JP6292640B2 - 臓器保存液 - Google Patents

臓器保存液 Download PDF

Info

Publication number
JP6292640B2
JP6292640B2 JP2016523103A JP2016523103A JP6292640B2 JP 6292640 B2 JP6292640 B2 JP 6292640B2 JP 2016523103 A JP2016523103 A JP 2016523103A JP 2016523103 A JP2016523103 A JP 2016523103A JP 6292640 B2 JP6292640 B2 JP 6292640B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heart
preservation solution
transplanted
organ
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016523103A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015182019A1 (ja
Inventor
田中 徹
徹 田中
元夫 中島
元夫 中島
麗 太田
麗 太田
秀典 伊東
秀典 伊東
康 梨井
康 梨井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Center for Child Health and Development
SBI Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
National Center for Child Health and Development
SBI Pharmaceuticals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Center for Child Health and Development, SBI Pharmaceuticals Co Ltd filed Critical National Center for Child Health and Development
Publication of JPWO2015182019A1 publication Critical patent/JPWO2015182019A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6292640B2 publication Critical patent/JP6292640B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts
    • A01N1/0205Chemical aspects
    • A01N1/021Preservation or perfusion media, liquids, solids or gases used in the preservation of cells, tissue, organs or bodily fluids
    • A01N1/0226Physiologically active agents, i.e. substances affecting physiological processes of cells and tissue to be preserved, e.g. anti-oxidants or nutrients
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N1/00Preservation of bodies of humans or animals, or parts thereof
    • A01N1/02Preservation of living parts

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physiology (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)

Description

本発明は臓器保存液、より詳しくはL−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸リン酸エステルが配合されてなる臓器保存液に関する。
臓器保存液は、臓器移植の際、切除した臓器を灌流・浸漬するための液体として知られている。生体内の臓器は長時間血流が途絶えると壊死に陥るため、移植のために摘出した臓器を長時間輸送するための様々な方法が開発されてきたが、その中で最も臨床的に応用されているのは単純冷却法である。主にこの単純冷却法に使われるのが臓器保存液である。摘出された臓器は臓器保存液で灌流され、摘出後に同様の冷却した臓器保存液により浸漬されることで壊死を予防する。
現在の臓器移植の臨床現場において一般的に使用されている臓器保存液は、ウィスコンシン大学液(University of Wisconsin:UW液/腎臓・肝臓・膵臓等)、ユーロコリンズ液(Euro-Collins:EC液/腎臓)、Celsior(登録商標/心臓)、ラクトリンゲル液(肺)、ヒスチジン−トリプトファン−ケトグルタル酸液(Histidine-tryptophan-ketoglutarate:HTK液/肝臓・心臓・膵臓・腎臓・小腸)、ET-Kyoto液等である。緩衝液として働くほか、凍結による細胞の膨張を防ぐために糖を添加する、あるいは抗酸化剤を添加することにより、虚血再灌流障害の発生を防ぐなどの工夫がなされている。
ここで虚血再灌流障害とは、虚血状態にある臓器、組織に血液再灌流が起きた際に、その臓器・組織内の微小循環において種々の毒性物質の産生が惹起され引きおこされる障害であり、臓器移植後にみられることが多い。障害を引きおこす機序として、スーパーオキサイド(O )やハイドロキシルラジカル(HO・)等の活性酸素や一酸化窒素(NO)等のフリーラジカル産生による障害、各種サイトカイン、エンドセリン、アラキドン酸など各種ケミカルメディエータ産生による障害、活性化好中球と血管内皮細胞の相互作用に基づく障害などの機序が考えられている。
アスコルビン酸は強力な抗酸化剤であることから、移植臓器へのダメージの一因である虚血再灌流障害時に発生する活性酸素を除去するために有用であると考えられている。しかし、アスコルビン酸は自動酸化により急速に消失する(例えば、非特許文献1参照)ため、臓器保存液の組成物としては使われず、アスコルビン酸2−グルコシドと呼ばれる酸化還元反応に関与する部位をグルコースの結合によりマスクした安定型アスコルビン酸をin vitroで添加した知見(例えば、非特許文献2参照)がある。なお、アスコルビン酸2−グルコシドは細胞内に入らないと効果がないプロドラッグであり、実際に摘出臓器の保存に用いた場合、臓器の保存効果が得られるとは限らない。
一方、細胞培養の培地へ特定の濃度比でアスコルビン酸とアスコルビン酸リン酸を添加することで、安定的にアスコルビン酸を存在させることができることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)が、あくまでこの結果は細胞培養時にアスコルビン酸が安定して存在することを示すのみであり、摘出した臓器が長くその機能を保持できるかどうかは示されていない。
また、システイン(例えば、非特許文献4及び5参照)やグリシン(例えば、非特許文献6及び7参照)を含む臓器保存液や、日本では比較的頻繁に使われているトレハロースを含む臓器保存液ET-KYOTO(例えば、非特許文献8)にさらにプロテアーゼ阻害剤を含むM-KYOTOが知られている。
その他臓器保存液として、特定のフラボノイド配糖体を含む臓器保存液(特許文献1)、肝細胞増殖因子(HGF)を含有する臓器保存用溶液(特許文献2)、レシチン化スーパーオキシドジスムターゼを含有する臓器保存液(特許文献3)、高含有量で硫酸塩を、低含有量で塩素を含む臓器の保存用溶液(特許文献4)、平均分子量50万〜65万のヒドロキシエチル澱粉を含有し、カリウムイオンとナトリウムイオンのモル比が0.4〜0.8、pH値が7.1〜7.5、浸透圧が280〜330mOsm/L、粘度が1.8〜2.5cpである臓器保存液(特許文献5)、D−アロース等の希少糖を含有する保存液(特許文献6)などが知られている。
特開2009−221128 特開2005−306749 特開2002−60301 特開平10−245301 特開平9−328401 WO2005/115141
Free Radic Res Commun. 1986; 1(6): 349-53. Cell Transplant. 2003; 12(6): 599-606.I In Vitro Cell. Dev. Biol.--Animal 37: 26-30, January 2001 Transplant Proc. 2011 Oct; 43(8): 2897-9 J Heart Lung Transplant. 2005 Sep; 24(9): 1369-77. Transplantation. 2003 Mar 15; 75(5): 591-8. Transpl Int. 1994 May;7(3): 195-200 Yonsei Med J. 2004 Dec 31; 45(6): 1107-14.
本発明の課題は、全阻血時間の延長による虚血再灌流障害の発生を効果的に防止することのできる臓器保存液を提供することにある。
本発明者らは、前述の従来提案されている臓器保存液に添加されている各成分についてその組合せ等について試行錯誤を重ね、L−アスコルビン酸及びL−アスコルビン酸リン酸エステルに加え、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウム、さらに塩化カリウムとD−グルコースが配合され、さらにまたグリシンやL−システインや鉄化合物が配合された臓器保存液が、現状用いられている臓器保存液に比べて虚血再灌流障害の発生防止の点で優れていることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の事項に特定されるものである。
(1)塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、及びD−グルコースの配合物を含有する臓器保存液。
(2)配合物が、さらにグリシンを含むことを特徴とする上記(1)記載の臓器保存液。
(3)配合物が、さらにL−システインを含むことを特徴とする上記(2)記載の臓器保存液。
(4)配合物が、さらに鉄化合物を含むことを特徴とする上記(3)記載の臓器保存液。
(5)配合物におけるL−アスコルビン酸濃度が0.2〜0.3mMであり、L−アスコルビン酸リン酸エステル濃度が0.4〜0.5mMであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の臓器保存液。
(6)配合物におけるリン酸水素二ナトリウム濃度が35〜50mMであり、リン酸二水素ナトリウム濃度が12〜18mMであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか記載の臓器保存液。
(7)浸透圧が326〜363mOsm/kgになるまでD−グルコースが配合されていることを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれか記載の臓器保存液。
(8)配合物におけるグリシン濃度が5〜15mMであることを特徴とする上記(2)〜(7)のいずれか記載の臓器保存液。
(9)配合物におけるL−システイン濃度が0.5〜0.7mMであることを特徴とする上記(3)〜(8)のいずれか記載の臓器保存液。
(10)鉄化合物が、硫酸第一鉄であることを特徴とする上記(4)〜(9)のいずれか記載の臓器保存液。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか記載の臓器保存液を用いて臓器を保存する方法。
本発明の臓器の保存液に移植用臓器を浸漬することで、全阻血時間の延長による虚血再灌流障害の発生を効果的に防止することができる。
HTK液、EC液、UW液及び保存液(a)〜(c)の各保存液のいずれかに24時間浸漬した心臓を異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した結果を示すグラフである。 HTK液、EC液及び保存液(a)〜(c)の各保存液のいずれかに48時間浸漬した心臓を異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した結果を示すグラフである。 UW液、保存液(d)3及び保存液(d)6の各保存液のいずれかに24時間浸漬した心臓を異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した結果を示すグラフである。 UW液、保存液(d)3及び保存液(d)6の各保存液のいずれかに24時間浸漬した心臓を異所性心臓移植した各マウス個体について、移植後の経過日数と心臓生着率の関係を示すグラフである。 UW液、保存液(d)3、保存液(d)6、及び保存液(d)7の各保存液のいずれかに48時間浸漬した心臓を異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した結果を示すグラフである。 UW液、保存液(d)3、保存液(d)6、及び保存液(d)7の各保存液のいずれかに48時間浸漬した心臓を異所性心臓移植した各マウス個体について、移植後の経過日数と心臓生着率の関係を示すグラフである。 異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植された心臓の拍動が開始されるまでの時間を示すグラフである。 異所性心臓移植をした各マウスの血清中のLDH及びCPKの産生量を示すグラフである。 移植された心臓の生着率を示すグラフである。 摘出及び又は移植された心臓の、ATP量を示すグラフである。 TTC染色された移植心臓切片を示す。 (上段のグラフ)血管周囲領域に対する血管周囲浮腫領域の割合を示す。(下段の写真)H/E(ヘマトキシリン/エオシン)染色をされた移植心臓切片を示す。 抗CD68抗体(clone: FA-11, BioLegend社製)を用いて酵素抗体法により、青紫に染色された移植心臓切片を示す。 TUNEL染色された移植心臓切片を示す。 移植心臓切片におけるアポトーシスを起こした細胞の割合を示すグラフである。 抗8−OHdG抗体で酵素抗体法にて染色し、同時に核を青く染めるヘマトキシリンによっても染色された移植心臓切片を示す。 移植された心臓の全細胞中の8−OHdG陽性細胞の割合を示すグラフである。 異所性心臓移植をした各マウスの血清中の8−OHdG量を示すグラフである。 マウスの移植された心臓について、組織を破砕し定量的RT−PCRを行った際の、各種炎症・酸化ストレスマーカー関連遺伝子のmRNAの発現量を示すグラフである。各グラフのバーは左から、Naive、Fresh、HTK−48hr−POH24、c−48hr−POH24を表す。
本発明の臓器保存液としては、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、及びD−グルコースの各成分の配合物を含む臓器保存液(a)や、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、グリシン、及びD−グルコースの各成分の配合物を含む臓器保存液(b)や、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−システイン、グリシン、及びD−グルコースの各成分の配合物を含む臓器保存液(c)や、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−システイン、グリシン、鉄化合物、及びD−グルコースの各成分の配合物を含む臓器保存液(d)であれば特に制限されず、本発明の臓器保存液は、蒸留水等に上記各成分を添加・溶解した配合物として調製することができる。また、各成分の配合濃度は、移植用臓器の保存液として本発明の課題を達成することができる範囲であれば特に限定されない。
上記成分の内、無機塩は電離して溶液中に存在することから、本発明の臓器保存液(a)は、塩化物イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、HPO 2−、HPO 、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、及びD−グルコースを含み、臓器保存液(b)は、塩化物イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、HPO 2−、HPO 、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、グリシン、及びD−グルコースを含み、臓器保存液(c)は、塩化物イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、HPO 2−、HPO 、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−システイン、グリシン、及びD−グルコースを含み、臓器保存液(d)は、塩化物イオン、カリウムイオン、ナトリウムイオン、HPO 2−、HPO 、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−システイン、グリシン、鉄イオン、及びD−グルコースを含むことになる。
例えば、配合物における塩化カリウムの濃度としては、5〜25mM、好ましくは10〜20mM、より好ましくは13〜17mMを好適に例示することができる。すなわち、配合物における塩化物イオンやカリウムイオンの濃度としては、5〜25mM、好ましくは10〜20mM、より好ましくは13〜17mMを好適に例示することができる。
配合物におけるリン酸水素二ナトリウムの濃度としては、25〜60mM、好ましくは35〜50mM、より好ましくは40〜45mMを好適に例示することができる。すなわち、配合物におけるHPO 2−の濃度としては、25〜60mM、好ましくは35〜50mM、より好ましくは40〜45mMを好適に例示することができる。また、配合物におけるリン酸二水素ナトリウムの濃度としては、10〜20mM、好ましくは12〜18mM、より好ましくは14〜16mMを好適に例示することができる。すなわち、HPO の濃度としては、10〜20mM、好ましくは12〜18mM、より好ましくは14〜16mMを好適に例示することができる。そして、配合物におけるナトリウムイオンの濃度としては、35〜80mM、好ましくは47〜68mM、より好ましくは54〜61mMを好適に例示することができる。
リン酸水素二ナトリウムと塩化カリウムの濃度比は4:1〜2:1が好ましい。また、リン酸二水素ナトリウムと塩化カリウムの濃度比は1:2〜2:1が好ましい。そして、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの濃度比は4:1〜2:1が好ましい。
配合物におけるL−アスコルビン酸の濃度としては、0.1〜0.5mM、好ましくは0.2〜0.4mM、より好ましくは0.2〜0.3mMを好適に例示することができる。また、L−アスコルビン酸と塩化カリウムの濃度比は1:50〜1:70が好ましい。
配合物におけるL−アスコルビン酸リン酸エステルの濃度としては、0.3〜0.6mM、好ましくは0.4〜0.5mM、より好ましくは0.43〜0.47mMを好適に例示することができる。また、L−アスコルビン酸リン酸エステルと塩化カリウムの濃度比は1:25〜1:40が好ましい。そして、L−アスコルビン酸とL−アスコルビン酸リン酸エステルの濃度比は1:1〜1:3が好ましい。
配合物におけるグリシンの濃度としては、3〜20mM、好ましくは5〜15mM、より好ましくは8〜12mMを好適に例示することができる。また、グリシンと塩化カリウムの濃度比は1:1〜1:2が好ましい。
配合物におけるL−システインの濃度としては、0.3〜0.9mM、好ましくは0.5〜0.7mM、より好ましくは0.60〜0.65mMを好適に例示することができる。また、L−システインと塩化カリウムの濃度比は1:20〜1:25が好ましい。
配合物におけるD−グルコースの配合濃度としては、臓器保存液の浸透圧が、270〜450mOsm/kg、好ましくは300〜390mOsm/kg、より好ましくは326〜363mOsm/kgを好適に例示することができる。
配合物における鉄化合物としては、有機塩でも無機塩でもよく、無機塩としては、塩化第二鉄、三二酸化鉄、硫酸第一鉄、ピロリン酸第一鉄を挙げることができ、有機塩としては、カルボン酸塩、例えばヒドロキシカルボン酸塩である、クエン酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄アンモニウム等のクエン酸塩や、ピロリン酸第二鉄、乳酸鉄、グルコン酸第一鉄、ジエチレントリアミン五酢酸鉄ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸鉄アンモニウム、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸鉄アンモニウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄ナトリウム、ジカルボキシメチルグルタミン酸鉄アンモニウム、フマル酸第一鉄、酢酸鉄、シュウ酸鉄、コハク酸第一鉄、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム等の有機酸塩や、ヘム鉄、デキストラン鉄、トリエチレンテトラアミン鉄、ラクトフェリン鉄、トランスフェリン鉄、鉄クロロフィリンナトリウム、フェリチン鉄、含糖酸化鉄、硫化グリシン鉄を挙げることができるが、中でも硫酸第一鉄が好ましい。鉄化合物の濃度、すなわち鉄イオン濃度としては、0.1μM〜10mM、好ましくは0.5μM〜5mMを挙げることができる。
本発明の臓器保存液には、上記各成分の他、水、生理食塩水、各種緩衝剤、ビタミン類、5−アミノレブリン酸、糖類、プロテアーゼ阻害剤、フラボノイド配糖体、肝細胞増殖因子(HGF)、レシチン化スーパーオキシドジスムターゼ、ヒドロキシエチル澱粉、抗酸化剤、抗炎症性サイトカイン、制御性T細胞、単球、樹状細胞、マクロファージ等を適宜配合することができる。
本発明の臓器保存液のpHとしては、pH6〜8、好ましくはpH6.5〜7.5、より好ましくはpH7付近である。また本発明の臓器保存液は通常0℃付近で使用される。本発明の臓器保存液に臓器を浸漬する時間すなわち冷虚血(冷阻血時間)は、48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内であるが、浸漬時間が24〜48時間であっても、虚血再灌流障害の発生を効果的に防止することができる。
本発明の臓器保存液の適用対象となる臓器としては、移植を行うことができる臓器であれば特に制限されず、ドナーから摘出した臓器のみならず、in vitroで作製した移植片や細胞、再生医療技術により人工的に構築した組織・臓器の他、万能細胞から作製された臓器等でもよい。また、臓器の種類としては、腎臓、肝臓、心臓、膵臓、肺、小腸、眼球、角膜、毛髪、皮膚等を例示することができるが、中でも、腎臓、肝臓、心臓、膵臓、肺、小腸を好適に例示することができる。
本発明の臓器保存液を用いての臓器移植は、常法により行うことができ、ドナー等から提供された臓器を本発明の臓器保存液に浸漬した後、レシピエントの対応臓器を取り除いてレシピエントにおける同じ場所に移植する同所性臓器移植であっても、ドナー等から提供された臓器を、レシピエントの臓器を残したままでレシピエントの別の部位に移植する異所性臓器移植であってもよい。
本発明の臓器保存液を用いての臓器移植におけるドナー及び/又はレシピエントとしては、ヒト、ヒヒ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等の哺乳動物を挙げることができ、かかる臓器移植の態様としては、ドナーからレシピエントへの臓器の移植が可能な態様であれば特に制限されないが、マウスからマウスへ、ラットからラットへ、ウサギからウサギへ、イヌからイヌへ、ネコからネコへ、ブタからブタへ、サルからサルへ、ヒヒからヒヒへ、ヒトからヒトへ等の同種臓器移植や、ブタからヒトへ、ウシからヒトへ、サルからヒトへ、ヒヒからヒトへ等の異種臓器移植を挙げることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
(保存液の調製)
新規に調製された3種類の臓器保存液(保存液(a)〜保存液(c))を検討対象とした。蒸留水に添加・溶解した成分の詳細を以下の表1に示す。これらの保存液に、従来品の保存液において規定されている最大阻血許容時間を超えて、移植用臓器を浸漬した場合に、移植後に臓器の機能が維持できるか否かについて検討した。具体的には、上記3種類の保存液に浸漬したドナーマウスの心臓が、同系統マウスに移植された場合に、移植後再拍動を開始するまでの時間を指標とした。周知の現行品としてユーロコリンズ液(EC液)、ヒスチジン−トリプトファン−ケトグルタル酸液(HTK液)、ウィスコンシン大学液(University of Wisconsin:UW液)の保存液3種類を比較検討のため用いた。これら3種類の現行品の成分の詳細を以下の表2に示す。
(マウス異所性心臓移植1)
移植する心臓を提供するドナーマウス、及びドナーマウスから摘出した心臓を移植するレシピエントマウスとして、C57BL/6NCrSlc((H−K)系統のマウス(雄、6〜10週齢)を用いた。マウス異所性心臓移植の手術の手順は、Wuら(European Heart Journal (2011) 32, 509-516)の記載を参考としたが、以下に概要を示す。
ドナーマウスを麻酔後に胸郭を開き、心臓の上大静脈を結紮し、腕頭動脈を切断した。ヘパリン生理食塩水(100IU/mL)1mLを用いて潅流した後、上記表1に記載されている各保存液(a)〜(c)又は上記表2に記載されている比較検討用の現行品の3種類の保存液1mLを、それぞれ各ドナーマウスの下大静脈から潅流し、腕頭動脈から排出させた。各ドナーマウスの下大静脈を結紮後、上行大動脈と肺動脈とを切断し、他のすべての血管を結紮した。引き続いてドナーマウスの摘出心臓は、上記保存液(a)〜(c)及び表2に記載されている3種類の現行品の各保存液15mLのいずれかに0℃にて24時間浸漬した。
上記各保存液に浸漬されたドナーマウスの摘出心臓はレシピエントマウスへ移植された。全身麻酔下においてレシピエントマウスの腹部が開かれた後、ドナーマウスの摘出心臓の上行大動脈はレシピエントマウスの腹部大動脈へ吻合され、ドナーマウスの下大静脈はレシピエントマウスの下大静脈に吻合し、手術を完了した。臓器移植時の温虚血の時間は、40分に統一された。
(異所性心臓移植された心臓の再拍動時間1)
上記各保存液に24時間浸漬後の摘出心臓について、異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植された心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した。これ以降拍動が開始されたか否かは触診により判断する。結果を図1に示す。
(結果1)
図1より明らかなとおり、UW液の再拍動開始時間は240秒程度で、現行品3種類のうち再拍動開始時間が最短であった一方で、保存液(c)の再拍動開始時間は100秒程度であり、UW液の半分以下の時間に短縮された。また、塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム・12水和物、リン酸二水素ナトリウム・2水和物、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩n水和物、L−システイン塩酸塩1水和物、グリシン、D(+)−グルコースを含む保存液(c)からL−システイン塩酸塩1水和物を除いた保存液(b)はUW液と同等程度の再拍動開始時間であった。保存液(c)から、L−システイン塩酸塩1水和物並びにグリシンを除いた保存液(a)もEC液よりも再拍動開始時間が短縮した。したがって、保存液(a)〜(c)のいずれの保存液に移植臓器を浸漬した場合であっても、現行品である、HTK液、EC液、UW液の3種類を用いる場合と比較して、再拍動開始時間が短縮したことが確認され、臓器の血流が止まってから臓器を移植した後、血流が再開できるまでの時間である臓器の最大阻血許容時間が現行品を用いて保存を行う場合よりも長くなることが示唆された。
(マウス異所性心臓移植2)
各保存液への浸漬時間を48時間とし、比較検討のため現行品のHTK液、EC液を用いた他は、上記実施例1(マウス異所性心臓移植1)の手順にしたがい、マウス異所性心臓移植を行った。異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植された心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した。結果を図2に示す。
(結果2)
図2より明らかなとおり、HTK液、EC液ともに再拍動開始時間は1500秒以上であった一方で、保存液(a)の再拍動開始時間は500秒程度であり、保存液(b)の再拍動開始時間は1250秒程度であり、保存液(c)の再拍動開始時間は600秒程度であった。したがって、保存液(a)〜(c)のいずれも現行品と比較して、高い再拍動開始時間短縮効果を示した。しかしながら、浸漬時間を48時間とした場合、レシピエントマウスの死亡率は高くなった。
(マウス異所性心臓移植3)
上記保存液(c)に硫酸鉄(II)を添加した保存液(d)を鉄添加シリーズ保存液として、さらに調製し検討を続けた。各保存液の成分の詳細を以下の表3に示す。
鉄添加シリーズ保存液として、保存液(d)3及び保存液(d)6を用い、比較検討のため現行品のUW液を用いた他は、上記実施例1(マウス異所性心臓移植1)の手順にしたがい、マウス異所性心臓移植を行った。24時間保存液に浸漬後、異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した。結果を図3に示す。
さらに、上記異所性心臓移植をしたマウス個体について、心臓の移植後、異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓が停止するまでの時間について計測した。結果を図4に示す。
(結果3−1)
図3からも明らかなとおり、現行品のUW液の再拍動開始時間は230秒程度であった一方で、保存液(d)3の再拍動開始時間は12秒、保存液(d)6の再拍動開始時間は約144秒であり、現行品UW液と比較して、有意に再拍動開始時間短縮効果を示した。とりわけ保存液(d)3は、上記実施例1における保存液(c)よりもさらに高い再拍動開始時間短縮効果を示した。
(結果3−2)
上記のように、24時間冷保存液に浸漬した後に心臓を移植し、その後心臓が生着しているかを心臓が拍動しているかどうかを触診することで判断し、拍動が停止していることを確認した日を心臓脱落日とした。すなわち、上記異所性心臓移植をしたマウス個体について、移植心臓が拍動停止するまでの時間について計測した。図4からわかるように、保存液(d)3及び保存液(d)6は、UW液と同様に、心臓の生着を確認することができた。
(マウス異所性心臓移植4)
鉄添加シリーズ保存液として、保存液(d)3、保存液(d)6、保存液(d)7を用い、比較検討のため現行品のUW液を用い、各保存液への浸漬時間を48時間とした他は、上記マウス異所性心臓移植1の手順にしたがい、マウス異所性心臓移植を行った。異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した。結果を図5に示す。
さらに、上記異所性心臓移植をしたマウス個体について、移植心臓が停止するまでの時間について、実施例3と同様に、計測した。結果を図6に示す。
(結果4−1)
UW液において、移植心臓の再拍動が開始された個体はなかった。各保存液における再拍動開始時間は、保存液(d)3が260秒程度、保存液(d)6が90秒程度、保存液(d)7が820秒程度でいずれも移植心臓の再拍動が起こった。
(結果4−2)
UW液に浸漬した摘出心臓を移植したマウスは、再拍動がなかった;
保存液(d)3に浸漬した摘出心臓を移植したマウス(n=5)では、長期拍動マウスがあった。より詳細には、初日(0日)に2匹、1日目に1匹、2日目に1匹の移植心臓が拍動停止したが、60日経過時点で移植心臓が拍動を続ける個体が1匹あった;
保存液(d)6に浸漬した摘出心臓を移植したマウス(n=1)では、長期拍動マウスがあった。より詳細には、60日経過時点で移植心臓が拍動を続ける個体が1匹あった;
保存液(d)7に浸漬した摘出心臓を移植したマウス(n=6)では、長期拍動マウスがあった。より詳細には、7日目に1匹の移植心臓が拍動停止したが、30日経過時点で移植心臓が拍動を続ける個体が5匹あった;
これ以降、HTKをコントロールとして、上記保存液(c)について、さらに検討した。
(マウス異所性心臓移植5)
保存液として、保存液(c)又はHTK液を用い、ドナーマウスからの摘出心臓が24時間又は48時間保存液に浸漬されたことの他は、上記実施例1(マウス異所性心臓移植1)の手順で、マウス異所性心臓移植の手術を完了し、異所性心臓移植を行ったマウスを調製した。
(異所性心臓移植された心臓の再拍動時間2)
異所性心臓移植をした各マウス個体について、移植された心臓の拍動が開始されるまでの時間を測定した。なお、すべての再拍動は30分以内に計測した。再灌流後30分経っても拍動を開始しない場合、1800秒とカウントした。結果を図7(a)(b)に示す。
(結果5)
図7からも明らかなとおり、摘出心臓の保存液への浸漬時間が24時間(図7(a)参照)及び48時間(図7(b)参照)のいずれの場合でも、摘出心臓をHTK液に浸漬したよりも、摘出心臓を保存液(c)に浸漬した方が、レシピエントマウスに移植された心臓の再拍動を開始するまでの時間が短かった。浸漬時間が24時間の場合、保存液(c)に浸漬した移植心臓の再拍動開始時間(約100秒)は、HTK液に浸漬した移植心臓の再拍動開始時間(約300秒)の約3分の1であり、浸漬時間が48時間の場合、保存液(c)に浸漬した移植心臓の再拍動開始時間(約600秒)は、HTK液に浸漬した移植心臓の再拍動開始時間(約1500秒)の約5分の2であった。
(マウス異所性心臓移植6)
上記実施例5(マウス異所性心臓移植5)と同様の手順で、手術を完了し、異所性心臓移植を行ったマウスを調製した。
(移植直後の急性炎症抑制効果の検討)
以下の各マウスについて、検討を行った。
(1)保存液(c)に24時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス (c−24hr−POH24);
(2)保存液(c)に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス (c−48hr−POH24);
(3)HTK液に24時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス (HTK−24hr−POH24);
(4)HTK液に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス (HTK−48hr−POH24);
(以下、上記4種類のマウスをまとめて「(1)〜(4)のマウス」ということがある。)
さらに、以下のマウスをコントロールとして調製した。
(5)摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植し手術完了から24時間経過したマウス (Fresh);
(6)移植手術をしていないマウス(Naive);
上記各マウスについて、各々のマウスから採血し、血清を抽出した。得られた各血清について、細胞への傷害の指標として用いられるCPK(クレアチンフォスフォキナーゼ)とLDH(乳酸脱水素酵素)の量を測定した。CPKは富士ドライケムスライドCPK−PIII(FUJIFILM社製)、LDHは富士ドライケムスライドLDH−PIII(FUJIFILM社製)を用いて測定した。結果を図8に示す。
(結果6)
図8からも明らかなとおり、血清中のLDHの産生量については、c−48hr−POH24が、HTK−48hr−POH24よりも有意に少なかった(図8(a)参照)。また、血清中のCPKの産生量についても、c−48hr−POH24は、HTK−48hr−POH24よりも少なかった(図8(b)参照)。c−24hr−POH24と、HTK−24hr−POH24とでは、血清中のLDHの産生量やCPKの産生量に差は生じなかった。以上の結果より、保存液に48時間浸漬した場合には、保存液(c)に浸漬した心臓を異所移植したマウスにおいては、HTK液に浸漬した心臓を異所移植したマウスよりも、血清中のLDHの産生が有意に抑制され、また、血清中のCPKの産生も抑えられることが確認された。
(移植された心臓の長期生着率効果の検討)
上記(1)〜(4)のマウス、及び、摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植し手術完了から24時間経過したマウス(fresh)の各マウスについて、移植した心臓がいつまで生着するかを確認した。移植心臓の拍動を触診により確認し、拍動が停止していたら機能停止により臓器が脱落した(生着しなかった)とみなした。最初の2週間は毎日触診確認し、その後2.5か月は週に2回触診確認した。結果を図9に示す。
(結果7)
図9から明らかなとおり、保存液(c)に24時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(c−24hr(n=4))は術後60日目において100%生着していたのに対し、HTKに24時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(HTK−24hr(n=7))の生着率は50%強にとどまった。また、保存液(c)に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(c−48hr(n=4))は60日後でも50%が生着していたのに対し、HTK液に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(HTK−48hr(n=0))は初日(0日)にすべての移植心臓が脱落した。以上の結果より、浸漬時間が24時間及び48時間のいずれにおいても、保存液(c)に浸漬された心臓の方が、HTK液に浸漬された心臓よりも、長期生着率が高いことが確認された。
(移植心臓のATP量上昇効果の検討)
上記実施例1(マウス異所性心臓移植1)の手順にしたがって調製された摘出心臓について、ATP量上昇効果についての検討を行った。
1)保存液(c)に24時間浸漬された摘出心臓(移植せず)
(c−24hr−w/o OPE);
2)保存液(c)に48時間浸漬された摘出心臓(移植せず)
(c−48hr−w/o OPE);
3)HTK液に24時間浸漬された摘出心臓(移植せず)
(HTK−24hr−w/o OPE);
4)HTK液に48時間浸漬された摘出心臓(移植せず)
(HTK−48hr−w/o OPE);
5)保存液(c)に48時間浸漬された摘出心臓をマウスに移植し、移植手術完了から24時間経過した移植心臓 (c−48hr−POH24);
6)HTK液に48時間浸漬された摘出心臓をマウスに移植し、移植手術完了から24時間経過した移植心臓 (HTK−48hr−POH24);
7)摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植し、移植手術完了から24時間経過した移植心臓 (fresh);
8)切除したばかりの心臓であって、移植していないマウスの心臓 (naive);
上記各心臓からAMERIC−ATPキット(Cat.632−23881和光純薬社製)によりATPを抽出し、その量を各群比較した。結果を図10に示す。
(結果8)
図10から明らかなとおり、c−24hr−w/o OPEから抽出されたATP量は、HTK−24hr−w/o OPEから抽出されたATP量よりも少なかった。一方、c−48hr−w/o OPEから抽出されたATP量と、HTK−48hr−w/o OPEから抽出されたATP量とにおいて、有意な差はなかった。c−48hr−POH24から抽出されたATP量は、HTK−48hr−POH24から抽出されたATP量よりも多かった。したがって、摘出後48時間保存液に浸漬された後移植された心臓においては、保存液(c)に浸漬した心臓から抽出されたATP量は、HTKに浸漬した心臓から抽出されたATP量よりも多かった。
(組織染色による壊死部分抑制効果の検討)
上記実施例5(マウス異所性心臓移植5)と同様の手順で、手術を完了し、異所性心臓移植を行ったマウスを調製した。保存液(a)に24時間浸漬された後レシピエントマウスに移植して1時間経過したマウス(c−24hr−POH1、n=2)の心臓と、HTK液に24時間浸漬された後レシピエントマウスに移植して1時間経過したマウス(HTK−24hr−POH1、n=2)の心臓について、壊死部分抑制効果についての検討を行った。組織の健康な部分のみを赤く染色するTTC(2,3,5-triphenyltetrazolium chloride(Cat:0765; AMRESCO社製))染色を行い、染色されず白いままである壊死部分の表面積を比較した。コントロールとして、切除したばかりの心臓で移植していない心臓(naive、n=2)を用いた。三分割した心臓内部を撮影(EOS、Canon株式会社製)した写真を図11(a)〜(c)に示す。
(結果9)
図11から明らかなとおり、c−24hr−POH1の心臓(図11(c))は、HTK−24hr−POH1の心臓(図11(b))と比較して、壊死していることを示す白い部分が少なく、保存液(c)に摘出心臓を浸漬する方がHTK液に摘出心臓を浸漬するよりも、移植心臓の壊死を防ぐことが確認された。
(組織染色による検討)
上記実施例5(マウス異所性心臓移植5)の手順にしたがって調製された摘出心臓について、組織染色による観察を行った。摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植し、移植手術完了から24時間経過した移植心臓(fresh)と、HTK液に24時間又は48時間浸漬された後レシピエントマウスに移植して24時間経過したマウス(HTK−24hr−POH24又はHTK−48hr−POH24)の心臓と、保存液(c)に24時間又は48時間浸漬された後レシピエントマウスに移植して24時間経過したマウス(c−24hr−POH24又はc−48hr−POH24)の心臓について、固定切片を作製し、核を青に、細胞質を赤紫に染色する手法である、H/E(ヘマトキシリン/エオシン)染色を行い、心筋の様子を×200にて顕微鏡観察により比較した。筋細胞損傷を染色した結果を図12(下段の写真)左(Myocyte lesion;a-e)に、血管周囲の浮腫を染色した結果を図12(下段の写真)右(Perivascular edema;a'-e')に示す。また、図12(上段のグラフ)に、血管周囲領域に対する血管周囲浮腫領域の割合を示す。
(結果10)
図12(下段の写真)から明らかなとおり、c−24hr−POH24やc−48hr−POH24の心臓は、HTK−24hr−POH24又はHTK−48hr−POH24の心臓と比較して、心筋線維間の浮腫、心筋線維の断裂、壊死心筋細胞核の消失、好中球の浸潤等の点で、心筋の損傷、血管周囲の浮腫ともに軽減されていることが確認された。また、図12(上段のグラフ)から、c−24hr−POH24やc−48hr−POH24の心臓においては、HTK−24hr−POH24又はHTK−48hr−POH24の心臓と比較して、血管周囲領域に対する血管周囲浮腫領域の割合が大幅に低下していることがわかる。
(マクロファージ集積抑制効果の検討)
上記(1)〜(4)のマウスの移植された心臓について、各心臓の固定切片を作製し、抗CD68抗体(clone: FA-11, BioLegend社製)を用いて酵素抗体法により、青紫に染色し、CD68陽性であるマクロファージの分布を×200で顕微鏡観察し、組織に集積しているマクロファージの数を比較した。マクロファージが組織に集積していることは、その組織が炎症を起こしていることを示唆する。コントロールとして、切除したばかりの心臓で移植していない心臓(naive)と、摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植して24時間経過したマウスの心臓(fresh)を用いた。結果を図13に示す。
(結果11)
図13から明らかなとおり、c−24hr−POH24の心臓は、HTK−24hr−POH24の心臓よりも、また、c−48hr−POH24の心臓は、HTK−48hr−POH24の心臓よりも、CD68陽性であるマクロファージの青紫への染色部分の密度が小さく、心臓へのマクロファージの集積が少なかった。したがって、摘出心臓が浸漬された時間が24時間及び48時間いずれの場合も、摘出心臓を浸漬する保存液として保存液(c)を用いる方が、HTK液を用いるよりも組織における炎症が抑えられることが確認された。
(細胞死抑制効果の検討)
上記(1)〜(4)の各マウスの移植された心臓について、各心臓の固定切片を作製し、細胞死抑制効果についての検討を行った。アポトーシスをおこした細胞を青紫に染色するTUNEL(Terminal deoxynucleotidyl transferase dUTP nick end labelling)染色をCardioTACS in situ Apoptosis Detectionキット(Trevigen社 Cat.4827-30-K)を用いて行ったのち、×100、×200にて顕微鏡観察し、TUNEL陽性細胞の数を比較した。また、任意の9HPF/sample(≧3匹/group)中の染色されたアポトーシス細胞の数を数え、全細胞中における割合を計算し比較した。コントロールとして、切除したばかりの心臓で移植していない心臓(naive)と、摘出心臓を保存液に浸漬せずに移植して24時間経過したマウスの心臓(fresh)を用いた。結果を図14と、図15のグラフに示す。
(結果12)
図14から明らかなとおり、c−24hr−POH24の心臓(図14(d)参照)とHTK−24hr−POHの心臓(図14(c)参照)とにおいては、青紫色の量に有意差はなかったが、HTK−48hr−POH24の心臓(図14(e)参照)は、c−48hr−POH24の心臓(図14(f)参照)よりも有意に青紫色が多かった。また、図15から明らかなとおり、アポトーシスを起こした細胞の割合は、HTK−48hr−POH24の心臓においては、c−48hr−POH24の心臓やfreshの心臓と比べて有意に多かった。したがって、摘出心臓の浸漬時間が48時間である場合は、保存液として保存液(c)を用いる方が、HTK液を用いるよりもアポトーシスが有意に抑制されることが確認された。
(細胞におけるDNA損傷抑制効果の検討)
上記保存液(c)又はHTK液に24時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(c−24hr−POH24又はHTK−24hr−POH24)の各心臓について、心臓の固定切片を作製し、DNA損傷抑制効果についての検討を行った。核を褐色に染める抗8−OHdG抗体で酵素抗体法(MOG-100P、Japan Institute for Control of Aging、NIKKEN SEIL Co.)にて染色し、同時に核を青く染めるヘマトキシリンによっても染色した。この切片を×100、×200で顕微鏡観察し、8−OHdG養成細胞の数を比較した。なお、8−OHdGはDNA損傷マーカーであり、活性酸素による細胞の損傷の程度を示す。コントロールとして、切除したばかりの心臓(naive)と、切除してすぐ移植し24時間経過した心臓(fresh-POH24)を用いた。また、任意の9HPF/sample(≧3匹/group)中の染色された8−OHdG陽性細胞の数を数え、全細胞中の割合を計算した。結果を図16の染色図と図17のグラフに示す。
(結果13)
図16より明らかなとおり、c−24hr−POH24の心臓(図16(d)参照)が、HTK−24hr−POH24の心臓(図16(c)参照)よりも褐色に染色された8−OHdG陽性細胞の数が少ないことから、DNA損傷が抑制されており、また、図17から明らかなとおり、HTK−24hr−POH24は、c−24hr−POH24やfresh−POH24と比較して、染色された8−OHdG陽性細胞数が有意に多く、摘出心臓の浸漬時間が24時間である場合は、保存液として保存液(c)を用いる方が、HTK液を用いるよりも活性酸素によるDNA傷害が有意に抑制されることが確認された。なお、摘出心臓の浸漬時間が48時間である場合のデータは、心筋の組織破壊によりバックグラウンドが高くなり陽性細胞のカウントができなかったためデータは示していない。
(血清におけるDNA損傷抑制効果の検討)
上記保存液(c)又はHTK液に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(c−48hr−POH24又はHTK−48hr−POH24)について、各々のマウスから採血し、血清を抽出し、DNA損傷抑制効果についての検討を行った。各々のマウスから採血し、血清を抽出した。血清中の8−OHdG量についてHighly Sensitive ELISAキット for 8−OHdG (KOG-HS10/E, Japan Institute for Control of Aging, NIKKEN SEIL Co.社製)を用い比較した。コントロールとして、移植手術をしていないマウス(Naive)と、摘出してすぐ移植し24時間経過したマウス(Fresh)を用いた。結果を図18に示す。
(結果14)
図18から明らかなとおり、摘出心臓の浸漬時間が48時間である場合は、保存液として保存液(c)を用いる方が、HTK液を用いるよりもDNA傷害が有意に抑制されていることが確認された。
(炎症・酸化ストレスマーカー遺伝子発現の変化の検討(定量的RT−PCR))
上記保存液(c)又はHTK液に48時間浸漬された摘出心臓が移植され手術完了から24時間経過したマウス(c−48hr−POH24又はHTK−48hr−POH24)の移植された心臓について、組織を破砕後total RNAを抽出し、PrimeScript(登録商標)RT reagent Kit(タカラバイオ社製)にてcDNAを逆転写し、Premix Ex TaqTM(タカラバイオ社製)を用いて、定量的RT−PCRにより炎症・酸化ストレスに関連した遺伝子群の発現を比較した。
無処置群として、切除したばかりの心臓(naive)と、切除してすぐ移植し24時間経過したマウスの心臓(fresh)を用いた。結果を図19に示す。図19において、IL−6については左からNaive(n=5),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=5),c−48hr−POH24(n=4);HO−1はNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=4),c−48hr−POH24(n=5);iNOSについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=4),c−48hr−POH24(n=5);CD11bについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=4),c−48hr−POH24(n=4);Nrf2については左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5);NF−kBについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5);TNF−αについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5);Arg−1はNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5);HIF−1αについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5);TGF−βについては左からNaive(n=6),Fresh(n=3),HTK−48hr−POH24(n=3),c−48hr−POH24(n=5)である。
(結果15)
c−48hr−POH24の心臓がHTK−48hr−POH24の心臓よりも有意に低い値を示した項目は、IL−6:炎症性サイトカイン遺伝子、HO−1:抗酸化タンパクの遺伝子、iNOS:抗酸化タンパクの遺伝子、CD11b:損傷部位に集積するマクロファージのマーカー遺伝子であり、他方、c−48hr−POH24の心臓がHTK−48hr−POH24の心臓よりも有意に高い値を示した項目は、Nrf2、NF−kB、HIF−1α:細胞のストレス応答に関与する転写因子、TGF−β:炎症抑制性サイトカイン遺伝子であり、保存液として保存液(c)を用いる方が、炎症が抑えられることが示唆された。
本発明は、臓器移植という医療分野において有用である。

Claims (11)

  1. 塩化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、及びD−グルコースの配合物を含有し、血清アルブミン及び血清のいずれも含有しない臓器保存液。
  2. 配合物が、さらにグリシンを含むことを特徴とする請求項1記載の臓器保存液。
  3. 配合物におけるグリシン濃度が5〜15mMであることを特徴とする請求項2記載の臓器保存液。
  4. 配合物が、さらにL−システインを含むことを特徴とする請求項2又は3記載の臓器保存液。
  5. 配合物におけるL−システイン濃度が0.5〜0.7mMであることを特徴とする請求項4記載の臓器保存液。
  6. 配合物が、さらに鉄化合物を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の臓器保存液。
  7. 鉄化合物が、硫酸第一鉄であることを特徴とする請求項6記載の臓器保存液。
  8. 配合物におけるL−アスコルビン酸濃度が0.2〜0.3mMであり、L−アスコルビン酸リン酸エステル濃度が0.4〜0.5mMであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の臓器保存液。
  9. 配合物におけるリン酸水素二ナトリウム濃度が35〜50mMであり、リン酸二水素ナトリウム濃度が12〜18mMであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の臓器保存液。
  10. 浸透圧が326〜363mOsm/kgになるまでD−グルコースが配合されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の臓器保存液。
  11. 請求項1〜10のいずれか記載の臓器保存液を用いて臓器を保存する方法。
JP2016523103A 2014-05-30 2015-02-24 臓器保存液 Active JP6292640B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014112424 2014-05-30
JP2014112424 2014-05-30
PCT/JP2015/000928 WO2015182019A1 (ja) 2014-05-30 2015-02-24 臓器保存液

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015182019A1 JPWO2015182019A1 (ja) 2017-04-20
JP6292640B2 true JP6292640B2 (ja) 2018-03-14

Family

ID=54698384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016523103A Active JP6292640B2 (ja) 2014-05-30 2015-02-24 臓器保存液

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20170202210A1 (ja)
EP (1) EP3150067A4 (ja)
JP (1) JP6292640B2 (ja)
CN (1) CN107148215A (ja)
WO (1) WO2015182019A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7289472B1 (ja) 2023-02-24 2023-06-12 株式会社清水製作所 芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法および装置

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20220117221A1 (en) * 2019-01-17 2022-04-21 Nagase & Co., Ltd. Cell cryopreservation solution
IT201900007446A1 (it) 2019-05-29 2020-11-29 Giuseppe Castellano Composizione comprendente citrato e carnitina in grado di attivare la produzione della proteina klotho
KR102344674B1 (ko) * 2019-06-19 2021-12-29 가천대학교 산학협력단 8-옥소-2'-디옥시구아노신을 유효성분으로 포함하는 이식용 장기의 보존 시 장기손상 방지용 조성물
CN114052008A (zh) * 2021-11-23 2022-02-18 中山大学附属第三医院(中山大学肝脏病医院) 一种保存液及其应用
CN115281184B (zh) * 2022-10-08 2022-12-16 四川大学华西医院 一种间充质干细胞复合冻存液及其制备方法和应用

Family Cites Families (20)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4647672A (en) * 1985-06-25 1987-03-03 Kansas State University Research Foundation Ascorbate 2-polyphosphate esters and method of making same
US4939128A (en) * 1988-04-25 1990-07-03 Takeda Chemical Industries, Ltd. Ester of ascorbic acid 2-phosphate and pharmaceutical use
US5395314A (en) * 1990-10-10 1995-03-07 Life Resuscitation Technologies, Inc. Brain resuscitation and organ preservation device and method for performing the same
JPH06305901A (ja) * 1993-04-26 1994-11-01 Akio Kawamura 室温下保存用灌流液およびこれを用いた保存方法
US5543316A (en) * 1994-04-20 1996-08-06 Diacrin, Inc. Injectable culture medium for maintaining viability of myoblast cells
CN1178070A (zh) * 1996-09-27 1998-04-08 刘春江 组织脏器移植用保存溶液·手术等时组织脏器保护溶液
US7749693B2 (en) * 1998-09-29 2010-07-06 Lifeline Scientific, Inc. Method of determining that an organ is not suitable for transplantation and using it for testing substances
JP4590041B2 (ja) * 1998-12-24 2010-12-01 株式会社林原生物化学研究所 臓器保存剤
JP2003267801A (ja) * 2002-03-12 2003-09-25 Pharmafoods Kenkyusho:Kk 保存剤用組成物及び該組成物を含有する動物の細胞または臓器の保存剤
US8043614B2 (en) * 2004-03-09 2011-10-25 Ahlfors Jan-Eric W Autogenic living scaffolds and living tissue matrices: methods and uses thereof
JP4575758B2 (ja) * 2004-11-30 2010-11-04 日水製薬株式会社 歯牙又は骨細胞保存液
CN100382688C (zh) * 2006-09-29 2008-04-23 中国人民解放军第三军医大学第一附属医院 常温亚常温离体心脏灌注保存液
CN101199273B (zh) * 2006-12-13 2011-04-13 谭敦宪 一种新型多器官储存保护液
AU2008216612B2 (en) * 2007-02-17 2014-12-04 President And Fellows Of Harvard College Compositions and method for tissue preservation
BRPI0908181A2 (pt) * 2008-02-15 2015-08-18 Harvard College Solução de cardioplegia para cirurgia cardíaca
CN102132697B (zh) * 2010-01-21 2013-08-21 周海华 一种羊膜长期保存液及其制备方法
US9049856B2 (en) * 2010-05-24 2015-06-09 Digna Atotech, S. L. Cold organ preservation composition and method of use
JP5796290B2 (ja) * 2010-12-03 2015-10-21 公益財団法人先端医療振興財団 膵島組織保存溶液及びそれを用いる方法
WO2013047665A1 (ja) * 2011-09-29 2013-04-04 石原産業株式会社 生物材料の低温保存用の保存剤及び低温での生物材料の保存方法
EP2767278B1 (en) * 2011-10-12 2019-11-06 SBI Pharmaceuticals Co., Ltd. Enhancer of survival of transplanted organ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7289472B1 (ja) 2023-02-24 2023-06-12 株式会社清水製作所 芯なしトイレットペーパロールの連続製造方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015182019A1 (ja) 2015-12-03
EP3150067A1 (en) 2017-04-05
CN107148215A (zh) 2017-09-08
JPWO2015182019A1 (ja) 2017-04-20
EP3150067A4 (en) 2017-11-08
US20170202210A1 (en) 2017-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6292640B2 (ja) 臓器保存液
US7951590B2 (en) Storage agent for preservation of an animal cell, tissue or organ, and preserved process of the same
AU680928B2 (en) Solutions for tissue preservation and bloodless surgery and methods using same
Bhattacharjee et al. CORM-401 reduces ischemia reperfusion injury in an ex vivo renal porcine model of the donation after circulatory death
He et al. Preconditioning with hyperbaric oxygen induces tolerance against renal ischemia-reperfusion injury via increased expression of heme oxygenase-1
JP5796290B2 (ja) 膵島組織保存溶液及びそれを用いる方法
JP2008519830A (ja) 臓器の冷却保存および灌流のための組成物
WO2014038473A1 (ja) 移植のための臓器又は組織の長期維持方法
Van Caenegem et al. Hypothermic continuous machine perfusion improves metabolic preservation and functional recovery in heart grafts
Franzin et al. Renal delivery of pharmacologic agents during machine perfusion to prevent ischaemia-reperfusion injury: from murine model to clinical trials
Monbaliu et al. Multifactorial biological modulation of warm ischemia reperfusion injury in liver transplantation from non–heart-beating donors eliminates primary nonfunction and reduces bile salt toxicity
US9049856B2 (en) Cold organ preservation composition and method of use
Brüggenwirth et al. A comparative study of single and dual perfusion during end-ischemic subnormothermic liver machine preservation
Garbade et al. Functional, metabolic, and morphological aspects of continuous, normothermic heart preservation: effects of different preparation and perfusion techniques
van Leeuwen et al. Targeted delivery of galunisertib using machine perfusion reduces fibrogenesis in an integrated ex vivo renal transplant and fibrogenesis model
US11213026B2 (en) Solution for preserving and/or rinsing an organ to be transplanted
CN107105640B (zh) 具有控制的钙离子水平的新型组合物和溶液以及用于再灌注的相关方法和用途
JP2022528754A (ja) 臓器を再調整するための方法および装置
Zhang et al. Optimal pulmonary artery perfusion mode and perfusion pressure during cardiopulmonary bypass
Tavares-da-Silva et al. Renal procurement: techniques for optimizing the quality of the graft in the cadaveric setting
KR100304594B1 (ko) 이식용 장기 및 혈액세포 보존제의 조성물
US20220087252A1 (en) Solution for preserving and/or rinsing an organ to be transplanted
Li et al. Role of hydroxyethyl starch in ischemia-reperfusion injury in rat intestinal transplantation
Hosgood et al. Cold ischaemic injury in kidney transplantation
Portilla-de Buen et al. Pig heart preservation with antegrade intracellular crystalloid versus antegrade/retrograde miniplegia

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20161025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170724

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170919

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171030

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171226

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6292640

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250