JP6295724B2 - 太陽電池の評価装置、評価方法及び、太陽光発電システム - Google Patents

太陽電池の評価装置、評価方法及び、太陽光発電システム Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池の出力特性を評価する評価装置、評価方法及び、出力特性を評価する評価装置を備える太陽光発電システムに関する。
近年、地球環境問題が注目される中、クリーンなエネルギーである太陽光エネルギーを利用した太陽光発電システムの普及が進んでいる。この太陽光発電システムにおいては、システム自体を屋外に設置した状態で、太陽電池の出力特性の異常を評価する必要がある。この評価においては、太陽電池の直流電圧に対応した直流電流を測定し、これから図19に示すような、直流電流と直流電圧との関係のカーブ(以下、I−Vカーブともいう。)を計測し、評価者が計測結果を確認することで太陽光発電システムが正常か異常かを判断する。図19において、電圧が0Vにおける電流値は短絡電流と呼ばれ、電流が流れていない時の電圧値は開放電圧と呼ばれる。また、電流値と電圧値の積が最大となる点は最大の電力が得られる点であり最大動作点(または最大出力点)と呼ばれる。
しかしながら、図20に示すように、I−Vカーブの計測時の天候によって、取得されるI−Vカーブが全く異なってしまうため、定量的な評価は困難になっている。このI−Vカーブの評価方法としては、出力係数PRを数式(1)のように定義し、I−Vカーブの計測値から最大出力の計測値を算出し、基準となる日射強度1kW/mという条件の下での出力を表す指標が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
Figure 0006295724

Pmax:最大出力の計測値、Pmo:太陽電池の定格出力、G:日射強度の計測値(kW/m)、GSTC:基準日射強度=1(kW/m
しかしながら、太陽電池や日射計では同じ日射条件の下でも日射量が増加していくときの応答時間と日射量が低下していくときの応答速度が異なる場合がある。さらに、太陽電池と日射計とでは、日射量が増加していくときと日射量が低下していくときの応答速度の変化幅が異なる場合がある。これらのことから、最大出力の計測値と日照強度の計測値のピーク位置がずれる場合があった。また、各波形の形状が相似的にならないことから、太陽電池と日射計の間で同期を取るなどの補正は困難であった。
これらの事情により、太陽電池のI−Vカーブの計測値と日射計による日射強度の計測値とから上記の出力係数を算出する際には大きな誤差を含んでしまい、正しい評価ができない場合があった。図21には、太陽電池と日射計の応答速度の相違による出力係数の精度の低下について示す。図21(a)は、I−Vカーブの最大動作点における出力値から得られる太陽電池の最大出力と、日射計による日射強度の変化を示す。また、図21(b)には、算出された出力係数の変化を示す。
図21(a)中、四角形でプロットされたのは日射計による日射強度を示す。また、ひし形でプロットされたのは太陽電池の最大出力を示す。図21(a)からも分かるように、日射計の出力と太陽電池の最大出力との間にはタイムラグが生じており、上記の数式(1)で出力係数を算出した場合に、図21(b)に示すようにシステムが正常であるにも
拘わらず何箇所かの特異点が生じ、故障と誤判断されてしまう虞があった。
このように、従来の太陽電池の評価においては、太陽電池のI−Vカーブの計測値と日射計による日射強度の計測値とから上記の出力係数を算出していたため、太陽電池の出力特性の評価の精度が低下してしまう虞があった。また、日射強度を測定する日射計は非常に高価であるため、太陽電池の出力特性の評価のための装置全体のコストダウンの妨げになる虞があった。結果として、太陽光発電システムの自動故障診断技術の普及を妨げる要因にもなっていた。
戸田光昭、他3名、「各種太陽電池の長期曝露試験による出力劣化特性評価」、平成23年電気学会全国大会、7−052、平成23年3月
本発明は、上記の従来技術に鑑みて発明されたものであり、その目的は、屋外における太陽電池の出力特性の評価の精度を向上することができ、または、太陽電池の評価装置のコストダウンを促進することができる技術を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値と太陽電池の短絡電流値と、に基づいて太陽電池の出力特性を評価する際に、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係の変動に基づく、太陽電池の出力特性の変動を緩和する安定化手段を有することを最大の特徴とする。
より詳しくは、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、前記太陽電池の最大出力点における電力値と前記太陽電池の短絡電流値と、に基づいて前記太陽電池の出力特性を評価する評価手段と、を備え、
前記評価手段は、前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係の変動に基づく、前記太陽電池の出力特性の変動を緩和する安定化手段を有することを特徴とする。
すなわち、本発明においては、取得手段により取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値と太陽電池の短絡電流値とに基づいて、太陽電池の出力特性を評価する。そして、取得手段により取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係に取得機会毎の変動があり、これに基づいて太陽電池の出力特性の変動が生じる場合には、安定化手段によって太陽電池の出力特性の変動を緩和させる。
本発明においては、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を取得する他には、日射強度ではなく太陽電池の短絡電流値を取得することで、太陽電池の出力特性を評価している。従って、高額な日射計が不要となり装置のコストダウンを促進することができる。また、安定化手段によって、太陽電池の出力特性の変動を緩和することで、太陽電池の出力特性の評価をより円滑に精度よく行うことが可能となる。
この安定化手段は、例えば、得られる太陽電池の出力特性が太陽電池の出力係数である場合には、この出力係数の時間的な変動に特異点があった場合に、当該特異点に関わる出力係数を評価から除外するものであってもよい。より具体的には、取得された出力係数の
値が前回の取得機会において取得された出力係数の値に対して所定割合以上異なっている場合には、当該出力係数の値を評価から除外するようにしてもよい。また、出力係数の算出結果において例えば、大きい方から所定数個の出力係数の値と、小さい方から所定数の出力係数の値を評価から除外しても構わない。さらに、出力係数の算出結果において、常に所定数の出力係数の平均値を評価に用いても構わない。
また、上記課題を解決するための本発明は、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値と短絡電流値と、に基づいて太陽電池の出力特性を評価する際に、
太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得し、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流の関係における最大出力点での電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、複数回取得した太陽電池の短絡電流値の所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出し、
平均最大出力値と平均短絡電流値とに基づいて定められる平均出力係数と、出力係数についての所定の閾値とを比較することで、太陽電池の出力特性を評価することを特徴とする。
より詳細には、前記安定化手段は、
前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得し、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、複数回取得した前記太陽電池の短絡電流値の前記所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出する平均値算出部を有し、
前記評価手段は、
前記平均最大出力値と前記平均短絡電流値とに基づいて定められる平均出力係数と、出力係数についての所定の閾値とを比較して、太陽電池の出力特性を評価する出力係数評価部を有することを特徴とすることを特徴とする。
すなわち本発明においては、評価手段が、取得手段により取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値と太陽電池の短絡電流値とに基づいて太陽電池の出力特性を評価する。その際、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が複数回取得され、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、太陽電池の短絡電流値の前記所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出する。そして、平均最大出力値と平均短絡電流値とに基づいて平均出力係数を算出する。
すなわち、先述の数式(1)で表わされる出力係数において、最大出力の計測値Pmaxの代わりに平均最大出力値を使用し、また、Gの代わりに短絡電流値Iscの平均値である平均短絡電流値を使用し、GSTCの代わりに基準となる短絡電流値である基準短絡電流値Iscmoを使用し、平均出力係数を算出する。これによれば、太陽電池の出力特性を示す出力係数の変動を抑制することができ、安定した平均出力特性を得ることができる。従って、閾値との比較判断も容易になり、太陽電池の出力特性の評価の精度を向上させることができる。また、日射強度を太陽電池の出力特性の評価に使用しないので、日射計を必要とせず、評価装置のコストダウンを促進することが可能となる。
なお、本発明では、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を連続的に取得し、そのデータから安定した評価基準を得ることが可能であるので、太陽光発電システムの評価効率を向上させることができ、または、システムの制御を簡略化することができる。
また、本発明においては、前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とに基づい
て算出される出力係数の標準偏差に基づいて前記所定回数を定める標準偏差判断手段と、
前記出力係数の標準偏差がそれ以下の場合に、充分に安定した前記平均出力係数の値が得られると考えられる前記標準偏差の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
をさらに備え、
前記標準偏差判断手段は、
前記安定化手段が前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得した際の各取得機会において取得された、前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とから、各取得機会における出力係数を算出する出力係数算出部と、
前記出力係数算出部において算出された複数の出力係数のデータについての標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
前記標準偏差算出部によって算出された標準偏差が、前記閾値記憶手段に記憶された前記標準偏差の閾値以下になるときの前記出力係数のデータ数を算出するデータ数算出部と、を備え、
前記データ数算出部によって算出されたデータ数を、前記平均値算出部が平均最大出力値と平均短絡電流値とを算出する際の所定回数として設定するようにしてもよい。
本発明は、評価手段が、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、太陽電池の最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と太陽電池の短絡電流値のうちの所定回数分の平均値である平均短絡電流値と、を算出する際の、所定回数について規定するものである。ここで、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係をN回行って出力係数をN回算出した場合について考えると、N数が増加するにつれて、出力係数の標準偏差は減少していく。そこで、本発明においては、N数を増加させていき、出力係数の標準偏差が閾値以下になった場合に、そのようなN数を所定回数として平均最大出力、平均短絡電流値及び、平均出力係数を算出するものである。
これによれば、より確実に、平均出力係数の値を安定化することができ、より確実に閾値との比較判断を容易にすることができ、太陽電池の出力特性の評価の精度を向上させることができる。また、N数を必要以上に増加させることを抑制できるので、より効率的に太陽電池の出力特性の評価を行うことが可能となる。
また、本発明においては、前記閾値記憶手段に記憶される前記標準偏差の閾値は、太陽電池の出力係数の値の信頼区間に基づいて定められるようにしてもよい。すなわち、前記標準偏差の閾値を信頼区間に基づいて定めるようにすれば、出力係数がどのような範囲に存在するかを確率的に推測することができ、統計学的手法に基づいてより確実に、出力係数の標準偏差の閾値を設定することができ、最終的にはより確実に、平均出力係数の値を安定化することが可能となる。
また、本発明においては、前記太陽電池の出力特性の評価結果を表示する表示手段をさらに備えるようにしてもよい。これによれば、別途PCのディスプレイを準備することなどなく、出力係数や平均出力係数の評価結果を確認することができ、本発明を適用した評価装置を製品として流通させることを考慮した場合には、より使用し易い態様を実現することができる。
また、本発明においては、前記取得手段は、さらに太陽電池の温度を取得し、
前記評価手段は、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係、前記太陽電池の最大出力点における電力値及び短絡電流値の少なくとも一つを、前記取得手段によって取得された前記太陽電池の温度に基づいて補正した上で、前記太陽電池の出力特性を評価するようにしてもよい。これによれば、太陽電池の温度の平均出力係数への影響を除外することができ、より精度よく、太陽電池の出力特性の評価を行うことが可能である。
また、本発明においては、前記取得手段と、前記評価手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納してもよい。あるいは、前記取得手段段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納してもよい。これによれば、例えば、本発明を適用したハンディタイプの評価装置が実現可能であり、本発明を適用した評価装置を製品として流通させることを考慮した場合には、より使用し易い態様を実現することができる。また、本発明は、上記の太陽電池の評価装置における前記取得手段と、前記評価手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を有するパワーコンディショナであってもよい。また、上記の太陽電池の評価装置における前記取得手段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を有するパワーコンディショナであってもよい。
また、本発明は、太陽電池モジュールと、上記の太陽電池の評価装置と、太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備える太陽光発電システムであってもよい。また、その際は、取得手段と、評価手段のうち、少なくとも一つを、前記パワーコンディショナ内に組み込むようにしてもよい。
また、本発明は、太陽電池モジュールと、
上記の太陽電池の評価装置と、
太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備え
前記取得手段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうち、少なくとも一つを、前記パワーコンディショナ内に組み込んだことを特徴とする太陽光発電システムであってもよい。
また、本発明は、太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を取得し、
前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた、前記太陽電池の最大出力点における電力値と前記太陽電池の短絡電流値とに基づいて前記太陽電池の出力特性を評価する、太陽電池の評価方法であって、
前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を複数回取得し、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた、前記最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、前記太陽電池の短絡電流値のうちの前記所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出し、
前記平均最大出力値と前記平均短絡電流値とに基づいて定められる平均出力係数と、出力係数についての所定の閾値とを比較することで、太陽電池の出力特性を評価することを特徴とする太陽電池の評価方法であってもよい。
また、その際には、前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を複数回取得した際の、各取得機会において取得された前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とから、各取得機会における出力係数を算出し、
算出された各取得機会における出力係数についての標準偏差を算出し、
前記算出された標準偏差が、所定の閾値以下になるときの、前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係の取得回数を算出し、
前記取得回数を、前記平均最大出力値と平均短絡電流値とを算出する際の所定回数として設定するようにしてもよい。また、その際の所定の閾値は、太陽電池の出力の値の信頼区間に基づいて定められるようにしてもよい。
また、本発明は、太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係に基づいて、前記太陽電池の出力特性を導出する特性導出手段と、
前記太陽電池の出力特性を閾値と比較することで評価する特性評価手段と、
を備え、
前記取得手段は前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得するとともに、前記特性導出手段は前記太陽電池の出力特性を複数回導出し、
前記特性評価手段は、前記取得手段によって連続して取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が所定程度以上に変動している場合または、前記特性導出手段によって連続して導出された前記太陽電池の出力特性が所定程度以上に変動している場合には、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係または前記太陽電池の出力特性を排除するフィルタ手段を有することを特徴とする太陽電池の評価装置であってもよい。
この発明では、取得手段により取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係の変動に基づく、太陽電池の出力特性の変動を緩和するために特異な情報をフィルタリングするフィルタ手段を有する。このフィルタ手段は、特に、取得手段によって連続して取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が所定程度以上に変動している場合または、特性導出手段によって連続して導出された太陽電池の出力特性が所定程度以上に変動している場合に、当該太陽電池の出力電圧と出力電流の関係または当該太陽電池の出力特性を排除する。このことによっても、取得手段により取得された太陽電池の出力電圧と出力電流の関係の変動または、それに起因する太陽電池の出力特性の変動により、太陽電池の出力特性の評価の精度が低下することを抑制できる。
この場合、特性導出手段は、前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値と、前記太陽電池の短絡電流または日射強度とに基づいて、前記太陽電池の出力特性を導出するようにしてもよい。また、この場合、太陽電池の出力特性の評価結果を表示する表示手段をさらに備えるようにしてもよい。また、前記取得手段は、さらに太陽電池の温度を取得し、前記特性導出手段は、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係、前記太陽電池の最大出力点における電力値または、前記太陽電池の短絡電流値を、前記取得手段によって取得された前記太陽電池の温度に基づいて補正した上で、前記太陽電池の出力特性を導出するようにしてもよい。
また、本発明は、前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納してもよい。また、上記の電池の評価装置における前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を有するパワーコンディショナであってもよい。また、太陽電池モジュールと、上記の太陽電池の評価装置と、太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備える太陽光発電システムであってもよい。また、前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうち、少なくとも一つを、パワーコンディショナ内に組み込んだ太陽光発電システムであってもよい。
また、本発明は、太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を取得し、
前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係に基づいて前記太陽電池の出力特性を評価する、太陽電池の評価方法であって、
前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得するとともに、前記太陽電池の出力特性を複数回取得し、
連続して取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が類似していない場合または、連続して導出された前記太陽電池の出力特性が類似していない場合には、該前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係または該太陽電池の出力特性を排除することを特徴とする太陽電池の評価方法であってもよい。
また、上記太陽電池の評価方法では、前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値と、前記太陽電池の短絡電流または日射強度とに基づいて前記太陽電池の出力特性を評価するようにしてもよい。
なお、上記した課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて使用することが可能である。
本発明によれば、屋外における太陽電池の出力特性の評価の精度を向上することが可能となり、または、太陽電池の評価装置のコストダウンを促進することが可能となる。
太陽電池と日射計の応答時間の相違と、本発明の実施例における平均出力係数との関係について示す図である。 本発明の実施例1におけるI−Vカーブ評価ルーチンのフローチャートである。 本発明の実施例1における太陽電池評価システムの概略構成を示す図である。 本発明の実施例2における平均出力係数を算出する際のデータ数Nと、各データに基づくN個の出力係数の標準偏差との関係を示すグラフである。 本発明の実施例2におけるI−Vカーブ評価ルーチン2のフローチャートである。 本発明の実施例3における出力係数の値とその信頼区間についての概念図である。 本発明の実施例3におけるI−Vカーブ評価ルーチン3についてのフローチャートである。 本発明の実施例2及び3における陽電池評価システムの概略構成を示す図である。 本発明の実施例4におけるI−Vカーブ評価ルーチン4についてのフローチャートである。 本発明の実施例4における温度補正前後のI−Vカーブの変化を示すグラフである。 本発明の実施例4における陽電池評価システムの概略構成を示す図である。 本発明の実施例4におけるI−Vカーブ評価ルーチン5についてのフローチャートである。 本発明の実施例5における陽電池評価システムの第1の態様の概略構成を示す図である。 本発明の実施例5における陽電池評価システムの第2の態様の概略構成を示す図である。 本発明の実施例5における陽電池評価システムの第3の態様の概略構成を示す図である。 本発明の実施例5における陽電池評価システムの第4の態様の概略構成を示す図である。 本発明の実施例5における陽電池評価システムの第5の態様の概略構成を示す図である。 本発明の実施例7における太陽電池の直流電流と直流電圧との関係を示す2本のI−Vカーブの間の距離について説明するためのグラフである。 太陽電池の直流電流と直流電圧との関係を示すI−Vカーブの一例のグラフである。 I−Vカーブの計測時の天候によって、取得されるI−Vカーブが異なることを示すグラフである。 太陽電池と日射計の応答時間の相違による出力係数の精度の低下について示すグラフである。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。
<実施例1>
太陽電池のI−Vカーブの評価方法としては、出力係数PRを先述の数式(1)のように定義し、基準となる日射強度1kW/mという条件の下での出力を表す指標が提案されていた。しかしながら、太陽電池と日射計では応答時間が異なるため、出力係数を算出する際には大きな誤差を含んでしまい、正しい評価ができない場合があった。
それに対し、太陽電池のI−Vカーブの特性を、数式(2)で表される平均出力係数で評価することが提案されている。

Figure 0006295724
図1には、図21に示したのと同じ日射強度及び太陽電池の最大出力に対して算出した、数式(2)に基づく平均出力係数のグラフを示す。図1(a)は、I−Vカーブの最大動作点における出力値から得られる太陽電池の最大出力と、日射計による日射強度の変化である。また、図1(b)は、算出された平均出力係数の変化である。ここで、最大出力の計測値平均と日射強度の計測値平均を算出する際のデータ数Nは20としている。図1(b)に示すように、太陽電池の出力と日射計の出力との間に応答時間の差があったとしても、平均出力係数の値は安定している。このように、最大出力の計測値の平均値及び日射強度の計測値の平均値を用いて平均出力係数を算出し、この平均出力係数を用いて太陽電池の出力特性を評価することで、太陽電池の出力特性を安定的に評価することが可能となる。
しかしながら、数式(2)における日射強度の計測値平均を取得するためには、日射計により日射強度を計測する必要があるが、この日射計は非常に高価であり、例えば家庭用の太陽光発電システムに使用するには不適切であった。一方、I−Vカーブから得られる太陽電池の短絡電流値は、日射強度に対して非常に高い相関を有することが分かっている。
そこで、本発明においては、数式(2)における日射強度の計測値平均と、基準日射強度の代わりに、太陽電池の短絡電流値の平均と、基準短絡電流値を使用することとした。その場合の、平均出力係数を数式(3)に示す。
Figure 0006295724
次に、図2には、本実施例においてI−Vカーブを評価する際に実行されるI−Vカーブ評価ルーチンについてのフローチャートを示す。本ルーチンは太陽光発電システムが有する図示しないメモリーに記憶されたプログラムであり、太陽光発電システムが有する図示しないCPUにより実行される。本ルーチンが実行されるとまず、S101において太陽電池のI−Vカーブが計測される。S101の処理が終了するとS102に進む。
S102においては、計測回数がN回より多いかどうかが判定される。ここで、計測回数がN回以下であると判定された場合には、まだ、平均出力係数を算出するための計測値が揃っていないと判定されるのでS101の処理の前に戻る。一方、S102で計測回数がN回より多いと判定された場合には、平均出力係数を算出するための計測値が揃ったと判定されるのでS103に進む。なお、ここで閾値Nは、予め実験的または理論的に、計測値がこれより多かった場合には、平均出力係数の値が充分に安定すると判断できる計測回数である。
S103においては、数式(4)及び(5)に従い、I−Vカーブの最大出力の平均値と、短絡電流値の平均値とを算出する。
Figure 0006295724

Figure 0006295724

S103の処理が終了するとS104に進む。
S104においては、S103で算出されたI−Vカーブの最大出力の平均値と、短絡電流値の平均値とから、数式(3)で示した平均出力係数を算出する。S104の処理が終了するとS105に進む。S105においては、平均出力係数によって太陽電池の性能を確認する。より具体的には平均出力係数が性能確認用閾値以下か否かが確認され、平均出力係数が性能確認用閾値以下であれば異常、平均出力係数が性能確認用閾値より大きければ正常と判定される。S105の処理が終了するとS106に進む。S106においては評価結果が表示器に表示される。S106の処理が終了すると本ルーチンを一旦終了する。
以上のように、本実施例においては、太陽電池の出力特性を評価する際に、太陽電池のI−Vカーブの最大出力と、短絡電流値のリアルタイムの計測値を使用する代わりに、太陽電池のI−Vカーブの最大出力のN個の計測値の平均値と、短絡電流値のN個の計測値の平均値とを用いることとした。これにより、出力特性の値の変動を緩和することができ、より安定して精度のよいI−Vカーブの評価を行うことが可能となる。
図3には、本実施例における太陽電池評価システム1の概略構成を示す。太陽電池評価システム1においては、太陽電池2が電流電圧特性計測部3に接続されており、太陽電池2の出力が電流電圧特性計測部3に入力されるようになっている。従って、太陽電池2のI−Vカーブの特性については電流電圧特性計測部3によって計測される。電流電圧特性計測部3の出力は取得手段の一例である計測データ取得部5に入力される。計測データ取得部5に入力された電流電圧特性計測部3の計測値は計測データ取得部5に設けられた図示しないメモリーに保存される。
計測データ取得部5において取得されたデータは演算部6に入力される。演算部6においては、電流電圧特性計測部3で計測されたI−Vカーブより、その最大出力点における電力値と短絡電流値とが算出される。演算部6の出力は評価手段の一例である評価部8に接続されており、演算部6で算出された最大出力点における電力値と短絡電流値とは評価部8に入力される。評価部8においては、数式(3)に基づく平均出力係数が演算される。また、この平均出力係数の値と性能確認用閾値とが比較され、太陽電池の出力のI−Vカーブが正常か異常かが判定される。評価部8は表示手段の一例である表示器8aに接続されており、平均出力係数の値と、太陽電池2のI−Vカーブの評価結果が表示器8aに入力され表示される。
以上、説明したように、本実施例では、太陽電池の出力特性を評価する際に、数式(1)や数式(2)で示される最大出力の平均値と日射強度の平均値とによる平均出力係数でなく、数式(3)で示される最大出力の平均値と短絡電流値の平均値による平均出力係数を用いることとした。これにより、出力特性の評価基準を安定化させることができ、より精度よく、太陽電池の出力特性を評価することが可能になる。また、本実施例では、太陽電池の出力特性の評価に日射強度を計測する必要がなくなるので、評価装置のコストダウンを推進することが可能である。
また、本実施例では、太陽電池のI−Vカーブを取得しつつリアルタイムにデータの安定化を図り、太陽電池の出力特性を動的に評価することが可能となる。従って、より効率的に太陽電池の出力特性を評価することが可能となる。なお、本実施例においては、S104及びS105の処理を実施する図示しないCPUは、平均値算出部及び出力係数評価部に相当する。また、I−Vカーブ評価ルーチンを実行させるCPUは安定化手段に相当する。
なお、上記の実施例では、太陽電池のI−Vカーブを計測し、各々のカーブの最大出力の計測値の平均値と、短絡電流値の計測値の平均値とを用いて、太陽電池の平均出力係数を評価した。しかしながら、最大出力の平均値の算出方法はこれに限られない。例えば、複数のI−Vカーブを計測し、そのプロットのデータより、I−Vカーブの平均カーブを先に導出し、その平均カーブにおける最大出力を算出することで最大出力の平均値を算出しても構わない。
<実施例2>
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1においては、太陽電池のI−Vカーブの最大出力のN個の計測値の平均値と、太陽電池の短絡電流値のN個の計測値の平均値とを用いて、太陽電池の平均出力係数を評価した。また、Nの値は予め定められた一定値とすることが前提であった。これに対し本実施例においては、太陽電池のI−Vカーブの最大出力と短絡電流値の各計測機会において出力係数を算出し、この出力係数の標準偏差を算出し、この標準偏差が所定の閾値より小さくなる際の測定データ数を、平均値の算出に使用するデータ数Nとする。
先述のように、太陽電池のI−Vカーブの最大出力のN個の計測値の平均値と、短絡電流値のN個の計測値の平均値を用いて、太陽電池の平均出力係数を算出することで、太陽電池の出力特性のばらつきを緩和することができ、太陽電池の出力特性の評価の精度を向上させることができる。しかしながら、各々の平均値の算出に用いられるデータ数Nが多すぎると、測定感度が低下するとともに演算負荷や演算時間が増加する。よって、各々の平均値の算出に用いられるデータ数Nは必要最低限とすべきである。
これに対し、本実施例においては、I−Vカーブにおける最大出力と短絡電流値とをN回ずつ測定し、平均出力係数を算出するとともに、N個の各データにより算出したN個の出力係数の標準偏差を算出する。そして、I−Vカーブにおける最大出力と短絡電流値を繰り返し測定してNの値を増加させ、各出力係数の標準偏差の値が所定の閾値以下となった場合に、その時のデータ数Nを採用して平均出力係数を算出し、太陽電池の出力特性の評価を行うことにした。
図4には、平均出力係数を算出する際のデータ数Nと、各データに基づくN個の出力係数の標準偏差との関係のグラフを示す。図4から分かるように、データ数Nが増加するにつれて出力係数の標準偏差は減少し、図4ではN=25で標準偏差が閾値以下となっている。このように、標準偏差が閾値より小さくなるようなデータ数Nを用いて平均出力係数を算出することで、必要最低限のデータ数を用いて平均出力係数を算出し、太陽電池の出力特性を評価することが可能になる。なお、標準偏差についての閾値は、標準偏差がこの値以下となった場合には、充分に安定した平均出力係数の値が得られる標準偏差の値であり、予め理論的あるいは実験的に求めておいてもよい。
次に、図5には、本実施例におけるI−Vカーブ評価ルーチン2のフローチャートを示す。本ルーチンが実行されるとまず、S201において、出力係数の標準偏差の閾値が設定される。この閾値については上述のように予め実験的または理論的に適切な一定値に定めておいてもよい。S201の処理が終了するとS202に進む。S202においては太陽電池2のI−Vカーブが計測される。S202の処理が終了するとS203に進む。
S203においては、数式(4)及び(5)を用いて、I−Vカーブの最大出力の平均値と短絡電流値の平均値とが算出される。続いて、S204においては、S203で算出されたI−Vカーブの最大出力の平均値と、短絡電流値の平均値とから、数式(3)で示した平均出力係数が算出される。このS203及びS204の処理は、図2に示したS103及びS104の処理と同等であるので、詳細な説明は省略する。S204の処理が終了するとS205に進む。
S205においては、本ルーチンの実行開始後、S202において計測されたN個の、I−Vカーブの最大出力とN個の短絡電流値から各々算出された、データ数Nの出力係数(平均出力係数ではない)の標準偏差が算出される。より具体的には、S205の処理が実行される度に、直近のS202の処理で計測された、I−Vカーブの最大出力と短絡電流値から出力係数を算出し、N番目の出力係数としてメモリーに記憶し、前回のS205の処理までに記憶されているN−1個の出力係数と最新の出力係数とを用いて出力係数の標準偏差を算出してもよい。S205の処理が終了するとS206に進む。
S206においては、S205で算出したN個の出力係数の標準偏差が閾値以下かどうかが判定される。ここで、標準偏差が閾値より大きいと判定された場合には、さらにデータ数Nを増やして標準偏差を下げる必要があると判断されるのでS202の処理の前に戻る。一方、標準偏差が閾値以下と判定された場合には、この時点でのデータ数Nが充分な数であると判断されるので、S207に進む。
S207においては、S204で算出したN個のデータによる平均出力係数により太陽電池の出力特性を確認する。具体的には、N個のI−Vカーブの最大出力の平均値とN個の短絡電流値の平均値を用いて算出された平均出力係数に基づき、平均出力係数が性能確認用閾値以下かどうかが確認される。S207の処理が終了すると評価結果が表示器8aで表示された上で、本ルーチンが一旦終了される。
以上のように、本実施例においては、太陽電池の出力係数の評価において、太陽電池のI−Vカーブにおける最大出力のN個の計測値の平均値と、短絡電流値のN個の計測値の平均値を用いて平均出力係数を算出する場合に、データ数Nを、各出力係数の標準偏差が閾値以下となるように決定することとした。これにより、充分に安定した平均出力係数が得られるとともに、データ数Nが過剰に大きくなることを抑制できるので、システムの演算負荷及び演算時間を抑制し、評価時間の短縮化を促進することが可能となる。
なお、本実施例において、I−Vカーブ評価ルーチン2の特にS205の処理を実行するCPUは、出力係数算出部と標準偏差算出部に相当する。また、特にS206の処理を実行してデータ数Nを確定するCPUはデータ数算出部に相当する。
なお、本実施例においては、太陽電池のI−Vカーブにおける最大出力のN個の計測値の平均値と、短絡電流値のN個の計測値の平均値を用いて平均出力係数を算出する場合に、データ数Nを、各出力係数の標準偏差が閾値以下となるように決定することとした。これに対し、充分に安定した平均出力係数を得るとともに、データ数Nが過剰に大きくなることを抑制するより簡便な方法としては、各出力係数の標準偏差が閾値以下となるように決定するのでなく、N個のI−Vカーブを取得した際に、例えばN個の短絡電流値の標準偏差を算出し、その短絡電流値の標準偏差が閾値以下となるようにN数を決定してもよい。同様に、N個の最大出力値の標準偏差が閾値以下となるようにN数を決定してもよい。
<実施例3>
次に、実施例3について説明する。本実施例では、実施例2で説明したI−Vカーブ評価ルーチン2における標準偏差の閾値を、出力係数の信頼区間に基づいて決定する例について説明する。
次に、上記のI−Vカーブ評価ルーチン2における標準偏差の閾値の決定方法について説明する。図6には、出力係数の値とその信頼区間についての概念図を示す。棒グラフで示すのはある出力係数の値であり、実線で表されている出力係数の範囲は例えば±5%の信頼区間である。ここで、ある信頼区間が3σに相当する信頼度99.73%を有するためには、以下の数式(6)が成り立つ必要がある。
Figure 0006295724
従って、この範囲が±5%以内となるためには、以下の式(7)を満たす必要がある。
Figure 0006295724
従って、満足すべき標準偏差の範囲は、式(8)のようになる。
Figure 0006295724

すなわち、この場合は標準偏差の閾値を5√N/3と定めればよいことになる。このように、信頼区間から閾値を決めてもよいが、この場合には閾値はNの値に応じて変化することとなる。
図7には、本実施例におけるI−Vカーブ評価ルーチン3についてのフローチャートを示す。本ルーチンが実行されると、S301において出力係数の信頼区間の幅が設定される。本実施例では±5%と設定したが、この値に限定する趣旨ではない。S301の処理が終了するとS302に進む。
S302においては、S301において設定された信頼区間の幅より、式(6)〜(8)に示したのと同様の計算をすることにより、標準偏差の閾値を算出する。S302の処理が終了すると、S303に進む。本ルーチンにおけるS303〜S308の処理の内容は、I−Vカーブ評価ルーチン2におけるS202〜S207の処理と同等であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
以上のように、本実施例においては、まず、出力係数の適切な信頼区間の幅を設定し、その信頼区間が±3σ相当となるように、標準偏差の閾値を定めた。従って、閾値の値を統計学に基づいたより信頼性の高い値に設定することが可能となり、より確実に、平均出力係数の値の精度を向上させ、太陽電池の出力特性をより精度よく評価することが可能になる。
図8には、本実施例及び実施例2における太陽電池評価システム10の概略構成を示す。太陽電池評価システム10と、図3に示した太陽電池評価システム1との相違点は、太陽電池評価システム10は、演算部6と、評価部8の間に、標準偏差判断手段の一例である標準偏差判断部17を備えている点である。また、標準偏差判断部17には閾値記憶手段の一例である閾値記憶部19が接続されており、閾値記憶部19が記憶している閾値の値が標準偏差判断部17に入力されるようになっている点である。
本実施例及び実施例2における標準偏差判断部17においてはN個の、I−Vカーブの最大出力とN個の短絡電流値から各々算出された、データ数Nの出力係数(平均出力係数ではない)の標準偏差が算出され、標準偏差が閾値記憶部19から入力される閾値以下と判定される、データ数Nが算出される。そして、評価部8においては、標準偏差判断部17で算出されたデータ数Nと数式(3)とに基づいて、平均出力係数が演算される。また、この平均出力係数の値と性能確認用閾値とが比較され、太陽電池の出力のI−Vカーブが正常か異常かが判定される。
なお、閾値記憶部19に記憶されている閾値に関して、実施例2においては、単に実験的または理論的に求められているのに対し、実施例3においては、出力係数の信頼区間に基づき数式(6)〜(8)を用いて求められる点が異なる。
<実施例4>
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例では、太陽電池のI−Vカーブ、短絡電流の他に太陽電池の温度を取得して、太陽電池の出力特性の計測値を補正する例について説明する。
ここで、太陽電池のI−Vカーブにおける電流値及び電圧値は、太陽電池の温度によって変化してしまうことが分かっている。よって、例えば、(1)太陽電池の温度が25℃±2℃の条件と、(2)日射強度が1000±10W/mの条件を基準条件とし、この基準条件下以外の環境においては、計測された電流値及び電圧値を、標準条件すなわち例えば日射強度1kW/m、太陽電池の温度が25℃の基準条件下における値に補正することで、太陽電池の出力特性の評価の精度をより向上させることが可能である。なお、以下においては、日射強度ではなく、日射強度と相関の高い短絡電流値を用いて補正する。
基準状態での短絡電流値、太陽電池の温度、電圧値及び電流値をそれぞれIsc2、T2、V2及びI2とし、短絡電流値、太陽電池の温度、電圧値、電流値の計測値をそれぞれ、Isc1、T1、V1、I1とした場合に、基準状態における電流値及び電圧値は、例えば、以下の数式(9a)、(9b)のように表わせる。本実施例においては、数式(9a)、(9b)を用いて、太陽電池の出力特性の計測値を補正する。

I2=I1+Isc1(Isc2/Isc1−1)+α(T2−T1)・・・・・・(9a)
V2=V1+β(T2−T1)−Rs・(I2−I1)−K・I2(T2−T1)・・(9b)

α:1℃の温度上昇による短絡電流Iscの変動値(A/℃)、β:1℃の温度上昇による開放電圧Vocの変動値(V/℃)、Rs:太陽電池の直列抵抗(Ω)、K:曲線補正因子(Ω/℃)
図9には、本実施例における本実施例におけるI−Vカーブ評価ルーチン4についてのフローチャートを示す。本ルーチンが実行されるとまず、S201において、出力係数の標準偏差の閾値が設定される。次に、S212においては太陽電池2のI−Vカーブ及び太陽電池2のパネル温度が計測される。なお、I−Vカーブが計測される際に、自動的に短絡電流値も計測される。S212の処理が終了するとS213に進む。
S213においては、I−Vカーブ、太陽電池の温度(パネル温度ともいう。)の平均値が算出される。ここで、I−Vカーブの平均値が算出される際には、各計測I−Vカーブを電圧(または電流)で等間隔に分割し、各々の電圧(または電流)において各計測I−Vカーブの電流(または電圧)を平均することで、平均I−Vカーブが求められる。また、短絡電流値の平均値は先述の数式(5)によって求められる。さらに、太陽電池の温度Tの平均値は、以下の数式(10)によって求められる。
Figure 0006295724

S213の処理が終了するとS214に進む。
続いて、S214においては、S203で算出された平均I−Vカーブの各点(j=1〜M)の電流Ijの平均値及び電圧Vjの平均値が、太陽電池2のパネル温度の平均値を用いて、以下の数式(11)及び(12)に基づいて補正される。なお、数式(11)においてIscは短絡電流である。
Figure 0006295724

Figure 0006295724

S214の処理が終了すると、S215に進む。
そして、S215においては、補正後の平均I−Vカーブにおける最大出力値と定格出力Pmoとから平均出力係数PRaveが数式(13)に基づいて算出される。
Figure 0006295724
S215の処理が終了するとS205からS207の処理が実行されるが、この処理は、I−Vカーブ評価ルーチン2におけるS205からS207までの処理と同等であるので、詳細な説明は省略する。なお、平均出力係数PRaveを表す数式(13)は、数式(3)とは異なっているが、これは、短絡電流Iscの平均値と短絡電流の定格値Iscmoの比の項については、I−Vカーブ評価ルーチン4では数式(11)で考慮されているからである。従って、S214の処理における数式(11)で、短絡電流Iscの平均値と短絡電流の定格値Iscmoの比の項を考慮することを止め、その代わりに、S215では数式(3)を用いて平均出力係数PRaveを求めるようにしても構わない。
図10には、温度補正前後のI−Vカーブの変化の例を示す。また、図11には本実施例における太陽電池評価システム20の概略構成を示す。太陽電池評価システム20の、太陽電池評価システム10との相違点は、センサとして、温度取得手段の一例としての温度計24aを備えており、温度計24aによって太陽電池2の温度を取得し、I−Vカーブを補正する点である。
なお、図12には、I−Vカーブ評価ルーチン4と同じ目的を果たすための別ルーチンである、I−Vカーブ評価ルーチン5についてのフローチャートを示す。このルーチンでは、I−Vカーブ評価ルーチン4のように、I−Vカーブの平均を求めるのではなく、各々のI−Vカーブにおける最大出力点の電流と電圧とを求め、その値の平均値を算出する点が異なる。
本ルーチンにおいては、S212において、太陽電池2のI−Vカーブ及び太陽電池2の温度が計測されると、S223に進む。S223では、各I−Vカーブの最大出力点の電流及び電圧の平均値と、太陽電池の温度の平均値と、短絡電流の平均値が算出される。ここで、各I−Vカーブの最大出力点の電流及び電圧の平均値は、より具体的には、まず、各I−Vカーブの最大出力点の電流Ipmと電圧Vpmが抽出され、以下の数式(14)及び(15)に従って算出される。
Figure 0006295724

また、太陽電池の温度の平均値は先述の数式(10)により、短絡電流の平均値は数式(
5)により算出される。
S223の処理が終了するとS224に進む。S224においては、各I−Vカーブの最大出力点の電流及び電圧である、最大出力電流Ipmと最大出力電圧Vpmの平均値が、短絡電流Iscの平均値と、太陽電池の温度Tの平均値を用いて補正される。より具体的には、以下の数式(16)及び(17)を用いて補正される。
Figure 0006295724

Figure 0006295724
S224の処理が終了するとS225に進む。S225においては、以下の数式(18)に示すように補正後の最大出力電流と最大出力電圧の平均値を乗積することにより、補正後の最大出力の平均値が算出され、さらに、先述の数式(13)を用いて平均出力係数PRaveが算出される。
Figure 0006295724
S225の処理が終了すると、S205〜S207の処理が実行されるが、これらの処理はI−Vカーブ評価ルーチン2と同等であるので、ここでは説明は省略する。なお、ここでも、数式(3)とは異なる平均出力係数の数式(13)が用いられるのは、短絡電流Iscの平均値と短絡電流の定格値Iscmoの比の項について、I−Vカーブ評価ルーチン5では数式(16)で考慮されているからである。従って、S224の処理における数式(16)では、短絡電流Iscの平均値と短絡電流の定格値Iscmoの比の項について考慮すること止め、その代わりに、S225では先述の数式(3)を用いて平均出力係数を求めるようにしてもよい。
以上のように、本実施例においては、温度計24aによって太陽電池2の温度を取得し、温度によってI−Vカーブを補正することにしたので、より精度良く太陽電池の出力特性の評価を行うことが可能である。
<実施例5>
次に、実施例5について説明する。本実施例においては、太陽電池評価システムの構成の様々な態様について説明する。
図13には、本実施例における太陽電池評価システム30の態様について示す。この態様における構成要素の太陽電池2、電流電圧特性計測部3、温度計24a、演算部6、標準偏差判断部17、閾値記憶部19、評価部8、表示器8aについては、各々、図11の太陽電池評価システム20に示した構成と同等である。一方、この態様においては、計測データ取得部35が、DC/DCコンバータ34a、インバータ34bとともにパワーコンディショナ34内に配置されている点が異なる。また、パワーコンディショナ34は、負荷36に接続されている。
次に、図14には、本実施例における太陽電池評価システム40の態様について示す。この態様における構成要素のうち太陽電池2、電流電圧特性計測部3、温度計24a、表示器8a,負荷36については、各々、図13に示した対応する構成と同等である。この
態様においては、計測データ取得部45、演算部46、標準偏差判断部47、評価部48、閾値記憶部49が、DC/DCコンバータ44a、インバータ44bとともにパワーコンディショナ44内に構成されている。
次に、図15には、本実施例における太陽電池評価システム50の態様について示す。この態様における構成要素のうち太陽電池2、電流電圧特性計測部3、温度計24aについては、各々、図14に示した対応する構成と同等である。この態様においては、計測データ取得部55、演算部56、標準偏差判断部57、評価部58、表示部58a,閾値記憶部59が、パワーコンディショナとは独立して、ハンディタイプのI−V特性計測装置54内に構成されている。これによれば、評価者が太陽光発電システム50の評価に現場に向かう際に、ハンディタイプのI−V特性計測装置54を持参し、設置した上で、適切な期間だけ放置して評価を継続的に行うなどの運用が可能になる。
次に、図16には、本実施例における太陽電池評価システム60の態様について示す。この態様における電流電圧特性計測部3、温度計24a、計測データ取得部45、演算部46、標準偏差判断部47、評価部48、閾値記憶部49、DC/DCコンバータ44a、インバータ44b、表示器8a、負荷36については、各々、図14に示した対応する構成と同等である。この態様においては、複数の太陽電池62a、62bがパワーコンディショナ64に接続されており、電流電圧特性計測部3に入力されている。そして、スイッチ63a及び63bによって、電流電圧特性計測部3への入力が切り替えられるようになっている。この態様によれば、複数の太陽電池について、出力特性の評価を行うことが可能である。
次に、図17には、本実施例における太陽電池評価システム70の態様について示す。この態様における構成要素の太陽電池2、温度計24a、計測データ取得部5、演算部6、標準偏差判断部17、閾値記憶部19、評価部8、表示器8aについては、各々、図11の太陽電池評価システム20に示した構成と同等である。一方、この態様においては、電流電圧特性計測部73が、DC/DCコンバータ74a、インバータ74bとともにパワーコンディショナ74内に配置されている点が異なる。
このように、本発明における太陽電池評価システムにおいては、いずれの構成をパワーコンディショナに組み込むかという点について様々な組み合わせが考えられ、システム全体としての利便性に応じて適宜決定すればよい。この組み合わせについては上記の態様に限定する趣旨ではない。また、いずれの構成をハンディタイプのI−V特性計測装置に組み込むかという点についても同様である。
<実施例6>
次に、本発明の実施例6について説明する。実施例1〜実施例5においては、太陽電池の出力特性を評価する際に、平均出力係数を用いることを前提としていたが、本実施例においては、平均出力係数を用いない例について説明する。
本実施例においては、数式(3)で示される平均出力係数を用いて太陽電池の出力特性を評価するのではなく、数式(19)で示される出力係数を用いて太陽電池の出力特性を評価する。
Figure 0006295724

そして、図21に示したように出力係数のグラフに特異点が現れた場合には、特異点に相当するデータを排除する。より具体的には、横軸に計測回数、縦軸に出力係数をとった図21(b)のようなグラフにおいて、前回の値に対して出力係数が例えば±20%以上変化した値が現れた場合には、その値を削除してもよい。
あるいは、出力係数のデータの中で、例えば大きい方から3点、小さい方から3点のデータを削除してもよい。もちろん、この3点という数値は出力係数のばらつきの大きさを考慮しつつ、適宜変更してもよい。さらに、太陽電池の出力特性の評価に用いる指標を、例えば、連続する10個の出力係数の平均値(出力係数自体の平均値であり平均出力係数とは異なる)ということにしても構わない。ここでも、この10個という数値は出力係数のばらつきの大きさを考慮しつつ、適宜変更してもよい。
以上のように、本実施例においては、太陽電池の出力特性の評価のために、平均出力係数でなく、あくまで出力係数を用いた上で、出力係数の変動を緩和することにした。これによっても、太陽電池の出力特性の評価の精度を向上させることが可能である。なお、本実施例において説明した処理は、太陽光発電システムに設けられた図示しないCPUの指令により自動的に実施される。この意味で太陽光発電システムに設けられたCPUは安定化手段に相当する。
<実施例7>
次に、本発明の実施例7について説明する。本実施例においては、数式(3)で示される平均出力係数を用いて太陽電池の出力特性を評価するのではなく、数式(19)で示される出力係数を用いて太陽電池の出力特性を評価する例について説明する。本実施例における太陽光発電システムのハード構成は、図3に示すものとして説明するが、実施例1〜6において説明したいずれのハード構成を適用しても構わない。
本実施例においては、電流電圧特性計測部3によって太陽電池2のI−Vカーブを所定の時間間隔で繰り返し取得する。そして、N本目に取得したI−Vカーブと、N+1本目に取得したI−Vカーブの距離Eを算出し、この距離Eが閾値以上の場合には、N本目のI−Vカーブは排除する。そして、N+2本目のI−Vカーブを取得し、N+1本目に取得したI−Vカーブと、N+2本目に取得したI−Vカーブの距離Eを算出して再度閾値とを比較する。そして、その際の距離Eが閾値未満であった場合には、N+1本目またはN+2本目のI−Vカーブを、安定化した後のI−Vカーブとして採用し、これを用いて太陽電池の出力特性を評価する。
図18には、本実施例におけるI−Vカーブの変動のフィルタ処理について説明するための図を示す。図18においては、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、例えば、数式(20)に示すように、等間隔の電圧V毎の、2本のI−Vカーブにおける電流値Iの差の合計値とする。この場合は、もちろん、電圧測定数で除することで、距離Eを、等間隔の電圧V毎の、2本のカーブにおける電流値Iの差の平均値としても構わない。
Figure 0006295724
あるいは、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、数式(21)に示すように、2本のI−Vカーブの電流値Iの差が最大である電圧値における、電流値Iの差の値としてもよい。
Figure 0006295724
あるいは、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、数式(22)に示すように、各I−Vカーブにおける電流値Iの平均値の差の値としてもよい。
Figure 0006295724
あるいは、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、2本のI−Vカーブのうちの特定の点間の距離としてもよい。より具体的には、数式(23)に示すように、2本のI−Vカーブにおける短絡電流値の差としてもよい。
Figure 0006295724
あるいは、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、数式(24)に示すように、2本のI−Vカーブの開放電圧における電流値の差としてもよい。
Figure 0006295724
あるいは、N本目に取得されたI−Vカーブと、N+1本目に取得されたI−Vカーブとの間の距離Eは、数式(25)に示すように、2本のI−Vカーブの最大出力点における電流値の差としてもよい。
Figure 0006295724
以上のように、本実施例においては、I−Vカーブを取得する際に、連続して取得された2本のI−Vカーブの間の距離が閾値より大きい場合には、いずれかのI−Vカーブが取得された際に、太陽電池に雲の影がかかる等の不安定化要因が作用したと判断し、その際のI−Vカーブの情報は太陽電池の出力特性の評価には採用しない。一方、連続して取得された2本のI−Vカーブの間の距離が閾値未満であった場合には、少なくとも安定した取得条件下で2本のI−Vカーブが取得されたと判断し、当該I−Vカーブに基づいて太陽電池の出力特性を評価する。従って本実施例によれば、数式(3)で示される平均出力係数を用いずに、数式(19)で示される出力係数を用いて、充分に安定化した出力特性を得ることができ、太陽電池の出力特性の精度を向上させることが可能となる。ここで
本実施例における閾値は、連続して取得された2本のI−Vカーブにおける、各定義式に従った距離Eが、この値未満であれば、前記2本のI−Vカーブは安定した取得条件下で取得され信頼性が高いと判断できる値であり、予め実験的または理論的に定められるものである。
なお、本実施例の説明では、上述したように、連続して取得された2本のI−Vカーブの間の距離が閾値より小さくなることをもって、I−Vカーブの取得条件が安定していると判断したが、これを、連続した3本以上の全てのI−Vカーブの距離が閾値より小さくなることをもって、I−Vカーブの取得条件が安定していると判断してもよい。これにより、簡単な処理でより安定したI−Vカーブを用いて太陽電池の出力特性の評価を行うことが可能となる。
なお、本実施例において取得手段は、図3における計測データ取得部5を含んで構成される。また、本実施例においては、図3の評価部8において数式(19)に基づく出力係数が演算され、この出力係数の値と性能確認用閾値とが比較され、太陽電池の出力のI−Vカーブが正常か異常かが判定されるので、評価部8が、特性導出手段及び特性評価手段に相当する。また、図3における表示器8aは本実施例における表示手段に相当する。
また、本実施例では、図3の演算部6において、電流電圧特性計測部3で計測されたI−Vカーブより、その最大出力点における電力値と短絡電流値とが算出されるとともに、上記した2本のI−Vカーブの距離Eの算出及び閾値との比較、I−Vカーブの情報の排除または採用の判定を行うので、演算部6が本実施例におけるフィルタ手段に相当する。実際には、図示しないCPUの指令により上記の処理が実行されるので、本実施例においては、このCPUがフィルタ手段に相当するとも言える。また、本実施例に置いて2本のI−Vカーブの距離Eが閾値以上となることは、連続して取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が所定程度以上に変動していることに相当する。
なお、本実施例では、太陽電池の出力特性の評価に数式(19)を用いることを前提としたが、この出力係数としては、数式(1)を用いてもよい。すなわち、太陽電池の出力特性の評価には、太陽電池のI−Vカーブから得られる最大出力値と、太陽電池の短絡電流値を用いるのではなく、太陽電池のI−Vカーブから得られる最大出力値と、日射計を用いて測定した日射強度を用いて評価をしても構わない。また、本実施例においては、取得されたI−Vカーブの情報、最大出力点における電力値、短絡電流値を、先述のように太陽電池の温度によって補正してもよいことは当然である。
1、10、20、30、40、50、60、70・・・太陽光発電システム
2、62a、62b・・・太陽電池
3、・・・電流電圧特性計測部
5、35、45、55・・・計測データ取得部
6、46、56・・・演算部
8、48、58・・・評価部
8a、58a・・・表示器
17、47、57・・・標準偏差判断部
19、49、59・・・閾値記憶部
24a・・・温度計
34、44、64、74・・・パワーコンディショナ
34a、44a、74a・・DC/DCコンバータ
34b、44b、74b・・・インバータ
36・・・負荷
54・・・I−V特性計測装置
63a、63b・・・スイッチ

Claims (23)

  1. 太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた、前記太陽電池の最大出力点における電力値と前記太陽電池の短絡電流値と、に基づいて前記太陽電池の出力特性を評価する評価手段と、を備え、
    前記評価手段は、前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係の変動に基づく、前記太陽電池の出力特性の変動を緩和する安定化手段を有し、
    前記安定化手段は、
    前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得し、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、複数回取得した前記太陽電池の短絡電流値の前記所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出する平均値算出部を有し、
    前記評価手段は、
    前記平均最大出力値と前記平均短絡電流値とに基づいて定められる平均出力係数と、出力係数についての所定の閾値とを比較して、太陽電池の出力特性を評価する出力係数評価部を有し、
    前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とに基づいて算出される出力係数の標準偏差に基づいて前記所定回数を定める標準偏差判断手段と、
    前記出力係数の標準偏差がそれ以下の場合に、充分に安定した前記平均出力係数の値が得られると考えられる前記標準偏差の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
    をさらに備え、
    前記標準偏差判断手段は、
    前記安定化手段が前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得した際の各取得機会において取得された、前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とから、各取得機会における出力係数を算出する出力係数算出部と、
    前記出力係数算出部において算出された複数の出力係数のデータについての標準偏差を算出する標準偏差算出部と、
    前記標準偏差算出部によって算出された標準偏差が、前記閾値記憶手段に記憶された前記標準偏差の閾値以下になるときの前記出力係数のデータ数を算出するデータ数算出部と、を備え、
    前記データ数算出部によって算出されたデータ数を、前記平均値算出部が平均最大出力
    値と平均短絡電流値とを算出する際の所定回数として設定することを特徴とする、太陽電池の評価装置。
  2. 前記閾値記憶手段に記憶される前記標準偏差の閾値は、太陽電池の出力係数の値の信頼区間に基づいて定められることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の評価装置。
  3. 前記太陽電池の出力特性の評価結果を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の評価装置。
  4. 前記取得手段は、さらに太陽電池の温度を取得し、
    前記評価手段は、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係、前記太陽電池の最大出力点における電力値及び短絡電流値の少なくとも一つを、前記取得手段によって取得された前記太陽電池の温度に基づいて補正した上で、前記太陽電池の出力特性を評価することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置。
  5. 前記取得手段と、前記評価手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置。
  6. 前記取得手段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納したことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置。
  7. 請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置における前記取得手段と、前記評価手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を有するパワーコンディショナ。
  8. 請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置における前記取得手段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバータと、インバータと、を有するパワーコンディショナ。
  9. 太陽電池モジュールと、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置と、
    太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
  10. 前記取得手段と、前記評価手段のうち、少なくとも一つを、前記パワーコンディショナ内に組み込んだことを特徴とする請求項9に記載の太陽光発電システム。
  11. 太陽電池モジュールと、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置と、
    太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備え
    前記取得手段と、前記評価手段と、前記標準偏差判断手段と、前記閾値記憶手段のうち、少なくとも一つを、前記パワーコンディショナ内に組み込んだことを特徴とする太陽光発電システム。
  12. 太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を取得し、
    前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた、前記太陽電池の最大出力点における電力値と前記太陽電池の短絡電流値とに基づいて前記太陽電池の出力特性を評価する、太陽電池の評価方法であって、
    前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を複数回取得し、複数回取得した太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた、前記最大出力点における電力値のうちの所定回数分の平均値である平均最大出力値と、前記太陽電池の短絡電流値のうちの前記所定回数分の平均値である平均短絡電流値とを算出し、
    前記平均最大出力値と前記平均短絡電流値とに基づいて定められる平均出力係数と、出力係数についての所定の閾値とを比較することで、太陽電池の出力特性を評価し、
    前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係を複数回取得した際の、各取得機会において取得された前記最大出力点における電力値と前記短絡電流値とから、各取得機会における出力係数を算出し、
    算出された各取得機会における出力係数についての標準偏差を算出し、
    前記算出された標準偏差が、所定の閾値以下になるときの、前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係の取得回数を算出し、
    前記取得回数を、前記平均最大出力値と平均短絡電流値とを算出する際の所定回数として設定することを特徴とする、太陽電池の評価方法。
  13. 前記所定の閾値は、太陽電池の出力の値の信頼区間に基づいて定められることを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の評価方法。
  14. 前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係に基づいて、前記太陽電池の出力特性を導出する特性導出手段と、
    前記太陽電池の出力特性を閾値と比較することで評価する特性評価手段と、
    を備え、
    前記取得手段は前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得するとともに、前記特性導出手段は前記太陽電池の出力特性を複数回導出し、
    前記特性評価手段は、前記取得手段によって連続して取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が所定程度以上に変動している場合または、前記特性導出手段によって連続して導出された前記太陽電池の出力特性が所定程度以上に変動している場合には、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係または前記太陽電池の出力特性を排除するフィルタ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池の評価装置。
  15. 前記特性導出手段は、前記取得手段により取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値と、前記太陽電池の短絡電流または日射強度とに基づいて、前記太陽電池の出力特性を導出することを特徴とする請求項14に記載の太陽電池の評価装置。
  16. 前記太陽電池の出力特性の評価結果を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項14または15に記載の太陽電池の評価装置。
  17. 前記取得手段は、さらに太陽電池の温度を取得し、
    前記特性導出手段は、前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係、前記太陽電池の最大出力点における電力値または、前記太陽電池の短絡電流値を、前記取得手段によって取得された前記太陽電池の温度に基づいて補正した上で、前記太陽電池の出力特性を導出することを特徴とする請求項15に記載の太陽電池の評価装置。
  18. 前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうち、少なくとも一つを、可搬性の筐体内に収納したことを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置。
  19. 請求項14から17のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置における前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうちの少なくとも一つと、DC/DCコンバー
    タと、インバータと、を有するパワーコンディショナ。
  20. 太陽電池モジュールと、
    請求項14から17のいずれか一項に記載の太陽電池の評価装置と、
    太陽電池モジュールの出力を昇圧するとともに直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナと、を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
  21. 前記取得手段と前記特性導出手段と前記特性評価手段のうち、少なくとも一つを、前記パワーコンディショナ内に組み込んだことを特徴とする請求項20に記載の太陽光発電システム。
  22. 前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係を複数回取得するとともに、前記太陽電池の出力特性を複数回取得し、
    連続して取得された前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係が類似していない場合または、連続して導出された前記太陽電池の出力特性が類似していない場合には、該前記太陽電池の出力電圧と出力電流の関係または該太陽電池の出力特性を排除することを特徴とする請求項12に記載の太陽電池の評価方法。
  23. 前記太陽電池の出力電圧と出力電流との関係から得られた前記太陽電池の最大出力点における電力値と、前記太陽電池の短絡電流または日射強度とに基づいて前記太陽電池の出力特性を評価することを特徴とする請求項22に記載の太陽電池の評価方法。
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