以下,本実施形態にかかる遊技機について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,パチンコ遊技機に本発明を適用したものである。なお,以下の説明において,パチンコ遊技機の各部の左右方向は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者にとっての左右方向に一致させる。また,パチンコ遊技機の各部の前側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく側とし,パチンコ遊技機の各部の後側は,そのパチンコ遊技機に対面する遊技者に遠のく側とする。
1.パチンコ遊技機1の構造
本形態のパチンコ遊技機1は,図1に示すように,遊技機枠50と,遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2と,を備えている。また,遊技機枠50は,前方側から順に,前面枠51,内枠(不図示),外枠(不図示)によって構成される。
さらに,パチンコ遊技機1の遊技機枠50は,演出ボタン63と,ハンドル60と,打球供給皿61と,余剰球受皿62と,を備えている。演出ボタン63は,パチンコ遊技機1の前側,具体的には打球供給皿61の上部前方に設けられる。そのため,遊技者は,パチンコ遊技機1の前方付近から,演出ボタン63を容易に操作できる。
ハンドル60は,前面枠51中の中央右下側に位置し,遊技者によって操作され,回転角度に応じた遊技球の発射強度を,パチンコ遊技機1に入力する。打球供給皿61は,前面枠51の中央下側に位置し,遊技球を貯留する。余剰球受皿62は,打球供給皿61よりも下方に位置し,打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する。
また,パチンコ遊技機1は,前面枠51に,ガラス板55,装飾用の枠ランプ66,およびスピーカ67を備えている。このうちガラス板55は,前面枠51の略中央部に取り付けられ,透明なガラス板55を通して前方から遊技者が遊技盤2を視認可能になっている。
枠ランプ66は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,発光部(不図示)を内蔵し,各種の演出の必要に応じて各発光部が個別にあるいは同時に点灯する。スピーカ67は,前面枠51の左側と右側とにそれぞれ設けられ,音声,楽曲,効果音,報知音,等の各種の音を必要に応じて出力する。例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて,発光部を点灯し,音声,楽曲,効果音等を出力する。また,遊技中にパチンコ遊技機1に異常が生じた場合に,その異常を報知するために,例えば,発光部を点灯し,サイレン音を出力する。
次に,パチンコ遊技機1の遊技盤2について説明する。パチンコ遊技機1は,遊技盤2に,レール部材4と,複数の遊技くぎ(符号は省略)と,が設けられている。また,遊技盤2には,レール部材4に一部が囲まれ,遊技球が転動可能な遊技領域3が形成されている。レール部材4は,遊技領域3の下方から発射された遊技球を遊技領域3の上方に向けてガイドする。
さらに,パチンコ遊技機1は,遊技領域3の中央付近に,液晶表示部材を有する画像表示装置7を備えている。また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における画像表示装置7の下方に位置し,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20が組み付けられた固定入賞装置19を備えている。第1始動口20への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第1特別図柄の抽選の契機となる。第1特別図柄の抽選は,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。
また,パチンコ遊技機1は,画像表示装置7の前方に,センター装飾体10を備え,さらに画像表示装置7を挟んでセンター装飾体10の下方に,ステージ部11を備えている。ステージ部11は,遊技球を,第1始動口20へと誘導する。また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の左下方に,ワープ部12を備えている。ワープ部12は,遊技球をステージ部11へと誘導する。
また,パチンコ遊技機1は,センター装飾体10の上部に,盤可動体15を備えている。なお,盤可動体15は,可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は,画像表示装置7の上部でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態から,その折り畳みが解除されて画像表示装置7の中央部を含む前方で露出している露出状態に変位可能である。盤可動体15は,例えば,パチンコ遊技機1の遊技制御中に,演出に合わせて変位する。
また,パチンコ遊技機1は,遊技領域3における第1始動口20の下方に,普通可変入賞装置22を備えている。以下,普通可変入賞装置22を,「電チュー22」とする。電チュー22は,第2始動口21を備えている。第2始動口21への遊技球の入賞は,パチンコ遊技機1による第2特別図柄の抽選の契機となる。第2特別図柄の抽選も,大当たりの抽選の1つであり,詳細については後述する。電チュー22は,可動部材23を備え,可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉する。
第2始動口21は,可動部材23が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になる。一方,可動部材23が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。この場合,第2始動口21の上側に到達した遊技球は,可動部材23の左右方向に弾かれる。つまり,第2始動口21は,可動部材23の位置によって遊技球の入り易さが異なる。この点,遊技球の入り易さが常に変わらない第1始動口20と異なる。なお,可動部材23が閉状態では開状態よりも第2始動口21に遊技球が入球困難であればよく,可動部材23が閉状態で完全に入球不可能になる構成でなくてもよい。
ここで,第1始動口20が設けられた固定入賞装置19および第2始動口21が設けられた普通可変入賞装置(電チュー)22について,図2を参照しつつ補足説明する。図2は,遊技球が第1始動口20ないし第2始動口21に入賞した際の,固定入賞装置19ないし普通可変入賞装置22の,始動口への流入後の遊技球の通路を示す概略図である。なお,以下の説明では,固定入賞装置19および普通可変入賞装置22を総称する場合,「入賞装置18」という。
入賞装置18には,第1始動口20に流入した遊技球を遊技盤2の背面側に設けられた回収通路へ案内する案内通路70が形成されている。案内通路70は,その途中位置にて第1分岐通路71および第2分岐通路72に分岐している。
案内通路70における分岐位置には,分岐位置に到達した遊技球を第1分岐通路71および第2分岐通路72へ交互に振り分ける振分部材73が設けられている。振分部材73は,分岐位置に到達した遊技球を,第1分岐通路71へ案内する第1案内状態と,第2分岐通路72へ案内する第2案内状態と,に切替可能な構成を有している。振分部材73は,遊技球を一方の分岐通路に案内したことに基づいて,一方の案内状態から他方の案内状態に切り替る。そのため,第1始動口20に流入した遊技球は,第1分岐通路71と第2分岐通路72とのいずれか一方に,交互に振り分けられる。
さらに,第2分岐通路72は,第2始動口21に流入した遊技球を遊技盤2の背面側に設けられた回収通路へ案内する案内通路75に繋がっている。そのため,第2始動口21に流入した遊技球は,第2分岐通路72へ直接流入する。つまり,第1始動口20に流入した遊技球は,第1分岐通路71と第2分岐通路72とで交互に流入する一方,第2始動口21に流入した遊技球は,第2分岐通路72にのみ流入する。
第1分岐通路71には,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1分岐通路71を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第1分岐センサ71a(「特図1センサ71a」ともいう)が配設され,第2分岐通路72にも,遊技球が第2分岐通路72を通過した際に出力値が変化する信号を出力する第2分岐センサ72a(「特図2センサ72a」ともいう)が配設される。第2分岐センサ72aは,第2始動口21からの案内通路75との連通部分よりも遊技球の転動方向の下流側に配設される。
また,パチンコ遊技機1は,振分部材73の状態を,遊技球の通過に基づいて切り替えるメカ的な機構を有している。すなわち,遊技球が第1分岐通路71を通過した場合には,振分部材73を第2案内状態として次に案内通路70に転動された遊技球を第2分岐通路72に誘導し,遊技球が第2分岐通路72を通過した場合には,振分部材73を第1案内状態として次に案内通路70に転動された遊技球を第1分岐通路71に誘導する。なお,振分部材73は,上述のようなメカ的な機構によって状態を切り替えるものではなく,第1分岐センサ71aおよび第2分岐センサ72aからの信号に基づいて電気的に状態を切り替えるものであってもよい。
図1の説明に戻り,パチンコ遊技機1は,電チュー22よりも下方の遊技領域3に,第1大入賞口30を有する第1大入賞装置31を備えている。さらに第1大入賞装置31は,開閉部材32を備え,開閉部材32の作動により,第1大入賞口30を開閉する。第1大入賞口30は,開閉部材32が開いた位置にある開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材32が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材32が閉状態とは,開状態よりも第1大入賞口30に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材32が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30よりも右上方の遊技領域3,すなわち遊技盤2の右斜め上方に,第2大入賞口35を有する第2大入賞装置36を備えている。さらに第2大入賞装置36は,開閉部材37を備え,開閉部材37の作動により,第2大入賞口35を開閉する。第2大入賞口35は,開閉部材37が開いた状態である開状態であるときのみ,遊技球が入球可能になり,開閉部材37が閉じた位置にある閉状態である場合,遊技球が入球不可能になる。なお,開閉部材37が閉状態とは,開状態よりも第2大入賞口35に遊技球が入球困難であればよく,開閉部材37が完全に入球不能になる構成でなくてもよい。
また,パチンコ遊技機1には,遊技領域3におけるセンター装飾体10の左下方に,遊技球が通過可能な第1ゲート28が設けられている。また,パチンコ遊技機1には,遊技領域3におけるセンター装飾体10の右下方に,遊技球が通過可能な第2ゲート29が設けられている。第1ゲート28および第2ゲート29への遊技球の通過は,電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄の抽選の契機となる。普通図柄の抽選の詳細についても後述する。なお,以下の説明では,第1ゲート28および第2ゲート29を総称する場合,ゲートという。
また,パチンコ遊技機1は,さらに遊技領域3内に,1ないし複数の普通入賞口27や,いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口16を有している。
このように各種の入賞口等が配置されている遊技領域3には,左右方向の中央より左側に位置する左遊技領域3Aと,右側に位置する右遊技領域3Bと,がある。左遊技領域3Aを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「左打ち」という。一方,右遊技領域3Bを遊技球が転動するように遊技球を発射する遊技者の打ち方を,「右打ち」という。パチンコ遊技機1では,第1始動口20,第2始動口21,第1大入賞口30は,遊技領域3の左右方向の略中央に配置されており,左打ちでも右打ちでも入賞が狙い易い構成になっている。一方,第2大入賞口35は,右遊技領域3Bに配置されており,右打ちでに入賞が狙い易い構成になっている。
また,パチンコ遊技機1は,遊技盤2の右下方に,表示器類40を備えている。表示器類40には,図3に示すように,第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器41aと,第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器41bと,普通図柄を変動表示する普通図柄表示器42と,が含まれる。また,表示器類40には,第1特別図柄表示器41aの作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと,第2特別図柄表示器41bの作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと,普通図柄表示器42の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器44と,が含まれる。この他,表示器類40には,例えば,パチンコ遊技機1が特定の遊技状態か否かを表示する表示器が含まれていてもよい。
第1特別図柄の表示変更は,第1始動口20への遊技球の入賞を契機に行われる。第2特別図柄の表示変更は,第2始動口21への遊技球の入賞を契機に行われる。なお,以下の説明では,第1特別図柄および第2特別図柄を総称する場合,特別図柄という。また,第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称する場合,特別図柄表示器41という。また,第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称する場合,特図保留表示器43という。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への入賞を契機に,大当たりの抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,特別図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する特別図柄である停止図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を報知する。停止図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の特別図柄の中から選択された1つの特別図柄である。なお,大当たりに当選した場合,パチンコ遊技機1は,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放させる大当たり遊技の制御を行う。なお,大当たり遊技を特別遊技ともいう。大当たり遊技における第1大入賞口30および第2大入賞口35の開放パターンについては後述する。
具体的に特別図柄表示器41は,図3に示すように,8個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示する。特別図柄表示器41は,大当たりの当選に対応する特別図柄の表示として,例えば「○○●●○○●●」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から1,2,5,6番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄表示器41は,ハズレの場合の特別図柄の表示として,例えば「●●●●●●●○」といったように,あらかじめ決められた図柄に従って,左から8番目にあるLEDを点灯させる。また,特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば左から右へ点灯箇所が流れるように各LEDを点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると,その入賞に対して大当たりの抽選用の乱数である大当たり乱数および入賞カウンタ値を取得し,それらを自身のメモリの特定の記憶領域に記憶する。詳細には,第1始動口20への入賞であって遊技球が第1分岐通路71を通過した場合には,取得した大当たり乱数等を第1始動口20用の記憶領域(後述する図4に示す第1特図保留記憶部85a)に記憶し,第1始動口20への入賞であって遊技球が第2分岐通路72を通過した場合あるいは第2始動口21への入賞であれば,取得した大当たり乱数等を第2始動口21用の記憶領域(後述する図4に示す第2特図保留記憶部85b)に記憶する。各々の記憶領域に記憶可能な大当たり乱数の数には上限があり,パチンコ遊技機1では第1特図保留記憶部85a,第2特図保留記憶部85bともに,その上限数を4としている。なお,入賞カウンタ値は,第1始動口20と第2始動口21とのいずれの入賞であってもカウントアップされる値である。つまり,入賞カウンタ値の大小を比較することによって,入賞した順序を把握できる。
記憶された大当たり乱数は,その値に基づく特別図柄の表示が可能となる消化条件を満たしたことによって消化される。大当たり乱数の消化とは,パチンコ遊技機1がその大当たり乱数の値が大当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための特別図柄の表示を実行することであり,停止図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の表示がその入賞後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく特別図柄の変動表示中や大当たり遊技の実行中に入賞があった場合であっても,上限数までその入賞に対する大当たりの抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,特図保留という。さらに第1特図保留記憶部85aに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第1特図保留とし,第2特図保留記憶部85bに記憶された大当たり乱数に対する特図保留を,第2特図保留とする。
なお,特図保留の消化条件には,その特図保留よりも先に記憶された特図保留が無いこと,すなわち先に記憶された特図保留が全て消化されたことが含まれる。パチンコ遊技機1では,第1特図保留と第2特図保留とに優先順位は無く,先に記憶された特図保留の順に消化される。特図保留の記憶順は,大当たり乱数とともに取得される入賞カウンタ値を比較することで把握できる。
パチンコ遊技機1は,前述のような特図保留の数を,特図保留表示器43に表示する。具体的には,特図保留表示器43は,図3に示すように,第1特図保留表示器43aが4個のLEDで構成されており,第2特図保留表示器43bも4個のLEDで構成されている。パチンコ遊技機1は,特図保留表示器43に各特図保留の数だけLEDを点灯させることで特図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過を契機に,普通図柄抽選が行われる。そこで,パチンコ遊技機1は,普通図柄表示器42に,普通図柄を変動表示させた後,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることにより,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄は,抽選の結果に応じて複数種類の普通図柄の中から選択された1つの普通図柄である。なお,普通図柄抽選の抽選結果に応じて,パチンコ遊技機1は,第2始動口21を開放させる補助遊技の制御を行う。補助遊技における第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的に普通図柄表示器42は,図3に示すように,2個のLEDから構成されており,その点灯態様によって,パチンコ遊技機1による普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示する。普通図柄表示器42は,普通図柄抽選の普通当たりに当選に対応する特定普通図柄の表示として,例えば「○○」(○:点灯,●消灯)といったように,あらかじめ決められた普通当たりの図柄に従って,両LEDを点灯させる。また,普通図柄表示器42は,ハズレの場合の普通図柄の表示として,例えば「●○」といったように,あらかじめ決められた普通図柄に従って,左のLEDを点灯させる。なお,普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされる。この変動表示の態様は,例えば両LEDを交互に点灯させる等,各LEDが停止表示する態様以外のいずれでもよい。
パチンコ遊技機1は,ゲートへの遊技球の通過があると,その通過に対して普通図柄の抽選用の乱数である普通図柄乱数の値を取得し,その普通図柄乱数を自身のメモリの特定の記憶領域(後述する図4に示す普図保留記憶部86)に記憶する。記憶領域に記憶可能な普通図柄乱数の値の数には上限があり,パチンコ遊技機1では上限数を4としている。
記憶された普通図柄乱数は,その値に基づく普通図柄の表示が可能となったことを条件として消化される。普通図柄乱数の値の消化とは,パチンコ遊技機1がその普通図柄乱数の値が普通当たりに対応する値か否かを判定し,その判定結果を示すための普通図柄の表示を実行することであり,抽選結果に対応する普通図柄を停止表示させることで完了する。従って,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づく普通図柄の表示がその通過後に直ぐに行えない場合,例えば前回の抽選結果に基づく普通図柄の変動表示中や補助遊技の実行中に遊技球のゲートの通過があった場合であっても,4個を上限として,その通過に対する普通図柄の抽選の権利を保留できる。この抽選の権利の保留を,普図保留という。
なお,普図保留記憶部86に記憶された普図保留に対する消化条件には,その普図保留よりも先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が無いこと,すなわち先に普図保留記憶部86に記憶された普図保留が全て消化されたことが含まれる。
パチンコ遊技機1は,前述のような普図保留の数を,普図保留表示器44に表示する。具体的には,普図保留表示器44は,図3に示すように,4個のLEDで構成されており,普図保留の数だけLEDを点灯させることで普図保留の数を表示する。
また,パチンコ遊技機1は,図1に示したように,遊技領域3の中央付近に,画像表示装置7を備え,画像表示装置7の表示画面7aには,表示器類40が表示する第1特別図柄ないし第2特別図柄の変動表示に同期した演出図柄8L,8C,8Rの表示を行う演出図柄表示領域が含まれる。なお,演出図柄8L,8C,8Rの表示内容を変更しながら表示する演出を演出図柄変動演出という。
演出図柄表示領域は,例えば,「左」「中」「右」の3つの図柄表示領域からなる。左の図柄表示領域には,左の演出図柄8Lが表示され,中の図柄表示領域には,中の演出図柄8Cが表示され,右の図柄表示領域には,右の演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ,例えば,「1」〜「9」までの数字を表した複数の演出図柄からなる。画像表示装置7は,左,中,右の演出図柄の組合せによって,特別図柄表示器41にて表示される特別図柄の変動表示の内容,すなわちパチンコ遊技機1による大当たり抽選の結果を,遊技者に分かり易く表示する。
例えば,画像表示装置7は,大当たりの抽選にて「大当たり」に当選していた場合,「777」等の同じ数字の組み合わせであるゾロ目で演出図柄を表示する。また,「ハズレ」であった場合には,少なくとも1つの数字が他の数字と異なる組み合わせであるバラケ目で演出図柄を表示する。これにより,遊技者は,遊技の進行状況の把握が容易になる。つまり,遊技者は,パチンコ遊技機1による大当たりの抽選の結果を,表示器類40にて表示される特別図柄によって把握可能な他,画像表示装置7に表示される演出図柄の組み合わせによっても把握できる。なお,図柄表示領域の位置は,固定的なものであっても可変的なものであってもよい。また,画像表示装置7は,演出図柄の変動表示に際し,例えば,演出図柄を上下方向にスクロールさせてもよいし,左右方向にスクロールさせてもよい。
なお,画像表示装置7は,前述のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか,例えば,大当たりの抽選結果を予告する予告演出に用いる画像,大当たり遊技や補助遊技の実行に用いられる画像,客待ち用のデモンストレーション画像,各種の設定内容の表示に用いる画像,を表示画面7aに表示する。なお,演出図柄変動演出では,演出図柄等の演出図柄のほか,背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の画像も表示してよい。
また,画像表示装置7の表示画面7aには,第1特図保留および第2特図保留の記憶数に応じて,演出保留画像を表示する演出保留表示領域9が含まれる。画像表示装置7は,演出保留画像の表示により,表示器類40にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留の合計の記憶数を,遊技者に分かり易く表示する。つまり,遊技者は,特図保留の数を,表示器類40の特図保留表示器43よって把握可能な他,画像表示装置7の演出保留表示領域9に表示される演出保留画像の数によっても把握できる。なお,パチンコ遊技機1では,第1特図保留と第2特図保留とを区別しない演出保留画像を表示するが,第1特図保留と第2特図保留とを区別する演出保留画像,例えば第1特図保留と第2特図保留とで色やデザインが異なる演出保留画像を表示してもよい。
2.パチンコ遊技機1の電気的構成
続いて,パチンコ遊技機1における電気的な構成を,図4および図5を参照しつつ説明する。パチンコ遊技機1は,主制御基板80と,サブ制御基板90と,画像制御基板100と,払出制御基板110と,を備えている。主制御基板80は,遊技盤2に取り付けられ,特別図柄や普通図柄の抽選,遊技状態の移行等,主として遊技利益に関する制御を行う。サブ制御基板90は,遊技盤2に取り付けられ,画像表示装置7の表示,各種のランプの点灯,音声出力等,主として遊技の進行に伴って実行される演出に関する制御を行う。画像制御基板100は,画像表示装置7に表示される画像やスピーカ67から出力される音声に関する制御を行う。払出制御基板110は,遊技球の払い出しに関する制御を行う。
また,パチンコ遊技機1は,電源基板150を備えている。電源基板150は,主制御基板80,サブ制御基板90,画像制御基板100,および払出制御基板110に対する電力の供給制御を行い,これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。
電源基板150には,バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は,パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合,すなわち主電源がオフであったり停電が生じた場合に,後述する主制御基板80のRAM84等に対して情報の保持に必要な電力を供給する。従って,主制御基板80のRAM84等に記憶されている情報は,パチンコ遊技機1に外部から電力が供給されていない場合も,バックアップ電源回路151から電力を供給できる間,一時的に保持される。なお,各制御基板に対する専用のバックアップ電源回路をそれぞれ設けてもよい。また,電源基板150には,電源スイッチ155が接続されている。この電源スイッチ155の操作により,主電源のオンオフが切り換えられる。
主制御基板80には,図4に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン81が実装されている。以下,遊技制御用ワンチップマイコン81を,遊技制御用マイコン81とする。遊技制御用マイコン81には,遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83,ワークメモリとして使用されるRAM84,ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82,が含まれる。遊技制御用マイコン81は,I/Oポートによって構成される入出力回路87を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路87は,遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また,ROM83は,外付けであってもよい。
RAM84には,大当たりの抽選に関する乱数を記憶する特図保留記憶部85と,普通図柄の抽選に関する乱数を記憶する普図保留記憶部86と,が設けられる。また,特図保留記憶部85には,第1分岐通路71を遊技球が通過したことを契機に取得した乱数等を記憶する第1特図保留記憶部85aと,第2分岐通路72を遊技球が通過したことを契機に取得した乱数等を記憶する第2特図保留記憶部85bとが設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,取得した乱数等を記憶する小領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球が始動口に入賞すること(より具体的には遊技球が入賞装置内の第1分岐通路71あるいは第2分岐通路72を通過したこと)に起因して,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の4つの乱数と,入賞カウンタ値と,を取得する。そのため,各小領域には,それら4つの乱数および入賞カウンタ値が記憶される。各乱数の詳細については後述する。
また,普図保留記憶部86も,保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数が4であることから,普図保留記憶部86には,4つの記憶領域が設けられる。さらに各領域には,取得した乱数を記憶する記憶領域が設けられる。具体的にパチンコ遊技機1では,遊技球がゲートを通過することに起因して,普通当たり乱数を取得する。そのため,上述の記憶領域には,普通当たり乱数が記憶される。普通当たり乱数の詳細については後述する。
主制御基板80には,中継基板88を介して各種センサやソレノイドが電気的に接続されている。そのため,主制御基板80には各センサからの信号が入力され,各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にセンサ類としては,第1ゲートセンサ28a,第2ゲートセンサ29a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,第1分岐センサ71a(特図1センサ71a),第2分岐センサ72a(特図2センサ72a),および普通入賞口センサ27a,がある。
第1大入賞口センサ30aは,第1大入賞口30の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1大入賞口30を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。第2大入賞口センサ35aは,第2大入賞口35の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2大入賞口35を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
特図1センサ71aは,第1分岐通路71内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第1分岐通路71を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。特図2センサ72aは,第2分岐通路72内に位置し,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が第2分岐通路72を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
普通入賞口センサ27aは,各普通入賞口27の直下に設けられ,遊技球の通過を検知するための信号を出力する,すなわち遊技球が各普通入賞口27を通過する際に出力値が変化する信号を出力する。
また,ソレノイド類としては,電チューソレノイド24,第1大入賞口ソレノイド33,および第2大入賞口ソレノイド38,がある。電チューソレノイド24は,電チュー22の可動部材23を駆動する。第1大入賞口ソレノイド33は,第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動する。第2大入賞口ソレノイド38は,第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動する。
また,主制御基板80には,第1特別図柄表示器41a,第2特別図柄表示器41b,普通図柄表示器42,第1特図保留表示器43a,第2特図保留表示器43b,および普図保留表示器44,が電気的に接続されている。すなわち,これらの表示器類40の表示制御は,遊技制御用マイコン81によって行われる。
また,主制御基板80には,払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに,払い出し監視のために払出制御基板110から各種信号を受信する。具体的に払出制御基板110には,賞球払出装置120,貸球払出装置130,およびカードユニット135,が電気的に接続されている。カードユニット135は,パチンコ遊技機1に隣接して設置され,挿入されたプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にする装置である。また,払出制御基板110には,発射制御基板111を介して,発射装置112が電気的に接続されている。
払出制御基板110は,遊技制御用マイコン81からの信号や,パチンコ遊技機1に電気的に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて,賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球払出装置120に賞球の払い出しを行わせたり,貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球払出装置130に貸球の払い出しを行わせる。払い出される賞球は,その計数のための賞球センサ122からの信号によって制御される。払い出される貸球は,その計数のための球貸センサ132からの信号によって制御される。
パチンコ遊技機1では,第1始動口20および第2始動口21への入賞による払い出しの賞球数は2球である。また,第1大入賞口30または第2大入賞口35への入賞による払い出しの賞球数は13球であり,普通入賞口27への入賞による払い出しの賞球数は3球である。これらの賞球数は,一例であり,適宜選択すればよい。
発射装置112は,発射モータ113と,タッチスイッチ114と,発射ボリューム115と,発射停止スイッチ116と,を備える。遊技者によるハンドル60の操作があった場合,タッチスイッチ114からハンドル60への接触があった旨の信号が発射制御基板111に出力され,さらに発射ボリューム115からハンドル60の回転量に応じた信号が発射制御基板111に出力される。発射制御基板111は,発射モータ113を駆動し,発射装置112から入力された各種の信号に基づいて,適切な強さで遊技球が発射されるよう,発射装置112を制御する。
また,主制御基板80には,RAMクリアスイッチ161が接続されている。RAMクリアスイッチ161は,主制御基板80に付設され,パチンコ遊技機1の後面に配置される。すなわち,RAMクリアスイッチ161は,通常,パチンコ遊技機1の前面側にいる遊技者から視認できず,遊技者が操作できない位置にある。そのため,RAMクリアスイッチ161は,通常,ホールのスタッフによって操作される。パチンコ遊技機1は,RAMクリアスイッチ161が押下された状態で起動されると,RAM84を初期化する。これにより,RAM84に記憶されている情報が失われる。
また,主制御基板80は,サブ制御基板90に対して,各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との通信は,主制御基板80からサブ制御基板90へのコマンドの送信のみが可能な単方向通信となっている。すなわち,主制御基板80とサブ制御基板90との間には,通信方向規制手段として,例えばダイオードを用いた単方向制御回路が介在している。
また,主制御基板80には,外部端子板190が接続されている。外部端子板190は,遊技制御用マイコン81から受信した信号に基づく各種の信号を,データ表示器910やホールコンピュータ900といったパチンコ遊技機1の外部に配された外部装置に対して出力する。具体的に外部端子板190には,外部出力用の複数のチャネル(CN)が設けられている。そして,各チャネル(CN)に対応するコネクタと,データ表示器910側のコネクタとはケーブルによって接続される。各コネクタからは,それぞれ一つの信号が外部に出力される。外部端子板190では,例えば,大当たりが当選したことを示す大当たりカウント信号,パチンコ遊技機1の遊技状態を示す信号,遊技機枠50が開放されていることを示す枠開放信号,所定数(例えば10球)の賞球がなされたことを示す信号,想定外の入賞があったことを示すセキュリティ信号,がそれぞれ別のチャネルから出力される。
サブ制御基板90には,図5に示すように,プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91が実装されている。以下,演出制御用ワンチップマイコン91を,演出制御用マイコン91とする。演出制御用マイコン91には,遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93,ワークメモリとして使用されるRAM94,ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92,が含まれる。演出制御用マイコン91は,I/Oポートによって構成される入出力回路97を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路97は,演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また,ROM93は,外付けであってもよい。
RAM94には,保留抽選情報を記憶する特図保留記憶部95が設けられる。保留抽選情報には,主制御基板80の特図保留記憶部85に記憶される各乱数に基づく情報が含まれ,具体的には1回の始動口への入賞によって主制御基板80から出力される始動入賞コマンドが含まれる。特図保留記憶部95はさらに,第1特図保留に基づく第1始動入賞コマンドを記憶する第1特図保留記憶部95aと,第2特図保留に基づく第2始動入賞コマンドを記憶する第2特図保留記憶部95bと,が設けられる。また,RAM94には,演出図柄変動演出での演出内容に関する情報を記憶する変動演出記憶部96が設けられる。
詳細には,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bは,それぞれ保留の上限数に対応する記憶領域が設けられている。パチンコ遊技機1では,保留の上限数がそれぞれ4であることから,第1特図保留記憶部95aおよび第2特図保留記憶部95bには,それぞれ4つの記憶領域が設けられる。さらに各記憶領域には,2つの小領域が設けられている。具体的にパチンコ遊技機1では,始動口の入賞に基づいて特定される始動入賞コマンドと,演出保留画像の表示態様を示すデータと,始動入賞コマンドを受信する度にカウントアップされる受信カウンタ値と,を各小領域に記憶する。
また,サブ制御基板90には,画像制御基板100,盤可動体中継基板108,ランプ中継基板107,演出ボタン検出スイッチ63x,および振動モータ223が電気的に接続されている。そのため,サブ制御基板90には各スイッチに基づく信号が入力され,各基板や振動モータ223にはサブ制御基板90から信号が出力される。
画像制御基板100には,プログラムに従って画像表示装置7およびスピーカ67の出力を制御する画像制御用ワンチップマイコン101が実装されている。以下,画像制御用ワンチップマイコン101を,画像制御用マイコン101とする。画像制御用マイコン101には,演出の進行に伴って表示画像を制御するためのプログラムや,画像表示装置7に表示される静止画や動画,より具体的にはキャラクタ,アイテム,図形,文字,数字,記号,背景画像,などの画像データや,スピーカ67を介して出力される音声,楽曲,効果音,などの音声データを記憶したROM103,ワークメモリとして使用されるRAM104,ROM103に記憶されたプログラムを実行するCPU102,が含まれる。画像制御用マイコン101は,I/Oポートによって構成される入出力回路105を介して他の基板等とデータの送信ないし受信を行う。入出力回路105は,画像制御用マイコン101に内蔵されていてもよい。また,ROM103は,外付けであってもよい。
また,画像制御基板100には,画像表示装置7およびスピーカ67が電気的に接続されている。そのため,画像表示装置7やスピーカ67には,画像制御基板100から信号が出力される。
サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,画像制御基板100の画像制御用マイコン101に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御用マイコン101のCPU102は,演出制御用マイコン91からのコマンドに基づいて,ROM103から画像データや音声データを読み出す。そして,読み出した画像データを画像表示装置7に表示させ,読み出した音声データに基づいて音声をスピーカ67から出力する。
なお,音声を出力する構成として,サブ制御基板90およびスピーカ67と電気的に接続される音声制御基板を備え,演出制御用マイコン91が,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,その音声制御基板を介して,スピーカ67に音声,楽曲,効果音等を出力させる構成でもよい。この場合,音声データは,サブ制御基板90のROM93に記憶すればよい。
また,サブ制御基板90には,遊技盤2に取り付けられた盤可動体中継基板108を介して,盤可動体15が電気的に接続されている。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,盤可動体中継基板108を介して電気的に接続された盤可動体15の動作制御を行う。具体的に,演出制御用マイコン91は,盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータをROM93から読み出し,その動作パターンデータに基づいて,盤可動体中継基板108を介して盤可動体15の動作制御を行う。
また,サブ制御基板90には,遊技機枠50に取り付けられたランプ中継基板107を介して,枠ランプ66が電気的に接続されている。演出制御用マイコン91は,主制御基板80から受信したコマンドに基づいて,ランプ中継基板107を介して,枠ランプ66の点灯制御を行う。具体的に,演出制御用マイコン91は,各ランプの発光態様を決める発光パターンデータをROM93から読み出し,その発光パターンデータに基づいてランプ中継基板107を介して各ランプの発光制御を行う。
演出ボタン検出スイッチ63xは,演出ボタン63に対応する検出スイッチである。そのため,演出ボタン63が押下されると,演出ボタン検出スイッチ63xからサブ制御基板90に対して,演出ボタン63に関する信号が出力される。演出ボタン検出スイッチ63xから出力される信号に基づいて,サブ制御基板90は,演出ボタン63が押下されたか否かを判断できる。
振動モータ223は,演出ボタン63内に収容され,演出ボタン63の外装体を振動させる部材である。なお,振動モータ223は,演出ボタン63の外装体を振動させず,演出ボタン63に収容される構造物のみを振動させてもよい。演出制御用マイコン91は,ROM93に記憶されているデータを用いて,振動モータ223の動作態様を決める動作パターンデータを作成し,その動作パターンデータに基づいて振動モータ223の動作制御を行う。
3.パチンコ遊技機1の大当たり
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりについて説明する。パチンコ遊技機1では,前述したように第1始動口20あるいは第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて,より具体的には第1分岐通路71あるいは第2分岐通路72への遊技球の通過に基づいて,大当たりの抽選を行う。第1分岐通路71への遊技球の通過に基づいて行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第1特別図柄表示器41aに表示され,第1特別図柄(特図1)の抽選ともいう。また,第2分岐通路72への遊技球の通過に基づいて行われる大当たりの抽選は,その抽選結果が第2特別図柄表示器41bに表示され,第2特別図柄(特図2)の抽選ともいう。
パチンコ遊技機1は,第1分岐通路71あるいは第2分岐通路72への遊技球の通過に応じて,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,特図変動パターン乱数,の各種の乱数を取得する。大当たりの抽選は,取得した大当たり乱数に基づいて行われる。
パチンコ遊技機1が行う大当たりの抽選の結果には,「大当たり」と「ハズレ」とがある。大当たり乱数は,0〜65535までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図6に示すように,通常確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜164の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりの当選確率が異なる2つの遊技状態,すなわち通常確率状態と高確率状態とがあり,高確率状態では,例えば,大当たり乱数が0〜649の範囲内の値であれば,大当たりに当選したと判断する。遊技状態の詳細については後述する。
パチンコ遊技機1は,「大当たり」の場合には,特別図柄表示器41に,大当たりに対応する特別図柄である「大当たり図柄」を停止表示させる。大当たりには,幾つかの種別があり,種別に応じた「大当たり図柄」を停止表示させる。「ハズレ」の場合には,パチンコ遊技機1は,特別図柄表示器41に,ハズレに対応する特別図柄である「ハズレ図柄」を停止表示させる。
さらにパチンコ遊技機1は,大当たりに当選した場合,大当たりの種別に応じた開放パターンにて,第1大入賞口30および第2大入賞口35を開放する制御である「大当たり遊技」を実行する。なお,以下の説明では,第1大入賞口30および第2大入賞口35を総称する場合,大入賞口という。
大当たり遊技は,1回または複数回のラウンド遊技と,初回のラウンド遊技が開始される前のオープニングと,最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディングと,を含んでいる。各ラウンド遊技は,オープニングの終了または前のラウンド遊技の終了によって開始し,次のラウンド遊技の開始またはエンディングの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間であるインターバル時間は,その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
パチンコ遊技機1では,大当たりに当選した場合,大当たり種別の抽選も行う。パチンコ遊技機1では,大当たりの種別として,「16R確変大当たり」と「4R確変大当たり」と「16R通常大当たり」とがある。大当たり種別の抽選は,大当たり種別乱数に基づいて行われる。大当たり種別乱数は,0〜9までの範囲内の値となる。そして,パチンコ遊技機1では,図7に示すように,第1特別図柄の抽選(特図1の抽選),第2特別図柄の抽選(特図2の抽選)ともに,例えば,大当たり種別乱数が0〜1の範囲内の値であれば,「16R確変大当たり」に当選したと判断し,大当たり種別乱数が2〜5の範囲内の値であれば,「4R確変大当たり」に当選したと判断し,それ以外の数値であれば「16R通常大当たり」に当選したと判断する。
「16R確変大当たり」および「4R確変大当たり」は,その大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態になる大当たりである「16R通常大当たり」は,その大当たり遊技後の遊技状態が高確率状態にならない,すなわち通常確率状態のままの大当たりである。従って,「16R通常大当たり」は,大当たり遊技の継続性の観点から,「16R確変大当たり」および「4R確変大当たり」と比較して遊技者に不利といえる。遊技状態の詳細については後述する。以下の説明では,「16R確変大当たり」および「4R確変大当たり」を総称する場合,「確変大当たり」という。これに対し,「16R通常大当たり」を,「非確変大当たり」ともいう。
パチンコ遊技機1は,図8に示すように,「16R確変大当たり」および「16R通常大当たり」は,総ラウンド数が16ラウンド(R)である。パチンコ遊技機1は,1R目から16R目までの各ラウンドで,1R当たり最大25.0秒にわたって第1大入賞口30を開放する。これに対して,「4R確変大当たり」は,総ラウンド数が4Rであり,パチンコ遊技機1は,1R目から4R目までの各ラウンドで,1R当たり最大25.0秒にわたって第2大入賞口35を開放する。
なお,パチンコ遊技機1では,前述したように,第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づいて取得される乱数として,大当たり乱数,大当たり種別乱数の他に,リーチ乱数および変動パターン乱数がある。
リーチ乱数は,大当たり判定の結果がハズレである場合に,その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決定するために用いられる乱数である。リーチとは,複数の数字図柄のうち変動表示されている数字図柄が残り1つとなっている状態であって,変動表示されている数字図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たりの当選を示す数字図柄の組み合わせとなる状態,例えば「7↓7」(「↓」は変動中を意味する)といった状態,のことである。なお,リーチ状態において停止表示されている数字図柄は,表示画面7a内で多少揺れているように表示されてもよい。すなわち,数字図柄が完全に停止していなくてもよい。リーチ乱数は,0〜127までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図9に示すように,非時短状態では,リーチ乱数が0〜13の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。また,時短状態では,リーチ乱数が0〜5の範囲内の値であれば,リーチ有りと判断し,それ以外の数値であればリーチ無しと判断する。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
変動パターン乱数は,特別図柄の変動時間を含む変動パターンを決定するために用いられる乱数である。変動パターン乱数も,0〜127までの範囲内の値となる。図10は,変動パターン乱数と変動パターンとの関係を示すテーブルである。本形態では,変動パターンによって,リーチ演出の実行可否や,リーチ演出を行う場合の態様が決められる。
また,変動パターンに含まれるリーチ演出の態様としては,「通常リーチ」と,通常リーチよりも変動時間が長い「スーパーリーチ(SPリーチ)」と,がある。リーチ演出についても,「SPリーチ」の方が「通常リーチ」よりも,大当たりに当選している期待度が高まるように,変動パターン乱数が割り振られている。パチンコ遊技機1では,変動パターン乱数の他,特別図柄の種類,時短状態か非時短状態か,大当たりやリーチの抽選結果,に基づいて,変動パターンを決定する。
なお,パチンコ遊技機1は,大当たり種別の振り分けが第1特別図柄と第2特別図柄とで同じであり,変動パターンが第1特別図柄と第2特別図柄とで同じになっているが,第1特別図柄と第2特別図柄とで異なってもよい。
また,パチンコ遊技機1では,ゲートへの遊技球の通過に基づいて取得される乱数として,普通当たり乱数がある。普通当たり乱数は,電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選に用いられる乱数である。普通当たり乱数は,0〜255までの範囲内の値となる。
そして,パチンコ遊技機1では,図11に示すように,非時短状態では,普通当たり乱数が0〜2の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。また,時短状態では,普通当たり乱数が0〜254の範囲内の値であれば,普通当たりに当選したと判断し,それ以外の数値であればハズレと判断する。すなわち,普通当たりの抽選は,非時短状態ではほとんどハズレとなり,時短状態ではほとんど普通当たりとなる。時短状態および非時短状態の詳細については後述する。
4.パチンコ遊技機1の遊技状態
続いて,パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は,大当たりの抽選(特別図柄表示器41)および普通当たりの抽選(普通図柄表示器42)に関して,それぞれ「確率変動機能」と「変動時間短縮機能」とを有している。
大当たりの抽選で確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい,作動していない状態を「通常確率状態」という。高確率状態では,図6に示したように,大当たりに当選する確率が通常確率状態よりも高い。すなわち,確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,大当たりの抽選で結果が大当たりとなる確率が高くなる。
また,大当たりの抽選における変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい,作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では,特別図柄表示器41での特別図柄の変動時間,すなわち変動表示の開始時から表示結果の停止表示時までの時間が,非時短状態よりも短くなり易い。具体的にパチンコ遊技機1は,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,図9に示したように,リーチ有りと判定されるリーチ乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が少なくなる判定テーブルを用いて,リーチの判定を行う。つまり,時短状態では,大当たりの抽選でハズレとなった場合に,特別図柄が停止表示されるまでの時間が長いリーチになる確率が低くなる。また,図10に示したように,リーチ無しハズレとなった場合,非時短状態よりも時短状態の方が,変動時間が短い変動パターンが選択され易い。つまり,変動時間短縮機能が作動していると,作動していないときと比較して,変動時間が短くなり易い。その結果,時短状態では,特図保留の消化のペースが速くなり,特図保留として記憶され得る始動口への有効な入賞が発生し易くなる。そのため,遊技者は,スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことが可能となる。
大当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,同時に作動してもよいし,一方のみが作動してもよい。普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能とは,大当たりの抽選における変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち,普通当たりの抽選における確率変動機能および変動時間短縮機能は,時短状態において作動し,非時短状態において作動しない。よって,時短状態では,普通当たり抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。具体的にパチンコ遊技機1は,図11に示したように,普通当たりと判定される普通当たり乱数の値が非時短状態よりも時短状態の方が多くなる判定テーブルを用いて,普通当たりの抽選を行う。つまり,普通当たりの抽選で確率変動機能が作動すると,作動していないときと比較して,普通当たりの抽選で結果が普通当たりとなる確率が高くなる。
また,時短状態では,普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短い。パチンコ遊技機1では,例えば,非時短状態の変動時間が30秒であり,時短状態の変動時間が1秒である。また,時短状態では,補助遊技における電チュー22の開放時間が,非時短状態よりも長くなっている。すなわち,電チュー22の開放時間延長機能が作動している。一方,時短状態でも非時短状態でも,補助遊技における電チュー22の開放回数は同じである。つまり,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能が作動していない。なお,時短状態では,電チュー22の開放回数増加機能を作動してもよい。
かくして,普通当たりの抽選における確率変動機能と変動時間短縮機能,および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では,これらの機能が作動していない場合と比較して,電チュー22が頻繁に開放され,第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することになる。その結果,遊技球の発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って,これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい,作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では,遊技者は,手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお,高ベース状態とは,電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御,いわゆる電サポ制御が実行されている状態ともいえる。
なお,高ベース状態は,前述した複数の機能が全て作動するものでなくてもよい。すなわち,普通当たりに抽選における確率変動機能,普通当たりの抽選における変動時間短縮機能,電チュー22の開放時間延長機能,および電チュー22の開放回数増加機能のうち,1つ以上の機能の作動によって,その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また,高ベース状態は,時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
パチンコ遊技機1では,「16R確変大当たり」または「4R確変大当たり」の当選による大当たり遊技後の遊技状態が,高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態となる。この遊技状態を特に,「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また,パチンコ遊技機1では,「16R通常大当たり」の当選による大当たり遊技後の遊技状態が,通常確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態となる。この遊技状態を特に,「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は,大当たりに当選しないまま所定回数(本形態では100回)の大当たりの抽選が実行されるか,大当たりに再び当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお,パチンコ遊技機1の電源投入後の遊技状態は,通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に,「低確低ベース状態」という。パチンコ遊技機1では,高確高ベース状態あるいは低確高ベース状態が終了すると,低確低ベース状態になる。また,大当たり遊技の実行中の状態を「大当たり遊技状態」と称する。なお,大当たり遊技状態を「特別遊技状態」ともいう。
5.大当たりの種別を示唆する演出
続いて,パチンコ遊技機1における大当たりの種別を示唆する演出について説明する。パチンコ遊技機1では,大当たりの種別を示唆する演出として,当選した大当たりの種別が確変大当たりか非確変大当たりかによって異なる演出を行う種別示唆演出と,確変大当たりに当選したことを示唆する確変示唆演出とがある。
パチンコ遊技機1は,前述した種別示唆演出を,大当たり遊技のエンディングの期間中に行う。具体的にパチンコ遊技機1は,図12に示すように,1つの特図保留に対する特別図柄の変動表示を開始した後,大当たりの抽選結果である停止図柄を表示するまでの間に,演出図柄変動演出を行う。その後,大当たりに当選した場合には,大当たり遊技を開始し,ハズレの場合には,次の特図保留に対する特別図柄の変動表示を開始する。大当たり遊技の期間は,オープニングに対応するオープニング期間,ラウンド遊技を実行して払い出しを行う払い出しラウンド期間,エンディングに対応するエンディング期間,の順で構成される。種別示唆演出は,このうちエンディング期間内に行われる。
具体的にパチンコ遊技機1の種別示唆演出は,図13に示すように,味方キャラクタが敵キャラクタと対戦するバトル演出である。バトル演出では,始めに,図13(A)に示すように,味方キャラクタが敵キャラクタに勝てば確変大当たりであることを示唆するメッセージ8Mを,画像表示装置7に表示する。そして,味方キャラクタが敵キャラクタと戦う映像を,画像表示装置7に表示する。
そして,大当たりの種別が確変大当たりであった場合,パチンコ遊技機1は,図13(B1)に示すように,味方キャラクタが敵キャラクタに勝った画像を,画像表示装置7に表示する。すなわち,バトル勝利演出を行う。これにより,遊技者は,確変大当たりに当選したことを把握できる。一方,大当たりの種別が非確変大当たりであった場合,パチンコ遊技機1は,図13(B2)に示すように,味方キャラクタが敵キャラクタに負けた画像を,画像表示装置7に表示する。すなわち,バトル敗北演出を行う。これにより,遊技者は,非確変大当たりに当選したことを把握できる。このようにバトル演出は,味方キャラクタが敵キャラクタに勝つという課題に対して,その課題に成功するバトル勝利演出と,その課題に失敗するバトル敗北演出と,で構成される。
また,パチンコ遊技機1は,当選した大当たりの種別が非確変大当たりであっても,変動開始前の特図保留の中に確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有る場合には,図13(B1)に示したように,バトル勝利演出を行う。非確変大当たりに当選した場合,本来はバトル勝利演出を行わないが,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有る場合には,今回の非確変大当たり,特図保留中の確変大当たり,その次の大当たり,と少なくとも3回にわたって大当たりが継続する。このように,確変大当たりに当選した場合と同じように大当たりが継続することから,パチンコ遊技機1は,確変大当たりに当選したときと同様にバトル勝利演出を行う。つまり,バトル勝利演出は,確変大当たりに当選したこと,または,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有る場合に行われ,バトル敗北演出は,非確変大当たりに当選したこと,かつ,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が無い場合に行われる。
また,パチンコ遊技機1は,変動表示中の大当たりの抽選の結果が確変大当たりであった場合,前述した確変示唆演出を,演出図柄変動演出の期間中に行う(図12参照)。具体的にパチンコ遊技機1の確変示唆演出は,図14に示すように,味方キャラクタがバトル演出において勝利することを示唆する予告画像をカットインさせるカットイン演出である。そして,変動表示中の特図保留が確変大当たりに当選している場合に,図14(B)に示すように,予告画像8Nを画像表示装置7に表示する。
また,パチンコ遊技機1は,確変示唆演出でも,種別示唆演出と同様に,変動表示中の特図保留が非確変大当たりに当選している場合であっても,変動開始前の特図保留の中に確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有る場合には,図14(B)に示したように,予告画像8Nを画像表示装置7に表示する。つまり,確変示唆演出は,確変大当たりに当選したこと,または,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有る場合に行われる。
パチンコ遊技機1は,大当たりに当選する度に,エンディング期間中にバトル演出を実行する。一方,確変示唆演出は,確変大当たりに当選する度に必ず行われるものではなく,乱数を用いて実行するか否かが決定される。
なお,種別示唆演出および確変示唆演出は,確変大当たりに当選したことを把握できる演出であればよく,バトル演出やカットイン演出に限るものではない。例えば,大当たり抽選の結果を示す演出図柄変動演出において,大当たりに当選していた場合の結果を,数字図柄のゾロ目で表示する場合に,表示される数字図柄によって大当たりの種別を報知してもよい。例えば,確変大当たりであれば,「777」等の奇数の数字図柄で表示し,非確変大当たりであれば,「444」等の偶数の数字図柄で表示する。本形態では,「777」等の特定の数字図柄を,確変大当たりを示唆する図柄とし,その他の図柄を,大当たりの種別が不確定な図柄とする。
また,パチンコ遊技機1は,大当たり遊技中にバトル演出を行い,バトルに勝利すれば確変大当たりの当選を示唆し,バトルに敗北すれば非確変大当たりの当選を示唆しているが,バトル演出を大当たりに当選しているときの演出図柄変動演出中に行ってもよい。この場合,パチンコ遊技機1は,例えば,当選した大当たりの種類に関係なく演出図柄変動演出中に非確変大当たりの数字図柄のリーチを発生させ,その後,大当たりを遊技を開始するまでの間にバトル演出を行う。具体的には,確変大当たりに当選していればバトル勝利演出を開始し,演出の最後に確変大当たりの数字図柄のゾロ目を表示する。一方,非確変大当たりに当選していればバトル敗北演出を開始し,演出の最後に再び非確変大当たりの数字図柄のゾロ目を表示する。
この他の種別示唆演出および確変示唆演出としては,例えば,レースに勝利する等,バトル以外の課題を克服する演出であってもよいし,プレミアム画像が表示される演出であってもよいし,確変大当たりを報知するランプを点灯させる演出であってもよいし,特別な効果音が出力される演出であってもよし,演出ボタン63を通常時よりも強く振動させる演出でもよい。
6.遊技制御用マイコン81の動作
続いて,パチンコ遊技機1の主制御基板80における遊技制御用マイコン81の動作について説明する。遊技制御用マイコン81が実行する具体的な処理としては,メイン側起動処理がある。なお,遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM84に設けられる。
[メイン側起動処理]
遊技制御用マイコン81が実行するメイン側起動処理について,図15のフローチャートを参照しつつ説明する。遊技制御用マイコン81は,パチンコ遊技機1の主電源がオフからオンになったことを契機に,すなわち電源スイッチ155がオンになり,電源基板150を介して外部からの電力供給が開始されたことを契機に,ROM83からメイン側起動処理のプログラムを読み出して実行する。
メイン側起動処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,CPU82の初期設定やRAM84の初期化等を行う初期動作を行う(S001)。具体的にS001では,遊技制御用マイコン81は,RAM84へのアクセスを許可する。また,RAMクリアスイッチ161が押下されている場合や正常に主電源がオフされていなかった場合に,RAM84の初期化を行う。これにより,RAM84に記憶されていた各種の情報が失われる。また,サブ制御基板90側のRAM94等を初期化するためのRAM初期化コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。この他,S001では,例えば,スタックの設定,定数設定,割り込み時間の設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定を行う。
S001の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを禁止する(S002)。次いで,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S003)。具体的にS003では,遊技制御用マイコン81は,大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,普通当たり乱数,の各種の乱数の値を更新する。乱数の更新方法としては,例えば,1回の更新に際して値を所定数加算する。所定数は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。乱数の値は,上限値に達すると0に戻る。また,乱数の初期値は,0であっても0以外の値であってもよい,また,乱数の初期値は,全ての乱数で共通であってもよいし,乱数ごとに異なってもよい。また,各乱数は,カウンタIC等からなる公知の乱数発生回路を利用して生成してもよい。
S003の後,遊技制御用マイコン81は,割り込みを許可する(S004)。以降,S002〜S004を繰り返す。割り込みが許可されている間は,メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能になる。メイン側タイマ割り込み処理は,例えば,4ms周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして,メイン側タイマ割り込み処理が実行された場合には,メイン側タイマ割り込み処理が終了してから,次のメイン側タイマ割り込み処理が開始されるまでの間に,S002〜S004の処理が繰り返される。なお,割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合には,メイン側タイマ割り込み処理の実行を直ぐには開始せず,割り込み許可状態となるのを待って開始する。
[メイン側タイマ割り込み処理]
次に,S005のメイン側タイマ割り込み処理について,図16のフローチャートを参照しつつ説明する。メイン側タイマ割り込み処理は,4ms周期の割り込みパルスが入力される度に,遊技制御用マイコン81によって実行される。
メイン側タイマ割り込み処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,RAM84の出力バッファにセットされたコマンドを,サブ制御基板90や払出制御基板110等,パチンコ遊技機1内の主制御基板80以外のデバイスに出力する(S101)。RAM84の出力バッファには,後述する各種の処理によって適宜コマンドがセットされる。
S101の後,遊技制御用マイコン81は,払い出しに関する情報を更新する(S102)。具体的にS102では,遊技制御用マイコン81は,特図1センサ71a,特図2センサ72a,第1大入賞口センサ30a,第2大入賞口センサ35a,普通入賞口センサ27a等の,各種のセンサから出力された信号に基づいて入賞の有無を判断し,入賞口の種類に応じた賞球の払い出しを指示する払い出しコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。
S102の後,遊技制御用マイコン81は,各種の乱数の値を更新する(S103)。S103の処理は,S003と同様である。すなわち,遊技制御用マイコン81は,メイン側タイマ割り込み処理の実行期間中と,それ以外の期間との両方で,各種の乱数の値を更新する。なお,乱数の値の更新を,いずれか一方の期間のみで行ってもよい。
S103の後,遊技制御用マイコン81は,各種のセンサから出力された信号に基づいて,始動口等への入球を検出するセンサ検出処理を実行する(S111)。S111の詳細は後述する。
S111の後,遊技制御用マイコン81は,普通図柄に関する動作である普通動作処理を実行する(S121)。具体的にS121では,遊技制御用マイコン81は,普通当たりの抽選条件を満たしている場合に,普図保留記憶部86に記憶されている普通当たり乱数,および図11に示す普通当たり判定テーブルを用いて,普通当たりに当選したか否かを判定する。そして,判定結果に応じた普図停止図柄データおよび遊技状態に応じた変動パターンを決定し,普通図柄表示器42に普通図柄の表示を行わせる。さらに普通当たりに当選した場合には,遊技状態に応じた電チュー22の開放パターンを決定し,電チュー22を作動させる。
S121の普通動作処理の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄に関する動作である特別動作処理を実行する(S131)。なお,S121とS131とは逆順であってもよい。S131の詳細は後述する。
S131の後,遊技制御用マイコン81は,普図保留数,第1特図保留数,第2特図保留数,の各保留数に基づいて,特図保留表示器43および普図保留表示器44の表示を更新させる(S161)。
S161の後,遊技制御用マイコン81は,RAM84の外部出力バッファにセットされたコマンドに基づいて,外部端子板190を介して各種の信号を出力する(S171)。例えば,大当たりの抽選にて大当たりに当選した場合,遊技制御用マイコン81は,大当たり信号を外部装置に出力する。
S171の後,遊技制御用マイコン81は,主電源を正常にオフさせるための電源断監視処理を実行する(S181)。具体的にS181では,遊技制御用マイコン81は,例えば,電源スイッチ155がオフになったことを検知した場合に,正常に主電源がオフされたことを示す情報をRAM84に記憶する。そして,RAM84へのアクセスを制限する。S181の後,メイン側タイマ割り込み処理を終了する。
その後,遊技制御用マイコン81は,次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまではメイン側起動処理のS002〜S004の処理を繰り返し,割り込みパルスが入力されると,再び,メイン側タイマ割り込み処理を実行する。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理のS101では,前回のメイン側タイマ割り込み処理にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンドが出力される。
[センサ検出処理]
次に,図16のS111のセンサ検出処理について,図17のフローチャートを参照しつつ説明する。
センサ検出処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,第1ゲートセンサ28aおよび第2ゲートセンサ29aから出力された信号に基づいて,遊技球がゲートを通過したか否かを判断する(S201)。遊技球がゲートを通過していた場合(S201:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数が4個未満か否かを判断する(S202)。
普図保留の数が4個未満であれば(S202:YES),遊技制御用マイコン81は,普図保留の数を1つ加算し(S203),さらに普通当たり乱数の値を取得する(S204)。遊技制御用マイコン81は,取得した普通当たり乱数の値を,普図保留記憶部86に記憶する。すなわち,パチンコ遊技機1は,遊技球が第1ゲート28を通過した場合であっても,第2ゲート29を通過した場合であっても,普図保留の数を1つ加算し,普通当たり乱数の値を取得する。
S204の後,あるいは普図保留の数が4個以上の場合(S202:NO),あるいは遊技球がゲートを通過していない場合(S201:NO),遊技制御用マイコン81は,特図1センサ71aから出力された信号に基づいて,遊技球が第1分岐通路71を通過したか否かを判断する(S211)。遊技球が第1分岐通路71を通過していた場合(S211:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S212)。
第1特図保留の数が4個未満であれば(S212:YES),遊技制御用マイコン81は,第1特図保留数および入賞カウンタ値にそれぞれ1を加算し(S213),さらに大当たり乱数,大当たり種別乱数,リーチ乱数,変動パターン乱数,の大当たりに関する各乱数の値を取得する(S214)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,入賞カウンタ値とともに,第1特図保留記憶部85aに記憶する。
S214の後,遊技制御用マイコン81は,図18に示す第1始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S214にて取得した各乱数の値に基づいて第1始動入賞コマンドを特定し,その第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S215)。例えば,非時短状態であって,大当たり乱数が「1」,大当たり種別乱数が「1」,リーチ乱数が「1」,変動パターン乱数が「1」,であった場合,第1始動入賞コマンドとして「C011」が特定される。始動入賞コマンド判定テーブルの各乱数の振り分けは,図6,図7,図9,図10に示した各テーブルの振り分けと対応している。そのため,第1始動入賞コマンドには,大当たりの当否,大当たりの種別,リーチの有無,さらにはSPリーチを行うか否か,の各情報が含まれる。
なお,出力バッファにセットされた第1始動入賞コマンドは,メイン側タイマ割り込み処理(図16参照)のS101にてサブ制御基板90に送信される。つまり,S214にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は,そのコマンドが入力されたことに応じて,そのコマンドに対応する処理を実行する。
S215の後,あるいは第1特図保留の数が4個以上の場合(S212:NO),あるいは遊技球が第1分岐通路71を通過していない場合(S211:NO),遊技制御用マイコン81は,特図2センサ72aから出力された信号に基づいて,遊技球が第2分岐通路72を通過したか否かを判断する(S221)。遊技球が第2分岐通路72を通過していた場合(S221:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留の数が4個未満か否かを判断する(S222)。
第2特図保留の数が4個未満であれば(S222:YES),遊技制御用マイコン81は,第2特図保留数および入賞カウンタ値にそれぞれ1を加算し(S223),さらにS214と同様に,大当たりに関する各乱数の値を取得する(S224)。遊技制御用マイコン81は,取得した各乱数の値を,入賞カウンタ値とともに,第2特図保留記憶部85bに記憶する。
S224の後,遊技制御用マイコン81は,遊技球の第1分岐通路71の通過時と同様に,図18に示した始動入賞コマンド判定テーブルを参照し,S224にて取得した各乱数の値に基づいて第2始動入賞コマンドを特定し,その第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S225)。これにより,S215と同様に,S224にて取得した乱数に対応する特別図柄の変動表示が開始される前に,その特別図柄に関係する情報を含むコマンドがサブ制御基板90に出力される。
S225の後,あるいは第2特図保留の数が4個以上の場合(S222:NO),あるいは遊技球が第2始動口21を通過していない場合(S221:NO),センサ検出処理を終了する。
[特別動作処理]
次に,図16のS131の特別動作処理について,図19のフローチャートを参照しつつ説明する。
特別動作処理では,特別図柄表示器41,第1大入賞装置31,および第2大入賞装置36に関する処理を4つの段階に分け,それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4」を割り当てている。そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1か否か(S901),2か否か(S911),3か否か(S921),をそれぞれ判断し,現時点でどのステータスに該当するかを判断する。特別動作ステータスの初期値は1である。
そして,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスが1であれば(S901:YES),特別図柄待機処理を実行する(S902)。特別動作ステータスが2であれば(S911:YES),特別図柄変動中処理を実行する(S912)。特別動作ステータスが3であれば(S921:YES),特別図柄確定処理を実行する(S922)。一方,特別動作ステータスが4であれば(S921:NO),大当たり遊技処理を実行する(S932)。以下,特別動作処理にて実行される各処理について説明する。
[特別図柄待機処理]
図20は,図19のS902の特別図柄待機処理の手順を示している。特別図柄待機処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特図保留の数が0であるか否か,すなわち第1特図保留の数と第2特図保留の数とがともに0であるか否かを判断する(S1001)。
特図保留の数が0の場合(S1001:YES),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出が開始されているか否かを判断する(S1031)。客待ち演出は,待機状態中,複数の待機画面やデモンストレーション画像を,画像表示装置7に表示させる演出である。客待ち演出が開始されていれば(S1031:YES),特別図柄待機処理を終了する。
客待ち演出が開始されていなければ(S1031:NO),遊技制御用マイコン81は,客待ち演出を開始させるための客待ち待機コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1032)。出力バッファにセットされた客待ち待機コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。S1032の後,特別図柄待機処理を終了する。
一方,特図保留の数が0でなければ(S1001:NO),すなわち第1特図保留と第2特図保留との少なくとも一方に特図保留があれば,遊技制御用マイコン81は,特図保留の1つについて,大当たりに当選したか否かを判定する大当たり判定処理を実行する(S1011)。
図21に,S1011の大当たり判定処理の手順を示す。大当たり判定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,判定値として,特図保留記憶部85から最も先に記憶された特図保留に対応する抽選情報を読み出す(S1101)。具体的にS1101では,遊技制御用マイコン81は,第1特図保留記憶部85aの先頭に記憶されている第1特図保留の入賞カウンタ値と,第2特図保留記憶部85bの先頭に記憶されている第2特図保留の入賞カウンタ値と,を比較し,先に記憶されたと判断される特図保留に対応する各乱数の値を読み出す。
S1101の後,遊技制御用マイコン81は,図6に示した大当たり判定テーブルを用いて,読み出した大当たり乱数に基づいて,大当たり,ハズレの判定を行う(S1102)。なお,パチンコ遊技機1では,大当たりとハズレとの2種類のどちらかに判定されるが,例えば当たりの種別として小当たりを設けた場合,S1102では小当たりを含めた判定が行われる。S1102の後,遊技制御用マイコン81は,S1102での判定結果に基づいて,大当たりに当選したか否かを判断する(S1111)。
大当たりに当選した場合(S1111:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たりフラグをオンにする(S1112)。大当たりフラグは,大当たりに当選している状態か否かの判断に用いられる。S1112の後,遊技制御用マイコン81は,図7に示した大当たり種別テーブルを用いて,読み出した大当たり種別乱数に基づいて,大当たりの種別の判定を行う(S1113)。S1113の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり種別に応じた停止図柄データを決定し(S1114),大当たり判定処理を終了する。
一方,大当たりに当選していない,すなわちハズレの場合(S1111:NO),遊技制御用マイコン81は,ハズレに応じた停止図柄データを決定し(S1131),大当たり判定処理を終了し,特別図柄待機処理に戻る。
図20の説明に戻り,S1011の後,遊技制御用マイコン81は,読み出した変動パターン乱数およびリーチ乱数に基づいて,変動パターンを決定する(S1012)。具体的にS1012では,遊技制御用マイコン81は,大当たりに当選している場合は,大当たりの種別と,変動パターン乱数と,図10に示した変動パターンテーブルとを用いて,遊技状態に応じた変動パターンを決定する。
S1012の後,遊技制御用マイコン81は,第1特図保留と第2特図保留のうち大当たりの判定対象となった特図保留の数を1つ減算する(S1013)。そして,大当たりの判定対象となった特図保留の記憶部における各特図保留のデータを現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する(S1014)。これにより,特図保留が記憶された順に消化される。
S1014の後,遊技制御用マイコン81は,S1012にて決定した変動パターンに従って,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を開始させる(S1015)。すなわち,大当たりの判定対象が第1特図保留であれば,第1特別図柄表示器41aに特別図柄の変動表示を開始させ,大当たりの判定対象が第2特図保留であれば,第2特別図柄表示器41bに特別図柄の変動表示を開始させる。このとき遊技制御用マイコン81は,変動開始コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする。変動開始コマンドには,停止図柄データの情報や変動パターンの情報が含まれる。変動開始コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動開始コマンドに応じた演出が実行される。S1015の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを2に変更し(S1017),特別図柄待機処理を終了する。
[特別図柄変動中処理]
図22は,図19のS912の特別図柄変動中処理の手順を示している。特別図柄変動中処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S1501)。変動時間は,前述した特別図柄待機処理のS1012によって決定された変動パターンによって決められる。特別図柄の変動時間が経過していない場合(S1501:NO),特別図柄変動中処理を終了する。すなわち,特別図柄の変動表示が継続される。
一方,特別図柄の変動時間が経過した場合(S1501:YES),遊技制御用マイコン81は,変動停止コマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1502)。変動停止コマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によって変動停止コマンドに応じた演出が実行される。S1502の後,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを3に変更する(S1503)。
S1503の後,遊技制御用マイコン81は,特別図柄表示器41に特別図柄の変動表示を停止させる(S1504)。そして,遊技制御用マイコン81は,特別図柄を一定時間にわたって停止表示させるための停止時間をセットし(S1505),特別図柄変動中処理を終了する。
[特別図柄確定処理]
図23は,図19のS922の特別図柄確定処理の手順を示している。特別図柄確定処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,前述した特別図柄変動中処理のS1505でセットされた停止時間が経過したか否かを判断する(S1601)。停止時間が経過していなければ(S1601:NO),特別図柄確定処理を終了する。停止時間が経過していれば(S1601:YES),遊技状態を管理する(S1602)。
具体的にS1602では,遊技制御用マイコン81は,時短状態かつ通常確率状態であることを条件として,時短カウンタを1つ減算する。時短カウンタは,時短状態で大当たりの抽選を実行できる残りの回数を示すものである。そして,時短状態で大当たりの抽選が行われる度に,時短カウンタは1ずつ減算される。さらに,遊技制御用マイコン81は,時短カウンタの値が0になったか否かを判断し,時短カウンタの値が0であれば,非時短状態に設定する。一方,遊技制御用マイコン81は,高確率状態の場合,次に大当たりに当選するまで,時短状態を維持する。そのため,時短カウンタの減算や非時短状態の設定は行わない。また,遊技制御用マイコン81は,非時短状態かつ通常確率状態の場合も,時短カウンタの減算や非時短状態の設定は行わない。
S1602の後,遊技制御用マイコン81は,大当たりフラグがオンか否か,すなわち大当たりに当選したか否かを判断する(S1611)。大当たりフラグがオンであれば(S1611:YES),遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを4に変更する(S1612)。そして,遊技制御用マイコン81は,遊技状態を初期化する(S1613)。具体的にS1613では,遊技状態を,通常確率状態かつ非時短状態とする。これにより,後述する大当たり遊技の実行中は,通常確率状態かつ非時短状態として制御される。つまり,大当たり遊技の実行中,パチンコ遊技機1は,低ベース状態になる。
S1613の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を開始するべく,大当たりのオープニングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S1621)。出力バッファにセットされたオープニングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技のオープニングが開始されることになる。
S1621の後,遊技制御用マイコン81は,大入賞口についての,大当たりの種別に応じた開放パターン(図8参照)を決定する(S1622)。さらに遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技中の大入賞口の開放回数をカウントするカウンタの値を,大当たりの種別に応じた値にセットする(S1623)。パチンコ遊技機1では,「16R確変大当たり」あるいは「16R通常大当たり」であれば,第1大入賞口30を16回開放することから,カウンタ値に16がセットされる。「4R確変大当たり」であれば,第2大入賞口35を4回開放することから,カウンタ値に4がセットされる。S1623の後,遊技制御用マイコン81は,決定された開放パターンに従って,所定の大入賞口の作動を開始する(S1624)。すなわち,それぞれの大入賞口に対応するソレノイドに対する制御を開始する。S1624の後,特別図柄確定処理を終了する。
一方,大当たりフラグがオンでなければ(S1611:NO),ハズレに当選しており,大当たり遊技を実行しないことから,遊技制御用マイコン81は,特別動作ステータスを1に変更する(S1631)。S1631の後,特別図柄確定処理を終了する。
[大当たり遊技処理]
図24は,図19のS932の大当たり遊技処理の手順を示している。大当たり遊技処理では,遊技制御用マイコン81は先ず,大当たり終了フラグがオンか否かを判断する(S2001)。大当たり終了フラグは,大当たり遊技が終了したことを示すフラグであり,大当たり遊技の開始時はオフである。
大当たり終了フラグがオフであれば(S2001:NO),遊技制御用マイコン81は,大入賞口が開放中か否かを判断する(S2011)。パチンコ遊技機1は,大当たり遊技中はラウンド数に応じて第1大入賞口30もしくは第2大入賞口35を開放させることから(図8参照),S2011ではラウンド数に応じた大入賞口が開放されているか否かを判断することになる。ラウンド数は,総ラウンド数と開放カウンタの値とによって求められる。
大入賞口が開放されていなければ(S2011:NO),遊技制御用マイコン81は,大入賞口を開放させる時間になったか否かを判断する(S2012)。具体的にS2012では,遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技のオープニングが終了して第1ラウンドに対応する大入賞口の開放を開始する時間になったか,または前回の開放終了からのインターバル時間が経過して今回のラウンドに対応する大入賞口の開放を開始する時間になったか,否かを判断する。
大入賞口を開放させる時間になっていれば(S2012:YES),遊技制御用マイコン81は,前述した特別図柄確定処理のS1622にてセットされた開放パターンに従って,開放させる時間になった大入賞口を開放させる(S2015)。S2015の後,遊技制御用マイコン81は,ラウンドコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S2016)。出力バッファにセットされたラウンドコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技中のラウンド番号が通知されることになる。S2016の後,あるいは大入賞口を開放させる時間になっていなければ(S2012:NO),大当たり遊技処理を終了する。
一方,大入賞口が開放されていれば(S2011:YES),遊技制御用マイコン81は,大入賞口の閉塞条件を満たしているか否かを判断する(S2021)。大入賞口の閉塞条件には,大入賞口への遊技球の入賞が既定の最大入賞個数以上あること,セットされている開放パターンに従う開放時間が経過したこと,が含まれる。遊技制御用マイコン81では,これらの条件のうち1つでも満たしている場合には,大入賞口の閉塞条件を満たしたと判断する。なお,本形態では,最大入賞個数を8個とする。大入賞口の閉塞条件を満たしていない場合(S2021:NO),大当たり遊技処理を終了する。すなわち,大入賞口の開放を継続する。
大入賞口の閉塞条件を満たしている場合(S2021:YES),遊技制御用マイコン81は,閉塞条件を満たした大入賞口を閉塞させる(S2022)。S2022の後,遊技制御用マイコン81は,開放カウンタを1つ減算する(S2023)。そして,遊技制御用マイコン81は,開放カウンタが0になったか否かを判断する(S2031)。
開放カウンタが0になった場合(S2031:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり遊技を終了するべく,大当たりのエンディングコマンドを,RAM84の出力バッファにセットする(S2032)。出力バッファにセットされたエンディングコマンドは,サブ制御基板90に出力され,サブ制御基板90によってコマンドに応じた処理が実行される。これにより,大当たり遊技のエンディングが開始されることになる。
S2032の後,遊技制御用マイコン81は,大当たり終了フラグをオンにし(S2033),大当たり遊技処理を終了する。また,開放カウンタが0でない場合(S2031:NO),大当たり遊技が継続中であり,大入賞口の次の開放のために,S2032〜S2033を行うことなく,大当たり遊技処理を終了する。
一方,大当たり終了フラグがオンであれば(S2001:YES),大当たり遊技における大入賞口の開放がすべて終了し,エンディングが開始されていることから,遊技制御用マイコン81は,エンディングの時間が経過したか否かを判断する(S2041)。エンディングの時間が経過していれば(S2041:YES),遊技制御用マイコン81は,大当たり終了フラグをオフにし(S2042),大当たりフラグをオフにし(S2043),特別動作ステータスを1に変更する(S2044)。S2044の後,遊技制御用マイコン81は,遊技状態を設定する遊技状態設定処理を実行する(S2045)。
具体的にS2045では,図25に示すように,遊技制御用マイコン81は,確変大当たりに当選したか否かを判断する(S2051)。確変大当たりに当選した場合(S2051:YES),遊技制御用マイコン81は,遊技状態を高確率状態に設定する(S2052)。さらに遊技制御用マイコン81は,時短状態に設定する(S2054)。すなわち,パチンコ遊技機1は,確変大当たりに当選した場合,遊技状態が,高確率状態かつ時短状態となる。そして,パチンコ遊技機1は,高確率状態かつ時短状態に設定された後,次に大当たりに当選するまで,高確率状態かつ時短状態での遊技を可能にする。
一方,確変大当たりに当選していない,すなわち非確変大当たりに当選した場合(S2051:NO),遊技制御用マイコン81は,遊技状態を高確率状態に設定せずに通常確率状態のままとし,時短状態に設定する(S2061)。さらに時短カウンタに100をセットする(S2062)。これにより,パチンコ遊技機1は,非確変大当たりに当選した場合には,時短状態で連続して最大100回の大当たりの抽選が可能になる。そして,パチンコ遊技機1は,時短状態に設定された後,次に大当たりに当選するまで,あるいは大当たりに当選することなく100回の大当たりの抽選が行われるまで,時短状態での遊技を可能にする。S2062あるいはS2054の後,遊技状態設定処理を終了する。さらに図24の大当たり遊技処理に戻り,大当たり遊技処理を終了する。
7.演出制御用マイコン91の動作
続いて,パチンコ遊技機1のサブ制御基板90における演出制御用マイコン91の動作について説明する。演出制御用マイコン91が実行する具体的な処理としては,サブ側起動処理がある。なお,演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ,タイマ,フラグ,ステータス,バッファ,などは,RAM94に設けられる。
[サブ側起動処理]
演出制御用マイコン91が実行するサブ側起動処理について,図26のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側起動処理は,パチンコ遊技機1の電源オンを契機に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側起動処理では,演出制御用マイコン91は先ず,CPU92の初期化を行う(S4001)。具体的にS4001では,演出制御用マイコン91は,例えば,スタックの設定,定数設定,CPUの設定,SIO,PIO,CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定,を行う。また,S4001では,遊技制御用マイコン81からRAM初期化コマンドを受信していた場合,演出制御用マイコン91は,RAM94を初期化する。これにより,RAM94に記憶されていた各種の情報が失われる。なお,S4001は,電源投入後に一度だけ実行され,その後は実行されない。
S4001の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを禁止する(S4004)。次いで,演出制御用マイコン91は,各種の乱数の値を更新する(S4005)。具体的にS4005では,演出制御用マイコン91は,演出図柄乱数,変動演出パターン乱数,予告演出乱数,予告演出種類乱数,の各種の乱数の値を更新する。これらの乱数は,先に説明した遊技制御用マイコン81にて用いられる乱数とは異なる乱数であり,演出制御用マイコン91でのみ用いられる。乱数の更新方法としては,遊技制御用マイコン81と同様であってもよいし,異なってもよい。
S4005の後,演出制御用マイコン91は,RAM94の出力バッファにセットされている各種のコマンドを,画像制御基板100等に送信する(S4006)。例えば,コマンドを受信した画像制御基板100は,そのコマンドに従って画像表示装置7に各種の静止画ないし動画を表示させ,スピーカ67に各種の音声を出力させる。すなわち,演出図柄変動演出や,大当たり遊技に伴う遊技演出や,客待ち演出等を実行する。
なお,画像制御基板100による各種の演出の実行に伴って,演出制御用マイコン91は,ランプ中継基板107を介して枠ランプ66を点灯させる。なお,前述したように主制御基板80はサブ制御基板90からの入力を受け付けないことから,S4006から送信されるコマンドは遊技制御用マイコン81には入力されない。
S4006の後,演出制御用マイコン91は,割り込みを許可する(S4007)。以降,S4004〜S4007を繰り返す。割り込みが許可されている間は,サブ側2msタイマ割り込み処理(S4009),サブ側10msタイマ割り込み処理(S4010),の各種の処理の実行が可能になる。
なお,演出制御用マイコン91は,S4009,S4010以外の割り込み処理も実行する。例えば,演出制御用マイコン91は,主制御基板80から送られたコマンドが演出制御用マイコン91の入出力回路97に入力された場合に,そのコマンドをRAM94に記憶させる主制御コマンド割り込み処理を実行する。主制御コマンド割り込み処理は,他の割り込み処理(S4009,S4010)に優先して実行される。
[サブ側2msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側2msタイマ割り込み処理について,図27のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側2msタイマ割り込み処理は,2ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側2msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,演出ボタン検出スイッチ63xからの出力信号に基づいて,演出ボタン63への操作の有無の情報を示すスイッチデータを作成する(S4201)。なお,パチンコ遊技機1にこれら以外の入力部材が設けられている場合,その入力部材の入力の有無の情報もスイッチデータに含める。
S4201の後,演出制御用マイコン91は,後述するサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成されるランプデータに従って,枠ランプ66を点灯ないし消灯させるための制御を行う(S4202)。さらに,演出制御用マイコン91は,同じくサブ側10msタイマ割り込み処理にて作成される可動体駆動データに従って,盤可動体15を変位させるための制御を行う(S4203)。
S4203の後,演出制御用マイコン91は,ウォッチドックタイマをリセットする等,その他の処理を実行する(S4299)。S4299の後,サブ側2msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側10msタイマ割り込み処理]
次に,サブ側10msタイマ割り込み処理について,図28のフローチャートを参照しつつ説明する。サブ側10msタイマ割り込み処理は,10ms周期の割り込みパルスが入力される度に,演出制御用マイコン91によって実行される。
サブ側10msタイマ割り込み処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から受信したコマンドを解析するサブ側受信コマンド解析処理を実行する(S4301)。S4301の詳細については後述する。S4301の後,演出制御用マイコン91は,特図保留の数の変化に応じて,演出保留画像に関する演出を行う(S4302)。
S4302の後,演出制御用マイコン91は,サブ側2msタイマ割り込み処理のS4201にて作成されたスイッチデータを取得する(S4303)。そして,演出制御用マイコン91は,スイッチデータに基づいて,各種の入力部材への操作に応じたスイッチ制御を行う(S4304)。
S4304の後,演出制御用マイコン91は,各種の演出に応じて,枠ランプ66の点灯制御を行うためのランプデータを作成する(S4305)。さらに,演出制御用マイコン91は,盤可動体15の稼働制御を行うための可動体駆動データを作成する(S4306)。
S4306の後,演出制御用マイコン91は,演出制御用マイコン91で用いる各種の乱数を更新する等,その他の処理を実行し(S4399),サブ側10msタイマ割り込み処理を終了する。
[サブ側受信コマンド解析処理]
図29は,図28のS4301のサブ側受信コマンド解析処理の手順を示している。サブ側受信コマンド解析処理では,演出制御用マイコン91は先ず,主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンドもしくは第2始動入賞コマンド)を受信したか否かを判断する(S4401)。第1始動入賞コマンドは,遊技球の第1分岐通路71の通過を契機に,主制御基板80から出力される。第2始動入賞コマンドは,遊技球の第2分岐通路72の通過を契機に,主制御基板80から出力される。
主制御基板80から始動入賞コマンドを受信した場合(S4401:YES),演出制御用マイコン91は,受信した始動入賞コマンドに対応する保留カウンタおよび受信カウンタに1を加算する(S4402)。保留カウンタは,第1特図保留記憶部95aに対応する第1特図保留カウンタと,第2特図保留記憶部95bに対応する第2特図保留カウンタと,の2種類有り,始動入賞コマンドが記憶が受信される度に,始動入賞コマンドを記憶する特図保留記憶部に対応する保留カウンタが1つ加算される。つまり,保留カウンタは,特図保留記憶部ごとに,記憶される始動入賞コマンドの数をカウントするカウンタである。受信カウンタは,始動入賞コマンドを受信する度にカウントアップされるカウンタである。演出制御用マイコン91は,受信カウンタ値の大小を比較することによって,始動入賞コマンドを受信した順,すなわち始動口に入賞した順序を把握できる。
S4402の後,演出制御用マイコン91は,受信した始動入賞コマンドおよび受信カウンタ値をRAM94に記憶する(S4403)。具体的にS4403では,受信した始動入賞コマンドが,第1始動入賞コマンドであれば,第1特図保留記憶部95aに記憶し,第2始動入賞コマンドであれば,第2特図保留記憶部95bに記憶する。なお,始動入賞コマンドは,各特図保留記憶部において設けられている4つの記憶領域のうち,始動入賞コマンドが記憶されていない記憶領域に記憶される。
S4403の後,あるいは主制御基板80から始動入賞コマンドを受信していない場合(S4401:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始コマンドを受信したか否かを判断する(S4411)。変動開始コマンドは,例えば,特別図柄の変動表示を開始するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80から変動開始コマンドを受信した場合(S4411:YES),演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドの記憶領域をシフトする(S4412)。具体的にS4412では,演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶される各始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い始動入賞コマンド,すなわち最も小さい値の受信カウンタに対応する始動入賞コマンドを記憶していた特図保留記憶部に記憶される各始動入賞コマンドを,現在の記憶領域から読み出しの優先度が高い側の記憶領域に1つシフトするとともに,最後にシフトされたシフト元の記憶領域を初期化する。
4412の後,演出制御用マイコン91は,S4412にてシフトされた始動入賞コマンドを記憶する特図保留記憶部に対応する保留カウンタに1を減算する(S4413)。S4413の後,演出制御用マイコン91は,RAM94に記憶する始動入賞コマンドのうち最も優先度が高い1つの始動入賞コマンドを用いて,演出図柄変動演出等の演出を開始させる変動演出開始処理を実行する(S4414)。S4414の詳細については後述する。
S4414の後,あるいは主制御基板80から変動開始コマンドを受信していない場合(S4411:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からオープニングコマンドを受信したか否かを判断する(S4431)。オープニングコマンドは,大当たり遊技等,特別遊技を開始するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80からオープニングコマンドを受信した場合(S4431:YES),演出制御用マイコン91は,オープニング演出パターンを選択し,オープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4432)。S4432にてセットされたオープニング演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S4432の後,または主制御基板80からオープニングコマンドを受信していない場合(S4431:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からエンディングコマンドを受信したか否かを判断する(S4441)。エンディングコマンドは,例えば,特別遊技を終了するにあたって主制御基板80から出力される。
主制御基板80からエンディングコマンドを受信した場合(S4441:YES),演出制御用マイコン91は,特別遊技のエンディング演出に関するエンディング演出処理を実行する(S4442)。S4442の詳細については後述する。
S4442の後,または主制御基板80からエンディングコマンドを受信していない場合(S4441:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80からラウンドコマンドを受信したか否かを判断する(S4451)。ラウンドコマンドは,大当たり遊技の実行中,各ラウンドのラウンド遊技を実行する際,すなわち大入賞口が開口した際に主制御基板80から出力される。
主制御基板80からラウンドコマンドを受信した場合(S4451:YES),演出制御用マイコン91は,ラウンド番号を報知するメッセージを含む画像を,画像表示装置7に表示させるラウンド報知コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4452)。
S4452の後,または主制御基板80からラウンドコマンドを受信していない場合(S4451:NO),演出制御用マイコン91は,主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信したか否かを判断する(S4461)。客待ち待機コマンドは,例えば,電源オンや,特図保留の数が0になった場合に,主制御基板80から出力される。主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信した場合(S4461:YES),演出制御用マイコン91は,客待ち演出を開始する(S4462)。
具体的にS4462では,演出制御用マイコン91は,客待ち演出に対応したシナリオデータをRAM94のシナリオバッファにセットする。客待ち演出としては,例えば,画像表示装置7によるデモンストレーション画像の表示が該当する。その後,演出制御用マイコン91は,客待ち演出を実行するための客待ち演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする。
なお,セットされた客待ち演出開始コマンドおよびシナリオデータは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。
S4462の後,または主制御基板80から客待ち待機コマンドを受信していない場合(S4461:NO),演出制御用マイコン91は,前述のコマンド以外のコマンドに対応する処理を実行する(S4499)。前述のコマンド以外のコマンドとしては,例えば,各種の異常報知コマンド,余剰球受皿62の満杯報知コマンドが該当する。S4499の後は,受信コマンド解析処理を終了する。
[変動演出開始処理]
次に,図29のS4414の変動演出開始処理について,図30のフローチャートを参照しつつ説明する。
変動演出開始処理では,演出制御用マイコン91は先ず,変動開始コマンドの内容を解析し,変動演出パターンの選択を行う(S4701)。変動開始コマンドには,図20のS1012にて決定された変動パターンの情報が含まれる。つまり,始動入賞コマンドと同様に,大当たりの当否,大当たりの種別,リーチの有無,さらにはSPリーチを行うか否か,の各情報が含まれる。演出制御用マイコン91は,選択された変動演出パターンを,変動演出記憶部96に記憶する(S4702)。
具体的にS4701では,演出制御用マイコン91は,変動演出パターン乱数を取得し,変動パターンの種類に応じて分類される複数のテーブルの中から,変動開始コマンドの解析結果に基づいて1つのテーブルを選択し,そのテーブルを用いて,取得した変動演出パターン乱数を判定することにより,変動演出パターンを選択する。これにより,画像表示装置7によって表示される画像の種類やその表示タイミング,枠ランプ66の点灯の有無やその点灯タイミング,盤可動体15の稼働の有無やその稼働タイミングといった詳細まで含めて変動演出の内容が決定される。つまり変動演出パターンが決まれば,変動演出の時間,演出図柄の変動表示態様,リーチ演出の有無,リーチ演出の内容,演出中のボタン操作の有無,演出の展開構成,演出図柄の組み合わせ,背景の種類等,変動演出の詳細,すなわち演出図柄変動演出を含む変動中の演出のシナリオが決まることになる。
S4702の後,演出制御用マイコン91は,予告演出の選択を行う予告演出選択処理を実行する(S4711)。具体的にS4702では,演出制御用マイコン91は,演出図柄変動演出中の予告演出の実行有無を判定し,予告演出を実行する場合には,予告演出乱数や予告演出種類乱数を取得し,これらの乱数を判定することにより,予告演出を選択する。これにより,連続予告,カットイン予告,ステップアップ予告等,各種の予告演出の内容が決定される。演出制御用マイコン91は,選択された予告演出の情報を,変動演出記憶部96に記憶する(S4712)。
図31は,図30のS4711の予告演出選択処理の手順を示している。予告演出選択処理では,演出制御用マイコン91は,複数種類ある予告演出について,実行の有無を判定する。
例えば,パチンコ遊技機1は,演出図柄変動演出中に,確変大当たりに当選と判定されることを示唆する確変示唆予告が可能である。そのため,演出制御用マイコン91は,確変示唆予告用の乱数を用いて,確変示唆予告の実行の有無を判定する(S4801)。そして,確変示唆予告の実行が選択されたか否かを判断する(S4802)。
確変示唆予告の実行が選択された場合(S4802:YES),演出制御用マイコン91は,現在抽選対象となっている抽選情報が「16R確変大当たり」あるいは「4R確変大当たり」に当選と判定されるか,すなわち確変大当たりに当選と判定されるか否かを判断する(S4803)。
確変大当たりに当選と判定される場合(S4803:YES),演出制御用マイコン91は,確変示唆予告の実行を選択する(S4831)。これにより,演出図柄変動演出中に実行される予告演出に,確変示唆演出が含まれる。S4831の後,他の予告演出の実行の有無を判定し(S4851),予告演出選択処理を終了する。
一方,確変大当たりに当選と判定されなかった場合(S4803:NO),演出制御用マイコン91は,変動中の特図保留が「16R通常大当たり」に当選と判定されるか,すなわち非確変大当たりに当選と判定されるか否かを判断する(S4821)。
非確変大当たりに当選と判定される場合(S4821:YES),演出制御用マイコン91は,変動開始前の特図保留について先読みを行う(S4822)。すなわち,演出制御用マイコン91は,特図保留記憶部95に記憶されている始動入賞コマンドを解析する。そして,演出制御用マイコン91は,変動開始前の特図保留に,大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが有るか否かを判定する(S4823)。
変動開始前の特図保留に,大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが有る場合(S4823:YES),演出制御用マイコン91は,当選予定の大当たりが確変大当たりか否かを判断する(S4824)。そして,当選予定の大当たりが確変大当たりの場合(S4824:YES),演出制御用マイコン91は,確変示唆予告の実行を選択する(S4831)。すなわち,変動中の特図保留が非確変大当たりの場合,本来は確変示唆予告を行わないが,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが有る場合には,チャンス状態が少なくとも2回にわたって継続することから,確変示唆予告を行う。
一方,当選予定の大当たりが確変大当たりでなければ(S4824:NO),高ベース状態が1回継続するものの,それ以上の継続が不確定であるため,演出制御用マイコン91は,確変示唆予告を選択しない。つまり,確変大当たりと示唆しても直ぐに高ベース状態が終了してしまっては,遊技者の印象を悪くする可能性が高い。そのため,当選予定の大当たりが非確変大当たりの場合は,確変大当たりを示唆しない。また,大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが無い場合(S4823:NO),あるいは変動中の特図保留がハズレの場合(S4821:NO)も,演出制御用マイコン91は,確変示唆予告を選択しない。そして,他の予告演出の実行の有無を判定し(S4851),予告演出選択処理を終了する。
図30に戻り,S4712の後,演出制御用マイコン91は,選択された変動演出パターンおよび予告演出を含む変動演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S4751)。セットされた変動演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100等に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。これにより,演出図柄変動演出が開始される。S4751の後,変動演出開始処理を終了する。
[エンディング演出処理]
図32は,図29のS4442のエンディング演出処理の手順を示している。エンディング演出処理では,演出制御用マイコン91は先ず,当選した大当たりが確変大当たりか否かを判断する(S5001)。
確変大当たりの場合(S5001:YES),演出制御用マイコン91は,大当たりの種別を示唆するバトル演出であって,確変大当たりを示唆する,味方キャラクタが敵キャラクタに勝利する勝利演出を開始するためのバトル勝利エンディング演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S5022)。セットされたバトル勝利エンディング演出開始コマンドは,サブ側起動処理のS4006にて画像制御基板100に送信される。画像制御基板100のCPU102は,そのコマンドに対応する演出画像等をROM103から読み出し,画像表示装置7にその画像を表示させる。これにより,味方キャラクタが勝利するバトル勝利演出が開始される。
確変大当たりでない,すなわち非確変大当たりの場合(S5001:NO),演出制御用マイコン91は,変動開始前の特図保留について先読みを行う(S5011)。そして,演出制御用マイコン91は,変動開始前の特図保留に,大当たりに当選すると判定される予定の始動入賞コマンドが有るか否かを判定する(S5012)。
変動開始前の特図保留に,大当たりに当選すると判定される予定の始動入賞コマンドが有る場合(S5012:YES),演出制御用マイコン91は,当選予定の大当たりが確変大当たりか否かを判断する(S5013)。そして,当選予定の大当たりが確変大当たりの場合(S5013:YES),演出制御用マイコン91は,バトル勝利エンディング演出開始コマンドを,RAM94の出力バッファにセットする(S5022)。すなわち,変動中の特図保留が非確変大当たりの場合,本来は味方キャラクタが敗北するバトル敗北演出を行うが,変動開始前の特図保留に,確変大当たりに当選すると判定される予定の始動入賞コマンドが有る場合には,高ベース状態が少なくとも2回にわたって継続することから,味方キャラクタが勝利するバトル勝利演出を行う。
一方,当選予定の大当たりが確変大当たりでなければ(S5013:NO),高ベース状態が1回継続するものの,それ以上の継続が不確定であるため,演出制御用マイコン91は,味方キャラクタが敗北するバトル敗北演出を行う(S5021)。また,大当たりに当選すると判定される予定の始動入賞コマンドが無い場合(S5012:NO)も,演出制御用マイコン91は,味方キャラクタが敗北するバトル敗北演出を行う(S5021)。そして,S5021またはS5022の後,エンディング演出処理を終了する。
8.実施の形態の効果
実施の形態のパチンコ遊技機1は,非確変大当たりに当選した際に,特図保留記憶部95に記憶されている始動入賞コマンドに基づいて,変動開始前の特図保留の先読みを行う。そして,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が無ければ,パチンコ遊技機1は,非確変大当たりを示唆する演出を行う。一方,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有れば,大当たり遊技の実行後に直ぐに大当たりに当選することになり,大当たりに当選し易い高確率状態になった場合と類似した結果になる。そのため,パチンコ遊技機1は,確変大当たりを示唆する演出を行う。これにより,遊技者の印象が良くなることが期待できる。
なお,確変大当たりを示唆する演出および非確変大当たりを示唆する演出は,バトル演出や演出図柄表示演出等,個々の演出を意味するものであってもよいし,それらの演出を組み合わせたシナリオ全体を意味するものであってもよい。例えば,大当たりに当選した場合の抽選結果に対応する演出図柄の変動表示開始から大当たり遊技の終了までの間の一連の演出として,リーチ演出,確変予告演出,確変図柄停止表示,バトル演出,を1つのシナリオとして行う場合,個々の演出を特定演出としてもよいし,そのシナリオ全体を確変大当たりないし非確変大当たりを示唆する演出としてもよい。つまり,個々の演出を特定演出と捉えれば,バトル勝利演出が第1の特定演出の一例であり,バトル敗北演出が第2の特定演出の一例である。シナリオ全体を特定演出と捉えれば,確変示唆演出が含まれるシナリオが第1の特定演出の一例であり,確変示唆演出が含まれないシナリオが第2の特定演出の一例である。
9.実施の形態の変形例
実施の形態では,大当たりの種別を示唆する演出として,大当たり遊技のエンディングの期間中にバトル演出を行い,本願発明をそのバトル演出に適用しているが,例えば,演出図柄変動演出における停止図柄を,大当たりの種別を示唆する演出とする場合に,本願発明をその停止図柄に適用してもよい。
例えば,奇数の数字図柄が確変大当たりを示唆し,偶数の数字図柄が非確変大当たりを示唆するものとする。この場合,図30に示した変動演出開始処理のS4701において,停止図柄を決定する際に,図32に示したエンディング演出処理と同様の手順で,停止図柄となる数字図柄を決定する。
すなわち,演出制御用マイコン91は,S4701において,大当たりに当選しているか否かを判断し,大当たりに当選している場合に,大当たりの種別を判断する。そして,非確変大当たりであった場合には,変動開始前の特図保留の先読みを行い,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有るか否かを判断する。そして,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有れば,非確変大当たりに当選している場合であっても奇数の数字図柄を停止図柄に決定する。一方,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が無ければ,偶数の数字図柄を停止図柄に決定する。なお,図32に示したエンディング演出処理と同様に,変動開始前の特図保留の中に大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が有れば,さらにその大当たりが確変大当たりであれば,確変大当たりの数字図柄とし,非確変大当たりであれば,非確変大当たりの数字図柄としてもよい。
上述の構成であっても,非確変大当たりを示唆する代わりに,確変大当たりを示唆する機会が増える。そのため,遊技者には遊技者に有利な状態が継続する印象を与えることができ,遊技者の印象が良くなることが期待できる。
10.実施の形態のその他の変形例
本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態に記載された数値(抽選回数,各種テーブルの設定値,各種の保留数の上限等)は例示であって,適宜選択すればよい。特に通常確率状態の当選確率が高いスペック(例えば,通常確率状態での大当たりの当選確率が1%以上)の遊技機では,大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が発生する可能性が高く,本発明が好適に作用する。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,第1始動口20に入賞した遊技球を第1分岐通路71と第2分岐通路72とに交互に振り分け,第1特図保留と第2特図保留とが交互に記憶される構成であるが,これに限るものではない。例えば,第1始動口20に入賞した遊技球を,第1分岐通路71にのみ流入させ,第1特図保留のみが記憶される構成,すなわち,第1始動口20への入賞を契機に第1特図保留が記憶され,第2始動口21への入賞を契機に第2特図保留が記憶される構成であってもよい。なお,実施の形態のパチンコ遊技機1のように第1始動口20に入賞した遊技球が交互に記憶されて最大8個の特図保留が記憶される構成の場合,大当たりに当選すると判定される予定の特図保留が発生する可能性が高く,本発明が好適に作用する。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,遊技者に有利な第1の状態を,高確率状態かつ次の大当たりに当選するまで時短状態とし,遊技者に不利な第2の状態を,通常確率状態かつ回数制限有りの時短状態としているが,遊技状態の組み合わせはこれに限るものではない。例えば,第1の状態を,高確率状態かつ回数制限有りの時短状態としてもよい。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,非確変大当たりの当選を示唆する非確変示唆予告を用意し,確変示唆演出と組み合わせてもよい。この場合,例えば,予告演出選択処理において,変動開始前の特図保留に確変大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが無い場合(S4824:NO),非確変示唆予告の実行を選択するとよい。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,エンディング演出として,味方キャラクタが敵キャラクタに勝利するか否かによって,当選した大当たりが確変大当たりか非確変大当たりかを示唆するバトル演出を行っているが,確変大当たりに当選したことを示唆する特定演出のみを用意し,非確変大当たりに当選したことを示唆する演出を用意しなくてもよい。この場合,エンディング演出処理において,確変大当たりであった場合(S5001:YES)あるいは確変大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが有る場合(S5013:YES),上述の特定演出を実行し,それ以外の場合,上述の特定演出を実行しないとしてもよい。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,予告演出選択処理において,先読みを行った後,当選予定の大当たりの種別が確変大当たりの場合に(S4824:YES),確変示唆予告を選択しているが,S4824の判断はなくてもよい。すなわち,当選予定の大当たりがあれば(S4823:YES),当選予定の大当たりの種別に拘らず,S4831に移行して確変示唆予告を選択してもよい。エンディング演出処理でも同様に,当選予定の大当たりがあれば(S5012:YES),S5013の判断を行わず,S5022に移行してバトル勝利エンディング演出開始コマンドをセットしてもよい。確変当たりを示唆する機会を増やすことで,遊技者の印象が良くなる可能性が高い。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,エンディング演出中にバトル演出を行っているが,バトル演出はエンディング演出中に限るものではない。例えば,オープニング期間中に行ってもよいし,ラウンド払い出し期間中に行ってもよい。ただし,エンディング期間に先読みを行い,始動入賞コマンドの判断を遅らせることで,より多くの始動入賞コマンドを用いて大当たりが連続するか否かを判断でき,確変当たりを示唆する機会が増え,遊技者の印象が良くなり易い。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,バトル演出の開始時に,変動開始前の特図保留について先読みを行っているが,先読みを行うタイミングは,これに限るものではない。例えば,バトル演出の開始前に事前に先読みを行ってその結果を記憶しておき,バトル演出ではその結果を読み出してバトル勝利演出とするかバトル敗北演出とするかを決定してもよい。より具体的にパチンコ遊技機1は,オープニング期間やラウンド払い出し期間中に先読みを行い,エンディング演出の開始時に,その先読み結果に応じて,バトル勝利エンディング演出と,バトル敗北エンディング演出と,を振り分けてもよい。
また,実施の形態のパチンコ遊技機1は,大当たりに当選した後,バトル勝利演出によって,確変大当たりの当選を示唆しているが,確変大当たりの当選を示唆する演出はバトル勝利演出に限るものではない。例えば,確変大当たりに当選した場合の,大当たり遊技後の高確率状態の動作モードを第1のモードとし,非確変大当たりに当選した場合の,大当たり遊技後の通常確率状態の動作モードを第2のモードとした場合,第1のモードへの移行を示唆する演出を,確変大当たりの当選を示唆する演出としてもよい。この場合,非確変大当たりに当選した場合,通常,第2のモードへの移行を示唆する演出を行う,あるいは第1のモードへの移行を示唆する演出を行わない,ことになるが,変動開始前の特図保留に確変大当たりに当選すると判定される予定のコマンドが有れば,第1のモードへの移行を示唆する演出を行えばよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,主として主制御基板80の遊技制御用マイコン81のCPU82,サブ制御基板90の演出制御用マイコン91のCPU92,および画像制御用マイコン101のCPU102によって実行されるが,例えば,単一の制御基板による単一あるいは複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101の少なくとも1つにおいて複数のCPUによって実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101に加え,他のハードウェアとの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理のうち,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,あるいは画像制御用マイコン101の処理の一部を,他のマイコンが実行してもよい。つまり,遊技制御用マイコン81,演出制御用マイコン91,画像制御用マイコン101,これらを包含した1つのマイコン,他のハードウェアと組み合わせ,これらすべて遊技制御手段や演出制御手段の一例である。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。
なお,以下に記す手段の説明では,[発明を実施するための形態]における対応する構成名や表現,図面に使用した符号等を参考のためにかっこ書きで付記している。但し,本発明の構成要素はこの付記に限定されるものではない。
本明細書に開示される遊技機は,遊技球が転動可能な遊技領域(3)を有する遊技盤(2)と,前記遊技領域内に位置する入球口(第1始動口20,第2始動口21)と,演出を行う演出装置(画像表示装置7,スピーカ67)と,記憶手段(RAM94)と,遊技制御手段(主制御基板80)と,演出制御手段(サブ制御基板90)と,を備え,前記遊技制御手段は,遊技球の前記入球口への入球に応じて抽選情報を取得する取得処理(S214,S224)と,前記取得処理にて取得した抽選情報に対する所定の消化条件を満たしたことに応じて,前記消化条件を満たした抽選情報に基づく大当たりの抽選を行う抽選処理(S1102)と,前記抽選処理にて大当たりに当選したことに応じて,所定の期間中,特別遊技を行う特別遊技処理(S1624,S932)と,前記取得処理にて取得した抽選情報に基づくコマンドを,その抽選情報に対する前記消化条件を満たす前に,前記演出制御手段に出力する事前コマンド出力処理(S215,S225)と,を実行し,
前記抽選処理での大当たりの種別には,第1の大当たり(確変大当たり)と第2の大当たり(非確変大当たり)とがあり,前記第1の大当たりに当選した場合には,前記特別遊技の後に,遊技状態を第1の状態とし(S2052,S2054),前記第2の大当たりに当選した場合には,前記特別遊技の後に,遊技状態を前記第1の状態よりも遊技者に不利な第2の状態とし(S2061),前記演出制御手段は,前記事前コマンド出力処理にて出力されたコマンドに基づく情報である保留抽選情報を,前記記憶手段に保持する保持処理(S4402)を実行し,前記抽選処理にて大当たりに当選した際に前記演出装置に抽選結果に対応する演出図柄を表示させる期間または前記特別遊技を行っている前記所定の期間に,前記第1の大当たりを示唆する第1の特定演出と,前記第2の大当たりを示唆する第2の特定演出と,を前記演出装置に行わせることが可能であり,前記第2の大当たりに当選している場合に,前記記憶手段に保持される保留抽選情報のうち前記消化条件を満たしていない保留抽選情報に,大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有るか否かを判断し(S5012),大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有ると判断された場合,前記演出装置に前記第1の特定演出を行わせ(S5022),大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有ると判断されなかった場合,前記演出装置に前記第2の特定演出を行わせる(S5021),ことを特徴としている。
本明細書に開示される遊技機は,第2の大当たりに当選している場合に,保留抽選情報の先読みを行う。そして,保留抽選情報の中に大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が無ければ,遊技機は,第2の大当たりを示唆する第2の特定演出を行う。一方,保留抽選情報の中に大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有れば,特別遊技の実行後に直ぐに大当たりに当選することになり,大当たりに当選し易い第1の状態になった場合と類似した結果になるため,遊技機は,第1の大当たりを示唆する第1の特定演出を行う。これにより,遊技者の印象が良くなることが期待できる。なお,上述の第1の特定演出および第2の特定演出は,バトル演出や演出図柄表示演出等,個々の演出を意味するものであってもよいし,それらの演出を組み合わせたシナリオ全体を意味するものであってもよい。例えば,抽選結果に対応する演出図柄の変動表示開始から大当たり遊技の終了までの間の一連の演出として,リーチ演出,確変予告演出,確変図柄停止表示,バトル勝利演出,を1つのシナリオとして行う場合,個々の演出を特定演出としてもよいし,そのシナリオ全体を特定演出としてもよい。
また,前記特別遊技を行っている前記所定の期間は,オープニング期間,払い出しラウンド期間,エンディング期間,の順で構成され,前記演出制御手段は,前記抽選処理にて前記第2の大当たりに当選した場合,大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有るか否かの判断を,前記払い出しラウンド期間以降に行う(S5012)とよい。保留抽選情報の判断を遅らせることで,より多くの保留抽選情報を用いて大当たりが連続するか否かを判断できる。その結果として,第1の特定演出の実行機会が増え,遊技者の印象が良くなり易い。特に前記エンディング期間に行うと,より効果が高い。
また,前記第1の特定演出は,特定の課題に成功する演出であり,前記第2の特定演出は,前記特定の課題に失敗する演出であるとよい。この構成によれば,第2の大当たりに当選したことを遊技者が認識し易い。
また,前記第1の状態は,前記抽選処理での大当たりの当選確率を大当たりに当選し易いように変更した確変状態(高確率状態)であり,前記第2の状態は,前記抽選処理での大当たりの当選確率を変更しない非確変状態(通常確率状態)であるとよい。大当たりに当選し易い確率に変更することで,早期に大当たりを引く可能性が高まり,遊技者に有利になる。
また,前記演出制御手段は,前記第2の大当たりに当選している場合に,前記記憶手段に保持される保留抽選情報のうち前記消化条件を満たしていない保留抽選情報に,前記第1の大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有るか否かを判断し(S5013),前記第1の大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有ると判断された場合に,前記演出装置に前記第1の特定演出を行わせ,前記第1の大当たりに当選すると判定される予定の抽選情報に対応する保留抽選情報が有ると判断されなかった場合,前記演出装置に前記第2の特定演出を行わせるとよい。大当たりが連続しても,後の大当たりが第2の大当たりの場合,遊技者が落胆して印象を悪くしてしまう可能性がある。そのため,第1の大当たりが有る場合に,第1の特定演出を行う方が好ましい。
なお,上記遊技機の機能を実現するための制御方法,コンピュータプログラム,および当該コンピュータプログラムを格納する,コンピュータによる読取可能な記憶媒体も,新規で有用である。