<発明者等が得た知見> まず、本発明の実施形態の説明に先立ち、発明者等が得た知見について説明する。
基板に薄膜を形成する処理を行う多枚葉式の基板処理装置として、例えば、基板を処理する処理室と、複数の基板を載置し、回転自在に構成された基板載置部と、基板載置部の回転方向に沿って第1の処理領域、第1のパージ領域、第2の処理領域、第2のパージ領域が交互に配列されるように、処理室内を仕切る仕切部と、を備える基板処理装置が提案されている。このような基板処理装置は、第1の処理領域に第1の原料ガスを供給するとともに、第2の処理領域に第2の原料ガスを供給し、第1のパージ領域及び第2のパージ領域に不活性ガスを供給するように構成されている。そして、基板載置部を回転させて、基板載置部上の基板が、第1の処理領域、第1のパージ領域、第2の処理領域、第2のパージ領域をこの順に通過することにより、基板への原料ガスの供給及び不活性ガスの供給を交互に行い、基板上に薄膜を形成するように構成されている。
このような多枚葉式の基板処理装置によって、基板上に薄膜を形成する際に、処理室を構成する構成部材(サセプタの表面、仕切部の側面等を構成する部材)であって基板表面以外の部分、例えば処理室の内壁や、仕切部の側面、基板載置部としてのサセプタの表面等に薄膜を含む堆積物が付着してしまう場合がある。かかる堆積物は、基板上に薄膜を形成する処理が実施される度に累積的に付着する。そして、堆積物は、所定の厚さ以上になると剥離、落下し、処理室内に異物が発生する要因となる。そのため、堆積物の膜厚が所定の値に到達する毎に、処理室内の各部品(サセプタ、仕切部等)に堆積した堆積物を除去するクリーニングを行う必要があった。
ところで、加熱部を包含するサセプタは、高温になりやすいため、処理室の内壁等に比べて堆積物が付着しやすい。すなわち、サセプタ上の堆積物の膜厚は、処理室の内壁の堆積物の膜厚よりも大きくなりやすい。また、原料ガスが供給される第1の処理領域や第2の処理領域を構成する仕切部の側面は、不活性ガスが供給される第1のパージ領域や第2のパージ領域と比べて堆積物が付着しやすい。すなわち、第1の処理領域や第2の処理領域に面する仕切部に付着する堆積物の膜厚は、第1のパージ領域や第2のパージ領域に面する仕切部に付着する堆積物の膜厚よりも大きくなりやすい。このように、処理室内の各部品に堆積する堆積物の膜厚は、処理室内で均一になることは殆どない。
このため、サセプタ上の堆積物の膜厚に基づいて処理室内を一様に例えばドライクリーニング法によりエッチングすると、処理室内でオーバーエッチングが発生してしまう。すなわち、堆積物の膜厚が小さい第1のパージ領域や第2のパージ領域を構成する仕切部の側面や、処理室の内壁等では、仕切部や処理室の内壁等がクリーニングガスによって浸食されて破損し、例えば、処理室内の金属部材が腐食されて金属汚染が生じることがあった。
このように、サセプタ等の処理室内の所定の一箇所に付着した堆積物の膜厚値のみに基づいてクリーニングガスの供給流量等が調整されると、処理室内を構成する部品(仕切部等)に損傷を生じさせる場合があった。
本発明は、発明者等が得たかかる知見に基づいてなされたものである。以下に、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
<本発明の一実施形態>(1)基板処理装置の構成 まず、本実施形態に係る基板処理装置10の構成について、主に図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る基板処理装置10の概略構成図である。なお、本実施形態に係る基板処理装置10は、一度に複数枚の基板としてのウエハ200を処理する多枚葉式の装置として構成されている。なお、本実施形態に係る基板処理装置10では、ウエハ200を搬送するキャリアとして、FOUP(Front Opening Unified Pod。以下、ポッドという。)が使用されている。本実施形態にかかる基板処理装置10の搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。本明細書中における「真空」とは工業的真空を意味する。なお、以下の説明において、前後左右は図1を基準とする。すなわち、図1が示されている紙面に対して、前は紙面の下、後ろは紙面の上、左右は紙面の左右とする。
(真空側の構成) 基板処理装置10は、内部を真空状態などの大気圧未満の圧力(例えば100Pa)に減圧可能な第1搬送室としての搬送室TM(Transfer Module)を備えている。搬送室TMの筐体は、平面視が五角形で、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
搬送室TMの筐体を構成する五枚の側壁のうち、前側に位置する一枚の側壁には、ゲートバルブを介して、予備室としてのロードロック室LM(Load Lock Module)1,LM2が搬送室TMと連通可能にそれぞれ設けられている。
搬送室TMの筐体を構成する他の三枚の側壁のうち、後ろ側に位置する二枚の側壁には、ゲートバルブを介して、第1処理室としてのプロセスチャンバPM(Process Module)1,第2処理室としてのプロセスチャンバPM2が搬送室TMと連通可能にそれぞれ設けられている。プロセスチャンバPM1,PM2には、後述するガス供給部250、排気部等が設けられている。プロセスチャンバPM1,PM2には、ウエハ200を載置する基板載置部としてのサセプタST1,ST2がそれぞれ設けられている。また、プロセスチャンバPM1,PM2は、後述するように、1つの反応容器203内に複数の処理領域等が形成されており、基板載置部としてのサセプタST1を回転させて、基板であるウエハ200が複数の処理領域等を順番に通過することにより、ウエハ200への原料ガス等の供給を順番に行い、ウエハ200上へ薄膜を形成する処理や、ウエハ200表面を酸化、窒化、炭化等する処理や、ウエハ200表面をエッチングする処理等の各種基板処理を実施するように構成されている。
搬送室TM内には、第1搬送機構としての搬送ロボットVRが設けられている。搬送ロボットVRは、第1予備室としてのロードロック室LM1,第2予備室としてのロードロック室LM2とプロセスチャンバPM1,PM2との間で、ウエハ200を搬送可能に構成されている。搬送ロボットVRは、搬送室TMの気密性を維持しつつ昇降可能に構成されている。搬送ロボットVRは、例えば基板保持部としての2本のアームを有し、2枚のウエハ200を搬送可能に構成されている。搬送ロボットVRのアームは、水平方向に伸縮でき、係る水平面内で回転移動できるように構成されている。また、搬送室TM内であって、ロードロック室LM1,LM2のゲートバルブ、プロセスチャンバPM1,PM2のゲートバルブのそれぞれの近傍には、ウエハ200の有無を検知する基板検知部としてのウエハ有無センサが設けられている。
ロードロック室LM1,LM2は、搬送室TM内へ搬入する又は搬送室TM内から搬出されたウエハ200を一時的に収容する予備室として機能する。ロードロック室LM1,LM2内には、ウエハ200を一時的に支持する基板支持部としてのバッファステージがそれぞれ設けられている。バッファステージは、複数枚(例えば2枚)のウエハ200を保持する多段型スロットとしてそれぞれ構成されていてもよい。
また、ロードロック室LM1,LM2は、内部を真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に減圧可能なロードロックチャンバ構造に構成されている。すなわち、ロードロック室LM1,LM2は、その内部をそれぞれ真空排気可能に構成されている。また、ロードロック室LM1,LM2の前側には、ゲートバルブを介して、第2搬送室としての搬送室EFEMが設けられている。従って、搬送室EFEM側のゲートバルブを閉じてロードロック室LM1,LM2内部を真空排気した後、搬送室TM側のゲートバルブを開けることで、搬送室TMの真空状態を保持しつつ、ロードロック室LM1,LM2と搬送室TMとの間でウエハ200を搬送可能に構成されている。
(大気側の構成) 基板処理装置10の大気側には、略大気圧下で用いられる、第2搬送室としての搬送室EFEM(Equipment Front End Module)が設けられている。すなわち、ロードロック室LM1,LM2の前側には、ゲートバルブを介して、搬送室EFEMが設けられている。なお、搬送室EFEMは、ロードロック室LM1,LM2と連通可能に設けられている。
搬送室EFEM内には、ウエハ200を搬送する第2搬送機構として、搬送ロボットARが例えば1台設けられている。搬送ロボットARは、ロードロック室LM1,LM2と後述するロードポートLP1〜LP3との間でウエハ200の搬送を相互に行なうように構成されている。搬送ロボットARは、昇降可能に構成されているとともに、左右方向に往復移動されるように構成されている。搬送ロボットARは、例えば2本のアームを有し、2枚のウエハを搬送可能に構成されている。また、搬送室EFEMのゲートバルブの近傍には、ウエハ200の有無を検知する基板検知部としてのウエハ有無センサが設けられている。
また、搬送室EFEM内には、ウエハ200の位置補正を行う装置として、ウエハ200の結晶方向や位置合わせ等をウエハ200のノッチを用いて行うノッチ合わせ装置が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置の代わりに、オリフラ(Orientation Flat)合わせ装置が設けられていてもよい。また、搬送室EFEMには、搬送室EFEMの内部にクリーンエアを供給するクリーンエアユニットが設けられている。
搬送室EFEMの筐体の前側には、ウエハ200を搬送室EFEM内外に搬送する基板搬送口が設けられている。基板搬送口を挟んで、搬送室EFEMの外側には、キャリア載置台(キャリア載置部)としてのロードポート(I/Oステージ)LP1,LP2,LP3が設けられている。
各ロードポートLP1〜LP3は、各ロードポートLP1〜LP3上に、複数枚(例えば25枚)のウエハ200を収納する基板収納容器としてのキャリアカセットCA1〜CA3をそれぞれ載置するように構成されている。各キャリアカセットCA1〜CA3にはそれぞれ、キャリアカセットCA1〜CA3を識別する例えばバーコード等のキャリアIDが付されている。そして、各ロードポートLP1〜LP3は、キャリアカセットCA1〜CA3が載置されると、キャリアカセットCA1〜CA3に付されたキャリアIDを読み取って記憶するよう構成されている。
主に、搬送室TM、ロードロック室LM1,LM2及び搬送室EFEMにより、本実施形態に係る基板処理装置10の搬送装置が構成される。
基板処理装置10の搬送装置の各構成には、後述する制御部280が電気的に接続されている。そして、上述した各構成の動作を、それぞれ制御するように構成されている。
(ウエハの搬送動作) 次に、本実施形態に係る基板処理装置10内におけるウエハ200の搬送動作を説明する。なお、基板処理装置10の各搬送機構の各構成の動作は、後述する制御部280によって制御される。以下の動作は、例えば搬送レシピに基づいて実施される。搬送レシピは、基板処理装置10内のウエハ200の搬送に用いられ、基板の処理を行う基板処理レシピと併用されて基板処理工程を実現する。
まず、例えば25枚のウエハ200を収納したキャリアカセットCA1,CA2、及び空のキャリアカセットCA3をロードポートLP1上にそれぞれ載置し、キャリアカセットCA1〜CA3のそれぞれに付されたキャリアIDを読み取る。そして、基板搬送口及びキャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2のウエハ出入口を開放する。
キャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2のウエハ出入口を開放すると、搬送室EFEM内に設置されている搬送ロボットARは、キャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2からウエハ200を1枚ピックアップして、例えばロードロック室LM1にウエハ200を搬入する。この搬送ロボットARによるウエハ200の搬送作業中は、ロードロック室LM1と搬送室TMとの間のゲートバルブが閉じられており、搬送室TM内の減圧雰囲気が維持されている。搬送ロボットARによるロードロック室LM1内へのウエハ200の搬送が完了すると、排気装置によってロードロック室LM1内を負圧になるよう排気する。
以降、搬送ロボットARは、上述の動作を繰り返す。但し、ロードロック室LM1内が負圧状態の場合、搬送ロボットARは、ロードロック室LM1内へのウエハ200の搬入を実行せず、ロードロック室LM1の直前位置で停止して待機する。なお、搬送ロボットARは、ロードロック室LM2内にウエハ200を搬入するように構成されていてもよい。
ロードロック室LM1内が予め設定された圧力値(例えば100Pa)に減圧されると、ロードロック室LM1と搬送室TMとの間のゲートバルブが開けられる。続いて、搬送室TM内に設けられた搬送ロボットVRは、ロードロック室LM1からウエハ200をピックアップして、搬送室TM内に搬入する。
搬送ロボットVRがロードロック室LM1からウエハ200をピックアップした後、ロードロック室LM1と搬送室TMとの間のゲートバルブが閉じられる。そして、ロードロック室LM1内が大気圧に復帰させられ、ロードロック室LM1内に次のウエハ200を搬入するための準備が行われる。それと並行して、所定の圧力(例えば100Pa)にある例えばプロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを開け、搬送ロボットVRによって、ウエハ200をプロセスチャンバPM1内に搬入する。この動作をプロセスチャンバPM1内にウエハ200が任意の枚数(例えば5枚)搬入されるまで繰り返す。プロセスチャンバPM1内への任意の枚数(例えば5枚)のウエハ200の搬入が完了し、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブが閉じられた後、プロセスチャンバPM1内で、ウエハ200に所定の処理が施される。
プロセスチャンバPM1において所定の処理が終了すると、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを開け、搬送ロボットVRによって、処理済みのウエハ200をプロセスチャンバPM1内から搬送室TMへ搬出する。ウエハ200を搬出した後、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを閉じる。
続いて、搬送室TMとロードロック室LM2との間のゲートバルブを開け、搬送ロボットVRによって、プロセスチャンバPM1から搬出したウエハ200を、ロードロック室LM2内へ搬入する。なお、ロードロック室LM2は、排気装置によって、予め設定された圧力値に減圧されている。そして、搬送室TMとロードロック室LM2との間のゲートバルブを閉じた後、例えばロードロック室LM2に接続された不活性ガス供給部から不活性ガスが導入され、ロードロック室LM2内の圧力が大気圧に復帰させられる。
ロードロック室LM2内の圧力が大気圧に復帰させられると、ロードロック室LM2と搬送室EFEMとの間のゲートバルブを開ける。続いて、搬送ロボットARによって、処理済みのウエハ200をロードロック室LM2内から搬送室EFEM内へ搬出した後、ロードロック室LM2と搬送室EFEMとの間のゲートバルブを閉じる。その後、搬送ロボット124は、搬送室121の基板搬送口134を通して、処理済みのウエハ200を例えば空のキャリアカセットCA3に収納する。ここで、処理済みのウエハ200は、キャリアカセットCA3に収納せずにウエハ200を搬出してきた元のキャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2に戻してもよい。
前述の工程によってキャリアカセットCA1又はキャリアカセットCA2内の全てのウエハ200に所定の処理が施され、処理済みの25枚のウエハ200のすべてが所定のキャリアカセットCA3へ収納されると、基板搬送口134が閉じられる。その後、キャリアカセットCA3は、ロードポートLP3上から次の工程へ、搬送装置によって搬送される。以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が25枚ずつ順次処理されていく。
(2)プロセスチャンバの構成 続いて、本実施形態に係る第1処理室としてのプロセスチャンバPM1の構成について、主に図2〜図4を用いて説明する。図2は、本実施形態に係る処理室が備える反応容器の概略斜視図である。図3は、本実施形態に係る処理室の縦断面概略図である。図4は、本実施形態に係るガス供給部の概略説明図である。なお、プロセスチャンバPM2については、プロセスチャンバPM1と同様に構成されているため、説明を省略する。
(反応容器) 図2及び図3に示すように、第1処理室としてのプロセスチャンバPM1は、円筒状の気密容器である反応容器203を備えている。反応容器203内には、ウエハ200の処理空間が形成されている。反応容器203内の処理空間の上側、即ち天井側には、中心部から放射状に延びる仕切板205が設けられている。仕切板205は、反応容器203内の処理空間を、複数の処理領域に仕切るように構成されている。具体的には、本実施形態では、反応容器203内を、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bに仕切るように構成されている。
第1の処理領域201a内には第1の原料ガスが供給され、第2の処理領域201b内には第2の原料ガスが供給され、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内には、不活性ガスが供給されるように構成されている。そのため、サセプタST1を回転させることで、ウエハ200上には、第1の原料ガス、不活性ガス、第2の原料ガス、不活性ガスがこの順に交互に供給されることとなる。なお、サセプタST1及びガス供給部250の構成については後述する。
仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間には、所定の幅の隙間が設けられており、この隙間をガスが通過できるように構成されている。第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内や上述の隙間から第1の処理領域201a内及び第2の処理領域201b内に向けて不活性ガスを噴出させるようにすることで、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内への第1原料ガス及び第2の原料ガスの侵入を抑制することができるように構成されている。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスの反応(及びこれによる異物の生成)を防止することができる。
なお、本実施形態では、各仕切板205の間の角度をそれぞれ90度としたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ウエハ200への各種ガスの供給時間等を考慮して、例えば第2の処理領域201bを形成する2枚の仕切板205の間の角度を大きくしたりする等、適宜変更してもよい。
(サセプタ) 仕切板205の下側、すなわち反応容器203内の底側中央には、基板載置部としてのサセプタST1が設けられている。サセプタST1は、反応容器203の中心に回転軸の中心を有し、回転自在に構成されている。サセプタST1は、ウエハ200の金属汚染を低減することができるように、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。なお、サセプタST1は、反応容器203とは電気的に絶縁されている。
サセプタST1は、反応容器203内にて、複数枚(本実施形態では例えば5枚)のウエハ200を同一面上に、かつ同一円周上に並べて支持するように構成されている。ここで、同一面上とは、完全な同一面に限られるものではなく、サセプタST1を上面から見たときに、図2に示すように、複数枚のウエハ200が互いに重ならないように並べられていればよい。
なお、サセプタST1表面におけるウエハ200の載置位置には、円形状の凹部216(図1参照)を設けてもよい。この凹部216は、その直径がウエハ200の直径よりもわずかに大きくなるように構成するとよい。この凹部216内にウエハ200を載置することにより、ウエハ200の位置決めを容易に行うことができ、また、サセプタST1の回転に伴う遠心力によりウエハ200がサセプタST1から飛び出してしまう場合等で発生する位置ズレを防止できる。
サセプタST1には、サセプタST1を昇降させる昇降機構268が設けられている。サセプタST1には、貫通孔が複数設けられている。また、反応容器203の底面には、反応容器203内へのウエハ200の搬入・搬出時に、ウエハ200を突き上げて、ウエハ200の裏面を支持するウエハ突き上げピンが複数設けられている。貫通孔及びウエハ突き上げピンは、ウエハ突き上げピンが上昇させられた時、又は昇降機構268によりサセプタST1が下降させられた時に、ウエハ突き上げピンがサセプタST1とは非接触な状態で貫通孔を突き抜けるように、互いに配置されている。
昇降機構268には、サセプタST1を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸は、サセプタST1に接続されており、回転機構267を作動させることでサセプタST1を回転させることができるように構成されている。回転機構267には、後述する制御部280が、カップリング部266を介して接続されている。カップリング部266は、回転側と固定側との間を金属ブラシ等により電気的に接続するスリップリング機構として構成されている。これにより、サセプタST1の回転が妨げられないように構成されている。制御部280は、サセプタST1を所定の速度で所定時間回転させるように、回転機構267への供給電力を制御するように構成されている。上述したように、サセプタST1を回転させることにより、サセプタST1上に載置されたウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bの間を移動することとなる。
(加熱部) サセプタST1の内部には、加熱部としてのヒータ218が一体的に埋め込まれており、ウエハ200を加熱できるように構成されている。ヒータ218に電力が供給されると、ウエハ200表面が所定温度(例えば室温〜1000℃程度)にまで加熱される。なお、ヒータ218は、サセプタST1に載置されたそれぞれのウエハ200を個別に加熱するように、同一面上に複数(例えば5つ)設けてもよい。
サセプタST1には温度センサ274が設けられている。ヒータ218及び温度センサ274には、電力供給線222を介して、温度調整器223、電力調整器224及びヒータ電源225が電気的に接続されている。温度センサ274により検出された温度情報に基づいて、ヒータ218への供給電力が制御されるように構成されている。
(ガス供給部) 図2及び図3に示すように、第1の処理領域201aの反応容器203の上側には、開口251aが開設されている。開口251aには、第1の処理領域201a内へ第1の原料ガスを供給する第1の原料ガス供給部251が設けられている。すなわち、開口251aには、第1の原料ガス供給管232aの下流端が気密に接続されている。図4(a)に示すように、第1の原料ガス供給管232aの上流側には、上流方向から順に、第1の原料ガス供給源233a、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234a、及び開閉弁であるバルブ235aが設けられている。
第1の原料ガス供給管232aからは、第1の原料ガスとして、例えば、シリコン含有ガスが、マスフローコントローラ234a、バルブ235a、及び開口251aを介して、第1の処理領域201a内に供給される。シリコン含有ガスとしては、例えばトリシリルアミン((SiH3)3N、略称:TSA)ガス等を用いることができる。なお、第1の原料ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良いが、ここでは気体として説明する。第1の原料ガスが常温常圧で液体の場合は、第1の原料ガス供給源233aとマスフローコントローラ234aとの間に、気化器を設ければよい。
第1の原料ガス供給管232aのバルブ235aよりも下流側には、第1の不活性ガス供給管232bの下流端が接続されている。第1の不活性ガス供給管232bの上流側には、上流方向から順に、第1の不活性ガス供給源233b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234b、及び開閉弁であるバルブ235bが設けられている。第1の不活性ガス供給管232bからは、不活性ガスとして、例えばN2ガスが、マスフローコントローラ234b、バルブ235b、第1の原料ガス供給管232a、及び開口251aを介して、第1の処理領域201a内に供給される。
図2及び図3に示すように、第2の処理領域201bの反応容器203の上側には、開口251bが開設されている。開口251bには、第2の処理領域201b内へ第2の原料ガスを供給する第2の原料ガス供給部253が設けられている。すなわち、開口251bには、第2の原料ガス供給管232cの下流端が気密に接続されている。図4(b)に示すように、第2の原料ガス供給管232cの上流側には、上流方向から順に、第2の原料ガス供給源233c、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234c、及び開閉弁であるバルブ235cが設けられている。
第2の原料ガス供給管232cからは、第2の原料ガスとして、例えば、酸素含有ガスである酸素(O2)ガスが、マスフローコントローラ234c、バルブ235c、及び開口252bを介して、第2の処理領域201b内に供給される。第2の原料ガスである酸素ガスは、例えばリモートプラズマユニット等によりプラズマ状態とされ、ウエハ200に供給される。なお、第2の原料ガスである酸素ガスは、ヒータ218の温度及び反応容器203内の圧力を所定の範囲に調整し、熱で活性化させてもよい。なお、酸素含有ガスとしては、オゾン(O3)ガスや水蒸気(H2O)を用いてもよい。
第2の原料ガス供給管232cのバルブ235cよりも下流側には、第2の不活性ガス供給管232dの下流端が接続されている。第2の不活性ガス供給管232dの上流側には、上流方向から順に、第2の不活性ガス供給源233d、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234d、及び開閉弁であるバルブ235dが設けられている。第2の不活性ガス供給管232dからは、不活性ガスとして、例えばN2ガスが、マスフローコントローラ234d、バルブ235d、第2の原料ガス供給管232c、及び開口251bを介して、第2の処理領域201b内に供給される。
主に、第2の原料ガス供給管232b、マスフローコントローラ234b及びバルブ235bにより、第2の原料ガス供給部253が構成される。なお、第2の原料ガス供給源233bを第2の原料ガス供給部253に含めて考えてもよい。また、主に、第2の不活性ガス供給管232d、マスフローコントローラ234d及びバルブ235dにより、第2の不活性ガス供給部254が構成される。なお、第2の不活性ガス供給源233dや第2の原料ガス供給管232cを第2の不活性ガス供給部254に含めて考えてもよい。
図2及び図3に示すように、第1のパージ領域204aの反応容器203の上側には、開口が開設されている。この開口には、第1のパージ領域204a内へ不活性ガスを供給する第3の不活性ガス供給部255が設けられている。すなわち、第1のパージ領域204aの上側の反応容器203に開設された開口には、第3の不活性ガス供給管232eの下流端が気密に接続されている。図4(c)に示すように、第3の不活性ガス供給管232eの上流側には、上流方向から順に、第3の不活性ガス供給源233e、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234e、及び開閉弁であるバルブ235eが設けられている。
主に、第3の不活性ガス供給管232e、マスフローコントローラ234e及びバルブ235eにより、第3の不活性ガス供給部255が構成される。なお、第3の不活性ガス供給源233eを第3の不活性ガス供給部255に含めて考えてもよい。
図2及び図3に示すように、第2のパージ領域204bの反応容器203の上側には、開口が開設されている。この開口には、第2のパージ領域204b内へ不活性ガスを供給する第4の不活性ガス供給部256が設けられている。すなわち、第2のパージ領域204bの上側の反応容器203に開設された開口には、第4の不活性ガス供給管232fの下流端が気密に接続されている。図4(d)に示すように、第4の不活性ガス供給管232fの上流側には、上流方向から順に、第4の不活性ガス供給源233f、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234f、及び開閉弁であるバルブ235fが設けられている。
主に、第4の不活性ガス供給管232f、マスフローコントローラ234f及びバルブ235fにより、第4の不活性ガス供給部256が構成される。なお、第4の不活性ガス供給源233fを第4の不活性ガス供給部256に含めて考えてもよい。
図2及び図3に示すように、仕切板205の交差部(中心部)には、仕切板205の交差部を縦方向に貫通する開口209が開設されている。開口209には、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a、及び第2のパージ領域204bの各領域(以下、「反応容器203内の各領域」とも言う。)に分配するように、クリーニングガスとしての反応性ガスを供給する反応性ガス供給部257が設けられている。すなわち、開口209には、反応性ガス供給管232gの下流端が気密に接続されている。図4(e)に示すように、反応性ガス供給管232gの上流側には、上流方向から順に、反応性ガス供給源233g、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234g、及び開閉弁であるバルブ235gが設けられている。
反応性ガス供給管232gからは、反応性ガスとして、例えば、フッ素含有ガスや塩素含有ガス等が、マスフローコントローラ234g、バルブ235g、及び開口209を介して、反応容器203内の各領域に供給される。フッ素含有ガスとしては、例えば、三フッ化窒素(NF3)ガス、フッ素(F2)ガス、三フッ化塩素(ClF3)ガス等を用いることができる。また、塩素含有ガスとしては、例えば、塩化水素(HCl)ガス、塩素(Cl2)ガス、ジクロロシラン(SiH2Cl2)、ジクロロエチレン(DCE)等を用いることができる。
主に、反応性ガス供給管232g、マスフローコントローラ234g及びバルブ235gにより、反応性ガス供給部257が構成される。なお、反応性ガス供給源233gを反応性ガス供給部257に含めて考えてもよい。
主に、第1の原料ガス供給管232a、マスフローコントローラ234a及びバルブ235aにより、第1の原料ガス供給部251が構成される。なお、第1の原料ガス供給源233aを第1の原料ガス供給部251に含めて考えてもよい。また、主に第1の不活性ガス供給管232b、マスフローコントローラ234b及びバルブ235bにより、第1の不活性ガス供給部252が構成される。なお、第1の不活性ガス供給源233bや第1の原料ガス供給管232aを第1の不活性ガス供給部252に含めて考えてもよい。
そして、主に、第1の原料ガス供給部251及び第2の原料ガス供給部253により、原料ガス供給部が構成される。また、主に、第1の不活性ガス供給部252、第2の不活性ガス供給部254、第3の不活性ガス供給部255及び第4の不活性ガス供給部256により、不活性ガス供給部が構成される。また、主に、原料ガス供給部、不活性ガス供給部及び反応性ガス供給部257により、ガス供給部250が構成される。
(排気部) 反応容器203には、処理領域201a,201b内及びパージ領域204a,204b内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、反応容器203内(処理領域201a,201b内及びパージ領域204a,204b内)の雰囲気を排出する際に流量を調整する流量調整バルブ245、及び圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、反応容器203内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。なお、APCバルブ243は、弁を開閉して反応容器203内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して圧力調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、及び流量調整バルブ245により排気部が構成される。なお、真空ポンプ246を排気部に含めて考えてもよい。
(制御部) 基板処理装置10には、制御手段としての制御部(コントローラ)280が電気的に接続されている。制御部280は、ヒータ218、マスフローコントローラ234a〜234g、バルブ235a〜235g、APCバルブ243、真空ポンプ246等をそれぞれ制御するように構成されている。制御部280の構成や動作については、後述する。
(3)基板処理工程 続いて、本実施形態にかかる半導体製造工程の一工程として、上述した反応容器203を備えるプロセスチャンバPM1を用いて実施される基板処理工程について、主に図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。係る基板処理工程は、ウエハ200に所定の処理を施すプロセスレシピに基づいて繰り返し実行される。また、プロセスレシピには複数のステップが含まれることがある。なお、以下の説明において、基板処理装置10のプロセスチャンバPM1を構成する各部の動作は制御部280により制御される。
ここでは、原料ガスとして、シリコン含有ガスであるトリシリルアミン(TSA)を用い、反応ガスとして、酸素含有ガスである酸素ガスを用い、ウエハ200上に絶縁膜としてシリコン酸化膜(SiO2膜。以下、SiO膜という)を形成する例について説明する。
(基板搬入・載置工程(S10)) まず、ウエハ200の搬送位置まで、ウエハ突き上げピンを上昇させ、サセプタST1の貫通孔にウエハ突き上げピンを貫通させる。その結果、ウエハ突き上げピンが、サセプタST1の表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを開き、搬送ロボットVRを用いて、反応容器203内に所定枚数(例えば5枚)のウエハ200を搬入する。そして、サセプタST1の回転軸を中心として、各ウエハ200が重ならないように、サセプタST1の同一面上に載置する。これにより、ウエハ200は、サセプタST1の表面から突出したウエハ突き上げピン上に水平姿勢で支持される。
反応容器203内にウエハ200を搬入したら、搬送ロボットVRを反応容器203外へ退避させ、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを閉じて反応容器203内を密閉する。その後、ウエハ突き上げピンを下降させて、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの各底面のサセプタ217上にウエハ200を載置する。
なお、ウエハ200を反応容器203内に搬入する際には、排気部により反応容器203内を排気しつつ、不活性ガス供給部から、反応容器203内にパージガスとしてのN2ガスを供給するとよい。すなわち、真空ポンプ246を作動させ、APCバルブ243を開けて反応容器203内を排気しつつ、例えば第1の不活性ガス供給部252のバルブ235aを開けて反応容器203内にN2ガスを供給するとよい。これにより、処理領域201a,201b内へのパーティクルの侵入や、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。ここで、第1の不活性ガス供給部252から不活性ガスを供給する場合に限らず、第1〜第4の不活性ガス供給部252,254,255,256の少なくともいずれかから不活性ガスを供給すればよい。
(温度・圧力調整工程(S20)) 続いて、サセプタST1の内部に埋め込まれたヒータ218に電力を供給し、ウエハ200の表面が所定の温度(例えば200℃以上であって400℃以下)となるように加熱する。この際、ヒータ218の温度は、温度センサ274により検出された温度情報に基づいてヒータ218への供給電力を制御することによって調整される。
また、反応容器203内が所望の圧力(例えば0.1Pa〜300Pa、好ましくは20Pa〜40Pa)となるように、反応容器203内を真空ポンプ246によって真空排気する。この際、反応容器203内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度をフィードバック制御する。
また、ウエハ200を加熱しつつ、回転機構267を作動して、サセプタST1の回転を開始する。この際、サセプタST1の回転速度は制御部280によって制御される。サセプタST1の回転速度は例えば1回転/秒である。なお、サセプタST1は、後述する成膜工程(S30)が終了するまでの間は、常に回転させた状態とする。サセプタST1を回転させることにより、ウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの順に移動を開始し、各領域をウエハ200が通過することになる。
(成膜工程(S30)) 次に、第1の処理領域201a内に第1の原料ガスとしてのTSAガスを供給し、第2の処理領域201b内に第2の原料ガスとしての酸素ガスを供給することによりウエハ200上にSiO膜を成膜する工程を行う。なお、以下の説明では、TSAガスの供給、酸素ガスの供給、及び不活性ガスの供給を併行して行う。
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、サセプタST1が所望とする回転速度に到達したら、少なくともバルブ235a,235c,235e及び235fを開け、第1の原料ガス、第2の原料ガス及び不活性ガスの処理領域201a,201b及びパージ領域204a,204bへの供給を開始する。すなわち、バルブ235aを開けて第1の処理領域201a内にTSAガスの供給を開始し、バルブ235cを開けて第2の処理領域201b内に酸素ガスを供給を開始し、バルブ235eを開けて第1のパージ領域204a内に不活性ガスであるN2ガスの供給を開始するとともに、バルブ235fを開けて第2のパージ領域204b内に不活性ガスであるN2ガスの供給を開始する。このとき、少なくともAPCバルブ243を適正に調整して反応容器203内の圧力を、例えば10Pa〜1000Paの範囲内の圧力とする。このときヒータ218の温度は、ウエハ200の温度が、例えば200℃〜400℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。
すなわち、バルブ235aを開け、第1の原料ガス供給管232aから開口251aを介して第1の処理領域201a内にTSAガスを供給しつつ、排気管231から排気する。このとき、TSAガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234aを調整する。なお、マスフローコントローラ234aで制御するTSAガスの供給流量は、例えば100sccm〜5000sccmの範囲内の流量とする。
TSAガスを第1の処理領域201a内に供給する際には、バルブ235bを開け、第1の不活性ガス供給管232bからキャリアガス或いは希釈ガスとしてのN2ガスを第1の処理領域201a内に供給するとよい。これにより、第1の処理領域201a内へのTSAガスの供給を促進させることができる。
また、バルブ235aを開けると共に、さらにバルブ235cを開け、第2の原料ガス供給管232cから開口252bを介して第2の処理領域201b内に酸素ガスを供給しつつ、排気管231から排気する。このとき、酸素ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234cを調整する。なお、マスフローコントローラ234cで制御する酸素ガスの供給流量は、例えば1000sccm〜10000sccmの範囲内の流量とする。なお、酸素ガスは、第2の処理領域201bに供給される前に、例えばリモートプラズマユニット等によりプラズマ状態とされている。
酸素ガスを第2の処理領域201b内に供給する際には、バルブ235dを開け、第2の不活性ガス供給管232dからキャリアガス或いは希釈ガスとしてのN2ガスを第2の処理領域201b内に供給するとよい。これにより、第2の処理領域201b内への酸素ガスの供給を促進することができる。
また、バルブ235a及びバルブ235cを開けると共に、さらにバルブ235e及び235fを開け、パージガスとしての不活性ガスであるN2ガスを、第3の不活性ガス供給管232e、第4の不活性ガス供給管232fから、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bにそれぞれ供給しつつ、排気管231から排気する。このとき、N2ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ234e及び234fをそれぞれ調整する。なお、仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間には、隙間が設けられている。第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内や上述の隙間から、第1の処理領域201a内及び第2の処理領域201b内に向けて不活性ガスを噴出させることで、第1のパージ領域204a内及び第2のパージ領域204b内への第1の原料ガスや第2の原料ガスの侵入を抑制できる。
上述したように、サセプタST1を回転させることにより、ウエハ200は、第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b、第2のパージ領域204bの順に移動を繰り返す。そのため、ウエハ200には、TSAガスの供給、N2ガスの供給(パージ)、プラズマ状態とされた酸素ガスの供給、N2ガスの供給(パージ)を1サイクルとして、このサイクルが所定回数実施されることになる。
まず、第1の処理領域201aを通過したウエハ200表面にTSAガスが供給され、ウエハ200上にシリコン含有層が形成される。
次に、シリコン含有層が形成されたウエハ200が第1のパージ領域204aを通過する。このとき、ウエハ200に不活性ガスであるN2ガスが供給される。
次に、第2の処理領域201bを通過したウエハ200に酸素ガスが供給され、ウエハ200上にシリコン酸化層(SiO層)が形成される。すなわち、酸素ガスは、第1の処理領域201aでウエハ200上に形成されたシリコン含有層の一部と反応する。これにより、シリコン含有層は酸化されて、シリコン及び酸素を含むSiO層へと改質される。
そして、第2の処理領域201bでSiO層が形成されたウエハ200が第2のパージ領域204bを通過する。このとき、ウエハ200に不活性ガスであるN2ガスが供給される。
このように、サセプタST1の1回転を1サイクルとし、すなわち第1の処理領域201a、第1のパージ領域204a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bのウエハ200の通過を1サイクルとし、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、ウエハ200上に所定膜厚のSiO膜を成膜することができる。
ウエハ200上に所望の膜厚のSiO膜が形成された後、少なくともバルブ234a及びバルブ235cを閉じ、TSAガス及び酸素ガスの第1の処理領域201a及び第2の処理領域201bへの供給を停止し、成膜工程(S30)を終了する。
なお、上述の基板搬入・載置工程(S10)〜成膜工程(S30)において、ウエハ200の温度、反応容器203内の圧力、各ガスの流量、処理時間等の条件等は、改質対象の膜の材料や膜厚等によって任意に調整する。
(圧力調整・基板搬出工程(S40)) 成膜工程(S30)が終了したら、APCバルブ243の開度を調整して反応容器203内の圧力を所定の圧力にする(圧力調整)。そして、ウエハ突き上げピンを上昇させ、サセプタST1の表面から突出させたウエハ突き上げピン上にウエハ200を支持する。このとき、ウエハ200はヒータ218の影響を受けない程度の高さに支持する。その後、プロセスチャンバPM1と搬送室TMとの間のゲートバルブを開け、搬送ロボットVRを用いてウエハ200をプロセスチャンバPM1の外(反応容器203の外)へ搬出する。
(累積膜厚値更新工程(S50)) 成膜工程(S30)が終了した後、後述する制御部280が有する累積膜厚値更新機能285によって、上述の成膜工程(S30)によってサセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切部のそれぞれに堆積する膜厚値を、サセプタST1及び反応容器203内の領域毎にそれぞれ算出する。そして算出した膜厚値を、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切部の堆積物の累積膜厚値にそれぞれ加算し、累積膜厚値をそれぞれ更新する。なお、加算する膜厚値の算出方法については後述する。
(クリーニング工程(S60)) 累積膜厚値更新工程(S50)を終了した後、累積膜厚値が所定の値を超えたら、上述の成膜工程(S30)で反応容器203内の各領域に面する仕切部やサセプタST1に付着(堆積)したパーティクルや、反応容器203内で生成された副生成物等からなる堆積物をエッチングして除去するクリーニング工程(S60)を実施する。本実施形態に係るクリーニング工程(S60)は、堆積物の膜厚値が最も小さい領域(最小膜厚領域)から順番に堆積物を除去していく(堆積物の膜厚値を0(ゼロ)にする)。ここで、クリーニング工程は、サセプタST1の累積膜厚値を基準に所定の閾値を超えたら実行するのが好ましい。なぜなら、反応容器203内の各領域に面する仕切部やサセプタST1のうち、サセプタST1は、ヒータを包含しているため最も累積膜厚値が高くなるからである。但し、これに限らず、堆積物の膜厚値が最も小さい領域(最小膜厚領域)に面する仕切部に付着した堆積物の膜厚値を基準に閾値を設定してもよいのは言うまでもない。
[反応性ガス供給時間算出工程(S61)] まず、サセプタST1又は反応容器203内の各領域のうち、最も堆積物の膜厚値の小さい領域(最少膜厚領域)の膜厚値に基づいて、後述するように反応性ガスの供給時間を算出する。なお、最小膜厚領域の膜厚値は0(ゼロ)ではないものとする。また、反応性ガスの供給時間は、サセプタST1又は反応容器203内の各領域でそれぞれ算出してもよいのは言うまでもない。詳細は後述するが、各領域に供給する反応性ガス及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ調整するように構成すれば、サセプタST1又は反応容器203内の各領域に面する仕切部に堆積される堆積物の膜厚値がそれぞれ異なるため、各領域でそれぞれ算出された供給時間が異なった場合に、最も堆積物の膜厚値の大きい領域(最大膜厚領域)に供給する反応性ガスの供給時間に合わせることができる。
[クリーニングガス供給工程(S62)] 続いて、サセプタST1の内部に埋め込まれたヒータ218に電力を供給し、反応容器203内が所定の温度となるように加熱する。この際、ヒータ218の温度は、温度センサ274により検出された温度情報に基づいてヒータ218への供給電力を制御することによって調整される。
また、反応容器203内が所望の圧力(例えば0.1Pa〜300Pa、好ましくは20Pa〜40Pa)となるように、反応容器203内を真空ポンプ246によって真空排気する。この際、反応容器203内の圧力は圧力センサで測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ243の開度をフィードバック制御する。
また、反応容器203内を加熱しつつ、回転機構267を作動して、サセプタST1の回転を開始させる。この際、サセプタST1の回転速度はコントローラ221によって制御される。サセプタST1の回転速度は例えば1回転/秒である。なお、サセプタST1は、クリーニングガス供給工程(S62)が終了するまでの間は、回転させた状態とするとよい。更に、サセプタST1には、ダミー基板が載置されているとよい。
反応容器203内を加熱して所望とする温度に達したら、第1のクリーニングガス供給部253又は第2のクリーニングガス供給部254の少なくともいずれかから反応容器203内に、クリーニングガスとしての三フッ化窒素(NF3)ガスの供給を開始する。このとき、APCバルブ243を適正に調整して、反応容器203内の圧力を例えば10Pa〜1000Paの範囲内の圧力とするとよい。
反応容器203内が、所望の圧力、所望の温度に達したら、反応性ガス供給部257から反応容器203内の各領域へのクリーニングガスとしての反応性ガスの供給を開始する。すなわち、バルブ235gを開け、反応性ガス供給管232gから、マスフローコントローラ234gで流量制御しながら、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a又は第2のパージ領域204bの少なくともいずれかに反応性ガスを供給する。反応性ガスとしては、例えば三フッ化窒素(NF3)を用い、反応性ガス供給部257から供給される反応性ガスは、例えばリモートプラズマ機構により予めプラズマ状態として反応容器203内へ供給する。なお、マスフローコントローラ234gで制御する反応性ガスの供給流量は、例えば100sccm〜5000sccmの範囲内の流量とするとよい。
反応性ガス供給部257から反応容器203内の各領域に少なくとも反応性ガスを供給する際、反応容器203内の各領域に面する仕切部の堆積物の膜厚値に基づいて、各領域に供給する反応性ガス及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ調整する。すなわち、膜厚値が0(ゼロ)の領域(例えば堆積物の除去が終了した領域)には、反応性ガスが供給されないように、不活性ガスを供給する。例えば、第1のパージ領域204aの堆積物の膜厚値が0(ゼロ)の場合、第1のパージ領域204aには反応性ガスが供給されないように、バルブ235eを開け、マスフローコントローラ234fで流量制御しながら不活性ガス(例えばN2ガス)を第1のパージ領域204aに供給する。このように、反応性ガス(クリーニングガス)により堆積物の膜厚値が0(ゼロ)の領域に供給するガスを反応性ガスから不活性ガスに切り替える。
算出した反応ガスの供給時間が経過したら、少なくともバルブ235gを閉じ、反応性ガスの反応容器203内の各領域への供給を停止する。そして、APCバルブ243の開度を調整して反応容器203内の圧力を所定の圧力にする。尚、上述のように各領域に供給するガスを反応性ガスから不活性ガスに切り替えるようにしてもよい。このように、反応性ガス(クリーニングガス)により堆積物の膜厚値が0(ゼロ)の領域に反応性ガスを供給しないようにする。ここで、堆積物の膜厚値が0(ゼロ)の領域に供給する不活性ガスの供給流量を他の領域に供給する不活性ガスの供給流量及び反応性ガスの供給流量よりも多くするように構成してもよい。
(累積膜厚値更新工程(S70)) クリーニング工程(S60)が終了した後、後述する制御部280が有する累積膜厚値更新機能285によって、上述のクリーニング工程(S60)によってサセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切部からエッチングされて除去される堆積物の膜厚値を、サセプタST1及び反応容器203内の領域に面する仕切部毎に算出する。そして、算出した膜厚値を、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切部の堆積物の累積膜厚値からそれぞれ減算し、累積膜厚値をそれぞれ更新する。なお、減算する膜厚値の算出方法については後述する。
上述のクリーニング工程(S60)及び累積膜厚値更新工程(S70)は、反応容器203内の各領域のうち、最小膜厚領域から順番に堆積物を除去し(堆積物の膜厚値を0(ゼロ)にし)、サセプタST1及び反応容器203内の全ての領域に面する仕切部の膜厚値が0になるまで、繰り返し行われる。サセプタST1及び反応容器203内の全ての領域に面する仕切部の膜厚値が0になったら、本実施形態に係る基板処理工程を終了する。
(4)制御手段の構成 次に、基板処理装置10を制御する制御手段としての制御部280について、主に図6を用いて説明する。図6は、本実施形態で好適に用いられる基板処理装置の制御部280の概略構成図である。なお、プロセスチャンバPM2については、プロセスチャンバPM1と同様に構成されているため、説明を省略する。
図6に示すように、制御部280は、操作部コントローラ236と、操作部コントローラ236に接続されるスイッチングハブ(SW Hub)239hと、スイッチングハブ239hに接続される搬送制御部としての搬送コントローラ239tと、スイッチングハブ239hに接続される処理制御部としてのプロセスチャンバコントローラ239pと、を備えている。搬送コントローラ239t及びプロセスチャンバコントローラ239pは、スイッチングハブ239hを介して、例えばLAN等の通信ネットワーク20により、操作部コントローラ236に電気的に(データ交換可能なように)接続されている。また、操作部コントローラ236には、スイッチングハブ239hを介して、搬送室TMが備える搬送ロボットVRと、搬送室EFEMが備える搬送ロボットARとを制御するロボットコントローラ11が、通信ネットワーク20により接続されている。また、操作部コントローラ236には、スイッチングハブ239hを介して、顧客のホストコンピュータ237uに接続されている。
制御手段としての制御部280は、基板処理装置10の内部に設けられ、搬送コントローラ239t、プロセスチャンバコントローラ239pを備えることで、基板処理装置10の各部を制御するよう構成されている。なお、搬送コントローラ239tとプロセスチャンバコントローラ239pとは、基板処理装置10外に設けられていても良い。
(操作部コントローラ) 操作部コントローラ236は、例えば中央処理装置(CPU)等からなる。操作部コントローラ236は、操作員とのインタフェースであり、例えば入出力部や表示部等を含む操作端末236sを介して操作員による操作を受け付けるよう構成されている。すなわち、操作端末236sには、入出力部として、例えばマウス、キーボード等が接続されている。また、操作端末236sには、例えばディスプレイ等の表示部が接続されている。操作端末236sは、例えば、タッチパネル等の操作入力受付画面や、サセプタST1及び反応容器203内の各領域内の堆積物の累積膜厚値が記載された累積膜厚データ等を表示させるように構成されている。
操作部コントローラ236は、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM等で構成される記憶装置等の記憶部236mを備えている。記憶部236m内には、基板処理装置100の動作を制御する制御プログラムや、例えばウエハ200上に薄膜を形成する処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、処理室PM1内の堆積物を除去するクリーニング処理の手順や条件などが記載されたクリーニングレシピ、ウエハ200の搬送手順や条件などが記載された搬送レシピ等を含むレシピ、及びこれらのレシピを実行する際に使用される各種パラメータが、読み出し可能に格納されている。
また、プロセスレシピには、堆積レートが設定されている。堆積レートとは、プロセスチャンバPM1内に原料ガスを供給してウエハ200上に薄膜を形成する成膜処理を実施することによって、例えば単位時間当たりにサセプタST1上に堆積する堆積物のレートである。サセプタST1上に堆積する堆積物の膜厚値は、堆積レートに原料ガスの供給時間を乗じることで算出される。例えば、堆積レートの設定値が10nm/分であり、原料ガスの供給時間が1分である成膜処理を実行すると、サセプタST1上に堆積する堆積物の膜厚値は10nmとなる。なお、堆積レートの単位時間の単位は分に限らず、例えば秒などであってもよい。
また、クリーニングレシピには、エッチングレートが設定されている。エッチングレートとは、プロセスチャンバPM1内に反応性ガス(クリーニングガス)を供給して、プロセスチャンバPM1内の堆積物を除去する処理(除去処理)を実施することによって、例えば単位時間当たりにサセプタST1上から除去される堆積物のレートである。サセプタST1上から除去される堆積物の膜厚値は、エッチングレートに反応性ガスの供給時間を乗じることで算出される。例えば、エッチングレートの設定値が10nm/分であり、反応性ガスの供給時間が1分である除去処理を実行すると、サセプタST1上からエッチングされる堆積物の膜厚値は10nmとなる。なお、エッチングレートの時間の単位は分に限らず、例えば秒などであってもよい。
また、記憶部236m内には、堆積比率テーブルファイルや、エッチング比率テーブルファイルが読み出し可能に格納されている。堆積比率テーブルファイルは、プロセスレシピに関連付けられている。記憶部236m内に複数の堆積比率テーブルが格納されている場合、例えばプロセスレシピの各ステップの設定の際に、堆積比率テーブル番号を指定することで、使用する堆積比率テーブルファイルを指定するように構成されている。また、エッチング比率テーブルファイルは、クリーニングレシピに関連付けられている。記憶部236m内に複数のエッチング比率テーブルが格納されている場合、例えばクリーニングレシピの各ステップの設定の際に、エッチング比率テーブル番号を指定することで、使用するエッチング比率テーブルファイルを指定するように構成されている。
ここで、堆積比率テーブルとは、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの堆積比率が記載されたテーブルである。堆積比率とは、堆積比率テーブルが関連付けられたプロセスレシピを実行した場合にサセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切部205の表面に堆積する堆積物の膜厚値の、プロセスレシピ内に設定された堆積レートに対する比率である。また、エッチング比率テーブルとは、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれのエッチング比率が記載されたテーブルである。エッチング比率とは、エッチング比率テーブルが関連付けられたクリーニングレシピを実行した場合にサセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれから除去される堆積物の膜厚値の、クリーニングレシピ内に設定されたエッチングレートに対する比率である。
尚、操作部コントローラ236は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。この場合、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)を用意し、かかる外部記憶装置を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、プロセスチャンバコントローラ239pや搬送コントローラ239tを構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、上述の外部記憶装置を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、上述の外部記憶装置を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶部236mとしての記憶装置や外部記憶装置は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置単体のみを含む場合、外部記憶装置単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
(搬送コントローラ) 搬送コントローラ239tは、主にウエハ200の搬送制御を行うよう構成されている。搬送コントローラ239tは、例えば中央処理装置(CPU)等からなる。搬送コントローラ239tには、DeviceNet等のデジタル信号回線30を通じて、原料ガスや反応性ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O13、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O14が、シーケンサ12を介してそれぞれ接続されている。すなわち、搬送コントローラ239tは、例えば搬送ロボットVR、搬送ロボットAR、サセプタST1、回転機構267、昇降機構268等に接続されている。搬送コントローラ239tは、例えば操作部コントローラ236を介して操作員により作成又は編集された搬送レシピの内容に基づいて、ウエハ200を搬送する際の制御データ(制御指示)を、搬送ロボットVR、搬送ロボットAR、サセプタST1、回転機構267、昇降機構268等に対して出力し、ウエハ200の搬送動作を制御するように構成されている。
また、搬送コントローラ239tには、ロードポートLP1〜LP3に載置されたキャリアカセットCA1〜CA3を識別するキャリアIDを示すバーコード1,2,3・・・等が記憶される記憶部16が、例えばシリアル回線40を通じて接続されている。
(プロセスチャンバコントローラ) プロセスチャンバコントローラ239pは、プロセスチャンバPM1内でのウエハ200の処理を制御するよう構成されている。プロセスチャンバコントローラ239pは、例えば中央処理装置(CPU)等からなる。また、プロセスチャンバコントローラ239pは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM等で構成される記憶装置を備えている。記憶装置内には、制御プログラムや、例えば処理室PM1内のサセプタST1及び各領域のそれぞれに堆積している堆積物の膜厚値(以下、累積膜厚データともいう。)が読み出し可能に格納されている。
プロセスチャンバコントローラ239pには、DeviceNet等のデジタル信号回線30を通じて、原料ガスや反応性ガスの供給や排気用バルブのオン/オフを制御するバルブデジタルI/O13、各種スイッチ(SW)等のオン/オフを制御するSWデジタルI/O14が、シーケンサ12を介してそれぞれ接続されている。プロセスチャンバコントローラ239pは、例えば操作部コントローラ236を介して操作員により作成又は編集されたプロセスレシピの内容に基づいて、ウエハ200を処理する際の制御データ(制御指示)を、圧力コントローラ15や、バルブ235a〜235g,243、各種スイッチ、マスフローコントローラ234a〜234g、ヒータ218等に対して出力し、プロセスチャンバPM1内におけるウエハ200の処理の制御を行うように構成されている。
圧力コントローラ15は、例えばシリアル回線40を介して、プロセスチャンバコントローラ239pに接続されている。圧力コントローラ15には、プロセスチャンバPM1内の圧力を制御する圧力センサ、APCバルブ243及び真空ポンプ246等が接続されている。圧力コントローラ15は、圧力センサにより検知された圧力値に基づいて、プロセスチャンバPM1内の圧力が所定のタイミングにて所定の圧力となるように、APCバルブ243及び真空ポンプ246を制御するように構成されている。
(5)制御手段の機能構成 続いて、制御手段としての制御部280の機能構成について、主に図7を用いて説明する。図7は、本実施形態に係る制御部280の機能構成を示すブロック図である。なお、プロセスチャンバPM2については、プロセスチャンバPM1と同様に構成されているため、説明を省略する。
図7に示すように、操作部コントローラ236は、記憶部236mとしての記憶装置内に保管されているプログラムを読み出して実行することで、レシピ開始機能281、レシピ編集機能282、累積膜厚表示機能283等を実現させるように構成されている。また、プロセスチャンバコントローラ239pは、記憶部236m内に保管されているプログラムを読み出して実行することで、レシピ実行機能284、累積膜厚値更新機能285等を実現させるように構成されている。尚、予め、操作部コントローラ236内のプロセスレシピがダウンロードされ、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に格納されていることはいうまでもない。
(レシピ開始機能) レシピ開始機能281は、例えば操作員がレシピ名称を入力欄に入力することで、入出力部からレシピ特定情報の入力を受け付ける。レシピ開始機能281は、入出力部からのレシピ特定情報の入力を受け付けると、レシピの実行開始の指示を後述のプロセスチャンバコントローラ239pが有するレシピ実行機能284に送信する。
(レシピ編集機能) レシピ編集機能282は、例えばプロセスレシピやクリーニングレシピを特定するレシピ特定情報、堆積比率テーブルやエッチング比率テーブルを特定するテーブル特定情報等を入力する入力欄等を表示部に表示する。レシピ編集機能282は、例えば操作員が、レシピ名称やテーブル名称を入力欄に入力することで、入出力部からレシピ特定情報やテーブル特定情報の入力を受け付ける。レシピ編集機能282は、入出力部からのレシピ特定情報やテーブル特定情報の入力を受け付けると、記憶部236m内からレシピ特定情報により特定されるプロセスレシピやクリーニングレシピ、又はテーブル特定情報により特定される堆積比率テーブルや、エッチング比率テーブルを読み出す。レシピ編集機能282は、記憶部236m内から読み出したプロセスレシピの編集画面や、クリーニングレシピの編集画面、堆積比率テーブルの編集画面、エッチング比率テーブルの編集画面を表示部に表示する。なお、レシピ編集機能282は、入出力部から複数のレシピ特定情報やテーブル特定情報の入力を受け付けた場合、複数の編集画面を操作端末236sが備える表示部に表示してもよい。
ここで、操作端末236sの表示部(操作画面)に表示される編集画面の一例を図8及び図9に示す。図8は、本実施形態に係る制御部280によって表示される操作画面の一例を示す図であり、(a)はプロセスレシピの編集画面の一例を示し、(b)は堆積比率テーブルの編集画面の一例を示す。図9は、本実施形態に係る制御部280によって表示される操作画面の一例を示す図であり、(a)はクリーニングレシピの編集画面の一例を示し、(b)はエッチング比率テーブルの編集画面の一例を示す。なお、プロセスチャンバPM2については、プロセスチャンバPM1と同様に構成されているため、説明を省略する。すなわち、例えば図8(a)に示すように、プロセスレシピの編集画面には、プロセスレシピのファイル名称や、堆積レートの設定値、プロセスレシピに関連する堆積比率テーブル番号(堆積比率テーブル名称)等を入力する入力欄等が表示される。また、例えば図8(b)に示すように、堆積比率テーブルの編集画面には、堆積比率テーブル番号や、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの堆積比率等を入力する入力欄等が表示される。また、例えば図9(a)に示すように、クリーニングレシピの編集画面には、クリーニングレシピのファイル名称や、エッチングレートの設定値、クリーニングレシピに関連するエッチング比率テーブル番号(エッチング比率テーブル名称)等を入力する入力欄等が表示される。また、例えば図9(b)に示すように、エッチング比率テーブルの編集画面には、エッチング比率テーブル番号や、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれのエッチング比率等を入力する入力欄や、最小膜厚領域を指定するチェックボックス等が表示される。
また、図8(a)に示すプロセスレシピ編集画面や、図9(a)に示すクリーニングレシピの編集画面には、例えば、成膜処理やクリーニング処理の処理温度、原料ガスや、反応性ガス、不活性ガス等の供給流量、バルブの開閉、プロセスチャンバPM1内の圧力、機構動作、高周波(RF)出力などの設定値や、モニタ値との偏差アラームの監視方法などの設定を入力する入力欄等が表示されてもよい。
レシピ編集機能282は、例えば操作員が、堆積レートやエッチングレート、堆積比率やエッチング比率等の設定値を所定の入力欄に入力することで、入出力部から設定値の更新情報を受け付ける。レシピ編集機能282は、入出力部から設定値の更新情報を受け付けると、プロセスレシピ、クリーニングレシピ、堆積比率テーブル、エッチング比率テーブルの設定値を更新して、更新したプロセスレシピ、クリーニングレシピ、堆積比率テーブル、エッチング比率テーブルを記憶部236m内に読み出し可能に格納する。
ここで、上述のプロセスチャンバPM1において、第1の処理領域201aや第2の処理領域201bは、第1のパージ領域204aや第2のパージ領域204bに比べて、これらの領域に面する仕切部に堆積する堆積物が多くなるため、堆積物の膜厚値が大きくなる。また、第1の原料ガスとして例えばプリカーサと呼ばれるTSAガスが供給される第1の処理領域201aは、第2の原料ガスとして例えば酸素(O2)ガスが供給される第2の処理領域201bと比べて、この領域に面する仕切部に堆積する堆積物の量が多くなる。また、第1のパージ領域204a、第2のパージ領域204bにはそれぞれ、上述のように不活性ガスとして例えば窒素(N2)ガスが供給されるが、サセプタST1の回転方向により、第1のパージ領域204aに堆積する堆積物の量と、第2のパージ領域204bに堆積する堆積物の量とが異なることがある。
従って、レシピ編集機能282は、サセプタST1及び反応容器203内の領域毎に、堆積比率やエッチング比率の設定値を編集して更新できるように構成されている。具体的には、例えば図8(b)に示すように、例えば操作員が、サセプタST1の堆積比率の設定値を100%、第1の処理領域201aの堆積比率の設定値を80%、第2の処理領域201bの堆積比率の設定値を60%、第1のパージ領域204aの堆積比率の設定値を30%、第2のパージ領域204bの堆積比率の設定値を40%と所定の入力欄に入力することで、サセプタST1及び反応容器203内の領域毎に堆積比率の設定値を編集できる。また、例えば図9(b)に示すように、例えば操作員が、サセプタST1のエッチング比率の設定値を100%とし、第1の処理領域201aのエッチング比率の設定値を50%、第2の処理領域201bのエッチング比率の設定値を50%、第1のパージ領域204aのエッチング比率の設定値を50%、第2のパージ領域204bのエッチング比率の設定値を50%と所定の入力欄に入力することで、サセプタST1及び反応容器203内の領域毎にエッチング比率の設定値を編集できる。なお、堆積比率又はエッチング比率は、サセプタST1の回転速度や回転方向、原料ガスや反応性ガスの種類、成膜温度やエッチング温度、圧力等を考慮して適宜設定できる。また、堆積比率又はエッチング比率は、例えば、実験結果や経験値により適宜設定してもよい。
(累積膜厚表示機能) 累積膜厚表示機能283は、例えば、後述するプロセスチャンバコントローラ239pが有する累積膜厚値更新機能285によって更新された累積膜厚データを、プロセスチャンバコントローラ239pから受信する。累積膜厚表示機能283は、受信した累積膜厚データを操作端末236sが備える表示部に表示する。
(レシピ実行機能) レシピ実行機能284は、上述のレシピ開始機能281からレシピの実行開始の指示を受け付けると、入出力部が受け付けたレシピ特定情報により特定されるプロセスレシピ又はクリーニングレシピの送信要求を操作部コントローラ236に出す。レシピ実行機能284は、レシピ特定情報により特定されるプロセスレシピ又はクリーニングレシピを操作部コントローラ236から受信して取得し、例えばプロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管する。
また、レシピ実行機能284は、取得したプロセスレシピ又はクリーニングレシピに堆積比率テーブルファイル又はエッチング比率テーブルファイルが関連付けられている場合には、関連する堆積比率テーブルファイル又はエッチング比率テーブルファイルの送信要求を操作部コントローラ236に出す。レシピ実行機能284は、操作部コントローラ236から、堆積比率テーブルファイル又はエッチング比率テーブルファイルを自動で受信して取得し、例えばプロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管する。レシピ実行機能284は、エッチング比率テーブルファイルを取得したら、エッチング比率テーブルファイル取得情報を後述の累積膜厚値更新機能285に送信する。
レシピ実行機能284は、操作部コントローラ236から取得したプロセスレシピの内容を読み出し、プロセスレシピの内容に沿うようにバルブデジタルI/O13やSWデジタルI/O14を制御し、プロセスレシピを実行する。レシピ実行機能284は、プロセスレシピの実行を終了すると、プロセスレシピの実行終了の情報を後述の累積膜厚値更新機能285に送信する。
[反応性ガス供給時間算出] レシピ実行機能284は、エッチング比率テーブルファイルの取得情報を受信すると、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出す。レシピ実行機能284は、読み出した累積膜厚データを操作端末236sが備える表示部に表示する。累積膜厚値更新機能285は、操作端末236sが備える表示部に、エッチング比率テーブル番号(エッチング比率テーブルの名称)を入力する入力欄等を表示する。
レシピ実行機能284は、例えば操作員がエッチング比率テーブル番号を入力欄に入力することで、入出力部から、エッチング比率テーブル特定情報の入力を受け付ける。レシピ実行機能284は、エッチング比率テーブル特定情報の入力を受け付けると、記憶部236m内に保管されているエッチング比率テーブルファイルから、エッチング比率テーブル特定情報により特定されるエッチング比率テーブルを読み出す。レシピ実行機能284は、読み出したエッチング比率テーブルを例えば図9(b)に示すように操作端末236sが備える表示部に表示する。
レシピ実行機能284は、例えば操作員が操作端末236sを備える表示部に表示された累積膜厚データを確認し、最小膜厚領域のチェックボックスにチェックを入れることで、入出力部から、最小膜厚領域を特定する最小膜厚領域特定情報の入力を受け付ける。レシピ実行機能284は、最小膜厚領域特定情報の入力を受け付けると、累積膜厚データに記載された最小膜厚領域の膜厚値(累積膜厚値)及びエッチング比率と、記憶部236m内に保管されているクリーニングレシピに記載されているエッチングレートとを読み出して取得する。
そして、レシピ実行機能284は、取得した最小膜厚領域の膜厚値を、エッチングレートと最小膜厚領域のエッチング比率との積で除して(最小膜厚領域の累積膜厚値/(エッチングレート×最小膜厚領域のエッチング比率)を計算して)、反応性ガス供給時間を算出する。
ここで、反応性ガス供給時間の算出の具体例として、図9(b)を用いて説明する。図9(b)では、最小膜厚領域として例えば第1のパージ領域204aが指定されている。また、エッチング比率テーブルに記載された第1のパージ領域204aのエッチング比率は50%である。なお、累積膜厚データに記載された第1のパージ領域204aの膜厚値(累積膜厚値)は100nmであり、エッチングレートは10nm/分である。このとき、レシピ実行機能284は、第1のパージ領域204aの累積膜厚値を、エッチングレートと第1のパージ領域204aのエッチング比率との積で除して反応性ガス供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284により算出される反応性ガス供給時間は、100nm÷(10nm/分×50%)=20分となる。
レシピ実行機能284は、反応性ガス供給時間の算出が終了すると、操作部コントローラ236から取得したクリーニングレシピの内容を読み出し、クリーニングレシピの内容及び算出した反応性ガス供給時間に沿うようにバルブデジタルI/O13やSWデジタルI/O14を制御し、クリーニングレシピを実行する。
レシピ実行機能284は、クリーニングレシピの実行を終了すると、算出した反応性ガス供給時間を後述の累積膜厚値更新機能285に送信する。
なお、プロセスレシピやクリーニングレシピ内に複数の処理ステップ(例えば成膜ステップやエッチングステップ)が含まれている場合、レシピ実行機能284は、一の処理ステップが終了すると、一の処理ステップの実行終了の情報を後述の累積膜厚値更新機能285に送信する。そして、レシピ実行機能284は、後述の累積膜厚値更新機能285から累積膜厚データ更新終了の情報を受信すると、プロセスレシピ内又はクリーニングレシピ内の他の処理ステップがある場合は、その処理ステップの内容を読み出し、読み出した処理ステップを実行し、処理ステップの実行終了の情報を後述の累積膜厚値更新機能285に送信する。レシピ実行機能284は、プロセスレシピ内又はクリーニングレシピ内の全ての処理ステップの実行が終了するまで、この動作を繰り返す。
(累積膜厚値更新機能) 累積膜厚値更新機能285は、以下のように、累積膜厚値加算機能と累積膜厚値減算機能とを備えている。
[累積膜厚値加算機能] 累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284からプロセスレシピの実行終了の情報を受け取ると、記憶部236m内に保管されているプロセスレシピに記載されている堆積レートを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、プロセスレシピに記載されている原料ガス供給時間を読み出す。累積膜厚値更新機能285は、堆積レートに原料ガス供給時間を乗じて基準加算膜厚値を算出する。
累積膜厚値更新機能285は、プロセスレシピに記載されている堆積比率テーブル番号を読み出す。累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている堆積比率テーブルファイルの中から、読み出した堆積比率テーブル番号と一致する堆積比率テーブルを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、上述のように算出した基準加算膜厚値に、堆積比率テーブルに記載された堆積比率をそれぞれ乗じることで、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの加算膜厚値を算出する。
累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されたそれぞれの累積膜厚値に、算出した加算膜厚値をそれぞれ加算して、累積膜厚データを更新する。すなわち、累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されているサセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値に、算出した加算膜厚値をそれぞれ加算して累積膜厚データを更新する。そして、累積膜厚値更新機能285は、更新した累積膜厚データを上述の累積膜厚表示機能283に送信する。
[累積膜厚値減算機能] 累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284から反応性ガス供給時間を受信すると、記憶部236m内に保管されているクリーニングレシピに記載されているエッチングレートを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、エッチングレートに反応性ガス供給時間を乗じて基準減算膜厚値を算出する。
累積膜厚値更新機能285は、クリーニングレシピに記載されているエッチング比率テーブル番号を読み出す。累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されているエッチング比率テーブルファイルの中から、読み出したエッチング比率テーブル番号と一致するエッチング比率テーブルを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、上述のように算出した基準減算膜厚値に、エッチング比率テーブルに記載されたエッチング比率をそれぞれ乗じることで、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの減算膜厚値を算出する。
累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されたそれぞれの累積膜厚値から算出した減算膜厚値をそれぞれ減算して、累積膜厚データを更新する。すなわち、累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されているサセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値から、算出した減算膜厚値をそれぞれ減算して累積膜厚データを更新する。そして、累積膜厚値更新機能285は、更新した累積膜厚データを上述の累積膜厚表示機能283に送信する。
なお、プロセスレシピ内やクリーニングレシピ内に複数の処理ステップが含まれている場合、累積膜厚値更新機能285は、累積膜厚データの更新が終了したら、更新した累積膜厚データを累積膜厚表示機能283に送信するとともに、レシピ実行機能284に累積膜厚データ更新終了の情報を送信する。
(6)制御手段の動作 次に、本実施形態に係る制御部280の動作について、主に図10及び図11を用いて説明する。かかる動作は、半導体装置の製造工程の一工程として行われる。ここでは、プロセスレシピ内及びクリーニングレシピ内にそれぞれ、複数の処理ステップが含まれている場合について説明する。図10及び図11は、本実施形態に係る制御部280が実行する累積膜厚データの更新処理のフロー図である。
(累積膜厚加算処理)[プロセスレシピ実行工程] 図10に示すように、入出力部がプロセスレシピを特定するレシピ特定情報の入力を受け付けると、レシピ開始機能281が、レシピ実行機能284に、レシピの実行開始の指示を送信する。レシピ実行機能284がレシピの実行開始の指示を受信すると、レシピ実行機能284は、操作部コントローラ236が備える記憶部236m内からレシピ特定情報により特定されるプロセスレシピを受信して取得する。
レシピ実行機能284は、取得したプロセスレシピを読み出し、プロセスレシピに関連付けられている堆積比率テーブルファイルがあるか否かを判定する。プロセスレシピに関連付けられた堆積比率テーブルファイルがある場合は、その堆積比率テーブルファイルを操作部コントローラ236が備える記憶部236m内から自動で受信して取得する。
そして、レシピ実行機能284は、プロセスレシピに含まれる一の処理ステップの内容に沿うように、マスフローコントローラ234a〜234gや、バルブ235a〜235g、ヒータ218、APCバルブ243等を制御して処理ステップを実行する。レシピ実行機能284は、処理ステップの実行を終了すると、プロセスチャンバコントローラ239pが備える累積膜厚値更新機能285に、処理ステップの実行終了の情報を送信する。
[累積膜厚値加算工程] 累積膜厚値更新機能285が処理ステップの実行終了の情報を受信すると、累積膜厚値更新機能285は、プロセスレシピ(実行した処理ステップ)に記載されている堆積レートを読み出し、読み出した堆積レートが0(ゼロ)よりも大きいか否かを判定する。
累積膜厚値更新機能285は、堆積レートが0よりも大きいと判定した場合、プロセスレシピ(実行した処理ステップ)に記載されている原料ガス供給時間を読み出す。そして、累積膜厚値更新機能285は、読み出した堆積レートに原料ガス供給時間を乗じてサセプタST1上に堆積する堆積物の膜厚値(基準加算膜厚値)(A)を算出する。
なお、累積膜厚値更新機能285は、堆積レートが0であると判定した場合、レシピ実行機能284に累積膜厚データ更新終了の情報を送信し、レシピ実行機能284がプロセスレシピ内の全ての処理ステップがあるか否かを判定する。
累積膜厚値更新機能285は、実行した処理ステップ(プロセスレシピ)に記載されている堆積比率テーブル番号が0であるか否かを判定する。なお、ここでは、堆積比率テーブル番号が0である(堆積比率テーブル番号=0)とは、プロセスレシピに堆積比率テーブルが関連付けられていないことを意味する。
累積膜厚値更新機能285は、堆積比率テーブル番号が0であると判定した場合、算出した基準加算膜厚値(A)を、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値にそれぞれ加算する加算膜厚値(B)とする。
累積膜厚値更新機能285は、堆積比率テーブル番号が0ではないと判定した場合、実行した処理ステップ(プロセスレシピ)に記載されている堆積比率テーブル番号と一致する堆積比率テーブルを、堆積比率テーブルファイルから読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した堆積比率テーブルを参照して、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの堆積比率を取得する。そして、累積膜厚値更新機能285は、上述の基準加算膜厚値(A)に、それぞれの堆積比率を乗じて、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの加算膜厚値(B)を算出する。
そして、累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pの記憶装置内から、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値を記載した累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されているサセプタST1及び反応容器203内の各領域それぞれの累積膜厚値に、算出した加算膜厚値(B)をそれぞれ加算して累積膜厚データを更新する。
累積膜厚値更新機能285は、累積膜厚テーブルの更新が終了したら、更新した累積膜厚テーブルを操作部コントローラ236が備える累積膜厚表示機能283に送信する。累積膜厚表示機能283は、受信した累積膜厚テーブルを操作端末236sが備える表示部に表示する。また、累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284に累積膜厚データ更新終了の情報を送信する。
レシピ実行機能284は、累積膜厚値更新機能285から累積膜厚データ更新終了の情報を送信したら、プロセスレシピ内に含まれるすべての処理ステップを実行したか否かを判定する。レシピ実行機能284がプロセスレシピ内に含まれるすべての処理ステップを実行していないと判定した場合、レシピ実行機能284は、上述のプロセスレシピ実行処理及び累積膜厚値加算処理を、プロセスレシピ内に含まれるすべての処理ステップの実行が終了するまで繰り返し行う。
(累積膜厚加算処理)[反応性ガス供給時間算出工程] また、図11に示すように、入出力部がクリーニングレシピを特定するレシピ特定情報の入力を受け付けると、レシピ開始機能281が、レシピ実行機能284に、レシピの実行開始の指示を送信する。レシピ実行機能284がレシピの実行開始の指示を受信すると、レシピ実行機能284は、操作部コントローラ236が備える記憶部236m内からレシピ特定情報により特定されるクリーニングレシピを受信して取得する。
レシピ実行機能284は、取得したクリーニングレシピを読み出し、クリーニングレシピに関連付けられているエッチング比率テーブルファイルがあるか否かを判定する。クリーニングレシピに関連付けられたエッチング比率テーブルファイルがある場合は、そのエッチング比率テーブルファイルを操作部コントローラ236が備える記憶部236m内から自動で受信して取得する。
そして、レシピ実行機能284は、クリーニングレシピ(実行する処理ステップ)に記載されているエッチングレートを読み出し、読み出したエッチングレートが0(ゼロ)であるか否かを判定する。
レシピ実行機能284は、エッチングレートが0であると判定した場合、クリーニングレシピの実行を終了する。
レシピ実行機能284は、エッチングレートが0ではないと判定した場合、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出し、読み出した累積膜厚データを操作端末236sが備える表示部に表示する。そして、入出力部がエッチング比率テーブルを特定するエッチング比率テーブル特定情報の入力を受け付けると、レシピ実行機能284は、記憶部236m内に保管されているエッチング比率テーブルファイルから、エッチング比率テーブル特定情報により特定されるエッチング比率テーブルを読み出し、操作端末236sが備える表示部に表示する。
また、入出力部が最小膜厚領域特定情報の入力を受け付けると、レシピ実行機能284は、最小膜厚領域特定情報により特定される領域の、累積膜厚データに記載された累積膜厚値及びエッチング比率テーブルに記載されたエッチング比率を読み出す。レシピ実行機能284は、最小膜厚領域の累積膜厚値を、エッチングレートとエッチング比率との積で除することで、反応性ガス供給時間を算出する。
[クリーニングレシピ実行工程] レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間が0であるか否かを判定する。レシピ実行機能284が算出した反応性ガス供給時間が0ではないと判定した場合、レシピ実行機能284は、取得したクリーニングレシピに含まれる一の処理ステップの内容及び算出した反応性ガス供給時間に沿うように、マスフローコントローラ234a〜234gや、バルブ235a〜235g、ヒータ218、APCバルブ243等を制御して処理ステップを実行する。レシピ実行機能284は、処理ステップの実行を終了すると、プロセスチャンバコントローラ239pが備える累積膜厚値更新機能285に、処理ステップの実行終了の情報及び反応性ガス供給時間の情報を送信する。
[累積膜厚値減算工程] 累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284から処理ステップの実行終了の情報及び反応性ガス供給時間の情報を受信すると、累積膜厚値更新機能285は、クリーニングレシピ(実行した処理ステップ)に記載されているエッチングレートを読み出し、読み出したエッチングレートに受信した反応性ガス供給時間を乗じてサセプタST1上からエッチングして除去される堆積物の膜厚値(基準減算膜厚値)(C)を算出する。
累積膜厚値更新機能285は、実行した処理ステップ(クリーニングレシピ)に記載されているエッチング比率テーブル番号が0であるか否かを判定する。なお、ここでは、エッチング比率テーブル番号が0である(エッチング比率テーブル番号=0)とは、クリーニングレシピにエッチング比率テーブルが関連付けられていないことを意味する。
累積膜厚値更新機能285がエッチング比率テーブル番号が0であると判定した場合、累積膜厚値更新機能285は、算出した基準減算膜厚値(C)を、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値からそれぞれ減算する減算膜厚値(D)とする。
累積膜厚値更新機能285はエッチング比率テーブル番号が0ではないと判定した場合、累積膜厚値更新機能285は、実行した処理ステップ(クリーニングレシピ)に記載されているエッチング比率テーブル番号と一致するエッチング比率テーブルを、エッチング比率テーブルファイルから読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出したエッチング比率テーブルを参照して、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれのエッチング比率を取得する。そして、累積膜厚値更新機能285は、上述の基準減算膜厚値(C)に、それぞれのエッチング比率を乗じて、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの減算膜厚値(D)を算出する。
そして、累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pの記憶装置内から、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値を記載した累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されているサセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値から、算出した減算膜厚値(D)をそれぞれ減算して累積膜厚データを更新する。
累積膜厚値更新機能285は、累積膜厚テーブルの更新が終了したら、更新した累積膜厚テーブルを操作部コントローラ236が備える累積膜厚表示機能283に送信する。累積膜厚表示機能283は、受信した累積膜厚テーブルを操作端末236sが備える表示部に表示する。また、累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284に累積膜厚データ更新終了の情報を送信する。
レシピ実行機能284は、累積膜厚値更新機能285から累積膜厚データ更新終了の情報を受信したら、クリーニングレシピ内に含まれるすべての処理ステップを実行したか否かを判定する。レシピ実行機能284がクリーニングレシピ内に含まれるすべての処理ステップを実行していないと判定した場合、レシピ実行機能284は、反応性ガス供給時間算出処理、クリーニングレシピ実行処理及び累積膜厚値減算処理を、クリーニングレシピ内に含まれるすべての処理ステップの実行が終了するまで繰り返し行う。
[実施例] ここで、累積膜厚値更新機能285によって加算膜厚値を算出し、累積膜厚データを更新する一例を、主に図12を用いて説明する。図12(a)は累積膜厚値更新機能285が加算膜厚値を算出して、累積膜厚テーブルを更新する様子の一例を説明する図であり、図12(b)は、累積膜厚値更新機能285によって更新された累積膜厚テーブルに記載されたサセプタ及び各領域の累積膜厚値をグラフ化した図である。
図12に示すように、例えば、レシピ実行機能284によって、ウエハ200上に薄膜を形成する(成膜を行う)プロセスレシピが実行されたとする。このプロセスレシピには、堆積レートが10nm/min、原料ガス供給時間が1分と記載されている。また、プロセスレシピには、堆積比率テーブル番号が「1」の堆積比率テーブルが関連付けられている。この堆積比率テーブルには、第1の処理領域201aの堆積比率が80%、第2の処理領域201bの堆積比率が60%、第1のパージ領域204aの堆積比率が30%、第2のパージ領域204bの堆積比率が40%、サセプタST1の堆積比率が100%と記載されている。従って、累積膜厚値更新機能285によって算出される加算膜厚値は、第1の処理領域201aに面する仕切板205が8nm、第2の処理領域201bに面する仕切板205が6nm、第1のパージ領域204aに面する仕切板205が3nm、第2のパージ領域204bに面する仕切板205が4nm、サセプタST1が10nmである。そして、このプロセスレシピを例えば1000回実行した場合、第1の処理領域201aに面する仕切板205の累積膜厚は8μm、第2の処理領域201bに面する仕切板205の累積膜厚は6μm、第1のパージ領域204aに面する仕切板205の累積膜厚は3μm、第2のパージ領域204bに面する仕切板205の累積膜厚は4μm、サセプタST1の累積膜厚は10μmになる。
また、累積膜厚値更新機能285によって減算膜厚値を算出し、累積膜厚データを更新する一例を、主に図13〜図16を用いて説明する。図13〜図16はそれぞれ、累積膜厚値更新機能285が減算膜厚値を算出し、累積膜厚テーブルを更新する様子を示す図である。
本実施例では、レシピ実行機能284によって、プロセスチャンバPM1内に堆積した堆積物をエッチングして除去するクリーニングレシピとして、4つの処理ステップを有するクリーニングレシピが実行される場合について説明する。なお、1番目の処理ステップをエッチングステップ1(図13)、2番目の処理ステップをエッチングステップ2(図14)、3番目の処理ステップをエッチングステップ3(図15)、4番目の処理ステップをエッチングステップ4(図16)とする。すなわち、本実施例では、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のうち、堆積物の膜厚が小さい領域(堆積物の膜厚が小さい箇所)から順番に堆積物を除去していき、図12に示す累積膜厚値からサセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積物を除去する場合について説明する。
まず、図13に示すように、レシピ実行機能284によって、エッチングステップ1のレシピが実行される。このエッチングステップ1のレシピには、エッチングレートが200nm/minと記載されている。また、このレシピには、エッチング比率テーブル番号が「1」のエッチング比率テーブルが関連付けられている。このエッチング比率テーブルには、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bのエッチング比率がそれぞれ50%、サセプタST1のエッチング比率が100%と記載されている。また、最小膜厚領域として、第1のパージ領域204aが指定されている。
従って、レシピ実行機能284は、第1のパージ領域204aの累積膜厚値及びエッチング比率を基に、エッチングステップ1での反応性ガス供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284によって算出される反応性ガス供給時間は、第1のパージ領域204aの累積膜厚値/(エッチングレート×第1のパージ領域204aの堆積比率)=3(μm)/(200(nm/min)×50(%))で30分となる。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、クリーニングレシピを実行する。すなわち、エッチングステップ1では、図4に示すバルブ235a〜235fを閉め、バルブ235gを開け、各領域に反応性ガスを30分間供給する。このとき、サセプタST1は回転させる。これにより、サセプタST1、第1の処理領域201aに面する仕切板205、第2の処理領域201bに面する仕切板205、第1のパージ領域204aに面する仕切板205及び第2のパージ領域204bに面する仕切板205がそれぞれエッチングされる。なお、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bにそれぞれ面する仕切板205のエッチング速度はそれぞれ同一である。
エッチングステップ1のレシピの実行終了後、累積膜厚値更新機能285によって算出される基準減算膜厚値は、エッチングレート×反応性ガス供給時間=200nm/min×30分で6μmとなる。エッチング比率テーブルを参照して、累積膜厚値更新機能285によって算出される第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bの減算膜厚値はそれぞれ3μm、サセプタST1の減算膜厚値は6μmとなる。
累積膜厚値更新機能285は、図12(b)に示す累積膜厚データから算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して、図13に示すように累積膜厚データを更新する。その結果、各領域の累積膜厚値(残膜厚値)は、第1の処理領域201aが5μm、第2の処理領域201bが3μm、第1のパージ領域204aが0μm、第2のパージ領域204bが1μm、サセプタST1が4μmとなる。
なお、上述したように、サセプタST1は、加熱部としてのヒータ218を内包する。このため、サセプタST1の温度は、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a、第2のパージ領域204b内のそれぞれの温度(各領域を構成する反応容器203の内壁や天井、仕切板205の側面等の温度)と比べて高くなることが多い。従って、本実施例(図13)では、サセプタST1のエッチング比率は、各領域の2倍とした。
エッチングステップ1のレシピの実行が終了した後、図14に示すように、レシピ実行機能284によって、エッチングステップ2のレシピが実行される。このエッチングステップ2のレシピには、エッチングレートが200nm/minと記載されている。また、このレシピには、エッチング比率テーブル番号が「2」のエッチング比率テーブルが関連付けられている。このエッチング比率テーブルには、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bのエッチング比率がそれぞれ50%、第1のパージ領域204aのエッチング比率が0%と記載されている。また、サセプタST1のエッチング比率は75%と記載されている。これは、サセプタST1は回転されるため、サセプタST1が第1のパージ領域204aを通過する間は、サセプタST1上の堆積物はエッチングされないためである。また、最小膜厚領域として、第2のパージ領域204bが指定されている。
従って、レシピ実行機能284は、第2のパージ領域204bの累積膜厚値及びエッチング比率を基に、エッチングステップ2での反応性ガス供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284によって算出される反応性ガス供給時間は、第2のパージ領域204bの累積膜厚値/(エッチングレート×第2のパージ領域204bの堆積比率)=1(μm)/(200(nm/min)×50(%))で10分となる。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、クリーニングレシピを実行する。すなわち、エッチングステップ2では、図4に示すバルブ235a〜235d,235fを閉め、バルブ235gを開けて反応性ガスを10分間供給する。このとき、第1のパージ領域204aには反応性ガスが供給されないように、バルブ235gを開けるとともに、バルブ235eを開け、第1のパージ領域204aに不活性ガスを供給する。また、サセプタST1は回転させる。これにより、サセプタST1、第1の処理領域201aに面する仕切板205、第2の処理領域201bに面する仕切板205及び第2のパージ領域204bに面する仕切板205にそれぞれ堆積された堆積物がそれぞれエッチングされる。
エッチングステップ2のレシピの実行終了後、累積膜厚値更新機能285によって算出される基準減算膜厚値は、エッチングレート×反応性ガス供給時間=200nm/min×10分で2μmとなる。エッチング比率テーブルを参照して、累積膜厚値更新機能285によって算出される第1の処理領域201a、第2の処理領域201b及び第2のパージ領域204bの減算膜厚値はそれぞれ1μm、第1のパージ領域204aの減算膜厚値は0μmサセプタST1の減算膜厚値は1.5μmとなる。
累積膜厚値更新機能285は、図13に示す累積膜厚データから算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して、図14に示すように累積膜厚データを更新する。その結果、各領域の累積膜厚値(残膜厚値)は、第1の処理領域201aが4μm、第2の処理領域201bが2μm、第1のパージ領域204aが0μm、第2のパージ領域204bが0μm、サセプタST1が2.5μmとなる。
エッチングステップ2のレシピの実行が終了した後、図15に示すように、レシピ実行機能284によって、エッチングステップ3のレシピが実行される。エッチングステップ3のレシピには、エッチングレートが200nm/minと記載されている。また、このレシピには、エッチング比率テーブル番号が「3」のエッチング比率テーブルが関連付けられている。このエッチング比率テーブルには、第1の処理領域201a及び第2の処理領域201bのエッチング比率がそれぞれ50%、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bのエッチング比率がそれぞれ0%と記載されている。また、サセプタST1のエッチング比率は50%と記載されている。これは、サセプタST1は回転されるため、サセプタST1が第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bを通過する間は、サセプタST1上の堆積物はエッチングされないためである。また、最小膜厚領域として、第2の処理領域201bが指定されている。
従って、レシピ実行機能284は、第2の処理領域201bの累積膜厚値及びエッチング比率を基に、エッチングステップ3での反応性ガス供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284によって算出される反応性ガス供給時間は、第2の処理領域201bの累積膜厚値/(エッチングレート×第2の処理領域201bの堆積比率)=2(μm)/(200(nm/min)×50(%))で20分となる。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、クリーニングレシピを実行する。すなわち、エッチングステップ3では、図4に示すバルブ235a〜235dを閉め、バルブ235gを開けて反応性ガスを20分間供給する。このとき、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bには、反応性ガスが供給されないように、バルブ235gを開けるとともに、バルブ235e及びバルブ235fを開け、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域に不活性ガスを供給する。また、サセプタST1は回転させる。これにより、サセプタST1、第1の処理領域201aに面する仕切板205及び第2の処理領域201bに面する仕切板205にそれぞれ堆積した堆積物がエッチングされる。
エッチングステップ3のレシピの実行終了後、累積膜厚値更新機能285によって算出される基準減算膜厚値は、エッチングレート×反応性ガス供給時間=200nm/min×20分で4μmとなる。エッチング比率テーブルを参照して、累積膜厚値更新機能285によって算出される第1の処理領域201a、第2の処理領域201b及びサセプタST1の減算膜厚値はそれぞれ2μm、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bの減算膜厚値はそれぞれ0μmとなる。
累積膜厚値更新機能285は、図14に示す累積膜厚データから算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して、図15に示すように累積膜厚データを更新する。その結果、各領域の累積膜厚値(残膜厚値)は、第1の処理領域201aが2μm、第2の処理領域201bが0μm、第1のパージ領域204aが0μm、第2のパージ領域204bが0μm、サセプタST1が0.5μmとなる。
エッチングステップ3のレシピの実行が終了した後、図16に示すように、レシピ実行機能284によって、エッチングステップ4のレシピが実行される。エッチングステップ4のレシピには、エッチングレートが200nm/minと記載されている。また、このレシピには、エッチング比率テーブル番号が「4」のエッチング比率テーブルが関連付けられている。このエッチング比率テーブルには、第1の処理領域201aのエッチング比率が50%、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bのエッチング比率がそれぞれ0%と記載されている。また、サセプタST1のエッチング比率は25%と記載されている。これは、サセプタST1は回転されるため、サセプタST1が第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bを通過する間は、サセプタST1上の堆積物はエッチングされないためである。また、最小膜厚領域として、第1の処理領域201aが指定されている。
従って、レシピ実行機能284は、第1の処理領域201aの累積膜厚値及びエッチング比率を基に、エッチングステップ4での反応性ガス供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284によって算出される反応性ガス供給時間は、第1の処理領域201aの累積膜厚値/(エッチングレート×第1の処理領域201aの堆積比率)=2(μm)/(200(nm/min)×50(%))で20分となる。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、クリーニングレシピを実行する。すなわち、エッチングステップ4では、図4に示すバルブ235a〜235cを閉め、バルブ235gを開けて反応性ガスを20分間供給する。このとき、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bには、反応性ガスが供給されないように、バルブ235gを開けるとともに、バルブ235d、バルブ235e及びバルブ235fを開け、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bに不活性ガスを供給する。また、サセプタST1は回転させる。これにより、サセプタST1及び第1の処理領域201aに面する仕切板205に堆積された堆積物がそれぞれエッチングされる。
エッチングステップ4のレシピの実行終了後、累積膜厚値更新機能285によって算出される基準減算膜厚値は、エッチングレート×反応性ガス供給時間=200nm/min×20分で4μmとなる。エッチング比率テーブルを参照して、累積膜厚値更新機能285によって算出される第1の処理領域201aの減算膜厚値は2μm、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204bの減算膜厚値はそれぞれ0μm、サセプタST1の減算膜厚値は1μmとなる。
累積膜厚値更新機能285は、図15に示す累積膜厚データから算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して、図16に示すように累積膜厚データを更新する。その結果、各領域の累積膜厚値(残膜厚値)は、第1の処理領域201aが0μm、第2の処理領域201bが0μm、第1のパージ領域204aが0μm、第2のパージ領域204bが0μm、サセプタST1が0μmとなる。
なお、本実施例では、サセプタST1は0.5μmオーバーエッチングされることになる。この際は、例えば、クリーニングレシピの処理温度、反応性ガスの供給流量、圧力などの処理条件を変更することで、ドメインとサセプタとのエッチング比率のを50:100から50:95等にチューニング可能である。その結果、サセプタST1に発生するオーバーエッチング量を極めて小さい値に補正することができる。
(7)本実施形態に係る効果 本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
(a)本実施形態によれば、反応容器203内の各領域(すなわち第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a及び第2のパージ領域204b)に分配するように反応性ガスを供給する反応性ガス供給部を備えている。また、第1の処理領域201a内に不活性ガスを供給する第1の不活性ガス供給部252、第2の処理領域201b内に不活性ガスを供給する第2の不活性ガス供給部254、第1のパージ領域204a内に不活性ガスを供給する第3の不活性ガス供給部255、第2のパージ領域204b内に不活性ガスを供給する第4の不活性ガス供給部256を備えている。そして、反応容器203内の各領域に反応性ガスを供給する際、反応容器203内の各領域に面する仕切板205のそれぞれの堆積物の膜厚値に応じて、反応容器203内の各領域に供給される不活性ガスの供給流量をそれぞれ調整している。すなわち、例えば第1のパージ領域204aに面する仕切板205の堆積物の膜厚値が0(ゼロ)である場合、第1のパージ領域204a内には反応性ガスが供給されないように、第1のパージ領域204a内に供給される不活性ガスの供給量を調整している。これにより、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングが発生することを抑制でき、プロセスチャンバPM1内の各部品に生じる損傷を低減できる。
(b)本実施形態によれば、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のうち、堆積物の膜厚値が小さい領域から順番に堆積物を除去している。すなわち、最小膜厚領域から順番に堆積物の膜厚値が0(ゼロ)になるように、堆積物を除去する処理を行っている。これにより、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングが発生することをより抑制できる。
(c)本実施形態によれば、制御部280は、サセプタST1又は反応容器203内の各領域の内、最小膜厚領域の膜厚値を、エッチングレートと最小膜厚領域のエッチング比率との積で除して反応性ガスの供給時間を算出している。これにより、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングが発生することをより抑制できる。
(d)本実施形態によれば、反応性ガス供給部257から反応容器203内の各領域に反応性ガスを供給する際、堆積物が堆積していない領域には反応性ガスが供給されないように、不活性ガスの供給流量を調整している。すなわち、堆積物の除去が終了した領域(堆積物の累積膜厚値が0(ゼロ)である領域)には、不活性ガス供給部から不活性ガスを供給し、反応性ガスが供給されないようにしている。これにより、堆積物が堆積していない領域でオーバーエッチングが発生することを抑制できる。従って、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングが発生することをより抑制できる。
(e)本実施形態によれば、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切板205の少なくともいずれかの堆積物の累積膜厚値が、他の箇所の堆積物の累積膜厚値と異なっている。このようにサセプタST1及び反応容器203内の各領域で堆積物の膜厚値が異なっていても、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングを発生させることなく、ドライクリーニング法でクリーニングを行うことができる。従って、従来のウェットクリーニング法によるクリーニングの場合と比べて、装置の稼働効率を向上させることができる。
(f)本実施形態によれば、制御部280は、堆積物が堆積する堆積レートに、原料ガス供給部から供給される原料ガスの供給時間を乗じることで、サセプタST1に堆積する堆積物の膜厚値を算出している。また、制御部280は、サセプタST1に堆積する堆積物の膜厚値に所定の堆積比率を乗じることで、反応容器203内の各領域に面する仕切板205に堆積する堆積物の膜厚値をそれぞれ算出している。また、制御部280は、堆積物を除去するエッチングレートに反応性ガスの供給時間を乗じることで、サセプタST1から除去される堆積物の膜厚値を算出している。また、制御部280は、サセプタST1から除去される堆積物の膜厚値に所定のエッチング比率を乗じることで、反応容器203内の各領域に面する仕切板205から除去される堆積物の膜厚値をそれぞれ算出している。これにより、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切板205の累積膜厚をより確実に管理できる。従って、反応容器203内の各部品でオーバーエッチングが発生することをより抑制できる。
(g)本実施形態によれば、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積比率をそれぞれ記載した堆積比率テーブル、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のエッチング比率を記載したエッチング比率テーブルが、制御部280が備える記憶部236m内に読み出し可能に保管されている。そして、プロセスレシピ又はクリーニングレシピで、例えば堆積比率テーブル番号又はエッチング比率テーブル番号を指定することで、プロセスレシピ又はクリーニングレシピに堆積比率テーブル又はエッチング比率テーブルが関連付けられている。これにより、堆積比率テーブルやエッチング比率テーブルを、複数のプロセスレシピやクリーニングレシピで共用することができる。すなわち、一つの堆積比率テーブル又はエッチング比率テーブルを、異なるプロセスレシピやクリーニングレシピから関連付けることができる。
<本発明の他の実施形態> 以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
上述の実施形態では、レシピ実行機能284は、最小膜厚領域特定情報により特定された領域の膜厚値に基づいて反応性ガス供給時間を算出したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、レシピ実行機能284は、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切板205の膜厚値に基づいてそれぞれ反応性ガス供給時間を算出し、算出した反応性ガス供給時間の内、最短供給時間に基づいて反応性ガス供給部257を制御するように構成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、制御部280が反応容器203内の各領域のうち、最小膜厚領域に基づいて反応性ガス供給時間を算出し、最小膜厚領域から順番に膜厚値を0(ゼロ)にしていき、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積物を除去する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、制御部280は、最大膜厚領域に基づいて反応性ガス供給時間を算出し、サセプタST1及び反応容器203内の各領域にそれぞれ堆積した堆積物の膜厚値に応じて、反応容器203内の各領域で反応性ガスの濃度を調整し、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積物を除去するようにしてもよい。具体的には、反応性ガスを供給する際、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積物の膜厚値に応じて、反応容器203内に供給する不活性ガスの流量を調整して、サセプタST1及び反応容器203内の各領域から堆積物を除去するようにしてもよい。以下、本実施形態に係る制御部280が最大膜厚領域に基づいて反応性ガス供給時間を算出し、累積膜厚データを更新する場合の一例を、主に図17及び図18を参照して説明する。
図17に示すように、レシピ実行機能284が、クリーニングレシピの実行開始の指示を受信すると、レシピ実行機能284は、操作部コントローラ236が備える記憶部236m内からレシピ特定情報により特定されるクリーニングレシピを受信して取得し、クリーニングレシピ(実行する処理ステップ)に記載されているエッチングレートを読み出し、読み出したエッチングレートが0(ゼロ)であるか否かを判定する。
レシピ実行機能284がエッチングレートが0であると判定した場合、レシピ実行機能284は、クリーニングレシピの実行を終了する。
レシピ実行機能284がエッチングレートが0ではないと判定した場合、レシピ実行機能284は、プロセスチャンバコントローラ239pが備える記憶装置内に保管されている累積膜厚データを読み出し、読み出した累積膜厚データを操作端末236sが備える表示部に表示する。そして、入出力部がサセプタST1又は反応容器203内の各領域のうち、最も大きい膜厚を有する領域(最大膜厚領域)を特定する最大膜厚領域特定情報の入力を受け付けると、レシピ実行機能284は、最大膜厚領域特定情報により特定される領域の、累積膜厚データに記載された累積膜厚値を読み出す。レシピ実行機能284は、最大膜厚領域の累積膜厚値を、エッチングレートで除することで、反応性ガス供給時間を算出する。
次に、レシピ実行機能284は、最大膜厚領域以外の領域の累積膜厚値をそれぞれ取得し、取得した累積膜厚値を、算出した反応性ガス供給時間とエッチングレートとの積で除することで、最大膜厚領域以外の領域のエッチング比率を算出する。すなわち、レシピ実行機能284は、最大膜厚領域のエッチング比率を100%とした場合の、最大膜厚領域以外の領域のエッチング比率を算出し、エッチング比率テーブルを作成する。
レシピ実行機能284は、反応性ガスを反応容器203内の各領域に供給する際、作成したエッチング比率テーブルの内容に沿うように、不活性ガス供給部をそれぞれ制御する。すなわち、レシピ実行機能284は、作成したエッチング比率テーブルの内容に沿うように、マスフローコントローラ234c〜234fをそれぞれ制御することで、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a、第1のパージ領域204bに供給する不活性ガスの流量を調整する。例えば、レシピ実行機能284は、エッチング比率の低い第1のパージ領域204aや第2のパージ領域204bでは、第1のパージ領域204a内又は第2のパージ領域204b内での反応性ガスの濃度が低くなるように、不活性ガスの供給流量を多くするように、不活性ガス供給部を制御する。
また、レシピ実行機能284は、取得したクリーニングレシピの内容及び算出した反応性ガス供給時間に沿うように、マスフローコントローラ234a〜234gや、バルブ235a〜235g、ヒータ218、APCバルブ243等を制御して処理ステップを実行する。
レシピ実行機能284は、処理ステップの実行を終了すると、累積膜厚値更新機能285に、反応性ガス供給時間の情報と、エッチング比率テーブルの情報と、をそれぞれ送信する。累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284から反応性ガス供給時間の情報及びエッチング比率テーブルの情報を受信すると、累積膜厚値更新機能285は、取得したエッチング比率テーブルを参照して、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の減算膜厚値を算出する。すなわち、累積膜厚値更新機能285は、反応性ガス供給時間とエッチングレートとエッチング比率とをそれぞれ乗じて、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の減算膜厚値をそれぞれ算出する。
そして、累積膜厚値更新機能285は、プロセスチャンバコントローラ239pの記憶装置内から、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のそれぞれの累積膜厚値を記載した累積膜厚データを読み出す。累積膜厚値更新機能285は、読み出した累積膜厚データに記載されているサセプタST1及び反応容器203内の各領域それぞれの累積膜厚値から、算出した減算膜厚値(D)をそれぞれ減算して累積膜厚データを更新する。なお、本実施形態においては、クリーニングレシピが正常終了した場合、累積膜厚値更新機能285によって更新された累積膜厚データに記載のサセプタST1及び反応容器203内の各領域の累積膜厚値は、0(ゼロ)になる。
ここで、レシピ実行機能284によって最大膜厚領域から反応性ガス供給時間を算出し、累積膜厚データを更新する一例を、主に図18を用いて説明する。なお、本例では、図12に示すサセプタST1及び反応容器203内の各領域の累積膜厚値から、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の堆積物を除去する場合について説明する。累積膜厚データから反応性ガス供給時間を算出し、累積膜厚データを更新する様子を例を示す。
レシピ実行機能284によって、エッチングステップ1のレシピが実行されるとする。このエッチングステップ1のレシピには、エッチングレートが150nm/minと記載されている。レシピ実行機能284は、図12に示す累積膜厚データを参照し、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のうち、最大膜厚領域であるサセプタST1の累積膜厚値を取得する。そして、レシピ実行機能284は、サセプタST1の累積膜厚値をエッチングレートで除して反応性ガスの供給時間を算出する。すなわち、レシピ実行機能284によって算出される反応性ガス供給時間は、サセプタST1の累積膜厚値/エッチングレート=10(μm)/150(nm/min)で66.6分となる。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、図12に示す最大膜厚領域以外の領域(すなわち、第1の処理領域201a、第2の処理領域201b、第1のパージ領域204a、第2のパージ領域204b)のエッチング比率を算出し、エッチング比率テーブルを作成する。レシピ実行機能284によって算出される各領域のエッチング比率は、第1の処理領域201aは80%、第2の処理領域201bは60%、第1のパージ領域204aは30%、第2のパージ領域204bは40%である。
レシピ実行機能284は、算出した反応性ガス供給時間に基づき、バルブ235gを開けて反応容器203内の各領域へのクリーニングガスの供給を開始し、クリーニングレシピの実行を開始する。このとき、レシピ実行機能284は、作成したエッチング比率テーブルの内容に沿うように、不活性ガス供給部をそれぞれ制御する。すなわち、レシピ実行機能284は、マスフローコントローラ234c〜234fをそれぞれ制御することで、第1の処理領域201aのエッチング比率が80%、第2の処理領域201bのエッチング比率が60%、第1のパージ領域204aのエッチング比率が30%、第1のパージ領域204bのエッチング比率が40%になるように、反応容器203内の各領域に供給する不活性ガスの流量を調整する。
エッチングステップ1のレシピの実行終了後、累積膜厚値更新機能285によって算出される第1の処理領域201aの減算膜厚値は8μm、第2の処理領域201bの減算膜厚値は6μm、第1のパージ領域204aの減算膜厚値は3μm、第2のパージ領域204bの減算膜厚値は4μm、サセプタST1の減算膜厚値は10μmとなる。累積膜厚値更新機能285は、図12に示す累積膜厚データから算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して、図18に示すように累積膜厚データを更新する。その結果、各領域の累積膜厚値(残膜厚値)は、サセプタST1及び反応容器203内の各領域で0μmとなる。
このように、サセプタST1又は反応容器203内の各領域の最大膜厚領域の膜厚値に基づいて反応性ガス供給時間を算出し、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切板205の膜厚値に基づいて、サセプタST1及び反応容器203内の各領域内に供給される不活性ガスの流量を調整し、反応性ガスの濃度を調整することで、サセプタST1及び反応容器203内の各領域に面する仕切板205から堆積物を除去するようにしてもよい。これによっても、オーバーエッチングの発生を抑制でき、反応容器203内の各部材が受ける損傷を抑制できる。
また、上述の実施形態では、プロセスレシピやクリーニングレシピが正常に終了した場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、なんらかのトラブルにより、プロセスレシピやクリーニングレシピが異常終了した場合であっても、上述の実施形態を適用できる。クリーニングレシピが異常終了した場合について、上述の図13を例に説明する。
上述したように、図13に示すエッチングステップ1では、レシピ実行機能284によって算出された反応性ガス供給時間は30分である。しかしながら、反応性ガスの供給を始めて10分後に異常終了した場合、レシピ実行機能284は、レシピの異常終了の情報及びレシピの実行時間を累積膜厚値更新機能285に送信する。累積膜厚値更新機能285は、レシピ実行機能284からレシピの異常終了の情報及びレシピの実行時間を受信すると、レシピの実行時間にエッチングレートを乗じて基準減算膜厚値を算出する。そして、累積膜厚値更新機能285は、基準減算膜厚値に、サセプタST1及び反応容器203内の各領域のエッチング比率をそれぞれ乗じて、サセプタST1及び反応容器203内の各領域の減算膜厚値をそれぞれ算出する。本実施例では、基準減算膜厚値は2μmとなり、サセプタST1の減算膜厚値は2μm、反応容器203内の各領域の減算膜厚値はそれぞれ1μmとなる。そして、累積膜厚値更新機能284は、図12に示す累積膜厚データから、算出した各減算膜厚値をそれぞれ減算して累積膜厚データを更新する。なお、更新後のそれぞれ累積膜厚値(残膜厚値)は、サセプタST1の累積膜厚値が8μm、第1の処理領域201aが7μm、第2の処理領域201bが5μm、第1のパージ領域204aが2μm、第2のパージ領域204bが3μmとなる。
累積膜厚値更新機能285は、累積膜厚データの更新が終了したら、レシピ実行機能284に累積膜厚データ更新終了の情報を送信する。レシピ実行機能284は、累積膜厚値更新機能285から累積膜厚データ更新終了の情報を受信したら、更新後の最小膜厚領域の累積膜厚に基づいて、反応性ガス供給時間を算出し、続きのレシピを行うようにすればよい。
このように、プロセスレシピやクリーニングレシピが異常終了した場合であっても、累積膜厚値更新機能285は、異常終了した時点までのサセプタST1及び反応容器203内の各領域の加算膜厚値又は減算膜厚値を算出することができる。従って、累積膜厚データに記載される累積膜厚値を適切に管理することができる。その結果、予期せぬオーバーエッチングの発生を抑制できる。
上述の実施形態では、1つ以上の堆積比率テーブルを堆積比率テーブルファイルに格納し、また1つ以上のエッチング比率テーブルをエッチング比率テーブルファイルに格納し、レシピ実行機能284が、操作部コントローラ236が備える記憶部236mから、堆積比率テーブルファイル又はエッチング比率テーブルファイルで、堆積比率テーブルやエッチング比率テーブルを取得する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば操作部コントローラ236が備える記憶部236mに、堆積比率テーブルやエッチング比率テーブル単位で保管し、レシピ実行機能284は、堆積比率テーブルを指定する情報やエッチング比率テーブルを指定する情報を受け付けることで、記憶部236mから堆積比率テーブル又はエッチング比率テーブルを取得するように構成されていてもよい。このとき、レシピ実行機能284は、プロセスレシピ又はクリーニングレシピに関連する堆積比率テーブル又はエッチング比率テーブルが複数ある場合は、全ての堆積比率テーブル又はエッチング比率テーブルを操作部コントローラ236から取得するように構成されている。
上述の実施形態では、堆積レートはサセプタST1上に堆積する堆積物のレートとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば第1の処理領域201a等に堆積する堆積物のレートであってもよい。また、エッチングレートも同様に、サセプタST1からエッチングされる堆積物のレートに限定されるものではなく、例えば第1の処理領域201a等から除去される堆積物のレートであってもよい。
また、本発明は、酸化膜や窒化膜、金属膜等の種々の膜を形成する成膜処理を行う場合に適用できるほか、拡散処理、アニール処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。また、本発明は、薄膜形成装置の他、エッチング装置、アニール処理装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、モールド装置、現像装置、ダイシング装置、ワイヤボンディング装置、乾燥装置、加熱装置、検査装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本発明は、これらの装置が混在していてもよい。また、本発明では、縦型の基板処理装置100に限らず、横型の基板処理装置や、枚葉式の各種基板処理装置であってもよく、これらの装置が混在していてもよい。
また、本発明は、本実施形態に係る基板処理装置10のような半導体ウエハを処理する半導体製造装置等に限らず、ガラス基板を処理するLCD(Liquid Crystal Display)製造装置等の基板処理装置にも適用できる。
<本発明の好ましい態様> 以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
[付記1] 本発明の一態様によれば、
基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置であって、
前記処理室内に設けられ、基板を載置する基板載置部と、
前記処理室内を複数の領域に仕切る仕切部と、
前記基板の処理によって前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した堆積物を除去する反応性ガスを前記領域に供給する反応性ガス供給部と、
前記領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
少なくとも前記反応性ガスを前記領域に供給し、前記堆積物を除去する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び前記不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整するように、少なくとも前記反応性ガス供給部及び前記不活性ガス供給部を制御する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
[付記2] 付記1の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部又は前記複数の領域の内、前記堆積物の膜厚値が最も小さい領域に基づいて反応性ガスの供給時間を算出する処理と、前記反応性ガスを供給する際、前記堆積物が堆積していない前記領域には反応性ガスが供給されないように、不活性ガスの供給流量を調整する処理と、を所定回数繰り返すことで、前記基板載置部及び前記複数の領域に堆積された前記堆積物を除去する。
[付記3] 付記1の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部及び前記複数の領域に面する仕切部のそれぞれの前記堆積物の膜厚値に基づいて反応性ガスの供給時間をそれぞれ算出する処理と、算出した前記反応性ガスの供給時間に基づいて、前記反応性ガスを供給する際、前記堆積物の除去が終了した前記基板載置部及び前記領域には、前記反応性ガスが供給されないように不活性ガスを供給し、前記堆積物の除去が終了していない前記基板載置部及び前記領域には、前記反応性ガスを供給するように、前記反応性ガス及び前記不活性ガスの供給流量を調整する処理と、を所定回数繰り返すことで、前記基板載置部及び前記複数の領域に面する仕切部に堆積された前記堆積物を除去する。
[付記4] 付記1の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部及び前記複数の領域に面する仕切部のそれぞれに堆積した堆積物の膜厚値に応じて前記領域内での反応性ガスの濃度が調整されるように、前記領域に供給される不活性ガスの供給流量をそれぞれ調整する。
[付記5] 付記4の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部又は前記複数の領域の内、前記堆積物の膜厚値が最も大きい領域に基づいて反応性ガスの供給時間を算出し、前記基板載置部及び前記複数の領域のエッチング比率をそれぞれ算出する。
[付記6] 付記1ないし5のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記基板載置部及び前記各領域に面する仕切部の少なくともいずれかの前記堆積物の膜厚値が、他の箇所の前記堆積物の膜厚値と異なる。
[付記7] 付記1ないし6のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記基板に原料ガスを供給する原料ガス供給部を備え、
前記制御部は、
前記基板載置部に前記堆積物が堆積する堆積レートに、前記原料ガス供給部から供給される原料ガスの供給時間を乗じることで、前記基板載置部に堆積する堆積物の膜厚値を算出する。
[付記8] 付記7の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部に堆積する前記堆積物の膜厚値に所定の堆積比率を乗じることで、前記領域に面する仕切部に堆積する堆積物の膜厚値をそれぞれ算出する。
[付記9] 付記1ないし8のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記堆積物を除去するエッチングレートに前記反応性ガスの供給時間を乗じることで、前記基板載置部から除去される堆積物の膜厚値を算出する。
[付記10] 付記9の基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、
前記基板載置部から除去される前記堆積物の膜厚値に所定のエッチング比率を乗じることで、前記領域に面する仕切部から除去される堆積物の膜厚値をそれぞれ算出する。
[付記11] 付記1ないし10のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記反応性ガス供給部は、前記仕切部の中心部から前記各仕切る仕切部に堆積した堆積物を除去するクリーニングガスである。
[付記13] 付記1ないし12のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記クリーニングガスは、フッ素含有ガス、塩素含有ガス、あるいはフッ素含有ガス又は塩素含有ガスと不活性ガスとを混合した混合ガスである。
[付記14] 付記1ないし13のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、
前記制御部は、少なくとも、プロセスレシピ、クリーニングレシピ、堆積比率テーブル、エッチング比率テーブルが格納される記憶部と、少なくとも前記基板載置部及び前記複数の領域に面する仕切部のそれぞれの前記堆積物の前記累積膜厚値を表示する表示部と、を備えるコンピュータとして構成されている。
[付記15] 本発明の他の態様によれば、
基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置で実行されるクリーニング方法あって、仕切部によって複数の領域に仕切られた前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記処理室に設けられた基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整して、前記基板載置部に堆積した堆積物、及び前記仕切部に堆積した堆積物をそれぞれ除去する除去工程を有するクリーニング方法が提供される。
[付記16] 本発明の更に他の態様によれば、
処理室内で基板を処理する基板処理工程と、
仕切部によって複数の領域に仕切られた前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給し、前記基板処理工程において前記処理室に設けられた基板載置部及び前記仕切部に堆積された堆積物を除去する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整して、前記基板載置部に堆積した堆積物、及び前記仕切部に堆積した堆積物を除去する除去工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
[付記17] 付記16の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記除去工程は、前記基板載置部又は前記各領域に面する前記仕切部に堆積した堆積物の累積膜厚値が所定の値を超えた場合に実施される。
[付記18] 本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置で実行されるプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体であって、
仕切部によって複数の領域に仕切られた前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給し、前記処理室に設けられた基板載置部及び前記仕切部に堆積された堆積物を除去する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚に応じて調整して、前記処理室内に設けられた基板を載置する基板載置部に堆積した堆積物、及び前記各領域に堆積した堆積物を除去する手順と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
[付記19] 本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置で実行されるプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体であって、仕切部によって複数の領域に仕切られた前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給し、前記処理室に設けられた基板載置部及び前記仕切部に堆積された堆積物を除去する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚に応じて調整して、前記処理室内に設けられた基板を載置する基板載置部に堆積した堆積物、及び前記各領域に堆積した堆積物を除去する手順と、を有するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
[付記20] 本発明の更に他の態様によれば、
基板を載置する基板載置部が設けられ、仕切部によって複数の領域に仕切られた処理室内に、原料ガス供給部から前記領域内に原料ガスを供給して基板を処理する手順と、
前記基板を処理することで前記基板載置部に堆積した堆積物の堆積レートに、前記原料ガス供給部から供給される原料ガスの供給時間を乗じることで、前記基板載置部に堆積する堆積物の膜厚値である基準加算膜厚値を算出する手順と、
前記基準加算膜厚値に、所定の堆積比率を乗じることで、前記領域毎にそれぞれ堆積する堆積物の膜厚値である加算膜厚値をそれぞれ算出する手順と、を有する累積膜厚管理プログラムが提供される。
[付記21] 本発明の更に他の態様によれば、
仕切部によって複数の領域に仕切られた処理室内の各領域及び前記処理室内に設けられた基板を載置する基板載置部のうち、前記各領域に面する前記仕切部及び前記基板載置部に堆積した堆積物の膜厚値が最も小さい箇所(最小膜厚領域)の堆積物の膜厚値を、前記基板載置部から除去される堆積物のエッチングレートと前記最小膜厚領域の所定のエッチング比率との積で除して、反応性ガス供給時間を算出する手順と、
前記反応性ガス供給時間に基づいて、反応性ガス供給部から前記各領域内に反応性ガスを供給して、前記基板載置部及び前記各領域に面する前記仕切部の前記堆積物を除去する手順と、
前記エッチングレートに、前記反応性ガス供給時間を乗じることで、前記基板載置部から除去される堆積物の膜厚値である基準減算膜厚値を算出する手順と、
前記基準減算膜厚値に、所定のエッチング比率を乗じることで、前記各領域に面する前記仕切部からそれぞれ除去される堆積物の膜厚値である減算膜厚値をそれぞれ算出する手順と、を有する累積膜厚管理プログラムが提供される。
[付記22] 本発明の更に他の態様によれば、
仕切部によって複数の領域に仕切られた処理室内の各領域に面する前記仕切部及び前記処理室内に設けられた基板を載置する基板載置部のそれぞれに堆積した堆積物の膜厚値を、前記基板載置部から除去される堆積物のエッチングレートと所定のエッチング比率との積でそれぞれ除して反応性ガス供給時間をそれぞれ算出する手順と、
前記反応性ガス供給時間の内の最短時間に基づいて、前記各領域内に反応性ガスを供給して、前記基板載置部及び前記仕切部の前記堆積物を除去する手順と、
前記エッチングレートに、前記反応性ガス供給時間を乗じることで、前記基板載置部から除去される堆積物の膜厚値である基準減算膜厚値を算出する手順と、
前記基準減算膜厚値に、所定のエッチング比率を乗じることで、前記仕切部からそれぞれ除去される堆積物の膜厚値である減算膜厚値をそれぞれ算出する手順と、を有する累積膜厚管理プログラムが提供される。
[付記23] 本発明の更に他の態様によれば、
仕切部によって複数の領域に仕切られた処理室内の各領域及び前記処理室内に設けられた基板を載置する基板載置部のうち、前記各領域に面する前記仕切部及び前記基板載置部に堆積した堆積物の膜厚値が最も大きい箇所の堆積物の膜厚値を、前記基板載置部から除去される堆積物のエッチングレートで除して、反応性ガス供給時間を算出する手順と、
前記基板載置部及び前記仕切部の前記堆積物の膜厚値を、前記反応性ガス供給時間及び前記エッチングレートの積でそれぞれ除して、前記基板載置部及び前記各領域のエッチング比率を算出する手順と、
反応性ガス供給部から前記各領域内に反応性ガスを供給する際、前記エッチング比率に基づいて、前記各領域に供給する不活性ガスの供給量をそれぞれ調整して、前記各領域内の反応性ガスの濃度をそれぞれ調整して、前記基板載置部及び前記仕切部の前記堆積物を除去する手順と、
前記反応性ガス供給時間と、前記エッチングレートと、前記基板載置部及び前記各領域に面する前記仕切部の前記エッチング比率をそれぞれ乗じることで、前記基板載置部及び前記仕切部からそれぞれ除去される堆積物の膜厚値である減算膜厚値をそれぞれ算出する手順と、を有する累積膜厚管理プログラムが提供される。
[付記24] 本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置の制御方法であって、 前記処理室内に設けられ、前記基板を載置する基板載置部と、 前記処理室内を複数の領域に仕切る仕切部と、 前記基板の処理によって前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した堆積物を除去する反応性ガスを前記領域に供給する反応性ガス供給部と、 前記領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、 少なくとも前記反応性ガス供給部及び前記不活性ガス供給部を制御する制御部と、を有し少なくとも前記反応性ガスを前記領域に供給し、前記堆積物を除去する際、前記領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び前記不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部及び前記仕切部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整する基板処理装置の制御方法が提供される。
[付記25] 更に、前記基板載置部を回転する回転機構を備え、好ましくは、前記堆積物を除去する際、前記回転機構により前記基板載置部を回転する付記24の基板処理装置の制御方法が提供される。
[付記26] 更に、前記基板を前記基板載置部に搬送する搬送機構を備え、好ましくは、前記搬送機構により前記基板のうち製品基板ではない疑似基板(ダミー基板)を前記基板載置部に載置した後、前記堆積物を除去するように構成されている付記24の基板処理装置の制御方法が提供される。
[付記27] 本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する複数の領域が設けられた少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置であって、前記処理室内に設けられ、前記基板を載置する基板載置部と、前記基板の処理によって少なくとも前記基板載置部に堆積した堆積物を除去する反応性ガスを前記複数の領域に供給する反応性ガス供給部と、前記複数の領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、前記反応性ガスを前記複数の領域に供給し、前記堆積物を除去する際、前記複数の領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び前記不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整するように、少なくとも前記反応性ガス供給部及び前記不活性ガス供給部を制御する制御部と、を備える基板処理装置が提供される。
[付記28] 本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する複数の領域が設けられた少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置で実行されるクリーニング方法あって、前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給する際、前記複数の領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記処理室に設けられた基板載置部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整して、前記基板載置部に堆積した堆積物を除去する除去工程を有する基板処理装置のクリーニング方法が提供される。
[付記29] 本発明の更に他の態様によれば、複数の領域が設けられた処理室内で基板を処理する基板処理工程と、
前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給し、前記基板処理工程において前記処理室に設けられた基板載置部に堆積された堆積物を除去する際、前記複数の領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整して、前記基板載置部に堆積した堆積物を除去する除去工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
[付記30]本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する複数の領域が設けられた少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置で実行されるプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録した記録媒体であって、前記処理室内に、少なくとも反応性ガスを供給する際、前記複数の領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記処理室に設けられた基板載置部に堆積した前記堆積物の膜厚に応じて調整して、前記基板載置部に堆積した堆積物を除去する手順と、を有するプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
[付記31]付記27の基板処理装置において、好ましくは、前記制御部は、前記基板載置部を含む前記複数の領域に面する前記処理室を構成する構成部材のうち、前記堆積物の膜厚値が最も小さい構成部材に基づいて反応性ガスの供給時間を算出する工程と、前記供給時間経過後、前記構成部材に面する領域に供給するガスを、前記反応性ガスから不活性ガスに切替える工程と、を所定回数繰り返すことで、前記構成部材に堆積した前記堆積物を除去する。
[付記32]付記27の基板処理装置において、好ましくは、前記制御部は、 前記基板載置部を含む前記複数の領域に面する前記処理室を構成する構成部材のそれぞれの前記堆積物の膜厚値に基づいて反応性ガスの供給時間をそれぞれ算出する工程と、算出した前記反応性ガスの供給時間に基づいて前記反応性ガスを供給する際、前記堆積物の除去が終了した前記構成部材に面する領域には、前記反応性ガスが供給されないように不活性ガスを供給し、前記堆積物の除去が終了していない前記構成部材に面する領域には、前記反応性ガスを供給するように、前記反応性ガス及び前記不活性ガスの供給流量を調整して、前記構成部材に堆積された前記堆積物を除去する工程と、を有する。
[付記33]付記27の基板処理装置において、好ましくは、
前記制御部は、 前記複数の領域に面する構成部材のそれぞれに堆積した堆積物の膜厚値に応じて前記領域内での反応性ガスの濃度が調整されるように、前記複数の領域に供給される不活性ガスの供給流量をそれぞれ調整する。
[付記34]付記33の基板処理装置において、好ましくは、前記制御部は、 前記複数の領域の内、前記堆積物の膜厚値が最も大きい構成部材が面する領域に基づいて反応性ガスの供給時間を算出し、前記複数の領域のエッチング比率をそれぞれ算出する。
[付記35]更に、好ましくは、前記基板に原料ガスを供給する原料ガス供給部を備え、前記制御部は、
前記基板載置部に堆積する前記堆積物の膜厚値に所定の堆積比率を乗じることで、前記領域に面する構成部材に堆積する堆積物の膜厚値をそれぞれ算出する付記27の基板処理装置が提供される。
[付記36]付記35の基板処理装置において、好ましくは、前記制御部は、
前記堆積物を除去する除去比率に前記反応性ガスの供給時間を乗じることで、前記基板載置部から除去される堆積物の膜厚値を算出する。
[付記37]本発明の更に他の態様によれば、基板を処理する少なくとも1つの処理室を備える基板処理装置の制御方法であって、 前記処理室内に設けられ、前記基板を載置する基板載置部と、前記基板の処理によって少なくとも前記基板載置部に堆積した堆積物を除去する反応性ガスを前記複数の領域に供給する反応性ガス供給部と、前記複数の領域に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、少なくとも前記反応性ガス供給部及び前記不活性ガス供給部を制御する制御部と、を有し、前記反応性ガスを前記複数の領域に供給し、前記堆積物を除去する際、前記複数の領域に供給する前記反応性ガスの供給流量及び前記不活性ガスの供給流量をそれぞれ前記基板載置部に堆積した前記堆積物の膜厚値に応じて調整する基板処理装置の制御方法が提供される。