JP6292385B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Description
こうした乗員保護装置には、シートを、シートに着座した乗員の背が衝突方向へ向くよう、車室内の内側へ移動させる装置がある。多くは、特許文献1に開示されているようにシートをスライド可能にフロアに支持する一対のスライドレールの複数の固定箇所の取付強度を変える構造を採用して、側突時、シートの向きを、シートに着座した乗員の背が衝突方向へ向く方向に変えたり、特許文献2に開示されているようにシートを支持する一対のスライドレールを、モータなどの駆動源で互い違いとなる方向(一方は前方、他方は後方という具合)へ駆動する構造を採用して、側突時、シートフレームを変形させ、乗員の背を衝突方向へ向かせる構造が提案されている。
ところが、特許文献1、2のようにスライドレールの挙動に頼る構造では、側突の状況によっては、意図したシートの変位は確保できない可能性がある。
例えば特許文献1は、スライドレールの複数の固定箇所の一部だけに衝突荷重が加わるような側突の場合、意図したシートの変位は得られない。特許文献2は、スライドレールの動きを損なうような衝突荷重が加わるような側突の場合、同様に意図したシートの変位は得られない。特に、木や電柱など柱形部材が車体側部と衝突するような局所的な側突の場合、車体側部の一部にだけ衝突荷重が集中して作用するため、スライドレールの取付部へ意図しない荷重が加わったり(前者)、スライドレールが変形しやすく(後者)、乗員の背が衝突方向へ向くようシートを変位させる挙動を得ることは難しい。
好ましくは、シートは、フロアに沿って車体前後方向に延びるように設置された一対のシートレールを有し、脚部は、一対のシートレールの前後に配置されるものとした(請求項3)。
好ましくは、荷重入力部は、車両のサイドシルに設けられるものとした(請求項5)。
図1は、本発明を適用した自動車など車両の乗員保護装置1の全体を示し、図2および図3は同乗員保護装置1の各部をそれぞれ示している。
図1に示す車両において、3は内部に車室内3aを有する車体、5は同車体3の車幅方向側部に設けたフロント側の乗降口、7は同乗降口5と隣接してリヤ側に設けたリヤ側の乗降口を示す。9は乗降口5を開閉するフロントドア(リヤドアは図示せず)、11は乗降口5,7間に配置されたセンタピラー、13は乗降口5,7の下部を形成するサイドサイドシルを示し、これら各部分を含め車体3の側部(車幅方向)を構成している。ちなみに、15は車室内3aのフロアを示している。
回動式シートを説明すると、例えばシートクッション19は、下部車幅方向両側に車体前後方向にシートをスライド可能にする一対のシートレール23を有し、同シートレール23の各前後に、四本の脚部25a〜25dを有している。ちなみに脚部25a〜25dは、例えばシートレール23から下方へ突き出る帯形の部材で形成される。
具体的にはフロントシート17は、シートクッション19の四隅側に対応する箇所にそれぞれ配置された脚部、例えば四本の脚部25a〜25dのうち、車両前後方向後側で、車室内3aの内側(車幅方向内側)に配置された一本の脚部25bの下端部を、例えば図3にも示されるようにスラストベアリング27を介して、フロア15上に固定された台座29に回動自在に組み付けられている。つまり、脚部25bは、シートクッション19を回動可能とするための回動軸線αとして用いられる。この脚部25bにて、フロントシート17を回動可能とする回動可能脚部を構成している。
例えば図4(a)および図5(a)に示される車両のフロントドア9に衝突物体、例えば木や電柱など柱形部材Pが側突する事態(局所的な側突)になったとする。すると、加わる衝撃でフロントドア9およびサイドシル13は、潰れ変形を起こし、そしてフロア15も変形を起こす。図4(b)および図5(b)に示されるように荷重入力部材43は、サイドシル13を通じて入力される衝突荷重により、サイドシル13およびフロントドア9と共に車室内3aへ侵入する。
このとき、各台座35と伝達杆片51a,51b,53aの先端部との距離よりも、板カム部61を接触子部63の距離のほうが離れている。
このため、始め、伝達杆片51a,51b,53aの先端部が、各台座35に収まっている嵌挿部39の小径側の端面と突き当たり、嵌挿部39を台座35から押し出す。つまり、荷重入力部材43から入力される衝突荷重により、固定具31は解除操作される。これにより、各脚部25a,25c,25dは、固定具31から解放され、フロントシート17は、回動変位が自在、つまり固定の解除された状態となる。
こうしたフロントシート17の挙動は、衝突物体が柱形部材Pでなく、例えば図5(b)中の二点鎖線で示される壁部や他車両の前部などフロンドドア9の全体に衝突する衝突物体Qでも、荷重入力部材43に衝突荷重が加わることで同様に行われる。
またフロントシート17の回動の誘発は、フロントシート17に、シート後部が車両側部へ向く方向の回動を誘発する誘発部57、衝突荷重を誘発部57へ伝える駆動部材59を設けるだけの構造ですむので、構成が簡単である。
本実施形態は、駆動部材59によって、フロントシート17が一層、回動しやすくなるよう、フロントシート17の回動軸線αをなす脚部25bの位置をオフセットさせたものである。
すなわち、脚部25bは、当該脚部25bと車幅方向で隣合う、車両前後方向後側で、車幅方向外側に配置される脚部25cに対し、車両後方側に配置される構造とした。本実施形態では、脚部25cを脚部25bよりも車両前方側へオフセットさせて、当該位置関係を達成している。つまり、脚部25bを脚部25cよりもオフセット距離δ後方に設けるということでもある。
なお、上述した各実施形態における各構成およびそれの組合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であることはいうまでもない。また本発明は、実施形態によって限定されることはなく、「特許請求の範囲」によってのみ限定されることはいうまでもない。例えば上述の実施形態では、テーパ構造の固定具、細長の荷重入力部材を用いた荷重入力部、杆式の固定解除機構部、カム構造を用いた回動誘発部などを用いたが、これに限らず。他の構造及び手段を用いても構わない。むろん、シートもフロントシートでなく、リヤシートでもよく、シートの回動軸線も、別途、支点軸部材を設ける構造でも構わない。
9 フロントドア(車両の側部)
15 フロア
17 フロントシート(シート)
31 固定具
43 荷重入力部材(荷重入力部)
45 解除機構部(固定解除機構部)
47 回動誘発部
α 回動軸線
Claims (5)
- 車両のフロアに、前記フロアとの据付け方向に予め設定された回動軸線を中心に水平方向に回動可能に配置されたシートと、
前記シートを前記フロアに固定及び解除可能な固定具と、
前記車両の側部に設けられ、当該車両の側面衝突時の衝突荷重が入力可能な荷重入力部と、
前記荷重入力部からの衝突荷重を前記固定具へ伝え、当該固定具を固定解除する固定解除機構部と、
前記荷重入力部からの衝突荷重を固定が解除された状態の前記シートへ伝え、当該シートを前記回動軸線を中心に回動させる回動誘発部と
を具備し、
前記シートは、シートクッションの下部の四隅に前記フロアに向けて延びる脚部を有し、
前記脚部のうちの車両前後方向後側で、車幅方向内側に配置された一本の脚部が回動軸線となるべく前記フロアに回動可能に支持される回動可能脚部として構成され、
前記固定具は、前記回動可能脚部以外の脚部を前記フロアに解除可能に固定するものである
ことを特徴とする車両の乗員保護装置。 - 前記回動誘発部は、
前記シートに設けられ、当該シート後部が車両側部へ向く方向の回動を誘発可能とした誘発部と、
前記荷重入力部からの衝突荷重を前記誘発部へ伝え、固定が解除された前記シートを、前記回動軸線を中心に回動させる駆動部材と
を有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記シートは、前記フロアに沿って車体前後方向に延びるように設置された一対のシートレールを有し、
前記脚部は、前記一対のシートレールの前後に配置されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記回動可能脚部は、当該回動可能脚部と隣合う車両前後方向後側で、車幅方向外側に配置された脚部に対し、車両後方側に配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記荷重入力部は、前記車両のサイドシルに設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の車両の乗員保護装置。
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- 2014-02-27 JP JP2014036927A patent/JP6292385B2/ja not_active Expired - Fee Related
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