JP6286861B2 - 電極、電極の製造方法及び電池 - Google Patents

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Description

この発明は電極、電極の製造方法及び及び電池に関する。
正極、負極及び分離膜を全て電極面に垂直な一直線上の位置でレーザー加工によって穴を穿設したものがある(特許文献1参照)。
特許第3690522号公報
ところで、集電体に活物質層を形成した後に両者を厚さ方向にプレス加工した際に、活物質層と集電体の間で残留応力の差が生じ、この差の応力で両者の間に剥離が発生して電池の出力が低下する。この場合に、上記特許文献1のようにイオン伝導性向上のため穴を活物質層及び集電体に貫通させたのでは、活物質層と集電体との間の接触面積が減少する分、両者の間の剥離が促進されてしまう。
そこで本発明は、イオン伝導を向上させつつ活物質層と集電体との間の剥離を抑制し得る電極を提供することを目的とする。
本発明の電極では、集電体と活物質層とを有し、かつ前記活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴を有する。さらに本発明の電極では、前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部が前記活物質層の面方向の一部の部位に設けられる。また、前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部が前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位に、非緩衝部内において隣り合う前記穴と穴のピッチが、緩衝部を介して隣り合う前記穴と穴のピッチよりも小さくなるようにそれぞれ設けられる。緩衝部は、活物質層の面方向の少なくとも一つの帯状の部位で構成され、帯状の部位の面方向において最も長い長さは、穴と穴のピッチの2倍の長さよりも長い。また、穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部は、穴の数の割合がゼロであり、穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部は、穴の数の割合が正の値である。
本発明によれば、活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部を活物質層の面方向の一部の部位に設けることで、活物質層と集電体との間の接触面積が減少することを抑制して両者の密着力を向上できる。一方、活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部を前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位に設けることでイオン伝導を向上させることができる。このように、本発明によれば、穴加工によってイオン伝導を向上させつつ、活物質層と集電体との間の剥離を抑制して両者の密着力を向上できる。
本発明の第1実施形態の発電要素の概略断面図である。 図1に示した破線部の拡大モデル図である。 電極の製造方法を説明する図である。 比較例の正極の平面図である。 図4のX−X線断面図である。 図4のY−Y線断面図である。 第1実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第1実施形態の正極の他方の側の平面図である。 第2実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第2実施形態の正極の他方の側の平面図である。 図7または図9のZ−Z線断面図である。 第3実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第4実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第5実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第6実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第7実施形態の正極の一方の側の平面図である。 第7実施形態の他の態様の正極片の一方の側の平面図である。 比較例3の正極の一方の側の平面図である。 実施例1の正極の一方の側の平面図である。 比較例3及び実施例1の正極の一方の側の正極活物質層及び集電体の一部断面を光学顕微鏡で採った写真のトレース図である。 比較例1〜3及び実施例1のレート特性の結果をまとめたものである。 比較例1〜3及び実施例1のインピーダンス特性の結果をまとめたものである。 比較例1、3及び実施例1のオーミック抵抗をまとめたものである。 比較例1〜3及び実施例1の充放電サイクルに対する放電容量比特性の結果をまとめたものである。
以下、図面等を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張している箇所があり、その箇所においては実際の比率と異なっている。
(第1実施形態)
リチウムイオン二次電池は、実際に充放電反応が進行する略四角扁平状の発電要素2が、電解液に浸された状態で電池外装体であるラミネートフィルムの内部に封止された構造を有している。図1は本発明の第1実施形態の発電要素2の概略縦断面図、図2は図1に示した破線部の拡大モデル図である。
図1において発電要素2は、負極3、セパレータ13、正極8をこの順に積層した構造を有している。なお、図1には2つの負極、一つの正極、2つのセパレータしか図示してない。ここで、電極のうちの負極3は四角薄板状の負極集電体4の両面(表面)に負極活物質層5、6を配置したものである。同様に、正極8は四角薄板状の正極集電体9の両面(表面)に正極活物質層10、11を配置したものである。セパレータ13は主に多孔質の熱可塑性樹脂から形成されている。電解液はこの多孔質の孔を介して正極側や負極側へと行き来する。これにより、隣接する負極3、セパレータ13及び正極8が1つの単電池層15(単電池)を構成する。単電池層15では、電子とイオンが2つの電極間を移動して電池の充放電反応を行う。
さて、リチウムイオン二次電池において、電極3、8内のイオン伝導性を向上させることで、電池の性能を向上できる。電極内のイオン伝導性を向上させるためには、電極内の〈1〉電極の厚さ方向、〈2〉電極の面方向の両方向のイオン伝導性を向上させることが重要である。ここで、「電極の厚さ方向」とは、電極3、8の積層方向(図1で上下方向)のことである。一方、電極3、8は四角薄板状であるため平面を有する。「電極の面方向」とはこの平面に沿う方向のことである。
この場合に、電極の厚さ方向にレーザー加工によって穿孔を開ける従来の電池がある(特許第3690522号公報参照)。しかしながら、レーザー加工によって穿孔する際に周囲に溶融が生じる。これによって、電極の活物質層やセパレータにもともと含まれている空孔を塞いでしまう。このため、電極の面方向のイオン伝導性は、電極の厚さ方向ほどには改善されないのである。
そこで本発明の第1実施形態では、図2にも示したように、無数の空孔5aを有する活物質層5が形成された電極3であって、活物質層5は、活物質層5の表面から厚さ方向に穿設された穴25と、穴25の側面から活物質層5の面方向につながる空孔5aを有し、その穴25の周縁部分29の活物質層5の空孔率が活物質層5の周縁部分以外の部分30の空孔率よりも小さいものとする。
この電極の製造方法を説明すると、集電体4に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層5を形成する活物質形成工程#1と、活物質層5に対して、活物質層5の厚さより低い凸部を持つ金型で活物質層5をプレスする塑性加工工程#2とを含ませる。当該塑性加工工程#2では、まず図3に示したように、電極スラリーを片面に塗布し乾燥させて負極活物質5を形成した負極集電体4を、台21上に負極活物質層5を上にして置き、金型としてのローラ22との間を移動させる。ローラ22の外周には負極活物質層5の厚さより低い円柱状の凸部23(加工部)をローラ22の回転方向及びローラ23の軸方向に等間隔で多数設けてある。このローラ22の凸部23を負極活物質層5に上方からプレスすることによって負極活物質層5に対して負極活物質層5の面方向に等間隔で円柱状の穴25を穿つ。
負極活物質層5に円柱状の穴25を形成することによって各穴25は、円筒状の側面25aと円状の底面25bとで構成される。ローラ22の凸部23は負極活物質層5の厚さより短いため、穴25の底面25bは負極集電体4に到達していない。
次に、図示しないが、電極スラリーをもう一つの片面に塗布し乾燥させて負極活物質6を形成した負極集電体4を台21上に負極活物質層6を上にして置き、再びローラ22との間を移動させる。このときには負極集電体4の両面にそれぞれ負極活物質層5、6が形成されているため、前回とは負極の厚さが異なる。このため、負極活物質層6にもこれと反対側の負極活物質層5と同様の穴深さで穴26が形成されるように台21とローラ22中心との距離を調整する。これによって、負極活物質層6にも円柱状の穴26がローラ22の回転方向及びローラ23の軸方向に等間隔で形成される(図1参照)。負極活物質層6に形成される各穴26も、円筒状の側面と円状の底面とで構成され、各穴26の底面は負極集電体4に到達していない。
これで負極3について各活物質層5、6に対する穴加工が終了するので、次には正極8について同様に行い、各活物質層10、11に円柱状の穴27、28を形成する(図1参照)。
このようにして各活物質層5、6、10、11に円柱状の各穴25、26、27、28を形成した2つの電極3、8をセパレータ13を介して積層したとき図1に示したようになるのであり、各穴25〜28に電解液が満たされる。
本実施形態によれば、無数の空孔5aを有する活物質層5が形成された負極3(電極)であって、活物質層5は、活物質層5の表面から厚さ方向に穿設された穴25と、穴の円筒状側面25aから活物質層5の面方向につながる空孔5aを有し、その穴25の周縁部分29の活物質層5の空孔率が活物質層5の周縁部分以外30の空孔率よりも小さいものであるので、穴25の円筒状側面25aから活物質層5の面方向へのイオン伝導性を向上できると共に、穴25の周縁部分29の強度を周縁部分以外30との空孔率の差の分だけ向上できる。
各活物質層5、6、10、11の内部には電解液が浸潤する空孔をもともと有している。各活物質層に対して穴を形成した本発明による加工は塑性加工であるため、各穴25〜28の円筒状側面にもともと存在する空孔を潰さずに各穴25〜28を形成することが可能である。言い換えると、各穴25〜28の円筒状側面に電極の面方向に開口する空孔が潰されずに多数残っている。このため、潰されずに残った円筒状側面の多数の空孔から図2にも示したようにイオン(リチウムイオン)が電極の面方向(図2で左右方向)に行き来する(伝導する)。これによって、電極の面方向のイオン伝導性を従来の電極より改善することができる。もちろん、イオン(リチウムイオン)が電極の厚さ方向(図2で上下方向)に行き来する(伝導する)ことはいうまでもない。
また、各穴25〜28は機械加工によって形成するので、穴形成のためのコストをレーザー加工により穴を形成する場合よりも低減できる。
塑性加工によるときには、図2にモデルでも示したように、穴25の周縁部分29に、他の部分30と比べて空孔率が低くなる低空孔率層が円筒状に生じる。これのメリットは穴25の円筒状側面25aの強度を高めることである。例えば、穴25の円筒状側面25aには充放電に伴う膨張、収縮で機械的に応力が集中する。このとき穴25の周縁部分29に、強度が高められている低空孔率層が形成されているので、穴25の円筒状側面25aの寿命を向上できる。なお、図2においては、周縁部分29で空孔率が低くなっている様子を、活物質粒子の径を他の部分30の活物質粒子より小さくすることによって示している。
上記各穴25〜28の周縁部分の活物質粒子の間に生じる、隣り合う空孔の間隔は活物質層内の活物質粒子の平均径の2倍以下である。
上記各穴25〜28の孔径は100μm以下である(図1参照)。
このように各穴25〜28の穴径を100μm以下とする理由は、各穴25〜28を形成することによって電極の体積が減ることを抑制するためである。電池の電気的な容量は電極の体積(詳細には活物質層の体積)に比例するため、大きな穴を形成したのでは容量損となる。各穴25〜28の径を100μm以下とすることで、この容量損を低減できる。
活物質層の表面で隣り合う2つの穴の間の距離、つまり電極面方向の穴のピッチは200μm以下である(図1参照)。図1では負極活物質層5、6についてしか示していないが、正極活物質層10、11についても同様である。
これは、穴形成によるイオン伝導性の電極面方向の改善効果を電極全面にわたって発揮させるためである。すなわち、これまでの発明者の知見から電極内の効果的なイオン伝導が可能な距離は、おおよそ100μmであることがわかっている。そのため、各穴25〜28の電極面方向のピッチを200μm(片側100μm)以下とすることで、電極全面にイオン伝導性の電極面方向の改善効果を発揮できる。
各穴25〜28の底面から集電体4、9までの直線距離は100μm以下である(図1参照)。上記のように、これまでの発明者の知見から電極内の効果的なイオン伝導が可能な距離はおおよそ100μmであることがわかっている。そのため、各穴25〜28の底面から集電体までの直線距離を100μm以下とすることで、各穴25〜28による電極の体積減少を低減しながら、イオン伝導性の電極の厚さ方向の改善効果を発揮できる。
第1実施形態では、各穴25〜28が集電体4、9を貫通しない場合で説明したが、各穴25〜28が集電体4、9を貫通するようにしてもかまわない。
ところで、図1に示した負極3、8正極の各電極を製造する手順をさらに説明すると、次のようなものである。すなわち、集電体の両面に活物質層を塗布し乾燥させた負極、正極の各電極は、長く連なった帯状となる。活物質層の集電体への密着性を高める目的でこの帯状の各電極をプレス加工した後に、上記のように機械加工によって各電極の面方向に多数の穴を形成する。その後に、この各電極を所定の長さに裁断して切り離すことで略四角扁平状の負極片、正極片を多数作成する。これら負極片、正極片を改めて負極3、正極8とし、これら電極3、8を図1に示したように積層することで、発電要素2を構成する。
さて、金型で活物質層をプレスした際に活物質層と集電体の間に残留応力が発生することから、活物質層が集電体から剥離することがある。これを図4〜図6を用いて説明する。図4は正極8の平面図である。正極8には、集電体9の片面に活物質層10を形成した後に活物質層10の厚さとほぼ同じ厚さを有する凸部を持つ金型で活物質層をプレスすることによって活物質層の面方向に、集電体9にまで到達する均一な穴27を有している。このように、活物質層の面方向の全てに集電体9にまで到達する均一な穴27を形成している正極8を比較例とする。言い換えると、図4は比較例の正極8の平面図である。図5は図4において穴27に沿わない線であるX−X線でみた断面図、図6は図4において穴27に沿った線であるY−Y線でみた断面図である。
図5上段、図6上段では上記のプレス加工によって生じる残留応力を白抜き矢印で示している。図5上段、図6上段に示したように正極8の面方向の中央には、正極8の中央から正極8の周縁に向けて(図で左右方向に)引っ張る方向に残留応力が働いている。これは、正極片を作成するための上記の裁断によって正極8の周縁では残留応力が解放されるため、残留応力は正極8の中央部で高くなるためである。かつ、活物質層10と集電体9の物質の違いから集電体9に作用する残留応力よりも活物質層10に作用する残留応力のほうが大きいものとなる。この2つの層の残留応力の差によって、比較例では、図5下段、図6下段に示したように活物質層10の中央部が集電体9からまず剥離し、やがて活物質層10の周縁へと剥離が及ぶこととなる。このように活物質層10が集電体9から剥離することを一般的に電極剥離というが、電極剥離が生じると電池の抵抗が大きくなって出力が低下する。なお、図4〜図6では、活物質層10の厚さとほぼ同じ厚さを有する凸部を持つ金型で活物質層をプレスする場合で説明したが、活物質層10の厚さより高い凸部を持つ金型で活物質層をプレスする場合も同様である。
なお、図4〜図6では、片面に形成される活物質層10と集電体9とに生じる残留応力についてだけ示し、もう一つの面に形成される活物質層11と集電体9とに生じる残留応力については示していない。しかしながら、もう一つの面に形成される活物質層11と集電体9とに生じる残留応力についても、片面に形成される活物質層10と集電体9とに生じる残留応力と同様であり、活物質層11が集電体9から剥離する。
従って、電池の性能を向上させつつ、電池の寿命を向上させるためには、活物質層と集電体の密着性を向上させる必要がある。
ここで、正極、負極及びセパレータに、電極面に垂直な一直線上の位置で穴を穿設した従来の電極がある。しかしながら、従来の電極には電極剥離が生じることについて一切記載がない。
そこで本発明では、活物質層10、11の面方向に所定の領域を考え、その所定の領域内に存在する穴27、28の数の割合を「穴密度」として定義する。また、活物質層10、11を穴密度が相対的に小さい部位と穴密度が相対的に大きい部位とに二分し、穴密度が相対的に小さい部位を「緩衝部」、穴密度が相対的に大きい部位を「非緩衝部」と定義する。
そして、本発明の第1実施形態では、図7に示したように正極8の一方の側の活物質層10の面方向に十字状の部位31を緩衝部として、十字状の部位31を除いた面方向の残りの部位(この部位を以下「残余部位」という。)34を非緩衝部として設ける。同様に、図8に示したように正極8の他方の側の活物質層11にも活物質層11の面方向に十字状の部位35を緩衝部として、十字状の部位35を除いた面方向の残りの部位(この部位を以下「残余部位」という。)38を非緩衝部として設ける。ここで、図7は正極8を一方の側から見た平面図、図8は正極8を他方の側から見た平面図である。比較例の図4と同一部分には同一の符号を付している。
具体的には、図7の一方の側、図8の他方の側において、活物質層10、11の面方向のうちの十字の部位31、35に穴27、28は全く設けていないので、穴密度は十字の部位31、35でゼロである。一方、残余部位34、38には穴27、28を均一に設けているので、穴密度は残余部位34、38で所定値(正の値)である。よって、穴密度は十字の部位31、35でゼロ、残余部位34、38で所定値(正の値)であるので、十字の部位31、35が緩衝部、残余部位34、38が非緩衝部となる。
図7の一方の側、図8の他方の側において、左右方向で活物質層10、11と集電体9との間の残留圧力差が最も大きいのは上下方向に走る帯状の中央部位32、36である。一方、図7の一方の側、図8の他方の側において、上下方向で活物質層10、11と集電体9との間の残留圧力差が最も大きいのは左右方向に走る帯状の中央部位33、37である。図7の一方の側においてこれら帯状の2つの中央部位32及び33を合わせた部位が一方の側の十字の部位31(図7の一点鎖線参照)である。同じく図8の他方の側において帯状の2つの中央部位36及び37を合わせた部位が他方の側の十字の部位35(図8の一点鎖線参照)である。
このように活物質層10、11に緩衝部としての十字の部位31、35を設ける理由、言い換えると、十字の部位31、35に穴加工を行わない理由は次の通りである。すなわち、活物質層10、11の面方向のうちの各十字の部位31、35にも穴加工を行う。そして、活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴27、28が集電体9にまで到達しているときには集電体9と各活物質層10、11との間の接着面積が減少するので、その分、各活物質層10、11が集電体9から剥離しやすくなる。そこで、各十字の部位31、35を穴加工を行わない部位(つまり緩衝部)として残し、各十字の部位31、35で集電体9と活物質層10、11との間の接着面積の減少を抑制することで、各十字の部位31、35から始まる剥離を効率的に抑制するためである。
なお、第1実施形態では、一方の側の活物質層10に設ける十字の部位31の4つの端31a〜31dを、正極8の周囲の4つのエッジ部8a〜8dまでは設けていない。同様に、他方の側の活物質層11に設ける十字の部位35の4つの端35a〜35dを、正極8の周囲の4つのエッジ部8a〜8dまでは設けていない。
このように第1実施形態では、正極8(電極)が集電体9と活物質層10、11とを有し、かつ活物質層10、11は、活物質層10、11の表面から厚さ方向に穿設される穴27、28を有している。この場合に、穴密度(活物質層10の面方向の所定の面積に対する穴の数の割合)が相対的に小さい緩衝部が十字の部位31、35に、穴密度が相対的に大きい非緩衝部が残余部位34、38にそれぞれ設けられる。ここで、十字の部位31、35が活物質層10の面内の一部の部位、残余部位34、38が前記一部の部位を除いた残りの部位である。第1実施形態によれば、穴密度が相対的に小さい緩衝部を活物質層10、11の面方向の一部の部位である十字の部位31、35に設けることで、活物質層10、11と集電体9との間の接触面積が減少することを抑制して両者の密着力を向上できる。一方、穴密度が相対的に大きい非緩衝部を一部の部位を除いた残りの部位である残余部位34、38に設けることでイオン伝導を向上させることができる。このように、本発明によれば、穴加工によってイオン伝導を向上させつつ、活物質層10、11と集電体9との間の剥離を抑制して両者の密着力を向上できる。
集電体に活物質層を形成し活物質層10の厚さとほぼ同じ厚さを有する凸部を持つ金型で活物質層をプレスした後には、活物質層10、11が集電体9から剥離しようとする向きに残留応力が働く。このとき、活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴27、28が集電体9にまで到達するかまたは集電体9を貫通している場合には活物質層10、11と集電体9との間の接触面積がその分減ることから、活物質層と集電体との間の密着性が低下する。第1実施形態によれば、穿設される穴27、28が集電体9にまで到達するかまたは集電体9を貫通しており、穴密度が緩衝部(31、35)でゼロである、つまり緩衝部(31、35)に穴27、28が設けられていない。これによって、緩衝部(31、35)では活物質層10、11と集電体9との間の接触面積が増えることから、両者の間の密着性を向上できる。
第1実施形態によれば、緩衝部が活物質層10、11の面方向の少なくとも1つの帯状の部位32、33、36、37で構成されるので、緩衝部が1つの点状の部位である場合より、活物質層10、11と集電体9との間の密着性を向上できる。
第1実施形態では、一方の側の活物質層10に設けられる帯状の部位32、33が複数である場合に、複数の帯状の部位32、33が交差している。また、他方の側の活物質層11に設けられる帯状の部位36、37が複数である場合に、複数の帯状の部位36、37が交差している。このように、第1実施形態によれば、活物質層10、11に設けられる複数の帯状の部位が交差するので、交差していない場合よりも、密着性を向上させつつ電極の剛性を上げることができる。
活物質層10、11が四角薄板状である場合には、活物質層10、11の面方向の中央部で活物質層10、11と集電体9との間の残留応力の差が最も大きくなる。これに対応して第1実施形態では、緩衝部(31、35)が活物質層10、11の面方向の中央部に設けられる。これによって、緩衝部が活物質層10、11の面方向の周縁部に設けられる場合より、活物質層10、11と集電体9との間で効率的に密着させることができる(密着強度を向上できる)。
第1実施形態では、集電体9と活物質層10、11とを有し、かつ活物質層10、11の表面から厚さ方向に穿設される穴27、28を有する正極8(電極)の製造方法であって、次の2つの工程を含んでいる。すなわち、第1の工程は、集電体9に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層を形成する活物質形成工程である。第2の工程は、活物質層10、11に対して、活物質層10、11の厚さと同じ厚さか活物質層10、11の厚さより高い厚さを有する凸部(23)を持つ金型(22)で活物質層10、11をプレスする塑性加工工程である。この塑性加工工程では、十字の部位31、35(活物質層の面方向の一部の部位)に穴密度(活物質層の面方向の所定の領域に対する穴の数の割合)が相対的に小さい緩衝部を設ける。また、残余部位34、38(前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位)に穴密度が相対的に大きい非緩衝部を設ける。これによって、非緩衝部でイオン伝導を向上させつつ、緩衝部で活物質層10、11と集電体9との間の剥離を抑制して両者の密着力を向上できる。
第1実施形態によれば前記正極8(電極)を用いた電池であるので、 高性能(容量、出力、コスト)な電池(一次電池、二次電池両方に適用可)を実現できる。
(第2実施形態)
図9は第2実施形態の正極8を一方の側から見た平面図、図10は第2実施形態の正極8を他方の側から見た平面図である。第1実施形態の図7、図8と同一部分には同一の符号を付している。
第2実施形態は、第1実施形態と同じに活物質層10、11の面方向に十字の部位31、35を設けるのであるが、十字の部位31、35の4つの端を設ける位置が第1実施形態と相違する。すなわち、図9、図10に示したように、一方の側の活物質層10に設ける十字の部位31の4つの端31a、31b、31c、31dを活物質層10の周囲の4つのエッジ部まで設ける。同様に、他方の側の活物質層11に設ける十字の部位35の4つの端35a、35b、35c、35dを活物質層10の周囲の4つのエッジ部まで設ける。ここで、活物質層10、11のエッジ部は、正極8の面方向の周囲の4つのエッジ部8a、8b、8c、8dに等しいので、以下では、8a、8b、8c、8dを活物質層10、11のエッジ部ともいう。
第2実施形態によれば、帯状の部位32、33、36、37が四角薄板状の活物質層10、11のエッジ部(8a、8b、8c、8d)まで設けられる。これによって、活物質層10、11と集電体9との間の密着性を向上させつつ正極8(電極)の剛性をさらに上げることができる。
第2実施形態によれば、帯状の部位が四角薄板状の活物質層10、11のすべてのエッジ部8a〜8dまで到達している。これによって、帯状の部位が活物質層10、11のすべてのエッジ部8a〜8dまで到達していない場合よりも、活物質層10、11と集電体9との間の密着性を向上させつつ正極8(電極)の剛性を上げることができる。
第1、第2の実施形態では、各活物質層10、11のうちの十字の部位31、34を緩衝部とした。図7、図9の一方の側の活物質層10において2つの中央部位32、33の一方だけあるいは図8、図10の他方の側の活物質層11において2つの中央部位35、36の一方だけを緩衝部としてもかまわない。
図11は図7のZ−Z線あるいは図9のZ−Z線に沿った正極8の概略断面図である。図11において一方の側の活物質層10に設ける十字の部位31についての活物質層10の面方向の幅L1と穴27の口径p1との比はL1>5p1の関係を満たすものする。同様に、他方の側の活物質層11に設ける十字の部位34についての活物質層11の面方向の幅L2と穴28の口径p2との比はL2>5p2の関係を満たすとする。
十字の部位31、35についての活物質層10、11の面方向の幅L1、L2は密着性と相関し、幅L1、L2を広くするほど活物質層10、11と集電体9との間の密着性がよくなる。一方、穴27、28の口径はイオン伝導性と相関し、口径が大きくなるほどイオン伝導性がよくなり電池の出力が大きくなる。上記L1>5p1、L2>5p2の関係は、これら密着性と出力のバランスをとるために好ましいものである。
(第3実施形態)
図12は第3実施形態の正極8の一方の側の平面図である。第1実施形態の図7と同一部分には同一の符号を付している。第3実施形態は、図12に示したように一方の側の活物質層10の面方向のうちの一部の部位41を緩衝部として設け、当該部位41で穴加工を行わない。一方、一部の部位41を除いた面方向の残りの部位である残余部位42を非緩衝部として設け、当該残余部位42で均一な穴加工を行うようにしたものである。第3実施形態では、一部の部位41を設ける位置は、活物質層10の面方向の任意の位置であってよい。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向のうちの一部の部位を図12と同様に緩衝部として設け、当該部位で穴加工を行わない。一方、一部の部位を除いた面方向の残りの部位である残余部位を非緩衝部として設け、当該残余部位で均一な穴加工を行うようにしてよい。
第3実施形態によれば、穴密度が相対的に小さい緩衝部が活物質層10の面方向の一部の部位41に、穴密度が相対的に大きい非緩衝部が一部の部位41を除いた面方向の残りの部位である残余部位42にそれぞれ設けられる。これによって、第1実施形態と同様に、穴加工によってイオン伝導性を向上させつつ、活物質層10、11と集電体9との間の剥離を抑制して両者の密着力を向上できる。
(第4、第5の実施形態)
図13、図14は第4、第5の実施形態の正極8の一方の側の平面図である。第1実施形態の図7と同一部分には同一の符号を付している。第4実施形態は、図13に示したように一方の側の活物質層10の面方向のうちの2つ(複数)の線状の部位51、52を緩衝部として設け、線状の部位51、52で穴加工を行わない。一方、当該線状の部位51、52を除いた面方向の残りの部位である残余部位53を非緩衝部として設け、当該残余部位53で均一な穴加工を行うようにしたものである。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向のうちの2つ(複数)の線状の部位を図13と同様に緩衝部として設け、線状の部位で穴加工を行わない。一方、当該線状の部位を除いた面方向の残りの部位である残余部位を非緩衝部として設け、当該残余部位で均一な穴加工を行うようにしてよい。
第4実施形態によれば、緩衝部が活物質層10の面方向の2つ(少なくとも1つ)の線状の部位51、52で構成されるので、第1実施形態と同様に、緩衝部が1つの点状の部位である場合より、活物質層10と集電体9との間の密着性を向上できる。
第5実施形態は、図14に示したように一方の側の活物質層10の面方向のうちの2つ(複数)の線状の部位61、62を緩衝部として設け、線状の部位61、62で穴加工を行わない。一方、当該線状の部位61、62を除いた面方向の残りの部位である残余部位63を非緩衝部として設け、当該残余部位63で均一な穴加工を行うようにしたものである。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向のうちの2つ(複数)の線状の部位を図14と同様に緩衝部として設け、線状の部位で穴加工を行わない。一方、当該線状の部位を除いた面方向の残りの部位である残余部位を非緩衝部として設け、当該残余部位で均一な穴加工を行うようにしてよい。
第5実施形態では、第4実施形態と相違して、線状の部位61、62を正極8の周囲の4つのエッジ部8a、8b、8c、8dまで設けている。
第5実施形態によっても、第4実施形態と同様の作用効果を奏する。
第5実施形態によれば、線状の部位61、62が四角薄板状の活物質層10のエッジ部8a、8bまで設けられる。これによって、活物質層10と集電体9との間の密着性を向上させつつ正極8(電極)の剛性を上げることができる。
(第6実施形態)
図15は第6実施形態の正極片8の一方の側の平面図である。第1実施形態の図7と同一部分には同一の符号を付している。第6実施形態は、図15に示したように一方の側の活物質層10の面方向のうちの4つの直線状の部位71〜74を緩衝部として設け、直線状の部位71〜74で穴加工を行わない。一方、当該直線状の部位71〜74を除いた面方向の残りの部位である残余部位75を非緩衝部として設け、当該残余部位75で均一な穴加工を行うようにしたものである。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向のうちの4つの直線状の部位を図15と同様に緩衝部として設け、直線状の部位71〜74で穴加工を行わない。一方、当該直線状の部位71〜74を除いた面方向の残りの部位である残余部位75を非緩衝部として設け、当該残余部位75で均一な穴加工を行うようにしてよい。
第6実施形態では、緩衝部として設ける部位を直線状としているが、直線状である必要はない。また、4つの直線状の部位71〜74を直交させているが、直交することも必要でなく、交差してあればよい。
第6実施形態によっても、第4、第5の実施形態と同様の作用効果を奏する。
第6実施形態によれば、直線状(線状)の部位71〜74が4つ(複数)である場合に、4つの直線状の部位71〜74が交差するので、交差していない場合よりも、活物質層10と集電体9との間の密着性を向上させつつ正極8(電極)の剛性を上げることができる。
(第7実施形態)
図16は第7実施形態の正極8の一方の側の平面図である。第1実施形態の図7と同一部分には同一の符号を付している。第7実施形態では、図16に示したように一方の側の活物質層10の面方向おいて、四角薄板状の活物質層10の4つの各角を中心として、四角薄板状の活物質層10の長辺の1/2の長さを半径とする4つの円弧81〜84を描く。このとき、4つの円弧81〜84で囲まれる活物質層10の面方向の菱形状部位85(一点鎖線参照)を緩衝部として設け、当該菱形状部位85で穴加工を行わない。一方、当該菱形状部位85を除いた面方向の残りの部位である残余部位86を非緩衝部として設け、当該残余部位86で均一な穴加工を行うようにしたものである。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向おいて、四角薄板状の活物質層の4つの各角を中心として、四角薄板状の活物質層の長辺の1/2の長さを半径とする4つの円弧を描く。このとき、4つの円弧で囲まれる活物質層の面方向の菱形状部位を緩衝部として設け、当該菱形状部位で穴加工を行わない。一方、当該菱形状部位を除いた面方向の残りの部位である残余部位を非緩衝部として設け、当該残余部位で均一な穴加工を行うようにしてよい。
このように、第7実施形態によれば、四角薄板状の活物質層10の4つの各角を中心として、四角薄板状の活物質層10の長辺の1/2の長さを半径とする4つの円弧81〜84を描いたとき、緩衝部が4つの円弧で囲まれる部位85で構成される。これは、四角薄板状の活物質層10の面方向の中央部に緩衝部(85)を最小限に配置するもので、緩衝部(85)が活物質層10の面方向の周縁部に設けられる場合より、活物質層10と集電体9との間で効率的に密着させることができる(密着強度を向上できる)。
第7実施形態では、4つの円弧の半径を四角薄板状の活物質層10の長辺の1/2としたが、これに限らず、4つの円弧の半径を四角薄板状の活物質層10の長辺の1/2を超える長さとしてもよい。例えば、図17に示したように一方の側の活物質層10の面方向おいて、四角薄板状の活物質層10の4つの各角を中心として、四角薄板状の活物質層10の長辺の1/2を超える長さを半径とする4つの円弧91〜94を描く。このとき、4つの円弧91〜94で囲まれる活物質層の面方向の菱形状部位95(二点鎖線参照)を緩衝部として設け、当該菱形状部位95で穴加工を行わない。一方、当該菱形状部位95を除いた面方向の残りの部位である残余部位96を非緩衝部として設け、当該残余部位96で均一な穴加工を行う。
図示しないが、他方の側の活物質層の面方向おいて、四角薄板状の活物質層の4つの各角を中心として、四角薄板状の活物質層の長辺の1/2を超える長さを半径とする4つの円弧を描く。このとき、4つの円弧で囲まれる活物質層の面方向の菱形状部位を緩衝部として設け、当該菱形状部位で穴加工を行わない。一方、当該菱形状部位を除いた面方向の残りの部位である残余部位を非緩衝部として設け、当該残余部位96一な穴加工を行うようにしてよい。
各実施形態では、正極活物質層10、11の面方向に設ける緩衝部及び非緩衝部について説明したが、負極活物質層5、6の面方向に適用することも可能である。
(比較例1〜3)
実施例1と対照するため比較例1〜3を次のように製作した。すなわち、正極活物質層10、11の厚さを118μm程度とし、正極活物質層10、11に全く穴加工を行っていない正極8を用いた電池を比較例1として製作した。比較例1より正極活物質層10、11の厚さを厚くしたものを比較例2として製作した。比較例1に対してドリル加工(機械加工)により、正極活物質層に正極活物質層の表面から厚さ方向に均一な穴加工を行った正極8を用いた電池を比較例3として製作した。
図18は比較例3の正極8の一方の側の平面図で、正極活物質層10の面方向に集電体9まで到達する穴27を正極活物質層10の面方向に均一に設けている。同様に、正極8の他方の側の正極活物質層11の面方向にも、集電体9まで到達する穴28を正極活物質層11の面方向に均一に設けている。穴27、28のピッチを100μm、穴27、28の孔径を50μmとした。
(実施例1)
比較例3に対して、図19に示したように活物質層10(活物質層11についても)の面方向のうちの十字の部位31(34)を穴加工を行わない緩衝部として設けた。一方、十字の部位31(34)を除いた面方向の残りの部位である残余部位34(35)に均一な穴加工を行ったものを実施例1として製作した。実施例1は比較例3を前提とするので、残余部位34(35)に設ける穴27(28)のピッチは100μm、穴27(28)の孔径は50μmで、比較例3と同じである。
なお、第1実施形態の電極の製造方法は、集電体に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層を形成する活物質形成工程と、活物質層に対して、活物質層の厚さとほぼ同じ厚さか活物質層の厚さより高い厚さを有する凸部を持つ金型で活物質層をプレスする塑性加工工程とを含むものであった。一方、比較例3及び実施例1の電極の製造方法は、塑性加工工程を第1実施形態とは相違させている。すなわち、比較例3及び実施例1の塑性加工工程では、正極活物質層に対して、正極活物質層の厚さより長いドリルで正極活物質層に穴加工する。これによって集電体9には穴27が貫通することとなる。
図20は実施例1の正極8の一方の側の正極活物質層10及び集電体9の一部断面を、特に穴27の周囲がどうなっているのかがよく分かるように、光学顕微鏡で写真に撮り、その撮った写真をトレースした図である。図20に示したように正極活物質層10の厚さより長いドリルで正極活物質層10に穴加工すると、集電体9の一部がめくれて正極活物質層10に押込んだ押込み部が形成されている。この押し込み部は、正極活物質層10に図示のような圧縮応力(白抜き矢印参照)として働く。この押込み部によって正極活物質層10の内部に発生した圧縮応力で正極活物質層10と集電体9との間の密着性を向上できる。また、押込み部形成のためのコストを低減できる。
このように、実施例1では、集電体9と活物質層10、11とを有し、かつ活物質層10、11の表面から厚さ方向に穿設される穴27、28を有する正極8(電極)の製造方法であって、2つの工程を含む。すなわち、第1の工程は、集電体9に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層10、11を形成する活物質形成工程である。第2の工程は、活物質層10、11に対して、活物質層10、11の厚さより長いドリルで活物質層10、11に穴加工する塑性加工工程である。この塑性加工工程では、十字の部位31、34(活物質層の面方向の一部の部位)に穴密度(活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合)が相対的に小さい緩衝部を設ける。また、残余部位32、35(前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位)に穴密度(活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合)が相対的に大きい非緩衝部を設ける。実施例1によれば、穴加工によってイオン伝導を向上させつつ、活物質層10、11と集電体9との間の剥離を抑制して両者の密着力を向上できるほか次の効果が得られる。すなわち、ドリルでの穴加工によって、集電体9の一部を活物質層10、11に押込み、押込み部を形成でき、押込み部によって活物質層10、11の内部に発生した圧縮応力で集電体9と活物質層10、11の間の密着性を向上できる。また、押込み部形成のためのコストを低減できる。
(評価)
レート特性にて電池の性能を評価した。図21は比較例1〜3及び実施例1のレート特性の結果をまとめたものである。比較例1より活物質層10、11の厚さを厚くした比較例2によれば、イオン伝導性が悪くなるため放電容量比が比較例1より低下している。比較例3によれば、正極活物質層10、11に均一な穴加工を行ったことにより正極活物質層10、11の体積が減るためか、放電容量比が比較例1より低下している。一方、正極活物質層10、11の面方向のうちの十字の部位31、34に穴加工を行っていない実施例1によれば、その分、正極活物質層10、11と集電体9の密着性が増す。正極活物質層10、11の集電体9からの剥離を抑制することで電池の出力低下を抑制できるため、放電容量比が比較例2、3より良くなっている。
インピーダンスにて抵抗を評価した。図22は比較例1〜3及び実施例1のインピーダンス特性の結果をまとめたものである。ただし、比較例3は正極活物質層10、11の集電体9からの剥離が生じている場合のインピーダンスを示しており、比較例3のインピーダンスZ”は、横軸のインピーダンスZ’がほぼ2.5Ω以上の領域で比較例1、2より大きくなっている。一方、実施例1によれば、正極活物質層10、11の集電体9からの剥離を抑制することでインピーダンスZ”を、横軸のインピーダンスZ’がほぼ1.5Ω以上の領域で比較例3より小さくすることができている。
図23は比較例1、3及び実施例1のオーミック抵抗をまとめたものである。ただし、比較例3は正極活物質層10、11の集電体9からの剥離が生じている場合のものである。実施例1によれば、オーミック抵抗は、正極活物質層10、11の集電体9からの剥離が生じている比較例3に比べてほぼ半分に抑制されている。このように、オーミック抵抗が比較例3のほぼ半分になると実施例1の出力は比較例3のほぼ2倍となる。
充電−放電サイクル試験で寿命を評価した。図24は比較例1〜3及び実施例1の充放電サイクルに対する放電容量比特性の結果をまとめたものである。実施例1によれば比較例3よりも寿命が延びている。
#2 塑性加工工程
2 発電要素
3 負極(電極)
4 負極集電体(集電体)
5、6 負極活物質層(活物質層)
5a 空孔
8 正極(電極)
8a〜8c エッジ部
9 正極集電体(集電体)
10、11 正極活物質層(活物質層)
13 セパレータ
22 ローラ(型)
23 凸部
25〜28 穴
25a 円筒状側面(側面)
25b 底面
31 十字の部位(緩衝部)
31a〜31d 4つの端
32、33 帯状の部位
34 残余部位(非緩衝部)
35 十字の部位(緩衝部)
35a〜35d 4つの端
36、37 帯状の部位
38 残余部位(非緩衝部)
41 一部の部位(緩衝部)
42 残余部位(非緩衝部)
51、52 線状の部位(緩衝部)
53 残余部位(非緩衝部)
61、62 線状の部位(緩衝部)
63 残余部位(非緩衝部)
71〜74 直線状の部位(緩衝部)
75 残余部位(非緩衝部)
81〜84 円弧
85 菱形状部位(緩衝部)
86 残余部位(非緩衝部)
91〜94 円弧
95 菱形状部位(緩衝部)
96 残余部位(非緩衝部)

Claims (10)

  1. 集電体と活物質層とを有し、かつ前記活物質層は前記活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴を有する電極において、
    前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部が前記活物質層の面方向の一部の部位に、前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部が前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位にそれぞれ設けられており、
    前記非緩衝部内において隣り合う前記穴と穴のピッチは、前記緩衝部を介して隣り合う前記穴と穴のピッチよりも小さく、
    前記緩衝部は、前記活物質層の面方向の少なくとも一つの帯状の部位で構成され、
    前記帯状の部位の面方向において最も長い長さは、前記穴と穴のピッチの2倍の長さよりも長く、
    前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部は、前記穴の数の割合がゼロであり、
    前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部は、前記穴の数の割合が正の値である
    ことを特徴とする電極。
  2. 前記穴は、前記集電体にまで到達するかまたは前記集電体を貫通していることを特徴とする請求項1に記載の電極。
  3. 記帯状の部位は前記活物質層のエッジ部まで設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電極。
  4. 記帯状の部位は前記活物質層のすべてのエッジ部まで到達していることを特徴とする請求項1に記載の電極。
  5. 記帯状の部位が複数である場合に、複数の前記帯状の部位が交差していることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の電極。
  6. 前記緩衝部は前記活物質層の面方向の中央部に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電極。
  7. 前記電極は、無数の空孔を有する活物質層が形成された電極あって、
    前記活物質層は、前記活物質層の表面から厚さ方向に穿設された穴の側面から前記活物質層の面方向につながる空孔を有し、その穴の周縁部分の前記活物質層の空孔率が前記活物質層の前記周縁部分以外の空孔率よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電極。
  8. 集電体と活物質層とを有し、かつ前記活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴を有する電極の製造方法であって、
    集電体に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層を形成する活物質形成工程と、
    前記活物質層に対して、前記活物質層の厚さと同じ厚さか前記活物質層の厚さより高い厚さを有する凸部を持つ金型で前記活物質層をプレスすることにより、前記活物質層の面方向の一部の部位に前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部を、前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位に前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部を、前記非緩衝部内において隣り合う前記穴と穴のピッチが、前記緩衝部を介して隣り合う前記穴と穴のピッチよりも小さくなるようにそれぞれ設ける塑性加工工程とを含み、
    前記緩衝部は、前記活物質層の面方向の少なくとも一つの帯状の部位で構成され、
    前記帯状の部位の面方向において最も長い長さは、前記穴と穴のピッチの2倍の長さよりも長く、
    前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部は、前記穴の数の割合がゼロであり、
    前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部は、前記穴の数の割合が正の値であることを特徴とする電極の製造方法。
  9. 集電体と活物質層とを有し、かつ前記活物質層の表面から厚さ方向に穿設される穴を有する電極の製造方法であって、
    集電体に電極スラリーを塗布して乾燥させることで活物質層を形成する活物質形成工程と、
    前記活物質層に対して、前記活物質層の厚さと同じ厚さか前記活物質層の厚さより高い厚さを有する凸部を持つ金型で前記活物質層をプレスすることにより、前記活物質層の面方向の一部の部位に前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部を、前記一部の部位を除いた面方向の残りの部位に前記活物質層の面方向の所定の領域に対する前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部を、前記非緩衝部内において隣り合う前記穴と穴のピッチが、前記緩衝部を介して隣り合う前記穴と穴のピッチよりも小さくなるようにそれぞれ設ける塑性加工工程とを含み、
    前記緩衝部は、前記活物質層の面方向の少なくとも一つの帯状の部位で構成され、
    前記帯状の部位の面方向において最も長い長さは、前記穴と穴のピッチの2倍の長さよりも長く、
    前記穴の数の割合が相対的に小さい緩衝部は、前記穴の数の割合がゼロであり、
    前記穴の数の割合が相対的に大きい非緩衝部は、前記穴の数の割合が正の値であることを特徴とする電極の製造方法。
  10. 請求項1からまでのいずれか一つに記載の電極を用いた電池。
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