以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るガスタービン1の一例を示す模式図である。ガスタービン1は、燃焼用空気を圧縮する圧縮機2と、圧縮機2から供給された圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、燃焼ガスFGを生成する燃焼器3と、燃焼器3から供給された燃焼ガスFGにより駆動するタービン部4と、発電機6と、圧縮機2、タービン部4、及び発電機6に配置される回転軸5とを備えている。
図2は、タービン部4の一部を示す断面図である。タービン部4は、回転軸5の周囲に配置されるタービン静翼7と、回転軸5の周囲に配置されるタービン動翼8と、回転軸5に対する放射方向に関してタービン動翼8の外側に配置される分割環9とを備えている。
分割環9は、車室10に支持される。分割環9は、環状の部材であり、回転軸5の周方向に配置される複数の分割体を含む。分割環9とタービン動翼8の先端との間に間隙が設けられる。
以下の説明において、ガスタービン1の部材を適宜、高温部品M、と称する。高温部品Mは、タービン部4の部材でもよいし、燃焼器3の部材でもよい。高温部品Mは、タービン静翼7でもよいし、タービン動翼8でもよいし、分割環9でもよい。
図3は、高温部品Mの一例を模式的に示す断面図である。図3に示すように、高温部品Mは、基材11と、基材11上に形成されたアンダーコート膜12と、アンダーコート膜12上に形成されたトップコート膜13とを備えている。アンダーコート膜12は、基材11の表面11Sに設けられる。アンダーコート膜12は、基材11と接する裏面12Bと、裏面12Bの反対方向を向く表面12Sとを有する。トップコート膜13は、アンダーコート膜12の表面12Sに設けられる。トップコート膜13は、アンダーコート膜12と接する裏面13Bと、裏面13Bの反対方向を向く表面13Sとを有する。
基材11は、金属製である。本実施形態において、基材11は、ニッケル基超合金製である。ニッケル基超合金は、耐熱性が高いため、高温部品Mの材料に好適である。なお、基材11が、コバルト基超合金製でもよい。
アンダーコート膜12は、基材11とトップコート膜13との密着性を高める金属結合層として機能する。アンダーコート膜12は、金属製の膜である。本実施形態において、アンダーコート膜12は、MCrAlY合金(但し、Mは、Co、Ni、又はこれらの元素の組み合わせ)で形成される。
トップコート膜13は、遮熱性を有し、基材11を保護する。トップコート膜13は、遮熱コーティング(TBC:Thermal Barrier Coating)膜である。遮熱コーティング膜(トップコート膜)13は、ジルコニア(ZrO2)系セラミックス製の膜である。以下の説明において、遮熱コーティング膜(トップコート膜)13を適宜、TBC膜13、と称する。本実施形態において、TBC膜13は、Y2O3で部分安定化又は完全安定化したZrO2であるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)を含む。
本実施形態において、TBC膜13は、基材11の冷却の少なくとも一部と並行して、その基材11に対して溶射された溶射材により基材11に形成される。
次に、本実施形態に係るTBC膜13の製造装置である成膜装置20の一例について説明する。図4は、本実施形態に係る成膜装置20の一例を示す図である。図5は、本実施形態に係る成膜装置20の一例を示す機能ブロック図である。図4及び図5に示すように、成膜装置20は、基材11を支持する支持装置21と、溶射材Tを溶射して、基材11上にTBC膜13を形成する溶射装置22と、基材11の温度を調整する温度調整装置23と、支持装置21と溶射装置22とを相対移動可能な駆動装置24と、成膜装置20を制御する制御装置25とを備えている。
また、成膜装置20は、基材11の温度を検出する検出装置26と、操作に基づく入力信号を制御装置25に入力する入力装置28と、溶射処理に関する情報を記憶する記憶装置29とを備えている。
制御装置25は、CPU(Central Processing Unit)を含み、溶射処理の管理に関する各種の処理を実行する。支持装置21は、溶射材Tが供給される基材11を支持する。溶射装置22は、プラズマ溶射ガンを含み、溶射材Tを射出する射出部22Jを有する。
温度調整装置23は、基材11の温度を調整可能である。本実施形態において、温度調整装置23の少なくとも一部は、支持装置21に配置される。温度調整装置23は、支持装置21を介して、基材11の温度を調整する。温度調整装置23は、制御装置25に制御される。
本実施形態において、温度調整装置23は、基材11を冷却可能な冷却装置23Cと、基材11を加熱可能な加熱装置23Hとを有する。冷却装置23Cは、支持装置21の内部空間に冷却媒体(冷却ガス)を供給する供給装置23CSを有する。供給装置23CSは、支持装置21に供給される冷却媒体の温度を調整可能である。制御装置25は、供給装置23CSから支持装置21に供給される冷却媒体の温度を調整することによって、基材11の温度を調整可能である。制御装置25は、供給装置23CSから支持装置21に供給される単位時間当たりの冷却媒体の供給量を調整することによって、基材11の温度を調整してもよい。支持装置21に供給された冷却媒体は、供給装置23CSに戻される(回収される)。加熱装置23Hは、支持装置21に配置されたヒータ部材を含む。制御装置25は、加熱装置23Hを制御して、基材11の温度を調整可能である。
駆動装置24は、基材11の表面11Sと平行な面内において支持装置21と溶射装置22とを相対移動することができる。また、駆動装置24は、支持装置21及び溶射装置22の一方又は両方を移動して、支持装置21と溶射装置22との距離を調整することができる。駆動装置24は、制御装置25に制御される。
検出装置26は、支持装置21に支持されている基材11の温度を検出する。検出装置26は、支持装置21に配置される。検出装置26の検出結果は、制御装置25に出力される。制御装置25は、検出装置26の検出結果に基づいて温度調整装置23を制御して、基材11の温度を調整する。
入力装置28は、キーボード及びタッチパネルの少なくとも一方を含み、作業者に操作される。作業者が入力装置28を操作すると、その操作に基づく入力信号が制御装置25に入力される。記憶装置29は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含み、溶射処理の管理に関する各種の情報を記憶する。
次に、本実施形態に係るTBC膜13の製造方法である成膜方法の一例について説明する。図6は、本実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャートである。図7、図8、図9、及び図10のそれぞれは、本実施形態に係る成膜方法の一例を説明するための模式図である。
本実施形態において、制御装置25は、成膜装置20を使った溶射処理の開始から終了までの溶射期間の少なくとも一部において、基材11が冷却されるように温度調整装置23を制御する。
本実施形態において、トップコート膜13は、積層された複数のTBC薄膜13Pによって形成される。すなわち、トップコート膜13は、TBC薄膜13Pの積層体である。本実施形態において、溶射処理は、溶射動作を複数回行って、基材11上にTBC薄膜13Pを複数層形成することを含む。溶射動作は、溶射材Tを溶射してTBC薄膜13Pを形成した後、その既に形成されたTBC薄膜13Pに溶射材Tを溶射する動作を含む。基材11(アンダーコート膜12)上にTBC薄膜13Pが形成されていない場合、溶射動作は、その基材11(アンダーコート膜12)に対して溶射材Tを溶射する動作を含む。
すなわち、本実施形態において、溶射処理は、溶射動作を複数回行って、複数のTBC薄膜13Pを順次形成する処理を含む。本実施形態において、溶射処理の開始時点は、第1回の溶射動作の開始時点である。溶射処理の終了時点は、最終回の溶射動作の終了時点である。第1回の溶射動作により、積層される複数のTBC薄膜13Pのうち、最も下層のTBC薄膜13Pが形成される。最終回の溶射動作により、積層される複数のTBC薄膜13Pのうち、最も上層(表層)のTBC薄膜13Pが形成される。最も下層のTBC薄膜13Pは、アンダーコート膜12に接するTBC薄膜13Pである。
また、本実施形態においては、溶射によりTBC薄膜13Pが形成されてから、そのTBC薄膜13Pの上に次のTBC薄膜13Pを形成するための溶射が開始されるまでの間にインターバル期間Trが設けられる。インターバル期間Trとは、第n層目のTBC薄膜13Pを形成するために行われた第n回の溶射動作における溶射材Tの溶射終了時点から、次の第n+1層目のTBC薄膜13Pを形成するために行われる第n+1回の溶射動作における溶射材Tの溶射開始時点までの期間(時間)をいう。
図6に示すように、成膜処理の準備が行われる(ステップSA1)。準備は、支持装置21で基材11を支持すること、及び溶射装置22が溶射可能な状態に設定することを含む。
図7は、準備が終了した成膜装置20の一例を示す。図7に示すように、基材11にアンダーコート膜12が形成されている。支持装置21は、既にアンダーコート膜12が設けられている基材11を支持する。制御装置25は、駆動装置24を使って支持装置21及び溶射装置22の一方又は両方を移動して、支持装置21に支持された基材11のアンダーコート膜12の表面12Sと溶射装置22の射出部22Jとの距離(溶射距離)Gを調整する。
施工パラメータが入力される(ステップSA2)。施工パラメータは、入力装置28を介して制御装置25に入力される。施工パラメータは、溶射動作の回数、及びインターバル期間Trを含む。溶射動作の回数は、TBC薄膜13Pの積層数と等しい。溶射動作は、指定された値Nだけ行われる。TBC薄膜13Pは、N層形成される。
次に、カウンタn=1が設定された後(ステップSA3)、基材11の冷却が開始される(ステップSA4)。制御装置25は、供給装置23CSから支持装置21に冷却媒体が供給されるように温度調整装置23を制御する。支持装置21に冷却媒体が供給されることにより、支持装置21に支持される基材11が冷却される。
制御装置25は、温度調整装置23で基材11が冷却されている状態で、第1回の溶射動作を開始する(ステップSA5)。第1回の溶射動作の開始により、本実施形態に係る溶射処理が開始される。制御装置25は、支持装置21に支持された基材11のアンダーコート膜12と溶射装置22の射出部22Jとが対向している状態で、射出部22Jから溶射材Tを射出しながら基材11の表面11Sと平行な面内において支持装置21と溶射装置22とが相対移動する。これにより、アンダーコート膜12の表面12Sの所定範囲に溶射材Tが供給される。制御装置25は、溶射距離Gを調整しながら、射出部22Jより溶射材Tを射出する。以上により、第1回の溶射動作が終了する(ステップSA6)。
射出部22Jから射出される溶射材Tの温度は、例えば2500℃以上3000℃以下である。本実施形態においては、温度調整装置23により基材11が冷却されつつ溶射が行われるため、基材11の温度が過剰に高くなることが抑制される。本実施形態においては、溶射処理において、基材11の温度が検出装置26で検出される。制御装置25は、基材11の温度が過剰に高くならないように、検出装置26の検出結果に基づいて、温度調整装置23を制御する。本実施形態においては、制御装置25は、検出装置26の検出結果に基づいて、供給装置23CSから支持装置21に供給される冷却媒体の温度、及び単位時間当たりの冷却媒体の供給量の一方又は両方を調整して、基材11の温度を調整する。
図8は、第1回の溶射動作の終了後の状態の一例を示す図である。図8に示すように、第1回の溶射動作により、アンダーコート膜12の表面12Sに、第1層目のTBC薄膜13Pが形成される。
第1層目のTBC薄膜13Pが形成された後、インターバル期間Trが設定される(ステップSA7)。インターバル期間Trとは、第n層目のTBC薄膜13Pを形成するために行われた第n回の溶射動作における溶射材Tの溶射終了時点から、次の第n+1層目のTBC薄膜13Pを形成するために行われる第n+1回の溶射動作における溶射材Tの溶射開始時点までの期間(時間)をいう。
溶射が行われないインターバル期間Trが設けられることにより、基材11は自然冷却される。インターバル期間Trが調整されることにより、基材11の温度が調整される。インターバル期間Trが長いと、基材11の温度の低下量は大きくなり、インターバル期間Trが短いと、基材11の温度の低下量は小さくなる。制御装置25は、インターバル期間Trを調整することによって、基材11の温度を調整することができる。
本実施形態においては、インターバル期間Trに関する入力信号が入力装置28を介して制御装置25に入力される。作業者は、基材11の熱伝導率、溶射距離G、及び射出部22Jから射出される溶射材Tの温度などを含む溶射条件(成膜条件)を考慮して、基材11の温度が過剰に高くならないように、インターバル期間Trを決定して入力してもよい。
なお、検出装置26の検出結果に基づいて、インターバル期間Trが調整されてもよい。例えば、インターバル期間Tr中の検出装置26の検出結果に基づいて、基材11の温度が許容値以下に低下したと判断されたとき、制御装置25は、インターバル期間Trを終了してもよい。
なお、溶射条件とインターバル期間Trと基材11の温度(温度低下量)との関係を事前に求めて記憶装置29に記憶し、その記憶装置29の記憶情報に基づいて、基材11の温度が許容値以下に低下するまで、制御装置25は、インターバル期間Trを調整してもよい。
次に、溶射動作の回数(TBC薄膜13Pの積層数)が指定値Nに到達したかどうかが判断される(ステップSA8)。溶射動作の回数が指定値Nに到達していないと判断された場合、カウンタn=n+1の処理が行われた後(ステップSA9)、ステップSA5からステップSA8の処理が繰り返される。
図9は、第2回の溶射動作の終了後の状態の一例を示す図である。図9に示すように、第2回の溶射動作により、第1層目のTBC薄膜13Pの上に、第2層目のTBC薄膜13Pが形成される。TBC薄膜13Pが第N層目まで形成されるまで、上述の処理が繰り返される。本実施形態においては、第1層目から第N層目までのTBC薄膜13Pが形成されるまで、基材11が温度調整装置23によって冷却され続ける。インターバル期間Trにおいても、基材11は温度調整装置23によって冷却され続ける。
図10は、第N回(最終回)の溶射動作の終了後の状態の一例を示す図である。図10に示すように、第N回の溶射動作により、第N層目(最終層目)のTBC薄膜13Pが形成される。これにより、TBC膜13が形成される。最終回の溶射動作の終了により、本実施形態に係る溶射処理が終了する。溶射処理が終了した後、基材11の冷却が終了される(ステップSA10)。
図11は、本実施形態に係る溶射処理における基材11の温度と時間との関係の一例を示す図である。図11に示すグラフにおいて、横軸は、溶射処理が開始されてからの時間(経過時間)を示す。縦軸は、基材11の温度を示す。
本実施形態において、制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、温度調整装置23を制御する。制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、インターバル期間Trを調整してもよい。
図11において、ラインL1は、本実施形態に係る基材11の温度プロファイルを示す。図11に示すように、最終回の溶射動作終了時(溶射処理終了時)において、基材11の温度は、規定温度Tp以下に抑えられている。本実施形態において、規定温度Tpは、400℃である。
ラインLJは、比較例に係る基材11の温度プロファイルであって、溶射処理において基材11を温度調整装置23で冷却しなかった場合の温度プロファイルを示す。図11に示すように、基材11を温度調整装置23で冷却しないと、溶射の熱により、基材11の温度は過剰に上昇する。
なお、ラインL1は、温度調整装置23により基材11の裏面を冷却し、インターバル期間Trを30秒に設定した例を示す。ラインLJは、基材11を冷却せず、インターバル期間Trを10秒に設定した例を示す。
溶射処理(最終回の溶射動作)が終了すると、基材11及びTBC膜13の温度は、例えば常温まで徐々に低下する。基材11はニッケル基超合金のような金属製であり、TBC膜13はセラミックス製である。基材11の線膨張係数とTBC膜13の線膨張係数との差は大きい。溶射処理終了時において、基材11及びTBC膜13の温度が過剰に高い場合(規定温度Tpよりも高い場合)、温度低下に伴う基材11の収縮量とTBC膜13の収縮量との差が大きくなる。その結果、TBC膜13に圧縮応力が作用し、TBC膜13に歪みが生じる可能性が高くなる。すると、比較例に係る基材11に形成されたTBC膜13は、せん断的な破壊を生じやすくなったり、座屈したりすることにより、基材11から剥離してしまう可能性が高くなる。
本実施形態によれば、溶射期間の少なくとも一部において基材11が冷却される。溶射処理(最終回の溶射動作)の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、溶射期間における基材11の温度調整及びインターバル期間Trの設定が行われる。これにより、基材11の温度が過剰に高くなることが抑制される。そのため、溶射処理後に基材11及びTBC膜13の温度が低下しても、その温度低下に伴う基材11の収縮量とTBC膜13の収縮量との差を小さくすることができる。これにより、TBC膜13に歪みが生じることが抑制され、TBC膜13が基材11から剥離したり、TBC膜13に横方向の亀裂が生じたりすることが抑制される。したがって、耐剥離性を有するTBC膜13を基材11に良好に形成することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、溶射期間の少なくとも一部において基材11を冷却するようにしたので、溶射により形成されたTBC膜13が基材11から剥離するリスクが抑制される。したがって、耐剥離性を有するTBC膜13を基材11に良好に形成することができる。
本実施形態においては、縦割れ状(柱状)の緻密組織(DVC:Dense Vertically Crack)を含むTBC膜13が形成されるように、基材11の熱伝導率、溶射距離G、及び射出部22Jから射出される溶射材Tの温度などを含む溶射条件(成膜条件)が定められている。なお、溶射距離Gとは、溶射材Tを射出する射出部22Jと、その溶射材Tが供給される部材の表面(本実施形態においては、アンダーコート膜12の表面12S又はTBC薄膜13Pの表面)との距離である。DVCを含むTBC膜13は、例えばポーラスを含むTBC膜に比べて、耐エロージョン性が高い。ガスタービン1の作動時に、ガスタービン1の内部において、使用状態によっては、酸化物等の粉体の飛散がある。粉体が高温部品Mと衝突すると、その高温部品Mの表面が浸食(エロージョン)され、表面粗度が悪化し、高温部品Mの空力特性に影響を与えるなど、高温部品Mの性能が低下する可能性がある。そのため、TBC膜13は、耐エロージョン性が高いことが望まれる。本発明者の知見によると、溶射距離Gを短くすると、DVCを含むTBC膜13を円滑に形成できることが判明している。一方、溶射距離Gを短くすると、溶射の熱により基材11の温度が上昇しやすくなる。本実施形態においては、温度調整装置23で基材11を冷却することにより、DVCを含むTBC膜13を製造可能な成膜条件を達成しつつ、基材11の温度上昇を抑制することができる。したがって、耐剥離性、遮熱性、及び耐エロージョン性を備えたTBC膜13を形成することができる。
また、本実施形態においては、溶射処理は、複数回の溶射動作を含み、TBC膜13は、積層された複数のTBC薄膜13Pを含む。これにより、DVCを含むTBC膜13の厚膜化を実現することができる。したがって、耐剥離性、遮熱性、及び耐エロージョン性を備えたTBC膜13を形成することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図12は、本実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、第1回の溶射動作の終了後に、温度調整装置23を用いた基材11の冷却が開始される例について説明する。
図12に示すように、成膜処理の準備が行われる(ステップSB1)。準備は、支持装置21で基材11を支持すること、及び溶射装置22が溶射可能な状態に設定することを含む。次に、施工パラメータが入力される(ステップSB2)。本実施形態においても、溶射動作は、指定値Nだけ行われる。TBC薄膜13Pは、N層形成される。
次に、第1回の溶射動作が開始される(ステップSB3)。第1回の溶射動作の開始により、本実施形態に係る溶射処理が開始される。第1の溶射動作において、温度調整装置23を用いた基材11の冷却は行われない。換言すれば、供給装置23CSから支持装置21に対する冷却媒体の供給が行われない。第1回の溶射動作の終了により、アンダーコート膜12上に第1層目のTBC薄膜13Pが形成される(ステップSB4)。
次に、カウンタn=2が設定され(ステップSB5)、インターバル期間Trが設けられる(ステップSB6)。また、基材11の冷却が開始される(ステップSB7)。制御装置25は、温度調整装置23を使って、支持装置21に支持される基材11を冷却する。
制御装置25は、温度調整装置23で基材11が冷却されている状態で、第2回の溶射動作を開始する(ステップSB8)。第2回の溶射動作の終了により、第2層目のTBC薄膜13Pが第1層目のTBC薄膜13Pの上に形成される(ステップSB9)。第2層目のTBC薄膜13Pが形成された後、インターバル期間Trが設けられる(ステップSB10)。
次に、溶射動作の回数(TBC薄膜13Pの積層数)が指定値Nに到達したかどうかが判断される(ステップSB11)。溶射動作の回数が指定値Nに到達していないと判断された場合、カウンタn=n+1の処理が行われた後(ステップSB12)、ステップSB8からステップSB11の処理が繰り返される。
TBC薄膜13Pが第N層目まで形成されるまで、上述の処理が繰り返される。本実施形態においては、第2層目から第N層目までのTBC薄膜13Pが形成されるまで、基材11が温度調整装置23によって冷却され続ける。インターバル期間Trにおいても、基材11は温度調整装置23によって冷却され続ける。
第N回の溶射動作により、第N層目(最終層目)のTBC薄膜13Pが形成される。これにより、TBC膜13が形成される。最終回の溶射動作の終了により、本実施形態に係る溶射処理が終了する。溶射処理が終了した後、基材11の冷却が終了される(ステップSB13)。
図13は、本実施形態に係る溶射処理における基材11の温度と時間との関係の一例を示す図である。図13に示すグラフにおいて、横軸は、溶射処理が開始されてからの時間(経過時間)を示す。縦軸は、基材11の温度を示す。
本実施形態においも、制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、温度調整装置23を制御する。制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、インターバル期間Trを調整してもよい。
図13において、ラインL2は、本実施形態に係る基材11の温度プロファイルを示す。図13に示すように、最終回の溶射動作終了時(溶射処理終了時)において、基材11の温度は、規定温度Tp以下に抑えられている。
なお、ラインL2は、溶射期間の初期は基材11を冷却せず、その後、基材11の裏面を温度調整装置23で冷却し、インターバル期間Trを30秒に設定した例を示す。
本発明者の知見によると、DVCの特徴である縦割れは、溶射後の冷却過程でセラミックス凝固するときのセラミックス自身の引張応力で発生する。セラミックスの融点は2000℃以上であり、セラミックスの温度が500℃程度に温度低下する前に、縦割れが発生すると考えられる。セラミックスの扁平挙動は、基材11の温度に影響を受けるため、溶射期間の初期においては基材11の冷却を行わないことにより、セラミックスと基材11との密着性が向上すると考えられる。溶射期間の初期においては、基材11の温度は過剰に上昇しておらず、その初期の段階で基材11を冷却すると、セラミックス粒子の扁平不良に基づく密着性不良から、横割れが発生し、耐剥離性が低下する可能性がある。そのため、溶射期間の初期においては、基材11を冷却しなくてもよい。例えば、TBC薄膜13Pの積層体の厚さが100μm程度になるまでは、基材11を冷却することなく溶射を行ってもよい。
以上説明したように、温度調整装置23による冷却は、溶射期間の全部で行われなくてもよい。溶射処理の終了時に基材11が規定温度Tp以下になっていれば、冷却が行われる期間は任意である。本実施形態においても、所期の性能を有するTBC膜13を基材11に良好に形成することができる。
本実施形態においては、第1回の溶射動作において基材11を冷却せず、第2回の溶射動作から基材11を冷却する例について説明した。基材11の冷却の開始は、第1回の溶射動作の終了後であればよく、第3回の溶射動作において基材11の冷却が開始されてもよいし、第4回の溶射動作において基材11の冷却が開始されてもよいし、第N−1回の溶射動作において基材11の冷却が開始されてもよいし、第N回の溶射動作において基材11の冷却が開始されてもよい。また、溶射期間の前半においては基材11を冷却せず、溶射期間の後半が開始された時点で基材11の冷却を開始してもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図14は、本実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、第1回の溶射動作の開始前に、規定温度Tpよりも高い温度になるように、温度調整装置23を用いて基材11が予熱される例について説明する。
図14に示すように、成膜処理の準備が行われる(ステップSC1)。準備は、支持装置21で基材11を支持すること、及び溶射装置22が溶射可能な状態に設定することを含む。次に、施工パラメータが入力される(ステップSC2)。本実施形態においても、溶射動作は、指定値Nだけ行われる。TBC薄膜13Pは、N層形成される。
次に、制御装置25は、第1回の溶射動作の開始前に、規定温度Tpよりも高い温度になるように、温度調整装置23の加熱装置23Hを用いて支持装置21に支持された基材11を予熱(加熱)する(ステップSC3)。上述の実施形態と同様、規定温度Tpは、400℃である。本実施形態においては、基材11の温度が規定温度Tpよりも高い500℃になるように、基材11の温度が調整される。基材11の温度が500℃に到達した後、加熱装置23Hによる加熱が終了される(ステップSC4)。
次に、カウンタn=1が設定され(ステップSC5)、温度調整装置23を用いた基材11の冷却が開始される(ステップSC6)。制御装置25は、温度調整装置23の冷却装置23Cを使って、支持装置21に支持される基材11を冷却する。
制御装置25は、温度調整装置23で基材11が冷却されている状態で、第1回の溶射動作を開始する(ステップSC7)。第1回の溶射動作の終了により、第1層目のTBC薄膜13Pがアンダーコート膜12の上に形成される(ステップSC8)。第1層目のTBC薄膜13Pが形成された後、インターバル期間Trが設けられる(ステップSC9)。
次に、溶射動作の回数(TBC薄膜13Pの積層数)が指定値Nに到達したかどうかが判断される(ステップSC10)。溶射動作の回数が指定値Nに到達していないと判断された場合、カウンタn=n+1の処理が行われた後(ステップSC11)、ステップSC7からステップSC10の処理が繰り返される。
TBC薄膜13Pが第N層目まで形成されるまで、上述の処理が繰り返される。本実施形態においては、第1層目から第N層目までのTBC薄膜13Pが形成されるまで、基材11が温度調整装置23によって冷却され続ける。インターバル期間Trにおいても、基材11は温度調整装置23によって冷却され続ける。
第N回の溶射動作により、第N層目(最終層目)のTBC薄膜13Pが形成される。これにより、TBC膜13が形成される。最終回の溶射動作の終了により、本実施形態に係る溶射処理が終了する。溶射処理が終了した後、基材11の冷却が終了される(ステップSC12)。
図15は、本実施形態に係る溶射処理における基材11の温度と時間との関係の一例を示す図である。図15に示すグラフにおいて、横軸は、溶射処理が開始されてからの時間(経過時間)を示す。縦軸は、基材11の温度を示す。
本実施形態においも、制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、温度調整装置23を制御する。制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、インターバル期間Trを調整してもよい。
図15において、ラインL3は、本実施形態に係る基材11の温度プロファイルを示す。図15に示すように、溶射処理の開始前に、基材11の温度が約500℃に加熱(予熱)されている。また、最終回の溶射動作終了時(溶射処理終了時)において、基材11の温度は、規定温度Tp以下に抑えられている。
以上説明したように、第1回の溶射動作の開始前に、基材11が予熱されてもよい。これにより、所期の性能を有するTBC膜13を形成することができる。本発明者の知見によると、予熱された基材11に対して第1回の溶射動作を行うことにより、DVCを含むTBC膜13が、横割れ等の不良欠陥なく円滑に形成されることが判明している。DVCを含むTBC膜13は、耐剥離性、耐熱サイクル耐久性、及び耐エロージョン性を有する。そのTBC膜13が厚膜化されることにより、耐剥離性、耐熱サイクル耐久性、遮熱性、及び耐エロージョン性を備えたTBC膜13を形成することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図16は、本実施形態に係る成膜方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態においては、第1回の溶射動作の少なくとも一部において、規定温度Tpよりも高い温度になるように温度調整装置23を用いて基材11を加熱することが行われる例について説明する。
図16に示すように、成膜処理の準備が行われる(ステップSD1)。準備は、支持装置21で基材11を支持すること、及び溶射装置22が溶射可能な状態に設定することを含む。次に、施工パラメータが入力される(ステップSD2)。本実施形態においても、溶射動作は、指定値Nだけ行われる。TBC薄膜13Pは、N層形成される。
次に、第1回の溶射動作の開始前に、規定温度Tpよりも高い温度になるように、温度調整装置23の加熱装置23Hを用いて支持装置21に支持された基材11が加熱される(ステップSD3)。上述の実施形態と同様、規定温度Tpは、400℃である。本実施形態においては、基材11の温度が規定温度Tpよりも高い500℃になるように、基材11の温度が調整される。
次に、第1回の溶射動作が開始される(ステップSD4)。第1回の溶射動作の開始により、本実施形態に係る溶射処理が開始される。第1の溶射動作においても、温度調整装置23を用いた基材11の加熱が行われる。制御装置25は、第1回の溶射動作において、規定温度Tpよりも高い温度になるように、温度調整装置23の加熱装置23Hを用いて基材11を加熱する。第1回の溶射動作の終了により、アンダーコート膜12上に第1層目のTBC薄膜13Pが形成される(ステップSD5)。
本実施形態においては、第1回の溶射動作が終了した後、第2回の溶射動作の開始前に、加熱装置23Hによる加熱が終了される(ステップSD6)。
次に、カウンタn=2が設定され(ステップSD7)、インターバル期間Trが設定される(ステップSD8)。また、基材11の冷却が開始される(ステップSD9)。制御装置25は、温度調整装置23を使って、支持装置21に支持される基材11を冷却する。
制御装置25は、温度調整装置23で基材11が冷却されている状態で、第2回の溶射動作を開始する(ステップSD10)。第2回の溶射動作の終了により、第2層目のTBC薄膜13Pが第1層目のTBC薄膜13Pの上に形成される(ステップSD11)。第2層目のTBC薄膜13Pが形成された後、インターバル期間Trが設定される(ステップSD12)。
次に、溶射動作の回数(TBC薄膜13Pの積層数)が指定値Nに到達したかどうかが判断される(ステップSD13)。溶射動作の回数が指定値Nに到達していないと判断された場合、カウンタn=n+1の処理が行われた後(ステップSD14)、ステップSD10からステップSD13の処理が繰り返される。
TBC薄膜13Pが第N層目まで形成されるまで、上述の処理が繰り返される。本実施形態においては、第2層目から第N層目までのTBC薄膜13Pが形成されるまで、基材11が温度調整装置23によって冷却され続ける。インターバル期間Trにおいても、基材11は温度調整装置23によって冷却され続ける。
第N回の溶射動作により、第N層目(最終層目)のTBC薄膜13Pが形成される。これにより、TBC膜13が形成される。最終回の溶射動作の終了により、本実施形態に係る溶射処理が終了する。溶射処理が終了した後、基材11の冷却が終了される(ステップSD15)。
本実施形態においも、制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、温度調整装置23を制御する。制御装置25は、最終回の溶射動作の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように、インターバル期間Trを調整してもよい。
以上説明したように、第1回の溶射動作の少なくとも一部において、基材11が加熱されてもよい。これにより、所期の性能を有するTBC膜13を形成することができる。本発明者の知見によると、アンダーコート膜12に第1層目のTBC膜13Pを形成する場合、基材11が加熱された状態で溶射を行うことにより、基材11(アンダーコート膜12)との密着性が高いDVCを含むTBC膜13が円滑に形成されることが判明している。したがって、耐剥離性、遮熱性、及び耐エロージョン性を備えたTBC膜13を形成することができる。
また、本発明者の知見によると、DVCの特徴である縦割れは、溶射後の冷却過程でセラミックスが凝固するときのセラミックス自身の引張応力で発生する。セラミックスの融点は2000℃以上であり、セラミックスの温度が500℃程度に温度低下する前に、縦割れが発生すると考えられる。セラミックスの扁平挙動は、基材11の温度に影響を受けるため、500℃程度の予熱を行うことにより、セラミックスと基材11との密着性が向上すると考えられる。溶射期間の初期においては、基材11の温度は過剰に上昇しておらず、その初期の段階で基材11を冷却すると、セラミックス粒子の扁平不良に基づく密着性不良から、横割れが発生し、耐剥離性が低下する可能性がある。そのため、溶射期間の前又は溶射期間の初期においては、基材11を冷却せずに、加熱してもよい。例えば、TBC薄膜13Pの積層体の厚さが100μm程度になるまでは、基材11を加熱しながら溶射を行ってもよい。
なお、本実施形態においては、第1回の溶射動作において基材11を加熱し、第2回の溶射動作から基材11を冷却する例について説明した。第2回の溶射動作まで基材11を加熱してもよいし、第3回の溶射動作まで基材11を加熱してもよい。また、第1回から第N−1回までの溶射動作において基材11を加熱し、第N回の溶射動作において基材11を冷却してもよい。また、溶射期間の前半においては基材11を加熱し、溶射期間の後半が開始された時点で基材11の冷却を開始してもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図17は、本実施形態に係る成膜装置20E及びタービン動翼8の一例を示す平面図である。図18は、本実施形態に係る成膜装置20E及びタービン動翼8の一例を示す側面図である。
タービン動翼8は、燃焼ガスが接触する翼本体101と、ロータ軸に保持される翼根102を有する。また、タービン動翼8は、翼本体101を支持するプラットホーム104と、プラットホーム104と翼根102とを連結するシャンク103とを有する。
翼本体101は、内部空間(孔)109を有する。孔109は、翼本体101の内部に複数設けられる。孔109は、翼根102からシャンク103を通り、さらにプラットホーム104を通って翼本体101まで貫通する。
なお、タービン動翼8の一例は、例えば特開2005−233141号公報に開示されている。本実施形態においては、孔109の一端部の流入口が翼根102に配置され、孔109の他端部の流出口が翼本体101の先端部に配置されている。なお、孔109(流入口及び流出口)は、図17及び図18に示す例に限定されない。例えば、特開2002−129905号公報に開示されているように、孔109の流出口が、翼本体101の腹部に配置されてもよいし、背部に配置されてもよいし、前縁部に配置されてもよい。
成膜装置20Eは、タービン動翼8の翼根102を支持する支持装置21Eと、溶射材Tを溶射して、翼本体101の基材上にTBC膜13を形成する溶射装置22Eと、少なくとも一部が支持装置21Eに配置され、翼本体101の基材の温度を調整する温度調整装置23Eと、溶射処理の開始から終了までの溶射期間の少なくとも一部において翼本体101の基材が冷却されるように温度調整装置23Eを制御する制御装置25Eとを備えている。
本実施形態において、温度調整装置23Eは、孔109に冷却媒体(冷却ガス)を供給する。温度調整装置23Eは、孔109の一端部の流入口に冷却媒体を供給する。流入口を介して孔109に供給された冷却媒体は、孔109を流れた後、孔109の他端部の流出口から流出する。これにより、翼本体101が冷却媒体によって冷却される。
上述の実施形態に従って、溶射期間の少なくとも一部において翼本体101が温度調整装置23Eにより冷却されながら、溶射装置22Eから溶射材Tを供給される。これにより、翼本体101にTBC膜13が形成される。
また、上述の実施形態に従って、翼本体101が温度調整装置23Eにより加熱されてもよい。温度調整装置23Eは、孔109に加熱用のガスを供給することによって、翼本体101の基材を加熱することができる。
また、上述の実施形態に従って、溶射期間の終了時に翼本体101の基材が規定温度Tp以下になるように温度調整装置23Eが制御されたり、インターバル期間Trが調整されたりしてもよい。
なお、上述の各実施形態において、基材11を加熱(予熱を含む)する場合、支持装置21に設けられた加熱装置23Hに代えて、又は加熱装置23Hとともに、溶射装置22(22E)が発生する熱で基材11を加熱(プラズマ加熱)してもよい。
なお、上述の各実施形態においては、溶射処理が複数回の溶射動作を含むこととした。溶射処理は1回の溶射動作でもよい。すなわち、1回の溶射動作で、TBC膜13が形成されてもよい。その場合においても、溶射処理の開始から終了までの溶射期間の少なくとも一部において基材11が冷却されることにより、所期の性能を有するTBC膜13を形成することができる。溶射処理の終了時に基材11が規定温度Tp以下になるように基材11の温度が調整されることにより、所期の性能を有するTBC膜13を形成することができる。