以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
1.パチンコ遊技機1の構造
本形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,遊技機枠50は,前方側から順に,前面枠51,内枠52,外枠53によって構成される。また,パチンコ遊技機1は,遊技機枠50のうち前方にある前面枠51に,上側装飾ユニット200と,左側装飾ユニット210と,右側装飾ユニット220と,操作ユニット230と,を備えている。
さらに,パチンコ遊技機1の操作ユニット230は,演出ボタン63と,十字ボタン68と,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。十字ボタン68および演出ボタン63は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には打球供給皿61の上部前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,十字ボタン68および演出ボタン63を容易に操作できる。
ハンドル60は,前面枠51中の中央下側に位置し,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度を,パチンコ遊技機1に入力する。打球供給皿61は,前面枠51の中央下側に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1の右側装飾ユニット220は,剣の一部および柄の形状を模した剣部材222を備えている。剣部材222は,遊技者によって下方向への押し込みが可能であり,パチンコ遊技機1は剣部材222の押し込み操作を検知できる。すなわち,剣部材222は,入力デバイスの1つである。剣部材222もパチンコ遊技機1の前側に設けられており,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,剣部材222を容易に操作できる。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,ガラス板55,装飾用の枠ランプ66,およびスピーカ67を備えている。このうちガラス板55は,前面枠51の略中央部に取り付けられ,透明なガラス板55を通して前方から遊技者が遊技盤2を視認可能になっている。
枠ランプ66は,上側装飾ユニット200に設けられ,「L」,「O」,「G」,「O」,のそれぞれアルファベットの形状に模された4つの発光部によって構成され,各種の演出の必要に応じて各発光部が個別にあるいは同時に点灯する。
スピーカ67は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,その異常を報知するために,例えば,サイレン音を出力する。なお,左側に設けられたスピーカ67は,右側に設けられたスピーカ67と同様に上側装飾ユニット200の直下に配置されており,図1においては図示されていない。
次に,パチンコ遊技機1の遊技盤2について説明する。パチンコ遊技機1は,図2に示すように,遊技盤2に,レール部材4と,複数の遊技くぎ(符号は省略)と,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が転動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,遊技領域3の下方から発射された遊技球を遊技領域3の上方に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,液晶表示部材を有する画像表示装置7を備えている。また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における画像表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第1特別図柄の抽選の契機となる。第1特別図柄の抽選は,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらに画像表示装置7を挟んでセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。
また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の上部に,盤可動体15を備えている。なお,盤可動体15は,可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は,画像表示装置7の上部でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態から,その折り畳みが解除されて画像表示装置7の中央部を含む前方で露出している露出状態に変位可能である。盤可動体15は,例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて変位する。
また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における第1始動口20の下方に,普通可変入賞装置22を備えている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第2特別図柄の抽選の契機となる。第2特別図柄の抽選も,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。電チュー22は,可動部材23を備え,可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,可動部材23が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,可動部材23が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。この場合,第2始動口21の上側に到達した遊技球は,可動部材23の左右方向に弾かれる。つまり,第2始動口21は,可動部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,可動部材23が閉状態では開状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,可動部材23が閉状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,固定入賞装置19よりも右上方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め上方に,第1大入賞口30を有する第1大入賞装置31を備えている。さらに第1大入賞装置31は,開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材32が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材32が閉状態とは,開状態よりも第1大入賞口30に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材32が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30よりも右上方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め上方に,第2大入賞口35を有する第2大入賞装置36を備えている。さらに第2大入賞装置36は,開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材37が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材37が閉状態とは,開状態よりも第2大入賞口35に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材37が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
より詳細には,図3に示すように,第2大入賞装置36の内部には,第2大入賞口35を通過した遊技球が通過可能な領域である特定領域39および非特定領域70が形成されている。また,第2大入賞装置36の内部には,遊技球の転動方向の特定領域39および非特定領域70よりも上流に,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第2大入賞口センサ35aが設けられている。また,特定領域39内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する特定領域センサ39aが設けられ,非特定領域70内には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する非特定領域センサ70aが設けられている。
また,第2大入賞装置36は,第2大入賞口35を通過した遊技球を,特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と,振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材71は,遊技盤2に対して左右方向に進退可能に取り付けられ,遊技球の特定領域39への転動と非特定領域70への転動とを切り換える。
具体的には,図3(A)に示すように,振分部材71が遊技球の特定領域39への転動を許容する位置に退避した状態(第1の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,特定領域39を通過することが可能になる。一方,図3(B)に示すように,振分部材71が特定領域39の入口を塞ぐことで遊技球の特定領域39への転動を規制した状態(第2の状態)では,第2大入賞口35に入賞した遊技球は,第2大入賞口35を通過した後,振分部材71によってガイドされ,非特定領域70を通過する。
パチンコ遊技機1では,特定領域39への遊技球の通過が遊技状態を変更する契機となっている。パチンコ遊技機1の遊技状態および変更内容については後述する。これに対し,非特定領域70への遊技球の通過は,遊技状態の変更の契機とならない。
図2の説明に戻り,パチンコ遊技機1には,遊技領域3におけるセンター装飾体10の左下方に,遊技球が通過可能な第1ゲート28が設けられている。また,パチンコ遊技機1には,遊技領域3における第1始動口20の右上方であって第1大入賞口30の上方に,遊技球が通過可能な第2ゲート29が設けられている。第1ゲート28および第2ゲート29への遊技球の通過は,電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄の抽選の契機となる。普通図柄の抽選の詳細についても後述する。なお,以下の説明では,第1ゲート28および第2ゲート29を総称する場合,ゲートという。
また,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3内に,1ないし複数の普通入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側に位置する左遊技領域3Aと,右側に位置する右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。パチンコ遊技機1では,左打ちの場合,第1始動口20への入賞が狙い易い構成になっている。一方,右打ちの場合,第2始動口21,第1大入賞口30,および第2大入賞口35への入賞が狙い易い構成になっている。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右上方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図4に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,普通図柄表示器42の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器44と,が含まれる。この他,表示器類40には,例えば,パチンコ遊技機1が特定の遊技状態か否かを表示する表示器が含まれていてもよい。
第1特別図柄の表示変更は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の表示変更は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,大当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。なお,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技の制御を行う。なお,大当たり遊技を特別遊技ともいう。大当たり遊技における第1大入賞口30および第2大入賞口35の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図4に示すように,8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,例えば「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から8番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数を取得し,その大当たり乱数を自身のメモリの特定の記憶領域に一旦記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第1始動口20用の記憶領域(後述する図5に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第2始動口21への入賞があれば,取得した大当たり乱数を第2始動口21用の記憶領域(後述する図5に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1では第1特図保留記憶部85a,第2特図保留記憶部85bともに,その上限数を4としている。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となる消化条件を満たしたことによって消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1がその大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の表示を実行することであり,停止図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,上限数までその入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1始動口20への入賞に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2始動口21への入賞に対する特図保留を,第2特図保留とする。
なお,第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留に対する消化条件には,その第1特図保留よりも先に第1特図保留記憶部85aに記憶された第1特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第1特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留に対する消化条件には,その第2特図保留よりも先に第2特図保留記憶部85bに記憶された第2特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された第2特図保留が全て消化されたことが含まれる。また,パチンコ遊技機1では,第2特図保留の消化が第1特図保留の消化よりも優先される。そのため,第1特図保留に対する消化条件には,第2特図保留が無いことも含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図4に示すように,第1特図保留表示器43aが4個のLEDで構成されており,第2特図保留表示器43bも4個のLEDで構成されている。パチンコ遊技機1は,特図保留表示器43に各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過を契機に,普通図柄抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通図柄抽選の抽選結果に応じて,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図4に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。普通図柄表示器42は,普通図柄抽選の普通当たりに当選に対応する特定普通図柄の表示として,例えば「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って,両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,例えば「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って,左のLEDを点灯させる。なお,普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,ゲートへの遊技球の通過があると,その通過に対して普通図柄の抽選用の乱数である普通図柄乱数の値を取得し,その普通図柄乱数を自身のメモリの特定の記憶領域(後述する図5に示す普図保留記憶部86)に一旦記憶する。記憶領域に記憶可能な普通図柄乱数の値の数には上限があり,パチンコ遊技機1では上限数を4としている。
記憶された普通図柄乱数は,その値に基づく普通図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。普通図柄乱数の値の消化とは,パチンコ遊技機1がその普通図柄乱数の値が普通当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための普通図柄の表示を実行することであり,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づく普通図柄の表示がその通過後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく普通図柄の変動表示中や補助遊技の実行中に遊技球のゲートの通過があった場合であっても,4個を上限として,その通過に対する普通図柄の抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,普図保留という。
なお,普図保留記憶部86に記憶された普図保留に対する消化条件には,その普図保留よりも先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が無いこと,すなわち先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が全て消化されたことが含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような普図保留の数を,普図保留表示器44に表示する。具体的には,普図保留表示器44は,図4に示すように,4個のLEDで構成されており,普図保留の数だけLEDを点灯させることで普図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1は,図2に示したように,遊技領域3の中央付近に,画像表示装置7を備え,画像表示装置7の表示画面7aには,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域が含まれる。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。
演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の演出図柄からなる。本明細書では,数字を表した演出図柄を特に,「数字図柄」という。数字図柄は,識別図柄の一例である。演出図柄表示領域には,数字図柄の他,アルファベットを表した演出図柄や,特別なキャラクタが描かれた演出図柄を表示してもよい。これらの演出図柄も識別図柄の一例となる。画像表示装置7は,左,中,右の数字図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,画像表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で数字図柄を表示する。また,「ハズレ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で数字図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握可能な他,画像表示装置7に表示される数字図柄の組み合わせによっても把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,画像表示装置7は,数字図柄の変動表示に際し,例えば,数字図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。
なお,画像表示装置7は,前述のような数字図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たりの抽選結果を予告する予告演出に用いる画像,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,各種の設定内容の表示に用いる画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,数字図柄等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,画像表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第1演出保留表示領域9Aと,第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する第2演出保留表示領域9Bと,が含まれる。画像表示装置7は,演出保留画像の表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43よって把握可能な他,画像表示装置7の第1演出保留表示領域9Aおよび第2演出保留表示領域9Bに表示される演出保留画像の数によっても把握できる。
2.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図5および図6を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,画像制御基板100と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,遊技盤2に取り付けられ,特別図柄や普通図柄の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,遊技盤2に取り付けられ,画像表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。画像制御基板100は,画像表示装置7に表示される画像やスピーカ67から出力される音声に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
また,パチンコ遊技機1は,電源基板150を備えている。電源基板150は,主制御基板80,サブ制御基板90,画像制御基板100,および払出制御基板110に対する電力の供給制御を行い,これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。
電源基板150には,バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は,パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合,すなわち主電源がオフであったり停電が生じた場合に,後述する主制御基板80のRAM84等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。従って,主制御基板80のRAM84等に記憶されている情報は,パチンコ遊技機1に外部から電力が供給されていない場合も,バックアップ電源回路151から電力を供給できる間,一時的に保持される。なお,各制御基板に対する専用のバックアップ電源回路をそれぞれ設けてもよい。また,電源基板150には,電源スイッチ155が接続されている。この電源スイッチ155の操作により,主電源のオンオフが切り換えられる。
主制御基板80には,図5に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通図柄の抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられる。また,特図保留記憶部85には,第1始動口20を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2始動口21を遊技球が通過したことに起因して取得した乱数を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,取得した乱数を記憶する小領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球が始動口に入賞することに起因して,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の4つの乱数を取得する。そのため,各小領域には,それら4つの乱数が記憶される。各乱数の詳細については後述する。
また,普図保留記憶部86も,保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数が4であることから,普図保留記憶部86には,4つの記憶領域が設けられる。さらに各領域には,取得した乱数を記憶する記憶領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球がゲートを通過することに起因して,普通当たり乱数を取得する。そのため,上述の記憶領域には,普通当たり乱数が記憶される。普通当たり乱数の詳細については後述する。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1ゲートセンサ28a,第2ゲートセンサ29a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,特定領域センサ39a,非特定領域センサ70a,および普通入賞口センサ27a,がある。
第1始動口センサ20aは,第1始動口20の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1始動口20を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2始動口センサ21aは,第2始動口21の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2始動口21を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第1ゲートセンサ28aは,第1ゲート28の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。第2ゲートセンサ29aは,第2ゲート29の直下の通過領域内に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特定領域センサ39aは,特定領域39内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が特定領域39を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。非特定領域センサ70aは,非特定領域70内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が非特定領域70を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
普通入賞口センサ27aは,各普通入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各普通入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,第2大入賞口ソレノイド38,および振分部材ソレノイド73,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の可動部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。振分部材ソレノイド73は,第2大入賞装置36の振分部材71を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b,および普図保留表示器44,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20への入賞による払い出しの賞球数は3球であり,第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,普通入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者によるハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,発射装置112を制御する。
また,主制御基板80には,RAMクリアスイッチ161が接続されている。RAMクリアスイッチ161は,主制御基板80に付設され,パチンコ遊技機1の後面に配置される。すなわち,RAMクリアスイッチ161は,通常,パチンコ遊技機1の前面側にいる遊技者から視認できず,遊技者が操作できない位置にある。そのため,RAMクリアスイッチ161は,通常,ホールのスタッフによって操作される。パチンコ遊技機1は,RAMクリアスイッチ161が押下された状態で起動されると,RAM84を初期化する。これにより,RAM84に記憶されている情報が失われる。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
また,主制御基板80には,外部端子板190が接続されている。外部端子板190は,遊技制御用マイコン81から受信した信号に基づく各種の信号を,データ表示器910やホールコンピュータ900といったパチンコ遊技機1の外部に配された外部装置に対して出力する。具体的に外部端子板190には,外部出力用の複数のチャネル(CN)が設けられている。そして,各チャネル(CN)に対応するコネクタと,データ表示器910側のコネクタとはケーブルによって接続される。各コネクタからは,それぞれ一つの信号が外部に出力される。外部端子板190では,例えば,大当たりが当選したことを示す大当たりカウント信号,パチンコ遊技機1の遊技状態を示す信号,遊技機枠50が開放されていることを示す枠開放信号,所定数(例えば10球)の賞球がなされたことを示す信号,想定外の入賞があったことを示すセキュリティ信号,がそれぞれ別のチャネルから出力される。
サブ制御基板90には,図6に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,I/Oポートによって構成される入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,保留抽選情報を記憶する特図保留記憶部95が設けられる。保留抽選情報には,主制御基板80の特図保留記憶部85に記憶される各乱数に基づく情報が含まれ,具体的には1回の始動口への入賞によって主制御基板80から出力される始動入賞コマンドが含まれる。特図保留記憶部95はさらに,第1特図保留に基づく第1始動入賞コマンドを記憶する第1特図保留記憶部95aと,第2特図保留に基づく第2始動入賞コマンドを記憶する第2特図保留記憶部95bと,が設けられる。また,RAM94には,選択された連続予告のシナリオを記憶する連続予告記憶部98と,演出図柄変動演出での演出内容に関する情報を記憶する変動演出記憶部96と,が設けられる。連続予告の詳細は後述する。
詳細には,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,2つの小領域が設けられている。具体的にパチンコ遊技機1では,始動口の入賞に基づいて特定される始動入賞コマンドと,演出保留画像の表示態様を示すデータと,を各小領域に記憶する。
また,サブ制御基板90には,画像制御基板100,盤可動体中継基板108,ランプ中継基板107,十字ボタン検出スイッチ68x,演出ボタン検出スイッチ63x,剣部材検出スイッチ222x,および振動モータ223が電気的に接続されている。そのため,サブ制御基板90には各スイッチに基づく信号が入力され,各基板や振動モータ223にはサブ制御基板90から信号が出力される。
画像制御基板100には,プログラムに従って画像表示装置7およびスピーカ67の出力を制御する画像制御用ワンチップマイコン101が実装されている。以下,画像制御用ワンチップマイコン101を,画像制御用マイコン101とする。画像制御用マイコン101には,演出の進行に伴って表示画像を制御するためのプログラムや,画像表示装置7に表示される静止画や動画,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データや,スピーカ67を介して出力される音声,楽曲,効果音,などの音声データを記憶したROM103,ワークメモリとして使用されるRAM104,ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102,が含まれる。画像制御用マイコン101は,I/Oポートによって構成される入出力回路105を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路105は,画像制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。また,ROM103は,外付けであってもよい。
また,画像制御基板100には,画像表示装置7およびスピーカ67が電気的に接続されている。そのため,画像表示装置7やスピーカ67には,画像制御基板100から信号が出力される。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100の画像制御用マイコン101に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御用マイコン101のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データや音声データを読み出す。そして,読み出した画像データを画像表示装置7に表示させ,読み出した音声データに基づいて音声をスピーカ67から出力する。
なお,音声を出力する構成として,サブ制御基板90およびスピーカ67と電気的に接続される音声制御基板を備え,演出制御用マイコン91が,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,その音声制御基板を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる構成でもよい。この場合,音声データは,サブ制御基板90のROM93に記憶すればよい。
また,サブ制御基板90には,遊技盤2に取り付けられた盤可動体中継基板108を介して,盤可動体15が電気的に接続されている。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,盤可動体中継基板108を介して電気的に接続された盤可動体15の動作制御を行う。具体的に,演出制御用マイコン91は,盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータをROM93から読み出し,その動作パターンデータに基づいて,盤可動体中継基板108を介して盤可動体15の動作制御を行う。
また,サブ制御基板90には,遊技機枠50に取り付けられたランプ中継基板107を介して,枠ランプ66および枠可動体600が電気的に接続されている。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ中継基板107を介して,枠ランプ66の点灯制御ないし枠可動体600の動作制御を行う。具体的に,演出制御用マイコン91は,各ランプの発光態様を決める発光パターンデータをROM93から読み出し,その発光パターンデータに基づいてランプ中継基板107を介して各ランプの発光制御を行う。また,演出制御用マイコン91は,枠可動体600の動作態様を決める動作パターンデータをROM93から読み出し,その動作パターンデータに基づいてランプ中継基板107を介して枠可動体600の動作制御を行う。
十字ボタン検出スイッチ68xは,十字ボタン68に対応する検出スイッチである。そのため,十字ボタン68が押下されると,十字ボタン検出スイッチ68xからサブ制御基板90に対して,十字ボタン68の押下された方向に関する信号が出力される。十字ボタン検出スイッチ68xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,十字ボタン68のいずれかの方向ボタンが押下されたか否かを判断できる。演出ボタン検出スイッチ63xは,演出ボタン63に対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63が押下されると,演出ボタン検出スイッチ63xからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63に関する信号が出力される。演出ボタン検出スイッチ63xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出ボタン63が押下されたか否かを判断できる。剣部材検出スイッチ222xは,剣部材222に対応する検出スイッチである。そのため,剣部材222が押し込まれると,剣部材検出スイッチ222xからサブ制御基板90に対して,剣部材222に関する信号が出力される。剣部材検出スイッチ222xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,剣部材222が押し込まれたか否かを判断できる。
振動モータ223は,演出ボタン63内に収容され,演出ボタン63の外装体を振動させる部材である。なお,振動モータ223は,演出ボタン63の外装体を振動させず,演出ボタン63に収容される構造物のみを振動させてもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,振動モータ223の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,その動作パターンデータに基づいて振動モータ223の動作制御を行う。
3.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞を契機に,大当たりの抽選を行う。第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第1特別図柄表示器41aに表示され,第1特別図柄(特図1)の抽選ともいう。また,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第2特別図柄表示器41bに表示され,第2特別図柄(特図2)の抽選ともいう。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,特図変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,取得した大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1が行う大当たりの抽選の結果には,「大当たり」と「ハズレ」とがある。大当たり乱数は,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図7に示すように,通常確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜164の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりの当選確率が異なる2つの遊技状態,すなわち通常確率状態と高確率状態とがあり,高確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜649の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断する。遊技状態の詳細については後述する。
パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合には,特別図柄表示器41に,大当たりに対応する特別図柄である「大当たり図柄」を停止表示させる。大当たりには,幾つかの種類があり,種類に応じた「大当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合には,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,ハズレに対応する特別図柄である「ハズレ図柄」を停止表示させる。
さらにパチンコ遊技機1は,大当たりに当選した場合,大当たりの種類に応じた開放パターンにて,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放する制御である「大当たり遊技」を実行する。なお,以下の説明では,第1大入賞口30および第2大入賞口35を総称する場合,大入賞口という。
大当たり遊技は,1回または複数回のラウンド遊技と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニングと,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディングと,を含んでいる。各ラウンド遊技は,オープニングの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始し,次のラウンド遊技の開始またはエンディングの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間であるインターバル時間は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
パチンコ遊技機1では,大当たりの種別として,「Vロング大当たり」と「Vショート大当たり」とがある。パチンコ遊技機1では,大当たりに当選した場合,大当たり種別の抽選も行う。大当たり種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜9までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図8に示すように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜4の範囲内の値であれば,Vロング大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればVショート大当たりと判断する。一方,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)では,例えば,大当たり種別乱数が0〜9の範囲内の値,すなわち全ての値で,Vロング大当たりに当選したと判断する。
「Vロング大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が可能なVロング開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。「Vショート大当たり」は,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過が実質的に不可能なVショート開放パターンで,第1大入賞装置31の開閉部材32および第2大入賞装置36の開閉部材37を作動させる大当たりである。
より具体的には,図9に示すように,「Vロング大当たり」は,総ラウンド数が16ラウンド(R)である。1R目から13R目までの各ラウンドおよび15R目では,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放する。また,14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。なお,振分部材71は,大当たり遊技の開始またはラウンド遊技の開始から,前述した図3(A)に示す第1状態,または図3(B)に示す第2状態に一定の周期で変動している。そのため,14R目および16R目の各ラウンドでは,第2大入賞口35を通過した遊技球を,第2大入賞口35を介して特定領域39内に通過させることが可能である。
これに対して,「Vショート大当たり」は,総ラウンド数が16Rであるものの,実質的な総ラウンド数は13Rである。つまり,1R目から13R目までの各ラウンドは,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放するが,15R目は,0.08秒しか第1大入賞口30を開放しない。また,14R目および16R目の各ラウンドも,0.08秒しか第2大入賞口35を開放しない。従って,Vショート大当たりでは,14R目から16R目までの各ラウンドは,大入賞口の開放時間が極めて短く,賞球が見込めないラウンドとなっている。つまり,Vショート大当たりは実質13Rの大当たりとなっている。
また,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,パチンコ遊技機1は,仮に遊技球が第2大入賞口35を通過してもその遊技球が特定領域39を通過することができないタイミング,すなわち振分部材71が第2の状態(図3参照)になったタイミングで,第2大入賞装置36の開閉部材37を開放する。このため,Vショート大当たりにおける14R目および16R目の各ラウンドでは,特定領域39に遊技球が通過することはほぼ不可能になっている。
パチンコ遊技機1では,大当たり遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて,その大当たり遊技の終了後の遊技状態を,高確率状態に移行させる。つまり,前述のVロング大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過することで,大当たり遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させ得る。これに対して,Vショート大当たりに当選した場合には,大当たり遊技の実行中に遊技球が特定領域39をほぼ通過できないため,大当たり遊技後の遊技状態は,通常確率状態となる。
パチンコ遊技機1では,図8に示したように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが50%,Vショート大当たりが50%となっている。これに対して,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)における大当たりの振分率は,Vロング大当たりが100%となっている。すなわち,後述する電サポ制御の実行により入球可能となる第2始動口21への入賞に基づく大当たりの抽選により大当たりに当選した場合には,必ずVロング大当たりになる。このようにパチンコ遊技機1では,第1特別図柄の抽選よりも,第2特別図柄の抽選の方が,遊技者にとって有利となるように設定されている。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数および変動パターン乱数がある。
リーチ乱数は,大当たり判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決定するために用いられる乱数である。リーチとは,複数の数字図柄のうち変動表示されている数字図柄が残り1つとなっている状態であって,変動表示されている数字図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たりの当選を示す数字図柄の組み合わせとなる状態,例えば「7↓7」(「↓」は変動中を意味する)といった状態,のことである。なお,リーチ状態において停止表示されている数字図柄は,表示画面7a内で多少揺れているように表示されてもよい。すなわち,数字図柄が完全に停止していなくてもよい。リーチ乱数は,0〜127までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図10に示すように,非時短状態では,リーチ乱数が0〜13の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。また,時短状態では,リーチ乱数が0〜5の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
変動パターン乱数は,特別図柄の変動時間を含む変動パターンを決定するために用いられる乱数である。変動パターン乱数も,0〜127までの範囲内の値となる。図11および図12は,変動パターン乱数と変動パターンとの関係を示すテーブルである。本形態では,変動パターンによって,疑似連続変動演出(疑似連演出ともいう)の実行可否や,疑似連演出を行う場合の再変動表示の実行回数や,リーチ演出の実行可否や,リーチ演出を行う場合の態様が決められる。
疑似連演出とは,大当たりの抽選の1回分の特別図柄の変動表示期間において,画像表示装置7に,少なくとも1つの表示箇所に数字図柄を仮停止表示させ,その後,数字図柄の全ての表示箇所を再変動表示させる演出である。仮停止表示とは,数字図柄の表示箇所において数字図柄が変動表示されていないが,完全には停止しておらず僅かに動いている表示態様である。疑似連演出を行う場合,変動パターンには,数字図柄の再変動表示の実行回数の情報が含まれ,「疑似連×2」は,1回の再変動表示によって,1回分の変動表示期間中,疑似的に2回連続して変動表示が生じているように見せる疑似連演出を意味する。「疑似連×3」は,2回の再変動表示によって,1回分の変動表示期間中,疑似的に3回連続して変動表示が生じているように見せる疑似連演出を意味する。
疑似連演出は,再変動表示の回数が多いほど,すなわち「疑似連×3」の方が「疑似連×2」よりも,大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。また,疑似連演出は,再変動表示の回数が多いほど,遊技者に有利な種類の大当たりに当選している,すなわち「Vショート大当たり」よりも「Vロング大当たり」に当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。
また,変動パターンに含まれるリーチ演出の態様としては,「通常リーチ」と,通常リーチよりも変動時間が長い「スーパーリーチ(SPリーチ)」と,がある。リーチ演出についても,「SPリーチ」の方が「通常リーチ」よりも,大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。パチンコ遊技機1では,変動パターン乱数の他,特別図柄の種類,時短状態か非時短状態か,大当たりやリーチの抽選結果,に基づいて,変動パターンを決定する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づいて取得される乱数として,普通当たり乱数がある。普通当たり乱数は,電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選に用いられる乱数である。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図13に示すように,非時短状態では,普通当たり乱数が0〜2の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。また,時短状態では,普通当たり乱数が0〜254の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。すなわち,普通当たりの抽選は,非時短状態ではほとんどハズレとなり,時短状態ではほとんど普通当たりとなる。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
4.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選(特別図柄表示器41)および普通当たりの抽選(普通図柄表示器42)に関して,それぞれ「確率変動機能」と「変動時間短縮機能」とを有している。
大当たりの抽選で確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい,作動していない状態を「通常確率状態」という。高確率状態では,図7に示したように,大当たりに当選する確率が通常確率状態よりも高い。すなわち,確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,大当たりの抽選で結果が大当たりとなる確率が高くなる。
また,大当たりの抽選における変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい,作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では,特別図柄表示器41での特別図柄の変動時間,すなわち変動表示の開始時から表示結果の停止表示時までの時間が,非時短状態よりも短くなり易い。具体的にパチンコ遊技機1は,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,図10に示したように,リーチ有りと判定されるリーチ乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が少なくなる判定テーブルを用いて,リーチの判定を行う。つまり,時短状態では,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,特別図柄が停止表示されるまでの時間が長いリーチになる確率が低くなる。また,図11および図12に示したように,リーチ無しハズレとなった場合,非時短状態よりも時短状態の方が,変動時間が短い変動パターンが選択され易い。つまり,変動時間短縮機能が作動していると,作動していないときと比較して,変動時間が短くなり易い。その結果,時短状態では,特図保留の消化のペースが速くなり,特図保留として記憶され得る始動口への有効な入賞が発生し易くなる。そのため,遊技者は,スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことが可能となる。
大当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,同時に作動してもよいし,一方のみが作動してもよい。普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,大当たりの抽選における変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち,普通当たりの抽選における確率変動機能および変動時間短縮機能は,時短状態において作動し,非時短状態において作動しない。よって,時短状態では,普通当たり抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。具体的にパチンコ遊技機1は,図13に示したように,普通当たりと判定される普通当たり乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が多くなる判定テーブルを用いて,普通当たりの抽選を行う。つまり,普通当たりの抽選で確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,普通当たりの抽選で結果が普通当たりとなる確率が高くなる。
また,時短状態では,普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短い。パチンコ遊技機1では,例えば,非時短状態の変動時間が30秒であり,時短状態の変動時間が1秒である。また,時短状態では,補助遊技における電チュー22の開放時間が,非時短状態よりも長くなっている。すなわち,電チュー22の開放時間延長機能が作動している。一方,時短状態でも非時短状態でも,補助遊技における電チュー22の開放回数は同じである。つまり,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能が作動していない。なお,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能を作動してもよい。
かくして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では,これらの機能が作動していない場合と比較して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することになる。その結果,遊技球の発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい,作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では,遊技者は,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御,いわゆる電サポ制御が実行されている状態ともいえる。
なお,高ベース状態は,前述した複数の機能が全て作動するものでなくてもよい。すなわち,普通当たりに抽選における確率変動機能,普通当たりの抽選における変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,1つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また,高ベース状態は,時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
パチンコ遊技機1では,Vロング大当たりへの当選による大当たり遊技後の遊技状態が,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がなされていれば,高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態となる。この遊技状態を特に,「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では160回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また,パチンコ遊技機1では,Vショート大当たりへの当選による大当たり遊技の遊技状態が,その大当たり遊技中に特定領域39への遊技球の通過がほぼなされないことから,通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では100回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお,パチンコ遊技機1の電源投入後の遊技状態は,通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確低ベース状態」という。また,大当たり遊技の実行中の状態を「大当たり遊技状態」と称する。なお,大当たり遊技状態を「特別遊技状態」ともいう。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では,右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されているため,低ベース状態と比べて電チュー22が開放され易くなっており,第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,普通当たり抽選の契機となる第2ゲート29へ遊技球を通過させつつ,第2始動口21へ入賞させるべく右打ちを行う。これにより,左打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
これに対して,低ベース状態では,左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が遊技者にとって有利に遊技を進められる。電サポ制御が実行されていないため,高ベース状態と比べて電チュー22が開放され難くなっており,第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易になっているからである。従って,遊技者は,第1始動口20へ入賞させるべく左打ちを行う。これにより,右打ちよりも,始動口への入賞を多数得ることが期待できる。
5.数字図柄の役割
続いて,本形態のパチンコ遊技機1における数字図柄の役割について説明する。パチンコ遊技機1では,演出図柄変動演出中に表示される「1」〜「9」の各数字図柄に,あらかじめ役割が割り当てられている。そして,パチンコ遊技機1は,所定の表示箇所に数字図柄を仮停止表示させることで,その演出図柄変動演出中に行われる演出内容を予告する。すなわち,パチンコ遊技機1は,所定の表示箇所に,役割が割り当てられた数字図柄を仮停止表示させるという予告演出を行う。例えば,ある数字図柄に疑似連演出を行う役割が割り当てられている場合,パチンコ遊技機1は,疑似連演出を行うにあたって所定の表示箇所にその数字図柄を仮停止表示させることで,疑似連演出を予告する。
また,パチンコ遊技機1では,役割変化条件を満たしている場合と,役割変化条件を満たしていない場合とで,各数字図柄に異なる役割が割り当てられている。役割変化条件としては,例えば,疑似連演出が実行されたことや,連続予告が開始されていること,が該当する。すなわち,パチンコ遊技機1では,1つの数字図柄に対して,役割変化条件を満たしている場合と,満たしていない場合と,の2つの役割があらかじめ定められている。
図14は,パチンコ遊技機1における各数字図柄の役割の具体例を示している。図14中,第1の役割は,役割変化条件を満たしていない状態での役割を示しており,第2の役割は,役割変化条件を満たしている状態での役割を示している。例えば,数字図柄「1」では,第1の役割が「弱チャンス」であり,第2の役割が「強チャンス」である。「強チャンス」や「弱チャンス」は,通常時と比較して,大当たりに当選したことの期待度が高いことを意味する。また,「強チャンス」は,「弱チャンス」と比較して,大当たりに当選したことの期待度が高いことを意味する。
数字図柄に割り当てられる役割には,「強チャンス」や「弱チャンス」の他にも,幾つかの種類がある。図14中,「弱疑似連」「強疑似連」は,それぞれ疑似連演出を行うことを意味し,「強疑似連」は,「弱疑似連」と比較して,大当たりに当選したことの期待度が高いことを意味する。
「滑り」は,仮停止表示中の数字図柄が停止表示されず,再度変動表示されることを意味する。なお,「滑り」では,所定の表示箇所に仮停止表示された数字図柄のみを再変動表示させる。この点,数字図柄の全ての表示箇所を再変動表示させる疑似連演出とは異なる。
「先読み」は,先読み演出を行うことを意味する。先読み演出とは,保留中の大当たり乱数の中に,大当たりに当選する予定の大当たり乱数が有るか否かを判定し,その判定結果を出力する演出である。例えば,パチンコ遊技機1は,大当たり乱数を取得した際,その大当たり乱数に基づく情報をRAM84に加えてRAM94にも記憶する。そして,演出図柄変動演出中に先読みを行う場合には,演出制御用マイコン91にて,RAM94に記憶されている大当たり乱数の情報に大当たりに当選する予定の大当たり乱数が有るか否かを判定する。先読み演出では,パチンコ遊技機1は,その判定結果に応じて,例えば,演出保留画像を変化させたり,特別な効果音を出力する。なお,図14中の「無」は,対象の数字図柄に役割が割り当てられていないことを意味する。
図14に示したように,各数字図柄において,第2の役割は,第1の役割と比較して,大当たりに当選したことの期待度が高い役割が割り当てられている。そのため,役割変化条件を満たすことで,遊技者の大当たりの期待感が上昇し得る。なお,役割変化条件を満たしている場合と,役割変化条件を満たしていない場合とで,全ての数字図柄で役割が異なる必要は無く,例えば図14中の数字図柄「2」のように,同じ役割が割り当てられている数字図柄があってもよい。すなわち,パチンコ遊技機1では,数字図柄の種類ごとに,1つないし2つの役割が割り当てられている。
パチンコ遊技機1は,特別図柄の変動表示を開始する際,すなわち演出図柄変動演出を開始する際,変動パターンの情報に従って演出図柄変動演出のシナリオを決定し,そのシナリオに従って,演出図柄変動演出中に表示する数字図柄の組み合わせを選択する。なお,パチンコ遊技機1は,演出図柄変動演出のシナリオの内容によって,演出図柄変動演出の完了までに役割変化条件を満たすか否かを判断できる。そのため,パチンコ遊技機1は,演出図柄変動演出を開始する際に,数字図柄の役割を変更するか否かを決定する。
例えば,演出図柄変動演出において,疑似連演出のうち「疑似連×3」を行う場合には,変動表示が疑似的に3回行われることから,3種類の数字図柄の組み合わせが選択される。また,疑似連演出を行う際の1回目の変動表示と2回目の変動表示には,所定の表示箇所に仮停止表示される数字図柄として,疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄を含む数字図柄群の中から選択される。具体的には,疑似連演出を行う数字図柄の他,チャンスが割り当てられた数字図柄および役割が割り当てられていない数字図柄の中から選択される。なお,大当たりに当選している場合には,疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄の方が,他の数字図柄よりも選択され易く,さらに「弱疑似連」が割り当てられた数字図柄よりも「強疑似連」が割り当てられた数字図柄の方が選択されやすいようになっている。一方,ハズレの場合には,大当たりに当選している場合と比較して疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄が選択され難く,さらに「強疑似連」が割り当てられた数字図柄よりも「弱疑似連」が割り当てられた数字図柄の方が選択されやすいようになっている。
また,演出図柄変動演出において,疑似連演出を行わない場合には,所定の表示箇所に表示される数字図柄の選択肢として疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄が含まれず,それら以外の数字図柄から選択される。もしくは,疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄が選択される確率を極めて低くする。つまり,疑似連演出を予告したにもかかわらず疑似連演出が行われないことが発生し難くなるように,数字図柄の選択肢が設定される。
また,演出図柄変動演出において,例えば,「SPリーチ」に発展させる演出を行う場合,所定の表示箇所に仮停止表示される数字図柄として,チャンスが割り当てられた数字図柄を含む数字図柄群の中から選択される。具体的には,チャンスが割り当てられた数字図柄の他,役割が割り当てられていない数字図柄の中から選択される。なお,大当たりに当選している場合には,チャンスが割り当てられた数字図柄の方が,他の数字図柄よりも選択され易く,さらに「弱チャンス」が割り当てられた数字図柄よりも「強チャンス」が割り当てられた数字図柄の方が選択されやすいようになっている。一方,ハズレの場合には,大当たりに当選している場合と比較してチャンスが割り当てられた数字図柄が選択され難く,さらに「強チャンス」が割り当てられた数字図柄よりも「弱チャンス」が割り当てられた数字図柄の方が選択されやすいようになっている。
また,演出図柄変動演出において,例えば,先読みの演出を行う場合,所定の表示箇所に仮停止表示される数字図柄として,「先読み」が割り当てられた数字図柄が選択される。また,演出図柄変動演出において,数字図柄の滑りの演出を行う場合,所定の表示箇所に仮停止表示される数字図柄として,「滑り」が割り当てられた数字図柄が選択される。このように演出によっては,数字図柄の選択肢にその演出が割り当てられた数字図柄以外の数字図柄を含めず,その演出の実行が必ず予告されるものがあってもよい。一方で,疑似連演出のように,数字図柄の選択肢にその演出が割り当てられた数字図柄以外の数字図柄を含め,その演出の実行が必ずしも予告されないものがあってもよい。
以下に,上述したような役割に従った数字図柄を表示するパチンコ遊技機1の具体例を説明する。本形態のパチンコ遊技機1は,図15に示すように,画像表示装置7の表示画面7aに,演出図柄8L,8C,8Rをそれぞれ表示するための図柄表示領域として,左側から順に,図柄表示領域8LA,8CA,8RA,を設ける。そして,パチンコ遊技機1は,演出図柄変動演出において,始めに,各図柄表示領域内で数字図柄を上下方向に縦スクロールさせる。図15中の各図柄表示領域内の「↓」は,数字図柄が縦スクロール中であることを意味する。
その後,パチンコ遊技機1は,左の図柄表示領域8LA,右の図柄表示領域8RA,中央の図柄表示領域8CA,の順に数字図柄を仮停止表示させる。その後,パチンコ遊技機1は,各図柄表示領域に表示される全ての数字図柄を停止表示させることで,抽選結果の確定表示を行う。
また,本形態のパチンコ遊技機1は,2番目に仮停止表示させた数字図柄,すなわち右の図柄表示領域8RAに仮停止表示された数字図柄が,その演出図柄変動演出中に行われる演出を予告する数字図柄となる。すなわち,右の図柄表示領域8RAを,所定の表示箇所とする。例えば,図16に示すように,演出図柄変動演出の開始後,最初に右の図柄表示領域8RAに仮停止表示された数字図柄が「3」であった場合,疑似連演出が行われることが予告されることになる。そのため,パチンコ遊技機1は,その後,中央の図柄表示領域8CAを仮停止表示させた後で,全ての図柄表示領域の数字図柄を再変動表示させる。つまり,数字図柄「3」の第1の役割が「弱疑似連」であることから(図14参照),パチンコ遊技機1は,疑似連演出を実行するにあたって,所定の表示箇所に,疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄を表示することで,疑似連演出の実行を予告する。なお,疑似連演出では,中央の図柄表示領域8CAを仮停止表示させる前から,全ての図柄表示領域の数字図柄を再変動表示させてもよい。
その後,パチンコ遊技機1は,演出図柄変動演出を継続し,例えば次に右の図柄表示領域8RAに仮停止表示された数字図柄が「5」であった場合,大当たりの期待度が高いことが予告されることになる。つまり,疑似連演出が実行された場合は役割変化条件を満たすことになることから,数字図柄の役割が変わり,数字図柄「5」の第2の役割が「強チャンス」になる。このことから,パチンコ遊技機1は,大当たりに当選する期待度が高い演出(例えば,SPリーチ)を実行する。その後,パチンコ遊技機1は,各図柄表示領域に表示される全ての数字図柄を停止表示させる。このように1つの抽選結果を表示する間に数字図柄の役割が変化することで,役割が固定されている場合と比較して,数字図柄を表示する演出の興趣性の向上が期待できる。
また,パチンコ遊技機1では,連続予告が開始されている場合も役割変化条件を満たすこととする。連続予告は,大当たりの抽選結果を予告する演出の1つであり,複数の演出図柄変動演出にわたって連続して1つの大当たり乱数についての大当たりの抽選結果を予告する演出である。連続予告は,複数の演出図柄変動演出にわたって行われることから,予告対象の大当たり乱数についての演出図柄変動演出を開始する前から開始され,予告対象の大当たり乱数についての演出図柄変動演出が終了することで終了する。
そのため,パチンコ遊技機1は,連続予告が開始されていれば,始めから数字図柄の役割を変更することになり,演出図柄変動演出の開始後,最初に右の図柄表示領域8RAに仮停止表示された数字図柄が「3」の場合であっても,連続予告が実行されていない場合と比較して,大当たりに当選する期待度が高いことが予告されることになる。つまり,数字図柄「3」の第2の役割が「強疑似連」であることから,「弱疑似連」よりも大当たりに当選する期待度が高い。このように連続予告が実行中でない場合と比較して,同じ数字図柄であっても大当たりに当選する期待度が高くなることで,遊技者に対して大当たりに当選したことへの期待感を高ぶらせ得る。
また,パチンコ遊技機1は,図16に示したように,右の図柄表示領域8RAに特定の数字図柄を仮停止表示させた際,その数字図柄に割り当てられた役割を説明する説明画像7Mを表示する。説明画像7Mは,「疑似連発動」や「チャンス」等の直接的なメッセージであってもよいし,「NEXT」,「続くかも?」,「激熱」,「当たるかも?」等の役割を示唆する文字を含むメッセージであってもよい。また,同じ文字であっても,文字色や文字サイズを変えることで,期待度の強弱を表現し得る。そのため,「強チャンス」と「弱チャンス」との違いや,「強疑似連」と「弱疑似連」との違いを,表現し得る。これにより,数字図柄の役割を認知していない遊技者であっても,数字図柄の演出を楽しむことが期待できる。
また,パチンコ遊技機1は,図16に示すように,連続予告を開始させた等,役割変化条件を満たした際,数字図柄に割り当てられた役割が変化した旨を示唆する状態示唆画像7Nを表示する。これにより,役割変化条件を認知していない遊技者であっても,数字図柄の演出を楽しむことが期待できる。なお,役割が変化した旨を示唆する画像は,状態示唆画像7Nのようなメッセージを含む画像の他,例えば図17に示すような,役割変化条件を満たしていない場合と背景色が異なる画像を状態示唆画像7Nとしてもよい。また,数字図柄のデザインを変更し,数字図柄が状態示唆画像7Nを兼ねてもよい。
なお,上述の例では,パチンコ遊技機1は,2番目に仮停止表示される数字図柄,すなわち右の図柄表示領域8RAに仮停止表示される数字図柄を予告に用いているが,2番目に仮停止表示される数字図柄に限らず,1番目であっても3番目であってもよい。また,4つ以上の数字図柄を表示する場合には,4番目以降に仮停止表示される数字図柄であってもよい。つまり,所定の表示箇所は,右の図柄表示領域8RAに限らず,左の図柄表示領域8LAであっても中央の図柄表示領域8CAであってもよい。また,数字図柄の種類によって異なってもよい。例えば,「滑り」を予告する数字図柄「2」や「先読み」を予告する数字図柄「9」を,1番目に仮停止表示される左の図柄表示領域8LAとし,「チャンス」を予告する数字図柄「1」,「4」,「5」や「疑似連」を予告する数字図柄「3」,「6」,「7」を,2番目に仮停止表示される左の図柄表示領域8LAとしてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,演出内容の予告に用いる図柄表示領域を,他の図柄表示領域と比較して大きくしてもよい。また,演出内容の予告に用いる図柄表示領域を,ライトアップしてもよい。このように演出内容の予告に用いる図柄表示領域を他の図柄領域と異なる表示態様にし,演出内容の予告に用いる図柄表示領域を目立たせてもよい。
6.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図18のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の主電源がオフからオンになったことを契機に,すなわち電源スイッチ155がオンになり,電源基板150を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,CPU82の初期設定やRAM84の初期化等を行う初期動作を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,RAM84へのアクセスを許可する。また,RAMクリアスイッチ161が押下されている場合や正常に主電源がオフされていなかった場合に,RAM84の初期化を行う。これにより,RAM84に記憶されていた各種の情報が失われる。また,サブ制御基板90側のRAM94等を初期化するためのRAM初期化コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。この他,S001では,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定を行う。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS003では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,S005のメイン側タイマ割り込み処理について,図19のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等,パチンコ遊技機1内の主制御基板80以外のデバイスに出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,払い出しに関する情報を更新する(S102)。具体的にS102では,遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,普通入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S102の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S103)。S103の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S103の後,遊技制御用マイコン81は,各種のセンサから出力された信号に基づいて,始動口等への入球を検出するセンサ検出処理を実行する(S111)。S111の詳細は後述する。
S111の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄に関する動作である普通動作処理を実行する(S121)。具体的にS121では,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選条件を満たしている場合に,普図保留記憶部86に記憶されている普通当たり乱数,および図13に示す普通当たり判定テーブルを用いて,普通当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた普図停止図柄データおよび遊技状態に応じた変動パターンを決定し,普通図柄表示器42に普通図柄の表示を行わせる。さらに普通当たりに当選した場合には,遊技状態に応じた電チュー22の開放パターンを決定し,電チュー22を作動させる。
S121の普通動作処理の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄に関する動作である特別動作処理を実行する(S131)。なお,S121とS131とは逆順であってもよい。S131の詳細は後述する。
S131の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留数,第1特図保留数,第2特図保留数,の各保留数に基づいて,特図保留表示器43および普図保留表示器44の表示を更新させる(S161)。
S161の後,遊技制御用マイコン81は,RAM84の外部出力バッファにセットされたコマンドに基づいて,外部端子板190を介して各種の信号を出力する(S171)。例えば,大当たりの抽選にて大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,大当たり信号を外部装置に出力する。
S171の後,遊技制御用マイコン81は,主電源を正常にオフさせるための電源断監視処理を実行する(S181)。具体的にS181では,遊技制御用マイコン81は,例えば,電源スイッチ155がオフになったことを検知した場合に,正常に主電源がオフされたことを示す情報をRAM84に記憶する。そして,RAM84へのアクセスを制限する。S181の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
[センサ検出処理]
次に,図19のS111のセンサ検出処理について,図20のフローチャートを参照しつつ説明する。
センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第1ゲートセンサ28aおよび第2ゲートセンサ29aから出力された信号に基づいて,遊技球がゲートを通過したか否かを判断する(S201)。遊技球がゲートを通過していた場合(S201:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数が4個未満か否かを判断する(S202)。
普図保留の数が4個未満であれば(S202:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数を1つ加算し(S203),さらに普通当たり乱数の値を取得する(S204)。遊技制御用マイコン81は,取得した普通当たり乱数の値を,普図保留記憶部86に記憶する。すなわち,パチンコ遊技機1は,遊技球が第1ゲート28を通過した場合であっても,第2ゲート29を通過した場合であっても,普図保留の数を1つ加算し,普通当たり乱数の値を取得する。
S204の後,あるいは普図保留の数が4個以上の場合(S202:NO),あるいは遊技球がゲートを通過していない場合(S201:NO),遊技制御用マイコン81は,第1始動口センサ20aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1始動口20を通過したか否かを判断する(S211)。遊技球が第1始動口20を通過していた場合(S211:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S212)。
第1特図保留の数が4個未満であれば(S212:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留数に1を加算し(S213),さらに大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得する(S214)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第1特図保留記憶部85aに記憶する。
S214の後,遊技制御用マイコン81は,図21に示す第1始動口20の入賞における第1始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S214にて取得した各乱数の値に基づいて第1始動入賞コマンドを特定し,その第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S215)。例えば,非時短状態であって,大当たり乱数が「1」,大当たり種別乱数が「1」,リーチ乱数が「1」,変動パターン乱数が「1」,であった場合,第1始動入賞コマンドとして「C010」が特定される。第1始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図7,図8,図10,図11に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,第1始動入賞コマンドには,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,疑似連演出を行うか否か,さらにはSPリーチを行うか否か,の各情報が含まれる。
なお,出力バッファにセットされた第1始動入賞コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図19参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。つまり,S214にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S215の後,あるいは第1特図保留の数が4個以上の場合(S212:NO),あるいは遊技球が第1始動口20を通過していない場合(S211:NO),遊技制御用マイコン81は,第2始動口センサ21aから出力された信号に基づいて,遊技球が第2始動口21を通過したか否かを判断する(S221)。遊技球が第2始動口21を通過していた場合(S221:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S222)。
第2特図保留の数が4個未満であれば(S222:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留数に1を加算し(S223),さらにS214と同様に,大当たりに関する各乱数の値を取得する(S224)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,第2特図保留記憶部85bに記憶する。
S224の後,遊技制御用マイコン81は,図22に示す第2始動口21の入賞における第2始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S224にて取得した各乱数の値に基づいて第2始動入賞コマンドを特定し,その第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S225)。第2始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図7,図8,図10,図12に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,S215と同様に,S224にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。
S225の後,あるいは第2特図保留の数が4個以上の場合(S222:NO),あるいは遊技球が第2始動口21を通過していない場合(S221:NO),遊技制御用マイコン81は,特定領域センサ39aから出力された信号に基づいて,遊技球が特定領域39を通過したか否かを判断する(S251)。遊技球が特定領域39を通過していた場合(S251:YES),遊技制御用マイコン81は,V有効期間内か否かを判断する(S252)。V有効期間は,想定外のタイミングで特定領域39への遊技球の通過を検知させないための期間である。
V有効期間内であれば(S252:YES),遊技制御用マイコン81は,Vフラグをオンとし(S253),さらにV通過コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S254)。Vフラグは,特定領域39への遊技球の通過の判断に用いられる。なお,出力バッファにセットされたV通過コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図19参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S254の後,あるいはV有効期間内ではない場合(S252:NO),あるいは遊技球が特定領域39を通過していない場合には(S251:NO),センサ検出処理を終了する。
[特別動作処理]
次に,図19のS131の特別動作処理について,図23のフローチャートを参照しつつ説明する。
特別動作処理では,特別図柄表示器41,第1大入賞装置31,および第2大入賞装置36に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1か否か(S901),2か否か(S911),3か否か(S921),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。特別動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1であれば(S901:YES),特別図柄待機処理を実行する(S902)。特別動作ステータスが2であれば(S911:YES),特別図柄変動中処理を実行する(S912)。特別動作ステータスが3であれば(S921:YES),特別図柄確定処理を実行する(S922)。一方,特別動作ステータスが4であれば(S921:NO),大当たり遊技処理を実行する(S932)。以下,特別動作処理にて実行される各処理について説明する。
[特別図柄待機処理]
図24は,図23のS902の特別図柄待機処理の手順を示している。特別図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第2特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1001)。第2特図保留の数が0であれば(S1001:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が0であるか否かを判断する(S1020)。つまり,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留に関する処理を,第1特図保留に関する処理よりも優先する。
第1特図保留の数も0であれば(S1020:YES),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出が開始されているか否かを判断する(S1031)。客待ち演出は,待機状態中,複数の待機画面やデモンストレーション画像を,画像表示装置7に表示させる演出である。客待ち演出が開始されていれば(S1031:YES),特別図柄待機処理を終了する。
客待ち演出が開始されていなければ(S1031:NO),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出を開始させるための客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1032)。出力バッファにセットされた客待ち待機コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。S1032の後,特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0でなければ(S1001:NO),遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判定する(S1011)。具体的にS1011では,遊技制御用マイコン81は,第2特図保留記憶部85bの先頭に記憶されている大当たりに関する各乱数の値を読み出し,図7に示した大当たり判定テーブルを用いて,読み出した大当たり乱数に基づいて,大当たり,ハズレの判定を行う。また,大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,図8に示した大当たり種別テーブルを用いて,読み出した大当たり種別乱数に基づいて,大当たりの種類の判定を行う。
S1011の後,遊技制御用マイコン81は,読み出した変動パターン乱数およびリーチ乱数に基づいて,変動パターンを決定する(S1012)。具体的にS1012では,遊技制御用マイコン81は,第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)にて大当たりに当選している場合は,大当たりの種類と,変動パターン乱数と,図12に示した変動パターンテーブルとを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1013)。
なお,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定を行った後,第2特図保留の数を1つ減算する。そして,第2特図保留記憶部85bにおける各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。これにより,第2特図保留が保留された順に消化される。
S1013の後,遊技制御用マイコン81は,S1012にて決定した変動パターンに従って,第2特別図柄表示器41bに特別図柄の変動表示を開始させる(S1014)。このとき遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。変動開始コマンドには,停止図柄データの情報や変動パターンの情報が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が実行される。S1014の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
一方,第2特図保留の数が0であり(S1001:YES),第1特図保留の数が0でなければ(S1020:NO),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の場合と同様に,大当たりに当選したか否かを判定する(S1021)。S1021は,S1011と同様の処理であるが,判定値となる各乱数は,第1特図保留記憶部85aから読み出す。
S1021の後,遊技制御用マイコン81は,変動パターン乱数等の各種乱数と図11に示した変動パターンテーブルに基づいて,変動パターンを決定する(S1022)。さらに,遊技制御用マイコン81は,大当たりの判定結果に応じて,停止図柄を決定する(S1023)。S1022およびS1023もS1012およびS1013と同様の処理である。
S1023の後,遊技制御用マイコン81は,S1022にて決定した変動パターンに従って,第1特別図柄表示器41aに特別図柄の変動表示を開始させる(S1024)。このとき遊技制御用マイコン81は,S1014と同様に,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。S1024の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
[特別図柄変動中処理]
図25は,図23のS912の特別図柄変動中処理の手順を示している。特別図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S1501)。変動時間は,前述した特別図柄待機処理のS1012あるいはS1022によって決定された変動パターンによって決められる。特別図柄の変動時間が経過していない場合(S1501:NO),特別図柄変動中処理を終了する。すなわち,特別図柄の変動表示が継続される。
一方,特別図柄の変動時間が経過した場合(S1501:YES),遊技制御用マイコン81は,変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が実行される。S1502の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを3に変更する(S1503)。
S1503の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を停止させる(S1504)。そして,遊技制御用マイコン81は,特別図柄を一定時間にわたって停止表示させるための停止時間をセットし(S1505),特別図柄変動中処理を終了する。
[特別図柄確定処理]
図26は,図23のS922の特別図柄確定処理の手順を示している。特別図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した特別図柄変動中処理のS1505でセットされた停止時間が経過したか否かを判断する(S1601)。停止時間が経過していなければ(S1601:NO),特別図柄確定処理を終了する。停止時間が経過していれば(S1601:YES),遊技状態を管理する(S1602)。
具体的にS1602では,遊技制御用マイコン81は,高確率状態であれば,確変カウンタを1つ減算する。確変カウンタは,高確率状態中に大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,確変カウンタは1ずつ減算される。さらに,遊技制御用マイコン81は,確変カウンタの値が0になったか否かを判断し,確変カウンタの値が0であれば,遊技状態を通常確率状態に移行する。
また,遊技制御用マイコン81は,時短状態であれば,時短カウンタを1つ減算する。時短カウンタは,時短状態中に大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,大当たりの抽選が行われる度に,時短カウンタは1ずつ減算される。さらに,遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断し,時短カウンタの値が0であれば,非時短状態に移行する。
S1602の後,遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選したか否かを判断する(S1611)。大当たりに当選していれば(S1611:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを4に変更する(S1612)。そして,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始する(S1613)。なお,大当たり遊技の実行中は,通常確率状態かつ非時短状態として制御される。つまり,大当たり遊技の実行中,パチンコ遊技機1は,低ベース状態になる。また,S1613では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技が開始されることになる。
一方,大当たりに当選していなければ(S1611:NO),大当たりの抽選結果がハズレであり,大当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを1に変更する(S1631)。S1631あるいはS1613の後,特別図柄確定処理を終了する。
[大当たり遊技処理]
図27は,図23のS932の大当たり遊技処理の手順を示している。大当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,大当たり遊技が終了したか否かを判断する(S2001)。大当たり遊技が終了していなければ(S2001:NO),遊技制御用マイコン81は,S1613にて開始した大当たり遊技を継続することから,大当たり遊技処理を終了する。
一方,大当たり遊技が終了していれば(S2001:YES),特別動作ステータスを1に変更する(S2011)。S2011の後,遊技制御用マイコン81は,遊技状態を設定する(S2012)。
具体的にS2012では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していることを条件として,すなわちVフラグがオンであることを条件として,高確率状態に移行する。高確率状態に移行した後は,Vフラグをオフにする。さらに確変カウンタに160をセットする。これにより,高確率状態で連続して最大160回の大当たりの抽選が可能になる。さらに遊技制御用マイコン81は,時短状態に移行する。さらに時短カウンタに160をセットする。これにより,時短状態で連続して最大160回の大当たりの抽選が可能になる。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していた場合には,遊技状態が,高確率状態かつ時短状態となる。
一方,遊技球が特定領域39を通過していなければ,すなわちVフラグがオフであれば,遊技制御用マイコン81は,時短状態に移行する。さらに時短カウンタに100をセットする。これにより,時短状態で連続して最大100回の大当たりの抽選が可能になる。一方で,遊技制御用マイコン81は,遊技状態を高確率状態にしない。すなわち,大当たり遊技中に遊技球が特定領域39を通過していない場合には,遊技状態が,通常確率状態かつ時短状態となる。さらに,時短状態で大当たりの抽選が連続して行える最大回数が,特定領域39を通過した場合と比較して少ない。S2012の後,大当たり遊技処理を終了する。
7.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図28のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,CPU92の初期化を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,を行う。また,S4001では,遊技制御用マイコン81からRAM初期化コマンドを受信していた場合,演出制御用マイコン91は,RAM94を初期化する。これにより,RAM94に記憶されていた各種の情報が失われる。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S4001の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,演出図柄乱数,変動演出パターン乱数,予告演出乱数,予告演出種類乱数,連続予告乱数,連続予告種類乱数,の各種の乱数の値を更新する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,そのコマンドに従って画像表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させ,スピーカ67に各種の音声を出力させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出や,客待ち演出等を実行する。
なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,演出制御用マイコン91は,ランプ中継基板107を介して枠ランプ66を点灯させたり,枠可動体600を駆動させたりする。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。
S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。以降,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,サブ側2msタイマ割り込み処理(S4009),サブ側10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,そのコマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[サブ側2msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側2msタイマ割り込み処理について,図29のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン検出スイッチ63x,十字ボタン検出スイッチ68x,および剣部材検出スイッチ222xからの出力信号に基づいて,演出ボタン63,十字ボタン68,および剣部材222への操作の有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。なお,パチンコ遊技機1にこれら以外の入力部材が設けられている場合,その入力部材の入力の有無の情報もスイッチデータに含める。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述するサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,枠ランプ66を点灯ないし消灯させるための制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じくサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成される可動体駆動データに従って,枠可動体600および盤可動体15を変位させるための制御を行う(S4203)。
S4203の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4299)。S4299の後,サブ側2msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側10msタイマ割り込み処理について,図30のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析するサブ側受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。S4301の詳細については後述する。S4301の後,演出制御用マイコン91は,特図保留の数の変化に応じて,演出保留画像に関する演出を行う(S4302)。
S4302の後,演出制御用マイコン91は,サブ側2msタイマ割り込み処理のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4303)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,各種の入力部材への操作に応じたスイッチ制御を行う(S4304)。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,枠ランプ66の点灯制御を行うためのランプデータを作成する(S4305)。さらに,演出制御用マイコン91は,盤可動体15や枠可動体600の稼働制御を行うための可動体駆動データを作成する(S4306)。
S4306の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),サブ側10msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側受信コマンド解析処理]
図31は,図30のS4301のサブ側受信コマンド解析処理の手順を示している。サブ側受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドもしくは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判断する(S4401)。第1始動入賞コマンドは,第1始動口20への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。第2始動入賞コマンドは,第2始動口21への入賞を契機に,主制御基板80から出力される。
主制御基板80から始動入賞コマンドを受信した場合(S4401:YES),演出制御用マイコン91は,受信した始動入賞コマンドをRAM94に記憶する(S4402)。具体的にS4402では,受信した始動入賞コマンドが,第1始動口20への入賞に基づいて生成された第1始動入賞コマンドであれば,第1特図保留記憶部95aに記憶し,第2始動口21への入賞に基づいて生成された第2始動入賞コマンドであれば,第2特図保留記憶部95bに記憶する。なお,始動入賞コマンドは,各特図保留記憶部において設けられている4つの記憶領域のうち,始動入賞コマンドが記憶されていない記憶領域に記憶される。
S4402の後,演出制御用マイコン91は,S4402にて始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を加算する(S4403)。保留カウンタは,第1特図保留記憶部95aに対応する第1特図保留カウンタと第2特図保留記憶部95bに対応する第2特図保留カウンタとの2種類有り,始動入賞コマンドが記憶が受信される度に,始動入賞コマンドを記憶した特図保留記憶部に対応する保留カウンタが1つ加算される。つまり,保留カウンタは,特図保留記憶部ごとに,記憶される始動入賞コマンドの数をカウントするカウンタである。
S4403の後,演出制御用マイコン91は,先読み演出に関する先読み演出判定処理(S4404)を実行する。S4404の詳細については後述する。
S4404の後,あるいは主制御基板80から始動入賞コマンドを受信していない場合(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4411)。変動開始コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を開始するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動開始コマンドを受信した場合(S4411:YES),演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドの記憶領域をシフトする(S4412)。具体的にS4412では,演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い始動入賞コマンドを記憶していた特図保留記憶部に記憶される各始動入賞コマンドを,現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。
4412の後,演出制御用マイコン91は,S4412にてシフトされた始動入賞コマンドを記憶する特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を減算する(S4413)。S4413の後,演出制御用マイコン91は,RAM94に記憶する始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い1つの始動入賞コマンドを用いて,演出図柄変動演出等の演出を開始させる変動演出開始処理を実行する(S4414)。S4414の詳細については後述する。
S4414の後,あるいは主制御基板80から変動開始コマンドを受信していない場合(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,変動停止コマンドを受信したか否かを判断する(S4421)。変動停止コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を終了するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動停止コマンドを受信した場合(S4421:YES),演出制御用マイコン91は,S4412にて開始された演出の終了に関する変動演出終了処理を実行する(S4422)。S4422の詳細については後述する。
S4422の後,あるいは主制御基板80から変動停止コマンドを受信していない場合(S4421:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,客待ち待機コマンドやV通過コマンドがある。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になった場合に,主制御基板80から出力される。客待ち待機コマンドを受信した場合,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する。V通過コマンドは,例えば,遊技球が特定領域39を通過した場合に,主制御基板80から出力される。V通過コマンドを受信した場合,演出制御用マイコン91は,その旨を画像表示装置7に通知させる。この他,前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,各種の異常報知コマンド,余剰球受皿62の満杯報知コマンドが該当する。S4499の後は,受信コマンド解析処理を終了する。
[先読み演出判定処理]
次に,図31のS4404の先読み演出判定処理について,図32のフローチャートを参照しつつ説明する。
先読み演出判定処理では,演出制御用マイコン91は先ず,連続予告フラグがオンか否かを判断する(S4601)。連続予告フラグは,連続予告を実行する際にオンになり,終了する際にオフになるフラグであり,その初期値はオフである。
連続予告は,複数の大当たり乱数について重畳して実行されることはなく,既に1つの大当たり乱数を対象として連続予告が実行されている場合には,他の大当たり乱数を対象とする連続予告は実行されない。そのため,連続予告フラグがオンの場合(S4601:YES),演出制御用マイコン91は,連続予告以外の先読み演出に関する処理を実行し(S4699),先読み演出処理を終了する。連続予告以外の先読み演出としては,例えば,演出保留画像を変化させる演出が該当する。
一方,連続予告フラグがオンでなければ(S4601:NO),演出制御用マイコン91は,連続予告乱数を取得し,図33に示す連続予告の判定テーブルを用いて,連続予告を実行するか否かを判定する(S4602)。例えば,始動入賞コマンドに「Vロング大当たり」の情報が含まれ,連続予告乱数の値が「1」であれば,連続予告が「有」と判定される。連続予告の判定テーブルでは,遊技者に有利なほど連続予告が「有」と判定され易くなるように,連続予告乱数の比率が設定されている。すなわち,「Vショート大当たり」よりも「Vロング大当たり」の方が,「ハズレ」よりも「Vロング大当たり」および「Vショート大当たり」の方が,連続予告が「有」と判定され易くなるように,連続予告乱数の比率が設定されている。また,始動入賞コマンドに「ハズレ」および「SPリーチ」の情報が含まれ,連続予告乱数の値が「5」であれば,連続予告が「有」と判定される。一方,始動入賞コマンドに「ハズレ」の情報が含まれ,「SPリーチ」の情報が含まれない場合,連続予告乱数の値が「5」であれば,連続予告が「無」と判定される。すなわち,連続予告の判定テーブルでは,「SPリーチ」が含まれる方が,含まれない場合と比較して連続予告が「有」と判定され易くなるように,連続予告乱数の比率が設定されている。
S4602の後,演出制御用マイコン91は,連続予告が「有」と判定されたか否かを判断する(S4611)。連続予告が「有」と判定されなかった場合(S4611:NO),演出制御用マイコン91は,連続予告以外の先読み演出に関する処理を実行し(S4699),先読み演出処理を終了する。
連続予告が「有」と判定された場合(S4611:YES),演出制御用マイコン91は,連続予告のシナリオを決定する(S4612)。具体的にS4612では,演出制御用マイコン91は,連続予告種類乱数を取得し,連続予告のシナリオの種類が登録されたテーブルを用いて,連続予告のシナリオを決定する。そして,演出制御用マイコン91は,決定されたシナリオの情報が含まれるシナリオデータを,連続予告記憶部98に記憶する(S4613)。
S4613の後,演出制御用マイコン91は,連続予告フラグをオンにする(S4614)。そして,演出制御用マイコン91は,連続予告以外の先読み演出に関する処理を実行し(S4699),先読み演出処理を終了する。
[変動演出開始処理]
次に,図31のS4414の変動演出開始処理について,図34のフローチャートを参照しつつ説明する。
変動演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,変動開始コマンドの内容を解析し,変動演出パターンの選択を行う(S4701)。変動開始コマンドには,図24のS1012あるいはS1022にて決定された変動パターンの情報が含まれる。つまり,始動入賞コマンドと同様に,大当たりの当否,大当たりの種類,リーチの有無,疑似連演出を行うか否か,さらにはSPリーチを行うか否か,の各情報が含まれる。選択された変動演出パターンは,変動演出記憶部96に記憶される。
具体的にS4701では,演出制御用マイコン91は,変動演出パターン乱数を取得し,変動パターンの種類に応じて分類される複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した変動演出パターン乱数を判定することにより,変動演出パターンを選択する。これにより,画像表示装置7によって表示される画像の種類やその表示タイミング,枠ランプ66の点灯の有無やその点灯タイミング,盤可動体15の稼働の有無やその稼働タイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば,変動演出の時間,演出図柄の変動表示態様,リーチ演出の有無,リーチ演出の内容,演出中のボタン操作の有無,演出の展開構成,背景の種類等,変動演出の詳細,すなわち演出図柄変動演出を含む変動中の演出のシナリオが決まることになる。
S4701の後,演出制御用マイコン91は,連続予告フラグがオンか否かを判断する(S4711)。連続予告フラグがオンの場合(S4711:YES),演出制御用マイコン91は,連続予告記憶部98に記憶される連続予告のシナリオデータによって特定される予告画像を画像表示装置7に表示させる予告画像表示コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4712)。これにより,演出図柄変動演出の開始時に,連続予告用の画像が画像表示装置7に表示される。
S4712の後,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する数字図柄を,図14に示した数字図柄役割テーブルのうち,第2の役割に基づいて演出内容を予告できるように選択する(S4713)。すなわち,役割変化条件を満たしている状態での数字図柄の役割に基づいて,数字図柄を選択する。例えば,疑似連演出を行う場合には,図柄表示領域8RAに表示される数字図柄として,第2の役割に疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄を含む数字図柄群(本形態では「1」「3」「4」「5」「6」「7」「8」)の中から選択される。疑似連演出を行うことが割り当てられた数字図柄(本形態では(「3」「6」「7」)は,他の数字図柄よりも選択され易い。また,各数字図柄の選択され易さは,例えば,大当たりに当選しているか否かによって異なる。すなわち,各数字図柄に割り当てられた役割の大当たりへの期待度によって,各数字図柄の選択され易さが異なる。また,例えば,数字図柄の滑り演出を行う場合には,図柄表示領域8RAに表示される数字図柄に,第2の役割に「滑り」が割り当てられた数字図柄(本形態では「2」)が必ず選択される。つまり,S4713では,演出図柄変動演出の開始時から,数字図柄の役割を第1の役割から第2の役割に変更する。
一方,連続予告フラグがオンでない場合(S4711:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドに疑似連演出の情報が有るか否かを判断する(S4721)。変動開始コマンドに疑似連演出の情報が無い場合(S4721:NO),演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する数字図柄を,図14に示した数字図柄役割テーブルのうち,第1の役割に基づいて演出内容を予告できるように選択する(S4722)。すなわち,役割変化条件を満たしていない状態での数字図柄の役割に基づいて,数字図柄を選択する。この場合,演出図柄変動中の演出にて疑似連演出が行われないことから,右の図柄表示領域8RAに表示される数字図柄として,第1の役割に疑似連演出に関する役割が割り当てられた数字図柄(本形態では「3」「7」)以外の数字図柄が選択される。なお,疑似連演出に関する役割が割り当てられた数字図柄が選択されてもよいが,その場合その選択確率は極めて低く設定する。
変動開始コマンドに疑似連演出の情報が有る場合(S4721:YES),演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する数字図柄のうち変動開始から1回目の数字図柄を,図14に示した数字図柄役割テーブルのうち,第1の役割に基づいて演出内容を予告できるように選択する(S4723)。さらに演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中に表示する数字図柄のうち2回目以降の,すなわち疑似連演出の発動後の数字図柄を,図14に示した数字図柄役割テーブルのうち,第2の役割に基づいて演出内容を予告できるように選択する(S4724)。すなわち,疑似連演出が実行される演出図柄変動演出では,疑似連演出の実行によって役割変化条件を満たすことから,疑似連演出が実行される前と後とで異なる役割によって演出内容が予告されるように,数字図柄を選択する。つまり,S4723およびS4724では,疑似連演出が発動後,数字図柄の役割を第1の役割から第2の役割に変更する。
S4713,S4722,あるいはS4724によって,変動パターンのシナリオに合った,演出図柄変動表示演出にて仮停止表示される数字図柄の組み合わせが決定される。これにより,仮停止表示されている数字図柄が演出図柄遠藤演出中の演出を予告する予告演出が,実現可能になる。
S4713の後,あるいはS4722の後,あるいはS4724の後,演出制御用マイコン91は,選択された数字図柄の役割を説明するための演出を選択する(S4714)。例えば,第1の役割から数字図柄「1」が選択された場合は,「弱チャンス」である旨を説明する説明画像7Mを画像表示装置7に表示させる演出を選択する。また,第2の役割から数字図柄「1」が選択された場合は,「強チャンス」である旨を説明する説明画像7Mを画像表示装置7に表示させる演出を選択する。なお,説明画像7Mを表示するか否かを乱数によって選択してもよい。
また,演出制御用マイコン91は,役割変化条件を満たしていない状態から満たした状態への変化が生じる場合には,数字図柄の役割が変化したことを示唆するための演出を選択する(S4715)。例えば,疑似連演出を行った際には,役割変化条件を満たしたこと,すなわち数字図柄の役割が変化したことを示唆する状態示唆画像7Nを画像表示装置7に表示させる演出を選択する。なお,状態示唆画像7Nを表示するか否かを乱数によって選択してもよい。
S4715の後,演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドの内容を解析し,大当たりの抽選結果に対する予告演出の選択を行う(S4731)。具体的にS4731では,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中の予告演出の実行有無を判定し,予告演出を実行する場合には,予告演出乱数や予告演出種類乱数を取得し,これらの乱数を判定することにより,予告演出を選択する。これにより,いわゆるステップアップ予告演出の内容が決定される。選択された予告演出の情報は,変動演出記憶部96に記憶される。
S4731の後,演出制御用マイコン91は,選択された数字図柄,変動演出パターン,および予告演出,を含む変動演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4741)。セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。これにより,演出図柄変動演出が開始される。S4741の後,変動演出開始処理を終了する。
[変動演出終了処理]
次に,図31のS4422の変動演出終了処理について,図35のフローチャートを参照しつつ説明する。
変動演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,連続予告フラグがオンか否かを判断する(S4901)。連続予告フラグがオンでない場合(S4901:NO),演出制御用マイコン91は,変動演出終了コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4902)。セットされた変動演出終了コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。S4902の後,変動演出終了処理を終了する。
連続予告フラグがオンの場合(S4901:YES),演出制御用マイコン91は,連続予告記憶部98に記憶される連続予告のシナリオデータに基づいて,連続予告を終了するか否かを判断する(S4911)。連続予告を終了する場合(S4911:YES),演出制御用マイコン91は,連続予告フラグをオフにする(S4912)。S4912の後,あるいは連続予告を終了しない場合(S4911:NO),変動演出終了コマンドをRAM94の出力バッファにセットし(S4902),変動演出終了処理を終了する。
8.実施の形態の効果
実施の形態のパチンコ遊技機1は,数字図柄に役割が割り当てられており,大当たりの抽選の抽選結果に基づく数字図柄の組み合わせを停止表示する前に,数字図柄を所定の表示箇所に仮停止表示させ,表示された数字図柄に割り当てられた役割に対応する演出を行うものであって,疑似連演出における再変動表示後であることや,連続予告の実行中であること等の,役割変化条件を満たすか否かによって,数字図柄に割り当てられた役割が,遊技者から見て遊技中に,第1の役割から第2の役割に変化する。これにより,数字図柄に割り当てられた役割が固定されている場合と比較して,数字図柄を表示する演出の興趣性の向上が期待でき,遊技者に飽きが生じ難い。
9.実施の形態の変形例
変形例にかかるパチンコ遊技機は,図柄表示領域のうち乱数を用いて1つの図柄表示領域を選択し,選択された図柄表示領域をライトアップさせる特定図柄領域発光演出を行う。そして,変形例にかかるパチンコ遊技機は,特定図柄領域発光演出の実行時においてそのライトアップされている図柄表示領域に仮停止表示された数字図柄を,演出内容の予告に用いる数字図柄とする。この点,演出内容を予告する数字図柄を表示させる表示箇所が,2番目に仮停止表示される図柄表示領域8RAに固定されている実施の形態と異なる。
具体的に変形例にかかるパチンコ遊技機では,図36に示すように,左,中,右のそれぞれの数字図柄を仮停止表示させる図柄表示領域8LA,8CA,8RAに,枠8LF,8CF,8RFを表示する。そして,演出図柄変動演出中,さらに特定の図柄表示領域の枠内をライトアップさせる特定図柄領域発光演出を行う。図36では,ライトアップされた図柄表示領域を,太枠でかつ枠内のハッチングで表している。
変形例にかかるパチンコ遊技機は,特定図柄領域発光演出を行うか否か,さらにどの図柄表示領域をライトアップさせるかを,乱数によって選択する。すなわち,特定の図柄表示領域の出現およびその出現箇所は可変である。枠内のライトアップを開始するタイミングは,演出図柄変動演出の開始時であってもよいし,数字図柄を仮停止表示する直前であってもよい。
変形例にかかるパチンコ遊技機は,特定図柄領域発光演出を行う場合,選択された図柄表示領域(図36では図柄表示領域8RA)に対応する枠内をライトアップさせた後,その特定の図柄表示領域に数字図柄を仮停止表示させる。その特定の図柄表示領域には,演出図柄変動演出の演出内容を予告する数字図柄を仮停止表示させる。言い換えると,枠内がライトアップされている図柄表示領域に仮停止表示される数字図柄は,次の演出内容を予告する有効な数字図柄となり,枠内がライトアップされていない図柄表示領域に仮停止表示される数字図柄は,次の演出内容を予告する有効な数字図柄とならない。数字図柄に割り当てられた役割は,実施の形態と同様であればよく(図14参照),役割変化条件を満たしている場合と満たしていない場合とで,役割が異なる数字図柄がある。このように,実施の形態と同様に,遊技中に数字図柄の役割を変化させることで,数字図柄を表示する演出の興趣性の向上が期待できる。
また,変形例にかかるパチンコ遊技機では,予告に用いる図柄表示領域の位置が変化し,その図柄表示領域をライトアップしていることで,遊技者が数字図柄に注目し易くなる。そのため,毎回同じ位置に予告用の数字図柄を仮停止表示させる実施の形態と比較して,数字図柄を表示する演出の興趣性の向上がより期待できる。一方,実施の形態は,特定図柄領域発光演出を行う変形例と比較して,シンプルな制御によって数字図柄を表示する演出の興趣性の向上が期待できる。
なお,数字図柄を仮停止表示させる図柄表示領域は,左,中,右の横一列の3つに限らず,例えば,図37に示すように,縦方向および横方向のそれぞれに複数の図柄表示領域8LUA,8CUA,8RUA,8LCA,8CCA,8RCA,8LLA,8CLA,8RLAを設けてもよい。この場合,各枠を個別にスクロール表示してもよいし,スクロール方向の列または行に属する枠を纏めてスクロール表示してもよい。図37は,縦一列の3つの図柄表示領域,例えば図柄表示領域8LUA,8LCA,8LLAを纏めてスクロール表示する態様を示している。
10.実施の形態のその他の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(抽選回数,各種テーブルの設定値,各種の保留数の上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。
また,実施の形態では,役割を割り当てる演出図柄を数字図柄に限定しているが,数字図柄以外の演出図柄(例えば,アルファベットの演出図柄や,特別なキャラクタが描かれた演出図柄)にも役割を割り当ててもよい。
また,実施の形態では,数字図柄を,左の図柄表示領域8LA,右の図柄表示領域8RA,中央の図柄表示領域8CA,の順に仮停止表示させるが,仮停止表示させる順番はこれに限るものではない。また,複数の図柄表示領域を同時に仮停止表示させてもよい。
また,実施の形態では,数字図柄に割り当てられた役割として,強チャンス,弱チャンス,強疑似連,弱疑似連,先読み,滑り,を適用しているが,これらに限るものではない。例えば,背景変更(モード変更),キャラクタ変更,であってもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,所定の表示領域に数字図柄が仮停止した際に,その数字図柄の役割について説明をしているが,数字図柄の役割を説明する演出を行うタイミングはこれに限るものではない。例えば,図38に示すように,所定の表示領域に数字図柄が仮停止する前であっても,任意の数字図柄について役割を説明してもよい。また,客待ち演出におけるデモンストレーション画像で,数字図柄の役割を説明してもよい。また,数字図柄の役割に加え,役割変化条件を満たしているか否かで役割が変化することを説明してもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,数字図柄の役割について画像表示装置7に説明画像7Mを表示させているが,表示させなくてもよい。数字図柄の役割を認知させる手段としては,パチンコ遊技機1に,数字図柄の役割を説明するシールを貼付してもよいし,数字図柄の役割を説明した説明書を用意してもよい。ただし,パチンコ遊技機1によって説明する方が,数字図柄の役割を遊技者が認知し易い。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1は,役割変化条件を満たしている状態か否かについて画像表示装置7に状態示唆画像7Nを表示させているが,表示させなくてもよい。ただし,状態示唆画像7Nを表示して,役割変化条件を満たしている状態か否かを示唆する方が,遊技者が数字図柄演出を楽しみやすい。
また,実施の形態では,疑似連演出における再変動表示後であることと,連続予告の実行中であることと,の両方を役割変化条件としているが,いずれか一方のみであってもよい。また,役割変化条件は,これら2つの条件に限らず,例えば,特定のモードあるいは特定のゾーンの実行中であることや,特定の遊技状態(高確率状態や時短状態)であることとしてもよい。また,所定の図柄表示領域をライトアップさせる演出(ライトアップされる図柄表示領域が固定の演出)が可能なパチンコ遊技機の場合,その演出が実行されていれば役割変化条件を満たし,その演出が実行されていなければ役割変化条件を満たしていない,としてもよい。
また,実施の形態では,1つの数字図柄について,役割変化条件を満たしている場合と,役割変化条件を満たしていない場合と,の2つの役割を割り当てているが,他の条件を追加して3つ以上の役割を割り当ててもよい。例えば,1つの数字図柄について,第1の役割変化条件を満たしている場合は「強チャンス」,第1の役割変化条件を満たしておらず第2の役割変化条件を満たしている場合は「弱チャンス」,両方の役割変化条件を満たしていない場合は「滑り」,としてもよい。
また,実施の形態では,パチンコ遊技機1の演出図柄の表示態様に本発明を適用しているが,パチスロ遊技機の演出図柄の表示態様に本発明を適用してもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板80の遊技制御用マイコン81のCPU82,サブ制御基板90の演出制御用マイコン91のCPU92,および画像制御用マイコン101のCPU102によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101の少なくとも1つにおいて複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101の処理の一部を,他のマイコンが実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101,これらを包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて遊技制御手段や演出制御手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。