以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る遊技機は、賞球の払い出しを受ける機会が増加する大当たり遊技へ移行するか否かの大当たり抽選を行う大当たり抽選手段と、遊技球が転動するとともに、前記遊技球の通過がそれぞれ前記大当たり抽選手段による抽選の契機となる複数の特定領域が設けられた遊技領域を有する遊技盤と、遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記大当たり抽選手段による複数回の大当たり抽選の結果に応じて遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理と、を含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段と、を備え、前記複数の特定領域は、前記選択手段の操作により前記損失補填モードとなった場合に、遊技球の通過を契機として前記徴収処理及び補填処理を実行させる損失補填始動領域を兼用する第1の特定領域と、損失補填始動領域を兼用しない第2の特定領域とからなることを特徴とする遊技機とした。
すなわち、本実施形態におけるパチンコ遊技機は、遊技盤の遊技領域に複数の特定領域を有する入賞口(所謂、始動口)を備えており、この複数の特定領域を備えた入賞口に遊技球が入球したことを契機として、遊技者にとって極めて有利な遊技状態である大当たり遊技への移行抽選を実行する大当たり抽選手段を備えている。
そして、大当たり遊技に当選すると、同じく遊技領域に備えられた大当たり遊技の実行時だけに用いられる特別入賞口(以下、大入賞口という)を遊技領域に広く開放して、遊技領域を流下した遊技球の入球を容易とすることにより、遊技者に短時間で所定数の出玉(賞球)を獲得させる構成としている。つまり、当該パチンコ遊技機における遊技者にとっては、大当たり遊技へ当選することが最大の遊技目的といえる。
また、本実施形態におけるパチンコ遊技機は、前述した大当たり遊技の実行時以外は、遊技者が所有する遊技球を確実に消費してゆくものである。つまり、遊技者が当該パチンコ遊技機において勝利するためには、大当たり遊技への当選が必須となる。ところが、前記大当たり抽選手段による大当たり遊技の当選確率は、一般に、大当たり遊技の実行時に遊技者が獲得できる賞球数に応じて設定されているもので、例えば、当選確率が(1/200)の場合は、平均すると、前述した特定領域を有する入賞口(以下、始動口という)に遊技球が200回入賞した場合に、1回の大当たり遊技が発生することとなる。
しかし、この当選確率(つまり、1/200)は、あくまで平均確率であるので、遊技者によっては当選確率に見合った始動口への入賞回数(つまり、200回)の2倍、3倍の入賞回数があっても大当たり遊技へ当選しない、所謂「ハマリ」と呼ばれる遊技状況が発生する場合もある。一方、遊技を開始してから始動口に数回遊技球が入球しただけで、大当たり遊技の当選を獲得できる場合もある。この場合、いくら乱数等を用いた公平な抽選処理の結果であっても、「ハマリ」状態の遊技者が、パチンコ遊技機に対する不公平感や不信感を抱くことを防げない。
そこで、本実施形態においては、遊技者の所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記大当たり抽選手段による複数回の大当たり抽選の結果に応じて、遊技者が損失した遊技球を補填する処理とを含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段と、損失補填モードにするか否かを遊技者により選択可能な選択手段を備えた構成としている。
つまり、遊技者が選択手段を用いて、損失補填モードを選択した場合には、損失補填制御手段は、徴収処理において遊技者の所有する遊技球の一部を蓄えるとともに、その後、大当たり遊技の抽選回数が所定回数に達した場合、例えば、当選確率の3倍(つまり、600回)に亘って大当たり遊技に当選しなかった場合、すなわち、前述した「ハマリ」状態にある場合には、所定数の遊技球を遊技者に還元する補填処理を実行する機能を備えている。すなわち、本実施形態に係る遊技機の損失補填モードは、あたかも損害保険や生命保険などのような保険として機能するのである。
なお、上述した徴収処理において遊技者の所有する遊技球の一部を蓄える場合に、「ハマリ」状態の遊技者から過剰に遊技球を徴収すると、遊技者の当該パチンコ遊技機における遊技意欲を失わせることに繋がりかねないため、所定数(例えば、30個)の遊技球の徴収上限とするとともに、補填処理において所定数の遊技球を遊技者に還元する場合には、大当たり遊技の一回分(例えば、1500個)の遊技球を、遊技者に一括して還元するようにすることが望ましい。すなわち、上述した徴収処理及び補填処理とすることで、「ハマリ」状態の遊技者にとっても納得のいく損失補填とすることができる。
そして、本実施形態における損失補填制御手段は、遊技者が選択手段を用いて、損失補填モードを選択した場合でも、大当たり遊技の抽選回数が所定回数に達する前に、大当たり遊技に当選した場合に損失補填モードを終了、すなわち、リセットすることとしている。つまり、大当たり遊技への当選を契機として、損失補填モードを終了させるので、遊技者は大当たり遊技の実行により充分な数の賞球を獲得できるため、損失補填モードを終了させたとしても遊技者に不公平感を与えることがなく、また、抽選回数が所定回数に達した場合は、遊技者が損失した遊技球の補填処理が実行されるので、「ハマリ」状態の遊技者の不満をも同時に解消できるパチンコ遊技機を提供することが可能となる。
なお、前記選択手段としては、専用の操作ボタン等で構成された専用の操作部を、当該パチンコ遊技機の遊技者が操作し易い位置に配設して、さらに、遊技者が操作部を操作して損失補填モードを選択(設定)した場合には、現在の遊技状況が損失補填モードであることを、パチンコ遊技機の表示手段である液晶表示装置等を用いて遊技者に解り易く表示するとともに、その表示方法としては、遊技者が損失した遊技球の補填処理が実行されるまでの、大当たり遊技の抽選回数等もカウントダウン方式で表示することが望ましい。
上述してきた構成のパチンコ遊技機において、遊技領域に設けられた複数の特定領域は、前記選択手段の操作により前記損失補填モードとなった場合に、遊技球の通過を契機として前記徴収処理及び補填処理を実行させる損失補填始動領域を兼用する第1の特定領域(以下、第1始動口という)と、損失補填始動領域を兼用しない第2の特定領域(以下、第2始動口という)とから構成されている。
すなわち、本実施形態においては、遊技者が選択手段を用いて損失補填モードを選択した場合に、自動的に徴収処理及び補填処理を含む損失補填モードが始動させるのではなく、損失補填始動領域を兼用する第1始動口への遊技球の入賞又は通過を契機として、遊技者が選択した損失補填モードを始動させるのである。
これにより、損失補填モードを設定した遊技者は、損失補填モードを始動させるために、第1始動口への遊技球の入賞又は通過を狙って遊技を行なうという、新しい遊技性を付加したパチンコ遊技機とすることができる。
また、前記第1の特定領域(第1始動口)には、開閉自在の可動部材が設けられている。すなわち、本実施形態においては、遊技者が操作手段を操作して損失補填モードを設定しても、第1始動口に遊技球が入賞しないと折角設定した損失補填モードが始動しない。そのため、第1始動口に遊技球の入賞をサポートする可動部材を付設して、所定の条件を満たした場合に、可動部材を開放状態にすることで、第1始動口への遊技球の入賞を容易とするのである。
これにより、遊技者が設定した損失補填モードを始動させ易いようにするとともに、遊技者は第1始動口に付設された可動部材を開放するために、所定の条件を満たすことを目標として遊技を行うという新たな遊技目的を付加することができる。
なお、第1始動口に付設された可動部材を開放するための所定の条件とは、例えば、遊技領域に設けられた特別領域を遊技球が通過したことを契機として、所定の抽選確率で可動部材の開放抽選を行ない、開放抽選に当選した場合に、可動部材を所定時間遊技球が入球し易いように開放動作させる構成にするとよい。
また、前記第1の特定領域(第1始動口)は、前記第2の特定領域(第2始動口)と比較して、前記大当たり抽選手段による大当たり遊技への当選確率が低く設定されている。
すなわち、上述したように、第1始動口には開放状態にすることで、第1始動口への遊技球の入賞を容易とする可動部材が付設されている。そのため、第2始動口と比較すると相対的に遊技球の入賞率は第1始動口の方が高くなる。そこで、前述した大当たり抽選手段のよる大当たり遊技の当選確率を、第1始動口への遊技球の入球を契機とした当選確率と、第2始動口への遊技球の入球を契機とした当選確率とでは、第1始動口による大当たり遊技の当選確率を低く設定するのである。
そのため、第1始動口への遊技球の入球を契機とした第1の抽選手段と第2始動口への遊技球の入球を契機とした第2の抽選手段との、それぞれの始動口に対応した専用の抽選手段を備える構成として、第1の抽選手段による大当たり遊技への当選確率を、第2の抽選手段による大当たり遊技への当選確率よりも相対的に低く設定して、それぞれの始動口に対応した別々の抽選手段により大当たり遊技の抽選処理を実行するようにしている。
これにより、本実施形態における複数の始動口(第1始動口及び第2始動口)において、片方の始動口は、遊技球の入球をサポートする可動部材が付設されているが大当たり遊技への当選確率が低く、他方の始動口は、遊技球の入球をサポートする可動部材は付設されていないものの大当たり遊技への当選確率が高いという、いずれの始動口に遊技球が入賞した場合でも一長一短のある、遊技者にとって、一概にどちらの始動口が有利であるとは言えない公平な複数の始動口を備えたパチンコ遊技機とすることができる。
また、遊技者にとって公平な複数の始動口にする方法としては、上述したように大当たり遊技への当選確率を異ならせるだけではなく、例えば、遊技球の入球をサポートする可動部材が付設された始動口は、遊技者にとって有利度合いの低い大当たり遊技を当選させ、遊技球の入球をサポートする可動部材が付設されていない始動口は、遊技者にとって有利度合いの高い大当たり遊技を当選させるなどの方法を用いることもできる。
なお、上述した遊技者に対する有利度合いの高い大当たり遊技とは、例えば、大当たり遊技の実行期間が長期間、又は、当該大当たり遊技の終了後に大当たり遊技への抽選確率が高確率に設定(所謂、確率変動)される大当たり遊技に該当し、他方、遊技者に対する有利度合いの低い大当たり遊技とは、大当たり遊技の実行期間が短期間、又は、当該大当たり遊技の終了後に確率変動が設定されない大当たり遊技に該当するものである。
上述してきた構成のパチンコ遊技機によれば、遊技者自身により損失補填モードを実行させるか否かを選択手段により選択可能とし、さらに、遊技者が損失補填モードを設定した後に、損失補填始動領域を兼用する第1始動口(第1の特定領域)へ遊技球が入球(又は通過)したことを契機として、損失補填モードが始動され、損失補填制御手段により、遊技球の徴収処理と、遊技者の遊技中における損失を補填する補填処理とを含む損失補填モードが始動されるものである。
さらに、本実施形態においては、大当たり遊技への当選の契機となる複数の始動口(第1始動口、第2始動口)を遊技領域に配設して、片方の第1始動口は、損失補填始動領域を兼用するとともに、遊技球の入球をサポートする可動部材を付設して、所定の条件を満たした場合に可動部材を開放することで遊技球の入球率を高くしている。他方、第2始動口には、遊技球の入球をサポートする可動部材は付設されていないが、第1始動口と比較して、相対的に大当たり遊技への当選確率を高くしている。
このように、損失補填始動領域を兼用する第1始動口には、遊技球の入球をサポートする可動部材を付設して遊技球の入球率を高くして、第2始動口には遊技球の入球をサポートする可動部材が付設されていないが、大当たり遊技の抽選確率を高くすることにより、損失補填モードを始動させるための新たな遊技性を付加することが可能となり、なおかつ、第1始動口と第2始動口とによる大当たり遊技の発生にそれぞれ特徴を持たせるとともに、遊技者にとっての有利度合いが偏らないように一長一短を設けた公平な複数の始動口を備えた、より多くの遊技者に受けいれられやすい遊技機とすることが可能となる。
また、可動部材はソレノイドなどの作動手段を用いて変動させることができ、本実施形態における前述した各手段としては、例えば、CPUからなる中央演算処理装置と、ROMやRAMなどからなる記憶装置と、その他必要に応じて設定される回路などを備えた制御回路を構成し、前記ROMに記憶されたプログラムに基づいて、大当たり抽選手段、選択手段、損失補填制御手段等の機能を実行することが望ましい。
以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、以下では遊技機をパチンコ遊技機としている。
[遊技機の構成]
遊技機について、図1〜図4を用いて説明する。図1は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の概観を示す斜視図、図2は同パチンコ遊技機10の概観を示す分解斜視図、図3は本実施形態におけるパチンコ遊技機10の概観を示す正面図である。また、図4は電飾ユニット53の説明図である。
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機10は、前面に開口12aが形成された本体枠12と、その本体枠12における開口12aの内部に配設される各種の部品と、本体枠12の前方に開閉自在に軸着された前面扉11とから構成されている。そして、前面扉11の上部略半分は、開閉自在に軸着された扉11aが設けられている。そして、図1に示すように、通常の遊技状態では、前面扉11は開口12aを前面から閉鎖し、扉11aも閉鎖された状態で遊技が行われる。また、前面扉11の下方前面には、上皿20、下皿22、発射ハンドル26等が配設されている。
また、上皿20の上面右側の遊技者が操作し易い位置には、操作パネル27が配設されている。この操作パネル27は、詳細は後述するが、本実施形態における遊技者による損失補填モード、すなわち保険機能の作動を設定(図16参照)するものである。
本体枠12の開口12a内部には、画像を表示する表示手段としての液晶表示装置32と遊技盤14とスペーサ31等が配設されている。なお、遊技盤14、スペーサ31、液晶表示装置32以外の各種の部品(図示せず)については、理解を容易にするために説明を省略する。
本実施形態に係る遊技盤14は、その全部が透光性を有する板形状の樹脂(透光性を有する部材)によって形成されている。この透光性を有する部材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂など各種の材質が該当する。また、遊技盤14は、その正面(前面)側に、発射された遊技球が転動する遊技領域15を有している。この遊技領域15はガイドレール30に囲まれ、遊技球が転動可能な領域であり、ガイドレール30の外側には遊技領域外域16が形成されている。なお、遊技領域15には図2に示すように、複数の遊技釘13が打ちこまれている。なお、本実施形態では、遊技釘13は各種の遊技部材の一つに含まれるものとしている。また、図2においては複数の遊技釘13を一部省略して示している。
遊技に関する演出画像を表示する表示手段の一例である液晶表示装置32は、前記スペーサ31を挟んで遊技盤14の背後に設けられている。なお、本実施形態では、遊技盤14の全部が透光性を有する材料で形成されているが、透光性を有する材料が遊技盤14の一部に用いられていてもよく、その場合、液晶表示装置32は遊技盤14の透光性を有する部材の背後に配置されることになる。
そして、この液晶表示装置32は、液晶ディスプレイパネル等で構成され、遊技に関する画像の表示を可能とする表示領域32aを有しており、この表示領域32aは、スペーサ31及び遊技領域15の全部又は一部、あるいは遊技領域外域16の全部又は一部を透して遊技者側から視認可能となっている。なお、表示領域32aに表示される遊技に関する画像とは、演出用の演出画像、装飾用の装飾画像等の各種の画像を指す。
スペーサ31は、これも前述の透光性を有する部材で形成されているが、前記液晶表示装置32の視認性を向上させるために、少なくとも遊技盤14の遊技領域15に相当する大きさの孔部31aを形成している。
このように、本実施形態においては、遊技盤14における透光性領域の背後に液晶表示装置32などの表示手段を設けており、例えば、遊技釘13の植設領域や役物、装飾部材といった遊技部材を設ける領域を大きくできるため、レイアウトの自由度も更に大きくすることが可能となっている。
遊技盤14の外側となる扉11aの所定位置には、発光表示手段としての装飾ランプ133a,133bが配設されており、遊技状態に合わせた所定の発光態様の表示を行う。
また、この扉11aには、ガラス板などからなる透光性を有する保護板19が取付けられている。この保護板19は、扉11aが閉鎖された状態で遊技盤14の前面に対面するように配設されている。また、保護板19の上方位置には、スピーカ46R,46Lが左右に配設されている。
発射ハンドル26は本体枠12に対して回動自在に設けられている。また、発射ハンドル26の裏側には、駆動装置である発射ソレノイド(図示せず)が設けられている。さらに、発射ハンドル26の周縁部には、タッチセンサ(図示せず)が設けられている。このタッチセンサが遊技者により触接されたときには、遊技者により発射ハンドル26が握持されたと検知される。発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射ソレノイドに電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が遊技盤14に順次発射され、遊技が進められる。
次に、図3及び図4を参照しながら、パチンコ遊技機10の構成についてさらに詳細に説明する。なお、図3を用いたパチンコ遊技機10の概観の以下の説明では、図1及び図2を用いた説明と重複する部分を省略することがある。なお、図3においては遊技釘13を省略している。
図3に示すように、遊技盤14には、2つのガイドレール30(30a及び30b)、第1遊技部材57、第2遊技部材55、通過ゲート54、羽根部材23(つまり、可動部材)が付設された第1始動口24、第2始動口25、開閉自在のシャッタ40を備えた大入賞口39、一般入賞口56a,56b,56c,56d及びアウト口38が設けられている。
遊技盤14の左側に設けられている2つのガイドレール30は、遊技領域15を区画(画定)する外レール30aと、その外レール30aの内側に配設された内レール30bとから構成される。発射された遊技球は、遊技盤14上に設けられたガイドレール30に案内されて、遊技領域15の上部に移動し、複数の遊技釘13(図2参照)、遊技領域15の上部に設けられた第1遊技部材57等との衝突により、その進行方向を変えながら遊技領域15の下方に向かって流下する。そして、遊技領域15に設けられた各種入賞口(第1始動口24、第2始動口25、大入賞口39、一般入賞口56a〜56d等)に入賞しなかった遊技球は、遊技領域15の下端中央に設けられたアウト口38で回収されて遊技盤14の外部に排出される。
遊技領域15の最上部に設けられた第1遊技部材57は、左右端が中央付近よりも下方に位置する傘状に形成されているのに対し、その下部に設けられた第2遊技部材55は左右端が中央付近よりも僅かに上方に位置して湾曲形成されたステージ状に構成されており、遊技領域15を転動した遊技球の一部は、この第2遊技部材55に一旦受け止められて、第2遊技部材55の中央部に凹状に形成された案内溝55a(図18参照)を通過して、第2遊技部材55の下方に設けられた第2始動口25に向かって流下するようになっている。
第2始動口25は、遊技領域15の略中央に設けられた第2遊技部材55の下部に設けられている。そして、ソレノイドなどで駆動する可動部材(以下、本明細書では可変部材という場合もある)としての羽根部材23が付設された第1始動口24は、第2始動口25の直下で、かつ大入賞口39の上方に設けられている。なお、本実施形態においては、第1始動口24と第2始動口25は、大当たり遊技の抽選の契機となる複数の特定領域がそれぞれ設けられたものである。さらに、第1始動口24に設けられた特定領域は、詳細は後述するが、本実施形態における損失補填モードの始動契機となる損失補填始動領域としての機能も兼用することになる。
そして、遊技領域15に設置された第2遊技部材55や遊技釘13との衝突しながら転動した遊技球がこの第1始動口24又は第2始動口25へ入賞すると、後述する特別図柄ゲーム及び大当たり抽選が開始される。すなわち、第1始動口24及び第2始動口25は、特別図柄ゲーム及び大当たり抽選手段の契機となる複数の特定領域を備えた入賞口である。また、図示するように、第1始動口24は第2始動口25の直下に遊技球が通過するのに充分な距離を置いて設けられており、第2始動口25に入球しなかった遊技球や、第1始動口24の両側から流下してきた遊技球を入賞可能な構成としている。
また、第1始動口24の下部に設けられた大入賞口39には、その前面側(前方)に開閉自在なシャッタ40が設けられている。このシャッタ40は、後に詳述する第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34(図4)において特別図柄として特定の数字図柄がそれぞれ停止表示され、停止表示態様が、遊技状態が特別遊技である大当たり遊技に移行されることを示す態様であった場合に、遊技球を受け入れやすい開放状態となるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れやすい開放状態となる。
一方、シャッタ40の背面側(後方)に設けられた大入賞口39の内部には、カウントセンサ104(図5参照)が設けられ、遊技球を所定個数(例えば10個)検知するか、又は、所定時間(例えば30秒)が経過するまでシャッタ40が開放状態に駆動される。そして、開放状態において大入賞口39への所定数の遊技球の入賞又は所定時間の経過のいずれかの条件が成立すると、シャッタ40は閉鎖状態になるように駆動される。その結果、大入賞口39は、遊技球を受け入れ難い閉鎖状態となる。
なお、大入賞口39が遊技球を受け入れやすい状態となっている開放状態から大入賞口39が遊技球を受け入れ難い状態となっている閉鎖状態までの遊技をラウンドゲームと呼び、シャッタ40は、ラウンドゲーム時に開放し、各ラウンドゲーム間では閉鎖することになる。本実施形態では、このラウンドゲームを実行する遊技を大当たり遊技という。また、ラウンドゲームは、“1”ラウンド、“2”ラウンド等のラウンド数として計数されるため、大当たり遊技における1回目のラウンドゲームを第1ラウンド、2回目を第2ラウンドと呼称する場合がある。
続いて、開放状態から閉鎖状態に駆動されたシャッタ40は、所定時間(例えば、1秒)経過後に再度開放状態に駆動される。なお、第1ラウンドのラウンドゲームから、次のラウンドゲームに継続して進むことができない(最終の)ラウンドゲームが終了するまで継続した遊技状態を大当たり遊技状態という。大当たり遊技状態は、多数の賞球を獲得可能であることから、遊技者にとって極めて有利な遊技状態である。
また、前述した第1始動口24、第2始動口25、一般入賞口56a〜56d、大入賞口39に遊技球が入賞又は通過したときには、それぞれの入賞口の種類に応じて予め設定されている数の遊技球が遊技球貯留部である上皿20又は下皿22に賞球として払い出される。
また、扉11aの下端部近傍には電飾ユニット53が設けられている。本実施形態に係る電飾ユニット53は、図4に示すように、その中央に配置された表示器ケース37に、第1始動口24に対応した第1特別図柄表示器33と第2始動口25に対応した第2特別図柄表示器34とを収容している。この第1特別図柄表示器33及び第2特別図柄表示器34は、7セグメントLEDで構成されており、この7セグメントLEDは、第1始動口24又は第2始動口25に遊技球が入賞した場合に、それぞれ対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34の7セグメントLEDが点灯・消灯することによって、“0”から“9”までの10個の数字図柄が、特別図柄として変動表示される。以上のように、特別図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって遊技状態が異なってくるゲームを、本実施形態では「特別図柄ゲーム」という。
表示器ケース37の左右両側には、この表示器ケース37を挟んで第1始動口24に対応した第1特別図柄保留ランプ33a〜33dと第2始動口25に対応した第2特別図柄保留ランプ34a〜34dが設けられている。この第1特別図柄保留ランプ33a〜33dは、第1特別図柄表示器33において、既に特別図柄の変動表示中に遊技球が第1始動口24へ入賞した場合に、変動表示中の特別図柄が停止表示されるまで、第1始動口24への遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動表示の実行を保留する回数(所謂、「特別図柄の保留球数」)を点灯によって表示するものである。そして、変動表示していた特別図柄が停止表示されると、保留されていた特別図柄の変動表示が開始される。
また、第1特別図柄保留ランプ33a〜33dと同様に、第2特別図柄保留ランプ34a〜34dは、第2特別図柄表示器34において、既に特別図柄の変動表示中に遊技球が第2始動口25へ入賞した場合に、変動表示中の特別図柄が停止表示されるまで、第2始動口25への遊技球の入賞に基づく特別図柄の変動表示の実行を保留する回数(所謂、「特別図柄の保留球数」)を点灯によって表示するものである。そして、変動表示していた特別図柄が停止表示されると、保留されていた特別図柄の変動表示が開始される。
具体的に説明すると、第1特別図柄保留ランプ33a〜33d及び第2特別図柄保留ランプ34a〜34dは、特別図柄の変動表示の実行が保留された回数に対応して左から順番に点灯され、特別図柄の変動表示が一旦停止表示され、次の保留されていた特別図柄の変動表示が開始されると、それに対応した特別図柄保留ランプは消灯される。なお、特別図柄の変動表示の実行が保留される回数には上限が設定されており、第1始動口24への遊技球の入賞に対して4回(個)、そして、第2始動口25への遊技球の入賞に対して4回(個)、つまり、本実施形態においては最大8回(個)を上限として特別図柄の変動表示は保留されることになる。
また、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、前述した第1始動口24及び第2始動口25に遊技球が入賞した場合には、特別図柄の変動表示の開始にあわせて、例えば数字などを含む演出用の装飾図柄の変動表示が開始される。また、特別図柄に関する変動表示中に遊技球が第1始動口24及び第2始動口25へ入賞した場合には、変動表示中の演出用の装飾図柄が停止表示されるまで、第1始動口24及び第2始動口25への遊技球の入賞に基づく演出用の装飾図柄の変動表示の実行(開始)は保留される。その後、変動表示していた演出用の装飾図柄が停止表示された場合には、保留されていた演出用の装飾図柄の変動表示が開始される。つまり、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて行われる演出用の装飾図柄の変動表示と、特別図柄の変動表示とは同期しており、その変動開始及び変動停止は同じタイミングで行なわれることとなる。
すなわち、本実施形態では、前記特別図柄及び装飾図柄は、共に識別情報として機能するものであり、特別図柄の変動表示から停止表示までを単位ゲームとした前記特別図柄ゲームと、特別図柄と同期して行われる装飾図柄の変動表示から停止表示までを単位ゲームとした可変表示ゲームが同時に実行される構成としている。そして、この可変表示ゲームを行う遊技を通常遊技と呼ぶ。
また、遊技領域15の略中央の左側に設けられた通過ゲート54(図3参照)を遊技球が通過すると、第2特別図柄表示器34の右側に設けられた普通図柄表示器35において、普通図柄を示す“○”、“×”等の記号で構成された2つの表示用ランプが、交互に点灯・消灯を繰り返すことによって変動表示される。なお、本実施形態における通過ゲート54は、第1始動口24に付設された羽根部材23の開放抽選の契機となる特別領域を備えたものである。
そして、表示器ケース37の下側には、普通図柄保留ランプ35a〜35dが設けられている。この普通図柄保留ランプ35a〜35dは、前述した普通図柄(本実施形態では“○”、“×”等の記号)の変動中に、前記通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、点灯又は消灯によって、保留されている普通図柄の変動表示の実行可能な回数(所謂、「普通図柄の保留球数」)を表示する。つまり、普通図柄保留ランプ35a〜35dは、保留された普通図柄の変動表示の実行回数に対応して、左から順番に点灯され、変動が停止表示されると、次の保留されていた普通図柄の変動表示が開始され、それに対応した普通図柄保留ランプは消灯される。なお、普通図柄の変動表示の実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、4回(個)を上限として保留される。
この普通図柄が所定の図柄、例えば“○”として停止表示されたときには、第1始動口24の左右の両側に可動部材として設けられた羽根部材23(所謂「普通電動役物」)が閉鎖状態から開放状態に変動して、第1始動口24に遊技球が入りやすくなる。また、羽根部材23を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、羽根部材23を閉鎖状態として、第1始動口24に遊技球が入り難くなるようにする。以上のように、普通図柄が変動表示された後、停止表示され、その結果によって羽根部材23の開放・閉鎖状態が異なってくるゲームを「普通図柄ゲーム」という。
以上説明してきたように、本実施形態に係るパチンコ遊技機10では、第1始動口24及び第2始動口25へ遊技球が入賞したことを契機として、大当たり遊技へ移行するか否かの大当たり抽選処理が行なわれるとともに、その抽選結果に基づいて、前記第1特別図柄表示器33及び第2特別図柄表示器34において特別図柄の変動表示及び停止表示が行われる。
そして、液晶表示装置32の表示領域32aにおいては、停止表示される特別図柄に対応した複数の装飾図柄が、変動表示された後に所定の組み合わせで停止表示される可変表示ゲームが実行されるとともに、この可変表示ゲームに伴う演出画像(識別情報を含む)などを用いた演出表示等が行われる。そして、抽選結果が当選の場合、通常遊技から大当たり遊技に移行するのである。
かかる構成において、本実施形態においては、第1始動口24に入賞した場合は第1の抽選処理を実行して、第2始動口25に入賞した場合は第2の抽選処置が実行される。すなわち、第1始動口24及び第2始動口25への遊技球の入賞を契機とした大当たり抽選手段においてはそれぞれの始動口に応じて、独自に大当たり遊技の抽選処理が実行されるのである。なお、大当たり遊技の抽選処理については後に詳述する。
ここで、本実施形態においては、役物の一例として、大当たり遊技時に用いられる大入賞口39の役物が記載されているが、本発明はこれに限定されず、遊技盤上に2つ以上のいかなる数の役物が設けられていてもよい。
なお、本実施形態において、画像を表示する部分として液晶ディスプレイパネルからなる液晶表示装置32を採用したが、これに限らず、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)を含むブラウン管、EL(Electro Luminescence)、プラズマ等、他の形態からなるものであってもよい。
[遊技機の電気的構成]
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路について、図5を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図である。
本実施形態におけるパチンコ遊技機10の制御回路は、主に、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200とから構成される。主制御回路60は、遊技全般の制御を行うものであり、副制御回路200は、遊技の進行に応じた演出の制御(例えば、画像表示制御、音声出音制御、装飾ランプ制御等)を行うものに位置付けられている。
主制御回路60は、図示するように、制御手段であるメインCPU66、メインROM(読み出し専用メモリ)68、メインRAM(読み書き可能メモリ)70を備えている。この主制御回路60は、遊技の進行を制御する。
メインCPU66には、メインROM68、メインRAM70等が接続されており、このメインROM68に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。このように、このメインCPU66は、例えば、大当たり遊技実行手段や大当たり抽選手段、さらには損失補填制御手段として機能するなど、後述する各種の手段として機能することとなる。
メインROM68には、メインCPU66によりパチンコ遊技機10の遊技の進行を制御するためのプログラムが記憶されており、その他には、乱数抽選によって大当たり判定をする際に参照される大当たり抽選テーブル(図6参照)等の各種のテーブルが記憶されている。
メインRAM70は、メインCPU66の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路62、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路64、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC72を備えている。また、これらのリセット用クロックパルス発生回路62、初期リセット回路64、シリアル通信用IC72は、メインCPU66に接続されている。
そして、このリセット用クロックパルス発生回路62は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒)毎にクロックパルスを発生する。なお、シリアル通信用IC72は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路200に含まれる各種の手段)へ送信する送信手段に相当する。
さらに、主制御回路60には、電飾ユニット53(図4参照)の各種表示器、表示ランプを制御する表示器制御回路76を備えている。この表示器制御回路76はメインCPU66からの指示に従い、パチンコ遊技機10の遊技状態に応じて、第1特別図柄表示器33、第2特別図柄表示器34、普通図柄表示器35の変動の制御(例えば、変動の開始及び所定の図柄での表示停止)を行い、さらに、第1特別図柄保留ランプ33a〜33d、第2特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ35a〜35dの点灯及び消灯の制御を行うものである。
また、主制御回路60には、各種の装置が接続されている。例えば、図示するように、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106,108,110,112、通過球センサ114、第1始動口入賞球センサ116、第2始動口入賞球センサ117、普通電動役物ソレノイド118、大入賞口ソレノイド120、操作パネルセンサ125が接続されている。
カウントセンサ104は、大入賞口39における特定領域とは異なる一般領域に設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口39における一般領域を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
一般入賞球センサ106,108,110,112は、一般入賞口56a,56b,56c,56dにそれぞれ設けられている。この一般入賞球センサ106,108,110,112は、一般入賞口56a,56b,56c,56dの各々へ遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
通過球センサ114は、通過ゲート54に設けられている。この通過球センサ114は、通過ゲート54を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
遊技球検出手段である第1始動口入賞球センサ116は、第1始動口24に設けられている。第1始動口入賞球センサ116は、第1始動口24に遊技球が入賞したことを検出して、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
遊技球検出手段である第2始動口入賞球センサ117は、第2始動口25に設けられている。第2始動口入賞球センサ117は、第2始動口25に遊技球が入賞したことを検出して、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
普通電動役物ソレノイド118は、リンク部材(図示せず)を介して第1始動口24に付設された羽根部材23に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、羽根部材23を開放状態又は閉鎖状態とする。
大入賞口ソレノイド120は、シャッタ40に接続されており、メインCPU66から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口39を開放状態又は閉鎖状態とする。
操作パネルセンサ125は、操作パネル27に接続されており、操作パネル27に設けられている各種操作スイッチ(図16参照)を遊技者が操作したことを検知すると、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
主制御回路60には、払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、遊技球の払出を行なう払出装置128、遊技球の発射を行なう発射装置130、カードユニット150が接続されている。
また、本実施形態における払出・発射制御回路126は、遊技場で遊技者が購入可能な所定の記憶媒体(磁気カード、ICチップが埋め込まれたコイン等)又は紙幣等の現金をカードユニット150に投入して、遊技者が所定の貸し玉ボタン(図示せず)を操作すると、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に所定金額(例えば、千円単位)の貸し玉をパチンコ遊技機10の上皿20に払い出させる。つまり、遊技球の貸出制御を実行するものである。なお、カードユニット150は、遊技者が投入した前記記憶媒体や現金等の残り(残度数)があった場合は、遊技者が返却ボタン(図示せず)を操作することにより、残度数が記憶された記憶媒体を遊技者に返却する。
また、払出・発射制御回路126は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御も行なうものである。
そして、発射装置130には、前述した発射ソレノイド、タッチセンサ等の遊技球を発射させるための装置が備えられている。発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときには、その回動角度に応じて発射ソレノイドに電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が発射ソレノイドにより遊技盤14に順次発射される。
一方、シリアル通信用IC72には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、液晶表示装置32における表示制御、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御、装飾ランプ133a,133bの制御等を行なう。
なお、本実施形態においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、これに限らず、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成してもよい。
副制御回路200は、可変表示制御手段、音発生制御手段等の各種制御手段として機能するサブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、ワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピーカ46R,46Lから発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、装飾ランプ133a,133bの制御を行うランプ制御回路240から構成されている。そして、副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。
サブCPU206には、プログラムROM208、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、後述するように、主制御回路60から供給される各種コマンド信号に従って、各種演出制御を行う。そして、サブCPU206は、後述する各種の手段として機能することとなる。
プログラムROM208には、パチンコ遊技機10の特別図柄の変動表示に関連してサブCPU206により実行される液晶表示装置32の画像表示に伴う複数種類の演出画像データや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出画像データが記憶されており、その他には、演出表示期間を定めた時間テーブル等各種のテーブルも記憶されている。
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、リーチ演出時間を制御するためのタイマ変数、演出パターンを選択するための演出表示選択用乱数カウンタ等、各種の変数等が位置付けられている。ここで、本実施形態におけるリーチとは、変動中の一の装飾図柄が、他の停止表示されている装飾図柄と同一図柄で停止表示されると、前述の大当たり遊技に移行する状態を指す。通常、変動中の装飾図柄が停止するまでの間、液晶表示装置32上では、このリーチ状態に応じた特別のリーチ演出表示がなされる。
表示制御回路250は、サブCPU206から供給される、特別図柄の変動表示に関連して実行される演出表示の進行に伴う複数種類の演出パターンや、大当たり遊技中のラウンドゲームに関連して実行される複数種類の演出パターン等の演出画像データ等を、液晶表示装置32に画像を表示させる制御を行うものである。
音声制御回路230は、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、スピーカ46R,46Lから音声を発生させるものである。
ランプ制御回路240は、サブCPU206から供給されるプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、装飾ランプ133a,133bの発光制御を行うものである。
なお、本実施形態においては、パチンコ遊技機10の制御回路において、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200を別々に構成しているが、主制御回路60と副制御回路200とを同じ基板で構成しても構わない。
なお、本実施形態においては、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段として、主制御回路60ではメインROM68を、副制御回路200ではプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に、プログラム、テーブル等が記録されていてもよい。また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、主制御回路60ではメインRAM70、副制御回路200ではワークRAM210等に記録されるものでもよい。なお、本実施形態においては、メインCPU66の一時記憶領域としてメインRAM70を、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であればよい。
[遊技機の動作]
ここで、本実施形態におけるパチンコ遊技機10の遊技について簡潔に説明する。本実施形態においては、パチンコ遊技機10の遊技は、大別して通常遊技(大当たり抽選を行いながら遊技球を消費する遊技であり、大当たり遊技に比べて遊技者には相対的に不利な遊技)と大当たり遊技(遊技者にとって短時間で大量の遊技球の獲得が期待できる、所謂遊技者にとって有利な遊技)とに分かれる。
さらに、前記大当たり遊技においては、後述の特別図柄制御処理において抽選された、前記第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34に停止表示される特定の数字図柄により、15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技(2R確変大当たり遊技)、突時大当たり遊技(2R通常大当たり遊技)、15R通常大当たり遊技の4種類の大当たり遊技が決定する。
そして、前記4種類の大当たり遊技(15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、突時大当たり遊技、15R通常大当たり遊技)は、後述の特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の大当たり抽選処理(ステップS64)において、大当たり抽選テーブル(図6参照)を参照して抽選されるものであり、4種類の当選した大当たり遊技に応じて、前記第1特別図柄表示器33及び第2特別図柄表示器34(図4参照)に停止表示される特別図柄は、例えば、15R確変大当たり遊技の場合は“7”、突確大当たり遊技の場合は“3”、突時大当たり遊技の場合は“1”、15R通常大当たり遊技の場合は“5”の特別図柄が表示される。
さらに、前記4種類の大当たり遊技のいずれか一つに当選した場合に、前記第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34(図4参照)に特別図柄が停止表示されるのと同じタイミングで、液晶表示装置32の表示領域32aにおいても、専用の装飾図柄(つまり、識別情報としての数字図柄)によって、例えば、15R確変大当たり遊技の場合は“777”、突確大当たり遊技の場合は“333”、突時大当たり遊技の場合は“111”、15R通常大当たり遊技の場合は“555”の装飾図柄が表示される。
なお、大当たり遊技に当選した場合に液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示される装飾図柄(識別情報としての数字図柄)は、必ずしも上述したように、数字図柄の三つ揃いである必要はなく、例えば、突確大当たり遊技の場合は“123”等の連続した数字図柄であってもよい。
また、前記4種類の大当たり遊技の中でも、15R確変大当たり遊技及び15R通常大当たり遊技では、15回に亘り大入賞口39に付設されたシャッタ40(図3参照)が、所定時間(例えば、30秒)の開放を繰り返すことにより、遊技領域15に発射された遊技球の大入賞口39への入賞が容易となり、遊技者は短時間で大量の賞球を獲得することが可能となる。かかる大当たり遊技の獲得(大当たり遊技への当選)は、一般の遊技者の最大の目的であり、パチンコ遊技の醍醐味ともいえる。
また、突確大当たり遊技又は突時大当たり遊技では、わずか2回に亘り大入賞口39に付設されたシャッタ40(図3参照)の開放時間が、極端に短時間(例えば、0.3秒)に設定されるだけなので、この場合は、遊技領域15に発射された遊技球の大入賞口39への入賞は難しく、大当たり遊技の実行時の賞球の獲得は殆ど望めない。
他方、本実施形態における通常遊技は、通常モード、確変モード、時短モード(特別遊技モード)の3種類の遊技モードの下で実行される。ここで、前記3種類の通常遊技(通常モード、確変モード、時短モード)のモードの移行及びそれぞれの特徴を、以下に簡単に説明する。
通常モードは、パチンコ遊技機10における基本モードであり、パチンコ遊技機10に電源を投入すると、この通常モードから遊技が開始され、大当たり遊技の抽選確率も通常確率で抽選されることとなる。なお、この通常モードにおける大当たり遊技の抽選確率(つまり、通常確率)は、確変モードにおける大当たり遊技の抽選確率と比較すると相対的に低確率に設定されるため、通常モード時の大当たり遊技の抽選確率である通常確率は低確率と呼ばれる場合がある。
確変モードは、通常遊技において、前記4種類の大当たり遊技のうち15R確変大当たり遊技又は突確大当たり遊技に当選すると、当該大当たり遊技の終了後に移行する遊技モードであり、この確変モードの特徴は、前記通常モードにおける大当たりの抽選確率よりも確変モードにおける大当たりの抽選確率の方が高確率に設定されることである。
具体的に大当たり抽選テーブル(図6参照)に基づいて説明すると、本実施形態においては、第1の抽選処理においては、通常モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/400」であるのに対して、確変モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/40」と10倍の抽選確率が設定されている。また、第2の抽選処理においては、通常モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/200」であるのに対して、確変モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/20」と10倍の抽選確率が設定されている。
つまり、いずれの抽選処理(第1の抽選処理及び第2の抽選処理)においても、確変モードでは通常モードと比較して、大当たり遊技の抽選値が10倍に設定されているため、確変モードは通常モードと比較すると、相対的に遊技者にとって有利な遊技状態であるといえる。
最後に、時短モード(特別遊技モード)は、前記4種類の大当たり遊技のいずれに当選した場合でも、当該大当たり遊技の終了後に設定される遊技モードである。この通常遊技における時短モードとは、特別図柄及び普通図柄が変動表示を開始して停止表示されるまでの変動時間が、通常モードよりも短く設定され、さらに、前記普通図柄の抽選の結果が“当たり”の場合(つまり、前述した普通図柄表示器35(図4参照)において、表示用ランプが“○”で停止表示された場合)、第1始動口24に付設された羽根部材23の開放時間が通常モードよりも長く設定される。なお、かかる制御を、本実施形態では、「電チューサポート」と呼ぶ場合がある。
このように、「電チューサポート」が実行されると、第1始動口24に遊技球が入賞し易くなるので、単位時間当たりの大当たり抽選回数が通常モードに比べて著しく増加し、かつ第1始動口24への入賞に対する賞球の払い出しも増加するため、遊技球の目減りが少なく(所謂「球持ち」がよい状態となる)、遊技者にとって有利な状態といえる。
また、この時短モードは、前記4種類の大当たり遊技に対応して、継続期間が定められるものであり、例えば、15R通常大当たり遊技又は突時大当たり遊技の場合は、当該大当たり遊技終了後に、特別図柄の変動回数(例えば、100回)が継続期間として設定される。一方、大当たり遊技が15R確変大当たり遊技又は突確大当たり遊技の場合の継続期間は、当該大当たり遊技終了後、実質的に次回の大当たり遊技への当選が期待できる特別図柄の変動回数(例えば、10000回)が設定される。
以上説明したように、本実施形態においては、「通常モード」、「確変モード」、「通常モード+時短モード」及び「確変モード+時短モード」の4つの遊技モードの下で通常遊技が行われることになり、パチンコ遊技機10の遊技状態の変化(つまり、前記4種類の大当たり遊技の発生等)に応じて遊技状態が変化してゆくことになる。
ここで、本実施形態における4種類の大当たり遊技を比較すると、15R確変大当たり遊技は、ラウンドゲームの実行回数が最大15ラウンドに設定され、当該大当たりの遊技の実行時に所定数の賞球の獲得が期待できるとともに、当該大当たり遊技の終了後に確変モードが設定されるため、遊技者にとって最も有利度合いの高い大当たり遊技といえる。
そして、突確大当たり遊技は、ラウンドゲームが2ラウンドしかなく、当該大当たりの遊技の実行時における賞球の獲得は殆ど期待できず、当該大当たり遊技の終了後の通常遊技が確変モードになるとはいえ、前記15R確変大当たり遊技ほど遊技者にとっての有利度合いは高くない。さらに、15R通常大当たり遊技は、ラウンドゲームの実行回数が最大15ラウンドに設定され、当該大当たりの遊技の実行時に所定数の賞球の獲得が期待できるものの、当該大当たり遊技の終了後の通常遊技は通常モードが設定されるため、15R確変大当たり遊技と比較すると遊技者にとって有利度合いは低い。最後に、突時大当たり遊技は、当該大当たり遊技の実行時に遊技者が獲得できる賞球は殆ど期待できず、いくら100回の時短モードが設定されるとはいえ、当該大当たり遊技の終了後においても通常遊技が通常モードのため、本実施形態における4種類の大当たり遊技において、最も遊技者にとって有利度合いの低い大当たり遊技といえる。
また、本実施形態においては、上述した3種類(通常モード、確変モード、時短モード)の遊技モードに加え損失補填モードが設けられている。この損失補填モードは、詳細は後述の損失補填制御処理(図13参照)で説明するが、遊技者が操作パネル27(図1参照)において、所定の操作を行なうことで選択されるものであり、一度選択された損失補填モードは、所定回数(例えば600回)の可変表示ゲームを消化して、所定数(例えば1500個)の遊技球を、一括して遊技者に還元する処理が実行された場合、或いは、所定回数の可変表示ゲームが消化されない場合でも、所定の条件、例えば、所定のラウンド数以上の大当たり遊技に当選した場合に解除される。言い換えると、遊技者に十分に利益を還元できる遊技者に有利な遊技状況になった場合に終了されるものである。
すなわち、本実施形態における損失補填モードは、遊技者が当該パチンコ遊技機10で遊技を行なう場合に、遊技者が任意に選択可能であり、遊技者が損失補填モードを選択した場合は、可変表示ゲームを所定回数(例えば600回)消化したにもかかわらず、遊技者にとって有利な遊技状態である大当たり遊技に当選しない場合、言い換えると、遊技者にとって不利な所謂「ハマリ」といわれる遊技状態が長く継続した場合に、その間に遊技者が所有する遊技球から所定数(例えば30個)を上限として遊技球を徴収するとともに、所定数(例えば1500個)の遊技球を、一括して遊技者に還元するものである。つまり、スロットマシン等でよく知られている利益の受けられない遊技者を救済するための保険機能に相当するものである。
以下、上述した遊技状態の変化に合わせてパチンコ遊技機10で実行される処理を図7〜図14に示す。
[メイン処理]
図7に示すように、最初に、主制御回路60のメインCPU66は、RAMアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する(ステップS11)。そして、詳しくは図9を用いて後述するが、特別図柄ゲームの進行、第1特別図柄表示器33と第2特別図柄表示器34とにそれぞれ表示される特別図柄、液晶表示装置32における装飾図柄による演出表示に関する特別図柄制御処理を実行する(ステップS12)。そして、詳しくは、図11を用いて後述するが、普通図柄ゲームの進行、普通図柄表示器35に表示される普通図柄に関する普通図柄制御処理を実行する(ステップS13)。さらに、これも詳細は図13を用いて後述するが、本実施形態における損失補填モードの選択、解除及び損失補填を制御する損失補填制御処理(ステップS14)を実行する。
このように、メイン処理においては、ステップS11の初期設定処理が終了した後、ステップS12〜ステップS14の処理を繰り返し実行することとなる。
[システムタイマ割込処理]
また、メインCPU66は、メイン処理を実行している状態であっても、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理を実行する場合がある。リセット用クロックパルス発生回路62から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下のシステムタイマ割込処理を実行する。このシステムタイマ割込処理について図8を用いて説明する。
図8に示すように、最初に、メインCPU66は、大当たり抽選用乱数値等の各抽選値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS21)。そして、メインCPU66は、第1始動口24や第2始動口25等への遊技球の入賞を検知する入力検出処理を実行する(ステップS22)。この処理においては、メインCPU66は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを条件として、遊技球を払出す(賞球する)旨のデータをメインRAM70の所定領域に記憶することとなる。
そして、この入力検出処理(ステップS22)において、メインCPU66は、第1始動口24又は第2始動口25への遊技球の入賞を検出(つまり、第1始動口入賞球センサ116又は第2始動口入賞球センサ117の入力を検知)すると、前記乱数更新処理(ステップS21)において更新された大当たり抽選用乱数値を読み出して、第1始動口24又は第2始動口25毎に、最大4個を保留個数の上限としてメインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された第1始動口24又は第2始動口25への遊技球の入賞と大当たり抽選用乱数値は、後述の特別図柄記憶チェック処理(図10参照)において、大当たり抽選処理(ステップS64)において参照されることとなる。
また、メインCPU66は、後述する損失補填制御処理(図13参照)の損失補填始動待ち処理(ステップS154)において、損失補填モードが選択中であることを示す損失補填始動待ちのフラグがセット(つまり、“1”)されていた場合に、第1始動口24への遊技球の入賞を検出(つまり、第1始動口入賞球センサ116入力を検知)すると、損失補填作動中のフラグをセットして、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、この処理が終了するとステップS23へ処理を移す。
すなわち、本実施形態においては、遊技者が操作パネル27(図16(a)参照)を用いて損失補填モードの実行を選択したことを条件として、損失補填作動領域を兼用する第1の特定領域(つまり、第1始動口24)へ遊技球が入球又は通過したことを契機として損失補填モードが作動することになる。
ステップS23においては、タイマ更新処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、主制御回路60と副制御回路200との同期をとるための待ち時間タイマ、大当たり遊技が発生した際に開放する大入賞口39の開放時間を計測するための大入賞口開放タイマ等、各種のタイマの更新処理を実行する。そして、この処理が終了するとステップS24へ処理を移す。
ステップS24においては出力処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に記憶されている各種の出力要求に基づいて駆動制御するための信号をソレノイド、モータ等に供給する。すなわち、後述する各処理において、メインCPU66は、各種駆動遊技部材(パチンコ遊技機10の遊技領域15に配設されており、なおかつ遊技状態に応じて、その形態を変化させる遊技部材)に対する信号出力要求がメインRAM70の所定領域に記憶された場合は、それに応じた信号を出力する。例えば、第1始動口24に付設されている羽根部材23を開放又は閉鎖するための普通電動役物ソレノイド118、大入賞口39に付設されているシャッタ40を開放又は閉鎖するための大入賞口ソレノイド120などの各ソレノイドの駆動要求があった場合、制御信号を出力して、各種駆動遊技部材を駆動させる処理を行なう。
さらに、この出力処理において、メインCPU66は、電飾ユニット53(図4参照)に設置されている各種表示器類(第1始動口24に対応した第1特別図柄表示器33、第2始動口25に対応した第2特別図柄表示器34、普通図柄表示器35、第1始動口24に対応した第1特別図柄保留ランプ33a〜33d、第2始動口25に対応した第2特別図柄保留ランプ34a〜34d、普通図柄保留ランプ35a〜35d)のそれぞれに対応した図柄の変動要求又は停止要求、或いはランプの点灯要求又は消灯要求がメインRAM70の所定の領域に記憶されていた場合は、それに対応した電飾ユニット53(図4参照)に設置されている各種表示器類の、図柄の変動又は停止、或いはランプの点灯又は消灯を制御するための信号を表示器制御回路76へ出力する。そして、この処理が終了するとステップS25に処理を移す。
ステップS25においては、コマンド出力処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、各種のコマンド信号を副制御回路200に供給する。これらの各種のコマンド信号としては、例えば、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、導出表示されるデモ表示コマンド、大当たり抽選手段による抽選結果を表示するための装飾図柄の種類を指定する導出図柄指定コマンド等が含まれる。そして、この処理が終了するとステップS26に処理を移す。
また、本実施形態においては、このコマンド出力処理において、後述の損失補填制御処理(図13参照)により、遊技者により損失補填モードが選択された場合や、特別図柄記憶チェック処理(図10参照)により、損失補填実行までの可変表示ゲームが記憶更新された場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、図16に示す損失補填選択画像100aや損失補填表示画像100b、100cを表示させるための損失補填表示コマンドも含まれることとなる。
ステップS26の処理において、メインCPU66は、後述の損失補填制御処理(図13参照)により、メインRAM70の所定の領域に損失補填モード作動中のフラグがセットされている場合は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことで払出される賞球に応じた遊技球の徴収処理を実行する。つまり、賞球に対して所定の数(例えば、1個)の遊技球を徴収して、メインRAM70の所定の領域に加算して記憶するのである。但し、この遊技球の徴収処理は、所定数(例えば、30個)の遊技球の数を上限として実行されるものであり、既に所定数(例えば、30個)の遊技球が、メインRAM70の所定の領域に蓄積されて記憶されていた場合は、損失補填モード作動中であってもそれ以上の徴収処理は実行されない。そして、この処理が終了するとステップS27へ処理を移す。
ステップS27において、メインCPU66は、後述の損失補填制御処理(図13参照)の損失補填実行処理(ステップS167)において、メインRAM70の所定の領域に遊技球還元要求が記憶されていた場合は、所定数(例えば、1500個)の遊技球を、一括で遊技者に還元する補填処理を実行する。つまり、この補填処理において、メインCPU66は、本実施形態における大当たり遊技(15R確変大当たり)1回分の数(例えば、約1500個)の遊技球を、一括して払い出す賞球制御コマンド信号を払出・発射制御回路126へ供給して、ステップS28へ処理を移す。
ステップS28の処理において、メインCPU66は、賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理では、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを契機として、予め定められた数の賞球払出を行うための賞球制御コマンド信号を払出・発射制御回路126へ供給する。なお、上述した徴収処理(ステップS26)において、賞球の徴収が実行された場合は、予め定められた数の賞球から徴収された数を差し引いた数の賞球制御コマンド信号が払出・発射制御回路126へ供給されることとなる。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了し、割込発生前のアドレスへ復帰し、メイン処理を実行させる。
ここで、本実施形態においては、前記乱数更新処理(ステップS21)において所定の範囲(例えば1〜40000)内で更新された乱数値を、第1始動口24又は第2始動口25へ遊技球が入賞したタイミングで読み出し、大当たり抽選にかかる乱数値として用いるようにしている。しかし、乱数値の取得手段は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、専用の乱数発生器等を主制御回路60に備え、そこで所定の範囲(例えば1〜40000)内でランダムに更新される乱数値を、第1始動口24又は第2始動口25へ遊技球が入賞したタイミングで読み出し、大当たり抽選にかかる乱数値として用いるようにしてもよい。
[特別図柄制御処理]
図7のステップS12において実行される特別図柄制御処理について、図9を用いて説明する。
最初に、ステップS31の処理において、メインCPU66は、特別図柄制御フラグをロードする。この処理において、メインCPU66は、特別図柄制御フラグを読み出しステップS32に処理を移す。
ステップS32においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(00)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(00)でない場合には、ステップS34に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(00)の場合には、ステップS33へ処理を移し、特別図柄記憶チェック処理を行う。この特別図柄記憶チェック処理では、詳細は後述するが、特別図柄の保留個数を調べ、保留個数がある場合に、“大当たり”の抽選、特別図柄の変動開始、特別図柄変動タイマのセット等を行い、特別図柄制御フラグに次のステップの処理要求である(01)をセットして処理を終了する。
ステップS34においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(01)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(01)でない場合には、ステップS40に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(01)の場合には、特別図柄変動時間監視処理を行う。すなわち、ステップS35において、特別図柄変動タイマがタイムアップ(つまり“0”)か否かを判断し、タイムアップしていなければ処理を終了する。そしてタイムアップした場合は、メインCPU66は、ステップS36へ処理を移す。
ステップS36においては、メインCPU66は、特別図柄停止処理を行なう。この特別図柄停止処理では、メインCPU66は、第1始動口24と第2始動口25とのそれぞれに対応して変動表示中の特別図柄の変動停止要求を、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、この処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された特別図柄の変動停止要求は、前述したシステムタイマ割込処理の出力処理(図8、ステップS24)において表示器制御回路76(図5参照)へ出力され、電飾ユニット53(図4参照)において、第1始動口24と第2始動口25とのそれぞれに対応して変動表示中の特別図柄が変動停止される。この処理が終了するとステップS37へ処理を移す。
そして、メインCPU66は、ステップS37において特別図柄が大当たりか否かを判断し、大当たりでなければステップS39に処理を移す。一方、大当たりであった場合は、ステップS38の大入賞口開放待ち処理を行う。大入賞口開放待ち処理では、メインCPU66は、特別図柄制御フラグに大入賞口開放待ちを示す値(02)をセットし、待ち時間(例えば1秒)を大入賞口開放待ちタイマにセットして本サブルーチンを終了する。
ステップS39においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグをクリア(つまり特別図柄記憶チェック処理を要求する値(00)をセットする)して、特別図柄制御処理を終了する。
ステップS40においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(02)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(02)でない場合には、ステップS43に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(02)の場合には、大入賞口開放処理を行う。大入賞口開放処理では、まず、メインCPU66は、ステップS41で大入賞口開放待ちタイマがタイムアップ(つまり“0”)かを判断し、タイムアップしていなければ処理を終了する。そしてタイムアップした場合は、ステップS42で大入賞口開放処理を行う。この大入賞口開放処理では、メインCPU66は、まず大入賞口39の開放をセット(メインRAM70の所定の領域に、シャッタ40による大入賞口ソレノイド120の開放指示を記憶する)し、次に大当たりの種類によって大入賞口開放タイマに大入賞口39の開放時間(例えば、突確大当たり遊技又は突時大当たり遊技の場合は0.3秒、15R通常大当たり遊技又は15R確変大当たり遊技の場合は30秒)をセットする。そして、特別図柄制御フラグに大入賞口開放監視処理を示す値(03)をセットし処理を終了する。
ステップS43においては、メインCPU66は、特別図柄制御フラグが(03)であるか否かを判断し、特別図柄制御フラグが(03)でない場合には、ステップS49に処理を移す。また、特別図柄制御フラグが(03)の場合には、大入賞口開放監視処理を行う。大入賞口開放監視処理では、まずメインCPU66は、ステップS44で大入賞口開放タイマがタイムアップ(つまり“0”)したか、又は、大入賞口39へ規定の個数の遊技球が入賞したか否かを判断する。そして大入賞口開放タイマのタイムアップ、同時に、大入賞口39へ規定の個数の遊技球が入賞していなければ処理を終了する。そして入賞口開放タイマのタイムアップ、又は、大入賞口39へ規定の個数の遊技球が入賞のいずれか一方の条件を満たしたことで、ステップS45へ処理を移行する。
ステップS45においては、メインCPU66は、大入賞口閉鎖処理(メインRAM70の所定の領域に、シャッタ40による大入賞口ソレノイド120の閉鎖指示を記憶する)を実行してステップS46へ処理を移す。
ステップS46においては、メインCPU66は、大入賞口開放回数(所謂ラウンド数)をカウントし、規定回数(15R通常大当たり遊技又は15R確変大当たり遊技では15回、突確大当たり遊技又は突時大当たり遊技では2回)に達したか否かを判断し、規定回数に達した場合はステップS48で特別図柄制御フラグに大当たり終了処理を要求する値(04)をセットし処理を終了する。また、メインCPU66は、大入賞口開放回数が規定回数に達していなかった場合は、ステップS47において、メインCPU66は、大入賞口開放待ち処理を行う。大入賞口開放待ち処理では、特別図柄制御フラグに再度大入賞口39の開放を要求する値(02)をセットし、待ち時間(例えば1秒)を大入賞口開放待ちタイマにセットして処理を終了する。
ステップS49においては、メインCPU66は、大当たり終了処理を行う。大当たり終了処理では、大当たり図柄が15R確変大当たり遊技又は突確大当たり遊技の場合は、通常遊技を「確変モード+時短モード」とするとともに、時短モードの継続期間として、所定の特別図柄の変動回数(例えば、10000回)を、メインRAM70の所定の領域に記憶する。一方、大当たり図柄が15R通常大当たり遊技又は突時大当たり遊技の場合には、通常遊技を「通常モード+時短モード」とするとともに、所定の特別図柄の変動回数(例えば、100回)をメインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、最後にメインCPU66は、特別図柄制御フラグをクリア(つまり特別図柄記憶チェック処理を要求する値(00)をセットする)して特別図柄制御処理を終了する。
[特別図柄記憶チェック処理]
図9のステップS33において実行される特別図柄記憶チェック処理について図10を用いて説明する。
最初に、メインCPU66は、ステップS61において、第1始動口24又は第2始動口25に遊技球が入賞した場合に保留された特別図柄の保留個数が“0”であるか否かを判断し、特別図柄の保留個数が“0”の場合にはステップS62に処理を移し、特別図柄の保留個数が“0”でない場合(つまり、特別図柄の変動要求がある場合)には、ステップS63に処理を移す。
ステップS62においては、メインCPU66は、デモ表示処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、デモ表示を行わせるための要求をメインRAM70の所定の領域に記憶する。これにより、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)において、主制御回路60から副制御回路200へデモ表示コマンド信号が送られる。これによって、副制御回路200において、客待ち状態(所定の待機状態)となったことを認識させるための客待デモ画像92(図19参照)が、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されることになる。そして、この処理が終了した場合には、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
ここで、上記デモ表示について、図19を参照して説明する。図19は、本実施形態におけるデモ表示の一例である。
すなわち、上記客待デモ画像92を表示する場合は、損失補填モードの案内も同時に行うようにしている。つまり、図19(a)に示すように、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、遊技者に対して当該パチンコ遊技機10での遊技の実行をアピールするために、キャラクタ等を用いた客待デモ画像92が表示されるとともに、その客待デモ画像92と重ならない位置に損失補填モードの案内画像101も同時に表示するのである。そして、図19(b)に示すように、損失補填モードの案内画像101では、本実施形態における損失補填モードの概要をメッセージ画像として遊技者に表示することにより、損失補填モードの機能を遊技者に解り易く案内する構成としている。
図10を用いた特別図柄記憶チェック処理の説明に戻る。
ステップS63においては、メインCPU66は、特別図柄変動時間管理を要求する値(01)を、特別図柄制御フラグにセットし、ステップS64に処理を移す。
ステップS64においては、大当たり抽選処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、大当たり抽選の契機となる遊技球の入賞が、第1始動口24又は第2始動口25のいずれの始動口への入賞であるかの判断と、パチンコ遊技機10の現在の遊技モード(通常モード、確変モード)とに基づいて、大当たりの抽選値が異なる複数の大当たり抽選テーブル(図6参照)から1つの大当たり抽選テーブルを選択する。そして、第1始動口24又は第2始動口25へ遊技球が入賞した時に抽出された大当たり抽選用乱数値と、前記選択された大当たり抽選テーブルを参照し、大当たり遊技の抽選(つまり、15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、突時大当たり遊技、15R通常大当たり遊技への当選又は“はずれ”のいずれかを決定)をしている。すなわち、第1始動口24に遊技球が入賞した場合は第1の抽選処理を行い、第2始動口25に遊技球が入賞した場合は第2の抽選処理を行う。
ここで、本実施形態に係る大当たり抽選テーブルについて説明する。
図6に示すように、例えば、通常モードにおける大当たり抽選テーブルと確変モードにおける大当たり抽選テーブルでは、1〜40000の間でランダムに取得された抽選値において、大当たり遊技へ当選するための抽選値の合計は、第1の抽選処理の通常モードでは「100/40000(つまり、1/400)」に設定されているのに対し、確変モードでは「1000/40000(つまり、1/40)」と、第2の抽選処理の通常モードでは「200/40000(つまり、1/200)」に設定されているのに対し、確変モードでは「2000/40000(つまり、1/20)」と設定されている。
すなわち、15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、突時大当たり遊技、15R通常大当たり遊技の抽選値の合計、つまり、大当たり遊技に当選する確率は、通常遊技が確変モードの場合には、大当たり遊技に移行する確率は通常モードよりも10倍向上することとなる。つまり、確変モードは遊技者にとって極めて有利な状態といえる。
そして、本実施形態における大当たり抽選テーブルにおいては、図示するように第1始動口24又は第2始動口25へ遊技球が入賞したことを契機として、大当たり遊技へ移行するか否かの大当たり抽選処理を行なう場合、第1始動口24に遊技球が入賞した場合の第1の抽選処理と、第2始動口25に遊技球が入賞した場合の第2の抽選処理とでは、大当たり遊技への当選確率を異ならせている。
つまり、第1の抽選処理においては、通常モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/400」であるのに対して、第2の抽選処理においては、通常モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/200」となっており、第2の抽選処理の方が第1の抽選処理よりも大当たり遊技の当選確率を2倍に高く設定している。なお、確変モードの場合も同様に、第1の抽選処理においては、確変モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/40」であるのに対して、第2の抽選処理においては、確変モードにおける大当たり遊技へ当選する確率の合計は「1/20」と、第2の抽選処理の方が第1の抽選処理よりも大当たり遊技の当選確率を2倍に高く設定している。
これは、本実施形態においては、第1の抽選処理を実行する契機となる第1始動口24には、遊技球の入球をサポートする羽根部材23(つまり、可動部材)が付設されており、所定の条件に基づいて羽根部材23を開放することにより、第1始動口24への遊技球の入球率は、羽根部材23が付設されていない第2始動口25よりも相対的に高くなるため、遊技球の入球率の高い第1始動口24を契機とした第1の抽選処理では大当たりの抽選確率を低く、遊技球の入球が第1始動口24ほど望めない第2始動口25を契機とした第2の抽選処理では大当たり遊技の抽選確率を高くして、第1始動口24と第2始動口25とが遊技者に対して一方的にどちらかが有利とならないようにするためである。
さらに、本実施形態における大当たり抽選テーブルにおいては、図示するように第1の抽選処理では、15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、突時大当たり遊技の抽選値は設定されているが、15R通常大当たり遊技の抽選値は設定されていない。これに対して、第2の抽選処理では15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、15R通常大当たり遊技の抽選値は設定されているが突時大当たり遊技の抽選値は設定されていない。
すなわち、第1の抽選処理と第2の抽選処理を比較すると、第1の抽選処理では、突時大当たり遊技に当選する可能性はあるが15R通常大当たり遊技には当選しない、一方、第2の抽選処理では、15R通常大当たり遊技に当選する可能性があるが突時大当たり遊技には当選しないことになる。
つまり、大当たり抽選手段の契機となる第1始動口24又は第2始動口25に応じて、本実施形態における4種類の大当たり遊技の中から、当選する大当たり遊技を異ならせることにより、第1始動口24又は第2始動口25を特徴付けて差別化を図ることにより、第1始動口24又は第2始動口25に応じた特有の大当たり遊技を楽しむことができる。
以上のように、本実施形態においては、第1始動口24に遊技球が入賞すると第1の抽選処理を、第2始動口25に遊技球が入賞すると第2の抽選処理を、それぞれ異なる大当たり抽選テーブルを用いて実行して、遊技球が入賞した第1始動口24又は第2始動口25に応じて、大当たり遊技の抽選確率及び特徴のある大当たり遊技を発生させて差別化を図るとともに、羽根部材23が付設された第1始動口24と羽根部材23が付設されていない第2始動口25とにおいて、遊技者に対する有利度合いに差のない、遊技者に公平なパチンコ遊技機を提供することができる。
図10に示す特別図柄記憶チェック処理の説明に戻る。上述した大当たり抽選テーブルを用いたステップS64の大当たり抽選処理が終了すると、メインCPU66は処理をステップS65に移す。
ステップS65においては、メインCPU66は、大当たりであるか否かの判断処理を行う。この処理において、メインCPU66は、前述したステップS64の大当たり抽選処理における抽選結果が大当たりであった場合には、ステップS66に処理を移し、大当たりでなかった場合には、ステップS67に処理を移す。
ステップS66においては、大当たり図柄である特別図柄の決定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、ステップS64で決定された大当たりの種類に対応して表示される特別図柄を決定する。例えば、15R確変大当たり遊技に対しては“7”、突確大当たり遊技に対しては“3”、突時大当たり遊技に対しては“1”、15R通常大当たり遊技に対しては“5”が決定されるというように、それぞれの大当たり遊技に対応して特別図柄は決定される。そして、決定された特別図柄は、メインRAM70の所定の領域に記憶される。これによって、電飾ユニット53(図4参照)に設置されているそれぞれの始動口(第1始動口24又は第2始動口25)に対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34において、大当たり遊技に対応した特別図柄が導出表示されることとなる。
さらに、本実施形態においては、このステップS66の処理で、メインCPU66は、ステップS64で決定された4種類の大当たり遊技(15R確変大当たり遊技、突確大当たり遊技、突時大当たり遊技、15R通常大当たり遊技)と大当たりの発生回数とを、その抽選契機となる第1始動口24と第2始動口25毎に、メインRAM70の所定の領域に、「大当たり遊技の履歴」として記憶更新する。そして、この処理が終了した場合には、ステップS68に処理を移す。
ステップS67においては、はずれ図柄の決定処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、はずれ図柄に対応した特別図柄(例えば“7”、“3”、“1”、“5”以外の数字)を決定し、メインRAM70の所定領域に記憶する。これによって、電飾ユニット53(図4参照)に設置されているそれぞれの始動口(第1始動口24又は第2始動口25)に対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34において、はずれに対応した特別図柄が導出表示されることとなる。この処理が終了した場合には、ステップS68に処理を移す。
ステップS68では、遊技状態判別処理を行う。この遊技状態判別処理において、メインCPU66は、現在の通常遊技が、時短モードであるか否か判断し、時短モードの場合は、ステップS70へ処理を移行する。一方、現在の通常遊技が時短モードでないと判断した場合は、ステップS69において、通常モードの特別図柄変動時間(例えば10秒)を、特別図柄変動タイマにセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、ステップS71へ処理を移行する。
ステップS70においては、メインCPU66は、確変モード又は時短モードの特別図柄変動時間(通常モードの特別図柄変動時間より短い時間、例えば5秒)を、特別図柄変動タイマにセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。また、このステップS70の処理において、メインCPU66は、時短モードの継続期間としてメインRAM70の所定の領域に記憶された特別図柄の変動回数(例えば、100回)を「−1」減算して記憶更新する。そして、特別図柄の変動回数が“0”になった場合、つまり、時短モードの継続期間が終了した場合は、時短モードをリセット(メインRAM70の所定の領域に記憶された時短モードのフラグをクリア)して、ステップS71へ処理を移行する。
ステップS71においては、メインCPU66は、遊技球が入賞した第1始動口24又は第2始動口25に対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34(図4参照)に対し、変動表示を開始させる要求をメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS72へ処理を移す。この処理によって、前記ステップS69及びステップS70で特別図柄変動タイマにセットされた変動時間にあわせて、それぞれの始動口(第1始動口24又は第2始動口25)に対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34において特別図柄の変動表示が行なわれ、所定時間経過後(特別図柄変動タイマがタイムアップした後)、前記ステップS66及びステップS67で決定された“大当たり”又は“はずれ”の特別図柄が停止表示されることとなる。
ステップS72では、液晶表示装置32の表示領域32aに演出表示される装飾図柄や演出時間の決定処理を行う。この処理において、メインCPU66は、ステップS66又はステップS67で記憶された“大当たり”又は“はずれ”のデータ、そしてステップS69又はステップS70で記憶された特別図柄変動時間等のデータに基づいて、液晶表示装置32の表示領域32aに演出表示される装飾図柄や演出時間を決定し、メインRAM70の所定の領域に記憶する。
そして、本実施形態においては、ステップS73の処理において、メインCPU66は、損失補填が実行されるまでの可変表示ゲーム減算処理を実行する。この処理においてメインCPU66は、メインRAM70の所定の領域に、損失補填作動中のフラグがセットされているか否かを判断して、セットされていた場合は、同じくメインRAM70の所定の領域に記憶されている可変表示ゲームの実行回数を−1して記憶更新する。そして、記憶更新した可変表示ゲームの実行回数を液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、損失補填表示画像100(図15(b)参照)を表示する要求をメインRAM70の所定の領域に記憶する。
このステップS73の処理において参照される、損失補填作動中のフラグや可変表示ゲームの実行回数は、後述の損失補填制御処理(図13参照)において、遊技者により損失補填モードが選択された場合に設定されるものであり、本実施形態においては、詳細は後述するが、遊技者により損失補填モードが選択された場合は、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が、本特別図柄記憶チェック処理を実行する毎に1回ずつ減算されて記憶更新されることとなる。そして、この処理が終了すると本サブルーチンを終了する。
なお、上述したステップS72処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された液晶表示装置32の表示領域32aに演出表示される装飾図柄(識別情報)や演出時間は、システムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)により、主制御回路60のメインCPU66から副制御回路200のサブCPU206に導出図柄指定コマンドとして供給される。これによって、副制御回路200において、識別情報としての装飾図柄が液晶表示装置32の表示領域32aに導出表示されるとともに、装飾図柄の変動時間も決定される。つまり、電飾ユニット53(図4参照)において、それぞれの始動口(第1始動口24又は第2始動口25)に対応した第1特別図柄表示器33又は第2特別図柄表示器34で導出表示される特別図柄の変動時間と、液晶表示装置32に導出表示される装飾図柄の変動時間は、同期して行われることとなる。
また、ステップS73の処理でメインRAM70の所定の領域に記憶された可変表示ゲームの実行回数を損失補填表示画像100(図15(b)参照)として表示する要求は、上述した導出図柄指定コマンドと同様に、システムタイマ割込処理(図8参照)のコマンド出力処理(ステップS25)により、主制御回路60のメインCPU66から副制御回路200のサブCPU206に損失補填表示コマンドとして供給され、副制御回路200において、損失補填表示画像100(図15(b)参照)の表示制御が実行されることになる。
[普通図柄制御処理]
図7のステップS13において実行されるサブルーチンについて図11を用いて説明する。
最初に、メインCPU66は、ステップS101において、普通図柄制御フラグをロードする。この処理において、メインCPU66は、普通図柄制御フラグを読み出す。この処理が終了した場合には、ステップS102に処理を移す。
ステップS102においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが普通図柄記憶チェック要求を示す値(00)であるか否か判断し、普通図柄制御フラグが(00)でない場合はステップS104へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(00)の場合は、ステップS103の普通図柄記憶チェック処理を行う。この普通図柄記憶チェック処理では、詳しくは図12を用いて説明するが、メインCPU66は、普通図柄の保留個数を調べ、保留個数がある場合に、普通図柄の当り判定、普通図柄の変動開始、普通図柄の変動タイマのセット等を行い、普通図柄制御フラグに次のステップの処理要求である(01)をセットして処理を終了する。
ステップS104においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(01)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(01)でない場合は、ステップS107へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(01)である場合は、ステップS105において、普通図柄変動タイマがタイムアップ(つまり“0”)したかを判断し、タイムアップしていなかった場合は処理を終了する。一方、普通図柄変動タイマがタイムアップした場合は、メインCPU66は、ステップS106において、普通図柄停止処理を行なう。この普通図柄停止処理においては、メインCPU66は、普通図柄表示器35に対して変動を停止する要求をセットし、メインRAM70の所定の領域に記憶する。これにより、普通図柄表示器35において、前記普通図柄記憶チェック処理で判定された、普通図柄の“当り”又は“はずれ”の判定結果が表示されることとなる。この処理が終了すると、メインRAM70の所定の領域に記憶されている普通図柄保留個数を“1”減少するように記憶更新する。そして、普通図柄制御フラグに(02)をセットして処理を終了する。
ステップS107においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(02)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(02)でない場合は、ステップS111へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(02)であった場合は、ステップS108へ処理を移し、普通図柄が当りか否かを判断する。そして、メインCPU66は、普通図柄が当りであると判断した場合は、ステップS109の普通電動役物開放処理に処理を移す。一方、メインCPU66は、普通図柄が当りではないと判断すると、ステップS110において、普通図柄制御フラグに普通図柄記憶チェックを要求する値(00)をセットして処理を終了する。
ステップS109における普通電動役物開放処理では、メインCPU66は、普通電動役物である羽根部材23の開放処理(メインRAM70の所定の領域に普通電動役物の開放を記憶する)を行う。さらに遊技台の遊技状態に合わせて、普通電動役物(羽根部材23)の開放時間(例えば、遊技モードが時短モードの場合は3秒、確変モード又は通常モードの場合は0.2秒)を普通電動役物開放タイマにセットし、普通図柄制御フラグに(03)をセットして処理を終了する。
ステップS111においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグが(03)であるか否かを判断し、普通図柄制御フラグが(03)でない場合は、ステップS114へ処理を移す。また、普通図柄制御フラグが(03)であった場合は、ステップS112へ処理を移し、普通電動役物開放タイマがタイムアップ(つまり“0”)したかを判断する。そして、普通電動役物開放タイマがタイムアップしていない場合は処理を終了する。一方、普通電動役物開放タイマがタイムアップしたと判断した場合は、ステップS113の普通電動役物閉鎖処理において、普通電動役物である羽根部材23を閉鎖状態(メインRAM70の所定の領域に普通電動役物の閉鎖を記憶する)にさせる。そして普通図柄制御フラグに(04)をセットして処理を終了する。
ステップS114においては、メインCPU66は、普通図柄制御フラグをクリア(つまり普通図柄の記憶チェックを要求する値“00”をセット)して処理を終了する。
[普通図柄記憶チェック処理]
図11のステップS103において実行されるサブルーチンについて図12を用いて説明する。
最初に、ステップS121において、メインCPU66は、普通図柄保留個数が“0”であるか否かの判断を行い、普通図柄保留個数が“0”であると判断した場合には、普通図柄記憶チェック処理を終了する。尚、この普通図柄保留個数はメインRAM70の所定の領域に記憶され、通過ゲート54を遊技球が通過したことを検出した場合に、所定個数(例えば“4”)を上限として“1”増加して記憶更新され、普通図柄ゲームにおける普通図柄の可変表示が終了したときには、“1”減算して記憶更新される。一方、メインCPU66は、普通図柄の保留個数が“0”でないと判断した場合には、ステップS122において、普通図柄制御フラグに普通図柄変動タイマ監視要求の値“01”をセットし、ステップS123へ処理を移す。
ステップS123においては、普通図柄当り判断処理を実行する。この処理において、メインCPU66は、普通図柄始動領域通過時に(通過ゲート54を遊技球が通過することによって)抽出された普通図柄当り判定用乱数値と、メインROM68に記憶されている普通図柄当り判定値とを参照する。そして、メインCPU66は、参照した結果、普通図柄当り判定用乱数値が普通図柄当り判定値と一致する場合には、当り図柄(例えば、“○”図柄)を示すデータをメインRAM70の所定の領域に記憶する。一方、メインCPU66は、参照した結果、普通図柄当り判定用乱数値が普通図柄当り判定値と一致しない場合には、はずれ図柄(例えば、“×”図柄)を示すデータをメインRAM70の所定の領域に記憶する。このように記憶された当り図柄、はずれ図柄は、電飾ユニット53(図4参照)において、普通図柄表示器35に導出普通図柄指定コマンドとして供給される。これによって、普通図柄表示器35は、普通図柄の変動表示(例えば“○”、“×”図柄を交互に点滅させる)を開始する。この後、ステップS124に処理を移す。
ステップS124においては、メインCPU66は、通常遊技が時短モードであるか否かを判断し、通常遊技が時短モードであった場合は、ステップS126において、メインCPU66は、通常モードより短い普通図柄変動停止時間(例えば5秒)を、普通図柄変動タイマにセットして処理を終了する。一方、遊技モードが時短モードでない(つまり、確変モード又は通常モード)場合は、ステップS125において、メインCPU66は、時短モードより長い普通図柄変動停止時間(例えば30秒)を、普通図柄変動タイマにセットして処理を終了する。
[損失補填制御処理]
図7のステップS14において実行されるサブルーチンについて図13を用いて説明する。
最初に、メインCPU66は、ステップS150において、内部フラグとしての損失補填始動待ちのフラグを読み出し、現在損失補填モードの始動待ちがセットされているか否かを判断して、始動待ちがセットされていない場合はステップS151へ処理を移す。一方、始動待ちがセットされている場合は本サブルーチンを終了する。なお、この損失補填指導待ちのフラグは、後述の損失補填指導待ち処理(ステップS154)において、遊技者が損失補填モードを選択設定した場合にセットされるものであり、本実施形態においては、この損失補填指導待ちのフラグがセットされた状態で、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)の入力検出処理(ステップS22)において、第1始動口24への遊技球の入賞を検知した場合に、損失補填作動中のフラグがセット(つまり、“1”)されてメインRAM70の所定の領域に記憶されることで、損失補填モードが始動(つまり、開始)することとなる。
ステップS151において、メインCPU66は、本サブルーチンにおける内部フラグとして、損失補填作動中のフラグを読み出し、損失補填モードが現在選択されているか否かを判断し、選択されていた場合はステップS160へ処理を移す。一方、選択されていない場合はステップS152において、これも損失補填作動中のフラグと同様に内部フラグである損失補填設定中のフラグを読み出し、遊技者による損失補填モードの選択設定中か否かを判断して、設定中の場合はステップS153に処理を移す。また、設定中でない場合はステップS157へ処理を移す。
ステップS153において、メインCPU66は、遊技者により操作パネル27に設けられている決定ボタン27b(図16(a)参照)の入力を検知したか否かを判断して、入力された場合は、ステップS154において、損失補填始動待ち処理を行う。この損失補填始動待ち処理おいて、メインCPU66は、本実施形態における損失補填モードを作動に必要な情報を設定するものであり、損失補填モードが終了するまでの可変表示ゲーム数(例えば、600回)や損失補填モードが選択中であることを示す損失補填始動待ちのフラグをセット(つまり、“1”)して、メインRAM70の所定の領域に記憶する。そして、この処理が終了すると後本サブルーチンを終了する。
なお、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された損失補填始動待ちのフラグは、前述したように、システムタイマ割込処理(図8参照)の入力検知処理(ステップS22)において参照され、損失補填始動待ちのフラグがセットされている状態で、第1始動口24への遊技球の入球を検知した場合に、損失補填作動中のフラグがセットされて、本実施形態における、遊技球の徴収処理及び補填処理を含む損失補填モードが作動することになる。
一方、決定ボタン27b(図16(a)参照)の入力を検知しなかった場合は、メインCPU66は、ステップS155において、操作パネル27に設けられているキャンセルボタン27c(図16(a)参照)の入力を検知したか、又は、損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)したか否かを判断して、キャンセルボタン27cの入力を検知したか、又は、損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)の何れかの条件が満たされた場合は、ステップS156において、損失補填設定中のフラグをクリアしてメインRAM70の所定の領域に記憶更新した後、本サブルーチンを終了する。また、キャンセルボタン27cの入力を検知せずに、同時に損失補填モードの選択設定待ちタイマがタイムアウト(つまり、“0”)していなかった場合は、本サブルーチンを終了する。
ステップS157において、メインCPU66は、遊技者による操作パネル27に設けられた各種スイッチ(図16(a)参照)の操作を検知したか否かを判断して、検知しなかった場合は本サブルーチンを終了する。一方、検知した場合は、ステップS158において、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、損失補填モードの選択設定画像(図16(b)参照)を表示させる要求をメインRAM70の所定の領域に記憶する。
そして、ステップS159において、メインCPU66は、遊技者による損失補填モードの選択設定中であることを示す内部フラグである損失補填設定中をセット(つまり、“1”)するとともに、損失補填モードの選択設定待ちタイマに所定時間(例えば、10秒)をメインRAM70の所定の領域に記憶して、本サブルーチンを終了する。
ステップS160において、メインCPU66は、前述した特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の大当たり抽選処理(ステップS64)の抽選結果が、大当たりに当選したか否かを判断して、当選していない場合はステップS164へ処理を移す。一方、当選していた場合は、ステップS161において、損失補填解除決定処理を実行する。
この損失補填解除決定処理において、メインCPU66は、前述した特別図柄記憶チェック処理(図10参照)の大当たり図柄の決定(ステップS66)でメインRAM70の所定の領域に記憶された「大当たりの履歴」を参照して、所定の条件に基づき、本実施形態における損失補填モードを解除するか否かを決定する。ここで言う所定の条件とは、具体的に説明すると、例えば、第1の条件として、当該大当たり遊技の実行ラウンド数が15ラウンドゲーム以上の場合、第2の条件として、当該大当たり遊技と前回大当たり遊技の実行ラウンド数が合計15ラウンドゲーム以上の場合、そして、第3の条件として、前回大当たりの種類が確変大当たりの場合(本実施形態によれば、ラウンド数合計が15ラウンドに満たない2R確変大当たり遊技であってもよい)であり、本実施形態においては前記3種類の損失補填モードを解除する条件が所定の条件として設定されている。そして、メインCPU66は、前記3種類の損失補填モードを解除する条件のうち、一つの条件でも満たした場合は、損失補填モードの解除を決定するのである。つまり、所定数以上のラウンド遊技が実行される大当たり遊技に当選した場合、あるいは当選した大当たり遊技の合計のラウンド遊技数が所定数以上の場合、あるいは確率変動付大当たり遊技に当選した場合に前記損失補填モードを解除(つまり、終了)する。なお、確率変動付大当たり遊技に当選した場合でも、遊技者に対する賞球を伴わない2R確変大当たり遊技(突確大当たり遊技)に当選した場合は、次回大当たり遊技に当選した場合の、大当たり遊技のラウンド遊技の実行回数に応じて、損失補填モードを終了させるか否かを決定するようにしてもよい。
そして、ステップS162において、メインCPU66は、損失補填解除決定処理において、損失補填モードの解除が決定されたか否かを判断して、決定されていない場合は本サブルーチンを終了する。一方、損失補填モードの解除が決定されていた場合は、ステップS163において、損失補填モードを選択中であることを示す損失補填作動中のフラグをリセット(つまり、損失補填モードの終了をセット)してメインRAM70の所定の領域に記憶更新した後、本サブルーチンを終了する。
ステップS164において、メインCPU66は、損失補填モードの作動期間が終了したか否か、すなわち、保険で言えば所謂「満期」が到来して遊技球の補填が開始時期に達したか否かを判断して、達していなかった場合は、ステップS165へ処理を移す。一方、終了していた場合は、ステップS167へ処理を移す。このステップS164において、メインCPU66により判断される損失補填モードの作動期間の終了(補填開始)は、メインRAM70の所定の領域に記憶された、保険機能(損失補填機能)が終了するまでの可変表示ゲーム数(例えば、600回)が可変表示ゲームを消化するたびに一回ずつ減算して記憶更新され、最終的に“0”になった場合である。つまり、可変表示ゲームが900回消化されたことを意味するのである。
ステップS165において、メインCPU66は、カードユニット150(図3参照)に残度数があるか否かを判断して、残度数がない場合は本サブルーチンを終了する。一方、残度数があった場合はステップS166へ処理を移す。つまり、前述したように、本実施形態においては、カードユニット150(図3参照)に専用の記憶媒体又は現金を投入して、遊技者が貸し出しボタン(図示せず)を操作すると、予め定められた所定の金額(例えば、千円)に応じた数(例えば、250個)の遊技球が上皿20に払い出されるものであるが、例えば、記憶媒体又は現金が所定の金額以上投入された場合は、当然のことながら、所定の金額を差し引いた残りの金額が、カードユニット150(図3参照)に残ることになる。すなわち、本実施形態においては、カードユニット150(図3参照)における残金高を残度数として記述しているのである。
そして、ステップS166において、メインCPU66は、カードユニット150(図3参照)の返却ボタン(図示せず)が遊技者に操作されたか否かを判断して、操作された場合はステップS168へ処理を移す。一方、操作されていなかった場合は本サブルーチンを終了する。すなわち、このステップS165とステップS166の処理では、カードユニット150(図3参照)に残度数があった場合に、遊技者が返却ボタン(図示せず)を操作した場合は、当該パチンコ遊技機10での遊技を終了するものとして、それまで選択された損失補填モードを解除するのである。
ステップS167において、メインCPU66は、損失補填実行処理を行なう。この損失補填実行処理では、上記ステップS164の処理において、保険機能が終了するまでの可変表示ゲーム数(例えば、600回)が消化されたことを条件として、所定数(例えば、1500個)の遊技球を、遊技者に一括して払い出す遊技球還元要求をメインRAM70の所定の領域に記憶してステップS168へ処理を移す。
なお、ここでメインRAM70の所定の領域に記憶された遊技球還元要求は、前述したシステムタイマ割込処理(図8参照)の補填処理(ステップS27)において参照されて、所定数(例えば、1500個)の遊技球が一括で遊技者に還元されることとなる。つまり、所定数の遊技球が、賞球としてではなく、損失補填として払い出される。
ステップS168において、メインCPU66は、損失補填モードが選択中であることを示す損失補填作動中のフラグをリセット(つまり、損失補填モードの終了をセット)し、メインRAM70の所定の領域に記憶更新して、本サブルーチンを終了する。
以上、上述してきた本実施形態における損失補填制御処理によれば、まず、遊技者が操作パネル27を用いて所定の操作を行なうことにより、損失補填モードを設定するか否かが任意に選択される。そして、一旦設定された損失補填モードは、所定回数(例えば、600回)の可変表示ゲームを消化することで解除されて、所定数(例えば、1500個)の遊技球が、一括して遊技者に還元されることになる。
なお、本実施形態においては、損失補填モードが設定された状態でも、例えば、所定のラウンド数以上の大当たり遊技に当選して、遊技者に十分に利益を還元できる場合や、カードユニット150の残度数が残っているにもかかわらず、遊技者が返却ボタンを操作した場合、言い換えると、当該パチンコ遊技機10において遊技者が遊技を継続する意志がないと判断された場合は、設定された損失補填モードは途中で解除される構成としている。そして、当然のことながら、損失補填モードが途中で解除された場合は、それまで徴収された遊技球は遊技者に還元されない。
[損失補填モードの選択設定及び画像表示]
ここで、図15及び図16を参照して、遊技者による損失補填モードの選択設定と、それに応じて、液晶表示装置32の表示領域32aで表示される損失補填が実行されるまでの可変表示ゲームの表示画像について説明する。図15は通常時の表示演出画像と、損失補填モードを選択中の表示画像を説明する図である。図16は損失補填モードの選択設定操作を説明する図である。
まず、図15(a)に示すように、通常遊技状態(つまり、損失補填モードを非選択)では、液晶表示装置32の表示領域32aの略中央部において、大当たり抽選の抽選結果を遊技者に示唆するための可変表示ゲームとして、識別情報である数字画像90が変動表示されている。そして、数字画像90の変動表示以外の表示領域32aにおいては、演出画像として、複数のキャラクタ画像や、メッセージ画像等で構成される演出画像91が、数字画像90の下方に画像表示されている。
そして、図15(b)に示すように、損失補填モードを選択中は、通常遊技状態と同様に、数字画像90及び演出画像91が、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて表示されるとともに、損失補填表示画像100も数字画像90に右側に、専用の別枠で同時に表示されるものである。つまり、本実施形態における損失補填表示画像100は、従来のパチンコ遊技機10における可変表示ゲームの表示画像(数字画像90、演出画像91)を妨げることなく、透明な遊技盤14を透して、従来の遊技機よりも広く構成された、液晶表示装置32の表示領域32aに、専用の別枠で同時に表示されるものである。
なお、図15(b)においては、数字画像90の右側に損失補填表示画像100を表示する実施形態で説明したが、特に、損失補填表示画像100の表示位置は限定されるものではなく、可変表示ゲームの表示画像(数字画像90、演出画像91)を遊技者が視認することを妨げず、なおかつ、遊技者が見やすい位置であればよいし、また、演出画像91は表示領域32aを移動しながら表示される場合があるので、その場合は、損失補填表示画像100も移動又は表示位置を変更しても構わない。
次に、図16(a)に示すように、本実施形態における操作パネル27は、上下左右に押下可能な十字方向ボタン27a、決定ボタン27b及びキャンセルボタン27cで構成されている。そして、遊技者が何れかのボタン操作を行なうと、図16(b)に示すように、最初に、損失補填選択画像100aが表示領域32aに表示される。
そして、表示画像の状態で、遊技者が決定ボタン27bを押下すると、損失補填表示画像100bが表示され、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が表示され、遊技者に対して損失補填の実行時期を知らせる。そして、1回の可変表示ゲームの終了毎に、損失補填表示画像100cに示すように、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数を1回ずつ減算して表示することにより、遊技者は後何回の可変表示ゲームを実行すると、損失補填が実行されるかを知ることができる。なお、図15(b)に示す損失補填表示画像100は、この損失補填表示画像100b、100cと同じ表示画像である。
上述してきたように、本実施形態においては、通常遊技状態(つまり、損失補填モードを非選択)実行時に、遊技者による操作パネル27に設けられた何れかのボタン操作を検知すると、損失補填モードの選択設定画像が表示され、そこで決定ボタン27bが押下されることで、損失補填モードが選択される。そして、損失補填モードの選択中は、損失補填表示画像100b,100cにおいて、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの実行回数が表示されることとなる。
なお、本実施形態においては、損失補填を実行するまでの可変表示ゲームの最大回数を「600回」に設定したが、これは、通常遊技状態における第1の抽選処理では、大当たり遊技への当選確率が「1/200」(図6参照)のため、その確率分母の3倍を、可変表示ゲームの最大回数「600回」として設定しただけであり、可変表示ゲームの最大回数は、例えば、損失補填を実行する場合に、遊技者に還元される遊技球の数に応じて適宜変更しても構わない。
[副制御回路メイン処理]
一方、副制御回路200は、副制御回路メイン処理を実行することとなる。この副制御回路メイン処理について図14を用いて説明する。なお、この副制御回路メイン処理は、電源が投入されたときに開始される処理である。
最初に、ステップS201において、サブCPU206は、RAMアクセス許可、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する。つまり、サブCPU206は、電源が投入されたことに基づいて、遊技を正常に行わせるための所定の初期設定を行うこととなる。尚、本実施形態においては、ステップS201を実行するサブCPU206は、初期設定手段の一例に相当する。この処理が終了した場合には、ステップS202に処理を移す。
ステップS202において、サブCPU206は、乱数更新処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、ワークRAM210の所定領域に位置付けられた各種の乱数値を更新する。この処理が終了した場合には、ステップS203に処理を移す。
ステップS203において、サブCPU206は、コマンド解析処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、主制御回路60のメインCPU66から送られてきた各種コマンド(例えば、導出図柄指定コマンド、損失補填表示コマンド、デモ表示コマンド等)を解析し、その解析したコマンドに応じた処理を実行することとなる。この処理が終了した場合には、ステップS204に処理を移す。
ステップS204において、サブCPU206は、表示制御処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、前記コマンド解析処理において、主制御回路60のメインCPU66からの導出図柄指定コマンドを受信した場合に、その導出図柄指定コマンドに応じた装飾図柄等の画像表示制御を、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて行うこととなる。
また、本実施形態においては、ステップS203におけるコマンド解析処理において、サブCPU206は、主制御回路60のメインCPU66から損失補填表示コマンドを受信した場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、通常の装飾図柄等の画像表示に加えて、損失補填選択画像100aや損失補填表示画像100b、100c(図16参照)を専用の表示領域において表示する制御を実行する。
さらに、コマンド解析処理において、サブCPU206は、主制御回路60のメインCPU66からデモ表示コマンドを受信した場合は、液晶表示装置32の表示領域32aにおいて、図19に示すようにキャラクタ等を用いた客待デモ画像92と損失補填モードの案内画像101を専用の表示領域において表示する制御を実行する。
そして、サブCPU206は、スピーカ46R,46Lから発生させる音の制御を行う音声制御処理(ステップS205)、各種の装飾ランプ133a,133bの発光制御を行うランプ制御処理を実行する(ステップS206)。この処理が終了した場合には、ステップS202に処理を移す。
このように、副制御回路メイン処理においては、ステップS201の初期設定処理が終了した後、ステップS202〜ステップS206の処理を繰り返し実行することとなる。
[第1始動口24と第2始動口25]
ここで、本実施形態における第1始動口24と第2始動口25の構成を説明するとともに、前述した普通図柄制御処理(図11参照)において制御される第1始動口24に付設された羽根部材23の開閉動作による遊技球の流下の変化について説明する。図17は第2遊技部材55と第1始動口24及び第2始動口25の位置関係を説明する斜視図、図18は第1始動口24に付設された羽根部材23の開閉動作による遊技球の流下の変化を示す説明図である。
遊技領域15の略中央部には、図17に示すように、第2遊技部材55が設けられ、その下方位置に第2始動口25が適宜間隔をあけて設けられ、さらに、その下方位置に羽根部材23が付設された第1始動口24が、これも適宜間隔をあけて設けられている。つまり、遊技盤14に発射された遊技球は、遊技領域15の上部に設けられた複数の遊技釘13及び第1遊技部材57との衝突により転動し、その一部は第2遊技部材55に至り、他の遊技球は転動を繰返しながら第2始動口25の上方、あるいは遊技領域15の下部へ流下してゆくことになる。第2遊技部材55は、前述したように緩やかに下方へ湾曲したステージ状に形成され、その最底部となる中央位置には案内溝55aが形成されているため、第2遊技部材55に受け止められた遊技球のうち、案内溝55aから落下する遊技球は、他の部分から落下する遊技球よりも第2始動口25への入賞確率が高くなっている。そして、第2始動口25に入賞できなかった遊技球や、第1始動口24の両側から流下してきた遊技球は、第2始動口25の下方に遊技球が入賞可能な位置に設けられた第1始動口24へ入賞する場合がある。
また、パチンコ遊技機10においては、第1始動口24及び第2始動口25への遊技球の入賞が、遊技者にとっての最大の利益である「大当たり遊技」の契機となることから、遊技者は、通常、第1始動口24及び第2始動口25の周辺に遊技球が集中するように発射ハンドル26の発射強度を調整して遊技を行なうこととなる。
図18(a)に示すように、遊技領域15に発射された遊技球は、ステージ状に構成された第2遊技部材55に一旦受け止められ、第2遊技部材55の案内溝55aを通過して第2始動口25の上部へ流下するように導かれる。そして、第2始動口25に入賞しなかった遊技球は、第2始動口25への下部へと流下して行く。なお、第2遊技部材55に衝突しなかった遊技球や、第2遊技部材55の案内溝55aからは流下しなかった遊技球も、第2始動口25に向けて流下する場合がある。
なお、本実施形態では、第1始動口24と第2始動口25との間にも、遊技球が通過可能な間隔を設ける構成としている。したがって、第2遊技部材55の案内溝55aから流下した遊技球が第2始動口25へ入賞しなかった場合や、第1始動口24の両側から流下してきた遊技球は、第1始動口24への入賞が期待できる構成としている。
そして、図15(b)に示すように、第1始動口24に付設された羽根部材23が開放された状態では、前述した第2遊技部材55の案内溝55aを通過して、第2始動口25の上部へ流下するように導かれた遊技球は、第2始動口25へ入賞する場合もあるが、その殆どが第1始動口24に付設された羽根部材23の開放により受け止められ、第1始動口24へと入賞することになる。
つまり、本実施形態においては、第1始動口24に付設された羽根部材23が開放動作を行なうことにより、第1始動口24と第2始動口25への遊技球の入賞率が大きく変化する(つまり、第1始動口24への入賞率の方が高い)ことになる。このため、上述したように、第1始動口24と第2始動口25への遊技球の入賞を契機とした第1の抽選処理と第2の抽選処理においては、第2の抽選処理における大当たり遊技の当選確率を高く設定している。
これにより、本実施形態におけるパチンコ遊技機10においては、大当たり遊技の抽選にかかる特定領域を備えた複数の入賞口が、第1始動口24と第2始動口25と二種類設置され、そして、大当たり抽選手段による第1始動口24への遊技球の入賞を契機とした第1の抽選処理と第2始動口25への遊技球の入賞を契機とした第2の抽選処理を比較すると、第2始動口25を契機とした第2の抽選処理による大当たり遊技への当選確率を高く設定しているが、一方、第1始動口24には遊技球の入球をサポートする可動部材としての羽根部材23を付設して、その羽根部材23を開放することにより、遊技球の入賞率を高めている。すなわち、二つの始動口(第1始動口24及び第2始動口25)にそれぞれ遊技者の有利度合いに一長一短を付加することにより、第1始動口24と第2始動口25とで遊技者に対して有利度合いが極端に異なることのないパチンコ遊技機10としている。
上述してきた実施形態のパチンコ遊技機10によれば、長い「ハマリ」状態の遊技中における遊技球の損失を補填する損失補填モードを、遊技者自身により設定するか否かを選択可能とし、しかも、損失補填モードを設定中に大当たり抽選手段による抽選に当選したことを条件として、当選した大当たり遊技の種類及び大当たり遊技の発生履歴に応じて、遊技者が充分な賞球を得られる場合に、遊技者の救済処置である損失補填モードを解除する構成として、損失補填モードを解除された遊技者に対して不満を抱かせないようにしている。
そして、長い「ハマリ」状態を抜け出せない遊技者は、所定回数(例えば、600回)の可変表示ゲームを消化すると、所定数(例えば、1500個)の遊技球が一括して遊技者に損失補填として提供されるため、遊技者にとって不公平感の少ない、より多くの遊技者にも受けいれられやすいパチンコ遊技機10とすることができる。
さらに、本発明によれば、遊技者が操作手段(つまり、操作パネル27)を操作して損失補填モードの実行を選択した場合でも、遊技球の通過を契機として損失補填モードを始動させるための契機となる損失補填始動領域を兼用する第1の特定領域(つまり、第1始動口24)への遊技球の入賞又は通過を狙って遊技を行なうという、新しい遊技性を付加したパチンコ遊技機10とすることができる。
以上の実施形態により、以下の遊技機が実現される。
すなわち、賞球の払い出しを受ける機会が増加する大当たり遊技へ移行するか否かの大当たり抽選を行う大当たり抽選手段(例えば、主制御回路60、特別図柄記憶チェック処理(図10))と、遊技球が転動するとともに、前記遊技球の通過がそれぞれ前記大当たり抽選手段による抽選の契機となる複数の特定領域(例えば、第1始動口24及び第2始動口25)が設けられた遊技領域15を有する遊技盤14と、遊技者が所有する遊技球の一部を徴収する徴収処理と、前記大当たり抽選手段による複数回の大当たり抽選の結果に応じて遊技者が損失した遊技球を補填する補填処理と、を含む損失補填モードの制御を行う損失補填制御手段(例えば、主制御回路60、損失補填制御処理(図13))と、前記損失補填モードにするか否かを遊技者により選択操作可能な選択手段(例えば、操作パネル27)と、を備え、前記複数の特定領域は、前記選択手段の操作により前記損失補填モードとなった場合に、遊技球の通過を契機として前記徴収処理及び補填処理を実行させる損失補填始動領域を兼用する第1の特定領域(例えば、第1始動口24)と、損失補填始動領域を兼用しない第2の特定領域(例えば、第2始動口25)とからなる遊技機(パチンコ遊技機10)。
前記第1の特定領域(例えば、第1始動口24)には、開閉自在の可動部材(例えば、羽根部材23)が設けられている遊技機(パチンコ遊技機10)。
前記第1の特定領域(例えば、第1始動口24)は、前記第2の特定領域(例えば、第2始動口25)と比較して、前記大当たり抽選手段(例えば、主制御回路60、特別図柄記憶チェック処理(図10))による大当たり遊技への当選確率(例えば、主制御回路60、大当たり抽選テーブル(図6))が低く設定されている遊技機(パチンコ遊技機10)。
なお、本実施形態においては、損失補填モードを設定中に実行される徴収処理において、遊技領域15に複数設けられた各入賞口へ遊技球が入球したことに応じた賞球の一部を所定数(例えば、30個)に達するまで徴収するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に所定金額(例えば、千円単位)の貸し玉をパチンコ遊技機10の上皿20に払い出す場合に、その貸し玉の一部を徴収するようにしても構わない。
また、本実施形態においては、損失補填モードが設定されていた場合は、徴収処理において賞球の一部を実際に徴収して、遊技者に払い出す賞球数を減らす構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、損失補填モードを設定中の徴収処理において、遊技領域15に設けられた複数の入賞口に遊技球が入球した個数をカウントするだけで、必ずしも賞球数を減らす構成としなくてもよい。
さらに、本実施形態においては、当選した大当たり遊技の実行ラウンド回数が所定回数の場合を所定の条件として、損失補填モードを途中で解除(つまり、終了)させるようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、当選した大当たり遊技における実行ラウンド数の所定回数等は、遊技機に設定されている大当たり遊技の種類に合わせて適宜変更可能である。
また、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されるものではない。