JP4269581B2 - Cad/cam装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ加工機、ウォータジェット加工機、プラズマ切断機等により複数個の製品を切り抜き切断加工する際のピアシング処理に関するもので、特に、レーザ加工機、ウォータジェット加工機、プラズマ切断機等の複数個の製品を切り抜き切断加工するNCプログラムデータを作成する自動プログラミング機能等に使用し、ピアシングを行うべき位置で適宜先にピアシングを行うことができるNCデータを作成するCAD/CAM装置及びその処理方法に関するものである。
【0002】
なお、本発明は、市販のパソコンOSで操作できるCAD上で加工板材の先ピアシング処理、および先ピアシング処理用の加工データつまりNCデータ生成に関し、専用機及び市販のパソコンOSで操作できるCAD/CAM装置、自動プログラミング装置、およびソフトウェアとして使用することができる。
【0003】
【従来の技術】
レーザ加工機等のNC加工装置を用いて、板材より所定形状の製品を切り抜き切断する切断加工における切断情報(工具経路データ)は、NCプログラムデータ(NCデータ)として、通常、CAD/CAM装置、自動プログラミング装置により作成され、まず該作成手段を以下に説明する。
【0004】
図6は、切断する製品の形状を示し、加工すべき形状Aから形状Dの4種類の形状を示している。
なお、切断する製品の形状を定義する図形データは、CAD機能などで作成するか、あるいは予め登録しておく必要がある。
図に示されるごとく、例えば、長方形の形状Aは2個の四角形a1、a2の穴が開いており、長方形の形状Bは1個の大きな四角形b1の穴が開いている。外周が異形状である形状Cは1個の小さな丸い穴c1が開いており、丸い形状Dには穴は開いていない。
なお、形状Cや形状Dは、形状Bに開いている大きな四角形の穴b1に入り込むことが出来る程度の大きさとなっている。
【0005】
図7は、従来における製品図形配置例の説明図を示す図であり、形状AからDの各部品を、パソコンなどのディスプレイ画面に表示させ、マウスなどを使って手動操作あるいはコンピュータによる自動処理で、時には画面上の図形表示を回転させながら適切な位置に移動配置してある。
図では、形状Aの部品Aが1個、形状Bの部品Bが2個、形状Cの部品Cが2個、形状Dの部品Dが3個配置された例が示されている。なお、材料の無駄を少なくするために、部品Dが、部品Bに開いている大きな四角形の穴b1内に配置されている。
【0006】
穴や外周を切断する際にその形状の製品切断線上でピアシングの動作を行うと製品切断面に比較的大きなキズが付いてしまうという問題を避けるために、製品切断線上ではなく製品切断線よりある程度距離が離れた位置でピアシングを行ってから製品切断線に届くまでのピアス線を切断し、外周を切断する加工を示しており、すべての外周と穴にピアス線が付加されている。
切断手順の一例を説明すると、例えば部品Aでは、穴a1を切断し終えたら一旦レーザ光を止めて次の穴a2に移動するための早送り線が点線で付加されており、さらに次の外周のピアス線に移動するための早送り線も点線で付加されており、レーザ光を出しながら実際に切断する線は実線で示されている。
【0007】
ここで、ピアス線や切断する経路の順番を予め設定した状態で移動配置する場合や、事前に各部品にピアス線や経路の順番を設定しないまま配置を行いその後で各配置済みの部品に対してピアス線を付加する操作や切断経路を設定する操作を行う場合もあり、それらは、オペレータによる手動操作もしくはコンピュータによる自動処理により処理が行われる。
【0008】
なお、必要とする製品によっては、ピアシングのキズ程度は問題にならずそれよりも加工時間を短くする方が優先される場合もあるため、その際にはピアス線を設けず、つまりピアス線の長さをゼロにして、製品切断線上でピアシングを行う様に設定する場合もある。
いずれにしても、一般的には、板材の端部から切断を行うのではなく、各形状においてまずピアシングを行ってからその位置を始点に切断が行われている。
この際、材料の材質や板厚などによってピアシング動作にかかる時間が異なり、例えば軟鋼鉄材の場合10ミリ程度の板厚なら十数秒、20ミリ程度の板厚なら二十数秒などの時間がかかることから、ピアシング穴が多い形状などの場合、各穴のピアシング処理のために多くの加工時間がかかってしまうことになる。
【0009】
図7の部品配置済みデータを作成した後において、図8に示す様な各部品間の切断経路をオペレータによる手動操作もしくはコンピュータによる自動処理で設定して、NCデータを生成する。
図8において、図の中の番号は、各ピアス線のピアシングを行う順番を示しており、この順番で加工を行えば、例えば部品AやBにおいて、外周が切断される前にそれぞれの穴が先に切断され、また、部品Bの穴を切断する前に、その穴の中に配置されている別の部品Dが切断される。
ここで、一つの部品の穴と外周のすべてを切断し終える前に、都合により別の部品の穴や外周を先に切断する経路を設定することも可能であるが、いずれにおいても、一つの部品において外周よりも穴が先に、また穴の中に別の部品が配置されている場合にはそれを先に切断するなど、切断する順番を考慮した経路設定が必要である。
この様にして生成された図形を基にNCデータが生成され、レーザ加工機等のNC切断装置を用いて、特定の板材から所定形状の製品を切り抜き切断する加工が行われる。
【0010】
次に、例えば特許公報第2600323号に示される、ピアシングが必要な位置すべてに対して予め酸化性ガスでピアシングのみを実行し、その後で非酸化性ガスに切り替えてから各ピアシング済みの穴を始点から切断のみを行う処理について説明する。
なお、本明細書において、先にピアシングのみを行う処理のことを先ピアシングと定義する。
この先ピアシングの場合では、非酸化ガスに切り替えた後の切断動作を開始する時点では、前記の様な十数秒とか二十数秒などの時間をかけてのピアシング動作を行う必要はなく、切断用に適した条件のレーザ光やアシストガスを出したらすぐに切断動作を行い加工時間を短縮できる。
【0011】
例えば、図7に示される切断経路が設定された後に、オペレータが図9に示すような先ピアシング動作だけの加工経路順を設定する。
なお先ピアシング処理においては、部品の外周の加工は行わず、単なるピアシングを行うのみであるから、一般的に、ピアスシング位置の近い順に設定することから、図9に示すような経路順となる。
そして、14番目の位置の先ピアシング加工を行った後、例えば最初に切断を行う部品Aに戻って切断の動作を行うための経路を設定する。
この場合、図10に矢印で示す様に部品Aの穴a1のピアス線まで早送り線が設定し、穴a1の加工の後は穴a2、部品A...といった図8に示す番号の順番と同様に継続して切断の動作を行う経路を設定される。
そしてオペレータは、既に付加されているピアス線のピアシング位置に付加されている属性を、ピアシングを行う通常のピアシング属性から、ピアシングを行わずにビームをオンさせるだけのビームオン属性に付け替えを行う。
これは、先ピアシングによりピアシング処理が設定されたため、通常のピアシング処理は行う必要が無いため該属性を解除するのである。
この付け替えの処理は、例えば図9の様に先にピアシングする様に設定した位置においては、すべて忘れずに実行しなければならない。
また、穴や外周形状に対して通常の切断を行った際にビームをオフさせる動作と比べて、先ピアシングを実行した時点でのビームをオフさせる動作は、加工ヘッドの退避動作において区別させる必要がある場合があり、つまり先ピアシング実行時のビームオフ属性と通常の切断後のビームオフ属性とを切り替えて付加することもある。
【0012】
ここで図8と図9とを比較して異なる特徴的な点を挙げてみると、図8においては、例えば形状Aの穴a2を切断後に、次の切断を行う位置に移動するために、ピアス線の根本の位置である製品切断線上の位置から早送り線を示す点線が延びて設定されているのに対して、図9では、穴a2のピアス線の先端位置である先ピアシング位置から次の加工への早送り線が直接延びている。
これはつまり、図9に示す先ピアシングのみを行う処理においては先ピアシング用の酸化性ガスを用いて行い、その後のアシストガスを切り替えてのピアス線を切断する動作はまだ行わないため、ピアス線の先端位置で先ピアシング処理だけを行ったら、すぐに次の位置に移動させるためである。
また、図8では、一つの部品において外周を切断する前に必ず穴の切断は完了させておく必要があり、また、穴の中に別の部品が配置されている場合にはその穴よりも先に中の部品を切断する必要があるが、図9に示す様な先ピアシングのみを行う処理においては、その順番を考慮する必要は無く、総計の移動距離が一番短くなる順番や、次の位置に移動する際一番近いものを順次選択しながら設定する順番など、適宜順番を設定してかまわない。
これは例えば図9の場合、部品Bの二個目の加工において7→8→9と順番が付加されて、つまり「外周」→「穴」→「穴の中の形状」という順番で設定されている様に、穴より先に外周の位置に先ピアシングの処理を行う順番に設定されているが、これでも問題が無い。
【0013】
次に、先ピアシング処理を施さない場合と、前記の様な手順で先ピアシング処理を行うNCデータを生成した場合との、作成されるNCデータの比較例を図11に示す。
図11(a)の先ピアシングしない場合の例では、「小さな丸穴」→「長方形の穴」→「外周」の順に切断が行われ、それぞれのピアス線の先端位置では、切断する際に使うものと同じ種類のアシストガスを使用してピアシング処理が行われるため特に途中でアシストガス切り替え処理を行う必要も無く、この例ではNCデータ内の「N05」や「N10」や「N19」の行に、例えば「AAA」という通常のピアシングを行うNCコードが挿入されている。
さらに、通常のピアシングの後には切断動作指令が入り、ビームオフ位置まで達すると「N08」や「N17」や「N27」の行に「EEE」という通常のビームオフを行うNCコードが挿入されている。
ここで、「AAA」というコードは、レーザ加工機側での認識処理において、そのコードそのものに通常のピアシングを行うという意味合いをもって認識する方法や、また、このコードは別のサブプログラムを呼び出すという意味合いを持たせ、その別のサブプログラム側に通常のピアシングの動作指令を記述しておくという方法などがあり、また、この様に「AAA」というわずか1行では表現できず複数行を使って通常のピアシングを行う指令を示す場合もある。
いずれにしても、この通常のピアシングを行う指令によれば、軟鋼鉄材での十数秒や二十数秒などの時間をかけての通常のピアシング動作が適宜行われる。
【0014】
一方、図11(b)の先ピアシングする場合の例では、小さな丸穴と長方形の穴があるうちの丸穴の方では先ピアシングを行わない設定にした例が示されており、先ピアシングは長方形の穴と外周とのピアシング線の位置でのみ実行され、その2箇所の先ピアシング動作が先に行われるように加工の経路が設定されている。
詳細を説明すると、まず「N03」の行の指令で先ピアシング専用のアシストガスの種類を選択し、「N05」行で角穴の先ピアシングを行う位置まで早送り移動し、「N06」行で先ピアシングオンを行い、その位置のまますぐに「N07」行で先ピアシングオフを行う。
「N08」行で次に先ピアシングを行う外周のピアシング位置まで移動し、「N09」「N10」で同様に先ピアシング処理を行う。
先ピアシングの処理はここまでであり、この後は切断の動作になるため、まず「N11」行で最初に切断する丸穴のピアシング位置まで移動するが、ここで、先ピアシング専用のアシストガスから切断専用のアシストガスに切り替えるための、先ピアシング後挿入コード「KKK」を忘れずに挿入する。
続いて、丸穴のピアス線以降の切断を行うが、丸穴においては先ピアシングが行われていないため通常のピアシング加工を行う必要があり、図11(a)で使用したのと同じコード「AAA」が「N13」行で使用され、「N14」行以降「N16」行までの丸穴の切断動作が行われる。
次に「N17」行で長方形の穴の先ピアシング位置に移動した後、この位置では既に先ピアシングが行われているためピアシングを行う必要は無く、レーザ光を出力したらすぐに切断動作が行える先ピアス後ビームオンコード「CCC」が「N18」行に使用され、「N25」行までの長方形の穴の切断動作が行われる。「N27」行の外周のピアシング位置での動作においても同等である。
なおこの例では図形の中の丸穴の様に先ピアシングを行わない位置が有る場合の例を示したが、この様な区別を行わず全てのピアシング位置において先ピアシングを行うように設定する場合も多い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来のような先ピアシングを行うNCデータを生成する操作において、先ピアシングオン属性を付加する操作を行った場合、その位置におけるその後の切断動作時にはピアシングを行う必要が無いため、その全ての位置においてピアス線部分に付いている通常のピアシング属性をビームオン属性に付け替える操作を忘れずに実行する必要があった。
また、先ピアシング用のアシストガスですべての先ピアシングの処理を終えてから、アシストガスの交換を行って通常の切断加工を行う様にして、アシストガスの交換を1回で済ませて無駄を少なくするために、先ピアシング後挿入コードを忘れずに挿入したり、通常の切断用のアシストガスで行うピアシング位置でのビームオフ動作と異なり、先ピアシングを行った後でのビームオフは特別な先ピアシングオフ属性を忘れずに付加して処理する必要があった。
すなわち、先ピアシングへの経路設定操作において、すべての先ピアシングオン属性に対して忘れずに経路設定操作を実行する必要があり、操作ミスが発生しやすい要素を多く含み、オペレータの操作が煩雑であった。
【0016】
また、酸化性ガスを使用して先ピアシングを行う場合は、非酸化性ガスでピアシングを行うよりも溶けた板材が飛散する量が多くしかも遠くまで飛散してしまう場合があり、各図形のピアシング位置と製品切断線との距離によって先ピアシング処理を行うか行わないか判断しなければならない場合があり、それをオペレータが画面を見ながら目測により勘で距離を適宜判断して決めていたため、付け忘れをしたり、付けてはいけない距離でも付けてしまったりすることによる加工不良の発生したり、一つ一つについて目測をしながら操作をしなければならないという、操作上のわずらわしさがあるという問題もあった。
【0017】
仮に、オペレータが操作ミスをした場合の、後でレーザ加工機側の処理で発生する問題の大きさを考えると、到底オペレータが操作しきれるものではなく、結局はこの様な先ピアシングの切断方法を採用するのを断念してしまう場合も多く、または断念しないとしても、ミスによる加工不良の発生を避けるために、生成するNCデータとしては図14(a)で示すものと同じものにしておき、この中で通常のピアシング用コードとして挿入されている「AAA」というコードの中の処理として、酸化性ガスに切り替えてピアシングを行いそれが完了してから非酸化性ガスに切り替えるという処理を行う様に設定を変更し、ピアシングの動作を行うたびにいちいち酸化性ガスと非酸化性ガスに切り替えるという処理を行う方法などを用いることも可能であるが、この場合は、ピアシングを行うたびにガスの入れ替えを行う際の加工機側配管内に残っているガスを捨てるという動作を行うため、無駄に捨てなければならないガスの量も増えて、つまり全体の切断動作でかかる加工時間も大幅に増えてしまう。
【0018】
そこで本発明は、先ピアシング加工用のNCデータを生成する際のわずらわしい操作を無くし、また、画面を見ながらのオペレータの勘によって行っていた操作をコンピュータ上の処理により適切に自動判別することにより、ミスを無くし高速に処理を行えるという、先ピアシング処理機能の提供を課題とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るCAD/CAM装置は、各製品の形状を定義した図形データを部品として入力し、板材より該部品を切り抜くNCデータを生成するCAD/CAM装置において、各部品における切断開始位置、ピアシング属性、切断経路等の部品配置済みデータが予め設定記憶される記憶手段と、上記部品配置済みデータにおけるピアシング動作のみを一括して行うべく先ピアシング位置を指定する先ピアシング指定手段と、この先ピアシング指定手段により指定された位置に対して先ピアシング属性を付加する先ピアシング属性付加手段と、上記先ピアシング指定手段により指定された位置に付属していた通常のピアシング属性をビームオン属性に変更するピアシング属性変更手段と、上記先ピアシング属性が付加されている位置だけを先に切断経路設定する先ピアス経路設定手段と、上記通常のピアシング属性、先ピアシング属性、及び切断経路に基づいて、NCデータを生成するNCデータ生成手段と、を具備する。
【0020】
また、各製品の形状を定義した図形データを部品として入力し、板材より該部品を切り抜くNCデータを生成するCAD/CAM装置において、各部品における穴や外周の切断開始位置を設定し、通常のピアシング属性を伴うピアス線を付加するピアス線設定手段と、上記各部品における穴や外周を順次切断する経路を設定する切断経路設定手段と、上記ピアス線のピアシング位置に先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性とを付加する先ピアシング属性付加手段と、上記先ピアシングオン属性を付加した位置に有るピアス線の先端に付いている通常のピアシング属性をビームオン属性に変更するピアシング属性変更手段と、上記先ピアシング属性が付加されている位置だけを先に切断経路設定する先ピアス経路設定手段と、NCデータを生成する際に、通常のピアシング属性と、通常のビームオフ属性と、先ピアシングオン属性と、先ピアシングオフ属性と、ビームオン属性との、それぞれの属性の種類によって挿入するNCコードを予め記憶しておくためのビームオンオフコード記憶手段と、通常のピアシング属性と、ビームオフ属性と、先ピアシングオン属性と、先ピアシングオフ属性と、ビームオン属性との、それぞれの種類の違いによって挿入するNCコードを切り替えながらNCデータを生成するNCデータ生成手段と、を具備する。
【0021】
また、各部品におけるピアス線も含めた切断線のうち、ピアス線と、ピアス線以外の製品の形状を示す製品線とを区別する製品線選別手段と、この製品線選別手段により、先ピアシングオン属性を付加する位置から製品線までの距離を算出し、一番近い距離を求める先ピアス距離算出手段と、予め設定しておく指定距離以内に製品の形状線があるかどうかを判断する先ピアス付加判断手段と、を備えたものである。
【0022】
また、先ピアシング後挿入コードをあらかじめ設定記憶しておく、先ピアシング後挿入コード記憶手段と、NCデータの生成時、先ピアシングオフ属性部分を加工後、早送り線を経て次の早送り以外の加工を行う指令を生成する部分が、先ピアシングオン属性でない場合に、その指令の前に先ピアシング後挿入コードを挿入する先ピアシング後挿入コード挿入手段と、を備えたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下に添付図を参照して、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1の先ピアシング処理機能で、レーザ加工機用のCAD/CAM装置として使用されている事例の構成を示すブロック図である。CAD/CAM装置は、入力された各種データをもとに製品の形状を定義した図形データを作成し、切断方向や切断条件を解析して切断情報等を生成するCPU1と、入力された各種データを記憶すると共に、一枚の板材上に形成する複数個の製品の図形データを描くことができ、かつ、先ピアシング処理機能としての必要なソフトウェアが格納されるメモリ2と、切断情報や画面の表示内容などの印刷を行うプリンタ・プロッタ等の印字装置3と、定義済みの図形データや切断経路、切断条件、入力要求メッセージ等を画面に表示すると共に、一枚の板材上に形成する複数個の製品の図形データの全てを描くことができるCRT、液晶等のディスプレイ4と、形状データや切断条件などの各種データを入力する入力手段としてのキーボード5と、ディスプレイ4に表示される図形やメニューの選択を行うポインティングデバイスとしてのマウス6と、定義済みの図形データを記憶するためのハードディスク等の外部記憶装置7とを有し、これらはすべてバス9により接続されている。
また、バス9には、ケーブル等を介して本実施の形態で使用するレーザ加工機等の切断装置が接続される場合もある。
【0024】
図2は、図7に示すような従来における製品図形の配置処理が行われた後の操作における、本発明の一実施例の処理フローを示す。
図7に示すような製品図形の配置処理が行われた後の状態、もしくは、製品図形の配置処理が行われ、さらにそれぞれの図形の穴や外周に対してピアス線が付加された後の状態において、ステップS1にて、オペレータが先ピアシング属性を付加したいピアス線を選択する。
ステップS2では、先ピアシング属性付加手段により、そのピアス線のビームオン属性が付加されている位置に、先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性が自動で付加される。
【0025】
なお、ここに示す先ピアシングオンや先ピアシングオフなどの属性とは、たとえば図8において実線部分が実際に切断する線で破線部分が早送り線であるが、各数字が付加されているピアス線部分を注目すると、ピアス線そのものは実線で描かれた単なる切断線であり、その両端となる位置にそれぞれの属性が付加されている状態が示されており、つまり属性とは切断線や早送り線などの実際の形状や移動通路を示す要素とは異なり、要素に付加される、その要素のその位置における性質を示すものである。
例えば、先ピアシングオン属性が実線の始点に付加されている場合、その実線の始点位置にて先ピアシングをするという性質を示し、後のNCデータ生成の処理においてその属性位置を処理する際に特別に先ピアシングオンのNCコードを挿入するという処理の目安とされる。
従って、例えば図8の部品Aの上側の辺などは、単なる切断用の実線であり属性は何も付加されていない状態を示している。
また、例えば各早送り線はその早送り線全体に早送りを示す属性が付加されている。
属性は、実線や破線の様に画面上で認識しやすい要素のかたちで示されず、見分けが付けにくいものであるため、画面上では色で区別した点の様なかたちで付加されている様子を認識しやすく示されている。
【0026】
次に、これらの属性が自動で付加される際の処理を示すと、オペレータが示したマウスの座標位置から一定範囲内にありかつビームオン属性が付加されている実線、つまり加工線だけを検索して認識し、その実線の、ビームオン属性が付加されている側の端点座標の情報を認識してその位置に先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性が付加される。
次にステップS3にて、先ピアシング属性変更手段により、ステップS1で選択したピアス線にあるピアシング属性が、先ピアシング後のビームオン属性に変更される処理が自動で行われる。
ここで、属性が自動で変更される際の処理も示すと、前記先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性が付加される処理に続き、もともとその位置にあるピアシング属性が抹消され、別の色で区別される先ピアシング後のビームオン属性が同じ位置に付け替えられる。
ステップS4にて、先ピアシング属性を付加する操作をマウスクリックで1回行う毎に、すべて実行したかをオペレータが毎回判断し、付加したいピアス線に全て付加完了するまでステップS1からステップS3までの操作が繰り返される。そして、ステップS5にて先ピアス経路設定手段によって、すべての先ピアシング属性に対して先ピアス経路が自動で設定され、例えば図9に示す様な状態になる。
ここで、先ピアス経路が自動で設定される際の処理を示すと、図8の一番左下位置に示す様な加工スタート位置から開始して、CAD画面上に残っている経路が設定されていないすべての先ピアシング属性をコンピュータ処理上で検索し、順次、距離が一番近い順に早送り線を含めた加工経路が設定される。
【0027】
その後、従来からある経路設定手段によって、全ての図形に対して通常の切断経路が設定され、続いて図3のステップS6に示す様なNCデータ生成の処理を行う。
この処理においては、予めソフトウェア上の処理としてコンピュータメモリ上に図3に示す様な各種コードを記憶しておく手段を用意し、このビームオンオフコード記憶手段の中に、通常のピアシングコードと通常のビームオフコードの他に、先ピアシングオンコードと、先ピアシングオフコードと、先ピアシング後のビームオンコードを設定記憶してある状態が前提で、図11(b)に示す様なすべての切断経路まで設定されている中で付加されている先ピアシングオン属性や先ピアシングオフ属性や通常のピアシング属性や通常のビームオフ属性や、先ピアシング後のビームオン属性など、付加されている属性が順次自動で判断されNCデータを自動生成することができる。
【0028】
なお、既に設定されている経路の順番に沿ってたどりながらNCデータを生成する処理については従来と同じであるが、従来では、図8の様な形状を元に実行されるにおいて「早送り線」や「通常のピアシング属性」や「通常のビームオフ属性」が順次認識されるのに対し、本実施による先ピアシングでの処理においては、それ以外に「先ピアシングオン属性」や「先ピアシングオフ属性」なども新しい種類の属性として認識され、各属性の種類に応じてビームオンオフコード記憶手段から設定されているコードを呼び出し、生成されるNCデータの中に挿入する処理が行われる。
【0029】
本実施の形態によれば、先ピアシング属性を付加した際に、その位置のピアス線にあるピアシング属性がすべて自動的に先ピアシング後のビームオン属性に変更されるので、その操作忘れによる加工不良の発生などを防ぐことができるとともに、先ピアシング属性のみを先に加工経路設定する操作においても経路を設定し忘れるなどの問題を回避できる。
【0030】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態2の先ピアシング処理機能において、先ピアシング属性付加手段として、製品線選別手段と先ピアス距離算出手段と先ピアス付加判断手段を具備しているシステムの構成を示す図である。
ここで、製品線選別手段とは、ピアス線と、ピアス線以外の製品の形状を示す製品線とを区別する手段を示す。
ピアス線は前述の通り、もともと製品切断線上でピアシングを行わないために付加する線であり、ピアス線としては出来上がる切断後の製品に関係が無いため、例えばそのすぐそばでピアシングを行い飛散した溶融材料がピアス線に付着するなどの影響があっても支障が無いものであるため、その様な影響を避けなければならない製品線とは区別して扱っても構わず、この様な手段を設ける。
また、先ピアス距離算出手段とは、上記の通り影響を避ける必要の無いピアス線は無視し、影響を避けなければならない製品線だけを対象にして、その時点で対象としているビームオン属性の位置と、一番近い位置にある製品線との距離をコンピュータ上の処理で算出する手段である。
また、先ピアス付加判断手段とは、先ピアス距離算出手段の結果に基づき、あらかじめ設定しておいた距離との大小を比較し、その時点で対象としているビームオン属性に対して、比較結果が大きければ先ピアスを付加するか、比較結果が小さければ先ピアスを付加するか、あらかじめ設定しておいた方で付加するしないの判断を行う手段である。
実施の形態1による図2のステップS1とステップS2の先ピアシング属性を付加する処理において、この中のステップS1の操作をオペレータが画面を見ながら位置を指定する操作をしなくとも、図4の製品線選別手段が画面上の中のピアス線を除いた製品線だけを選別認識して抽出し、図形上のすべての各ピアス線の先端に付加されているビームオン属性の位置、つまり先ピアシングオン属性を付加する位置と、その位置から図形上の製品線までの距離を先ピアス距離算出手段が算出し、各点から一番近い距離における製品線までの距離を求める。
【0031】
次に、先ピアス付加判断手段にて、予め設定登録しておいた判定距離と前記各点における製品線までの最短距離とを比較し、予めオペレータが設定しておいた通りに、判定距離より短い位置の点すべてに一括して自動で先ピアシング属性付加するとか、判定距離より長い位置の点にだけすべて一括して自動で先ピアシング属性を付加するなどの処理を行う。
先ピアシング属性を付加した後の動作に関しては、実施の形態1と同様である。
【0032】
本実施の形態によれば、切断線との距離を自動で判断し、先ピアシング属性を付加して良い距離においてのみ付加する動作が実行できるので、操作における目測上の判断ミスによる付け間違えなどを回避できる。
【0033】
実施の形態3.
図5は、本実施の形態3の先ピアシング処理機能において、先ピアシング後挿入コード挿入手段として、ソフトウェア上の処理としてコンピュータメモリ上に図5に示す様な各種コードを記憶しておく手段である先ピアシング後挿入コード記憶手段を具備しているシステムの構成を示す図である。
図5のステップS6に示す様なNCデータ生成の処理を行うにあたり、予め先ピアシング後挿入コード記憶手段に先ピアシング後挿入コードを記憶させておき、NCデータを生成する際に、先ピアシングオフ属性部分を処理した後早送り線を経て次の早送り以外の加工を行う指令を生成する部分において、それが先ピアシングオン属性でない場合は、そこで先ピアシングの加工が終わりそれ以降は通常の切断処理に入ると判断できるため、先ピアシング後挿入コード挿入手段がこの判断処理を行い、その指令の前に先ピアシング後挿入コードを自動的に挿入する。
【0034】
本実施の形態によれば、NCデータ生成時に、先ピアシング加工終了後のアシストガス切り替え指令などの挿入をし忘れる問題を回避できる。
【0035】
なお上述した各実施の形態では、主に、レーザ加工機に使用する事例で説明したが、本発明を実施する場合には、ウォータジェット、プラズマ切断機等の複数個の製品を切り抜き切断加工した加工済板材のスクラップ処理する加工データつまりNCデータ生成用のCAM装置に使用できる。
また、加工用データを生成する自動プログラミング装置として説明したが、本発明を実施する場合には、専用のCAD上でも、市販のパソコンOSで操作できるCAD上でも適用できる。
即ち、専用機及び市販のパソコンOSで操作できるCAD/CAM装置、自動プログラミング装置およびソフトウェアとして使用することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係るCAD/CAM装置は、先ピアシング属性を付加した際に、その位置のピアス線にあるピアシング属性がすべて自動的に先ピアシング後のビームオン属性に変更されるので、その操作忘れによる加工不良の発生などを防ぐことができるとともに、先ピアシング属性のみを先に加工経路設定する操作においても経路を設定し忘れるなどの問題を回避できる。
【0037】
また、本発明に係るCAD/CAM装置は、切断線との距離を自動で判断し、先ピアシング属性を付加して良い距離においてのみ付加する動作が実行できるので、操作における目測上の判断ミスによる付け間違えなどを回避できる。
【0038】
さらに、NCデータ生成時に、先ピアシング加工終了後のアシストガス切り替え指令などの挿入をし忘れる問題を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1で、レーザ加工機用のCAD/CAM装置として使用されている事例の構成を示すブロック図である。
【図2】 製品図形の配置処理が行われた後の、本実施の形態の処理を示すフローチャートである。
【図3】 本実施の形態のNCデータ生成の処理を示すフローチャートである。
【図4】 先ピアシング属性付加手段として、製品線選別手段と先ピアス距離算出手段と先ピアス付加判断手段を具備しているシステムの構成を示す図である。
【図5】 先ピアシング後挿入コード挿入手段として、先ピアシング後挿入コード記憶手段を具備しているシステムの構成を示す図である。
【図6】 従来における図形データの作成要領を示す図である。
【図7】 従来における製品図形配置例の説明図である。
【図8】 切断の順番を数字で示してある例を示す図である。
【図9】 先ピアシング動作だけの加工経路順を先に設定した例を示す図である。
【図10】 先ピアシングを終えた後通常の切断動作を開始する位置まで戻る経路を設定した例を示す図である。
【図11】 先ピアシングを行う場合と行わない場合との、生成されるNCデータの比較例を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU、2 メモリ、3 プリンタ、4 ディスプレイ、5 キーボード、6 マウス、7 外部記憶装置、9 バス。
Claims (3)
- 各製品の形状を定義した図形データを部品として入力し、板材より該部品を切り抜くNCデータを生成するCAD/CAM装置において、
各部品における切断開始位置、ピアシング属性、切断経路等の部品配置済みデータが予め設定記憶される記憶手段と、
上記部品配置済みデータにおけるピアシング動作のみを一括して行うべく先ピアシング位置を指定する先ピアシング指定手段と、
この先ピアシング指定手段により指定された位置に対して先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性とを付加する先ピアシング属性付加手段と、
上記先ピアシング指定手段により指定された位置に付属していた通常のピアシング属性を抹消し、同じ位置に先ピアシング後のビームオン属性を付加するピアシング属性変更手段と、
上記先ピアシングオン属性と先ピアシングオフ属性とが付加されている位置だけを先に切断経路設定する先ピアス経路設定手段と、
通常のピアシングコードと、通常のビームオフコードと、先ピアシングオンコードと、先ピアシングオフコードと、先ピアシング後のビームオンコードとを記憶するビームオンオフコード記憶手段と、
通常のピアシング属性と、通常のビームオフ属性と、先ピアシングオン属性と、先ピアシングオフ属性と、先ピアシング後のビームオン属性との、付加されている各属性の種類に応じて、前記ビームオンオフコード記憶手段にて記憶されているコードを呼び出しNCデータを生成するNCデータ生成手段と、
を具備することを特徴とするCAD/CAM装置。 - 各部品におけるピアス線も含めた切断線のうち、ピアス線と、ピアス線以外の製品の形状を示す製品線とを区別する製品線選別手段と、
この製品線選別手段により、先ピアシングオン属性を付加する位置から製品線までの距離を算出し、一番近い距離を求める先ピアス距離算出手段と、
予め設定しておく指定距離以内に製品の形状線があるかどうかを判断する先ピアス付加判断手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のCAD/CAM装置。 - 先ピアシング後挿入コードをあらかじめ設定記憶しておく、先ピアシング後挿入コード記憶手段と、
NCデータの生成時、先ピアシングオフ属性部分を加工後、早送り線を経て次の早送り以外の加工を行う指令を生成する部分が、先ピアシングオン属性でない場合に、その指令の前に先ピアシング後挿入コードを挿入する先ピアシング後挿入コード挿入手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1または2の何れかに記載のCAD/CAM装置。
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