JP6294369B2 - 蓋移動機構、及びそれを備える収納装置 - Google Patents

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Description

本発明は、蓋を移動させる蓋移動機構、及び当該蓋移動機構を備える収納装置に関する。
自動車等の車両の運転者に速度等の情報を表示する装置として、ヘッドアップディスプレイの使用が広がっている。ヘッドアップディスプレイは、前方を注視した運転者の視界内で速度等の情報を表示する装置であり、フロントガラス(ウィンドシールド)に情報を表示するウィンドシールドヘッドアップディスプレイと、ダッシュボードの上面に配置されるコンバイナに情報を表示するコンバイナヘッドアップディスプレイとに大別される。
コンバイナヘッドアップディスプレイのコンバイナは、使用時にはダッシュボードの上面に配置されるが、不使用時にはダッシュボードの内部に配置されたハウジング内に収納される。特許文献1〜3はそれぞれ、コンバイナの移動時にハウジングのカバーを開閉する開閉機構を開示している。
特開2013−159297号公報 特開2013−154817号公報 特開2014−201104号公報
コンバイナの移動時にハウジングのカバーを移動する移動機構は、空間が限られた車内に配置されるため、より簡素でコンパクトな機構とすることが望ましい。
本発明の目的の一つは、より簡素でコンパクトな蓋移動機構、及び当該蓋移動機構を備える収納装置を提供することである。
本発明の第1の態様に従えば、
筐体に設けられた開口部の蓋を移動させる蓋移動機構であって、
駆動歯車と、
前記蓋の一端側に設けられた回転軸と、
前記蓋の前記一端側と対向する他端側に接続され、前記駆動歯車と係合して前記蓋を前記回転軸を中心に回転させて前記他端側を降下させる可動体と、
前記蓋に設けられ、前記他端側が降下して前記駆動歯車と係合することによって前記蓋を前記他端側の前方に移動させる蓋歯車とを備える蓋移動機構が提供される。
第1の態様の蓋移動機構は、前記蓋に設けられた蓋ボスを更に備えてもよく、
前記可動体はカム溝を含んでもよく、前記蓋の他端側は、前記蓋ボスと前記カム溝との係合により降下してもよい。
第1の態様の蓋移動機構において前記可動体は可動体ボスを含んでもよく、第1の態様の蓋移動機構は、前記蓋の移動時に前記蓋ボス及び前記可動体ボスをガイドするボスガイド部を更に備えてもよい。
第1の態様の蓋移動機構において、前記ボスガイド部の少なくとも一部が曲線状であってもよい。
第1の態様の蓋移動機構は、前記蓋の移動時に前記回転軸をガイドする回転軸ガイド部を更に備えてもよい。
第1の態様の蓋移動機構において、前記蓋歯車は複数のピッチ円直径を持つ歯部によって形成されていてもよい。
第1の態様の蓋移動機構において、前記蓋歯車は第1のピッチ円直径を持つ歯部を含む第1領域と第2のピッチ円直径を持つ歯部を含む第2領域とを有してもよく、第1領域は第2領域の前方に画成されていてもよく、第1のピッチ円直径は第2のピッチ円直径よりも大きくてもよい。
第1の態様の蓋移動機構において、前記蓋歯車は内歯車であってもよい。
第1の態様の蓋移動機構において、前記可動体は、前記蓋を、前記蓋の移動方向に直交する直交方向に挟んで設けられた一対の可動体であってもよく、前記蓋歯車は、前記直交方向に並んで一対設けられていてもよい。
第1の態様の蓋移動機構は、前記駆動歯車に駆動力を付与する駆動装置を更に備えてもよい。
本発明の第2の態様に従えば、
筐体に設けられた開口部の蓋を移動させる蓋移動機構であって、
前記蓋を、前記蓋の一端側に設けられた回転軸を中心として回転させて、前記蓋の他端側を前記筐体の天板よりも下方に降下させる端部降下手段と、
前記蓋を前記天板の下方で且つ前記蓋の他端側より前方へ移動させる蓋移動手段とを備える蓋移動機構が提供される。
本発明の第3の態様に従えば、
開口部が形成された筐体と、
前記開口部を閉じる蓋と、
前記蓋を移動する第1の態様又は第2の態様の蓋移動機構とを備える収納装置が提供される。
本発明の蓋移動機構、及び当該蓋移動機構を備える収納装置は、より簡素でコンパクトである。
図1は、本発明の一実施形態に係る収納装置の斜視図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る収納装置の分解斜視図である。 図3は、蓋移動機構の動作を説明する説明図であり、蓋が閉位置にある状態を示す。 図4は、蓋移動機構の動作を説明する説明図であり、蓋が閉位置にある状態を示す。 図5は、蓋移動機構の動作を説明する説明図であり、蓋が中間位置にある状態を示す。 図6は、蓋移動機構の動作を説明する説明図であり、蓋が中間位置と開位置との間にある状態を示す。 図7は、蓋移動機構の動作を説明する説明図であり、蓋が開位置にある状態を示す。
<実施形態>
図1〜図7を参照して、本発明の実施形態に係る蓋移動機構及び収納装置100を説明する。
本実施形態の収納装置100は、図1及び図2に示す通り、筐体10、筐体10の開口部を閉じる蓋体20、筐体10の内部に配置された一対の可動体30、40、筐体10の内部に配置された一対の歯車(駆動歯車)50、60を主に有する。
以下の説明においては、図1の上下方向を収納装置100の上下方向とし、蓋体20が位置する側を収納装置100の上側とする。また、図1の左右方向を収納装置100の前後方向とし、蓋体20が位置する側を収納装置100の後方とする。
筐体10は、図1及び図2に示す通り、一対の側板11、12と、開口13Aが画成された天板13と、前板14と、後板15と、底板16とを有する。
側板11は、略6角形の平板であり、内側面、即ち筐体10の内側に配置される面であり後述する側板12と対向する面に、それぞれ前後方向に延びる主ガイド溝(ボスガイド部)GM1、可動体用副ガイド溝GSM1、蓋体用副ガイド溝(回転軸ガイド部)GSL1が設けられている。
主ガイド溝GM1は、後述する蓋体20の前部ボス22bf及び可動体30の前部ボス30bfをガイドするための凹溝である。主ガイド溝GM1は、側板11の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように円弧状に延在する円弧部GMA1と、上下方向に沿って直線状に延在する直線部GMS1とを有する。円弧部GMA1の後側端部と直線部GMS1の下側端部とは接続されており、円弧部GMA1と直線部GMS1とは連通している。
可動体用副ガイド溝GSM1は、後述する可動体30の後部ボス30brをガイドするための凹溝である。可動体用副ガイド溝GSM1は、側板11の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように円弧状に延在している。また、可動体用副ガイド溝GSM1の後端部近傍を除く大部分は、主ガイド溝GM1の円弧部GMA1の下方に隣接して、円弧部GMA1と平行に延在している。
蓋体用副ガイド溝GSL1は、後述する蓋体20の後部ボス22brをガイドするための凹溝である。蓋体用副ガイド溝GSL1は、側板11の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように略直線状に延在している。この蓋体用副ガイド溝GSL1の形状及び配置は、蓋体20の移動時に、歯車50と後述する蓋体20の内歯車22gとが噛合うよう、前部ボス22bfの軌跡(即ち主ガイド溝GM1の形状及び配置)に基づいて決定することができる。
側板12は、側板11と同様に略6角形の平板であり、内側面、即ち筐体10の内側に配置される面であり側板11と対向する面に、それぞれ前後方向に延びる主ガイド溝(ボスガイド部)GM2、可動体用副ガイド溝GSM2、蓋体用副ガイド溝(回転軸ガイド部)GSL2が設けられている。図2において、主ガイド溝GM2、可動体用副ガイド溝GSM2、蓋体用副ガイド溝GSL2に施されたハッチングは、各ガイド溝が側板12の内側面から窪んだ凹溝であることを示す。側板11と側板12とは互いに面対称な形状を有しており、側板11と側板12とを各々の内側面が対向するように配置した場合には、側板11と側板12とは鏡像関係にある。
側板12の主ガイド溝GM2は、後述する蓋体20の前部ボス23bf及び可動体40の前部ボス40bfをガイドするための凹溝である。主ガイド溝GM2は、側板12の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように円弧状に延在する円弧部GMA2と、上下方向に沿って直線状に延在する直線部GMS2とを有する。円弧部GMA2の後側端部と直線部GMS2の下側端部とは接続されており、円弧部GMA2と直線部GMS2とは連通している。
可動体用副ガイド溝GSM2は、後述する可動体40の後部ボス40brをガイドするための溝である。可動体用副ガイド溝GSM2は、側板12の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように円弧状に延在している。また、可動体用副ガイド溝GSM2の後端部近傍を除く大部分は、主ガイド溝GM2の円弧部GMA2の下方に隣接して、円弧部GMA2と平行に延在している。
蓋体用副ガイド溝GSL2は、後述する蓋体20の後部ボス23brをガイドするための凹溝である。蓋体用副ガイド溝GSL2は、側板12の内側面上において、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように略直線状に延在している。この蓋体用副ガイド溝GSL2の形状及び配置は、蓋体20の移動時に、歯車60と後述する蓋体20の内歯車23gとが噛合うよう、前部ボス23bfの軌跡(即ち主ガイド溝GM2の形状及び配置)に基づいて決定することができる。
天板13は、平面視が矩形の曲板である。天板13の前側領域は、天板13の前側端部が後側端部よりも下方に位置するように湾曲している。天板13の後側領域は平板であり、平面視が矩形の開口13Aが画成されている。
前板14、後板15はそれぞれ、側板11、12の形状に合わせて屈曲した屈曲板であり、底板16は略正方形の平板である。
側板11、12、天板13、前板14、後板15、底板16は、互いに接合されて筐体10を形成している。なお、側板11、12、天板13、前板14、後板15、底板16のうちのいずれか2つ以上の隣接する板部は一体に成形されていてもよい。
蓋体20は、筐体10の天板13の開口13A内に位置して開口13Aを塞ぐための部材である。蓋体20は、開口13Aを塞ぐための本体部21(蓋)と、本体部21を移動するために本体部21に取り付けられた一対の側壁部22、23とを有する。
本体部21は、平面視において、前後方向に長く、前後方向に直交する幅方向に短い矩形の平板である。本体部21の寸法は、筐体10の天板13の開口13A内に位置し得るよう、開口13Aの寸法よりもわずかに小さい。
側壁部22、23は、それぞれ、本体部21の短辺方向の両端部において、本体部21の長辺方向に沿って取り付けられた平板状の部材である。側壁部22、23の各々は、本体部21と直交して、本体部21から下方に延在している。
側壁部22の外側面、即ち側壁部23と対向する面とは反対側の面から、当該外側面に直交して、前部ボス(蓋ボス)22bf及び後部ボス22brが突出している。前部ボス22bfは側壁部22の外側面の前側端部(他端部)近傍に設けられており、後部ボス22brは側壁部22の外側面の後側端部(一端部)近傍に設けられている。
側壁部22の下端部には、前後方向に沿って内歯車(蓋歯車)22gが設けられている。
側壁部23の外側面、即ち側壁部22と対向する面とは反対側の面から、当該外側面に直交して、前部ボス(蓋ボス)23bf及び後部ボス23brが突出している。前部ボス23bfは側壁部23の外側面の前側端部近傍に設けられており、後部ボス23brは側壁部23の外側面の後側端部近傍に設けられている。
側壁部23の下端部には、前後方向に沿って内歯車(蓋歯車)23gが設けられている。内歯車22g、23gのピッチ円直径は互いに等しく、内歯車22g、23gのピッチは互いに等しい。
側壁部22と側壁部23とは、上下方向及び前後方向に沿って広がる面に対して面対称であり、側壁部22は側壁部23の鏡像である。
可動体30は略台形の平板であり、その一面から、当該面に直交して、前部ボス(可動体ボス)30bf及び後部ボス30brが突出している。前部ボス30bfと後部ボス30brとは前後方向に離間して設けられており、前部ボス30bfと後部ボス30brとの間には、カム溝30cが設けられている。
カム溝30cは、可動体30を厚さ方向に貫通するスリットであり、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように傾斜して延在する第1部30c1と、前側端部が後側端部よりも上方に位置するように傾斜して延在する第2部30c2とを有する。第1部30c1の後側端部は第2部30c2の前側端部に接続しており、第1部30c1と第2部30c2とは連通している。
可動体30の下端部には、前後方向に沿って内歯車30gが設けられている。また、内歯車30gの前側端部は、内歯車30gの後側端部よりも下方に位置している。
可動体40は、可動体30と同様に略台形の平板であり、その一面から、当該面に直交して、前部ボス(可動体ボス)40bf及び後部ボス40brが突出している。前部ボス40bfと後部ボス40brとは前後方向に離間して設けられており、前部ボス40bfと後部ボス40brとの間には、カム溝40cが設けられている。
カム溝40cは、可動体40を厚さ方向に貫通するスリットであり、前側端部が後側端部よりも下方に位置するように傾斜して延在する第1部40c1と、前側端部が後側端部よりも上方に位置するように傾斜して延在する第2部40c2とを有する。第1部40c1の後側端部は第2部40c2の前側端部に接続しており、第1部40c1と第2部40c2とは連通している。
可動体40の下端部には、前後方向に沿って内歯車40gが設けられている。また、内歯車40gの前側端部は、内歯車40gの後側端部よりも下方に位置している。内歯車30g、40gのピッチ円直径は等しく、内歯車30g、40gのピッチは等しい。また、内歯車30g、40gのピッチは、蓋体20の内歯車22g、23gのピッチに等しい。
可動体30と可動体40とは互いに面対称な形状を有しており、蓋体20を幅方向に挟んで鏡像関係となるように配置されている。
歯車50、歯車60はいずれも平歯車である。歯車50は筐体10の側板11の内側面に回転可能に取り付けられており、歯車60は筐体10の側板12の内側面に回転可能に取り付けられている。歯車50の回転中心と歯車60の回転中心とは軸Aで連結されている。
歯車50、60のピッチは互いに等しい。また、歯車50、60のピッチは、内歯車22g、23g、30g、40gのピッチに等しい。
歯車50の近傍には、モータ(駆動装置)70が設けられている。モータ70の駆動軸71に取り付けられた駆動ギア72は、歯車50と噛み合っている。
図2に示す通り、蓋体20は、可動体30、40を介して筐体10の側板11、12に挟まれて、筐体10の内部に配置される。この配置において、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、可動体30のカム溝30cを挿通し、その先端は側板11の主ガイド溝GM1と係合する。蓋体20の側壁部22の後部ボス22brは側板11の蓋体用副ガイド溝GSL1と係合する。蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、可動体40のカム溝40cを挿通し、その先端は側板12の主ガイド溝GM2と係合する。蓋体20の側壁部23の後部ボス23brは側板12の蓋体用副ガイド溝GSL2と係合する。蓋体20は主ガイド溝GM1、GM2、蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2に沿って移動可能であり、蓋体20の側壁部22の内歯車22gは所定位置において歯車50と噛合し、側壁部23の内歯車23gは所定位置において歯車60と噛合する。
可動体30は、蓋体20の前部ボス22bfとカム溝30cとが係合した状態、より具体的には蓋体20の前部ボス22bfがカム溝30cを挿通した状態で、筐体10の側板11と蓋体20との間に配置される。可動体30の前部ボス30bfは筐体10の側板11の主ガイド溝GM1と係合し、後部ボス30brは側板11の可動体用副ガイド溝GSM1と係合する。可動体30は主ガイド溝GM1と可動体用副ガイド溝GSM1とに沿って移動可能であり、内歯車30gは所定位置において歯車50と噛合する。
可動体40は、蓋体20の前部ボス23bfとカム溝40cとが係合した状態、より具体的には蓋体20の前部ボス23bfがカム溝40cを挿通した状態で、筐体10の側板12と蓋体20との間に配置される。可動体40の前部ボス40bfは筐体10の側板12の主ガイド溝GM2と係合し、後部ボス40brは側板12の可動体用副ガイド溝GSM2と係合する。可動体40は主ガイド溝GM2と可動体用副ガイド溝GSM2とに沿って移動可能であり、内歯車40gは所定位置において歯車60と噛合する。
本実施形態の収納装置100においては、筐体10の側板11、12の主ガイド溝GM1、GM2、可動体用副ガイド溝GSM1、GSM2、蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2、蓋体20の側壁部22、23、可動体30、40、及び歯車50、60により蓋移動機構が構成されている。
次に、本実施形態の収納装置100において、蓋体20の本体部21を開位置と閉位置との間で移動する動作、すなわち本実施形態の蓋移動機構の動作について、図3〜図7を参照して説明する。
図3〜図7は、それぞれ本実施形態の収納装置100を側方から見て、筐体10の側板11を正面に見た状態を示している。図3〜図7の各々において、側板11及びこれに設けられた主ガイド溝GM1、可動体用副ガイド溝GSM1、蓋体用副ガイド溝GSL1は点線で示している。また、側板11の奥に配置された可動体30は細い実線で示しており、可動体30の奥に配置された蓋体20は太い実線で示している。
図3〜図7の各々において、蓋体20の奥に配置された可動体40は、細い実線で示された可動体30と重複している。したがって、可動体40は、可動体30と同一の構造に参照符合を併記することにより示している。また、可動体40の奥に配置された側板12、及びこれに設けられた主ガイド溝GM2、可動体用副ガイド溝GSM2、蓋体用副ガイド溝GSL2は、点線で示された側板11、及びこれに設けられた主ガイド溝GM1、可動体用副ガイド溝GSM1、蓋体用副ガイド溝GSL1とそれぞれ重複している。したがって、側板12、及びこれに設けられた主ガイド溝GM2、可動体用副ガイド溝GSM2、蓋体用副ガイド溝GSL2は、それぞれ、側板11、及びこれに設けられた主ガイド溝GM1、可動体用副ガイド溝GSM1、蓋体用副ガイド溝GSL1と同一の構造に参照符合を併記することにより示している。
図3〜図7の各々において、側板11に取り付けられた歯車50は点線で示している。また、側板12に取り付けられた歯車60は歯車50に重複しているため、歯車50と同一の構造に参照符合を併記することにより示している。モータ70、駆動軸71、駆動ギア72は図示を省略している。
図3は、蓋体20の本体部21が閉位置にある状態を示す。この時、本体部21は、筐体10の天板13の開口13A内に位置して開口13Aを塞いでいる。この時、蓋体20の本体部21と天板13は連続的な面を形成している。
蓋体20の本体部21が閉位置にある状態においては、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、可動体30のカム溝30cの第1部30c1を挿通しており、前部ボス22bfの先端は側板11の主ガイド溝GM1の直線部GMS1の上端部に位置している。蓋体20の側壁部22の後部ボス22brの先端は側板11の蓋体用副ガイド溝GSL1の後端部に位置している。
同様に、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、可動体40のカム溝40cの第1部40c1を通過しており、前部ボス23bfの先端は側板12の主ガイド溝GM2の直線部GMS2の上端部に位置している。蓋体20の側壁部23の後部ボス23brの先端は側板12の蓋体用副ガイド溝GSL2の後端部に位置している。
可動体30の前部ボス30bfの先端は、側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1の後端部に位置しており、後部ボス30brの先端は、側板11の可動体用副ガイド溝GSM1の後端部に位置している。可動体30の内歯車30gは歯車50と噛合している。
同様に、可動体40の前部ボス40bfの先端は、側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2の後端部に位置しており、後部ボス40brの先端は、側板12の可動体用副ガイド溝GSM2の後端部に位置している。可動体40の内歯車40gは歯車60と噛合している。
蓋体20の本体部21が図3に示す閉位置にある時に、モータ70を駆動して歯車50、60を図3における反時計回り方向に回転させると、内歯車30g、40gを介して歯車50、60と噛合する可動体30、40が前下方に移動する。
図3に示す状態において、可動体30、40がわずかに前下方に移動した後の状態を図4に示す。図3に示す状態と図4に示す状態とで異なっているのは、可動体30、40の位置のみである。蓋体20の本体部21は、図3に示す状態と同様に閉位置にある。
可動体30が前下方に移動することにより可動体30のカム溝30cが前下方に移動し、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、カム溝30cの第1部30c1内を後上方に相対移動している。したがって、図4に示す状態においては、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、カム溝30cの第1部30c1と第2部30c2との接続部内に位置する。一方で、前部ボス22bf自身は移動していないため、前部ボス22bfの先端は、図3に示す状態と同様に、側板11の主ガイド溝GM1の直線部GMS1の上端部に位置している。
可動体30の前部ボス30bfは側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1内をわずかに前下方に移動しており、後部ボス30brは側板11の可動体用副ガイド溝GSM1内をわずかに前下方に移動している。
可動体40が前下方に移動することにより可動体40のカム溝40cが前下方に移動し、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、カム溝40cの第1部40c1内を後上方に相対移動している。したがって、図4に示す状態においては、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、カム溝40cの第1部40c1と第2部40c2との接続部内に位置する。一方で、前部ボス23bf自身は移動していないため、前部ボス23bfの先端は、図3に示す状態と同様に、側板12の主ガイド溝GM2の直線部GMS2の上端部に位置している。
可動体40の前部ボス40bfは側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2内をわずかに前下方に移動しており、後部ボス40brは側板12の可動体用副ガイド溝GSM2内をわずかに前下方に移動している。
図4に示す状態において、可動体30、40がわずかに前下方に移動した後の状態を図5に示す。図4に示す状態と図5に示す状態とで異なっているのは、蓋体20の位置、及び可動体30、40の位置である。
可動体30が前下方に移動することにより可動体30のカム溝30cが前下方に移動する。この時、図4に示す状態においてカム溝30cの第1部30c1と第2部30c2との接続部内に位置していた蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、主ガイド溝GM1の上下方向に延びる直線部GMS1によって前方への移動が規制された状態で、カム溝30cの上下方向に対して傾斜して延びる第2部30c2によって押される。これにより、前部ボス22bfは下方に付勢され、前部ボス22bfの先端は主ガイド溝GM1の直線部GMS1内を下方に移動して直線部GMS1と円弧部GMA1との接続部に至る(図5)。
同様に、可動体40が前下方に移動することにより可動体40のカム溝40cが前下方に移動する。この時、図4に示す状態においてカム溝40cの第1部40c1と第2部40c2との接続部内に位置していた蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、主ガイド溝GM2の上下方向に延びる直線部GMS2によって前方への移動が規制された状態で、カム溝40cの上下方向に対して傾斜して延びる第2部40c2によって押される。これにより、前部ボス23bfは下方に付勢され、前部ボス23bfの先端は主ガイド溝GM2の直線部GMS2内を下方に移動して直線部GMS2と円弧部GMA2との接続部に至る(図5)。
側壁部22の前部ボス22bfと側壁部23の前部ボス23bfとが下方に移動することにより、蓋体20の本体部21は、側壁部22の後部ボス22brと側壁部23の後部ボス23brとを含んで延びる軸(回転軸)を中心に回転し、本体部21の前側端部21fは下方に移動する。
閉位置にある本体部21がこのように幅方向に延びる軸を中心に回転し、本体部21の前側端部21fが下方に移動することで、本体部21の前側端部(他端部)21fは、筐体10の天板13の開口13A内から脱して天板13の面より下降する。これにより、図5に示す通り、本体部21の移動を阻む他の構造が本体部21の前方に存在しない状態となるため、本体部21の開位置への移動が可能となる。本明細書においては、本体部21の前側端部21fが天板13の下方に位置し、後側端部(一端部)21rが開口13A内に位置する場合に、本体部21が中間位置にあると呼ぶ。
図5に示す状態において歯車50、60を図5における反時計回りの方向に更に回転させることで、歯車50は内歯車30g、内歯車22gと順次噛合し、歯車60は内歯車40g、内歯車23gと順次噛合する。これにより蓋体20の本体部21は前下方へと移動する。
具体的には、図5に示す状態で、歯車50を図5における反時計回りの方向に回転させると、内歯車30gを介して歯車50と噛合している可動体30が移動する。この時、可動体30の前部ボス30bfは側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1内を移動し、後部ボス30brは側板11の可動体用副ガイド溝GSM1内を移動する。したがって可動体30は、主ガイド溝GM1の円弧部GMA1と可動体用副ガイド溝GSM1とにガイドされて、側板11に沿って前下方に移動する。
同様に、図5に示す状態で、歯車60を図5における反時計回りの方向に更に回転させると、内歯車40gを介して歯車60と噛合している可動体40が移動する。この時、可動体40の前部ボス40bfは側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2内を移動し、後部ボス40brは側板12の可動体用副ガイド溝GSM2内を移動する。したがって可動体40は、主ガイド溝GM2の円弧部GMA2と可動体用副ガイド溝GSM2とにガイドされて、側板12に沿って前下方に移動する。
蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは可動体30のカム溝30cの第2部30c2と係合しており、側壁部23の前部ボス23bfは可動体40のカム溝40cの第2部40c2と係合している。したがって、可動体30、40が前下方に移動する時、蓋体20も前部ボス22bf、23bfを介して可動体30、40に引っ張られ、移動する。
蓋体20が移動する時、側壁部22の前部ボス22bfは側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1内を移動し、側壁部22の後部ボス22brは側板11の略直線状に延びる蓋体用副ガイド溝GSL1内を移動する。同様に、側壁部23の前部ボス23bfは側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2内を移動し、側壁部23の後部ボス23brは側板12の略直線状に延びる蓋体用副ガイド溝GSL2内を移動する。したがって蓋体20の本体部21は、前側端部21fが後側端部21rよりも下方に位置するよう、後部ボス22bf、23bfを含む軸を中心に回転しながら、前方に移動する。
蓋体20、可動体30、40が図5に示す状態からある程度前方に移動すると、歯車50は、可動体30の内歯車30gと蓋体20の側壁部22の内歯車22gとに同時に噛合し、歯車60は、可動体40の内歯車40gと蓋体20の側壁部23の内歯車23gとに同時に噛合する。この時、蓋体20は内歯車22g、23gを介した歯車50、60との噛合により、歯車50、60から直接駆動力を受けて移動する。
その後、蓋体20、可動体30、40が更に前方に移動すると、歯車50と可動体30の内歯車30gとの噛合が解け、歯車50は蓋体20の側壁部22の内歯車22gのみと噛合する。同様に、歯車60と可動体40の内歯車40gとの噛合が解け、歯車60は蓋体20の側壁部23の内歯車23gのみと噛合する。この状態を図6に示す。
図6に示す状態においては、蓋体20は、側壁部22の内歯車22gと歯車50との噛合、及び側壁部23の内歯車23gと歯車60との噛合により、歯車50、60から直接駆動力を受けて移動している。
可動体30はカム溝30c内に位置する側壁部22の前部ボス22bfに押されて移動しており、可動体40はカム溝40c内に位置する側壁部23の前部ボス23bfに押されて移動している。
図6に示す状態から、更に歯車50、60を回転させると、蓋体20の本体部21は図7に示す開位置に至る。この時、本体部21は、前側端部21fが筐体10の前側端部の近傍に位置し、後側端部21rが開口13Aの前側端部の近傍に位置するように傾斜している。
蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfの先端は側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1の前側端部近傍に位置しており、後部ボス22brの先端は側板11の蓋体用副ガイド溝GSL1の前側端部に位置している。同様に、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfの先端は側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2の前側端部近傍に位置しており、後部ボス23brの先端は側板12の蓋体用副ガイド溝GSL2の前側端部に位置している。側壁部22の内歯車22gは歯車50との噛合を維持しており、側壁部23の内歯車23gは歯車60との噛合を維持している。
可動体30の前部ボス30bfは側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1の前側端部に位置しており、後部ボス30brは側板11の可動体用副ガイド溝GSM1の前側端部近傍に位置している。同様に、可動体40の前部ボス40bfは側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2の前側端部に位置しており、後部ボス40brは側板12の可動体用副ガイド溝GSM2の前側端部近傍に位置している。
本実施形態の蓋移動機構及び収納装置100においては、蓋体20の後部ボス22br、23br、及び後部ボス22br、23brをガイドする蓋体副ガイド溝GSL1、GSL2が、閉位置から開位置へと移動する蓋体20の本体部21の後側端部21rが天板13の上方に突出しないような位置に設けられている。したがって、図3〜図7に示すように、蓋体20の本体部21が閉位置から開位置に移動する際に、本体部21の後側端部21rが天板13の上方に突出することがない。
蓋体20の本体部21を開位置から閉位置に移動する場合には、上記の動作を反対に行う。
具体的には、図7に示す状態において、歯車50、60を図7における時計回り方向に回転させると、蓋体20は、側壁部22の内歯車22gと歯車50との噛合、及び側壁部23の内歯車23gと歯車60との噛合を介して歯車50、60より駆動力を受け、後上方に移動を開始する。可動体30、40は、側壁部22、23の前部ボス22bf、23bfとカム溝30c、40cとの係合により、蓋体20に引かれて後上方に移動する。
蓋体20、可動体30、40が図6に示す状態に至った後も、更に歯車50、60を回転すると、蓋体20の側壁部22の内歯車22gのみと噛合していた歯車50は、次いで内歯車22g及び可動体30の内歯車30gの両方と噛合し、その後、側壁部22の内歯車22gとの噛合を解いて可動体30の内歯車30gのみと噛合する。同様に、蓋体20の側壁部23の内歯車23gのみと噛合していた歯車60は、次いで内歯車23g及び可動体40の内歯車40gの両方と噛合し、その後、側壁部23の内歯車23gとの噛合を解いて可動体40の内歯車40gのみと噛合する。
歯車50が可動体30の内歯車30gのみと噛合した状態においては、可動体30は歯車50から直接駆動力を受けて移動する。同様に、歯車60が可動体40の内歯車40gのみと噛合した状態においては、可動体40は歯車60から直接駆動力を受けて移動する。この時、蓋体20は、可動体30のカム溝30cと側壁部22の前部ボス22bfとの係合、及び可動体40のカム溝40cと側壁部23の前部ボス23bfとの係合を介して可動体30、40に押されて移動する。このようにして移動する蓋体20、可動体30、40は、その後、図5に示す状態に至る。
図5に示す状態においては、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、可動体30のカム溝30cの第2部30c2を挿通して、前部ボス22bfの先端は側板11の主ガイド溝GM1の円弧部GMA1と直線部GMS1との接続部に位置している。前部ボス22bfの後方への移動は直線部GMS1により規制されている。また、蓋体20の側壁部22の後部ボス22brの先端は側板11の蓋体用副ガイド溝GSL1の後端部に位置しており、当該後端部により後方への移動を規制されている。
同様に、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、可動体40のカム溝40cの第2部40c2を挿通して、前部ボス23bfの先端は側板12の主ガイド溝GM2の円弧部GMA2と直線部GMS2との接続部に位置している。前部ボス23bfの後方への移動は直線部GMS2により規制されている。また、蓋体20の側壁部23の後部ボス23brの先端は側板12の蓋体用副ガイド溝GSL2の後端部に位置しており、当該後端部により後方への移動を規制されている。
この状態において、歯車50、60を図5の時計回り方向に更に回転すると、蓋体20の後方への移動が規制された状態で、可動体30、40のみが後上方に移動する。この時、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfは、後方への移動が規制された状態で可動体30のカム溝30cの上下方向に対して傾斜して延びる第2部30c2によって押される。これにより、前部ボス22bfは上方に付勢され、前部ボス22bfの先端は主ガイド溝GM1の直線部GMS1内を上方に移動して直線部GMS1の上端部に至る(図4)。同様に、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfは、後方への移動が規制された状態で可動体40のカム溝40cの上下方向に対して傾斜して延びる第2部40c2によって押される。これにより、前部ボス23bfは上方に付勢され、前部ボス23bfの先端は主ガイド溝GM2の直線部GMS2内を上方に移動して直線部GMS2の上端部に至る(図4)。
この時、蓋体20の本体部21は、後部ボス22br、23brを含む軸を中心として回転し、前側端部21fが上方に移動して開口13A内に至り、図5に示す中間位置から図4に示す閉位置へと移動する。なお、蓋体20の後方への移動の規制は、蓋体20の前部ボス22bf、23bfの後方への移動を規制するのみでも実現できるため、蓋体20の後部ボス22br、23brの後方への移動の規制を行わなくても良い。すなわち、蓋体20の回転移動は、後部ボス22br、23brの蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2に沿った移動を何ら規制することなく実現することもできる。
その後、更に歯車50、60を図4における時計回りの方向に回転すると、可動体30、40が更に後上方に移動し、蓋体20の側壁部22の前部ボス22bfが可動体30のカム溝30cの第1部30c1を通過し、蓋体20の側壁部23の前部ボス23bfが可動体40のカム溝40cの第1部40cを通過する、図3に示す初期状態に戻る。
本実施形態の収納装置100は、一例としてコンバイナヘッドアップディスプレイ装置において、コンバイナを収容する収容装置として使用することができる。この場合は、蓋体20の本体部21の閉位置から開位置への移動が完了した後にコンバイナが起立を開始し、コンバイナの倒伏が完了してコンバイナの筐体10内への収容が完了した後に、蓋体20の本体部21の開位置から閉位置への移動を開始するように構成してもよい。
本実施形態の収納装置100を、カーナビゲーション装置のディスプレイを収容する収容装置として使用することもできる。この場合も、コンバイナを収容する収容装置として使用する場合と同様に、蓋体20の本体部21の閉位置から開位置への移動が完了した後にディスプレイが起立を開始し、ディスプレイの倒伏が完了してディスプレイの筐体10内への収容が完了した後に、蓋体20の本体部21の開位置から閉位置への移動を開始するように構成してもよい。
本実施形態の収納装置100をコンソールボックスとして使用してもよい。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構の効果を以下にまとめる。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、蓋体20の本体部21の後側端部21rの側に設けられた回転軸を中心にして本体部21を回転させて、本体部21の前側端部21fを天板13の下方に降下させている。したがって、本体部21の回転時に本体部21の後端部21rの天板13の上方への突出が防止されている。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、蓋体20の側壁部22、23の後部ボス22br、23brと、後部ボス22br、23brをガイドする蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2が、蓋体20の本体部21の後端部21rが天板13の上方に突出しないような位置に設けられている。したがって、蓋体20の本体部21を後部ボス22br、23brを含む軸を中心に回転させながら前後方向に移動して開口13Aを開閉する際に、本体部21が筐体10の天板13よりも上方に突出することがない。この点は、本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構を例えばヘッドアップディスプレイのコンバイナを収納するために使用する際に、運転者の視界を本体部21で遮ることがないという効果につながる。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、蓋体20の本体部21を筐体10の天板13の開口13A内に、天板13の上面と本体部21の上面とが面一となるように配置して開口13Aを塞いでいる。したがって、開口13Aの閉塞を良好に行うことができ、埃などが、天板13と本体部21との隙間から筐体10の内部に侵入することを防止できる。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、蓋体20の本体部21の、閉位置と中間位置との間の回転移動と、中間位置と開位置との間のスライド移動を簡素な構成で実現している。したがって、本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、製造コストが低く、メンテナンスが容易であり、且つ蓋体20の本体部21を、開口13Aを良好に閉じる閉位置と開位置との間でスムーズに移動することができる。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、歯車やカム機構といった簡素な構造のみにより構成されているため、耐久性、信頼性が高い。
本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、主ガイド溝GM1、GM2に円弧部GMA1、GMA2を設け、蓋体20の本体部21を回転させながら前下方に引き込むことにより、本体部21を閉位置から開位置に移動させている。本実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、このようにして蓋体20の本体部21を傾けた状態で筐体10内に収容するように構成されているため、筐体10の前後方向の寸法を小さくすることができる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、次の変形態様を採用することもできる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20の本体部21の移動時に、本体部21が多少天板13の上方に突出しても構わない。許容される突出量は、収納装置100の用途に応じて異なる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20の側壁部22、23のいずれか一方を省略し、これに応じて、可動体30、40のいずれか一方、歯車50、60のいずれか一方、側板11に設けられた各ガイド溝又は側板12に設けられた各ガイド溝のいずれか一方を省略してもよい。このように、蓋体20の本体部21の一方側のみに蓋移動機構を設け、これにより本体部21を開位置と閉位置との間で移動させることもできる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構においては、可動体30は前部ボス30bfと後部ボス30brの両方を有していたが、いずれか一方を省略することもできる。この場合、残ったボスを前後方向に幅広とし、当該ボスのみにより可動体30の姿勢を維持してもよい。前部ボス30bfのみを残す場合は、前部ボス30bfの断面形状は、前後方向に長い矩形状を長辺方向に沿って湾曲した扇形であり、主ガイド溝GM1の円弧部GMA1の曲率と同一の曲率を有する扇形とすることができる。同様に、後部ボス30brのみを残す場合は、後部ボス30brの断面形状は、前後方向に長い矩形状を長辺方向に沿って湾曲した扇形であり、可動体用副ガイド溝GSM2の曲率と同一の曲率を有する扇形とすることができる。後部ボス30brを省略したときは側板11の可動体用副ガイド溝GSM1も省略できる。同様に、可動体40の前部ボス40bf、後部ボス40brのいずれか一方を省略してもよく、後部ボス40brを省略したときは側板12の可動体用副ガイド溝GSM2も省略できる。前部ボス40bf、後部ボス40brの断面形状は、それぞれ、前部ボス30bf、後部ボス30brの断面形状と同様とし得る。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構においては、側板11の主ガイド溝GM1を用いて蓋体20の側板部22の前部ボス22bfと可動体30の前部ボス30bfの両方をガイドしていたがこれには限られない。蓋体20の側板部22の前部ボス22bfと可動体30の前部ボス30bfとを異なるガイド溝でガイドしてもよい。同様に、蓋体20の側板部23の前部ボス23bfと可動体40の前部ボス40bfとを異なるガイド溝でガイドしてもよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構においては、蓋体20の側壁部22の内歯車22gと、可動部30の内歯車30gとは、内歯車22gと内歯車30gとが同時に歯車50と噛合可能なように構成されているが、これには限られない。内歯車22g及び/又は内歯車30gの前後方向の長さを上記実施形態における長さよりも短くし、蓋体20の本体部21を閉位置から開位置に移動する際には内歯車30gと歯車50との噛合が解かれた直後に内歯車22gと歯車50とが噛合し、蓋体20の本体部21を開位置から閉位置に移動する際には内歯車22gと歯車50との噛合が解かれた直後に内歯車30gと歯車50とが噛合するように構成してもよい。
蓋体20の側壁部23の内歯車23gと可動部40の内歯車40gについても同様であり、内歯車23g及び/又は内歯車40gの前後方向の長さを上記実施形態における長さよりも短くし、蓋体20の本体部21を閉位置から開位置に移動する際には内歯車40gと歯車60との噛合が解かれた直後に内歯車23gと歯車60とが噛合し、蓋体20の本体部21を開位置から閉位置に移動する際には内歯車23gと歯車60との噛合が解かれた直後に内歯車40gと歯車60とが噛合するように構成してもよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20の側壁部22、23の内歯車22g、23gのピッチ円直径は一定でなくてもよい。換言すれば、内歯車22g、23gは、複数のピッチ円直径を持つ歯部によって形成されていてもよい。一例として、内歯車22g、23gの前側端部から前後方向中央部にわたる領域(第1領域)におけるピッチ円直径(第1ピッチ円直径)を、内歯車22g、23gの前後方向中央部から後側端部にわたる領域(第2領域)におけるピッチ円直径(第2ピッチ円直径)よりも大きくしてもよい。このように、内歯車22g、23gの前側端部側の領域におけるピッチ円直径を大きくすることで、閉位置から開位置に向けた移動の前半において、蓋体20の、側壁部22の後部ボス22brと側壁部23の後部ボス23brとを含んで延びる軸(回転軸)を中心とした回転の量を少なくすることができる。これにより、蓋体20の本体部21の後端部21rの上方への突出をより良好に抑制することができる。
なお、内歯車22g、23gのピッチ円直径は、その他様々に設定することができる。それぞれ、前後方向の3つ以上の異なる領域において異なるピッチ円直径を有してよい。また必ずしも前側の領域におけるピッチ円直径が後側の領域におけるピッチ円直径より大きくなくてもよい。
内歯車22g、23gが複数のピッチ円直径を持つ歯部によって形成されている場合には、この構成により得られる可動板30、40の前部ボス30bf、40bf、後部ボス30br、40brの軌道に合わせて、主ガイド溝GM1、GM2の円弧部GMA1、GMA2、可動体副ガイド溝GSM1、GSM2も複数の曲率半径を持つ円弧部によって形成される。この時、前部ボス30bf、40bf、後部ボス30br、40brの断面形状を楕円形とすることで、ボスの強度を高めることができ且つ各ボスを良好に各ガイド溝でガイドすることができる。なお、断面形状が楕円形のボスは、主ガイド溝GM1、GM2の円弧部GMA1、GMA2、可動体副ガイド溝GSM1、GSM2が単一の曲率半径を持つ円弧部である場合も採用でき、ボス強度を強化することができる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、可動板30のカム溝30cは第1部30c1を有さなくてもよく、可動板40のカム溝40cは第1部40c1を有さなくてもよい。このようなカム溝を有する可動部30、40によっても、蓋体20の前部ボス22bf、23bfを上下方向に押すことができ、蓋体20の本体部21を閉位置と中間位置との間で移動させることができる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20の側壁部22、23の内歯車22g、23g及び可動体30、40の内歯車30g、40gを直線状に延びるラックとしてもよい。またこの時、側板11、12の主ガイド溝GM1、GM2の円弧部GMA1、GMA2、可動体用副ガイド溝GSM1、GSM2、及び蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2を、互いに平行な直線状とする。この構成によれば、蓋体20の本体部21は、開位置と中間位置との間を回転することなくスライド移動する。この構成によっても、蓋体20の本体部21を筐体10の天板13の上方に突出させることなく開口13Aの開閉を行うことができる。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、歯車50、60は必ずしも側板11、12に取り付けられている必要はなく、例えば底板16から延びる支柱に保持されていてもよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、主ガイド部GM1、GM2の直線部GMS1、GMS2は、必ずしも上下方向に沿って延びている必要はなく、上下方向に対して傾いて延びていてもよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、主ガイド溝GM1、GM2、可動体用副ガイド溝GSM1、GSM2、蓋体用副ガイド溝GSL1、GSL2はそれぞれ、溝でなくてもよく、例えばガイドスリットや、ボスを下方から支持してガイドする段部、ボスを上下に挟んでガイドする一対の線状突起等であってよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20の後部ボス22br、23brと、これらをガイドする蓋体副ガイド溝GSL1、GSL2とは、蓋体20の本体部21の後側端部21rが天板13Aの上方に大きく突出しないよう適宜配置することができる。例えば、後部ボス22br、23brを本体部21の後端部21rに設け、蓋体副ガイド溝GSL1、GSL2を天板13の開口部13Aを画成する面に設けてもよい。また、後部ボス22br、23brに代えて、本体部21の後側端部21r近傍を貫通するシャフトを設けても良い。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構は、前記蓋体20の本体部21が開位置に至ったこと、及び閉位置に至ったことを検知し、当該検知に基づいてモータ70の駆動を停止させるセンサスイッチを有してもよい。
上記実施形態の収納装置100において、筐体10の形状は任意であり、筐体10が有する開口13Aの形状も任意である。また、開口13Aを塞ぐ蓋体20の本体部21の形状も、開口13Aを良好に塞ぐことのできる形状であればどのような形状であってもよい。例えば、開口13A及びこれを塞ぐ蓋体20の本体部21の形状を、前後方向よりも幅方向が長い矩形状としてもよく、前後方向の長さと幅方向の長さが同一である正方形状としてもよい。
上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、可動体30及び/又は可動体40と、これに対応する蓋体20の前部ボス22bf及び/又は23bf、歯車50及び/又は歯車60が本発明の端部降下手段の一例に当たる。また、上記実施形態の収納装置100及び蓋移動機構において、蓋体20に設けられた内歯車22g及び/又は23gとこれに対応する歯車50及び/又は60が本発明の蓋移動手段の一例に当たる。内歯車22g及び/又は23gはラックであってもよい。
端部降下手段は、可動体30、40、前部ボス22bf、23bfを含まなくても良い。例えば、蓋体20の前側端部近傍において、蓋体20の幅方向の一端部又は両端部に、幅方向に延びる軸を中心に枢動可能に取り付けられたカムと、歯車50及び/又は歯車60とにより端部降下手段を構成することもできる。カムの側面には歯車が形成されており、蓋体20の本体部21が閉位置にある時には、歯車50及び/又は歯車60は、蓋体20の前端部近傍から下方に垂下する当該カムの歯車と噛み合っている。したがって、蓋体20の本体部21は、下方より、カムを介して歯車50及び/又は歯車60に支持されて閉位置に留まっている。この状態において、歯車50及び/又は歯車60を回転させると、側面の歯車を介して歯車50及び/又は歯車60と噛合していたカムは、蓋体20との連結部を中心に枢動し、下端部が前方に搖動する。これにより、歯車50及び/又は歯車60による、カムを介した蓋体20の支持が解除されて蓋体20の本体部21の前側端部21fが下方に降下し、蓋体20の内歯車22g及び/又は23gと歯車50及び/又は歯車60とが噛み合う。
本実施形態の蓋移動機構は、蓋体20の本体部21を開位置から閉位置にのみ移動する機構であってもよく、反対に蓋体20の本体部21を閉位置から開位置にのみ移動する機構であってもよい。
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
本発明の蓋移動機構及び収納装置によれば、蓋を上方に突出させることなく開くことができる。従って本発明の収納装置を、例えばコンバイナヘッドアップディスプレイ装置のコンバイナの収納に使用することで、運転者の視界を邪魔することなくコンバイナをダッシュボード上に配置することのできる、より快適なコンバイナヘッドアップディスプレイを提供することができる。
10 筐体
11、12 側板
13 天板
13A 開口
20 蓋体
21 本体部
22、23 側壁部
22bf、23bf 前部ボス(蓋ボス)
30bf、40bf 前部ボス(可動体ボス)
22br、23br、30br、40br 後部ボス
22g、23g 内歯車(蓋歯車)
30g、40g 内歯車
30、40 可動体
50、60 歯車(駆動歯車)
70 モータ
72 駆動ギア
100 収納装置
M1、GM2 主ガイド溝(ボスガイド部)
SM1、GSM2 可動体用副ガイド溝
SL1、GSL2 蓋体用副ガイド溝(回転軸ガイド部)

Claims (11)

  1. 筐体に設けられた開口部の蓋を移動させる蓋移動機構であって、
    駆動歯車と、
    前記蓋の一端側に設けられた回転軸と、
    前記蓋の前記一端側と対向する他端側に接続され、前記駆動歯車と係合して前記蓋を前記回転軸を中心に回転させて前記他端側を降下させる可動体と、
    前記蓋に設けられ、前記他端側が降下して前記駆動歯車と係合することによって前記蓋を前記他端側の前方に移動させる蓋歯車とを備える蓋移動機構。
  2. 前記蓋に設けられた蓋ボスを更に備え、
    前記可動体はカム溝を含み、
    前記蓋の他端側は前記蓋ボスと前記カム溝との係合により降下する請求項1に記載の蓋移動機構。
  3. 前記可動体は可動体ボスを含み、
    前記蓋の移動時に前記蓋ボス及び前記可動体ボスをガイドするボスガイド部を更に備える請求項2に記載の蓋移動機構。
  4. 前記ボスガイド部の少なくとも一部が曲線状である請求項3に記載の蓋移動機構。
  5. 前記蓋の移動時に前記回転軸をガイドする回転軸ガイド部を更に備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓋移動機構。
  6. 前記蓋歯車は複数のピッチ円直径を持つ歯部によって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓋移動装置。
  7. 前記蓋歯車は第1のピッチ円直径を持つ歯部を含む第1領域と第2のピッチ円直径を持つ歯部を含む第2領域とを有し、第1領域は第2領域の前方に画成されており、第1のピッチ円直径は第2のピッチ円直径よりも大きい請求項6に記載の蓋移動機構。
  8. 前記蓋歯車は内歯車である請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓋移動機構。
  9. 前記可動体は、前記蓋を、前記蓋の移動方向に直交する直交方向に挟んで設けられた一対の可動体であり、
    前記蓋歯車は、前記直交方向に並んで一対設けられている請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓋移動機構。
  10. 前記駆動歯車に駆動力を付与する駆動装置を更に備える請求項1〜9のいずれか一項に記載の蓋移動機構。
  11. 開口部が形成された筐体と、
    前記開口部を閉じる蓋と、
    前記蓋を移動する請求項1〜10のいずれか一項に記載の蓋移動機構とを備える収納装置。
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