JP6292922B2 - レーザ加工方法及びレーザ加工装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載したレーザ加工方法は、レーザビームの加工経路を、角孔の一辺の切断終了点から次の辺の切断開始点へ繋ぐループ状の経路を有するものとし、レーザ光の照射を切断開始点でオンにして切断終了点でオフにする。これにより、加工ヘッドを減速させる必要がなくなり、角孔を高速で加工できる。
しかしながら、開孔のための切断開始点は、ワークの孔が空いていない場所にレーザ光を照射して開孔するピアス加工となるため、スパッタが生じやすい。
そのため、ワークの切断開始点の周囲の表面にはスパッタが付着し易く、外観品質の低下を招く虞がある。
また、ノズルとワークとの距離が短くなるほど、ノズルにスパッタが付着し易くなる。ノズルにスパッタが付着すると、加工品質の低下を招く虞がある。
1) ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えたレーザ加工装置を用いて前記ワークに所定形状の複数の孔を形成するレーザ加工方法であって、
前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを、前記レーザ光の照射のオン/オフで前記所定形状の複数の孔に対し形成する前加工ステップと、
前記スリットを形成した前記所定形状の複数の孔に対し、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断する孔加工ステップと、
を含むことを特徴とするレーザ加工方法である。
2) ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えたレーザ加工装置を用いて前記ワークに所定形状の孔を形成するレーザ加工方法であって、
前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを前記レーザ光の照射のオン/オフで形成する前加工ステップと、
前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断する孔加工ステップと、
を含み、
前記所定形状は、平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺組を複数有する多角形であり、
前記前加工ステップにおいて、
前記スリットとして、複数の前記辺組それぞれにおいて、前記第1の辺の端点を前記一点とした第1のスリットと、前記第2の辺の端点を前記一点とした第2のスリットと、を形成し、
前記孔加工ステップにおいて、
一つの前記辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工した後に、他の辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工することを特徴とするレーザ加工方法である。
3) 前記ワークに前記多角形をそれぞれの前記辺組の向きを揃えて複数形成する場合に、
前記加工ヘッドを、一の方向に移動させながら、複数の前記多角形それぞれにおける一の辺組の前記第1の辺を加工した後、折り返して前記一の方向とは反対の方向に移動させながら、前記一の辺組の前記第2の辺を加工することを特徴とする2)に記載のレーザ加工方法である。
4) ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、
前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、
前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えて、前記ワークに所定形状の複数の孔を形成するレーザ加工装置であって、
前記制御部は、前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを、前記レーザ光の照射のオン/オフで前記所定形状の複数の孔に対し形成した後、前記スリットを形成した前記所定形状の複数の孔に対し、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断するよう制御することを特徴とするレーザ加工装置である。
5) ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、
前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、
前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えて、前記ワークに所定形状の平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺組を複数有する多角形の孔を形成するレーザ加工装置であって、
前記制御部は、前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを前記レーザ光の照射のオン/オフで形成した後に、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断するよう制御する一方、
前記スリットとして、複数の前記辺組それぞれにおいて、前記第1の辺の端点を前記一点とした第1のスリットと、前記第2の辺の端点を前記一点とした第2のスリットと、を形成し、一つの前記辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工した後に、他の辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工するよう制御することを特徴とするレーザ加工装置である。
6) 前記制御部は、
前記ワークに前記多角形をそれぞれの前記辺組の向きを揃えて複数形成する場合に、
前記加工ヘッドを、一の方向に移動させながら、複数の前記多角形それぞれにおける一の辺組の前記第1の辺を加工した後、折り返して前記一の方向とは反対の方向に移動させながら、前記一の辺組の前記第2の辺を加工するよう制御することを特徴とする5)に記載のレーザ加工装置である。
レーザ加工装置51は、ファイバレーザ加工装置であって、被加工材であるワークWにレーザ光を照射して、ワークWに対し開孔等の加工を施すものである。
レーザ加工装置51は、レーザ光源であるファイバレーザ発振器10と、ファイバレーザ発振器10から出力されたレーザ光をワークWに照射してワークWに加工を施す本体部20と、制御部30a及び記憶部30bを有してレーザ加工装置51の全体の動作を制御する制御装置30と、本体部20が備える加工ヘッド24に対し、アシストガスを制御しつつ供給するアシストガス供給装置41と、エアー(空気)を制御しつつ供給するエア供給装置42と、加工ヘッド24のノズル25からミストFMとして噴射させる液体(例えば水、或いはオイルなど)を制御しつつ供給する液体供給装置43と、を含んで構成されている。
アシストガス供給装置41,エア供給装置42,及び液体供給装置43の動作は、制御部30aにより制御される。
X軸キャリッジ22には、載置面21aに沿い、かつX軸方向と直交するY軸方向に移動するY軸キャリッジ23が設けられている。X軸キャリッジ22及びY軸キャリッジ23を移動部とも称する。
Y軸キャリッジ23には、加工ヘッド24がZ軸方向(X軸及びY軸に直交する方向)に移動可能に取り付けられている。
X軸キャリッジ22,Y軸キャリッジ23,及び加工ヘッド24は、それぞれ制御部30aの制御下にある駆動部(図示せず)の駆動により互いに独立して移動するようになっている。
加工ヘッド24は、筐体24aと、筐体24aの内部に備えた焦点調節部である光学系24bと、筐体24aの先端に取り付けられたノズル25と、を有する。
光学系24bは、供給されたレーザ光に対し所定の光学的処理を施してノズル25からその軸線CL25上に加工テーブル21に向けレーザ光を照射させる。
加工ヘッド24は、光学系24bによる光学的処理において、少なくとも、照射するレーザ光(以下、レーザ光Lと称する)の焦点位置(合焦位置)をワークWの厚さ方向の所定位置に設定できるようになっている。すなわち、焦点位置をZ軸方向に調節できるようになっている。
この調節動作は、制御部30aによって制御される。
さらに、加工ヘッド24には、開孔加工において、ノズル25からワークWに噴射するミストFMとなる液体及びその液体をミスト化するためのエア(空気)が、それぞれ液体供給装置43及びエア供給装置42とから供給される。
加工ヘッド24には、ワークWにおけるレーザ光Lの照射位置の周囲に、冷媒としてミストFMを噴射するためのミストノズル1が備えられている。
また、加工ヘッド24には、照射するレーザ光Lの径方向外側近傍に、ミストノズル1と同様に冷媒としてミストFMを噴射するためのミストノズル2が備えられている。
ミストノズル1及びミストノズル2には、液体供給装置43からそれぞれ開閉弁V1及びV2を経て冷媒として液体が供給される。
開閉弁V1及び開閉弁V2は、制御部30aにより開閉及び流量が制御される。
従って、ミストノズル1及びミストノズル2からのミストFMの噴射を、両方有り、両方無し、及びいずれか一方のみ有り、の選択肢から選択的に実行できる。また、噴射有りとした場合の噴射量を調整することができる。
リングギヤ3は、モータ4の出力軸に取り付けられたピニオン4aに噛合し、モータ4の駆動により回動するようになっている。モータ4の駆動は、制御部30aにより制御される。
従って、モータ4の駆動を制御することで、リングギヤ3に一体化されたミストノズル2の、レーザ光Lに対する周方向位置を制御することができる。
これにより、ワークWにレーザ光Lを照射して切断加工をする際に、熱伝導によって蓄熱する傾向にあるレーザ加工の進行方向の前方位置を、予め冷却することができる。
すなわち、角孔W1aは、平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺の組(辺組)を複数有する多角形形状とされている。ワークW1には、この多角形形状の角孔W1aが、格子状に辺組の向きを揃えて複数形成される。
加工例1は、レーザ加工を、最終的に孔として抜く部分にスリットSLを形成する前加工と、本加工と、に分けて行う方法である。
以下、加工例1について、図4〜図7を参照して説明する。
図4〜図7において、ワークW1に対するレーザ光Lのオンとしての移動軌跡が、太実線で示されている。また、レーザ光Lをオフとしての移動であるが、仮にオンとして移動した場合の軌跡(軸線CL25の位置の軌跡と同じ)が破線で示されている。また、矢印の示す方向がレーザ光L(加工ヘッド24)の移動方向となる。
実線は、制御部30aによりレーザ光Lの照射がオンとされレーザ光LがワークW1に対して照射されている状態であり、破線は、オフとされレーザ光LがワークW1に対して照射されていない状態である。この実線と破線の区別は、以下の加工例2〜9においても同様である。
説明のため、各角孔における行に対応する辺をアルファベット順で規定し、列に対応する辺をイロハ順で規定している。
<スリット形成方法(イ)>
図4に示されるように、まず、角孔W1aとされる一点鎖線で囲まれた範囲における中央のピアス位置P1に、レーザ光Lによるピアス加工で孔を開ける。そして、加工ヘッド24を、レーザ光Lをオンとしたままピアス位置P1から角孔W1aのA行イ列に該当する角部P2に向けて対角線上に移動し、角部P2に達したらレーザ光Lの照射をオフとしてピアス位置P1に戻す(戻し経路は不図示)。
加工ヘッド24がピアス位置P1に戻ったら、レーザ光Lの照射をオンとして、今度は角孔W1aのB行ロ列に該当する角部P3に向けて対角線上に移動し、角部P3に達したらレーザ光Lの照射をオフとする。
これにより、角部P2と角部P3とを繋ぐスリットSLが形成される。
同様に、他のすべての角孔に、スリットSLを形成する。従って、ピアス位置P1は、スリットSLのピアス加工開始点となる。
上述のように、スリット形成方法(イ)は、角孔W1a毎にスリットSLを形成する方法である。
経路K1Aでは、STARTで示された位置から右下方に向け、加工ヘッド24を、レーザ光Lをオフとして、隅(この例では図の右上)に開ける角孔W1acの中心位置に移動させる。
この中心位置をピアス位置P1としてレーザ光Lをオンとし、図の右下方へ、角孔W1acの対角線の半分に相当する距離移動させたら、そこを加工終了点PEとしてレーザ光Lをオフとする。これにより、角孔W1acの対角線の半分に相当するスリットSLhaが形成される。
この中心位置をピアス位置P1としてレーザ光をオンとし、図の左上方へ角孔W1afの対角線の半分に相当する距離移動させたら、そこを加工終了点PEとしてレーザ光Lをオフとする。これにより、角孔W1afの対角線の半分に相当するスリットSLhaが形成される。
経路K1Aにおける最後の角孔W1agに対応するスリットSLhaを形成し、加工ヘッド24がENDの位置に達したら、次に、加工ヘッド24を、図6に示される経路K1Bで移動させる。
この加工開始点は、既にスリットSLhaが形成されてピアス加工にはならないので、単に加工開始位置PSと称する。
レーザ光Lを角孔W1agの対角線の半分(残りの分)に相当する距離移動させたら、そこを加工終了点PEとしてレーザ光Lをオフとする。これにより、角孔W1agの対角線の半分に相当するスリットSLhbが形成される。
従って、経路K1Aと経路K1Bとにより、角孔W1aの対角線に相当し中央部位がピアス加工されたスリットSLが形成される。
この前加工において、ピアス加工されるピアス位置P1の周囲には、スパッタspが付着するが、最終的にスクラップとなる部分なので、ワークW1の品質に実質的に影響はない。
尚、辺ヘ1から辺A3へは、ループ状の経路K2Rを経ずに移動してもよい。
以下、すべての加工開始点が、予め形成されたスリットSLの端点に合致してピアス加工ではない加工開始点となる。
従って、角孔W1aが設けられたワークW1は、スパッタspの付着がない高品質のものとなる。
この膜の形成により、ピアス位置P1近傍へのスパッタspの付着が抑制される。
例えば角孔W1aが極端な細長形状の場合(長さD1が極めて小さい場合など)には、スパッタspが加工の経路K3,K4の外側にまで飛散してワークW1の外観品質が低下する虞もある。これに対して、ピアス位置P1近傍へのミスト噴射は、この品質低下をほぼ完全に防止することができる。
また、スリットSLを形成する加工において、ノズル25の位置を他の加工(辺の加工)よりも高くしてもよい。
まず、加工例2について図6,図8,及び図9を参照して説明する。
この千鳥状配列においても、ワークW2に形成される角孔W2aは、平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺の組(辺組)を複数有する多角形形状とされている。ワークW2には、この多角形形状の角孔W2aが、千鳥状に辺組の向きを揃えて複数形成される。
ワークW2の角孔W2aを形成する際には、前加工として、それぞれの角孔W2aにおける対角線に相当するスリットSLを形成しておく。
図6に示される千鳥状配列の場合、孔としてみると、行数が五であり、列数は、奇数行の列数が四、偶数行の列数が三である。
辺としてみると、各横辺に対応するA〜Jの十行となる。また、縦辺としての列は、奇数行の縦辺に対応する十列と、偶数行の縦辺に対応する四列と、を合わせたイ〜カの十四列となる。
スリットSLは、列方向の左右両端の角孔を除き、すべて同じ傾斜方向で直状に形成されている。図8においては、左下がり方向の傾斜である。この部分は、スリット形成方法(ロ)により効率的に形成できる。
左右両端部の角孔W2aにおいて、ピアス位置P1から最外側の角部P5へ繋ぐスリットSLを、左下がり(右上がり)の対角線となる角部P5ではない方の角部P6に繋ぐように形成する。すなわち、スリットSLを一直線状ではなく、ピアス位置P1を頂点とするヘ字状に形成する。この部分は、スリット形成方法(イ)により形成する。
これは、配列が千鳥状であることから、後述する辺の加工において、両端部分での折り返しが一回少なくなることに起因している。
まず、図9(a)に示されるように、縦辺を加工する。すなわち、STARTからレーザ光Lをオフとし、加工ヘッド24を、左上の角孔W2aにおける辺イ1の左上の角部である加工開始点イ1aに移動し、そこからレーザ光Lをオンとして辺イ1の加工を行う。
このときの加工開始点イ1aは、前加工で設けられたスリットSLの端点であるので、ピアス加工にはならず、スパッタは発生しない。
以下、イ列を図9(a)における上方から下方に向けレーザ光Lのオン/オフを繰り返して加工し、次にロ列を下方から上方に向けレーザ光のオン/オフを繰り返して加工する。
このようにジグザグ状の経路K3で加工し、最後の縦辺となるカ列を下方から上方に加工して加工終了点カ1bに達したら、レーザ光Lをオフにしてループ状の経路K3Rを移動し、横辺の加工を行う。
ループ状の経路K3Rから、右上の角孔W2aにおける辺A4の右上の角部A4aである加工開始点カ1aに移動し、レーザ光LをオンとしてA行の加工を行う。角部A4aは、縦辺の加工ですでに形成された辺カ1の加工終了点カ1bに合致しているので、ピアス加工にはならない。
A行の加工が終了したら、左端で折り返し、B行の加工を行う。以下、ジグザグ状の経路K4に沿ってC行〜J行の加工を行い、終了する。
すべての横辺を加工するための加工開始点は、すでに加工済みの縦辺の端点に合致しているので、ピアス加工にならず、ワークW2表面へのスパッタspの付着が抑えられる。また、ノズル25へのスパッタspの付着が抑えられる。
(加工例3:角孔の千鳥状配列の場合<その2>−スリット前加工実施)
加工例3は、前加工において、スリットSLを、すべての角孔W2において右下がり及び左下がりのいずれかに統一して形成する。図10には、この前加工が終了した状態が示されている。各スリットSLの形成方法は、上述のスリット形成方法(ロ)を適用できる。
このときの加工開始点イ5aは、前加工で設けられたスリットSLの端点であるので、ピアス加工にはならず、スパッタの付着は生じない。
以下、イ列の辺加工を、図9(a)における一方向に(下方から上方に向け)レーザ光Lをオン/オフして行い、次にロ列をとばしてハ列の辺加工を、一方向とは反対方向に(上方から下方に向け)レーザ光Lをオン/オフして行う。
次いでロ列に戻り、ロ列の辺加工を、下方から上方に向け同様に行い、ニ列をとばしてホ列の辺加工を、上方から下方に向け同様に行う。
このように、未加工列を一列とばして進み、一列戻る、という経路K2Aで辺加工し、最後の縦辺となるカ列の辺加工を上方から下方に向けて行い加工終了点カ5bに達したら、レーザ光Lをオフにしてループ状の経路K2Rを移動し、次の横辺の加工を行う。
レーザ光Lの照射位置を、ループ状の経路K2Rから、右下の角孔W2sにおける辺I7の右上の角部I7aである加工開始点カ5aに移動し、レーザ光Lのオン/オフを繰り返してI行の辺加工を行う。角部I7aは、縦辺の加工ですでに形成された辺カ5の加工開始点に合致しているので、ピアス加工にはならない。
I行の辺加工が終了したら、左端で折り返し、J行の辺加工を、右方に向けレーザ光のオン/オフを繰り返して行う。次に、未加工のH行はとばしてG行の辺加工を同様に行い、次いでH行の辺加工を同様に行う。
このように、未加工の行を一つとばして進み、一行戻る、という経路K2Bで加工し、最後の横辺となるB行の辺加工を行い、終了する。
加工例4は、前加工で形成するスリットSLの形成方向(形成時の加工ヘッド24の移動方向)を同一とし、加工例5は非同一としている。
ここでは、ワークW3に、三行三列の格子状に丸孔W3aを形成する例を説明する。
加工例4も、レーザ加工を、最終的に孔として抜く部分にスリットSLを形成する前加工と、本加工と、に分けて行う方法である。スリットSLを形成することで、ミスト噴射を必ずしも行わなくてよいものとしている。
この中心位置をピアス位置P1としてレーザ光Lをオンとし、図の下方に半径に相当する距離移動させたら、そこを加工終了点PEとしてレーザ光をオフとする。これにより半径に相当するスリットSLが形成される。
イ列の加工が終了したら、加工ヘッド24を、経路K5で示されるようにロ列の上方に移動させて、ロ列について、A行からC行の順にスリットSLを加工する。ロ列の加工が終了したら、次にハ列について、同様に、A行からC行の順にスリットSLを加工する。
従って、スリットSLは、列毎に、ピアス位置P1から同じ向き(図12の例では下方)に形成される。
本加工では、まず、A行イ列に該当するスリットSLの加工終了点PEに、図の左方側からオフ状態で加工ヘッド24を移動させる。加工終了点PEに達したら、レーザ光Lをオンにして丸孔W3aの周形状に沿って一周する経路K6aで切断加工をする。
経路K6aでの切断加工が終了すると、スリットSLが形成された丸孔W3aの内側の部分が、ワークW3からスクラップとして分離する。
次に、移動方向を弧状の経路K6cで反転し、B行ハ列、B行ロ列、B行イ列、のスリットSLに対して経路K6a及び経路K6bによる同様の加工を行い、その後、C行ハ列、C行ロ列、C行ハ列、のスリットSLに対して同様の加工を行う。この順の加工で、すべての丸孔W3aの加工が完了する。
図13(a)に示されるように、加工例7では、前加工において、イ列のスリットSLを加工例4と同様に形成する。
次に、ロ列を、加工例4ではA行から加工したが、加工例5では、経路K7で示されるように、C行からA行に向けて加工する。
その後、更に、ハ列を、再びA行からC行に向けて加工する。
すなわち、加工例5では、加工ヘッド24の移動方向が、加工する列毎に逆となる。
従って、加工例5では、スリットSLは、列毎に、ピアス位置P1から逆向きに形成される。図13の例では、イ列及びハ列がピアス位置P1から下方に向けて、ロ列が上方に向けて形成される。
本加工では、まず、加工例4と同様に、A行イ列の丸孔W3aの周形状に沿って一周する経路K8aで切断加工をする。
次に、加工ヘッド24を、A行ロ列に対応するスリットSLの加工終了点PEへ経路K8bで移動させる。この加工終了点PEは、スリットSLの向きが逆転していることから、丸孔W3aにおけるピアス位置P1を挟んで図の上方側にある。すなわち、加工ヘッド24を、丸孔W3aの直径分、図の上方向に移動させる。A行ロ列の加工後、A行ハ列へ向かう際にも、経路K8bにおいて、丸孔W3aの直径分、図の下方向に移動させる。
以下、図13(b)の例では、弧状の経路K8cを経由してロ列へ向かう移動及びロ列から次への移動に、丸孔W3aの直径分移動させる経路で加工ヘッド24を移動させる。
加工例8は、前加工で形成するスリットSLの形成方向(形成時の加工ヘッド24の移動方向)を同一とし、加工例8は非同一とした例である。
ここでは、ワークW4に、五行三列の45°角千鳥状に丸孔W4aを形成する例を説明する。
加工例6も、レーザ加工を、最終的に孔として抜く部分にスリットSLを形成する前加工と、本加工と、に分けて行う方法である。スリットSLを形成することで、ミスト噴射を必ずしも行わなくてよいものとしている。
この中心位置をピアス位置P1としてレーザ光Lをオンとし、図の下方に半径に相当する距離移動させたら、そこを加工終了点PEとしてレーザ光をオフとする。これにより半径に相当するスリットSLが形成される。
イ列の加工が終了したら、加工ヘッド24を、経路K9で示されるようにロ列の上方に移動させて、ロ列について、B行、D行の順にスリットSLを加工する。ロ列の加工が終了したら、次にハ列について、同様に、A行,C行,E行の順にスリットSLを加工する。
従って、スリットSLは、列毎に、ピアス位置P1から同じ向き(図14の例では下方)に形成される。
本加工では、まず、A行イ列に該当するスリットSLの加工終了点PEに、図の左方側からオフ状態で加工ヘッド24を移動させる。加工終了点PEに達したら、レーザ光Lをオンにして丸孔W4aの周形状に沿って一周する経路K10aで切断加工をする。
経路K10aの切断加工が終了すると、スリットSLが形成された丸孔W4aの内側の部分が、ワークW4からスクラップとして分離する。
次に、移動方向を弧状の経路K10cで反転し、B行ロ列のスリットSLに対して経路K10aによる同様の加工を行う。その後、再度移動方向を反転し、C行イ列及びC行ハ列のスリットSLに対して経路K10aによる同様の加工を行う。この順の加工で、すべての丸孔W3aの加工が完了する。
図15(a)に示されるように、加工例8では、前加工において、加工例8と同様にイ列のスリットSLを、A行,C行,E行の順に形成する。次に、ロ列を、加工例8ではB行,D行の順に加工したが、加工例7では、経路K11に示されるように、D行,B行の順に加工する。
その後、更に、ハ列を、再びA行,C行,E行の順に加工する。
すなわち、加工例7では、加工ヘッド24の移動方向が、加工する列毎に逆になっている。
従って、加工例7では、スリットSLは、列毎に、ピアス位置P1から逆向きに形成される。図15の例では、イ列及びハ列がピアス位置P1から紙面下方に向けて、ロ列が紙面上方に向けて形成される。
本加工では、まず、加工例8と同様に、A行イ列の丸孔W4aの周形状に沿って一周する経路K12aで切断加工をする。
経路K12aの切断加工が終了すると、スリットSLが形成された丸孔W4aの内側の部分が、ワークW4からスクラップとして分離する。
次に、経路K12bに沿ってA行ハ列の加工終了点PEに移動し、経路K12aでの加工をする。
その後、移動方向を弧状の経路K12cで反転し、C行ハ列、D行ロ列、C行イ列の順で同様の加工を行う。再度、移動方向を弧状の経路K12cで反転し、最後はE行イ列,E行ハ列の加工を行う。この順の加工で、すべての丸孔W4aの加工が完了する。
ここでは、ワークW5に、三行五列の60°千鳥状に六角孔W5aを形成する例を説明する。この例において、ワークW5に形成される角孔W5aは、平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺の組(辺組)を複数(この例で三つ)有する多角形形状とされている。ワークW5には、この多角形形状の角孔W5aが、千鳥状に辺組の向きを揃えて複数形成される。
図16に示されるように、六角孔W5aの対角線を上下方向とする。
まず、前加工の手順1として、加工ヘッド24を、レーザ光Lをオフとして、隅(この例ではA行イ列)の六角孔W5aの中心位置に、図の上方から移動させる。この中心位置をピアス位置P1としてレーザ光Lをオンとし、図の下方の頂点に対応する位置を加工終了点PEとしてレーザ光Lをオフとする。これにより、対角線の半分に相当するスリットSL1が形成される。
加工ヘッド24を更に図の下方に移動させて、イ列の残りのC行の六角孔W5aにおけるスリットSL1を同様に形成する。
イ列の加工が終了したら、経路K13で示されるように、ロ列の六角孔W5aにおけるスリットSL1を、下方から上方に向けて加工する。
以下、同様に、経路K13に沿って折り返しを伴い、列毎に加工方向が逆となるようにスリットSL1を形成する。
経路K15は、六角孔の形状や、千鳥の角度等に応じて最短に設定するのが加工効率の観点から望ましい。
図18に示された例では、経路K15により、<1>から<16>までこの順で一対の辺LN2を加工する。
経路K16も、六角孔の形状や、千鳥の角度等に応じて最短に設定するのが加工効率の観点から望ましい。
図19に示された例では、経路K16により、<1>から<16>までこの順で一対の辺LN3を加工する。
一対の辺LN4は、一方の端点が、既に加工済みのスリットSL及び辺LN2の端点と合致し、他方の端点も、加工済みの辺LN3の端点と合致している。
従って、一対の辺LN4の加工はピアス加工とはならないので加工方向は限定されない。経路K17は、設定し得る複数の経路の内の一つの例であり、例えば図20に示された<1>から<16>までの順で一対の辺LN3は加工される。
また、これらの設定を作業者側で行い、経路プログラムを記憶部30bに記憶させ、制御部30aがその経路プログラムを参照して連続開孔加工を実行してもよい。
これにより、製品となるワークの表面へのスパッタの付着がなく、外観品質が向上する。
換言するならば、ワークWに所定形状のN(Nは正の整数)個の孔を複数形成するときに、K(K≦Nなる正の整数)個の孔に対し前加工ステップを実行した後に、その前加工ステップを実行したK個の孔に対し孔加工ステップを実行するようにしてもよい。
開孔加工する孔の形状は、上述の角孔,丸孔,六角孔に限定されない。また、一つのワークに同じ形状の孔を複数有するものに限定されず、異なる形状の孔が混在していてもよい。
複数の孔の配列も、上述の格子状及び千鳥状に限定されない。不規則な配列であってもよい。
制御部30aは、レーザ加工装置51に対する外部に配置されていてもよい。
レーザの種類は、ファイバーレーザに限定されない。YAGレーザなどの他の固体レーザでもよく、また、炭酸ガス(CO2)レーザなどのガスレーザであってもよい。
3 リングギヤ
4 モータ、 4a ピニオン
8 プロセスファイバ
10 ファイバレーザ発振器
20 本体部
21 加工テーブル、 21a 載置面
22 X軸キャリッジ、 23 Y軸キャリッジ
24 加工ヘッド、 24a 筐体、 24b 光学系、 25 ノズル
30 制御装置、 30a 制御部、 30b 記憶部
41 アシストガス供給装置
42 エア供給装置
43 液体供給装置
51 レーザ加工装置
CL25 軸線
D1,D2 長さ
FM ミスト
K1A,K1B,K2,K3,K5,K2R,K3R,K6a〜K6c,K7,K8a〜K8c,K9,K10a,〜K10c,K11,K12a〜K12c,K13,K14,K15〜K17 経路、 KD 駆動部
L レーザ光、 LN2,LN3 LN4 辺
P1 ピアス位置、 P2,P3,P5,P6 角部
PE 加工終了点、 PS 加工開始点
SL,SLa,SL1,SLha,SLhb スリット、 sp スパッタ
V1,V2 開閉弁
W,W1〜W5 ワーク
W1a,W2a,W1ac,W1af,W1ag 角孔
W3a,W4a 丸孔、 W5a 六角孔、 Wp 加工点
イ1a,ロ1a,カ1a,A4a 加工開始点、 カ1b,PE 加工終了点
Claims (6)
- ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えたレーザ加工装置を用いて前記ワークに所定形状の複数の孔を形成するレーザ加工方法であって、
前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを、前記レーザ光の照射のオン/オフで前記所定形状の複数の孔に対し形成する前加工ステップと、
前記スリットを形成した前記所定形状の複数の孔に対し、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断する孔加工ステップと、
を含むことを特徴とするレーザ加工方法。 - ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えたレーザ加工装置を用いて前記ワークに所定形状の孔を形成するレーザ加工方法であって、
前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを前記レーザ光の照射のオン/オフで形成する前加工ステップと、
前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断する孔加工ステップと、
を含み、
前記所定形状は、平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺組を複数有する多角形であり、
前記前加工ステップにおいて、
前記スリットとして、複数の前記辺組それぞれにおいて、前記第1の辺の端点を前記一点とした第1のスリットと、前記第2の辺の端点を前記一点とした第2のスリットと、を形成し、
前記孔加工ステップにおいて、
一つの前記辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工した後に、他の辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工することを特徴とするレーザ加工方法。 - 前記ワークに前記多角形をそれぞれの前記辺組の向きを揃えて複数形成する場合に、
前記加工ヘッドを、一の方向に移動させながら、複数の前記多角形それぞれにおける一の辺組の前記第1の辺を加工した後、折り返して前記一の方向とは反対の方向に移動させながら、前記一の辺組の前記第2の辺を加工することを特徴とする請求項2記載のレーザ加工方法。 - ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、
前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、
前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えて、前記ワークに所定形状の複数の孔を形成するレーザ加工装置であって、
前記制御部は、前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に、前記第1の加工開始点と前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを、前記レーザ光の照射のオン/オフで前記所定形状の複数の孔に対し形成した後、前記スリットを形成した前記所定形状の複数の孔に対し、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断するよう制御することを特徴とするレーザ加工装置。 - ワークに対しレーザ光を照射する加工ヘッドと、
前記加工ヘッドを前記ワークに沿って移動させる移動部と、
前記加工ヘッドに前記レーザ光を供給するレーザ発振器と、
前記移動部及び前記レーザ発振器の動作を制御して前記加工ヘッドを所定の経路で移動させながら前記レーザ光の照射をオン/オフさせる制御部と、を備えて、前記ワークに所定形状の平行に対向する第1の辺と第2の辺との辺組を複数有する多角形の孔を形成するレーザ加工装置であって、
前記制御部は、前記所定形状の内側に第1の加工開始点を設定すると共に前記所定形状上の一点とをつなぐスリットを前記レーザ光の照射のオン/オフで形成した後に、前記一点を第2の加工開始点として前記所定形状の少なくとも一部を前記レーザ光の照射のオン/オフで切断するよう制御する一方、
前記スリットとして、複数の前記辺組それぞれにおいて、前記第1の辺の端点を前記一点とした第1のスリットと、前記第2の辺の端点を前記一点とした第2のスリットと、を形成し、一つの前記辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工した後に、他の辺組の前記第1の辺及び前記第2の辺を加工するよう制御することを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記制御部は、
前記ワークに前記多角形をそれぞれの前記辺組の向きを揃えて複数形成する場合に、
前記加工ヘッドを、一の方向に移動させながら、複数の前記多角形それぞれにおける一の辺組の前記第1の辺を加工した後、折り返して前記一の方向とは反対の方向に移動させながら、前記一の辺組の前記第2の辺を加工するよう制御することを特徴とする請求項5記載のレーザ加工装置。
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