JP2023548903A - 軟骨変性における使用のための、オレウロペイン及びケルセチンの組み合わせを使用した組成物及び方法 - Google Patents

軟骨変性における使用のための、オレウロペイン及びケルセチンの組み合わせを使用した組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、個体における関節の健康の維持又は関節障害の予防若しくは治療のための、有効量のオレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせを含む組成物の使用に関する。特に、本発明は、個体における軟骨変性の予防又は治療に使用するための、有効量のオレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせを含む組成物に関する。【選択図】 なし

Description

本発明は、関節の健康に関し、特に、関節障害の予防若しくは治療又は関節の健康の維持のための、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその代謝産物との組み合わせを含む組成物の使用に関する。
変形性関節症(OA)は、重大な社会経済上の影響を有する有病率の高い疾患である。変形性関節症は、関節の関節軟骨の変性疾患であり、最も一般的な形態の関節炎であり、成人人口の10%に影響を及ぼしている。OAは、世界中で高齢者の身体障害及び医療費負担の主な原因である。関節軟骨の進行性の退化及び減少は、病理学の主要な特徴に属し、滑膜の増殖、軟骨下骨の硬化及び厚み(thickness)、関節周囲での骨棘形成、靭帯弛緩、並びに筋萎縮(これら全てがOAの臨床症状の一因となる)などの、いずれもOAの臨床症状に寄与する、その他の関節構造の変化を伴う。これらの症状としては、重度の痛み、こわばり、関節運動の低下、及び障害が挙げられる。関節軟骨は、細胞外マトリックスの維持を、その常在細胞である軟骨細胞のみに依存しているため、軟骨細胞の機能及び生存が損なわれると、関節軟骨の機能不全につながる。
最近のex vivo研究によりヒトOA軟骨細胞におけるミトコンドリア機能不全が報告されており、これらの細胞におけるミトコンドリア電子伝達鎖活性の分析から、正常な軟骨細胞と比較して複合体I、II及びIIIの活性が低下していること、ならびに低ATP産生であることが示された。このミトコンドリア機能不全は、酸化的ストレス、欠損した軟骨細胞生合成及び増殖応答、サイトカイン誘導性軟骨細胞炎症及びマトリックス異化の増加、軟骨マトリックスの石灰化、ならびに軟骨細胞アポトーシスの増加などの、軟骨変性に関与するいくつかの経路に影響を及ぼし得る(Blanco et al.「The role of mitochondria in osteoarthritis」 Nat.Rev.Rheumatol.7,161-169(2011))。
ミトコンドリアは、哺乳動物細胞における有酸素エネルギー生成の主要な源であり、また、内膜を隔てて大きなCa2+勾配を維持し、当該分子のシグナル伝達電位を提供する。更に、ミトコンドリアのCa2+は、ミトコンドリアにおいてATP生成の調節に働き、細胞の代謝恒常性のオーケストレーションに寄与している可能性がある。(Glancy,B.and R.S.Balaban(2012).「Role of mitochondrial Ca2+ in the regulation of cellular energetics.」Biochemistry 51(14):2959-2973)。
OAに罹患している個体は増加しているが、治療法は未だ存在せず、現在の薬物療法は、依然として、症状の緩和に焦点を当てた対症療法しか存在しない。例えば、痛み及び炎症は、鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を使用して治療される。更に、これらの薬物の使用は、多くの場合、胃腸又は心血管リスクなどの副作用を伴う。OAに対する現在の治療は、OAを予防又は治癒しないため、軟骨細胞アポトーシスは、軟骨変性を調節するための有効な標的である。
[発明の概要]
本発明者らは、驚くべきことに、オレウロペイン(又はオレウロペインアグリコン)とケルセチンとの組み合わせが、ミトコンドリアカルシウム上昇を介して、細胞レベルでミトコンドリア機能を相乗的に活性化することを実証した。
したがって、本発明の目的は、関節の健康の改善における使用のための組成物を提供することに関する。特に、本発明の目的は、軟骨変性を予防又は治療することによって関節の健康を改善し、胃腸及び/又は心血管リスクなどの副作用に関する先行技術の上述の問題を解決する組成物を提供することである。
したがって、本発明の一態様は、個体における軟骨変性の予防又は治療に使用するための、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物と、ケルセチン及び/又はその誘導体と、の組み合わせを含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、本発明による使用のための組成物を製造する方法に関する。
最後の態様では、本発明は、1つ以上の容器中に、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物と、ケルセチン及び/又はその誘導体と、の組み合わせを含むキットに関する。
更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
オレウロペイン(Ole)がケルセチン(Q)と相乗作用して、HeLa細胞刺激中にミトコンドリアCa2+の上昇を介してミトコンドリアを活性化することを示すグラフである。挿入部分は、100μMのヒスタミンにより誘発された、統合されたミトコンドリアカルシウムの上昇に対するオレウロペイン(3μM、黒色)、ケルセチン(3μM、灰色)、及び3μMのオレウロルペイン+3μMのケルセチンの組み合わせ(Ole/Q)の効果を示す。挿入図のデータを使用して、本図において、組み合わせ(オレウロペイン+ケルセチン、Ole/Q)について予想される理論上の効果(オレウロペイン効果とケルセチン効果との合計)及び実際に測定された効果を決定し、相乗作用を表した。結果を、n=6~9回の実験の平均+/-SEMとして表す。*は、ミトコンドリアカルシウムにおける測定値と理論値との差異に関しP<0.05(スチューデントt検定)での統計的有意差を示す。 刺激したHeLa細胞において、オレウロペインアグリコン(Oea)がケルセチン(Q)と相乗作用して、ミトコンドリアCa2+の上昇を介してミトコンドリアを活性化することを示すグラフである。挿入部分は、100μMのヒスタミンにより誘発された、統合されたミトコンドリアカルシウムの上昇に対するオレウロペインアグリコン(3μM、黒色)、ケルセチン(3μM、灰色)、及び3μMのOea+3μMのQの組み合わせ(Oea/Q)の効果を示す。挿入図のデータを使用して、本図において、組み合わせ(Oea+ケルセチン、Oea/Q)について予想される理論上の効果(Oea効果とケルセチン効果との合計)及び実際に測定された効果を決定し、相乗作用を表した。結果を、n=6~9回の実験の平均+/-SEMとして表す。*は、ミトコンドリアカルシウムにおける測定値と理論値との差異に関しP<0.05(スチューデントt検定)での統計的有意差を示す。 刺激したHeLa細胞において、オレウロペイン(Ole)が、オレウロペインアグリコン(Oea)と相乗作用せず、ミトコンドリアCa2+の上昇を介してミトコンドリアを活性化しないことを示すグラフである。棒グラフは、100μMのヒスタミンによって誘発された統合ミトコンドリアカルシウムの上昇に対するオレウロペイン(3μM、黒色)、オレウロペインアグリコン(3μM、灰色)、及び3μM Ole+3μM Oeaの組み合わせ(Ole/Oea)の効果を示す。結果を、n=6~9回の実験の平均+/-SEMとして表す。*は、ミトコンドリアカルシウムにおける測定値と理論値との差異に関しP<0.05(一元配置ANOVA検定)での統計的有意差を示す。 オレウロペイン(Ole)及びオレウロペインアグリコン(Oea)が、ケルセチン(Q)との組み合わせで同じレベルの相乗作用を促進することを示すグラフである。相乗作用を図1及び図2に記載したように計算した。結果を、n=6回の実験の平均+/-SEMとして表す。NS(有意でない)は、P<0.05(スチューデントt検定)で2群(組み合わせ)の間に統計的有意差がないことを示す。 変形性関節症軟骨細胞の「インビトロ」モデル(炎症促進性サイトカインインターロイキン-1β、IL-1βで処理したSW1353細胞)が機能不全の軟骨細胞を示すことを示す。したがって、図5のAは、当該モデルでは対照軟骨細胞と比較してコラーゲン-IIα1含量が大きく減少していることを示すグラフである。加えて、図5のB及び図5のCは、メタロプロテイナーゼMMP3(図5のB)及びMMP13(図5のC)の発現がIL-1β処理細胞において増加することを示す2つのグラフである。結果を、条件毎にn=5(図5のA)又はn=3(図5のB)又はn=4(図5のC)の実験の平均+/-SEMとして表す。*は、示されているように、対照と、IL-1βで24時間又は48時間処理したSW1353細胞との統計的有意差を示す(P<0.05、一元配置ANOVA検定)。 変形性関節症軟骨細胞の「インビトロ」モデル(IL-1βで処理されたSW1353細胞)がSW1353軟骨細胞の細胞死の増加を示すことを示す。したがって、アネキシン-V陽性細胞は、示されているようにIL-1β処理の5日後に有意に増加した。結果を、条件毎にn=11の実験の平均値+/-SEMとして表す。*は、提示の時点での、対照細胞と、IL-1βで処理したSW1353細胞との統計的有意差を示す(P<0.05、スチューデントt検定)。 形性関節症軟骨細胞の「インビトロ」モデル(IL-1βで処理されたSW1353細胞)が、損傷したミトコンドリア膜電位を有する機能不全ミトコンドリアを示すことを示す。したがって、ミトコンドリア膜電位センサーJC10の蛍光比(590/525nm)は、IL-1βの24時間後に有意に減少し、ミトコンドリアの活性化の減少を示す。結果を、条件毎にn=8の実験の平均値+/-SEMとして表す。*は、提示の時点での、対照細胞と、IL-1βで処理したSW1353細胞との統計的有意差を示す(P<0.05、一元配置ANOVA検定)。 変形性関節症軟骨細胞の「インビトロ」モデル(IL-1βで処理されたSW1353細胞)が、刺激中に、ミトコンドリアカルシウム取り込みが損なわれた機能不全ミトコンドリアを示すことを示す。グラフは、提示の時点での、アゴニスト(ヒスタミン)によって刺激されたミトコンドリアCa2+上昇、IL-1βで処理したSW1353細胞における減少、を示す。結果を、条件毎にn=46~96の実験の平均値+/-SEMとして表す。*は、提示の時点での、対照と、IL-1βで処理したSW1353細胞との統計的有意差を示す(P<0.05、一元配置ANOVA検定)。 軟骨細胞の「インビトロ」遺伝モデルSW1353細胞)を示す。ミトコンドリアカルシウム取り込み不全(MCU-ノックダウン、MCU-kd)は、軟骨細胞機能の障害を示す。図9のAは、MCUの発現がMCU除去SW1353細胞(MCU-kd)において減少することを示すウェスタンブロットである。図9のB及び9Cに示されるように、コラーゲン-IIα1含量及びアグリカン含量は、それぞれ、ミトコンドリアにおけるカルシウムの取り込みを場に回する輸送体であるMCUの発現が減少すると大きく減少する。さらに、図9のDは、メタロプロテイナーゼMMP3の発現が、MCU枯渇細胞において増加することを示すグラフである。結果を、各グラフ(図9のB、C、D)において、条件毎にn=3回の実験からの平均+/-SEMとして表す。*は、P<0.05(一元配置ANOVA検定)で示されているように対照細胞とMCU枯渇細胞との統計的有意差を示す。 先の図に記載した変形性関節症軟骨細胞の細胞モデル(IL-1βBで処理したSW1353細胞)において、オレウロペインアグリコン(Oea)がケルセチン(Q)と相乗作用して、ミトコンドリアCa2+上昇を介してミトコンドリアを活性化することを示すグラフである。挿入図は、100μMのヒスタミンによって誘発された、統合されたミトコンドリアカルシウム上昇に対する、オレウロペインアグリコン(0.3μM、黒色)、ケルセチン(3μM、灰色)及び0.3μM Oea+3μM Qの組み合わせ(Oea/Q)の効果を示す。挿入図のデータを使用して、本図において、組み合わせ(Oea+ケルセチン、Oea/Q)について予想される理論上の効果(Oea効果とケルセチン効果との合計)及び実際に測定された効果を決定した。*は、ミトコンドリアカルシウムにおける測定値と理論値との差異に関しP<0.05(スチューデントt検定)での統計的有意差を示す。 オレウロペインアグリコン(Oea)とケルセチン(Q)とのいくつかの組み合わせが、先の図に記載された変形性関節症軟骨細胞の細胞モデル(IL-1βBで処理されたSW1353細胞)において、ミトコンドリアCa2+上昇を介してミトコンドリアを活性化するように相乗作用することを示すグラフである。Oea及びQの量を、各パネル(A、B、C)の上部に示し、マイクロモル(μM)で表す。予想される理論上の効果(Oea効果とケルセチン効果との合計)及び組み合わせ(Oea+ケルセチン、Oea/Q)について実際に測定された効果を、図10に記載のように測定し、それらをここで比較して相乗作用として表す。結果を、各条件についてn=7の実験の平均+/-SEMとして表す。*は、ミトコンドリアカルシウムにおける測定値と理論値との差異に関しP<0.05(スチューデントt検定)での統計的有意差を示す。
定義
本発明を更に詳細に議論する前に、以下の用語及び一般技術常識を最初に定義する。
本発明の背景において、特に明記しない限り、言及されるパーセンテージとは、重量/重量パーセンテージである。
「X及び/又はY」の文脈で使用される用語「及び/又は」は、「X」又は「Y」、又は「X及びY」として解釈すべきである。
本明細書で使用される数値の範囲には、明確に開示されるかどうかに関わらず、この範囲内に含まれる全ての数字及び数字の部分集合を含むことが意図されている。更に、これらの数値の範囲は、この範囲内の任意の数字又は数字の部分集合を対象とする請求項へのサポートを提供すると解釈すべきである。例えば、1~10という開示は、1~8、3~7、4~9、3.6~4.6、3.5~9.9などの範囲をサポートするものと解釈されたい。
用語「予防する」及び「予防」とは、その状態の症状を何ら示していない対象に対して、その状態に関連する少なくとも1つの症状の発生を抑える又は予防するために本明細書に開示される組成物を投与することを意味する。更に、「予防」には、状態又は障害の危険性、発生率、及び/又は重症度の低減が含まれる。
本明細書で使用するとき、「有効量」とは、個体における、欠乏を治療若しくは予防する、疾患若しくは医学的状態を治療若しくは予防する、又は、更に一般的には、個体に対して、症状を軽減する、疾患の進行を管理する、若しくは栄養学的、生理学的若しくは医学的利益を提供する量である。
「動物」としては、限定されるものではないが、齧歯類、水棲哺乳動物、イヌ、ネコ、及び他のペットなどの家庭内動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない、哺乳動物が挙げられる。「動物」、「哺乳動物」、又はこれらの複数形が使用される場合、これらの用語はまた、一節の状況、例えば、ミトコンドリアカルシウム輸送の改善からの動物の受益により、示される又は意図する効果が示されることが可能な任意の動物にも適用される。用語「個体」又は「対象」は、本明細書において多くの場合にヒトを指すのに用いられるが、本開示はそのように限定されない。したがって、用語「個体」又は「対象」は、本明細書に開示される方法及び組成物から利益を得ることができる任意の動物、哺乳動物又はヒトを指す。
用語「ペット」とは、本開示により提供される組成物から恩恵を得られる、又はかかる組成物を堪能することのできる、任意の動物を意味する。例えば、ペットは、鳥類、ウシ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ネコ科動物、ヤギ、オオカミ科動物、ネズミ、ヒツジ又はブタといった動物であってもよいが、ペットは任意の好適な動物であり得る。用語「コンパニオンアニマル」とは、イヌ又はネコを意味する。
「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。用語「高齢」は、ヒトに関連して、少なくとも60歳、好ましくは63歳超、より好ましくは65歳超、最も好ましくは70歳超の年齢を意味する。ヒトの文脈での「中高年者(older adult)」という用語は、45歳以上、好ましくは50歳より上、より好ましくは55歳より上の出生後年齢を意味し、高齢の個体を含む。ヒトの文脈での「中高年者(older adult)」という用語は、45歳以上、好ましくは50歳より上、より好ましくは55歳より上の出生後年齢を意味し、高齢の個体を含む。
「経口栄養補助食品」すなわち「ONS」は、少なくとも1つの主要栄養素及び/又は少なくとも1つの微量栄養素を含む組成物であり、例えば、無菌液体、半固体又は粉末の形態であり、食品からの栄養摂取などの他の栄養摂取を補うことを意図している。市販のONS製品の非限定例としては、MERITENE(登録商標)、BOOST(登録商標)、NUTREN(登録商標)、及びSUSTAGEN(登録商標)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ONSは、液体を更に添加せずとも摂取され得る、例えば、液量が組成物の1サービング分である、液体形態の飲料とすることができる。
「キット」は、1つ以上の容器中で又は1つ以上の容器を伴って、キットの構成要素が、物理的に関連付けられ、そして、製造、配送、販売、又は使用のための1つのユニットとみなされることを意味している。入れ物としては、袋、箱、カートン、ボトル、任意の種類若しくは設計若しくは材料のパッケージ、上包装、シュリンク包装、添付された構成要素(例えば、ステープルで留められたもの、又は接着されたものなど)、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
特別の定めのない限り、又は言及された文脈によって相容れないものと明確に暗示されていない限り、本発明の単一の特徴又は単一の制限へのあらゆる言及は、それに対応する複数の特徴又は複数の制限を含むものとし、複数の特徴又は複数の制限へのあらゆる言及は、それに対応する単一の特徴又は単一の制限を含むものとする。
別段の定義がされていない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって通常理解されているものと同じ意味を持つ。
使用のための組成物
関節疾患は、程度の差はあるが、炎症を伴い得る。いくつかの疾患において、例えば関節リウマチ(RA)などにおいて、炎症は最も重要な要素である。他の疾患、例えばOAなどでは炎症はそれほど顕著に現れない。しかしながら、いずれの疾患も、異化作用を示す要素を有していることで関節軟骨が破壊される。
本発明者らは、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせの提供が、例えば変形性関節症において変化したミトコンドリア機能を相乗的に改善することを示した。
すなわち、本発明は、第1の態様では、関節の健康を改善するための、例えば、個体における軟骨変性を予防又は治療するために使用するための、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体との組み合わせを含む組成物に関する。
別の様式では、本発明のこの態様は、個体における軟骨変性の予防又は治療のための医薬の製造における、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体との組み合わせの使用として記載することができる。
軟骨変性を予防又は治療するための使用は、軟骨変性を阻害又は減少させるための使用と同義である。
したがって、本発明の実施形態は、軟骨変性を予防又は治療に使用するための、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体との組み合わせを含む組成物を含む。
本発明のさらなる実施形態は、本発明による使用のための組成物を含み、該組成物はカルシウムをさらに含む。
原材料 主要な生物活性化合物
オレウロペイン及びケルセチンは、本発明による主要な生物学的活性分子である。
オレウロペインは、モクセイ(Oleaceae)科に属する植物、特にオリーブ(Olea europaea)の、果実、根、幹、及びより具体的には葉に存在するポリフェノールである。
一実施形態において、オレウロペインの少なくとも一部は、抽出によって、例えば、モクセイ科に属する植物、好ましくは、オリーブ(オリーブツリー)、イボタノキ(Ligustrum)属の植物、ハシドイ(Syringa)属の植物、トネリコ(Fraximus)属の植物、ソケイ(Jasminum)属の植物、モクセイ(Osmanthus)属の植物などのモクセイ科に属する植物の茎、葉、果実、又は核のうちの1つ以上などの植物からの抽出によって得られる。追加的に又は代替的に、オレウロペイン及び/又はその代謝産物のうちの少なくとも一部分は、化学合成によって得ることができる。
オレウロペインの好適な代謝産物の非限定的な例としては、オレウロペインアグリコン、ヒドロキシチロソール、エレノール酸、ホモバニリルアルコール、イソホモバニリルアルコール、これらのグルクロン酸抱合形態、これらのサルフェート形態、これらの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。
ケルセチンは、柑橘類果実、ソバ及びタマネギに存在するルチン及びクエルシトリンなどの多くの他のフラボノイドグリコシドのアグリコン形態である。ケルセチンは、それぞれラムノース及びルチノースを伴うグリコシドクエルシトリン及びルチンに由来する。
同様に、グアイジャベリンは3-O-アラビノシドであり、ヒペロシドは3-O-ガラクトシドであり、イソクエルセチン(isoquercitin)は3-O-グルコシドであり、スピレオシドは4’-O-グルコシドである。ミケリアニン(Miquelianin)はケルセチン3-O-β-D-グルクロノピラノシドである。
好ましい実施形態では、ケルセチンの誘導体は、ケルセチン3-O-ガラクトシド、ケルセチン3-O-グルコシド(イソケルセチン)、ケルセチン3-O-キシロシド、ケルセチン3-O-ラムノシド(クエルシトリン)、ケルセチン3-O-グルクロニド、ケルセチン7-O-グルコシド、ケルセチン3-O-ジグルコシド、ケルセチン3,4’-ジグルコシド、ケルセチン3-O-ラムノシド-7 O-グルコシド、ケルセチン3-O-ルチノシド(ルチン)、ケルセチン3-O-6’’-アセチルグルコシド、ケルセチン3-メチルエーテル、ケルセチン3,3’-ジメチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
ケルセチンは任意の好適な原料からのものであってよく、単離されても、化学的に合成されてもよい。
好ましい実施形態においては、オレウロペイン及びケルセチン及び誘導体は、植物原料から得られる。例えば、オレウロペインはオリーブ植物から得ることができ、ルチンはタマネギから得ることができ、ケルセチンはタマネギ、緑茶、リンゴ、ベリー類、イチョウ(Ginkgo biloba)、セイヨウオトギリソウ(St.John’s wort)、アメリカニワトコ、ソバ茶などから得ることができる。
オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体の各々の有効量は、具体的な組成、服用者の年齢及び状態、並びに治療される具体的な障害又は疾患によって変化する。しかしながら、一般的な実施形態では、0.001mg~1.0g/日、好ましくは0.01mg~0.9g/日、より好ましくは0.1mg~750mg/日、より好ましくは0.5mg~500mg/日、最も好ましくは1.0mg~200mg/日を個体に投与することができる。さらに、本発明者らは、組み合わせにおけるオレウロペイン又は誘導体の活性用量が、同等の有効性を得る際に低減され得ることを見出した。
いくつかの実施形態では、オレウロペイン又は代謝産物とケルセチン又は誘導体との組み合わせは、カルシウムをさらに含む組成物で投与される。カルシウムの少なくとも一部分は、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、又はこれらの混合物など、1つ以上のカルシウム塩であってもよい。全般的な実施形態では、1日当たり0.1g~1.0gのカルシウム、好ましくは1日当たり125mg~950gのカルシウム、より好ましくは1日当たり150mg~900mgのカルシウム、より好ましくは1日当たり175mg~850mgのカルシウム、最も好ましくは1日当たり200mg~800mgのカルシウムを、個体に投与する。
代替的な実施形態では、オレウロペイン及びケルセチンの組み合わせを、別個の組成物でカルシウムと連続的に投与することができる。用語「連続的に」とは、第1の時間に、オレウロペイン又はその代謝産物のうちの少なくとも1つをカルシウムはなしで投与し、第2の時間(第1の時間の前又は後)に、カルシウムをオレウロペインとケルセチンとの組み合わせはなしで投与するよう、カルシウムと、オレウロペイン又はその代謝産物のうちの少なくとも1つとを逐次的に投与することを意味する。連続投与間の時間は、例えば、同じ日に1秒若しくは数秒、数分、若しくは数時間;同じ月に1日若しくは数日、若しくは数週間;又は同じ年に1か月若しくは数か月であってもよい。
いくつかの実施形態では、オレウロペイン又はその代謝産物とケルセチン又はその代謝産物は、組成物中の唯一のポリフェノール、及び/又は個体に投与される唯一のポリフェノールである。
組成物は、有効量のオレウロペイン又はその代謝産物のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、組成物の1回分の供給又は投与には有効量を含むことができ、パッケージは1回分以上の供給又は投与量を含むことができる。任意選択的に、組成物は、カルシウムを更に含んでもよい。
別の実施形態では、オレウロペイン及び/又は誘導体は、それぞれ「オレウロペインの生物変換」及び「プロバイオティクスの選択方法」を発明の名称とする国際公開第2019/092068号パンフレット及び同第2019/092066号、並びに「ホモバニリルアルコール(HVA)、HVA異性体、このような化合物を含む組成物の製造方法、並びにこのような化合物の使用方法」を発明の名称とする同第2019/092069号によって開示された組成物及び方法のいずれかによって提供することができ、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
原材料 さらなる生物活性化合物
本発明による使用のための組成物はまた、抗酸化剤、抗炎症化合物、グリコサミノグリカン、プレバイオティクス、繊維、プロバイオティクス、脂肪酸、酵素、ミネラル、微量元素及び/又はビタミンからなる群から選択される少なくとも1つのさらなる生物活性化合物を含んでいてもよい。
本出願の文脈における「生物活性」という用語は、化合物が、基本的な栄養必要量を満たす効果を超えて、個体の健康に寄与するか、又は人体に対する効果を有することを意味する。
少なくとも1つのさらなる生物活性化合物は、天然の供給源に由来するものであってよい。すなわち、化合物は植物、動物、魚、菌類、藻類、又は微生物発酵物の抽出物から得られてもよい。ミネラルもこの定義内の天然の供給源に由来するものと考えられる。
好ましい実施形態では、酵素は、例えばトリプシンなどのプロテアーゼ、又はブロメラインなどの酵素抽出物であってもよい。
栄養組成物
本発明による使用のための組成物は、栄養組成物又は医薬組成物であってもよく、ヒト又は獣医学用途のためであってもよい。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による使用のための組成物は、栄養組成物である。
「栄養組成物」とは、本出願の文脈において、個体への栄養源である組成物を意味する。
本発明の栄養製品又は組成物は、完全栄養源とすることができ、あるいは準完全栄養源とすることができる。
本明細書で使用するとき、「完全栄養」は、組成物を投与される動物の唯一の栄養資源とするのに十分な種類及びレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)と、十分な微量栄養素とを含有する栄養製品及び組成物を包含する。患者は、栄養必要量の100%をかかる完全栄養組成物から摂取できる。
本明細書で使用するとき、「準完全栄養」は、組成物を投与される動物の唯一の栄養資源とするのに十分なレベルの主要栄養素(タンパク質、脂肪、及び炭水化物)、又は十分な微量栄養素を含有しない栄養製品又は組成物を包含する。部分的又は準完全栄養組成物は、栄養補給剤として使用することができる。
オレウロペインとケルセチンとの組み合わせを、ヒト及び/又は動物の摂取に好適な任意の組成物で投与することができる。好ましい実施形態では、組み合わせは、個体に経口投与又は経腸投与(例えば経管栄養法)される。例えば、組み合わせは、飲料、食品製品、カプセル、錠剤、散剤又は懸濁液として個体に投与することができる。
好適な組成物の非限定的な例としては、食品組成物、ダイエタリー・サプリメント、ダイエタリー・サプリメント(例えば、液体ONS)、完全栄養組成物、飲料、医薬品、経口栄養サプリメント、医療用食品、ニュートラシューティカルズ、特別医療目的用食品(FSMP)、摂取前に水又はミルクで再構成される粉末栄養製品、食品添加物、医薬品、ドリンク、ペットフード、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
栄養組成物の原材料
タンパク質源
一実施形態では、本発明による使用のための組成物は、タンパク質源を含む。このタンパク源は、限定されるものではないが、動物タンパク質(乳タンパク質、食肉タンパク質、及び卵タンパク質など)、植物タンパク質(大豆タンパク質、小麦タンパク質、米タンパク質、及びエンドウマメタンパク質など)、又はこれらの組み合わせなどを含む、食品タンパク質であってよい。一実施形態において、タンパク質は、ホエイ、鶏肉、トウモロコシ、カゼイン塩、小麦、アマ、大豆、イナゴ豆、エンドウ豆、又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
炭水化物源
一実施形態では、本組成物は、炭水化物源を含む。本発明の組成物には、任意の好適な炭水化物、限定されないが、デンプン、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、コーンシロップ固体、マルトデキストリン、変性デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、キシリトール、ソルビトール、又はこれらの組み合わせを使用してもよい。
脂肪源
一実施形態では、本組成物は、脂肪源を含む。脂肪源は、任意の好適な脂肪又は脂肪混合物を含み得る。例えば、脂肪源としては、限定するものではないが、植物性脂肪(例えば、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、高オレイン酸油、菜種油、キャノーラ油、ヘーゼルナッツ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油、ブラックカラントシード油、ルリヂサ油、レシチンなど)、動物性脂肪(乳脂肪など)又はこれらの組み合わせが挙げられる。脂肪源はまた、上記の脂肪の粗精品(例えば、ポリフェノール含有のオリーブ油)であってよい。
香料等
加えて、本発明による使用のための組成物はまた、天然香料又は合成香料、例えば、バナナ、オレンジ、モモ、パイナップル若しくはラズベリーなどの果実香料、又はバニラ、ココア、コーヒーなどのような他の植物性香料を含んでもよい。
栄養組成物のフォーマット
本栄養組成物は、主要生物活性成分、及び任意の更なる生物活性成分、並びに所望によりタンパク源、炭水化物源、及び脂肪源のうち1つ以上、の他に、例えば1つ以上の酸味料、追加の増粘剤、緩衝剤若しくはpH調製剤、キレート剤、着色料、乳化剤、添加物、香料、ミネラル、浸透剤、製薬上許容できる担体、保存料、安定剤、糖類、甘味料、品質改良剤、及び/又はビタミンなど、従来の食品添加物(合成又は天然)を含む、任意の数の追加の食物原材料を所望により含んでいてもよい。任意選択の原材料は、任意の適切な量で添加することができる。
本栄養組成物は、任意の好適な形態で提供され得る。
本発明による使用のための組成物が供給され得る、栄養組成物の形態の例としては、溶液、調製済み組成物(ready-for-consumption)(例えば、調製済み飲料組成物又はインスタント飲料)、液体食、ソフトドリンク、ジュース、スポーツ飲料、乳飲料、ミルクシェーク、ヨーグルト飲料、スープ等が挙げられる。
他の実施形態では、本栄養組成物は、濃縮物、粉末、又は顆粒(例えば発泡性顆粒)の形態で提供され、水又はその他の液体、例えば乳若しくはフルーツジュース等で希釈して調製済み組成物を作ることができてもよい。
栄養組成物のフォーマットは、更に、焼成製品、乳製品、デザート、菓子製品、シリアルバー、及び朝食用シリアルが挙げられる。乳製品の例としては、乳及び乳飲料、ヨーグルト、並びにその他の発酵乳製品、アイスクリーム、及びチーズが挙げられる。焼成製品の例としては、パン、ビスケット及びケーキが挙げられる。
一実施形態では、本発明による使用のための組成物はまた、湿潤形態、半湿潤形態又は乾燥形態、特にビスケットの形態のいずれかとしての、動物用食品、特にイヌ又はネコ用フードとして設計された多種多様な形態で利用可能であり得る。
投与経路
本開示の栄養組成物は、ヒトへの投与、及び特に消化管の任意の部位への投与に適した任意の手段で投与され得る。腸内投与、経口投与、及び管又はカテーテルを通しての投与は、本開示に全て含まれる。本栄養組成物はまた、経口、経腸、舌下、唇下、バッカル、局所等から選択される方法によって投与され得る。
本栄養組成物は、例えば、錠剤、カプセル、液体、チュアブル、ソフトジェル、サシェ、粉末、シロップ、懸濁液、乳化液、及び溶液を含む任意の既知の形態で、便利な剤形で投与され得る。ソフトカプセルでは、活性成分が、脂肪油、パラフィン油、又は液体ポリエチレングリコールなど好適な液体中に溶解又は懸濁されていることが好ましい。所望により、安定剤を加えてもよい。
本栄養組成物が経管栄養により投与される場合には、栄養組成物は、短期経管栄養又は長期経管栄養に使用され得る。
軟骨変性の阻害又は減少
軟骨変性は、病理(慢性又は急性のいずれか)、外傷、又はそれらの組み合わせの結果であり得る。
軟骨変性は、炎症によって支配される病状(例えば、関節リウマチ)及び炎症がそれほど顕著でない病状(例えば、変形性関節症)の両方において起こる。
外傷はまた、軟骨変性プロセスの開始をもたらし得る。例えば、膝における靭帯の断裂は、膝関節の不安定化をもたらし、変性プロセスが開始される。
本出願の文脈における外傷は、例えば、落下又は車などによる衝撃などの外因によって生じる生理学的な損傷を指す。外傷は、経時的な小さな損傷の蓄積、いわゆる「損耗」であってもよい。
外科手術で外傷を治療することが好ましいことが多いが、一実施形態では、本発明は、外科手術によって、また本発明の組成物を投与することによって、外傷を治療する治療方法に関する。
したがって、本発明による使用の実施形態は、軟骨変性を阻害又は減少させるための使用を含み、軟骨変性は、病理又は外傷の結果である。
軟骨変性を伴い、したがって本発明の組成物が有用であり得る病状の例としては、変形性関節症、関節リウマチ、痛風及び仮性痛風、敗血症性関節炎、強直性脊椎炎、若年性特発性関節炎、スティル病、乾癬(乾癬性関節炎)、反応性関節炎、エーラス・ダンロス症候群、ヘモクロマトーシス、肝炎、ライム病、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、再発性発熱を伴う高IgD症候群(Hyperimmunoglobulinemia D with recurrent fever)、サルコイドーシス、TNF受容体関連周期性症候群、ウェゲナー肉芽腫症(及び他の多くの血管炎症候群)、家族性地中海熱、全身性エリテマトーデスが挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、RA及び/又はOAにおける軟骨変性を阻害又は減少させるために使用するためのものである。
さらに好ましい実施形態では、本発明の組成物は、OAにおける軟骨変性を阻害又は減少させるために使用するためのものである。
さらに、理論に束縛されることを望むものではないが、炎症がしばしば関節における軟骨変性をもたらす一方で、軟骨変性は、炎症成分がはるかに少なく、おそらく無視できる状況でも生じることが観察されている。
例えば、関節への外傷は、例えばRAに存在する顕著な炎症成分がなくとも、軟骨変性を十分に開始し得る。外傷は、例えば、靭帯の断裂、又は関節(例えば、膝、指)への衝撃外傷を含み得る。
別の例において、OAは、主に関節変性疾患であり、より少ない炎症性要素を伴う。
したがって、本発明は、一実施形態では、軟骨変性を阻害又は減少させるための本発明による使用のための組成物であって、軟骨変性が、外傷又は例えばOAなどの炎症性要素をほとんど又は全く伴わない病態との関連で起こる組成物に関する。
初期変性イベントに対抗するための使用
肥大は、正常な表現型ではない軟骨細胞の異化活性を示唆する。
したがって、本発明は、一実施形態では、軟骨の変性を示す1つの初期イベントである軟骨細胞の肥大を阻害又は減少させるために使用するための、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせを含む本発明による組成物に関する。
加齢に伴う運動性の低下の治療又は予防
本発明による使用のための組成物は、タンパク質分解活性を阻害又は減少させることが示されている。
老化は軟骨変性をもたらす。
したがって、本発明は、老化に伴う軟骨変性を阻害又は減少させるために使用するための本発明の組成物に関する。
別の実施形態では、本発明は、老化に関連する軟骨変性におけるコラーゲン変性を阻害又は減少させるための使用、例えば、老化に関連する軟骨におけるコラーゲンII変性を阻害又は予防するための使用、のための本発明の組成物に関する。
軟骨の変性は、関節硬直及び関節の痛みに寄与し得、患者における可動性の減少をもたらす。
本発明による使用のための組成物は、他の実施形態では、i)老化の際の軟骨機能を含む関節機能を維持又は改善するため、ii)炎症性及び/又は侵害受容性疼痛を含む関節痛を減少させるため、に使用され得る。
さらなる実施形態では、本発明は、対象、例えば、成体又は高齢の哺乳動物における可動性を改善するための、本発明による使用のための組成物に関する。
したがって、好ましい実施形態では、本発明による組成物は、例えば、変形性関節症を予防若しくは治療することによって、及び/又は軟骨変性を阻害若しくは減少させることによって、個体の活動及び/又は可動性を改善するために使用するためのものであり得る。
他の好ましい実施形態は、本発明による使用のための組成物に関し、その使用は、軟骨変性を予防し、したがって健康な関節を維持するため、又は可動性を維持若しくは改善するため、関節痛(炎症性及び/又は侵害受容性疼痛)を予防若しくは減少させるためである。更なる実施形態では、本発明の組成物は、軟骨の状態を維持するために使用するものであり得る。
標的群
本発明による使用のための組成物の対象群は、例えば、本明細書で言及される軟骨変性を伴う病態のうちの1つ以上に罹患しているため軟骨変性を示す、任意の哺乳動物であり得る。軟骨変性は、X線撮影などの視覚的手段によって検出することができる。あるいは、軟骨の変性による産物が、体液中に検出され得る。例えば、(Coll2-1、Coll2-1 NO2、CTX-II)などの1つ以上のコラーゲンIIエピトープが、例えば、血漿又は尿試料などの試料中に検出され得る。
別の対象群は、軟骨変性をまだ示していないが、軟骨変性のリスクがある、例えば、OA、RA、又は本明細書で言及される軟骨変性を伴う病状のいずれかのリスクがある任意の哺乳動物であり得る。好ましい実施形態では、本発明は、軟骨の早期変性を阻害又は減少させるために使用するための、オレウロペイン又はその代謝産物とケルセチン又は誘導体との組み合わせを含む、本発明による組成物であって、この対象群に投与される組成物に関する。
本発明の特定の実施形態は、例えば変形性関節症を予防若しくは治療することによって、及び/又は高齢者若しくは高齢の個体における軟骨変性を阻害若しくは減少させることによって、個体の活動及び/又は可動性を改善するために使用するための組成物に関する。
さらなる実施形態では、本発明による使用のための組成物は、ヒトなどの哺乳動物又はペットにおける使用のためのものであってもよい。ペットの例としては、ネコ、イヌ、及びウマが挙げられる。
本発明は、多くの様々な年齢群において有用であり得るが、好ましい実施形態では、本発明による可動性を改善するために使用するための組成物は、老年人口、特に健康な老齢及び/又は高齢の哺乳動物を対象とする。
本発明の栄養組成物の製造方法
本発明は、さらなる態様では、本発明による使用のための栄養組成物を製造するための方法に関し、前記方法は、
オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体との組み合わせを含む栄養組成物のための原材料を準備し、該栄養組成物が、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又はその誘導体との組み合わせを含むよう、混合するステップ、を含む。
使用のための医薬組成物
さらなる実施形態では、本発明は、本発明による軟骨変性を阻害又は予防するために使用するための組成物であって、医薬組成物である組成物に関する。
医薬品とすることにより、栄養組成物とは異なり、薬剤中に、ヒト又は動物における病気を予防、診断、緩和、治療又は治癒するために物質が身体上に又は身体内に使用される組成物を意味する。本発明によれば、本医薬品は、軟骨変性を抑制又は減少させるために使用することができる。
医薬品は、ヒトによる使用のためのものであってもよい。あるいは、例えばイヌ、ネコ又はウマ、特にサラブレッドのウマに適した獣医学的組成物であってもよい。
好ましい一実施形態では、本発明の医薬組成物は、オレウロペイン又はその代謝産物とケルセチン又は誘導体との組み合わせを含む。
別の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、オレウロペイン又はその代謝産物と、ケルセチン又は誘導体と、クルクミンとを含む。
本発明はさらに、本発明の組成物の使用として本明細書に記載されるような、本発明による医薬品の使用に関する。
オレウロペイン又はその代謝産物とケルセチン又は誘導体及び/又はクルクミンとの組み合わせを、製薬上許容できる添加物からなる群から選択される少なくとも1種の添加物と組み合わせて含む、本発明による使用のための医薬組成物である。本発明による医薬組成物の調製のための手順は、当業者によって、例えばハンドブックRemington’s Pharmaceutical Sciences,Mid.Publishing Co,Easton,Pa.,USAの記載に従い、容易に得ることができる。また、生理学的に許容される添加物、ビヒクル及びアジュバントは、「Handbook of Pharmaceutical Excipients,Second edition,American Pharmaceutical Association,1994」と題するハンドブックに記載されている。本発明による医薬組成物を処方するために、当業者は、欧州薬局方又は米国薬局方(USP)の最新版を参照することが有利であろう。当業者は、特に、欧州薬局方の第4版「2002」又は米国薬局方(U.S.Pharmacopoeia)のUSP 25-NF 20版を参照することが有利であろう。
有利なことに、上記で定義したような医薬組成物は、経口、非経口又は静脈内投与に適している。本発明による使用のための本医薬組成物が、少なくとも1つの製薬上許容できる又は生理学的に許容できる添加物を含む場合、特に、その添加物は、経口の経路による本組成物の投与に適しているか、又はその添加物は、非経口の経路による本組成物の投与に適している。
本発明による使用のための医薬組成物は、固体又は液体の形態で区別なく利用可能である。経口投与には、タブレット、カプセル、又はゼラチンカプセルの形態の固形医薬組成物が好ましいであろう。
液体の形態であれば、医薬組成物は、水性若しくは非水性の懸濁液の形態、又は油中水若しくは水中油のエマルションの形態が好適であろう。
固体医薬形態は、ビヒクル、アジュバント又は添加物として、少なくとも1種の希釈剤、1種の香料、1種の可溶化剤、1種の滑沢剤、1種の懸濁化剤、1種の結合剤、1種の崩壊剤及び1種のカプセル化剤を含み得る。かかる化合物は、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース系材料、カカオ脂などである。液体形態の組成物は、水を、場合によってはプロピレングリコール又はポリエチレングリコールとの混合物として含んでもよく、場合によっては着色剤、香料、安定剤及び増粘剤も含んでもよい。
既知の治療との組み合わせ
このような、病気を改変するOA薬(DMOAD)がない状況では、代替的な治療法、及びOA予防を栄養物で実施することも可能である。
組織学的データから、オレウロペインは、OAスコアに対して、変性に主に影響を及ぼす化合物よりも大きな影響を有することが理解できる。したがって、オレウロペインの有効性は、炎症及び変性に対する複合効果によるものであり得る。したがって、好ましい実施形態では、変性を阻害又は減少させることが示されている本発明の組成物は、炎症を阻害又は減少させるための治療と組み合わせることができる。
治療方法
本発明はまた、軟骨変性、例えば軟骨変性が生じる病状又は軟骨変性に関連する外傷の予防又は治療方法であって、有効量の本発明による組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む方法に関する。例えば、本方法は、オレウロペイン又はその代謝産物とケルセチン又は誘導体との組み合わせを含む有効量の組成物を投与することを含む。
本明細書で使用するとき、「有効量」とは、欠乏を予防する、個体の疾患若しくは医学的状態を治療する、又はより一般的には、症状を軽減させる、疾患の進行を管理する、又は個体に対して栄養学的、生理学的若しくは医学的利益をもたらす、量である。
治療効果を達成するのに必要とされる本発明の組成物の有効量は、当然のことながら、具体的な組成物、投与経路、対象者の年齢及び状態、並びに処置する具体的な障害又は疾患によって異なり得る。
本発明はさらに、例えばOA又はRAなどの軟骨変性を伴う病状を予防又は治療する、軟骨変性を阻害又は減少させる、軟骨におけるコラーゲン変性を阻害又は減少させる、軟骨におけるコラーゲンII変性を阻害又は減少させる、方法を提供し、本方法は、本発明による使用のための組成物の有効量を個体に投与することを含む。
一実施形態では、本発明による治療方法は、変形性関節症の予防又は治療に関する。
本発明による治療方法は、哺乳動物、例えばヒト又はペット、例えばイヌ、ネコ及び/又はウマにおけるものであってよい。
特定の実施形態では、治療方法において投与される本発明の組成物は、本発明の1つ以上の栄養組成物及び/又は本発明の医薬組成物であってもよい。
キット
本開示はまた、1つ以上の容器中にオレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせの組み合わせを含むキットを提供する。キットの実施形態では、1つ以上の第1の容器であって、オレウロペイン及び/又は代謝産物を、少なくとも1つの第2の容器において収容されるケルセチン及び/又は誘導体とは別に収容する、第1の容器を含み、該キットは、オレウロペインをケルセチンと単位剤形に混合するための指示書を更に含む。
キットの一実施形態では、その組み合わせは、1つ以上の予めパッケージ化された単位剤形として一緒に提供されてもよく、例えば、各容器が予めパッケージ化された単位剤形を1つ含有するように、それぞれが乾燥粉末を含有する別個の容器として提供されてもよい。
別の実施形態では、キットは、一緒に混合して本明細書に開示される組成物の1つ以上を形成するための、複数の組成物を含むことができる。例えば、キットは、互いに関係のある別々の容器中に2つ以上の乾燥粉末を収容することができ、この別々の粉末は各々、最終的な単位剤形の一部を含有する。かかる実施形態の非限定的な例として、キットは、オレウロペインを収容する1つ以上の第1の容器を含むことができ、ケルセチンを収容する1つ以上の第2の容器も含むことができる。第1の容器のうちの1つの内容物を第2の容器のうちの1つと混和して、組成物の単位剤形の少なくとも一部を形成することができる。
上記の投与例は、間断のない連日投与を必要とするものではない。それよりむしろ、投与期間中の2~4日間の中断など、投与には何回かの短期間の中断があってもよい。本組成物の理想的な投与継続期間は当業者により決定され得る。
開示の組み合わせ
なお、本発明の一態様の文脈で記載されている実施形態及び特徴は、発明の他の態様にも当てはまることに注意が必要である。
本発明による使用のための組成物は、原材料、栄養組成物の形式、用途、対象とする群などの異なるパラメータで本明細書に記載される。本発明による使用のための組成物のパラメータのうちの1つの文脈で記載される実施形態及び特徴は、明示的に別段の定めがない限り、別のパラメータの文脈で記載される他の実施形態及び特徴と組み合わせることもできることに留意されたい。
本出願に引用されている全ての特許文献及び非特許文献に関して、文献そのままを本出願に取り込む。
本発明を、以下の非限定的な実施例により更に詳細に記載する。
以下の非限定的な例は、本明細書に開示される組成物及び方法を裏付ける、実験データを示すものである。
実施例1
生細胞におけるオレウロペイン(又はオレウロペインアグリコン)、ケルセチン及びそれらの組み合わせの効果を試験するために、本発明者らは、HeLa細胞におけるミトコンドリアカルシウムの上昇を測定した。HeLa細胞はATCCから購入した。HeLa細胞を、最小必須培地(DMEM、Gibco)、高グルコース、+10%ウシ胎児血清中、50000個/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。ミトコンドリアカルシウム測定は、ミトコンドリアにおいて標的とされるカルシウムセンサーのミトコンドリア変性エクオリンを発現するアデノウイルスに感染させたHeLa細胞(Sirion biotech製)を使用して行った(Monteroら、2004)。エクリオン再構成のために、感染の24時間後、1μMの野生型セレンテラジンを添加した標準培地(145mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのMgCl2、1mMのCaCl2、10mMのグルコース、及び10mMのHepes、pH7.4)中、室温(22±℃)で2時間、細胞をインキュベートした。処理の際、化合物を、測定の2時間前に細胞培養又は筋管培養組織に直接添加した。発光をFLIPRテトラエクオリン(Molecular Devices)で測定した。ミトコンドリアカルシウムの上昇は、細胞を100μMヒスタミンで刺激することによって得た。発光データのカルシウム濃度への変換(Calibration)を、前述のようなアルゴリズムを使用して行った(Alvarez&Montero、2002)。定量にはExcel(Microsoft)及びGhaphPad Prism7.02(GhaphPad)ソフトウェアに基づくカスタムモジュール分析を用いた。
軟骨細胞モデルにおける変形性関節症模倣物としての炎症促進性サイトカインインターロイキン-1βの効果を検証するため、及び軟骨細胞機能に対するミトコンドリアカルシウムユニポーター(MCU)除去の効果を試験するため、本発明者らは、SW1353細胞における軟骨細胞機能及びミトコンドリア機能を測定した。SW1353細胞はATCCから購入した。SW1353細胞を、(ミトコンドリアカルシウム測定のために)100mmディッシュ中1ウェルあたり10000個の密度で、又は(ウェスタンブロットのために)1000000個の密度で、96ウェルプレートに播種した。10%ウシ胎児血清及び1%ペニシリン-ストレプトマイシンを含む高グルコースの最小必須培地(DMEM、Gibco)で細胞を培養した。
軟骨細胞機能を評価するために、コラーゲン-IIα1の発現、アグレカン、メタロプロテイナーゼ-3及び-13(MMP3及びMMP13)を、ウェスタンブロッティングによって解析した。SW1353細胞を10ng/mLのインターロイキン-1bで24時間又は48時間の処理の有無により評価した。タンパク質抽出物を、150mM NaCl、1.0%IGEPAL CA-630、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、50mM Tris、pH 8.0、Complete EDTA-free protease inhibitor mixture(Roche)、1mM PMSF、1mM NaVO3、5mM NaF及び3mMβ-グリセロホスフェート及びホスファターゼ阻害剤(Roche)を含有する適切な緩衝液中で調製した。40μgの総タンパク質を、BCA定量に従い充填した。タンパク質を、市販の4~12%アクリルアミドゲル(Thermo Fisher Scientific)でSDS-PAGE電気泳動によって分離し、湿式電気泳動転写によってPVDF膜(Thermo Fisher Scientific)に転写した。ブロットは、5%のウシ胎児血清(Sigma-Aldrich)のTBS-tween(0.5MのTris、1.5MのNaCl、0.01%のTweenn)溶液により室温で1時間ブロッキングし、4℃で一晩一次抗体と共にインキュベートした。二次抗体を、室温で1時間インキュベートした。以下の抗体を使用した:抗コラーゲン-IIα1(1:1000、Abcam)、抗アグリカン(1:1000、Abcam)、抗MMP-3(1:1000、Abcam)、抗MMP-13(1:1000、Abcam)。二次HRPコンジュゲート抗体は、Cell Signallingから購入したものを1:5000希釈で使用した。次いで、コラーゲン-IIα1、アグリカン、MMP3及びMMP13の含有量をデンシトメトリーで定量し、GAPDHの含有量に対して正規化した(抗GAPDH、1:5000、Cell Signalingで検出)。
ミトコンドリアカルシウムユニポーター(MCU)のタンパク質発現を除去するために、SW1353細胞を、Sirion Biotechによって製造されたMCUノックダウンのための操作されたベクターでトランスフェクトした。感染の3日後、MCUの発現を、前記のように、ウェスタンブロット及びデンシトメトリー解析によって定量した。MCUの含有量を、ミトコンドリアタンパク質TOM20の含有量に対して正規化した。以下の抗体を使用した:抗MCU(1:1000、Sigma-Aldrich)、抗TOM20(1:5000、Cell Signaling)。
SW1353細胞における細胞死に対するインターロイキン-1βの効果を定量するため、IncuCyte ZOOM装置(Essen Bioscience,Ann Arbor,MI,USA)を用いてアポトーシスの動態実験を行った。細胞をDMEM培地中96ウェルプレートフォーマットに50%コンフルエンスで播種した。24時間後、供給業者の説明書に従って、細胞をIncuCyte Annexin-V Green(4642)と共にインキュベートし、IL-1βで処理した。10×対物レンズ及び帯域幅フィルタを使用して、提示の時間にウェル当たり4つの画像を収集した。(Ex:440/80nm、Em:504/44nm)。データを、ウェル当たりのAnnexin-V陽性物によって覆われた面積(μm2)として出力し、細胞によって覆われた面積について正規化した。
ミトコンドリア膜電位を測定するため、SW1353細胞を、増殖培地(DMEM高グルコース、Gibco+10%ウシ胎児血清)中、8000個/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。24時間後、細胞を、10 ng/mlのIL-1βで図7に提示の日数にわたり処理した。次いで、細胞に蛍光ミトコンドリア膜電位センサーJC-10をロードした。蛍光を、MetaXpress Confocal(Molecular Devices)を用いて、供給者の指示に従い、以下の発光波長で取得した:590 nm(540nmで励起)及び525nm(49nmで励起)。590nm/525nmでの蛍光比は、ミトコンドリア膜電位の変化に比例する。
SW1353細胞中のミトコンドリアカルシウムを測定するために、HeLa細胞に使用したのと同じ手順を行った。変形性関節症軟骨細胞モデルにおけるケルセチン及びオレウロペインの相乗効果を、Hela細胞について記載したように定量した。
結果:
図1に示すように、オレウロペインはケルセチンと相乗作用して、刺激中にHela細胞におけるミトコンドリアカルシウム上昇を増加させることによってミトコンドリアを活性化する。図2に示すように、オレウロペインアグリコンもケルセチンと相乗作用して、刺激中にHela細胞におけるミトコンドリアカルシウム上昇を増加させることによってミトコンドリアを活性化する。代わりに、図3に示すように、オレウロペインは、Hela細胞におけるミトコンドリアカルシウム上昇を介して、ミトコンドリアを活性化するためにオレウロペインアグリコンと相乗作用しない。図4に示すように、オレウロペイン及びオレウロペインアグリコンは、ケルセチンとの組み合わせで同じレベルの相乗作用を促進する。
図5に示すように、変形性関節症の軟骨細胞の細胞モデルは、コラーゲン-IIα1含量を考慮すると、機能不全軟骨細胞が対照(非変形性関節症軟骨細胞、図5のA)と比較して強く減少し、メタロプロテイナーゼMMP3(図5のB)及びMMP13(図5のC)の発現が増加する。一貫して、これらの機能障害性変形性関節症軟骨細胞は、増加した細胞死によって特徴付けられる(図6)。図7に示すように、ミトコンドリア膜電位が減少することを考慮すると、この変形性関節症軟骨細胞の細胞モデルでは、ミトコンドリア機能が損なわれている。確かに、ミトコンドリアカルシウムの上昇は、変形性関節症軟骨細胞のこの細胞モデルにおいて刺激中に強く減少する(図8)。図9に示すように、機能不全のミトコンドリアカルシウム取り込みを有する軟骨細胞の遺伝子モデル(MCU-ノックダウン、kd、図9のA)は、変形性関節症の効果を模倣する軟骨細胞機能不全を明らかにする。したがって、コラーゲン-IIα1発現(図9のB)及びアグリカン発現は、MCU-kd細胞において減少するが(図9のC)、メタロプロテアーゼMMP3の発現は増加する。最後に、図10に示すように、オレウロペインアグリコン(Oea)はケルセチン(Q)と相乗作用して、変形性関節症軟骨細胞の記載された細胞モデル(IL-1bで処理されたSW1353細胞)においてミトコンドリアCa2+上昇を介してミトコンドリアを活性化する。図11に示すように、オレウロペインアグリコン(Oea)とケルセチン(Q)とのいくつかの組み合わせは、記載された変形性関節症軟骨細胞の細胞モデルにおいて、ミトコンドリアCa2+上昇を介してミトコンドリアを活性化するよう相乗作用する。

Claims (15)

  1. 個体における軟骨変性の予防又は治療に使用するための、有効量の、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせを含む組成物。
  2. 前記オレウロペインの代謝産物が、オレウロペインアグリコン、ヒドロキシチロソール、エレノール酸、ホモバニリルアルコール、イソホモバニリルアルコール、これらのグルクロン酸抱合形態、これらのサルフェート形態、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための組成物。
  3. 前記ケルセチンの誘導体が、ケルセチン3-O-ガラクトシド、ケルセチン3-O-グルコシド(イソケルセチン)、ケルセチン3-O-キシロシド、ケルセチン3-O-ラムノシド(クエルシトリン)、ケルセチン3-O-グルクロニド、ケルセチン7-O-グルコシド、ケルセチン3-O-ジグルコシド、ケルセチン3,4’-ジグルコシド、ケルセチン3-O-ラムノシド-7O-グルコシド、ケルセチン3-O-ルチノシド(ルチン)、ケルセチン3-O-6’’-アセチルグルコシド、ケルセチン3-メチルエーテル、ケルセチン3,3’-ジメチルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用のための組成物。
  4. カルシウムをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  5. 抗酸化剤、抗炎症化合物、グリコサミノグリカン、プレバイオティクス、繊維、プロバイオティクス、脂肪酸、酵素、ミネラル、微量元素及び/又はビタミンからなる群から選択される少なくとも1つの化合物をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  6. 前記組成物が、食品組成物、ダイエタリー・サプリメント、栄養組成物、経口栄養サプリメント、医療用食品、ニュートラシューティカルズ、飲料、摂取前に水又はミルクで再構成される粉末栄養製品、食品添加物、特別医療目的用食品(FSMP)医薬品、ドリンク、ペットフード、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  7. 前記組成物が、固体粉末、粉末スティック、カプセル、又は溶液の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  8. 前記使用が、i)老化の際の軟骨機能を含む関節機能を維持又は改善するため、ii)炎症性及び/又は侵害受容性疼痛を含む関節痛を減少させるため、のものである、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  9. 前記使用が、前記個体の活動及び/又は可動性を改善するためのものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  10. 前記使用が、変形性関節症における軟骨変性を阻害又は減少させるためのものである、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  11. 前記個体が、中高年者、高齢者である、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のための栄養組成物を製造する方法であって、栄養組成物のための1つ以上の原材料と、オレウロペイン又はその代謝産物と、ケルセチン及び/又は誘導体と、任意選択のさらなるカルシウムと、を準備するステップと、混合するステップと、を含む、方法。
  13. 1つ以上の容器中に、オレウロペイン及び/又はその代謝産物とケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせを含む、キット。
  14. 前記1つ以上の容器が、少なくとも1つの第1の容器であって、前記オレウロペイン及び/又は代謝産物を、少なくとも1つの第2の容器において収容される前記ケルセチン及び/又は誘導体とは別に収容する、第1の容器を含み、前記キットは、前記オレウロペインを前記ケルセチンと単位剤形に混合するための指示書を更に含む、請求項13に記載のキット。
  15. 前記1つ以上の容器がそれぞれ、前記オレウロペイン及び/又はその代謝産物と、ケルセチン及び/又は誘導体との組み合わせの単位剤形を含む、請求項13又は14に記載のキット。

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