JP6411121B2 - 鋼構造物の補修塗装方法 - Google Patents

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本発明は、鋼構造物を補修塗装する方法に関し、より詳しくは、鉄塔、橋梁、タンク、屋根、鋼管、煙突等の鋼構造物の錆面又は低ケレン面に錆浸透剤と上塗り塗料とを塗装することにより、短時間に防食性に優れた防食塗膜を形成することを可能とした鋼構造物の補修塗装方法に関する。
近年、鋼構造物の補修塗装を行う際には、事前にブラスト処理、動力工具処理などの下地処理を行うことが一般的であるが、特にブラスト処理を事前に行うことは鋼構造物の長期耐久性を確保する点で好ましいことが分かっている。例えば、下地処理を行った面に対して防食溶射を行って溶射被膜を形成すると共に、当該溶射被膜の防食効果を長期間維持できるようにするために所定の封孔処理剤を更に塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、実際の作業現場においては、常にブラスト処理などの下地処理を行うことは作業環境、構造物の形状などの面で不可能であり、やむをえず、3〜4種ケレン程度で十分な下地処理が施せていない箇所も発生する。このように十分に下地処理が施せていない箇所については、溶射被膜が付着しやすい凹凸上の被膜を別途形成させるなどの手段を講じなければ、前記のような溶射被膜は付着しにくく期待した性能を発揮させることができない(特許文献2、非特許文献1〜3を参照)。
そのため、従来は、そのような十分に下地処理が施せていない箇所に直接塗装して補修する場合には、錆面への浸透性が比較的良好といわれている変性エポキシ樹脂塗料を塗布することが多かった。しかしながら、錆の程度によっては、多孔質である錆層に完全に変性エポキシ樹脂塗料を浸透させることは困難であり、本来の変性エポキシ樹脂塗料が持つ性能を発揮させるためには、やはり一定以上の下地処理を行わなければならなかった。すなわち、下地処理が不十分で脆い錆層が残存する部分に従来の変性エポキシ樹脂塗料を塗装しても、残存する脆弱な錆層から腐食や剥離が起こり、鋼構造物の早期劣化に繋がることがあった。
このような問題があるにも関わらず、実際の施工時間に限りがある作業現場においては、施工を短時間で済ませることが求められる。一方で、長期の供用が求められる構造物であるために、施工条件による品質のばらつきは極力抑えなければならないのが現状であった。そのため、下地処理が不十分な鋼構造物の錆面又は低ケレン面に対しても十分に浸透し、短時間で上塗り塗装が可能であり、更には防食性能に優れる安定した品質の防食塗膜が得られる補修塗装方法の開発が望まれていた。
最近ではそのような十分な下地処理が施せなかった箇所でも十分な防食性能が出せるように様々な方法が用いられる。例えば、発錆した鉄鋼材料の表面を3種ケレン程度まで処理した後に、リン酸などを含む下地皮膜処理液を塗布した後、エポキシ樹脂をベースとしたリン酸化合物及び有機キレート剤を含有する錆転換型防錆下塗剤を塗装する補修塗装方法(特許文献3)や、錆面に対して水酸基含有非水分散形樹脂とキレート形成能を有する水酸基含有溶剤可溶樹脂とイソシアネート化合物とを含有する錆浸透形下塗材を塗装し、さらに上塗材を塗装する補修塗装方法(特許文献4)や、水分が残存した錆面に対して脱水剤と非水系溶剤からなる表面処理剤で処理した後、非水分散形樹脂とキレート形成能を有した溶剤可溶樹脂を含有する下塗剤を塗装し、さらに上塗材を塗装する補修塗装方法(特許文献5)や、発錆した鉄鋼材料の表面の脆い錆を簡単に落とした後、キレート形成能を有する樹脂と水系溶剤とを含有する錆安定化剤を塗装して赤錆(Fe2O3)の鉄原子を不動態化し、さらに防食塗料を塗装する補修塗装方法(特許文献6)などがある。
これらの下地処理液や錆浸透剤は、優れた防食性と上塗り適合性とを特徴としている。そのため、素地調整が困難で錆が残存していても、錆に浸透して固定化または安定錆化し、素地調整のばらつきの影響を受けにくく、その上に良好な塗膜を形成することが可能とされている。
しかしながら、特許文献3〜6に記載された方法は、前述の通り、防食効果や上塗り適合性に優れるものの、これらの方法における塗料はいずれも、硬化乾燥性に着目されたものではなかった。また、錆への浸透性の向上のために、グリコール系溶剤や脂肪族系の弱溶剤が用いられているため、硬化乾燥性をむしろ遅くしており、塗り重ねが可能になるまでに時間を要するなど施工に工数や時間がかかることが問題と考えられる。
また、施工時間の短縮のため、下塗り塗装後に早い時間で塗り重ねが行われることがあるが、未硬化の塗膜の上に樹脂成分や塗膜性質などの異なる塗料を塗り重ねることで、密着不良や脆弱な塗膜層の形成など下塗り塗膜及び上塗り塗膜の相互に思わぬ弊害を引き起こすこともあった。
それ故、下地処理が十分ではない鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に対して、浸透性が良くしかも硬化乾燥性に優れる塗料を用いて、防食性能にも優れた防食塗膜を形成する補修塗装方法はこれまで見出されていなかった。
特開2012−251197号公報 特開平08−176781号公報 特開2000−140746号公報 特開2004−143423号公報 特開2005−081188号公報 特開2004−148163号公報
「機械工事塗装要綱(案)・同解説」、平成22年4月、国土交通省総合政策局建設施工企画課、p.53 「鋼橋の常温金属溶射設計・施工・補修マニュアル(案)(改訂版)」、2006年4月、鋼構造物常温溶射研究会、p.152 社団法人 日本道路協会発行「鋼道路橋塗装・防食便覧」、平成17年12月、第V編、p.V-34
そこで、本件の発明者らは、下地処理が十分ではない鋼構造物の錆面や低ケレン面に対しても十分に浸透し、短時間で上塗り塗装が可能であり、更には防食性に優れた防食塗膜が得られる補修塗装方法について鋭意検討した結果、下塗り塗料である錆浸透剤として低温硬化性に優れるエポキシポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を用いて、これらの粘度を所定の範囲とすることで錆面又は低ケレン面への浸透性を良好にして錆層を安定化させると共に、硬化乾燥時間を所定の範囲とすることにより、下塗り塗装から上塗り塗装に至る施工時間を短時間とすることができて、一方で、上塗り塗料としては防食性に優れ尚且つ振動や変形に追従できるような比較的柔らかい塗膜が得られるポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を用いることにより塗膜全体の防食性を確保できることを見出して、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、鋼構造物の錆び面又は低ケレン面に、短時間に防食性に優れた高品質の防食塗膜を形成することを可能とした鋼構造物の補修塗装方法を提供することである。
すなわち、本発明は、鋼構造物の錆面又は低ケレン面に、錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する鋼構造物の補修塗装方法であって、
前記錆浸透剤は、(i)主剤としてエポキシポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂又はアミン樹脂を含有し、(ii)温度5℃環境下における半硬化乾燥時間が80分以下であり、(iii)温度23℃における粘度が0.1Pa・s以下であり、
前記上塗り塗料は、主剤としてポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂又はアミン樹脂を含有することを特徴とする鋼構造物の補修塗装方法である。
本発明において、前記錆浸透剤は、主剤がエポキシポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート樹脂であることが好ましい。
また、本発明において、前記上塗り塗料は、主剤がポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート樹脂であることが好ましい。
また、本発明において、前記錆浸透剤は、更に、芳香族オリゴマーを含有し、当該芳香族オリゴマーは、主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、固形分換算で5〜50質量部の量で含有されることが好ましい。
また、本発明において、前記錆浸透剤は、更に、顔料を含有し、当該顔料は、主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、20質量部以下の量で含有されると共に、中位径が10μm以下であることが好ましい。
また、本発明において、前記上塗り塗料は、温度23℃で7日間以上経過後のJIS K5600−5−4に規定される鉛筆硬度がHB以下であることが好ましい。
更に、本発明においては、前記錆浸透剤を塗装後、前記上塗り塗料を塗装するまでの間隔が5時間以内であることが好ましい。
本発明によれば、作業現場での鋼構造物への補修塗装作業時間を短縮することが可能である。また、錆浸透剤が錆層に十分に浸透して錆を安定化させ、加えて柔らかく収縮応力の低い上塗り塗膜と組み合わせることで、柔軟な塗膜で塗布面のひずみや変形の影響を受けにくく、塗膜全体として高い防食効果を得ることが可能である。とりわけ、錆浸透剤と上塗り塗料とが同じ硬化系の場合には、完全に硬化乾燥していないウェット状態の指触乾燥塗膜への塗り重ねが可能であり、さらに短時間での仕上げが可能である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの記載に限定されるものではなく、以下の例示以外についても、本発明の主旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
本発明において、補修塗装対象となる鋼構造物は、鉄鋼材料を素地とした構造物であって、特に制限は無いが、鉄塔、橋梁、タンク、屋根、鋼管、煙突などを挙げることができる。ここで、本発明において錆面とは、水や酸素などの腐食因子により発錆した前記鋼構造物の表面をいい、後述するケレン処理を行う前の状態を指す。具体的にはFe23などの赤錆が発生している面を想定している。また、ケレンとは、錆落としや脆弱な旧塗膜の除去などを行った後の素地調整の程度のことを言い、具体的には、社団法人 日本道路協会発行「鋼道路橋塗装・防食便覧」平成2年6月に規定されるが、作業内容、作業方法によって、1種(さび、旧塗膜を完全に除去し鋼材面を露出させる。ブラスト法)、2種(旧塗膜、さびを除去し鋼材面を露出させる。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)、3種(活膜は残すが、それ以外の不良部(さび、割れ、ふくれ)は除去する。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)、4種(粉化物、汚れなどを除去する。ディスクサンダー、ワイヤホイルなどの電動工具と手工具との併用,ブラスト法)と定義されている。本発明において低ケレンとは、上記のうち4種ケレン処理が行われた面のことをいう。
<錆浸透剤>
本発明の錆浸透剤としては、下地処理が不十分な鋼構造物の錆面又は低ケレン面に対しても十分に浸透し、且つ短時間で上塗り塗装が可能となるように硬化することが必要であり、また、後述する上塗り塗料を併用することで良好な防食性が得られるものであることが必要とされる。以下、具体的に説明する。
本発明の錆浸透剤に使用される主剤としては、下地となる鋼構造物の錆面又は低ケレン面との密着性、耐食性、硬化性を兼備しているエポキシポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を用い、好ましくは、低温においても一定の硬化性を保つことが可能であるエポキシポリオール樹脂を用いる。
主剤に用いられるエポキシポリオール樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを反応して得られるエポキシ樹脂を、イソプロパノールアミンなどのアルカノールアミンで変性して得られるものや、例えば、DIC社製のEPCLON EXA−8183、8169や、ADEKA製のアデカレジンEP−6000シリーズなどが挙げられる。エポキシポリオール樹脂は、イソシアネート樹脂と反応して硬化する。このような観点から、エポキシポリオール樹脂を用いる場合には、エポキシポリオール樹脂単独であってもよいが、イソシアネート樹脂と反応して硬化する他のポリオール樹脂を使用してもよい。かかる他のポリオール樹脂には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、キレート変性ポリオール、ひまし油変性ポリオール等があり、これらから選択された1種又は2種以上を混合して使用してもよい。この場合の主剤としては、防食性の観点から、エポキシポリオール樹脂を主体とすることが好ましく、エポキシポリオール樹脂100質量部に対して他のポリオール樹脂を0〜50質量部の含有量であることが望まれる。エポキシポリオール樹脂の水酸基価としては、耐水性、密着性の観点から30〜300mgKOH/gが好ましく、より好ましくは50〜200mgKOH/gである。また、重量平均分子量としては、耐食性、施工性の観点から500〜30000が好ましく、より好ましくは1000〜20000である。
また、主剤にエポキシ樹脂を用いる場合、当該エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、アミン系硬化剤と反応して架橋塗膜を形成することが可能な樹脂であればいずれも使用可能である。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂や、キレート変性エポキシ樹脂や、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性エポキシ樹脂、スルフィド含有エポキシ樹脂などの特殊エポキシ樹脂などの1種又は2種以上が挙げられ、例えば、新日鉄住金化学(株)製のYDシリーズや、三菱化学(株)製のjERシリーズなどが挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、耐水性、密着性の観点から100〜2000が好ましく、より好ましくは150〜1000である。また、重量平均分子量としては、耐食性、施工性の観点から200〜4000が好ましく、より好ましくは300〜2000である。
そして、このようなエポキシポリオール樹脂又はエポキシ樹脂の含有量としては、主剤100質量部に対して、固形分換算で10〜50質量部が好ましく、より好ましくは、10〜40質量部である。
本発明の錆浸透剤に使用される硬化剤としては、前述の通り、主剤にエポキシポリオール樹脂を用いる場合にはイソシアネート樹脂が選択され、また、主剤にエポキシ樹脂が用いられる場合にはアミン樹脂が選択される。
前記イソシアネート樹脂としては、イソシアネート基を1分子中に2個以上有する化合物であればよく、汎用型、難黄変型、無黄変型など、幅広く使用できる。まず汎用型としてはトリレンジイソシアネート(以下、TDIと略称する)、TDIの3量化物であるイソシアヌレート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する)、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(以下、ポリメリックMDIと略称する)、また、難黄変型としては、キシリレンジアミン(以下、XDIと略称する)等が挙げられる。更に、無黄変型としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略称する)、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略称する)、水添XDIおよび水添MDIなどが挙げられ、更に上記イソシアネート類をトリメチロールプロパン(以下、TMPと略称する)などの多価アルコール、多価フェノール類で変性したアダクト物も用いられる。特に、コストと性能のバランスの点からTDIのTMPアダクト物及びポリメリックMDIが好ましい。イソシアネート樹脂の使用量は、イソシアネート基(NCO基)/エポキシポリオール樹脂のヒドロキシル基(OH基)が0.3〜1.5の範囲がよく、更に塗膜性能の面から0.3〜1.0の範囲となるように含有されることが好ましい。イソシアネートのNCO当量としては、耐食性と反応性の観点から50〜2000が好ましく、より好ましくは50〜1000である。また、分子量としては、耐食性と反応性の観点から100〜4000が好ましく、より好ましくは100〜2000である。
また、前記アミン樹脂としては、特に限りはないが、例えば、ポリアミド系硬化剤や、脂肪族もしくは芳香族アミン、又はこれらのマンニッヒ変性、アダクト変性などの変性アミン、ケチミン系硬化剤などの1種又は2種以上が挙げられる。アミン樹脂の使用量は、アミノ系化合物中の活性水素量とエポキシ樹脂中のエポキシ基と比が、0.3〜1.5の範囲がよく、さらに塗膜性能の面から0.3〜1.0の範囲となるように含有されることが好ましい。アミン価としては、耐食性と反応性の観点から50〜1000mgKOH/gが好ましく、より好ましくは50〜500mgKOH/gである。また、分子量としては、耐食性と反応性の観点から100〜3000が好ましく、より好ましくは100〜2000である。
本発明において使用される錆浸透剤は、低温硬化性に優れたものであることが求められ、温度5℃環境下におけるJIS−5600−1−1に規定の半硬化乾燥時間が80分以下であり、好ましくは60分以下である。前記の半硬化乾燥時間が80分より長い場合、錆浸透剤の硬化時間が必然的に長くなることから、その後の上塗り塗装を行うことができるまでに時間が長くなり、施工を短時間で済ませることができなくなるため好ましくない。なお、前記の半硬化乾燥時間が短いほど錆浸透剤の硬化時間が短くなるので、上塗り塗装が速やかに可能となり、トータルの施工を短時間で済ませることができるが、錆面又は低ケレン面への浸透性の面から、好ましくは、前記の半硬化乾燥時間は、10分以上であることが良い。また、半硬化乾燥時間の別の指標としては、温度5℃環境下におけるJIS−5600−1−1に規定の指触乾燥時間を用いることも可能であり、当該指触乾燥時間が30分以下であることが好ましく、より好ましくは15分以下であり、塗装作業性の面から、好ましくは、5分以上であることが良い。
また、本発明において使用される錆浸透剤は、温度23℃における粘度が0.1Pa・s以下であるが、塗装作業時のタレの面から、好ましくは0.05Pa・s以上であるのが良い。粘度が0.1Pa・sより大きい場合には、錆浸透剤の粘度が高くなることにより、多孔質な錆面又は低ケレン面への浸透性が低下してしまうことが問題となるため好ましくない。本発明において、錆浸透剤の粘度を前述の範囲とするためには、最適な溶剤組成と配合調整を行う。なお、本発明において前記粘度の測定は、例えば、B型粘度計により行うことができる。
本発明の錆浸透剤には、錆面又は低ケレン面への含浸性を改善するため、好ましくは、芳香族オリゴマーを配合する。この芳香族オリゴマーは、素地への濡れ性が良くなる効果と耐水性が良くなる効果の両面で大きく寄与していると思われる。芳香族オリゴマーとしては、重量平均分子量300〜6000が好ましく、より好ましくは300〜1500であることがよい。また、不揮発分50質量%以上で、塗料中の他の配合成分と反応しにくいものや、その変性物などが挙げられる。このような芳香族オリゴマーとしては、トルエン樹脂、キシレン樹脂、液状クマロン樹脂、イソプロペニルトルエンの液状低重合物、イソプロペニルトルエンとα―メチルスチレンとの共重合物、スチレンオリゴマー、スチレン化フェノール、フェノール類で変性されたクマロン樹脂などの1種又は2種以上が挙げられ、好ましくは、スチレンオリゴマー、スチレンホルムアルデヒド樹脂、スチレン化フェノールなどのスチレン単位を、固形分換算で50質量%以上含むスチレン系オリゴマー、トルエン樹脂、及びキシレン樹脂が挙げられる。芳香族系オリゴマーの配合率は、主剤と硬化剤との合計100質量部に対し、固形分換算で5〜50質量部が好ましく、より好ましくは5〜40質量部がよい。これが5質量部より少ないと含浸性の改善効果が低く、50質量部を超えると硬化性が低下する傾向がある。
本発明の錆浸透剤には、好ましくは、上記樹脂成分以外の成分として樹脂を溶解させるための有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、樹脂成分を安定的に溶解できるものであればとくに問題なく使用することができ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤が挙げられるが、特に、トルエン、キシレン、MEK等の強溶剤が好ましい。なお、アルコール系の溶剤は、イソシアネート樹脂との間で反応するので、イソシアネート樹脂を硬化剤として使用する場合には使用することができない。このような有機溶剤の含有量は、主剤と硬化剤との合計100質量部に対して10〜80質量部であるのが好ましく、より好ましくは20〜70質量部である。また、速硬化性の観点からは沸点が50〜150℃の範囲にあるものが好ましい。
本発明の錆浸透剤に顔料が含まれる場合には、前記顔料としては、通常塗料に使用されている各種体質顔料、着色顔料、防錆顔料が使用可能である。代表的には体質顔料として炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカなどが挙げられ、着色顔料としては酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられ、防錆顔料としてはジンククロメート、ストロンチウムクロメート、リン酸亜鉛、リンモリブデン酸亜鉛、リン酸アルミニウムなどが挙げられるが、クロム、鉛をはじめとする健康に有害性のある重金属を含有する防錆顔料よりも、安全面に配慮したリン酸系の防衛顔料を使用することが好ましい。この防錆顔料は、空隙に含浸するので鋼構造物の隙間より腐食が進行することを抑えるために有効であり、錆浸透剤が素地に十分に浸透しきれなかった場合のために、加えておくことが好ましい。当該顔料の含有量については、含有される顔料の合計量が、主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して、固形分換算で20質量部以下が好ましく、より好ましくは、18質量部以下である。また、顔料の粒子径に関しては、錆層に対する浸透性への観点から、JIS Z 8901−3fで規定される中位径(粉体の粒子径分布において、ある粒子径より大きい個数または質量が、全体のそれの50%を占めるときの粒子径)が、10μm以下であることが好ましく、塗料粘度への影響の観点から、より好ましくは2〜10μmである。
本発明の錆浸透剤には、その塗装性能等を改良する目的で各種の他の添加剤を配合することができる。前記他の添加剤としては、シランカップリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、消泡剤などが代表的なものとして挙げられる。
本発明の錆浸透剤は、スプレー、刷毛により塗布することができるが、その塗布量が50〜150g/m2となるように塗布する。この場合の錆浸透剤の塗布厚みとしては20μm以下が好ましく、耐食性への影響の観点から、より好ましくは10〜20μmである。一般に、エポキシ樹脂とアミン樹脂との反応は10℃以下になると著しく遅くなるが、エポキシポリオール樹脂とイソシアネート樹脂との反応は10℃以下でも速やかに行われる。とりわけ5℃以下の低温環境においても最適な樹脂を選定することで、錆浸透剤の塗布後、5℃3時間後でも塗布面を歩行することが可能となる。本発明においては、このようにして錆浸透剤を塗布することで、短インターバルで上塗り塗料を塗装することが可能である。
<上塗り塗料>
本発明において、錆浸透剤の下塗り塗装後には、上塗り塗料を塗装する。塗り重ねる塗料としては、塗膜が柔軟性を有しつつも防食性能に優れることが求められる。柔軟性の指標として弾性率500N/m2以下であるものであれば特に限定されない。本発明の上塗り塗料に含有される主剤としては、ポリオール樹脂やエポキシ樹脂が挙げられ、低温硬化性、得られる塗膜硬度の面で、好ましくは、ポリオール樹脂が使用される。そして、主剤にポリオール樹脂が含まれる場合には、硬化剤としてイソシアネート樹脂が選択され、また、主剤にエポキシ樹脂が含まれる場合には、硬化剤としてアミン樹脂が選択される。
ポリオール樹脂としては1分子中に水酸基を2個以上有し、イソシアネート系硬化剤と反応して架橋塗膜を形成することが可能な樹脂であれば使用可能である。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどが挙げられるが、特にエポキシ樹脂をアルカノールアミンで変性したエポキシポリオールが密着性の点で優れる。また。ポリオール樹脂としては、耐水密着性に優れて、前述の錆浸透剤でも使用されるエポキシポリオール樹脂塗料や、耐候性に優れたアクリルポリオール樹脂塗料、フッ素系ポリオール樹脂塗料などを各種使用することができ、好ましくは、耐水性、耐食性が良好な重量平均分子量10000〜60000のアクリルポリオール樹脂に、相溶性、密着性が良好な重量平均分子量200〜2000のエポキシ樹脂を、固形分換算で0〜30質量部(好ましくは1〜30質量部)混合させた耐水密着性を改善した高耐候性塗料がよい。
この点、上塗り塗料にエポキシ樹脂塗料等を用いると、塗膜が太陽光や降雨の影響を受けて年間数μmの減耗(チョーキング)を生じるが、上塗り塗料に前記のような耐水密着性を改善した高耐候性塗料を用いると太陽光による変色抑制効果に併せてチョーキングも抑制し、長期防食効果も向上するので特に好ましい。
ポリオール樹脂に組み合わされるイソシアネート樹脂(硬化剤)としては、特に限りはないが、例えば、p−フェニレンジイソシアネート、4−4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート又はその混合物、4,4’−トリレンジイソシアネート、1,3もしくは1,4−キシレンジイソシアネート又はその混合物などの芳香族ジイソシアネートや、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪酸ジイソシアネートが挙げられる。これらは単独でも、2種以上の混合物としても使用できる。また多価アルコールに前記の過剰のイソシアネートを反応させたプレポリマーであってもよい。このときイソシアネートのNCO当量としては、耐食性と反応性の観点から50〜2000が好ましく、より好ましくは50〜1000である。分子量としては耐食性と反応性の観点から100〜4000が好ましく、より好ましくは100〜2000である。
また、エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有し、アミン系硬化剤と反応して架橋塗膜を形成することが可能な樹脂であれば使用可能である。例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂や、キレート変性エポキシ樹脂や、ダイマー酸変性エポキシ樹脂、プロピレンオキサイド変性エポキシ樹脂、スルフィド含有エポキシ樹脂などの特殊エポキシ樹脂などの1種又は2種以上が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量としては、耐水性、密着性の観点から100〜2000が好ましく、より好ましくは150〜1000である。また、重量平均分子量としては、耐食性、施工性の観点から200〜4000が好ましく、より好ましくは300〜2000である。
エポキシ樹脂に組み合わされるアミン樹脂(硬化剤)として特に限りはないが、例えばポリアミド系硬化剤や、脂肪族もしくは芳香族アミン、又はこれらのマンニッヒ変性、アダクト変性などの変性アミン、ケチミン系硬化剤などの1種又は2種以上が挙げられる。アミン価としては、耐食性と反応性の観点から50〜1000mgKOH/gが好ましく、より好ましくは50〜500mgKOH/gである。分子量としては、耐食性と反応性の観点から100〜3000が好ましく、より好ましくは100〜2000である。
このような上塗り塗料におけるポリオール樹脂又はエポキシ樹脂の含有量としては、主剤100質量部に対して、固形分換算で10〜70質量部が好ましく、より好ましくは、10〜50質量部である。
また、上塗り塗料におけるイソシアネート樹脂の使用量は、イソシアネート基(NCO基)/ポリオール樹脂のヒドロキシル基(OH基)が0.3〜1.5の範囲が好ましく、更に塗膜性能の面から0.3〜1.0の範囲となるように含有されることがより好ましい。
更に、上塗り塗料におけるアミン樹脂の使用量は、アミノ系化合物中の活性水素量とエポキシ樹脂中のエポキシ基と比が、0.3〜1.5の範囲が好ましく、さらに塗膜性能の面から0.3〜1.0の範囲となるように含有されることがより好ましい。
本発明の上塗り塗料には、好ましくは、上記樹脂成分以外の成分として樹脂を溶解させるための有機溶剤を加えてもよい。有機溶剤としては、樹脂成分を安定的に溶解できるものであればとくに問題なく使用することができ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤が挙げられるが、特に、トルエン、キシレン、MEK等の強溶剤が好ましい。なお、アルコール系の溶剤は、イソシアネート樹脂との間で反応するので、イソシアネート樹脂を硬化剤として使用する場合には使用することができない。このような有機溶剤の含有量は、主剤100質量部に対して10〜70質量部であるのが好ましく、より好ましくは20〜60質量部である。また、速硬化性の観点からは沸点が50〜150℃の範囲にあるものが好ましい。
本発明の上塗り塗料には、顔料として、通常塗料に使用されている各種体質顔料、着色顔料、防錆顔料が使用可能である。代表的には体質顔料として炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカなどが挙げられ、着色顔料としては酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。当該顔料の含有量については、含有される顔料の合計量が、主剤100質量部に対して10〜70質量部が好ましく、より好ましくは、20〜60質量部である。
本発明の上塗り塗料としては、温度23℃で7日間以上経過後のJIS K5600−5−4に規定される鉛筆硬度がHB以下であることが好ましく、より好ましくは前記鉛筆硬度がB以下である。このように塗膜が比較的柔らかい場合には、硬化時の応力が発生しにくく、振動や変形に追従が可能であり、防食性に優れる塗膜が得られるため好ましい。
本発明の補修塗装方法においては、錆浸透剤を塗装後、前記上塗り塗料を塗装するまでの間隔は5時間以内が好ましく、より好ましくは、3時間以内であることがよい。この間隔が5時間よりも長くなると、トータルの施工を短時間で済ませることができなくなるため、好ましくない。また、錆浸透剤の乾燥時間としては1〜3時間で塗膜上を歩行可能である。上塗り塗料の塗り回数は被塗面の状態や周囲環境などによって適宜設定し、1層に限らず、2層以上を積層して仕上げることも可能である。それらの塗装方法としては、刷毛、エアレススプレー、ローラーなどの簡便な方法で塗装可能であり、特に限定されない。
また、本発明は錆浸透剤と上塗り塗料とにより構成されるが、必要に応じてさらに耐候性塗料等を上塗りすることもできる。また、錆浸透剤と上塗り塗料との合計膜厚については、防食性の観点から80μm以上が好ましく、より好ましくは120μm以上である。
以下、本発明の実施例により、さらに詳細に説明する。なお、実施例における「部」及び「%」はとくに断らない限り質量を基準とする。
〔錆鋼板及び4種ケレン鋼板(試験用錆鋼板)の作成〕
70mm×150mm×3.2mmの鋼板(SS400)をブラスト処理した後、屋外暴露して発錆させ、錆厚さ40〜100μmの錆鋼板を作成した。また、低ケレン鋼板については、前述の錆鋼板を、ワイヤブラシを使用して汚れ、粉化物を除去して下地処理をおこない、4種ケレン鋼板を作成した。そして、これらを試験用錆鋼板として、以下の各種試験に用いた。
(錆浸透剤の作成)
主剤と硬化剤を含む2液型の錆浸透剤を製造する。先ず、エポキシ変性ポリオール、芳香族オリゴマー、各種顔料を規定量加えた後に30分間予備分散を行う。その後、1〜2mmΦのビーズを等容量加えたのちに1時間ビーズ分散を行う。顔料が十分に分散されたことを確認した後に、有機溶剤を規定量加えたものを主剤とする。試験片作成の直前に、これに規定量の硬化剤を加えることで錆浸透剤A〜Jとする。なお錆浸透剤K、L、Mは市販の錆浸透剤を使用した。それぞれの使用した原料とその配合を表1に示す。
各種試験の方法を次に示す。
(粘度)
前記で作成した錆浸透剤を23℃に保持し、B型粘度計を用いて60rpmの粘度を測定した。
(鉛筆硬度)
JIS K5600−5−4:1999に準拠し、試験用錆鋼板に上塗り塗料を2.0g(80μm)塗布し、23℃×1週間以上養生後、鉛筆硬度試験をおこない評価した。
(密着性)
試験用錆鋼板に錆浸透剤を1.0g(20μm)塗布し、30分後に上塗り塗料を1.5g(60μm)塗布した。23℃×1週間養生後に、さらに23℃で1週間水に浸漬した後にJIS K5600−5−6:1999に準拠して碁盤目試験(5×5=25マス)をおこない評価した。評価基準は以下の通りである。
○:25/25、△:15〜25/25、×:15以下/25
(点錆発生量)
試験用錆鋼板に錆浸透剤を1.0g(20μm)塗布し、5℃×1時間後に上塗り塗料を1.5g(60μm)塗布した。23℃×1週間養生後に、複合サイクル試験(JASO法)を100サイクル実施した。評価基準は以下の通りである。
○:点錆なし、 △:点錆発生面積1〜3%未満、 ×:点錆発生面積3%以上
(塗り重ね可能時間)
試験用錆鋼板に錆浸透剤を1.0g(20μm)塗布し、5℃×1時間後に歩行が可能であり、且つ上塗り塗料により1.5g(60μm)上塗可能な硬化状態になっている場合を○、なっていない場合を×とした。
(耐候性)
試験用錆鋼板に錆浸透剤を1.0g(20μm)塗布し、5℃×1時間後に上塗り塗料を1.5g(60μm)塗装した。23℃×1週間養生後に、JIS K5600−7−7の促進耐候性試験に準じて300時間の照射をおこなった。評価基準は以下の通りである。
○: 塗膜の変色、割れ、はがれが認められない。
△: 塗膜の変色が認められるが、割れ、はがれはない。
×: 塗膜の変色だけでなく、割れ、はがれが認められる。
使用した材料と配合を表1〜5に示すと共に、それらの評価結果を示す。また、使用した略号を次に示す。
<錆浸透剤>
EXA−8183:エポキシポリオールEXA−8183、DIC社製、固形分60%、水酸基価165KOHmg/g)
YD−011−75X:エポキシ樹脂 エポトートYD−011−75X〔新日鉄住金化学(株)社製商品名、固形分75%、エポキシ当量(固形分)475〕
SHF:芳香族オリゴマー ニットレジンSHF〔日塗化学(株)製商品名、スチレンオリゴマー、固形分82%、重量平均分子量300〜310〕
LLL:芳香族オリゴマー ニカノールLLL〔フドー(株)製商品名、スチレン化フェノール、固形分100%、重量平均分子量300〜350〕
PS−85H:タルク PS−85H〔(株)福岡タルク工業製商品名、吸油量50ml/100g、中位径4.5μm〕
200−C:マイカ 200−C(BHT社製商品名、中位径80μm)
R−5N:酸化チタン TITONE R−5N〔堺化学工業(株)製商品名、中位径0.26μm〕
ゼオライト:ゼオラムA−4〔東ソー(株)製商品名、脱水剤〕
K ホワイト#105:防錆顔料 K ホワイト#105〔テイカ(株)製商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウム、中位径1.6μm〕
D−103H:イソシアネート樹脂 タケネートD−103H〔三井化学(株)製商品名、TDIのTMPアダクト物、76%酢酸エチル溶液、NCO当量 320〕
153−60S:アミン樹脂 Sunmide 153−60S(エアープロダクツ社製商品名、60%キシレン−イソブチルアルコール溶液、アミン価73)
錆浸透剤a:塗布形素地調整軽減剤 サビシャット(ポリオール/イソシアネート樹脂系)〔大日本塗料(株)製商品名〕
錆浸透剤b:さび面素地調整補助剤 ハイポンサビスタ(エポキシ/アミン樹脂系)〔日本ペイント(株)製商品名〕
錆浸透剤c:浸透形特殊さび固定剤 ラストフリーザー(一液形エポキシ樹脂系)〔関西ペイント(株)製商品名〕
上塗り塗料は以下のように作成した。
<塗料1>
塗料ベース樹脂としてエポキシポリオール〔DIC(株)製、エピクロンEXA−8183、固形分60%、水酸基価165KOHmg/g〕100質量部、芳香族オリゴマー〔フドー(株)製 キシレン樹脂、ニカノールLLL、重量平均分子量300〜350)30重量部に、トルエン、MEK=1:1の混合溶剤60質量部で希釈したのちに、タルク〔(株)福岡タルク工業製商品名、吸油量50ml/100g、中位径4.5μm〕75質量部、酸化チタン〔石原産業(株)製、CR−80〕30質量部、タレ止め剤〔楠本化成(株)製、ディスパロン6650、脂肪酸アマイドワックス〕3質量部を加えて60分間撹拌分散をおこなった。この塗料ベース剤に、タケネートD−103H〔三井化学(株)製トリレンジイソシアネートアダクト、NCO当量320)をNCO/OHモル比が0.8になるように添加して塗料1を得た。
<塗料2>
塗料ベース樹脂としてアクリディックA817〔住化バイエルウレタン(株)製、アクリルポリオール樹脂、重量平均分子量24000〕100質量部に、トルエン、MEK=1:1の混合溶剤60質量部を希釈したのちに、エポトートYD−128〔新日鉄住金化学(株)製商品名、エポキシ樹脂、エポキシ当量190〕10重量部、タルク〔(株)福岡タルク工業製商品名、吸油量50ml/100g、中位径4.5μm〕75質量部、酸化チタン〔石原産業(株)製、CR−80〕30質量部、タレ止め剤〔楠本化成(株)製、ディスパロン6650、脂肪酸アマイドワックス)3質量部加えて60分間撹拌分散をおこなった。この塗料ベース剤に、タケネートD−170N〔三井化学(株)製商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートアダクト、NCO当量200)をNCO/OHモル比が0.7になるように添加して塗料2を得た。
<塗料3>
塗料ベース樹脂としてエポキシ樹脂〔新日鉄住金化学(株)製、エポトートYD−014、エポキシ当量950〕100質量部、キシレン樹脂〔フドー(株)製、ニカノールLL〕20質量部、顔料としてタルク100質量部、酸化チタン〔石原産業(株)製、CR−80〕30部、タレ止め剤〔楠本化成(株)製、ディスパロン6650、脂肪酸アマイドワックス〕3質量部、溶剤としてトルエン150質量部とMIBK50質量部を配合し、ディスパーで分散して塗料ベース剤を調整した。この塗料ベース剤に硬化剤として変性ポリアミドアミン(エアープロダクツ社製、サンマイド150−65、アミン価64mgKOH/g)をアミノ基(NH2)/エポキシ基のモル比が0.8になるように配合して、塗料3とした
<塗料4>
PSX700:ポリシロキサン樹脂塗料〔PPG PMCジャパン(株)製〕
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Claims (5)

  1. 鋼構造物の錆面又は低ケレン面に、錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する鋼構造物の補修塗装方法であって、
    前記錆浸透剤は、(i)主剤としてエポキシポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を含有、硬化剤としてイソシアネート樹脂又はアミン樹脂を含有し、芳香族オリゴマーを前記主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して固形分換算で5〜50質量部の量で含有すると共に、中位径が10μm以下である顔料を前記主剤及び硬化剤の合計100質量部に対して固形分換算で20質量部以下の量で含有し、(ii)温度5℃環境下における半硬化乾燥時間が80分以下であり、(iii)温度23℃における粘度が0.1Pa・s以下であり、
    前記上塗り塗料は、主剤としてポリオール樹脂又はエポキシ樹脂を含有すると共に、硬化剤としてイソシアネート樹脂又はアミン樹脂を含有することを特徴とする鋼構造物の補修塗装方法。
  2. 前記錆浸透剤は、主剤がエポキシポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の鋼構造物の補修塗装方法。
  3. 前記上塗り塗料は、主剤がポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼構造物の補修塗装方法。
  4. 前記上塗り塗料は、温度23℃で7日間以上経過後のJIS K5600−5−4に規定される鉛筆硬度がHB以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋼構造物の補修塗装方法。
  5. 前記錆浸透剤を塗装後、前記上塗り塗料を塗装するまでの間隔が5時間以内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋼構造物の補修塗装方法。
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