーが、スマートフォンなどの携帯端末装置1をそれぞれ携帯しており、さらに、複数の画像形成装置2(複合機、コピー機など)が点在している。
図1に示すシステムでは、携帯端末装置1は、携帯端末装置1の現在位置、対象の画像形成装置2の位置およびユーザー移動速度に基づき占有時間を計算し、特定のユーザー(携帯端末装置1の所有者)および占有時間を指定した占有要求をその画像形成装置2に送信する。その際、携帯端末装置1は、画像形成装置2がスリープ状態である場合、スリープ解除要求を併せて送信し、その後、スリープ解除の所要時間に応じて占有時間を調整する。その画像形成装置2は、その占有要求を受信すると、その時点から、その占有要求により指定された占有時間が経過するまで、その占有要求により指定されたユーザー以外のユーザーによる当該画像形成装置2の利用を禁止する。
スリープ状態において占有要求およびスリープ解除要求を受信した場合、画像形成装置2は、スリープ解除を開始し、スリープ解除が完了すると、スリープ解除通知をその携帯端末装置1へ送信する。画像形成装置2は、占有要求またはスリープ解除要求において指定されたジョブ種別のジョブが実行可能となった時点でスリープ解除通知を送信する。そのため、ジョブ種別によってスリープ解除の所要時間は異なる。例えば、コピージョブの場合、印刷装置31が必要であるため、定着温度制御のためにスリープ解除の所要時間は比較的長い。一方、スキャンジョブの場合、印刷装置31は不要であるため、スリープ解除の所要時間は比較的短い。
そして、携帯端末装置1は、スリープ解除通知が画像形成装置2から受信された時点で占有要求を送信して、占有時間を調整する。また、携帯端末装置1は、スリープ解除完了前に占有時間が終了しないように、スリープ解除通知が受信される前においても、所定のタイミングで占有要求を送信して、占有時間を調整する。
図2は、図1における携帯端末装置1および画像形成装置2の構成を示すブロック図である。
携帯端末装置1は、例えばスマートフォンなどのポータブルデバイスであって、無線通信装置11、位置検出装置12、表示装置13、入力装置14、記憶装置15、演算処理装置16などを備える。
無線通信装置11は、無線LAN(Local Area Network)、ブルートゥース(登録商標)などの所定の無線通信規格でデータ通信を行う内部装置である。
位置検出装置12は、例えばGPS(Global Positioning System)を利用して当該携帯端末装置1の現在位置を検出する内部装置である。
表示装置13は、ユーザーに対して操作画面などを表示する液晶ディスプレイなどといった内部装置である。入力装置14は、ユーザー操作を検出するタッチパネルなどといった内部装置である。
記憶装置15は、フラッシュメモリー、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置15には、プログラム21などが記憶されている。
演算処理装置16は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などを有するコンピューターであり、プログラム21をRAMにロードしCPUで実行することで、アプリケーション22を実現する。
アプリケーション22は、(a)画像形成装置2の利用状況情報および動作状態情報を取得し画像形成装置2の利用状況および動作状態を表示する機能、(b)当該携帯端末装置1を所有するユーザーが画像形成装置2を占有して即時利用するために占有要求を送信する機能、(c)画像形成装置2が利用されている場合に利用可能状態になったときに通知を画像形成装置2に送信させる予約要求を送信する機能などを有する。なお、動作状態は、通常動作状態とスリープ状態を含む。
アプリケーション22は、特定ユーザー(この携帯端末装置1の所有者)および初期占有時間を指定した最初の占有要求を画像形成装置2に送信して、その画像形成装置2に、その占有要求により指定された特定ユーザー以外のユーザーによる画像形成装置2の利用を、初期占有時間が初期値としてセットされる占有時間が経過するまで禁止させる。その際、アプリケーション22は、画像形成装置2がスリープ状態である場合、(a)スリープ解除要求を画像形成装置2に送信し、(b)スリープ解除の所要時間に応じて占有時間を調整する。
これにより、その画像形成装置2において、占有要求により指定されたこのユーザー以外のユーザーによる画像形成装置2の利用が、占有時間が経過するまで禁止される。
アプリケーション22は、当該携帯端末装置1の現在位置、対象の画像形成装置2の位置およびユーザー移動速度に基づき占有時間を計算する。
例えば、占有時間は、当該携帯端末装置1の現在位置と対象の画像形成装置2の位置との間の距離を所定のユーザー移動速度で除算して得られる標準移動時間に所定の余裕率を乗じて得られる時間とされる。
例えば、当該携帯端末装置1の現在位置と対象の画像形成装置2の位置との間の距離が15メートルであり、ユーザーの移動速度が毎分20メートルであり、余裕率が2である場合、占有時間は90秒となる。
なお、当該携帯端末装置1の現在位置は、位置検出装置12から得られる。また、この実施の形態では、画像形成装置2の位置情報が予め記憶装置15に格納されており使用される。
さらに、アプリケーション22は、スリープ解除要求の送信後、占有時間(初期占有時間または調整後の占有時間)が経過する前の所定のタイミングまでにスリープ解除通知が画像形成装置2から受信されない場合、特定ユーザーおよび新占有時間を指定した占有要求を再度送信し、新占有時間で占有時間を調整する。なお、新占有時間による調整後の占有時間の終端は、新占有時間の設定タイミングから新占有時間の長さだけ後のタイミングとなる。
例えば、上述の所定のタイミングは、占有時間の終端から初期占有時間の4分の1だけ前のタイミングとされ、新占有時間は、初期占有時間と同一長とされる。
さらに、アプリケーション22は、スリープ解除要求の送信後、スリープ解除通知が画像形成装置2から受信された時点で、特定ユーザーおよび新占有時間を指定した占有要求を再度送信し、新占有時間で占有時間を調整する。なお、新占有時間による調整後の占有時間の終端は、新占有時間の設定タイミングから新占有時間の長さだけ後のタイミングとなる。
その際、例えば、スリープ解除の所要時間(スリープ解除要求の送信からスリープ解除通知の受信までの時間)が初期占有時間の3分の1以下である場合、新占有時間は、初期占有時間からスリープ解除の所要時間を減算して得られる時間とされる。スリープ解除の所要時間が、初期占有時間の3分の1を超え、かつ初期占有時間以下である場合、新占有時間は、初期占有時間の4分の3からスリープ解除の所要時間の4分の1を減算して得られる時間とされる。スリープ解除の所要時間が初期占有時間を超えている場合、新占有時間は、初期占有時間の2分の1とされる。
さらに、アプリケーション22は、(a)1または複数の画像形成装置2からジョブ種別ごとに利用状況情報および動作状態情報を取得し、(b)所定の画面において、動作状態情報が通常動作状態を示している画像形成装置2については、ジョブ種別ごとに利用状況情報を報知し、動作状態情報がスリープ状態を示している画像形成装置2については、スリープ状態を報知し、その画面内で、1または複数の画像形成装置2のそれぞれに対応する1または複数の操作部(ソフトキー)を表示し、(c)所定のユーザー操作を検出した操作部に対応する画像形成装置2に対して占有要求を送信し、そのユーザー操作を検出した操作部に対応する画像形成装置2の動作状態情報がスリープ状態を示している場合、スリープ解除要求を送信する。
なお、登録されている画像形成装置2の登録データ(IPアドレスなどのネットワーク識別子、デバイス名称など)が記憶装置15に予め格納されており、アプリケーション22は、その登録データを読み出し、登録データに登録されている画像形成装置2の利用状況情報および動作状態情報を取得する。
一方、図2において、画像形成装置2は、登録された複数のユーザーにより使用される複合機などであって、印刷装置31、画像読取装置32、操作パネル33、無線通信装置34、有線通信装置35、記憶装置36、およびコントローラー37を備える。
印刷装置31は、印刷画像データに基づいて1ページずつ画像を印刷用紙に電子写真方式で印刷する内部装置である。
画像読取装置32は、原稿から原稿画像を読み取り、その画像データ(つまり、スキャンデータ)を生成する内部装置である。
操作パネル33は、画像形成装置2の筐体表面に配置され、ユーザーに対して各種情報を表示する表示装置と、ユーザー操作を受け付ける入力装置とを有する。表示装置としては例えば液晶ディスプレイが使用される。入力装置としては、キースイッチ、タッチパネルなどが使用される。
無線通信装置34は、無線LAN、ブルートゥース(登録商標)などの所定の無線通信規格でデータ通信を行う内部装置である。有線通信装置35は、有線LANなどのネットワークに接続され、そのネットワークに接続された他の装置とデータ通信を行う回路である。画像形成装置2が携帯端末装置1と通信を行う場合、画像形成装置2が携帯端末装置1と無線通信装置34で直接、通信を行うようにしてもよいし、図示せぬ中継機器を介して、無線通信装置34または有線通信装置35で通信を行うようにしてもよい。
また、記憶装置36は、フラッシュメモリー、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置である。記憶装置36には、プログラム41などが記憶されている。
また、コントローラー37は、コンピューター、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを有し、画像形成装置2内の内部装置を制御する。コントローラー37は、コンピューターでプログラム41を実行することで、認証処理部42、ジョブ管理部43、占有制御部44、およびスリープ制御部45を実現する。
認証処理部42は、登録ユーザーのユーザー名およびパスワードを含む登録ユーザーデータに基づいて、ユーザー認証を行う。なお、認証処理部42は、所定の記憶装置(記憶装置36、外部サーバーなど)に格納されている登録ユーザーデータを使用して、ユーザー認証を行ってもよいし、登録ユーザーデータを有する外部の認証サーバーにユーザー認証を行わせ、その認証結果に基づいてユーザー認証を行うようにしてもよい。
ジョブ管理部43は、印刷装置31、画像読取装置32などの内部装置を使用して、認証処理部42によるユーザー認証に成功したユーザーのジョブ(コピージョブ、スキャンジョブなど)を実行する。
さらに、占有制御部44が、無線通信装置34を使用して、携帯端末装置1から利用状況の問い合わせを受け付けると、ジョブ管理部43は、ジョブ種別ごとに利用状況を特定し、スリープ制御部45は、当該画像形成装置の動作状態を特定し、占有制御部44は、無線通信装置34を使用して、特定した利用状況を示す利用状況情報と特定した動作状態を示す動作状態情報とをその携帯端末装置1へ送信する。
例えば、コピージョブについては、印刷装置31および画像読取装置32の両方が使用されるが、印刷装置31が利用中でも画像読取装置32が空いていれば、スキャンを実行し、待機後にプリントを行うことができるため、プリントジョブで印刷装置31が利用されていても画像読取装置32が空いていれば、コピージョブの利用状況は、空きとなる。また、コピージョブまたはスキャンジョブで画像読取装置32が利用されている場合、コピージョブの利用状況は、利用中となる。
また、スキャンジョブについては、印刷装置31を使用せず画像読取装置32が使用されるため、プリントジョブで印刷装置31が使用されていても画像読取装置32が使用されていなければ、スキャンジョブの利用状況は、空きとなる。
さらに、占有制御部44が、無線通信装置34を使用して、携帯端末装置1から予約要求を受け付けると、ジョブ管理部43は、各ジョブの利用状況を継続的に監視し、各ジョブの利用状況が空きになった時点で、占有制御部44は、無線通信装置34を使用して、利用可能状態通知をその携帯端末装置1へ送信する。
また、占有制御部44は、携帯端末装置1から占有要求を受信すると、認証処理部42に対して認証制限設定を行い、その占有要求により指定された占有時間が経過するまで、占有要求により指定されたユーザー以外のユーザーのユーザー認証を認証処理部42に拒否させる。これにより、占有要求を発行したユーザー以外のユーザーによる当該画像形成装置2の利用が禁止される。なお、認証制限設定が解除されるまで、認証処理部42は、占有中を示すメッセージを操作パネル33に表示する。
さらに、この実施の形態では、占有制御部44は、占有要求により指定されたユーザーに対して設定されている優先ユーザーを特定し、その優先ユーザーのユーザー認証を認証処理部42に例外的に許可する。これにより、占有時間内であっても、優先ユーザーは、例外的に、当該画像形成装置2を利用することができる。
なお、優先ユーザーは、例えば、占有要求により指定される。また、予め優先ユーザーをユーザーに関連付けて登録ユーザーデータに登録しておき、登録ユーザーデータに基づいて優先ユーザーを特定するようにしてもよい。
スリープ制御部45は、印刷装置31、画像読取装置32などの内部装置の電力供給を制御して通常動作状態とスリープ状態との間の状態遷移を実行する。スリープ制御部45は、通常動作状態において、所定時間継続してユーザー操作、ジョブ実行など所定のイベントが検出されない場合、当該画像形成装置2の動作状態を通常動作状態(つまり、全内部装置の電源がオンされている状態)からスリープ状態(コントローラー37、無線通信装置34などの特定内部装置以外の内部装置の電源がオフされている状態)へ遷移させ、スリープ状態において、所定のイベントが検出された場合、スリープ状態を解除し、動作状態をスリープ状態から通常動作状態へ遷移させる。なお、この実施の形態1における画像形成装置2では、スリープ状態において、印刷装置31および画像読取装置32の電源がオフとなる。
占有制御部44は、スリープ制御部45で現在の動作状態を監視し、スリープ状態の解除が完了した時点で、スリープ解除通知を送信する。
次に、実施の形態1に係る画像形成システムにおける各装置の動作について説明する。ここでは、(a)通常動作状態における即時利用、(b)通常動作状態における予約、および(c)スリープ状態における即時利用について説明する。
(a)通常動作状態における即時利用
図3は、実施の形態1において、ユーザーが、通常動作状態における画像形成装置2の即時利用を要求した際の処理について説明するシーケンス図である。
携帯端末装置1において、アプリケーション22は、入力装置14に対する所定のユーザー操作を検出すると(ステップS1)、登録されている画像形成装置2のそれぞれに対して、無線通信装置11を使用して、利用状況および動作状態の問い合わせを行う(ステップS2)。
各画像形成装置2では、占有制御部44が、携帯端末装置1からの利用状況および動作状態の問い合わせを受け付けると、ジョブ管理部43は、現時点の利用状況を特定し、また、スリープ制御部45は、現時点の動作状態を特定し(ステップS3)、占有制御部44は、その利用状況情報および動作状態情報を、その携帯端末装置1へ送信する(ステップS4)。
携帯端末装置1において、アプリケーション22は、無線通信装置11を使用して、登録されている画像形成装置2のそれぞれから利用状況情報および動作状態情報を受信し、登録されている画像形成装置2の利用状況および動作状態を示す利用状況画面を表示装置13に表示する(ステップS5)。
図4は、図1における携帯端末装置1において表示される、画像形成装置2の利用状況画面の一例を示す図である。例えば図4に示すように、利用状況画面では、通常動作状態における各画像形成装置2についてジョブ種別ごとに利用状況が報知されるとともに、スリープ状態における各画像形成装置2について、スリープ状態が報知される。図4に示す画面では、「総務課1」という画像形成装置2がスリープ状態であることが報知されている。
さらに、各画像形成装置2に対応するソフトキーが表示される。利用状況画面では、利用状況が空きである画像形成装置2に対応して、即時利用キー61が表示され、利用状況が利用中である画像形成装置2に対応して、予約キー62が表示される。
例えば図4に示すように、コピージョブの利用状況については、利用中であれば、赤色のインジケーターが点灯され、空きでありかつ印刷装置31も空きであれば、青色のインジケーターが点灯される。さらに、コピージョブの利用状況については、空きであるが印刷装置31が所定枚数以下のプリントジョブで利用されている場合には、青色のインジケーターおよび黄色のインジケーターが点灯され、空きであるが印刷装置31が所定枚数を超えるプリントジョブで利用されている場合には、黄色のインジケーターが点灯される。なお、このような印刷装置31の利用状況は利用状況情報で携帯端末装置1へ通知される。
また、例えば図4に示すように、スキャンジョブの利用状況については、利用中であれば、赤色のインジケーターが点灯され、空きであれば、青色のインジケーターが点灯される。
なお、スリープ状態では画像形成装置2は利用されていないため、スリープ状態の画像形成装置2の利用状況は空きとなる。
そして、ユーザーが即時利用キー61を押下すると、そのユーザー操作が入力装置14で検出される(ステップS6)。アプリケーション22は、そのユーザー操作が検出されると、押下された即時利用キー61に対応する画像形成装置2を特定し、特定した画像形成装置2が通常動作状態である場合、特定した画像形成装置2の位置、当該携帯端末装置1の現在位置などに基づいて、上述のようにして占有時間を計算し(ステップS7)、無線通信装置11を使用して、特定した画像形成装置2へ占有要求を送信する(ステップS8)。
その画像形成装置2では、その占有要求が受信されると、占有制御部44は、上述のようにして認証制限設定を行い、占有時間のカウントを開始し(ステップS9)、占有開始通知をその携帯端末装置1へ送信する(ステップS10)。その携帯端末装置1のアプリケーション22は、その占有開始通知を受信すると、その画像形成装置2の占有が開始された旨を表示する(ステップS11)。
そして、このユーザーは、携帯端末装置1を携帯したまま、画像形成装置2へ移動する。
占有時間の経過前に、そのユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力しログインすると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功した場合には、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用可能となる。なお、そのユーザーがログインすると、占有制御部44は、認証制限設定を解除し、占有を解除する。
他方、占有時間の経過前に、他のユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力すると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を拒否するため、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用できない。
また、占有時間の経過後は、占有制御部44は、認証処理部42の認証制限設定を解除する。これにより、この画像形成装置2の占有状態が解除される。
(b)通常動作状態における予約
図5は、実施の形態1において、ユーザーが、通常動作状態における画像形成装置2の予約を要求した際の処理について説明するシーケンス図である。
例えば図4に示すような利用状況画面において、ユーザーが予約キー62を押下すると、そのユーザー操作が入力装置14で検出される(ステップS21)。アプリケーション22は、そのユーザー操作が検出されると、押下された予約キー62に対応する画像形成装置2を特定し、無線通信装置11を使用して、特定した画像形成装置2へ予約要求を送信する(ステップS22)。
その画像形成装置2では、その予約要求が受信されると、ジョブ管理部43は、各ジョブの利用状況を継続的に監視し(ステップS23)、各ジョブの利用状況が空きになった時点で、占有制御部44は、利用可能状態通知をその携帯端末装置1へ送信する(ステップS24)。
その携帯端末装置1では、アプリケーション22は、利用可能状態通知を受信すると、利用可能状態をユーザーに報知する(ステップS25)。ここでは、アプリケーション22は、利用可能状態を示すダイアログを表示装置13に表示する。
図6は、図1における携帯端末装置1において表示される利用可能状態を通知するダイアログの一例を示す図である。
例えば図6に示すようなダイアログ71が表示され、即時利用キー72およびキャンセルキー73が併せて表示される。キャンセルキー73が押下された場合、ダイアログ71の表示が終了する。
そして、ユーザーが即時利用キー72を押下すると、そのユーザー操作が入力装置14で検出される(ステップS26)。アプリケーション22は、そのユーザー操作が検出されると、押下された即時利用キー61に対応する画像形成装置2を特定し、特定した画像形成装置2の位置、当該携帯端末装置1の現在位置などに基づいて、上述のようにして占有時間を計算し(ステップS27)、無線通信装置11を使用して、特定した画像形成装置2へ占有要求を送信する(ステップS28)。
その画像形成装置2では、その占有要求が受信されると、占有制御部44は、上述のようにして認証制限設定を行い、占有時間のカウントを開始し(ステップS29)、占有開始通知をその携帯端末装置1へ送信する(ステップS30)。その携帯端末装置1のアプリケーション22は、その占有開始通知を受信すると、その画像形成装置2の占有が開始された旨を表示する(ステップS31)。
そして、このユーザーは、携帯端末装置1を携帯したまま、画像形成装置2へ移動する。
占有時間の経過前に、そのユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力しログインすると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功した場合には、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用可能となる。なお、そのユーザーがログインすると、占有制御部44は、認証制限設定を解除し、占有を解除する。
他方、占有時間の経過前に、他のユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力すると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を拒否するため、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用できない。
また、占有時間の経過後は、占有制御部44は、認証処理部42の認証制限設定を解除する。これにより、この画像形成装置2の占有状態が解除される。
(c)スリープ状態における即時利用について説明する。
図7は、実施の形態1において、ユーザーが、スリープ状態である画像形成装置2の即時利用を要求した際の処理について説明するシーケンス図である。
例えば図4に示す利用状況画面において、ユーザーが即時利用キー61を押下すると、そのユーザー操作が入力装置14で検出される(ステップS6)。アプリケーション22は、そのユーザー操作が検出されると、押下された即時利用キー61に対応する画像形成装置2を特定し、特定した画像形成装置2がスリープ状態である場合、特定した画像形成装置2の位置、当該携帯端末装置1の現在位置などに基づいて、上述のようにして占有時間を計算し(ステップS7)、無線通信装置11を使用して、特定した画像形成装置2へ占有要求を送信する(ステップS8)。
また、このとき、アプリケーション22は、ユーザーが実行予定のジョブの種別を特定し、特定したジョブ種別とともにスリープ解除要求を占有要求とともに送信する。
図8は、ジョブ種別選択画面の一例を示す図である。例えば図8に示すように、アプリケーション22は、ジョブ種別選択画面を表示装置13に表示する。図8の場合、ジョブ種別選択画面では、ダイアログ101とともに、スキャンキー102およびコピーキー103が表示される。スキャンキー102は、ジョブ種別としてスキャンジョブを選択するためのソフトキーである。コピーキー103は、ジョブ種別としてコピージョブを選択するためのソフトキーである。スキャンキー102が押下された場合、アプリケーション22は、ユーザーが実行予定のジョブの種別がスキャンジョブであると特定する。コピーキー103が押下された場合、アプリケーション22は、ユーザーが実行予定のジョブの種別がコピージョブであると特定する。
その画像形成装置2では、その占有要求およびスリープ解除要求が受信されると、スリープ制御部45は、スリープ状態の解除を開始し(ステップS41)、占有制御部44は、上述のようにして認証制限設定を行い、占有時間のカウントを開始し(ステップS42)、占有開始通知をその携帯端末装置1へ送信する(ステップS43)。
その後、スリープ解除要求により指定されたジョブ種別のジョブが実行可能な状態になると、占有制御部44は、スリープ解除通知をその携帯端末装置1へ送信する(ステップS45)。
図9は、実施の形態1において、スリープ解除中に携帯端末装置1に表示される画面の一例を示す図である。図10は、実施の形態1において、スリープ解除完了時に携帯端末装置1に表示される画面の一例を示す図である。
携帯端末装置1では、スリープ解除要求の送信後、アプリケーション22は、図9に示すように、スリープ解除中であることを示すダイアログ111を表示し、スリープ解除通知が受信されると、アプリケーション22は、ダイアログ111の表示を終了し、スリープ解除完了を示すダイアログ121を表示する。なお、ダイアログ121の表示は、了解キー122が押下されると終了する。
スリープ解除通知を受信すると、アプリケーション22は、新占有時間を上述のようにして決定し(ステップS46)、占有時間を調整するための占有要求を画像形成装置2へ送信する(ステップS47)。
その画像形成装置2では、占有制御部44は、その占有要求を受信すると、占有要求により指定された新占有時間に基づいて、占有時間(つまり、認証制限設定の終了タイミング)を調整する(ステップS48)。
なお、図7では、スリープ解除通知の受信前に実施される占有時間の調整については図示していない。
ここで、占有時間の調整に関する携帯端末装置1の動作について説明する。図11は、実施の形態1における占有時間の調整に関する携帯端末装置1の動作について説明するフローチャートである。
アプリケーション22は、最初の占有要求の送信時に計時を開始し(ステップS61、S62)、スリープ解除通知が受信されたか(ステップS63)、および計時開始からの経過時間が、上限待機時間(ここでは、現時点の占有時間の終端から初期占有時間の4分の1だけ前のタイミングまでの時間)を超えたか(ステップS64)を繰り返し判定する。
そして、経過時間が上限待機時間を超えた場合、アプリケーション22は、新占有時間(ここでは初期占有時間と同一長さ)を指定した占有要求を画像形成装置2へ送信する(ステップS65)。
また、スリープ解除通知が受信されると、アプリケーション22は、上述のようにして新占有時間を決定し、その新占有時間を指定した占有要求を画像形成装置2へ送信する(ステップS66)。
図12は、実施の形態1において、スリープ解除の所要時間が初期占有時間の3分の1以下である場合の新占有時間について説明するタイミングチャートである。図13は、実施の形態1において、スリープ解除の所要時間が初期占有時間の3分の1を超え、かつ初期占有時間以下である場合の新占有時間について説明するタイミングチャートである。図14は、実施の形態1において、スリープ解除の所要時間が初期占有時間を超えている場合の新占有時間について説明するタイミングチャートである。
例えば図12に示すように、スリープ解除の所要時間(20秒)が初期占有時間の3分の1(約27秒)以下である場合、ステップS66において、新占有時間は、初期占有時間(80秒)からスリープ解除の所要時間(20秒)を減算して得られる時間(60秒)とされる。
例えば図13に示すように、スリープ解除の所要時間(70秒)が初期占有時間の3分の1(約27秒)を超え、かつ初期占有時間(80秒)以下である場合、ステップS65において占有時間の調整が行われ、その後、ステップS66において、新占有時間は、初期占有時間の4分の3(60秒)からスリープ解除の所要時間の4分の1(17.5秒)を減算して得られる時間(42.5秒)とされる。
例えば図14に示すように、スリープ解除の所要時間(90秒)が、初期占有時間(80秒)を超えている場合、ステップS65において占有時間の調整が行われ、その後、ステップS66において、新占有時間は、初期占有時間の2分の1(40秒)とされる。
なお、図12〜図14に示すように、占有時間の終了までにユーザーが利用を開始しない場合、スリープ制御部45は、動作状態をスリープ状態に戻す。
図15は、実施の形態1における、スリープ解除の所要時間と、新占有時間および総占有時間(占有開始から占有終了までの時間)との関係を説明する図である。図15に示すように、スリープ解除の所要時間が長くなるほど、新占有時間は短くなるが、総占有時間は長くなり、スリープ解除前に占有時間が終了しないようになっている。
一方、最初の占有要求の送信後、このユーザーは、携帯端末装置1を携帯したまま、画像形成装置2へ移動する。
占有時間の経過前に、そのユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力しログインすると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を実行し、ユーザー認証に成功した場合には、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用可能となる。なお、そのユーザーがログインすると、占有制御部44は、認証制限設定を解除し、占有を解除する。
他方、占有時間の経過前に、他のユーザーがユーザー名およびパスワードを画像形成装置2に入力すると、認証処理部42は、そのユーザーのユーザー認証を拒否するため、そのユーザーは、この画像形成装置2を利用できない。
また、占有時間の経過後は、占有制御部44は、認証処理部42の認証制限設定を解除する。これにより、この画像形成装置2の占有状態が解除される。
以上のように、上記実施の形態1によれば、携帯端末装置1は、特定ユーザーおよび占有時間を指定した占有要求を画像形成装置2に送信する。その画像形成装置2は、携帯端末装置1から占有要求を受信すると、その占有要求により指定された特定ユーザー以外のユーザーによる利用を、占有時間が経過するまで禁止する。携帯端末装置1は、画像形成装置2がスリープ状態である場合、(a)スリープ解除要求を画像形成装置2に送信し、(b)スリープ解除の所要時間に応じて占有時間を調整する。
これにより、ユーザーによる画像形成装置2の占有を適切な占有時間で許可しつつ、画像形成装置2の利用効率が占有に起因して低下しにくくなる。
実施の形態2.
実施の形態2に係る画像形成システムでは、所定条件が成立した際に占有の強制解除が実行されるとともに、ユーザーによる占有時間の延長が可能となっている。
実施の形態2では、携帯端末装置1のアプリケーション22は、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求の送信から特定時間の経過後における携帯端末装置1の現在位置に基づいて警告を行うか否かを判定し、警告を行うと判定した場合、警告後、警告を特定のユーザーに対して行い、警告に対する応答操作が所定時間内に検出されない場合、占有要求に基づく画像形成装置2の占有状態を解除するための占有解除要求を、無線通信装置11で画像形成装置2に送信する。その画像形成装置2では、占有制御部44は、その占有解除要求を受信すると、占有状態(つまり上述の認証制限設定)を解除する。
上述の特定時間は、例えば、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求において指定した占有時間に所定係数(例えば1/2)を乗じて得られる時間である。
具体的には、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求の送信から特定時間の経過後における携帯端末装置1の現在位置に基づいて、アプリケーション22は、現時点での、画像形成装置2までの距離を特定し、その特定した距離が特定距離以上であるか否かを判定し、特定した距離が特定距離以上である場合には、ユーザーに対して警告を行い、特定した距離が特定距離以上ではない場合には、ユーザーに対して警告を行わない。
上述の特定距離は、例えば、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求の送信時点での画像形成装置2までの距離に所定係数(例えば1/2)を乗じて得られる距離である。
また、実施の形態2では、携帯端末装置1のアプリケーション22は、警告後に所定のユーザー操作が検出された場合、占有時間を延長するための占有時間延長要求を、無線通信装置11で画像形成装置2に送信する。その画像形成装置2では、占有制御部44は、その占有時間延長要求を受信すると、占有時間を延長する。なお、この処理は、図11に示す処理(つまり、ステップS65,S66の占有時間の再設定)が完了した後に行われる。
例えば、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求の送信時点での両者間の距離が15メートルであり、かつその占有要求における新占有時間が90秒である場合において、45秒後での両者間の距離が7.5メートル以上であれば、警告を含む利用催促画面が表示され、その後、ユーザーによる警告に対する応答操作が20秒以内に検出されない場合には、占有解除要求が送信される。一方、20秒以内に占有時間延長のためのユーザー操作が検出された場合には、占有時間延長要求が送信される。その際、例えば、占有制御部44は、占有時間延長要求が受信されたタイミングから当初の占有時間が経過するまで、占有時間を延長する。
例えば、占有開始から45秒の時点で利用催促画面が表示され、利用催促画面の表示開始から15秒の時点で占有時間延長のためのユーザー操作が検出された場合、占有時間は、120秒(=45秒+15秒+90秒)に延長される。
なお、画像形成装置2が通常動作状態である場合、上述のスリープ解除通知を受信した際の占有要求の代わりに、初期占有時間を指定する占有要求に基づいて、上述の特定時間および特定距離が決定される。
次に、実施の形態2における携帯端末装置1の動作(予約の強制解除および占有時間の延長に関する動作)について説明する。図16は、実施の形態2における携帯端末装置1の動作(予約の強制解除および占有時間の延長に関する動作)を説明するフローチャートである。
携帯端末装置1のアプリケーション22は、上述の占有要求の送信(ステップS81)から計時を開始し(ステップS82)、特定時間が経過すると(ステップS83)、その時点における画像形成装置2までの距離が特定距離以上であるか否かを判定する(ステップS84)。
その時点における画像形成装置2までの距離が特定距離以上であると判定した場合、アプリケーション22は、利用催促画面を表示する(ステップS85)。
図17は、実施の形態2における携帯端末装置1において表示される利用催促画面の一例を示す図である。例えば図17に示すように、利用催促画面ではダイアログ201が表示され、了解キー202および占有延長キー203が併せて表示される。
了解キー202および占有延長キー203のいずれに対してもユーザー操作が行われずに画面表示からの経過時間が所定値(例えば20秒)を超えた場合(ステップS86〜S88)、アプリケーション22は、占有解除要求を送信し(ステップS89)、占有解除通知画面を表示装置13に表示する。
図18は、実施の形態2における携帯端末装置1において表示される占有解除通知画面の一例を示す図である。例えば図18に示すように、占有解除通知画面ではダイアログ211が表示され、了解キー212が併せて表示される。了解キー212が押下されると、ダイアログ211、つまり占有解除通知画面の表示が終了する。
他方、占有延長キー203に対するユーザー操作が検出された場合(ステップS87)、アプリケーション22は、占有時間延長要求を送信する(ステップS90)。ステップS90において占有時間延長要求が送信されると、アプリケーション22は、ステップS82に戻る。なお、占有時間の延長回数は特に限定されず、必要に応じて指定された回数だけ、同じ処理を繰り返す。また、ステップS90において、アプリケーション22は、占有時間延長要求を送信する代わりに、最初の占有要求と同一の占有要求を送信し、画像形成装置2では、占有制御部44は、ステップS90の占有要求に基づいて、占有時間を上書きするようにしてもよい。このようにしても、占有時間が同様に延長される。
また、ステップS84においてその時点における画像形成装置2までの距離が特定距離以上ではないと判定した場合、およびステップS86において了解キー202に対するユーザー操作が検出された場合は、アプリケーション22は、占有解除要求も占有時間延長要求も送信しない。したがって、画像形成装置2では、その時点で設定されている占有時間が経過するまで、認証制限設定が継続される。
なお、実施の形態2に係る画像形成システムにおける各装置のその他の構成および動作については実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
例えば、上記実施の形態1,2において、初期占有時間については、画像形成装置2が、携帯端末装置1から携帯端末装置1の現在位置を取得し、その携帯端末装置1の現在位置、画像形成装置2の位置、およびユーザー移動速度から計算するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1,2において、スリープ状態で占有要求が受信された場合、画像形成装置2が占有時間をスリープ解除の所要時間に応じて自動的に調整するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1,2において、ユーザー移動速度は、固定の設定値としてもよいし、ユーザーの歩行速度の計測結果の平均値を使用してもよい。