JP6300913B2 - Trail細胞膜透過性ペプチド様突然変異体 - Google Patents
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Description
腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(Tumor necrosis factor−related apoptosis−inducing ligand、TRAIL)は、腫瘍壊死因子(Tumor necrosis factor、TNF)スーパーファミリーのメンバーであり、その遺伝子配列はそれぞれ独立して1995年にWileyらで及び1996年にPittiらでクローニングされて得られ、後者はそれをアポプチン2リガンド(Apo 2 Ligand、Apo 2L)と命名した。それ以降の研究から、Apo 2LとTRAILは実質的に同一のタンパク質であることが実証されたため、習慣的にそれをApo 2L/TRAILと称することができる。TRAILの機能としては、生体の先天性又は後天性免疫の調節剤とされている一方、細胞の外因性アポトーシス経路において免疫監視として抗腫瘍の作用を発揮している。TRAILの最大利点は、正常細胞に対してほとんど毒性がなく、選択的に複数種の腫瘍細胞のアポトーシスを誘導できることである。研究資料から、Apo 2L/TRAILは体外や体内にもかかわらず、各種の由来によるヒト腫瘍細胞系、例えば結(直)腸がん、肺がん、乳がん、前立腺がん、膵臓がん、腎臓がん、中枢神経系腫瘍、甲状腺がん、リンパ腫、白血病及び多発性骨髄腫等に対してもアポトーシスを誘導する作用があることが明らかになっている。
。多数の体内外試験から、TRAILは腫瘍特異性細胞毒性を有し、特に小量の化学療法薬と連合して使用すると、著しい共働と相乗作用を発現するようになることが実証された。逆に、研究から、生体におけるアポトーシスメカニズムの欠失に起因したTRAIL耐性は明らかに腫瘍細胞の迅速な成長と転移に関わっていることが発見された。
最近の進展から、Apo 2L/TRAILのみによれば、複数の異なる種類の腫瘍の治療にとってははるかに不十分であることが明らかになった。組換えヒトApo 2L/TRAILやTRAIL受容体DR4/DR5のアゴニスト単クローン抗体は段階Iの臨
床治療において人を奮い立たせた結果を出したが、それに続いて行われた段階IIの臨床研
究において明らかな臨床的有益性を発現していなかった。多数の研究から、正常細胞及び約半分以上の(ひいては60%と高い)継代腫瘍細胞株はTRAILに対する薬剤耐性を発現していることが明らかになった。Roberta di peitro及びGiorgia zauliが総括的に述べたものよると、Apo 2L/TRAILは、研究された92本の初代又は継代腫瘍細胞のうちの61本に敏感であり、敏感度が66.3%である一方、残りの31本が薬剤耐性を発現し、薬剤耐性率が33.7%である。TRAILに対する正常細胞の耐性は生理的意義があり、TRAILは体内で精確に調節され制御されており、正常細胞を殺すことなく、成長と発育過程における老衰や退化細胞及び形質転換細胞の除去のみにおいて作用を発揮する。ほとんど全てのTRAIL敏感腫瘍細胞はそのアポトーシス信号通路における各部分と要素において類似する完全性と機能を有する一方、TRAIL耐性腫瘍細胞毎はアポトーシス信号通路における若干の部分と要素において欠陥と変異があり、これらの欠陥と変異により、これらの薬剤耐性腫瘍細胞はアポトーシス閾値が異常に上昇し、アポトーシスによる除去から回避しやすくなり、継続して成長し増殖するようになってしまう。
アポトーシスタンパク質は、その作用が最終的に効を奏する肝心な箇所は細胞膜内にあり、細胞膜は治療的な生物活性物質の細胞内への輸送の生物学的障壁となる。アポトーシスタンパク質の親水性のため、生物活性分子は自由に細胞膜内に進入できず、その作用の発揮及び実際の応用は制限されている。細胞膜透過性ペプチドは細胞膜透過機能を有する、大きさが20〜30個のアミノ酸であることが多い正電荷を帯びる陽イオンによる短鎖ペプチドであり、最近何十年に発展していく新規な薬物輸送と運搬技術であり、タンパク質形質導入ドメイン(Protein transduction domain、PTD)とも称される。
転写因子VP22、Transportan、及びポリアルギニン等の配列は細胞膜透過能を持つことが相次いで発見され、現在、細胞膜透過機能を有するペプチド断片が百種以上発見されている。
A)cDNA断片を増幅しクローニングするステップと、
B)発現ベクターを構築し同定するステップと、
C)組換えTRAILタンパク質を融合発現させるステップと、
D)TRAILタンパク質を精製するステップと、
E)TRAILタンパク質を同定するステップと、
を含むTRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体の調製方法を提供することを他の目的とする。
B1)原核発現ベクターにおける対応する融合タグ配列を切除することと、
B2)高効率の可溶性非融合発現を得るために、最適化されたTRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体タンパク質をコードするcDNA配列を原核発現ベクターにクローニングすることと、
を含む。
D1)菌体破砕された上澄みにおける標的タンパク質を捕獲するために、陽イオン交換樹脂により一次精製を行うことと、
D2)より一層タンパク質の純度を高め、内毒素を除去するために、ヒドロキシアパタイト樹脂により二次精製を行うことと、
D3)製品に産業的拡大及び将来の臨床応用の需要を満たさせるために、陰イオン交換樹脂により最終的な仕上げ精製を行うことと、
を含む。
1、全く新しいタンパク質構造であり、最も少ない突然変異部位が採用され、タンパク質構造に対する影響が最も小さくなる一方、得られる機能が最大化されており、TRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体は、五つの非連続部位の突然変異のみによるものであり、部位の突然変異がタンパク質のアミノ基末端で発生するため、タンパク質の生物活性と安定性に対する影響が小さくなる一方、細胞膜透過性ペプチド融合タンパク質を上回る細胞膜透過能が得られたことと、
2、タンパク質発現及び可溶性発現率が高く、高効率の原核発現ベクターpET32a又はpTWIN 1という組換え形式が採用され、発現ベクターは18〜24℃の広い誘導温度範囲におけば、TRAIL野生型タンパク質よりも高い発現レベルと可溶性発現率を得られ、可溶性タンパク質の割合は80%〜100%となることと、
3、TRAIL野生型タンパク質の精製プロセスとは異なり、本発明によるプロセスは有効性、回収率及び製品品質が顕著に向上し、特異的なアフィニティークロマトグラフィーの精製方法を採用せず、それに応じて精製コストが低下し、産業的拡大の潜在力が高く、将来の臨床需要を完全に満たしうることと、
4、TRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体は体外生物活性が広く、TRAIL野生型タンパク質に比べて、検査されたほとんど全ての種類の腫瘍細胞にとって、その抗腫瘍活性が顕著に向上し、特にTRAIL野生型タンパク質に対して薬剤耐性を持つ腫瘍細胞株にとって、これらの細胞のTRAIL野生型タンパク質に対する耐性を顕著に逆転でき、より高い治療作用を持つことという有益な技術的効果を有する。
TRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体の配列及びプライマの設計
選択的にTRAIL野生型タンパク質の細胞膜外領域における第114〜121部位のアミノ酸コード配列をVRERGPQRからRRRRRRRRに組み換え、即ち、第114部位をバリンからアルギニンに突然変異させ、第116部位をグルタミン酸からアルギニンに突然変異させ、第118部位をグリシンからアルギニンに突然変異させ、第119部位をプロリンからアルギニンに突然変異させ、第120部位をグルタミンからアルギニンに突然変異させるように突然変異部位を5箇所とすることによって、突然変異体タンパク質のN末端を連続的な8つのアルギニンによるコード配列とし、細胞膜透過性ペプチド様構造を備えるタンパク質となっている。
上流プライマMu3−TR−NdeIはSEQ ID NO:3に示されるとおりであり、
下流プライマTR−Eco−RはSEQ ID NO:4に示されるとおりである。
TRAIL−Mu3断片のPCR増幅及びT vectorとの結合、並びに、結合生成物の単コロニー分離及び同定
pMD19/TRAILプラスミドをテンプレートとしてPCR突然変異でTRAIL−Mu3断片を増幅し、そしてT vectorと結合させ、結合生成物の単コロニー分離及び同定を行う。プライマの設計は実施例1を参照でき、pMD19/TRAILプラスミドは実験室で調製されたものである。
一、TRAIL−Mu3標的断片のPCR増幅
1.pMD19/TRAILプラスミドをテンプレートとして、Mu3−TR−NdeI/TR−Eco−Rプライマ対でTRAIL−Mu3標的断片を増幅し、表1に従って50μlとなるように反応系を調合する。
3.PCR増幅反応の条件を表2に示す。
5.PCR増幅されたTRAIL−Mu3標的断片をOmegaゲル抽出キットによりゲル抽出し、50μlの超純水で溶離し、電気泳動を行い、写真を撮って使用に備える。
1.TaKaRa pMD19−T Vectorキットにより、ゲル抽出された標的断片と結合させ、結合系を表3に示す。
3.結合生成物10μlをTop10コンピテント細胞100μlに加え、氷浴を30分間行う。
4.42℃の水浴で熱衝撃を90秒間行う。
5.氷に置いて2分間インキュベートする。
6.SOC培地500μlを加え、37℃で振盪培養を45分間行う。
7.形質転換されたコンピテント細胞を遠心してから、超清浄作業台にて400μlを捨てて約100μlの培地を残し、均一にするように細菌に吹き掛け、その全てをAmpを含むLB固体培地に塗布し、37℃で一夜培養する。
(一)単コロニー分離
1.複数本の滅菌された試験管を用意し、試験管にアンピシリンLB液体培地100mlを加える。
2.一つの試験管当たり約4mlとするように、培地を各試験管に分注する。
3.十分に焼かれたピンセットで無菌ピペットチップを挟み取り、pMD19/TRAIL−Mu3を7個選び取るようにコロニーが成長した平板からコロニーを選び取り、ピペットチップをLB液体培地が入れられた試験管に投入する。
4.各試験管をしっかりと縛って、振動台におけるクランプに置いて十分に固定し、37℃で220rpmで一夜振動する。
1.菌液の各々を1ml採取してそれぞれ遠心管に加える。10000gで1分間遠心し、上澄みを可能な限り吸い上げる。
2.菌体沈殿物が残った遠心管に250μlのSolution I(RNAase Aが予め加えられておく)を加え、徹底的に細菌沈殿物を懸濁する。
3.250μlのSolution IIを加え、5分間以内に優しく且つ均一に混合して菌体を十分に分裂させたところ、菌液が澄んで粘稠なものとなる。
4.遠心管に350μlのSolution IIIを加え、直ちに反転して均一に混合したところ、白い絮状の沈殿物が生じ、13000gで10分間遠心したところ、遠心管の底部に沈殿物が形成された。
5.ステップ5で得られた上澄みを、沈殿物を吸い上げないように均一に分けて、収集管に入れられた2つのHiBind Miniprep吸着コラムに加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
6.収集管に500μlのBuffer HBを加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
7.収集管に700μlのWash Bufferを加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
8.ステップ7を繰り返す。
9.吸着コラムを収集管に戻し、13000gで2分間遠心して吸着コラムを乾燥させ、収集管中の廃液を注ぎ捨てる。
10.各吸着コラムを新しい1.5mlのEp管に置き、吸着膜毎の中間箇所に、接触しないように65μlのElution Bufferを滴下し、室温で数分間間置き、13000g以上で1分間遠心して、プラスミド溶液を1.5mlのEp管に収集する。
11.それぞれプラスミドDNA60μlが得られ、−20℃でプラスミドを保管する。
1.EcoR I及びHindIIIによりpMD19/TRAIL−Mu3プラスミドを二重酵素切断する。酵素切断反応系を表4に示す。
3.酵素切断の終了後に電気泳動同定を行う。
一.標的断片のPCR増幅の結果
断片の分子量を500bp前後とするようにMu3−TR−NdeI/TR−Eco−Rプライマ対で突然変異によりTRAIL−Mu3標的断片を増幅し、図1に示されるように、上記のPCR反応条件に従って標的遺伝子を得た。
1.平板にコロニーは成長したが、密度が高くない。
2.選び取られた単コロニーは、翌日に一部の試験管に細菌が成長しており、密度が正常なものである。
3.酵素切断法でプラスミドが同定され、pMD19/TRAIL−Mu3プラスミドはEcoRI及びHindIIIにより二重酵素切断同定を行うことができ、成功裏に結合されたプラスミドが酵素切断されたところ、2.7Kb前後のベクター断片及び500bp前後の標的断片が得られるべきである。図2に示されるように、pMD19/TRAIL−Mu3による4#、5#、6#、8#の4つのサンプルは陽性クローンとなる。陽性クローンを華大(Beijing Genomics Institute、BGI)に送って遺伝子配列決定を行い、配列が完全に正確であるTRAIL−Mu3標的遺伝子配列のプラスミドを含む菌種が得られた。
TRAIL−Mu3標的断片のpET32a又はpTWIN1との結合、結合生成物の単コロニー分離及び同定
それぞれNdeI及びEcoRIにより、TRAIL−Mu3標的断片及びベクターpET32a又はpTWIN1を二重酵素切断する。TRAIL−Mu3断片を、Trx融合タグ配列が切除されたベクターpET32a又はIntein配列が切除されたベクターpTWIN1と結合させ、Top10コンピテント細胞に形質転換し、単クローンを選び取り、XbaI及びEcoRIにより二重酵素切断同定を行う。TRAIL−Mu3標的断片は実施例2によるものであり、ベクターpET32a又はpTWIN1は実験室で調製されたものである。
一.標的断片TRAIL−Mu3とpET32a又はpTWIN1プラスミドとの二重酵素切断及び結合
1.NdeI及びEcoRIによりベクター及び標的遺伝子断片を二重酵素切断し、酵素切断系を表5に示し、反応系を100μlとする。
3.OMEGAのゲル抽出キットによりゲル抽出を行い、ベクター及び標的断片をそれぞれ超純水30μlで溶離する。電気泳動を行い、写真を撮る。
4.ゲル抽出された標的断片とベクターとを結合させ、結合系を表6に示す。
6.結合生成物10μlをTop10コンピテント細胞100μlに加え、氷浴を30分間行う。
7.42℃の水浴で熱衝撃を90秒間行う。
8.氷に置いて2分間インキュベートする。
9.SOC培地500μlを加え、37℃で振盪培養を45分間行う。
10.形質転換されたコンピテント細胞を遠心してから、超清浄作業台にて400μlを捨てて約100μlの培地を残す。
11.均一にするように細菌に吹き掛け、その全てをAmpを含むLB固体培地に塗布し、37℃で一夜培養する。
(一)単コロニー分離
1.複数本の滅菌された試験管を用意し、試験管毎にアンピシリンLB液体培地100mlを加える。
2.一つの試験管当たり約4mlとするように、培地を各試験管に分注する。
3.十分に焼かれたピンセットで無菌ピペットチップを挟み取り、pET32a/TRAIL−Mu3平板から8つを選び取り、あるいはpTWIN1/TRAIL−Mu3平板から5つ選び取るように、コロニーが成長した平板からコロニーを選び取る。ピペットチップをLB培地が入れられた試験管に投入する。
4.各試験管をしっかりと縛って、振動台におけるクランプに置いて十分に固定する。37℃で220rpmで一夜振動する。
1.菌液の各々を1ml採取してそれぞれ遠心管に加える。10000gで1分間遠心し、上澄みを可能な限り吸い上げる。
2.菌体沈殿物が残った遠心管に250μlのSolution I(RNAase Aが予め加えられておく)を加え、徹底的に細菌沈殿物を懸濁する。
3.250μlのSolution IIを加え、5分間以内に優しく且つ均一に混合して菌体を十分に分裂させたところ、菌液が澄んで粘稠なものとなる。
4.遠心管に350μlのSolution IIIを加え、直ちに反転して均一に混合したところ、白い絮状の沈殿物が生じ、13000gで10分間遠心したところ、遠心管の底部に沈殿物が形成された。
5.ステップ5で得られた上澄みを、沈殿物を吸い上げないように均一に分けて、収集管に入れられた2つのHiBind Miniprep吸着コラムに加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
6.収集管に500μlのBuffer HBを加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
7.収集管に700μlのWash Bufferを加え、10000gで1分間遠心し、収集管中の廃液を注ぎ捨て、吸着コラムを収集管に戻す。
8.ステップ7を繰り返す。
9.吸着コラムを収集管に戻し、13000gで2分間遠心して吸着コラムを乾燥させ、収集管中の廃液を注ぎ捨てる。
10.各吸着コラムを新しい1.5mlのEp管に置き、吸着膜毎の中間箇所に、接触しないように65μlのElution Bufferを滴下し、室温で数分間置き、13000g以上で1分間遠心して、プラスミド溶液を1.5mlのEp管に収集する。
11.それぞれプラスミドDNA60μlが得られた。−20℃でプラスミドを保管する。
1.XbaI及びEcoRIによりpET32a/TRAIL−Mu3又はpTWIN1/TRAIL−Mu3プラスミドを二重酵素切断する。酵素切断反応系を表7に示す。
3.酵素切断の終了後に電気泳動同定を行う。
一.理論的には、TRAIL−Mu3とpET32a及びpTWIN1をNdeI及びEcoRIにより二重酵素切断したところ、大きさがそれぞれ約500bp、5.4kb、6.6kb前後である標的断片が得られることになり、図3に示されるように、酵素切断の後にゲル抽出を行ったところ、予期したとおりの単一のストリップが得られた。
1.平板にコロニーは成長しており、密度が正常なものである。
2.選び取られた単コロニーは、翌日に一部の試験管に細菌が成長しており、密度が正常なものである。
3.酵素切断法でプラスミドが同定され、pET32a/TRAIL−Mu3又はpTWIN1/TRAIL−Mu3プラスミドはXbaI及びEcoRIにより二重酵素切断同定が行われ、成功裏に結合されたプラスミドが酵素切断されたところ、5.4Kb前後と6.6Kb前後のベクター断片、及び550bp前後の標的断片が得られるべきである。図5に示されるように、pTWIN1/TRAIL−Mu3は3つのサンプルが陽性クローンとなり、図4に示されるように、pET32a/TRAIL−Mu3は4つのサンプルが陽性となり、陽性プラスミドを華大に送って遺伝子配列決定を行い、正確な配列決定結果が得られたプラスミドに対して菌種を保存する。
pTWIN1/TRAIL−Mu3又はpET32a/TRAIL−Mu3の発現試験
実施例3で得られた正確な配列決定結果が得られたプラスミドでコンピテント大腸菌BL21(DE3)を形質転換し、それぞれ1つの単一細菌を選び取って発現試験を行い、発現効果を検討する。
一.プラスミドによる形質転換及び菌種の保存
1.LB培地100mlを調合し、121℃で20分間滅菌する。
2.pTWIN1/TRAIL−Mu3又はpET32a/TRAIL−Mu3プラスミドをそれぞれ1μl採取してBL21(DE3)コンピテント細胞100μlに加え、氷浴を30分間行う。
3.42℃の水浴で熱衝撃を90秒間行う。
4.氷に置いて3分間インキュベートする。
5.形質転換されたコンピテント細胞20μlを採取してAmpを含むLB固体培地に塗布し、37℃で一夜培養する。
6.翌日に、平板にコロニーが成長した後、平板から一つの単一細菌を選び取って50mlのLB(Amp+)に加え、37℃で一夜培養する。
7.グリセロールの最終濃度を15%とするように、−20℃で20本のグリセロール菌を保存する。
1.一夜培養されたpTWIN1/TRAIL−Mu3又はpET32a/TRAIL−Mu3培養液をそれぞれ1000μl採取してLB(Amp+)培地50mlに接種する。接種の後、37℃で250rpmで3時間振動培養してから、培養温度を24℃に下げる。1%の割合で0.1MのIPTGを加えて誘導培養を行い、誘導前に0.5mlサンプリングし遠心して上澄みを捨て、50μlのH2Oを加え再懸濁してから、50μlの2×loading bufferを加えて誘導後電気泳動サンプルとする。
2.一夜誘導してから細菌を採取し、A600値を検出し、150μlサンプリングし遠心して上澄みを捨て、50μlのH2Oを加え再懸濁してから、50μlの2×loading bufferを加えて誘導後電気泳動サンプルとし、残りの菌液を5430R型遠心機により12000rpmで5分間遠心する。
3.培養液50mlを採取し遠心して菌体を得、50mMのNa2HPO4溶液8mlで再懸濁し、超音波により菌体破砕を行う。菌体破砕条件としては、Φ6のプローブにより、200Wのパルスで2s破砕してから2s一時停止するように、10分間循環することである。
4.菌体破砕液1mlを採取して12000rpmで10分間遠心し、上澄みと沈殿物を分離し、沈殿物を1mlのH2Oで再懸濁し、上澄みと沈殿物再懸濁液をそれぞれ20μl採取して30μlのH2O及び50μlの2×loading bufferを加え、電気泳動サンプルとする。
5.作成された電気泳動サンプルを沸騰水浴に置いて10分間処理し、A−45−30−11型回転ヘッドを備える5430R型遠心機により、12000rpmで10分間遠心し、上澄みをそれぞれ10μl採取して電気泳動を行う。
実験による電気泳動図は図6(pTWIN1/TRAIL−Mu3)と図7(pET32a/TRAIL−Mu3)に示されており、いずれも高い発現を有し、また、大部分の発現生成物の菌体破砕後の上澄みは、可溶性発現率が高いものである。
TRAIL−Mu3タンパク質の精製
TRAIL−Mu3に対する多数の小規模実験プロセスに対する探索により、TRAIl−Mu3タンパク質の精製プロセスを確立しており、即ち、体内外活性分析用のサンプルを得るために、SP−HP陽イオン交換、ヒドロキシアパタイト及び陰イオン交換透過の三段法によりTRAIL−Muタンパク質を大規模に精製するようにしている。
一.菌体破砕及び遠心
1.TRAIL−Mu3発現菌体10gを採取し、最終濃度をそれぞれ20mM、5%、0.1%、1mM、500mMとするようにNa2CO3、グリセロール、Tween 20、DTT及びNaClを加え、またH2Oを加えて総体積を80mlとする。
2.菌液に対して超音波菌体破砕を行い、菌体破砕条件としては、Φ10のプローブにより、500Wのパルスで2秒間破砕してから2秒間一時停止ように15分間行うことである。
3.F−35−6−30型回転ヘッドを備える5430R型遠心機により、7850rpmで40分間遠心し、上澄みを採取して0.45μmのろ過膜でろ過し、コラムにロードするためのサンプルとする。
1.以下のような溶液を調合する。
(1)陽イオン交換緩衝液A:20mMのNa2CO3−NaHCO3、0.5MのNaCl、5%のグリセロール、0.1%のTween 20、1mMのDTT、pH10.40に調節する。
(2)陽イオン交換緩衝液B:20mMのNa2CO3−NaHCO3、1.5MのNaCl、5%のグリセロール、0.1%のTween 20、1mMのDTT、pH10.20に調節する。
(3)0.5MのNaOH。
(4)2MのNaCl。
(5)ヒドロキシアパタイト予備平衡液:500mMのNa2HPO4−NaH2PO4、pH7.0に調節する。
(6)ヒドロキシアパタイト平衡液:10mMのNa2HPO4−NaH2PO4、6ppmのCa2+、pH7.0に調節する。
(7)SNS緩衝液:25mMのTris、25mMのNaCl、10mMのNa2HPO4−NaH2PO4、pH7.75に調節する。
(8)ヒドロキシアパタイト緩衝液A:10mMのNa2HPO4−NaH2PO4、15ppmのCa2+、pH7.0に調節する。
(9)ヒドロキシアパタイト緩衝液B:10mMのNa2HPO4−NaH2PO4、15ppmのCa2+、1.5MのNaCl、pH7.0に調節する。
(10)陰イオン交換緩衝液:20mMのNa2HPO4−NaH2PO4、0.06MのNaCl、0.3Mのグリシン、pH7.0に調節する。
(11)希釈液:15mMのNa2HPO4−NaH2PO4、9ppmのCa2+、pH4.5に調節する。
2.SP Sepharose Fast Flowゲルクロマトグラフィコラムを使用し、5CVの純水でコラムに残留するエタノールを洗い落とし、続いて対応する5CVの平衡緩衝液で平衡させる。
3.MPC HCT XK16 Gradゲルクロマトグラフィコラムを使用し、1CVの純水でコラムにおけるNaOHを洗い落として希釈し、続いて5CVの予備平衡緩衝液で平衡させ、さらに平衡緩衝液で平衡させる。
4.Sephadex G−25 mediumゲルクロマトグラフィコラムを使用し、5CVの純水でコラムに残留するエタノールを洗い落とし、続いて5CVの陰イオン交換緩衝液で平衡させる。
5.Q Sepharose Fast Flowゲルクロマトグラフィコラムを使用し、5CVの純水でコラムに残留するエタノールを洗い落とし、続いて5CVの陰イオン交換緩衝液で平衡させる。
以下のような精製手順に従って、陽イオン交換による精製を行う。精製する間に、全ての透過及び溶離成分を収集して電気泳動分析に備える。
1.平衡:陽イオン交換A緩衝液で、UVが安定するまでSP Sepharose Fast Flowクロマトグラフィコラムを平衡させる。
2.サンプルの調製及びローディング:菌体破砕され遠心された上澄みを採取し、ローディングする。
3.洗浄:残留する未結合タンパク質を除去するために、2CVの陽イオン交換緩衝液Aでコラムを洗浄する。
4.溶離:3CVの陽イオン交換緩衝液Bで標的タンパク質を溶離する。
5.NaOH洗浄:2CVのNaOH溶液0.5Mでコラムを洗浄する。
6.再平衡(Reequilibration):5CVの陽イオン交換緩衝液Aでコラムを再平衡させる。
以下のような精製手順に従って、ヒドロキシアパタイトによる精製を行う。精製する間に、全ての透過及び溶離成分を収集して電気泳動分析に備える。
1.平衡:ヒドロキシアパタイト平衡緩衝液で、UVが安定するまでMPC HCT XK16 Gradクロマトグラフィコラムを平衡させる。
2.サンプルの調製及びローディング:陽イオン交換溶離液サンプルを採取し、二倍の希釈液を加えて500mMのNaClを含むサンプルに希釈し、ローディングする。
3.洗浄:残留する未結合タンパク質を除去するために、2CVのヒドロキシアパタイト平衡緩衝液でコラムを洗浄する。
4.SNS:6CVのSNS緩衝液でコラムを洗浄し、pHを制御する。
5.NaCl溶離:2CVのヒドロキシアパタイト緩衝液Aでコラムを平衡させ、続いて5CVのヒドロキシアパタイト緩衝液Bで標的タンパク質を溶離する。
6.リン酸塩基溶離:2CVのヒドロキシアパタイト予備平衡緩衝液で、コラムにおけるNaClにより溶離されていないタンパク質又は不純物を洗浄する。
7.水洗浄:0.5CVの滅菌水でコラムを洗浄して、リン酸三ナトリウム沈殿物の形成を回避する。
8.NaOH洗浄:5CVのNaOH溶液0.5Mで残りの不純物を溶離し、コラムを保管する。
以下のような精製手順に従って、第三段階の陰イオン交換による精製を行う。精製する間に、全ての透過及び溶離成分を収集して電気泳動分析に備える。
1.平衡:陰イオン交換緩衝液で、UVが安定するまでQ Sepharose Fast Flowクロマトグラフィコラムを平衡させる。
2.サンプルの調製及びローディング:ヒドロキシアパタイト精製溶離サンプルを採取し、Sephadex G−25 mediumクロマトグラフィコラムにより緩衝液を陰イオン交換緩衝液に置換してから、ローディングする。
3.平衡液洗浄:コラムに結合されていない標的タンパク質を得るために、1CVの陰イオン交換緩衝液でコラムを洗浄する。
4.NaCl洗浄:コラムに結合されたタンパク質を除去するために、2CVのNaCl 2Mでコラムを洗浄する。
5.NaOH洗浄:2CVのNaOH溶液0.5Mでコラムを洗浄する。
6.再平衡(Reequilibration):陰イオン交換緩衝液でコラムを再平衡させる。
精製過程の手順毎によるサンプルの電気泳動結果を図8、9、10に示す。第一段階のSP溶離液は15ml収集され、濃度が2.273mg/mlであり、標的タンパク質の純度が非常に高くなっていることが検出され、第二段階のヒドロキシアパタイト溶離液は12ml収集され、濃度が2.080mg/mlであり、残りのハイブリッドタンパク質及び一部のピロゲンを除去する作用を有し、第三段階の陰イオン交換透過液は20ml収集され、濃度が0.846mg/mlであり、主にピロゲンを除去するものである。本実施例による実験操作を複数回繰り返して、体外生物活性評価に十分なタンパク質量を得た。
TRAIL−Mu3タンパク質のWestern Blot検査
TRAIL−Mu3は野生型TRAILのN末端の5つの部位を突然変異させて得たものであるため、TRAILの抗原決定基が依然として保たれており、TRAILの多クローン抗体と特異的結合できるので、TRAIL多クローン抗体により検査し同定することができる。
一.サンプルの調合
1.実施例5で精製されたTRAIL−Mu3タンパク質を−20℃から解凍してから、その提供する濃度に応じて、超純水で1mg/mlに希釈する。サンプル50μlを採取して50μlの2×loading bufferを加え、電気泳動サンプルとする。それぞれ10μl採取して電気泳動を行い、即ち、ローディング量を5ugとする。
2.参照物質であるTRAIL−20131204凍結乾燥物(実験室で調製されたもの)を1mlのPBSで溶解し、サンプル50μlを採取して50μlの2×loading bufferを加え、電気泳動サンプルとする。それぞれ10μl採取して電気泳動を行い、即ち、ローディング量を5ugとする。
サンプルについて15%のSDS−PAGE電気泳動を行い分離してから、PVDF膜に転移する。まず、4℃で一夜遮断し、そして一次抗体[家兎抗ヒトTRAIL多クローン抗体(1:500)]と室温で2時間インキュベートし、続いて二次抗体[ヒツジ抗家兎IgG−HRP(1:5000)]と室温で2時間インキュベートし、最後に増強化学発光(ECL)により検査する。具体的な手順は以下のとおりである。
1.15%のSDS−PAGE電気泳動を行なってタンパク質を分離し、ゲルを取り出して縁を切除し、TBST緩衝液に15分間浸漬する。
2.PVDF膜による転移(湿式転移):PVDFは使用の前にややメタノールで15秒間浸漬する必要があり、続いて蒸留水に1〜3分間浸してから、転移緩衝液にて平衡させるものであり、転移クリップにおいて、負極から正極へ順にスポンジパッド、ろ紙(4〜8枚)、標的ゲル、PVDF膜、ろ紙(4〜8枚)及びスポンジパッドを敷き、気泡を排出してから、クリップを締付けて電圧40Vで転移用のタンクに45分間置く。
3.膜の遮断:非特異結合部位を遮断するために、膜を遮断液(3%のBSA)にて4℃の条件で一夜遮断し、翌日に取り出して室温で30分間振動する。
4.一次抗体のインキュベート:一次抗体[家兎抗ヒトTRAIL多クローン抗体(1:500)]を遮断液で作用濃度に希釈し、膜とともに振動し、室温で2hインキュベートする。
5.膜の洗浄:一回に付き、10分間洗浄するようにTBSTで膜を三回洗浄する。10×10cmの膜については、50ml以上の洗浄液を必要とする。
6.二次抗体のインキュベート:HRPで標識された二次抗体[ヒツジ抗家兎IgG−HRP(1:5000)]を遮断液で作用濃度に希釈し、膜とともに振動し、室温で2時間インキュベートする。
7.膜の洗浄:一回に付き、10分間洗浄するようにTBSTで膜を三回洗浄する。10×10cmの膜については、50ml以上の洗浄液を必要とする。
8.発色:(1)等体積のSolution AとSolution Bとを混合して、十分な検査用の混合液(0.125ml/cm2)を調製する。検査用の混合液は室温で1時間以内に安定性を保持できるため、その調製の後に直ちに使用することになる。(2)ブロッティング膜を乾燥にしないように、洗浄されたブロッティング膜における余分な洗浄液を滴らせる。膜のタンパク質がある一方の面に検査用の混合液を加え、余分な検査用の混合液を滴らせ、コダック製のゲルイメージング装置Image Station 4000Rに置き、最初に露光時間1分間を選択し、画像結果に応じて露光時間を調整するように、X−rayで露光する。コンピュータで画像を記録する。
9.結果の判断:陽性の結果であれば、明らかなカラーラインを示すべきである。陰性の結果であれば、発色しないことになる。
図11に示されるように、TRAIL−Mu3及びTRAIL参照物質は陽性反応を呈し、陰性対照では陰性反応を呈している。
タンパク質TRAIL−Mu3及びTRAILの生物活性分析
CCK−8検査キットにより、TRAIL−Mu3及び野生型TRAILの2つのタンパク質サンプルの32個の腫瘍細胞株に対する体外での抗増殖活性IC50値を検査して、その体外生物活性を評価する。
材料と方法
検査用の細胞株はいずれも中国科学院上海細胞庫又はアメリカATCCに由来するものである。
Cell Counting Kit−8 (Cat# CK04−13、Dojindo)
96ウェル培養プレート (Cat# 3599、Corning Costar)
ウシ胎仔血清 (Cat#10099−141、GIBCO)
培地 (GIBCOから購入)
卓上型マイクロプレートリーダー SpectraMax M5 Microplate Reader(Molecular Devices)
2つのタンパク質サンプル:実施例5により調製し又は実験室で調製する。
1.試薬の調合
培地の調合
最終濃度を5mg/mlとするように、無菌のPBS緩衝液で2つのタンパク質サンプルを希釈し、そしてろ過し除菌する。
2.IC50実験
a)対数増殖期の細胞を収集してカウントし、完全培地で細胞を再懸濁し、適切な細胞濃度(細胞密度最適化試験の結果に基づいて決定される)に調整し、ウェル毎に細胞懸濁液100μlを加えるように96ウェルプレートに接種する。細胞を37℃で100%の相対湿度で、5%のCO2インキュベータにて24時間インキュベートする(SW620細胞は例外、5%のCO2を必要としない)。
b)無菌のPBS緩衝液で測定待ちのタンパク質サンプルを5mg/mlに希釈してから、8回勾配希釈し、25μl/ウェルとして細胞を加える。化合物の最終濃度は、合計10個の濃度点とするように1mg/mlから0へ3倍の勾配希釈を行い、そして、初歩的な実験結果に基づいて、タンパク質サンプルの最終作用濃度について対応する調整を行う。
c)細胞を37℃で100%の相対湿度で、5%のCO2インキュベータにて48時間インキュベートする(SW620細胞は例外、5%のCO2を必要としない)。
d)培地を吸い上げて捨て、10%のCCK−8を含む完全培地を加え37℃のインキュベータに置いて2−4時間インキュベートする。
e)優しく振盪してから、SpectraMax M5 Microplate Readerにて450nm波長における吸光度を測定し、650nmにおける吸光度を参照として、抑制率を算出する。
3.データ処理
下式として薬物の腫瘍細胞の成長に対する抑制率を算出する。
腫瘍細胞成長抑制率%=[(Ac−As)/(Ac−Ab)]×100%
As:サンプルのOA/RLU(細胞+CCK−8+測定待ちの化合物)
Ac:陰性対照のOA/RLU(細胞+CCK−8)
Ab:陽性対照のOA/RLU(培地+CCK−8)
ソフトウェアGraphpad Prism 5により、算式log(inhibitor)vs. normalized response−Variable slopeでIC50曲線の当てはめを行い、IC50値を算出する。
本実験では、5つの膵臓がん細胞株(MIAPaCa−2、CFPAC−1、Panc 05.04、BxPC−3、PANC−1)、5つの肺がん細胞株(NCI−H460、A 549、NCI−H522、H146、NCI−H226)、5つの結(直)腸がん細胞株(HCT−15、COLO 205、SW620、HT−29、HCT 116)、5つの乳がん細胞株(MDA−MB−435s、MDA−MB−231、MCF−7、T47D、ZR−75−1)、6つの骨髄由来腫瘍細胞株(Molt4、K562、RPMI8226、HL−60、L540cy、OPM−2)、3つの脳腫細胞株(U87−MG、SH−Sy5y−2、U251)及び3つの(骨)軟骨腫細胞株(U−20S、SaoS−2、HT1080)に対する、2つのタンパク質サンプル(TRAIL−Mu3及び野生型TRAIL)の体外での抗細胞増殖活性をテストした。実験結果を下表に示す。
TRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体TRAIL−Mu3はTRAIL野生型タンパク質に比べて、検査されたほとんど全ての種類の腫瘍細胞(複数種の結(直)腸がん細胞、複数種の肺がん細胞、複数種の膵臓細胞、複数種の乳腺細胞、複数種の骨髄由来腫瘍細胞、複数種の(骨)軟骨腫細胞を含む)にとって、その抗腫瘍活性が顕著に向上し、特にTRAIL野生型タンパク質に対して薬剤耐性を持つ腫瘍細胞株にとって、これらの細胞のTRAIL野生型タンパク質に対する耐性を顕著に逆転でき、より高い治療作用を持っている。
Claims (3)
- 選択的にTRAIL野生型タンパク質の細胞膜外領域における第114〜121部位のアミノ酸コード配列をVRERGPQRからRRRRRRRRに組み換え、即ち、第114部位をバリンからアルギニンに突然変異させ、第116部位をグルタミン酸からアルギニンに突然変異させ、第118部位をグリシンからアルギニンに突然変異させ、第119部位をプロリンからアルギニンに突然変異させ、第120部位をグルタミンからアルギニンに突然変異させることによって、突然変異体タンパク質のN末端を連続的な8つのアルギニンコード配列とし、細胞膜透過性ペプチド様構造を備えるタンパク質となっていることを特徴とするTRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体。
- 前記突然変異体のアミノ酸配列はSEQ ID NO:2に示されるとおりであることを特徴とする、請求項1に記載のTRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体。
- 前記突然変異体をコードするcDNA配列はSEQ ID NO:1に示されるとおりであることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のTRAIL細胞膜透過性ペプチド様突然変異体。
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