JP6289476B2 - コーティング可能な組成物、耐摩耗性組成物、耐摩耗性物品、及びそれらの作製方法 - Google Patents

コーティング可能な組成物、耐摩耗性組成物、耐摩耗性物品、及びそれらの作製方法 Download PDF

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Description

本開示は、概して、耐摩耗性を有する物品、耐摩耗性コーティングを形成する組成物、及びそれらの作製方法に関する。
耐摩耗性コーティングは工業的に広く使用されている。コーティングは、磨耗による損傷が懸念される物品の耐久性を高める。磨耗に起因する損傷は、建築物の表面及び広告媒体などの物品の美的価値を損なう場合がある。一部の耐摩耗性コーティングは、変退色しやすい。場合によっては、過度の磨耗は、例えば、再帰反射性道路標識の場合には可視性、又はヘッドライトカバー場合には強度といったように、重要な機能を持つ視覚特性にも影響を及ぼす場合がある。
一態様では、本開示は、コーティング可能な組成物の作製方法を提供し、この方法は、
水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
そのコーティング可能な組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解する工程であって、金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、及び
無機酸を用いて第1の組成物を4以下のpHまで酸性化してコーティング可能な組成物を提供する工程であって、コーティング可能な組成物が凝集シリカナノ粒子を含む、工程、を含む。
別の態様では、本開示は、前述の方法に従って作製したコーティング可能な組成物を提供する。
本開示によるコーティング可能な組成物は、例えば、耐摩耗性物品を作製するために有用である。
したがって、更に別の態様では、本開示は、耐摩耗性物品の作製方法を提供し、この方法は、
a)水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、前記シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、前記第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
b)無機酸を用いてその組成物を4以下のpHまで酸性化して第2の組成物を提供する工程、及び
c)第2の組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解してコーティング可能な組成物を提供する工程であって、金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、及び
d)コーティング可能な組成物の層を基材の表面にコーティングする工程、及び
e)コーティング可能な組成物を少なくとも部分的に乾燥して、耐摩耗性の層を提供する工程、を含む。
更に別の態様では、本開示は、本開示の前述の方法に従って作製される耐摩耗性物品を提供する。
更に別の態様では、本開示は、金属カチオンを含有する非晶質のシリカマトリックスを含む耐摩耗性組成物を提供し、非晶質のシリカマトリックスは、平均粒径が20ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続したシリカナノ粒子を含み、金属カチオンはn+の電荷を有し、nは2以上の整数を表し、金属カチオンの大半は非晶質シリカマトリックス中に個別に分散されており、金属カチオンは組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する。
更に別の態様では、本開示は、基材の表面に配置された非晶質の耐摩耗性組成物の層を備える耐摩耗性物品を提供し、非晶質の耐摩耗性組成物は、金属カチオンを含有するシリカマトリックスを含み、シリカマトリックスは、平均粒径が20ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続したシリカナノ粒子を含み、金属カチオンはn+の電荷を有し、nは2以上の整数を表し、金属カチオンの大半はシリカマトリックス中に個別に分散されており、金属カチオンは非晶質の耐摩耗性組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する。
本明細書において使用する場合、
用語「シリカナノ粒子の分散液」は、個別のシリカナノ粒子が分散されている分散液を指し、焼結された一次シリカ粒子が鎖に凝集されているヒュームドシリカの分散液を指すものではない。
用語「本質的に含まない」は、1重量%未満、典型的には0.1重量%未満、更に典型的には0.01重量%未満含有することを意味する。
用語「不揮発性有機化合物を本質的に含まない」は、1大気圧(100kPa)で150℃を超える沸点を有する有機化合物を1重量%未満含有することを意味する。
金属カチオンを指して言う用語「非晶質シリカマトリックス中に個別に配設されている」は、それらの金属カチオンが酸素を介してシリコンに結合されており、別個の金属酸化物の相として存在しているのでないことを意味する。
用語「ナノ粒子」は、1〜200ナノメートルの粒径を有する粒子を指す。
用語「有機化合物」は、少なくとも1つの炭素−炭素結合及び/又は炭素−水素結合を含む任意の化合物を指す。
シリカナノ粒子及びシリカゾルを指して使用される用語「シリカ」は、式SiO・nHOにより表される化合物を指し、式中、nはゼロ以上の数である。
有利なことに、本開示による耐摩耗性の層、及びそれらを含む物品は、良好な機械的耐久性及び/又は磨耗性を呈し得る。
本開示の特徴及び利点は、発明を実施するための形態、及び添付の特許請求の範囲を考慮することで更に深い理解が得られるであろう。
本開示による例示の耐摩耗性物品100の概略側面図である。
本開示の原理の範囲及び趣旨の範囲内に含まれる他の多くの改変例及び実施形態が当業者によって考案され得る点は理解されるはずである。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
初期組成物は、水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含み、これらのシリカナノ粒子は、20ナノメートル以下の平均粒径を有する粒径分布を有し、この初期組成物は6を越えるpHを有する。
これらのシリカナノ粒子は20ナノメートル(nm)以下の平均粒径を有する。いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子は20nm以下、15nm以下、10nm以下、8nm以下、又は更には4nm以下の平均粒径を有する。典型的には、これらのシリカナノ粒子は少なくとも4nmの平均粒径を有するが、これは要件ではない。平均一次粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。本明細書で使用する用語「粒径」は、粒子の最長寸法を指し、球状粒子の直径である。
もちろん、200nmより大きい粒径(例えば、最高で2マイクロメートルまでの粒径)を有するシリカ粒子もまた含めることができるが、典型的には少量である。
シリカナノ粒子は望ましくは狭い粒径分布を有し、例えば、2.0以下、又は更には1.5以下の多分散性である。いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子は、150平方メートル/グラム(m/g)を超える、200m/gを超える、又は更には400m/gを超える表面積を有する。
いくつかの実施形態では、初期組成物中のシリカナノ粒子の総重量は、少なくとも0.1重量%、典型的には少なくとも1重量%、更に典型的には少なくとも2重量%である。いくつかの実施形態では、組成物中のシリカナノ粒子の総重量は、初期組成物の総重量に基づいて、40重量%以下、好ましくは10重量%以下、より典型的には7重量%以下である。
これらのシリカナノ粒子はポリモーダルな粒径分布を有し得る。
初期組成物中に含まれるナノ粒子(例えば、シリカナノ粒子)は、任意の所望の縦横比を有する球体又は非球体であり得る。縦横比は、ナノ粒子の最大寸法の平均とナノ粒子の最小寸法の平均との比を指す。非球体ナノ粒子の縦横比は、多くの場合、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、又は少なくとも10:1である。非球体ナノ粒子は、例えば、棒体、楕円体、及び/又は針の形状を有し得る。ナノ粒子の形状は、規則的又は不規則であってもよい。コーティングの多孔性は、典型的には、コーティング可能な組成物中の規則的及び不規則な形状のナノ粒子の量を変更することによって、及び/又はコーティング可能な組成物中の球状及び非球体のナノ粒子の量を変更することによって変化させることができる。
いくつかの実施形態では、初期組成物中のシリカナノ粒子の総重量は、少なくとも0.1重量%、典型的には少なくとも1重量%、更に典型的には少なくとも2重量%である。いくつかの実施形態では、組成物中のシリカナノ粒子の総重量は、40重量%以下、望ましくは10重量%以下、より典型的には7重量%以下である。
水性液媒中のシリカナノ粒子の安定な分散液であるシリカゾルは、当該技術分野で周知であり、市販で入手できる。非水性シリカゾル(シリカオルガノゾルとも呼ばれる)を使用してもよく、非水性シリカゾルはシリカゾル分散液であり、液相は有機溶媒であるか、又は有機溶媒を含有する水性混合物である。本開示の実施において、シリカゾルは、液相が分散物と相溶性があり、典型的には水性溶媒であり、任意で有機溶媒を含むように選択される。典型的には、初期組成物はヒュームドシリカを含まない又は本質的に含まないが、これは要件ではない。
水溶液又は水とアルコールの溶液中のシリカナノ粒子分散液(例えばシリカゾル)は、例えば、LUDOX(製造元:E.I.du Pont de Nemours and Co.、デラウエア州Wilmington)、NYACOL(製造元:Nyacol Co.、マサチューセッツ州Ashland)、及びNALCO(製造元:Ondea Nalco Chemical Co.、イリノイ州Oak Brook)などの商標名で市販されている。有用なシリカゾルの1つはNALCO 2326であり、これは、平均粒径5ナノメートル、pH10.5、固体重量で固形分15%のシリカゾルとして入手できる。その他の市販されているシリカナノ粒子としては、NALCO 1115(球状、平均粒径4nm、分散液の重量による固形分15%、pH=10.4)、NALCO 1130(球体分散液、平均粒径8nm、分散液の重量による固形分30%、pH=10.2)、NALCO 1050(球状、平均粒径20nm、分散液の重量による固形分50%、pH=9.0)、NALCO 2327(球状、平均粒径20nm、分散液の重量による固形分40%、pH=9.3)、NALCO 1030(球状、平均粒径13nm、分散液の重量による固形分30%、pH=10.2)の商標名で入手可能なものが挙げられる。
針状シリカナノ粒子もまた、本明細書で上述したシリカナノ粒子の平均粒径の条件が満たされるのであれば、使用できる。
有用な針状シリカナノ粒子は、日産化学工業株式会社(NissanChemical Industries)(日本、東京)より商標名SNOWTEX−UPの水性懸濁液として、入手できる。この混合物は、20〜21%(w/w)の針状シリカ、0.35%(w/w)未満のNaO、及び水からなる。粒子は、直径約9〜15ナノメートルであり、40〜200ナノメートルの長さを有する。懸濁液の粘度は、25℃において100mPa超、pHは約9〜10.5、及び比重は20℃において約1.13である。
他の有用な針状シリカナノ粒子は、日産化学工業株式会社から商標名SNOWTEX−PS−S及びSNOWTEX−PS−Mで、真珠の連なりの形態を有する水性懸濁液として入手され得る。この混合物は、20〜21%(w/w)のシリカ、0.2%(w/w)未満のNaO、及び水からなる。SNOWTEX−PS−Mの粒子は、直径約18〜25ナノメートルであり、長さ80〜150ナノメートルである。動的光散乱法による粒径は、80〜150である。懸濁液の粘度は、25℃において100mPas超、pHは約9〜10.5、及び比重は20℃において約1.13である。SNOWTEX−PS−Sは、粒径10〜15nm及び長さ80〜120nmを有する。
低及び非水性のシリカゾル(シリカオルガノゾルとも呼ばれる)を使用することもでき、低又は非水性シリカゾルは、液相が有機溶媒又は水性有機溶媒であるシリカゾル分散液である。本開示の実施において、シリカナノ粒子ゾルは、その液相が目的とするコーティング組成物と適合性を有するように選択され、典型的には、水性又は低水性の有機溶媒である。
pHが少なくとも8であるシリカゾルもまた、米国特許第5,964,693号(Brekauら)に記載されている方法に従って調製することができる。
必要に応じて、初期組成物は、更に、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、アンチモンドープ酸化錫、酸化インジウム、錫ドープ酸化インジウム、又は酸化亜鉛を含むナノ粒子など、他のナノ粒子を含むことができる。
初期組成物のpHは、6より大きく、より典型的には7より大きく、更に典型的には8より大きく、また更に典型的には9より大きい。
いくつかの実施形態では、初期組成物は不揮発性有機化合物を本質的に含まない。いくつかの実施形態では、初期組成物は、有機界面活性剤を本質的に含まない。
初期組成物の水性液媒は、(水に加えて)少なくとも1つの揮発性有機溶媒を含み得る。適した揮発性有機溶媒の例としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物のような、水と相溶性のある揮発性有機溶媒が挙げられる。しかしながら、多くの用途に関して揮発性有機化合物の削減又は排除が望ましく、有利なことに、本開示は、本質的に揮発性有機溶媒を含まない初期組成物及び/又はコーティング可能な組成物を用いて実施することができる。
初期組成物は、そのpHが4以下、典型的には3未満、又は更には2未満になるまで無機酸の添加により酸性化されて、コーティング可能な組成物をもたらす。有用な無機酸(すなわち、鉱酸)としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、過塩素酸、塩素酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。典型的には、無機酸は、そのpKが2以下である、1未満である、又は更にはゼロ未満であるように選択されるが、これは要件ではない。理論に束縛されることは望まないが、本発明の発明者らは、pHが下がるにつれてシリカナノ粒子のいくらかの凝集が生じ、わずかに凝集されたナノ粒子を含む分散液がもたらされると考える。
この段階で、酸性化された組成物に少なくとも1種の金属化合物を混ぜ合わせる(例えば、溶解する)ことによって、一般的には混合によって、コーティング可能な組成物をもたらすことができる。上記組成物中の種々の成分の混ぜ合わせは、任意の好適な混合方法を用いて実行できる。例としては、組成物のすべての成分を添加中又は添加後に、組成物を攪拌、振とう、ないしは別の方法でかき混ぜることが含まれる。
金属化合物(及びそれに含有されている任意の金属カチオン)は、元素周期律表の2群から15群(例えば、2群、3群、4群、5群、6群、7群、8群、9群、10群、11群、12群、13群、14群、15群、及びそれらの組み合わせ)の任意の金属(又は金属カチオン)を含み得る。
これらの金属化合物(1つ又は複数)に含まれる金属カチオンは、電荷n+を有し、nは2以上の整数(例えば、2、3、4、5、又は6)を表す。これらの金属化合物は、得られる耐水性組成物における所望のレベルの金属の組み込みを達成するように水に十分に可溶性であるべきである。例えば、これらの金属化合物(1つ又は複数)は、金属化合物(1つ又は複数)を含み得る。有用な金属化合物の例としては、銅化合物(例えば、CuCl・2HO)、アルミニウム化合物(例えば、Al(NO・9HO)、ジルコニウム化合物(例えば、ZrCl又はZrOCl・8HO)、チタン化合物(例えば、TiOSO・2HO)、亜鉛化合物(例えば、Zn(NO・6HO)、鉄化合物、スズ化合物(例えば、SnCl・5HO又はSnCl)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
本開示によるコーティング可能な組成物は、更に、例えば、着色剤(1つ又は複数)、界面活性剤(1つ又は複数)、増粘剤(1つ又は複数)、チキソトロープ剤(1つ又は複数)、若しくはレベリング助剤(1つ又は複数)など、任意の添加剤を1つ以上含み得る。他の任意成分
いくつかの実施形態では、コーティング可能な組成物は添加された界面活性剤を含み得るが、本発明の発明者らは、本開示によるコーティング可能な組成物が、界面活性剤が添加されていなくても少なくとも一部の疎水性表面を濡らすことを意外にも発見した。
このコーティング可能な組成物は、30〜99重量%のシリカ、好ましくは60〜97.5重量%のシリカ、より好ましくは80〜95重量%のシリカを含み得るが、これら以外の量もまた使用できる。
同様に、このコーティング可能な組成物は、金属化合物(1つ又は複数)中に含まれる金属カチオンを、シリコンと金属カチオン(例えば、正電荷が少なくとも2である)の混合された合計モルの0.2〜20モル%(望ましくは、0.5〜10モル%、より望ましくは2〜5モル%)の量で含み得るが、他の量もまた使用できる。
コーティング組成物は、一旦作製されると、典型的には、広範な温度範囲で長期間にわたり安定であるが、これは要件ではない。このコーティング組成物を基材にコーティングし、少なくとも部分的に乾燥することができ、典型的にはほぼ完全に乾燥することができる。
理論に束縛されることは望まないが、本発明の発明者らは、乾燥プロセス中に、縮合プロセスがシリカナノ粒子及び/又は凝集体の間の接触点での化学結合につながり、シリカマトリックスを形成すると考える。金属カチオンがシリカマトリックスに個別に組み込まれ、その結果、非晶質組成物が得られる。
コーティング可能な組成物を基材の表面と接触させ、少なくとも部分的に乾燥して、耐摩耗性の被覆物品を形成することができる。意外にも、本発明の発明者らは、本開示によるコーティング可能な組成物を基材の表面と接触させ、少なくとも部分的に乾燥して、予期せぬ耐摩耗性を有する欠陥のない層を、金属カチオンを加えなくても提供することができることを発見した。このコーティング可能な組成物の乾燥に適した方法としては、例えば、ほぼ室温の空気中で、炉内で、加熱したエアブロワーで、赤外線ヒーターで、及び熱缶での蒸発が挙げられる。乾燥は典型的には、コーティング可能な組成物がほぼ完全に乾燥するまで行われるが、これは要件ではない。基材に接触させて少なくとも部分的に乾燥した後、耐摩耗性の層の耐摩耗性が改善し得る一定期間、例えば、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも24時間、少なくとも72時間、少なくとも1週間、又は更には少なくとも2週間かけて、耐摩耗性の層を熟成させることができる。
ここで図1を参照すると、耐摩耗性物品100は、基材130の表面120に配設された耐摩耗性の層110を備えている。基材の表面にコーティング可能な組成物を接触させるために適した方法の例には、ロールコーティング、スプレーコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、及びカーテンコーティングが挙げられる。典型的には、耐摩耗性の層は、0.02〜100ミクロン、好ましくは0.05〜5ミクロンの範囲内の厚さを有するが、これは要件ではない。
典型的には、本開示による耐磨耗性の層は少なくとも実質的に透明であるが、これは要件ではない。
適した基材の例には、実質上あらゆる寸法安定性の材料が含まれる。例としては、ガラス基板(例えば、鏡、窓、フロントガラス、テーブル、レンズ、及びプリズム)、金属基板、セラミック基板、有機ポリマー基板(例えば、成形ポリマー物品、自動車塗料及びクリアコート、ポリマーフィルム、再帰反射性シート、屋内看板、及び屋外看板)、並びに布地(例えば、室内装飾用布地)が挙げられる。いくつかの実施形態では、基材はガラス又は有機ポリマーのうち少なくとも一方を含む。いくつかの実施形態では、有機ポリマーは、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、アクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA))、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ホモエポキシポリマー、ポリジアミン及び/又はポリジチオールを有するエポキシ付加ポリマー、ポリアミド(例えば、ナイロン6及びナイロン6,6)、ポリイミド、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、オレフィンコポリマー(例えば、ポリエチレンコポリマー)、及びセルロースエステル(例えば、セルロースアセテート及びセルロースブチレート)、並びにこれらの混合物の少なくとも1種を含む。
本開示の選択された実施形態
第1の実施形態では、本開示は、コーティング可能な組成物の作製方法を提供し、本方法は、
水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
そのコーティング可能な組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解する工程であって、金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、
無機酸を用いて第1の組成物を4以下のpHまで酸性化してコーティング可能な組成物を提供する工程であって、コーティング可能な組成物が凝集シリカナノ粒子を含む、工程、を含む。
第2の実施形態では、本開示は、第1の実施形態に従った方法を提供し、前記少なくとも1種の金属化合物が、スズ化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
第3の実施形態では、本開示は、第1又は第2の実施形態に従った方法を提供し、前記コーティング可能な組成物が、不揮発性有機化合物を本質的に含まない。
第4の実施形態では、本開示は、第1〜第3の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記少なくとも1種の金属化合物が、前記コーティング可能な組成物中のシリカと前記少なくとも1種の金属化合物との合計モルに基づいて、0.5〜20モル%を構成する。
第5の実施形態では、本開示は、第1〜第4の実施形態のいずれか1つの方法に従って作製されたコーティング可能な組成物を提供する。
第6の実施形態では、本開示は、耐摩耗性物品の作製方法を提供し、この方法は、
a)水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
b)無機酸を用いて前記組成物を4以下のpHまで酸性化して第2の組成物を提供する工程、及び
c)第2の組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解してコーティング可能な組成物を提供する工程であって、前記金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、及び
d)前記コーティング可能な組成物の層を基材の表面にコーティングする工程、及び
e)前記コーティング可能な組成物を少なくとも部分的に乾燥して、耐摩耗性の層を提供する工程、を含む。
第7の実施形態では、本開示は、第6の実施形態に従った方法を提供し、前記少なくとも1種の金属化合物が、スズ化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
第8の実施形態では、本開示は、第6又は第7の実施形態に従った方法を提供し、前記少なくとも1種の金属化合物が、前記コーティング可能な組成物中のシリカと前記少なくとも1種の金属化合物との合計モルに基づいて、0.5〜20モル%を構成する。
第9の実施形態では、本開示は、第6〜第8の実施形態のうちのいずれか1つに従った方法を提供し、前記基材がガラス又は有機ポリマーを含む。
第10の実施形態では、本開示は、第6〜第9の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記有機ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート又はポリメチルメタクリレートの少なくとも一種を含む。
第11の実施形態では、本開示は、第6〜第10の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記耐摩耗性の層が光学的に透明である。
第12の実施形態では、本開示は、第6〜第11の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記耐摩耗性の層が、0.1〜100マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
第13の実施形態では、本開示は、第6〜第12の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記無機酸が、ゼロ以下のpKを有する。
第14の実施形態では、本開示は、第6〜第13の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、工程b)が、前記第1の組成物をpH 2以下に酸性化することを含む。
第15の実施形態では、本開示は、第6〜第14の実施形態のいずれか1つに従った方法を提供し、前記コーティング可能な組成物が、不揮発性有機化合物を本質的に含まない。
第16の実施形態では、本開示は、第6〜第15の実施形態のいずれか1つの方法に従って作製される耐摩耗性物品を提供する。
第17の実施形態では、本開示は、第16の実施形態に従った耐磨耗性物品を提供し、この物品は、再帰反射性シーティングを含む。
第18の実施形態では、本開示は、金属カチオンを含有する非晶質のシリカマトリックスを含む耐摩耗性組成物を提供し、前記非晶質のシリカマトリックスが、平均粒径が20ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続したシリカナノ粒子を含み、前記金属カチオンがn+の電荷を有し、nが2以上の整数を表し、前記金属カチオンの大半が前記非晶質のシリカマトリックス中に個別に分散されており、前記金属カチオンが前記組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する。
第19の実施形態では、本開示は、第18の実施形態に従った耐摩耗性組成物を提供し、前記金属カチオンが、スズ化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
第20の実施形態では、本開示は、第18又は第19の実施形態に従った耐摩耗性組成物を提供し、前記シリカナノ粒子が10ナノメートル以下の平均粒径を有する。
第21の実施形態では、本開示は、第18〜第20の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性組成物を提供し、前記耐摩耗性組成物が、不揮発性有機化合物を本質的に含まない。
第22の実施形態では、本開示は、基材の表面に配置された非晶質の耐摩耗性組成物の層を備える耐摩耗性物品を提供し、前記非晶質の耐摩耗性組成物が、金属カチオンを含有するシリカマトリックスを含み、前記シリカマトリックスが、平均粒径が20ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続したシリカナノ粒子を含み、前記金属カチオンが、n+の電荷を有し、nが2以上の整数を表し、前記金属カチオンの大半が前記シリカマトリックス中に個別に分散されており、前記金属カチオンが前記非晶質の耐摩耗性組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する。
第23の実施形態では、本開示は、第22の実施形態に従った耐摩耗性物品を提供し、前記少なくとも1種の金属化合物が、スズ化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物、銅化合物、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
第24の実施形態では、本開示は、第22又は第23の実施形態に従った耐摩耗性物品を提供し、前記シリカナノ粒子が10ナノメートル以下の平均粒径を有する。
第25の実施形態では、本開示は、第22〜第24の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記基材が、ガラス又は有機ポリマーである。
第26の実施形態では、本開示は、第22〜第25の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記有機ポリマーが、ポリメチルメタクリレート又はポリエチレンテレフタレートの少なくとも一種を含む。
第27の実施形態では、本開示は、第22〜第26の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記耐摩耗性の層が光学的に透明である。
第28の実施形態では、本開示は、第22〜第27の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記耐摩耗性の層が、0.02〜100マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。
第29の実施形態では、本開示は、第22〜第28の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記コーティング可能な組成物が、不揮発性有機化合物を本質的に含まない。
第30の実施形態では、本開示は、第22〜第29の実施形態のいずれか1つに従った耐摩耗性物品を提供し、前記基材が、再帰反射性シーティングを含む。
以下の非限定的な実施例によって本開示の目的及び利点を更に例示するが、これらの実施例に記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。
特に記載がない限り、実施例における部、割合、比率などはいずれも重量基準である。
材料
硝酸は、VWR international(ペンシルベニア州West Chester)から入手した。
NALCO 1115(平均粒径4nm)コロイドシリカは、Nalco Company(イリノイ州Naperville)から、商標名NALCO 1115のコロイドシリカを入手した。
NALCO 1050(平均粒径20nm)コロイドシリカは、Nalco Companyから、商標名NALCO 1050のコロイドシリカを入手した。
SnCl・5HOは、Sigma−Aldrich Co.(ミズーリ州Saint Louis)から入手した。
TiOSO・2HOはSigma−Aldrich Co.から入手した。
Al(NO・9HOはSigma−Aldrich Co.から入手した。
Zn(NO・6HOはSigma−Aldrich Co.から入手した。
Cu(NO・3HOはSigma−Aldrich Co.から入手した。
機械的耐久性の評価試験方法
方法1(クロック試験):以下に記載する実施例に従って調製した試料の機械的耐久性を、TABER 5900往復摩耗試験機(TABER INDUSTRIES(ニューヨーク州N.Tonawanda)から購入)を用いて評価した。これは、ISO 1518の規格試験方法で説明されている器具と同様の試験装置である。フィルム試料を5×0cmの大きさの矩形に切断し、同じ大きさのペーパータオルを下に敷いて、標本台にテープで貼り付けた。試験パラメータは、すべての試料で同じに設定した(ストーク長さ5センチ、速度毎分15サイクル、荷重13.5N)。異なる種類の材料(Kimberly−Clark Worldwide,Inc.(ジョージア州Roswell)から入手したKIMWIPES 34155ペーパーワイパー、及びクロックメーター標準摩擦布(Testfabrics,Inc.(ペンシルベニア州West Pittston)から入手したCrock Cloth)を試験に使用した。往復磨耗試験から得た3つの個別の結果の平均に基づいて、2通りのデータを記録した。第1のデータは、コーティングにスクラッチが生じ始めたときに記録されたサイクル数である。
方法2(ヘイズの増加):第2のデータは、ASTM D1003−11e1「透明プラスチックのヘイズ及び視感透過率の規格試験方法」に従ってHAZE−GARD PLUS(BYK−Gardner(ドイツ、Geretsried)から収集した磨耗試験の前と後のヘイズの変化である。
実施例1〜12及び比較例A〜E
実施例1〜4及び比較例A〜Bは、脱イオン水を用いて、コロイドシリカ分散液NALCO 1115(4nm)を固形分10重量%に希釈し、次いで、濃縮されたHNOを用いてそれをpH2まで酸性化することにより調製した。実施例5〜12及び比較例C〜Eは、希釈したシリカ分散液NALCO 1115(10重量%)とNALCO 1050(20nm、10重量%)をそれぞれ30:70の比で混合し、次いで、濃縮されたHNOを用いてpH2まで酸性化することにより調製した。次いで、実施例1〜4のそれぞれのシリカ溶液に、ジルコニウム化合物溶液(ZrOCl・8HO)(10重量%の水溶液)を添加し、コーティング混合物の合計固形物に対して5〜10重量%の金属塩濃度を得た。次いで、実施例5〜12のそれぞれのシリカ溶液に、他の金属塩(SnCl・5HO(10重量%の水溶液)、TiOSO・2HO(10重量%の水溶液)、Al(NO・9HO(10重量%の水溶液)、Zn(NO・6HO(10重量%の水溶液)、Cu(NO・3HO(10重量%の水溶液))を添加し、コーティング混合物の合計固形物に対して5重量%の金属化合物濃度を得た。実施例1〜12及び比較例A〜Eのそれぞれに関するコーティング溶液の組成及び基材を表1及び2に報告する。
各実施例のコーティングされた試料は、E.I.du Pont de Nemours and Co.(デラウエア州Wilmington)からMELINEX 618(以下、PETと呼ぶ)基材の商標名で入手した厚さ50マイクロメートルのポリエチレンテレフタレートフィルム、又は閃光灯処理したPET上に、12番巻線コーティングロッド(RD Specialties(ニューヨーク州Webster)、公称ウェットコーティング厚さ28ミクロン)で、金属ドープシリカ分散液をコーティングすることにより調製した。コーティング試料を室温で乾燥し、次いで、120℃で10分間更に硬化した。仕上がった試料は光学的に清澄で透明であった。
このようにして調製された試料を、上述した「機械的耐久性の評価試験方法」により試験した。結果を表1及び2(下記)に報告し、表中、「NA」は「該当せず」を意味する。
Figure 0006289476
Figure 0006289476
実施例13〜22及び比較例F〜H
実施例13〜22及び比較例F〜Hは、希釈したコロイドシリカ分散液NALCO 1115(10重量%の水中固形分)とNALCO 1050を、50:50(実施例13及び比較例F)、30:70(実施例14及び比較例G、並びに実施例19〜22及び比較例H)、及び70:30(実施例15〜18)の比率でそれぞれ混合し、次いで、濃縮されたHNOを用いてpH2まで酸性化することにより、調製した。次いで、実施例13〜22のそれぞれのシリカ溶液に金属塩(SnCl・5HO(10重量%の水溶液)、Zn(NO・6HO(10重量%の水溶液)、Cu(NO・3HO(10重量%の水溶液))を添加して、コーティング混合物の合計固形物に対して濃度2.5〜10重量%の金属化合物を得た。実施例13〜22のそれぞれのコーティング溶液の組成及び基材を下記表1及び2に要約する。
各例のコーティングされた試料は、12番巻線コーティングロッドを用いて、金属ドープシリカ分散液を、PET、厚さ175マイクロメートルのポリカーボネートフィルム(以下「PC」と呼ぶ)(GE advanced Materials(マサチューセッツ州Pittsfield)から商標名LEXAN 8010で入手)、及び厚さ86マイクロメートルのポリ(メチルメタクリレート)フィルム(以下、「PMMA」と呼ぶ)(3M CompanyからSCOTCHPAK HEAT SEALABLE POLYESTER FILMとして入手)(実施例15〜19)、並びにPlaskoliteからの、CP−82系のPMMAホモポリマーの押出し成形による透明PMMAフィルム(実施例19〜22)にコーティングすることにより調製した。コーティングされた試料を室温で乾燥し、次いで、120℃(PET及びPC基材の場合)、又は80℃(PMMA及びPMMA基材の場合)で10分間更に加熱した。
このようにして調製された試料を、上述した「機械的耐久性の評価試験方法」により試験した。表3及び4(以下)に結果を示す。
Figure 0006289476
Figure 0006289476
X線散乱分析試験法
反射配置データは、PANalytical Empyrean回折計、銅Kα放射線、及び散乱放射線のPIXcel検出器レジストリを使用することにより、サーベイスキャンの形態で収集した。回折装置には、可変入射ビームスリット及び回折ビームスリットが装着されていた。0.04度の刻み幅及び1200秒のドウェル時間を用いて、5〜80度(2θ)の結合連続モードで、サーベイスキャンを行った。40kV及び40mAのX線発生装置設定を使用した。
実施例23〜24
実施例23〜24は、金属ドープシリカ分散液をソーダ石灰ガラス基材(Brin Northwestern Glass Company(ミネソタ州Minneapolis)から入手)に、6番巻線コーティングロッド(公称ウェットコーティング厚さ14ミクロン)を用いてコーティングすることにより調製した。金属ドープコロイドシリカ分散液は、NALCO 1115シリカゾルを脱イオン水で、固形分10重量%に希釈し、その希釈したシリカゾルを濃縮HNOを用いてpH約2〜3まで酸性化し、次いで、所望の量の金属化合物水溶液(10重量%のCu(NO・3HO、Zn(NO・6HO)を添加することにより、調製した。実施例22及び23のコーティング組成物に添加される金属カチオンの種類及び量を表5に報告する。次いで、コーティングされた試料を室温で乾燥し、次いで、120℃で10分間更に硬化した。仕上がったコーティングされた試料は光学的に清澄で透明であった。ガラス基材からコーティングを擦り取ることにより分析用粉末を収集した。このようにして調製された試料を、上述したX線散乱分析試験法に従って分析した結果を表5に報告する。
Figure 0006289476
本開示に対する他の改変及び変形は、当業者により、添付の特許請求の範囲に更に特定して示される本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施され得る。様々な実施形態の態様は、様々な実施形態の他の形態と全体的に、若しくは一部的に互換可能、又は結合され得るということが理解される。特許状への上記の出願の中で引用されている全ての参照、特許、又は特許出願は、一貫した方法で参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。これらの援用文献の一部と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合には、先行の説明における情報を優先するものとする。特許請求される開示内容を当業者が実施できるようにするために、前述の記載は、「特許請求の範囲」及びそのすべての均等物によって規定される本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

Claims (4)

  1. コーティング可能な組成物の作製方法であって、
    水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、前記シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、前記第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
    無機酸を用いて前記第1の組成物を4以下のpHまで酸性化して前記コーティング可能な組成物を提供する工程であって、前記コーティング可能な組成物が凝集シリカナノ粒子を含む、工程、及び
    前記コーティング可能な組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解する工程であって、前記金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、を含む、方法。
  2. 耐摩耗性物品の作製方法であって、
    a)水性液媒中に分散されたシリカナノ粒子を含む第1の組成物を提供する工程であって、前記シリカナノ粒子が20ナノメートル以下の平均粒径を有し、前記第1の組成物が6より大きいpHを有する、工程、
    b)無機酸を用いて前記組成物を4以下のpHまで酸性化して第2の組成物を提供する工程、
    c)前記第2の組成物に少なくとも1種の金属化合物を溶解してコーティング可能な組成物を提供する工程であって、前記金属化合物が、n+の電荷を有する金属カチオンを含み、nが2以上の整数を表す、工程、
    d)前記コーティング可能な組成物の層を基材の表面にコーティングする工程、及び
    e)前記コーティング可能な組成物を少なくとも部分的に乾燥して、耐摩耗性の層を提供する工程、を含む、方法。
  3. 金属カチオンを含有する非晶質のシリカマトリックスを含む耐摩耗性組成物であって、前記非晶質のシリカマトリックスが、平均粒径が8ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続した球状シリカナノ粒子を含み、前記金属カチオンがn+の電荷を有し、nが2以上の整数を表し、前記金属カチオンの大半が前記非晶質のシリカマトリックス中に個別に分散されており、前記金属カチオンが前記組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する、耐摩耗性組成物。
  4. 基材の表面に配置された非晶質の耐摩耗性組成物の層を備える耐摩耗性物品であって、前記非晶質の耐摩耗性組成物が、金属カチオンを含有するシリカマトリックスを含み、前記シリカマトリックスが、平均粒径が8ナノメートル以下の粒径分布を有する相互接続した球状シリカナノ粒子を含み、前記金属カチオンが、n+の電荷を有し、nが2以上の整数を表し、前記金属カチオンの大半が前記シリカマトリックス中に個別に分散されており、前記金属カチオンが前記非晶質の耐摩耗性組成物の0.5〜20モルパーセントを構成する、耐摩耗性物品。
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