JP6303643B2 - コアシートの印刷方法とカード - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、ブロッキングが生じないコアシートの印刷方法と当該方法により得られるカードを提供するものである。
カードは通常、30面付け程の多面付で製造するため、コアシートも大判シート状のものを使用する。大判シートのカード表面側となる面には、個々のカードに打ち抜きの目印となるマーク(製造現場では、「トンボ」という。)を紫外線硬化型インキによりオフセット印刷し、さらに、オーバーシートとの接着性を高めるメジウムインキをシルクスクリーンでベタ印刷(全面印刷)する。カード裏面側となる面には、白色または銀色のベタ印刷をシルクスクリーンで印刷した後、微細な文字やパターン等を紫外線硬化型インキでオフセット印刷する場合が多い。
カード基材の表面粗度を規定する先行文献に、特許文献1がある。しかし、この文献が規定する表面粗度は、射出成型して得られるカード用基材の面の粗さをいうものであって、コアシートに関するものではない。表面粗さの範囲も本願と相違している。
また、オーバーシート表面の算術平均粗さを規定する先行文献に特許文献2がある。
前記印刷は前記コアシートの両面にするシルクスクリーンによる全面印刷と、少なくとも、一の面にする紫外線硬化型インクを用いたオフセット印刷である、ようにでき、上記プラスチック樹脂が塩化ビニル樹脂または非結晶性芳香族ポリエステル系樹脂である、ようにすることもできる。
本発明の要旨の第3は、請求項5に記載のコアシートを中心層に有することを特徴とするカード、にある。
本発明の要旨の第4は、単層のコアシートを中心層としたカードであって、前記コアシートのカードの裏面には白色のシルクスクリーン印刷がされ、該白色のシルクスクリーン印刷面に文字印刷がされ、前記コアシートの表面にはシルクスクリーン印刷により、メジウムの印刷がされているカードにおいて、前記コアシートの表面と裏面に形成されている微細凹凸のJISB0601−2001で規定する中心線平均粗さRaが、何れも1.0μm以上であって5.0μm未満の範囲であることを特徴とするカード、にある。
長期間の保存でもブロッキングしないので、一時に大ロットの印刷ができ、生産効率の改善が図れる。ブロッキングによる不良品ロスが低減する。
上記カードにおいては、高い歩留りでカードを製造することができる。
コアシート1は、通常、平面な白色プラスチック樹脂シートからなる。材質は、塩化ビニルや非結晶性芳香族系ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート等が汎用されるが、特には限定されない。厚みは、カードの物理的特性を規定する(JISX6301)の0.76mm±0.08mmの規格値を満たす必要から、オーバーシートを積層することを考慮すると、0.2mmから0.6mm程度となる。
コアシートの表面側1uには、打抜きの目印となるマーク(トンボ)8が印刷され、その上を含むコアシートの全面に、シルクスクリーン印刷によるメジウムインキの層9が印刷されている。トンボ8は、実際にはカードとなる領域の外側に印刷されるものである。
コアシートの裏面側1dの全面には、シルクスクリーン印刷による白色またはアルミニューム箔粉入りの白色または銀色の印刷層7が設けられ、当該印刷層7の上に、オフセット印刷による微細文字やパターンの印刷3がされている。印刷層の厚みは、オフセット印刷では、0.1〜0.8μm程度、シルクスクリーン印刷では、2.0〜5.0μm程度となる。これらのコアシート1や印刷層の構成は、単層コアシートを使用するカードの通常のものであり、特に特徴的なものではない。
30面付け程度の大判コアシートであるため、大部分を省略図示している。
コアシート1の表面側1uには、通常は、打抜きの目印となるマーク(トンボ)8のみを印刷し、絵柄の印刷はしない。オーバーシートを積層するカードでは、装飾的な絵柄は、オーバーシート面に絵付け用転写フィルムを用いて絵柄を転写して設けるからである。鎖線による矩形状の枠kは、打抜きされるカードの位置を示すのみで、印刷された形状を示すものではない。なお、完成後のカードの大きさは、85.60mm×53.98mmとされている(JISX6301)。
ただし、大判シートの全面に、シルクスクリーン印刷による接着性メジウムインキが印刷される。後にオーバーシートと融着させる場合の接着性を高める目的である。メジウムインキとは着色されていない透明インキを通常いう。
図3のように、コアシート1の裏面1dには、白色またはアルミニューム箔粉入りの銀色印刷がベタ印刷されることが多い。この印刷もシルクスクリーン印刷によってされる。インキの樹脂内容も前記メジウムインキと同質のものを使用する。
白色または銀色ベタ印刷面に、黒色や緑色の微細文字やパターンの印刷3がされる。クレジットや銀行カードで見られる使用上の注意事項やバーコード11等の印刷である。
これら微細文字やパターンの印刷3は、表面と同様に紫外線硬化型オフセット印刷でされることが多い。表面側1uも裏面側1dも印刷順序は異なるが、大部分の面積を占めるのはシルクスクリーン印刷部となり、接着性にしてオーバーシートとの接着を良好にしている。なお、鎖線による矩形状のkは、表面と同様に打抜きされるカードの位置を示すのみで、印刷された形状を示していない。
1.0μm以上とするのは、1.0μm未満では、ブロッキング性の改善に効果しないからである。また、5.0μm未満とするのは、5.0μm以上であると、印刷インキの転移性が低下するからである。特に、オフセットインキによる微細文字等の再現性が低下する。より好ましい文字再現のためには、3.0μm未満とするのが好ましい。
なお、中心線平均粗さの測定は、ISO4287−197に準拠するJISB0601−2001に規定する方法によるものとする。
オフセット印刷面を対象としないのは、微細文字や細線のトンボ部分は粗さの測定が困難であるとともに、大部分の面積はシルクスクリーン印刷面になるからである。
なお、中心線平均粗さの測定は同様に、ISO4287−197に準拠するJISB0601−2001に規定する方法によるものとする。
コアシートの表裏面の中心線平均粗さが、1.0μm以上であって、3.0μm未満の範囲である場合も同様である。
カード10の完成状態では、印刷がされた中心層であるコアシート1の表裏に、透明オーバーシート2a,2bが積層される。オーバーシート2a,2bにはポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や非結晶性芳香族ポリエステル系樹脂が使用される。コアシート1にシルクスクリーン印刷によりメジウムインキの印刷を行うのは、このオーバーシートとの接着性を高めるためである。
図4では、カード10の表面に磁気ストライプ4を有しているが、カード10の裏面であっても良く、表裏両面であっても良い。カード面に磁気ストライプ4を設ける場合は、予め、オーバーシート2a,2bに磁気ストライプ4を転写しておき、その後に、転写フィルム6により絵付けを行う。
その後、前記印刷済みのトンボ8を目印にして、個々のカードサイズに断裁する。
図示していないが、カード10は、接触型ICカードであってもよい。
接触型ICカードである場合は、個々のカードサイズに断裁した後に、ICモジュール装着用凹部をカード表面から切削し、当該装着用凹部内にICモジュールを装填し、端子板の裏面部分を接着剤で固定するようにする。
中心線平均粗さが異なる各種のコアシートを使用し、以下の同一条件で印刷・乾燥し、一定の同一条件で保管してブロッキング試験を行い、ブロッキングの発生状況を確認した。
材料および試験条件は、以下のとおりである。
また、PET−Gとは、非結晶性芳香族ポリエステル系樹脂をいう。一般的には芳香族ジカルボン酸とジオールの脱水縮合体であって、特に、結晶性が低いものとされている。非結晶性芳香族ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の30モル%を1,4シクロヘキサンジメタノールで置換した商品(商品名「PET−G」)がイーストマンケミカル社から市販されているが、上記のPET−Gは、イーストマンケミカル社の製品には限定されない。
(1)表面側のトンボ印刷と裏面側の文字印刷には、紫外線硬化型オフセット墨インキを使用し、オフセット印刷を行った。
(2)表面側のシルクスクリーンメジウムインキ(昭和インク株式会社製「VAHS」使用)印刷と裏面側のシルクスクリーン白インキ(昭和インク株式会社製「VAHS」使用)印刷を、20%溶剤カットで印刷した。スクリーンは、270メッシュのテトロンメッシュを使用した。
(3)印刷順序は、裏面側シルクスクリーン白インキ印刷→裏面側の文字印刷→表面側のトンボ印刷→表面側のシルクスクリーンメジウムインキ印刷、の順である。
図5は、ブロッキング試験の状態を示す図である。
図5のように、大きさ、330×565mmの印刷済みコアシート1000枚を積み重ね、その下段に試験資料を挿入して、最長2ケ月間保存した。この場合、最下段の圧力は、
5.35kgf/cm2程度となる。保存条件は、25°Cの室温、50%RHである。
なお、表2中の試験番号は、表1中の試験番号に対応するものである。
ただし、5.0μmを超える場合は、オフセット印刷による微細文字の転移が悪くなる場合が認められた。より安全のためには、3.0μm未満を上限としてもよい。
なお、表2中には、表‐裏、表‐表、裏‐裏の組合せによるRa値の合算値が、記載されているが、この数値とブロッキングとの間に、特徴的な傾向は認められなかった。
このコアシート1の裏面側に、塩酢ビ系のシルクスクリーン白インキ(昭和インク株式会社製「VAHS」)を使用して、白色の全面印刷を行い、乾燥後、当該白色印刷面に紫外線硬化型オフセットインキを用いて、黒色の微細文字印刷を行った。
次いで、コアシート1の表面側に、紫外線硬化型オフセットインキで、黒色のトンボ8を印刷した後、塩酢ビ系のシルクスクリーンメジウムインキ(昭和インク株式会社製「VAHS」)を使用して、全面印刷を行った。シルクスクリーン印刷には、270メッシュのテトロンスクリーンを使用した。
11kgf/cm2,時間40分)した。その後、コアシート1を個々のカードサイズに断裁して、厚み800μmの本発明のカード10が得られた。
2a,2b オーバーシート
3 微細文字やパターンの印刷
4 磁気ストライプ
6 転写フィルム
7 白色または銀色の印刷層
8 トンボ
9 メジウムインキの層
10 カード
11 バーコード
Claims (7)
- プラスチック樹脂製である平面なカード用コアシートの両面に印刷する方法において、該コアシートの表面および裏面に、JISB0601−2001で規定する中心線平均粗さRaが、1.0μm以上であって5.0μm未満の範囲である微細凹凸が形成されているコアシートを使用して該コアシートの両面に印刷することを特徴とするコアシートの印刷方法。
- 請求項1記載の印刷が、前記コアシートの両面にするシルクスクリーンによる全面印刷と、少なくとも、一の面にする紫外線硬化型インクを用いたオフセット印刷であることを特徴とするコアシートの印刷方法。
- プラスチック樹脂が塩化ビニル樹脂または非結晶性芳香族ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコアシートの印刷方法。
- 単層のコアシートを中心層とし、その両面にオーバーシートを積層したカードにおいて、前記コアシートのカードの裏面には白色のシルクスクリーン印刷がされ、該白色のシルクスクリーン印刷面に文字印刷がされ、前記コアシートの表面にはシルクスクリーン印刷により、メジウムの印刷がされているカードにおいて、前記コアシートの表面と裏面に形成されている微細凹凸のJISB0601−2001で規定する中心線平均粗さRaが、何れも1.0μm以上であって5.0μm未満の範囲であることを特徴とするカード。
- 単層のコアシートの一方の面に、白色のシルクスクリーン印刷と該白色のシルクスクリーン印刷面上の文字印刷と、を備え、
前記コアシートの他方の面に、シルクスクリーン印刷によるメジウム印刷と、を備え、
前記コアシートの表面と裏面に形成されている微細凹凸のJISB0601−2001で規定する中心線平均粗さRaが、何れも1.0μm以上であって、5.0μm未満の範囲であることを特徴とするコアシート。 - 請求項5に記載のコアシートを中心層に有することを特徴とするカード。
- 単層のコアシートを中心層としたカードであって、
前記コアシートのカードの裏面には白色のシルクスクリーン印刷がされ、該白色のシルクスクリーン印刷面に文字印刷がされ、前記コアシートの表面にはシルクスクリーン印刷により、メジウムの印刷がされているカードにおいて、前記コアシートの表面と裏面に形成されている微細凹凸のJISB0601−2001で規定する中心線平均粗さRaが、何れも1.0μm以上であって5.0μm未満の範囲であることを特徴とするカード。
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