本発明を好適な実施形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態は、商用電源や太陽電池からの電力を負荷へ供給するとともに、その電力を蓄電池へ蓄え、蓄電池に蓄えられた電力を負荷に供給することのできる蓄電システムに関する。このような蓄電システムは、例えばオフィスや家庭内等に設置される。蓄電池に蓄えられた電力は、商用電源が停電したときに、照明や通信機器等の重要な機器を動作させるためのバックアップ電源として用いられる。蓄電池はさらに、一般に電気の使用量が大きくなる昼間の時間帯において放電することによって、昼間の商用電力における使用量の最大値を下げる、いわゆるピークシフトとしても用いられる。このような蓄電システムは、設置される場所の環境や季節によらずに、例えば、厳冬期に外気温が氷点下となる寒冷地においても安定して電力供給できることが望ましい。
一方、このような蓄電システムに用いられる蓄電池は、所定の使用推奨温度とされる範囲内で用いることが望ましく、その範囲外の温度で蓄電池を充放電すると、劣化が進んだり、本来の性能を発揮できなかったりする。そこで、寒冷地において蓄電システムを用いる場合、蓄電池が使用推奨温度となるよう加熱するなどして温度を上げる必要があり、商用電源の停電時などには、蓄電池に蓄えられた電力を用いてファンやヒータを動作させる必要がある。蓄電池に蓄えられている電力は、ファンやヒータを作動させるためではなく、本来負荷へ供給するためのものであるため、できるだけ少ない電力で蓄電池を所望の温度に調整できることが求められる。
そこで、第1の実施の形態に係る蓄電システムは、蓄電池を温風で加熱するためのファンおよびヒータを好適に配置し、ファンおよびヒータを作動および停止させるタイミングを制御する。さらには、電力変換装置や制御装置の動作時に生じる熱も蓄電池の加熱に利用する。これにより、より少ない消費電力で蓄電池の温度調節を実現する。
図1は、第1の実施の形態に係る蓄電システム100の外観を示す正面図である。蓄電システム100は、筐体10を備える。筐体10の内部構造については、後述する。筐体10は、4つの側面、上面、下面を有する略直方体の箱型形状であり、鉄などを含む金属板で構成される。筐体10は、4つの側面のうち1つの面が正面扉14により構成され、上面が上面板22により構成され、下面が下面板23により構成される。正面扉14は、通気口16、スイッチ18、表示部20を備える。上面板22は、排気口24、排気ファン26を備える。
正面扉14の通気口16は、正面扉14の中央部に設けられた第1通気口16aと、正面扉14の下方に設けられた第2通気口16bとを含む。通気口16は、複数の矩形の小孔により構成される。通気口16を通じて外気が筐体10の内部に取り込まれる。スイッチ18は、蓄電システム100を動作させるための電源スイッチや、リセットスイッチなどにより構成される。表示部20は、蓄電システム100の動作状態を表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイなどにより構成される。
排気口24は、上面板22または図示しない背面板の一部領域に設けられた開口部である。正面扉14の通気口16を通じて筐体10の内部に取り込まれた空気は、排気口24から排出される。排気ファン26は、排気口24を覆うように排気口24の近傍に配置されており、筐体10の内部に取り込まれた空気の排出を促すために動作する。このように、排気口24と通気口16は、筐体10を形成する面のうち互いに異なる面に設けられている。また、通気口16は双方向パワーコンディショナ54の下方に設けられ、排気口24は双方向パワーコンディショナ54よりも上方に設けられる。これにより、通気口16から流入した空気が排気口24から流出するまでの間に筐体10の内部を移動する距離が長くなるため好ましい。
図2は、図1の蓄電システム100の内部構成を示す正面図であり、正面扉14を開けた状態を示している。図3は、図1の蓄電システム100の内部構成を示す側面図であり、図1の蓄電システム100を矢印Aから見た状態を示している。以下の説明においては、図2の紙面手前側を前面又は正面、奥側を後面、右側を右側面、左側を左側面として説明する。なお、図3では、内部構成を示すため、筐体10として設けられる右側面板を外した状態を図示している。
筐体10の内部は、下段に位置する第1区画30、第1区画30と排気ファン26とを導通する排気経路40、および上段に位置する第2区画50の三つに分かれている。第1区画30と第2区画50との間は、仕切板41で仕切られている。
正面扉14の内部のうち、第1通気口16aに対応する位置には、4つの吸気ファン32が備えられている。吸気ファン32は、正面扉が閉じられたとき、図2において破線32’で示す位置に配置される。なお、吸気ファン32の数は4つに限られず、3個以下であっても5個以上であってもよい。
後面板38は、筐体10の内部において第1通気口16aに対向する位置に備えられている。後面板38は、下端部が上端部よりも前面側に形成されている。すなわち、後面板38を図1の矢印の方向Aの方向から見た場合、右上がりに傾斜している。
吸気ファン32は、作動させることにより筐体10の内部に外気を取り込む。吸気ファン32を作動させた場合、図3の矢印X1で示すように、正面扉14の通気口16を通じて、第2区画50の内部に外気が取り込まれる。第2区画50の内部に取り込まれた外気は、図3の矢印X2で示すように、後面板38に当たるなどして第2区画50の上方へ流れる。
ヒータ34は、吸気ファン32が吸入した外気を加熱する。ヒータ34は、例えば、通電することにより加熱される電熱線などで構成される。ヒータ34は、吸気ファン32によって取り込まれる空気を効率よく加熱するため、正面扉14の内側であって、第1通気口16aに隣接する位置に設けられる。このように配置することで、第1通気口16aを通り抜ける空気だけでなく、第2区画50の内部に滞留している空気を加熱することができる。第2区画50のうち、吸気ファン32の上方には蓄電池42が設けられている。このため、ヒータにより加熱した空気は蓄電池42の加熱に利用される。なお、ヒータ34は、自身の温度を測定するための温度センサ(不図示)を備えていてもよい。
吸気ファン32を正面扉14の内側部分に設けることで、吸気ファン32により吸入されヒータ34により加熱された空気が、同じ正面扉14に設けられた第1通気口16aから流出してしまうことは少なくなる。また、第1通気口16aに対向する位置に設けられた後面板38を斜めに配置することで、吸気ファン32が吸入してヒータ34が加熱した空気は、後面板38に反射して第2区画50に供給される。したがって、複数の吸気ファン32を筐体10の一つの面である正面扉14に設けることで、複数のヒータ34により加熱した空気を効率よく蓄電池42の加熱に用いることができる。結果として、蓄電池42の電力の消費量を節約することができる。
図3の矢印X1、X2で示すように、第1通気口16aから流入した空気は、複数の蓄電池ユニット44の間を通り抜ける。図3の矢印X3で示すように、最終的に排気口24から筐体10の外部に排出される。
蓄電池42は、複数の蓄電池ユニット44により構成される。蓄電池42は、例えば、8個の蓄電池ユニット44が直列または並列接続されることによって構成される。蓄電池ユニット44は、繰り返し充電して使用できる二次電池であり、例えば、単位セルと呼ばれるリチウムイオン二次電池が複数個直列および並列接続された一つの蓄電池モジュールとして構成される。例えば、蓄電池ユニット44は、並列に24個、直列に13個接続された、計312個の単位セルにより構成される。なお、蓄電池ユニット44は、その他の二次電池で構成されていてもよく、例えば、ニッケル水素電池や、ナトリウム硫黄電池、鉛蓄電池などを用いてもよい。
蓄電池ユニット44は、箱状の部材の内部に、複数の単位セルが含まれた構成である。蓄電池ユニット44の下面および上面部分は開口していてもよく、この場合、蓄電池42の下方から流入した空気は、蓄電池ユニット44内部の単位セルの間を通り抜け、排気口24へと抜けていく。これにより、より効率良く蓄電池42を加熱又は冷却することができる。
蓄電池ユニット44は、図示しない複数の温度センサを備えており、蓄電池ユニット44を構成する単位セルの温度を計測することができる。例えば、蓄電池ユニット44は、蓄電池ユニット44の四隅の位置にあたる4箇所と、中央の位置にあたる1箇所の計5箇所に温度センサが設けられる。なお、蓄電池ユニット44が備える温度センサの数は、4個以下であってもよいし、6個以上設けられてもよい。複数の温度センサではなく、例えば蓄電池ユニット44の中央部に1個の温度センサが設けられていてもよい。
第1区画30は、筐体10の内側であって第2区画50の下方に位置する。第1区画30と第2区画50とは、仕切板41で仕切られている。第1区画30には、制御基板52、双方向パワーコンディショナ54、およびコンデンサやトランス等の電機部品56が設けられる。
制御基板52は、排気ファン26、吸気ファン32、ヒータ34、蓄電池42と電気的に接続され、これらの動作を制御するための制御信号を送受信する。制御基板52は、例えば、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現される。また、制御基板52は、後述する双方向パワーコンディショナ54と制御信号の送受信を行う。
双方向パワーコンディショナ54は、双方向インバータ(不図示)を備え、このインバータは直流電力と交流電力とを相互に変換する。双方向パワーコンディショナ54は、蓄電システム100に接続される商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池42に対して充電のための電力を供給する。双方向パワーコンディショナ54はまた、蓄電池42が放電する直流電力を交流電力に変換し、停電時などに電力を供給させたい特定の負荷に交流電力を供給する。図示はしないが、双方向パワーコンディショナ54は、双方向インバータが変換中の電力量を計測する電力計を備えており、計測した電力量を双方向パワーコンディショナ54の外部に出力することができる。
筐体10の内側において、双方向パワーコンディショナ54と隣接して、双方向インバータを冷却するためのインバータ冷却ファン58が設けられている。図3に示す例では、インバータ冷却ファン58は吸気ファンである。ここで第2通気口16bは、双方向パワーコンディショナ54よりも下方かつ前面に設けられている。このためインバータ冷却ファン58が動作すると、図3の矢印X4で示すように、第1区画30内の空気は双方向パワーコンディショナ54の内部に取り込まれる。双方向パワーコンディショナ54の内部に入った空気は、図3の矢印X5で示すように、双方向パワーコンディショナ54の後側から排出される。
インバータ冷却ファン58が動作することにより、図3の矢印X6で示すように、第2通気口16bを通って筐体10の外部から筐体10の内部に空気が流れ込む。筐体10の内部に流れ込んだ空気の多くは矢印X4で示すように双方向パワーコンディショナ54の内部に取り込まれるが、一部は矢印X7で示すように電機部品56を通る。このため、インバータ冷却ファンが58動作することにより、電機部品56も冷却される。
仕切板41の後方の一部は、空気が流通可能に構成されている。これは例えば、仕切板41の後方を、メッシュ状の部材や小孔が多数設けられた金属部材を設けることで実現できる。これにより、第1区画30の空気は、矢印X8で示すように排気経路40を通って排気口24に至る。
双方向インバータは通電によって発熱する。このため第1区画30には、双方向パワーコンディショナ54の主に双方向インバータの温度を検出する温度検出部59が備えられている。制御基板52は、温度検出部59およびインバータ冷却ファン58に電気的に接続されている。制御基板52は、温度検出部59が取得した双方向パワーコンディショナ54の温度をもとに、インバータ冷却ファン58の動作を開始または停止させるための制御信号を送信する。
このように、制御基板52は、排気ファン26、吸気ファン32、およびヒータ34の動作を管理し、蓄電池42の加熱または冷却、双方向インバータの冷却など、筐体10の内部の温度を一元的に制御する。
なお、図2および図3に示すように、第1の実施の形態に係る蓄電システム100において、蓄電池42は、筐体10内において双方向パワーコンディショナ54の上側に備えられる。一般に、暖められた空気は上昇する。このため、双方向パワーコンディショナ54や制御基板52から生じた熱で暖められた空気は第1区画30内を上昇し、第1区画30の上部に存在する仕切板41に到達する。第1区画30のうち仕切板41に対流した暖かい空気は仕切板41を暖める。この結果、暖まった仕切板41によって第2区画50空気も暖められる。このように、第1の実施の形態に係る蓄電システム100においては、双方向パワーコンディショナ54や制御基板52の動作時に発生する熱も、蓄電池42の暖めに利用することができ、電力の消費量を節約することができる。
以上の構成に基づく第1の実施の形態に係る蓄電システム100について、その機能構成を説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る蓄電システム100の機能構成を模式的に示す図である。蓄電システム100は、前述した排気ファン26、吸気ファン32、ヒータ34、蓄電池42を備え、制御基板52の機能ブロックとして実現される制御部60を備える。また、蓄電システム100には、商用電源112、負荷114、太陽電池120が接続される。本明細書において、再生可能エネルギーの発電装置として太陽電池120を例に説明するが、再生可能エネルギーの発電装置は太陽電池に限られず、例えば風力発電装置であってもよく、またこれらが併存していてもよい。
商用電源112は、電力会社からの電力が供給される交流電源である。分電盤116は、双方向パワーコンディショナ54および商用電源112と接続され、商用電源112から交流電力を受け付け、双方向パワーコンディショナ54および負荷114に交流電力を供給する。太陽電池120は、光起電力効果を利用し、光エネルギーを直接電力に変換する発電装置である。太陽電池120として、シリコン太陽電池、化合物半導体などを素材にした太陽電池、色素増感型(有機太陽電池)等が使用される。
双方向パワーコンディショナ54は、直流側に蓄電池42および太陽電池120が接続され、交流側に、負荷114および分電盤116を介して商用電源112が接続される。双方向パワーコンディショナ54は、太陽電池120が発電する直流電力や蓄電池42が放電した直流電力を交流電力に変換し、負荷114に交流電力を供給する。また、商用電源112からの交流電力を直流電力に変換し、蓄電池42に直流電力を供給する。
蓄電池42は、双方向パワーコンディショナ54によって直流電力に変換された商用電源112からの電力や、太陽電池120が発電した電力を蓄える。また、蓄電池42は、蓄えた直流電力を双方向パワーコンディショナ54により交流電力に変換して負荷114に供給する。
排気ファン26、吸気ファン32、ヒータ34、およびインバータ冷却ファン58は、制御部60から送信される制御信号をもとに、動作を開始または停止する。なお、ヒータ34も図示しない温度センサを備えてもよい。この場合、ヒータ34に備えられた温度センサは、制御部60からの要求に応じて測定した温度データを制御部60に通知してもよい。このように制御部60がインバータ冷却ファン58を含めて蓄電システム100内の温度を管理することにより、蓄電システム100の温度管理が一元化され、制御を簡便化することができる。
蓄電池42は、蓄電池42を構成する複数の蓄電池ユニット44に設けられる温度センサにより測定した温度データを、制御部60に定期的に送信する。例えば、その送信間隔は1秒ごとであり、1秒ごとに最新の温度データを制御部60に送信する。なお、蓄電池42は、制御部60からの送信要求に応じて最新の温度データを制御部60に送信してもよい。上述の通り、蓄電池ユニット44は、複数の温度センサを備えており、例えば、5箇所の温度センサを備える場合には、それぞれの温度センサが計測した温度データを制御部60に送信する。なお、5箇所の温度センサが計測した温度のうち、最大値と最小値を算出して制御部60に送信してもよい。
制御部60は、蓄電池42から取得した蓄電池42の温度データをもとに、排気ファン26、吸気ファン32、ヒータ34の動作を制御し、蓄電池42を加熱または冷却する。このとき、制御部60は、定期的に蓄電池42の温度データを取得し、制御部60の図示しないメモリに予め格納された蓄電池42の使用推奨温度と比較することで、蓄電池42の加熱または冷却が必要か否かを判断する。ここで、蓄電池42の加熱が必要と判断される使用推奨温度の下限なる閾値の値を、下限温度と記載し、蓄電池42の冷却が必要と判断される使用推奨温度の上限となる閾値の値を、上限温度と記載する。
制御部60は、複数の蓄電池ユニット44のそれぞれの温度データを取得し、その温度データの中での最大値と最小値を算出する。なお、以下の説明において、制御部60が算出した最大値を蓄電池42の最高温度、最小値を蓄電池42の最低温度と記載する。
まず、外気温が低く、蓄電池42の温度が下限温度未満であるため、加熱が必要な状況における制御部60の動作について説明する。
制御部60は、蓄電池42の最低温度が下限温度未満であった場合、蓄電池42の加熱が必要であると判定し、蓄電池42を加熱するためにヒータ34をオンにする。ここで、下限温度は例えば5℃と設定されるが、蓄電池42の特性などに応じてその他の値を設定してもよい。このとき、制御部60は、吸気ファン32の作動を開始させない。ヒータ34をオンにした直後は、まだヒータ34が暖まっていないため、この状態で吸気ファン32を作動させてしまうと、外から冷気が流入することにより筐体10の内部の気温が下がり、逆効果となるおそれがあるためである。また、蓄電池42を加熱する際には排気ファン26を停止する。排気ファン26を作動させてしまうと、吸気ファン32を作動させた場合と同様、外から冷気が流入してしまうためである。
制御部60は、ヒータ34をオンにした後、ヒータ34の温度が第1の閾値以上となった場合、吸気ファン32を作動させる。ここで、第1の閾値は、第2区画50の内部の空気を十分に暖めることのできるヒータ34の温度として設定される。具体的には、第2区画50の容量などに基づいて、実験等により定めればよい。ヒータ34の温度が第1の閾値以上となった後は、制御部60は吸気ファン32を作動させる。これにより、ヒータ34により加熱された第2区画50の空気を、蓄電池42に送ることができる。なお、このとき排気ファン26は作動させない。排気ファン26を作動させてしまうと、加熱した空気が第2区画50から排出されてしまい、蓄電池42を効率的に加熱できないためである。
その後、蓄電池42の最低温度が下限温度をある程度上回った場合、制御部60は、蓄電池42の加熱を停止すべきと判定する。ここで、制御部60が加熱を停止すべきと判断する温度は、例えば下限温度より2℃高い温度であり、下限温度を5℃に設定した場合は、その基準となる温度は7℃である。このように下限温度に近い値を設定することで、蓄電池42の加熱に用いる電力の消費量を抑えることができる。
制御部60が加熱を停止すべきと判定した場合、制御部60は、ヒータ34を停止する。ここで、ヒータ34を停止した直後はヒータ34の温度が高い状態にあるため、吸気ファン32を停止させてしまうと、局所的に空気が加熱される。場合によっては蓄電池42の一部が動作推奨温度以上となってしまうおそれがある。このため制御部60は、吸気ファン32の作動は停止させない。また、ヒータ34の温度がある程度高い状態において吸気ファン32を作動させることで、引き続き蓄電池42に温風を供給することができる。
その後、ヒータ34の温度が第2の閾値以下となった場合、吸気ファン32を停止させる。ここで、第2の閾値は、吸気ファン32を停止させても第2区画50内部の空気が局所的に加熱される支障のない温度として設定され、具体的には、ヒータ34の特性などに応じて実験等により定める。
次に、筐体10の置かれた環境の温度が高い場合や、蓄電システム100の作動時により熱が発生する場合に、蓄電池42の温度が上限温度を超えるため、冷却が必要な状況における制御部60の動作について説明する。
制御部60は、蓄電池42の最高温度が上限温度を超えた場合、蓄電池42の冷却が必要であると判定し、蓄電池42を空冷するために吸気ファン32と排気ファン26を作動させる。制御部60が吸気ファン32と排気ファン26の双方を作動させることにより、より効果的に蓄電池42を空冷することができる。
ここで、上限温度は例えば50℃と設定されるが、蓄電池42の特性などに応じてその他の値を設定してもよい。このとき、制御部60は、ヒータ34をオンにせず停止させる。ヒータ34をオンにすると、空冷するための空気が加熱されてしまい、逆効果となるおそれためである。なお、消費電力を節約するため、蓄電池42を空冷するために、排気ファン26と吸気ファン32のどちらか一方のみを作動させてもよい。
その後、蓄電池42の最高温度が上限温度をある程度下回った場合、制御部60は、蓄電池42の冷却を停止すべきと判定し、排気ファン26及び吸気ファン32を停止させる。ここで、制御部60が加熱を停止すべきと判断する温度は、上限温度より2℃低い温度であり、上限温度を50℃に設定した場合は、その基準となる温度は48℃である。このように上限温度に近い値を設定することで、蓄電池42の空冷に用いる電力の消費量を抑えることができる。
制御部60はまた、上述した温度検出部59が測定した双方向インバータの温度をもとに、インバータ冷却ファン58と排気ファン26とを制御し、双方向パワーコンディショナ54が備える双方向インバータを冷却する。双方向インバータには、強制的に空冷するか否かを決定するために定められた強制空冷温度が設定されている。制御部60は、温度検出部59が測定した双方向インバータの温度が強制空冷温度を上回る場合、蓄電池42を加熱しているときであっても、排気ファン26を動作させる。これにより、双方向パワーコンディショナ54が発熱によって故障することを予防できる。強制空冷温度も、制御部60の図示しないメモリに予め格納されている。
図5は、第1の実施の形態に係る蓄電システム100における蓄電池42の温度管理処理の流れを示すフローチャートである。制御部60は、蓄電池42の温度データを取得し、蓄電池42の加熱が必要か否かを判断する(S10)。蓄電池42の加熱が必要と判断した場合(S10のY)、ヒータ34をオンにする(S12)。制御部60は、ヒータ34をオンにした後、ヒータ34の温度が第1の閾値以上となった場合(S14のY)、吸気ファン32を作動させる(S16)。一方、ヒータ34の温度が第1の閾値未満である場合(S14のN)、吸気ファンを作動させず、ヒータ34の加熱を待つ。
制御部60は、吸気ファン32を作動させた後、蓄電池42の加熱を停止すべきか否かを判断する(S18)。蓄電池42の温度が下限温度をある程度上回った場合、蓄電池42の加熱を停止すべきと判断し(S18のY)、ヒータ34をオフにする(S20)。一方、蓄電池42の加熱を停止すべきでないと判断した場合(S18のN)、そのまま蓄電池42の加熱を継続する。制御部60は、ヒータ34をオフにした後、ヒータ34の温度が第2の閾値以下となった場合(S22のY)、吸気ファン32を停止させる(S24)。ヒータ34の温度が第2の閾値より大きい場合には(S22のN)、吸気ファン32を作動させたままとする。
一方、蓄電池42の加熱が必要でないと判断した場合(S10のN)、蓄電池42の冷却が必要か否かを判断する(S30)。蓄電池42の冷却が必要と判断した場合(S30のY)、制御部60は、吸気ファン32を作動させるとともに(S32)、排気ファン26を作動させる(S34)。蓄電池42の冷却が必要でないと判断した場合(S30のN)、継続して蓄電池42の温度データを取得し、蓄電池42の加熱が必要か否かを判断する(S10)。
制御部60は、排気ファン26を作動させた後、蓄電池42の冷却を停止すべきか否かを判断する(S36)。蓄電池42の温度が上限温度をある程度下回った場合、蓄電池42の冷却を停止すべきと判断し(S36のY)、吸気ファン32を停止させるとともに(S38)、排気ファン26を停止させる(S40)。一方、蓄電池42の冷却を停止すべきでないと判断した場合(S36のN)、そのまま蓄電池42の冷却を継続する。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電池42の温度を好適に制御することができる。
なお、第1の実施の形態に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1]
筐体10と、
前記筐体10の側面に設けられる通気口16aと、
前記通気口16aに設けられる吸気ファン32と、
前記通気口16aに設けられるヒータ34と、
前記筐体10の内側であって、前記吸気ファン32の上方に設けられる蓄電池42と、
前記筐体10の内側であって前記吸気ファンの32下方に設けられ、前記蓄電池42が放電する直流電力を交流電力に変換し、商用電源112から供給される交流電力を直流電力に変換する双方向インバータと、
前記筐体10の上面または背面に設けられる排気口24と、
前記排気口24に設けられる排気ファン26とを備えることを特徴とする蓄電システム100。
[項目2]
前記吸気ファン32は、前記通気口16aを覆うように前記筐体10の外側に設けられ、
前記ヒータ34は、前記通気口16aに隣接して前記筐体10の内側に設けられ、
前記排気ファン26は、前記排気口24を覆うように前記筐体10の外側に設けられることを特徴とする項目1に記載の蓄電システム100。
[項目3]
前記筐体10の内側であって前記双方向インバータと隣接して設けられたインバータ冷却ファン58と、
前記筐体10の側面であって、前記双方向インバータよりも下方に設けられる第2通気口16bとをさらに備えることを特徴とする項目1または2に記載の蓄電システム。
[項目4]
前記筐体10は、
前記双方向インバータを収容する第1区画30と、
前記蓄電池42を収容する第2区画50と、
前記第2区画50と隣接し、前記第1区画30と前記排気ファン26とを導通する排気経路40とをさらに備えることを特徴とする項目3に記載の蓄電システム100。
[項目5]
前記第1区画30に設けられ、前記蓄電池42の充放電、前記吸気ファン32、前記ヒータ34、および前記排気ファン26の動作を制御する制御部60をさらに備えることを特徴とする項目4に記載の蓄電システム100。
[項目6]
前記制御部60は、前記インバータ冷却ファン58の動作も制御することを特徴とする項目5に記載の蓄電システム100。
[項目7]
前記制御部60は、
前記蓄電池42を加熱するときは、前記ヒータ34と前記吸気ファン32とを動作させ、前記排気ファン26を停止し、
前記蓄電池42を冷却するときは、前記吸気ファン32と前記排気ファン26とを動作させ、前記ヒータ34を停止することを特徴とする項目5または6に記載の蓄電システム100。
[項目8]
前記双方向インバータの温度を検出する温度検出部59をさらに備え、
前記制御部60は、前記温度検出部59が検出した温度が所定の温度を上回る場合、前記蓄電池42を加熱しているときであっても、前記排気ファン26を動作させることを特徴とする項目7に記載の蓄電システム100。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る蓄電システム100も、第1の実施の形態に係る蓄電システム100と同様に、商用電源や太陽電池からの電力を負荷へ供給するとともに、その電力を蓄電池へ蓄え、蓄電池に蓄えられた電力を負荷に供給することのできる蓄電システムに関する。以下、第2の実施の形態に係る蓄電システム100において第1の実施の形態に係る蓄電システム100と重複する部分については、適宜省略または簡略して説明し、主に相違点について記載する。
図6は、第2の実施の形態に係る蓄電システム100の外観を示す正面図である。正面扉14は、通気口16、スイッチ18、表示部20を備える。正面扉14の通気口16は、正面扉の下方に設けられている。この通気口16は、第1の実施の形態に係る第2通気口16bに対応する。なお、第2の実施の形態に係る正面扉14においては、第1の実施の形態に係る第1通気口16aに相当する箇所は封鎖されており、この箇所における空気の出入りはない。また第2の実施の形態に係る蓄電システム100において、排気口24は図6には図示しない背面板の上部領域に設けられている。
図7は、図6の蓄電システム100の内部構成を示す正面図であり、正面扉14を開けた状態を示している。図8は、図7の蓄電システム100の内部構成を示す側面図であり、図7の蓄電システム100を矢印Aから見た状態を示している。なお、図7では、内部構成を示すため、筐体10の一部を形成している正面板を外した状態を示している。図8においても同様に、内部構成を示すため、筐体10として設けられる右側面板を外した状態を図示している。
筐体10の内部は、下段に位置する第1区画30、排気経路40、および上段に位置する第2区画50の三つに分かれている。排気経路40は、第1区画30と第2区画50とに導通している。また第1区画30と第2区画50との間は、仕切板41で仕切られている。
4つの吸気ファン32は、正面扉14ではなく、筐体10の内側に設けられている。吸気ファン32は、動作することによって筐体10の内部の空気を移動させる。ここで、ヒータ34は、筐体の10の内側において、筐体10の外側から内側に向かう方向において吸気ファン32と並べて配置される。このため、吸気ファン32は、ヒータ34が暖めた空気を筐体10内に移動させることができる。
吸気ファン32は、作動させることにより、筐体10の筐体10の外部の空気を筐体10の内部に取り込む。吸気ファン32を作動させた場合、図の矢印X9で示すように、正面扉14の下方に設けられた通気口16を通じて、正面扉14と正面板43との間の経路を通って吸気ファン32に至る。吸気ファン32に到達した空気は、図8の矢印X10で示すように、吸気ファン32によって第2区画50の内部に取り込まれる。第2区画50の内部に取り込まれた外気は、図8の矢印X11で示すように、後面板38に当たるなどして第2区画50の上方へ流れる。
図8の矢印X11で示すように、吸気ファン32が取り込んだ空気は、複数の蓄電池ユニット44の間を通り抜ける。図8の矢印X12で示すように、吸気ファン32が取り込んだ空気は、最終的に排気口24から筐体10の外部に排出される。
図8に示すように、第2の実施の形態に係る蓄電システム100においては、筐体10において通気口16が設けられた面のうち、吸気ファンに対向した部分は封鎖されている。このため、例えば蓄電システム100が寒冷地に設置された場合に、筐体10の外気が直接吸気ファン32に取り込まれることが抑制され、外気によって蓄電池42が冷却されることも抑制される。
第1区画30は、筐体10の内側であって第2区画50の下方に位置する。第1区画30と第2区画50とは、仕切板41で仕切られている。第1の実施の形態に係る蓄電システム100と同様に、第1区画30には、制御基板52、双方向パワーコンディショナ54、電機部品56が設けられる。
筐体10の内側において、双方向パワーコンディショナ54と隣接して、双方向インバータを冷却するためのインバータ冷却ファン58が設けられている。図8に示すように、第2の実施の形態に係るインバータ冷却ファン58は、排気ファンである。通気口16は、双方向パワーコンディショナ54よりも下方かつ前面に設けられているので、インバータ冷却ファン58が動作すると、図8の矢印X13で示すように、通気口16を通って筐体10の外部から筐体10の内部に空気が流れ込む。筐体10の内部に流れ込んだ空気の多くは矢印X14で示すように双方向パワーコンディショナ54の内部に取り込まれるが、一部は矢印X15で示すように電機部品56を通る。このため、インバータ冷却ファン58が動作することにより、電機部品56も冷却される。
仕切板41は、第1区画30と第2区画50との空気の流れを遮断する。このため第1区画30の空気は、矢印X16で示すように、インバータ冷却ファン58を通って排気経路40に至る。
第2の実施の形態に係る筐体10は、背面の中央部に、中段排気口25を備える。より具体的に、中段排気口25は、筐体10の背面に設けられ、インバータ冷却ファン58の排気を排出する排気口である。インバータ冷却ファン58を通って排気経路40に至った空気の多くは、矢印X17で示すように、中段排気口25から筐体10の外部に排出される。
なお、図7および図8に示すように、第2の実施の形態に係る蓄電システム100においては、第1の実施の形態に係る蓄電システム100と同様に、蓄電池42は、筐体10内において双方向パワーコンディショナ54の上側に備えられる。一般に、暖められた空気は上昇する。このため、双方向パワーコンディショナ54や制御基板52から生じた熱で暖められた空気は第1区画30内を上昇し、第1区画30の上部に存在する仕切板41に到達する。第1区画30のうち仕切板41に対流した暖かい空気は仕切板41を暖める。
吸気ファン32は、第1区画30の上方かつ第2区画50の下方に配置されている。したがって、吸気ファン32は双方向パワーコンディショナ54の上方に設けられることになる。この結果、暖まった仕切板41によって第2区画50空気も暖められ、吸気ファン32によって第2区画50の中を移動する。このように、第2の実施の形態に係る蓄電システム100においては、双方向パワーコンディショナ54や制御基板52の動作時に発生する熱も、蓄電池42の暖めに利用することができ、電力の消費量を節約することができる。
第2の実施の形態に係る蓄電システム100においてはさらに、仕切板41は、第1区画30と第2区画50との間を遮断する。このため、第2区画50から予期せぬ異物が第1区画30に落下してしまうことを防ぐことができる。
以上の構成に基づく第2の実施の形態に係る蓄電システム100について、その機能構成について、主に第1の実施の形態に係る蓄電システム100との相違点を説明する。
図9は、第2の実施の形態に係る蓄電システム100の機能構成を模式的に示す図である。第2の実施の形態に係る蓄電システム100も、第1の実施の形態に係る蓄電システム100と同様に、排気ファン26、吸気ファン32、ヒータ34、蓄電池42、双方向パワーコンディショナ54、温度検出部59、および制御基板52の機能ブロックとして実現される制御部60を備える。また、蓄電システム100には、商用電源112、負荷114、太陽電池120が接続される。第2の実施の形態に係る蓄電システム100はさらに、取得部62と外気温計64とを備える。
外気温計64は、蓄電システム100の外気温、すなわち蓄電システム100の環境温度を計測する。取得部62は、外気温計64が取得した外気温を取得する。取得部62はまた、双方向パワーコンディショナ54に備えられた電力計から、双方向インバータが変換する電力量を取得する。
制御部60は、蓄電システム100の外気温Tが所定の温度TThを上回り、かつ双方向インバータが変換する電力量Pが所定の電力量PThを上回る場合、インバータ冷却ファン58の動作を開始させる。ここで「所定の温度TTh」とは、制御部60がインバータ冷却ファン58の動作を開始させるか否かを決定するために定められた動作開始基準温度となる閾値である。また、「所定の電力量PTh」とは、制御部60がインバータ冷却ファン58の動作を開始させるか否かを決定するために定められた動作開始基準電力量となる閾値である。
制御部60は、蓄電システム100の外気温Tが所定の温度TThを上回り、かつ双方向インバータが変換する電力量Pが所定の電力量PThを上回る状態が所定の時間間隔DTh継続した場合、インバータ冷却ファン58の動作を開始させる。ここで「所定の時間間隔DTh」とは、制御部60がインバータ冷却ファン58の動作を開始させるか否かを決定するために定められた動作開始基準時間となる閾値である。制御部60は、タイマー(不図示)を用いて経過時間を計測することができる。
所定の温度TTh、所定の電力量PTh、および所定の時間間隔DThは、蓄電システム100が設置されることが想定される場所の平均気温、蓄電池42の数や性能、双方向インバータの耐熱性や発熱量、インバータ冷却ファン58や吸気ファン32、排気ファン26の性能等を考慮して実験により定めればよい。限定を意図しない一例として、所定の温度TThは摂氏30℃であり、所定の電力量PThは5Kwであり、時間間隔DThは300秒である。所定の温度TTh、所定の電力量PTh、および所定の時間間隔DThは、制御部60内の図示しない記憶部に格納されている。これらの値は、表示部20に表示された数値をスイッチ18を操作することによって、ユーザが変更できるようにしてもよい。
このように、所定の条件が所定の時間継続した場合に、制御部60はインバータ冷却ファン58を動作させる。これにより、インバータ冷却ファン58が動作することによって排気口24から流入した外気が蓄電池42を意図せず冷却してしまうことを抑制できる。
図10は、第2の実施の形態に係る制御部60が実行するインバータ冷却ファン58の動作制御処理の流れを説明するフローチャートである。本フローチャートにおける処理は、例えば制御部60が起動したときに開始する。
制御部60は、タイマーを始動させる(S50)。取得部62は、外気温計64から蓄電システム100の外気の温度Tを取得する(S52)。取得部62はまた、双方向パワーコンディショナ54内の双方向インバータが変換中の電力量Pを取得する(S54)。
制御部60は、取得部62が取得した温度Tと所定の温度TThとを比較する。制御部60はまた取得部62が取得した電力量Pと電力量PThとを比較する。温度T>所定の温度TThかつ電力P>所定の電力量PThの場合(S56のY)、制御部60はタイマーを参照して経過時間Dを取得する。経過時間D>所定の時間間隔DThの場合(S58のY)、制御部60はインバータ冷却ファン58の動作を開始させる(S60)。経過時間D≦所定の時間間隔DThの場合(S58のN)、ステップS52に戻って温度Tと電力量Pとを取得する。
温度T≦所定の温度TTh、または電力P≦所定の電力量PThの場合(S56のN)、ステップS50に戻り、制御部60はタイマーを再始動する。制御部60がインバータ冷却ファン58の動作を開始させると、本フローチャートにおける処理は終了する。以上の処理を繰り返すことにより、制御部60はインバータ冷却ファン58の動作を制御する。
なお、第2の実施の形態に係る蓄電システム100も、図5に示した蓄電池42の温度管理処理を実行するが、処理内容は第1の実施の形態に係る蓄電システム100に係る温度管理処理と同様であるため、説明は省略する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る蓄電システム100によれば、蓄電池42の温度を好適に制御することができる。
なお、第2の実施の形態に係る発明は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[項目1]
筐体と、
前記筐体10の内部の空気を移動させる吸気ファン32と、
前記筐体10の外側から内側への方向において前記吸気ファン32と並べて配置されるヒータ34と、
前記筐体10の内側であって、前記吸気ファン32の上方に設けられる蓄電池42と、
前記筐体10の内側であって前記吸気ファン32の下方に設けられ、前記蓄電池42が放電する直流電力を交流電力に変換し、商用電源112から供給される交流電力を直流電力に変換する双方向インバータと、
前記筐体10の上面または背面に設けられる排気口24と、
前記排気口24に設けられる排気ファン26とを備えることを特徴とする蓄電システム100。
[項目2]
前記筐体10を形成している面のうち前記排気口24が設けられた面とは異なる面に設けられ、前記双方向インバータよりも下方に設けられる通気口16とをさらに備え、
前記吸気ファン32は、前記筐体10の内側において前記双方向インバータの上方に設けられ、
前記通気口16が設けられた面のうち、前記吸気ファン32に対向した部分は封鎖されていることを特徴とする項目1に記載の蓄電システム100。
[項目3]
前記筐体10の内側であって前記双方向インバータに隣接して設けられるインバータ冷却ファン58と、
前記筐体10の背面に設けられ、前記インバータ冷却ファン58の排気を排出する中段排気口25とをさらに備えることを特徴とする項目2に記載の蓄電システム100。
[項目4]
前記筐体10を形成している面のうち前記排気口24が設けられた面とは異なる面において、前記双方向インバータよりも上方に設けられる第1通気口16aと、
前記筐体10の内側であって前記双方向インバータに隣接して設けられるインバータ冷却ファン58と、
前記筐体10の面のうち前記排気口24が設けられた面とは異なる面において、前記双方向インバータよりも下方に設けられる第2通気口16bとをさらに備え、
前記吸気ファン32は、前記第1通気口16aを覆うように前記筐体10の外側に設けられることを特徴とする項目1に記載の蓄電システム100。
[項目5]
前記ヒータ34は、前記筐体10の内側に設けられ、
前記排気ファン26は、前記排気口24を覆うように前記筐体10の外側に設けられることを特徴とする項目3または4に記載の蓄電システム100。
[項目6]
前記筐体10は、
前記双方向インバータを収容する第1区画30と、
前記蓄電池42を収容する第2区画50とをさらに備えることを特徴とする項目3から5のいずれかに記載の蓄電システム100。
[項目7]
前記第1区画30に設けられ、前記蓄電池42の充放電、前記吸気ファン32、前記ヒータ34、および前記排気ファン26の動作を制御する制御部60をさらに備えることを特徴とする項目6に記載の蓄電システム100。
[項目8]
前記制御部60は、前記インバータ冷却ファンの動作も制御することを特徴とする項目7に記載の蓄電システム100。
[項目9]
前記蓄電システム100の外気温と、前記双方向インバータが変換する電力量を取得する取得部62をさらに備え、
前記制御部60は、前記蓄電システム100の外気温が所定の温度を上回り、かつ前記双方向インバータが変換する電力量が所定の電力量を上回る場合、前記インバータ冷却ファン58の動作を開始させることを特徴とする項目8に記載の蓄電システム100。
[項目10]
前記制御部60は、
前記蓄電池42を加熱するときは、前記ヒータ34と前記吸気ファン32とを動作させ、前記排気ファン26を停止し、
前記蓄電池42を冷却するときは、前記吸気ファン32と前記排気ファン26とを動作させ、前記ヒータ34を停止することを特徴とする項目7から9のいずれかに記載の蓄電システム100。
[項目11]
前記双方向インバータの温度を検出する温度検出部59をさらに備え、
前記制御部60は、前記温度検出部59が検出した温度が所定の温度を上回る場合、前記蓄電池42を加熱しているときであっても、前記排気ファン26を動作させることを特徴とする項目10に記載の蓄電システム100。
以上、本発明を第1の実施の形態および第2の実施の形態をもとに説明した。第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせることで生じる新たな実施の形態もまた、本発明の実施の形態に含まれる。
例えば、第1の実施の形態に係る蓄電システム100のように、正面扉14に第1通気口16aおよび第2通気口16bを備え、かつ一つの排気口24を備える構成において、図10に示すインバータ冷却ファン58の動作制御処理を実行するようにしてもよい。また、第1の実施の形態に係る蓄電システム100において、インバータ冷却ファン58は排気ファンとして配置されてもよい。組合せによって生じる新たな実施の形態の作用効果は、元の実施の形態の作用効果を合わせ持つ。
以上、本発明を第1の実施の形態および第2の実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について例示する。
制御部60は、蓄電池42の最高温度および最低温度を用いて、蓄電池42の冷却または加熱をすべきか否かを判断したが、例えば、蓄電池42を構成する蓄電池ユニット44の複数箇所に設けられる温度センサの測定値の平均した平均温度を用いて、その判断をしてもよい。その他、下限温度未満の温度が計測された箇所が全体の半分以上となった場合に加熱が必要と判断するなど、蓄電池42の温度分布に応じて加熱または冷却の必要性を判断してもよい。具体的な基準については、蓄電池42に設けられる温度センサの位置や、筐体10の形状、吸気ファン32およびヒータ34の性能などに応じて、実験等などにより求めた条件を予め設定しておくことが望ましい。
また、蓄電池42を加熱する場合に、吸気ファン32を作動させる条件として、ヒータ34が第1の閾値以上の温度となることをその条件とする場合について説明した。その条件の替わりに、ヒータ34をオンにしてから所定時間経過後に吸気ファン32を作動させることとしてもよい。例えば、ヒータ34をオンにして所定時間経過させることにより、その温度が第1の閾値以上となるような時間としてその時間を設定する。このように設定することで、ヒータ34に温度センサを設ける必要がなくなりコスト削減につながる。なお、条件として設定すべき具体的な時間値については、ヒータ34の特性や、ヒータ34に通電させる電流値などにより実験等により求めることが望ましい。同様に、蓄電池42の加熱を停止する場合についても、ヒータ34をオフにしてから所定時間経過後に吸気ファン32を停止させるとしてもよい。
また、蓄電池42を加熱する場合に、ヒータ34が第1の閾値より大きい第3の閾値以上の温度となった場合に、一時的にヒータ34をオフにしてもよい。ヒータ34が加熱されすぎることで筐体10の内部において局所的に温度が高まり、蓄電池42の一部が局所的に加熱されてしまうことを防ぐためである。なお、ヒータ34を一時的にオフにした後、ヒータ34の温度が第3の閾値を下回った場合には、必要に応じて再度、ヒータ34をオンにしてもよい。