JP6287027B2 - 電界発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、電界発光素子に関するものである。
電界発光素子は、数V〜数十V程度の低電圧で発光が可能であり、蛍光性有機化合物の種類を選択することにより種々の色の発光が可能なことから、様々な発光素子、表示素子等への応用が期待されている。
青色発光素子は電界発光素子において最も困難な課題の一つであり、これまでに様々な構造の材料が提案されてきた。その中でアントラセン誘導体は、青色発光に適したエネルギーギャップ(Eg)と高い熱安定性を兼ね備え、青色発光素子のホスト材料として有力な材料である。その中でも、特許文献1に開示されているアントラセン二量体は、高いガラス転移温度(Tg)を持つなど、より優れた熱安定性を有する材料であり、長寿命、高効率な青色素子の作製が可能になっている。特にアントラセンの2位を用いて二量化した場合には、高いキャリア移動度を示し、低電圧駆動が可能である。また、特許文献2から特許文献4には、アントラセンを2位と9位で二量化することで対称性を低下させた材料が開示されている。これらの材料では結晶化が起こりにくく、膜質が安定化するため、より長寿命な発光素子の作製が可能になっている。さらに、溶剤に溶け易いことから材料合成が容易であり、塗布による成膜が可能になるなどの特徴を有している。
しかしながらアントラセンを二量化した材料、特に2位を用いて二量化した材料では、π共役系が広がることによりエネルギーギャップ(Eg)が小さくなる欠点がある。結果として、シアン色より長波長の発光素子のホスト材料としては適当だが、色純度の高い青色発光素子のホスト材料として用いることができなかった。
特許第4190542号公報 特開2004−231563号公報 特開2009−33146号公報 特開2011−91383号公報
そこで本発明は、熱安定性、高いキャリア移動度、膜質の安定性、溶剤への溶け易さといった特徴を有しながら、青色発光に十分なEgを有する青色ホスト材料を開発し、長寿命、低電圧、低コスト、高色純度の青色電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明では、前記目的を達成する為に様々な材料骨格を検討した結果、アントラセンとジベンゾアントラセンをクロスカップリングした新規材料を用いることで、目的を達成できることを見出した。
すなわち本発明は、陽極と陰極との間に、発光層を含む、複数の有機層が狭持された電界発光素子において、前記複数の有機層のうち、少なくとも1層が、下記一般式(I)の化合物を含むことを特徴とする電界発光素子である。
Figure 0006287027

(一般式(I)において、X〜X24は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基の何れかを表すが、X〜X10の何れか1箇所と、X11〜X24の何れか1箇所とは、連結基Lを介して連結されている。連結基Lは、単結合、置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキレン基、芳香族アミノ基を示す。)
ジベンゾアントラセンは、アントラセンと類似した特性を示しながらも、Egはアントラセンよりも大きな材料である。このため、アントラセンとのクロスカップリングを行った場合も、アントラセンを二量化した場合のようなEgの低下を起こさず、熱安定性や高いキャリア移動度等の特徴を保持しながら、色純度の高い青色素子のホスト材料として用いることができる。
本発明では、熱安定性、高いキャリア移動度、膜質の安定性、溶剤への溶け易さといった特徴を有しながら、青色発光に十分なEgを有する青色ホスト材料を使用することで、長寿命、低電圧、低コスト、高色純度の青色電界発光素子を提供することができた。
本実施形態の電界発光素子の概略である。
本発明は、陽極と陰極との間に、発光層を含む、複数の有機層が狭持された電界発光素子において、前記複数の有機層のうち、少なくとも1層が、下記一般式(I)の化合物を含むことを特徴とする電界発光素子である。
Figure 0006287027

(一般式(I)において、X〜X24は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基の何れかを表すが、X〜X10の何れか1箇所と、X11〜X24の何れか1箇所とは、連結基Lを介して連結されている。連結基Lは、単結合、置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキレン基、芳香族アミノ基を示す。)
一般式(I)において、アントラセンにおけるLとの連結位置はX2、3、5、7、8、10の何れかが好ましく、ジベンゾアントラセンにおけるLとの連結位置はX12、13、16、17、19、21、22、24の何れかが好ましい。これらは、合成が容易である他、分子に大きな歪が生じないためである。また、X5、10、19、24は、自身がLと連結している場合以外は、アリール基で置換されている事が好ましい。この位置にアリール基を導入することで、材料の蛍光量子収率が向上する他、合成上も溶解性や原料の調達の面で有利である。その他の置換基については、通常は水素原子であることが好ましい。
一般式(I)における置換または無置換のアリール基としては、単環もしくは多環のものであってよく、縮合環や環集合も含まれる。このようなアリール基としては、総炭素数6〜22のものが好ましく、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、ベンゾアントリル基、ジベンゾアントリル基、フルオランテニル基、ベンゾフルオランテニル基およびo−、m−またはp−ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、特に好ましくはフェニル基、ナフチル基、o−、m−またはp−ビフェニル基が挙げられる。これらの置換基は合成が容易である。また、溶解性を重視するのであれば、o−、m−ビフェニル基が好ましい。これらのアリール基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基等が挙げられる。
一般式(I)における置換または無置換の複素環基としては、ヘテロ原子としてO,N,Sを含有する5員または6員環の芳香族複素環基、および炭素数2〜20の縮合多環芳香族複素環基等が挙げられる。芳香族複素環基および縮合多環芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基等が挙げられる。これらの複素環基はさらに置換されていてもよく、このような置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基等が挙げられる。
一般式(I)におけるアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、また環状であってもかまわない。炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していても良い。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、(n−,i−)プロピル基、(n−,i−,s−,t−)ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基等が挙げられる。
一般式(I)におけるアルコキシ基としては、直鎖状でも分岐を有するものであってもよく、炭素数1〜10のものが好ましく、置換基を有していても良い。このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基等が挙げられる。
一般式(I)における芳香族アミノ基としては、無置換でも置換を有するものであってもよく、具体的には、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−トリルアミノ基、N−フェニル−N−ナフチルアミノ基、N−フェニル−N−ビフェニリルアミノ基、N−フェニル−N−アントリルアミノ基、N−フェニル−N−ピレニルアミノ基、ジナフチルアミノ基、ジアントリルアミノ基、ジピレニルアミノ基等が挙げられる。
一般式(I)における連結基Lとしては、単結合、置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキレン基、芳香族アミノ基を用いる事ができるが、通常は、単結合か炭素数6〜20のアリーレン基が好ましい。具体的なアリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
前記化合物の分子量については特に限定は無いが、成膜プロセスを考慮すると、1000以下であることが好ましい。分子量が1000を超えてくると、溶解性が低下することで合成が困難になる他、デバイスに応用する場合の塗布プロセスが困難になる。また、蒸着プロセスによってデバイスを作成する場合においても、蒸着温度が400度以上の高温になる事が多く、材料の分解を生じることがあるためである。
以下に、一般式(I)で表される本発明の化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006287027

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本発明の実施の形態による電界発光素子について図1を参照しながら説明する。図1に示すように、電界発光素子1は、基板2上に、陽極3、正孔注入輸4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極9を順次有する。
基板2は、透明または半透明の材料から形成されていることが好ましく、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートがある。なお、基板2は、不透明な材料から形成されていてもよい。この場合は、基板と反対側から光を取り出す素子構成とすればよい。さらに、基板2に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜等を組み合わせることにより、発光色をコントロールしてもよい。
陽極3は、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極3に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(Indium Tin Oxide)、ポリチオフェン、ポリピロールなどがある。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。陽極3は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の気相成長法により、基板2の上に形成することができる。また、陽極3は、一層構成であっても、多層構成であってもよい。
正孔注入層4は、陽極3からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能を有する化合物を含有する層である。また、陽極3との密着性も材料選択時の重要な因子である。具体的には、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体などを少なくとも1種用いて形成することができる。本発明の一般式(I)で表される化合物は仕事関数が陽極3に比べて大きいため、通常は正孔注入層4には適さない材料である。しかしながら、塩化アンチモンや塩化鉄等の電子アクセプターをドーピングすることで強制的に正孔を発生させた場合には、陽極3からの正孔注入が容易になるため、正孔注入層4として用いることができる。
正孔輸送層5は、注入された正孔を発光層6に輸送する機能、および発光層中6の電子が正孔輸送層5に注入されるのを妨げる機能を有する化合物を含有する層である。正孔輸送層5は、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、カルバゾール誘導体、もしくはアントラセン誘導体などの炭化水素化合物などを少なくとも1種用いて形成することができる。また本発明の一般式(I)で表される化合物も正孔輸送層5として用いることができる。特に、発光ドーピング材料に電子トラップ性の材料を用いた場合には、発光層6と共に用いることが好ましい。
なお、正孔注入層4と正孔輸送層5の機能を併せ持つ材料であれば、正孔注入輸送層として、単層で二層分の機能を果たす事が可能である。一方で、正孔注入層4や正孔輸送層5を、さらに複数の層に機能分離して使用することもできる。
発光層6は、注入された正孔(ホール)および電子の輸送機能と正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、ピレン誘導体、フルオランテン誘導体、ナフタセン誘導体といった炭化水素系の化合物が好ましく用いられる。本発明における一般式(I)で表される化合物は発光層6に用いられることが好ましく、通常はホスト材料として用いられる。
発光層6にはホスト材料のほかに、発光ドーピング材料として、他の蛍光性物質を含有させてもよい。蛍光性物質としては、例えば、キナクリドン、ルブレン、スチリル系色素等の化合物、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする金属錯体色素などのキノリン誘導体、テトラフェニルブタジエン、アントラセン、フルオランテン、ピレン、ペリレン、コロネン、12−フタロペリノン誘導体、フェニルアントラセン誘導体、テトラアリールエテン誘導体、芳香族アミン誘導体等が挙げられる。また、アミノナフタレン誘導体、アミノピレン誘導体、アミノフェナントレン誘導体、アミノフルオレン誘導体、アミノクリセン誘導体、アミノアントラセン誘導体、アミノペリレン誘導体等の芳香族アミン誘導体は特に好ましく用いることができる。
発光層6にはホスト材料、発光ドーピング材料の他に、他の化合物を含有させても良い。他の化合物を混ぜることでキャリアの輸送を調節したり、蛍光色素を混ぜることで発光色を変換させて使用することができる。キャリアの輸送を調節する化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8キノリノールないしその誘導体やキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体等の電子輸送性化合物、またはトリアリールアミン誘導体等の正孔輸送性化合物等が好ましく用いることができる。
電子輸送層7は、注入された電子を発光層6まで輸送する機能、および発光層6から正孔が注入されるのを妨げる機能を有する化合物を含有する層である。電子輸送層7は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体等の複素環化合物、アントラセン誘導体やフルオランテン誘導体等の炭化水素誘導体などを少なくとも1種用いて形成することができる。また本発明の一般式(I)で表される化合物も電子輸送層として用いることができ、特に発光層に一般式(I)で表される化合物を用いた場合には、同一の材料を電子輸送層に用いることが好ましい。
電子注入層8は、陰極9からの電子の注入を容易にする機能の他、陰極9との密着性を高める機能を有するものである。電子注入層8は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、イミダゾピリミジン誘導体、フェナントロリン誘導体などを少なくとも1種用いて形成することができる。本発明の一般式(I)で表される化合物は、通常は電子注入層8に適さないが、注入性に優れた陰極9を用いた場合や、アルカリ金属やアルカリ土塁金属等の比較的仕事関数の小さい金属およびその塩をドーピングすることで電子注入層8として使用することができる。
陰極9は、比較的仕事関数の小さい金属およびその塩、合金、または電気電導性化合物を電極構成物質として使用することができる。例えば、金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、酸化物として酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、弗化物として、弗化リチウム、弗化ナトリウム、弗化カルシウム、弗化マグネシウム、合金として、リチウム−インジウム合金、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、電気電導性化合物としてグラファイト薄膜等を挙げることができる。
これらの電極構成物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陰極9は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の方法により、電子注入層8の上に形成することができる。また、陰極9は一層構成であっても、多層構成であってもよい。なお、電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極3または陰極9の少なくとも一方の電極が、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、光の透過率が80%以上となるように陽極3または陰極9の材料、厚みを設定することがより好ましい。
電界発光素子は蒸着プロセスにて成膜されることが多いが、本発明における一般式(I)で表される化合物は、対称性が低いことから溶解性が高く、塗布プロセスによっても十分に成膜が可能である。よって、本発明の化合物を用いることで、プロセスの低コスト化が可能になる。塗布用の溶媒としては、トルエン、キシレンなどの炭化水素系の溶媒や、ジクロロエタン等のハロゲン系の溶媒を用いることができる。成膜方法としては、スピンコート法や、グラビア印刷等の各種印刷方法、インクジェット法等を用いることができる。スピンコート法であれば、通常は1〜3%程度の濃度の溶液とすることで、50nmから200nm程度の薄膜が形成可能である。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに示し、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)・・・エネルギーギャップ(Eg)の比較
本発明の化合物a−4、a−17、b−5、c−1、e−2について、既知の下記アントラセン二量体z−1、z−2、z−3とEgの大きさを比較した。評価には、トルエン希薄溶液中での吸収スペクトルの吸収末端から推定した値を用いた。a−4、a−17、b−5、c−1、e−2については、それぞれ2.93eV、2.96eV、2.82eV、2.97eV、2.91eVであり、z−1、z−2、z−3については、それぞれ2.75eV、2.78eV、2.79eVであった。色純度に優れた一般的な青色発光材料のEgは2.78〜2.8eVであるから、本発明の化合物は、色純度に優れた青色発光素子のホスト材料として理想的なEgを有することが示された。
Figure 0006287027
(実施例2)・・・青色発光素子の作製
ガラス基板上にRFスパッタ法で、ITO透明電極薄膜を100nmの厚さに成膜し、パターニングした。このITO透明電極付きガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥した。透明電極表面をUV/O洗浄した後、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定して、槽内を1×10−4Pa以下まで減圧した。
次に、減圧状態を保ったまま、下記構造の化12を蒸着速度0.1nm/sec で50nmの膜厚に蒸着し、正孔注入層とした。
Figure 0006287027
次いで、下記構造の化13を蒸着速度0.1nm/secで10nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
Figure 0006287027
さらに、減圧状態を保ったまま、ホスト材料として本発明の化合物a−4と、下記構造の化14を発光ドーパントとして、体積比97:3で、全体の蒸着速度0.1nm/secで40nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
Figure 0006287027
次に、減圧状態を保ったまま、電子輸送層として本発明の化合物a−4を10nm、続けて電子注入層としてトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)を5nm、それぞれ蒸着速度0.1nm/secで蒸着した。
次いで、LiFを蒸着速度0.1nm/secで0.5nmの厚さに蒸着して電子注入電極とし、保護電極としてAlを100nm蒸着し、最後にガラス封止して電界発光素子を得た。
この電界発光素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.1V、526cd/mの発光ドーパント由来の青色発光が得られた。
(実施例3)
化合物a−4を化合物a−17に代えた以外は実施例2と同様に電界発光素子を作製した。
この電界発光素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.3V、554cd/mの発光ドーパント由来の青色発光が得られた。
(実施例4)
化合物a−4を化合物b−5に代えた以外は実施例2と同様に電界発光素子を作製した。
この電界発光素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.0V、464cd/mの発光ドーパント由来の青色発光が得られた。
(実施例5)
化合物a−4を化合物c−1に代えた以外は実施例2と同様に電界発光素子を作製した。
この電界発光素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.0V、580cd/mの発光ドーパント由来の青色発光が得られた。
(比較例1)
化合物a−4を化合物z−1に代えた以外は実施例2と同様に電界発光素子を作製した。
この電界発光素子に直流電圧を印加したところ、10mA/cmの電流密度で、駆動電圧が6.0V、260cd/mの青色発光が得られた。しかしながら、発光スペクトルから、発光ドーパントではなくホスト材料である化合物z−1由来の発光である事が確認された。ホスト材料のEgの大きさが不十分であることから、発光ドーパントからの発光が得られず、低い特性になったと考えられる。
以上のように、本発明に係るアントラセンとジベンゾアントラセンをクロスカップリングした新規材料は、色純度の高い青色電界発光素子のホスト材料として有用である。これらの電界発光素子はディスプレイや照明などの発光デバイスに応用することが可能である。
1 発光素子
2 基板
3 陽極
4 正孔注入層
5 正孔輸送層
6 発光層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極
.

Claims (3)

  1. 陽極と陰極との間に、発光層を含む、複数の有機層が狭持された電界発光素子において、前記複数の有機層のうち、少なくとも1層が、下記一般式(I)の化合物を含むことを特徴とする電界発光素子。
    Figure 0006287027
    (一般式(I)において、X〜X24は、それぞれ独立に、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキル基、アルコキシ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、チオール基の何れかを表すが、X〜X10の何れか1箇所と、X11〜X24の何れか1箇所とは、連結基Lを介して連結されている。連結基Lは、単結合、置換または無置換のアリーレン基、置換または無置換の複素環基、置換または無置換のアルキレン基を示す。前記アリール基の置換基、前記複素環基の置換基は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シリル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、及びチオール基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基である。
  2. 前記一般式(I)の化合物が以下のいずれかの化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
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    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
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    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
    Figure 0006287027
  3. 前記一般式(I)の化合物が以下のいずれかの化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
    Figure 0006287027
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