JP6300593B2 - 車両用バッテリの冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のルーフパネル上に搭載されるバッテリを冷却する車両用バッテリの冷却構造に関するものである。
従来、バスのような車両では、高齢化社会に向けたバリアフリー対策として前扉部から後扉部まで段差を無くしたノンステップ化や車内移動性の向上が求められている。このような要求に伴い、バスでは客室内の空間を確保するため、バッテリはルーフパネル上に搭載され、そのバッテリを雨水から保護するためのバッテリカバーで覆うようにしている。
一方、バスのような車両に搭載されるバッテリの性能や寿命は温度環境に大きく依存している。特に、高温時に充放電を行うと、バッテリの劣化が著しくなる。そのため、バッテリを強制的に冷却する必要がある。
このため、バスのルーフパネル上に設けられたバッテリを冷却する構造として、複数のバッテリを単一のバッテリボックスに収容し、そのバッテリボックスをバスのルーフパネルに取付け、そのバッテリボックスを覆うバッテリカバーをルーフパネルとの間に外気を導入できる間隙をあけてルーフパネルに取付け、そのバッテリボックスに設けた冷却風のボックス用排気口の近傍のバッテリカバーにカバー用排気口を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記構成を有する車両用バッテリの冷却構造では、バッテリカバーとルーフパネルとの間の間隙を通った冷却風が、バッテリボックス内に設けられる冷却ファンにより吸気ダクトを通ってバッテリボックス内に吸気される。バッテリボックス内に吸気された冷却風は、バッテリの各セル間を通り、その冷却風に曝されることで、バッテリは冷却される。バッテリの冷却に寄与し、温度が上昇した冷却済み熱風は、バッテリボックスのボックス用排気口からバッテリボックスの外部に排気され、さらにカバー用排気口を通ってバッテリカバーの外部に排気されるとしている。
特開2005−247168号公報
しかし、複数のバッテリを単一のバッテリボックスに収容する従来の冷却構造では、そのバッテリボックス内に設けられた複数のバッテリを均一に冷却できない不具合があった。即ち、吸気ダクトを通ってバッテリボックス内に吸気された冷却風は、バッテリボックス内に設けられたバッテリを冷却した後にボックス用排気口から排出されることになる。けれども、複数のバッテリを単一のバッテリボックスに収容すると、あるバッテリを冷却した冷却済み熱風がボックス用排気口に達するまでに他のバッテリを冷却するために用いられる場合を生じさせる。そして、上流側のバッテリを冷却して温度が上昇した冷却済み熱風が下流側のバッテリを冷却すると、その冷却の程度に差が生じ、結果的にバッテリボックス内に設けられた複数のバッテリを均一に冷却できない不具合があった。
本発明の目的は、複数のバッテリを均一に冷却し得る車両用バッテリの冷却構造を提供することにある。
本発明は、バッテリを収容し冷却風を吸引する吸気口と冷却済み熱風を排出する排気口とを有する複数のバッテリボックスが車両のルーフパネルに搭載され、複数のバッテリボックスを覆うバッテリカバーがルーフパネルに設けられた車両用バッテリの冷却構造である。
その特徴ある構成は、ルーフパネルとバッテリカバーとにより囲まれて複数のバッテリボックスを収容する空間を車両の幅方向の両側における吸気室と吸気室に挟まれて前後に延びる排気室とに仕切る仕切りが設けられ、複数のバッテリボックスが吸気口を吸気室に開口し排気口を排気室に開口するように車両の幅方向に分けて2列に配列され、その排気室をバッテリカバーの外部に連通させて吸気と排気の双方を行う吸排気口がバッテリカバーの前後にそれぞれ形成されたところにある。
この車両用バッテリの冷却構造では、前後に延びる仕切りの前端がバッテリカバーの前壁に達し、仕切りの後端がバッテリカバーの後壁に達することが好ましく、吸気室をバッテリカバーの外部に連通させる開口がバッテリカバーの幅方向の両側にそれぞれ形成されることが更に好ましい。
本発明の車両用バッテリの冷却構造では、バッテリボックスを収容する空間を仕切りにより吸気室と排気室とに仕切り、バッテリボックスの吸気口を吸気室に開口したので、バッテリボックスには常に吸気室における空気が冷却風として導入されることになる。また、バッテリボックスの排気口を排気室に開口させたので、バッテリボックス内に設けられたバッテリを冷却した冷却済み熱風は常に排気室に排出されることになり、あるバッテリを冷却した冷却済み熱風が吸気室に戻り、他のバッテリを冷却するために用いられることは無い。このように、複数のバッテリボックスに分けて設けられたバッテリは、それぞれ吸気室の空気を別々に吸引してバッテリを冷却することから、それらのバッテリボックス内に別々に設けられた複数のバッテリは均一に冷却されることになる。
また、バッテリカバーの前後に排気室に連通する給排気口を形成すると、車両の走行に伴って吸排気口を介して排気室に空気流が生じ、バッテリボックスの排気口から排気室に排出された冷却済み熱風を速やかにバッテリカバーの外部に排出することができる。これによりバッテリを冷却した空気が再び吸気室に戻ることは防止され、バッテリを冷却した空気が再びバッテリを冷却することを確実に防止して、複数のバッテリをより効率的に冷却させることができる。
本発明実施形態の車両用バッテリの冷却構造を示す図3のA−A線断面図である。 その車両用バッテリの冷却構造を示す分解斜視図である。 その冷却構造を備える車両の側面図である。 別の冷却構造を示す図1に対応する断面図である。 その別の冷却構造を示す図2に対応する分解斜視図である。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の車両用バッテリの冷却構造は、車両のルーフパネル10a上に設けられた複数のバッテリに関するものであり、この実施の形態では、車両であるバス10を用いて説明する。ここで、バッテリは、図示しないが、並んで配置される複数のセルを有するものであり、複数のバッテリは別々のバッテリボックス11に収容される。
図1に示すように、複数のバッテリを別々に収容する各バッテリボックス11は同一構造であり、各バッテリボックス11はバッテリを別々に収容するとともに、それらのバッテリボックス11には、単一のバッテリを冷却する冷却風21を吸引する吸気口11aと、そのバッテリを冷却した後の冷却済み熱風22を排出する排気口11bとがそれぞれ形成され、吸気口11a近傍のバッテリボックス11内には、図示しない電動ファンがそれぞれ設けられる。
それら複数のバッテリボックス11は、バス10のルーフパネル10a上に搭載される。この実施の形態では、バス10の前方におけるルーフパネル10a上に複数のバッテリボックス11が搭載される場合を示し(図3)、図2に示すように、ルーフパネル10a上には、バッテリボックス11を搭載するためのバッテリ取付部材12が取付けられる。複数のバッテリボックス11は、そのバッテリ取付部材12に取付けられることによりルーフパネル10a上に搭載される。
また、バス10の前方におけるルーフパネル10a上に搭載された複数のバッテリボックス11は、その状態で単一のバッテリカバー13により覆われる。この実施の形態におけるバッテリカバー13は、FRP(Fiber Reinforced Plastic:繊維強化プラスチック)製であって、このバッテリカバー13は、ルーフパネル10a上に搭載された複数のバッテリボックス11を包囲可能な大きさを有する方形状の天板13aと、その天板13aの前縁に上縁が連続して下方に延びる前壁13bと、その天板13aの後縁に上縁が連続して下方に延びる後壁13cと、その天板13aの側縁に上縁が連続して下方に延びて前後が前後壁13b,13cの側縁に連続する左右の側壁13d,13eとを有する。
図2に示すように、この実施の形態では、バス10の前方におけるルーフパネル10a上には、そのルーフパネル10a上に搭載された複数のバッテリボックス11を包囲する位置にカバー取付部材14が取付けられ、このカバー取付部材14にバッテリカバー13の前後壁13b,13c及び左右の側壁13d,13eの下部がそれぞれ取付けられる。そのようにカバー取付部材14に周囲が取付けられたバッテリカバー13は、複数のバッテリボックス11を覆うように構成される。
図1及び図2に示す様に、ルーフパネル10aとバッテリカバー13とにより囲まれる空間は、バス10の幅方向に所定の間隔を開けて、バス10の前後方向に延びる互いに平行な板状の一対の仕切り16により仕切られる。その一対の仕切り16により、ルーフパネル10aとバッテリカバー13とにより囲まれる空間は、図1に示すように、バス10の幅方向の両側における吸気室17と、その吸気室17に挟まれてその中央においてバス10の前後に延びる排気室18とに仕切られる。
複数のバッテリボックス11はバス10の幅方向に分けて2列に配列され、それらの吸気口11aは吸気室17に開口し、それらの排気口11bは中央の排気室18にそれぞれ開口するように配列される。この実施の形態では、4つのバッテリボックス11がルーフパネル10a上に設けられる場合を示し、吸気室17と排気室18を分ける仕切り16は、ルーフパネル10a上に前後に配設されたバッテリボックス11を連結してその上縁が天板13aに接触し下縁がルーフパネル10aに接触する中間仕切り16aと、前側のバッテリボックス11とバッテリカバー13の前壁13bを連結してその上縁が天板13aに接触し下縁がルーフパネル10aに接触する前仕切り16bと、後側のバッテリボックス11とバッテリカバー13の後壁13cを連結してその上縁が天板13aに接触し下縁がルーフパネル10aに接触する後仕切り16cとを、それぞれ備えるものを例示する。
一方、バッテリカバー13の前壁13b及び後壁13cの双方には、排気室18に連通する吸排気口13gが形成される。また、このバッテリカバー13の左右の側壁13d,13eには、バス10の前後方向における略中央に、吸気室17に連通する開口13hが形成される。これら吸排気口13g及び開口13hには、それぞれグリル19(図2)が設けられる。図1はグリル19を省略してあり、図2に示すグリル19は、複数のグリルパネルを有する。各グリルパネルは、バッテリカバー13内方に向かうに従いバッテリカバー13の天板13a側に傾斜するように組み付けられる。そして、グリルパネルは、バッテリカバー13の内部と外部を連通させて、これらの吸排気口13g及び開口13hを介して吸気又は排気が可能な間隔で配置される。このグリル19は、複数のグリルパネルにより、吸排気口13g及び開口13hを介してバッテリカバー13の中へ雨水が浸入することを防止するものである。
次に、このように構成された車両用バッテリの冷却構造において、バッテリを冷却する冷却風の流れを説明する。
バッテリの冷却は、バッテリボックス11に設けられた図示しない冷却ファンを駆動することにより行われ、冷却ファンを駆動すると、吸気室17の空気を吸気口11aからバッテリボックス11の内部に吸引する。そして、本発明の車両用バッテリの冷却構造では、バッテリボックス11を収容する空間を仕切り16により吸気室17と排気室18とに仕切り、バッテリボックス11の吸気口11aを吸気室17に開口したので、バッテリボックス11には常に吸気室17における空気が冷却風21として導入されることになる。
バッテリボックス11内部に吸引された空気は、バッテリの図示しないセルの側部及び各セルの間を通る。このように、図示しないバッテリは、バッテリボックス11の内部を通過する冷却風21に曝されることによって冷却されることになる。そして、バッテリの冷却に寄与し、温度が上昇した冷却済み熱風22は、排気口11bからバッテリボックス11の外部に排気される。
ここで、バス10の走行により、バッテリカバー13の外部には走行に伴う空気流が生じる。けれども、吸気室17には、開口13hを介してバッテリカバー13の外部の空気が流入することになるので、バッテリカバー13の外部を流れる空気と異なり、その吸気室17に導入された空気に著しい流れが生じることはない。このため、その吸気室17に溜まった空気を吸気口11aから別々に吸引してバッテリを冷却することから、複数のバッテリボックス11に分けて別々に設けられた複数のバッテリは均一に冷却されることになる。
また、本発明の車両用バッテリの冷却構造では、バッテリボックス11の排気口11bを排気室18に開口させたので、バッテリボックス11内に設けられたバッテリを冷却して温度が上昇した冷却済み熱風22は常に排気室18に排出されることになる。このため、あるバッテリを冷却した冷却済み熱風22が吸気室17に戻り、他のバッテリを冷却するために用いられるようなことは無い。
そして、バッテリカバー13の前後に排気室18に連通する吸排気口13gを形成したので、バス10の走行に伴って吸排気口13gを介して排気室18に空気流が生じ、バッテリボックス11の排気口11bから排気室18に排出された冷却済み熱風22を速やかにバッテリカバー13の外部に排出することができる。
ここで、図3に示すように、バス10の前面は、一般的に鉛直面を成しているので、バス10の走行に伴うルーフパネル10a上の空気の流れは、バス10の前部においてルーフパネル10a上から剥離し、バス10の中央部分で再びルーフパネル10aに沿うような流れに成る。このため、そのルーフパネル10aの前部における空気の流れは、ルーフパネル10aに沿ってそのバス10の中央部分から前方に向かう流れが生じ、バス10の前端部からルーフパネル10aから剥離して後方に向かう渦流が生じることになる。
従って、バス10の前部におけるルーフパネル10a上に複数のバッテリボックス11を搭載する場合であると、バス10の走行に伴って、図1に示すように、バッテリカバー13の後壁13cに形成された吸排気口13gを介してバス10の後方から前方に流れる空気により排気室18に前方に向かう空気流が生じる。すると、その排気室18において前方に流れる空気は、バッテリボックス11の排気口11bから排気室18に排出された冷却済み熱風22とともに、前壁13bに形成された吸排気口13gからバッテリカバー13の外部に排出されることになる。これによりバッテリを冷却した空気がバッテリカバー13の内部で再び吸気室17に戻るようなことはなく、バッテリを冷却した空気が再びバッテリを冷却することを確実に防止して、複数のバッテリを均一にかつ効率的に冷却させることができるのである。
なお、上述した実施の形態では、中間仕切り16aと前仕切り16bと後仕切り16cとを備える仕切り16を用いて説明した。けれども、ルーフパネル10aと前記バッテリカバー13とにより囲まれる空間を吸気室17と排気室18とに仕切り得る限り、仕切り16は他の形式であっても良い。
例えば、図4及び図5に示すように、一対の仕切り16は、バス10のルーフパネル10aに搭載されたバッテリボックス11の排気口11bに対向する排気開口16dが形成された一対の板材であっても良い。この場合のバッテリボックス11は、その排気口11bを排気開口16dに対向させた状態で吸気室17に配置されることになる。このような仕切り16であっても、バッテリボックス11は吸気口11aを吸気室17に開口し、排気口11bを排気室18に開口するようにバス10の幅方向に分けて2列に配列されることになる。
また、上述した実施の形態では、バッテリカバー13の左右の側壁13d,13eのバス10の前後方向における略中央に、吸気室17に連通する開口13hを形成し、前壁13b及び後壁13cの双方に、排気室18に連通する吸排気口13を形成した。けれども、バッテリカバー13外部の空気を吸気室17に導入しうる限り、この開口13hは、側壁13d,13eに形成される場合に限られない。
例えば、バッテリボックス11を車両であるバス10の後部に搭載したときのように、バス10の走行により生じるルーフパネル10a近傍の空気流が前方から後方に流れる流れである場合には、図4及び図5に示すように、前壁13bに吸気室17に連通する開口13hをそれぞれ形成してもよい。この場合には、バッテリボックス11を通過して排気室18に排気された冷却済み熱風22は、後方に排出させることになる。ここで、図4は、バッテリカバー13の後壁13cにのみ排気室18に連通する吸排気口13gを形成した点において、特許を受けようとする発明に含まれない参考図である。
また、上述した実施の形態では、4つのバッテリボックス11が搭載される場合を説明したけれども、バッテリボックス11の数はこれに限られない。バス10の幅方向に分けて2列に配列可能な個数である限り、例えば、バッテリボックス11の数は6箇でも、8箇でも良い。
また、上述した実施の形態では、FRP製のバッテリカバー13を用いて説明したけれども、このバッテリカバー13はFRP製のものに限らず、例えば金属製のものであっても良い。
更に、上述した実施の形態では、車両がバス10である場合を説明したけれども、複数のバッテリボックス11をルーフパネル10aに搭載可能である限り、本発明が適用される車両はバスに限定されるものではない。
10 車両(バス)
10a ルーフパネル
11 バッテリボックス
11a 吸気口
11b 排気口
13 バッテリカバー
13g 吸排気口
16 仕切り
17 吸気室
18 排気室
21 冷却風
22 冷却済み熱風

Claims (3)

  1. バッテリを収容し前記バッテリを冷却する冷却風(21)を吸引する吸気口(11a)と前記バッテリを冷却した冷却済み熱風(22)を排出する排気口(11b)とを有する複数のバッテリボックス(11)が車両(10)のルーフパネル(10a)に搭載され、複数の前記バッテリボックス(11)を覆うバッテリカバー(13)が前記ルーフパネル(10a)に設けられた車両用バッテリの冷却構造において、
    前記ルーフパネル(10a)と前記バッテリカバー(13)とにより囲まれて複数の前記バッテリボックス(11)を収容する空間を前記車両(10)の幅方向の両側における吸気室(17)と前記吸気室(17)に挟まれて前後に延びる排気室(18)とに仕切る仕切り(16)が設けられ、
    複数の前記バッテリボックス(11)が前記吸気口(11a)を前記吸気室(17)に開口し前記排気口(11b)を前記排気室(18)に開口するように前記車両(10)の幅方向に分けて2列に配列され
    前記排気室(18)を前記バッテリカバー(13)の外部に連通させて吸気と排気の双方を行う吸排気口(13g)が前記バッテリカバー(13)の前後にそれぞれ形成された
    ことを特徴とする車両用バッテリの冷却構造。
  2. 前後に延びる仕切り(16)の前端がバッテリカバー(13)の前壁(13b)に達し、前記仕切り(16)の後端が前記バッテリカバー(13)の後壁(13c)に達する請求項1記載の車両用バッテリの冷却構造。
  3. 吸気室(17)をバッテリカバー(13)の外部に連通させる開口(13h)が前記バッテリカバー(13)の幅方向の両側にそれぞれ形成された請求項1又は2記載の車両用バッテリの冷却構造。
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