JP6303227B2 - 防錆下塗り塗料、および防錆下塗り塗料を用いた補修塗装施工方法 - Google Patents

防錆下塗り塗料、および防錆下塗り塗料を用いた補修塗装施工方法 Download PDF

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本発明は、防錆下塗り塗料と、該塗料を用いた補修塗装施工方法に関する。
橋梁等の構造物には鉄鋼材料が多量に用いられている。鋼道路橋の架け替え理由の一つに鋼材の腐食がある。このため、鉄鋼構造物を腐食から守り、社会資産の損失を防ぎ、鉄鋼資源の有効活用を進めるといった観点から、鉄鋼材料の表面に補修塗装を施し、長期に渡り保護する技術の確立の必要性が増している。
上述の鋼材の腐食は水分と酸素の存在下で起こる(湿食)。すなわち、鋼材の腐食は、鋼材表面で起こる電気化学反応であり、一般的な錆の生成反応は、アノード(陽極)領域では鉄が電子を失って鉄イオンとなる溶出反応が起こり(式1(1))、カソード(陰極)領域では水と酸素が電子を受け取って水酸化物イオンの生成反応が起こる(式1(2))。更に、鉄イオンと水酸化物イオンが反応して水酸化鉄(2価)、水酸化鉄(3価)が生成し(式1(3)(5))錆に変化する。
以上のように、腐食を防止する基本的な方法は、水あるいは酸素の供給を断つ事である。
鉄鋼構造物の長寿命化の為に従来から適用されている防食技術としては、鋼材に付着の一次防錆プライマーをブラスト処理した後、防食下地(ジンクリッチペイント、金属溶射皮膜、溶融亜鉛めっき層等)の塗装を施し、腐食因子(水あるいは酸素)の遮断性に優れたエポキシ樹脂系塗料等を下塗り、および中塗りし、最後に、耐候性に優れたフッ素樹脂系塗料等を上塗りとする重防食塗装系が一般的に知られている。かかる防食下地の作用機構は、ジンク(亜鉛)の犠牲防食作用により鋼材を保護し、亜鉛イオンが鋼材の溶解(アノード反応)を抑制すると共に、亜鉛イオンは水酸化物(水酸化亜鉛、Zn(OH)2)としてアルカリ性を示し、鋼材面のpH低下を防ぐことで、鋼材表面の溶解を抑制する。かかる防食下地の作用により、鋼材の腐食を抑えることができる。
一方、塗替え補修塗装の場合は、厳しい施工条件への適用が必要であるといった観点から、素地調整の後、防食下地(ジンクリッチペイント等)の施工を省略し、下塗り塗装(塗料には変性エポキシ樹脂塗料等)を行い、中・上塗り塗装を施す塗装系、即ち重防食塗装系ではない簡便な一般塗装系のものが主に行われている。
上記の重防食塗装系に於いては、鋼材表面と防食下地との相互作用が十分でないと、下地塗膜/鋼材の界面での水、酸素、塩化物イオン等の侵入により付着力を失う為、付着力を保持する為の方策が必要である。また、一般塗装系に於いても、素地調整を行った鋼材表面と下塗り塗料との相互作用、即ち下塗り塗膜/鋼材の界面での付着力を保持する為の方策が必要である。このように、重防食塗装系、一般塗装系の如何に拘らず、何らかの前処理方法、又は下地塗膜、下塗り塗料配合組成物への工夫が必要であり、塗替え補修塗装に於いては、防食下地の存在の有・無、或いは重防食塗装系、一般塗装系の如何に拘らず、付着(密着)性の点で適性を有す塗装系(下塗り)が求められていた。更に、塗替え補修塗装に於いては、新設時の施工とは異なり、補修現場での作業空間部分、足場等の制約から素地調整不充分な場合が多く、下地として錆層の残存する低研掃(低ケレン)面や、活膜ではあるが付着力の低下した旧塗膜面等、厳しい施工条件への適用を余儀なくされていた。この様に、塗替え補修用塗料には、新設時とは異なる特異な適用への要求条件があり、単なる塗膜耐久性にとどまらず固有の機能が求められる。
上述の如く、従来から提唱されている塗替え補修は、旧塗膜が残存する発錆鉄鋼材料の表面を素地調整(仕上げ状態により第1〜4種ケレン)により清浄にした後、防錆(下塗り)塗装→中塗り→上塗りの各工程を順次行うものが一般的であるが、従来の補修施工方法には、次の(a)、(b)で述べる様な問題点がある。
(a)表面清浄化での問題点
現場で補修塗装を行うに当たり、高度な素地調整、例えば第1種ケレンを目的とするブラスト処理を実施して、鉄鋼材料表面の錆部や旧塗膜部を充分に除去した場合には、新規の塗装と同程度の密着性(素地/塗料)を得る事ができるが、実際には作業空間部(分場所)の確保、ブラスト材の回収、作業環境対策、工事期間、コスト等の問題が絡む為、現場でのブラスト処理は極めて困難である。
従って、現状での表面清浄は、やむを得ず低研掃度(第2〜4種程度のケレン処理)の工法を採っている。このような表面状態における補修塗装の場合、防食性、素地との塗装密着性が不安定となり品質的なバラツキが大きくなる。
(b)下地(皮膜)処理液による前処理工程、及び下塗り塗装での問題点
表面清浄化での研掃度の問題に絡んで、下塗り塗料の防食性、密着性を効果的に発現させる為には、錆安定化等を目的とした下地(皮膜)処理液による前処理工程(防錆皮膜形成)が重要である。
このため、不安定錆の安定化に際しては、例えば、下記の(A)(B)に示すような方法が提案されている。
(A)不安定錆を錆転換(還元によるマグネタイト化)する方法。
特許文献1には、下塗り剤成分に磁性酸化鉄(FeO)を配合する事で、錆を還元しマグネタイトに変換し安定化させる方法が開示されている。
(B)下地皮膜処理液による皮膜形成と、鋼材表面との反応により不安定錆を安定化する方法。
特許文献2には、鋼材表面の錆を除き、リン酸を主成分とする防錆処理剤を刷毛で塗布し、リン酸鉄皮膜を形成・乾燥後、下塗塗装を行う処理法が開示されている。
特許文献3には、錆面をケレン後、リン酸(化合物)、ケイ素化合物、アルコール系溶剤を含む下地皮膜処理液により防錆皮膜を形成する方法が開示されている。
特許文献4〜7には、ブチラール樹脂に、酸化鉄、各種金属単体および金属化合物、リン酸等を加えた処理液で耐候性鋼を塗布する方法が開示されている。
特開昭60−222176号公報 特開昭50−87936号公報 特開2000−140746号公報 特公昭53−22530号公報 特公昭56−33991号公報 特公昭58−17833号公報 特公昭58−39915号公報
上記の(A)の方法では、不安定錆をマグネタイトに変換し、鉄素地との密着性等の効果を発揮する迄に長期間(1〜3年)を要する問題点があり、更に、この間(不安定錆がマグネタイトに変換されるまでの間)に界面剥離、又は界面破壊等の問題を惹起する懸念がある。つまり、上記の(A)の方法では、マグネタイト化に長期間を要し、マグネタイト化に至るまでの期間に於いては、密着性等の塗膜への要求性能が発揮されない。
(B)の方法では、防錆皮膜が、鉄素地と下塗り塗膜との中間層(スペーサー)として介在する為、一般的に使用するエポキシ樹脂系下塗り塗料が本来有する特性である優れた密着性能(水素結合等に由来)が、中間層によって阻害され、密着不良(処理皮膜と下塗り塗膜との界面での界面剥離、又は界面破壊)を生じやすい。又、鋼材表面の清浄化の仕上がり具合によっては、鋼材と処理皮膜の密着性に問題が生じたり、補修塗装において旧塗膜の残っている箇所でのリフティング現象が生じる等の問題点がある。
本発明は、以上のような従来の 実情に鑑みてなされたものであり、錆の出た鉄鋼材料を現場で補修塗装するに当たり、防錆皮膜を形成する前処理工程を省略して、清浄化した鉄素地表面に直接、下塗り塗装しても、従来の前処理工程を行った場合と同等か、又はそれ以上に鉄鋼材料との密着性を高めることができる防錆下塗り塗料、および該塗料を用いた補修塗装施工方法を提供することを目的とする。
上述の段落〔0003〕に記載したように、鋼材表面での腐食は水分と酸素の存在下で起こるものであるため、腐食を防止する基本的な方法は、水、或いは酸素といった腐食因子の供給を断つことにある。また、発生した錆を安定化させる手法としては、下記の(1)〜(4)が提唱されている。
(1)リン酸により錆をリン酸鉄塩にして安定化する。
(2)タンニン酸、没食子酸等のキレート剤を用いて錆層を安定化する。
(3)下塗り塗料用エポキシ系ベース樹脂の成分中に含まれるアミン化合物(硬化剤)により、系がアルカリ側に振れることによる不動態化(Fe2+の固定による安定化)。
(4)マグネタイト(黒錆)に変えて安定化する。
等である。
本発明は、上記(1)〜(4)の錆安定化の技術内容を包含して、不安定錆の安定化を図ると同時に、従来技術には提唱されていない新たな技術として、下塗り塗料に、酸化鉄成分、及びリン酸成分を含有し、それにより生成したリン酸鉄を介在させ、下塗り塗料面と鉄素地面の界面において、直接的、且つ強固な化学結合を形成させるものである。また、本発明によれば、従来タイプの施工による方法に比べ、工期短縮を可能とすると同時に、両者(下塗り塗料面と鉄素地面)の界面での密着性を飛躍的に高めることが可能である。
具体的には、本発明は、中塗り或いは上塗り作業に先立って、鉄素地表面に塗布される防錆下塗り塗料(以下、適宜「下塗り塗料」と記す。)を対象とする。この防錆下塗り塗料は、酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物と、有機キレート剤と、エポキシ系ベース樹脂とを必須成分として含むことを特徴とする。
エポキシ系ベース樹脂100重量%に対して、酸化鉄および/または水酸化鉄が0.1〜2.0重量%(0.1重量%以上、2.0重量%以下)、リン酸および/またはその化合物が0.1〜3.0重量%(0.1重量%以上、3.0重量%以下)、有機キレート剤が0.1〜5.0重量%(0.1重量%以上、5.0重量%以下)の割合で含有されていることが好ましい。
酸化鉄および/または水酸化鉄の鉄イオンの総価数と、リン酸および/またはその化合物のP−OH基の総価数によって決定される、酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物の配合割合は、1.0〜3.0(1.0以上、3.0以下)の範囲に設定されていることが好ましく、1.1〜2.0(1.1以上、2.0以下)の範囲であることがより好ましい。
エポキシ系ベース樹脂100重量%に占める溶剤の含有量は、10〜50重量%(10重量%以上、50重量%以下)の範囲に設定されていることが好ましい。
また本発明は、 上記の防錆下塗り塗料を用いた補修塗装施工方法を対象とする。
以下に、上記の防錆下塗り塗料の組成成分の役割について記述する。
(ベース樹脂)
本発明で用いられる補修塗装用下塗り塗料としてのベース樹脂に求められる最も重要な性能は、清浄化した鉄素地表面(ケレン状態により残存する鉄錆面)、或いは活膜として残存する旧塗膜面等への接着性能である。
上記の接着性の観点から、本発明では、ベース樹脂はエポキシ系樹脂を用いる。なお、本発明におけるエポキシ系ベース樹脂とは、エポキシ系樹脂そのものに限られず、その変性エポキシ樹脂系のベース樹脂も含む概念であり、アミン硬化エポキシ樹脂、アミン硬化タールエポキシ樹脂、イソシアネート硬化エポキシ樹脂、イソシアネート硬化タールエポキシ樹脂等を具体例として挙げることができる。
これらエポキシ系樹脂に於いて、接着力の主体となるのは分子間力であり、この作用で起こる物理吸着は内容的には水素結合とVan der Waals 力である。Van der Waals 力に比べ、水素結合力は格段に大きい。エポキシ系樹脂系硬化体には水素結合の形成に寄与する水酸基とアミノ基がふんだんに存在するので、鋼材表面に存在する酸化鉄及び水酸化鉄と強力な水素結合を形成する。又、エポキシ系樹脂は鋼材表面との接着性に加え、その水素結合力の故に、その上層に重ねる中(上)塗り塗料との接着性等の点で、他の樹脂に比べ優れている事からも好適である。
以上の観点から、エポキシ系ベース樹脂の内、アミン硬化エポキシ樹脂、アミン硬化タールエポキシ樹脂が、水素結合の形成に寄与する水酸基とアミノ基の両方を有する点で最も好適である。
特に、アミン硬化エポキシ系樹脂は、鋼材表面の鉄イオン(Fe2+,Fe3+等)との水素結合形成による安定化と接着性に加え、硬化剤として使用するアミン類がアルカリ性を有しており、腐食域に存在する鉄イオンがアルカリ側で不動態化(安定化)し易い為、防錆性に寄与(付与)する特性を有している。
更に、硬化剤のアミン類は、表面自由エネルギー(表面張力)が水に比べて非常に小さい為、被着面(鋼材表面)を優先的にぬらし、表面に付着した水分や、鉄錆成分(酸化鉄水化物、水酸化鉄水化物等)から発生する余分な水分子と置換して(鋼材表面から水を遠ざけ)、鋼材表面との密着性を向上させる効果を有する。また、遊離した水分は、下塗り塗料組成に含まれる溶剤成分と一緒にミクロ粒子となり、溶剤の揮発にあわせ塗膜構造の隙間から系外に出てゆく。図2に、その模式図を示す。
(リン酸および/またはその化合物)
リン酸成分はケレン処理により清浄化した鋼材表面で鉄イオン(Fe2+,Fe3+等)と反応し、該鉄イオンを安定化すると同時にリン酸鉄皮膜を形成する。
正リン酸の場合、鋼材表面での酸化鉄および/または水酸化鉄との反応において、可溶性、或いは不溶解性を示す。正リン酸(H3PO4)、及び第一リン酸鉄塩〔Fe(H2PO4)2、Fe(H2PO4)3:順に2価、3価〕は水に可溶性である。第二リン酸鉄塩〔FeHPO4、Fe2(HPO4)3:順に2価、3価〕、第三リン酸鉄塩〔Fe3(PO4)2、FePO4:順に2価、3価〕は不溶解性である。
不安定な正リン酸、第一リン酸鉄塩は、時間と共に鉄イオンとの反応が進行し、第二リン酸鉄塩、第三リン酸鉄塩となり安定化(不溶解化)する。
本発明での、リン酸および/またはその化合物としては、鋼材表面で酸化鉄および/または水酸化鉄と反応性を有する遊離のリン酸基(P-OH)を有するものであればよく、例えば正リン酸、無水リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸水素ナトリウム、重合リン酸又はその化合物等が挙げられる。
(酸化鉄および/または水酸化鉄)
本発明の目的を達成する為には、下塗り塗料成分に酸化鉄および/または水酸化鉄を配合することが重要である。
本発明で使用される酸化鉄としては、2価鉄、及び3価鉄の酸化物と、2価鉄と3価鉄の両者を含む酸化物が知られている。2価鉄はFeO、3価鉄はFe2O3、2価鉄と3価鉄の両者を含むものはFe3O4で表される。
本発明で使用される水酸化鉄としては、2価鉄はFe(OH)2、3価鉄はFe2O3・χH2O又はFeO(OH)で、2価鉄と3価鉄はFe3O4・χH2Oで表される。
又、本発明で使用される酸化鉄および/または水酸化鉄の内、着色用酸化鉄の具体例としては、Fe2O3(赤)、Fe2O3・H2O(黄)、Fe3O4(黒)等挙げられる。
本発明で下塗り塗料中に酸化鉄および/または水酸化鉄を配合する目的は、当該酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物とが反応することで形成されるリン酸鉄化合物の過剰なP−OH基が、鋼材表面での腐食過程で生じた鉄イオン(Fe2+,Fe3+等)と強固な化学結合を形成し、鋼材と下塗り塗料との密着強度を高めると同時に、不安定な該鉄イオンを不動態化(安定化)する事である。なお、後述のように、P−OH基の総価数は、鉄イオンの総価数に比べ過剰であるため、この過剰なP−OH基が、鋼材表面での腐食過程で生じた鉄イオン(Fe2+,Fe3+等)と強固な化学結合を形成する。
なお、酸化鉄および/または水酸化鉄は、それ自体には基本的に防錆力は無いが、例外的に、物理的な効果で防錆効果を発揮する、MIO塗料(micaceous iron oxide paint)が存在する。これは雲母状酸化鉄(α-Fe2O3...黒紫褐色)の結晶形状を有するもので、塗膜内で重なり合って分散することで、腐食成分の塗膜中への侵入を遮断する効果から重防食用塗料として多用されつつある。しかしながら、以上のようなMIO塗料の防錆効果は、本発明の防錆効果発現のメカニズムとは基本的に異なるものである。
すなわち、本発明での酸化鉄および/または水酸化鉄の使用量は、リン酸および/またはその化合物との反応により生成するリン酸鉄化合物(P−OH基が残存)と、鋼材表面での鉄イオン(Fe2+,Fe3+等)との反応(残存する過剰のP−OH基が介在し反応)に必要な最少量、即ち本発明の如くベース樹脂100に対し0.1〜2.0wt%でよく、前記MIOの如き多量(塗料全体の50wt%程度)添加を要するものとは、その効果発現のメカニズムが根本的に異なるものである。
(リン酸および/またはその化合物と、酸化鉄および/または水酸化鉄の使用比率)
本発明での下塗り塗料中の酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物の使用比率(リン酸基:P−OH基の総価数を鉄イオンの総価数に比べ、過剰比率使用)は、配合した酸化鉄および/または水酸化鉄(2価鉄及び、3価鉄)の鉄イオンの総価数と、リン酸(その化合物)のP−OH基の総価数によって決まる。即ち、下塗り塗料中で理論モル数(鉄イオンの総価数とP−OH基の総価数が等比率)の反応により、リン酸鉄が生成した後、過剰のP−OH基が鋼材界面の鉄イオンと化学結合を形成するに必要な使用比率であり、本発明における使用比率は、1.0〜3.0、好ましくは1.1〜2.0である。
以上のような使用比率を採ることにより、本発明によれば、従来技術での問題点、即ち、前処理工程で下地処理皮膜を形成し、それが介在する事による弊害である、下地処理皮膜と下塗り塗膜の界面剥離、又は界面破壊が発生すると云った問題点を解決できる。
又、本発明により、鋼材表面と下塗り塗膜面の界面で直接的化学結合が形成される為、より接着(密着)強度が増した、耐剥離性の塗膜を形成し得る。
図1に、黄色酸化鉄Fe2O3・H2O、正リン酸(H3PO4)を下塗り塗料成分として使用し、鋼材表面の鉄錆(水酸化鉄、Fe2+又はFe(OH)2)との反応による安定化(リン酸鉄生成)のメカニズムをモデルで示す。
リン酸成分は、該下塗り塗料用エポキシ系ベース樹脂において、主剤の側への配合が適している。何故ならば、硬化剤側にはアミンが存在しており、アミンとリン酸成分の中和反応が先行して生じ、本来の目的であるリン酸鉄の生成に消費されない恐れがある為である。
又、酸化鉄および/または水酸化鉄に関しては、主剤、硬化剤のどちら側への配合も可能であるが、その効果発現の有効性の面では、主剤側に配合する方が硬化前(塗膜形成前)にリン酸鉄を生成する為、好ましい。
リン酸成分の適正配合量は上記のごとくであり、鋼材表面に残存する鉄錆(不安定な鉄イオン)を捕捉・安定化する為の必要量である。
なお、リン酸成分を必要以上に配合した場合、鋼材表面のpHが酸性側にシフトし、それに伴い新たな鉄イオンが生成される為、これを不動態化(化学結合)するに要するリン酸(P−OH)成分が更に必要となるといった無駄にリン酸成分が消費されるサイクルを形成する結果を招く事となる。
本発明の下塗り塗料は、酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物との適正配合比率による反応で形成されるリン酸鉄化合物(P−OH基の数が残存)を介して、過剰なP−OH基が、鋼材表面に存在する鉄イオンと強固な化学結合を形成し、鋼材と下塗り塗料との界面での密着強度を高めると同時に、不安定な該鉄イオンを不動態化(安定化)する事を特徴としている。
図7を使って、従来技術での前処理工程による鋼材表面の鉄錆(例、水酸化鉄:Fe(OH)2又はFe2+ )と、リン酸(H3PO4)の反応による安定化、及び下地処理皮膜形成について説明する。
図7に示すように、従来技術における化学結合は、鋼材表面と下地処理皮膜の接合面のみで形成されており、下地処理皮膜面と下塗り塗膜面との界面は、物理吸着(Van der Waals 力)のみで形成されており、その密着力は化学結合力に比べて脆弱である。
従って、従来技術においては、下地処理皮膜/下塗り塗膜の界面での物理吸着力が、鋼材表面と下地皮膜の化学結合力に比べ遙かに弱い事から、下地処理皮膜/下塗り塗膜の界面剥離、又は界面破壊が生じ易いと云った問題点があった。(図7(c)、図6参照)。
(有機キレート剤)
有機キレート剤は、鋼材表面の鉄イオンにキレート反応して鉄イオンを安定化させる機能を持つ。有機キレート剤の具体例としては、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸、及びそのエステル等のフェノール系水酸基を有す化合物を挙げることができる。
図3にタンニン酸の、鋼材表面(錆面)の鉄イオン(例:Fe2+)のキレート化を模式図で示す。
キレート剤の添加の目的は、鋼材表面の鉄イオンを捕捉して安定化させることにある。すなわち、キレート剤は、短期的には反応速度論的見地から、リン酸及び/又はその化合物により捕捉できなかった鉄イオン(Fe2+不安定錆)を捕捉し、キレート化鉄として固定化(封じ込め:不活性化)する目的で使用される。
より詳しくは、本発明で使用するキレート剤は、フェノール性水酸基(>-OH)を有しており、本発明のアミン系硬化剤の存在するアルカリ条件下では、自身は鉄素地表面に存在する空気中の酸素により容易に酸化され〔キノイド構造に変換(>-O-+H+→ >=O )し〕、強い還元作用を示す。即ち本発明のキレート剤は、鉄イオン(不安定錆、例:Fe2+)の捕捉作用にとどまらず、長期的には鉄イオンの還元剤として働き(フェノキシ基由来のH+の作用による)、キレート化鉄を安定な黒錆(FeO,Fe3O4)へと変換し、長期防錆効果の発現に有効な役割を果たす。
図4にタンニン酸の還元作用による、鋼材表面(錆面)の安定化メカニズムを化学式で示す。キレート剤の配合量は、該下塗り塗料のベース樹脂を100(wt%)とした場合、該ベース樹脂100に対し、0.1〜5.0wt%の割合、更に好適には1.0〜3.0wt%である。
なお、キレート剤は、キレート結合を介し、鉄イオン(不安定錆、例:Fe2+)の捕捉機能を有するものの、キレート結合力は、リン酸及び/又はその化合物による化学反応物であるリン酸鉄の化学結合力に比べ劣っている為、鋼材表面と下塗り塗膜の界面での接着(密着)力には期待できないことを補足する。
(溶剤)
本発明で使用する塗装液は上述した各成分を適当な溶剤に完全溶解もしくは部分的に溶解した形で形成する。使用しうる溶剤としてはミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素、テレビン油等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノールマルブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等のエステル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、ブチルカルビトール、メトキシブタノール等のエーテルアルコール類、酢酸セロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カルビトール、酢酸メトキシブチル等のエステルエーテル類等が挙げられる。
これら溶剤の種類、配合比率は塗装液に対する相溶性、要望する乾燥性(速度)、塗装液の粘度等の要求性能により適宜選択が可能であり、又該溶剤は単独、又は混合して使用しても良い。
蒸発速度の大きい溶剤は、一般に低分子量の為、塗料の粘度を下げる効果が大きく塗装後の乾燥が速くなるが、多量に用いると塗膜の白化現象が起き、蒸発速度の小さい高沸点溶剤はそれを防ぐ効果がある為、適宜これらを混合して使用する事が好ましい。
本発明において、発錆面と旧塗膜面が混在した鉄鋼材料を現場で補修塗装するに当たり、鋼材表面を3種ケレン程度の清浄化の後、従来技術の前処理(下地皮膜形成)工程を省略し、直接下塗り塗装を施しても、従来工法と同等か、又はそれ以上の密着性能を得ることができる。
これにより、本発明に係る下塗り塗料を用いれば、従来の下地皮膜形成の工程を省略し得る事による工程短縮が可能となる。更には、不安定錆の安定化方法として、従来技術での下地処理皮膜による脱水、又は還元作用等による不安定錆の黒錆化(安定化)には長期間を要するのに比べ、本発明の下塗り塗料は、不安定錆の安定化メカニズムが短期完結型で強固な化学結合を有する為、補修塗装工事の終了直後から素地との強固な密着性を有する塗膜が得られる。これにより、従来技術で塗装直後に生じた塗膜の浮き、剥がれ等の問題を回避できる事となる。
本発明の下塗り塗料中には、還元作用を有す有機キレート剤が配合されているため、長期的には残存する不安定錆を安定化(黒錆化)する効果も有しており、前記の短期効果(化学結合の形成による密着性付与)との複合的な作用機構により持続性のある防錆効果を発揮する。即ち、本発明の下塗り塗料には、不安定錆に対する強固な化学結合で錆安定化と、素地との密着性を付与するリン酸成分、還元作用による錆転換機能(黒錆化)を付与するキレート剤、ベース樹脂に用いたエポキシ系樹脂の素地に対する密着性、及び該樹脂のアミン系硬化剤に由来する錆安定化等の技術を盛り込んでいる。
加えて、本発明によれば、工程・工期の短縮を可能とする補修塗装施工技術を提供し、ライフサイクルコスト(LCC)低減の観点からも優れた補修塗装工法及び、下塗り塗料が得られる。
本発明に係る防錆下塗り塗料による塗装系の構成図であり、鉄素地面での不安定錆との化学結合による強固な密着性を説明する。 本発明に係る防錆下塗り塗料(アミン硬化エポキシ系ベース樹脂)の鉄素地面への密着(水分除去:ぬれ)効果を説明するための模式図である。 鋼材表面(錆面)におけるタンニン酸のキレート化を説明するための模式図である。 タンニン酸の還元作用による錆の安定化メカニズムを示す式である。 従来技術の問題点を説明するための図であり、特に還元作用による錆安定化の経緯を説明するための図である。 従来技術の問題点を説明するための図であり、特に下地処理皮膜と下塗りの界面剥離を説明するための図である。 従来技術の問題点を説明するための図であり、図6の具体例として、下地処理被皮膜成分にリン酸を配合し不安定錆を安定化する反面、下塗りとの界面剥離を生じる問題点を説明するための図である。
以下、本発明の実施例を説明する。
1.試験用鋼板の作製
(A) 錆板
ショットブラスト鋼板(150mm×70mm×3.2mm)を用い、当該鋼板を6ヶ月間屋外暴露することにより、当該鋼板の表面に錆を発生させた。これをワイヤーブラシにより3種ケレン程度まで処理し、その後シンナー(脱脂洗浄剤、クスノキ化学(株)製「ノンクロール200」)を含ませたウエスで拭いて表面を清浄にし、乾燥(0.5〜1.0時間)後、試験用鋼板とした。
(B) ショットブラスト板
上記のショットブラスト鋼板を屋外暴露することなく、そのまま、シンナー(脱脂洗浄剤、クスノキ化学(株)製「ノンクロール200」)を含ませたウエスで拭いて表面を清浄にし、乾燥(0.5〜1.0時間)後、試験用鋼板とした。
2.下塗り塗料の調整
下記の表1に示す組成で、実施例1〜4、および比較例1〜4に係る下塗り塗料を調整した。
表1において、P-OH価数(#1)、Fe価数(#2)、およびP-OH 価数/Fe価数(#3)は、以下のように計算した。
#1:P-OH価数 H3PO4 1モルのP-OH価数(3/98)×配合wt%(0.7) = 0.0214
#2:Fe価数 酸化鉄および/または水酸化鉄1モルの Fe価数〔3/(159.7/2)〕×配合wt%(0.3) = 0.0113
#3: P-OH 価数/Fe価数=#1/#2
3.下塗り塗装を施した試験用鋼板の調整
表1のように処方した実施例1〜4、および比較例1〜4に係る下塗り塗料を、表面を清浄にした試験用鋼板((A)錆板と(B)ショットブラスト板)に直接塗装した。
下塗り塗装は、脱脂洗浄剤の乾燥(0.5〜1.0時間)後、下塗り塗料(主剤、硬化剤を所定割合で混合)を平均膜厚90〜120μm(塗布量0.15kg/m2)で刷毛塗りを行った。
4.中塗り、上塗り塗装を施した試験用鋼板の調整
下塗り塗装後、7日間自然乾燥させた鋼板に中塗り塗装を施し、さらに7日間自然乾燥後、上塗り塗装を施し、7日間自然乾燥したものを実施例、及び比較例の試験用鋼板とした。中塗り塗料としては、弱溶剤ポリウレタン樹脂系中塗り塗料(主剤、硬化剤)を用い、上塗り塗料としては、弱溶剤フッ素樹脂系上塗り塗料(主剤、硬化剤)を用いた。中塗り、上塗り塗装の平均膜厚は各々30〜40μm程度であり、刷毛塗りにて施工した。
下記の表2に、本発明との比較で、従来技術である前処理(下地皮膜形成)処方を行う場合の処理(処方)例を示す。
処理例(1)はキレート剤、カップリング剤等を主体とした前処理剤の例であり、処理例(2)は一般的なミストコートにキレート剤、カップリング剤等を配合した前処理剤の例である。
処理例(1)及び(2)の前処理剤を、表面を清浄にした試験用鋼板〔(A)錆板、(B)ショットブラスト板〕にハケ塗りにて塗装(30ml/m2)し、室温で16時間乾燥した。
その後、前記と同様に表1に示した実施例、及び比較例の下塗り塗料を塗装後、7日間自然乾燥させた鋼板に中塗り塗装を施し、7日間自然乾燥後、上塗り塗装を施し、7日間自然乾燥したものを比較例の試験用鋼板とした。中塗り塗装、および上塗り塗装の方法は、上述の「4.中塗り、上塗り塗装を施した試験用鋼板の調整」と同様とした。
5.評価試験方法、及び評価基準
評価試験方法、及び評価基準を表3に示す。
※ キャス試験は腐食促進性を向上させた耐食性試験である。当該キャス試験を24〜48時間行うことで、12ヶ月の屋外暴露試験と同程度の試験効果が得られるとの報告がある。本実施形態では、40日間(960時間:上記から屋外暴露20〜40年に相当する)キャス試験を行い、外観観察、断面顕微鏡写真及び元素分析を行った。
また、キャス試験後の外観観察、断面SEM、EPMAから素地部と下塗り層の密着性に異常が無い場合は◎とし、それ以外を×として評価した。又、キャス試験後の二次付着性試験での判定基準は、5-1(一次付着性)、5-2(耐湿性試験)の場合と同様とした。更に剥離(界面剥離、又は層内凝集破壊)の箇所を明示した。
アドヒージョン付着強度(破壊強さ)は表3で記載の通り、JIS K5600-5-7に規定する方法(プルオフ法)に準じ測定した。
尚、試験での接合ロッドと塗膜の接着に使用する接着剤は、その凝集力、及び接着力が被試験塗膜よりも大きい事が必要である為、その適合性を事前に調査した。
その結果、本件試験ではエポキシ樹脂系接着剤(ボンドクイックメンダー、コニシ(株)製)が好適であった為これを採用した。
6.評価結果
評価結果を表4〜6に示す。
キャス試験後、実施例1〜4(下地処理無し)に係る各サンプルの断面顕微鏡写真(断面SEM)を行った結果、母材上に下・中・上の各層(90〜130、30〜40、20〜40μm)が形成されていることが確認できた。また、実施例1〜4(下地処理無し)の各サンプルの撮影観察結果からは、ふくれ等の明確な腐食欠陥、塗膜の破壊は確認できなかった。これに対して、同じ実施例(実施例1、2)に係る下塗り塗料を用いた場合であっても、これに試験鋼板に下地処理を施した場合には、塗膜破壊が生じることが確認できた(表4の比較例(下地処理有り)参照)。
さらに、本実施例での各サンプルは、キャス試験液に含まれる塩素のマッピング分析結果から、上塗り層と中塗り層の境界(界面C)付近、及び中塗り層には比較的多くの塩素が検出されたが、下塗り層からは検出されなかった。このことから本実施例の下塗り層には、塩素は浸透(到達)していないことが確認できた。従って、キャス試験後において明確な腐食欠陥が生じなかったこと、すなわち、防錆効果には、本実施例に係る下塗り層が大きく寄与していることが確認できた。
また、上記の表4の実施例(実施例1〜4)の結果より、実施例1〜4に係る下塗り塗料は、良好な一次付着性、耐湿性、および耐塩水性を発揮することが確認できた。また、下塗り塗料の塗装前に下地皮膜を形成して前処理を施した比較例(表4、表5、下地処理有り)との比較より、本実施例1〜4に係る下塗り塗料を塗布する場合には、前処理を省略した方が、一次付着性、耐湿性、耐塩水性において良好な結果が得られることが確認できた。
さらに、表6の比較例1〜3(下地処理無し)と、表4の実施例(実施例1〜4)との比較より、本実施例1〜4のように、酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物の両方を添加することが、一次付着性、耐湿性、および耐塩水性を確保するうえで有用であることが確認できた。また、表6の比較例4(下地処理無し)と、表4の実施例(実施例1〜4)との比較より、良好な一次付着性、耐湿性、および耐塩水性を得るためには、酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物の配合割合は、1.0以上必要であることが確認できた。

Claims (4)

  1. 中塗り或いは上塗り作業に先立って、鉄素地表面に塗布される防錆下塗り塗料であって、
    酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物と、有機キレート剤と、エポキシ系ベース樹脂とを必須成分として含み、
    エポキシ系ベース樹脂100重量%に対して、酸化鉄および/または水酸化鉄が0.1〜2.0重量%、リン酸および/またはその化合物が0.1〜3.0重量%、有機キレート剤が0.1〜5.0重量%の割合で含有されており、
    酸化鉄および/または水酸化鉄の鉄イオンの総価数に対する、リン酸基(P−OH基)の総価数の配合割合が、1.1〜3.0の範囲に設定されていることを特徴とする防錆下塗り塗料。
  2. 酸化鉄および/または水酸化鉄と、リン酸および/またはその化合物とが反応することで防錆下塗り塗料中でリン酸鉄化合物が形成されるとともに、該リン酸鉄化合物の形成反応において残存しているリン酸および/またはその化合物のP−OH基が鉄素地表面の鉄イオンと反応することで防錆下塗り塗料と鉄素地表面との界面においてもリン酸鉄化合物が生成されるようになっている、請求項1記載の防錆下塗り塗料。
  3. エポキシ系ベース樹脂100重量%に占める溶剤の含有量が、10〜50重量%の範囲に設定されている、請求項1又は2に記載の防錆下塗り塗料。
  4. 錆の出た鉄鋼材料の表面をケレン処理して清浄にする表面清浄工程と、
    表面清浄工程を得た鉄素地表面に、直接、下塗り塗料を用いて塗装を施す下塗り塗装工程と、
    下塗り塗料の乾燥後、該下塗り塗料の表面に中塗り塗料、および/又は上塗り塗料を用いて塗装を施す中塗り・上塗り工程を含み、
    前記下塗り塗料が、請求項1乃至3のいずれかで規定される下塗り塗料であることを特徴とする、防錆下塗り塗料を用いた補修塗装施工方法。
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