以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔実施例1〕
<画像形成装置>
図1は本発明の実施例1におけるカラー画像形成装置の概略構成図である。
画像形成装置100内には、レーザースキャナ11、中間転写ベルト13、定着フィルム24、加圧ローラ25、給紙トレイ19、給紙ローラ20等が設置されている。
また、画像形成装置100には、複数のプロセスカートリッジが着脱可能に装着されている。ここでは、第1のプロセスカートリッジPY、第2のプロセスカートリッジPM、第3のプロセスカートリッジPC、第4のプロセスカートリッジPKの4つのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)が水平方向に配置されている。第1〜第4の各プロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)は、それぞれ現像剤の色が異なる以外は同様の電子写真画像形成プロセス機構を有している。
また、第1〜第4の各プロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)は、像担持体である感光ドラム1上の静電潜像を現像する現像ローラ41を備えた現像ユニット4を有する。
第1のプロセスカートリッジPYは、現像ユニット4内にイエロー(Y)の現像剤を収容しており、感光ドラム1の表面にイエロー色の現像剤像を形成する。
第2のプロセスカートリッジPMは、現像ユニット4内にマゼンタ(M)の現像剤を収容してあり、感光ドラム1の表面にマゼンタ色の現像剤像を形成する。
第3のプロセスカートリッジPCは、現像ユニット4内にシアン(C)の現像剤を収容してあり、感光ドラム1の表面にシアン色の現像剤像を形成する。
第4のプロセスカートリッジPKは、現像ユニット4内にブラック(K)の現像剤を収容しており、感光ドラム1の表面にブラック色の現像剤像を形成する。
給紙トレイ19内に積載収納された用紙(記録媒体)Sは、図中時計回り方向(矢印W方向)に回転する給紙ローラ20により給紙され、ベルト駆動ローラ14と二次転写ローラ18の当接部(以下、「ニップ部」と呼ぶ)へ送られる。
感光ドラム1は図中反時計回り方向(矢印K方向)に回転しており、回転過程において帯電ローラ3により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。続いて、帯電処理された感光ドラム1の外周面には、レーザースキャナ11からのレーザ光L(以下「露光」と呼ぶ)により静電潜像が順次形成される。そして、その静電潜像が現像ローラ41により現像されることによって、感光ドラム1上にトナー像(現像剤像)が形成される。
感光ドラム1に形成されたトナー像は、感光ドラム1に対向して配置された転写手段としての一次転写ローラ17によって、中間転写体としての中間転写ベルト13に転写(一次転写)される。カラー画像を形成する場合は、感光ドラム1にイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色が現像され、それぞれに形成されたトナー像が、中間転写ベルト13に順次転写される。
次に、中間転写ベルト13に形成されたトナー像は、ベルト駆動ローラ14と二次転写ローラ18のニップ部に送られた用紙Sに転写(二次転写)される。
さらに、トナー像が転写された用紙Sは、定着フィルム24と加圧ローラ25のニップ部へ送られ、ここで加熱加圧されてトナー像が用紙Sに定着される。トナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラ対26により、排紙トレイ27に排出される。
<プロセスカートリッジの構成>
図2はプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKの外観斜視図であり、図3はプロセスカートリッジPと現像離間機構60との関係を示す斜視図である。上述したように、プロセスカートリッジPY,PM,PC,PKは同様の電子写真プロセス機構を有し、それぞれ、収容されているトナーの色やトナーの充填量が各々異なるものである。
プロセスカートリッジPは、感光ドラム1の軸線方向(長手方向)を左右方向とし、この左右方向を長手とする横長箱型のアセンブリである。感光ドラム1はクリーナユニット5の右側面部に配設した駆動側カートリッジカバー部材46と左側面部に配設された非駆動側カートリッジカバー部材47に回転可能に支持させて配設してある。プロセスカートリッジPの駆動側軸端部には感光ドラム駆動入力部としてのドラムカップリング部材55(図3参照)と、現像ユニット4内の現像ローラ41への駆動入力部としての現像カップリング部材56とが具備されてある。詳細は後述する。左側面部には、カートリッジ電気接点(不図示)を配設してある。上記のプロセスカートリッジPにおいて、画像形成装置100から駆動力が伝達されるドラムカップリング部材55、および、現像カップリング部材56(図3参照)を具備させた右側面部が駆動側であり、その反対側の左側面部が非駆動側である。
図4は、プロセスカートリッジPを感光ドラム1の軸線方向と垂直な方向に切ったときの断面を示す断面図である。画像形成装置100からの駆動力はプロセスカートリッジPのドラムカップリング部材55,および、現像カップリング部材56(図3参照)に駆動伝達される。これにより、図4において感光ドラム1は反時計回り方向(矢印K方向)に、現像ローラ41は時計回り方向(矢印L方向)に所定の速度で回転駆動される。
本実施例において、プロセスカートリッジPは、クリーナユニット5、および、クリーナユニット5に回動可能に結合する現像ユニット4によって構成される。クリーナユニット5は感光ドラム1を保持する第一ユニット(感光ドラムユニット)であって、現像ユニット4は現像ローラ41を保持する第二ユニットである。
クリーナユニット5に設けられた帯電ローラ3は感光ドラム1に当接し従動回転する接触帯電方式の帯電部材である。クリーニングブレード51は弾性ゴムブレードであり、先端部を感光ドラム1に当接させて配置してある。クリーニングブレード51は感光ドラム1に残留したトナーを除去する役目をする。このクリーニングブレード51により除去された転写残トナーは、クリーナユニット5内にあるトナー収容部52に収容される。
現像ユニット4は現像手段としての現像ローラ41と、現像ブレード42を有する。現像ユニット4は更に、トナーを収容する現像室(現像剤収容部)43を有する。
図4に示すように、現像ローラ41は現像室43に配置され、現像ブレード42は先端部を現像ローラ41に当接して配置してある。現像ブレード42は、現像ローラ41の周面にトナーを薄層に規制する役目をする。
現像ユニット4は、弾性部材である加圧バネ53により付勢され、感光ドラム1の回動中心Xを回転軸として、現像ローラ41が感光ドラム1に当接するように構成されている。より詳細に述べると、加圧バネ53の付勢力によって、現像ユニット4は図に示す矢印G方向に押圧され、回動中心Xを中心に、矢印J1方向のモーメントが作用する構成となっている。これにより、現像ローラ41が感光ドラム1に対し所定圧で当接できる。また、このときのクリーナユニット5に対する現像ユニット4の位置を当接位置とする。
また、現像ローラ41の軸線方向(長手方向)における現像ユニット4の端部には軸受部材44が配置され、この軸受部材44には突出部44dが形成される。突出部44dは、現像ローラ41の軸線と交差する方向で、かつ現像ローラ41から離れる方向に突出する。突出部44dには、画像形成装置100に設けられた現像離間機構60と当接して力を受ける力受け部44bが設けられる。力受け部44bが現像離間機構60から力を受けることによって、現像ユニット4とクリーナユニット5の当接/離間動作、つまり現像ローラ41と感光ドラム1の当接/離間動作が行われる。
<画像形成装置の現像離間機構>
以下、画像形成装置の現像離間機構60、及び具体的な動作について説明する。
上述したように、プロセスカートリッジPに設けられた加圧バネ53によって現像ユニット4は付勢され、現像ローラ41を感光ドラム1と当接させる当接位置に位置する。しかし現像ローラ41が感光ドラム1と長時間当接することによって現像ローラ41に凹み跡が形成され画像にも影響を及ぼすため、画像形成をしていない状態において、現像ローラ41と感光ドラム1を離間させることが望ましい。そのため、本実施例の画像形成装置100は、現像ローラ41を感光ドラム1から離間させる現像離間機構60を有する。
図6はプロセスカートリッジPと現像離間機構60との関係を示す断面図である。また図5は現像離間機構60の部分拡大図であり、図5(a)は移動部材62x,62yに対して離間部材61が組みたてられた状態、図5(b)は離間部材61、図5(c)は移動部材62x,62yを示している。
離間部材61は、L字形状をとり、プロセスカートリッジPと係合する係合部材である。すなわち離間部材61は、プロセスカートリッジPの被係合部である力受け部44bと係合(当接)することで、力受け部44bに力を加える。
離間部材61は、移動部材62x,62yに対して画像形成装置100の高さ方向(図6の上下方向、矢印H1、H2方向)に移動が可能である。つまり図5に示すように、離間部材61は、移動部材62x,62yの支持部(以下、ガイド部)62aに支持されることにより矢印H1、H2方向に摺動(スライド)する。具体的には、移動部材62x,62yの軸部62pに、離間部材(係合部材)61の穴部61pを係合させる。また、移動部材62x,62yの係止穴62qに離間部材61の係止部61qが配置されている。離間部材61の係止部61qが、移動部材62x,62yの規制部62bに係合することで、離間部材61が移動部材62x,62yから脱落しない構成となっている。
また、離間部材61は、図6に示すように、移動部材62x,62yに取り付けられた弾性部材としての付勢バネ63によって、力受け部44bと係合可能な位置(係合位置)に向けて付勢されている。すなわち付勢バネ63は、離間部材61を係合位置に向けて付勢する付勢部材として働く。
また、移動部材62x,62yは、プロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)よりも下方に位置し、画像形成装置100に移動可能に設けられている。さらに、PY,PM,PC用の移動部材62xと、PK用の移動部材62yとが、それぞれ個別に移動可能となっている。また、移動部材62x,62yには、それぞれ円形のカム64x,64yと、カム64x,64yを形成する円の中心から離れた位置にカム駆動軸65x,65yが連結している。カム64x,64yは、画像形成装置100に設けられた駆動源(図7のカムモータ96)から駆動力を受けることによって、カム駆動軸65x,65yを回転中心として回転する。このカム64x,64yの回転により、移動部材62x,62yを略水平方向(図6の左右方向、矢印M、N方向)に移動させる。
このカム64x,64yの回転によって、移動部材62x,62yは、第1〜第4の全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)における現像ローラ41と感光ドラム1とが離間する「待機状態」(図6(a)参照)と、全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)における現像ローラ41と感光ドラム1とが当接する「フルカラー画像形成状態」(図6(b)参照)と、第4のプロセスカートリッジPKの現像ローラ41のみが感光ドラム1に当接する「モノカラー画像形成状態」(図6(c)参照)の3つの当接/離間状態に移動する。
本実施例における画像形成装置100は、現像離間機構60の動作によって、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」→「モノカラー画像形成状態」→「待機状態」→…と切り替わるようになっている。
<現像ユニットの当接/離間動作>
本実施例における画像形成装置100の具体的な動作について説明する。本実施例において、画像形成を行っていないときは、感光ドラム1との当接圧による現像ローラ41の変形を抑制するために、移動部材62xと移動部材62yを、共に第1の位置「待機状態」(図6(a)参照)としている。このとき、全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)における力受け部44bが、現像離間機構60の離間部材61から図6の矢印M方向に押圧力を受ける。これにより、現像ユニット4が回動中心Xを回転軸として回転し、現像ローラ41と感光ドラム1とが離間されている。
本画像形成装置100は、「待機状態」から現像離間機構60を1回動作させることによって、第1の現像当接離間状態としての「フルカラー画像形成状態」(図6(b)参照)へと遷移する。具体的には、移動部材62xと移動部材62yを、共に第2の位置(図6の矢印N方向)に移動させることによって、全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)の力受け部44bが受けていた離間部材61からの押圧力が解除される。これにより、全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)における現像ローラ41が、加圧バネ53の力によって離間位置から当接位置に移動し、感光ドラム1と当接する。こうして全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)の現像ローラ41と感光ドラム1とが当接した状態となって、フルカラーの画像形成を行うことができる。
続いて、「フルカラー画像形成状態」から現像離間機構60を1回動作させることによって、第2の現像当接離間状態としての「モノカラー画像形成状態」(図6(c)参照)へと遷移する。具体的には、移動部材62xのみを第1の位置(図6の矢印M方向)に移動させることによって、第1〜第3のプロセスカートリッジP(PY・PM・PC)の力受け部44bが、現像離間機構60の離間部材61から図6の矢印M方向に押圧力を受ける。これにより、第1〜第3のプロセスカートリッジP(PY・PM・PC)の現像ユニット4が回動中心Xを回転軸として回転し、現像ローラ41と感光ドラム1とが離間する。一方、第4のプロセスカートリッジP(PK)は、現像ローラ41と感光ドラム1とが当接した状態を保っている。この状態では、フルカラーの画像形成を行うことができず、モノカラーの画像形成のみ行うことができる。
さらに、「モノカラー画像形成状態」から現像離間機構60を1回動作させることによって、再びホームポジションとしての「待機状態」(図6(a)参照)へと遷移する。具体的には、移動部材62yのみを第1の位置(図6の矢印M方向)に移動させることによって、第4のプロセスカートリッジP(PK)の力受け部44bが、現像離間機構60の離間部材61から図6の矢印M方向に押圧力を受ける。これにより、第4のプロセスカートリッジP(PK)の現像ユニット4が回動中心Xを回転軸として回転し、現像ローラ41と感光ドラム1とが離間する。結果、全てのプロセスカートリッジP(PY,PM,PC,PK)における現像ローラ41が、感光ドラム1に対して離間される。
<前回転動作の制御>
本実施例は、上述した構成を持つ画像形成装置100において、モノカラー画像形成を実行する際、現像ローラと感光ドラムとの当接/離間状態を「フルカラー画像形成状態」から「モノカラー画像形成状態」へと遷移するための現像離間機構60の動作開始と同じタイミングで、印刷動作としての画像形成露光を開始することを特徴としている。
具体的に、モノカラー画像形成の印刷動作を開始する前に行われる前回転動作について説明する。
まず図7を用いてモノカラー画像形成の前回転動作を制御する制御部の構成を説明し、次に図8を用いて前記制御部によるモノカラー画像形成の前回転動作の流れを説明する。
図7は、本実施例における画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。図7に示すように、コントローラ(制御手段)91は画像形成装置100に設けられ、CPU(不図示)、ROM92、RAM93を有している。コントローラ91は、ROM92に格納された制御プログラム、外部インターフェース94を通して得たパソコン等のホストコンピュータ101からの信号などに基づいて、メインモータ95、カムモータ96、レーザースキャナ11、各種高圧電源97,98,99などの動作を制御する。
なお、図7において、メインモータ95は、感光ドラム1、現像ローラ41、中間転写ベルト13を回転駆動するための駆動源である。カムモータ96は、現像離間機構60を動作させるためにカム64x,64yを回転駆動するための駆動源である。帯電高圧電源97は、帯電ローラ3にバイアスを供給する電源である。現像高圧電源98は、現像ローラ41にバイアスを供給する電源である。一次転写高圧電源99は、一次転写ローラ17にバイアスを供給する電源である。
図8は、本実施例におけるモノカラー画像形成時のタイミングチャートを示している。画像形成装置100において、ホストコンピュータ101(図7参照)から画像信号を受信すると、前回転動作の開始と同時にメインモータ95の駆動をONして、感光ドラム1や中間転写ベルト13といった画像形成装置100内の回転体の動作を開始する。
メインモータ95が立ち上った時点で、帯電ローラ3に供給する帯電高圧電源97をONし(図8のa)、感光ドラム1上を均一に帯電処理する。続いて、感光ドラム1上の帯電処理された部分が、図4の矢印K方向に回転して現像ローラ41との当接部に到達するタイミングで、画像形成装置100の現像離間機構60を動作させる(図8のb)。この現像離間機構60の動作によって、画像形成装置100の現像ローラ41と感光ドラム1との当接/離間状態が、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」へと遷移する。現像状態の遷移が完了した時点で(図8のc)、プロセスカートリッジPKは、他のプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)と同様に現像ローラ41と感光ドラム1とが当接されている(図6(b)参照)。したがって、この状態では、フルカラーの画像形成だけでなく、モノカラーの画像形成も可能である。
そして、現像離間機構60の動作によって「フルカラー画像形成状態」を介して移行する、「モノカラー画像形成状態」への遷移が完了する前に、レーザースキャナ11により印刷動作としての露光動作を開始する。本実施例においては、1回目の現像当接離間状態の遷移が完了し、次の現像離間機構60の動作を開始するタイミングで(図9のd)、モノカラー画像を形成する印刷動作としての画像形成露光を開始する。したがって本タイミングチャートによると、現像状態が「モノカラー画像形成状態」となるまで待たずに、つまり現像離間機構60の2回目の動作終了を待たずに、現像離間機構60の2回目の動作開始と同じタイミングで印刷動作としての画像形成露光を開始する。そのため、現像離間機構60の動作1回分だけ前回転時間を短縮することができる。
<本実施例の作用効果>
以上説明したように、本実施例によれば、モノカラー画像形成時は現像離間機構60を2回動作させる画像形成装置100において、2回目の現像離間機構60の動作開始と同じタイミングで、印刷動作としての画像形成露光を開始する。これにより、現像離間機構60の動作時間1回分だけ前回転時間を短縮することができる。そしてこれにより、モノカラー画像形成時のFPOT(印刷信号を受けてから記録材の排出が終了するまでの時間、印刷信号を受けてから記録材の排出が終了するまでの時間(ファーストプリントアウトタイム))を短縮することができる。
また、前述の時間短縮によりメインモータの回転時間が軽減されることによって、感光ドラム1や中間転写ベルト13等の回転時間が軽減され、画像形成装置100の長寿命化を図ることができる。
尚、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数は前述した構成に限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。
〔変形例1〕
本変形例は、実施例1と同じ構成を持つ画像形成装置100において、モノカラー画像形成を実行する際、2回目の現像離間機構60の動作を開始する前に、印刷動作としての画像形成露光を開始することを特徴としている。
図9は、本変形例1におけるモノカラー画像形成時のタイミングチャートを示している。実施例1と同様に、画像形成装置100において、ホストコンピュータ101(図7参照)から画像信号を受信すると、前回転動作の開始と同時にメインモータ95の駆動をONして、感光ドラム1や中間転写ベルト13といった画像形成装置100内の回転体の動作を開始する。
その後、実施例1と同様に帯電高圧電源97をONし(図9のa)、感光ドラム1上の帯電処理された部分が現像ローラ41との当接部に到達するタイミングで現像離間機構60を動作させる(図9のb)。この現像離間機構60の動作によって、画像形成装置100の現像ローラ41と感光ドラム1との当接/離間状態が、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」へと遷移する。現像状態の遷移が完了した時点で(図9のc)、プロセスカートリッジPKは、他のプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)と同様に現像ローラ41と感光ドラム1とが当接されている(図6(b)参照)。
本変形例1においては、2回目の現像離間機構60の動作を開始するタイミング(図9d)よりも前に、すなわち「モノカラー画像形成状態」への移行動作を開始する前に、印刷動作としての画像形成露光を開始する。具体的には、感光ドラム1上の画像形成露光部が現像ローラ41との当接部に到達するときには、現像ローラと感光ドラムとの当接/離間状態が確実に「フルカラー画像形成状態」へと遷移されているようなタイミングで、画像形成露光を開始する。つまり、本変形例の場合、実施例1に対して、少なくとも画像形成露光部から現像ローラ41との当接部までの時間だけ印刷動作を早めることができる。
以上説明したように、本変形例によれば、モノカラー画像形成時は現像離間機構60を2回動作させる画像形成装置100において、2回目の現像離間機構60の動作を開始する前に、印刷動作としての画像形成露光を開始する。これにより、少なくとも現像離間機構60の動作時間1回分以上、前回転時間を短縮することができる。そしてこれにより、モノカラー画像形成時のFPOTを短縮することができる。
また、前述の時間短縮によりメインモータの回転時間が軽減されることによって、感光ドラム1や中間転写ベルト13等の回転時間が軽減され、画像形成装置100の長寿命化を図ることができる。
〔変形例2〕
本変形例は、実施例1と同じ構成を持つ画像形成装置100において、モノカラー画像形成を実行する際、2回目の現像離間機構60の動作中に、印刷動作としての画像形成露光を開始することを特徴としている。
図10は、本変形例2におけるモノカラー画像形成時のタイミングチャートを示している。実施例1と同様に、画像形成装置100において、ホストコンピュータ101(図7参照)から画像信号を受信すると、前回転動作の開始と同時にメインモータ95の駆動をONして、感光ドラム1や中間転写ベルト13といった画像形成装置100内の回転体の動作を開始する。
その後、実施例1と同様に帯電高圧電源97をONし(図10のa)、感光ドラム1上の帯電処理された部分が現像ローラ41との当接部に到達するタイミングで現像離間機構60を動作させる(図10のb)。この現像離間機構60の動作によって、画像形成装置100の現像ローラ41と感光ドラム1との当接/離間状態が、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」へと遷移する。現像状態の遷移が完了した時点で(図10のc)、プロセスカートリッジPKは、他のプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)と同様に現像ローラ41と感光ドラム1とが当接されている(図6(b)参照)。したがって、実施例1と同様に、この状態ではモノカラーの画像形成も可能である。
しかし、その後「フルカラー画像形成状態」→「モノカラー画像形成状態」に切り替える際、現像離間機構60の動作によって第1〜第3のプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)の力受け部44bが離間部材61から押圧力を受けたときの衝撃がプロセスカートリッジPKに伝わり、潜像ブレを引き起こす可能性がある。
このため、本変形例においては、2回目の現像離間機構60の動作を開始(図9のd)した後、現像ローラと感光ドラムとの当接/離間状態が「フルカラー画像形成状態」→「モノカラー画像形成状態」へと遷移している途中で、印刷動作としての画像形成露光を開始する。すなわち「モノカラー画像形成状態」への移行動作中に、印刷動作としての画像形成露光を開始する。具体的には、2回目の現像離間機構60の動作を開始し、第1〜第3のプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)の力受け部44bと離間部材61とが確実に接触したタイミングで、画像形成露光を開始する。つまり、本変形例の場合、実施例1に対して、現像離間機構60を動作してからプロセスカートリッジP(PY,PM,PC)の力受け部44bと離間部材61とが確実に接触するまでの時間分だけ印刷動作が遅くなるものの、潜像ブレのない安定した画像を提供することができる。
以上説明したように、本変形例によれば、モノカラー画像形成時は現像離間機構60を2回動作させる画像形成装置100において、2回目の現像離間機構60の動作中に、印刷動作としての画像形成露光を開始する。これにより、前回転時間を現像離間機構60の動作時間の略1回分短縮しつつ、潜像ブレのない安定した画像を提供することができる。これにより、モノカラー画像形成時のFPOTをさらに短縮することができる。
また、前述の時間短縮によりメインモータの回転時間が軽減されることによって、感光ドラム1や中間転写ベルト13等の回転時間が軽減され、画像形成装置100の長寿命化を図ることができる。
〔参考例〕
参考例で適用する画像形成装置100の構成において、実施例1と同一部材には同一符号とし、説明を省略する。
<参考例の特徴>
参考例における画像形成装置100は、一次転写ローラ17を感光ドラム1に対して当接又は離間させる転写離間機構70を有することを特徴としている。
図11は、プロセスカートリッジPの感光ドラム1と、感光ドラム1に対して一次転写ローラ17を当接又は離間させる転写離間機構70との関係を示す断面図である。このうち、図11(a)は「待機状態」、図11(b)は「フルカラー画像形成状態」、図11(c)は「モノカラー画像形成状態」をそれぞれ示している。参考例では、転写離間機構70の動作によって、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」→「モノカラー画像形成状態」→「待機状態」→…と切り替わるようになっている。
<転写ユニットの当接/離間動作>
以下、画像形成装置の転写離間機構70、及び具体的な動作について説明する。
一次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kは、各々の両端を軸受71Y,71M,71C,71Kによって軸支されている。さらに軸受71Y,71M,71C,71Kは、付勢バネ73Y,73M,73C,73Kに接続され、付勢バネ73の一端が軸受ホルダー72Y,72M,72C,72Kの内部底面に接続されている。これにより、軸受71が軸受ホルダー72の内部で感光ドラム1Y,1M,1C,1Kの方向に移動可能に保持される。
また、軸受ホルダー72Y,72M,72Cには、対向する感光ドラム1Y,1M,1Cの方向(図11の矢印H1、H2方向)に移動可能な離間部材74YMCが備えられている。また、軸受ホルダー72Kには、対向する感光ドラム1Kの方向(図11の矢印H1、H2方向)に移動可能な離間部材74Kが備えられている。そして、離間部材74YMCの移動に伴って、一次転写ローラ17Y,17M,17Cが感光ドラム1Y,1M,1Cに対して同時に当接/離間され、また離間部材74Kの移動に伴って、一次転写ローラ17Kが感光ドラム1Kに対して当接/離間される。
参考例における転写離間機構70は、感光ドラム1との当接圧による一次転写ローラ17の変形を抑制するために、画像形成を行っていないとき(「待機状態」)は、離間部材74YMC、及び離間部材74Kを、共に感光ドラム1から離れた位置(図11H1方向)に移動している。このとき、全ての一次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kは、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して離間している(図11(a)参照)。
そして、「待機状態」(図11(a)参照)から転写離間機構70を1回動作させることによって、第1の転写当接離間状態としての「フルカラー画像形成状態」(図11(b)参照)へと遷移する。具体的には、離間部材74YMC、及び離間部材74Kが、軸受ホルダー72Y,72,72C、及び軸受ホルダー72Kを、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kの方向(図11の矢印H2方向)へ所定量移動させる。軸受ホルダー72YMC、及び軸受ホルダー72Kが移動すると、それに伴って各々の軸受ホルダー72に設けられた付勢バネ73Y,73M,73C、及び付勢バネ73Kが軸受71Y,71M,71C、及び軸受71Kを感光ドラム1Y,1M,1C、及び感光ドラム1Kの方向へ付勢する。これにより、中間転写ベルト13を介して一次転写ローラ17Y,17M,17C、及び一次転写ローラ17Kが、所定の当接圧で感光ドラム1Y,1M,1C、及び感光ドラム1Kに当接する。
この構成によれば、フルカラーモードが選択された場合は、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して、一次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kを常に安定した当接圧で当接させることが可能になる。こうして全ての一次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kと、感光ドラム1Y,1M,1C,1Kとが当接した状態となって、フルカラーの画像形成を行うことができる。
続いて、「フルカラー画像形成状態」(図11(b)参照)から転写離間機構70を1回動作させることによって、第2の転写当接離間状態としての「モノカラー画像形成状態」(図11(c)参照)へと遷移する。具体的には、離間部材74YMCが、軸受ホルダー72Y,72M,72Cを、感光ドラム1Y,1M,1Cから離間する方向(図11の矢印H1方向)へ所定量移動させる。軸受ホルダー72Y,72M,72Cの移動に伴って、中間転写ベルト13を介して一次転写ローラ17Y,17M,17Cが感光ドラム1Y,1M,1Cから離間される。この「フルカラー画像形成状態」から「モノカラー画像形成状態」への動作では、離間部材74YMCのみが移動され、離間部材74Kは移動されない。そのため、軸受ホルダー72Kは移動されず、一次転写ローラ17Kと感光ドラム1Kとは当接した状態で保持されている。したがって、この状態では、フルカラーの画像形成を行うことができず、モノカラーの画像形成のみ行うことができる。
さらに、「モノカラー画像形成状態」(図11(c)参照)から転写離間機構70を1回動作させることによって、再びホームポジションとしての「待機状態」(図11(a)参照)へと遷移する。具体的には、離間部材74Kが、軸受ホルダー72Kを、感光ドラム1Kから離間する方向(図11の矢印H1方向)へ所定量移動させる。軸受ホルダー72Kの移動に伴って、中間転写ベルト13を介して一次転写ローラ117Kが感光ドラム1Kから離間される。この「モノカラー画像形成状態」から「待機状態」への動作では、離間部材74Kのみが移動され、離間部材74YMCは移動されない。そのため、軸受ホルダー72YMCは移動されず、一次転写ローラ17Y,17M,17Cと感光ドラム1Y,1M,1Cとは当接した状態で保持されている。したがって、この待機状態では、全ての一次転写ローラ17Y,17M,17C,17Kが感光ドラム1Y,1M,1C,1Kに対して離間された状態となる。
<前回転動作の制御>
参考例は、上述した構成を持つ画像形成装置100において、モノカラー画像形成を実行する際、一次転写の当接/離間状態を「フルカラー画像形成状態」から「モノカラー画像形成状態」へと遷移するための転写離間機構70の動作中に、印刷動作としての画像形成露光を開始することを特徴としている。
具体的に、モノカラー画像形成の印刷動作を開始する前に行われる前回転動作について説明する。
まず図12を用いてモノカラー画像形成の前回転動作を制御する制御部の構成を説明し、次に図13を用いて前記制御部によるモノカラー画像形成の前回転動作の流れを説明する。
図12は、参考例における画像形成装置の制御部の構成を示すブロック図である。図12に示すように、コントローラ(制御手段)91は画像形成装置100に設けられ、CPU(不図示)、ROM92、RAM93を有している。コントローラ91は、ROM92に格納された制御プログラム、外部インターフェース94を通して得たパソコン等のホストコンピュータ101からの信号などに基づいて、メインモータ95、転写離間モータ102、レーザースキャナ11、各種高圧電源97,98,99などの動作を制御する。
なお、図12において、転写離間モータ102は、転写離間機構70を動作させるために各離間部材74YMC,74Kに作用するカム(不図示)を回転駆動するための駆動源である。なお、ここでは転写離間機構70を動作させる駆動源としてモータを例示しているが、これに限定されるものではなく、ソレノイドなどを用いて各離間部材を上下動(矢印H1、H2方向へ移動)させるように構成してもよい。メインモータ95、帯電高圧電源97、現像高圧電源98、一次転写高圧電源99は、前述した実施例1と同様であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
図13は、参考例におけるモノカラー画像形成時のタイミングチャートを示している。画像形成装置100において、ホストコンピュータ101(図12参照)から画像信号を受信すると、前回転動作の開始と同時にメインモータ95の駆動をONして、感光ドラム1や中間転写ベルト13といった画像形成装置100内の回転体の動作を開始する。
メインモータ95が立ち上った時点で、帯電ローラ3に供給する帯電高圧電源97をONし(図13のa)、感光ドラム1上を均一に帯電処理する。続いて、感光ドラム1上の帯電処理された部分が、図4の矢印K方向に回転して現像ローラ41との当接部に到達するタイミングで、画像形成装置100の現像離間機構60を動作させる(図13のb)。ここで、参考例における現像離間機構60は、1回の動作で「フルカラー画像形成状態」と「モノカラー画像形成状態」のそれぞれの現像当接/離間状態に遷移することが可能な構成となっている。
続いて、感光ドラム1上の帯電処理された部分が、中間転写ベルト13を介して一次転写ローラ17との当接部に到達するタイミングで、転写離間機構70を動作させる(図13のc)。この転写離間機構70の動作によって、画像形成装置100の一次転写ローラ17と感光ドラム1との当接/離間状態が、「待機状態」→「フルカラー画像形成状態」へと遷移する。転写状態の遷移が完了した時点で(図13のd)、一次転写ローラ17Kと感光ドラム1Kとが当接されているため(図11(b)参照)、この状態でモノカラーの画像形成が可能となる。
そして、転写離間機構70の動作によって「フルカラー画像形成状態」を介して移行する、「モノカラー画像形成状態」への遷移が完了する前に、レーザースキャナ11により印刷動作としての露光動作を開始する。参考例においては、2回目の転写離間機構70の動作を開始するタイミング(図13のe)よりも前に、すなわち「モノカラー画像形成状態」への移行動作を開始する前に、モノカラー画像を形成する印刷動作としての画像形成露光を開始する。具体的には、感光ドラム1上の画像形成露光部が一次転写ローラ17との当接部に到達するときには、一次転写ローラ17と感光ドラム1との当接/離間状態が確実に「フルカラー画像形成状態」に遷移されているようなタイミングで、画像形成露光を開始する。
したがって本タイミングチャートによると、転写状態が「モノカラー画像形成状態」となるまで待たずに、つまり転写離間機構70の2回目の動作終了を待たずに、転写離間機構70の動作中に印刷動作としての画像形成露光を開始するため、転写離間機構70の動作時間の略1回分、前回転時間を短縮することができる。
<参考例の作用効果>
以上説明したように、参考例によれば、モノカラー画像形成時は転写離間機構70を2回動作させる画像形成装置100において、2回目の転写離間機構70の動作終了を待たずに、転写離間機構70の動作中に印刷動作としての画像形成露光を開始する。これにより、転写離間機構70の動作時間の略1回分、前回転時間を短縮することができる。そしてこれにより、モノカラー画像形成時のFPOTを短縮することができる。
また、メインモータの回転時間を軽減することによって、感光ドラム1や中間転写ベルト13等の回転時間を軽減し、画像形成装置100の長寿命化を図ることができる。
また、参考例においては、画像形成露光の開始タイミングを、2回目の転写離間機構70の動作を開始するタイミングよりも前としているが、これは例えば2回目の転写離間機構70の動作開始と同じタイミング、或いはそれ以降でもよい。つまり、2回目の転写離間機構70の動作終了よりも前であればよい。
尚、画像形成装置に装着するプロセスカートリッジの個数は前述した構成に限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。