JP6292164B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン多結晶を原料として用いたチョクラルスキー法(Czochralski method:CZ法)によるシリコン単結晶の製造方法に関する。
CZ法によるシリコン単結晶の育成方法は、ルツボ内に原料として高純度のシリコン多結晶を充填して溶融し、その溶融液に浸漬した種結晶を回転させながら引き上げることにより、種結晶の下端にシリコン単結晶を成長させる方法であり、半導体基板に用いられるシリコン単結晶を製造する方法として広く採用されている。
原料となるシリコン多結晶は高純度のものであるが、その表面には微量ながら有機物が付着している。CZ法によるシリコン単結晶の育成方法では、シリコン多結晶を溶融する際、不活性ガス雰囲気下でシリコンの融点である1,414℃以上の高温状態とするため、シリコン多結晶の表面に付着している有機物の多くは気化し、引き上げられる結晶にはそれら気化した有機物は取り込まれない。しかしながら、付着している有機物の中には上記の高温状態においても気化しにくく炭化しやすいものがあり、気化せず炭化した有機物は引き上げられる結晶に取り込まれ、結果として製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が上昇してしまうという問題があった。
このような問題点を解決する手段として、特許文献1では、原料として用いるシリコン多結晶を不活性ガス雰囲気下で350〜600℃に加熱することで表面の有機物を気化させて、シリコン多結晶をクリーニングする方法が提案されている。しかしながら、このようなクリーニングを行うとコストが増加し、またクリーニング工程が増えるためシリコン単結晶の製造効率が悪化するという問題があった。
特開2013−170122号公報
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、CZ法によるシリコン単結晶の製造において、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明では、シリコン多結晶を原料としてCZ法によりシリコン単結晶を製造する方法であって、原料となるシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定して定量分析する工程、前記有機物を製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類する工程、前記定量分析の結果から、各分類別の合計炭素濃度を求める工程、及び該各分類別の合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下のシリコン多結晶を選別し、該選別されたシリコン多結晶を原料として使用してシリコン単結晶の引き上げを行う工程を有するシリコン単結晶の製造方法を提供する。
このようなシリコン単結晶の製造方法であれば、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に影響を与えにくい原料を選別して用いることで、原料からシリコン単結晶に取り込まれる炭素の量を低減することができるため、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造することができる。
また、前記分類において、前記有機物を、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度の小さいポリエチレン及びポリイソプレンからなるグループAと、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が中程度のポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ニトリルゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、及びポリエステルからなるグループBと、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が大きいポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデンからなるグループCに分類することが好ましい。
このように分類することで、原料として使用されるシリコン多結晶をより厳密に選別することができるため、低炭素濃度のシリコン単結晶をより効率よく製造することができる。
またこの場合に、前記シリコン多結晶として、前記グループAの合計炭素濃度が2,000ppba以下、前記グループBの合計炭素濃度が500ppba以下、かつ前記グループCの合計炭素濃度が50ppba以下のものを選別して原料に使用することが好ましい。
このようなシリコン多結晶を原料として使用することで、低炭素濃度のシリコン単結晶を更に効率よく製造することができる。
また、前記シリコン多結晶の表面に付着している有機物を、前記シリコン多結晶の粉砕、選別、洗浄、乾燥、搬送、及び袋詰めのいずれかの工程で使用される装置、治具、又は材料に含まれる有機物から同定することが好ましい。
このような方法であれば、より簡便にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定することができる。
また、前記シリコン多結晶の表面に付着している有機物を、飛行時間型二次イオン質量分析法又は熱分解ガスクロマトグラフィーにより同定することが好ましい。
このような方法であれば、より正確にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定することができる。
また、前記有機物の定量分析において、前記同定した有機物の検量線を予め作成し、該作成した検量線に基づいて定量分析を行うことが好ましい。
このような方法であれば、より正確にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を定量することができる。
更に、前記有機物の定量分析を、熱分解ガスクロマトグラフィーにより行うことが好ましい。
このような方法であれば、より正確にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を定量することができる。
以上のように、本発明のシリコン単結晶の製造方法であれば、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に影響を与えにくい原料を選別して用いることで、原料からシリコン単結晶に取り込まれる炭素の量を低減することができるため、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造することができ、また炭素濃度のばらつきも低減することができる。また、炭素濃度を制御して、所望の炭素濃度を有するシリコン単結晶を製造することもできる。
本発明に使用される熱分解ガスクロマトグラフィー装置の一例を示す概略図である。 実施例において作成したポリ塩化ビニルの検量線である。 実施例においてシリコン多結晶の熱分解ガスクロマトグラフィー分析で得られたマススペクトルである。
上述のように、CZ法によるシリコン単結晶の製造において、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造する方法の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討し、シリコン多結晶の表面に付着する有機物には、気化しやすさ(又は炭化しやすさ)に種類による差異があることに着目した。上記のように、不活性ガス雰囲気下かつシリコンの融点以上の高温下において気化しやすい(炭化し難い)有機物は、シリコン多結晶の表面に付着しても、シリコン多結晶を溶融する際にそのほとんどが気化してしまうため、引き上げられる結晶には取り込まれにくい。従って、このような有機物は引き上げられる結晶の炭素濃度に与える影響度が小さく、許容濃度(即ち、結晶の炭素濃度に影響を与えない上限の濃度)が高い。一方、不活性ガス雰囲気下かつシリコンの融点以上の高温下において気化し難い(炭化しやすい)有機物は、シリコン多結晶の表面に付着すると、シリコン多結晶を溶融する際に気化せず炭化してしまうため、引き上げられる結晶に取り込まれやすい。従って、このような有機物は引き上げられる結晶の炭素濃度に与える影響度が大きく、許容濃度が低い。
このことから、本発明者らは、シリコン多結晶の表面に付着する有機物を、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類し、各分類別の合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下であるシリコン多結晶を選別し、これを原料として使用することで、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、シリコン多結晶を原料としてCZ法によりシリコン単結晶を製造する方法であって、原料となるシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定して定量分析する工程、前記有機物を製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類する工程、前記定量分析の結果から、各分類別の合計炭素濃度を求める工程、及び該各分類別の合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下のシリコン多結晶を選別し、該選別されたシリコン多結晶を原料として使用してシリコン単結晶の引き上げを行う工程を有するシリコン単結晶の製造方法である。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[有機物を同定して定量分析する工程]
本発明のシリコン単結晶の製造方法では、まず原料となるシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定して定量分析する。原料となるシリコン多結晶には高純度が要求されるため、シリコン多結晶に付着する可能性がある有機物は限られている。より具体的には、例えばシリコン多結晶の粉砕、選別、洗浄、乾燥、搬送、及び袋詰めのいずれかの工程で使用される装置、治具、又は材料に含まれる有機物がシリコン多結晶の表面に付着している可能性が高い。従って、シリコン多結晶の表面に付着している有機物は、このような有機物から同定することが好ましい。このような方法であれば、より簡便にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定することができる。
このような有機物として、更に具体的には、シリコン多結晶を挿入する袋に用いられるポリエチレン、シリコン多結晶を取り扱う際に使用する手袋に用いられるニトリルゴム、ポリイソプレン、シリコン多結晶の洗浄工程の薬液や運搬キャリアに用いられるポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びシリコン多結晶を運搬するベルトコンベアに用いられるポリエステル、ナイロン、ポリウレタンなどが挙げられる。
なお、上記の有機物は接触頻度、付着しやすさ、熱分解温度に差異がある。例えば、ポリエチレンなどは袋や手袋に用いられるため接触頻度はかなり高いが、熱分解温度が低く気化しやすいため、許容濃度は高い。逆に、ポリウレタンなどはシリコン多結晶を運搬するベルトコンベアに用いられるため接触頻度は低いものの、熱分解温度は高く気化し難い(炭化しやすい)ことが予想され、許容濃度は低い。一方、PTFE、PVDFなどのフッ化炭化水素化合物はシリコン多結晶の洗浄槽や運搬キャリアに用いられているため接触頻度がやや高く、また熱的に安定な物質なので、許容濃度は更に低い。
また、シリコン多結晶の表面に付着している有機物を、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)又は熱分解ガスクロマトグラフィーにより同定することも好ましい。このような方法であれば、より正確にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定することができる。
また、定量分析の方法は特に限定されないが、本発明では不定形かつ表面に凹凸を有するシリコン多結晶を分析の対象とするため、NMR(核磁気共鳴分光法)、液体クロマトグラフィー、FT−IR(フーリエ変換赤外線分光法)での定量は困難である。従って、本発明において、シリコン多結晶の表面に付着している有機物の定量分析は、熱分解ガスクロマトグラフィーにより行うことが好ましい。
この熱分解ガスクロマトグラフィーには、例えば図1に示される熱分解ガスクロマトグラフィー装置を使用することができる。図1に示される熱分解ガスクロマトグラフィー装置は、分析試料1を加熱する加熱チャンバー2、加熱チャンバー2で発生したガスを濃縮し再度気化させる濃縮装置3、濃縮装置3で発生したガスを分析するガスクロマトグラフィー装置4を有し、加熱チャンバー2と濃縮装置3は供給ライン5、濃縮装置3とガスクロマトグラフィー装置4は供給ライン5’でそれぞれ接続されている。加熱チャンバー2は、その前面に分析試料1を出入りさせるためのチャンバー開口部6、内部には分析試料1を置くための試料台7を有し、不活性ガスを供給する不活性ガス供給ライン8が接続されている。また、濃縮装置3はトラップ管9とリボンヒーター10を有し、ガスクロマトグラフィー装置4はキャピラリーカラム11と質量分析装置12を有する。
この熱分解ガスクロマトグラフィー装置を使用する際には、チャンバー開口部6を開けて加熱チャンバー2内部の試料台7に分析試料1を置き、窒素などの不活性ガスを不活性ガス供給ライン8から流して加熱チャンバー2内を置換する。そして、加熱チャンバー2内で分析試料1を加熱し、分析試料1に付着した有機物を気化させる。これによって発生させたガスを、供給ライン5を介して、濃縮装置3内のトラップ管9に捕集し、冷却して気体から固体へ相変化させる。捕集が完了したら、トラップ管9に巻きつけられたリボンヒーター10によりトラップ管9を加熱し、トラップ管9中に捕集した固体の有機物を気体に再度相変化させる。これによって発生させたガスを、供給ライン5’を介して、ガスクロマトグラフィー装置4に供給し、気化させた有機物の分析を行う。
なお、有機物の定量分析は、同定した有機物の検量線を予め作成し、作成した検量線に基づいて定量分析を行うことが好ましい。以下、上記の熱分解ガスクロマトグラフィー装置を使用して検量線の作成と検量線に基づいた定量分析を行う方法について、更に詳しく説明する。
まず、上記のようにして同定した有機物のそれぞれについて、以下のような手順で検量線を作成する。具体的には、同定した有機物を既知量(例えば、0.01〜0.1g)切り出し、加熱チャンバーに入れ、窒素などの不活性ガスを0.1L/分〜30L/分でチャンバー内に流してチャンバー内を置換する。置換後、チャンバー温度を100〜600℃に設定し、30〜60分間加熱してチャンバー内の有機物の熱分解を行い、発生したガスをガスクロマトグラフィー装置で分析して、ピークデータを得る。更に、加熱チャンバーに入れる有機物の量を変えて同様の操作を行い、それぞれの量におけるピークデータを得る。このようにして得られたピークデータの中で、分析した有機物の代表的な熱分解生成物を示すキーピークを決定し、キーピークの面積と分析に使用した有機物の量から検量線を作成する。
ここで、各有機物のキーピーク例を表1に示す。なお、表1のキーピークは例であり、これらに限定されるものではない。
Figure 0006292164
次に、シリコン多結晶に付着している有機物を定量する。具体的には、シリコン多結晶10g〜200gを加熱チャンバーに入れ、上記の検量線を作成するときと同様の操作を行って、熱分解ガスクロマトグラフィーのピークデータを得る。得られたシリコン多結晶のピークデータにおいて、各有機物のキーピークに相当するピークの面積をそれぞれ求める。そして、このようにして求めた各有機物のキーピークに相当するピークの面積と、上記のようにして作成した各有機物の検量線から、シリコン多結晶に付着している各有機物の量を算出する。
このような方法であれば、より正確にシリコン多結晶の表面に付着している有機物を定量することができる。
[有機物を分類する工程]
上述のように、各有機物はシリコン多結晶との接触頻度や気化(熱分解)しやすさが異なるため、有機物によって、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が異なる。そこで、本発明のシリコン単結晶の製造方法では、次に、上記のシリコン多結晶の表面に付着している有機物を、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類する。
より具体的には、例えば、影響度の小さいグループをグループA、影響度が中程度のグループをグループB、影響度が大きいグループをグループCとすると、気化しやすい(即ち、許容濃度が高い)有機物はグループA、やや気化し難い(即ち、許容濃度がやや低い)有機物はグループB、更に気化し難い(即ち、許容濃度が更に低い)有機物はグループCにそれぞれ分類することができる。
このような基準で上記の有機物を分類すると、ポリエチレン及びポリイソプレンはグループA、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ニトリルゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、及びポリエステルはグループB、PTFE及びPVDFはグループCに分類することができる。
なお、本発明における有機物の分類の基準は、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類できるものであればよく、上記の基準に限定されるものではない。即ち、更に細分化してもよいし、その他の有機物による分類を適用してもよい。
[各分類別の合計炭素濃度を求める工程]
本発明のシリコン単結晶の製造方法では、次に、各分類別の合計炭素濃度を求める。この工程では、上述の定量分析で求めた各有機物の付着量を、上述の分類で分けた各グループごとに合計することで、各グループの合計炭素濃度を算出する。具体的には、各有機物のピークデータと該当する炭化水素化合物の検量線から該当炭化水素化合物の付着量を決定する。各炭化水素化合物について、同様の解析を行い、前記化合物のグループ毎に付着量を合計することで各グループの合計炭素濃度を算出する。
[シリコン多結晶を選別しシリコン単結晶の引き上げを行う工程]
本発明のシリコン単結晶の製造方法では、次に、各分類別の合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下のシリコン多結晶を選別し、この選別されたシリコン多結晶を原料として使用してシリコン単結晶の引き上げを行う。このとき、例えば上記のようにグループA、B、及びCに分類した場合には、グループAの合計炭素濃度が2,000ppba以下、グループBの合計炭素濃度が500ppba以下、かつグループCの合計炭素濃度が50ppba以下のものを選別して原料に使用することが好ましい。なお、上記の選別の基準は一例であり、本発明における選別の基準は、製造するシリコン単結晶の炭素濃度の規格に従えばよく、これらに限定されるものではない。
なお、シリコン単結晶の引き上げは、通常のCZ法による単結晶の引き上げと同様に行えばよい。
また、上記分析の頻度としては、例えばシリコン多結晶の洗浄ロットにて1回、もしくはシリコン多結晶2tで1回の頻度で行うことができるが、適宜都合により決定すればよい。
以上のように、本発明のシリコン単結晶の製造方法であれば、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に影響を与えにくい原料を選別して用いることで、原料からシリコン単結晶に取り込まれる炭素の量を低減することができるため、低炭素濃度のシリコン単結晶を効率よく製造することができ、また炭素濃度のばらつきも低減することができる。また、炭素濃度を制御して、所望の炭素濃度を有するシリコン単結晶を製造することもできる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
まず、シリコン多結晶の粉砕、選別、洗浄、乾燥、搬送、及び袋詰めのいずれかの工程で使用される装置、治具、又は材料に含まれる有機物から、原料となるシリコン多結晶の表面に付着している有機物を、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリプロピレン、PTFE、及びPVDFと同定した。
次に、同定した有機物のそれぞれについて、図1に示される熱分解ガスクロマトグラフィー装置を用いて検量線を作成し、定量分析を行った。まず、ポリ塩化ビニル0.01gを試料台に置き、チャンバー内を窒素ガスで置換した。その後、室温から目標温度500℃まで5℃/分にて昇温を行い、目標温度である500℃で60分間放置した後、10℃/分にて降温を行った。発生したガスをガスクロマトグラフィーで分析し、マススペクトルを得た。同様にして、ポリ塩化ビニルの量を0.05g、0.1gに変更して分析を行い、マススペクトルを得た。ポリ塩化ビニルのキーピークをベンゼンとし、上記のようにして得られたマススペクトルにおけるベンゼンのピークから、図2の検量線を作成した。なお、図2の横軸はポリ塩化ビニルの量であり、縦軸は得られたベンゼンのピーク面積の相対値である。
ポリ塩化ビニルと同様にして、ポリイソプレン(キーピーク:イソプレン)、ポリプロピレン(キーピーク:プロピレン)、PTFE(キーピーク:安息香酸)、PVDF(キーピーク:トリフルオロベンゼン)についても上記の方法で分析を行い、それぞれの有機物についてキーピークに対する検量線を作成した。
次に、分析対象となるシリコン多結晶100gに対して、上記と同様の方法で熱分解ガスクロマトグラフィー分析を行った。得られたマススペクトルを図3に示す。図3の横軸は通過時間、縦軸は強度(ピーク面積値)である。図3のベンゼンのピーク面積値と図2の検量線から内挿又は外挿にて、分析に使用した100gのシリコン多結晶の表面に付着しているポリ塩化ビニルの量を算出した。同様にして、分析に使用した100gのシリコン多結晶の表面に付着しているポリイソプレン、ポリプロピレン、PTFE、PVDFの量をそれぞれ算出した。
次に、ポリ塩化ビニル、ポリイソプレン、ポリプロピレン、PTFE、PVDFを、シリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に、A〜Cの3つグループに分類した。ポリイソプレンは影響度の小さいグループA、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルは影響度が中程度のグループB、PTFE及びPVDFは影響度の大きいグループCにそれぞれ分類された。
次に、上記のようにして算出したシリコン多結晶の表面に付着した各有機物の量から、各グループごとの合計炭素濃度を算出し、グループA(ポリイソプレン)の合計炭素濃度が2,000ppba以下であり、グループB(ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル)の合計炭素濃度が500ppba以下であり、グループC(PTFE、PVDF)の合計炭素濃度が50ppba以下であるシリコン多結晶をシリコン単結晶を製造するための原料として選別した。このとき、シリコン多結晶2tの中から任意に100gを選んで分析し、分析結果をシリコン多結晶2tの代表値とした。
次に、口径22インチ(550mm)の石英ルツボに上記のようにして選別したシリコン多結晶200kgを充填した。次いで、石英ルツボ内でシリコン多結晶を加熱熔融した後、CZ法により、結晶直径12インチ(300mm)、結晶方位<100>のシリコン単結晶を10本引き上げた。得られた10本のシリコン単結晶の直胴後半(テール側)の炭素濃度を測定し、炭素濃度の平均値及び標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
[比較例1]
上記の選別を行わなかったシリコン多結晶を原料として、実施例1と同様の条件で10本のシリコン単結晶を引き上げた。得られた10本のシリコン単結晶の直胴後半の炭素濃度を測定し、炭素濃度の平均値及び標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例1の選別から外れたシリコン多結晶、具体的には、グループAの合計炭素濃度が2,000ppbaを超え、グループBの合計炭素濃度が500ppba以下であり、グループCの合計炭素濃度が50ppba以下であるシリコン多結晶を原料として、実施例1と同様の条件で10本のシリコン単結晶を引き上げた。得られた10本のシリコン単結晶の直胴後半の炭素濃度を測定し、炭素濃度の平均値及び標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
[比較例3]
実施例1の選別から外れたシリコン多結晶、具体的には、グループAの合計炭素濃度が2,000ppba以下であり、グループBの合計炭素濃度が500ppbaを超え2,000ppba以下であり、グループCの合計炭素濃度が50ppba以下であるシリコン多結晶を原料として、実施例1と同様の条件で10本のシリコン単結晶を引き上げた。得られた10本のシリコン単結晶の直胴後半の炭素濃度を測定し、炭素濃度の平均値及び標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例1の選別から外れたシリコン多結晶、具体的には、グループAの合計炭素濃度が2,000ppba以下であり、グループBの合計炭素濃度が500ppba以下であり、グループCの合計炭素濃度が50ppbaを超え2,000ppba以下であるシリコン多結晶を原料として、実施例1と同様の条件で10本のシリコン単結晶を引き上げた。得られた10本のシリコン単結晶の直胴後半の炭素濃度を測定し、炭素濃度の平均値及び標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006292164
表2に示されるように、分類した各グループの合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下であるシリコン多結晶を選別してシリコン単結晶の引き上げを行った実施例1では、比較例1〜4に比べて製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が低減され、また炭素濃度のばらつきも低減されていた。
一方、シリコン多結晶の選別を行わずにシリコン単結晶の引き上げを行った比較例1、及び分類した各グループのうち1つのグループの合計炭素濃度が所定の値を超えているシリコン多結晶を用いてシリコン単結晶の引き上げを行った比較例2〜4では、実施例1に比べて製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が高く、また炭素濃度のばらつきも大きかった。特に、シリコン多結晶の選別を行わなかった比較例1では、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が高くなるだけでなく、炭素濃度のばらつきが非常に大きくなった。
また、比較例2〜4を比べると、グループAの合計炭素濃度が所定の値を超えている比較例2よりも、グループBの合計炭素濃度が所定の値を超えている比較例3や、グループCの合計炭素濃度が所定の値を超えている比較例4の方が、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が高くなっていた。また、比較例3のようにグループBの合計炭素濃度をグループAの選別規格値(2,000ppba)以下にしても、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度が高くなっていた。これは比較例4の結果から、グループCも同様であることが分かる。このことから、グループBやグループCの方がグループAよりも製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が大きく、許容される合計炭素濃度が低いことが示された。
以上のことから、本発明のシリコン単結晶の製造方法であれば、CZ法によるシリコン単結晶の製造において、低炭素濃度かつ炭素濃度のばらつきが低減されたシリコン単結晶を効率よく製造できることが明らかとなった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…分析試料、 2…加熱チャンバー、 3…濃縮装置、
4…ガスクロマトグラフィー装置、 5、5’…供給ライン、
6…チャンバー開口部、 7…試料台、 8…不活性ガス供給ライン、
9…トラップ管、 10…リボンヒーター、 11…キャピラリーカラム、
12…質量分析装置。

Claims (7)

  1. シリコン多結晶を原料としてCZ法によりシリコン単結晶を製造する方法であって、
    原料となるシリコン多結晶の表面に付着している有機物を同定して定量分析する工程、
    前記有機物を製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度別に分類する工程、
    前記定量分析の結果から、各分類別の合計炭素濃度を求める工程、及び
    該各分類別の合計炭素濃度がそれぞれ所定の値以下のシリコン多結晶を選別し、該選別されたシリコン多結晶を原料として使用してシリコン単結晶の引き上げを行う工程、
    を有することを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記分類において、前記有機物を、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度の小さいポリエチレン及びポリイソプレンからなるグループAと、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が中程度のポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ニトリルゴム、ポリウレタン、ポリスチレン、ナイロン、及びポリエステルからなるグループBと、製造されるシリコン単結晶の炭素濃度に与える影響度が大きいポリテトラフルオロエチレン及びポリフッ化ビニリデンからなるグループCに分類することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記シリコン多結晶として、前記グループAの合計炭素濃度が2,000ppba以下、前記グループBの合計炭素濃度が500ppba以下、かつ前記グループCの合計炭素濃度が50ppba以下のものを選別して原料に使用することを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン多結晶の表面に付着している有機物を、前記シリコン多結晶の粉砕、選別、洗浄、乾燥、搬送、及び袋詰めのいずれかの工程で使用される装置、治具、又は材料に含まれる有機物から同定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記シリコン多結晶の表面に付着している有機物を、飛行時間型二次イオン質量分析法又は熱分解ガスクロマトグラフィーにより同定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  6. 前記有機物の定量分析において、前記同定した有機物の検量線を予め作成し、該作成した検量線に基づいて定量分析を行うことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  7. 前記有機物の定量分析を、熱分解ガスクロマトグラフィーにより行うことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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