JP6289659B2 - 五環トリテルペン構造修飾化合物とその調製方法及び応用 - Google Patents

五環トリテルペン構造修飾化合物とその調製方法及び応用 Download PDF

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Description

本発明は薬学分野に属し、具体的に、本発明は新規化合物に関し、それは乾癬を治療する用途を備える。
乾癬(Psoriasis、通称乾癬症)は、よくある慢性、再発性、炎症性の皮膚病であり、それは紅斑に多層の銀白色乾燥鱗屑が繰り返し現われることを特徴とする。中国医学では古く「はくひ(尋常性乾癬)」と呼ばれ、古医籍において「鬆皮癬」と呼称されたこともあり、西洋医学では乾癬と呼称される。乾癬は頭皮、四肢伸側および背部によく発生する。春冬の季節に再発や重篤化しやすく、夏秋の季節は大きく緩和する。乾癬は世界保健機構(WHO)に世界十大難病の一つに挙げられており、欧米国家の罹病率は約2−3%である(Schon and Boehncke、N Engl J Med、2005)。中国において、概算的な統計によると乾癬の罹病率は0.5%程度で、乾癬患者は約700万人がいる。乾癬の発病は、その多くは25−45歳の青壮年であり、およそ81%を占めており、近年では子供の罹病率も増加している。その頑固さのため治療し難く、且つ繰り返し発作を起こしやすいから、患者に体の苦しみをもたらすだけではなく、非常に大きな心理的な負担も引き起こして、患者の生活の質に酷く影響し、世界皮膚病分野の重要な研究課題の一つである。
世界中で乾癬の治療費は莫大であり、特に小分子の生物学的薬剤は高価である。従って、低コストで安全な乾癬治療薬剤を開発することが必要である。本願発明者の長年にわたる研究結果によると、以下の事実が判明した:健常者の皮膚と比較して、乾癬患者の表皮と真皮において、核酸転写因子NF−kappa−Bの過度活性化は、TNF−alpha、IL−17、及びIL−23などの炎症性因子の大量放出を引き起こして、過剰のTNF−alphaとIL−17とIL−23などの炎症性因子が人の乾癬を誘発した(Wang、et al、J Immunol、2009.)。
現在、乾癬治療の薬剤において、米国FDAに承認されている乾癬治療用生物製剤である腫瘍壊死因子阻害剤エタネルセプト(etanercept)がある。当該薬剤はヒト由来抗体であり、その作用機構は腫瘍壊死因子の受容体を遮断することである。生命体の正常な免疫学的反応において、腫瘍壊死因子は不可欠であるから、このようなヒト由来抗体は非選択的に腫瘍壊死因子を遮断することは、投薬後の副作用を引き起こし、ひいては休薬後に疾患は繰り返し発作を起こしやすい。そして、当該薬剤は抗体であるから、生産コストが高く、かつ高価格であり、普通の患者は負担しにくい。また、乾癬に対して、IL−23を拮抗するためのモノクローナル抗体であるウステキヌマブ(ustekinumab)は、臨床的にとても良い治療効果を有しているが、その生産コストは高く、高価格なものである。
アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸は、その英語フルネームはacetyl−11−keto−β−boswellic acidであり、略称はAKBAであり、植物であるニュウコウジュ(Boswellia carterii Birdw.)の、のり状樹脂−乳香が含有する重要な成分の一つである。国際特許出願WO03/0746に、米国特許20030199581及び国際特許出願WO03/077860に、すでに天然ニュウコウジュ抽出物中からAKBAを濃縮、精製することが記載されている。より純度の高い製品はクロマトグラフィーで分離及び再結晶で得られる。乳香抽出物は、伝統的医薬に抗炎症薬として用いられてきており、例えば、関節炎及び潰瘍性大腸炎患者に対する治療に採用された。なお、ボスウェリア酸はその抗増殖作用により注目され、生体外の場合に、ボスウェリア酸は、数種類の白血病細胞株、黒色腫の成長とアポトーシスを抑制することができる。ボスウェリア酸に対する研究から判明されるように、アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸は、最も顕著なアラキドン酸-5-リポキシゲナーゼ(5−LOX)阻害活性を示す(Sailer、et al、British J Pharmacology、1996.)。AKBAの構造式は以下の通りである:
本願発明者は、長年にわたり乾癬の発症機構と治療方法の研究に専念している。本願発明者はすでに乾癬モデルマウスを応用して、AKBAで乾癬を治療する分子免疫学メカニズムを明らかにしている。この研究結果は、2009年10月にThe Journal of Immunology(Wang、et al、J Immunol、2009.)に刊行されて、この革新的な研究成果が公開されることでたちまち、国際的に同業者に高く注目され、また、2009年12月に出版した国際権威ある雑誌Nature Reviews Rheumatologyに科学研究ハイライトとして報道された。
概して言えば、既存の乾癬治療薬剤は、生産コストが高く、標的性が悪い;アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸は乾癬を治療する用途を有するが、治療効果のより大幅な向上のため、これらの上にさらに化合物の修飾を行う必要がある。
発明の内容
本発明は、新規な化合物、その調製方法及びその用途を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、式(I)で表れる化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
ここで、Rは、独立して、水素、カルボニル基、C1−C4のアルキル基、C2−C4のアルケニル基、C2−C4のアルキニル基、ハロゲンからなる群から選ばれる。
好ましい実施形態の1つでは、上記の式(I)で表される化合物において、Rは、独立して、水素、カルボニル基、C1−C2のアルキル基からなる群から選ばれる。
好ましい実施形態の1つでは、上記の式(I)で表される化合物において、Rは水素である。
本発明の別の1つの態様では、式(I)で表される化合物を調製する方法を提供し、上記の方法は、アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸を原料とし、そのAcO−基を
基に変換することを含む;
好ましい実施形態の1つにおいて、上記の方法は、以下の工程を含む:
(i)アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸を原料とし、塩基に反応させ、11−ケト−β−ボスウェリア酸を得る;
(ii)11−ケト−β−ボスウェリア酸をシクロヘキサンカルボニルクロリドに反応させ、式(I)で表れる化合物を得る。
前記塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N-メチルモルホリン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルピロリジン、ピリジン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン、モルホリン、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾールなどの有機塩基;水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物のような無機塩基;ナトリウムアミド;n-ブチルリチウム;リチウムジイソプロピルアミド;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩;ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、置換または無置換のアンモニウムイオンなどのイオンを結合した樹脂を含むイオン交換樹脂;他の適切な塩基;を含むが、これらに限定されない。
別の好ましい実施形態の1つでは、上記の方法において、工程(i)は、二口フラスコにアセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(略称AKBA)と水酸化カリウム(KOH)を添加し、窒素保護で溶媒であるイソプロパノールを添加する;加熱還流で反応し、反応系を室温まで冷却し、ロータリーエバポレータで溶媒を回転乾燥し、白色固体を得、ジクロロメタンを仕込んだ後、希塩酸を添加することで混合系のpH値を酸性になるまで調節する;ジクロロメタンで水相を抽出し、ジクロロメタン溶媒を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を回転乾燥し茶褐色の油状生成物を得、石油エーテル:酢酸エチルを溶離剤として、カラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体KBA(11−ケト−β−ボスウェリア酸)を得ることを含む;
工程(ii)は、KBAをジクロロメタン(4−ジメチルピリジンを含有する)に溶解し、トリエチルアミンと、シクロヘキシル基が置換または非置換のシクロヘキサンカルボニルクロリドを添加して、一晩氷浴させる;完全に反応させた後、炭酸水素ナトリウム溶液で処理し、かつジクロロメタンで抽出し、ジクロロメタン溶媒を収集し、無水硫酸マグネシウムで混合物を乾燥し、溶媒を回転乾燥し白色固体を得る。石油エーテル:酢酸エチルを溶離剤として、カラムクロマトグラフィーで精製し、アシル化産物である3−o−α−シクロヘキサノイル−11−ケト−β−ボスウェリア酸を得ることを含む。
本発明の別の1つの態様では、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患を治療する薬剤を調製するための、式(I)で表れる化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩の用途を提供する。
本発明の別の1つの態様では、乾癬を治療する薬剤を調製するための、式(I)で表される化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩の用途を提供する。
本発明の別の1つの態様では、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療に用いられるまたは乾癬の治療に用いられる薬剤組成物を提供し、上記の薬剤組成物は、式(I)で表れる化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩;と薬学的に許容される担体を含む。
好ましい実施形態の1つにおいて、上記の式(I)で表れる化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、薬剤組成物に有効な量で存在する;好ましくは、上記の有効な量は、重量含有量で、0.01〜5%であり、より好ましくは0.03〜3%であり、さらに好ましくは0.05〜1%である。
好ましい実施形態の別の1つにおいて、上記の薬剤組成物は、外用製剤である;好ましくは、上記の薬学的に許容される担体は、グリセリン、プロピレングリコール、カルボマー、トリエタノールアミンを含む。
好ましい実施形態の別の1つにおいて、上記の薬剤組成物のpH値は、5.5〜6.5である;好ましくは、5.8〜6.0である。
本発明の別の1つの態様では、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療に用いられるまたは乾癬の治療に用いられるキットを提供し、上記のキットに、上記の薬剤組成物を含む。
本発明の別の1つの態様は、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療または乾癬の治療の方法を提供し、上記の方法は、治療の必要がある対象へ、有効な量で、上記の式(I)で表れる化合物またはその異性体、溶媒和物または前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含む。
本明細書に開示された内容に基づき、当業者にとって、本発明の他の態様は自明である。
式(II)の化合物の質量スペクトルを示す。 式(II)の化合物の水素スペクトルを示す 式(II)の化合物の炭素スペクトルを示す。 AKBAを修飾し、式(II)の化合物を調製する技術方法とプロセス。 異なる濃度における式(II)の化合物(CKBA)とAKBAの生体外皮膚の角質形成細胞(ケラチノサイト)の生長阻害実験であり、式(II)の化合物は、AKBAと比べて、皮膚角質形成細胞の分裂・増殖をより有効に阻害することが分かる。 式(II)の化合物が、TH1細胞とTH17細胞の生体外の分化を阻害する試験を示す。 式(II)の化合物がNF−kappa Bの活性化を抑制することを示す。 0.5%(w/w)の式(II)の化合物(CKBA)を含有するゲルと0.5%(w/w)のAKBAを含有するゲルを採用して、マウス類の乾癬を治療し、同様な濃度におけるAKBAゲルと比べて、CKBAで「乾癬」を有するマウスを治療すると、より有意な症状の改善が示された。 A:コントロール(ゲル中にAKBAまたはCKBAを含まない)、AKBAゲルとCKBAゲルで、イミキモドにより誘導された「乾癬」を有するマウスを4回治療する; B:コントロール、AKBAゲルとCKBAゲルで、イミキモドにより誘導された「乾癬」を有するマウスを4回治療した後の皮膚損傷場所のヘマトキシリン・エオジン(HE)染色写真; C:コントロール、AKBAゲルとCKBAゲルで、イミキモドにより誘導された「乾癬」を有するマウスを治療した後の、皮膚損傷場所の皮膚厚さ; D:コントロール、AKBAゲルとCKBAゲルで、イミキモドに誘導された「乾癬」を有するマウスを治療した後、皮膚損傷場所における真皮中の炎症性細胞の数量(炎症性細胞数量/HPF)。HPFは、high power field、高倍率視野をいう。 0.2%(w/w)の式(II)の化合物を含有するゲルを採用して、マウス類の乾癬を治療する試験であり、その結果により、0.2%(w/w)の式(II)の化合物はマウスの「乾癬」を有効に治療できることが示された。 A:コントロール、CKBAゲルで、イミキモドにより誘導された「乾癬」を有するマウスを治療した後の皮膚損傷場所の皮膚厚さ(縦座標は、百分率で厚さの減少を示す。) B:コントロール、CKBAゲルで、イミキモド誘導の「乾癬」を有するマウスを治療した後の、皮膚損傷場所における真皮中の炎症性細胞の数量(炎症性細胞数量/HPF)。HPFは、high power field、高倍率視野をいう。
本願発明は、初めて、新規な五環トリテルペン構造修飾化合物を開示し、それは有効に乾癬を治療でき、かつ選択性にTH1細胞とTH17細胞の生体外の分化を阻害できることから、TH1とTH17に仲介された自己免疫疾患の治療に用いられる。
用語
本明細書における用語「アルキル基」とは、直鎖または分岐の飽和で、1〜4個の炭素原子(好ましくは1〜2個の炭素原子)を含有する脂肪族炭化水素系基である。例えば、アルキル基はメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基を含むが、これらに限定されない。
本明細書における用語「アルケニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合と2〜4個の炭素原子(好ましくは2〜3個の炭素原子)を含有する直鎖または分岐炭化水素基を含む。
本明細書における用語「アルキニル基」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合と2〜4個の炭素原子(好ましくは2〜3個の炭素原子)を含有する直鎖または分岐炭化水素基を含む。
本明細書における用語「ハロゲン」とは、F、Cl、BrまたはIを指す。
本明細書における用語「異性体」は、幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体(例えばシス-トランス異性体、配座異性体)を含む。
本明細書に用いられる
の表示方法は当業者がよく知っているもので、それは、R基は環のいずれかの一つまたは複数の位置で置換されてもよいことを示す。また、異なる位置で置換され、Rも異なっていてもよい。
本明細書に用いられる用語「溶剤和物」は、溶剤分子を取り込んでいる化合物を示し、例えば上記の溶剤和物は水和物であってもよい。
本発明において、用語「含有する」は、各成分を、ともに本発明の混合物または組成物に応用してもよいことを示す。そして、用語「主に・・・からなる」と「・・・からなる」は、用語「含有する」に含まれる。
本発明において、「薬学的に許容される」成分は、ヒト及び/又は動物への適用で、過度の不良な副反応(例えば毒性、刺激とアレルギー反応)がないものであり、すなわち合理的な利益/リスク比がある物質である。
本発明において、「薬学的に許容される担体」は、本発明の式(I)の化合物、異性体、溶剤和物、前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩を、動物またはヒトに移送するための、薬学的にまたは食品に許容される溶剤、懸濁剤または賦形剤である。担体は、液体でも固体でもよい。
化合物
まず、本発明は、構造式(I)で表れる化合物を提供する:
ここで、Rは、独立して、水素、カルボニル基、C1−C4のアルキル基、C2−C4のアルケニル基、C2−C4のアルキニル基、ハロゲンからなる群から選ばれる。好ましくは、Rは、独立に、水素、カルボニル基、C1−C2のアルキル基からなる群から選ばれる。
本発明は、式(I)化合物と同一またはほぼ同一の機能を有する限り、上記式(I)化合物の異性体、溶媒和物、前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩も含む。上記の「薬学的に許容される塩」とは、化合物を、無機酸、有機酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属などに反応して生成した塩を指す。それらの塩は、(1)塩酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸と形成した塩;(2)酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、アルギニンのような有機酸と形成した塩を含むが、これらに限定されない。他の塩は、エステル、カルバメート、またはその他の一般的な「薬剤前駆体」の形式の、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えばナトリウム、カリウム、カルシウムまたはマグネシウム)と形成した塩を含む。化合物は、一つまたは複数の不斉中心を有する。従って、これらの化合物はラセミ体の混合物、単一の鏡像異性体、単一の非鏡像異性体、非鏡像異性体混合物、シスまたはトランス異性体として存在してもよい。
上記の「化合物の前駆体」とは、適当な方法で服用した後、当該化合物の前駆体が、患者体内において代謝または化学反応して、構造式(I)に転換する化合物、或いは化学構造式(I)の化合物の一つからなる塩または溶液を指す。
本発明の好ましい形態として、上記の化合物は、式(II)に示した構造を有する。
式(II)の化合物の英語名は、3−o−(−cyclohexanoyl−11−keto−β−boswellic acidであり、略称はCKBAである。
当業者が、本発明の化合物の構造を理解したら、当該技術分野の種々のよく知られた方法により、公知の原料で本発明の化合物を得ること、例えば化学合成または生物体(例えば動物または植物)から抽出する方法のような方法は、いずれも本発明に含まれる。
本発明の好ましい形態は、本発明の式(I)で表される化合物を調製する方法を提供し、上記の方法は、アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸を原料とし、そのAcO−基を
基に変換することを含む。より好ましくは、調製工程は、
(i)アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸(AKBA)を原料とし、塩基(例えばKOH)と反応して11−ケト−β−ボスウェリア酸を得ること;と、
(ii)11−ケト−β−ボスウェリア酸をシクロヘキサンカルボニルクロリドに反応させ、式(I)で表される化合物を得ること;を含む。
その他の式(I)の化合物を調製する方法、例えば11−ケト−β−ボスウェリア酸(KBA)を原料とし、シクロヘキサンカルボニルクロリドとそのまま反応して式(I)で表される化合物を得ることも本発明に含まれる。
合成された化合物は、さらに、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーにより精製してもよい。
用途
本発明者の研究より、本発明の式(I)の化合物が、顕著な細胞分裂・増殖阻害作用を有し、乾癬に対して顕著な治療作用を有することが見出された。なお、本発明の式(I)の化合物は、NF−κBの活性化を著しく抑制する作用を有する。また、本発明の式(I)の化合物の薬効は、AKBAと比べて、より好ましい。
例えば、TNF−α、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8、IL−12、iNOS、COX2、ケモカイン、接着分子、コロニー刺激因子などを含む、免疫学的反応の初期と炎症性反応の各段階に関与する多くの分子は、NF−κBに制御される。
また、ジンクフィンガータンパク質A20、ヘムオキシゲナーゼ−1(HO−1)などの抗炎症分子、並びに例えば腫瘍壊死因子受容体関連因子−1(tumour−necrosis factor receptor associated factor−1、TRAF−1)、アポトーシス抑制タンパク質−1/アポトーシス抑制タンパク質−2(inhibitor of apoptosis 1/2 , IAP1/IAP2)、TNF受容体関連因子(receptor−associated factors ,TRAF1/TRAF2)、Bcl−2ホモログであるA1/Bfl−1やIEX−ILのようなアポトーシス関連分子もNF−κBに制御される。
本発明者の新規な発見に基づき、本発明は、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患を治療する薬剤を調製するための、或いは乾癬を治療する薬剤を調製するための、式(I)で表される化合物またはその異性体、溶媒和物、前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩の用途を提供する。上記のTH1とTH17に仲介される自己免疫疾患は、乾癬に限定されなく、例えば、関節リウマチ、エリテマトーデス、慢性腸炎、多発性脳硬化など含む。
薬剤組成物
本発明は、(a)有効な量の式(I)で表される化合物、またはその異性体、溶媒和物、前駆体、またはそれらの薬学的に許容される塩;及び(b)薬学的に許容される担体または賦形剤を含有する薬剤組成物も提供する。
本発明において、上記の薬剤組成物は、重量割合で、0.01〜5%である式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する。好ましくは、上記の薬剤組成物は、重量割合で、0.03〜3%である式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含有し、より好ましくは、上記の薬剤組成物は、重量割合で、0.05〜1%である式(I)で表される化合物またはその薬学的に許容される塩を含有する。
本発明の上記の薬剤組成物の剤型は、様々であってもよく、活性成分が有効に哺乳類動物生命体に到着できる剤型であればよい。例えば、ゲル剤、エアロゾル剤、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒剤、シロップ剤、溶液、または懸濁液からなる群から選してもよい。当業者は、本発明の化合物が治療しようとする疾病のタイプに応じて、使用に便利な剤型を選択することができる。
調製と投薬のし易さの点から、好ましい薬剤組成物は、固形組成物、特に錠剤と固体または液体が充填されたカプセル剤である。本発明の化合物またはその薬剤組成物は、注射または点滴に適用される消毒器具に貯蔵してもよい。
乾癬の治療に用いられる際に、薬剤組成物は、外用の方式で投薬することが好ましい。外用製剤の調製に適用する各薬剤担体を本発明に応用してもよい。本発明の好ましい形態として、上記の薬学的に許容される担体は、グリセリン、プロピレングリコール、カルボマー及び/又はトリエタノールアミンを含む。
本発明の好ましい実施形態として、外用ゲル組成物の調製工程は:有効量の式(I)の化合物を容器に取り、無水エタノールを加え、式(I)の化合物を充分に溶解させ、配合量のカルボマーを適量の水に加えて、一晩、充分に膨潤させる;処方の配合量で、グリセリン、プロピレングリコール、膨潤されたカルボマーと防腐剤を、溶解された式(I)の化合物と混合し、かつ均一まで攪拌し、トリエタノールアミンで組成物のpH値は5.8になるように、pH値を調整する。動物試験は、上記の式(I)の化合物の外用ゲル製剤で治療した後、乾癬患者の皮膚は著しく正常になり、皮膚の真皮において炎症性細胞の数量は著しく低下することを証明した。
活性成分である式(I)の化合物の有効施用量は、投薬方式と治療しようとする疾病の重篤度とに応じて変更してもよい。しかし、一般的に、本発明の化合物は、毎日に(1日に)約5〜500mg/kg動物体重、好ましくは10〜300mg/kg動物体重、より好ましくは20〜200mg/kg動物体重、さらに好ましくは50〜75mg/kg動物体重の量で投与される際に、良い効果が得られ、好ましくは、毎日(1日)1回〜3回に分けた量で投与され、或いは徐放の形式で投薬される。最も優れた治療応答を提供するため、この投薬計画を調節してもよい。例えば、治療状況の緊急需要により、分割用量を1日数回投与してもよく、或いは量を比例的に減らしてもよい。
以下、具体的な実施例を参照して、本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の単なる例示であることが理解されるべきである。以下の実施例に具体的な条件を示さない実験方法は、一般的に、通常の条件またはメーカーの推奨条件に従う。特に断らない限り、百分率および部は重量を指す。
[実施例1]式(II)の化合物の調製と同定
100mLの二口フラスコに8gのアセチル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(略称AKBA)と、2.63gの水酸化カリウム(KOH)を加えて、窒素下で50mLの溶媒であるイソプロパノールを添加した。約6時間、加熱還流で反応し、反応系を室温まで冷却し、ロータリーエバポレータで溶媒を回転乾燥し、白色固体を得、30mLのジクロロメタンを仕込んだ後、希塩酸を添加することで混合系のpH値を酸性になるまで調節した。ジクロロメタンで水相を3回抽出し(3×15mL)、ジクロロメタン溶媒を収集し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を回転乾燥し茶褐色の油状生成物を得、石油エーテル:酢酸エチル(90:10)を溶離剤として、カラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体KBAの5.8gを得、収率は約78%であった。1gのKBAを10mLのジクロロメタン(2mol%の4−ジメチルアミノピリジンを含む)に溶解し、1.5当量のトリエチルアミンと1.2当量のシクロヘキサンカルボニルクロリドを添加して、一晩氷浴した。完全に反応した後、10%の炭酸水素ナトリウム溶液で処理し、かつジクロロメタンで3回抽出し(3×10mL)、ジクロロメタン溶媒を収集し、無水硫酸マグネシウムで混合物を乾燥し、溶媒を回転乾燥し白色固体を得た。石油エーテル:酢酸エチル(90:10)を溶離剤として、カラムクロマトグラフィーで精製し、アシル化産物である4gの3−o−α−シクロヘキサノイル−11−ケト−β−ボスウェリア酸(Cyclohexanoyl-11-keto-β-boswellic acid)を得、収率は約55%であった。
所定量の式(II)の化合物をNMR、質量スペクトルで解析したところ、図1〜図4に示すように、その分子式はC37565、分子量は581であった。
[実施例2]式(II)の化合物のゲルの調製
(1)ゲル1
所定量の式(II)の化合物を取り、以下のような配合で100gのゲルを製造した:0.2gの式(II)の化合物;2gのグリセリン;2gのプロピレングリコール;1.5gのカルボマー;2.5mLの無水エタノール;0.5gの防腐剤(SupGuard GM−BP、万能複方抗菌剤);100gまで水を加え;予め無水エタノールで式(II)の化合物を溶解し;カルボマーは、水を加え、一晩、充分に膨潤させ;前記の化合物を混合し、均一まで攪拌した後、トリエタノールアミンでpH値を5.8になるように調整した。得られたゲル1は、0.2%(w/w)の式(II)の化合物を含有していた。
(2)ゲル2
所定量の式(II)の化合物を取り、以下のような配合で100gのゲルを製造した:0.5gの式(II)の化合物;2gのグリセリン;2gのプロピレングリコール;1.5gのカルボマー;2.5mLの無水エタノール;0.5gの防腐剤;100gまで水を加え;予め無水エタノールで式(II)の化合物を溶解し;カルボマーは、水を加え、一晩、充分に膨潤させ;前記の化合物を混合し、均一まで攪拌した後、トリエタノールアミンでpHを6.0になるように調整した。得られたゲル2は、0.5%(w/w)の式(II)の化合物を含有していた。
(3)ゲル3
所定量の分子式(II)を有する化合物を取り、以下のような配合で100gのゲルを製造した:0.1gの式(II)の化合物;2gのグリセリン;2gのプロピレングリコール;1.5gのカルボマー;2.5mLの無水エタノール;0.5gの防腐剤;100gまで水を加え;予め無水エタノールで式(II)の化合物を溶解し;カルボマーは、水を加え、一晩、充分に膨潤させ;前記の化合物を混合し、均一まで攪拌した後、トリエタノールアミンでpHを5.9になるように調整した。得られたゲル3は、0.1%(w/w)の式(II)の化合物を含有していた。
(4)ゲル4
所定量の分子式(II)を有する化合物を取り、以下のような配合で100gのゲルを製造した:1gの式(II)の化合物;2gのグリセリン;2gのプロピレングリコール;1.5gのカルボマー;2.5mLの無水エタノール;0.5gの防腐剤;100gまで水を加え;予め無水エタノールで式(II)の化合物を溶解し;カルボマーは、水を加え、一晩、充分に膨潤させ;前記の化合物を混合し、均一まで攪拌した後、トリエタノールアミンでpHを6.0になるように調整した。得られたゲル3は、1%(w/w)の式(II)の化合物を含有していた。
(5)ブランクゲル
以下を含む100gのゲルである:2gのグリセリン;2gのプロピレングリコール;1.5gのカルボマー;2.5mLの無水エタノール;0.5gの防腐剤;100gまで水を加え;予め無水エタノールで式(II)の化合物を溶解し;カルボマーは、水を加え、一晩、充分に膨潤させ;前記の化合物を混合し、均一まで攪拌した後、トリエタノールアミンでpH6.0になるように調整した。当該ブランクゲルを動物実験のコントロールとした。
[実施例3]生体外での皮膚ケラチノサイトの生長阻害実験
対数増殖期のHaCat角質形成細胞(ATCCから購入)を取り、ウェルあたり2×104個の細胞の量で96ウェルプレートに接種し、それぞれに濃度勾配の式(II)の化合物とAKBAを加えて、総体積を100mLとし、コントロール群に終濃度0.25%でDMSOを加え、ブランクコントロールウェルに100mLの培地だけを加え、群ごとに三つの重複ウェルを設置した。細胞培養装置に24時間培養した後に、ウェルあたりに10mLのCCK−8溶液を加えて、培養プレートを培養装置(37℃、5%CO2の条件で)に4時間の遮光インキュベートを行い、取り出した。マイクロプレートリーダーで450nm波長におけるO.D.値を測定した。阻害率を計算した:阻害率=[1-(実験群のO.D.値/コントロール群のO.D.値)]×100%
結果の図5に示すように、式(II)の化合物(CKBA)は、AKBAより、HaCat細胞の分裂・増殖をより一層有効に阻害できる。低濃度(20μM)下において、CKBAは、完全にケラチノサイトの生長を阻害し、そしてAKBAは100μMの濃度で同様の効果を達成したから、CKBAの活性はAKBAより極めて優れている。
[実施例4]TH1とTH17細胞の生体外の分化を阻害する実験
6〜8週齡C57BL/6Jマウスを頸椎脱臼で殺し、その脾臓を砕き、セルストレーナーで濾過し単細胞懸濁液にし、CD4−APC、CD25 PerCP−Cy5.5、CD62L−FITCで表面染色した後、フローサイトメーターであるBD FACSAria IIIで分別し、ナイーブT細胞、すなわち、CD4+CD25-CD62Lhi+T細胞を分離してTH1、TH17及びTregの誘導分化に使用した。異なる濃度勾配のCKBAを加えて、培養した。4日後、細胞を収集し、そして750ng/mLのイオノマイシンと、50ng/mLの酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)及び「GolgiPlug」を添加したRPMI1640(完全培地)を使用し、5%CO2、37℃培養装置に4〜6時間の再培養を行った後、PBSで再懸濁してからCD4−APC、4℃で表面染色し、30分後、PBSで再懸濁し、1回洗浄し、20分間の細胞膜の破壊を行い、4℃で洗い液を用いて1回洗浄し、IFN−(、IL−17AとFoxP3で染色した。
フローサイトメーターでの解析結果は、図6に示すように、2μmのCKBAは、TH1とTH17の生体外の分化を非常に有効に阻害するが、Tregの分化に阻害作用がないことを示す。
[実施例5]ゲル製剤の生体内におけるNF−kappa B阻害試験
年齢と性別を一致させた20匹のBalb/cマウス(10匹はブランクゲルコントロール群であり、10匹はCKBAゲル(実施例2におけるゲル2、0.5%(w/w)の式(II)の化合物を含有)治療群)を採用した。毎日、イミキモドを使用(62.5mg/匹/日)して、連続7日にわたってマウスの背中に塗布してマウス「乾癬」モデルを製造し、8日目にブランクゲル(コントロール)とCKBAゲルをそれぞれマウスの背中に塗布し、9日目(治療後24時間)と10日目(治療後48時間)に皮膚損傷部位の皮膚のタンパク質を採取し、ウェスタンブロット解析に用いた。
リン酸化IκBα(略称:Phospho−I(B)と、リン酸化のp65(略称:Phospho−p65)を解析した。その結果、図7に示すように、コントロール群と比べて、CKBAゲル(0.5%の式(II)の化合物)の塗布は、著しくPhospho−IκB、Phospho−p65の生成量を低下させることから、「乾癬」マウスの皮膚損傷場所のNF−kappa Bの活性化を有効に阻害したことがわかる。
[実施例6]0.5%(w/w)ゲル製剤でマウス類の乾癬の治療試験
年齢と性別を一致させた30匹のBalb/cマウス(10匹はブランクゲルコントロール群で、10匹はAKBAゲル治療群であり、10匹はCKBAゲル治療群である)を採用した。毎日イミキモドを使用(62.5mg/匹/日)して、連続7日にわたってマウスの背中に塗布してマウス「乾癬」モデルを製造し、8〜14日に、それぞれ、ブランクゲル(コントロール)、AKBAゲル(0.5%(w/w))およびCKBAゲル(0.5%(w/w))を使用して治療しながら、皮膚の炎症を維持するため、イミキモドで一日おきにマウスの背中に塗布して、15日目に、マウスの「乾癬」皮膚損傷場所の写真を撮った。その後にマウスを頸椎脱臼で殺し、皮膚損傷場所の皮膚を切り取り、4%のパラホルムアルデヒドで固定し、HE病理学の切片を作った。疾患表現型と病理学の切片における表皮面積と真皮炎症性細胞の浸潤の観察により、式(II)の化合物CKBA(0.5%(w/w))とAKBA(0.5%(w/w))とは、いずれも有効にマウス乾癬の表現型を緩和させ(図8A〜B)、皮膚の厚さを著しく低下させ(図8C)、及び炎症性細胞の数量を著しくに減らさせ(図8D)、かつ式(II)の化合物(CKBA)は、AKBAよりも、マウスの「乾癬」を著しく有効に治療することができ、治療効果もより良いことがわかる。
[実施例7]0.2%(w/w)ゲル製剤でマウス類の乾癬の治療試験
年齢と性別を一致させた30匹のBalb/cマウス(10匹はブランクゲルコントロール群で、10匹はAKBAゲル治療群であり、10匹はCKBAゲル治療群である)を採用した。毎日イミキモドを使用(62.5mg/匹/日)して、連続7日にわたってマウスの背中に塗布してマウス「乾癬」モデルを製造し、8〜14日に、それぞれブランクゲル(コントロール)、AKBAゲル(0.2%(w/w)で)およびCKBAゲル(0.2%(w/w))で治療しながら、皮膚の炎症を維持するため、イミキモドで一日おきにマウスの背中に塗布して、15日目に、マウスの「乾癬」皮膚損傷場所の写真を撮った。その後にマウスを頸椎脱臼で殺し、皮膚損傷場所の皮膚を切り取り、4%のパラホルムアルデヒドで固定し、HE病理学の切片を作った。
疾患表現型と病理学の切片における表皮面積と真皮炎症性細胞の浸潤の観察により、0.2%(w/w)の式(II)の化合物(CKBA)は、図9に示すように、マウスの「乾癬」を有効に治療でき、皮膚の厚さを著しくに低下させ、かつ炎症性細胞の数量を著しく減少させることが理解できる。
上記の例は、本発明の技術要旨と特徴を説明するものであり、その目的は、当業者が本発明の内容を理解して実施することにあるが、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の要旨による等価変換と変更は、本発明の範囲に含まれる。

Claims (14)

  1. 式(I)で表される化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
    ここで、Rは独立に、水素、カルボニル基、C1−C4のアルキル基、C2−C4のアルケニル基、C2−C4のアルキニル基、ハロゲンからなる群から選ばれる。
  2. Rは、独立に、水素、カルボニル基、C1−C2のアルキル基からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の式(I)で表される化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
  3. Rは水素であることを特徴とする請求項2に記載の式(I)で表される化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
  4. アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸を原料とし、そのAcO−基を
    基に変換することを含むことを特徴とする式(I)で表される化合物を調製する方法;
    ここで、Rは、独立に、水素、カルボニル基、C1−C4のアルキル基、C2−C4のアルケニル基、C2−C4のアルキニル基、ハロゲンからなる群から選ばれる。
  5. (i)アセチル‐11‐ケト‐β‐ボスウェリア酸を原料とし、塩基と反応させ、11−ケト−β−ボスウェリア酸を得る工程;
    (ii)11−ケト−β−ボスウェリア酸をシクロヘキサンカルボニルクロリドに反応させ、式(I)で表される化合物を得る工程
    を含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  6. H1とTH17に仲介される自己免疫疾患を治療する薬剤を調製するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)で表される化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
  7. 乾癬を治療する薬剤を調製するための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)で表れる化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
  8. H1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療に用いられるまたは乾癬の治療に用いられる薬剤組成物であって、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)で表れる化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩;と、薬学的に許容される担体とを含むことを特徴とする薬剤組成物。
  9. 上記の式(I)で表れる化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、薬剤組成物に有効な量で存在する、請求項8に記載の薬剤組成物。
  10. 上記の式(I)で表れる化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、薬剤組成物中に0.01〜5重量%の量で存在することを特徴とする請求項8に記載の薬剤組成物。
  11. 上記の薬剤組成物は、外用製剤であることを特徴とする請求項8に記載の薬剤組成物。
  12. 上記の薬学的に許容される担体は、グリセリン、プロピレングリコール、カルボマーおよび/またはトリエタノールアミンを含むことを特徴とする請求項8に記載の薬剤組成物。
  13. H1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療に用いられるまたは乾癬の治療に用いられるキットであって、請求項8〜12のいずれか1項に記載の薬剤組成物を含むことを特徴とするキット。
  14. 治療の必要がある対象(ヒトを除く)へ、有効な量で、請求項1〜3のいずれか1項に記載の式(I)で表れる化合物またはその幾何異性体、鏡像異性体、非鏡像異性体、溶媒和物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することを含むことを特徴とする、TH1とTH17に仲介される自己免疫疾患の治療または乾癬の治療の方法。
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