JP6301136B2 - ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物 - Google Patents

ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物に関する。
軟骨組織は、細胞外基質と、その中に点在する軟骨細胞とからなる結合組織であり、その機能は、衝撃を緩和し、関節をほぼ無摩擦にて運動させること等にある。
また、この組織は、軟骨膜によって包まれており、血管は該組織中には侵入することができないため、血管が存在する他の組織に比べ、再生に有用な生理活性物質等の提供を受け難いこともあり、再生能は極めて乏しいことが知られている。そのため、加齢、肥満、激しい運動、外傷、病気等により、関節の軟骨が損傷しても、その損傷部は十分には修復されることなく、関節痛や関節機能の喪失(軟骨変形や、半月板断裂、靭帯の障害)等を伴う、変形性関節症といった疾患に発展することとなる。
現在、変形性関節症等の治療方法は、保存療法と手術療法とに分けられる。保存療法としては、鎮痛剤を内服する方法、炎症を抑えるステロイド等を関節に注射する方法、軟骨関節液の成分の一つであるヒアルロン酸を関節腔内に投与する方法、サポーターにより関節を保護する方法等が挙げられる。しかしながら、いずれの方法も、関節痛の緩和や、症状の進行の遅延を目的としたものであるため、前述の通り、損傷した軟骨組織は修復されることはなく、最終的に重度の軟骨損傷に至ることがある。その場合、人工関節の置換等といった外科的な手術療法がとられるものの、生体適合性や耐久性等が問題となる。
かかる状況を鑑み、軟骨組織の再生を促す組成物の開発が望まれている。特に、前述の通り、変形性関節症等の治療方法は侵襲性の高い方法が多いため、経口投与等の非侵襲性投与により、軟骨組織の再生を促すことができ得る組成物の開発が強く望まれている。また、軟骨を問わず組織の再生の促進には発癌等の副作用が生じることが懸念されている。そのため、このような組成物には高い安全性を具備していることも求められている。しかしながら、このような軟骨組織の再生を促す組成物は未だ開発されていないのが現状である。
ところで、原核生物から真核生物まで、生物に普遍的に存在する生理活性物質に、ポリアミンがある。そして、その機能に関しては、細胞内のポリアミンが枯渇すると細胞増殖の停止が生じ、また、RNA等の核酸と相互作用することによりタンパク質合成を促進するため、細胞増殖に関与していることが想定されている(非特許文献1)。さらに、ポリアミンについては、破骨細胞の分化、増殖に対して阻害作用を奏することにより、慢性関節リウマチ等の関節炎を治療し得ることも報告されている(非特許文献2、特許文献1)。
しかしながら、細胞内のポリアミン濃度は、オルニチン脱炭酸酵素(ODC)をはじめとしたポリアミン生合成酵素群による生合成、ポリアミン分解酵素群による分解、そして細胞内への取り込みおよび細胞外への排出といった輸送を通じて厳密に制御されている。
そのため、ポリアミンを多く生体内に取り入れても、増殖促進を所望する細胞内のポリアミン濃度が増加し、さらには該増加により、該細胞から構成される組織の再生能が促進されるかどうかは定かではない。まして、前述の通り血管系等から隔離されている軟骨組織において、摂取により該組織内のポリアミン濃度が増加し得るのか、さらには該組織の再生が促進され得るのかについて何ら明らかにはされていなかった。
特開2013−47201号公報
Igarashi K.ら、Biochem Biophys Res Commun.、2000年、271巻、3号、559〜564ページ Iezaki T.ら、J Pharmacol Sci.、2012年、119巻、1号、107〜111ページ
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、軟骨組織の再生を促進することのできる組成物を提供することを目的とする。特に、本発明は、副作用が少なく、経口投与により、変形性関節症等の軟骨損傷に関連する疾患を治療又は予防するための組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく、ポリアミンによる軟骨組織再生の促進効果について、軟骨損傷モデルラットを用いて検証した。その結果、ポリアミン含有飼料を経口投与により摂取させたラットの軟骨組織において、その飼料中のポリアミン量に応じて、ポリアミンの濃度が増加していることが明らかになった。さらには、ポリアミン非含有飼料を摂取させたラットと比較して、ポリアミン含有飼料を摂取させたラットにおいて、軟骨組織の再生が顕著に促進されていることも明らかになった。なお、ポリアミンは、食経験豊富な様々な植物、動物に含有されているので、副作用の少ない安全な物質である。
以上の通り、ポリアミンは軟骨組織の再生を促進する活性を有していること、さらには、該活性は経口投与によっても軟骨組織において発揮されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下を提供するものである。
<1> ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物。
<2> ポリアミンが、スペルミン及びスペルミジンから選択される少なくとも1の化合物である<1>に記載の組成物。
<3> 軟骨組織の再生を介して、非炎症性の変形性関節症、椎間板損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨症及び外傷性軟骨損傷からなる群から選択されるいずれかの軟骨損傷に関連する疾患を治療又は予防するための、<1>又は<2>に記載の組成物。
<4> 軟骨組織の再生を介して、非炎症性の変形性関節症を治療又は予防するための、<1>又は<2>に記載の組成物。
<5> 経口投与用である、<1>〜<4>のいずれか一に記載の組成物。
本発明によれば、軟骨組織の再生を促進することが可能となる。特に、副作用が少なく、経口投与により、変形性関節症等の軟骨損傷に関連する疾患を治療又は予防することが可能となる。
ポリアミン非含有(0質量%ポリアミン含有)試験飼料、0.01質量%ポリアミン含有試験飼料、0.05質量%ポリアミン含有試験飼料又は0.1質量%ポリアミン含有試験飼料を2週間、経口投与により摂取させた軟骨損傷モデルラットの大腿骨をHE染色し、該大腿骨の正中縦断面を顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。図中、矢印は軟骨損傷部を指し示す。 ポリアミン非含有(0質量%ポリアミン含有)試験飼料、0.01質量%ポリアミン含有試験飼料、0.05質量%ポリアミン含有試験飼料又は0.1質量%ポリアミン含有試験飼料を2週間、経口投与により摂取させた軟骨損傷モデルラットの大腿骨をHE染色し、該大腿骨の正中縦断面を顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。図中、黒線は、軟骨損傷領域の骨髄側の最も深い位置(起点)と、該領域における修復部位で表層側の最も隆起している位置(終点)とを結んだ線である。 ポリアミン非含有(0質量%ポリアミン含有)試験飼料、0.01質量%ポリアミン含有試験飼料、0.05質量%ポリアミン含有試験飼料又は0.1質量%ポリアミン含有試験飼料を2週間、経口投与により摂取させた軟骨損傷モデルラットの大腿骨をサフラニンO染色し、該大腿骨の正中縦断面を顕微鏡にて観察した結果を示す写真である。図中、矢印は軟骨損傷部を指し示す。
後述の実施例において示す通り、軟骨損傷モデルラットを用いて検証した結果、ポリアミンを摂取させたラットの軟骨組織において、ポリアミンの摂取量に応じて、ポリアミンの濃度が増加していることが明らかになった。さらには、ポリアミンを摂取することによって、損傷部における軟骨組織の再生が促進されていることも明らかになった。
したがって、本発明は、ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物を提供するものであり、該組成物は、軟骨組織の再生を介した、軟骨損傷に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物、飲食品として用いることができる。また、培養軟骨組織の再生を促進するための試薬として用いることができる。
本発明において、「軟骨組織」とは、軟骨細胞又は軟骨細胞様細胞、及び細胞外基質(例えば、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン、ケラタン硫酸プロテオグリカン及びデルマタン硫酸プロテオグリカン等のプロテオグリカン、I型、II型、IX型及びXI型コラーゲン)を含む結合組織を意味し、硝子軟骨組織(関節軟骨組織)、線維軟骨組織、弾力軟骨組織が挙げられる。また、「軟骨組織」は、ヒト又はヒト以外の動物(例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、サル)に由来するものであり、さらには、これら動物の体内(例えば、関節、半月板、椎間板、胸郭壁、喉頭、気道、耳)に存在する組織であってもよく、体外に存在する組織(例えば、培養軟骨組織)であってもよい。また、本発明において「軟骨組織」とは、該組織を構成する細胞(軟骨細胞、軟骨細胞様細胞等)を含む概念である。
「軟骨組織の再生」とは、後述の損傷を受けた軟骨組織を、物理的及び/又は機能的に、本来の正常な状態に近付ける又は戻すことを意味する。
「軟骨損傷」とは、加齢、外傷、その他様々な要因によって、軟骨組織が障害を受けている状態をいい、例えば、軟骨欠損、軟骨摩耗、軟骨消失、軟骨分解、軟骨変形、軟骨変性の状態が挙げられる。また「軟骨損傷に関連する疾患」は、軟骨損傷を伴う疾患であれば特に制限はなく、例えば、変形性膝関節症、変形性股関節症及び変形性肩関節症等の変形性関節症(特に、非炎症性の変形性関節症)、椎間板損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨症、外傷性軟骨損傷が挙げられる。
本発明において、「ポリアミン」とは、第一級アミノ基を2つ以上含む脂肪族炭水化物を意味し、例えば、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、ペンタアミン、ヘキサアミンが挙げられ、より具体的には、プトレスシン、カダベリン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、スペルミジン、カルジン、ホモスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、スペルミン、テルミン、テルモスペルミン、カナバルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、アミノプロピルホモスペルミン、カナバルミン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、アミノプロピルカナバルミン、ビス(アミノプロピル)ホモスペルミン、ビス(アミノプロピル)ノルスペルミン、アミノブチルカナバルミン、アミノプロピルホモスペルミン、ホモペンタミン、カルドヘキサミン、ホモカルドヘキサミン、セルモヘキサミン、ホモセルモヘキサミンが挙げられる。本発明の組成物には、このようなポリアミンが単種又は複数種含まれていてもよい。また、これらポリアミンの中では、軟骨組織の再生を促進する活性が高く、また細胞内に主に存在しているポリアミンであるため、生体内において利用され易いという観点から、本発明の組成物には、スペルミジン[NH(CHNH(CHNH]又はスペルミン[NH(CHNH(CHNH(CHNH〕が含まれていることが好ましく、スペルミジン及びスペルミンの両方が含まれていることがより好ましい。
また、本発明において、「ポリアミン」は、薬理学的に許容な塩の形態であってもよい。かかる塩としては、例えば、クエン酸、酢酸、トリクロル酢酸、スルホサリチル酸等の有機酸の塩(有機酸付加塩)、硫酸、塩酸、酢酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸の塩(無機酸付加塩)が挙げられる。
ポリアミンは、種々の植物、動物の組織、細胞内に普遍的に存在するので、これら組織等、特にサケ等魚類の白子、牛や豚等の動物の精子から、公知の手法に沿って抽出することができる。また、大豆胚芽を酸にて処理することにより抽出することもできる。さらに、ポリアミンは、化学合成又は酵素や微生物を用いた生化学的合成等によっても調製することができる。また、和光純薬工業株式会社やSIGMA社等から、購入することによりポリアミンを得ることもできる。また、前記ポリアミンンの酸付加塩は、遊離の塩基形態のポリアミンと、適当な酸とを、常法にて接触させることにより、調製することができる。
本発明の組成物において有効成分として含有されるポリアミンの量は、該組成物の用途(例えば、医薬組成物用途、飲食品用途、試薬用途)において適宜、対象の軟骨組織の再生を促進できる量であればよく、好ましくは、組成物全体の0.001〜100質量%であり、より好ましくは、0.1〜100質量%である。また、本発明の組成物中のスペルミジン及びスペルミンの含有比率としては、好ましくは、各々0.0008〜80質量%及び0.0002〜20質量%であり、より好ましくは、各々0.08〜80質量%及び0.02〜20質量%である。
本発明の組成物を医薬組成物として用いる場合、当該医薬組成物は、公知の製剤学的方法により製剤化することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、丸剤、液剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、フィルムコーティング剤、ペレット剤、トローチ剤、舌下剤、咀嚼剤、バッカル剤、ペースト剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、乳剤、塗布剤、軟膏剤、硬膏剤、パップ剤、経皮吸収型製剤、ローション剤、吸引剤、エアゾール剤、注射剤、坐剤等として、経口的又は非経口的に使用することができる。しかしながら、投与対象への負担が少ないという観点から、本発明の組成物は、経口投与用組成物として用いることが好ましい。また、後述の実施例において示しているように、本発明の組成物による軟骨組織再生の促進は、該組織中のポリアミン濃度の増加によってもたらされるものである。したがって、軟骨組織中のポリアミン濃度を効率良く増加させるという観点から、本発明の組成物は、局所投与用組成物(軟骨損傷部等を対象とする、注入用組成物、塗布用組成物、埋め込み型組成物等)として用いることもできる。
これら製剤化においては、薬理学上若しくは飲食品として許容される担体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、溶剤、基剤、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、芳香剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤、希釈剤、等張化剤、無痛化剤、増量剤、崩壊剤、緩衝剤、コーティング剤、滑沢剤、着色剤、甘味剤、粘稠剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤あるいはその他の添加剤等と適宜組み合わせることができる。
また、本発明の医薬組成物は、必要に応じて、他の医薬活性成分を含んでいてもよく、例えば、コンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミン、コラーゲン、ゼラチン、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、軟骨細胞成長促進因子(BMP、FGF、VEGF、HGF、TGF−β、IGF−1、PDGF、CDMP、CSP、EPO、IL、OP、COP等)が挙げられる。
また、本発明の組成物を飲食品として用いる場合、当該飲食品は、例えば、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養補助食品、病者用食品、食品添加物又は動物用飼料であり得る。本発明の飲食品は、上記のような組成物として摂取することができる他、種々の飲食品として摂取することもできる。飲食品の具体例としては、食用油、ドレッシング、マヨネーズ、マーガリン等の油分を含む製品;スープ類、乳飲料、清涼飲料水、茶飲料、アルコール飲料、ドリンク剤、ゼリー状飲料、機能性飲料等の液状食品;飯類、麺類、パン類等の炭水化物含有食品;ハム、ソーセージ等の畜産加工食品;かまぼこ、干物、塩辛等の水産加工食品;漬物等の野菜加工食品;ゼリー、ヨーグルト等の半固形状食品;みそ、発酵飲料等の発酵食品;洋菓子類、和菓子類、キャンディー類、ガム類、グミ、冷菓、氷菓等の各種菓子類;カレー、あんかけ、中華スープ等のレトルト製品;インスタントスープ,インスタントみそ汁等のインスタント食品や電子レンジ対応食品等が挙げられる。さらには、粉末、穎粒、錠剤、カプセル剤、液状、ペースト状又はゼリー状に調製された健康飲食品も挙げられる。
本発明における飲食品の製造は、当該技術分野に公知の製造技術により実施することができる。当該飲食品においては、他の機能性食品と組み合わせることによって、多機能性の飲食品としてもよい。
本発明の組成物は、前述の通り、ヒト又はヒト以外の動物を対象として使用することができるが、特にヒトに好適に用いられる。また、ヒト以外の動物としては特に制限はなく、種々の家畜、家禽、ペット、実験用動物等を対象とすることができる。具体的には、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、カモ、ダチョウ、アヒル、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、マウス、ラット、サルが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の組成物を投与又は摂取する場合、その投与量又は摂取量は、対象の年齢、体重、症状、健康状態、組成物の種類(医薬品、飲食品等)、投与等の形態(経口投与、非経口投与等)等に応じて、適宜選択されるが、ヒト(成人)を対象とした場合、1日に、20〜20000mgのポリアミンを含む本発明の組成物を1回若しくは数回に分けて投与することが好ましく、また、1日に、スペルミジン及びスペルミンを、各々0.032〜1600mg及び0.008〜400mg含む本発明の組成物を1回若しくは数回に分けて投与することが好ましい。
本発明の組成物の製品(医薬品、飲食品、試薬)又はその説明書は、軟骨組織の再生を促進するために用いられる旨の表示を付したものであり得る。ここで「製品又は説明書に表示を付した」とは、製品の本体、容器、包装等に表示を付したこと、あるいは製品の情報を開示する説明書、添付文書、宣伝物、その他の印刷物等に表示を付したことを意味する。
なお、本発明の組成物の有効成分である、ポリアミンは、食経験豊富な様々な植物、動物に含有されているので、副作用の少ない安全な物質である。したがって、本発明は、軟骨組織再生を促進することのみならず、副作用の少ない組成物を提供することができる。
また、本発明は、上述の通り、本発明の組成物を対象に投与又は摂取等させることにより、軟骨組織の再生を促進することができる。さらに、該再生を介して、軟骨損傷に関連する疾患を予防又は治療することもできる。したがって、本発明は、ポリアミンを対象に適用させることにより、対象の軟骨組織の再生を促進する方法、並びに、ポリアミンを対象に適用させることにより、軟骨組織の再生を介して、対象の軟骨損傷に関連する疾患(例えば、変形性膝関節症、変形性股関節症及び変形性肩関節症等の変形性関節症(特に、非炎症性の変形性関節症)、椎間板損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨症又は外傷性軟骨損傷)を治療又は予防するための方法をも提供する。
本発明において「適用」とは、対象がヒト又はヒト以外の動物である場合には、前述の通り、投与又は摂取等であり、対象が培養軟骨組織等である場合には、該組織への直接的な接触又は間接的な接触(例えば、該組織を培養している培地への添加)等である。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本実施例は、以下に記載の、軟骨損傷モデルラット、試験飼料、並びに解析方法を用いて行った。
(軟骨損傷モデルラット)
ラット(Lewisラット、チャールスリバー社製、メス、8〜10週齢、体重200〜250g)をイソフルレン吸引により麻酔した後に、該ラットの膝関節正中の皮膚を1cm切開した。次いで、膝蓋骨外側より関節包を切離し、膝蓋骨を内側へ脱臼させて、大腿骨顆部軟骨を露出させた。そして、大腿骨顆部正中に大腿骨長軸に向かってキルシュナーワイヤー(瑞穂医科工業株式会社製、径1.5mm)を1mmの深さにて刺入した。次いで、関節包、皮膚を4−0ナイロンで縫合し、軟骨損傷モデルラット(大腿骨顆部軟骨損傷モデルラット)を調製した。
また、これらラットは、温度・湿度制御環境下、12時間毎の明/暗サイクルにて、後述の試験飼料、及び水を不断に与えて飼育した。また、本実施例における全ての動物実験は、自治医科大学動物実験指針に従って行った。
(試験飼料)
前記軟骨損傷モデルラットに摂取させた試験試料は以下のようにして調製した。
ポリアミン非含有試験飼料は、げっ歯類用飼料(オリエンタルバイオ株式会社製、AIN−93G)製造の際に、該飼料の成分である精製大豆油(ポリアミンを豊富に含有する原材料)の代わりに、コーン油を混合することにより、調製した。
0.1質量%ポリアミン含有試験飼料は、合成スペルミン及びスペルミジン(和光純薬工業株式会社製)を前記ポリアミン非含有試験飼料に各々、飼料中のポリアミン含有率が0.02及び0.08質量%になるよう混合して調製した。
0.05質量%ポリアミン含有試験飼料は、合成スペルミン及びスペルミジン(和光純薬工業株式会社製)を前記ポリアミン非含有試験飼料に各々、飼料中のポリアミン含有率が0.01及び0.04質量%になるよう混合して調製した。
0.01質量%ポリアミン含有試験飼料は、合成スペルミン及びスペルミジン(和光純薬工業株式会社製)を前記ポリアミン非含有試験飼料に各々、飼料中のポリアミン含有率が0.002及び0.008質量%になるよう混合して調製した。
なお、これら試料はペレットにして、前記ラットに摂取させた。
(ポリアミン量の測定方法)
前記試験試料を摂取させた軟骨損傷モデルラットから、軟骨を単離した。単離した軟骨を0.1N HClにて245倍希釈し、1時間振とうした後、10,000g、5分間の条件にて遠心し、上清を回収した。回収した上清を蒸留水にて2倍希釈し、0.45μmフィルターにてろ過したものを、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、製品名;プロミネンス)にて解析し、スペルミジン及びスペルミンの量を測定した。そして、得られた測定量に基づき、軟骨1gあたりのスペルミジン及びスペルミンの量を各々算出した。
(実施例1)
前記損傷を与えてから2週間、軟骨損傷モデルラットに、ポリアミン非含有試験飼料、0.01質量%ポリアミン含有試験飼料、0.05質量%ポリアミン含有試験飼料又は0.1質量%ポリアミン含有試験飼料を、自由に摂取させた。そして、これらラットの大腿骨を摘出し、筋肉等の付随組織を除去した後に、10%ホルマリンにて固定した。ホルマリン固定した大腿骨を用い、正中縦断面で標本を作製した。作製した標本にヘマトキシリン・エオジン(HE)染色又はサフラニンO染色を施し、軟骨の損傷度又は再生の程度を顕微鏡下にて観察した。得られた結果を図1〜3に示す。
なお、標本の作製、該標本のHE染色及びサフラニンO染色は、三菱化学メディエンス株式会社に委託し、定法に従って行った。また、顕微鏡観察においては、オールインワン蛍光顕微鏡(株式会社キーエンス製、製品名:BZ−9000、対物レンズ:×4)を用い、連続撮影(ソフト名:イメージジョイント(株式会社キーエンス製))にて、組織サンプルを画像化した。さらに、HE染色を施した組織サンプルに関しては、各サンプルの最も深い位置(骨髄側)を起点にし、また損傷領域における修復部位で最も隆起している位置(表層側)を終点と定めた(図2 参照)。そして、ポリアミン非含有試験飼料を摂取させたラットの軟骨損傷領域の起点−終点間の値(長さ)を「1.00」と定め、該値を基準とし、同様に測定した各サンプルの起点−終点間の長さについて相対値を求めた。
また、これらラットにおける軟骨のポリアミン量を測定した。得られた結果を表1に示す。
試験飼料を2週間摂取させた後、ラットの軟骨損傷部をHE染色を施して観察した結果、ポリアミン非含有試験飼料を摂取させたラットの軟骨損傷部(図1中、矢印が示す部位)の深部を1.00と定めた際に、0.01質量%ポリアミン含有試験飼料摂取例のそれは0.913であり、0.05質量%ポリアミン含有試験飼料摂取例のそれは0.25であり、0.1質量%ポリアミン含有試験飼料摂取例のそれは0.087であった(図2 参照)。
また、試験飼料を2週間摂取させた後、ラットの軟骨損傷部をサフラニンO染色を施して観察した結果、前述のHE染色の結果同様、図3に示す通り、ポリアミン含有試験飼料を摂取させたラットにおいて、軟骨損傷部は、サフラニンO陽性の軟骨様組織による修復が促進されていることが明らかになった。
さらに、表1に示す通り、これらラットの軟骨中のポリアミン量は、摂取させた試験飼料に含まれるポリアミンの濃度に依存して増加していることも明らかになった。
したがって、ポリアミンを経口投与により摂取させることにより、軟骨組織中のポリアミン量を増加させることができ、さらには該組織の再生を促進できることが明らかになった。
以上説明したように、本発明によれば、軟骨組織の再生を促進することが可能となる。したがって、本発明の組成物は、軟骨組織の再生を促進することができるため、該再生を介した、軟骨組織の損傷に関連する疾患の治療又は予防のための医薬組成物、飲食品、及び培養軟骨組織の再生を促進するための試薬等として有用である。

Claims (5)

  1. ポリアミンを有効成分とする、軟骨組織の再生を促進するための組成物。
  2. ポリアミンが、スペルミン及びスペルミジンから選択される少なくとも1の化合物である請求項1に記載の組成物。
  3. 軟骨組織の再生を介して、非炎症性の変形性関節症、椎間板損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨症及び外傷性軟骨損傷からなる群から選択されるいずれかの軟骨損傷に関連する疾患を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 軟骨組織の再生を介して、非炎症性の変形性関節症を治療又は予防するための、請求項1又は2に記載の組成物。
  5. 経口投与用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
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