JP6294375B2 - 冷媒の温度推定装置及び回転電機の温度推定装置 - Google Patents

冷媒の温度推定装置及び回転電機の温度推定装置 Download PDF

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Description

この発明は、回転電機等のデバイスを冷却する冷媒の温度推定装置及び前記回転電機の温度推定装置に関し、例えば、異なる冷媒により冷却されるエンジンと回転電機を備えたハイブリッド自動車に適用して好適な冷媒の温度推定装置及び前記回転電機の温度推定装置に関する。
例えば、特許文献1には、永久磁石を有するロータの同心円状外側に、ステータコイルを備えるモータの前記永久磁石の温度を推定する磁石温度推定装置が開示されている。
この磁石温度推定装置では、モータの外部からモータ上部に流入された冷却油がステータコイルエンドの両円周に沿ってモータ下部まで落下し外部に流出することで、ステータコイルを冷却する(特許文献1[0043])。
さらに、この磁石温度推定装置では、冷却油から熱抵抗を介してロータコア(ロータヨーク)が熱的に接続され、前記ロータコアから熱抵抗を介して永久磁石が熱的に接続されている熱モデルを用いて、前記永久磁石の温度を推定する技術が開示されている(特許文献1の[0091])。
特開2014−093867号公報
特許文献1には、磁石に発生する渦電流損及びロータコアの鉄損からなるロータの損失量と、ステータコイルの銅損及びステータコアの鉄損からなるステータの損失量とを合算した損失量(Wとする)から、磁石から冷却油への抜熱量(Qとする。)を差し引いた値をロータの熱容量(C)で除することにより磁石の温度変化{ΔTmag(=Wmot−Q)/C}を算出している(特許文献1の[0075])。
特許文献1では、磁石から冷却油への前記抜熱量がロータ温度と冷却油温度との差に比例することに鑑み、ロータ温度は推定する一方、冷却油温度を実測している(特許文献1の[0071]、[0072])。
特許文献1では、冷却油は、ロータ冷却後にオイルパンに貯留されて外部に放熱され、そのオイルパンに貯留される冷却油の温度を実測し、該冷却油温度が前記ロータに吐出される冷却油の温度と同定している(特許文献1の[0071]、[0087])。
しかしながら、オイルパンに十分な放熱機構を持たない回転電機では、流路から回転電機のステータコイルに流入する前の冷却油温度(Tb)を測定する温度センサが必要になるが、温度センサは高価であり、温度センサの追加により、その部品コスト及び取付コストが増加してしまう。
また、ハイブリッド自動車では、通常、モータを冷却する冷却油専用のラジエータを設け、その冷却油専用のラジエータを車両の走行による冷却風で冷却して冷却油を冷却するが、前記冷却油専用(モータ専用)のラジエータの他に、前記冷却風でエンジンを冷却する冷媒を冷却するエンジン専用のラジエータを設けていることからコストが上昇する。
この場合、モータの冷却油をエンジン冷媒にて熱交換して冷却するラジエータ一体構造が考えられるが、モータのステータコイルに流入する前の冷却油の温度(前記冷却油温度Tb)を算出することはより困難になる。
この発明はこのような種々の課題を考慮してなされたものであって、第1のデバイス(例えば、回転電機)を冷却する第1冷媒を第2のデバイス(例えば、エンジン)を冷却する第2冷媒との熱交換によって冷却する第1冷媒放熱器から流出される冷却後の前記第1冷媒の温度(前記モータに流入する前の冷却油温度Tbに対応する。)を精度よく算出(推定)することを可能とする冷媒の温度推定装置及び該冷媒温度推定装置を利用した回転電機の所定部品の温度を推定する温度推定装置を提供することを目的とする。
この発明に係る冷媒の温度推定装置は、第1のデバイスを冷却する第1冷媒を、第2のデバイスを冷却する第2冷媒との熱交換によって冷却する第1冷媒放熱器と、前記第1冷媒の流量に相関する第1物理量と、前記第2冷媒の流量に相関する第2物理量とから前記第1冷媒放熱器の冷却能力を算出する冷却能力算出器と、前記第2冷媒の温度及び前記熱交換前の前記第1冷媒の温度と、前記第1冷媒放熱器の前記冷却能力とに基づいて、前記第1冷媒放熱器での前記第1冷媒の放熱量を算出する放熱量算出器と、前記放熱量算出器によって算出された前記第1冷媒の前記放熱量に基づいて、前記熱交換後の前記第1冷媒の温度を算出する第1冷媒温度算出器と、を備える。
この発明によれば、第1のデバイスを冷却する第1冷媒を第2のデバイスを冷却する第2冷媒との熱交換によって冷却する第1冷媒放熱器における前記熱交換の後の第1冷媒の温度を、第1冷媒放熱器による熱交換の前の第1冷媒温度、第1冷媒との熱交換後の第2冷媒温度、及び第1冷媒の流量相関第1物理量と第2冷媒の流量相関第2物理量に基づき算出(推定)している。このため、第1冷媒放熱器から流出し第1のデバイスを冷却する前(第1のデバイスに流入する前)の第1冷媒の温度を精度よく算出(推定)することができる。
なお、流量相関物理量としては、冷媒の圧力を高めることで流量が設定されるポンプの回転数等を参照することができる。
この場合、前記第1冷媒放熱器は、走行風によって前記第2冷媒を冷却する第2冷媒放熱器内に設けられていてもよい。
第1のデバイスを冷却する第1冷媒放熱器と、第1冷媒を熱交換により冷却する第2冷媒を走行風によって冷却する第2冷媒放熱器とを一体的に構成(製作)できるので、部品点数を削減できる。結果として、冷媒放熱器の総材料コスト、総取付コスト及び総重量を低減することができる。
さらに、この発明に係る回転電機の温度推定装置は、冷媒の温度推定装置と、前記第1のデバイスが回転電機とされ、前記第1冷媒温度算出器により算出された前記熱交換後の前記第1冷媒の温度に基づき、該熱交換後の該第1冷媒により冷却される前記回転電機を構成する所定部品の温度を算出する回転電機温度推定器と、を備える。
この発明によれば、第1冷媒温度算出器により算出された熱交換後の第1冷媒の温度に基づき、回転電機を構成する所定部品の温度を算出しているので、前記第1冷媒の熱交換後の温度を計測する温度センサがなくとも精度よく前記回転電機を構成する所定部品の温度を算出することができる。温度センサを必要としないので、その分、コストを低減することができる。
なお、所定部品を回転電機の界磁用の永久磁石とすることで、温度上昇による劣化が最も懸念される回転電機の永久磁石の減磁を回避することができる。
この発明によれば、第1のデバイスを冷却する第1冷媒を第2冷媒との熱交換によって冷却する第1冷媒放熱器における熱交換後の前記第1冷媒温度を、前記第1冷媒放熱器による熱交換前の第1冷媒温度、前記第1冷媒との熱交換後の前記第2冷媒温度、及び前記第1冷媒の流量相関第1物理量と前記第2冷媒の流量相関第2物理量に基づき算出(推定)している。このため、第1冷媒放熱器から流出し第1のデバイスを冷却する前(第1のデバイスに流入する前)の第1冷媒の温度を精度よく算出(推定)することができる。
また、この発明によれば、第1冷媒温度算出器により算出された熱交換後の第1冷媒温度に基づき、回転電機を構成する所定部品の温度を算出(推定)することができる。
この実施形態に係る冷媒の温度推定装置が適用された回転電機の温度推定装置を搭載した車両の概略構成図である。 冷却対象としての電動機の概略構成を示す一部断面図である。 制御装置による回転電機の温度推定装置の機能ブロック図である。 磁石温度推定器で利用に供される概念的な熱回路図である。 制御装置による冷却後オイル温度推定器の機能ブロック図である。
以下、この発明に係る冷媒の温度推定装置が適用された回転電機の温度推定装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この実施形態に係る冷媒の温度推定装置が適用された回転電機の温度推定装置10を搭載した車両12の概略構成図である。図1中、太い実線は機械連結を示し、二重実線は電力配線を示し、二重実線内に破線を施した線は冷媒流路を示す。
この車両12は、基本的には、エンジン14と、このエンジン14により回転軸17を通じて回転駆動される発電機16と、この発電機16により充電される高圧バッテリ18と、発電機16又は高圧バッテリ18の出力のV2電圧とI2電流による電力によりインバータ等の駆動ユニット(PDU:Power Drive Unit)20を介して駆動される電動機22と、この電動機22により減速機24を介して回転駆動される走行用の駆動輪Wとを備える。この実施形態において、車両12は、シリーズハイブリッド車両であるが、この発明はシリーズハイブリッド車両に限られない。
車両12は、さらに、発電機16及び電動機22を潤滑・冷却する潤滑・冷媒であるATF(Automatic Transmission Fluid)オイル等のオイルOatfを矢印方向に循環させるオイル循環機構31と、エンジン14を冷却する冷媒であるLLC(Long Life Coolant)等の冷媒Wllcを矢印方向に循環させる冷媒循環機構32と、を備える。オイル循環機構31と冷媒循環機構32とにより電動機22、発電機16及びエンジン14の冷却機構(発熱源冷却機構)33が構成される。
図2は、冷却対象としての電動機22の概略構成を示す一部断面図である。なお、冷却対象としての発電機16も同様の構成になっているので図示を省略する。
電動機22は、ハウジング(不図示)に固定された固定子としてのステータ118と、このステータ118に対し、空隙120を空けて内側に配置された回転子としてのロータ122とから構成される。
ステータ118は、ティースであるステータコア142と該ステータコア142に巻回されたコイル144とから構成される。この場合、ステータ118には、コイル144の温度(ステータコイル温度Tcoilという。)を検出する温度センサ146が設けられている。
ロータ122は、前記ハウジングに対し回転可能に支持された主軸(回転軸)124と、積層磁性鋼板中に永久磁石126が埋め込み固定された円筒状のロータコア128と、該ロータコア128の軸方向側面を支持する一対のエンドプレート130と、一方のエンドプレート130を支持するカラー134と、を備える永久磁石埋込型同期モータである。
なお、電動機22のハウジングに設けられたレゾルバステータ138bと主軸124に設けられたレゾルバロータ138aからなるレゾルバ138によりロータ122の回転位置θ及び回転数(電動機回転数、回転電機回転数)N[rpm]が検出される。
図1において、オイル循環機構31は、オイル吸入口51m、51gと、オイル吐出口52m、52gを備えるオイル流路53と、オイル吸入口51m、51g側に設けられる機械式のポンプ(機械式ポンプ)61と、オイル流路53内を流れるオイルOatfを熱交換作用により冷却する熱交換器(HEX)41とを備える。
機械式のポンプ61は、エンジン14により回転駆動される発電機16の回転軸17に連結され、発電機16の回転数(発電機回転数、回転電機回転数)Ngに応じた駆動力を受けて作動する。なお、発電機16の回転数Ng(発電機回転数)[rpm]は、発電機16に設けられた回転数センサ148により検出される。
機械式のポンプ61は、オイル流路53のオイル吸入口51m、51gからオイルOatfを吸引するとともに、オイル流路53内のオイルOatfをオイル吐出口52m、52gに向けて、発電機16の回転数Ng(機械式のポンプ61の回転数に対応)に応じた流量で流動させる。
一方、冷媒循環機構32は、冷却対象であるエンジン14のシリンダのウォータジャケットからの冷媒流出口72と、前記シリンダのウォータジャケットへの冷媒流入口74とを備える冷媒流路73と、冷媒流出口72の近傍に設けられる電動式のポンプ(電動ポンプ)82と、冷媒流路73内を流れる冷媒Wllcを走行風である冷却風により冷却(熱交換)するラジエータ42とを備える。ラジエータ42は、走行風を取り込み易くするために車両12の前面グリル近傍に配置される。なお、冷媒流路73を流れる冷媒は、電動ポンプ82の回転数Nwpに応じた流量で流動する。
オイルOatfの熱交換器41は、インタンククーラーとしてラジエータ42内に配置固定されている。すなわち、熱交換器41とラジエータ42とが一体構造にされている。一体構造であるので、材料コスト、車両12への取付コストが低減されるとともに、体積、重量を低減することができる。
図1に示す熱交換器一体型のラジエータ42では、熱交換器41内を流れるオイルOatfが、ラジエータ42内を流れる冷媒Wllcと熱交換することによって冷却され、且つラジエータ42内を流れる冷媒Wllcが、走行風である冷却風と熱交換することによって冷却される。
ラジエータ42の出口側には、ラジエータ42で冷却された後の冷媒Wllcの温度(冷却後冷媒温度)Tllcaを検出する既存の温度センサ86が取り付けられている。
ポンプ61の吸引側には、熱交換器41による熱交換(冷却)前のオイルOatfの温度(冷却前オイル温度)Tatfbを検出する温度センサ85が取り付けられている。
この実施形態に係る温度推定装置10は、基本的には、オイル循環機構31及び冷媒循環機構32とこれらを制御する制御装置50とから構成される。
制御装置50は、演算器と記憶装置とカウンタタイマと入出力インタフェースを有し、前記演算器が各種入力信号(発電機16の回転数Ng、電動機22の回転数N、電動機22への供給電力(V2電圧とI2電流)、熱交換器41による冷却前の冷却前オイル温度Tatfb、ラジエータ42による冷却後の冷却後冷媒温度Tllca、ステータコイル温度Tcoil、電動ポンプ82の回転数Nwp等)に基づき、前記記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し実行することで各出力装置、ここでは電動機22、エンジン14、オイル循環機構31、及び冷媒循環機構32等を制御する各種機能実現器(機能実現手段)として機能する。前記演算器が構成する各種機能実現器は、ハードウエアにより構成することもできる。
この実施形態において、制御装置50は、磁石温度推定器(各部品推定器)50a及び冷却後オイル温度推定器50b等として機能する。
磁石温度推定器50aは、磁石126の温度(磁石温度)Tmag[K]を算出(推定)する際に、ロータコア128、エンドプレート130等の温度を算出(推定)するので、回転電機(電動機22と発電機16)を構成する所定部品の温度を算出する回転電機(電動機22と発電機16)の温度推定装置として機能する。したがって、以下の説明では、磁石温度推定器50aを各温度推定器50aともいう。
なお、制御装置50と、センサ及び出力装置等の構成要素との間の信号線及び制御線は、煩雑となるので図示を省略している。
[発熱源冷却機構33の動作]
次に、基本的には以上のように構成される車両12の発熱源冷却機構33の動作について説明する。
車両12のパワースイッチ(不図示)がオン状態にされると、制御装置50は、エンジン14を駆動して発電機16を回転させるとともに、電動機22のロータ122を回転可能状態乃至回転状態とし、電動ポンプ82を作動させる。ここで、発電機16が回転すると同時に回転軸17を介して機械式ポンプ61が作動する。
機械式ポンプ61が作動するとオイルOatfの圧力が高められて送りだされる。この場合、機械式ポンプ61は、電動機22及び発電機16の鉛直方向下方内部に設けられているオイルパン(不図示)からオイルOatfをオイル吸入口51m、51gを介して吸入し、オイル流路53を循環させて、オイル吐出口52m、52gから吐出させる。
図2に示すように、電動機22の上部側に設けられたオイル吐出口52m(図1)から吐出されたオイルOatfは、電動機22内部の電機子として銅損等により発熱するステータ118と、鉄損等により発熱するロータコア128が一体的に組み込まれたロータ122と、を冷却して(熱交換して)前記オイルパン内に落下する。この際、オイル吐出口52mから吐出されたオイルOatfは、主軸124の軸受(不図示)等の潤滑材としても機能して前記オイルパン内に落下する。
同様に、発電機16上部から吐出して内部を冷却したオイルOatfは、発電機16内のオイルパン内に落下する。
各前記オイルパンに落下して貯留されたオイルOatfは、機械式ポンプ61の作動下にオイル吸入口51m、51gから吸入され、オイル流路53内の熱交換器41によりラジエータ42内の冷媒Wllcと熱交換(冷却)されて、オイル吐出口52m、52gに至り、循環する。このようにして、電動機22及び発電機16が、オイルOatfにより冷却される。
なお、オイル吐出口52m、52g、電動機22及び発電機16の適宜の箇所(温度上昇部、潤滑必要部)に複数設けてもよい。
回転電機(電動機22と発電機16)を冷却することで加熱された(熱交換された)オイルOatfの温度である(熱交換器41による)冷却前オイル温度Tatfbが制御装置50により検出される。
その一方、エンジン14を冷却する冷媒Wllcが制御装置50により駆動される電動ポンプ82により冷媒Wllcの圧力が高められて送りだされると、冷媒Wllcは、エンジン14の冷媒流出口72から吸入され、冷媒流路73を介し、ラジエータ42を通じて外気の冷却風により冷却され、冷却された後の冷媒Wllcが冷媒流路73を介して、冷媒流入口74に至り循環する。このようにしてエンジン14が、冷媒Wllcにより冷却される。
[電動機22を構成する所定部品(永久磁石126等)の温度推定手順]
次に、磁石温度推定器(各温度推定器)50aによる永久磁石126の温度Tmag(推定磁石温度Tmag)等を推定する手順について説明する。なお、永久磁石126は、減磁温度を上回ると減磁してしまい電動機22が規定のトルクを発生できなくなる。このため、推定磁石温度Tmagが規定の減磁温度を上回らないように電動機22の出力を制御する前提として、永久磁石126の温度Tmagを推定することが重要である。なお、発電機16の永久磁石も同様であるが、煩雑となるので、ここでは電動機22を例として説明する。
図3の制御装置50による回転電機の温度推定装置10の機能ブロック図に示すように、推定磁石温度Tmagは、ステータコイル温度Tcoilと、冷却後推定オイル温度Tatfaとが分かれば、以下に説明するように、算出式(又はマップ)により磁石温度推定器50aで一意に算出(推定)することができる。
図4は、磁石温度推定器50aで利用に供される概念的な熱回路図であり、熱抵抗で各要素を接続した熱回路(熱モデル)を示している。
ここで、磁石126の温度を推定する際には、ステータコア142、エンドプレート130、ロータコア128、滴下冷媒140の各温度を推定する必要があり、磁石126の温度を推定することは、それら各温度を算出(推定)することにもなる。
オイル循環機構31の吐出口52m、52gから吐出された冷媒であるオイルOatfによってコイル144のコイルエンド及びステータコア142が直接的に冷却される(図2も参照)。そして、さらに、ステータ118からエンドプレート130に滴下される滴下冷媒140(図2中、エンドプレート130の両側に模式的に描いた矢印で示す冷媒Oatf)によってエンドプレート130が直接的に冷却され、さらに、滴下冷媒140によって、図4に示すように、熱抵抗R1、エンドプレート130、熱抵抗R2、ロータコア128、及び熱抵抗R3を介して、順次、ロータコア128と、磁石126とが間接的に冷却される。
(発熱量の算出)
各温度を推定する際には、まず、公知の要領にて、コイル144の発熱量(銅損)、ロータコア128の発熱量(鉄損)、及び磁石126の発熱量(渦電流損)を算出する。
コイル144の発熱量(損失)は、PDU20を介して電動機22に流れ込むI2電流とコイル144の抵抗値(既知)から算出する。
ロータコア128の発熱量(鉄損)は、電動機回転数Nと電動機22のトルク(算出値、もしくは実測値)、及びV2電圧をパラメータとして予め求めてある特性(マップ)を参照して算出する。
磁石126の発熱量(渦電流損)も、同様に、電動機回転数Nと電動機22のトルク(算出値、もしくは実測値)、及びV2電圧をパラメータとして予め求めてある特性(マップ)を参照して算出する。
(滴下冷媒140の温度Tdatfの算出)
滴下冷媒140の温度Tdatfは、次の(1)式に示すように、温度センサ146による実測値であるコイル温度Tcoilから温度センサ85による実測値である冷却後オイル温度Tatfbを差し引いた温度差(Tcoil−Tatfb)を、コイル144とオイルOatf間の熱抵抗Rcoatfで除した受熱量Qcoatf={(Tcoil−Tatfb)/Rcoatf}を、オイルOatfの熱容量Catfで除した温度上昇ΔTatf=(Qcoatf/Catf)と、冷却後オイル温度Tatfbと、を加算した値として算出される。なお、コイル144とオイルOatf間の熱抵抗Rcoatfは、オイルOatfの流量(機械式のポンプ61の回転数に対応する発電機16の回転数Ngに比例する。)に略反比例する予め得られている特性を参照して求める。また、オイルOatfの熱容量Catfは、冷媒Oatfの流量(冷媒流量)fllcに冷媒Oatfの比熱及び予め求めた係数を乗算することで算出される。
Tdatf
=Tatfb+ΔTatf
=Tatfb+(Qcoatf/Catf)
=Tatfb
+[{(Tcoil−Tatfb)/Rcoatf}/Catf] …(1)
(部品温度及び熱抵抗の算出)
エンドプレート130と滴下冷媒140との間の熱抵抗R1は、モータ回転数Nと冷媒Oatfの流量(冷媒流量)fllc[L/min]に応じて予め求めておいた特性(マップ)(不図示)を参照して算出される。この熱抵抗R1を算出する特性は、モータ回転数N及び冷媒流量fllcに負比例する特性である。
なお、冷媒流量fllcは、発電機回転数Ngに比例する特性(マップ)92(後述する図5)を参照して算出できる。
滴下冷媒温度Tdatfと、熱抵抗R1(滴下冷媒140とエンドプレート130間の熱抵抗)と、熱抵抗R2(エンドプレート130とロータコア128間の熱抵抗)と、ロータコア128の鉄損と、熱抵抗R3(ロータコア128と磁石126との間の熱抵抗)と、磁石126の渦電流損とから磁石126の温度Tmagを推定することができる。同時に、エンドプレート130、及びロータコア128の温度Tep、Tcoreを推定することができる。
磁石温度推定器(各温度算出器)50aにより、エンドプレート130の温度Tepは、(2)式に示すように、前回値(前回推定値)Tepprevに温度変化ΔTepを加算した次の(2)式により算出(推定)される。
Tep=Tepprev+ΔTep …(2)
エンドプレート温度Tepの前回値(前回推定値)Tepprevの初期値は、例えば、ソーク状態(運転停止状態)にあった車両12のイグニッションスイッチ(パワースイッチ)をオン状態にしたときの均熱化されているステータコイル温度Tcoilとしてもよい。以下、他の初期値も同様に取得することができる。
温度変化ΔTepは、例えば適宜の演算などによって推定する。
滴下冷媒140のエンドプレート130からの受熱量Qepdatfは、次の(3)式に示すように、エンドプレート温度Tepから滴下冷媒温度Tdatfを差し引いた値を熱抵抗R1(エンドプレート130と滴下冷媒140との間の熱抵抗)で除した値として算出(推定)される。
Qepdatf=(Tep−Tdatf)/R1 …(3)
ここで、(4)式に示すように、滴下冷媒140のエンドプレート130からの受熱量Qepdatfと、エンドプレート130のロータコア128からの受熱量Qcoreepとは等しいものと仮定する。
Qepdatf=Qcoreep …(4)
この仮定は、空間的に分離されているステータコア142とエンドプレート130との間の熱抵抗R4と、空間的に略分離されているエンドプレート130とハウジング間の熱抵抗R5が、熱抵抗R1に対して非常に大きな値になっていることから首肯できる。
次に、磁石温度推定器(各温度算出器)50aは、磁石温度Tmagの前回値(前回推定値)Tmagprev及びロータコア128と磁石126との間の熱抵抗R3と、ロータコア128の温度の推定値Tcoreとを用いて、ロータコア128の磁石126からの受熱量Qmagcoreを次の(5)式により算出する。
Qmagcore=(Tmagprev−Tcore)/R3 …(5)
磁石温度Tmagの前回値(前回推定値)Tmagprevの初期値は、上述したように、例えば、ソーク状態(運転停止状態)にあった車両12のイグニッションスイッチ(パワースイッチ)をオン状態にしたときのステータコイル温度Tcoilとしてもよい。
ここで、ロータコア128の受熱量Qcoreは、ロータコア128の磁石126からの受熱量Qmagcoreから、エンドプレート130のロータコア128からの受熱量Qcoreepを差し引いた値に、ロータコア128の鉄損Wcoreを加算した次の(6)式により算出される。
Qcore=Wcore+Qmagcore−Qcoreep …(6)
ロータコア128の温度変化ΔTcoreは、ロータコア128の受熱量Qcoreをロータコア128の熱容量Ccoreで除した次の(7)式の値として得られる。
ΔTcore=Qcore/Ccore …(7)
したがって、ロータコア128の温度Tcoreは、ロータコア温度Tcoreの前回値(前回推定値)をTcoreprevとして、次の(8)式により算出(推定)できる。
Tcore=Tcoreprev+ΔTcore …(8)
次に、磁石126からの放熱量(抜熱量)Qmagは、前回の磁石温度Tmagprevからロータコア温度Tcoreを差し引いた値を磁石126とロータコア128との間の熱抵抗R3で除した次の(9)式に示す値として算出される。
Qmag=(Tmagprev−Tcore)/R3 …(9)
磁石126の温度変化ΔTmagは、次の(10)式に示すように、磁石126で発生した発生熱量である渦電流損Wmagから放熱量Qmagを引いた熱量を磁石126の熱容量Cmagで除することにより算出(推定)できる。
ΔTmag=(Wmag−Qmag)/Cmag …(10)
したがって、磁石温度Tmagは、前回値Tmagprevに温度変化ΔTmagを加算した次の(11)式により算出(推定)することができる。
Tmag=Tmagprev+ΔTmag …(11)
このようにして、図3に示したように、推定磁石温度Tmagは、ステータコイル温度Tcoilと推定(算出)可能な冷却後推定オイル温度Tatfaが判明すれば、磁石温度推定器50aにて算出(推定)することができる。
上述したように、ステータコイル温度Tcoilは、温度センサ146により実測値として取得される。
[冷却後推定オイル温度Tatfaの推定手順]
そこで、次に、制御装置50の冷却後オイル温度推定器50bによる冷却後推定オイル温度Tatfaの推定手順について図3の回転電機の温度推定装置10の機能ブロック図及び図5の冷却後オイル温度推定器50bの機能ブロック図を参照して説明する。
熱交換器41により冷媒Wllcと熱交換されて冷却された冷却後オイル温度Tatfaは、温度センサ85により検出される冷却前オイル温度Tatfbと、温度センサ86により検出される冷媒温度Tllcaと、機械式のポンプ61を作動させる発電機16の発電機回転数Ng(すなわちオイルOatfの流量)と、電動ウォータポンプ82の回転数Nwp(すなわちエンジン冷却水である冷媒llcの流量と、に基づき推定(算出)することができる(図3)。
冷却後推定オイル温度Tatfaは、実測値の冷却前オイル温度Tatfbから推定値の熱交換器41による放熱温度Thexを減算器97で差し引くことにより算出できる{(12)式参照}。
Tatfa=Tatfb−Thex …(12)
ここで、熱交換器41によるオイルOatfの放熱温度Thexは、次の(13)式に示すように、ラジエータ42内に設けられた熱交換器41の放熱量Qhex[J]をオイルOatfの熱容量Catf[J/K]で除算器96により除することにより算出することができる。
Thex=Qhex/Catf …(13)
したがって、オイルOatfの熱容量Catfは既知であるので、熱交換器41の前記放熱量Qhexを算出することができれば、冷却後推定オイル温度Tatfa[K]を算出することができる。
次の(14)式に示すように、熱交換器41の放熱量Qhexは、冷却前オイル温度Tatfbから冷却後冷媒温度Tllcaを減算器95により差し引いた温度に冷却係数K[J/K]を乗算することにより算出することができる。
Qhex=K×(Tatfb−Tllca) …(14)
ここで、冷却係数Kは、冷媒流量fllc[L/min]を入力値とし、オイル流量fatf[L/min]をパラメータとする特性(マップ)93を参照して出力値として求めることができる。
特性(マップ)93で参照されるオイル流量fatf[L/min]は、機械式ポンプ61を回転軸17により回転する発電機16の回転数Ng[rpm]に概ね比例する特性(マップ)91を参照し、回転数Ngを入力として求めることができる。同様に、冷媒流量fllc[L/min]は、電動ポンプ82の回転数Nwp[rpm]に概ね比例する特性(マップ)92を参照し、回転数Nwpを入力として求めることができる。
特性(マップ)93は、予め実験あるいはシミュレーションにより作成することが可能である。冷却係数K[J/K]は、冷媒流量fllc[L/min]が大きい程、オイル流量fatf[L/min]が大きい程、値が大きくなる特性になっている。
このようにして、冷却後オイル温度推定器50bは、冷却前オイル温度Tatfbと、冷媒温度Tllcaと、発電機回転数Ngと、電動ポンプ回転数Nwpに基づき冷却後オイル温度Tatfaを推定(算出)することができる。
[実施形態のまとめ]
以上説明したように、上述した実施形態によれば、温度推定装置10は、第1冷媒放熱器(熱交換器41)と、冷却能力算出器(特性93)と、放熱量算出器(乗算器95)と、第1冷媒温度算出器(除算器96と減算器97)と、回転電機温度推定器(磁石温度推定器50a)とを備える。
ここで、第1冷媒放熱器(熱交換器41)は、回転電機(電動機22及び又は発電機16)を冷却する第1冷媒(オイルOatf)を、第2冷媒(冷媒Wllc)との熱交換によって冷却する
冷却能力算出器(特性93)は、第1冷媒放熱器(熱交換器41)と、前記第1冷媒(オイルOatf)の流量に相関する第1物理量(発電機回転数Ng)と、前記第2冷媒(冷媒Wllc)の流量に相関する第2物理量(電動ポンプ回転数Nwp)とから前記第1冷媒放熱器(熱交換器41)の冷却能力(冷却係数K)を算出する。
放熱量算出器(乗算器95)は、前記第2冷媒(冷媒Wllc)の温度(冷媒温度Tllca)及び第1放熱器(熱交換器41)による熱交換前の前記第1冷媒(オイルOatf)の温度(Tatfb)と、前記第1冷媒放熱器(熱交換器41)の前記冷却能力(冷却係数K)とに基づいて、前記第1冷媒放熱器(熱交換器41)での前記第1冷媒(オイルOatf)の放熱量Qhex{(4)式}を算出する。
第1冷媒温度算出器(除算器96と減算器97)は、前記放熱量算出器(乗算器95)によって算出された前記第1冷媒(オイルOatf)の前記放熱量Qhexに基づいて、熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)の温度Tatfa{(4)式}を算出する。
さらに、回転電機温度推定器(磁石温度推定器50a)は、熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)の温度(Tatfa)に基づき、熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)により冷却される前記回転電機(電動機22及び又は発電機16)の所定部品(磁石126)の温度Tmagを推定する。
この実施形態によれば、第1のデバイスとしての回転電機(電動機22及び又は発電機16)を冷却する第1冷媒(オイルOatf)の熱交換器41による熱交換前の温度(Tatfb)と、前記第1冷媒(オイルOatf)を第2のデバイスとしてのエンジン14を冷却する第2冷媒(Wllc)との熱交換によって冷却する第2冷媒(Wllc)の温度(Tllca)と、前記第1及び第2冷媒の流量(オイル流量fatfと冷媒流量fllc)に基づき算出された前記第1冷媒放熱器(熱交換器41)での前記第1冷媒(オイルOatf)の放熱量Qhexと、に基づいて熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)の温度(Tatfa)を算出し、算出された熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)の温度(Tatfa)に基づき、熱交換器41による熱交換後の前記第1冷媒(オイルOatf)により冷却される前記回転電機(電動機22及び又は発電機16)の所定部品(磁石126)の温度(Tmag)を推定するようにしたので、前記回転電機(電動機22及び又は発電機16)を冷却する前記第1冷媒(オイルOatf)の熱交換器41による熱交換後の温度を計測する温度センサを必要とせずに精度よく、熱交換器41による熱交換後の第1冷媒(オイルOatf)の温度Tatfaを算出(推定)することができる。温度センサを必要としないので、その分、コストを低減することができる。
この場合において、前記第1冷媒放熱器(熱交換器41)は、走行風によって前記第2冷媒(Wllc)を冷却する第2冷媒放熱器(ラジエータ42)内に設けられていることから、回転電機(電動機22及び又は発電機16)を冷却する第1冷媒放熱器(熱交換器41)と第2冷媒放熱器(ラジエータ42)とを一体的に製作できるので、トータルな材料コスト及び重量を低減することができる。
なお、前記所定部品が前記回転電機(電動機22及び又は発電機16)の界磁用の永久磁石(磁石126)であるとしている。この実施形態によれば、温度上昇による劣化が最も懸念される回転電機(電動機22及び又は発電機16)の永久磁石(磁石126)の減磁を回避することができる。前記所定部品としては、磁石126の他、ロータコア128等の温度をも推定することができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…温度推定装置 12…車両
14…エンジン 16…発電機
22…電動機 31…オイル循環機構
32…冷媒循環機構 33…発熱源冷却機構
41…熱交換器 42…ラジエータ
50…制御装置 50a…磁石温度推定器
50b…冷却後オイル温度推定器 61…機械式ポンプ
82…電動ポンプ Oatf…オイル
Wllc…冷媒

Claims (3)

  1. 第1のデバイスを冷却する第1冷媒を、第2のデバイスを冷却する第2冷媒との熱交換によって冷却する第1冷媒放熱器と、
    前記第1冷媒の流量に相関する第1物理量と、前記第2冷媒の流量に相関する第2物理量とから前記第1冷媒放熱器の冷却能力を算出する冷却能力算出器と、
    前記第2冷媒の温度及び前記熱交換前の前記第1冷媒の温度と、前記第1冷媒放熱器の前記冷却能力とに基づいて、前記第1冷媒放熱器での前記第1冷媒の放熱量を算出する放熱量算出器と、
    前記放熱量算出器によって算出された前記第1冷媒の前記放熱量に基づいて、前記熱交換後の前記第1冷媒の温度を算出する第1冷媒温度算出器と、
    を備えることを特徴とする冷媒の温度推定装置。
  2. 請求項1に記載の冷媒の温度推定装置において、
    前記第1冷媒放熱器は、
    走行風によって前記第2冷媒を冷却する第2冷媒放熱器内に設けられている
    ことを特徴とする回転電機を冷却する冷媒の温度推定装置。
  3. 請求項1又は2に記載の冷媒の温度推定装置と、
    前記第1のデバイスが回転電機とされ、前記第1冷媒温度算出器により算出された前記熱交換後の前記第1冷媒の温度に基づき、該熱交換後の該第1冷媒により冷却される前記回転電機を構成する所定部品の温度を算出する回転電機温度推定器と、
    を備えることを特徴とする回転電機の温度推定装置。
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