JP6295661B2 - プラズマエッチング装置用シリコン部材及びプラズマエッチング装置用シリコン部材の製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、プラズマエッチング装置の一例を図5に示す。このプラズマエッチング装置50は、真空雰囲気とされた反応室51と、反応室51の内部に配置された電極板52と、この電極板52に対して間隔をあけて対向配置された架台53と、電極板52と架台53との間に高周波電圧を印加する高周波電源54と、を備えている。
また、シリコン電極や上述の部材において表面のクラック、欠陥やパーティクルを低減するために、結晶粒界のない単結晶シリコンを用いることが考えられる。しかしながら、単結晶シリコンは、一般に石英ルツボを用いて製造されるために酸素濃度が高い傾向にあり、プラズマエッチング速度が速く、早期に損耗してしまうといった問題があった。
ドーパントとしてのボロンの含有量が1×1018atoms/ml未満の場合には、エッチング速度を十分に遅くすることができなくなるおそれがある。一方、ボロンの含有量が1×1021atoms/mlを超える場合には、固溶できないボロンが析出してしまい、エッチングが不均一に発生するおそれがある。よって、本発明では、ドーパントとしてのボロンの含有量を1×1018atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内に設定している。なお、ボロンの含有量は、上述の範囲の中でも、特に1×1019atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内とすることが好ましい。
また、[111]方位に強く配向した多結晶シリコンで構成されていることになり、エッチング速度をさらに低減することが可能となる。なお、多結晶シリコンであることから、[111]方位に配向していても、へき開が生じにくく、取扱いは容易である。
酸素濃度を5×1017atoms/ml以下に低減することにより、エッチング速度を確実に抑制することができ、プラズマエッチングによる早期損耗を抑制することが可能となる。
窒素濃度を7×1014atoms/ml以上4×1015atoms/ml以下、より好ましくは1×1015atoms/ml以上3×1015atoms/ml以下の範囲内とすることにより、エッチング速度を遅くすることができ、プラズマエッチングによる早期損耗を抑制することが可能となる。
ここで、窒素濃度が7×1014atoms/ml未満の場合には、エッチング速度を十分に遅くすることができなくなるおそれがある。一方、窒素濃度が4×1015atoms/mlを超える場合には、窒素がシリコンナイトライドとして析出し、パーティクルの原因となったり、エッチングが不均一に発生するおそれがある。よって、本発明では、窒素濃度を7×1014atoms/ml以上4×1015atoms/ml以下の範囲内に設定している。
この構成のプラズマエッチング装置用シリコン部材の製造方法によれば、上述した本発明のプラズマエッチング装置用シリコン部材を製造することができる。
本実施形態であるプラズマエッチング装置用シリコン部材は、多結晶シリコンで構成されており、より具体的には、一方向凝固法によって製造された柱状晶シリコンで構成されたものとされている。
この多結晶シリコンインゴット製造装置10は、シリコン融液Lが貯留されるルツボ20と、このルツボ20が載置されるチルプレート12と、このチルプレート12を下方から支持する床下ヒータ13と、ルツボ20の上方に配設された天井ヒータ14と、を備えている。また、ルツボ20の周囲には、断熱材15が設けられている。
チルプレート12は、中空構造とされており、供給パイプ16を介して内部にArガスが供給される構成とされている。
このルツボ20は、石英(SiO2)で構成されており、その内面にシリコンナイトライド(Si3N4)がコーティングされている。すなわち、ルツボ20内のシリコン融液Lが石英(SiO2)と直接接触しないように構成されているのである。
まず、ルツボ20内に、シリコン原料を装入する。ここで、シリコン原料としては、11N(純度99.999999999)の高純度シリコンを砕いて得られた「チャンク」と呼ばれる塊状のものが使用される。この塊状のシリコン原料の粒径は、例えば、30mmから100mmとされている。
また、ボロンの添加は、予めボロンが高濃度に添加されたシリコンウエハまたは金属ボロンを原料として用い、所定の添加量となるように秤量後、シリコン原料の入ったルツボ20内に投入する。なお、ボロンの添加量は、シリコン結晶中のボロンの含有量が1×1018atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内となるように調製されている。
このとき、シリコンの優先成長方位が<100>、<111>方位であることから、柱状晶としてこれらの方位を向くものが多く存在することになるが、本実施形態では、特に[111]方位の成長が促進されるように鋳造条件を調整している。具体的には、凝固速度を5mm/h以上10mm/h以下の範囲内とすることが好ましい。また、結晶方位を制御する手段としては、種結晶(シリコン単結晶)、デンドライト成長等を用いることもできる。
そして、得られた多結晶シリコンインゴットを加工し、表面を鏡面研磨以上の平坦度となるように研磨することにより、プラズマエッチング装置の反応室内部で使用されるプラズマエッチング装置用シリコン部材が製造される。なお、プラズマエッチング装置用シリコン部材としては、例えば、電極板、及び、保護リング、シールリング、アースリング 等の各種リング等が挙げられる。
例えば、図1に示す多結晶シリコンインゴット製造装置を用いて製造された多結晶シリコンインゴットを素材とするものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構成の製造装置によって製造された多結晶シリコン、モノライクシリコンを素材としてもよい。
モノライクシリコンは、シリコンナイトライドでコーティングされた石英ルツボの底部に、例えば厚さ20mmの(111)面の種結晶(単結晶シリコン)を並べて、その上にポリシリコン原料を入れ、所定の濃度となるようにボロンを添加し、上下ヒータの温度を制御して種結晶を完全に溶かさずに一方向凝固することにより製造される。
これに対して、多結晶シリコンからなり、ボロンの含有量が本発明の範囲内とされた本発明例1−7においては、エッチング速度が遅く、早期損耗が抑制されていることが確認される。なお、酸素濃度を5×1017atoms/ml以下、窒素濃度を7×1014atoms/ml以上4×1015atoms/ml以下の範囲内とし、ボロンが1×1019atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内で添加された本発明例1,2においては、特に、エッチング速度が遅くなっていることが確認される。
EBSD法とは、SEM内で試料表面の1点に電子線を入射させ、生じる反射電子回折模様を用いて局所領域の結晶方位や結晶構造を解析するものである。試料表面の一点に電子線を入射することによりできた回折模様からEBSD像が得られる。一定間隔で試料表面上に電子線を走査させ、これを繰返すことによって得られたKikuchi線を解析することにより、結晶方位と結晶構造のマップ化が可能となる。なお、測定サンプルとして5mm角×厚さ2mmの板状サンプルをそれぞれ8個用意し、測定面を鏡面研磨したのち、測定面全体を測定した。
ここで、図2及び図3に示す黒点一つ一つが測定点であるため、(111)側領域Cにある点数を全測定点数で割ることによって、(111)側領域Cに分布する割合を算出することができる。本発明例1では約80%、比較例1では約30%であった。
[111]方位の部分は、[111]以外の方位の部分に比べて高さが一段高くなっているのが確認される。[111]方位の結晶においてエッチング速度が遅くなっていると判断される。
51 反応室
52 電極板
Claims (4)
- プラズマエッチング装置の反応室内部で使用されるプラズマエッチング装置用シリコン部材であって、
多結晶シリコン又はモノライクシリコンからなり、
ドーパントとしてボロンを1×1018atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内で含有しており、
表面の結晶方位をEBSD法で測定し、(001)、(101)、(111)を頂点とするステレオ三角形内の方位分布を求め、このステレオ三角形を、各辺の二等分点と前記ステレオ三角形の重心とを結ぶ線によって(001)側領域、(101)側領域、(111)側領域に3分割し、これらの各領域に占める結晶方位分布の割合を、各領域内にある測定点数を全測定点数で割ることにより求め、(111)側領域に分布する割合が70%以上とされていることを特徴とするプラズマエッチング装置用シリコン部材。 - 酸素濃度が5×1017atoms/ml以下であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング装置用シリコン部材。
- 窒素濃度が7×1014atoms/ml以上4×1015atoms/ml以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマエッチング装置用シリコン部材。
- 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラズマエッチング装置用シリコン部材を製造するプラズマエッチング装置用シリコン部材の製造方法であって、
ボロンの含有量が1×1018atoms/ml以上1×1020atoms/ml以下の範囲内とされたシリコン融液を形成するシリコン融液形成工程と、前記シリコン融液を一方向凝固させる一方向凝固工程と、を有し、
前記一方向凝固工程における凝固速度が5mm/h以上10mm/h以下の範囲内とされていることを特徴とするプラズマエッチング装置用シリコン部材の製造方法。
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