以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
<第1の形態>
1.パチンコ遊技機1の構造
第1の形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,パチンコ遊技機1は,遊技機枠50のうち前方にある前面枠51に,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。
ハンドル60は,前面枠51中の右下に位置し,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度をパチンコ遊技機1に入力するためのものである。また,ハンドル60には,遊技者によって操作され,遊技球の発射を停止させるための発射停止ボタン64が設けられる。打球供給皿61は,前面枠51の左右方向の中央に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67を備えている。このうち枠ランプ66は,前面枠51の左側および右側に位置し,各種の演出の必要に応じて点灯する。また,このうちスピーカ67は,前面枠51の左上部および右上部に位置し,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,その異常を報知するために,例えば,サイレン音等の報知音を出力する。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,図2に示すように,打球供給皿61の上側に操作盤63が設けられる。操作盤63には,遊技者が操作し得る各種のボタンとして,4つの方向ボタン63U,63D,63L,63Rからなる十字ボタン63Aと,十字ボタン63Aの左方に位置する演出ボタン63Bと,が設けられる。
十字ボタン63Aは,図2に示したように,後側に配される上方向ボタン63U,前側に配される下方向ボタン63D,左側に配される左方向ボタン63L,右側に配される63R,から構成される。十字ボタン63Aおよび演出ボタン63Bは,パチンコ遊技機1の前側,すなわち打球供給皿61の上部前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,十字ボタン63Aの各ボタンおよび演出ボタン63Bを容易に操作できる。
また,パチンコ遊技機1は,図1に示したように,遊技盤2に,レール部材4と,複数の遊技くぎ29と,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が移動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,発射された遊技球を遊技領域3に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,液晶表示部材を有する画像表示装置7を備えている。また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における画像表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の契機となる。大当たりの抽選の詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらにセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の下方に,文字や図形を表した装飾部材13を備え,さらに装飾部材13の後方に装飾可動体15を備えている。
また,パチンコ遊技機1は,固定入賞装置19よりも右方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め下方に,入球ユニットUNを備えている。入球ユニットUNは,第1大入賞装置31と,第2大入賞装置36と,普通可変入賞装置22と,ゲート28と,を有しており,これら各装置31,36,22およびゲート28をユニット化したものである。入球ユニットUNは,遊技盤2に対して着脱可能になっている。そのため,前述した各装置31,36,22およびゲート28を一体として遊技盤2に組み付けることができるとともに,遊技盤2から取り外すこともできる。
普通可変入賞装置22は,入球ユニットUNのうち右側に設けられている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21と,本体部材25と,を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞も,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の契機となる。電チュー22は,遊技盤2に対して前後方向に進退可能な進退部材23を備え,進退部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,進退部材23が後方に退避した状態である退避状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,進退部材23が前方に進出した状態である進出状態である場合,遊技球が入球不可能になる。この場合,第2始動口21の上側に到達した遊技球は,進退部材23の左方に弾かれ,第2大入賞口35および第1大入賞口30に向かう。つまり,第2始動口21は,進退部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,進退部材23が進出状態では退避状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,進退部材23が進出状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。
ゲート28は,入球ユニットUNのうち第2始動口21の上方に設けられている。ゲート28は,遊技球が上下方向に通過可能な通過領域28bを有する。ゲート28への遊技球の通過は,パチンコ遊技機1による普通当たりの抽選の契機となる。普通当たりの抽選の詳細については後述する。
第1大入賞装置31は,第1大入賞口30を有し,入球ユニットUNのうち電チュー22の左下方に設けられている。第1大入賞装置31は,開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。
第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を有し,入球ユニットUNのうち電チュー22の左方であって,第1大入賞装置31の上方に設けられている。第2大入賞装置36は,開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。
より詳細には,図3(A)に示すように,第2大入賞装置36の内部には,第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な領域である特定領域39および非特定領域70が形成されている。なお,第2大入賞装置36において,特定領域39内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する特定領域センサ39aが設けられ,非特定領域70内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する非特定領域センサ70aが設けられている。
また,第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を通過した遊技球を,特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と,を備えている。振分部材71は,遊技盤2に対して下端部を軸として回動可能に取り付けられ,遊技球の特定領域39への移動と非特定領域70への移動とを切り換える。
具体的には,図3(A)に示すように,振分部材71が非特定領域70の入口を塞ぐことで遊技球の非特定領域70への移動を規制し,遊技球を特定領域39に振り分ける第1状態となる。これにより,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,特定領域39を通過する。
一方,図3(B)に示すように,振分部材71が特定領域39の入口を塞ぐことで遊技球の特定領域39への移動を規制し,遊技球を非特定領域70に振り分ける第2状態となる。これにより,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,非特定領域70を通過する。
パチンコ遊技機1では,特定領域39への遊技球の通過が,高確率状態への移行の契機となる。つまり,特定領域39は,高確率状態への作動口となる。高確率状態については後述する。これに対し,非特定領域70は,高確率状態への作動口ではない。また,第1大入賞装置31には,第2大入賞装置36の特定領域39のような,高確率状態への作動口としての領域は設けられていない。すなわち,第1大入賞装置31には,第2大入賞装置36の非特定領域70と同様の領域しか設けられていない。
図1の説明に戻り,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3の下部に,小入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと,右側の右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が移動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が移動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。パチンコ遊技機1では,左打ちの場合,第1始動口20への入賞が狙い易い構成になっている。一方,右打ちの場合,ゲート28への通過,第2始動口21,第1大入賞口30,および第2大入賞口35への入賞が狙い易い構成になっている。なお,パチンコ遊技機1は,遊技盤2に,右遊技領域3Bに侵入した遊技球をゲート28にガイドする右打ちガイド部材150を備えている。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右下方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図4に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,普通図柄表示器42の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器44と,が含まれる。
第1特別図柄の表示変更は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の表示変更は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,大当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。なお,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技の制御を行う。なお,大当たり遊技を「特別遊技」ともいう。大当たり遊技における第1大入賞口30または第2大入賞口35の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図4に示すように,横並びに配置された8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。例えば,特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って左から8番目にあるLEDを点灯させる。なお,ハズレの場合の特別図柄は,大当たりに対応する特別図柄以外の特別図柄である。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数を取得し,当該大当たり乱数を自身のメモリの特定の記憶領域に一旦記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第1始動口20用の記憶領域(後述する図5に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第2始動口21への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第2始動口21用の記憶領域(後述する図5に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1ではそれぞれの上限数を4としている。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1が当該大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の表示を実行することをいう。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示の実行中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,4個を上限として,その入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1始動口20への入賞に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2始動口21への入賞に対する特図保留を,第2特図保留とする。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図4に示すように,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bともに4個のLEDで構成されており,各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲート28への遊技球の通過を契機に,普通当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通当たりの抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通当たりに当選した場合には,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図4に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通当たり抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。例えば,普通図柄表示器42は,普通当たりの当選に対応する特定普通図柄の表示として,「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って左のLEDを点灯させる。なお,ハズレの場合の普通図柄は,特定普通図柄以外の普通図柄であり,特定普通図柄ではない。また,普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,ゲート28への遊技球の通過があると,その通過に対して普通当たりの抽選用の乱数である普通当たり乱数の値を取得し,当該普通当たり乱数を自身のメモリの特定の記憶領域(後述する図5に示す普図保留記憶部86)に一旦記憶する。記憶領域に記憶可能な普通当たり乱数の値の数には上限があり,パチンコ遊技機1では上限数を4としている。
記憶された普通当たり乱数は,その値に基づく普通図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。普通当たり乱数の値の消化とは,パチンコ遊技機1がその普通当たり乱数の値が普通当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための普通図柄の表示を実行することをいう。従って,パチンコ遊技機1では,ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の表示がその通過後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中に遊技球のゲート28の通過があった場合であっても,4個を上限として,その通過に対する普通当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,普図保留という。
パチンコ遊技機1は,前述のような普図保留の数を,普図保留表示器44に表示する。具体的には,普図保留表示器44は,図4に示すように,4個のLEDで構成されており,普図保留の数だけLEDを点灯させることで普図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1は,図1に示したように,遊技領域3の中央付近に,画像表示装置7を備え,画像表示装置7の表示画面7aには,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域が含まれる。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の図柄からなる。画像表示装置7は,左,中,右の演出図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,画像表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で演出図柄を表示する。また,「はずれ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で演出図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握するのではなく,画像表示装置7に表示される演出図柄の組み合わせによって把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,画像表示装置7は,演出図柄の変動表示に際し,例えば,演出図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。
なお,画像表示装置7は,前述のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,数字等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,画像表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留の記憶数に応じて,演出保留図柄9Aを表示する第1演出保留表示領域と,第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留図柄9Bを表示する第2演出保留表示領域と,が含まれる。画像表示装置7は,演出保留図柄9A,9Bの表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43よって把握するのではなく,画像表示装置7の演出保留図柄9A,9Bによって把握できる。
2.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図5および図6を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,大当たりの抽選や普通当たりの抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,画像表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
主制御基板80には,図5に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通当たりの抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられている。また,特図保留記憶部85には,第1始動口20を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2始動口21を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられている。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,ゲートセンサ28a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,特定領域センサ39a,非特定領域センサ70a,および小入賞口センサ27a,がある。
第1始動口センサ20aは,第1始動口20の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1始動口20を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2始動口センサ21aは,第2始動口21の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2始動口21を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。ゲートセンサ28aは,ゲート28の直下の通過領域28b内(図1参照)に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が通過領域28bを通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特定領域センサ39aは,特定領域39内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。非特定領域センサ70aは,非特定領域70内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。小入賞口センサ27aは,各小入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各小入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,第2大入賞口ソレノイド38,および振分部材ソレノイド73,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の進退部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。振分部材ソレノイド73は,第2大入賞装置36の振分部材71を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b,および普図保留表示器44,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞による払い出しの賞球数は3球であり,第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,小入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,ハンドル60(図1参照)の他,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者による発射装置112のハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。また,遊技者による発射装置112の発射停止ボタン64の操作があった場合,発射停止スイッチ116から押下があった旨の信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,あるいは遊技球が発射されないよう,発射装置112を制御する。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
サブ制御基板90には,図6に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,占有モードへの移行を許可するパスワードである許可パスワードを記憶する許可パスワード記憶部95aと,他装置で使用中のパスワードである使用中パスワードを記憶する使用パスワード記憶部95bと,占有モードを強制的に解除するパスワードである共有パスワードを記憶する共有パスワード記憶部95cと,パチンコ遊技機1に入力されたパスワードである入力パスワードを記憶する入力パスワード記憶部96と,が設けられている。占有モードは,パチンコ遊技機1に対する遊技を一時的に制限するモードであり,詳細については後述する。許可パスワード記憶部95a,使用パスワード記憶部95b,および共有パスワード記憶部95cには,1ないし複数のパスワードが記憶される。入力パスワード記憶部96には,1つのパスワードが記憶される。
サブ制御基板90には,画像制御基板100,ランプ制御基板107,音声制御基板106,および通信制御基板109が電気的に接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は,画像データが展開されるメモリである。画像制御基板100のROM103には,画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データが記憶されている。画像制御基板100のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データを読み出す。そして,読み出した画像データを画像表示装置7に表示させる。
また,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,音声制御基板106を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる音声制御を行う。具体的に,スピーカ67から出力される音声等の音響データは,サブ制御基板90のROM93に記憶される。なお,音声制御基板106に音響データを記憶させてもよい。また,画像制御基板100とスピーカ67ないし音声制御基板106とを電気的に接続し,画像制御基板100に音声制御を行わせてもよい。この場合,画像制御基板100が音響データを記憶してもよい。
また,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ制御基板107を介して,枠ランプ66や盤ランプ5等の各ランプの点灯制御を行う。具体的に,演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し,当該発光パターンデータをランプ制御基板107に送信する。発光パターンデータを受信したランプ制御基板107は,当該発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。
さらに,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ制御基板107に,中継基板108を介して電気的に接続された装飾可動体15を動作させる。なお,装飾可動体15は,センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。具体的に,演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,装飾可動体15の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,当該動作パターンデータをランプ制御基板107に送信する。動作パターンデータを受信したランプ制御基板107は,当該動作パターンデータに従って装飾可動体15の動作制御を行う。
なお,ランプ制御基板107にCPUを実装してもよい。その場合,そのCPUにランプの点灯制御や装飾可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにその場合,ランプ制御基板107にROMを実装してもよく,そのROMに発光パターンデータの作成に用いるデータや,動作パターンデータの作成に用いるデータを記憶させてもよい。
また,演出制御用マイコン91は,通信制御基板109を介して,外部装置との通信を行う。具体的に本形態では,演出制御用マイコン91は,通信制御基板109を介して,ホールコンピュータ900に各種の要求信号を送信し,ホールコンピュータ900から送信される応答信号を受信する。通信方式は,ホールコンピュータ900と一対一で通信する方式であってもよいし,ホールコンピュータ900の他,他の外部装置との同時通信も可能な方式であってもよい。
また,サブ制御基板90には,十字ボタン検出スイッチ63xと,演出ボタン検出スイッチ63yと,が電気的に接続されている。十字ボタン検出スイッチ63xは,十字ボタン63Aの各種のボタンにそれぞれ対応した検出スイッチからなる。そのため,十字ボタン63Aのいずれかのボタンが押下されると,十字ボタン検出スイッチ63xからサブ制御基板90に対して,押下されたボタンに対応する信号が出力される。また,演出ボタン検出スイッチ63yは,演出ボタン63Bに対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63Bが押下されると,演出ボタン検出スイッチ63yからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63Bに関する信号が出力される。十字ボタン検出スイッチ63xないし演出ボタン検出スイッチ63yから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,十字ボタン63Aないし演出ボタン63Bが押下されたか否かを判断できる。
3.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞を契機に,大当たりの抽選を行う。具体的に,パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,特図変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1が行う大当たりの抽選の結果には,「大当たり」と「ハズレ」とがある。大当たり乱数は,図7(A)に示すように,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,通常確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜164の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。なお,パチンコ遊技機1では,図7(A)に示すように,大当たりの当選確率が異なる2つの遊技状態,すなわち通常確率状態と高確率状態とがあり,高確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜649の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断する。遊技状態の詳細については後述する。
パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合には,特別図柄表示器41に,大当たりに対応する特別図柄である「大当たり図柄」を停止表示させる。「大当たり」には,幾つかの種類があり,種類に応じた「大当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合には,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,ハズレに対応する特別図柄である「ハズレ図柄」を停止表示させる。
さらにパチンコ遊技機1は,大当たりの抽選の結果が「大当たり」であった場合,大当たりの種類に応じた開放パターンにて,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放する制御である「大当たり遊技」を実行する。なお,以下の説明では,第1大入賞口30および第2大入賞口35を総称する場合,大入賞口という。
大当たり遊技は,1回または複数回のラウンド遊技と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニングと,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディングと,を含んでいる。各ラウンド遊技は,オープニングの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始し,次のラウンド遊技の開始またはエンディングの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間であるインターバル時間は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりの種別については,図8および図9に示すように,大別して「Vロング大当たり」と「Vショート大当たり」とがある。パチンコ遊技機1では,大当たりの抽選において大当たりに当選した場合,大当たり種別の抽選も行う。大当たり種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜9までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図8に示すように,第1始動口20への入賞に基づく抽選(図8中,特図1)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜5の範囲内の値であれば,Vロング大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればVショート大当たりと判断する。一方,第2始動口21への入賞に基づく抽選(図8中,特図2)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜9の範囲内の値,すなわち全ての値で,Vロング大当たりに当選したと判断する。
「Vロング大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能なVロング開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が不可能なVショート開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には,図9に示すように,「Vロング大当たり」は,総ラウンド数が16ラウンド(R)である。1R目から13R目までの各ラウンドおよび15R目では,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放する。また,14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。なお,振分部材71は,大当たり遊技の開始またはラウンド遊技の開始から,前述した図3(A)に示す第1状態,または図3(B)に示す第2状態に一定の周期で変動している。そのため,14R目および16R目の各ラウンドでは,第2大入賞口35を通過した遊技球を,第2大入賞口35を介して特定領域39内に通過させることが可能である。
これに対して,「Vショート大当たり」は,総ラウンド数が16Rであるものの,実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり,1R目から13R目までの各ラウンドは,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放するが,15R目は,0.08秒しか第1大入賞口30を開放しない。また,14R目および16R目の各ラウンドも,0.08秒しか第2大入賞口35を開放しない。従って,Vショート大当たりでは,14R目から16R目までの各ラウンドは,大入賞口の開放時間が極めて短く,賞球が見込めないラウンドとなっている。つまり,Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,仮に遊技球が第2大入賞口35を通過してもその遊技球が特定領域39を通過することができないタイミング,すなわち振分部材71が第2状態になったタイミングで,第2大入賞装置36の開閉部材37を開放する。このため,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能になっている。
パチンコ遊技機1では,大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて,その大当たり遊技の終了後の遊技状態を,高確率状態に移行させる。つまり,前述のVロング大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過することで,大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して,Vショート大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39をほぼ通過できないため,大当たり遊技後の遊技状態は,通常確率状態となる。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞に基づく抽選(図8中,特図1)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが60%,Vショート大当たりが40%となっている。これに対して,第2始動口21への入賞に基づく抽選(図8中,特図2)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが100%となっている。すなわち,後述する電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく抽選により大当たりに当選した場合には,必ずVロング大当たりになる。このようにパチンコ遊技機1では,第1始動口20に遊技球が入球して行われる大当たりの抽選よりも,第2始動口21に遊技球が入球して行われる大当たりの抽選の方が,遊技者にとって有利となるように設定されている。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数,変動パターン乱数がある。リーチ乱数は,大当たり判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決定するために用いられる乱数である。リーチとは,複数の演出図柄のうち変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって,変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態,例えば「7↓7」(↓:変動中)といった状態,のことである。リーチ乱数は,0〜127までの範囲内の値となる。変動パターン乱数は,特別図柄の変動時間を含む変動パターンを決定するために用いられる乱数である。変動パターン乱数も,0〜127までの範囲内の値となる。
また,パチンコ遊技機1では,ゲート28への遊技球の通過に基づいて取得される乱数として,普通当たり乱数がある。普通当たり乱数は,電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選に用いられる乱数である。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。
4.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選(特別図柄表示器41)および普通当たりの抽選(普通図柄表示器42)に関して,それぞれ「確率変動機能」と「変動時間短縮機能」とを有している。大当たりの抽選で確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい,作動していない状態を「通常確率状態」という。高確率状態では,図7(A)に示したように,大当たりに当選する確率が通常確率状態よりも高い。すなわち,大当たりの抽選で確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,大当たりの抽選で結果が大当たりとなる確率が高くなる。
また,大当たりの抽選で変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい,作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では,特別図柄表示器41での特別図柄の変動時間,すなわち変動表示開始時から表示結果の停止表示時までの時間が,非時短状態よりも短い。具体的にパチンコ遊技機1は,図7(B)に示すように,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,リーチ有りと判定されるリーチ乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が少なくなる判定テーブルを用いて,リーチの判定を行う。つまり,時短状態では,特別図柄が停止表示されるまでの時間が長いリーチになる確率が低くなる。つまり,大当たりの抽選で変動時間短縮機能が作動すると,作動していないときと比較して,特別図柄の変動表示の変動時間として短い変動時間が選択され易くなる。その結果,時短状態では,特図保留の消化のペースが速くなり,特図保留として記憶され得る始動口への有効な入賞が発生し易くなる。そのため,遊技者は,スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことが可能となる。
大当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,同時に作動してもよいし,一方のみが作動してもよい。そして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,大当たりの抽選における変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち,普通当たりの抽選における確率変動機能および変動時間短縮機能は,時短状態において作動し,非時短状態において作動しない。よって,時短状態では,普通当たり抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。具体的にパチンコ遊技機1は,図7(C)に示すように,普通当たりと判定される普通当たり乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が多くなる判定テーブルを用いて,普通当たりの抽選を行う。つまり,普通当たりの抽選で確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,普通当たりの抽選で結果が普通当たりとなる確率が高くなる。
また,時短状態では,普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短い。パチンコ遊技機1では,例えば,非時短状態の変動時間が30秒であり,時短状態の変動時間が1秒である。また,時短状態では,補助遊技における電チュー22の開放時間が,非時短状態よりも長くなっている。すなわち,電チュー22の開放時間延長機能が作動している。一方,時短状態でも非時短状態でも,補助遊技における電チュー22の開放回数は同じである。つまり,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能が作動していない。なお,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能を作動してもよい。
かくして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では,これらの機能が作動していない場合と比較して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することになる。その結果,遊技球の発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい,作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では,遊技者は,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御,いわゆる電サポ制御が実行されている状態ともいえる。
なお,高ベース状態は,前述した複数の機能が全て作動するものでなくてもよい。すなわち,普通当たりに抽選における確率変動機能,普通当たりの抽選における変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,1つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また,高ベース状態は,時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がなされていれば,高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に,「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は,所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また,パチンコ遊技機1では,Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技の遊技状態は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がほぼなされないことから,通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は,所定回数の特別図柄の変動表示が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお,パチンコ遊技機1の電源投入後の遊技状態は,通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確低ベース状態」という。また,大当たり遊技の実行中の状態を「大当たり遊技状態」と称する。なお,大当たり遊技状態を「特別遊技状態」ともいう。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では,右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を侵入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されているため,低ベース状態と比べて電チュー22が開放され易くなっており,第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,普通当たり抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ,第2始動口21へ入賞させるべく右打ちを行う。これにより,左打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
これに対して,低ベース状態では,左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を侵入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されていないため,高ベース状態と比べて電チュー22が開放され難くなっており,第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,第1始動口20へ入賞させるべく左打ちを行う。これにより,右打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
5.第1の形態におけるパチンコ遊技機1の占有
続いて,パチンコ遊技機1の占有について説明する。パチンコ遊技機1では,パチンコ遊技機1に対する遊技を一時的に制限する占有モードを有している。具体的にパチンコ遊技機1では,占有モードで動作中,画像表示装置7での遊技に関する演出画像の表示と,発射装置112での遊技球の発射と,を禁止する。遊技に関する演出画像には,例えば,演出図柄変動演出に用いられる画像が含まれる。一方,客待ち待機状態におけるデモンストレーション画像は,遊技に関する演出画像に含まれない。
占有モードへの移行および解除には,パスワードの入力が必要であり,パチンコ遊技機1では,パスワードの入力を演出ボタン63Bおよび十字ボタン63Aへの操作によって受け付ける。そして,入力されたパスワードが適切であれば,パチンコ遊技機1は,占有モードへの移行あるいは解除を行う。
上述の占有モードへの移行手続きを,図10を参照しつつより具体的に説明する。遊技者は,パチンコ遊技機1を占有する場合,あらかじめホールの店員からパスワードを受け取っておく。パスワードは,ホールコンピュータによって複数作成される。ホールの店員は,そのうちの1つを遊技者に教示する。パスワードは,所定時間,例えば1日ごとに更新される。つまり,パスワードには,有効期限があり,例えば1日ごとに更新される場合,有効期限は最大1日となる。遊技者は,占有したいパチンコ遊技機1の演出ボタン63Bを押下する。
パチンコ遊技機1は,占有モード以外のモード(非占有モード)の1つである客待ち待機状態中,演出ボタン63Bの押下を受け付けると,図10(A)に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,パスワードの入力を要求するパスワード入力画面181を表示させる。パスワード入力画面181には,メッセージ画像171と,占有状態を図示する錠図柄172と,数字が一覧表示される入力欄173と,入力された数字を入力順に表示する入力数字領域175と,が含まれる。メッセージ画像171には,パスワードの入力を要求するメッセージが含まれる。錠図柄172には,開状態と閉状態との2種類の図柄があり,占有モードで動作中は閉状態の図柄が表示され,非占有モードで動作中は開状態の図柄が表示される。図10(A)の段階では,客待ち待機状態であり,錠図柄172は開状態の図柄である。
入力欄173には,0〜9の各数字ボタンと,キャンセルボタンと,確定ボタンと,が表示され,カーソル174に示される項目が選択項目となる。さらに,選択項目は,他の項目と比較して拡大表示される。カーソル174は,十字ボタン63Aの押下によって押下されたボタンに対応する方向に移動し,それに伴って移動先の項目が新たに選択項目となる。そして,演出ボタン63Bが押下されることで,選択項目に対する入力が受け付けられる。例えば,図10(A)に示すように,「3」が選択項目の状態で演出ボタン63Bが押下されると,図10(B)に示すように「3」の入力が受け付けられ,「3」が入力数字領域175に表示される。
また,入力欄173のうち,キャンセルボタンは,占有モードの切り替えをキャンセルする指示を受け付けるボタンであり,確定ボタンは,入力されたパスワードを確定させるためのボタンである。つまり,パチンコ遊技機1は,キャンセルボタンの入力を受け付けると,パスワードの入力をキャンセルし,パスワード入力画面181から客待ち待機状態の画像に戻る。一方,確定ボタンの入力を受け付けると,入力数字領域175に表示されている数字列を,入力されたパスワードに確定する。
パチンコ遊技機1は,ホールコンピュータによって作成されたパスワードをあらかじめ取得しておき,パスワードが確定すると,ホールコンピュータから取得したパスワードと入力されたパスワードとを照合する。そして,ホールコンピュータが作成したパスワードと一致する場合,パチンコ遊技機1は,入力されたパスワードを記憶し,占有モードに移行する。
占有モード中,パチンコ遊技機1は,図10(C)に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,占有モードであることを示す占有画面182を表示させる。占有画面182には,メッセージ画像171と,占有状態を図示する錠図柄172と,が含まれる。メッセージ画像171には,占有中である旨のメッセージが含まれる。また,占有モードを解除するための情報も含まれる。また,錠図柄172は,占有モード中であるため,閉状態の図柄である。
次に,占有モードの解除手続きを,図11を参照しつつより具体的に説明する。パチンコ遊技機1は,占有モード中に演出ボタン63Bの押下を受け付けると,図11(A)に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,パスワードの入力を要求するパスワード入力画面181を表示させる。占有モードでのパスワード入力画面181は,図10(A)に示した非占有モードでのパスワード入力画面181と同じ構成であるが,占有モード中であるため,錠図柄172が閉状態の図柄である。
そして,パチンコ遊技機1は,図11(B)に示すように,非占有モードでのパスワード入力画面181と同様の手順でパスワードの入力を受け付ける。そして,パチンコ遊技機1は,入力されたパスワードが,占有モードに移行した際に記憶したパスワードと一致すれば,占有モードを解除する。パチンコ遊技機1は,占有モードが解除されることで,図11(C)に示すように,客待ち待機状態に戻り,画像表示装置7の表示画面7aに,客待ち待機用の画像180を表示させる。そのため,パチンコ遊技機1は,通常の遊技が可能になる。
6.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図12のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,CPU82等の初期設定を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,各種のフラグ,ステータス,およびカウンタ,のリセットを行う。なお,S001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS101では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,メイン側タイマ割り込み処理について,図13のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,払い出しに関する情報を更新する(S111)。具体的にS111では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,小入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S111の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S121)。S121の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S121の後,遊技制御用マイコン81は,第1始動口20,第2始動口21の少なくとも一方で遊技球が通過したか否かを判断する(S131)。遊技球が始動口を通過していた場合(S131:YES),遊技制御用マイコン81は,遊技球が通過した始動口に対応する特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S132)。
特図保留の数が4個未満であれば(S132:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得し,それらの乱数の値に基づく大当たりの抽選の処理を開始する(S133)。
具体的に大当たりの抽選の処理では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20aから遊技球が通過した旨の信号が出力されていた場合,第1始動口20に対応する第1特図保留の数が4個未満であることを条件に,大当たりに関する各乱数の値を取得し,第1特図保留記憶部85aに記憶する。また,第2始動口センサ21aから遊技球が通過した旨の信号が出力されていた場合,第2始動口21に対応する第2特図保留の数が4個未満であることを条件に,大当たりに関する各乱数の値を取得し,第2特図保留記憶部85bに記憶する。
その後,遊技制御用マイコン81は,図7(A)に示した大当たりの判定テーブルと大当たり乱数の値とを照合し,大当たりに当選したか否かを判定する。さらに大当たりに当選していれば,大当たり種別乱数の値に基づいて,大当たりの種別を判定する。一方,ハズレであれば,図7(B)に示したリーチの判定テーブルとリーチ乱数の値とを照合し,リーチを発生させるか否かを判定する。さらに,不図示の変動パターンの判定テーブルと変動パターン乱数の値とを照合し,リーチ有りの場合にどの変動パターンとするかを判定する。
その後,遊技制御用マイコン81は,大当たりの抽選結果の表示が可能となったことを条件として,抽選結果を報知するための特別図柄の変動表示と停止表示とを行わせるための変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。また,大当たりに当選している場合には,遊技制御用マイコン81は,大当たりの種類に応じた所定の開放パターンに従って,第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技を行わせるため,各ソレノイドに対する制御を行う。
なお,遊技制御用マイコン81は,大当たりの抽選終了後,特図保留の数が0になったことに応じて,客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。客待ち待機コマンドを受信する演出制御用マイコン91の動作については後述する。
S133の後,あるいは特図保留の数が4個以上の場合(S132:NO),あるいは遊技球がゲートを通過していない場合(S131:NO),遊技制御用マイコン81は,遊技球がゲート28を通過したか否かを判断する(S141)。遊技球がゲート28を通過していた場合(S141:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数が4個未満か否かを判断する(S142)。
普図保留の数が4個未満であれば(S142:YES),遊技制御用マイコン81は,普通図柄乱数の値を取得し,当該乱数の値に基づく普通当たりの抽選の処理を開始する(S143)。
具体的に,遊技制御用マイコン81は,ゲートセンサ28aから,遊技球が通過した旨の信号が出力されていた場合,普図保留の数が4個未満であることを条件に,普通図柄乱数の値を取得し,普図保留記憶部86に記憶する。その後,遊技制御用マイコン81は,図7(C)に示した普通当たりの判定テーブルと普通当たり乱数の値とを照合し,普通当たりに当選したか否かを判定する。その後,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選結果の表示が可能となったことを条件として,普通当たりに当選している場合に,遊技状態に応じた所定の開放パターンに従って,電チュー22を開放させる補助遊技を行わせるための,各ソレノイドに対する制御を行う。
S143の後,あるいは普図保留の数が4個以上の場合(S142:NO),あるいは遊技球が始動口を通過していない場合(S141:NO),遊技制御用マイコン81は,表示器類40の表示を制御する(S151)。S151の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
7.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図14のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,CPU92の初期化を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,各種のフラグ,ステータス,およびカウンタ,のリセットを行う。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S4001の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,演出図柄を決定するための演出図柄乱数,変動演出パターンを決めるための変動演出パターン乱数,種々の予告演出を決定するための予告演出乱数,の各種の乱数の値を更新する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,当該コマンドに従って画像表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出等を実行する。なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,サブ制御基板90は,音声制御基板106を介してスピーカ67から音を出力したり,ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を点灯させたり,装飾可動体15を駆動させたりする。このうちスピーカ67から出力される音の制御は,画像制御基板100から出力されるコマンドに基づいて実行されることがある。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。
S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。以降,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,2msタイマ割り込み処理(S4009),10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,当該コマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[2msタイマ割り込み処理]
次に,2msタイマ割り込み処理について,図15のフローチャートを参照しつつ説明する。2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,十字ボタン検出スイッチ63x,および演出ボタン検出スイッチ63yからの出力信号に基づいて,操作盤63上の各ボタンの押下の有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述する10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,ランプ制御基板107を介して各種のランプを点灯ないし消灯させるための制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じく10msタイマ割り込み処理にて作成される駆動データに従って,ランプ制御基板107を介して装飾可動体15を稼働させるための制御を行う(S4203)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じく10msタイマ割り込み処理にて作成される音声データに従って,音声制御基板106を介してスピーカ67に音声等を出力させるための制御を行う(S4204)。
S4204の後,演出制御用マイコン91は,発射制御基板111からの出力信号に基づいて,ハンドル60の操作の有無の情報を示すハンドルデータを作成する(S4205)。S4205の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行し(S4299),2msタイマ割り込み処理を終了する。
[10msタイマ割り込み処理]
次に,10msタイマ割り込み処理について,図16のフローチャートを参照しつつ説明する。10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析する受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。図17に,受信コマンド解析処理の手順を示す。
受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信したか否かを判断する(S4401)。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になったことを契機に,主制御基板80から出力される。主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信した場合(S4401:YES),演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する(S4402)。さらに客待ちフラグをオンにする(S4403)。
具体的にS4402では,演出制御用マイコン91は,客待ち演出に対応したシナリオデータをRAM94のシナリオバッファにセットする。客待ち演出としては,例えば,画像表示装置7によるデモンストレーション画像の表示が該当する。その後,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を実行するための客待ち演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。なお,セットされた客待ち演出開始コマンドおよびシナリオデータは,サブ側起動処理(図14参照)のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。
S4403の後,または主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信していない場合(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4411)。変動開始コマンドは,例えば,演出図柄変動演出を実行するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動開始コマンドを受信した場合(S4411:YES),演出制御用マイコン91は,占有フラグがオフか否かを判断する(S4412)。占有フラグは,占有モードで動作中か否かを示すフラグであり,占有モードに移行した場合にオンになり,占有モードが解除された場合にオフになる。
占有フラグがオフの場合(S4412:YES),演出制御用マイコン91は,受信したコマンドに応じた変動演出を開始する(S4413)。具体的にS4413では,演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを解析し,その解析結果に基づいて,変動開始コマンドに応じた変動パターンに適した変動演出パターンを選択する。そして,演出制御用マイコン91は,選択した変動演出パターンにて演出図柄変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。この場合も前述の客待ち演出開始コマンドと同様に,セットされた変動演出開始コマンドが,S4006にて画像制御基板100に送信され,画像制御基板100のCPU102が,当該コマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。一方,占有フラグがオンの場合(S4412:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを受信したとしても,変動演出を開始しない。すなわち,変動演出に伴う画像の表示が禁止される。
S4413の後,あるいは占有フラグがオンの場合(S4412:NO),演出制御用マイコン91は,客待ちフラグがオンか否かを判断する(S4414)。客待ちフラグがオンの場合(S4414:YES),演出制御用マイコン91は,客待ちフラグをオフにする(S4415)。
S4415の後,あるいは客待ちフラグがオフの場合(S4414:NO),あるいは主制御基板80から変動開始コマンドを受信していない場合(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,変動終了コマンド,大当たり遊技時のオープニングコマンド,ラウンドコマンド,エンディングコマンド,が該当する。S4499の後は,受信コマンド解析処理を終了する。
図16の説明に戻り,S4301の受信コマンド解析処理の後,演出制御用マイコン91は,2msタイマ割り込み処理(図15参照)のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4302)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,パチンコ遊技機1の入力操作を解析するスイッチデータ解析処理を実行する(S4303)。図18に,スイッチデータ解析処理の手順を示す。
スイッチデータ解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン63Bが押下されたか否かを判断する(S6000)。演出ボタン63Bが押下された場合(S6000:YES),演出制御用マイコン91は,客待ちフラグがオフか否かを判断する(S6001)。客待ちフラグがオフの場合(S6001:NO),演出図柄変動演出や大当たり演出の実行中であることから,演出制御用マイコン91は,実行中の演出に応じた演出制御を実行する(S6003)。
一方,客待ちフラグがオンの場合(S6001:YES),客待ち待機状態であることから,演出制御用マイコン91は,パスワードの入力を求める入力移行処理を実行する(S6002)。図19に,入力移行処理の手順を示す。
入力移行処理では,演出制御用マイコン91は先ず,入力フラグがオフか否かを判断する(S6101)。入力フラグは,パチンコ遊技機1が,パスワードの入力が可能な入力モードであるか否か,すなわちパスワード入力画面181(図10(A)ないし図11(A)参照)を表示中か否かを示すフラグであり,入力モードに移行した場合にオンになり,入力モードが解除された場合にオフになる。
入力フラグがオフの場合(S6101:YES),演出制御用マイコン91は,使用中表示フラグがオフか否かを判断する(S6111)。使用中表示フラグは,使用中のパスワードを入力した旨のメッセージが表示されているか否かを示すフラグであり,表示されている場合にオンになり,表示されていない場合にオフになる。使用中表示フラグの用途については後述する。
使用中表示フラグがオフの場合(S6111:YES),演出制御用マイコン91は,占有フラグがオフか否か,すなわち演出ボタン63Bの押下が占有モードに移行するための指示か,占有モードを解除するための指示かを判断する(S6102)。
占有フラグがオフの場合(S6102:YES),演出ボタン63Bの押下が占有モードに移行するための指示であることから,演出制御用マイコン91は,ホールコンピュータ900に対して,パスワードの送信を要求するパスワード要求を送信する制御を行う(S6103)。ホールコンピュータ900は,パスワード要求を受信すると,要求元のパチンコ遊技機1に対して,占有を許可するパスワードである許可パスワードの情報と,他の遊技機で使用中のパスワードである使用中パスワードの情報と,占有モードを強制的に解除できるパスワードである共有パスワードと,を送信する。演出制御用マイコン91は,通信制御基板109を介してホールコンピュータ900からの応答を受信すると,許可パスワードを許可パスワード記憶部95aに,使用中パスワードを使用パスワード記憶部95bに,共有パスワードを共有パスワード記憶部95cに,それぞれ記憶する。
S6103の後,あるいは占有フラグがオンの場合(S6102:NO),演出制御用マイコン91は,パスワードの入力指示を表示するための入力開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6104)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。具体的には,図10(A)あるいは図11(A)に示したような,パスワード入力画面181を表示させる。
S6104の後,演出制御用マイコン91は,カーソルデータを初期化する(S6105)。カーソルデータは,パスワード入力画面181に表示されるカーソルがどの数値を示しているかを記憶するデータであり,その初期値はカーソルの初期位置で示される数値である。カーソルデータは,初期位置が「0」を示す位置であり,十字ボタン63Aが押下されることで更新される。また,演出制御用マイコン91は,数字バッファを初期化する(S6106)。数字バッファは,入力された数値を,入力された順に記憶するバッファであり,初期状態では何も記憶されない。また,演出制御用マイコン91は,入力フラグをオンにする(S6107)。S6107の後,入力移行処理を終了する。
一方,使用中表示フラグがオンの場合(S6111:NO),演出制御用マイコン91は,パスワードの入力を取り消して客待ち待機状態に戻すための入力終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6112)。画像制御基板100のCPU102は,客待ちに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。また,演出制御用マイコン91は,使用中表示フラグをオフにする(S6113)。S6113の後,入力移行処理を終了する。
一方,入力フラグがオンの場合(S6101:NO),演出制御用マイコン91は,パスワード入力画面181の表示中に入力された情報を解析する入力解析処理を実行する(S6120)。S6120の後,入力移行処理を終了する。図20に,入力解析処理の手順を示す。
入力解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,カーソルデータに基づいて,カーソル174の位置が,数字ボタン上か,確定ボタン上か,キャンセルボタン上か,の位置を取得する(S6201)。入力モード中に表示されるパスワード入力画面181には,0〜9の各数字ボタンと,確定ボタンと,キャンセルボタンと,が含まれ,それらのうち1つをカーソル174によって選択できる。そのため,S6201では,演出制御用マイコン91は,演出ボタン63Bが押下された際,カーソル174がどの情報を選択していたかの情報を取得する。
S6201の後,演出制御用マイコン91は,カーソル174が数字ボタンのいずれかを選択していたか否かを判断する(S6202)。カーソル174が数字ボタンのいずれかを選択していた場合(S6202:YES),演出制御用マイコン91は,選択された数字ボタンが示す数値を,画像表示装置7に表示する数字表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6211)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する数字画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。具体的には,図10(B)に示したように,パスワード入力画面181の入力数字領域175に,選択された数字を表示させる。また,演出制御用マイコン91は,選択された数字を数字バッファに記憶する(S6212)。
一方,カーソルが数字を選択していない場合(S6202:NO),演出制御用マイコン91は,カーソルが確定を選択していたか否かを判断する(S6221)。カーソルが確定を選択していた場合(S6221:YES),演出制御用マイコン91は,数字バッファに記憶されている数字に基づいて,パスワードを作成する(S6222)。
S6222の後,演出制御用マイコン91は,占有フラグがオフか否かを判断する(S6223)。占有フラグがオフの場合(S6223:YES),演出制御用マイコン91は,S6222で作成されたパスワードに基づいて占有モードに移行する占有移行処理を実行する(S6224)。一方,占有フラグがオンの場合(S6223:NO),演出制御用マイコン91は,S6222で作成されたパスワードに基づいて占有モードを解除する占有解除処理を実行する(S6225)。
図21に,占有移行処理を示す。占有移行処理では,演出制御用マイコン91は先ず,許可パスワード記憶部95aに記憶されている許可パスワードを読み出す(S6601)。そして,演出制御用マイコン91は,許可パスワード記憶部95aに記憶されている許可パスワードの中に,S6222で作成されたパスワードと一致するものがあるか否かを判断する(S6602)。
一致する許可パスワードがあった場合(S6602:YES),演出制御用マイコン91は,使用パスワード記憶部95bに記憶されている使用中パスワードを読み出す(S6603)。そして,演出制御用マイコン91は,使用パスワード記憶部95bに記憶されている使用中パスワードの中に,S6222で作成されたパスワードと一致するものがあるか否かを判断する(S6604)。
一致する使用中パスワードがあった場合(S6604:YES),演出制御用マイコン91は,パスワードが使用中であり占有できない旨のメッセージを表示するための使用中表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6631)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。具体的には,図22に示すような,使用中画面184を表示させる。使用中画面184のメッセージ画像171には,入力されたパスワードが使用中である旨のメッセージが含まれる。錠図柄172は,客待ち待機状態であるため,開状態の図柄である。
S6631の後,演出制御用マイコン91は,使用中表示フラグをオンにし(S6632),さらに入力フラグをオフにし(S6633),占有モードに移行することなく,占有移行処理を終了する。すなわち,1人の遊技者が複数台の遊技機を占有することは,遊技機の稼働率を下げてしまうことから好ましくない。そのため,入力されたパスワードが他の遊技機によって使用されている場合,占有モードへの移行を禁止し,1人の遊技者による複数台の遊技機の占有を回避する。
一方,一致する使用中パスワードがない場合(S6604:NO),演出制御用マイコン91は,占有中である旨のメッセージを表示するための占有表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6611)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。具体的には,図10(C)に示したような,占有画面182を表示させる。
S6611の後,演出制御用マイコン91は,占有フラグをオンする(S6612)。これにより,パチンコ遊技機1は,占有モードに移行することになる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,発射制御基板111に対して発射禁止信号を出力する(S6613)。発射禁止信号は,遊技球の発射を禁止させるための信号である。これにより,発射装置112による遊技球の発射が不可能になる。発射制御基板111の動作については後述する。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,S6222で作成されたパスワードを,入力パスワードとして入力パスワード記憶部96に記憶する(S6614)。
また,演出制御用マイコン91は,ホールコンピュータ900に対して,入力パスワードを含む使用中パスワード情報を送信する制御を行う(S6615)。ホールコンピュータ900は,使用中パスワード情報を受信すると,当該情報に含まれるパスワード,すなわち入力パスワードを,使用中パスワードとして記憶する。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,占有モードでの動作時間を計時する占有タイマを起動する(S6616)。S6611〜S6616の後,演出制御用マイコン91は,入力フラグをオフにし(S6633),占有移行処理を終了する。
一方,一致する許可パスワードがない場合(S6602:NO),演出制御用マイコン91は,パスワードが間違っておりパスワードの再入力を要求する旨のメッセージを表示するためのリトライコマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6621)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。具体的には,図23に示すような,リトライ画面183を表示させる。リトライ画面183は,図10(A)に示したパスワード入力画面181と同じ構成であるが,メッセージ画像171に含まれるメッセージが異なる。すなわち,演出制御用マイコン91は,入力されたパスワードが間違っている旨のメッセージを表示させる。また,入力数字領域175は,初期化される。
S6621の後,演出制御用マイコン91は,数字バッファを初期化する(S6622)。S6622の後,占有モードに移行することなく,入力モードを維持したまま,占有移行処理を終了する。
図24に,占有解除処理を示す。占有移行処理では,演出制御用マイコン91は先ず,入力パスワード記憶部96に記憶されている入力パスワードを読み出す(S6701)。入力パスワードは,占有モードへの移行時に記憶されたパスワードである。そして,演出制御用マイコン91は,入力パスワード記憶部96に記憶されている入力パスワードと,S6222で作成されたパスワードと,が一致するか否かを判断する(S6702)。
パスワードが一致する場合(S6702:YES),演出制御用マイコン91は,占有モードを解除して客待ち待機状態に戻すための占有解除コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6801)。画像制御基板100のCPU102は,客待ちに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。S6801の後,演出制御用マイコン91は,占有フラグをオフする(S6802)。これにより,パチンコ遊技機1は,占有モードを解除することになる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,発射制御基板111に対する発射禁止信号の出力を停止する(S6803)。これにより,発射装置112による遊技球の発射が可能になる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,入力パスワード記憶部96に記憶された入力パスワードを消去する(S6804)。なお,S6802は,省略してもよい。
さらに,演出制御用マイコン91は,ホールコンピュータ900に対して,入力パスワードを含む使用解除パスワードの情報を送信する制御を行う(S6805)。ホールコンピュータ900は,使用解除パスワードの情報を受信すると,当該情報に含まれる入力パスワードを,使用中のパスワードとして記憶しているパスワードの中から消去する。これにより,当該入力パスワードの再利用が可能になる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,占有タイマを停止する(S6806)。S6806の後,演出制御用マイコン91は,入力フラグをオフにし(S6807),占有解除処理を終了する。
一方,パスワードが一致しない場合(S6702:NO),演出制御用マイコン91は,共有パスワード記憶部95cに記憶されている共有パスワードを読み出す(S6811)。そして,演出制御用マイコン91は,共有パスワード記憶部95cに記憶されている共有パスワードの中に,S6222で作成されたパスワードと一致するものがあるか否かを判断する(S6812)。
一致する共有パスワードがあった場合(S6812:YES),演出制御用マイコン91は,S6801に移行し,占有モードを解除する制御を行う。すなわち,占有モードが長期間にわたるとパチンコ遊技機1の稼働率が低下してしまう。そのため,どの遊技機でも占有モードを解除できる共有パスワードを用意し,ホールの店員がその共有パスワードを使用して占有モードを適宜解除できるようにすることで,パチンコ遊技機1の長期の占有を回避できる。
一致する共有パスワードがない場合(S6812:NO),演出制御用マイコン91は,リトライコマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S6821)。S6821のリトライコマンドは,占有移行処理のS6621のリトライコマンドと同様である。S6821の後,演出制御用マイコン91は,数字バッファを初期化する(S6822)。S6822の後,占有モードを解除することなく,入力モードを維持したまま,占有解除処理を終了する。
図20の入力解析処理の説明に戻り,カーソルが確定を選択していない場合(S6221:NO),カーソルが取消を選択していたことになるため,演出制御用マイコン91は,パスワードの入力を取り消して客待ち待機状態に戻すための入力終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6231)。画像制御基板100のCPU102は,客待ち待機状態に対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる。また,演出制御用マイコン91は,入力フラグをオフにする(S6232)。
S6232の後,あるいはS6225,S6224,S6212の後,入力解析処理を終了する。さらに,入力解析処理の終了後,図19の入力移行処理の説明に戻り,S6120の後,入力移行処理を終了する。
図18のスイッチデータ解析処理の説明に戻り,S6002の後,あるいはS6003の後,あるいは演出ボタン63Bが押下されていない場合(S6000:NO),演出制御用マイコン91は,十字ボタン63Aが押下されたか否かを判断する(S6021)。十字ボタン63Aが押下された場合(S6021:YES),演出制御用マイコン91は,入力フラグがオンか否かを判断する(S6022)。
入力フラグがオンの場合(S6022:YES),演出制御用マイコン91は,パスワード入力画面181に表示中のカーソル174を,押下された十字ボタン63Aの種類に応じて移動させるためのカーソル移動コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6023)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応して,画像表示装置7にカーソルを移動させた画像を表示させる。さらに,演出制御用マイコン91は,押下された十字ボタン63Aの種類に応じて,カーソルデータを更新する(S6024)。例えば,カーソルが「1」を選択している状態で,右方向ボタン63Rが押下されると,「1」の右隣に表示される「2」にカーソルが移動し,カーソルデータが1から2に更新される。
S6024の後,あるいは入力フラグがオフの場合(S6022:NO),あるいは十字ボタン63Aが押下されていない場合(S6021:NO),演出制御用マイコン91は,占有モードを自動的に解除する占有自動解除処理を実行する(S6031)。図25に,占有自動解除処理の手順を示す。
占有自動解除処理では,演出制御用マイコン91は先ず,占有タイマが動作中か否かを判断する(S6901)。占有モードに移行する際,占有移行処理のS6616において占有タイマを起動し,占有モードを解除する際,占有解除処理のS6806において占有タイマを停止していることから,占有タイマが動作していることは,占有モード中であることを意味する。
占有タイマが動作している場合(S6901:YES),演出制御用マイコン91は,占有タイマの計時時間が所定時間を経過しているか否かを判断する(S6902)。所定時間は,占有モードを強制的に解除するための時間として,あらかじめROM93に記憶されている。所定時間としては,例えば,10〜30分の時間を設定すればよい。
占有タイマの計時時間が所定時間を経過している場合(S6902:YES),演出制御用マイコン91は,占有解除コマンドをRAM94の出力バッファにセットする(S6911)。S6911の後,演出制御用マイコン91は,占有フラグをオフする(S6912)。これにより,パチンコ遊技機1は,占有モードを強制的に解除することになる。すなわち,遊技者がパスワードを失念する,あるいは遊技者がパチンコ遊技機1を占有モードにしたまま帰宅する等,占有モードが長期間にわたる可能性がある。そのため,占有モードの有効期間を設け,占有タイマによる計時時間がその有効期間を超えた場合に占有モードを強制的に解除することで,パチンコ遊技機1の長期の占有を回避できる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,発射制御基板111に対する発射禁止信号の出力を停止する(S6913)。さらに,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,入力パスワード記憶部96に記憶された入力パスワードを消去する(S6914)。さらに,演出制御用マイコン91は,ホールコンピュータ900に対して,入力パスワードを含む使用解除パスワードの情報を送信する制御を行う(S6915)。さらに,演出制御用マイコン91は,占有モードを解除することで,占有タイマを停止する(S6916)。S6916の後,占有自動解除処理を終了する。なお,占有自動解除処理のS6911〜S6916は,占有解除処理のS6801〜S6806と同じである。
図18のスイッチデータ解析処理の説明に戻り,S6031の後,スイッチデータ解析処理を終了する。さらに,図16の10msタイマ割り込み処理の説明に戻り,S4303の後,演出制御用マイコン91は,2msタイマ割り込み処理(図15参照)のS4205にて作成されたハンドルデータを取得する(S4304)。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,盤ランプ5や枠ランプ66の点灯制御を行う(S4305)。特に,演出制御用マイコン91は,S4205にて作成されるハンドルデータに基づいて,占有モード中にハンドル60が操作されたか否かを判断できる。そのため,ランプの点灯制御では,占有モード中にハンドル60の操作があったと判断した場合に,警告報知のために盤ランプ5や枠ランプ66を点灯させる制御を行う。
S4305の後,演出制御用マイコン91は,スピーカ67からの音声の出力を制御する音声データを作成し,作成した音声データに従う音声制御を行う(S4306)。音声制御でも,S4205にて作成されるハンドルデータに基づいて,占有モード中にハンドル60の操作があったと判断した場合に,警告報知のためにスピーカ67から警告音を鳴らす制御を行う。
S4306の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),10msタイマ割り込み処理を終了する。
8.その他の基板の動作
[画像割り込み処理]
次に,画像制御基板100が実行する画像割り込み処理について,図26および図27のフローチャートを参照しつつ説明する。画像割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,画像制御基板100のCPU102によって実行される。
画像割り込み処理では,画像制御基板100は先ず,入力開始コマンドを受信したか否かを判断する(S7001)。入力開始コマンドは,入力移行処理(図19参照)のS6104によってサブ制御基板90から出力される。入力開始コマンドを受信した場合(S7001:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応するパスワード入力画面181をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる(S7002)。パスワード入力画面181では,カーソル174を初期位置にする。
S7002の後,あるいは入力開始コマンドを受信していない場合(S7001:NO),画像制御基板100は,カーソル移動コマンドを受信したか否かを判断する(S7011)。カーソル移動コマンドは,スイッチデータ解析処理(図18参照)のS6023によってサブ制御基板90から出力される。カーソル移動コマンドを受信した場合(S7011:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応して,当該コマンドとともに受信した十字ボタン63Aの種類の情報に基づいて,カーソル174を移動させた画像を,画像表示装置7に表示させる(S7012)。
S7012の後,あるいはカーソル移動コマンドを受信していない場合(S7011:NO),画像制御基板100は,数字表示コマンドを受信したか否かを判断する(S7021)。数字表示コマンドは,入力解析処理(図20参照)のS6211によってサブ制御基板90から出力される。数字表示コマンドを受信した場合(S7021:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応する数字画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる(S7022)。
S7022の後,あるいは数字表示コマンドを受信していない場合(S7021:NO),画像制御基板100は,占有表示コマンドを受信したか否かを判断する(S7031)。占有表示コマンドは,占有移行処理(図21参照)のS6611によってサブ制御基板90から出力される。占有表示コマンドを受信した場合(S7031:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応する占有画面182をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる(S7032)。さらに,画像制御基板100は,占有モードが強制的に解除されるまでの残り時間を計時する残タイマを起動する(S7033)。占有モードが強制的に解除されるまでの残り時間の起算時間は,占有自動解除処理(図25参照)のS6902の所定時間と同じである。
S7033の後,あるいは占有表示コマンドを受信していない場合(S7031:NO),画像制御基板100は,リトライコマンドを受信したか否かを判断する(S7041)。リトライコマンドは,占有移行処理(図21参照)のS6621あるいは占有解除処理(図24参照)のS6821によってサブ制御基板90から出力される。リトライコマンドを受信した場合(S7041:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応するリトライ画面183をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる(S7042)。
S7042の後,あるいはリトライコマンドを受信していない場合(S7041:NO),画像制御基板100は,占有解除コマンドを受信したか否かを判断する(S7051)。占有解除コマンドは,占有解除処理(図24参照)のS6801あるいは占有自動解除処理(図25参照)のS6911によってサブ制御基板90から出力される。占有解除コマンドを受信した場合(S7051:YES),画像制御基板100は,客待ち待機状態に対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる(S7052)。さらに,画像制御基板100は,残タイマを停止する(S7053)。
S7053の後,あるいは占有解除コマンドを受信していない場合(S7051:NO),画像制御基板100は,入力終了コマンドを受信したか否かを判断する(S7061)。入力終了コマンドは,入力解析処理(図20参照)のS6231によってサブ制御基板90から出力される。入力終了コマンドを受信した場合(S7061:YES),画像制御基板100は,客待ち待機状態に対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画像を表示させる(S7062)。
S7062の後,あるいは入力終了コマンドを受信していない場合(S7061:NO),画像制御基板100は,使用中コマンドを受信したか否かを判断する(S7071)。使用中コマンドは,占有移行処理(図21参照)のS6631によってサブ制御基板90から出力される。使用中コマンドを受信した場合(S7071:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応する使用中画面184をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる(S7072)。
S7072の後,あるいは使用中コマンドを受信していない場合(S7071:NO),画像制御基板100は,残タイマが動作中か否かを判断する(S7081)。残タイマが動作中の場合(S7081:YES),画像制御基板100は,占有モードが強制的に解除されるまでの残り時間が1分未満であるか否かを判断する(S7082)。残り時間が1分未満の場合(S7082:YES),画像制御基板100は,画像表示装置7に残り時間を表示させる(S7083)。例えば,図28に示すように,占有画面182に,残り時間を表示する時間表示領域176を設ける。すなわち,占有モードの強制解除まで残り1分未満となった場合には,占有モードの強制解除までの残り時間を表示することで,占有モードに移行させた遊技者以外の他の遊技者は,どのくらい待てば占有モードが解除されるかを把握できる。
S7083の後,あるいは残り時間が1分以上の場合(S7082:NO),あるいは残タイマが動作していない場合(S7081:NO),画像制御基板100は,その他の処理を実行し(S7099),画像割り込み処理を終了する。その他の処理としては,例えば,客待ち演出開始コマンドを受信した場合に,当該コマンドに対応する演出画像を画像表示装置7に表示させる処理や,変動演出開始コマンドを受信した場合に,当該コマンドに対応する演出画像を画像表示装置7に表示させる処理が該当する。
[発射処理]
続いて,発射制御基板111によって実行される発射処理について,図29のフローチャートを参照しつつ説明する。発射処理は,電源オンの後,繰り返し実行される。
発射処理では,発射制御基板111は先ず,発射ボリューム115からの出力信号に基づいて,ハンドル60の回転を検知したか否かを判断する(S8001)。ハンドル60の回転を検知した場合(S8001:YES),発射制御基板111は,サブ制御基板90からの発射禁止信号の入力が有るか否かを判断する(S8002)。発射禁止信号は,占有移行処理(図21参照)のS6613にて出力され,占有解除処理(図24参照)のS6803あるいは占有自動解除処理(図25参照)のS6913にてその出力が停止される。すなわち,占有モード中は,サブ制御基板90から発射制御基板111に発射禁止信号が入力される。
発射禁止信号の入力が有る場合(S8002:YES),発射制御基板111は,発射ボリューム115からの出力信号に基づいて,ハンドル60の回転量が所定量以上か否かを判断する(S8003)。ハンドル60の回転量が所定量以上の場合(S8003:YES),ハンドル操作が行われたと見做すことができるため,発射制御基板111は,サブ制御基板90に対して,発射操作信号を出力する(S8004)。一方,ハンドル60の回転量が所定量以上でない場合(S8003:NO),たまたま遊技者の私物等がハンドル60に接触したのかハンドル操作を行ったかの区別が困難であるため,発射制御基板111は,発射操作信号を出力しない。
発射禁止信号の入力が無い場合(S8002:NO),発射制御基板111は,通常の発射制御を行う(S8011)。すなわち,タッチスイッチ114が遊技者の接触を検知し,かつ発射停止スイッチが押下されていないことを条件として,発射ボリューム115からの出力信号に応じた強さで遊技球を発射する制御を行う。
S8011の後,あるいはS8004の後,あるいはハンドル60の回転量が所定量以上でない場合(S8003:NO),あるいはハンドル60の回転を検知していない場合(S8001:NO),その他の処理を実行し(S8099),発射処理を終了する。
9.第1の形態の効果
第1の形態のパチンコ遊技機1では,ホールコンピュータ900から取得したパスワードと一致するパスワードが遊技者によって入力されることで,遊技に関する演出画像の表示の禁止と,遊技球の発射の禁止と,を行う占有モードになる。これにより,パチンコ遊技機1にパスワードを入力した遊技者以外の遊技者,すなわち占有モードを解除するパスワードを知る遊技者以外の遊技者は,パチンコ遊技機1で遊技を行うことが困難になる。従って,パスワードを入力した遊技者は,事実上,パチンコ遊技機1を占有できる。そして,パチンコ遊技機1を占有できたことから,パスワードを入力した遊技者は,私物を放置することなく,パチンコ遊技機1を離れられるため,置き引きの被害にあうリスクの低減が期待できる。
10.第1の形態の変形例
第1の形態のパチンコ遊技機1は,占有モードでない状態で演出ボタン63Bが押下されたタイミングで,ホールコンピュータ900から許可パスワード等を取得しているが,許可パスワード等を取得するタイミングはこれに限らない。例えば,電源オン時に取得してもよいし,所定時間ごとに取得してもよい。
また,第1の形態のパチンコ遊技機1は,使用中パスワードをホールコンピュータ900から取得し,使用中パスワードと一致すれば占有モードへの移行を禁止する制御(S6603〜S6604)を行っているが,使用中パスワードに関する制御は行わなくてもよい。すなわち,一人の遊技者による複数台のパチンコ遊技機1の占有を許可する場合には,使用中パスワードに関する制御を行わない。この場合,占有モードへの移行時および占有モードの解除時に入力パスワードをホールコンピュータ900に送信する必要がない。
また,第1の形態のパチンコ遊技機1は,ホールコンピュータ900から許可パスワード等を取得し,これらのパスワードと入力されたパスワードとを照合する制御(S6601〜S6604)を行っているが,パスワードの照合をホールコンピュータ900に行わせてもよい。この場合,ホールコンピュータ900からパスワードを取得する制御(S6103)は不要である。
図30は,第1の形態の変形例の占有移行処理として,上述のようにパスワードの照合をホールコンピュータ900に行わせる場合の手順を示している。図30中,第1の形態の占有移行処理(図21参照)と同じ処理については,同じ符号を付している。
第1の形態の変形例の占有移行処理においては,演出制御用マイコン91は,S6222で作成されたパスワードをホールコンピュータ900に送信し,ホールコンピュータ900に対して許可パスワードとの照合および使用中パスワードとの照合を要求する(S6601A)。ホールコンピュータ900は,当該要求を受信すると,S6222で作成されたパスワードが使用中パスワードと一致する場合には,使用中である旨の信号を応答する。使用中パスワードと一致せず,許可パスワードと一致する場合には,許可する旨の信号を応答する。許可パスワードと一致しない場合には,許可しない旨の信号を応答する。パチンコ遊技機1は,照合結果となる信号をホールコンピュータ900から受信する。なお,S6601Aでは,許可パスワードとの照合と使用中パスワードの照合とを同時に要求してもよいし,別々のタイミングで順次に要求してもよい。
S6601Aの後,演出制御用マイコン91は,ホールコンピュータ900から受信した信号に応じて,リトライコマンドをセットするか(S6602A:YES),使用中表示コマンドをセットするか(S6604A:YES),占有モードに移行するか(S6604A:NO),を決定する。この構成であっても,第1の形態のパチンコ遊技機1と同様の効果が得られる。
<第2の形態>
11.第2の形態におけるパチンコ遊技機1の占有
続いて,第2の形態におけるパチンコ遊技機1の占有について説明する。第2の形態のパチンコ遊技機1は,パスワードを自身で作成し,占有モードの切り替えに関してホールコンピュータ900と通信しない。つまり,第2の形態のパチンコ遊技機1では,通信制御基板109は無くてもよい。この点,ホールコンピュータ900が作成したパスワードを利用する第1の形態と異なる。なお,第2の形態では,共有パスワードを,あらかじめパチンコ遊技機1に記憶されている固有のパスワードとする。
上述の第2の形態の占有モードへの移行手続きを,図31を参照しつつより具体的に説明する。遊技者は,パチンコ遊技機1を占有する場合,第1の形態と同様に,占有したいパチンコ遊技機1の演出ボタン63Bを押下する。ただし,第1の形態と異なり,ホールの店員からパスワードを受け取る必要はない。
パチンコ遊技機1は,客待ち待機状態で演出ボタン63Bの押下を受け付けると,パスワードを作成し,図31(A)に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,作成したパスワードの情報を含むパスワード表示画面191を表示させる。パスワード表示画面191には,メッセージ画像171と,占有状態を図示する錠図柄172と,パスワードの情報が表示されるパスワード画像177と,が含まれる。メッセージ画像171には,パスワードの記憶を促すメッセージが表示される。また,メッセージ画像171には,占有モードに移行するための遊技者の操作が含まれる。本形態では,演出ボタン63Bの押下が,占有モードに移行するための遊技者の作業となる。錠図柄172は,客待ち待機状態であることから,開状態の図柄である。
パスワード表示画面191を表示中に演出ボタン63Bが押下されると,パチンコ遊技機1は,作成したパスワードを記憶し,占有モードに移行する。占有モード中,パチンコ遊技機1は,図31(B)に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,占有モードであることを示す占有画面182を表示させる。占有画面182には,パスワードが含まれない。
占有モードに移行した後は,第1の形態と同様である。すなわち,パチンコ遊技機1は,占有モード中に演出ボタン63Bの押下を受け付けると,パスワードの入力を要求するパスワード入力画面181を表示させる(図11(A)参照)。そして,パチンコ遊技機1は,入力されたパスワードが,占有モードに移行した際に記憶したパスワードと一致すれば,占有モードを解除する。
12.演出制御用マイコン91の動作
続いて,第2の形態におけるパチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお,以下の説明では,第1の形態と異なる処理について説明し,第1の形態と同じ処理については説明を省略する。具体的に,主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作は,第1の形態と同じであり,説明を省略する。また,サブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作のうち,入力移行処理および画像割り込み処理が第1の形態と異なり,それ以外は第1の形態と同じであるため,入力移行処理および画像割り込み処理について説明する。
[入力移行処理]
入力移行処理は,客待ち待機状態において演出ボタン63Bが押下された場合に実行される処理である。第2の形態における入力移行処理では,図32に示すように,演出制御用マイコン91は先ず,パスワード表示フラグがオフか否かを判断する(S6301)。パスワード表示フラグは,パチンコ遊技機1が,パスワードを表示中か否かを示すフラグであり,パスワードを画像表示装置7に表示させた場合にオンになり,パスワードを非表示にした場合にオフになる。
パスワード表示フラグがオフの場合(S6301:YES),演出制御用マイコン91は,入力フラグがオフか否かを判断する(S6311)。入力フラグは,第1の形態と同様に,パチンコ遊技機1が,パスワードの入力が可能な入力モードであるか否か,すなわちパスワードを入力させる画面を表示中か否かを示すフラグである。
入力フラグがオフの場合(S6311:YES),演出制御用マイコン91は,占有フラグがオフか否か,すなわち演出ボタン63Bの押下が占有モードに移行するための指示か,占有モードを解除するための指示かを判断する(S6321)。占有フラグも第1の形態と同じものである。
占有フラグがオフの場合(S6321:YES),演出ボタン63Bの押下が占有モードに移行するための指示であることから,演出制御用マイコン91は,パスワードを作成する(S6322)。具体的にS6322では,演出制御用マイコン91は,パスワード作成用の乱数を取得し,取得した乱数に基づくパスワードを作成する。なお,パスワード作成用の乱数は,専用に設けられた乱数であってもよいし,演出図柄を決定するための演出図柄乱数,変動演出パターンを決めるための変動演出パターン乱数,種々の予告演出を決定するための予告演出乱数,の各種の乱数が兼用してもよい。専用の乱数の場合は,S4005によってその他の乱数とともに更新される。
S6322の後,演出制御用マイコン91は,S6322にて作成されたパスワードを表示するためのパスワード表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6323)。パスワード表示コマンドには,S6322にて作成されたパスワードの情報が含まれる。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応するパスワード表示画面191をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる。また,演出制御用マイコン91は,パスワード表示フラグをオンにする(S6324)。S6324の後,入力移行処理を終了する。
一方,占有フラグがオンの場合(S6321:NO),演出制御用マイコン91は,パスワードの入力指示を表示するための入力開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6331)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応するパスワード入力画面181をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる。
S6331の後,演出制御用マイコン91は,カーソルデータを初期化する(S6332)。カーソルデータは,第1の形態と同様である。また,演出制御用マイコン91は,数字バッファを初期化する(S6333)。数字バッファも,第1の形態と同様である。また,演出制御用マイコン91は,入力フラグをオンにする(S6334)。S6334の後,入力移行処理を終了する。
一方,入力フラグがオンの場合(S6311:NO),演出制御用マイコン91は,入力された情報を解析する入力解析処理を実行する(S6312)。入力解析処理は,第1の形態と同様であり,説明を省略する。S6312の後,入力移行処理を終了する。
また,パスワード表示フラグがオンの場合(S6301:NO),演出制御用マイコン91は,占有状態を切り替える占有切替処理を実行する(S6302)。図33に,占有切替処理の手順を示す。
占有切替処理では,演出制御用マイコン91は先ず,占有中である旨のメッセージを表示するための占有表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S6351)。画像制御基板100のCPU102は,当該コマンドに対応する占有画面182をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる。S6351の後,演出制御用マイコン91は,パスワード表示フラグをオフし(S6352),さらに占有フラグをオンする(S6353)。これにより,パチンコ遊技機1は,占有モードに移行することになる。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,発射制御基板111に対して発射禁止信号を出力する(S6354)。発射禁止信号は,第1の形態と同様である。また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,S6322で作成されたパスワードを,入力パスワードとして入力パスワード記憶部96に記憶する(S6355)。これにより,占有解除処理では,S6701においてS6322で作成されたパスワードが読み出され,遊技者が入力したパスワードと照合される。
また,演出制御用マイコン91は,占有モードに移行することで,占有モードでの動作時間を計時する占有タイマを起動する(S6356)。S6351〜S6356の後,占有切替処理を終了する。さらに,占有切替処理の終了後,図32の入力移行処理の説明に戻り,S6302の後,入力移行処理を終了する。
[画像割り込み処理]
次に,画像制御基板100が実行する画像割り込み処理について,図34のフローチャートを参照しつつ説明する。第2の形態の画像割り込み処理は,第1の形態の画像割り込み処理で説明した図26の処理全て,および図27中のS7071〜S7072以外の処理が第1の形態と同じである。そして,第2の形態の画像割り込み処理は,図34中のS7101〜S7102が追加される。すなわち,第2の形態では,他の遊技機でパスワードが使用されているか否かの判断が行われず,使用中コマンドが出力されないことから,使用中コマンドに対応する処理は無い。一方,第1の形態に無いパスワード表示コマンドがサブ制御基板90から出力されるため,パスワード表示コマンドに対応する処理が有る。そのため,図34中のS7101〜S7102についてのみ説明する。
第2の形態における画像割り込み処理では,S7062の後,あるいは入力終了コマンドを受信していない場合(S7061:NO),画像制御基板100は,パスワード表示コマンドを受信したか否かを判断する(S7101)。パスワード表示コマンドは,入力移行処理(図32参照)のS6323によってサブ制御基板90から出力される。パスワード表示コマンドを受信した場合(S7101:YES),画像制御基板100は,当該コマンドに対応するパスワード表示画面191をROM103から読み出し,画像表示装置7に当該画面を表示させる(S7102)。S7102の後,あるいはパスワード表示コマンドを受信していない場合(S7071:NO)以降の処理は,第1の形態と同じであり,説明を省略する。
13.第2の形態の効果
第2の形態のパチンコ遊技機1であっても,演出ボタン63Bの押下に応じてパスワードを生成し,作成したパスワードを表示した後,遊技に関する演出画像の表示の禁止と,遊技球の発射の禁止と,を行う占有モードになる。演出ボタン63Bの押下した遊技者は,表示されるパスワードを覚えることになる。これにより,演出ボタン63Bの押下した遊技者以外の遊技者,すなわち占有モードを解除するパスワードを知る遊技者以外の遊技者は,パチンコ遊技機1で遊技を行うことが困難になる。従って,演出ボタン63Bの押下した遊技者は,事実上,パチンコ遊技機1を占有できる。そして,パチンコ遊技機1を占有できたことから,演出ボタン63Bの押下した遊技者は,私物を放置することなく,パチンコ遊技機1を離れられるため,置き引きの被害にあうリスクの低減が期待できる。
14.第2の形態の変形例
第2のパチンコ遊技機1は,数字列からなるパスワードを表示しているが,パスワードそのものが表示される必要は無く,パスワードが読み取れる情報であればよい。例えば,パスワードが記憶されるQRコード(登録商標)を表示してもよい。この場合,遊技者がQRコードをスマートフォン等のカメラ付き携帯端末装置で読み取ることで,当該携帯端末装置にパスワードが表示されるようにすればよい。
また,第2のパチンコ遊技機1は,パスワードを表示した後,演出ボタン63Bの押下を待って,占有モードに移行しているが,演出ボタン63Bの押下を待たなくてもよい。例えば,パスワードを表示した後は,即時に占有モードに移行してもよい。すなわち,パスワードの表示は,占有モードへ移行する条件の1つとなる。
また,第2のパチンコ遊技機1は,パスワードを表示した後,演出ボタン63Bの押下を待って,パスワードを非表示にしているが,演出ボタン63Bの押下を待たなくてもよい。例えば,パスワードを表示した後,演出ボタン63Bが押下されずに所定時間が経過した場合に,自動的に非表示にしてもよい。また,第2のパチンコ遊技機1は,パスワードを表示した後,演出ボタン63Bが押下されずに所定時間が経過した場合に,占有モードへの移行をキャンセルしてもよい。
15.第1の形態および第2の形態の共通の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,パチンコ遊技機に本発明を適用しているが,パチスロ遊技機に本発明を適用してもよい。この場合,占有モードでは,ハンドルに対する制御の代わりにリールを回転させるためのレバーやリールを停止させるためのスイッチに対する制御を行うとよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,占有モードとして,ハンドル60の操作を禁止する制御(S8002)と,遊技に関する演出画像の表示を禁止する制御(S4412)と,の両方を行っているが,いずれか一方のみであってもよい。なお,ハンドル60の操作を禁止する制御を行わない場合には,サブ制御基板90と発射制御基板111との間の信号のやり取りは行わなくてもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,十字ボタン63Aと演出ボタン63Bによってパスワードを入力させているが,他の入力手段として,テンキー等の別のボタンを設けてもよい。また,占有モードへの移行ないし解除の指示を入力するための専用ボタンを設けてもよい。また,他の入力手段として,タッチパネルを設けてもよい。また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,パスワードとして数字を用いているが,数字以外のアルファベットや文字や記号を用いてもよい。
また,実施の形態では,パスワードの入力方法として,操作盤63上のボタンを操作する方法を採用しているが,操作盤63以外の方法で入力してもよい。例えば,遊技者にパスワードが記憶されたICカードを配布し,パチンコ遊技機1は遊技者がかざすICカードの情報を読み取る方法であってもよい。ICカードを利用することで,遊技者のパスワードを入力する手間を省くことができる。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,占有モードに移行してから所定時間が経過した場合に,占有モードを強制的に解除する制御(S6301)を行っているが,占有モードを強制的に解除する制御は行わなくてもよい。また,占有モードを強制的に解除する時間は固定値であるが,ホールの店員あるいは遊技者によって設定できるようにしてもよい。
また,実施の形態では,入力フラグがオンになり,パスワードの入力の受け付けを開始した後は,パスワードが確定する,あるいはキャンセルされるまで,パスワードの入力を受け続けているが,最後の入力があってから無操作の期間が所定時間以上となった場合に,強制的にキャンセルしてもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,占有モードを強制的に解除するまでの残り時間が1分未満となった後に,その残り時間を表示する制御(S7083)を行っているが,残り時間を表示する制御は行わなくてもよい。また,残り時間の長短に関係なく,占有モード中は残り時間を表示する制御を行ってもよい。また,残り時間の表示を開始する時間は固定値であるが,ホールの店員あるいは遊技者によって設定できるようにしてもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,占有モード中にハンドル操作が行われた場合に,報知する制御(S4304〜S4305)を行っているが,報知する制御を行わなくてもよい。この場合,発射制御基板111からサブ制御基板90に対して発射操作信号を出力する必要が無いため,サブ制御基板90から発射制御基板111への一方向通信の構成であってもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,盤ランプ5や枠ランプ66を点灯する,あるいはスピーカ67から警告音を鳴らすことで,占有モード中のハンドル60の操作に対する報知を行っているが,報知態様はこれに限るものではない。例えば,図35に示すような,遊技を行うには占有モードを解除する必要がある旨の警告メッセージを含む警告画面185を画像表示装置7に表示させてもよい。なお,警告画面185は,占有画面182と比較して,メッセージ画像171に表示されるメッセージの文字色を変える,文字あるいは錠図柄172を点滅表示させる,背景色を変える等,メッセージ内容以外に占有画面182と異なる表示となる部分があると,より警告の効果が高まる。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,ハンドル60の回転量が所定量以上であった場合に,ハンドル60の操作に対する報知を行っているが,報知条件はこれに限るものではない。例えば,占有モード中に遊技球が発射され,第1始動口20等,入賞口のいずれかへの入賞が検知された場合に,ハンドル60が操作されたと見做して,報知を行ってもよい。この場合も,発射制御基板111からサブ制御基板90に対して発射操作信号を出力する必要が無いため,サブ制御基板90から発射制御基板111への一方向通信の構成であってもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,共有パスワードを記憶し,共有パスワードによって占有モードを解除する制御(S6811〜S6812)を行っているが,共有パスワードによって占有モードを解除する制御を行わなくてもよい。また,共有パスワードをホールコンピュータ900から取得しているが,あらかじめパチンコ遊技機1に記憶されている固有のパスワードでもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,占有モード中,画像表示装置7に占有モードであることを示す占有画面182を表示させることで,遊技者に占有モードであることを通知しているが,占有モードの通知態様はこれに限るものではない。例えば,占有モードを通知するための専用ランプを設け,占有モード中,当該専用ランプを点灯させてもよい。また,占有モードを通知するための専用可動体を設け,占有モード中,当該専用可動体を動作させてもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
また,本明細書には,以下に示す構成の発明が開示されている。以下に記す構成の説明では,上記した実施の形態における対応する構成名や表現,図面に使用した符号を参考のためにかっこ書きで付記している。但し,各発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
本明細書に開示された遊技機(パチンコ遊技機1)は,パスワードの入力を受け付けるパスワード入力手段(十字ボタン63A,演出ボタン63B)と,ホールコンピュータと通信する通信手段(通信制御基板109)と,記憶手段(RAM94)と,画像を表示する表示手段(画像表示装置7)と,制御手段(サブ制御基板90,画像制御基板100)と,を備え,前記表示手段による遊技に関する演出画像の表示を禁止する占有モードを有し,前記制御手段は,前記通信手段を介して前記ホールコンピュータから少なくとも1つのパスワードを取得するパスワード取得処理(S6103)と,前記パスワード取得処理にて取得したパスワードを,前記記憶手段に記憶させるパスワード記憶処理(S6103)と,前記占有モード以外のモードで動作中に,前記パスワード入力手段にてパスワードが入力された場合に,前記記憶手段に記憶されるパスワードの中に,当該入力されたパスワードである入力パスワードと一致するパスワードがあるか否かを判断するパスワード判断処理(S6602)と,前記パスワード判断処理にて前記入力パスワードと一致するパスワードがあると判断された場合に,前記占有モードに移行させる占有移行処理(S6612,S6613)と,前記占有モードで動作中に,前記占有モードへの移行の契機となった前記入力パスワードと一致するパスワードが前記パスワード入力手段にて入力された場合に,前記占有モードを解除する占有解除処理(S6802,S6702)と,を実行することを特徴としている。
また,本明細書には,パスワードの入力を受け付けるパスワード入力手段(十字ボタン63A,演出ボタン63B)と,遊技球を発射する発射手段(発射装置112)と,ホールコンピュータと通信する通信手段(通信制御基板109)と,記憶手段(RAM94)と,画像を表示する表示手段(画像表示装置7)と,制御手段(サブ制御基板90,画像制御基板100,発射制御基板111)と,を備え,前記発射手段による遊技球の発射を禁止する占有モードを有し,前記制御手段は,前記通信手段を介して前記ホールコンピュータから少なくとも1つのパスワードを取得するパスワード取得処理(S6103)と,前記パスワード取得処理にて取得したパスワードを,前記記憶手段に記憶させるパスワード記憶処理(S6103)と,前記占有モード以外のモードで動作中に,前記パスワード入力手段にてパスワードが入力された場合に,前記記憶手段に記憶されるパスワードの中に,当該入力されたパスワードである入力パスワードと一致するパスワードがあるか否かを判断するパスワード判断処理(S6602)と,前記パスワード判断処理にて前記入力パスワードと一致するパスワードがあると判断された場合に,前記占有モードに移行させる占有移行処理(S6612,S6613)と,前記占有モードで動作中に,前記占有モードへの移行の契機となった前記入力パスワードと一致するパスワードが前記パスワード入力手段にて入力された場合に,前記占有モードを解除する占有解除処理(S6802,S6702)と,を実行することを特徴とする遊技機(パチンコ遊技機1)も開示されている。
本明細書に開示された遊技機では,ホールコンピュータから取得したパスワードと一致するパスワードが遊技者によって入力されることで,遊技に関する演出画像の表示の禁止と,遊技球の発射の禁止と,の少なくとも一方を行う占有モードになる。これにより,遊技機にパスワードを入力した遊技者以外の遊技者,すなわち占有モードを解除するパスワードを知る遊技者以外の遊技者は,当該遊技機で遊技を行うことが困難になる。従って,パスワードを入力した遊技者は,事実上,当該遊技機を占有できる。そして,遊技機を占有できたことから,パスワードを入力した遊技者は,私物を放置することなく,遊技機を離れられるため,置き引きの被害にあうリスクの低減が期待できる。
また,本明細書に開示される遊技機は,警告を報知する報知手段(枠ランプ66,盤ランプ5,スピーカ67)を備え,前記制御手段は,前記占有モードで動作中に,前記発射手段に対する操作が行われた場合に,前記報知手段に警告を報知させる(S4305,S4306)とよい。また,前記制御手段は,前記占有モードで動作中に,前記発射手段に対する操作が行われた場合に,前記表示手段に,警告を報知する画面(警告画面185)を表示させるとよい。これらの構成によれば,他の遊技者に対して遊技機の占有を明示できる。
また,前記制御手段は,前記占有モードへの移行から所定時間が経過したことを条件として,前記占有モードを解除する(S6902,S6912,S6913)とよい。この構成によれば,長時間の遊技機の占有を防止できる。
また,前記制御手段は,前記占有モードで動作中,前記所定時間に基づいて前記占有モードが解除されるまでの残り時間を,前記表示手段に表示させる(S7083)とよい。この構成によれば,パスワードを入力した遊技者以外の遊技者への利便性が向上する。
また,前記記憶手段は,共有パスワードを記憶し,前記制御手段は,前記占有モードで動作中に,前記共有パスワードと一致するパスワードが前記パスワード入力手段にて入力された場合に,前記占有モードを解除する(S6812)とよい。この構成によれば,ホールの店員による占有モードの強制解除が可能になる。
また,前記制御手段は,前記占有モード以外のモードから前記占有モードに移行したことに応じて,前記占有モードへの移行の契機となった前記入力パスワードが使用中である旨を,前記通信手段を介して前記ホールコンピュータに通知する使用通知処理(S6615)と,前記占有モードが解除されたことに応じて,前記占有モードへの移行の契機となった前記入力パスワードが使用中でない旨を,前記通信手段を介して前記ホールコンピュータに通知する使用解除処理(S6805,S6915)と,前記通信手段を介して前記ホールコンピュータから他の装置で使用中のパスワードである使用中パスワードを取得する使用中パスワード取得処理(S6103)と,前記使用中パスワード取得処理にて取得した使用中パスワードを,前記記憶手段に記憶させる使用中パスワード記憶処理(S6103)と,を実行し,前記占有移行処理では,前記パスワード判断処理にて入力パスワードと一致するパスワードがあると判断され,かつ前記記憶手段に記憶される使用中パスワードの中に入力パスワードと一致するパスワードがない場合に,前記占有モードに移行させる(S6604)とよい。この構成によれば,パスワードの使用が一台の遊技機に限定され,一人で何台もの遊技機を占有することを防止できる。
また,前記制御手段は,前記占有モードで動作中,前記表示手段に,前記占有モードで動作中である旨を通知する画面を表示させる(S6611)とよい。占有モードである旨を画面に表示することで,遊技機が占有されていることを遊技者が把握し易い。